世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●“当たり前”が出来ない国  “想像力”が失われた国・日本

2015年12月31日 | 日記
秩禄処分 明治維新と武家の解体 (講談社学術文庫)
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講談社


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●“当たり前”が出来ない国  “想像力”が失われた国・日本

日本では、2016年、小さな選択の岐路を迎える。幾つか大きな課題を上げれば、原発再稼働(エネルギー問題)、安保法制、TPP、沖縄基地問題、格差、日韓問題、日中問題‥等が頭に浮かぶ。日本が敗戦を迎えて、アメリカと云う国に占領されたわけだ。宗主国が、常に植民地に大きな影響力を残す結果になることは、支配下に置かれた地域や国の、占領された以後の歴史に、大きな影響を残すのは当然かもしれない。

我が国も、ごたぶんに漏れず、宗主国アメリカの影響を受けて、戦後が成り立っている。ただ、筆者の知る限り、他の被支配国よりも、文化的には、一定の隔壁を持ち続けることが出来た国だったような気がしている。それを可能にしたのは、筆者の想像では、「日本語」と「天皇」だったのではないのだろうかと、ふと思うわけだ。英語圏の中には見出すことのできない、言語文化の高水準は、英語の比ではない点は、おそらく、多くの人が知らずに理解しているに違いない。江戸時代までに築き上げた日本文化の希少性はエキゾチックさも加味されているだろうが、欧米人にとって、驚愕の文化だったに違いない。

しかし、その江戸文化で、日本文化は衰退の道を歩むことになるのだが、現在の日本人は、明治維新以降の西欧文化が文明開化だという認識でいるわけだが、筆者の感覚では、文明開化どころか、文明放棄の明治維新だったのではないかと云うことになる。筆者は研究など縁がないのだが、江戸時代までに残した文学、書画、焼き物、道具、着物等々の文化は、芸術的でさえあった。無論、西洋のそれらと優劣を競うものではないのだが、西洋の真似をしないと困るほど未開な文化国家ではなかった事を抑えておきたい。

明治以降、開国をした日本は、世界中の列強国の大波に翻弄され続け、猿真似の歴史を歩みだしてしまったのだから、すべてが後追い競争を強いられることになった。冷静になって考えれば判ることだが、西洋人の発想で発生し、発達した産業革命を学ぶところから始めたわけだから、出発点が、そもそも違う。そして、資本主義と云う考えも、民主主義と云う考えも、表面的な意味は理解していたとして、民の資質として、それに馴染んで、使いこなせるところまで到達することは、容易なことではない。

資本主義の方は、多くの場合、民間企業が実行するわけだから、西欧人を雇ったり、西欧人の企業を買収して、業務を実行させたり、自由度の幅があるので、何とか繰り回すことが可能だ。しかし、民主主義の方になると、プレーヤーが“国民と政治家と官僚”に委ねられる。ここに、西洋人を加えることは原則ないので、西洋文化を、3000年間慣れ親しんだ日本人だけで実行しようとしたのだから、明治時代の端から民主主義が正しく理解されていなかったし、本質的に浸透することはなかったようだ。

江戸時代までは、今より地方分権が真っ当に機能していたので、藩主の器量一つで、独自の藩政を行うフリーハンドを持っていた。明治維新以降、「秩禄処分」と云うトテツモナイ改革が実行された。華族・士族の家禄の廃止があったのだが、この改革が中央集権官僚体制の基礎をつくり、地方主権の範囲を狭量なものにしていった。この「秩禄処分」こそが、明治維新の三大改革(徴兵制、学制、地租改正)に匹敵する、公務員の大リストラ戦術だった、と高評価が定着しているが、筆者は地方の特性を無視した、酷く愚かな改革で、今の霞が関の基礎をつくってしまったし、第一次、第二次大戦に、日本が猪突猛進する決定的役割を演じたのである。

まあ、歴史的経緯にばかり拘泥していても始まらないので、今の日本の課題について言うならば、“原発再稼働(エネルギー問題)、安保法制、TPP、沖縄基地問題、格差(グローバル経済)、日韓問題、日中問題‥等”を一つ一つ吟味することは略すとしても、そのすべての問題に、強く関与乃至は影響を及ぼしている国がある。言うまでもなく、アメリカなのだ。安保、TPP、沖縄基地は、どこの誰が考えても、アメリカとのつき合いにおいて起きている問題だ。日韓、日中問題も、日本がフリーハンドで関与できる範囲は狭く、実際は、アメリカの方針によって左右される課題だ。

 一見、原発エネルギー問題において、アメリカの関与がなさそうに見えるが、ドッコイ、関係ありありなのだ。アメリカの原発メーカーは、今やアメリカ国内では規制が厳しすぎて、動きが取れなくなったので、日本企業に片棒を担がせて、アメリカの原発メーカー救済と云う政治的絡みが大きい。ゆえに、日本の首相が、取り説さえまともに守りそうもない国にでも、原発建設のセールスマンになっているわけだ。人の国に、安全だから建設しましょうよ、と売り込むのだから、自国が、原発はやっぱり危ないからやめとこうね、と云うわけには行かない事情がある。つまり、根源は何かと言えば、アメリカの原発産業の片棒を担がせれている。

最近、どうでも良いが話題になっている、日韓慰安婦問題なども、日米韓の安保体制を外形的にでも、有効であるように見せたい事情がオバマにあるから、安倍とパクをオバマが脅した結果の答えに過ぎない。なんとも、安倍もパクも中途半端な顔つきで、この問題に言及している。こういう事情で生まれたモラトリアム的妥協だから、コンプレックス民族が、このまま、この問題を再燃させない(不可逆的)なことと理解することは到底不可能だ。基金の金はホワイトハウスに請求書を送ることだ。中国も、台湾も言い出したのだから、その額も上乗せして、オバマに請求するのが妥当だ。

日中関係は、アメリカの一部勢力の扇動に、あのバカな石原慎太郎が乗っかり、国内で火をつけ、あの大バカの野田佳彦が国有化と云う大ドジを踏んだことがすべての始まりなので、日中関係という極めて危険な池に、石を投げ込んだのが日本側なので、何とも馬鹿げたことをしたものだ。こういう弱味が、今回の日米安保強化のキッカケを作ったことだけは、どう贔屓目に見ても、わが国の外交戦略に齟齬があった。あの民主党の野田佳彦と云う豚ヤロウは、安倍に民主党は売るし、財務省勝栄次郎に国民を売ったし、最悪な首相だったんだから、民主党は野田の首を切らなければ、安倍の悪口も言えない立場の政党になった。まあ年末だ、人の悪口で終わるのも、“あいば”らしくて良いだろう(笑)。面白そうな小説があったので、東京新聞の記事引用で、紹介しておく。


≪ 「最悪」想像する力を 原発事故テーマに『亡国記』執筆 北野慶さん(作家)
ページをめくると、息もつかせぬ逃亡劇が展開する。だが、これは犯罪小説ではない。そしてパニック小説やサバイバル小説というには、あまりにリアルなのだ。

 二〇一七年に南海トラフ地震が発生し、静岡県にある原発が爆発する。そんな設定で書かれた『亡国記』(現代書館)を著した北野慶(けい)さん (60)。編集者や韓国語の翻訳者をしてきたが、小説は北海道大学を卒業後、一冊出版した程度だった。「学生運動に挫折した体験を乗り越えようと書いた小 説で、歌人の道浦母都子(みちうらもとこ)さんにほめられたけれど、全然売れなかった」と笑う。

 その北野さんが再び小説を書いたのは「あのとき、首都圏が消滅する危険が迫っていた。今や、そのことをみんな忘れている」と痛感したからだ。そん な自分自身も、福島原発事故前は「チェルノブイリの時は社会主義国の老朽原発の話だと思っていた」。そんな自戒も込めた警告の書を、今年八月に出版した。  「福島があの程度で済んだのは、とてつもない偶然。宝くじの一等賞当せんくらいの幸運が重なったといわれる。だったら、思い切り想像力を働かせ て、最悪のシナリオをつくり、疑似体験で、読者に危機感を持って考えてもらえたらと。原発に関心のない人にこそ読んでほしいと思った」

 出版に先立って出した電子書籍版には「一気に読んだ」「身につまされた」と感想が寄せられた。確かにページをめくると、当時の状況や気持ちを一気 に思い出す。「緊急地震速報です! 強い揺れに警戒してください!」という電子音。テレビに映る官房長官の「ただちに健康に影響はない」との会見、「大丈 夫です」という専門家の言葉…。

 執筆期間はわずか一カ月。「原発をやめない日本に怒った神様が降りてきて書かせてくれたのかなと。筋を考えずにパソコンに文字を打ち始めると、勝手に世界が広がった」という。

 ストーリーは、福島の事故後に京都に移住した動物園の飼育係深田大輝と、小学一年の娘陽向(ひなた)の逃避行が中心となる。福島事故から六年後、 原発が次々と再稼働した日本で、静岡県の「島岡原発」の原子炉が爆発する。原発反対の抗議活動のために近くにいた妻の翠(みどり)は即死。百キロ圏内の人 間は死滅し、本州と四国は高濃度汚染で人の住めない土地となる。

 リアルさは細部の描写に宿る。首相と閣僚は真っ先に北海道へと逃げる。マスコミ幹部も続く。自家用機を持つ大企業の経営者や資産家は海外へ脱出。 「臨時首都」の札幌で、閣僚は北海道庁に臨時政府をつくるが、「必ずや首都東京に帰還する」と決意表明じみた言葉を並べ立てるだけだ。

 「原発事故は日本という国を消滅させる。それがどういうことか、バーチャルに体験してほしいと思った」と北野さんは話す。

 小説では、事故後の大混乱に乗じ、本州と四国は米軍が、九州は中国軍、北海道はロシア軍が占領する。一千万人が難民化。ロシア政府はシベリアの石油や天然ガス田の開発の労働力として、日本人を強制移住させる。唯一、被害のなかった沖縄県は「沖縄共和国」として独立する。

 海外脱出して難民となった主人公の父娘は、ロンドンで「ジャップが! 国を滅ぼし、世界中に放射能をまき散らしながら、いい気なもんだ」と吐き捨てられる。カナダでは難民排斥集会で「ジャップ、ゴーホーム!」と連呼される。

 そんな描写を読むと、現在、EU諸国で深刻化する難民問題を、人ごとと思う余裕はなくなる。  福島の事故の時、北野さんは家族と関西へ避難した。当時高校生の長女(21)が、政府会見を放映するテレビを見ながら「うざい」とつぶやいた。 「僕はまだ政府を信じるところがあったけれど、娘は本質的におかしさに気付いていた」。既成概念に麻痺(まひ)していない子どもの鋭さを実感した。

 現在、韓国での出版話も進んでいるという。「一人でも多くの人に読んでほしい」と北野さんは言う。「この物語は、想像力を働かせれば誰でも思い付く。でも多くの大人は、無意識に考えまいとしてるんじゃないでしょうか」  ≫(東京新聞:文化・土曜訪問・出田阿生)

亡国記
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現代書館


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●決定的になった安倍国家主義の正体 只の隷米具現強化政権

2015年12月30日 | 日記
銀河系惑星学の挑戦―地球外生命の可能性をさぐる (NHK出版新書 477)
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NHK出版


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●決定的になった安倍国家主義の正体 只の隷米具現強化政権

ここまで、隷米に傾斜した政権を見るのは初めてだが、マスメディアも総じて、“アメリカが歓迎したのだから、良いことだ”という事になるのだろう。アメリカと云う国益のためなら“臭いものに蓋をする文化”が、今回も作動したようだ。慰安婦問題で、あれだけ歴史の修正に躍起となった安倍晋三や下村博文ら、そして、それらを強く支持する「日本会議」の連中の国家主義や歴史修正の姿勢は、あれは何なのだ。アメリカが命じたら、今の外務官僚であれば、北朝鮮とでも平和条約を結ぶに違いない。

≪ 慰安婦問題めぐり日韓合意 「最終的かつ不可逆的解決」
日韓両政府は28日、ソウルで外相会談を開き、慰安婦問題を決着させることで合意した。日本政府が軍の関与や政府の責任を認め、元慰安婦支援で韓国政府が新たに設立する財団に日本から10億円を拠出すると表明。日韓双方が、この枠組みを「最終的かつ不可逆的解決」とすることを確認した。 日韓関係の最大の懸案の一つだった慰安婦問題は、安倍晋三首相と朴槿恵(パククネ)大統領の政治決断により国交正常化50年の節目に決着を迎えた。両国関係は今後、改善に向けて大きく進む可能性がある。

 岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は28日、ソウル市内の韓国外交省で約1時間20分会談した。終了後、両氏は共同記者発表を開催。岸田氏は、慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」とし、「日本政府は責任を痛感している」と語った。さらに、安倍首相が元慰安婦に対して「心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べた。

 また、岸田氏は、韓国が設立する財団に10億円規模を日本政府から拠出し、日韓両政府が協力して元慰安婦を支援する事業を行っていく方針も表明。岸田、尹両氏がこの枠組みを進める前提で、慰安婦問題についてそれぞれ「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と強調した。

 一方、尹氏は、日本政府が撤去を求めているソウルの日本大使館(建て替えのため現在は移転)前に建てられた慰安婦問題を象徴する少女像についても言及。韓国政府の方針として「関連団体との協議を行うなど、適切に解決されるよう努力する」と語った。

 両氏は、慰安婦問題をめぐり、それぞれ「国際社会で互いに非難・批判することは控える」という方針も表明した。

 岸田氏は共同発表後、ソウル市内で記者団に「合意ができたことは歴史的であり、画期的な成果。日韓関係は未来志向の新時代へと発展する」と強調。今回の合意と、1965年の日韓請求権協定で請求権に関する問題は解決済みとした従来の姿勢との整合性について「政府の立場は何ら変わらない」と訴えた。  岸田氏はその後、韓国大統領府(青瓦台)で朴大統領と面会。朴氏は「今回の交渉結果が誠実に履行され、韓日関係が新しい出発点から再び始まることを願う」と述べた。また、安倍首相と朴氏は28日夕、電話で協議し、今回の合意をそれぞれ歓迎した。

 安倍首相は同日夕、外相会談の合意を受けて記者団に「子や孫の世代に謝罪しつづける宿命を背負わせるわけにはいかない。今後、日韓は新しい時代を迎える」と語った。 ≫(朝日新聞デジタル:ソウル=武田肇、東岡徹)


常日頃から、戦時中の慰安婦に関し「国家関与は証明されていない」という主張は何処に行ったのだ?アメリカの判断で、すべてを決してゆく日本であるなら、日本の神話も、アメリカのお墨つきを貰って、教科書に載せる運動でもしたら如何なものだろう。これだけ、世界中で、アメリカの独善的行動が波紋を投げかけ、何ひとつ自己完結できなくなっている覇権国の命じることに、何ひとつ反駁せず、唯々諾々と、そのムチ打ちやロウソク責めに嬉しい悲鳴を上げるのだから、マゾヒズムと云う国家観なのかと鳥肌が立つ。国家主義やナチズム、ファシズムであるのなら、せめてサディズムで行動して貰いたいものである(笑)。吐き気がするほどの自己矛盾だ。

日本という国が、アメリカアレルギー体質を強化する時間が流れている状況なのだ。ホワイトハウスと云う言葉さえ出してしまえば、パブロフの犬の如く、“安定政権維持慾”と云う“涎”を流す仕組みになっている。このような傾向は、日本のマスメデァ全体にも感染は拡大しており、ジャーナリズム精神など云うものは、遥か昔の昔にかなぐり捨てて、兎に角、理屈抜きに、政権の走狗になることを、社是とするのが自明と信じている。表面的な反政権論は展開するが、定型文で疑問を呈するのが形式化されており、約束事程度に慣習化している。それを読んで、それなりに反発もしているじゃないかと云うのが“洗脳”なのである。

政権がアメリカ・ポチとなり、霞が関官僚も当然ポチ、マスメディアもズブズブのポチ。多くの国民も、TDL、USJファンで、最近ではハロウィン・ポチに、クリスマスに、スターウォーズまでなっている。目くじら立てても仕方のないことだが、どこまでアメリカ教で行けると思っているのですか?と本気で、質問したくなる。穿った見方をすれば、たまたま乗り合わせてしまったの“アメリカ丸”と云う新興人工国家の建造した“新型デモクラシ駆動の資本主義”の大型船舶なので、他の大型船より安全そうだからと云うことだろうが、その機関室では、トンデモナイ燃料でボイラーから湯気を出している現実を見つめようとしないらしい。俺たちゃ客なんだからさって、日ごと夜ごと、丁半博打で国富を散在しているようだ。

まあ、そもそも論から行くならば、民主主義と資本主義が、たまたま、歴史の悪戯で一時の成功体験に酔いしれてしまった副作用が、100年程度続いていた、と考える方が妥当だ。先の二つの世界大戦が、世界的破壊を起こし、200年近く、破壊と復興に明け暮れたわけだから、当然のように、経済活動活発になるわけだ。謂わば、砂漠に水まきするのだから、幾らでも市場は、その水を飲んでくれたのだ。その結果、偶然にも、所得、生活水準で、分厚い中間層が生まれた。この中間層は、日本では“総中流”などと言われたわけだが、生活水準の平準化は、その中間層においては「得」ではなく「徳」への意識も生まれた。実は、この中間層の「徳」意識が、政治的にも、社会的にも、民主主義や資本主義の成長の原動力になった。

しかし、20世紀後半からは、この破壊と復興と云う、メカニズムが徐々に基本的素地を減損させていったので、成功モデルだと思われた「民主主義と資本主義」のセットの絶頂は、短い頂点を迎えていた。こちらも、たまたま、ソ連邦の崩壊が歴史的な悪戯となり、「民主主義と資本主義」のセットが成功事例だと信じられてしまう、皮肉な歴史的現象を、強く世界に印象づけてしまったようだ。しかし、そのセットモデルを底辺で支えた“中間層”を喪失してゆくに従い、このセットモデルも、あらゆる面で齟齬を来すに至っている。

これからの50年くらいは、条件が整うことのないセットモデルに拘泥する守旧的覇権勢力、及びそれに付和雷同する勢力が、そのセットモデル維持に努力をすればするほど破綻的になる。何故なら、次のビジョンの姿も形も見えていない以上、セットモデルに身の丈を合わせて100年、200年上手に生きてきたエリート層は、その地位に拘泥する。ゆえに、絡まった糸束を、さらに縒るわけだから、知恵の輪どころか、ピースが幾つも抜け落ちたジクソーパズルが出来上がるわけだ。実は多くのエリートは、そのことに気づいているのだと思う。ただ、次が見えないので、慣性の法則的な行いに興じているのだろう。

筆者にも、そのビジョンのイメージは見えていない。ただ、マスメディアが「民主主義と資本主義」の木鐸としての地位を放棄して、パンのみにて生きることを選択し、その役割に終止符を打ったのだが、「民主主義と資本主義」と云うセットモデルから、「徳」を生み出し、所謂“神の手”の役割を演じていた「中間層」の喪失は決定的なのに、更に、グローバリズムと財政金融主義が、不平等と云う差別を助長するので、崩壊と混沌だけは、確実にやってくる。つまり、中間層がいなくなるという事は、「社会」がなくなるのだから、到底、民主主義を通じて、民主主義を実現するという行動が虚しい結論に達する可能性は非常に高い。

このように書いてしまうと、身も蓋もない人類の惨状だけが見えてくるわけだが、惨状を見るということには、それなりの効用があるのだと思う。その惨状の中で、人種であるとか、民族であるとか、国境であるとか、欧米諸国であるとか、イスラム文化圏であるとか、ユーラシアであるとか、アジアであるとか‥等に、どのような価値を導き出し、何が大切で、何が不要か、気づき、考え、試行錯誤する人類の大きな命題へのチャレンジが始まるのだと思えば、それ程悲観的な成り行きでもないだろう。100年くらいのスパンで見れば、必ず、そのような経緯を辿るものと思われる。

残念ながら、筆者が目撃するのは、「民主主義と資本主義」の実現を、“グローバリズムと財政金融主義”の手法で乗り切ろうという、浅ましい自慰行為を観覧しながら死んでいくのだろう(笑)。ごく簡単な問題でも、“グローバリズムと財政金融主義”により、問題は複雑化され、誰も解けない問題集を、日々作り続けているのが現実なのだから、当分は、悲惨な方向だけを見せられることになる。しかし、個人的には、高度経済成長も見たし、中間層も経験したし、バブルも経験したし、締め括りに国や世界の悲鳴を一緒に叫ぶのも悪くないと思っている。40代よりも若い層の人々の場合、衰退から、衰退、そして悲惨なのだから、些か気の毒に思うが、運命と考えて貰うしかないし、殆どが一緒の悲惨なので、落伍している感情に陥らない点が救いだと考える。

フリードリヒ・ニーチェ「人類は滅びるかもしれない」
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一粒書房


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●「日本の世論2015」から読み解く、筆者と世論のミスマッチ

