気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

"誤情報、偽情報"とは

2024-02-25 23:58:06 | セキュリティ技術・サービス・脅威

「誤情報(ご情報、Misinformation)」とは正しくないあるいは間違った情報であり、「偽情報(にせ情報、Disinformation)」とは(人々をあざむいたり、混乱させたりするために広められる)嘘(うそ)の情報です。前者は情報の正否の観点から客観的に表現された言葉のようで、後者は誤情報の中でも特に何等かの意図に基づいて作り出された情報を指しているようです。

上記のいずれの言葉も、「生成AI」によって作り出された、正否の判別の付きにくい情報が、SNS等で最近出回りつつあり、今後の特にインターネット社会にとっての脅威となり得ることから、新聞紙上等を賑わせています。

これらの言葉を厳密に定義するのは難しいようです。また、それ以前の問題として、日本語の「情報」という言葉そのものの定義も、現在において定まっていない状況です。「情報」について、例えば、wikipediaでは、以下のような4通りの定義(説明)が示されています。

1) あるものごとの内容や事情についての知らせのこと。
2) 文字・数字などの記号やシンボルの媒体によって伝達され、受け手において、状況に対する知識をもたらしたり、適切な判断を助けたりするもののこと。
3)生体が働くために用いられている指令や信号のこと。
4)(情報理論(通信理論)での用法)価値判断を除いて、量的な存在としてとらえたそれ。

ちなみに、「情報」という言葉は、明治時代初期に酒井忠恕(ただひろ、1850-1897)という人によって造られたとのこと(※1)であり、最近になってから日常的に使用されるようになったようです。

※1 以下の文献を参照
小野厚夫:明治期における情報と状報、情報処理学会第42回全国大会講演論文集、pp. 43-44、1991-02-25.
小野厚夫:情報ということばを訪ねて(1)、IPSJ Magazine Vol. 46 No.4、pp. 347-351、 Apr. 2005. 

余談になりますが、2016年に小学館「大辞泉」が実施した『あなたの言葉を辞書に載せよう。2016』キャンペーンでのひとつのテーマ「情報」への投稿から、以下のようなものが優秀作品として選ばれているようです(※2)。

-振り回されてもしがみついてしまうもの。
-有り過ぎると無いに等しくなるもの。
-人をも操れる形の無いもの。
-受け手によって意味の変わるモノ。
-嘘か真か見極めて利用しなければならないもの。
-簡単に信じてはいけないモノ。使いようにより武器にも弱点にもなる
  諸刃の剣。
-賢く取捨選択しないと踊らされてしまうもの。
-ウィキペディア。

※2 https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%83%85%E5%A0%B1/を参照


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”AIセーフティーインスティテュート(経産省傘下IPA内)”とは

2024-02-10 23:24:43 | 国の政策・行政手続き

経産省傘下の「情報処理推進機構(IPA:Information-technology Promotion Agency, Japan)に2024年2月に設立予定の、AIの安全性の評価手法を研究する専門組織です。この組織の略称は「AISI(Japan AI Safety Institute)」で、Webサイト(2024.2.1公開)のURLは、https://aisi.go.jp/です。

本組織は、2023年12月21日、首相官邸でに開催された「AI戦略会議(※1)」の中で、岸田首相よりその設立が表明されたようです。背景として、英国や米国においてAIの安全性研究を行う機関が創設されるなどAIを巡る安全性に対する国際的認識が高まっていることがあり、我が国においても海外の機関と連携し評価手法等の研究を行う組織が必要、とのことから設立されるに至ったようです。

※1 https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_senryaku/ai_senryaku.html(内閣府HP)

昨年5月のG7広島サミットにおいて提唱された「広島AIプロセス(※2)」の集大成となる、「生成AI」の様々なリスクへの対処を目的とした国際的枠組み「包括的政策枠組み」が2023年12月に合意されたようで、その国内ルール版として、a)AIの開発者、b)提供者、c)利用者を含む全てのAI関係者に対する事業者ガイドラインを策定することになっており、「AIセーフティーインスティテュート」は、ガイドラインの履行と関連した組織のようです。

※2 https://www.soumu.go.jp/hiroshimaaiprocess/(総務省)

村上明子所長の内定のプレスリリース(2024.2.1)のサイトは、https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2023/press20240201.htmlです。


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"生成AI"とは

2024-02-04 23:06:18 | ビッグデータ・AI・利活用・サービス

大量のデータ学習を行い、人間が指示することによって文章や表、イラストや写真といった画像、音声などを生み出す人工知能(AI)のことを指しています。英語で「Generative AI」と表現されたりします。

「生成AI」の利用範囲は広く、作業の効率化といったプラスの側面だけでなく、本物と見分けの付きにくい偽情報(即ち、悪意等の意志に基づく誤情報)が作成されて出回るといった問題、や作成されたものの著作権の扱いなどの課題も指摘されており、健全な活用に向けた取り組みが世界各国で展開されつつあるようです。

下の図に示すように、日経新聞各紙に登場する「生成AI」に関する記事の件数は、ここ9か月間でひと月当たり数百件のペースで推移しています。現在、如何に注目されているキーワードであるかが伺えます。


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“アテンション・エコノミー(attention economy)”とは

2024-02-01 23:05:25 | ソフトウェア技術・サービス・SNS

「アテンション(attention)」、即ち、(情報に対する人々の)注意・注目、興味・関心の方が、信ぴょう性や有用性といったその質よりも、経済的な価値を持つという概念を表した言葉のようです。

それ自体、特に問題となる概念ではないと思いますが、動画投稿・閲覧サイトなどのSNSへの投稿やその視聴の傾向から、最近注目が集まっているようです。

例えば、動画投稿・閲覧サイトのYouTubeでは、視聴回数や視聴時間に応じて広告料の一部が投稿者に支払われるようになっていますが、関心の高い動画ほど視聴回数や時間が増え利益が得られる仕組みのため、過激な動画を投稿し、関心を高めようとする違法行為も摘発され、社会問題にもなりつつあるようです。「迷惑系」(店で会計前の商品を食べるなど)や「私人逮捕系」など、広告収入を求めて行き過ぎた動画投稿を行うユーチューバーの犯罪などが問題視されています。

ガイドライン違反の動画の削除やアカウントの停止など、SNS運営サイドの対策も必要と同時に、投稿されている動画を興味本位に安易に視聴せずに、内容の適切性を考えた上で視聴するか否かを判断するという視聴者側の対応も重要との意見も出ているようですが、健全化に向けた取り組みが引き続き必要な状況のようです。


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