元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「トリプル・フロンティア」

2020-05-23 06:51:02 | 映画の感想(た行)

 (原題:TRIPLE FRONTIER )2019年3月よりNetflixで配信されたクライムアクション。製作にキャスリン・ビグローが関与しているので期待出来るかと思っていたが、中身はさほどでもない。有り体に言えば、盛り上がらないまま終わってしまう。ただロケ地の風景は魅力的なので、そこだけに着目すればある程度は満足出来るかもしれない。

 かつて米軍陸軍特殊部隊に所属し、今は南米の民間軍事会社に籍を置いていることサンティアゴ・ガルシアは、麻薬組織のボスであるロレアを追撃している際にロレアが自宅に大金を貯め込んでいるという話を聞きつける。これを強奪することを考えた彼は、早速昔の仲間のトム・デイヴィスに話をもちかける。

 気の進まないトムであったが、別れた妻と娘に生活費を渡さなければならない立場上、しぶしぶ引き受ける。他に3人のメンバーを加えた一行は、ブラジル奥地にあるロレアの邸宅に侵入して見事に金を入手することが出来た。しかし、逃走用のヘリコプターが山中に不時着。彼らはやむなく徒歩で山岳地帯を抜け、国外脱出のための船が待つ海岸線を目指す。

 ロレア邸から金を掠め取る場面はいくらでもサスペンスとアクションが挿入出来そうなものだが、意外なほどあっさりと切り上げている。ひたすら逃げる主人公たちを追って、組織側からは山のような実行部隊が出撃してもおかしくはないが、なぜか姿を見せない。わずかに途中で彼らがトラブルを発生させた村の者が私怨で迫ってきたり、海岸地帯でロレア配下の武装集団(とは名ばかりの、単なる不良少年グループ)が襲ってくる程度。要するに、あんまりスリリングではないのだ。

 その代わりに何があるのかというと、それはサンティアゴたちの内面的屈託なのかもしれない。確かに、登場人物たちが軍を退いてからの虚脱感みたいなものは示されていた。だが、あまり印象的ではなく、描写不足と言ってもいいだろう。とはいえ、バックに映し出される南米の大自然には圧倒される。ロケ地はコロンビアとのことだが、まさに目覚ましい美しさだ。

 J・C・チャンダーの演出は平板で、盛り上がる箇所は少ない。ベン・アフレックにオスカー・アイザック、チャーリー・ハナムといった顔ぶれ自体は悪くないが、目立った仕事はしていない。特にアフレックは昨今出演作こそ多いものの、特に成果を上げていないのは辛いところだ。

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