気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

“共通ポイントサービス”とは

2024-06-30 23:46:49 | マーケティング・消費者行動

商品の購入によりポイントを貯めたり、あるいは商品購入の際貯めたポイント(の一部)を使用できたりする”ポイントサービス”のうち、当該サービスの利用が加盟している複数の店舗に跨っているものを”共通ポイントサービス”と呼んでいるようです。

このサービスは、基本的に、ポイントの提供や管理を行う「運営会社」、運営会社と提携し商品販売を行う複数の「加盟店」、運営会社へ申し込むことによりポイントカードを所有し商品の購入によりポイントを貯めたり商品の購入(決済)で貯めたポイントを使用したりできる「会員」によって運用されます。下図は共通ポイントサービスの基本的な仕組みを示したもので、ケースAは商品購入でポイントを貯めるケース、ケースBは商品購入の際に貯めたポイントを支払いに充当するケースを示しています。

「会員」はポイントが貯まりあるいはそれを利用でき、「運営会社」は「加盟店」からの手数料が入るというメリットがあります。手数料を払う「加盟店」も売り上げが伸びる等のメリットが期待できます。決済の際のポイントカードは、最近では(特に所持せずに)スマホアプリを介して提示できるようになっています。また、加盟店はスマホアプリ経由で商品のPRを行えたり、また運営会社は会員の消費行動などを把握でき加盟店へ販促施策を提案できたりする等のメリットも考えられます。

共通ポイントサービスを巡っては、楽天の「楽天ポイント」、NTTドコモの「dポイント」、ソフトバンク系の「PayPayポイント」、KDDI系の「Pontaポイント」、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)と三井住友フィナンシャルグループの統合による新生「Vポイント」などが、それぞれを軸とする経済圏を拡大させるために激しい競争を展開しつつあります。

MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)で2024年1月に実施された調査によると、(一般に利用している複数のポイントのうち)最も活用している共通ポイントは、楽天ポイント(34.1%)、dポイント(14.4%)、PayPayポイント(12.4%)、Pontaポイント(8.3%)、新生Vポイント(8.3%、注:Tポイント7.0+従来Vポイント1.3の合計)の順となっています(※)。

※「2024年1月ポイント経済圏のサービス利用に関する調査」(2024年1月19日~同22日)の結果の概要は以下のサイトを参照

https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2305.html

関連ブログ(”NTTドコモとアマゾンとの協業”とは、2024.4.20付け)のページは、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/5a750c5e728cf84f07c430eb869d1bb3です。

関連ブログ(”新生Vポイント(CCCMKホールディングス)”とは、2024.5.5付け)のページは、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/afe4eb8ad9dec8f1b6937fec75b2b237です。

関連ブログ(”ローソンTOB(KDDI)”とは、2024.5.13付け)のページは、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/662f9073327389496eb9dd9fb2b0cdd5です。


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"日本版ライドシェア(国土交通省)"とは

2024-06-09 23:49:53 | シェアリング

国土交通省による「自家用車活用事業」として、2024年4月より部分的に導入が開始されている、タクシー会社でなく個人が自家用車を利用して乗客を有料で運ぶ輸送サービスです。タクシー不足の解消が主な狙いとなっているようです。

「ライドシェア」という言葉は、一般にタクシーの相乗りのことを指しているようです(※1)が、「日本版ライドシェア」における”ライドシェア”は、移動を求める乗客の需要を満たすためにタクシー業者と個人とで需要に対応する(需要をシェアする)ことを指しているようです。下図を参照。

※1 関連ブログ(“クルマに関するシェアリング”とは、2018.1.8)を参照:https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/4090c9b2895924ba9159f997613e3b12

2024年4月に解禁となった日本版ライドシェア(※2)の地域は、配車アプリのデータよりタクシーの不足が顕著であった以下の4箇所であったようです:ⅰ)東京23区、東京都武蔵野市など、ⅱ)神奈川県の横浜、川崎両市など、ⅲ)愛知県の名古屋市など、ⅳ)京都府の京都、宇治両市など。