2015年12月27日 | 日記
日米同盟と原発 (隠された核の戦後史)
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東京新聞出版局


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●「日本の世論2015」から読み解く、筆者と世論のミスマッチ

筆者個人の感覚と、「日本の世論2015」(毎日新聞)とに、調査結果の大きなずれがあっても、問題はないと思う。ただ、筆者の感覚が、日本のメジャーな感覚とずれている事を確認しておく作業は、今後のブロガー活動としても、重要だと認識している。違いがあるとして、何故違うのか、依って立つ立ち位置や生活上の環境の違いなど多岐に亘だろうから、どちらが良い悪いを判断する必要はない。ただ、違いを理解しておくことは重要だ。

安倍内閣の支持とか、政党支持率は、各社の世論調査と特段変わっているところはなかった。特に、書き加える点はない。前半の設問回答でおや?と思った点は以下の通り。

 ■設問:あなたは今の天皇に親しみを感じますか、感じませんか。

親しみを感じる:     65%
親しみを感じない:     8%
どちらとも言えない:26% だった。

 感想:筆者は、8割程度の人は親しみを感じているものだと、思い込んでいたが、この点は認識不足だったのかな?という感想を持った。どちらとも言えないが26%存在している事が意外だった。

 ■設問:日本は戦後、米国との同盟関係を重視してきました。これからの日本はどの国・地域との関係を最も深めていくべきだと思いますか。
米国:      54%
中国:       7%
韓国:       2%
インド:      2%
ロシア:      1%
東南アジア諸国: 19%
ヨーロッパ諸国:  6%
その他:      4% だった。

感想:米国の54%は妥当な線だろうが、米国が54%であれば、東南アジア諸国や中国との関係強化への認識が、相当低く評価されているように思えた。中国、東南アジアに30%くらいに評価があると思ったが、まだ、米国関係を強く意識した状態は続いているようだ。特に中国への関心度が低い点が最も気がかりだ。つき合いにくい国ではあるが、反目していても得るものは少ない相手だけに、経済成長に期待があるのであれば、無視できない国だと思うのだが、感情的部分が強く影響しているのかもしれない。

 ■設問:日米安全保障条約について、あなたの考えに最も近いのは次のどれですか。
これまで以上に強化すべきだ:  13%
これまで通り維持すればよい:  58%
将来はなくすべきだ:      11%
ただちになくすべきだ:      2%
わからない:          15% だった。

感想:7割の人が日米安保に期待している事実は、マスメディアの報道の姿勢から、このような回答になっても仕方ないだろう。回答してくれた人々すべてが、日米安保のイメージ先行で判断している点もあるだろうし、今までは、さしたる不利益を蒙っていないから、現状維持で良いんじゃないのくらいの判断であった可能性を感じる。実態に則して、具体的に設問を作った上で問いかければ、異なる回答も得られたのだろうが、総体的調査の一項目だけに、そこまで、突っ込むことは無理だったのだろう。積極的に信頼している人々が1割以上いる点も、幾分驚きだが、将来はなくすべきも1割いる。ただ、この1割は、積極的軍事力保持によってなのか、平和外交姿勢においてなのか、この回答には、真逆の意思表示があるので、判断しにくい。

 ■設問:米国、中国、韓国、ロシア各国との関係についてお尋ねします。
 ◇四つの国に対して、どの程度「親しみ」を感じますか。(親しみ感じる5点 )
米国: 3.7点
中国: 1.8点
韓国: 2.1点
ロシア:1.8点

感想:政治的と云うよりも、文化的な交流度の深さが表れているようだ。中国、ロシアとの関係は、東西冷戦の時代背景からも、停滞期が長いわけだから、容易に親しみが増える方向に行くには、50年単位の解す期間が必要だろう。その為には、経済的協力関係と文化的交流関係が欠かせないのだが、中国の場合、国と云う単位、中国人集団と云う単位、個人的中国人と云う単位で、日本などに比べると、価値観の共有が雑多なので、日中間の親しみ度を増やす試みは容易ではないだろう。あまりにも、米国文化を取り込んで、自国文化を蔑ろにする傾向が出ている日本だけに、日本文化の祖であつた中国文化にあらためて触れる傾向が出るとは思えないのだから、悲観的になる。余程、経済交流で、中国との関係が強まれば別だが、経済までが、中国からアジア諸国へとシフトする傾向を見せているだけに、相互理解には大きく乗り越えなければならない、壁が幾つもありそうだ。おそらく、中国との接近には、米中の相互理解が、裏面的親密性から、表面的融和性まで見える段階にならないと、現状の日本人の感覚からは、中国は異質の国のままだろう。現実的合理的対応と、感情の距離が際立っている重要な問題点なのだろう。

◇四つの国と日本との10年後の関係は、現在と比べてどう変化していると思いますか。(良くなっている5点)
米国: 3.5点
中国: 2.2点
韓国: 2.4点
ロシア:2.4点

感想:この結果には、相当の違和感がある。現実的、合理的な立場から観察するなら、10年後の国家的関係で、韓国、ロシア関係よりも、中国関係が低位にある点だ。ひとつには、中国経済の減速が、日本では極論的に語られているマスメディアの論調に誘導されているようだが、中国経済の発展がなくなると、世界経済の実体的原動力がなくなるわけだから、日本経済には忌々しい問題だ。アメリカ離れが幾分読まれている点は理解可能だが、中国経済への期待度が低いというか、現状の低下傾向のイメージを強く取り込んだ所為か、そもそも嫌いだからなのか、関係が悪くなると思う人が多いのは、日本にとっては、困った印象が根づいているように思える。おそらく、反中言論が強いせいもあるだろうが、かなり感情的側面が出ているようで気がかりだ。正直、個人的には、韓国との関係が良好になることで、合理的には、日本の国益が強くプラスに向かうとは思えないのだが、この辺は、日米韓同盟の印象が強い影響なのだろう。

以上、「調査その1」を中心に、主たる項目で、違和感があった設問を抽出した。明日は、「調査その2」について書こうと思う。以下、「言論NPO」の安倍政権・公約達成度に関する記事があったので、参考まで。


 ≪ 安倍政権3年 公約達成度、上昇…本紙・言論NPO 5点満点で2.7
 毎日新聞は26日、非営利団体「言論NPO」(工藤泰志代表)と合同で、2012年12月の安倍政権発足から3年間の実績評価をまとめた。11分野60 項目の政策がそれぞれどの程度進んだかを5点満点で判定した結果、平均は2.7点で、昨年11月に実施した政権2年時の2.5点からやや上昇した。安倍晋 三首相がこの1年で最も力を注いだ「外交・安保」分野が3.6点と高かった半面、「経済再生」は2.8点で前回から横ばいだった。 「外交・安保」高く  前回評価の後に衆院選があり、自民党の公約を踏まえて対象項目を見直したため、単純には比較できないが、安全保障法制の整備や17年4月の消費増税に伴う軽減税率導入など、与党との調整が必要な政策を首相官邸主導で進めたことが平均点を押し上げたとみられる。
 「経済再生」では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が大筋合意し、訪日外国人旅行者を20年に2000万人にする政府目標も達成見込みになった。
 一方、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「三本の矢」によって「10年間の平均で名目3%、実質2%程度の経済成長を達成する」方針に関しては「企業の設備投資への動きが依然として鈍く、実現は難しい」という指摘が多く、前回より評価を下げた。
 政策の内容を国会答弁や記者会見などで十分に説明していない場合は1点減点した。今回は60項目のうち12項目が対象になり、唯一の5点(実現)だった「安全保障法制を速やかに整備する」は、国民への説明が十分でないと判断して4点に下げた。
 政府・与党が公約通り導入を決めた軽減税率は本来なら4点(目標達成の方向)だが、必要とされる1兆円規模の財源をどう確保するかを先送りしたため、3点に減点した。

実績評価
◇  
自民党が2014年衆院選で公約として掲げた政策を中心に、12年衆院選、13年参院選の公約との継続性も考慮して60項目を選び、進捗(しんちょく) 状況を評価した。各項目を(1)未着手または断念(2)目標達成は困難(3)順調だが目標が達成できるか判断できない(4)現時点で目標達成の方向(5) 実現または実現の方向−−の5段階に分類し、例えば(1)なら1点、(2)なら2点と数値化した。政策の達成度を測るのが目的で、是非は判定材料にしていない。 ≫(毎日新聞:野原大輔)

仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実 (文春新書)
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文藝春秋


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●官邸メッセンジャー・長谷川幸洋の解説 本当を書いて嘘で〆る

2015年12月26日 | 日記
シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来
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ダイヤモンド社


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●官邸メッセンジャー・長谷川幸洋の解説 本当を書いて嘘で〆る

長谷川幸洋と云うジャーナリスト風を吹かせている安倍官邸の密偵が、面白いコラムを書いている。彼には珍しく、“政局物”だ。もう、ここからして、このコラムは安倍官邸の腐臭を振り撒いているわけだ。ファブリーズを幾ら吹きかけても、その臭いは消えない。安倍政権と云うのは、広告制作会社の企画ものに乗っかった神輿政権なのだが、安倍も菅も、その降りつけがないように演じている点では、政治屋としては一流と言って良いだろう。昨日の「日本の世論2015」ではないが、表面的に、有権者は、政権の騙し絵を知りつつも、そうする気があるなら、多少は政策面にも反映するに違いない程度、眉に唾しながら、安倍首相期待していますよ、オベンチャラを、マスメディアに倣って追従している。

以下の長谷川のコラムは、前半は、一応、一つの考え方を披露している。以前、筆者も解説しているが、両議院の2/3の賛成があったとしても、改憲をするには、その条文、それに類する条項に関して、その都度、国民投票に掛ける必要があるわけで、与党勢力が2/3の議席を得たら、即、改憲されるものではない。つまり、国会に、改憲の発議権が生じると云うことだけなので、国民投票の洗礼を受けなければならないし、否決されたら、50年、100年は、日本国憲法の改憲は、事実上、不可能と云うことになる。安倍晋三だったら、二度でも三度でも、国民投票をしてしまうかもしれないが、そこまで実行したら、金王朝よりも暴政を晒すわけで、自民党が割れるだろう。

基本的に、安倍の望みは、自衛隊を自他ともに認める軍隊にしたいわけだが、想像以上に、その道のりは長い。安倍にしてみれば、集団的自衛権行使容認までを、違憲と認識される方法で、たかが内閣如きで実質「改憲」させたわけだから、墓の下で、爺さんに会った時の自慢話は、一応出来るので、それだけで、鬼の首を取った気分だろう。公明党と云う政党は、与党病に完全に罹患しているが、何かにつけ、顔を立てないわけには行かないことで、暴政のスピードアップにブレーキが掛かる点では、不愉快なわけである。出来れば、公明党さんも、時と場合によっては、政権から離れていただいても結構ですよと云う構図を作っておきたいのは当然だ。

安倍や菅の、神聖な信じられないほど貴重な「夜の三時間半」を橋下・松井の為に費やした事実は大きい、と長谷川は語るのだが、酒を飲んじゃ、単におだを上げ、どこの新聞社はケシカラン、あのキャスターは首だ‥等、権力遊びの時間に過ぎないのだから、神聖も貴重もあったものではない。居酒屋談義よりも厄介なのは、彼らが権力を握っていからだ。時には、貴重な人材を潰すし、明治維新以降、日本を実質的に牛耳ってきた、欧米勢力と、その手先である霞が関官僚の牙城を大修繕して、補強させているのだから、その罪が一番デカイ。

おおさか維新がもの珍しさも手伝って、現状一定の支持を得ているが、結局、大阪圏を除けば、来年の夏まで、その勢いを保つ保証はゼロで、与党連合構想になるかならないか、長谷川が言うほど、確定的ではなく、未知の要素が半分以上ある中で、改憲連立政権まで話が拡がったとしても、「与太話」の一種である。次期参議院選で、おおさか維新が安倍自民と同種の政党だと有権者に理解された時には、改選議席以下になる可能性の方が高いくらいで、躍進など、安易に計算する馬鹿はいない。まあ、安倍・菅・橋下・松井、どう考えても「おだを上げた」以上には思えない。

まあ、公明党への警鐘の意味はあるだろうが、公明党も、共産党の旗幟鮮明度に合わせて、相対的に集票力を減少させるだろうから、そろそろ、公明党の選挙盤石も怪しくなりつつある。つまり、官邸としては、共産党の志位委員長が提唱する「国民連合政府構想」が気がかりで仕方がないと、実は長谷川が知ったかぶりして“本音”を語ってしまったというのがオチである。民主党に、アンタらが考えるほど“日本共産党”は甘くない。何ひとつ、証拠立ては出来ないが、「なにせ共産党だよ」と云う、使い古された“印象操作”で、枯れ尾花を、本当は恐ろしいお化けだからね、岡田さん気をつけてと云う話法を駆使して、その構想が事実化しない為にするコラムと云うことだ。つまり、菅も、野党連合を怖がっている証左コラムになってしまった。幸洋くん、君、お仕置き必須だね(笑)。


 ≪ 橋下維新いよいよ与党に!? 安倍首相と会談3時間半。2016年の政界はこうなる

 ■安倍・橋下会談の中身
2016年の永田町は与野党の構図が大きく変わるかもしれない。予兆はある。安倍晋三首相は12月19日、政界引退を表明したばかりの橋下徹前大阪市長と会談した。一方、野党側も来年夏の参院選を見据えて野党統一候補の擁立に動き出した。日本の政治はどんな形になるのか。

安倍・橋下会談は3時間半という異例の長さと菅義偉官房長官、松井一郎大阪府知事も同席していた点がなにより雄弁に重要さを物語っている。首相も官房長官も夜の日程は連日のように2段重ね3段重ねで詰まっている。

そんな政権の2トップがそろって橋下氏のために3時間半も夜を空けたのは、会談が政権の最重要案件であったからにほかならない。

菅官房長官によれば、橋下氏が「市長退任の表敬をしたい」と言ってきたのを首相の側が会合をセットしたそうだから、安倍首相が「この機会にぜひ話し 合っておこう」と判断した形になる。そんな相手は日本に何人もいない。安倍首相にとって、橋下氏はそれくらい重要な相手なのだ。

もう時効だから書くが、私も首相と官房長官がそろって出席した夜の政治家会合に同席したことがある。2013年11月14日に都内の中華料理店で開 かれた「アビーロードの会」だ。これは2人のほか第1次安倍政権で閣僚を務めた渡辺喜美氏(当時、行革相)、塩崎恭久氏(当時、官房長官)らと作った会合 だった。

このときの会合では、みんなの党(当時)の代表を務めていた渡辺氏が特定秘密保護法案をめぐって用意した政策ペーパーを安倍首相に渡して、自民党との修正協議を申し入れた。首相はその場で「では、明日から担当者同士で協議しよう」と受け取った。

 ごく短いやりとりだったが、これがその後、みんなの党で内紛を起こす引き金の一端になる。渡辺代表が「与党にすり寄るのではないか」という観測が高まって、野党路線に傾いていた江田憲司衆院議員との確執が深まったのだ。結局、江田氏は1ヵ月後に離党し、新党を立ち上げた。

 ■おおさか維新の会がいよいよ与党に!?
今回の会談は、官房長官によれば、橋下氏が安倍首相に憲法改正などについて意見を聞いたという話になっている。真相はうかがい知れないが、政治家同 士はほんの一言二言のやりとりだけでも「すべてを了解できる」独特の間合いがある。あうんの呼吸というやつだ。これは、だれか第三者が解説できるような代 物ではない。

自民党の谷垣禎一幹事長は会談から3日も経ってから「あの会談について触れるつもりはない。フレームアップしないということだ」と述べて不快感を表 明した。幹事長にしてみれば「いったい何を話したんだ。オレより橋下氏のほうが重要なのか」と鼻白んだ気分になったに違いない。

いずれにせよ安倍、菅両氏と橋下、松井両氏が党派を超えて息を合わせたのは間違いないだろう。ずばりいえば、おおさか維新の会は連立政権にまで踏み込みかどうかはさておき、いずれ実質的に与党化するとみていいのではないか。

そうなると、与党は自民党と公明党におおさか維新を加えて3党体制になる。2党と3党では政治の運動力学がまったく異なる。重要案件で2党が合意すれば、残る1党は妥協するか、与党を離脱するかしかなくなるからだ。

意見の違いがあっても、与党を離れないなら妥協する以外にないが、相手が2党となると、妥協のプロセスは1党が相手の場合より、はるかにスピード アップするだろう。結果的に安倍首相の立場が強まって、公明党は苦しい場面が多くなるのではないか。だからこそ安倍首相は橋下勧誘に熱心なのだ。

 ■だからといって憲法改正、とはならない
マスコミでは安倍首相が橋下氏と気脈を通じるのは「橋下氏の力を借りて憲法改正発議に必要な衆参両院で3分の2の議席数を達成し、改正を実現しようとしているからだ」という解釈が広がっている。だが、これはやや皮相な見方だ。

言うまでもないが、憲法改正は衆参両院で3分の2の多数を制すればできる話ではない。両院の3分の2はあくまで改正の発議にすぎず、実際に改正するには国民投票で過半数の賛成が必要になる。

いま国民の過半数が憲法改正に賛成していると言えるか。言えないだろう。それは各種世論調査が示している通りである。たとえばNHKの調査では「憲 法を改正する必要がある」が28%、「改正する必要はない」が25%、「どちらとも言えない」が43%だ(2015年)。賛成が多いといっても、実際に国 民投票をすれば「どちらとも言えない」の大多数が反対に回る可能性が大きい。

安倍首相自身も「国民の理解が深まっているとは言えない」と認めている。

ここがもっとも政治的に重要なのだが、もしも国会が発議できたとしても、最終的に国民投票で否決されてしまえば、すべては無に帰してしまうのだ。

そうなったら、おそらく安倍政権は崩壊し、次の政権は2度と憲法改正などという重たい課題には挑戦しなくなるかもしれない。肝心なのは憲法改正の実現であり、単に改正を発議することではない。その点を多くのマスコミが勘違いしている。

安倍首相はどうかといえば、憲法改正について終始一貫して「国民の理解を深める。それに尽きる」と語っている。そうでなければ、最終目的が達成でき ないからだ。つまり、おおさか維新の与党化に成功したところで、直ちに憲法改正が現実に動き出すわけではない。決めるのはあくまで国民であり、安倍首相は 国民投票で絶対に勝てるという確信を持てない限り、改正発議には踏み切らないだろう。

 ■共産党は本音で勝負せよ
さて野党はどうか。こちらは混迷が深まる一方だ。

安保法案反対運動で名を上げた学生団体の「SEALDs」や主婦、学者らは安全保障関連法の廃止を旗印に「市民連合」を立ち上げた。具体的には来夏の参院選で野党統一候補の擁立を求めている。

市民の側から動きが出てきたのは、野党全体の求心力が衰えているからにほかならない。政党が積極的に動かないから、反対派の市民らが不満を昂じらせて声を上げざるを得なくなったのである。

だが、それで野党がまとまるかといえば、残念ながらまとまりそうもない。軸になる民主党は党内がばらばらだし、解党してまで維新の党との合流を目指すかといえば、そんな気運は盛り上がっていない。元気なのは日本共産党くらいである。

共産党は持論の日米安保条約廃棄を棚上げしてでも野党との一本化=国民連合政府構想を唱えているが、これは共産党一流の「隠れ蓑論」である。自分たちの本音を隠して、市民連合に共産党の支持が拡大すればいいと思っているのだ。

共産党が本音を捨てることはけっしてない。野党の一本化に成功すれば、徐々に狼の本性を表して、せっせと自分たちの勢力拡大にいそしむだろう。他の野党もそれが分かっているから、本気で共産党の話に乗れないのである。

共産党には国民連合政府などという隠れ蓑論はさっさと撤回して、ぜひ純化路線をお勧めする。本音で勝負したほうが「ヤル気が見えない野党より共産党のほうがマシ」と考える支持者が増えるのではないか(ただし政権獲得は望むべくもない)。

「市民連合」という名で思い出すのは、70年代に一世を風靡した「ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)」だ。ベ平連はもっぱら街頭デモが中心で「名乗れば、だれでもベ平連」という具合に市民が勝手に集まった団体だった。

今度の市民連合はデモでなく、選挙応援が中心になるのだろう。はたして野党候補の演説に安保法廃止を掲げる「市民連合」の旗がたなびいて、国民の支持が集まるかどうか。「野党はどれもこれも一緒」とみられて、そろって沈没という逆効果にならなければ良いが…。

 ≫(現代ビジネス:長谷川幸洋「ニュースの深層」)

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●「空気」を知るには有効なデータ 毎日新聞「日本の世論2015」

2015年12月25日 | 日記
移ろう中東、変わる日本 2012-2015
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●「空気」を知るには有効なデータ 毎日新聞「日本の世論2015」

