世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●都知事選、各候補支持率を検証 舛添、細川の両氏の競り合いが見えてきた

2014年01月29日 | 日記
養老孟司の大言論〈1〉希望とは自分が変わること (養老孟司の大言論 1)
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●都知事選、各候補支持率を検証 舛添、細川の両氏の競り合いが見えてきた


 今回の都知事選では、すべてのマスメディアが、1月26日までの支持率調査を公表している。必ずしも各候補の支持率を明示しているわけではないので、支持率を一望出来る状況ではない。具体的に数字を出しているのは雑誌系で、販売促進の意味合いが強いので、あまり参考にしない方が良いだろう。全体的に言えることは、どの調査も、舛添が先行し、細川、宇都宮、田母神の順で追っている。そして、有権者の4割は、まだ何も決めていないと云うトーンの調査結果を語っている。

 マスメディアが、今回の都知事選に関する世論調査で一番力を入れていることは、選挙の争点はなにか?と云う設問の部分である。つまり、前回、前々回同様、「原発を争点化させてはならない」と云う共通の認識の範囲の縛りを除いて、自由が許されている印象だ。原発やめるか、継続するか等よりも大事なことがある。”少子高齢化対策や福祉政策だ!景気と雇用も生活に密着している!”。つまり、マスメディアの役割は、今回も”争点隠し”を暗に官邸側から依頼されたのであろう。流石に、それ以上の要求を官邸がした場合、メディアによっては難色を示す社も出てくることに鑑み、穏当な世論誘導を依頼したと読める。

 その結果、今回の都知事選の戦いは、舛添、細川、宇都宮、田母神の争いである前に、なにが選挙の争点なのかが争われる珍しい選挙になっている。都知事選で、わかりやすい争点が福祉や雇用なのは、多くの人々に共通する課題だ。それゆえに、その項目に争点を集約出来れば、前回、前々回同様、投票率を低下させ、固定支持層の強い自公共が抜き出るという塩梅になる。「脱原発」は、答えが不確かな論点が多く議論百出な部分があり、一定以上の見識と興味がないと、付和雷同的に大衆を扇動できないテーマなので、ここがネックだ。おそらく、時間との戦いにもなるし、細川・小泉70代連合の体力勝負でもある。

 また、細川の政治理念は、日本人が最も不得意とする「価値観」とか「歴史観」、「社会哲学論」である。これらの不得意分野も、日本人の知的レベルから、本気で考えれば一定の範囲で理解は可能なのだが、今まで、選挙の投票行動で、自分で考えて行動する癖がついていないので、考えようと、一旦腰を下ろしてくれるかどうかが勝負何処なのだろう。21世紀がカオスの世界に突入していることは、都民であれば、言葉として記憶の片隅にはあるだろう。ただ、その中身となると、あまりにも漠としているので、その輪郭をイメージすることは難しい。しかし、その漠としていること自体が、なにあろう「カオス」なのである。今までの、日本と云う国が、どうであったか、現在どのようなメカニズムで国が動いているか、そのことよりも、これから日本は、どのような目標をもって、どのようなメカニズムで、世界の中で生きていくか、それを考えることである。ただ、カオスで、何も判っていないのだから、自由自在の考えを行使できる世界でもある。

 誰から教わったからとか、何々に書いてあったから、誰々が主張しているからではなく、自らのイマジネーションで、一歩を踏み出すことである。「カオス」は思考の自由を保証する環境だと受け取ることも可能だ。無論、そのイマジネーションが常に正しいものとは限らない。勘違いもあるだろうし、事実の流動化もある。この世の万物に絶対はない。最も信頼すべきは、誰でもない、自分自身の中に棲んでいる情感、徳心、叫び、知に働きかけてみることだ。その結果、その人が誰を選択するか、それは人それぞれでいい。そのように、国民が主権者として、自力でものを考えない以上、カオスの中でカオスの群れが、一層のカオスに向って漂流することになる。

 現実に戻ると現状は、身近で具体的テーマを掲げている舛添が、自公の組織票を一定程度固めることで、先行はしている。まぁ先行と云っても、フライングしたというわけではなく、初めから財産を背中に生まれてきた候補者と云うことだ。彼は「銀のスプーンを口にくわえて生まれてきたわけではない」と苦労人話をするが、今回は銀のスプーンを咥えて出馬しているだけである。おそらく、咥えている銀のスプーンをイソップの犬の如く、ワン!と吠えて、川に落としてしまわないように必死なのだ。つまり、200万票以上得票するのは確実だろうが、それ以上があるかどうか、決め手はもっていない、成長性はゼロの候補である。

 ゆえに、細川・小泉連合は、250万票を絶対死守する戦略を立てなければならない。組織票なしで、これから銀の採掘及び抽出を始めるのだから、その道には様々な難関が待ち受けている。70代の首相経験者の情熱と、それをバックアップする人々。最終的に、決め手の応援団は、細川・小泉連合が語っている言葉を咀嚼し、支持してくれる国民が、どれだけの見知らぬ者同士の、目に見えぬ組織が生まれるかである。筆者は、今回の猪瀬の辞任劇による都知事選は天佑だと思っている。また、その候補に細川護煕が小泉純一郎とタッグを組んで出馬したことも天佑だと思っている。この天佑の助けを借り、国民が自分自身で、物事を考える機運が盛り上がることを強く望んでいる。結果よりも、筆者は、ステレオタイプから、日本人が抜け出せるかどうか、その事への興味の方に強く惹かれる。

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