気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

“hCFET”とは

2022-09-27 23:29:32 | 情報技術・情報処理技術・サービス

 

Si(シリコン)とGe(ゲルマニウム)など異なるチャネル材料を(左右でなく)上下に積層化させ、 n型FETとp型FET(※1)を最短距離で連結するようにした新しいFET構造です。”heterogeneous Complementary-Field Effect Transistor”の略で、”異種チャネル相補型電界効果トランジスタ”と呼ばれます。

※1 FETは”電解効果トランジスタ(Field Effect Transistor)”と呼ばれます。FETにおいて、電流を運ぶキャリアが、電子(マイナス、negative)であるものが”n型FET”と呼ばれ、正孔(プラス、positive)であるものが”p型FET”と呼ばれます。

上下に積層することにより3次元的な構造縮小化による高密度化・低電力化が達成され、かつp型FETへ(Siでない、高速性に優れる)Geを導入することにより高速化が達成され、2024年以降と想定されている「2nm(ナノメートル)世代」のトランジスタ技術として注目されているようです。

産総研の研究員「張 文馨 」氏を代表とする日本チームと台湾半導体研究中心(TSRI)のリサーチフェロー「李 耀仁」氏を代表とする台湾チームとは、2020年12月、SiとGeのチャネル薄膜を上下に積層させる技術LT-HBT(Low Temperature Hetero-layer Bonding Technology, 低温異種材料接合技術)を開発し、それを利用してSi n型FETとGe p型FETを最短距離で連結するhCFET構造を実現した、と発表しています(※2)。

※2 プレスリリース(2020.12.8)のサイトは、https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2020/pr20201208/pr20201208.htmlです。

なお、この内容は、2020年12月12~16日にオンライン開催された国際会議”2020 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM 2020)”において発表されたようです(※3)。

※3 関連資料は、 https://static1.squarespace.com/static/607da9820de541322b95fc19/t/60880c945750525cb2d5abad/1619528855583/2020-IEDM-Archive.pdfです。

hCFETの開発成功により、2nm世代の半導体の今後の実現に大きな期待が寄せられているようです。


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“紛失防止用タグ”とは

2022-09-25 23:22:40 | 安全対策・サービス

スマホや財布、鍵など、紛失したり置き忘れしたりすると困るようなものに装着し、スマホとの連携により、その発生を防止したり、発生してしまった場合に位置情報など探す支援をしてくれる小型機器のことです。

価格は、1個2~3000円程度~と手ごろで、スマホや財布、キーホルダーなどに簡単に取りつけることが可能であり、また財布の中に入るものもあったりします。置き忘れや紛失などの未然防止や起こってしまった場合の探す手間の削減などに役立つことから、最近利用者が増えているようです。

現在、この種のタグとして、以下のようなものが知られているようです。

■「AirTag」(2021.4.30販売開始、米アップル製):関連ブログ(“AirTag(アップル)”とは、2021.4.30)のサイトは、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/274204c3d0c0910ae32b3779a44d4175です。参照願います。

■「MAMORIO」(2017年から提供、MAMORIO製):紛失防止機器販売のMAMORIO(注:2012年設立、以前の名称”落し物ドットコム”、東京都千代田区、https://mamorio.jp/)が、クラウドファンディングを利用して開発し、2017年から提供しているようです。近距離無線通信規格のBluetooth機能を備え、財布や鍵に取り付けて使用している場合、それらがスマホから離れるとBluetooth接続が切れ、そのタイミングで置き忘れの注意喚起メッセージが出たりするようです。関連のプレスリリースとして、以下ようなものが発表されています。

・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000022173.html(2017.12.1)

・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000022173.html(2017.6.27)

・https://www.atpress.ne.jp/news/50615(2014.9.3)

■「Tile」(2017年12月以降順次、米Tile製):iPhoneやAndroidのスマホアプリを操作することで、Tileの音を鳴らすことができるため、紛失物や忘れ物にTileが付いていると探せるようです。スタンダードの「Mate」、ハイスペックの「Pro」、薄型カードサイズの「Slim」、裏面シール付きの「Sticker」の4タイプが提供されているようです。世界の195カ国で売れているようです。関連のプレスリリースとして、以下にようなものが発表されています。

