気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

“アンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)”とは

2022-12-02 23:27:33 | 学術・サイエンス・概念など

直訳すると、”Unconscious (無意識の)”、”Bias(バイアス、先入観、偏見、思い込み)”です。即ち、過去の経験や知識、価値観、信念に基づき、物事の認知や判断を、人の属性などから無意識に行い、何気ない発言や行動をする様(さま)を指しているようで、だれにでも存在しているようです。

例えば、性別、世代、学歴、血液型などで相手を見てしまう、任せる仕事や役割を決めてしまう、などです。多くの事例が存在する(している)ようです。

アンコンシャス・バイアスによる行動は、それによって相手を知らず知らずのうちに傷つけたり、自分自身の可能性を狭めたり、することにつながりかねないため、その存在を理解し、そうならないようにする心掛けが必要のようです。研修機関もあるようです(※)。

※ 例えば、https://www.qualia.vc/unconscious-bias/about/(株式会社クオリア、2006年10月24日設立)を参照。また、研修の動画のサイトとして、例えば、https://www.youtube.com/watch?v=vrakdbhOe1I&t=2497sがあります。

”SDGs”、”ダイバーシティー(Diversity)”、”インクルーシブ(Inclusive)”などと言った言葉とともに、最近、注目されつつある言葉のようです。なお、”アンコンシャス・バイアス”を含む、日経新聞各紙の記事件数の推移は、下図のようになっています。

 


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"トポロジカル・フォトニクス"とは

2022-10-06 23:13:57 | 学術・サイエンス・概念など

私たちの生活に不可欠な存在となりつつある「光・フォトニクス技術」に、形を扱う数学の”トポロジー※1”という概念を導入することで、光を制御し活用の可能性を考えようというもので、新たな研究テーマとして注目され、ここ2、3年、年間100本以上の論文が発表されているようです。

※ 1「ものの形をざっくり区別する数学」などとも説明されています。通信の世界でも、バス型、リング型、スター型といったLANのネットワーク形状が「トポロジー」などと表現されたりします。

「バンドトポロジー」と呼ばれる概念を「フォトニック結晶」などの周期構造中の光に適用することで、新たな機能を発現・応用しようとする研究のようです(※2)。シリコン材料の半導体分野の起爆剤となり新たな革新を起こす可能性が期待されているようです。

※2 2020年1月21日、国立情報学研究所主催の市民講座にて、東京大学先端科学技術研究センターの岩本敏教授が、「トポロジーで光を操る-光はボールとドーナツを見分けるか-」と題する講演をされています。https://www.facebook.com/jouhouken/posts/2711117152304226を参照。

今後の研究動向が注目されます。


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"Well-being"とは

2022-04-09 23:49:48 | 学術・サイエンス・概念など

例えば、「デジタル大辞泉」によると、以下のように説明されています。

1. 幸福。安寧。

2. 身体的・精神的・社会的に良好な状態。特に、社会福祉が充実し、満足できる生活状態にあることをいう。

抽象度の高い漠然とした言葉ですが、であるが故に、多様性(ダイバーシティ)・包摂性(インクルージョン)が重要視される最近の社会において人間としての良い状態を一言で表現する際に適切な言葉として分野を問わず最近使用されるようになってきています。「Well-being社会」などと使われたりもします。

この言葉は、その昔、1948年のWHO(World Health Organization、”世界保健機関”)憲章の中で使用された※1ようですが、最近ではOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development 、経済協力開発機構)※2や2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)※3においても使用され注目されています。

※1)WHOの憲章の中で「健康」を、”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity(健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう).”と定義しており、この定義の中でWell-beingという言葉を使用しています。

※2)例えば、以下を参照

『How's Life?: Measuring Well-being』, OECDPublishing, Paris, 2011年,

https://www.oecd-ilibrary.org/economics/how-s-life_9789264121164-en

※3 17の目標の中の3番目(Good Health and Well-Being)に登場します。

SDGsとの絡みなどから、最近では企業でもWell-beingの取り組みを重視する動きが出てきています。例えば、以下のブログ("NTT Green Innovation toward 2040(NTT)"とは、2022.3.19)を参照。

https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/3e427259c58acc4e8071730b64177d64


