元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「クッキー・フォーチュン」

2014-06-13 06:24:05 | 映画の感想(か行)
 (原題:Cookie's Fortune)99年作品。多彩なキャスティングによるサスペンス映画であり、けっこうエゲツない話ではあるのだが、観た印象はホノボノとしていて肌触りが良い。このあたりがロバート・アルトマン監督の老練さか。

 アメリカ南部の田舎町で一人暮らしをてしいた老女のクッキーは、ある日銃で自殺してしまう。第一発見者は彼女の姪のカミールだったが、保守的な土地柄ゆえ余計なスキャンダルは不要とばかりに遺書を処分し、銃を庭に捨てて他殺に見せかける。さらに居合わせた妹のコーラに他言するべからずとキツく言い渡した後、警察に連絡する。



 当然のことながら町中大騒ぎになり、都会に出ていたコーラの娘のエマまで舞い戻る。やがてクッキーの世話をしていた黒人のウィリスが容疑者として逮捕されるが、承服できないエマは警察署に泊り込んで抗議する。一方、カミールはクッキーの少なからぬ遺産を相続すると確信して有頂天。ところが思わぬ目撃者が現われ、事態は意外な方向に動き出す。

 何より感心したのは、オーバーアクトをしている奴が一人もいないにもかかわらず、各キャストの持ち味が十分発揮されていること。だから、ドラマ運びはスムーズそのもの。そしてアメリカ南部の気怠い雰囲気が印象的。浮世離れした舞台設定を作り出したおかげで、ブラックなストーリーを見せつけられても観ていて苦にならない。

 グレン・クローズやリヴ・タイラー、クリス・オドネル、チャールズ・ダットン、パトリシア・ニールなど出演陣は賑やかで、特に最後にオイシイところを持っていくジュリアン・ムーアは儲け役だ。なお、撮影は栗田豊通だが、大島渚の「御法度」よりは遙かに良い仕事をしている。
コメント
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