AI研究の第一人者である松尾豊氏(東京大学准教授)により指摘されている、AIの2つの分け方です。
「大人のAI」は、すでに存在しているビッグデータから一定のパターンを発見するもので、発見にあたっての判断基準を人間が予め設定するタイプのようです。大人(即ち、専門家)ができることをできるようですが、実は人間が裏で作り込みをしているようです。即ち、特徴量の設計が必要です。ビッグデータやIoTに基づく判断、IBMのワトソン、Siri、Pepperなどは、「大人のAI」に対応しています。現状、販売やマーケティングなどに応用されており、今後は医療、金融、教育などへの応用が考えられています。
一方、「子供のAI」は、背景知識のほとんどない状態から、AI自身が試行錯誤を繰り返して性能を向上させるタイプとのことです。AIの研究の歴史において50年もの間、実現が難しいとされてきましたが、ディープラーニング(深層学習)という、特徴量を自動で抽出できる技術の開発がブレークスルーとなって、今後への期待が高まってきています。2015年には画像の認識において人間の精度を超えるプログラムが米マイクロソフトや米グーグルで開発され、現実味を帯びてきたようです。「子供のAI」は、認識技術の向上、運動能力の向上、言語の意味理解というように、人間と同じように技術進化していくようです。認識機能を持った「子供のAI」とロボットを組み合わせることにより、これまでにない新しいビジネスの創出ができると期待されているようです。
松尾氏によると、「大人のAI」は外国に遅れをとっていて挽回も難しいようですが、「子供のAI」はこれからでありモノづくりが中心となることから、日本にもチャンスがあるとのことです。