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“ABC予想(abc conjecture)”とは

2020-04-03 23:33:19 | 学術・サイエンス・概念など

1985年にスイスとフランスの数学者(ジョゼフ・オステルレ、デイヴィッド・マッサー)によって提示された、数学特に整数論の分野の難問です。両者の名前をとって“オステルレ–マッサー予想”とも呼ばれているようです。これまで35年間その予想の証明ができていなかったようです。

この予想を平たく表現すると、「1以外に共通の約数を持たない2つの正の整数a、bにおいて、a+b=cとし、a、b、cそれぞれの素因数(即ち、自然数の約数になる素数)を掛け合わせたものをdとするとき、c>dとなることは珍しい(注:定式表現は略)」というもので、この予想を証明することが難かしかったようです。

京都大学数理解析研究所(数理研)の望月新一教授が、自ら開発した新たな手法である“宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論”というものを用いて2012年に証明し、その内容を同教授のホームページへ公表するとともに雑誌へ投稿していましたが、内容が難しく査読に時間を要した結果、2020年4月になってようやく正しさが検証されたとのことで、数理研が発行する国際的な数学誌「PRIMS(ピーリムス)」に掲載されることが決まったようです。これにより、35年間未解決となっていた“ABC予想”の正しさの証明がなされ難問が解けたということです。

ちなみに、この難問は、過去における“フェルマーの最終定理”や“ポアンカレ予想”と呼ばれるものと同等レベルの難しさだそうです。数学分野のノーベル賞にあたる“フィールズ賞”級の業績だそうです。なお、望月教授が開発した上記理論は他の整数論の問題を解く強力な道具にもなると期待されており、今回の証明の正しさが認められたことは他の様々な難問の解決へのインパクトも与えるのではないかと考えられています。

類似内容の動画のサイトは、https://www.youtube.com/watch?v=7BnxK_NMwaQです。


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“デジタル・トランスフォーメーション”とは

2019-03-05 23:15:04 | 学術・サイエンス・概念など

「デジタル変革」あるいは「DX」などとも呼ばれます。

アナログをデジタルに変換する「デジタル化」とは全く異なります。デジタル化を通しての変革と言えます。第4次産業革命時代、主に企業において起こりつつあるメガトレンドです。

この概念を説明する際、第4次産業革命、環境変化・ゲームチェンジ、産業境界の破壊、価値(コスト、体験、プラットフォーム等)の創出、企業の存続・生き残り、事業・組織・ビジネスモデル転換、戦略的・構造的転換、イノベーション、生活・働き方変革、などのキーワードが用いられています。

この概念は、2004年、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授らによって提唱されました。以下の文献です。

E. Stolterman and A. C. Fors. “Information Technology and the Good Life,” in Information Systems Research:Relevant Theory and Informed Practice, B. Kaplan et al. (eds), London, UK: Kluwer Academic Publishers, 2004.

http://www8.informatik.umu.se/~acroon/Publikationer%20Anna/Stolterman.pdf

このp.687のAbstract内に以下のような記述があります。

「The position is also framed around an empirical and theoretical understanding of the evolving technology that we label the digital transformation in which an appreciation of aesthetic experience is regarded to be a focal methodological concept.」

デジタルトランスフォーメーションの成功事例として、UberやAirbnbが知られています。最近では、我が国でも、トヨタ自動車が「自動車をつくる会社」から「モビリティ・カンパニー」への変身を表明したり、パナソニックが「暮らしをアップデートする会社になる」と宣言したりしています。


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"ハイプ・サイクル(ガートナー)"とは

2017-10-18 23:17:46 | 学術・サイエンス・概念など

ガートナーによって提唱されたもので、以下のような説明がされています。

「ハイプ・サイクルは、市場に新しく登場したテクノロジーがまず過熱気味にもてはやされ、熱狂が冷める時期を経てから、市場が確立し、市場分野における意義や役割が理解されるようになるまでの典型的な経過を、横軸に「時間の経過」、縦軸に「市場からの期待度」を表す波形曲線で示したものです。」