注:筆者コメ省略

■日本の世論2015 毎日新聞・埼玉大共同調査(その1)
 戦後70年、成長の記憶 毎日新聞と埼玉大学社会調査研究センターによる郵送世論調査「日本の世論2015」は、戦後70年を振り返った「過去」、少子高齢化が進む「現在」、子や孫の世代を展望した「未来」をテーマに実施した。敗戦から立ち直った「高度成長」のイメージで記憶されている戦後70年。現在の安倍政権に対する評価は低くはないものの、人口減や格差拡大など、現代社会の抱える不安は大きい。将来への道筋を政治が示せない中、身近な幸せを大切にして生きる人々の暮らしが見えた。

 ■過去は評価、現在に不満 
戦後70年を迎えた2015年。安倍晋三首相は戦後70年談話で平和国家としての日本の歩みを強調した。今回の調査では「戦後70年の日本社会」と「安倍内閣3年間の日本社会」について評価を聞いた。  安倍内閣の評価は悪くはないものの、戦後70年の高評価には及ばなかった。
 評価項目は(1)民主的な政治(2)暮らし・経済(3)日本の国際的地位(4)文化・芸術・スポーツ(5)医療・介護・福祉−−の五つ。項目ごとに「お おいに良くなった」5点▽「少し良くなった」4点▽「変わらない」3点▽「少し悪くなった」2点▽「とても悪くなった」1点−−の5段階で採点してもら い、回答者全体の平均点を集計した。
 戦後70年の項目別評価は(1)3・7点(2)3・9点(3)3・7点(4)4・0点(5)3・7点。各項目で回答者の6割以上が「良くなった」(「おおいに」と「少し」の計)と答え、7割を超えた(4)は4点に到達。ほかの4項目も軒並み4点に迫る高評価となった。
 安倍内閣3年間の評価は(1)2・7点(2)2・8点(3)3・0点(4)3・3点(5)2・8点。各項目で回答者の半数前後が「変わらない」を選んで おり、安倍内閣のもとで日本社会が良い方向に向かっているとの実感は乏しい。(4)が3点を超えたのは、20年東京五輪の招致などが評価を押し上げたため とみられる。
 安倍内閣の(1)の評価が低いのは、安全保障関連法を巡る政府・与党の対応が非民主的な印象を与えた結果と推測される。内閣支持層では3・3点だったの に対し、不支持層では2・1点。安倍首相の政権運営を民主的とみるかどうかが、支持・不支持の分岐点の一つになっているようだ。
 (2)と(5)の評価も低いが、その背景は若干異なる。内閣支持層の平均点を見ると、(5)は3・1点で、(2)の3・3点より低い。安倍首相の経済政 策「アベノミクス」は内閣支持層では一定の評価を得ているが、年金不安などを払拭(ふっしょく)できない社会保障政策への不満が内閣支持層にもくすぶって いると言えそうだ。
 戦後日本の歩みは安倍首相も高く評価しているが、一方で首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正に強い意欲を示す。調査では、戦後の日本の繁栄に憲法が「役立った」との回答が9割近くに達した。
 過去の日本を高く評価しつつ、政治の現状には厳しい目を向ける複雑な民意の一端が浮かび上がった。

 ■日米安保7割が肯定
 2015年は、集団的自衛権の限定行使を容認する安保法を巡って国論が二分され、南シナ海での米中緊張などもあって「外交・安保」への関心が高まった年でもあった。
 日本が最も関係を深めていくべき国や地域を選んでもらったところ、過半数の54%が「米国」と回答。2位は「東南アジア諸国」の19%で、隣国の「中 国」は7%、「韓国」は2%にとどまった。台頭する中国に日米同盟の強化と東南アジア諸国などとの関係強化で対抗するのが安倍首相の外交方針。慰安婦問題 などで冷え込んだ日韓関係も国民意識に影を落としている。
 日米安全保障条約について「これまで通り維持すればよい」と答えたのは58%。「これまで以上に強化すべきだ」の13%と合わせ、肯定的な回答が7割を 超えた。「将来はなくすべきだ」は11%、「ただちになくすべきだ」は2%だった。前年の調査では「強化」8%、「維持」51%、「将来はなくすべきだ」 24%。日米安保を基軸とする政府の外交方針が広く支持されていると言えそうだ。
 米国、中国、韓国、ロシアの4カ国についてはどの程度、親しみを感じるかを5点満点で点数化してもらった。  回答者全体の平均点は米国3・7点、韓国2・1点、中国とロシアはともに1・8点。前年と大きく変わらなかった。
 10年後の4カ国との関係についても5点満点で評価してもらった。5点なら「良くなっている」、1点なら「悪くなっている」として点数化。中間の3点を超えたのは米国の3・5点だけで、韓国とロシアは2・4点、中国は2・2点だった。
 日中韓首脳会談が3年半ぶりに開かれたが、中韓両国との関係改善にはなお悲観的な見方が強い。

 ■6割超える「脱原発」派
 日本の原子力発電所については「減らすべきだ」が39%、「なくすべきだ」が25%で、合わせて6割以上が脱原発志向だった。安倍政権は原発の再稼働を 進めているが、「今のまま維持すべきだ」は30%、「増やすべきだ」は3%。内閣支持層でも「維持」は40%で、「減らす」39%、「なくす」14%だった。
 不支持層では脱原発派が8割近くを占めた。
 「減らす」「なくす」と答えた人には、原発に代わるエネルギーについても尋ねた。85%が「太陽光や風力などの再生可能エネルギーを増やす」と回答。「節電などで電力需要を減らす」は10%、「石油や石炭などの化石燃料を増やす」は1%にとどまった。

■天皇に親しみ65%
 象徴天皇制に移行して70年近く。現在の天皇陛下が即位した1989年からは四半世紀が過ぎた。「今の天皇に親しみを感じるか」の質問には「感じる」が 65%を占め、「感じない」は8%、「どちらともいえない」が26%だった。年代が高くなるほど親しみを感じる割合が増える傾向にあり、20代で5割、 30〜40代では6割、50代以上では7割が「感じる」と答えた。

 ■衆院選改革、4割「小選挙区重視」
「今のままでよい」3割 比例で復活当選「おかしい」68% 
今回の調査では衆院選挙制度に関する意識を探った。「小選挙区の比重を増やすべきだ」が22%、「小選挙区だけにすべき だ」が17%で、4割が小選挙区重視の方向での改革論議を求めた。「比例代表の比重を増やすべきだ」は5%、「比例代表だけにすべきだ」は2%にとどまっ た。
 小選挙区比例代表並立制で初めて行われた1996年衆院選から来年で20年。調査では30%が「今のままでよい」と答え、ある程度は定着したと言える。 その前は定数3〜5人程度の中選挙区制だったが、「中選挙区制に戻すべきだ」と答えたのは14%。中選挙区制の衆院選を何回も経験した60代以上では2割 を超えた。中選挙区制を経験していない20〜30代は「今のままでよい」が4割を超えた。  投票の仕組みを複雑にしている比例代表への抵抗感は根強い。調査では、投票の際に「候補者名を書く小選挙区」と「政党名を書く比例代表」のどちらをより 重視するかも質問。「小選挙区」が61%を占めた。「比例代表」は15%にとどまり、「どちらともいえない」が22%だった。
 人に投票する小選挙区と比べ、自分の投票でだれが当選するかがわかりにくい比例代表。その仕組みをさらに複雑にしているのが、小選挙区で落選した候補者 が比例代表で復活当選する重複立候補制度だ。調査では「落選したのに議員になれるのはおかしい」との回答が68%を占め、「比例代表で救済されるのは良い ことだ」の10%を大きく上回った。「わからない」が20%と、複雑な仕組みへの戸惑いがうかがわれる。
 調査では、各種の選挙について関心度の順位をつけてもらった。集計した順位の高い順に(1)衆院選(2)市区町村長選(3)都道府県知事選(4)参院選(5)市区町村議選(6)都道府県議選となり、地方議員の選挙に対する関心は低い。  地方議会については、首長や行政へのチェック機能を果たしていると思うかも尋ねた。「わからない」が44%、「果たしていない」が43%で、「果たしている」は11%だった。

■主な質問と回答
◆あなたは安倍内閣を支持しますか、支持しませんか、それとも関心がありませんか。                                   
                     全体 前回   男性  女性
支持する                 40(44)  43  37
支持しない                39(31)  40  38
関心がない                19(23)  15  23

◆あなたはどの政党を支持していますか。
自民党                  35(38)  37  34
民主党                   8 (4)  10   6
公明党                   4 (4)   3   5
維新の党                  1 (3)   1   1
共産党                   3 (3)   3   3
おおさか維新の会              4       4   3
社民党                   1 (0)   1   1
生活の党                  1 (0)   1   0
次世代の党                 0 (0)   0   0
日本を元気にする会             0       −   0
新党改革                  − (−)   −   −
その他                   1 (0)   1   1
支持政党はない              41(43)  37  44

◆2度目の安倍内閣が発足してまもなく3年を迎えます。安倍内閣になってからの日本の社会は、どのようになったと思いますか。 <以下は「1とても悪くなった〜5おおいに良くなった」の平均点>

民主的な政治                2.7     2.7 2.7
暮らし・経済                2.8     2.9 2.8
日本の国際的地位              3.0     3.0 2.9
文化・芸術・スポーツ            3.3     3.3 3.3
医療・介護・福祉              2.8     2.8 2.7

◆日本国憲法の第9条には次のように書かれています。 「(1項)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。(2項)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」 ◇あなたは「1項」を改正すべきだと思いますか。

改正すべきだ                 17      24  10
改正すべきではない              57      57  56
わからない                  24      17  30

◇あなたは「2項」を改正すべきだと思いますか。
改正すべきだ                 23      33  15
改正すべきではない              46      47  44
わからない                  28      18  37

◆戦後の日本の繁栄に、今の憲法が果たしてきた役割をどう評価しますか。
かなり役立った                34      37  31
ある程度役立った               52      49  55
あまり役立っていない              9       9   9
全く役立っていない               2       2   1

◆戦後70年間で、日本の社会はどのようになったと思いますか。 <以下は「1とても悪くなった〜5おおいに良くなった」の平均点>
民主的な政治                3.7     3.7 3.7
暮らし・経済                3.9     3.9 3.9
日本の国際的地位              3.7     3.7 3.7
文化・芸術・スポーツ            4.0     4.0 4.1
医療・介護・福祉              3.7     3.8 3.7

◆日本の原子力発電所について、あなたの考えに最も近いのは次のどれですか。
増やすべきだ                  3       4   2
今のまま維持すべきだ             30      32  28
減らすべきだ                 39      37  41
なくすべきだ                 25      24  25

◇<「減らすべきだ」「なくすべきだ」と答えた方に>原発にかわるエネルギーについて、あなたの考えに最も近いのは次のどれですか。注:省略

◆あなたは今の天皇に親しみを感じますか、感じませんか。
親しみを感じる                 65      61  68
親しみを感じない                 8      11   5
どちらともいえない               26      26  25

◆あなたは、お住まいの都道府県や市区町村の地方議会が、首長や行政へのチェック機能を果たしていると思いますか。 注:省略

◆日本は戦後、米国との同盟関係を重視してきました。これからの日本はどの国・地域との関係を最も深めていくべきだと思いますか。
米国                      54      56  53
中国                       7       8   6
韓国                       2       2   3
インド                      2       3   2
ロシア                      1       1   1
東南アジア諸国                 19      20  18
ヨーロッパ諸国                  6       5   6
その他                      4       3   5

◆日米安全保障条約について、あなたの考えに最も近いのは次のどれですか。
これまで以上に強化すべきだ           13      16  11
これまで通り維持すればよい           58      60  55
将来はなくすべきだ               11      13   9
ただちになくすべきだ               2       1   2
わからない                   15       8  21

◆米国、中国、韓国、ロシア各国との関係についてお尋ねします。 ◇四つの国に対し、どの程度「親しみ」を感じますか。 <以下は「1親しみを感じない〜5親しみを感じる」の平均点>
米国                     3.7(3.7)3.8 3.6
中国                     1.8(1.7)1.8 1.8
韓国                     2.1(2.0)2.0 2.2
ロシア                    1.8(2.0)1.8 1.8

◇四つの国と日本との10年後の関係は、現在と比べてどう変化していると思いますか。 <以下は「1悪くなっている〜5良くなっている」の平均点>
米国                     3.5(3.5)3.5 3.4
中国                     2.2(2.2)2.2 2.2
韓国                     2.4(2.3)2.3 2.4
ロシア                    2.4(2.5)2.4 2.4

◆公職選挙法は、国会議員をはじめ、知事や市長、県議会や市議会の議員などの選挙について定めています。次の選挙について、あなたの関心の高い順に1から6までの数字を記入してください。
注:省略
◆衆議院議員の選挙では、投票する際に「小選挙区」では候補者名を、全国を地域別に分けた「比例代表」では政党名を投票用紙に記入します。あなたはどちらの投票をより重視しますか。
◆衆議院では現在、選挙制度改革について議論されています。これについて、あなたの考えに最も近いのは次のどれですか。 注:省略
◆衆議院議員の選挙では、「小選挙区」の候補者が「比例代表」でも重複して立候補でき、小選挙区で落選しても、比例代表で復活当選できます。重複立候補について、あなたの考えに近いのはどちらですか。 
注:省略

 毎日新聞・埼玉大共同調査(その2止) 身近な幸せ、募る不安

 ■産み働ける社会に
「日本の世論2015」では、少子高齢化による「人口減少社会」の問題を取り上げた。 生産年齢人口(15〜64歳)が減少していく中、労働力を確保するのに何が最も有効だと思うかを聞いたところ「仕事を持たない人の雇用を促す」を選んだ人 が47%、「出生率の向上をはかる」が37%を占めた。「仕事を持っている人の生産性を上げる」は6%、「外国からの移民を増やす」は3%。人手不足を外国人労働者で補うことも議論されているが、移民の受け入れに対する抵抗感は根強い。
  「仕事を持たない人」としては失業者のほか、出産や育児で職を離れた女性、定年退職した高齢者らが想定される。安倍晋三首 相は「1億総活躍社会」の実現へ向け就労環境の整備を図る方針を示すとともに、昨年1・42まで低下した合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの 数の推計値)を1・8に向上させる目標を掲げる。政権の問題意識と調査結果に表れた国民意識の傾向は重なる。
 出生率の向上を図るには、出産後も女性が働き続けられる職場環境や制度が求められる。調査では、女性が働きやすい環境をつくる政府や企業の取り組みとして何が最も重要だと思うかも質問。「産休や育休をとりやすくする」との回答が25%、「在宅勤務など柔軟な勤務体系の導入」が24%と、職場環境の改善を 求める声が強かった。子どもを安心して預けられるよう「待機児童の解消」を選んだ人は21%だった。
 「長時間労働の是正」は11%。育児と仕事の両立には家事を分担する父親の存在も重要だが、長時間労働が男性の育児参加を阻む要因として意識されていることもうかがわれる。
 安倍首相が呼びかけている「指導的地位に就く女性の割合を増やす」は6%。政府は、配偶者控除制度の収入制限が女性を専業主婦やパート勤務に押しとどめているとの考えから制度の廃止も検討しているが、「配偶者控除の撤廃」を選んだ人は5%だった。
 政府は家族間の支え合いを促そうと3世代同居住宅の整備を「1億総活躍プラン」に盛り込む方針。調査で「最も暮らしたいと思う住まい方」を尋ねたところ 「2世代世帯(親と子)」36%▽「3世代世帯(親と子と孫)」32%▽「1世代世帯(夫婦だけ)」22%▽「1人世帯」5%−−の順となった。20〜 40代では「2世代」が5割、50代以上では「3世代」が4割近くを占め、年代層が上がるほど3世代同居を望む割合が増える傾向にある。
 人口減少は都市部より地方で深刻だ。「地方創生」の取り組みとして首都圏の中高年層に地方移住を促す政府方針については「賛成」が35%で「反対」の23%を上回った。ただ、40%が「わからない」と答え、国民の間に理解が広がっているとは言い難い。

 ■不平等感、7割超
現在の日本では、どのような境遇に生まれ育っても、社会的な地位や経済的な豊かさを得るチャンスは平等にあるのだろうか。調査では、「平等にはない」との回答が72%に達し、「平等にある」の27%を大きく上回った。  では、将来の日本はどうか。子どもや孫の世代になったらとの質問にも「平等にはない」72%、「平等にある」26%。現在、将来のいずれについてもほぼ同じ回答結果となった。
  「現在、平等にはない」と思う人のうち95%は「将来も平等にはない」と回答。一方、「現在、平等にある」と答えた人のうち、「将来も平等にある」と思う人は86%だった。「格差の拡大」が指摘される中、「格差の固定化」を懸念する人も多いようだ。
 戦後の高度経済成長を経て、一時は「1億総中流社会」が流行語にもなった。調査では、日本社会を五つの層に分けた場合、自分がどの層に入ると思うかも質 問。「中の下」が最多の37%で、「下の上」24%、「中の上」19%、「下の下」6%、「上」1%だった。「中の下」は前年から4ポイント減ったもの の、「中の上」と「中の下」を合わせた「中」の層に過半数が入る傾向は変わっていない。
 一方、10年後の日本が今より住みやすい国になっていると「思う」との回答は10%にとどまり、「思わない」が59%と過半数を占めた。「思わない」は 前年より8ポイント減ったものの、「思う」は1ポイント増の横ばい。10年後という近い将来に対して悲観的な人が6割前後を占める傾向は2013年の調査 から変わっていない。
 日本が抱える社会問題や政策課題を15項目列挙して不安に思っているものを複数選んでもらったところ、「年金」を選んだ人が81%と、3年続けて最も多 かった。次いで「医療」50%▽「自然災害」47%▽「巨大地震」46%▽「地球温暖化・異常気象」44%▽「原発・エネルギー」39%▽「所得」 36%−−など。安倍政権は「税と社会保障の一体改革」として17年4月に消費税率を現行の8%から10%に引き上げる予定だが、年金・医療などの社会保 障に対する不安はなお大きい。
 格差拡大の懸念に将来への不安が重なり、「機会均等」という民主主義社会の根幹に対する信頼が揺らいでいると言えそうだ。

 ■「家族」で増す幸福感
 人生における「幸せ」とは何か。最も重要だと思うことを五つの選択肢から挙げてもらったところ、「健康であること」が 51%で最多。続いて「家族や友人がいること」が19%、「暮らしていけるお金があること」が18%で並んだ。「生きがいや夢中になれるものがあること」 は8%、「社会的地位や評価があること」は1%にとどまった。
 生活の基礎となる健康と経済力があり、家族や友人と支え合って生きていけたら−−。そんな人生観が調査結果からは浮かぶ。  年代別に見ると、高齢になるほど「健康」の割合が上がり、若い層ほど「家族や友人」を重視する傾向が表れた。20代は4割が「家族や友人」を選び、「健 康」は2割。60代以上は「健康」が6割を超えた。40代は4割が「健康」と答える一方、4人に1人が「お金」を選び、子どもの教育費や住宅ローンに悩む 中年層の悲哀もにじむ。
 性別で目立った違いはなかったが、子どもの有無で意識差が見られた。子どもがいる人では「健康」が57%。これに対し、いない人では「健康」が35%に 下がり、「家族や友人」24%、「お金」20%、「生きがいや夢中になれるもの」16%と分散している。子どもの健康な成長を願う気持ちが「幸せ」の感じ 方にも影響しているのかもしれない。
 では、現実に幸福と感じているのかどうか。「ある程度、感じている」が66%を占め、「大いに感じている」の9%と合わせて7割以上が幸福感を持って暮 らしている。「あまり感じていない」は21%、「全く感じていない」は3%。2013年の調査から傾向は変わらない。
 世帯構成で見ると、1人世帯では幸福と感じている人が6割強にとどまる一方、1世代・2世代・3世代世帯では8割前後に上り、家族の存在が幸福感を増す傾向がうかがわれる。
 今の生活に「ある程度、満足している」との回答は58%で、「大いに満足している」の4%と合わせると6割を超える。「あまり満足していない」は 29%、「全く満足していない」は8%。生活に満足している人の96%が幸福と感じ、満足していない人の59%は幸福と感じていない。
 世帯収入が多いほど生活満足度も上がる傾向にある。幸福を実感しながら生活できるかどうかには、家族の存在と経済力が深く関係していると言えそうだ。

 ■同性婚 世代、性で意識差 
注:省略

 ■主な質問と回答
◆あなたは今の生活に満足していますか。
                               全体  前回  男性 女性
大いに満足している                       4  (7)  5   4
ある程度、満足している                    58 (58) 55  61
あまり満足していない                     29 (28) 32  27
全く満足していない                       8   (7)  8   8

◆あなたは現在、どの程度幸福と感じていますか。
大いに感じている                         9 (12)  7  11
ある程度、感じている                      66 (64) 65  67
あまり感じていない                       21 (20) 24  18
全く感じていない                         3  (3)  4   3