※2 プレスリリース資料(国土交通省、2024.3.29)のサイトは、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001734887.pdf です。

ライドシェアでは、タクシー会社が2種免許を持たないドライバーと雇用契約を結んだ上で運行を管理するようになっています。利用する乗客は、スマートフォン用の配車アプリ「GO」や「ウーバー」などを使って車を呼ぶようです。

なお、日本版ライドシェアについて、配車アプリの運営企業といったタクシー会社以外が参入する「全面解禁」などの議論が続いている段階であり、政府は、当初、6月末に一定の方向性を示す予定でしたが、全面解禁に向けての新たな法整備を含め、期限を設けずに議論を進めることを5月末に決めたようです(※3)。

※3 関連資料は、「ライドシェア事業に係る法制度についての論点整理」(内閣府・国土交通省、2024.5.31)、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/240531general_01.pdf です。


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"SDV"とは

2024-05-25 23:17:58 | 乗り物/同サービスイノベーション

”Software Defined Vehicle”の頭文字をとったもので、”機能や性能がソフトウェアによって決定される次世代車”のことです。ソフトウェアはインターネット経由でSDVの方へ送り込むことができるため、機能や性能の更新を柔軟かつ効率的に行えるようです。

リモートから送り込むことによって更新されるソフトウェアの範囲は、一般に、(1)初期段階(即ち、地図やエンターティンメント情報の範囲)、(2)中間段階(即ち、ハンドル操作などの運転に関わるシステムまで含めた範囲)、(3)最終段階(即ち、基本ソフトを通して車全体に亘る範囲)の3レベルに分けられるようです。

現時点において、先進的な車の技術革新/戦略の方向は、ネットに常時つながる車の"Connected"、自動運転の"Autonomous/Automated"、シェアリング(共同利用)の"Shared"、電気自動車の"Electric"の4点、まとめて"CASE"という言葉で特徴づけられていますが、SDVはCASEの次にくる戦略として位置づけられているようです。

政府(経産省、国交省)は、2024年5月20日、我が国の自動車産業のデジタル化戦略として「モビリティDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略案※」を正式に公表しています。そこでの戦略の柱として、SDV関連、無人運転等のモビリティサービス関連、自動車データの利活用関連の3分野を取り上げていますが、特にSDV(注:上記のソフトウェア更新範囲の中間段階、最終段階のもの)の開発に力を入れているようです。SDVの世界での販売台数は、2030年で1400万台、2035年には6400万台にも上るとのことです(注:経産省の推計)が、日本勢のシェアとして3割(即ち、2030年で約1200万台、2035年で1900万台)という目標を挙げています。

※以下のサイトの<概要版>を参照

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/jido_soko/r6dxjimukyokushiryou2.pdf


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”スパムフラージュ(あるいはスパモフラージュ)”とは

2024-05-16 23:38:24 | セキュリティ技術・サービス・脅威

SNS上に偽アカウントを作成し偽情報を無差別・大量に流し、自国や他国の世論を操作しようとする工作活動を意味しているようです※1。英語で"spamouflage"と綴り、これは、受信者意向に関わらず無差別・大量にメールなどを送りつける”スパム(spam)”と偽装を意味する”カムフラージュ(camouflage)”とを組み合わせた造語のようです。直訳的には、偽アカウントから無差別・大量のメッセージを送りつける行為といった所かと思います。

米IT大手の”メタ(旧フェイスブック)”が、2023年8月29日に公表した当社第2四半期の報告書”Adversarial Threat Report(敵対的脅威レポート)※2”の中で、「中国を拠点とするグループが、50以上のSNSを利用し、日本や台湾、米欧など世界の多くの地域を標的とした世論誘導を試みている」ことを、2022年末以降の当社の調査結果から明らかにしていますが、この活動を「スパムフラージュ」として引き合いに出しています。メタは、この活動が、これまでに知られた中で最大規模のプラットフォーム横断型の影響工作(the largest known cross-platform covert influence operation)と評価しています。関連するpdf資料※2のp.11~19を参照。

