横浜生まれ、大学卒業、社会人として就職し、勤務先の2年毎のジョブローテーションの3回目の26歳迄自宅で育ち、親元から通勤した自称「浜っ子」だ。
「浜っ子」ゆえに、就職先も、日本を代表する外航海運会社を選ぶことになり、ごく自然の成り行きだった。
従って、あの「赤い靴」にも、ひと際思い入れが強い。
先日、イオンのメセナ事業の一環で、偶々、ブルースハーモニカの紹介を兼ねて、一曲吹かせて頂く機会があった。 年配の皆さんよくご存知で、演奏時間も短く、このハーモニカの持ち味をご納得頂くにぴったりの野口雨情・詞、本居長世・曲の童謡「赤い靴」を選んだ次第。
手持ちハーモニカDb、Bb、Dm の中から、迷わず、やゝ高目だが短調Dmを選んだ。
しかし、あの場面でベンド云々を説明しても無意味故、その選択をしただけだったが、あとで思えば、よく愛用、使い慣れた長調Dbで吹けば良かった、と思い直した次第。
ざっくり言えば、吹きと吸いが変化するので、自ずとベンドやフェイク、ビブラートが効果的に使え、短調Dmを使うよりも、尚一層、あの物憂げで、憂いに満ち、割り切れなさを多少なりとも表現出来たと勝手に得心。 貧しかった明治の終わり頃、この「赤い靴」に纏わる言説は兎も角、人間の心情に訴え掛ける音楽としては、ブルースもこの童謡も違わない。 ③ベンドから入って、③ベンドで終える。
これこそ、先輩方が強調されて来ていた、また、私も実感し、目指すブルースハーモニカの世界の一端だと、漸く確信・実感出来た。
いつか、山下公園の「赤い靴」像前で、吹かせて頂きましょう。
さぁ、更に、先に進もう。