◆10年後の日本は今より住みやすい国になっていると思いますか、思いませんか。
思う                              10  (9) 13   7
思わない                            59 (67) 60  57
わからない                           31 (23) 26  35

◆今の日本社会を以下に挙げる五つの層に分けたとすると、あなた自身はどれに入ると思いますか。
上                                1  (2)  2  1
中の上                             19 (18) 19 18
中の下                             37 (41) 37 37
下の上                             24 (23) 27 22
下の下                              6  (5) 7  6
わからない                           10 (10) 6 13

◆あなたは、近所の公園や電車、バスなどでの子どもの声は騒音だと感じますか、感じませんか。
騒音だと感じる                          7 (10) 7  6
騒音だとは感じない                       71 (69)74 69
どちらともいえない                       20 (19)17 22

◆あなたの世帯では、去年の今ごろと比べて、ひと月に使うお金が増えましたか、減りましたか。
増えた                             41 (48) 38 44
減った                             19 (22)18 20
変わらない                           38 (29)42 35

◆あなたの「幸せ」にとって、最も重要なのは次のどれですか。
健康であること                         51    48 53
暮らしていけるお金があること                  18    18 18
家族や友人がいること                      19    19 19
社会的地位や評価があること                    1     1  0
生きがいや夢中になれるものがあること               8    11  5

◆東京都の渋谷区と世田谷区は、男性同士、女性同士の同性カップルを公的に認める制度を作りました。あなたはこの制度を評価しますか、評価しませんか。
評価する                            42    36 48
評価しない                           26    35 19
わからない                           29    26 31

◆日本がかかえる社会問題や政策課題の中で、あなたが不安に思っていることがらを選んでください。(いくつでも)
就職                              25(27)23 27
失業                              21(22)20 22
所得                              36(40)38 34
年金                              81(85)80 81
医療                              50(49)48 51
教育                              26(27)25 27
治安                              31(29)29 32
1人暮らし                           22(24)23 21
インターネット社会                       26(24)22 29
原発・エネルギー                        39(41)39 38
地球温暖化・異常気象                      44(50)39 49
巨大地震                            46(47)40 50
自然災害                            47(45)42 51
外交                              26(25)30 22
憲法改正                            33(24)32 35
その他                              3 (3) 3  3

◆あなたが最も暮らしたいと思う住まい方を選んでください。
注:省略
◆少子高齢化で、15歳から64歳までの生産年齢人口は年々減少していきます。今後、国内の労働力を確保していく上で、あなたは何が最も有効だと思いますか。
出生率の向上をはかる                      37    40 34
外国からの移民を増やす                      3     4  2
仕事を持たない人の雇用を促す                  47    44 49
仕事を持っている人の生産性を上げる                6     6  7
その他                              3     2  4

◆女性が働きやすい環境をつくるために、政府や企業の取り組みとして、あなたは何が最も重要だと思いますか。
注:省略
◆政府は、地方を活性化する「地方創生」の取り組みとして、首都圏の中高年層に地方への移住を促す方針です。あなたはこの方針に賛成ですか、反対ですか。
賛成                               35    41 30
反対                               23    23 23
わからない                            40    34 45

◆現在の日本では、どのような境遇に生まれ育っても、社会的な地位や経済的な豊かさを得るチャンスは平等にあると思いますか。
平等にある                            27    30 24
平等にはない                           72    69 74

◆将来、あなたの子どもや孫の世代になっても、社会的な地位や経済的な豊かさを得るチャンスは平等にあると思いますか。
平等にある                            26    30 23
平等にはない                           72    68 75  

*一部省略
≫(毎日新聞)

*主な質問回答の合計、男女差などの数字列整合不調があります。

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● “官邸圧力、天皇に通ぜず” 戦争の悲惨と平和の尊さを切々と

2015年12月24日 | 日記
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● “官邸圧力、天皇に通ぜず” 戦争の悲惨と平和の尊さを切々と

昨日のコラムで、心配するような出来事は起きなかった。会見に臨み天皇陛下は、安倍官邸の陰ひなたに亘る嫌がらせや圧力に、お見事と云う水準で、厳しくカウンターとも思われる戦後70年の歴史に触れられた。特に印象的なことは、戦争によって犠牲になったのは、軍人だけの問題ではなく、多くの民間人の犠牲を忘れることは出来ないと、強くクローズアップして語っている部分は、安倍官邸や日本会議の連中には、酷く鼻じらむお言葉だったろうと推察する。筆者には、靖国に祀られている人々だけが、お国の為に犠牲を払った歴史ではなく、民間人はじめ、アジアの人々の犠牲も、同じ価値の尊い命が失われた。そんな感じに、彼らの一部礼賛言動を諫めているようにも読み解けた。

まさに、その証左ではないが、読売・産経は木で鼻を括る「天皇記者会見」の扱いだったが、朝日・毎日は、相当力を入れて報道していた。報道ステーションは、昭和天皇メッセージと沖縄米軍基地問題を絡ませて、昭和天皇の晩年の心の葛藤と、今生天皇の、その葛藤の心を受け継ぐ身を削ってでも実行しようという、その決意に、一定以上の評価をみているようだった。NEWS23は見損なったが、おそらく、NHKや日テレ、フジと異なる報道姿勢であったと想像する。

毎日新聞が、埼玉大学との共同で「日本の世論」と云う世論調査を行っている。26面、27面で、その調査の結果を公表している。相当に興味深い結果が出ていた。取り急ぎ、コンビニで久々に毎日新聞23日号を購入しておいたので、この「日本の世論」は多岐にわたる調査で、よく答えてくれたなと云う水準の調査なので、明日、じっくりと、その辺を検証してみたいと思う。


 ≪ 天皇陛下、82歳に 「先の戦争を考え過ごした1年」
天皇陛下は23日、82歳の誕生日を迎え、これに先立ち記者会見した。戦後70年の今年を「様々な面で先の戦争のことを考えて過ごした1年」と振り返り、年々戦争を知らない世代が増えるなかで「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」と話した。 天皇陛下は、会見の半分ほどの時間を使って戦争や平和への思いを語った。民間人の犠牲が大きかったことに触れ、「平和であったならば、社会の様々な 分野で有意義な人生を送ったであろう人々が命を失ったわけであり、このことを考えると非常に心が痛みます」と述べ、民間船員の犠牲に言及した際には感極まった様子で言葉を詰まらせた。(島康彦、伊藤和也)   
   ◇
 ■戦後70年、思い切々と
 82歳の誕生日を前に、記者会見に臨んだ天皇陛下。戦後70年の節目が終わろうとする年の瀬に、戦争や平和に対する思いを切々と口にした。
 天皇陛下は戦時中、民間人の犠牲が大きかったことに触れ、代表例として民間の船員を挙げた。戦時中、軍に徴用され、物資の輸送や監視業務にあたった民間船は軍艦に守られることもなく海に沈んだ。船員の犠牲は6万人を超え、3割は20歳未満の少年だった。天皇陛下は長く思いを寄せ、神奈川県横須賀市の慰霊碑に7回足を運んでいる。
 天皇陛下はそうした「外国航路の船員になることも夢見た人々」が犠牲になったと紹介。「制空権がなく、輸送船を守るべき軍艦などもない状況下でも輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを本当に痛ましく思います」と話す際は声がかすれ、思いがあふれたように見えた。幼少時に楽しんで見ていた絵はがきにあった船は、その大半が海に沈んだことを後に知ったとも明かした。
 4月に慰霊に訪れた太平洋戦争の激戦地・パラオ共和国については、海に無数の不発弾が沈み、処理に大変な時間がかかることを知ったとして「先の戦争が島々に住む人々に大きな負担をかけるようになってしまったことを忘れてはならないと思います」と述べた。
 一方、今年の喜ばしい出来事として大村智、梶田隆章両氏のノーベル賞受賞を挙げた。関東・東北豪雨などの自然災害については「困難に遭遇している人々を助けようという気持ちが日本人の中に豊かに育っていることを非常に心強く思います」と述べた。
 自身については「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と明かし、「一つひとつの行事に注意深く臨むことによって少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」と語った。8月の全国戦没者追悼式でお言葉のタイミングを誤ったり、10月の全国豊かな海づくり大会で式典中に段取りを確認したりしたことが念頭にあったとみられる。
 宮内庁が、天皇陛下の公務を同年齢時の昭和天皇と比較したところ、都内や地方への訪問は約2倍、赴任大使との面会などは約5倍だった。天皇陛下は公務負担の軽減について「しばらくはこのままでいきたい」との意向を示しているが、宮内庁は負担軽減策を模索している。 ≫(朝日新聞デジタル)



≪ 災害に胸痛め、ノーベル賞の2人に喜び 
陛下の会見全文
天皇陛下は82歳の誕生日を前に記者会見に臨んだ。全文は次の通り
 ◇
【宮内記者会代表質問】
 今年は自然災害などいたましい出来事があった一方、日本人2人がノーベル賞を受賞するなど、明るい話題もありました。天皇陛下は戦後70年の節目に当たり、新年のご感想で「満州事変に始まる戦争の歴史を学び、今後の日本のあり方を考えることが極めて大切」と述べられ、パラオをはじめ、国内外で慰霊の旅を重ねられました。また、全国戦没者追悼式では「さきの大戦に対する深い反省」という表現を新たに用いてお言葉を述べられたほか、玉音盤の原盤や、御文庫附属庫の公開もありました。年明けには、フィリピンへの公式訪問が予定されています。
 戦争や平和への思いに触れながら、この1年を振り返るとともに、来年へのお考えをお聞かせください。

【天皇陛下】
今年の自然災害としては、まず5月に鹿児島県の口永良部島の新岳(しんだけ)が噴火して、海岸まで達する火砕流が発生し、全島民が島から避難したことが挙げられます。火砕流は雲仙岳の噴火災害のお見舞いに行った時に見ましたが、海岸まで達する火砕流は本当に恐ろしい光景だったと思います。島民は幸い皆無事でしたが、まだ避難生活が続いていることに心を痛めています。

 9月には豪雨により鬼怒川などが氾濫(はんらん)し、8人が亡くなる大きな災害となりました。氾濫により多くの人々が家々に閉じ込められ、どんなにか不安な時を過ごしたことかと思います。自衛隊を始めとするヘリコプター等の救助活動により、人々が無事に救出されたことは本当に幸いなことでした。危険を伴う救出活動に携わった人々に深く感謝しています。水につかった家屋や田畑の復旧作業には多くの労力を必要とするもので、多数のボランティアが協力してくれていることをうれしく思っています。困難に遭遇している人々を助けようという気持ちが日本人の中に豊かに育っていることを非常に心強く思います。後日、常総市の被災地をお見舞いしましたが、泥水につかった田畑が広がり、苦労して作物を育ててきた人々の気持ちはいかばかりかと察せられました。

 今年の喜ばしい出来事としては、まず二人の日本人がノーベル賞を受賞されたことが挙げられます。大村博士の生理学・医学賞は、アフリカや南米で、人に感染すると盲目になる危険をもたらすオンコセルカ症を治す薬を地中の菌から作り出されたことなどの業績によるものです。私は以前、オンコセルカ症を患って盲目になった人々が連なって歩いている痛ましい映像を見ていましたので、この病気を治す薬が出来たということを本当にうれしく思いました。一方、梶田博士の物理学賞は、神岡鉱山の地下にあるスーパーカミオカンデにおけるニュートリノの研究で、ニュートリノに質量があることを見出されたことに対する授賞でした。11年前、スーパーカミオカンデを訪問したことが思い起こされました。お二人の長年にわたる地道な研究を誠に尊いものと思います。

 また、日本製のジェット旅客機が完成し、試験飛行が行われたこともうれしいことでした。かつて日本で戦後初めてつくられたプロペラの旅客機YS11の試験飛行を、羽田の空港で関係者と共に見守ったことが懐かしく思い起こされました。それから50年以上がたったわけです。

 今年は先の大戦が終結して70年という節目の年に当たります。この戦争においては、軍人以外の人々も含め、誠に多くの人命が失われました。平和で あったならば、社会の様々な分野で有意義な人生を送ったであろう人々が命を失ったわけであり、このことを考えると、非常に心が痛みます。

 軍人以外に戦争によって生命にかかわる大きな犠牲を払った人々として、民間の船の船員があります。将来は外国航路の船員になることも夢見た人々が、民間の船を徴用して軍人や軍用物資などをのせる輸送船の船員として働き、敵の攻撃によって命を失いました。日本は海に囲まれ、海運国として発展していました。私も小さい時、船の絵葉書を見て楽しんだことがありますが、それらの船は、病院船として残った氷川丸以外は、ほとんど海に沈んだということを後に知りました。制空権がなく、輸送船を守るべき軍艦などもない状況下でも、輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを本当に痛ましく思います。今年の6月には第45回戦没・殉職船員追悼式が神奈川県の戦没船員の碑の前で行われ、亡くなった船員のことを思い、供花しました。

 この節目の年に当たり、かつて日本の委任統治領であったパラオ共和国を皇后と共に訪問し、ペリリュー島にある日本政府の建立した西太平洋戦没者の 碑と米国陸軍第81歩兵師団慰霊碑に供花しました。パラオ共和国大統領御夫妻、マーシャル諸島共和国大統領御夫妻、ミクロネシア連邦大統領御夫妻もこの訪問に同行してくださったことを深く感謝しています。この戦没者の碑の先にはアンガウル島があり、そこでも激戦により多くの人々が亡くなりました。アンガウル島は、今、激しい戦闘が行われた所とは思えないような木々の茂る緑の島となっています。空から見たパラオ共和国は珊瑚礁(さんごしょう)に囲まれた美しい島々からなっています。しかし、この海には無数の不発弾が沈んでおり、今日、技術を持った元海上自衛隊員がその処理に従事しています。危険を伴う作業であり、この海が安全になるまでにはまだ大変な時間のかかることと知りました。先の戦争が、島々に住む人々に大きな負担をかけるようになってしまったことを忘れてはならないと思います。

 パラオ訪問の後、夏には宮城県の北原尾、栃木県の千振、長野県の 大日向と戦後の引揚者が入植した開拓の地を訪ねました。外地での開拓で多大な努力を払った人々が、引き揚げの困難を経、不毛に近い土地を必死に耕し、家畜 を飼い、生活を立てた苦労がしのばれました。北原尾は、北のパラオという意味で、パラオから引き揚げてきた人々が入植したところです。

 この1年を振り返ると、様々な面で先の戦争のことを考えて過ごした1年だったように思います。年々、戦争を知らない世代が増加していきますが、先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います。

 私はこの誕生日で82になります。年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました。したがって、一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです。
 今年もあとわずかになりました。来る年が人々にとって少しでも良い年となるよう願っています。
  ≫(朝日新聞デジタル)

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●西欧デモクラシーにないもの 官邸が気づかせる日本のかたち

2015年12月23日 | 日記
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●西欧デモクラシーにないもの 官邸が気づかせる日本のかたち

今日は天皇誕生日だ。リテラが「天皇誕生日を前に安倍が宮内庁に圧力」と云う記事を書いていたので、ザックリと目を通した。筆者は、特に日本国憲法における象徴天皇と云うことに限らず、明治天皇から大正天皇、昭和天皇に対して、特別な感慨を持った事はない。天皇の存在に気づいたのは、ごく最近だ。ゆえに、天皇に対しては、極めて初心者である。今上天皇を通じて、その制限された中で行われている公私に亘る言動をつぶさに観察するうちに、あることに気づいた。

あぁ、これが日本人の平均的考えの中心にあるのだろうな、と思わせる天皇皇后両陛下の行動や発言から、筆者は感じ取った。現在の天皇皇后陛下の言動情報から、芸能情報的なものを排除して観察すると、戦前、戦中、戦後の日本人の「良識」を、天皇皇后両陛下の言動の中から、垣間見ることが出来る。このことに、気づいた。無論、現時点で気づいている事は、この感慨の範囲であり、思考と云うレベルには達していない。しかし、その昔の後醍醐天皇の政治的野心意外に、歴代の天皇が、実際にどの程度、政治に参加していたのか、寡聞にして知らない。室町から江戸に至る時代において、天皇がどのようなものであったか、市民レベルで触れる機会は少ないだろう。それ程の関与がなかった事は、幕府政治であった以上、概ね頷ける。

しかし、昭和天皇には、敗戦後の日本国憲法における、象徴天皇と云う地位が、どのようなものであったか、相当に複雑な心の揺れが存在したのだろうと思われる。現在の天皇皇后陛下にしても、昭和天皇が抱いた、複雑な心模様を受け継いでいる面は存在するだろう。しかし、その複雑さは、昭和天皇とは、当事者意識において、相当にかけ離れたものなのだと推察する。そして、日本史の中で、為政者は時代により、顔ぶれはコロコロと変わったわけだが、御所におわす天皇は、有能であれ、無能であれ、政治的には、概ね現在同様に象徴的であった。

戦前までは、主権は朕にあったわけだが、実際上は、その地位を利用した時の政府の為政を追認していたに過ぎないと見立てておくのが妥当だ。このように考えると、実は明治天皇や大正天皇、昭和天皇は、自己決定権が存在しているように見せかけられていただけで、殆ど決定権は不存在だったのではないかと云う想像が成り立つ。つまり、幕府政治における天皇の地位と、見せかけは極端に権力が集中した地位のように見えていたが、今上天皇よりも遥かに自己決定権を保持していなかった実情がありそうだ。それにもかかわらず、主権は我にありと主張させられた天皇だとも解釈できる。謂わば、時の政府の囚われ人だった。

このような推論を重ねていくと、実は、憲法によって象徴化された天皇の地位の方が、断然、自己決定権を有しているという皮肉な現象に出遭える。象徴天皇なのだから、政治への口出しは立憲主義が堅持されている限り、御法度である。

しかし、象徴天皇だと、自らの地位を定義づけられた日本国憲法の立憲精神の解釈に齟齬が生まれた場合、象徴天皇の地位も危ういわけだから、政治的であろうが、倫理や道徳的であろうが、情報を発信する権利は存在するのではないかと、最近考えている。天皇を中心に“人間宣言”している、させられた?わけだから、人間としての権利が不存在と云うのは理に適わない。

こういう発想で、リテラの記事を読むと、一層味わいが出てくる。筆者は、天皇誕生日の天皇のお言葉に、大変興味がある。安倍官邸の副産物として、日本人と日本国憲法が意識させられたし、天皇の存在も際立ってきている現実をみつめ、次なる国のかたちに夢を馳せるのも素晴らしい頭の体操になる。



 ≪ 安倍政治に危機感、天皇は誕生日に何を語るのか?
  官邸が強める宮内庁への圧力、安倍ブレーンを使い天皇批判も
今日12月23日、天皇が82歳の誕生日を迎えるが、例年より一層、注目を集めているのが、恒例の記者会見で天皇がどんな言葉を語るか、だ。
「天皇と皇后両陛下は、安倍政権の改憲、右傾化の動きに相当な危機感をもたれている」
 この数年、宮内庁記者や皇室関係者の間ではこうした見方が定説になってきた。
 実際、2013年の天皇誕生日では、日本国憲法を「平和と民主主義を守るべき、大切なもの」と最大限に評価した上で、わざわざ「知日派の米国人の協力」に言及し、「米国による押しつけ憲法」という安倍首相ら右派の主張を牽制するような発言をした。
 それに加えて、今年は戦後70周年、そして戦後の平和主義を大転換する安保法制が強行された年でもある。
 天皇がこれまでよりもさらに踏み込んだ、憲法を軽視する安倍政治への警鐘を鳴らすのではないか、そんな予測が高まっているのだ。
  「それを恐れてか、官邸周辺からはしきりに、天皇の言動に最近、不安があるかのような情報が流れています。『週刊文春』なども書いていましたが、あれもおそらく官邸発。実際は少し耳が遠くなられた程度なのですが、そういう情報を流しておくことで、何か安倍政権に批判的なことを言われた場合に備え、予防線をはっているんでしょう」(宮内庁担当記者)
 もっとも、逆の見方もある。昨年あたりから、官邸が宮内庁にかなりプレッシャーをかけており、天皇、皇后が思いを素直に口にするのが難しくなっているというのだ。
 実際、2014年には、安倍政権下で教育再生実行会議委員をつとめる安倍首相のブレーン中のブレーン、八木秀次が天皇・皇后の発言を「安倍政権批 判」だと攻撃するなど、右派がさまざまなプレッシャーをかけた。その結果か、誕生日の会見も前年よりはトーンダウンしたものになった。
 はたして今年の誕生日会見がどうなるのかはまだわからないが、少なくとも天皇の安倍政権への危機感は変わっていないはずだ。いったいその危機感がどこからきているのか。それを検証した記事を再録するので、読んでもらいたい。 (編集部)

