元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「黒薔薇VS黒薔薇」

2007-01-29 20:06:18 | 映画の感想(か行)
 92年香港作品。バツイチで売れない女流童話作家ウォン(マギー・シュウ)と友人のB級映画女優キュン(テレサ・モウ)は、ある日麻薬組織の殺人現場を目撃。警察の目をごまかそうと、その現場に残してきた“黒薔薇参上(「黒薔薇」とはテレビのヒーローものに出てくる怪盗)”の書き置きが原因となり、彼女たちは本物の黒薔薇一味のホン(フォン・ボーボー)とファン(ウォン・ワンシー)に捕えられてしまう。以前からウォンを好きだったロイ刑事は、彼女を助けようと黒薔薇の館に忍び込むが、彼の顔がホンとファンの初恋の人とそっくりだったため、話はヘンに方向に発展。やがて彼女たちを追うマフィアの連中もからんできて、三つどもえのワケのわからん事態になる。

 はっきり言ってこれは、トンでもない映画である。観終わって表情がこわばり、冷汗じっとり、鳥肌ざっくり。面白いのかくだらないのか、駄作なのか傑作なのかわからないが、とにかくムチャクチャな映画だ。たとえて言うなら、「ホット・ショット」みたいにハリウッド製おふざけムービーから“わかりやすさ”を削除し、そこへ「モンティ・パイソン」風イギリス変態テイストを少々ふりかけ、おなじみ香港映画の強引な演出テンポでつっ走るとともに、中国製大衆歌謡メロドラマ映画のダサさを力いっぱいインストールしたような作品、というところか(書いてる本人も意味がわかっていない ^^;)。

 観客の読みをことごとく裏切る唐突な場面の連続。登場人物がいきなり歌い出したかと思うと、正統派クンフー映画調になったり、ラブストーリーと思ったら突如全員錯乱してバカなことをおっ始める。散りばめられたギャグは一見どれもハズしているようでいて、その内容を考えるヒマを観客に与えず、次々と連射される。中国の伝統的な音楽(?)とカラオケの画面みたいな下世話な歌謡曲路線が珍妙なコンビネーションを見せる。さらに、フランス映画「デリカテッセン」の“ハワイアンに合わせてベッドの上でギシギシやるネタ”(?)をそっくりパクるという、香港らしいウサン臭さも忘れてはいない。

 出演者のハチャメチャぶりには感心したが、中でもロン刑事役のレオン・カーファイのド変態演技には圧倒させられる。これが「愛人/ラマン」のハンサムな中国人エリートと同一人物とは・・・・。うーむ、アジア映画は奥が深いぞ(何言ってんだよ)。

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