元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第12回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その2)

2015-04-02 06:35:30 | プア・オーディオへの招待
 今回もオーディオ評論家の福田雅光の司会による“オーディオアクセサリーの聴き比べ大会”が実施されたが、製品をOYAIDESAECのケーブル類に絞っていたのは分かりやすかった(その割には段取りの悪い進行ではあったが ^^;)。事前に“試聴”する製品をまとめたレジュメが配布されていたのも有難い。これならば後で“あのとき装着していたケーブルは何だったのだろうか”と思い悩まずに済む(笑)。

 とはいえ、個人的にはあまり収穫のある出し物ではなかった。OYAIDEとSAECの製品はあまり好きではないし、付属ケーブルからの市販品への換装の効果も、すでに周知の事実と言っていい。強いて挙げれば、短い距離で不用意に芯線の太いスピーカーケーブルを使うと、音が鈍重になることが再確認できたことぐらいだろうか。この意味では“ケーブルは高価であるほど良い”というのは正しくない。



 あと、毎度の事ながら福田がイベントに使用する音楽ソースは愉快になれない。前回よりはいくらかマシだが、それでも一般的に馴染みの無い楽曲ばかりで、それを何回も聴かされるのは疲れる。もっとポピュラーな音楽ソフトを採用して欲しいものだ。

 試聴出来たスピーカーの中で最も印象的だったのは、米国YG ACOUSTICS社の新製品Carmel 2である(駆動していたアンプは米国KRELL社のもの)。同社のスピーカーは、以前上位機種のHaileyを聴いたことがあったが、値段を考えればあまり良い製品とは思えなかった。対してCarmel 2はHaileyの約半分のプライス(とはいっても約360万円だが ^^;)ながら、素晴らしい出来栄えを示している。

 音が実に清涼。広い音場にはチリひとつ落ちておらず、どこまでも見渡せる。音像は堅牢で一点の滲みもなく、しかも硬さは感じられず表面が滑らかに磨かれている。もちろん音色は明るく、特定周波数帯域での強調感も無く、いくら聴いても疲れない。とにかく欠点が見つからないのだ。墓石みたいに無愛想なデザインだけは好き嫌いが分かれるが、威圧感の小さいサイズも含めて、ハイエンド機が買えるマニアならば興味を覚えずにはいられないパフォーマンスの高さを誇る。



 フィンランドのPENAUDIO社のCENYA SIGNATUREも優れ物のコンパクト型スピーカーだった。以前から発売されていたCENYAのデラックス・ヴァージョンだが、仕上げの違い以上に音質はリファインされている。音場は上下左右に広がり、北欧メーカーらしい透き通るような音像の練り上げとクールな空気感が周囲に充満する。定価は120万円で、このサイズの製品にしては嫌味な価格設定だが(笑)、この表現力に価値を見出す金回りの良いユーザーならば、導入に躊躇しないだろう。

 北九州市にある2005年設立のKITHIT社は、外付けのスーパーツイーター(超高域ユニット)を出品していた。実はこの会社は九州工業大学(国立)のベンチャー企業である。スピーカーそのものに取り付けるのではなく、近くに設置するだけで効果があるという触れ込みだったが、実際聴いてみると高音だけではなく中低域も密度が濃くなったような印象を受けたのには驚いた。

 大学がベンチャービジネスを起こすこと自体は珍しくはないが、オーディオ業界へも進出していることは今回初めて知った。業界主催のオーディオ銘機賞も獲得しているそうで、こういう形でのニューカマーは、これからもどんどん出てきて欲しい。

(この項つづく)

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