********************

▽天皇家と安倍政権が対立!? 護憲姿勢強める天皇・皇后を首相の側近が批判!
 それは、安倍首相に対して発せられたとしか思えないものだった。10月20日の誕生日を前にした文書コメントで、美智子皇后が「来年戦後70年を迎えることについて今のお気持ちをお聞かせ下さい」という質問に、こう答えたのだ。
  「私は、今も終戦後のある日、ラジオを通し、A級戦犯に対する判決の言い渡しを聞いた時の強い恐怖を忘れることが出来ません。まだ中学生で、戦争から敗戦に至る事情や経緯につき知るところは少なく、従ってその時の感情は、戦犯個人個人への憎しみ等であろう筈はなく、恐らくは国と国民という、個人を越えた所のものに責任を負う立場があるということに対する、身の震うような怖れであったのだと思います」
 実はこの皇后発言の2ヶ月前、安倍首相がA級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に自民党総裁名で哀悼メッセージを送っていたことが報道されていた。連合国による裁判を「報復」と位置づけ、処刑された全員を「昭和殉難者」として慰霊する法要で、安倍首相は戦犯たちを「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と賞賛したという。
 皇后の言葉はこうしたタイミングで出てきたものだ。しかも、それは記者からA級戦犯をどう思うかと質問されたわけではない。自らA級戦犯の話題を持ち出し、その責任の大きさについて言及したのである。
 「天皇と皇后両陛下は、安倍政権の改憲、右傾化の動きに相当な危機感をもたれている」
 宮内庁記者や皇室関係者の間では少し前からこんな見方が広がっていた。天皇・皇后は、即位した直後からリベラルな考えをもっているといわれていたが、それでも以前は、一言か二言、憲法や平和、民主主義についてふれる程度だった。それが、第二次安倍政権が発足し、改憲の動きが本格化してから、かなり具体的で踏み込んだ護憲発言が聞かれるようになったのだ。
  たとえば、昨年、天皇は誕生日に際した記者会見で、記者の「80年の道のりを振り返って特に印象に残っている出来事を」という質問にこう答えている。 「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」
 日本国憲法を「平和と民主主義を守るべき、大切なもの」と最大限に評価した上で、わざわざ「知日派の米国人の協力」に言及し、「米国による押しつけ憲法」という右派の批判を牽制するような発言をしたのである。
 また、美智子皇后は昨年の誕生日にも、憲法をめぐってかなり踏み込んだ発言をしている。この1年で印象に残った出来事について聞かれた際、皇后は、 「5月の憲法記念日をはさみ、今年は憲法をめぐり、例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます」
 としたうえで、以前、あきる野市五日市の郷土館で「五日市憲法草案」を見た時の思い出を以下のように語り始めたのだ。
  「明治憲法の公布(明治22年)に先立ち、地域の小学校の 教員、地主や農民が、寄り合い、討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で、基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務、法の下の平等、更に 言論の自由、信教の自由など、204条が書かれており、地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が、日本各地の少なくとも 40数か所で作られていたと聞きましたが、近代日本の黎明期に生きた人々の、政治参加への強い意欲や、自国の未来にかけた熱い願いに触れ、深い感銘を覚え たことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で、市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして、世界でも珍しい文化遺産ではないかと思 います」
 日本国憲法と同様の理念をもった憲法が日本でもつくられていたことを強調し、基本的人権の尊重や法の下の平等、言論の自由、信教の自由などが、けっして右派の言うような「占領軍の押しつけ」などでないことを示唆したのである。
  そして、今回のA級戦犯発言──。これはどう考えても偶然ではないだろう。この期に及んでA級戦犯を英雄視する首相に対して、「責任をとることの意味を考えなさい」と諭したとも受け取れる言葉だ。
 もっとも、安倍首相やそれを支える右派勢力にこうした天皇・皇后の発言を真摯に受けとめようという気配はまったくない。それどころか、首相の周辺からは、天皇に対する批判発言までが飛び出している。
 今年4月、安倍政権下で教育再生実行会議委員をつとめるなど、安倍首相のブレーンとして知られる憲法学者の八木秀次が「正論」(産業経済新聞社)5月号で「憲法巡る両陛下のご発言公表への違和感」という文章を発表。そこで、天皇・皇后に安倍内閣の批判をするな、と説教をしたのである。 「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」 「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」
 この憲法学者は、日本国憲法第99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という条文があることを知らないらしい。そもそも現天皇は戦後憲 法によって天皇に即位したのであり、自己の立脚基盤を憲法におくことは当然なのだ。象徴天皇制とは戦後レジームの象徴であり、だからこそ天皇と皇后は常に 戦後憲法理念である平和と民主主義の擁護を語ってきた。そういう意味では、先に喧嘩を売ったのは、その戦後天皇制の立脚点をはずしにかかった安倍政権のほ うなのだ。
 だが、彼らにこんな理屈は通用しない。ネット上では安倍首相支持者が、護憲発言を繰り返す天皇・皇后に対して「在日認定」という表現で非難するケースまで出てきている。
 これまで、安倍首相が議連会長をつとめる神道政治連盟はじめ、右派勢力は天皇を再び国家元首にかつぎあげることを公言し、天皇を中心とした祭政一 致国家の復活を声高に叫んできた。ところが、天皇が護憲や平和、民主主義を口にし始めたとたん、その存在を敵視し、天皇を棚上げするかたちで国家主義政策を進め始めたのだ。現在の天皇・皇后はむしろ、政権に疎んじられ、完全に孤立しているようにすら見える。
 しかも、こうした状況に拍車をかけているのが、マスコミの対応だ。新聞、テレビはオランダ王室との華やかな宮中晩餐会などを大々的に報道する一方で、天皇や皇后のこうした憲法発言はほとんど取り上げようとしない。 たとえば、天皇が昨年の誕生日会見で、「平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り~」と憲法に言及した部分について、NHKは安倍政権に配慮して、完全に削除してしまった。また、今年の美智子皇后の「A級戦犯」発言についても、この部分を大きく取り上げた新聞、テレビは皆無に近かった。全国紙の政治部記者がその理由をこう解説する。
  「読売、産経、NHKは安倍政権の広報機関のようなものですから、改憲に水を差すような発言は報道しない。一方、朝日などの左派系メディアは今、 弱っていますから、それを取り上げることで『天皇の政治利用だ!』 と言われるのを恐れて腰が引けている。結局、天皇陛下や皇后陛下がどんなに護憲発言をしても、国民には伝わらない、そういう状況になっています」
 この先、おそらく天皇と皇后はますます孤立を深め、何を話しても政権から無視される状態になっていくだろう。だが、そのことは、天皇が政治利用さ れる危険性がなくなるということとイコールではない。たとえば、代替わりをして、次の天皇や皇后が自分たちの意に沿う発言をしてくれるとなれば、改憲をめ ざす国家主義的勢力は確実に「天皇のお言葉を聞け」と政治利用に乗り出すはずだ。
 実際、安倍政権と一部の保守勢力はすでに皇太子、雅子妃夫妻を今の天皇、皇后とは逆の方向に導くべく動き始めているという見方もある。この件については、また稿を改めて検証してみたい。
 ≫(リテラ:社会・政治―天皇誕生日を前に安倍が宮内庁に圧力・エンジョウトオル)

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●世界経済の中の日本経済 一蓮托生、不況が定常であること

2015年12月22日 | 日記
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●世界経済の中の日本経済 一蓮托生、不況が定常であること

金融資本主義経済と云うものは、魔界の世界のようだ。打ち出の小槌に慣れ切った21世紀の資本主義亡者どもの夢の後のはじまりが、2016年幕開けとなる公算が高い。いや、もしかすると、ウォール街が、次の次なるサブプライムローン的魔術を使い、独り勝ちを演じるかもしれない。クルーグマンは、未だ好況と言われているアメリカ経済にまで“眉に唾している”状況なのだから、欧州経済など、救いようがない状況だろう。

ロシアをのけ者にした結果、中露の経済も当然のことだが停滞する。開発途上国の多くは、資源開発で糊口を凌いでいるわけだが、原油をはじめ、あらゆる商品の相場は下落傾向にあり、その勢いは止まりそうにない。途上国の経済が上向きだったのも、その資源価格に支えられていたわけだから、当然のことだが、一瞬で干上がる。彼らにとっては、国内通貨の下落幅が、最終的にハイパーインフレを起こす結果に結びつく。そんな世界経済の状況で、TPP参加国だけで、どんなものが、どんな形で経済を牽引するのか、筆者には、想像がつかない。

実需と呼ばれる真の需要がないのに、あるように見せかけたのがサブプライムローンの原理だ。安倍晋三の造語、「一億総活躍社会」なんてのも、存在しない市場が、さもあるように語るのだから、詐術的な需要創出である。つまりは、幻想的需要市場を創らざるを得なくなったと云うことだ。仮に、確実に成長しそうな市場が、わが国にあるのであれば、詐術造語を創出する必要などなく、国民が、たしかにそこに市場があると気づくものである。どこの馬の骨でも気がつく市場が、確実な成長市場である。つまりないのだ。

 週刊ダイアモンドは、雑誌の性格上、「再加速か停滞か」と銘打っているが、本来の姿を表すのであれば「停滞かリセッションか」と書くべきである。円安の猛烈な順風を受けて、その結果があの程度なのだ。円安と、アメリカ人の後先考えない消費社会のアシストを受けて、漸く達成した製造業の好決算だが、来季の見通しは、概ね減少方向を見定めている。これ以上の円安は、日銀黒田が、破れかぶれになればあり得るが、異次元金融緩和で2%インフレ目標は、彼の在任期間中に日の目を見ることは、限りなくゼロに近づいている。GDPが伸びるどころか、下手をすればマイナス成長だってあり得るのが、最近の日本経済だ。

歳入が増えた増えたと、提灯マスコミは紙面を賑わしているが、法人税等の税収ほど当てにならないものはないわけで、サラリーマンから源泉徴収する個人の所得税が減少傾向にあるとなると、これは本質的な税収不足に陥るのは確実である。国の税収と云うものは、所得税、法人税、消費税が3大税収だが、“悪徳罪務省”と野田の豚ヤロウが結託して8%にしてしまった消費税が、最も安定的税源になっている。既に、1位が消費税、2位が所得税、3位が法人税の順だ。3の法人税は、好い日もあれば悪い日もある。挙句の果てに、各種優遇税制が廃止どころか、ジャンジャン増加中なのだから、実際に法人税を真っ当に払っているのは、中堅から中小零細の企業群であり、国家の後押しを受けている企業が必ずしも、名目通りの法人税を支払うとは限っていない。

つまり、比較的確実な税収は1、消費税と2、所得税だ。その2の所得税が怪しくなってきている。そこで、当てにならない法人税には見切りをつけて、1の消費税に固執しているのが、現状の罪務省の心だ。生活者にとって、最も節約しにくいところから、頭ごなしに課税してしまおうと云うのが消費税なのだが、“敵もさるもの引っ掻くもの”で、日常の中で、国民生活者は政府と闘っている。必要なもの以外に、絶対に消費しないという腹積もりは、罪務省の悪知恵よりも堅牢だ。所得税は、払いたいほど稼ぎはなく。消費税が払えるほどひっ迫もしていない。再来年の消費税10%の既定路線は、おそらく実行は出来ないだろう。

その内、法人税減税をしたのは良いが、法人の益金そのものが減少するだろうから、Wパンチだ。所得税は伸び悩みから、低所得者層の拡大により、一層の目減りが見えている。こんな国の経済を好況だと言うのであれば、好景気なんて来なくてもイイじゃないか、と云うことだ。政権運営が上手くいっていると言わせるためだけの経済指標であって、国民生活は益々疲弊する。そんな馬鹿な経済なんてあるわけがない。現時点は、運が悪いか、努力が足りないかレベルにおける貧困問題だが、近々、国民年金生活者に確実に貧困は訪れる。これはもう、殆ど確定的だ。

社会保障関連の保険料は上がる一方。給付は下がる一方。それで、好況?どこのどいつが言っているのか知らないが、きっと株屋の連中が言っているのだろう。たしかに、週刊ダイアモンドに出てきているエコノミストは、好況だと認識しているようだ(笑)。ただ、筆者は、大いに不況が悪いと言っているわけではない。不況も好況も、実は実需が、本来の意味で景気の良し悪しを決定しているのだから、駄目なものは駄目でいいのだ。駄目が何処までの駄目で済むかが問題なわけなのだ。駄目の限界点を持って、それを、国の定常と理解すれば良いわけである。そこから、伸びるも縮むも、市場の需要次第であり、仮想や詐術的市場は不要である。

この原理を歪めるのが金融資本主義の大罪なのだ。どうしても、もっと経済成長を望むのであれば、国内市場を大きくするしかない。国内市場を大きくするためには、人工的な人口増加は避けて通れない。つまり移民の受け入れだ。しかし、日本人が、その精神的ハードルを越えたとしても、移住してくる側が、日本を選ぶかどうか、これからは疑問符がつく。ここ数年で、日本人の排外主義は筋金入りなのでは?と疑われる出来事が増えているし、日本会議のような連中の場合は、白人崇拝主義と共通理念があるので、アジアの人々には抵抗のある国際国家だ。まあ、結論は、縮み思考の方が、正しい自己認識に至るだろう。正しい自己認識があった上で、将来の自国のイメージを描く道かてを経ないことには、何時までも、宙で踊っているだけだ。


 ≪ 2016年は再加速か停滞か
   “息切れ”する世界と日本の経済

『週刊ダイヤモンド』2015年12月26日・2016年1月2日新年合併特大号は「2016年総予測」。来年はいったいどのような年になるのか、166ページで占った。 世界はどこに向かうのか。進路を占うキーワードは「再加速か停滞か」にある。
 リーマンショック直後、世界の経済は「集中治療室」の中にいた。金融政策や財政政策などさまざまな景気浮揚策が打たれ、天文学的な金額がつぎ込まれた。
 その“治療”が功を奏し、世界経済は再び浮上、加速モードに入った。日本の株価は3年で2.5倍になり、中国は世界経済をけん引、米国も力強く回復している。
 だが、治療は代償を伴った。病み上がりならば早々に自律回復させるのが望ましかったが、各国経済はその後も“通院”と“服薬”をやめられず、強い副作用に襲われることになる。2015年夏、中国の株価暴落が引き金となって世界中にパニックが波及。本来は正常化の道筋である米国の金利引き上げも、 人々はリスクとして強く意識し始める。
 停滞感が強く漂う今、世界経済が再加速するためには、どうすればいいのか。  本来、難局には各国が連携して立ち向かうべきだが、利害の対立は深まるばかり。アジア太平洋地域にも不協和音は響く。
 例えば、貿易面では日米が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)に中国は対抗意識を見せ、金融面では、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立、日米は参加を見送った。
 人民元が国際通貨としてのお墨付きを得たことで自信をつけ、軍事面でも南シナ海などで拡張主義に走る中国に対し、米国の次期大統領がどう動くのかも注目だ。
 世界を眺めても、米欧中ロシアといった大国の足並みはそろわない。皮肉なことに、頻発するテロの脅威が各国の協力関係を強化する“磁力”となっている。
 日本経済も正念場だ。多くの企業が最高益を塗り替えてはいるが、利益は内部に蓄えたまま。設備投資を積極化するでもなく、賃上げにも向かわないため家計は潤わず、消費増加に結び付いていない。
 17年4月には消費増税を控え、再び景気腰折れ懸念も漂う中、賞味期限が迫るアベノミクスには厳しい視線が注がれる。増税とセットでの導入で決着した軽減税率も16年7月の参議院議員選挙対策との見方が根強く、バラマキ批判も巻き起こる。
 世界も日本も、直面する試練の解をどう見つけるか、問われる年になりそうだ。 166ページ、650円でわかる 2016年の日本と世界のもろもろ  2016年、経済は上向くのか、それとも停滞するのか。
『週刊ダイヤモンド』2015年12月26日・2016年1月2日新年合併特大号は「2016年総予測」。
 2016年ははたしてどのような年になるのか、各界の第一人者、専門家と本誌記者が「経済」「産業・企業」「政治・社会」「地方」「国際」「働き方」「消費」「スポーツ・文化」の8分野、76項目に渡り、予測しました。ページ数は166ページで、価格は新春お年玉価格の650円です。
 日本や世界の経済に漂う雰囲気は、「バブル」よりも「息切れ感」です。再加速できるかどうかにより、景気、株価、為替の水準はまったく異なるか ら、気になるところです。そこで、延べ23人のアナリストに予測をお願いしました。株価の予測では24000円の予測をつけたアナリストもいます。そし て、2020年の東京オリンピックまで地価はどのように動くのかも紹介。
 企業業績は最高益を塗り替えてはいるものの、アベノミクスの成否は予断をゆるしません。日本をはじめとした各国の経済政策の今後も予測しました。
 さらに、本誌記者が銀行、保険、ゼネコン、自動車、電機、電子部品、機械、鉄鋼、勝者、流通、航空などの業界に密着取材し16年の動向を徹底予測。
 2015年にフランスでテロが起こったように、テロや難民など地政学的リスクの高まりも世界を揺さぶっています。欧州、中東、中国、米国の経済のみならず、政治、社会についても占っています。
 また、なんといっても16年の大きなイベントは米国の大統領選。こちらは、4ページに渡り、仕組みやスケージュル、有力候補などを詳細に解説しています。
 もちろん、国内の政治についても「うごめく時間差ダブル選挙」と題して、予測しています。
 加えて、16年は「働き方」「消費」にも力を入れ、働く個人や消費者はどこに向かうのかも示しました。
 そして、史上初めてキリンとアサヒという大手ビール会社の社長の対談が実現し、業界の効率化や協業などについて明かしています。
 他にも稲盛和夫、野中郁次郎、国際政治学者のイアンブレマー、星野佳路・星野リゾート社長、らみちゃんなど、有名な経営者、アスリートにも多数登場いただいています。  例年に比べ価格も安くページ数も多いです。ぜひ、年末年始のお供にご一読いただければ幸いです。(敬称略) ≫(『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介)

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●二度と顔出すなよ!橋下徹 参議院選、惨敗確実「民・維・無の会」

2015年12月21日 | 日記
中曽根康弘 - 「大統領的首相」の軌跡 (中公新書)
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●二度と顔出すなよ!橋下徹 参議院選、惨敗確実「民・維・無の会」

初めに、早耳情報に惑わされて、日銀が「追加緩和」を決定と早合点した市場関係者らによって、東証日経は一時500超上昇したが、一種のフェイク的苦肉策であることが判明、一気に300円以上下げ、終値は366円安になった。しかし、株式の市場関係者と云う人種は、経済学を知らない、株式相場だけを単独で動かしている人々だと云うことが、手に取るように判る、昨日の躁鬱病的相場の様相だった。日々の材料で生きているのだから、通説になりつつある、“エコノミストらの、今後の見通しほど当たらないいものはない”と云う説を実践的に証明してくれたような12月18日の株式相場だった(笑)。

ここ最近の国内政治は、室町時代の戦乱のようなもので、冬で寒いから、また春になったら戦争しようねと別れていく、どこか長閑で茶番な戦時代に似ている。大阪市長を退任し、魑魅魍魎な政治シーンを作り出すツールとして登場した橋下徹と云うタレントに、一国の総理がテレビカメラ従えて、慰労会を催している。このタレントが、日本の政治シーンで「第三局」を無きものにした功績は、安倍にとって有益だったのだろう。官房長官まで同席するのだから、政治的に何かあるのでは、と思わせぶりな会合を演出してみたようだ。話した内容などは、学者が聞いたら、一言一句に「憲法違反!」のレッドカードがだされるような、“おだを上げる”四人だったろう。こんな四人が、テレビニュースのトップを飾るのだから、国内政治で議論することは、今や“不毛な議論”だと言えなくもない。

政権の言いなりになる新聞社、テレビ局が幾つあっても、それは自由だが、一つや二つ、言いなりにならない、異論を唱える新聞やテレビ局があってこそ、デモクラシーは成り立つわけで、それがなくなることに、何ら抵抗もせずに、唯々諾々と、軽減税率適用に嬉々としたり、“朕が憲法なり”とその気になっている時の総理の一挙手一投足を、さも重大な政治マターのように報じ、菅・松井と云う凡庸で陸軍中野学校卒のような密偵稼業に現を抜かす寝技男の、寝技のシーンをテレビニュースに流すなど、公然わいせつ物の展示に近い。

しかし、新聞社の連中も、あんな記事ばかり書いていて、自分に対する自己嫌悪みたいなものは感じないのだろうか。マスというものの怖ろしさが、今我々は目の当たりにしているのだが、これと言って決め手になるような手段を持たない。自分一人が見ないように努めることは可能だが、多くの人は、世間を生きていく免罪符のように、大雑把な嘘っぱちキャッチフレーズを、政治や政策のように受けとめ、時に話題化する。おそらく、日本だけではないが、多くの民主的国家と呼ばれている国々も、おおかれ少なかれ、同様の傾向にあるようだ。一定の富を得た人間の集合体は、おそらく、考えない人間を沢山作り出す巧妙な装置なのかもしれない。