報告書によると、中国の複数のグループがSNS上に大量の偽アカウントを作り、世論を都合のよい方向へ誘導するための偽情報を大量に発信しているようです。イメージ的には、偽アカウント間で連携し、例えば、フェイスブックから新型コロナの起源が米国だとする偽情報を発信したり、関連する動画をYouTubeに投稿したり、両者を引用しながら米国を非難するようなツイートをXで行ったりし、それを乗っ取った偽アカウントからフォローし拡散する、といったものです。なお、確証はとれていないようですが、このような国には、他人のSNSアカウントに不正なURLを送り付けクリックさせることでそのアカウントを乗っ取れるようなシステムを開発するIT企業が、政府と取引関係になっていたりするようです。乗っ取ったアカウントの写真も生成AIで作ったりするようです。

いずれにしても、偽装や偽情報によって、世論が動かされかねない状況が起こりつつあり、良きにつけ悪しきにつけ、情報の持つ力が大きい世の中(超情報化社会?)に直面しているという印象です。

※1 Graphika の研究者が、プラットフォーム横断型でスパム行為をするネットワークに対して、初めて「スパムフラージュ」という言葉を用いたようです。下記サイトの2019.9.25付けのGRAPHIKAレポートを参照:https://graphika.com/reports/spamouflage

※2 chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.politico.eu/wp-content/uploads/2023/08/29/NEAR-FINAL-DRAFT-Meta-Quarterly-Adversarial-Threat-Report-Q2-2023.pdf


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“ローソンTOB(KDDI)”とは

2024-05-13 23:24:23 | 企業戦略・企業ブランド・ビジネスモデル

KDDIが、2024年3月27日の決定に基づき、2024年3月28日~同4月25日に実施したローソンに対するTOB(株式公開買い付け)です。

KDDIは2024年4月25日時点で買い付け予定数の下限(全体の約3割にあたる約1445万株)を上回る約3903万株の応募があったためTOBが成立したとし、その結果を受け、公開買い付け決済開始日の5月7日付けで、ローソンは親会社の三菱商事とKDDIがそれぞれ50%ずつ出資する持分法(※)適用会社となったようです。

※企業が連結財務諸表を作成するにあたって「持分法(注)」を適用する対象となる関連会社のこと。注)企業が連結決算を行う際に、連結子会社以外の会社のうち、企業グループ全体の業績に影響を与える会社がある場合、その会社の業績を連結決算に反映させるために採用される会計方法

KDDIによる今回のTOBは、通信を軸として金融、決済、ECなどで構成する「au経済圏」を、全国展開しているコンビニを組み込むことにより活性化させ、先行している「楽天経済圏」に立ち向かう狙いがあったようです。また、全国展開している小売りチェーンをグループに置くことにより、それを持たない通信大手(ドコモ、ソフトバンク、楽天など)の経済圏との差別化を図ることも考慮されているようです。共通ポイント「Pontaポイント」のテコ入れも考えているようです。

関連資料(ローソン、2024.4.26)のサイトは、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.lawson.co.jp/company/news/pdf/20240426lw_kddi.pdf です。


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“偽(にせ)広告”とは

2024-05-10 23:22:32 | セキュリティ技術・サービス・脅威

お金をだまし取るなどの悪意を持った何者かが個人や企業などになりすます形で表示や配信される虚偽の広告です。「フェイク広告」あるいは「詐欺広告」などとも呼ばれます。

従来からこの種の広告は存在していました※1が、2019年頃からAIを応用した画像・映像作成技術で作られた(とされる)偽広告(注:「ディープフェイク※2」とも呼ばれる)が出回るようになり、警戒感が高まっています。

この種の偽広告は、影響力のあるタレントや専門分野の著名人の画像や動画などが、(音声まで含めて)真偽の判別がつきにくいほどそっくりに加工され、本人になりすまして宣伝するような内容となっていたりします。例えば、有名芸能人になりすまして健康食品を推薦したり、著名な経済ジャーナリストや実業家などになりすまして投資を呼びかけたり情報商材を販売したりするものです。個人になりすます以外でも、企業ロゴのコピーを無断で使用して金融・証券関連の大手企業になりすますものも後を絶たないようです。