・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000030386.html(2020.3.3)

・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000030386.html(2017.12.8)

紛失した場合の影響を考えられると、これらの製品のコストパフォーマンスはよいと言えそうです。


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"トレンドマップ2022上半期(日経BP)"とは

2022-09-20 23:16:56 | マーケティング・消費者行動

日経BPの(東京都港区)のマーケティング&イノベーション専門メディアである「日経クロストレンド」が、2022年3月下旬~同4月上旬に、テクノロジー(技術)、マーケティング、消費トレンドの3分野のトレンドについて、専門家ら(※1)に行ったアンケートの結果をまとめたものです。2018年夏以降、半期毎にまとめられ公開されているようです。今回が8回目とのことです。

※1 今回は、日経クロストレンドに協力しているアドバイザリーボードメンバー約50名、および「日経クロストレンド」「日経トレンディ」の編集部員とのこと

トレンドマップは、上記3分野のそれぞれについて予め選定されたキーワード(注:今回は、テクノロジー分野27、マーケティングと消費トレンドの各分野29の合計85件)のそれぞれについて、「経済インパクト」と「将来性」の2つの視点でアンケート結果からスコア(注:5点満点)を決定し、二次元平面上のスコアに対応する座標にプロットしたものです。

これにより、テクノロジー、マーケティング、消費トレンドの各分野において、収益性かつ将来性の高いキーワードが何であるかなど、中長期的なトレンドが見えるようになっています。「ハイプサイクル」などと同様、トレンドを示すマップとして興味深いと思われます。

ニュースリリース(※2)には、以下のような内容が盛り込まれています。

■各分野の各視点において前回2021下半期調査からスコアを伸ばしたキーワードのトップ2

■今回新たに追加したキーワードの将来性の視点におけるスコア

■今回の各分野・各視点のキーワードランキングのトップ3(下表)

 

■マーケティング分野のトレンドマップ

■今回の結果のポイントなど

※2 調査結果のニュースリリース(2022.5.6)のサイトは、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000041279.htmlです。

なお、類似の記事は、日経クロストレンド(2022年8月号)にも含まれています。


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"iPhone 14(米アップル)"とは

2022-09-18 23:37:39 | スマホ・モバイル機器

米アップルが、2022年9月7日(注:日本時間9月8日)、米国本社にて発表し(※1)、日本国内において、同9月9日に予約受付を開始し、同9月16日より順次販売を開始した新型スマートフォンです。「iPhone 14」、「同14Plus」、「同14 Pro」(注:「同14」の上位機種)、「同14 Pro Max」(注:「同14 Plus」の上位機種)の4機種です。下表を参照。日本では携帯大手4社から販売されています。

※1 発表イベントの動画のサイト(注:日本語字幕付き、1:27:10の動画でiPhone関係は0:48:00あたり~)は、https://www.youtube.com/watch?v=ux6zXguiqxMです。

主要な特徴は、内蔵カメラ(Outカメラ)の高画質化が図られたこと、新たに緊急通報機能が導入されたことの2点のようです。

1点目は、「14」や「14 Plus」の上位機種にあたる「14 Pro」や「14 Pro Max」において、従来機種の4倍の4800万画素のカメラが導入されている点です。これらの機種には、回路構成技術として「A16」と呼ばれる4nm(ナノメートル)ルールの新開発半導体が利用されているとのことです。

2点目は、2022年11月より、(当面、米国とカナダにおいてのようですが※2)、交通事故時などに人手介在なしに自動で通報したり、電波が届かないところでの緊急時にも衛星経由での通信を可能にし、「緊急SOS」サービスに対応した点です。

※2 日本など他の国については、9月7日の発表時には名言されなかったようです。

高機能化に伴う部品点数の増加、部品等原材料価格の高騰や日本での円安の影響から、端末価格が高額となっているようですが、海外では20%弱のシェアに対し日本では4割強のシェアと高いiPhoneですが(※3)、買い替えが進むのか動向が注目されます。