一定レベルの生活が出来る分には、政治や行政が何をしてようと、気にもならない。親戚や友人が急に金持ちになったら羨むが、知らない世界に棲んでいる連中が、どれ程儲けていようが気にもならない。日本の会社だったと思って大企業が、気がつくとアメリカ資本や中国資本になっていても、そんなことは、どうでも良い。ワーキングプワーや貧困家庭が増えている記事を読んでも、“ふーん、この人たちは、運が悪いか、どこかで間違ったんだろう”それ以上に感想も持たない。ささやかな富と云うものは、人間の目も心も濁らせる。“最低限の文化的生活の保証”最近では、この言葉でさえ、考えない、感じない人間をつくるシステムのひとつではないのか?そんな風に思えるほど、現代人は考えず、感じず「不感症」好んでいる。

大袈裟な表現過ぎて、日本人は、そこまで酷くないだろうと思っている人々も大いにいるだろう。しかし、現実には、あらゆる分野で、日本の日本らしさが消えていっている。相当の悪行が目の前で展開していても、テレビニュースが報じている安倍の美辞麗句を聞いていれば、良い事やっているじゃないかとなってしまう。日本人には、“モノは言いよう”と云う表現があるが、まさに、その手法さえ間違わなければ、どんな非業も悪行も「善」となる。生きていけるお金+僅かな残金、これだけで、人間は腐るものなのか?筆者は最近、その点に、酷く心が引っかかる。その所為だろう、コラムを書く気力が、日々失われてゆく。

冒頭の見出しに書いたが、やはり民主党と云う政党は、その政党なりの“宿痾”から抜け出すことは出来そうもないようだ。ドラスティックな決定と云うものから、最も縁遠い政党になっている。“既存権益温存で改革を”このような小手先のイメチェンで、有権者が、それなりの評価を与えてくれるとでも思っているのか。安倍政治とファイトすると云う「ファイティング・ポーズ」が一切見えてこない。おそらく、安倍政治を覆せるほどの有権者のうねりが、ここ半年で、起きるとは思っていないのだろう。

多くの有権者は、一過性の憲法熱があったが、もう醒めている。現時点では、安全弁付き政治行動しか選択できない。これが、現民主党の答えなのだろう。党利党略からも、既存権益勢力を無視するのは、冒険者的過ぎる。これが、彼らの答えだろう。民主党のなまくらさは、自民党を真似て出来たのだが、その自民党は日本会議党化したのだから、サンプルを参考に変えるべきだが、鳩山・小沢のいない民主党なんてのは、所詮こんなものと云うことだ。

現時点では、共産党の志位委員長の“地球の果てから、身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もある”と云う大英断は灰燼に帰する按配だ。まだ志位委員長は隠忍自重な姿勢を崩していないが、どこかで見切る必要もあるのだろう。おそらく、志位は、自らの委員長と云う地位を掛けているだろうから、「大道を置いてでも」と云う決断を断固押し通す可能性の方が高い。その時、小沢一郎も立場上、志位の動きに連動して動くのが筋だ。「反安倍党」など、明確に憲法を守り、平和主義に徹するイメージを打ち出せば、意味不鮮明な「民・維・無の会」には、最低限勝てる。次期参議院選で存在を示し、次の運動に繋ぐ戦略に切り替える必要も出てくるのだろう。


 ≪「共産の好き嫌いを言っているときでない」志位委員長
■志位和夫・共産党委員長
一緒に戦争法、安全保障関連法に反対した市民団体のみなさんが「市民連合」を立ち上げ、野党に対してぜひ、参院選で野党共闘して欲しい、特に1人区での(選挙協力の)協議をして欲しいという。私たちは大歓迎だ。ぜひこの提唱を受けて真剣な話し合いを行っていきたい。(民主党内からは)「共産党アレルギー」という声も聞こえてくるが、共産党が好きとか嫌いとか言っているときではない。今、日本の政治が非常な危機的事態にある。好き嫌いがあっても、乗り越えて協力しようということだ。(札幌市で記者団に)  ≫(朝日新聞デジタル)

≪ 安保法廃止へ「市民連合」=参院選で野党と共闘
安全保障関連法の廃止を訴える学生団体「SEALDs(シールズ)」など五つの団体の代表らが20日午後、東京都内で記者会見し、来年夏の参院選で野党系候補を支援する「市民連合」の枠組みを発表した。安保法廃止の主張を共通項に、安倍政権に対抗できる野党勢力の結集を促したい考えだ。 支援枠組みの正式名称は「安全保障法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」。シールズのほか、「安全保障関連法に反対する学者の会」や「安保法制に反対するママの会」などで構成し、全国の市民団体に連帯を呼び掛ける方針だ。
 民主、共産、維新など野党各党は、市民団体の動きと連動する形で、無所属の統一候補擁立に向けた調整を進める。既に参院熊本選挙区では候補一本化が固まっており、今後、勝敗のカギを握る改選数1の「1人区」を中心に共闘を拡大させる考えだ。 ≫(時事通信)

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●「米国」が太陽のような扱われるメディアの世界から逃れて

2015年12月18日 | 日記
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●「米国」が太陽のような扱われるメディアの世界から逃れて

筆者は特別に親ロシアでもなければ、親プーチンでもない。無論、親中でもないし、親習でもない。ただ、現状の日欧米のメディアの論調は、アメリカと云う国が“太陽”であり、その周りを、それなりの距離を保ちグルグル回る惑星。或いは準惑星、小天体、衛星などだけが実存しているような枠組みで、常に語られている。つまりは、太陽系以外の世界は、この宇宙には存在しないような19世紀のような幼稚な宇宙観だけで書かれた科学書を読まされているようなものだと思う。

ゆえに、筆者は意図的に、ロシアや中国の情報を流そうと努めている。残念なことは、これらの国が主体的に発している情報に接すること、非常に難しい。中国の情報はたまに出てくるが、北朝鮮やシリアが発信する情報に触れることもほぼない。我々は、ウンザリするほど、アメリカの情報には接するし、そのプロパガンダ的影響も、空気のように受けているのだから、メディアリテラシーとしては、それら情報をいい加減で遮断して、新冷戦構造な方向が存在している世界のヘゲモニーの芽生えを捉えるためには、最も知る機会の多いロシア・プーチンの話に耳を傾けることを、意図的なくらいに実行しないと、単なる動物農場のラジオ放送を聞く豚さながらに他ならないと思うからである。

当然、プーチンの発言にも、ロシアの発言にも、プロパガンダは多数埋め込まれているだろう。しかし、日欧米メデァのアメリカ的価値に洗脳されたデモクラシーと金融資本主義とグローバリズム世界の汚染されたと言っても過言ではない、新たな世界秩序が、どの辺にあるかを探るために、一方的情報世界にだけ身を寄せて、その言説を鵜呑みにしてしまう愚は、知性の欠片くらいはあると思っている人間には、恥辱的罠にみすみす嵌るようなものだと自認している。

一時、「Gゼロ」と云う言葉があったが、現実はそれほど極端に推移していない。G7がG8になり、アメリカがロシア排除の原理からG7に戻したわけだが、どちらにしても、これら7か国、或いは8か国であっても、世界秩序を充分コントロールなど出来なくなっている。こりゃあ無理だと云うことで、中国、インド、ブラジルなどを含むG20にまで参加国を拡大したが、それで世界の物事が決められるかと言えば、もうそういう時代でもなくなった。COP21において196カ国が参加しないと意味のないような地球と云う星の運命を議論する必要まで出てきている。結果的に、守れそうもない目標値を設定するだけでも、大事になっきている。

アメリカでは、他国の問題解決でリーダーシップを発揮するスーパーパワーは不要だという考えがある。アメリカの国益だけを考えれば良いという内向きな考えがあるが、中々結構な不遜な思考だ。何が不遜かと言えば、他国に問題を惹き起こすことで、スパーパワーの必要性を他国に思い知らせているのが、アメリカなのだから、自国の利益だけ考える、自制の効いた大国になれるものならなってみて貰いたい。しかし、彼らが世界に振りまいたデモクラシーと金融資本主義とグローバリズム世界こそが、アメリカに恩恵を齎すのだから、自国のためだけに生きようとするアメリカは憤死するだろう。

いや、言い方が判り難いようだ。アメリカはデモクラシーと金融資本主義とグローバリズム経済で、世界中の国を汚染することで潤うメカニズムを作っているので、他国に茶々を入れずに、国益を追求できない体質の国になっている。ゆえに、良くなろうが、悪くなろうが、アメリカは崖から落ちるまで、そのマスターベーション的世界戦略を中止することは出来ない。自ら招いたリーマンショックに端を発したFRBゼロ金利政策はピリオドを打ったが、主犯の国が立ち直り、従犯の日欧、発展途上国は青息吐息のままだ。本質的に、アメリカは、自ら膨れ上がってしまったパワーのコントロールが出来なくなっているのだから、次世代が、どれ程この国の所為で、迷惑を蒙るのか、予想もつかない。
*時間経過は無視して、プーチン記者会見の目についた部分を、スプートニクの記事を中心にまとめておいた。スプートニクの日本語訳(原文)のままなので、多少読みにくい文章アリ。


 ■プーチン大統領の年次記者会見 LIVE
スプートニクが毎年恒例となっているプーチン大統領の大型記者会見を放送。一連のテレビ局は、同記者会見を生放送する予定。プーチン大統領が大型年次記者会見を初めて開いたのは2001年。今回で11回目となる。

★RT: 米国の新しい大統領との関係にはどんなことを期待するか?

我々は米国との関係発展に用意があり、かつそれを欲している。我々は米国民の信任を受けた大統領ならそれが誰であれともに働く用意がある。

*筆者注:現在のオバマであり、次の大統領と云う意味だが、どちらかと言えば、もうオバマへの期待はあまり多くないと思っているのかもしれない。本格的話は、次の大統領としようと言っているようにも思える。この点は、時事通信が、一旦プーチンの発言を流したが、瞬間的にウェブ上で削除していたことからも、うかがい知れる。

★最初の質問者はコムソモリスカヤ・プラウダ紙記者、経済危機脱出の見通しについて

経済は外在的要因と石油価格に依存してはいるが、危機のピークは過ぎている。企業活動や工業生産の成長も安定化が見られる。プーチン大統領が答えた。また、資本の流出は著しく低減され、対外債務も削減されている、とプーチン大統領。
プーチン大統領―ロシア経済は危機のピークが過ぎている プーチン大統領は「統計ではロシア経済は全体として危機のピークを過ぎた事が示されている」と語り、今年第2四半期からは「企業活動に安定化の兆候が認められている」ことを指摘した。 プーチン大統領はこれに関して、すでに9月、10月の時点で前月比で0.3%、0.1%のGDP成長率が認められたことに注意を喚起している。大統領は、5月からは工業製品の生産縮小は停止されており、9月-10月にはこの指標の成長が認められていると補足した。 プーチン大統領はまた、ロシアは制限が存在するにもかかわらず、国際金融機関に対する債務義務を完全に履行していると指摘した。大統領は、ロシアの 対外債務は2014年度比で13%縮小し、資本流出も著しく縮小しており、今年第3四半期には純資本流入が認められていると語っている。

★ロシアとトルコの関係悪化について質問が相次いだ。
記者らはロシア大統領に対し、トルコ国民とトルコ政府指導部とを等イコールで結ぶには当たらない、との大統領自身の先日の発言を思い起こさせた。ビジネスや投資に 関するトルコとの協力について、また、ロシアで学ぶトルコ人学生についてなど、全体的な状況についても質問が上がった。

プーチン大統領 ― トルコは自らのリアクションによって、皆を極めて具合の悪い状況に追い込んでしまった トルコ政府は敵対的行動をとった。Su-24を撃墜し、今度はNATOを隠れ蓑にしようとした。しかし、ロシアはトルコにとって繊細な問題についてもトルコと協力を行う準備ができていた。トルコは自らのリアクションによって、皆を極めて具合の悪い状況に追い込んでしまった 我々は我々に民族的に近しい人々とのコンタクトを続けねばならない。チュルク語を話す民族はこれまでもこれからも、我々のパートナーであり、友人 だ。しかし、トルコ指導部と我々は、話をつけることが難しい。我々と彼らの間に合意があった時でさえ、彼らは我々を背中から撃つのだ。よって、私は、近い 将来関係が改善する見込みはないと思う。我々は制裁措置を取らざるを得ないだろう

★トルコはスホイ24撃墜という敵対行為を行ない、NATOの陰に隠れようとした。
プーチン大統領は年次大記者会見でこう語った。 プー チン大統領は次のように語っている。「我々は、トルコ政権が我々の軍用機に対し、これを撃墜するという行動に出たことは非友好的というものではなく、敵対行為だと考えている。軍用機が撃墜され、我々の人間が殺されたのだ。我々を特に憤慨させたのは、これがもし不慮の事態であったならば、こういう場合は普通 どうするのかということだ。すぐさま受話器をとって、互いに説明しようとするだろう。(トルコは)そうするどころか、さっさとブリュッセルへと逃げてい き、…NATOの陰に身を隠そうとした。だがこんなことがNATOに必要だろうか? やはり要らない話だとことは言われたようだが。」
プーチン大統領はまた、ロシアが地対空ミサイルS-400を展開したことで、トルコはすでに以前のように罰せられることなくシリアの領空侵犯は行なえないと強調した。 「彼ら(トルコ政権)は我々がそこから逃げ出すと思っていたが、いや、ロシアはそんな国ではない。我々はシリアにおけるプレゼンスを拡大し、軍用機 の数を増やした。現地にはロシアの対空防衛システムは無かったが、今やS-400が配備されている。以前はトルコは現地を飛行し、常にシリアの領空侵犯を 行なっていたが、今や(飛びたければ)飛んでみるがいい。」

★プーチン大統領、アサド大統領について「統治者を決めるのはシリア国民のみ」 シリアのアサド大統領に関するロシアの立場は一貫している。誰が自分たちを統治するかを決めねばならないのは唯一、シリア国民である。
プーチン大統領は17日、モスクワで開催の年次大記者会見で次のように語っている。 「我々の立場は変わらない。それは原則的なものだ。我々が考えるのは、誰が、いかなる基準で、いかなる規則で自分たちを統治するかを決めねばならないのは唯一シ リア国民のみだということだ。誰がどこで率いるべきかなど、当事者ではない誰かがどこかで誰かに対して押し付けることなど、我々は決して同意しない。」 プーチン大統領は、ロシアはシリア危機の解決にあらゆる手を尽くし、「どんなに状況が複雑であろうとも、見つけうる解決が全ての方面に受け入れられるものとなるよう全力を傾ける」ことを約束した。 プーチン大統領はさらに、ロシアの航空宇宙軍はシリア軍の攻撃作戦を支援すると強調。大統領は、ロシアはシリア軍と、「ダーイシュ(IS、イスラム 国)」を相手に戦うシリアの武装反体制派の尽力の統合に成功しつつあるとの見方を表した。大統領は、ロシア航空宇宙軍はこうした反体制派の尽力もシリア政 府軍の尽力と同様支援していくと指摘した。

★プーチン大統領 ― 我々は国連決議準備に関する米国の提案を支持する。シリア政府もこれを支持するはずだと思う
米国も欧州も、中東情勢に最高度の憂慮を覚えている。ロシアはあらゆる手立てを尽くして危機の解決に協力する」 「また、我々は、シリア軍の侵攻、ならびに、『シリア軍と反テロ連合の力を結集させる』とのオランド仏大統領の提案を支持する

★プーチン大統領 ―――我々はウクライナ紛争の激化に利益を見てなどいない ロシアはウクライナに制裁を導入する気はない。我々はウクライナ紛争の激化に利益を見てなどいない。むしろ我々はその解決に利益を見ている

★トルコストリームに関してプーチン大統領

―――それは相手方次第だ


■プーチン会見の数日前に行われた米ケリー国務長官との会話
ロ米 モスクワでの会談でシリアのテロリスト根絶で合意 15日にモスクワで行われたプーチン大統領及びラヴロフ外相と米国のケリー国務長官との交渉は、実質的なものだった。
ロ米両政府は、テロリズムのような現代の悪を根絶する覚悟を確認した。ラヴロフ外相は、クレムリンでの会談を総括し、このように指摘した。
ラヴロフ外相は、次のように総括しているー 「交渉は、具体的で実質的なものだった。注意の中心に置かれたのは、ダーイシュ(IS,イスラム国)やテロリズムとの戦いの活性化 に関連し、シリア危機調整に向けて、事をいかに前進させるかという課題だった。ダーイシュ(IS,イスラム国)や「アル=ヌスラ戦線」その他のテログループは、我々すべてにとって共通の敵であり、我々は、そうした悪を今根絶する覚悟を確認した。 ロシア及び米政府は、シリアにおけるテロリズムとの戦いに向けた作業を、より打ち合わせのなったものとするのを助ける今後の措置の 数々について同意した。実際面で、今後のいくつかの措置が合意された。それらは、並行してなされている我々の仕事を、今までよりも効果的でかつ調整された ものにするのを助けるだろう。 ロシアと米国は、他の国際シリア支援グループ各国に秘密で、行動する事はない。」
一方米国のケリー国務長官は、クレムリンでの記者会見で
「米ロが効果的に共同作業をすれば、世界全体が勝利する」と指摘し、次のように述べた―
「米国とロシアが、一緒になって効果的に働けば、両国は勝利し、世界共同体全体も勝利する事は、疑いない。 我々の会談は、基本的に、シリア、テロリズムとの戦い、そしてウクライナにテーマを絞ったものだ。私は改めてプーチン大統領に対し、米国は、ダーイシュ(IS)と戦うためにロシアと働く用意があると事を確認した。
米国は現在、シリアの体制の交代を目指いてはいない。米国と我々のパートナー国は、シリアでの所謂体制変更を.目指していない。 我々は、将来もアサド氏が指導者で有り得るとは思っていないと言ったが、現在我々が注意を集中しているのは、この問題に関する意見の食い違いではない。 交渉では、政治プロセルにアクセントが置かれた。その過程で、シリア国民は、自分達の国の将来について決定を下す事になるだろう。」
なお、モスクワでの交渉では、ウクライナ危機もテーマとして取り上げられた。ラヴロフ外相は「ロ米は、ウクライナ問題調整のために、あらゆる可能性を利用するだろう」と述べ、次のように強調した― 「我々は、ウクライナ危機調整をめぐって、意見を交換した。ロシアも米国も、プーチン大統領とオバマ大統領の間で達成された合意の 数々を発展させてゆく中にある。我々は、ミンスク合意やノルマンジー・フォーマットを支持し、ミンスク合意を完全に遂行するために、自分達が持っているあ らゆる可能性を利用してゆくだろう。」
プーチン大統領とケリー国務長官の会談は、クレムリンで15日夕方、ラヴロフ外相も出席して、3時間以上に渡って行われた。 ≫(以上引用はスプートニク)


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●日本のロシア評は悪いが 歴史に残るリーダーはプーチンだけだ

2015年12月17日 | 日記
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●日本のロシア評は悪いが 歴史に残るリーダーはプーチンだけだ

今夜は、まったく時間がないので、以下の田中均氏のコラムを引用することで、勘弁していただく。筆者の一言コメントを加えるならば、21世紀初頭、歴史に名を残する政治家(リーダー)は、どれ程プーチン嫌いであろうと、ロシアのプーチン大統領で落ち着くことは、世界の常識だと云うことを、日本人は頭に叩き込んでおいて欲しいものだ。田中氏は、北方領土返還に最終的落としどころにしてしまったために、中露の対米姿勢像を充分に描くことが出来なくなったのは残念だ。

まあ、日本の外交官だったのだから、北方領土問題に言及しないわけには行かないのだろうが、筆者は、正直、尖閣にせよ、竹島にせよ、北方四島にせよ、ムキになって欲しがる理由は、皆無と考えている。感情的にも不要だし、国益上も、離れた位置の領土を守ることは、対費用効果からは見ても、得は殆どない。管理に、金は掛かるし、外交防衛で、不必要な態度まで示さなければならず、弱味の枝葉を拡大するようなものである。無論、日本が地続きの国境を保持していれば別の話だが、満州を得たことで、何が起きたか、歴史を紐解けば分る話だ。どの国でも、ナショナリズムな感情と国土はセットだが、離れた国土を持つことは、労多く益少なし。もっと書きたいところだが、今夜はこれにて失礼。


