元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「銀のエンゼル」

2005-12-24 08:54:49 | 映画の感想(か行)
 舞台は北海道の田舎町、国道沿いのコンビニエンスストアを舞台に、店主の中年男と家族、そして周囲の人々の人生模様を描く。監督は鈴井貴之。

 ちょっと辛口な描写もあるが、悪人は一人も出て来ず、みんな収まるところに収まってしまう。主演の小日向文世のキャラクターがそのまま映画の雰囲気になっているような、ほのぼのとした味わいが捨てがたい作品だ。

 佐藤めぐみ扮する主人公の娘の進学問題がメインストーリーだが、それよりも毎晩チョコボールを一箱買って帰るバツイチ子持ちの若い女(山口もえ)の行動に、金のエンゼル(幸福)を手に入れるには、毎日を地道に生きて、一個ずつでも銀のエンゼル(日常の中の小さな喜び)を集めていくしかないのだという、作者のポジティヴな視点が表されている。

 妻役の浅田美代子をはじめ、西島秀俊や大泉洋など脇のキャラクターも万全。そして“HOTバナナ”とか“ポルシェのトラクター”とか“コーヒーメロン”とかいった得体の知れない小道具(笑)が抜群の効果をあげている。茫洋とした風景の中に建つコンビニを演劇のステージのように見立てる構図も面白い。鈴井監督は地元では人気のある作家らしいが、他の作品も観てみたいものだ。

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