元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」

2006-06-16 06:55:24 | 映画の感想(は行)

 (原題:A History of Violence)インディアナ州の田舎町を舞台に、二人組の強盗を片付けたことから一躍町の英雄になった男が、その事件により自身の過去に対する疑惑にさいなまれる過程を描くデイヴィッド・クローネンバーグ監督の新作。

 アメリカの暴力社会を皮肉な目で捉えた作者の視点が印象的な映画だ。クローネンバーグはカナダ人である。マイケル・ムーアが「ボウリング・フォー・コロンバイン」で紹介したように、カナダは銃の普及率はアメリカ以上ながら、犯罪発生率は低い。その理由はいろいろと考えられるのだが、とにかく本作においてはカナダ人としての“外部からの視線”がアメリカの銃社会の異常さを際立たせているのは確かだ。

 主人公は正当防衛で強盗を始末したといっても、殺人であることは間違いない。それが住民はもとよりマスコミからも持て囃されるという不条理。気弱だった彼の(義理の)息子は、この事件をきっかけにイジメっ子をシバくほどに“マッチョ”になっていくが、それを誰も声高に批判しない。

 やがて一家はさらなる暴力の嵐に巻き込まれるが、終盤の西部劇のような展開も、それにより一家瓦解の危機は訪れない。それどころかまるで“場合によっては暴力も必要だ!”と開き直っているようではないか。

 これはつまり、クローネンバーグがこれまで描いてきた“非人間的なるもの”の異様な生態の一つを表現しているのだと思う。暴力によってでしかコミュニケート出来ない連中。衝撃的な冒頭シーンに代表されるような、暴力が日常の隣にある歪な状況。それらを露悪的に描出して一人悦に入るあたり異能クローネンバーグの面目躍如である(爆)。

 外道モード全開のヴィゴ・モーテンセンをはじめ、エド・ハリス、ウィリアム・ハートなど役者も揃っている。面白かったのが主人公の妻役のマリア・ベロで、一見普通だが実は好色で少し変態というキャラクターは大いにウケた(笑)。
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復帰します。

2006-06-16 06:53:34 | その他
 相変わらず仕事は忙しいのですが、いつまでも休んでいるわけにもいきませんので、ひとまずプログ更新を再開いたします。

 毎日文章をアップできるかどうか分かりませんが、とりあえずヨロシク ->ALL。
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