一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

□ 正徳寺温泉 「初花」 (元100湯)

2005-11-02 23:44:53 | 元100湯
温泉施設が好んでつかうキャッチに”美人の湯”がある。入ってつるつる、浴後すべすべの、肌によさそうなお湯でよくつかわれる。”美人の湯”には大きく3つの系統があって、それぞれイメージが異なる。

まずは硫酸塩泉。浴中はキシキシとした湯ざわりでぜんぜん美人の湯らしくないけれど、浴後は肌に弾性がついてしっとりと落ちつく。”日本三大美人の湯”の川中温泉や湯ノ川温泉はこの系統だ。
つぎに重曹泉。ツルツルすべすべとした湯ざわりで、浴後も肌がコーティングされたようなつるつる感が残る。紀州の龍神温泉がこの泉質で三大美人の湯に入っている。東京の黒湯も見かけによらずおおむね重曹泉系の美人の湯だ。
最後はアルカリ泉。これはヌルヌルすべすべですこぶる湯ざわりがいいが、浴後パサつくことがあるので評価のわかれるところ。それに、土類や鉄分を多く含んでいるとpHが高くてもヌルすべしないので、高pH=美人の湯という単純な図式はなりたたない。pHよりもむしろCO_3^2-(炭酸イオン)のほうがわかりやすく、湯づかいにもよるが20mg/kgもあればたいていヌルすべ湯になるので、いい指標になる。

前置きが長くなったが、ここ「初花」は確かにpHが高いしCO_3^2-も主成分になっている。だが、それだけでは説明しきれないローションじみた独特のぬるぬる感ととろみがある。いわゆる”うなぎ湯”のイメージだ。この独特なぬるぬるは、コロイドとなって皮膚をゼリー状に薄く覆うことがあるというメタけい酸(116.3mg/kg)が関係しているようにも思えるが、確証はない。

ここはもともと養鰻場で、養殖用の井戸を掘ったら温泉が出たらしい。湯量は豊富で200L/minの自噴、動力を使えば800L/min以上も出るという。しかも30℃台後半の絶妙なぬる湯だ。非加熱浴槽は大量かけ流しで飲泉もできる。絶妙ぬる湯のザンザコかけ流しで、天国的な浴感が満喫できるので人気が高い。

先日、ひさびさに入ってみて、ふつうの温泉とは異質なバランスをもったお湯のように思えた。身体への負担がとても少ないのだ。ひょっとすると温泉分析にはかからない、なにかの成分が効いているのかもしれない。

佇まいは小粋で、正徳寺温泉「初花」という端正なネーミングとよく合っている。明るい浴場も居ごこちがいい。山梨の片田舎の路地奥に、こんな魅力ある湯処が潜んでいるのはある意味おどろきだ。
隠れ家カフェにお隠り宿・・・。世をあげての”隠れ”ブームだが、ここはブームの前からそんな雰囲気をもっていた。(最近は有名人気施設と化しているが・・・)

うなぎ屋を併設していて、やわらかな美味しいうなぎもおすすめなので、ぜひ、うなぎ湯+うな重のうなぎづくしを楽しんでいただきたい。

「初花」のレポはこちら。>。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

アルカリ性単純温泉(Na-Cl・(CO3)型) 35.8℃、pH=9.3、199L/min掘削自噴、成分総計=0.3798g/kg、Na^+=89.7mg/kg (91.12mval%)、Fe^2+=0.8、F^-=2.7、Cl^-=61.2 (39.23)、SO_4^2-=40 (18.82)、HCO_3^-=9.8、CO_3^2-=39.0 (29.48)、BO_2^-=10.1、陽イオン計=99.9 (4.28mval)、陰イオン計=163.6 (4.41mval)、メタけい酸=116.3 <H元.10.26分析> *動力使用時:38℃、800L/min以上

文・画像 別働隊@うつぼ

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9 コメント

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Unknown (一遊)
2005-11-03 22:30:05
いつも思うのですが、うつぼさんの言う「ツルツル」と「ヌルヌル」は世間一般の表現とは逆のような気がします。