偽広告による直接の被害者だけでなく、なりすましにより仮の広告主に仕立てられ直接の被害者からの問合せへの対応に追われる著名人や企業などもある意味被害者であり、今後、このような被害者を出さないようにするための対応が急がれるところです。

AIを用いて作られた(とされる)偽広告による被害は、ある面で、AIを利用して公道を走る自動運転車によって引き起こされた事故による被害と似た側面があるように思います。責任の所在が歩行者なのか、自動運転車メーカーなのか、AIの設計者なのか、道路インフラなのか等、法の整備も追いついていないことなどから、切り分けが難しかったりします。偽広告による被害の場合も、同様に、ルール作りや法の整備等が追い付いていない状況であり、責任の所在が、偽広告に対しアクションを起こしてしまった被害者、広告を真偽判断せず掲載したSNS等のプラットフォーム、偽広告の設計者等の切り分けが現時点で難しい状況です。安全確保のための、国内だけでなく国際的な取り組みの推進が望まれます。

なお、「偽広告」に類似した用語に、インターネット広告の分野で使われる「広告詐欺(アドフラウド)」があります。例えば、後者についての関連ブログ("アドフラウド(広告詐欺)"とは、2017.3.25)は以下です。

https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/40e377f9ec02cf61cd4b3c79979709fd

※1 例えば、(1)会員同士がパソコン通信を行う環境において、第三者が会員になりすまし、「中古パソコンを××円で販売」との偽広告を会員に送信、購入した会員が代金をだまし取られるといった事例(1992年)、あるいは(2)中国の検索大手「百度(バイドゥ)」において、上海の有力引っ越し業者になりすました偽広告を掲載、当該業者に依頼した利用者が事後に広告の内容と異なる多額の引っ越し料金を請求されるといった事例(2010年)、など。

※2 AIで利用されている深層学習(ディープラーニング)と偽物(フェイク)とを組み合わせた造語。


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“新生Vポイント(CCCMKホールディングス)”とは

2024-05-05 23:46:27 | マーケティング・消費者行動

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)のポイント事業が統合し、2024年4月22日よりサービスを開始した共通ポイントです。CCCの「Tポイント」と三井住友FGの「Vポイント」が統合し、改めて新生「Vポイント」(”青と黄色の『Vポイント』”)としてスタートしました。運営会社であるCCCMKホールディングスへの出資割合は、CCCが6割、三井住友FGが4割となっているようです。

統合した背景として、共通ポイントで先行する、楽天グループの「楽天ポイント」(1.4億会員、注:楽天ID数)、NTTドコモの「dポイント」(9800万会員)、ソフトバンク系の「PayPayポイント」(6300万会員、注:アプリ登録者数)、KDDI系の「Pontaポイント」(1.1億会員)といった携帯大手4社の共通ポイントへの対抗意識が働いたようです。

知名度は高い(〇)もののDVDレンタル市場の縮小で苦戦している(△)”Tポイント”側と世界200か国・地域以上の1億店以上のVisa加盟店で利用できる(特に利便性の高いタッチ決済型クレジットカードで利用できる)(〇)ものの知名度に課題のあった(△)”Vポイント”側との思惑が一致した結果のようです。

Tポイント会員数とVポイント会員数を単純に合計すると1億5000万程度で、重複しないで数えた会員数では8600万程度になるようです。新生Vポイントが利用できる店舗は、既存Tポイント提携先の15万店舗および国内外のVisa加盟店(注:国内で750万店舗、世界で1億店舗)です。

なお、2024年4月22日以降、それまでのTポイント、Vポイントは、IDで連携させることにより合算できるようです。

プレスリリース(2024.1.9)のサイトは、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.cccmkhd.co.jp/news/20240109_cccmkhd_vpointstart.pdfです。


