気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

"SDV"とは

2024-05-25 23:17:58 | 乗り物/同サービスイノベーション

”Software Defined Vehicle”の頭文字をとったもので、”機能や性能がソフトウェアによって決定される次世代車”のことです。ソフトウェアはインターネット経由でSDVの方へ送り込むことができるため、機能や性能の更新を柔軟かつ効率的に行えるようです。

リモートから送り込むことによって更新されるソフトウェアの範囲は、一般に、(1)初期段階(即ち、地図やエンターティンメント情報の範囲)、(2)中間段階(即ち、ハンドル操作などの運転に関わるシステムまで含めた範囲)、(3)最終段階(即ち、基本ソフトを通して車全体に亘る範囲)の3レベルに分けられるようです。

現時点において、先進的な車の技術革新/戦略の方向は、ネットに常時つながる車の"Connected"、自動運転の"Autonomous/Automated"、シェアリング(共同利用)の"Shared"、電気自動車の"Electric"の4点、まとめて"CASE"という言葉で特徴づけられていますが、SDVはCASEの次にくる戦略として位置づけられているようです。

政府(経産省、国交省)は、2024年5月20日、我が国の自動車産業のデジタル化戦略として「モビリティDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略案※」を正式に公表しています。そこでの戦略の柱として、SDV関連、無人運転等のモビリティサービス関連、自動車データの利活用関連の3分野を取り上げていますが、特にSDV(注:上記のソフトウェア更新範囲の中間段階、最終段階のもの)の開発に力を入れているようです。SDVの世界での販売台数は、2030年で1400万台、2035年には6400万台にも上るとのことです(注:経産省の推計)が、日本勢のシェアとして3割(即ち、2030年で約1200万台、2035年で1900万台)という目標を挙げています。

※以下のサイトの<概要版>を参照

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/jido_soko/r6dxjimukyokushiryou2.pdf


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”スパムフラージュ(あるいはスパモフラージュ)”とは

2024-05-16 23:38:24 | セキュリティ技術・サービス・脅威

SNS上に偽アカウントを作成し偽情報を無差別・大量に流し、自国や他国の世論を操作しようとする工作活動を意味しているようです※1。英語で"spamouflage"と綴り、これは、受信者意向に関わらず無差別・大量にメールなどを送りつける”スパム(spam)”と偽装を意味する”カムフラージュ(camouflage)”とを組み合わせた造語のようです。直訳的には、偽アカウントから無差別・大量のメッセージを送りつける行為といった所かと思います。

米IT大手の”メタ(旧フェイスブック)”が、2023年8月29日に公表した当社第2四半期の報告書”Adversarial Threat Report(敵対的脅威レポート)※2”の中で、「中国を拠点とするグループが、50以上のSNSを利用し、日本や台湾、米欧など世界の多くの地域を標的とした世論誘導を試みている」ことを、2022年末以降の当社の調査結果から明らかにしていますが、この活動を「スパムフラージュ」として引き合いに出しています。メタは、この活動が、これまでに知られた中で最大規模のプラットフォーム横断型の影響工作(the largest known cross-platform covert influence operation)と評価しています。関連するpdf資料※2のp.11~19を参照。

報告書によると、中国の複数のグループがSNS上に大量の偽アカウントを作り、世論を都合のよい方向へ誘導するための偽情報を大量に発信しているようです。イメージ的には、偽アカウント間で連携し、例えば、フェイスブックから新型コロナの起源が米国だとする偽情報を発信したり、関連する動画をYouTubeに投稿したり、両者を引用しながら米国を非難するようなツイートをXで行ったりし、それを乗っ取った偽アカウントからフォローし拡散する、といったものです。なお、確証はとれていないようですが、このような国には、他人のSNSアカウントに不正なURLを送り付けクリックさせることでそのアカウントを乗っ取れるようなシステムを開発するIT企業が、政府と取引関係になっていたりするようです。乗っ取ったアカウントの写真も生成AIで作ったりするようです。

いずれにしても、偽装や偽情報によって、世論が動かされかねない状況が起こりつつあり、良きにつけ悪しきにつけ、情報の持つ力が大きい世の中(超情報化社会?)に直面しているという印象です。

※1 Graphika の研究者が、プラットフォーム横断型でスパム行為をするネットワークに対して、初めて「スパムフラージュ」という言葉を用いたようです。下記サイトの2019.9.25付けのGRAPHIKAレポートを参照:https://graphika.com/reports/spamouflage

※2 chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.politico.eu/wp-content/uploads/2023/08/29/NEAR-FINAL-DRAFT-Meta-Quarterly-Adversarial-Threat-Report-Q2-2023.pdf


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“ローソンTOB(KDDI)”とは

2024-05-13 23:24:23 | 企業戦略・企業ブランド・ビジネスモデル

KDDIが、2024年3月27日の決定に基づき、2024年3月28日~同4月25日に実施したローソンに対するTOB(株式公開買い付け)です。

KDDIは2024年4月25日時点で買い付け予定数の下限(全体の約3割にあたる約1445万株)を上回る約3903万株の応募があったためTOBが成立したとし、その結果を受け、公開買い付け決済開始日の5月7日付けで、ローソンは親会社の三菱商事とKDDIがそれぞれ50%ずつ出資する持分法(※)適用会社となったようです。

※企業が連結財務諸表を作成するにあたって「持分法(注)」を適用する対象となる関連会社のこと。注)企業が連結決算を行う際に、連結子会社以外の会社のうち、企業グループ全体の業績に影響を与える会社がある場合、その会社の業績を連結決算に反映させるために採用される会計方法