≪ プーチンが進める“東方戦略”で 北方領土問題は進展するか

 ■国際政治の舞台で存在感を高めるロシア プーチン大統領の“頭の中”を推測する
ロシアはグローバルなアクターとして国際政治の舞台に再登場してきた。
 ウクライナへの介入、クリミアの併合に動いたロシアは西側の経済制裁を受け、エネルギー価格下落により打撃を受けた経済の低迷に一層の拍車がか かった。このような背景の中、ロシアは孤立を脱するべく、戦略的巻き返しを図っている。中東ではシリアの空爆に参加し存在感を高めている。プーチン大統領 の東方戦略は中央アジアや極東で中国を巻き込み、新たな政治地図を描きつつある。
 果たして、明年春にも予定されると伝えられる安倍首相の訪ロやその後のプーチン大統領の訪日により、北方領土問題は打開されるのだろうか。ロシア の動きは米国との対峙を決定的にし、「新冷戦」と言われる事態を招来する可能性はないか。ロシアは、日露関係は、何処へ行くのだろう。
 戦略家と言われ、国内の支持率も高く、今後10年にもわたり大統領として君臨しそうなプーチン大統領の頭の中にはどのような国家戦略が描かれているのだろうか。大胆に推測してみれば、以下の通りである。
  「ソ連邦の崩壊は20世紀最大の悲劇である。ロシアは多くの権益を失った。東欧諸国やバルト三国までEUやNATOに加盟し、西側の国境がロシア に迫ってきた。それだけではなくNATOはミサイル防衛の配備などでロシアの核抑止力の無力化を図っている。戦略の立て直しが必要である。
 欧州への石油ガスの輸出は頭打ちであり、そもそもエネルギー資源の多くはアジア部に存在している。もはや欧州正面にロシアの未来はない。軍事予算 を拡大し、ウクライナを中立化させ、黒海艦隊基地のあるクリミアの併合を行い、シリアの軍事基地を保全しNATOの拡大に備えるとともに、東方戦略を実現 に移そう。ロシアの極東部の人口はわずか620万人であり、国境を接する東北三省で1億2000万人の人口を擁する中国に、極東の発展で過度に依存するこ とは安全保障面から問題は大きい。
  ただ欧米諸国は経済制裁を簡単には解除しないであろうし、エネルギー価格も急速に回復される見通しはない。この際、中国と連携を強化する以外に方法 はあるまい。中国とは2004年に国境を画定し、長年懸案であったガス長期供給価格も合意した。従来からロシアの影響下にあった中央アジアについても既に 中国の経済的影響力は拡大しているところ、思い切って連携を図ろう。
 とはいえ、やはり日本との関係は、中国への依存をある程度中和し、米国との関係でも牽制材料となりうるので、重要である。懸案の北方領土問題で日本がどの程度妥協の余地があるのか揺さぶり、日本の態度を見極めたうえで、関係改善に大きく踏み出そう」

 ■IS・シリア問題で欧州と関係改善?  トルコによる撃墜事件の誤算
 確かにプーチン大統領の戦略的巻き返しは、パリでの同時テロがもたらした環境変化もあり、成功しているように見受けられる。現在の欧州の最大の課 題は、ISテロの再発を防ぐ意味でもシリア難民問題を解決することにある。このためにはIS壊滅の軍事的キャンペーンを成功させるとともに、シリア問題の 政治的解決が必須となる。
 ロシアはIS壊滅のため空爆に参加をしたが、同国の目的はIS排除と共にアサド政権を支援することにもある。ロシアにしてみればアサド政権との間 の軍事的協力関係、とりわけ空軍基地や海軍基地をシリア内に確保し続けることが、NATOへの抑止力の観点から必要と考えているのだろう。ISへの空爆に しても、ロシアの場合はアサド政権の地上兵力と連携がとられているため、空爆だけのオペレーションに比べれば圧倒的に効果的である。
 ISを撃つという観点から仏などの諸国とは一定の協力関係が成立している一方で、米国はアサドの排除を前提にするだけにロシアとの協調は難しい。さらにオバマ大統領は地上軍の派遣は行わないことを明確にしており、対IS軍事キャンペーンにおいても存在感が薄れつつある。
 また、アサドを支持するという意味でロシアとイランの間には協力関係が強まってきている一方で、サウジやエジプトと米国の関係も従来のような堅固な関係ではなく、中東における政治地図も変わりつつある。
 ただ、ここにきてロシア軍機をトルコが領空違反として撃墜した事件は、プーチン大統領にしてみれば計算違いであったのだろう。欧州と関係改善の方向に向かっているロシアがトルコ問題で水を差されたという意識は強い。

 ■着々と進められる東方戦略  状況一変で中国との連携を強化
 プーチン大統領の東方戦略は、既にかなり長い時間をかけて着々と進められてきている。プーチン大統領は首相職にあった時代を含め頻繁に極東・東シ ベリアを訪問しており、2012年の大統領年次教書では「発展ベクトルは東にあり」、2013年の年次教書では「21世紀全体を通じての国家プロジェク ト」と述べ、極東・東シベリアの開発に力を入れてきた。
 他方、中国への過度の依存を警戒する意識は強く、中国国境を一元的に管理する「東部軍管区」を2010年に創設し、軍事的備えは強化してきてい る。その対中関係が大きく動いたのは、ウクライナ・クリミア問題でロシアが孤立して以降のことである。2014年5月には中露首脳会談で10年以上まとま らなかった天然ガス供給契約に合意し、2015年は戦勝70周年で中露協調が演出された。
 また、本年5月の中露首脳会談では、ロシアの主導する「ユーラシア経済同盟」と中国の「一帯一路」構想のもとで、中露が連携していくことに合意し た。中央アジアでは従来、安全保障面で大きな影響力を持つロシアと経済的な浸透を拡大してきた中国が連携することはあまり想定されていなかったが、ここに 来て状況は一変した。このほか中露の間ではAIIB、BRICS銀行、上海協力機構を通じる協力関係も強化されてきている。
 このようなロシアの動きに神経を尖らせているのは米国である。プーチン大統領の対米対抗心は強いが、オバマ大統領の対露警戒心も極めて大きい。ロシアを軍事的存在として見、世界で米国に対抗できる軍事力を持つのは中国ではなく、ロシアであるという米国の意識は強い。
 ロシアの軍事予算は近年拡大の一途をたどっており、2005年比で2015年には5.87倍と、中国の3.64倍(平成27年度『日本の防衛』) を超える拡大ペースとなっている。核戦力ではロシアは米国に匹敵する戦力を持っている。本年3月に放送されたロシア国営テレビのドキュメンタリーで、クリ ミア併合で核兵器を使う用意があったとの趣旨の発言をしたことも警戒心を一層高める要因となっている。
 このような国際情勢の中で日露関係はどのように推移していくのだろうか。昨今の報道では安倍首相が来春ロシアの地方都市を訪問し、参議院選挙の後にプーチン大統領訪日を実現する検討に入ったと伝えられている。

 ■日露関係はどう進展するか  北方領土問題の行方は
 ロシアにとって日本との関係は、中国や米国との戦略上も重要である。プーチン大統領の支持率は85%にも達し、領土問題でも果敢な決断ができるの かもしれない。ただ常識的には、クリミア併合で支持率の上がった大統領が、日本との領土問題で妥協するとはなかなか考えられない。しかしプーチン大統領は 稀代の戦略家と言われ、東方戦略で活路を開くことは重要と考えるのだろう。
 日本にとっては、北方領土問題の長い経緯や世論の動きを考えると、従来の立場(4島の帰属を明確にし、平和条約を締結する。返還の態様は柔軟であ る)から大きくはずれることも困難があろう。従って、前のめりになるのは避け、ロシア側の態度も見極めたうえで、従来にはなかったような新しい発想で問題 解決を図ることが必要なのだろう。
 また、上述した米国の警戒心などを見れば、対ロ制裁に参加している日本が日露関係の促進を図ることが国際社会でどのように受け止められるは想像に難くない。日本の行動には同盟国米国との十分な意思疎通が必要であろう。
 北方領土問題を解決していく上でも、ロシアとの関係を中長期的視野に立って考えていく必要があるのだろう。ロシアが孤立するあまり中国と結び、 「新冷戦」に進むことは現段階ではなかなか考えにくい。ロシアには経済的実力はないし、中国も米国と決定的対立を望んでいるとは考えにくいからである。 従って、ウクライナ問題が解決に向かえば、制裁が緩和され、欧米との一定の協調関係に戻る可能性はあるし、日露関係も進めていく余地が出てくる。

 ■経済関係では大きな機会がある  ロシアを東アジアでどう位置づけるかも課題
 他方、福島事故以降ロシアに対する日本の石油・天然ガスの依存度は増え、ロシアにとっては極東の開発の必要性も高まっていることから、日露経済関 係に関する限り、大きな機会がある。また北極海航路が将来開設されるようなこととなれば、日本の欧州への海運路として大きなコスト減となる。
 ロシアの東方戦略上も、資源のアジアへの輸出だけではなく、経済成長率の高い東アジアとの関係増大が課題なのであろう。
 ロシアは東アジアサミットや北朝鮮核問題6者協議のメンバーでもある。日本は、政治・安全保障・経済にわたって、ロシアが東アジアの中で建設的な役割を果たすよう働きかけていかねばならない。 ≫(ダイアモンドONLINE:国際・田中均の「世界を見る眼」)

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●アメリカと云う足枷に 韓国も、日本も、世界も苦しんでいる

2015年12月16日 | 日記
誤解だらけの日本美術 デジタル復元が解き明かす「わびさび」 (光文社新書)
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●アメリカと云う足枷に 韓国も、日本も、世界も苦しんでいる

今夜は、韓国事情を覗き見しながら、日本の事情にも似たようなものがあるな~と思わせる、彼らの根源的悩みを垣間見る。無論、ノー天気な人々は、その限りにあらずだが……。個人的には、韓国と云う国に対し、積極的に評価するものをあまり見出していない。だからと言って、積極的に悪口を言うとか、蔑視するような姿勢も持たない。朝鮮半島の長い歴史の中に埋没しているであろう韓国や北朝鮮のDNAは、正直、筆者には荷が重すぎる。中華的でもない、露西亜的でもない、日本的でもない、無論、アメリカ的でない、韓国と云う国は、最も近い隣国でありながら、最も筆者にとっては、理解の難しい国の一つだ。

在日系の友人も沢山いるし、彼らの考えは概ね理解している。彼らも、日本人の多くの考えを理解している。しかし、国境を隔てた韓国の世論や人々の主張には、なぜか馴染むことが出来ない。逆に、アメリカ、中国やロシアの国の考え、人々の考えは、ある程度まで、合理的に理解出来るのだが、どうも、韓国となると、筆者の感性の埒外に存在している。その理由が、何であるか、敢えて考えようともしない。個人的には「そっとしておけ、レンゲソウ」のような感情がある。感情なのだから、何故と問われても判らない。在日の有能な経営者も沢山いる。個人的には、一時恋人だった女性もいたくらいだから、毛嫌いなんかしていない。しかし、理解は出来ない。理解できないのだから、賛美も出来ないし、中傷や批判も出来ない。

筆者にとって、長らく抱えている謎だ。あの喧嘩っ早い、感情むき出しの市民性を怖れているのかもしれない。今までは、あまりにも韓国と云う国の情報から遠ざかろうとしている自分がいた。いまでも、前向きに韓国について考えようとは思わない。ただ、今日、何気に日経ビジネスを眺めていたら、≪ 核武装して“奴隷根性”を捨てよう 親米派も「今度こそ、米国の脅しは聞かない」≫と云うコラムを読んでいて、同病に陥ってる日本人も結構いるんだけど、何故理解し合えないのか、ふと、不思議に思った。引用するコラムの内容には、深く言及しない。


 ≪ 核武装して“奴隷根性”を捨てよう 親米派も「今度こそ、米国の脅しは聞かない」
By 鈴置高史(日経新聞編集委員)

奴隷根性を捨てるためにも核兵器を持とう――。韓国の核武装派は主張する。

 ■北東アジアに恐怖の均衡
前回と前々回は、朝鮮日報という韓国の最大手紙が核武装を呼び掛けているとの話でした。

鈴置:この新聞の核武装論には年季が入っています。2013年2月12日に北朝鮮が3回目の核実験をしました。
 その直前に、保守論壇の大御所である金大中(キム・デジュン)朝鮮日報顧問が「北の核実験、見学するだけなのか」(2013年2月5日、韓国語版)を書いています。ポイントは以下です。
北朝鮮が核兵器を放棄することはあり得なくなった。世界も北の核を既成事実として認める方向に向かっている。 可能な対応策は3つしかない。
まず、米国など西側が北朝鮮との関係を正常化して国際社会に引き出すことだ。ただ、これは不確かな方法だ。 それが難しい場合、一定の国際ルールの下で韓国が核保有することにより、北朝鮮の核の効果と意味を相殺する方法がある。北東アジアを「核の恐怖の均衡地帯」にするということだ。 最終的には「北の核」ではなく「北の体制」を変える発想に立って根源的に解決する道がある。金氏体制の崩壊と統一がそれである。

■米日中ロに通告
北の核武装に対抗するための案は3つあるけれど、1番目と3番目は実現が難しい、ということですね。

鈴置:ええ。従って、直ちにとり得る道は2番目の「韓国も核武装すること」だと金大中顧問は主張しているのです。
 その20日後になりますが、朝鮮日報は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が就任した2013年2月25日の社説「北の核を超える新たな国家戦略が必須だ」(韓国語版)でも、以下のように主張したのです。
北朝鮮から「最終的な破壊」と核兵器で脅迫されている韓国としては、国際協力とは別次元の軍事的・政治的な対処方法を独自に模索するしかない。
国家と国民の保護という厳粛な課題を大統領が実践しようとするなら米日中ロに対し、我々の切迫した必要を満たしてくれない場合には我々自らが解決策をとるしかないということをはっきりと伝えなければならない。

 ■核武装に向け国民大会
「核武装しよう」と露骨に書いてはいませんね。

鈴置:社説ではっきりと核武装を主張すれば、世界から韓国も北朝鮮と同じ存在と見られ、北に対する核放棄圧力が弱まりかねない。そこで「核武装」との単語は使わなかったのでしょう。
 でも、韓国人が読めば「核武装の勧め」であることはすぐに分かります(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。社説はともかく、少し前に大物記者が署名記事でそう書いているのですし。
 在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏も同じ時期に――北朝鮮の3回目の核実験の日に「韓国も核を持とう」と自分のサイトを通じ国民に呼びかけています。
 その記事は日本語にも訳されました。統一日報のサイトで読むことができます。「国家生存の次元で自衛のための核武装を決断せよ!」(2013年2月12日)です。
 趙甲済氏は国民の強い意思を世界に見せつければ、核は持てると強調しています。その部分を要約します。
核武装すれば国際社会から経済制裁をされると憂慮する人もいる。だが、安保のためには経済的損害を甘受する必要がある。ただ、合理的な論理と法理で世界を説得すれば、制裁は受けない。 北が核を廃棄すれば我々も廃棄することを明確にしたうえ、米国と中国の圧迫に対応できる外交力を強化していくことが奴隷根性や事大主義を克服する道だ。 自衛のための核武装運動は韓国人の奴隷根性と事大主義を克服する絶好の機会だ。
我々の生存は我々が決定するとの姿勢で固く団結すれば、韓国社会の弊害のかなりの部分を解決できる。 ソウル市の中心部で数十万人が集まる「核武装要求国民大会」を持続的に開くべきだ。

 ■韓国の核コンプレックス
核武装と奴隷根性や事大主義が関係するのですか?

鈴置:1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)政権が秘密裏に核開発に動きました。しかし、米国の圧力に屈し計画を放棄させられました。
 今度こそは、大国の命じたままに動く「奴隷根性や事大主義」から脱し、核武装を実現しようということでしょう。
 逆に、核武装さえすれば大国の言いなりになる「奴隷根性や事大主義」を捨て去ることができる、との主張でもあります。
 韓国には日本のような「核アレルギー」は存在しません。被爆国ではないからです。しかし、核を持とうとしてもどうせ大国に脅されるから持てるはずはない、という別の意味の「核コンプレックス」があります。
 約40年前に脅された実体験があるからです。「朴正煕大統領が暗殺されたのは核開発に動いたからだ」との俗説さえ韓国にはあるのです。

 ■もう、米国の言いなりにはならない
 朝鮮日報の金大中顧問も先に引用した「北の核実験、見学するだけなのか」で、以下のように「大国の横暴」を批判しています。 強大国の優越意識丸出しの思考に異議を唱えたい。弱小国や途上国が核を持とうとすると、強大国は「危険性」とともに「核の効率的管理の不在」を指摘した。自分たちは管理できるが私たちには難しいとの理屈だ。
 金大中顧問も趙甲済氏も韓国では親米保守の代表的人物とみなされてきました。金大中顧問は2013年に「二股外交」というコラムを書くなど、一時は米中等距離論を打ち出しました(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参照)。が、今では再び、米国との関係が最も大事だと説いています。
 趙甲済氏は「自由と民主主義の理念を共有する米国と手を組むほかない」との主張で一貫しています。  しかし2人とも、北朝鮮が核武装するというのに韓国には許さないというのなら「今度こそは米国の言いなりにはならないぞ」と宣言したのです。

 ■中国への過剰な期待
では、2013年の北の3回目の核実験の後に、韓国で核武装要求運動は起きたのですか?

鈴置:いいえ、そんな運動は起きませんでした。韓国では常に大事件が起きていまして、北の核実験もすぐに忘れ去られてしまった感があります。
 趙甲済氏は別の説明――中国説を唱えています。これも当たっていると思います。日本語に翻訳された彼の著書『韓国の自衛的核武装論』の19ページを要約しつつ引用します。 2013年初めから韓国で本格化した自衛的核武装論を米国と中国は真剣に受け止め、韓国政府もこれをカードとした。 ところが中国の北韓(北朝鮮)への態度が変わりつつあるとの希望的観測が韓国メディアを通じて広まると、同年夏からは(韓国内の)核武装論への関心が弱まった。

中国が助けてくれると韓国人は本当に思ったのですか?

鈴置:韓国人は中国に過剰な期待感を抱きます。米国と同盟関係にある韓国の苦境を、中国がタダで救ってくれるわけもないのに。
 中国とすれば、核を失った北朝鮮を米韓が圧迫し崩壊させるリスクも考えねばなりません。下手すれば米軍が軍事境界線を越えて北上し、中国との国境まで来かねないのです。

 ■またしても事大主義
なぜ韓国人は、そんな過剰な期待を中国に抱くのでしょうか。

鈴置:それに関し、趙甲済氏は続けて以下のように記しています。 長年の事大主義の影響が残って親中的な韓国のメディアと政界は、北の核問題の解決を中国に頼んで解決しようとした。

またしても事大主義ですか。

鈴置:今度は中国への「事大」ですけれどね。韓国、ことにその外交を分析する時にはこの「事大主義」や、その背景にある冊封体制の歴史を考慮に入れないと、大きく読み違えます。
 例えば、韓国がなぜこれほどまでに中国にすり寄るのか、理解できない米国の外交関係者が多い。彼らは国際政治や外交史を学んではいますが西洋中心で、東洋の国際政治――冊封体制に関する知識は乏しいのです。
 話を戻すと、もちろん中国は「事大主義」に裏打ちされた韓国の過剰な期待に応えてくれませんでした。
 2013年の、朴槿恵政権にとって初の中韓首脳会談でもそうでしたが、中国はことあるごとに「朝鮮半島の非核化」を唱えます。文言が「北朝鮮の非核化」ではないことに注目下さい。
 中国は「北朝鮮の核はなくすべきだ」と言いつつ「北が核を放棄した時には南も核の傘から出るべきだ」つまり、米韓同盟の破棄を暗に要求し続けているのです。
 逆に言えば、韓国が米韓同盟を打ち切る姿勢を見せない限り、本気で北朝鮮の核問題の解決には乗り出さないぞ、ということなのです。

 ■核開発に向け着々
朝鮮日報が核武装の旗を振っているのはよく分かりました。肝心の韓国軍はどう考えているのでしょうか。

鈴置:軍はこれに関し一切、発言していません。しかし、世界の軍人や安保専門家の間では「韓国の国軍が核武装を検討しない方がおかしい」と言う人が多い。敵国である北朝鮮が露骨に核武装に乗り出しているのですから(「米国も今度は許す?韓国の核武装」参照)。
 ある日本の専門家も「歴代の政権の意思とは関係なく、韓国軍は核武装の夢を捨てていないだろう」と言います。
 1980年代に韓国の国立研究所が国際原子力機関(IAEA)の規約に違反し、申告せずにウラン濃縮の前工程である「ウラン転換」と、核燃料からのプルトニウム精製・抽出をしたことが判明しています。
 2000年にはこれまた未申告で、ウラン濃縮も実施しました。量は微量だったとされていますが、核兵器に使えるほどの濃度だったと報じられました。
 いずれも2004年に明らかになり、日本でも大騒ぎになりました。しかし、IAEAの規約違反に関する国連安保理での論議は避けられ、韓国に対する処分は見送られました。
 当時の国際社会は北朝鮮の核開発阻止に全力を挙げており、それへの悪影響が懸念されたためと見られます。
 一方、核ミサイルを発射できる垂直発射管を備えた大型潜水艦の建造計画が、2013年ごろから韓国で報じられるようになりました。
 例えば、聯合ニュースの「韓国海軍 3千トン級潜水艦9隻を戦力化へ」(2013年8月4日、日本語版)です。なお、韓国の安保専門家の間では少なくとも2000年代から、この計画が語られていたそうです。