一般的には、高アルカリが「ツルツル」で、重曹泉が「ヌルヌル」と表現されることが多くはないでしょうか。

それでは「初花」はどうかというと、うなぎを摑むような「ヌルヌル」があります。不思議ですね、ここは高アルカリのタイプかと思いますが。でもこれに隠れて「ツルツル」もあるのかもしれません。ほんとに不思議な温泉です。
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ツルとヌル について (別働隊@うつぼ)
2005-11-04 00:34:05
一遊さん。ど~もです。



>一般的には、高アルカリが「ツルツル」で、重曹泉が「ヌルヌル」と表現されることが多くはないでしょうか。



重曹水とハイター(漂白剤、アルカリ液の代表。ただしかなり薄めないとキケン)をくらべてみてください。どちらがヌルヌルするでしょうか?



私の表現は、実際にふたつの泉質に入った感触と上の実験?にもとづいて確認した個人的なものです。世間一般の表現は意識しておりませぬ。



注)ただし、実際にはアルカリ性の重曹泉が多いので、ツル+ヌル+すべすべという感じのお湯が多いです。あえてツルすべとヌルすべを分けているのは、中性重曹泉の明瞭なツルすべを表現したいからです。(妙義長寿や新田など)
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Unknown (一遊)
2005-11-04 01:36:57
私も重曹については少し疑問ですが、馬頭温泉に代表される薄口の高アルカリ単純泉は「ツルツル」です。

重曹泉は私もはっきりしたことは分からず、黒湯のような腐植質の混ざったものが多いので、「ヌルヌル」はそちらの影響かもしれません。「ヌルヌル」は腐植質系、アワアワ系に顕著と考えてもいいかもしれません。漂白剤を強アルカリ温泉に例えるのは戸惑いがります。これって、塩素系でしたっけ?
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ツルとヌル について-2 (別働隊@アルカリ硫黄泉マニア)
2005-11-04 23:26:37
またまた反論で恐縮です (^^ 。馬頭あたりのお湯は確かに薄めの高pH泉ですが、メタけい酸の含有量が多く、個人的にはメタけい酸のとろみ&ツルツルが加わっていると思っています。



成分希薄な(かつメタけい酸含有量の少ない)Na-HCO3(CO3)型のアルカリ泉と中性重曹泉をくらべるのがわかりやすいかと思います。

アルカリ泉代表に、玉川スプリングス、寄居金山(かんぽの宿)や足尾かじかなど、(中性)重曹泉の代表として、妙義長寿、磯部、東軽井沢(峠の湯)などをご紹介します。入りくらべてみてください。



漂白剤に疑問をおもちならば、石鹸水でも可です。なお、重曹はホームセンターでふつうに売っています(薬局で買うと高い)。

※身ぢかなもののpHは↓でやませみさんが解説されています。

http://www.asahi-net.or.jp/~ue3t-cb/bbs/special/sience_of_hotspring/sience_of_hotspring_5-3.htm



あと、世間一般に「アルカリ泉=つるつる」と書かれるのは、”ぬるぬる温泉”よりも”つるつる温泉”の方が語感がいいからでしょう。中性重曹泉の存在を意識して書き分けているとは思えません。

中性重曹泉の存在を考えなければ、ヌルすべでもツルすべでもどっちでもいいのです。(感覚なので・・・) 何度も申しますが、中性重曹泉特有の”つる感”を表現したいがために、あえて書き分けています。
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Unknown (一遊)
2005-11-05 02:00:53
群馬・埼玉県境の例に示したお湯は全て未入湯です。中性重曹泉特有の”つる感”というのはどういうものを言っているのでしょう?

栃木、山梨、長野、福島辺りでは例がありませんか?