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"スマートリング(エブリング)"とは

2024-04-25 23:21:10 | キャッシュレス決済・省力/省人化

エブリング(EVERING)(注:MTG(※)の子会社、2020年2月設立)が、国際ブランドVISAとの連携により、製造・販売する、”VISAのタッチ決済”に対応した指輪型の端末です。

※2017年8月に、スマートリングを開発した英新興企業「マクレア社」(注:VISAとの業務提携あり)を買収し、さらにスマートリング事業を日本で展開するためにエブリングを立ち上げた。

VISAのタッチ決済は、国際規格「NFC Pay」(近距離決済あるいは非接触決済とも呼ばれる)に準拠しています。スマートリングにはICチップとアンテナが埋め込まれ、それを指にはめて店舗の読み取り機にかざすと、電波で非接触の形で読み取られ決済が行われます。読み取り機側からの電波のエネルギーでICチップの読み取りが行われる仕組みでスマートリングに電池は不要です。充電の必要はありません。指に付けているリングをそのままかざすだけなので、クレジットカードやスマホによるタッチ決済よりもスピーディです。

VISAのタッチ決済の支払いには、(1)電子マネーのように事前にチャージして使う「プリペイド」タイプ、(2)通常のクレジットカードのように利用後に口座引き落としが行われる「ポストペイ」タイプ、(3)デビットカードのように利用時点で即時に口座引き落としが行われる「デビット」タイプの3種が用意されていますが、スマートリングは「プリペイド型」を採用しています。事前のチャージは専用アプリで可能ですが、オートチャージも用意されているようです。

このリングは、決済だけでなく、セキュリティ面の利用、例えば、オフィスの入館証やマンションの鍵としても利用できるようです。アプリからリングをロックする機能もあり、リング機能を一時停止させることも可能なようです。

リングは防水で、金属不使用(注:ジルコニアセラミックを使用)、リングサイズは18種用意され、購入の過程で指サイズを計測するようになっています。色は、白、黒の2種となっています。

価格は19800円(税込み)~、月550円(税込み)の分割払いプランもあるようです。

なお、エブリングは、NTTドコモとの業務提携を結び、2024年5月より、一部のドコモショップで、スマートリングの販売が始められるようです。下記のトピックス資料(2024.4.19付け)を参照。

https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_240419_00.pdf

また、関連ブログ("クレジットカードのタッチ決済"とは、2024.4.24)のサイトは、以下です。

https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/177f7a43ae0780158ee832d53794dca7


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"クレジットカードのタッチ決済"とは

2024-04-24 23:20:45 | キャッシュレス決済・省力/省人化

クレジットカードの読み取り形態に着目したひとつの決済方式で、購入者(支払者)自身がカードや(カードの登録された)スマホなどを読み取り機にかざす形態の決済方式です。VISA、JCB、Mastercard、American Express、Diners Clubなどの国際ブランドのカードで展開されています。

従来は、利用者から受け取ったカードを、店員が以下の(1)あるいは(2)のような操作をすることで読み取っていましたが、タッチ決済の場合は、利用者自身が読み取り機にカード等をかざすだけで電波により非接触の形で読み取られる形態です。このことから、タッチ決済は、「コンタクトレス決済」とか「非接触型決済」などとも呼ばれています。

(1)「ICチップ入りのカード」を利用者から受け取った店員等が読み取り機に差し込むことで読み取る、あるいは

(2)「磁気ストライプ付きのカード」を読み取り機上でスライドさせることで読み取る。

クレジットカードには、タッチ決済型だけでなく、上記(1)(2)のように読み取る従来タイプのものも利用されているため、カードを見て区別がつくように、タッチ決済に対応したカードの券面には、「電波マーク」が付けられています。

クレジットカードのタッチ決済は、従来の読み取りタイプと比較し、カードを店員に手渡したり、暗証番号(PIN:Personal Identification Number)の入力や署名をする必要も基本的には必要ないため、手軽かつスピーディな決済が可能であり、しかも衛生的とのことです。ただ、盗難されると不正利用されやすい点は了解しておく必要がありそうです。

