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炎上する世界とその薪

2019-10-25 | 雑記
前回、「ガシャドクロが世界を燃やし尽くす」などと書いた。

こう書くとまったくもって意味不明になるが、そこは気にしない。

しないと言いつつ、敢えて要約すると、「世の中が急に変わると、殿上人だけでなく、下々も困るかもしれない」というだけの話である。

真逆と書いてまさか、と本当に振るのかは知らないが、まさか人を騙くらかして良いはずがない!と義憤の声かは分からねど、そういう声が多く聞こえてくる世の中ではある。


その点については、冗談めかして前回にいくつか書いた。別に参照してもらう必要はない。


所謂陰謀論という立場の寒天、ではなく観点から述べるとすると、政府やらそれらを操る悪辣な存在は、一般大衆には知らせていない秘密を握っていて、世の中を恣にしているのだ、と読みにくい漢字を書いたので改めて、ほしいままにしているのだと。


ほしいままに出来ているのかどうかはともかくとして、何故秘密にするのか?を少し考えてみよう。

一つ。分かり易いところだと、悪行の隠蔽。
よく言われる話ではある。個人でも悪事が露見しそうになったら誤魔化そうとするものである。わたしはしない!とかいう話は水掛け論である。

二つ。例えばになるが、軍事機密などは秘密にする。
単純な強みは見えるようにするとしても、弱みは見せるわけにはいかないだろう。
裏表のない友人関係ならばともかく、魑魅魍魎跋扈する世の中は、今も昔も続いているのだから。

三つ。二つ目に被る部分もあるが、広まってしまうと収拾がつかなくなる恐れがあるからというもの。
オカルト方面からの陰謀論などでは、魔術を使って世の中を操作している、という具合の話をしている。
それで、魔術というものは全て悪辣なものだ、という、まるで中世の魔女狩り時代と同じ論法で語られていることも多い。
これが時代の最先端だと、その方面ではない陰謀論者が自慢していたような気がするが、それはともかく実際は時代錯誤である。

拙としては、どれもこれも有るだろうと思っている。三つしか出さなかったというより、パッと思い浮かばなかっただけだが、他にもあるだろう。


前々からここをお読みの方には言うまでもないところだが、そういった悪行三昧の存在として、陰謀論方面から親の仇のように非難されている人物の言葉を書いておく。

「人が意識して行うことは全て魔術なのだ」と。

その人物の名は、アレイスター・クロウリーである。

善人であるかは別として、高名を馳せた稀代の魔術師である。


これはつまり、魔術師という存在にとっては、魔術師だからというのもあるが、この世の中で人を動かしているということ全ては魔術なのだと。

魔術師だから、と書いたが、例えば日本語では犬というが、英語ではDogになるのと同じだと思えばいいとしても、他の概念に思い当たる節がない。

ないが、秘教的なものや、種々の宗教の究極なども、同じようなことを言っていたりはする。

東洋だと万物の根源は気である、つまりは気で出来ていて、修行によってそれを扱えるようになるとしている。

万物の根源を自由に扱えるというと、つまりは奇跡のようなことを起こせたりするとなる。

論理は違うが、魔術と呼ばれているものも、同じような道筋を辿っている。


釈迦も物質については、似たような事を発見している。

物質はカラーパという、これ以上小さく出来ない粒からなっていて、この粒は生成と消滅を繰り返しているという。

意味と言い方が似てるから、日本語のこれこれは海外のこの言葉から来ている、というような説が一時期出回っていたが、からっぽの元かもしれない、などと思ったものである。


こういうのは、そういう突き詰めた人だけが出来ているので、関係ないと思われるだろうが、出来ないと思っている時点で、もう出来ないのである。

これもまた、「意識して行」った結果だからである。とはいえ、意識したら目の前に飯がいきなり出てくるとはならないのが、この物理世界ではある。


一口に意識と言っても、色々ある。奇跡を瞬時に引き起こすほどのものもあれば、単なる偶然のように思われる程度のものまで、千差万別とはいえるが、それはつまり、力の大小や働かせ方の違いなどしかない、同じものから来ているのである。

同じと言えるが、区分はある。ユングの心理学辺りが有名で、分かり易いだろう。大雑把に三種類に分かれている。興味のある方は、お調べいただく。


さて、話が飛んでいるように聞こえるだろうが、こういう結論を下す。

政府やら秘密組織が悪辣な陰謀を働いているというのを口汚く罵るというのは、実はその対象と自身を同化してしまっているのである。

何故なら、世界というものは、あなた無しには存在していないからである。あなたは、あなたという世界を罵倒するという、つまりは天に唾する行為を繰り返していたに過ぎないのである。


ガシャドクロを公表するかどうかで世の中がひっくり返るかどうかは判らないが、それが紛うかたなきものだとするならば、単純に学術的な話だけでも、権威が権威に胡坐をかいていただけなのがバレる可能性は高い。

学者によっては席を失うだろうし、公的教育機関も相次いで混乱するのは目に見えている。

隠すのは当座しのぎという奴でしかないとしても、これを隠すなと、隠す奴は泥棒だと口を極めて罵ったとすると、それが文字通り口火となって、ガシャドクロは炎のガシャドクロへと変貌するであろう。

ガシャドクロに火をつけてしまったあなたともども、「世界」を焼き尽くすことになるのやもしれぬ。

前回は隠そう(焼こう)としたら燃えて、大変なことになるだろうという意味合いで書いたが、上記は向きが違っている点をご了承願う。



言うのもバカバカしくはあるのだが、魔術だのガシャドクロだの政府やら権威に胡坐かいてるだのと、ある程度具体的な言葉を示したのだが、これらに纏わることを非難するな、という意味ではないことをお断りしておく。

また、褒め称えよ!末代まで崇め奉れ!というわけでもない。

魔術と聞いていい顔をする人はまず少ないし、また逆に学者が言っていたといって不審な顔をする人も多くはないだろう。

ガシャドクロと聞いたら、江戸時代の浮世絵を思い浮かべるのは結構である。


あなたという世界を炎上させる薪は、地下に埋まっているガシャドクロだけではない、ということをご理解いただければ、それでよろしいかと存じる。


では、よき終末を。