新規テクノロジーが市場に受け入れられるまでにほぼ同じような経過をたどる、との考えの下に、市場の成熟の過程が、「黎明期」、「『過度な期待』のピーク期」、「幻滅期」、「啓蒙活動期」、「生産性の安定期」の5つの段階で示され、各キーワードがどのような段階のどの辺に位置するかが毎年ハイプ曲線※上に示されます。

※)関連ブログ(”ハイプ曲線”とは、2007.2.21)のサイト:https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/e55dccda2473d490386d8141c960dcd4

2017年版のガートナージャパンのサイトは、https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20171003-01.htmlです。

ハイプ・サイクルについての説明サイトは、http://www.gartner.co.jp/research/methodologies/hype_cycle.phpです。


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“オートファジー”とは

2016-10-09 23:25:06 | 学術・サイエンス・概念など

Autophagyとつづり、「細胞自食作用」などと言われています(注:本プログの対象範囲であるITとは直接関係ありません)。

栄養飢餓状態に陥った生物が自らの細胞内のたんぱく質をアミノ酸に分解し一時的にエネルギーを獲得する仕組みとのことで、この仕組みを今年のノーベル生理学・医学賞に輝いた大隅良典東工大栄誉教授が見つけたとのことです。

仕組みをもう少し具体的に説明すると以下のようになるようです。

[栄養不足]

①細胞が栄養不足などになると、細胞内に特殊な脂質の膜が現れる。

[細胞内でたんぱく質などに分解]

②膜が細胞内のたんぱく質や小器官を包み始める。

③膜が球状に伸びる。

④膜が完全にたんぱく質などを覆う。

⑤膜が分解酵素の入ったリソソームと融合する。

⑥たんぱく質の材料となるアミノ酸に分解される。

[再利用(リサイクル)]

⑦たんぱく質の合成など生命活動に再利用される。

大隅教授がこの仕組みを発見したのは東大助教授時代の1988年とのことです。


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“ソーシャルビジネス”とは

2015-05-24 23:24:02 | 学術・サイエンス・概念など

社会的な課題や問題をビジネスの手法で解決しようとする活動です。

環境保護、高齢者・障害者の介護、子育て支援、まちづくりなど社会に関する課題や問題への取り組みが活動の対象になっているようです。

商品の販売やサービスの有料化などにより得た収益を活動費用に充てるようにしています。この点で、ボランティア活動や慈善活動と異なっています。

ソーシャルビジネスを手がける企業やNPOに参加する若者も増えつつあるようです。ソーシャルビジネスは、欧米などの先進国(源流のひとつは英国)の他、途上国にも広がりつつあるようです。


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“コグニティブコンピュータ”とは

2014-08-09 23:56:09 | 学術・サイエンス・概念など

ビッグデータを効率よく処理する新たなコンピュータアーキテクチャの考え方です。米IBMのスティーブ・ハム氏が名付けたようです(※)。スティーブ氏によると、コグニティブコンピュータとは、大量のデータがあるところで演算処理を行い、自ら学習し、人間を支援するコンピュータをイメージしているようです。

※ 関連書籍として、「スマートマシンがやってくる」(ジョン・E・ケリー3世、スティーブ・ハム著、三木俊哉訳、日経BP社、2014年7月、http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106422836/subno/1)が出版されています。

従来のノイマン型コンピュータ(即ち、メモリにプログラムやデータを格納し、メモリから命令やデータを取り出しながら実行していくコンピュータ)と異なり、データとその処理装置(プロセッサ)とが一体化されている点に特徴があるようです。

ノイマン型コンピュータの開発目標が処理性能向上にあるのに対し、コグニティブコンピュータの開発目標は、データから推論を導き所定の目標を達成させることにあるようです。


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“ハイプ曲線”とは

2007-02-21 23:24:56 | 学術・サイエンス・概念など

ハイプサイクル(hype-cycle)のことです。IT系調査会社のガートナー社(http://www.gartner.co.jp/)が発表したもので、ある技術に対する期待度が時間の経過とともに変化していく状況をモデル化したグラフです。

緩やかにに伸びていく黎明期、その後一時期に急速に関心の高まる流行期、その反動で急速に冷める反動期となり、その後は一定の範囲で盛り返す啓蒙期を経て安定期を迎えるものと、冷めたまま完全に廃れていく衰退期に至るものの2通りに分かれます。


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