元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「闇金ウシジマくん Part2」

2014-06-02 06:18:35 | 映画の感想(や行)

 前作よりも面白い。監督はPart1から続投の山口雅俊だが、前回の欠点を出来るだけ潰してタイトな作りに持っていこうとしている。その改善方策とは、脚本の精査とキャスト全体の演技力の押し上げだ。この姿勢は評価すべきだろう。

 主人公・丑嶋が経営する“カウカウ・ファイナンス”は、10日で5割という暴利をむさぼる闇金融だ。こんな無茶苦茶な業者の元にも、普通にお金を工面できない甲斐性なしの連中が連日詰めかけてくる。今回の“顧客”は、誤って暴走族のヘッドの愛沢が所有するバイクを拝借して壊してしまった無職の若造マサルだ。愛沢から“カネを借りて弁償しろ”と凄まれて“カウカウ・ファイナンス”に転がり込んできたマサルだが、なぜか丑嶋に気に入られ、そこで働くことになる。

 一方、新人ながら野心たっぷりのホストであるレイは、ひょんなことで知り合った少女・彩香と懇ろになり、彼女に貢がせて店内での階級を上げようとする。まとまった金が必要になった彼女は“カウカウ・ファイナンス”に都合を付けてもらおうとするが、いくら闇金融でも未成年で一見の客である彩香に大金を貸すはずもない。そんな中、狂的なストーカーの蝦沼が彩香を付け狙う。

 登場人物が多いが、各キャラクターが“立って”いることもあり、分かりにくさを感じさせない。感心したのは、登場人物たちのモノローグが時折挿入されることだ。それも展開をいちいち説明するような芸の無いものではなく、観客がスムーズにストーリーを追えるようにするため、いずれも簡潔にまとめている。さらに、見た目や行動で十分であるようなキャラクターにはモノローグが付与されていないのも納得した。

 一見バラバラになっていた各エピソードが、中盤以降収まるところに収まっていくあたりも申し分ない(おそらくは原作をあまり弄らずにトレースしているせいかもしれないが ^^;)。前作では無駄に長かったバトルシーンも短時間に刈り込まれている。

 林遣都の熱演だけが浮いていたPart1とは違い、今回はキャスト陣の“平均演技力”は高い。主演の山田孝之は相変わらずながら、マサル役の菅田将暉、愛沢に扮する中尾明慶、丑嶋をサポートする戌亥を演じる綾野剛、レイ役の窪田正孝、頭がぶっ飛んだ女金貸しに扮した高橋メアリージュンなど、活きの良い若手をずらりと並べてそれぞれ持ち味を発揮させている。

 光石研やキムラ緑子らベテランも良い味出しているし、蝦沼役の柳楽優弥は“新境地”を開拓したかもしれない(爆)。個人的に印象的だったのは彩香を演じる門脇麦で、顔立ちは地味だが何やらヤバい雰囲気を醸し出しており、期待の持てる新鋭だろう。いずれにしても、前作での大島優子みたいに演技がまったく出来ないヤツが出てこないだけでも有り難い。

 お手軽な娯楽編なのでそんなに持ち上げる必要も無いが、時間潰しにフラリと入った映画館でこの程度の(低くはない)レベルの作品を観ることが出来れば文句はないだろう。Part3が作られるかどうかは分からないが、評判が良ければ観てみたい。
コメント
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