※3 2021年世界シェアについての米調査会社IDCによる統計


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"ランサムウェア"とは

2022-09-17 21:52:29 | セキュリティ技術・サービス・脅威

感染するといわゆる身代金を要求されるタイプのコンピュータウイルスです。端末内のデータを暗号化してしまい、復号化するための代金を仮想通貨(暗号資産)のビットコインなどで支払わせるものです。

我が国では、2020年頃から被害が目立つようになったようですが、企業や団体における被害件数は、下図のグラフ(注:警察庁のまとめ資料※1)に示すように右肩上がりで増加しています。コロナ禍にあってVPN(仮想専用線)機器などテレワークに利用されるようなネットワークから侵入する割合が高かったようです。

※1 関連pdf資料(2022.9.15)のサイトは、https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R04_kami_cyber_jousei.pdfです。

特に、ランサムウェアの最近の手口は、「二重恐喝型」、「二重脅迫型」あるいは「二重恐喝脅迫型」と呼ばれ(注:英語では”Double Extortion Ransomware”と呼ばれ)、悪質化しているようです。即ち、第一の恐喝が金銭要求で、応じない場合、第二の恐喝として盗んだデータをWEB(注:ダークウェブ※2など)上にさらす(公開する)というものです。2022年上半期の被害114件中、53件(46%)がこのタイプだったようです。

※2 関連ブログ(“ダークウェブ(Dark web)”とは、2019.12.30)のサイトは、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/b42c6b69f48ee0f4fd7019302e0781a2です。

ウイルス対策ソフトを利用していると回答した企業・団体(48社・団体)のうちで、ランサムウェアのウイルスを検出できたところは1割程度にとどまっていたということで、感染しないようにするための対策がより重要になっているようです。


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"コンビニの「非食品」販売"とは

2022-09-14 15:24:07 | 電子商取引・小売り・リテイリング

コンビニ大手が、最近、コロナ禍での消費者需要を見込んで、品揃え・販売に力を注いでいる、飲食料品以外の商品、即ち「非食品」の販売です。

コロナ禍で人との接触をできるだけ避けたい消費者が、飲食料品購入のために立ち寄ったコンビニで非食品もついでに購入してしまおうとする「ワンストップ需要」が高まっている傾向を受けての対応のようです。

ファミリーマートは、オリジナルのアパレルブランド「コンビニエンスウェア」を2021年3月から全国展開し、2022年8月現在で、靴下、Tシャツなど約75種類を販売しているようです。今後もさらに拡充させる予定のようです。

セブンイレブンは、100円ショップ「ダイソー」の商品の販売を2020年12月から一部店舗で始め、2022年8月までにほぼ全店舗に拡大したようです。ウェットシート、ごみ袋などの日用品が人気のようです。

また、ローソンでは、生活雑貨「無印良品」の商品の販売を2020年6月に始め、2022年8月現在で関東甲信越の約5000店舗に広げているようで、2023年には全国レベルに展開予定とのことです。

こうした「非食品」販売の戦略が、来店客数をコロナ前のレベルにまで回復させるきっかけとなり得るか注目されています。

関連記事(2022.5.21)のサイトは、例えば、https://www.ssnp.co.jp/distribution/191590/(食品産業新聞社)です。


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"Q-MEDIA(博報堂×OniGO)"とは

2022-09-05 23:50:29 | マーケティング・消費者行動

博報堂が、Qコマース(※)事業を手掛ける新興企業のOniGO(注:オニゴーと発音、2021.6.10創業、東京都目黒区)に出資し、共同開発予定の、即時購買・配達や地域密着型配達員を活用する新たなマーケティング事業の名称です。博報堂の、広告事業を超えた新規事業開発を目指す「ミライの事業室」(https://mirai-biz.jp/)の取り組みです。

※実店舗を持たず、食料品や日用品などの注文を受けてすぐに倉庫拠点(注:ダークストア)から配達員が商品を配達するECサービス(クイックコマース)のことです。なお、”ダークストア”については、以下の関連ブログ(2021.12.30)のサイトを参照: https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/927fe31af55bc7be4df36be6cc53bcd2

