鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその542~新田次郎「望郷」

2011-04-19 12:55:12 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「望郷」です。

新田次郎著「望郷」は現在絶版となっていたため、先日古本で
入手しました。

この本との出会いには、多少運命的なものを感じています。
まだ読んでいないにもかかわらず、これから読むのをとても
楽しみにしています。

そのワケをこれからご紹介します。

昨年のマイベストブックは、藤原てい著「流れる星は生きている」
でした。
3人の幼子を連れた若い母が、終戦直後の混乱の中を満州から
死力を尽くして帰国するまでを描いた戦後のベストセラーです。
続編ともいえる「旅路」を含め、生涯忘れられない衝撃を受け
ました。

その中で著者の夫である新田次郎が北朝鮮で連行され、はぐれた
ことが書かれていました。
連行後の体験はとても辛かったようで、新田氏は帰国後も語らな
かったと書かれていました。
そこで新田氏がエッセイ等に書き残していないかと思い、新田
本人の著作をさがそうと考えました。

ところが今度は息子である藤原正彦の著書の中に、その逃避行に
ついての記述があり、連行後の体験はとても辛かったようで、
「共産圏は恐ろしいところだ」といって国交回復後も決して足を
踏み入れなかったこと、その体験について新田氏は書き残さな
かったことが書かれていました。

この時点で、夫側からみた満州からの逃避行について知る術を
失い、とても残念に思いました。
消化不良のような感覚が残りましたが、これは明らかに観念せざるを
えない状況、ジ・エンドでした。

話はここで終わるはずでしたが、先日近所の郵便局で手続きの
待ち時間にいつものようにたくさん並んでいる本の1冊を手に取り、
中身を流し読みしていてびっくりしました。
そのとき偶然に手にした新田次郎著「望郷」が、まさに求めていた
一冊だったのです。
冒頭の数ページと、念のため「解説」のあらすじを読み、勘違いで
ないことを確認。
それが判ったときは、本当に本当にうれしかったです。

そのときは新田次郎のまだ読んでいない本だ、どんな内容かな、
くらいの思いで手に取っていたので、驚きはとても大きかったです。

それにしても藤原正彦氏がこの本の存在を知らないわけが無いので、
私が読み違いをして探すのを勝手に止めたのでしょう。
それをフォローしてくれた「偶然」に感謝です!

いかがです?
みなさんにとってはどうでも良い話でしょう?
でも本人にとっては驚くべき大事件だったのです。

そんな訳で「望郷」を読むのがとっても楽しみなのです。

コメント
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