雪と中原中也と尾崎豊

2012-03-26 | 日記

                 

今朝も10センチばかりの積雪があった。どうしたんだろう今頃の季節に…、もう春分も過ぎて3月も終わろうというのに、雪はまだまだ降り続ける。夕方の雪がカメラのフラッシュに光る。

     汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる

     汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる

                              ( 略 )

     汚れつちまつた悲しみに いたいたしくも怖気づき

     汚れつちまつた悲しみに なすところもなく日は暮れる … 

        ( 新潮文庫版 『 中原中也詩集 』 より 「 汚れつちまつた悲しみに… 」 )

 中也は明治40年 ( 1907 ) 、現在の山口市湯田温泉に生れ、昭和12年 ( 1937 ) 10月、二冊の詩集 『 山羊の歌 』 と 『 在りし日の歌 』 、それに訳詩 『 ランボオ詩集 』 を遺して死んだ。僕は学生時代、小林秀雄に夢中になっていて中也は影の存在であった。今いろいろ思い出してみると彼は可哀相な早熟な詩人であったと思う。中也の人気の所以は、彼の無頼のような人生ではなかっただろうか。世間に対し他人に対し、自分を誤魔化せない純粋さの故ではなかったか。彼の、詩という一つのメルヘンを持って世間と闘うには、詩はあまりにも無防備であったように思う。僕はなぜか、若くして逝ったロックミュージシャン尾崎豊 ( 1965-1992 ) に中也がダブってしまうのだ。中也の詩に尾崎の音楽が聞こえて仕方ない。尾崎の叫びが中也の悲しみのような …。暮れてゆく一日に、今日も小雪が降っている。


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