Q-MEDIAとは、下方のニュースリリースの記載によると、「OniGOの即時購買・配達システムや地域密着型ライダー、アプリ・SNS、利用者の購買データ等を活用し、OniGOが所有するオンライン・オフラインのチャネル全体で統合型マーケティングを実現する仕組み」とのことです。

博報堂のマーケティングに関する知見に、OniGO独自のQコマースシステムを掛け合わせることで、消費者が購入した商品、好みに合わせて追加購入が見込める商品などを効率よく配達する仕組みを検討していくようです。

ニュースリリース(2022.8.19)のサイトは、https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/99432/です。


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"車載用HUD(ヘッドアップディスプレイ)"とは

2022-09-03 23:25:58 | 乗り物/同サービスイノベーション

周囲の光景に溶け込むように情報を重ね合わせ人間の視野内に投影させる表示装置を「HUD」と呼び、特に自動車のフロントガラスに像を投影させる技術など、このように呼んでいるようです。

VRを体験する時などに頭部に装着するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とは異なります。

電池製造の「マクセル(maxell)」(注:設立は1960年)は、商用車のフロントガラスに速度や経路情報などを表示するHUDを開発したとのことです。2022年6月には軽自動車向けのもの”NEO-HUD”を開発したようですが(※1)、今回はトラックやバス、建設機械などを対象としたもの”T-HUD”を開発したようです(※2)。

※1 プレスリリースサイト(2022.6.8)のhttps://ssl4.eir-parts.net/doc/6810/ir_material21/185467/00.pdfを参照

※2 プレスリリースサイト(2022.8.18)のhttps://ssl4.eir-parts.net/doc/6810/ir_material21/189552/00.pdfを参照

また、モビリティー関連製品を手掛けている「ネオトーキョー」(注:2006年設立、東京都渋谷区)は、スマートフォンと接続可能な車載用HUD”HUD-2023”を2022年7月15日に予約販売を開始したようです。スマホを本機種にワイヤレス接続することにより、米アップルの「CarPlay」や米グーグルの「AndroidAuto」が利用できるようになるようです(※3)。後付けの形で、このようなサービスに対応できる形態は珍しいようです。

※3 プレスリリースサイト(2022.7.19)のhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000027110.htmlを参照

いずれにしても、車載用HUDは、運転の安全性、効率性などを高める上で、有益そうです。

関連ブログ("アンドロイド・オート(グーグル)"とは、2022.6.12)は、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/0a92318dda8b9b2870504af70955c013です。


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"デジタル・フォレンジック"とは

2022-09-01 23:40:11 | セキュリティ技術・サービス・脅威

法科学や鑑識を意味する「フォレンジック(forensic)」に、”電子的な”に相当する「デジタル」の修飾がついたものです。電子データの中から不正な証拠を見つけ出す「デジタル鑑識」のようなことを指しているようです。

コンピュータが中心の時代の「コンピュータ・フォレンジクス(compueter forensics)」から、デジタル化が進んで種々のデジタル機器や媒体などが登場したのに伴い、デジタルデータを扱う機器全般を対象として「デジタル・フォレンジック(digital foresic(s)」という言葉が使用されつつあるようです。

IT用語辞典のe-Wordsにおいては、『犯罪捜査や法的紛争などで、コンピュータなどの電子機器に残る記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする手段や技術の総称。』といった説明がされています。

デジタル・フォレンジック調査は、細分化が進み、現在では以下のようなものに分かれているようです(注:wikipediaを参照)。

・コンピュータ・フォレンジクス

・モバイル・フォレンジクス

・ネットワーク・フォレンジクス

・データベース・フォレンジクス

・フォレンジック・データ分析

下記のNIST文献の図3-1には、フォレンジック実施プロセスが示されています。下図のようなものです。

K. Kent, S. Chevalier, T. Grance and H. Dang, "Guide to Integrating Forensic Techniques into Incident Response", National Institute of Standards and Technology (NIST) Gaithersburg, 2006.


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