なお、タッチ決済として、スマホやアプリを利用したQRコード(あるいはバーコード)決済が広く普及していますが、クレジットカードのタッチ決済では、スマホやアプリの操作が不要なためそれが不得手な人にはフレンドリーのようです。

クレジットカードのタッチ決済における読み取り機とカードとの電波による通信には、近距離無線通信規格のNFC(Near Field Communication)の「Type A/B」と呼ばれるものが利用されているようです。ちなみに、Suicaなどの交通系ICカードやおサイフケータイなど、事前にチャージして電子マネーとして利用するタッチ型カードや携帯端末では、「Type F」が利用されているようです。海外でのType Fの利用可能場所は制限されるのではないかと思われます。NFCについては、例えば、以下のサイトの説明を参照願います。https://e-words.jp/w/NFC.html#:~:text=NFC%EF%BC%88Near%20Field%20Communication%EF%BC%88

クレジットカードのタッチ決済は、我が国では海外に遅れを取っているようですが、政府によるキャッシュレス決済の推進(即ち、2025年までに普及率を4割に)の動きもあって、2018年頃からファーストフード店、コンビニ、スーパー、百貨店などで対応が始まり、東京五輪・パラ五輪予定の2020年頃から対応店舗などが増えていったようです。2018年、2019年の状況は以下のとおりです。

2018年:日本マクドナルドが一部店舗を除き対応(3月)、ローソンが全店舗で対応(9月)

2019年:イオンがVISAと連携し傘下スーパーなどで対応開始(3月)、三井住友カードが発行カード(VISA)にタッチ型を搭載開始(3月)、ゼンショーが「すき家」などで対応開始(7月)、京王百貨店がVISA、Mastercardで導入(10月)

関連ブログ(“キャッシュレス・ビジョン(経済産業省)”とは、2018.8.14)のサイトは、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/9fa537a85350d7914d45eba5cafa53b2です。


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"NTTドコモとアマゾンとの協業"とは

2024-04-20 23:43:31 | 企業戦略・企業ブランド・ビジネスモデル

NTTドコモとアマゾンジャパンとが2024年4月10日より開始した、決済やポイント事業に関する協業、具体的は以下の2点についての協業です:(1)ドコモ運営の共通ポイント「dポイント」に関する協業、(2)アマゾンの有料会員向けサービス「Amazonプライム」に関する協業。

「dポイントがAmazonでのお買物でたまる!つかえる!」、「ドコモを通じてAmazonプライムにご登録いただくとdポイントが毎月120ポイント還元」といったフレーズが付けられています。

今回の協業において、dポイントを貯める、使う、還元されるなどのサービスが以下の3つの対象毎に用意されています:(1)ドコモ回線の契約のある顧客向け、(2)ドコモ回線の契約がありかつドコモ経由でAmazonプライムを登録した顧客向け、(3)すべとの顧客向け。

NTTドコモ、楽天、ソフトバンク、KDDIなど携帯電話大手各社では、携帯電話契約数の増加が今後鈍化していく傾向にあることを案じ、顧客を金融サービスの方へ誘導し「非通信」事業を成長させていくために共通ポイントを軸とする経済圏を拡大させようとしており、その競争が激しくなりつつあります。今回の協業は、NTTドコモにとって上記のような動きの一環と考えられます。特に、dポイント事業においては、EC(電子商取引)面の弱さが指摘されていたこともあり、それを補う狙いがあったようです。

一方、2000年に日本市場に参入したアマゾンでは、ネット通販においてAmazonポイント以外の他社ポイントを貯めたり使ったりできるのは、今回のdポイントが初めてのようです。ポイント還元率が高くなりやすいサイトを集中的に利用するような消費者を如何にして取り込むかが課題であったアマゾンにとっても、今回の協業は追い風であったようです。

報道発表資料(NTTドコモ&アマゾンジャパン、2024.4.10)のサイトは、https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2024/04/10_00.htmlです。


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