元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ただいま」

2010-05-09 06:40:32 | 映画の感想(た行)
 (原題:過年回家)99年中国作品。血の繋がらない姉を殺して服役し、17年ぶりに家に帰ったヒロインと家族の確執を描く張元監督作品。雰囲気はまあ良かったが、もうちょっとディテールを描き込んでもらわないと、登場人物の内面が具体的にわからない。上映時間が80分強と短いわりにはラスト近くの展開が冗長で、脚本の練り上げが不足している

 それにしても、わずか5元の金が原因で事がここまで大きくなるのは、いかにも極端な現実主義者の中国人らしく、観ていてタメ息が出てきた。張藝謀監督「あの子を探して」の前半部分での主人公と同じである。

 17年の歳月を示すような北京の街の変貌は興味深い。これも前述の中国人の損得勘定至上主義の賜物で、カネさえ出せばどんなに歴史のある街並みでもアッという間に更地になり、再開発のやり放題だ。

 でも考えると、どの国でも人間というのはカネで動く。つまらぬ建前よりもカネを出すことで物事は進むのだ。もちろん中国の場合はその意図と遣り口が汚いのが難点だが、公的な目標を立てた後でシッカリとカネを積むというのは、正当な手段だと言える。現在米軍基地の移転騒動で右往左往している当局側は、そのことを肝に銘じるべきかと思う。

 あと、ヒロインに同行する女刑務官役のリー・ビンビンがとてもキレイなのでびっくりした(制服姿が「男装の麗人」っぽい)。
コメント
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