またまた最近購入したディスクを紹介します。まず、メロディアスなパンク・サウンドを聴かせる、いわゆる“エモ系”の先駆のひとつと言われたアメリカのバンド、ジミー・イート・ワールドの3年ぶりになる新譜「チェイス・ディス・ライト」。
この手の音は肌触りの良い旋律で聴きやすいのだが、その分飽きるのも早い。しかし、このアルバムはキャッチーで親しみやすい“エモ系”のトレンドを維持しつつ、巧妙にオルタナティヴなどのテイストも取り入れ、各曲ごとの音造りの掘り下げが実に深く、ヴァラエティに富み、聴き手を離さない。ニルヴァーナやスマッシング・パンプキンズのアルバム製作も手掛けたブッチ・ヴィグがエグゼクティヴ・プロデューサーとして参加していることも大きいのだろう。
歌詞もとことん前向きで力強く、時には気恥ずかしくなるほどだが(笑)、こういった曲調に乗せられるとまったくおかしくない。たぶんライヴでは観客も唱和して大いに盛り上がるのだろう。なお、少し安い輸入盤よりもボーナス・トラックが3曲も入った国内盤がオススメだ。
英国出身のピアニスト、デイヴィッド・ゴードン率いるトリオが2000年に吹き込んだ「Undiminished」を聴いてから、ジャズに関しては初心者である私の“好きなジャズの傾向”を確認できた。それはまずピアノトリオであること。さらに、主に欧州製であること。しかもECMレーベルの諸作のような芸術家肌の高踏的なシロモノではなく、適度にハードバップな、それでいて硬質で強靱な傾向を備えた寒色系の叙情派メロディをキメるミュージシャンであることだ(実に分かりにくい表現で恐縮だが ^^;)。
それを代表するのが本作。スタンダード・ナンバーもあるが、オリジナル曲が素晴らしい。怜悧な美しい旋律、そして演奏はマッシヴでストレートアヘッド。グイグイと引き込まれる強力なビートがたまらない。そして特筆すべきは録音の良さ。私の持っているディスクで5本の指に入るほどのクォリティだ。広い音場に各楽器が絶妙な距離感で定位するサウンド・デザインには感服するしかない。オーディオシステムのチェック用にも使えよう。輸入盤のみのリリースだが、一聴の価値あり。
エスビョルン・スヴェンソン率いるスウェーデンのピアノトリオ「e.s.t.」による実況録音盤「ライヴ・イン・ハンブルグ」も最近発売されたCDの中ではスグレモノだ。前述のデイヴィッド・ゴードン・トリオも辛口だったが、これは“超辛口”である。
北欧のミュージシャンらしい、クリアでリリカルな旋律構成を、強烈なリズムがバックアップする。ドラムンベースやテクノ・トランスなどのテイストを巧みに取り入れ、ジャズのコンサートには珍しい大観衆を抜群のグルーヴで圧倒する。電気系の使い方も堂に入っていて、曲調も大規模組曲風。これはジャズというより、プログレッシヴ・ロックに近い(新時代のEL&Pか ^^;)。
ピアノトリオというユニットを、どこまで突き詰められるか。かつてビル・エヴァンズが内省的アプローチを突き詰めたのに対し、「e.s.t.」は外部に向かって徹底してブレイクアウトする。その大胆不敵なパフォーマンスには脱帽するしかない。一度で良いから、実演に接してみたいものである。録音も良好で、会場の熱狂を無理なく伝えてくれる。必聴盤だ。
この手の音は肌触りの良い旋律で聴きやすいのだが、その分飽きるのも早い。しかし、このアルバムはキャッチーで親しみやすい“エモ系”のトレンドを維持しつつ、巧妙にオルタナティヴなどのテイストも取り入れ、各曲ごとの音造りの掘り下げが実に深く、ヴァラエティに富み、聴き手を離さない。ニルヴァーナやスマッシング・パンプキンズのアルバム製作も手掛けたブッチ・ヴィグがエグゼクティヴ・プロデューサーとして参加していることも大きいのだろう。
歌詞もとことん前向きで力強く、時には気恥ずかしくなるほどだが(笑)、こういった曲調に乗せられるとまったくおかしくない。たぶんライヴでは観客も唱和して大いに盛り上がるのだろう。なお、少し安い輸入盤よりもボーナス・トラックが3曲も入った国内盤がオススメだ。
英国出身のピアニスト、デイヴィッド・ゴードン率いるトリオが2000年に吹き込んだ「Undiminished」を聴いてから、ジャズに関しては初心者である私の“好きなジャズの傾向”を確認できた。それはまずピアノトリオであること。さらに、主に欧州製であること。しかもECMレーベルの諸作のような芸術家肌の高踏的なシロモノではなく、適度にハードバップな、それでいて硬質で強靱な傾向を備えた寒色系の叙情派メロディをキメるミュージシャンであることだ(実に分かりにくい表現で恐縮だが ^^;)。
それを代表するのが本作。スタンダード・ナンバーもあるが、オリジナル曲が素晴らしい。怜悧な美しい旋律、そして演奏はマッシヴでストレートアヘッド。グイグイと引き込まれる強力なビートがたまらない。そして特筆すべきは録音の良さ。私の持っているディスクで5本の指に入るほどのクォリティだ。広い音場に各楽器が絶妙な距離感で定位するサウンド・デザインには感服するしかない。オーディオシステムのチェック用にも使えよう。輸入盤のみのリリースだが、一聴の価値あり。
エスビョルン・スヴェンソン率いるスウェーデンのピアノトリオ「e.s.t.」による実況録音盤「ライヴ・イン・ハンブルグ」も最近発売されたCDの中ではスグレモノだ。前述のデイヴィッド・ゴードン・トリオも辛口だったが、これは“超辛口”である。
北欧のミュージシャンらしい、クリアでリリカルな旋律構成を、強烈なリズムがバックアップする。ドラムンベースやテクノ・トランスなどのテイストを巧みに取り入れ、ジャズのコンサートには珍しい大観衆を抜群のグルーヴで圧倒する。電気系の使い方も堂に入っていて、曲調も大規模組曲風。これはジャズというより、プログレッシヴ・ロックに近い(新時代のEL&Pか ^^;)。
ピアノトリオというユニットを、どこまで突き詰められるか。かつてビル・エヴァンズが内省的アプローチを突き詰めたのに対し、「e.s.t.」は外部に向かって徹底してブレイクアウトする。その大胆不敵なパフォーマンスには脱帽するしかない。一度で良いから、実演に接してみたいものである。録音も良好で、会場の熱狂を無理なく伝えてくれる。必聴盤だ。