みちあき神父のふぉと日記

カトリック教会の司祭です。日記のテーマは「がんばらない―Take it easy―」。ここで、ひと息ついてくださいね。

カンボジアからW杯へのメッセージ

2010-07-10 19:30:00 | Everyday is special
またまたフィリピンからこんにちは。

いよいよワールドカップ・サッカーの決勝が近づいてきましたね。
カンボジアの人々もサッカーが大好きで、多くの人々がテレビを観ていることでしょう。

さて、そのカンボジアでの黙想会は、シェムリアップにあるイエズス会の霊性サービスセンターで行われましたが、そこに住むオーストラリア人のシスター・デニスにたいへんお世話になりました(黙想明けのお祝いに冷たいビールをご馳走していただいたりもしました)。
彼女は、内戦時代にタイに逃れていたカンボジア難民のために働いていた方で、その人々がカンボジアに戻ってきたときに、共にカンボジアに来られ、地雷除去やクラスター爆弾禁止などの活動を精力的にしながら、現在に至っています。

黙想会が終わってから、その彼女に一通の手紙を渡されました。それは、Youen Sam Enさんというカンボジア人男性のメッセージで、クラスター爆弾で両目と両腕を失った方です。その彼が、W杯サッカーの出場選手に向けてメッセージを発信したのです。

「わたしのために、とくべつな一蹴りをお願いします。クラスター爆弾使用禁止によって、子どもたちのために世界を安全な場所へと変えるために、親愛なる皆さんに手伝っていただきたいのです・・・」と。

クラスター爆弾は、大きな爆弾の中に小さな爆弾がたくさん入った大変恐ろしいもので、未除去の地雷同様、いまだに、その不発弾によって多くの人々が負傷したり亡くなったりして犠牲になっています。

彼の手紙の最後には、サインの代わりに彼の足のハンコが押されています。

シスター・デニスは、このメッセージをW杯サッカー日本代表の選手にも伝えて欲しいと言うのです。

手紙をシスターから受け取ったはいいものの、日本に戻ってきてから、さてどうしたらよいのかと悩んでしまいました。ぼくからいきなり日本サッカー協会に送っても、取り扱っていただけるか分かりません。そこで、NHKなら何とかしてくださるかもしれないと思い、ある番組のスポーツキャスターの方に、ぼくの手紙を添えて送ってみました。そうしたら数日後、お返事が来て、Jリーグ機構に送ってくださったとのこと。そして、さらに、Jリーグのキャリアサポートセンター長の中村裕樹さんから、たしかに受け取ってくださったことをメールでお返事をいただきました。

すでにW杯サッカーの期間中で、直接選手たちに伝わることはかないませんでしたが、中村さんから、次のようなことを教えていただきました。

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本大会は南アフリカ共和国開催ということもあり「世界の恒久的平和」を唱えるFIFAが「人種差別のない世界」について唱えました。決勝リーグ4試合において対戦する両チームのキャプテンがすべてのプレーヤーを代表しメッセージを行いました。
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とてもうれしく思いました。
また、すでにアスリートの方々が、さまざまな社会活動をしていることも教えていただきました(元日本代表サッカー選手の北澤豪さんの活動など)。

この場を借りて、お世話になったNHKのスポーツキャスターの方とJリーグの中村さんに心から感謝を申し上げたいと思います。とても誠実に対応してくださって感激いたしました。どうもありがとうございました。

上の写真は、カンボジアの人々の誇りであり、世界遺産であるアンコールワットの夜明け。

下の写真は、シェムリアップのイエズス会霊性サービスセンター入り口にあるユニークな像。イエスが、弟子の足を洗ったというヨハネ13章1-17節をカンボジア風に表現したものです。


洗おうとしても、地雷で足を失っているので、どうしましょう、と少しおどけているところ。



足を洗おうとする人も、ホントだ、どうしようね、と微笑んでいます。

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