KDDIによる今回のTOBは、通信を軸として金融、決済、ECなどで構成する「au経済圏」を、全国展開しているコンビニを組み込むことにより活性化させ、先行している「楽天経済圏」に立ち向かう狙いがあったようです。また、全国展開している小売りチェーンをグループに置くことにより、それを持たない通信大手(ドコモ、ソフトバンク、楽天など)の経済圏との差別化を図ることも考慮されているようです。共通ポイント「Pontaポイント」のテコ入れも考えているようです。

関連資料(ローソン、2024.4.26)のサイトは、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.lawson.co.jp/company/news/pdf/20240426lw_kddi.pdf です。


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“偽(にせ)広告”とは

2024-05-10 23:22:32 | セキュリティ技術・サービス・脅威

お金をだまし取るなどの悪意を持った何者かが個人や企業などになりすます形で表示や配信される虚偽の広告です。「フェイク広告」あるいは「詐欺広告」などとも呼ばれます。

従来からこの種の広告は存在していました※1が、2019年頃からAIを応用した画像・映像作成技術で作られた(とされる)偽広告(注:「ディープフェイク※2」とも呼ばれる)が出回るようになり、警戒感が高まっています。

この種の偽広告は、影響力のあるタレントや専門分野の著名人の画像や動画などが、(音声まで含めて)真偽の判別がつきにくいほどそっくりに加工され、本人になりすまして宣伝するような内容となっていたりします。例えば、有名芸能人になりすまして健康食品を推薦したり、著名な経済ジャーナリストや実業家などになりすまして投資を呼びかけたり情報商材を販売したりするものです。個人になりすます以外でも、企業ロゴのコピーを無断で使用して金融・証券関連の大手企業になりすますものも後を絶たないようです。

偽広告による直接の被害者だけでなく、なりすましにより仮の広告主に仕立てられ直接の被害者からの問合せへの対応に追われる著名人や企業などもある意味被害者であり、今後、このような被害者を出さないようにするための対応が急がれるところです。

AIを用いて作られた(とされる)偽広告による被害は、ある面で、AIを利用して公道を走る自動運転車によって引き起こされた事故による被害と似た側面があるように思います。責任の所在が歩行者なのか、自動運転車メーカーなのか、AIの設計者なのか、道路インフラなのか等、法の整備も追いついていないことなどから、切り分けが難しかったりします。偽広告による被害の場合も、同様に、ルール作りや法の整備等が追い付いていない状況であり、責任の所在が、偽広告に対しアクションを起こしてしまった被害者、広告を真偽判断せず掲載したSNS等のプラットフォーム、偽広告の設計者等の切り分けが現時点で難しい状況です。安全確保のための、国内だけでなく国際的な取り組みの推進が望まれます。

なお、「偽広告」に類似した用語に、インターネット広告の分野で使われる「広告詐欺(アドフラウド)」があります。例えば、後者についての関連ブログ("アドフラウド(広告詐欺)"とは、2017.3.25)は以下です。

https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/40e377f9ec02cf61cd4b3c79979709fd

※1 例えば、(1)会員同士がパソコン通信を行う環境において、第三者が会員になりすまし、「中古パソコンを××円で販売」との偽広告を会員に送信、購入した会員が代金をだまし取られるといった事例(1992年)、あるいは(2)中国の検索大手「百度(バイドゥ)」において、上海の有力引っ越し業者になりすました偽広告を掲載、当該業者に依頼した利用者が事後に広告の内容と異なる多額の引っ越し料金を請求されるといった事例(2010年)、など。

※2 AIで利用されている深層学習(ディープラーニング)と偽物(フェイク)とを組み合わせた造語。


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“新生Vポイント(CCCMKホールディングス)”とは

2024-05-05 23:46:27 | マーケティング・消費者行動

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)のポイント事業が統合し、2024年4月22日よりサービスを開始した共通ポイントです。CCCの「Tポイント」と三井住友FGの「Vポイント」が統合し、改めて新生「Vポイント」(”青と黄色の『Vポイント』”)としてスタートしました。運営会社であるCCCMKホールディングスへの出資割合は、CCCが6割、三井住友FGが4割となっているようです。

統合した背景として、共通ポイントで先行する、楽天グループの「楽天ポイント」(1.4億会員、注:楽天ID数)、NTTドコモの「dポイント」(9800万会員)、ソフトバンク系の「PayPayポイント」(6300万会員、注:アプリ登録者数)、KDDI系の「Pontaポイント」(1.1億会員)といった携帯大手4社の共通ポイントへの対抗意識が働いたようです。

知名度は高い(〇)もののDVDレンタル市場の縮小で苦戦している(△)”Tポイント”側と世界200か国・地域以上の1億店以上のVisa加盟店で利用できる(特に利便性の高いタッチ決済型クレジットカードで利用できる)(〇)ものの知名度に課題のあった(△)”Vポイント”側との思惑が一致した結果のようです。

Tポイント会員数とVポイント会員数を単純に合計すると1億5000万程度で、重複しないで数えた会員数では8600万程度になるようです。新生Vポイントが利用できる店舗は、既存Tポイント提携先の15万店舗および国内外のVisa加盟店(注:国内で750万店舗、世界で1億店舗)です。

なお、2024年4月22日以降、それまでのTポイント、Vポイントは、IDで連携させることにより合算できるようです。

プレスリリース(2024.1.9)のサイトは、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.cccmkhd.co.jp/news/20240109_cccmkhd_vpointstart.pdfです。


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