それから、重曹泉を見るときは、腐植質は入っていないほうが判断しやすいんでしょうね。



郡司さんの監修した「自遊人」のツルぬる特集を見ると、郡司さんは「pHが高いとツルツルする」説よりも「炭酸イオンが多いとツルツルする」と唱えており、「必然的にアルカリ性のお湯がツルツルする」と書いています。

炭酸イオン説やら中性重曹泉書き分け流儀やら、私には分かりませんが、やはり高アルカリは私の抱いている「ヌルヌル」ではないなぁ~。

ツルツルって、擦らないと分かりません。

ヌルヌルって、擦るまでしなくてもなんとなくお湯そのものから感じられることが多いような気がします。

これも独自すぎますかね…。



ところで、塩素系漂白剤は家にあるので、原液に触れてみました。ヌルヌルします。ところが、水で少し薄めて擦り続けていると、次第にツルツルにも感じられました。ただし、この現象と温泉の現象を同一と簡単に判断すべきではないでしょう。
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ツルとヌル について-3 (別働隊@うつぼ)
2005-11-05 11:05:18
> 中性重曹泉特有の”つる感”というのはどういうものを言っているのでしょう?



濃いめにつくった重曹水にさわったときの感触です。

あと、↑にあげた妙義長寿以下のお湯に入ったときの感触です。中性の重曹泉に入ってみてください。



> ただし、この現象と温泉の現象を同一と簡単に判断すべきではないでしょう。



ど~して? ある特定の成分が、湯ざわりにどう効いているかはピュアなブツで確かめるのが、いちばんわかりやすいです。(いま云っているのは総合的な浴感を確かめるということとは全然別です。温泉はとても複雑なので、この味わいを薬品などで表現することはとうてい不可能です。釈迦に説法でしょうが・・・ 念のため)



> 郡司さんは「pHが高いとツルツルする」説よりも「炭酸イオンが多いとツルツルする」と唱えており、「必然的にアルカリ性のお湯がツルツルする」と書いています。



もちろんそうです。つるつる(ぬるぬる)するのはアルカリ重曹によるからでしょう。ここらへんは「初花」の本文に書いています。

重曹泉系のお湯はpHが高くなると、HCO_3^-がCO_3^2-変化していきますから、アルカリ性寄りの重曹泉はツル+ヌル+すべすべになります。



>ツルツルって、擦らないと分かりません。

ヌルヌルって、擦るまでしなくてもなんとなくお湯そのものから感じられることが多いような気がします。



これはいえるかも。アルカリ泉のヌル(ツルツル)はさすってよくわかりますが、重曹泉のツル(ヌルヌル)はコーティングされるような”ツル感”で、入った瞬間に(さすらなくても)わかることが多いです。



ま~、いずれにしても、浴感表現は個々人それぞれのものですから、感じたままそのままを書けばいいんじゃないでしょうか?



この話題は100湯ブログにふさわしくないような気もするので、これで打ち止めとしましょう。
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初花ファン (大野あや)
2005-11-05 22:58:57
私も初花のヌルヌルな肌触りが大好きで、年に数回h
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↑つづき (大野あや)
2005-11-05 23:07:41
年に数回はのんびりと温い源泉に浸かり、癒されております。

赤ちゃんが生まれる前お母さんのお腹の中にいるときのような感覚でとてもリラックスできる湯温、女性好みのヌルツルは何度訪れても「いい温泉だったね!」と言ってしまうほど。



食いしん坊な私は必ずうなぎを食べて帰ります。お気に入りはさっぱり和風の「白焼き丼」わさび醤油がぴったりです。 湯の花豆腐もお勧め!



最近は夕方に訪れると湯が疲れていますので、午前中に行かれると元気な温泉に会えますよ。
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初花の密かな楽しみ (一遊)
2005-11-06 00:38:55
そうそう、初花の隠れた楽しみがあります。

鰻ではありません。鰻は表に出た楽しみなので…。

隠れた楽しみとは、2階から見える桃畑の風景です。とくに大広間からは、桃畑の間を走る中央本線の姿が望め、ゴトンゴトンという音も聞こえます。のどかで時間が止まってしまいます。

実は8月のオフ会以降、2度も大広間休憩を使いました(^^
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