■歴史への罪
本当に、核開発に向け着々、という感じですね。

鈴置:米韓原子力協定の改定交渉に関連、やはり韓国は核武装するつもりだな、と専門家から見なされました。ウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理の権利獲得に異様にこだわったからです。いずれも核兵器の製造に必須の工程です。
 この協定は1974年に結ばれ、2014年に期限が切れました。2013年になっても韓国の執拗な要求により、改定交渉が進みませんでした。
 そこで2年間、協定の期間を延長して交渉を続け、2015年4月22日に新しい協定の仮署名に漕ぎつけました。そして11月25日に発効しました。
 交渉途中の2014年10月16日に突然、違和感を覚えるコラムが朝鮮日報に載りました。書いたのは楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹です。
 楊相勲主幹は政治部長、編集局長を歴任したエース記者で、常に冷静な記事を書くことで定評があります。金大中顧問が保守論壇の大御所なら、そのプリンスといったところです。

 ■日本は許されたのに
 彼のコラム「韓米原子力協定、歴史に罪を犯すな」(韓国語版)のポイントは以下です。
現在、交渉が最終段階にある韓米原子力協定は、このままでは子孫に足かせをはめることになる。使用済み核燃料の安全な再処理と保管、原子力発電所の輸出に対する規制に加え、原発燃料の安全な確保(ウラン低濃縮)までも新たに規制するというのが米国の立場だ。 米国は日本とは濃縮・再処理のすべてを許す協定を結んでいる。一方、韓国に対してはIAEAが保障した濃縮・再処理の権限まで封鎖しようというのだ。過去、核爆弾を作ろうとしたからと言うが、40年も前の話だ。 我々は米国の政治・経済・軍事の力に対し過度に委縮している。この陥穽から抜け出る意思もなく、米国に道理を説く時間もないのなら協定に署名すべきではない。急ぐ理由はない。歴史に罪を残すな。

 ■無理筋で強引な交渉
この記事も「米国に委縮するな」と訴えているのですね。

鈴置:楊相勲主幹も親米保守ですが、国の生存がかかった問題だけに絶対に米国と妥協するな、と国民に呼び掛けたのでしょう。
 それにしても楊相勲主幹らしからぬ強引な論理です。米国が日本に濃縮・再処理を認めたのは、協定の締結前から日本がその能力を持っていたからです。
 韓国がIAEA規約に違反しウラン濃縮したのは、この記事が書かれた2014年から見て14年前のことです。40年前ではありません。
 韓国政府はメディアに「我が国は差別されている」と書かせて反米感情を煽り、交渉圧力に活用しようとしました。が、韓国の専門家の中にも「無理筋の交渉テクニック」と評する声がありました。
 というのに楊相勲主幹は「子孫に罪を犯す」との情緒的な表現まで使って、交渉に警鐘を鳴らしたのです。濃縮・再処理の権利をここで得ておかないと、国益を大きく毀損するとの危機感があったに違いありません。
 「一歩踏み出した韓国の核武装論」でも引用したようにこの後、楊相勲主幹は「金正恩も恐れさせてこそ平和を守る」(2015年5月21日、韓国語版)で核武装の必要性を説きました。11月5日には「釜山沖で考えた生存の一撃」(韓国語版)を書いて、原子力潜水艦の保有を訴えました。

 ■軍と保守勢力がタッグ
何だか、軍と朝鮮日報がタッグを組んでいるみたいですね。

鈴置:証拠は一切ありませんが、心証ではそうです。
軍の意向を受けた保守勢力の一部が、核武装に向けコンセンサス作りに乗り出したかに見えます。メディアでは朝鮮日報だけでなく、趙甲済氏ら保守指導者が彼らのサイトで核武装を呼び掛けています。

結局、新たな米韓原子力協定は楊相勲主幹の願い通りに結ばれたのですか?

鈴置:楊相勲主幹が満足したかは分かりませんが、2015年に結び直した新協定では、韓国は制限付きながら、濃縮と再処理を認められました。
 ウラン濃縮は「条件が整えば」との前提で20%まで可能になりました。案件ごとに米国の同意が必要だった使用済み核燃料の再処理は、一部の工程だけですが既存の研究所で実施するなら同意が不要になりました。
 「新協定で核兵器開発が直ちに可能になるわけではない。しかし、核武装への道を開いたことは確かだ」というのが原子力専門家の一致した見方です。 今後、韓国の核武装論者はどうやってそれを実現するつもりでしょうか? 米国は認めるのですか? 国民の核コンプレックスは乗り越えられるのですか? 鈴置:それは次回に詳しく分析します。
 ≫(日経ビジネス:アジア・国際―“早読み 深読み 朝鮮半島”)

 *事大主義: 自分の信念をもたず、支配的な勢力や風潮に迎合して自己保身を図ろうとする態度・考え方。
 *冊封体制: 中国,歴代王朝が東アジア諸国の国際秩序を維持するために用いた対外政策。中国の皇帝が朝貢をしてきた周辺諸国の君主に官号・爵位などを与えて君臣関係を結んで彼らにその統治を認める(冊封)一方,宗主国対藩属国という従属的関係におくことをさす。

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●アメリカの最大の欠陥 米国人が自国に惚れすぎていること

2015年12月15日 | 日記
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●アメリカの最大の欠陥 米国人が自国に惚れすぎていること

日本の政党の話(中編)を書くつもりだったが、時間がない。ということで、軍事評論家田岡俊二氏のコラムを掲載しておく。概ね、彼の見立ては間違っていない。アメリカと云う国は、第二次大戦後、多くの平和や富を得た国々に対しては、ほぼ、自国の利益に合致する外交戦略が出来る。しかし、アメリカの影響下になかった、或いは恩恵を受けていない国や、その国の人々に行う外交戦略、攪乱戦略、乃至は武力介入は、悉く失敗していると云う事実を、我々日本人も確認しておく必要があるだろう。

日本人の多くは、未だにアメリカ帝国は厳然と存在して、未来永劫、その地位を留まっていてくれると思いこんでいる。アメリカ人が、自国の歴史的裏づけがゼロの自由と民主主義、金融資本主義、グローバル経済等々の理念に根っから惚れこんでいるのは良いとして、他国であるわが国が、それ以上にアメリカの存在を神格化している現状は、あまりにも愚かと云うか滑稽である。アメリカにはアメリカの国益があり、日本には日本の国益がある。アメリカと日本の国益が一致しているなんてのは、まったくの出鱈目だし、本気で考えていたら気が狂っているとしか思えない。

筆者も唯我独尊をモットーに生きてはいるが、こちらは影響力ゼロの個人なのだから、周辺の数人が被害を蒙るだけである。しかし、アメリカと云えば、衰えたと雖も未だ覇権国であり、基軸通貨ドルを自在に扱える地位にいるのだから、独善に対するチェックを機能を、疎かにすることは許されないだろう。彼らが己惚れる理念(自由と民主主義、金融資本主義、グローバル経済等々)が普遍的価値であるのなら、ギリシャ・ローマ時代にでも気づいていた事だし、二度の大戦だって起きる筈はなかった。実際には、価値観などは、多種多様であり、パーソンの数だけ価値は存在する基本を忘れた、アメリカの振舞いは、世界中の市民を殺戮し、何百万もの難民を生んでいる。アメリカの振舞いが、死と飢餓と不安を世界に撒き散らしているのだとすると、アメリカが「魔女」扱いしている人々や国が正しく、アメリカこそが「魔女」と云う理屈も成り立つ。

今夜、筆者が一番言いたいことは、世の中で、メインプレーヤーが語る言説は、常にプロパガンダ的で、虚偽の情報が紛れ込み、彼ら既得権益層にとって、都合の良い方向に市民を向かわせようとしている点だ。わが国の諮問会議等々に呼ばれる有識者の多くが既得権益で生きているわけだから、マイナーな人々の言葉に耳を傾ける姿勢が常に求められる。一定の平和と一定の富を得た人々や国々は、「そのまま、このまま」を望むわけだが、未だ富まざる人々が、国々が、存在している事に目を瞑ることは、「悪」である。平和と富の中で見ている「善」は、実は、「悪」であるかもしれない。アメリカが実は「魔女」と云う視点を我々は抱かな過ぎる。特に、アメリカ人自身が、その罠から抜け出して欲しいものだ。


 ≪ ISのタンクローリー攻撃にやっと踏み切った米国の苦しい裏事情
自称「イスラム国」(IS)の最大の資金源は支配地で出る石油の密売だ。そのルートを断つのは簡単で、砂漠を走るタンクローリーやドラム缶を積んだ大型トラックを戦闘機、攻撃機の機銃掃討で壊せばよい。
 米国防総省は11月13日に起きたパリでの同時多発テロ事件後の11月23日、「米軍機が11月15日と21~22日にシリア東部と北部ではじめ て石油輸送トラックを攻撃、399輌を破壊し、ISの資金源に大打撃を与えた」と発表した。今回が「はじめて」というのは驚きだ。
 米軍は昨年9月23日から1年以上もシリア領内のIS拠点に航空攻撃を加えてきたのに、ISを弱らせるのにもっとも容易で有効なタンクローリーの 破壊はこれまでしていなかったのだ。ISの勢力が意外に衰えなかった主因は多分これだ。シリアを巡る米国、トルコ、ロシアなどの複雑怪奇な関係をこの問題 は象徴している(シリア内戦の経緯については11月25日配信の本欄を御参照ください)。
 米国財務省の推計では、ISは昨年毎月4000万ドル(約50億円・年間で約600億円)の石油密売収入を得ていると見られている。この他の資金 源としては支配地域住民からの徴税が年に数億ドル(数100億円)、身代金が年に2000万ドルないし4500万ドル(約25億円~55億円)、外国から の寄付が年に5000万ドル(約60億円)以上とされ「史上最も裕福なテロ集団」と言われている。
 だが、アラブ諸国の富豪の寄付は減り、身代金収入も一時的で不安定、税収も支配地からの国外難民・国内避難者の大量流出で減少している様子で、石 油密売の収入がIS資金源の過半を占めている。米国財務省は、イラクが旧フセイン政権時代に経済制裁をかわしてトルコ経由で石油を密売し、密売システムが 確立した、としている。
 米軍は11月15日からタンクローリーなどの攻撃をはじめて行い、その作戦を“Operation Tidal Wave II”(巨浪作戦2号)と名付けた。第2次大戦中の1943年8月1日、ドイツの第1の石油供給源だった同盟国ルーマニアのプロエシュチ製油所を、リビアのベンガジから発進した米軍のB24爆撃機177機が襲った大作戦“Operation Tidal Wave”にちなんだものだ。実はこの作戦では54機のB24を失ったが製油所に対する効果は一時的で、すぐ復旧した。だが、米空軍では勇壮な大作戦とし て伝説化されていて、その名を継いだところにIS撃滅への米軍の気負いが示されている。

 ■これまでの米国のシリア空爆は 「警備員が裏口を開けておいた」ような形
 今回の攻撃はパリでの同時多発テロ事件の2日後の11月15日に行われ、シリア東部のアブカマル(イラク国境の西約10km)付近でタンクロー リー116台を破壊、さらに21日から22日にかけてシリア北東部ハサカ(トルコ国境の南約100km)などで283台を破壊した。
 有志連合司令部の報道官S・H・ウォーレン米陸軍大佐は「ISの収入の半分以上が石油の売り上げで、1日平均100万ドル(約1.2億円)だ。一 連の航空攻撃でISに大打撃を与えた」と戦果を誇った。破壊した約400台以外に、残ったタンクローリーが600台ほどあるとしても、空から丸見えの砂漠 の道路をタンクローリーで走ったり、石油積み込みを待って駐車場に並ぶのは今後は極めて危険になる。密輸トラックの運転手は「命あっての物種」で、ISに よる石油密売が激減するのは確かだろう。
 だが、米軍がその攻撃の効果を強調すればするほど「なぜこれまでそれをやらなかったのか」との疑問が生じる。
 私は昨年9月に米軍などがシリア領内のIS拠点の航空攻撃を始めた際、「タンクローリーを壊すのは容易で、それをすればISの資金源の大半を断て る。他のゲリラと異なり地元に深く根を下ろしていないISは衰弱する」と説いていた。誰が考えてもきわめて簡単で有効な戦術だから、米軍などがとっくに やっているはず、と思っていたが、今回がはじめて、と知って驚いた。まるで銀行の警備員が裏口を開けておいたような形だ。米国などが1年以上航空攻撃を続 けても“イスラム国”が衰弱しなかったわけがやっとわかった。
 それをしなかった理由として米国防総省当局者は「民間人であるトラック運転手を死傷させるおそれがあったため」と説明し、「今回は事前にビラを撒 いて警告した」とも言うが、ISの“首都”ラッカなどの攻撃でも住民に多くの死傷者が出ているし、戦時に石油を運ぶトラックの運転手は、潜水艦に狙われや すいタンカーなど商船の船員に似ており、都市の住民のような純粋な民間人とは異なる。
 米国などがタンクローリー攻撃を控えた理由としては、
(1)以前からシリアのIS拠点攻撃を行っていた米国、豪州、カナダおよび親米派のイスラム教スンニ派諸国(トルコ、ヨルダン、サウジアラビアな ど)は「アサド政権打倒」を唱えていたから、アルカイダに属する「ヌスラ戦線」とならぶシリアの二大反政府勢力の主体であるISの命脈を本気で断とうとは せず、目こぼしをしていたのか。
(2)ISの石油密売先は米財務省が言うようにもっぱらトルコであり、トルコの闇商人のタンクローリーが石油買い付けにシリアに通っていたならば、 それを攻撃し、トルコ人運転手を死傷させれば、シリア政府に対する反乱の支援でのトルコの協力を得にくくなる。米国は反政府部隊の訓練や兵器の引き渡しなどをトルコで行っていた。また昨年9月から今年1月まで、トルコ国境に近いシリアのコバニの町でクルド人住民とIS部隊が争奪戦を展開していた際には、イ ラクのクルド自治区から救援のクルド兵をトルコ経由でコバニに送ろうとし、クルド人と対立するトルコを説得して通過を認めてもらったこともある。このた め、トルコとの対立を招くようなタンクローリー攻撃はためらわざるをえなかったのか、
 の2点が考えられる。おそらく(2)の方が主な要因ではなかったか。 ところがロシアが9月30日からシリアのIS、ヌスラ戦線など反政府勢力への攻撃を始め、9月27日からフランスもシリア領内のIS攻撃に参加し、 11月13日のパリでのテロ事件後、攻撃を強化する情勢となっては、米国も何かはっきりした戦果をあげないと指導力が低下するし、国内でもオバマ政権批判 が高まる。
 1年以上航空攻撃を続けてもISは弱らず、一部では支配地を拡大さえしている。米国が支援した「自由シリア軍」は消滅に近い状態だ。その代わりに 「新シリア軍」を作ろうとし、5400人を2016年5月までに募集する計画だったが、応募者は200人に満たず、トルコで訓練した54人を7月にシリア に戻したが9月には4、5人しか残っておらず、第2陣の70人を9月に帰国させるとすぐヌスラ戦線に降伏、兵器、車輛を引き渡すありさまで、米国はその計 画をあきらめた。
 こんな失敗続きではシリア内戦の停戦を目指す関係国会合でも米国の発言権は弱くなるから、米国としてはもはやトルコ人の感情などに構っておれない。そこであえてタンクローリー攻撃に踏み切ったのだろう。

■米国のロシア批判は 「アルカイダを攻撃するな」も同然
 11月24日にはトルコ空軍のF16戦闘機がシリア北西端のラタキア付近でロシアの戦闘爆撃機Su24を撃墜し、救出ヘリコプターの乗員を含め2 人が死亡した。シリアとトルコの国境が入り組んだ地域で対地攻撃を続けていれば、ロシア機がトルコ領空をかすめることはありそうだが、10数秒領空を通り 抜けた外国機を撃墜するのも乱暴な話だ。
 この背景にはロシア機の対地攻撃がISだけでなく、ヌスラ戦線やそれと共闘する反政府勢力に向けられていることがある。その航空支援下でシリア政 府軍がヌスラ戦線が占拠しているイドリブの町を奪回しようとしているから、反政府勢力を支援するトルコはシリア領内で多数のトラックをロシア機に破壊され て焦立ちを強めていたこともあるだろう。
 米国は「ロシアがISだけでなく、その他の反体制勢力も攻撃している」と非難するが、「IS以外の反体制勢力」とはアルカイダに属するヌスラ戦線 を中心にそれに同調する他の27もの雑多なイスラム武装集団が加わった「ファトフ軍」が主で、米国が言う「穏健な反政府勢力」とは具体的にどの集団を指す のか定かではない。米国の非難は「アルカイダをロシアが攻撃するのはけしからん」と言うのと同然だ。
 内乱に際して、他国が政府側を支援し、治安の回復、国の統合の維持を助けるのは適法だが、反徒に武器や資金を提供したり、訓練を施すのは「間接侵 略」に当たる。これはもし日本で騒乱が起き、他国が暴徒に武器などを提供することを想像すればすぐ分かることだ。ロシアがシリア政府を支援してISとヌス ラ戦線などを区別せず、反政府軍を攻撃するのは非難しえない。
 ロシアはトルコが自国機を撃墜したことを「テロリストの共犯に背後から撃たれた」と非難し、トルコがISの石油密売の相手方であることを強調し、 トルコはそれを否定している。トルコ政府自身がそれをしているとは思えないが、米財務省のISの資金源に関する調査報告などから見て、密輸を十分に取締っ ていないことはありそうに思える。 ロシアはトルコへの旅行の制限や農産物輸入の停止など部分的経済制裁を行ったが、石油や天然ガスの輸出停止など全面的な禁輸は自国への打撃が大きいから、それに至る公算は低いだろう。

 ■アサド政権下のシリア政府軍に  IS討伐させる以外にない
 いずれにせよ、米軍による「巨浪作戦2号」や、ロシアとの石油密売論争の結果、トルコ経由のISの石油密売はほぼ停止するだろう。ISの資金は涸渇し、地元民が外敵に対し抵抗するゲリラというより、給料目当ての傭兵集団の性格が濃いISは弱体化することになりそうだ。
 一方、米国では「アサド政権はISと裏でつながっており、ISから石油を買っている」との説が出ている。ISが支配地で産出した石油を全て密輸出 しているわけではなく、一部は簡易な製油所で精製し、自分達が使ったり支配地の住民に販売もしている様子だ。闇商人がそれを仕入れて、政府側の地域で売る こともありそうだが、シリア政府がその石油を買ってISの資金源になっている、との説は極めて疑わしい。シリア政府にとって最大の危険はイラク、シリアで 推定3万人の兵力を有し、攻撃的なISであり、兵力約1万2000人と推定される「ファトフ軍」や存在すら怪しげな「穏健派反政権勢力」ではあるまい。もしシリア政府がISを育成しヌスラ戦線と噛み合わせようとすればISに政権を奪われかねない。
 この話はイラク攻撃の前、米国で流布したデマ「9.11事件を起こしたアルカイダとイラクのサダム・フセインはつながっている」を想起させる。フ セインは偶像崇拝を忌むムハンマドの教えを無視して、自分の銅像や肖像画を国内にあふれさせたり、顔を丸出しにした女性兵士に銃をかつがせてパレードをさ せたりしたから、イスラム原理主義者から見ればとんだ罰当たりで「アルカイダの暗殺リストの上位に入っていた」という話もうなずける。
 常識があれば「フセインとアルカイダが共謀」という説はすぐウソと分かるはずだが、米国人には自国は善玉、逆らう者は悪玉との信念が強くあり、悪玉同士は仲間、との宣伝に引っ掛かりやすいようだ。  ・前回(11月25日配信)で も述べたが、シリアからの難民430万人(他に国内避難者760万人)はトルコ、ヨルダンなど周辺諸国や欧州各国にとり極めて深刻な問題となっている。そ の解消のためにはシリア内戦の早期停戦が不可欠で、シリア政府が倒れそうな情勢ではないから、西欧諸国も米国も「暫定的に」と言いつつ、アサド政権の存続 を容認し「穏健な反政府派」との和解を求める方向に動いている。
 だが反政府派の主体はISおよびアルカイダ系のヌスラ戦線とその同調者だから、それらを和平交渉から排除せざるをえず、そうすれば実体のない交渉 となってしまう。仮にISやヌスラ戦線の支配地をそのまま残して停戦しても、内戦の再燃は必至で、難民・避難者は安心して帰郷できない。また、もしアサド 政権(シリア政府)が崩壊すれば、いまでも対立抗争をしているISとヌスラ戦線などがシリアの支配権を巡って次の内戦を始めそうだし、それでどちらかが 勝っても、シリアはテロ組織の支配する国となり、難民は戻れない。
 シリア軍は総員約18万人で、陸軍だけでも11万人はいて、政府側の民兵も10万人と見られるから、IS(イラク領内を含み3万人)とファトフ軍 (1.2万人)に対し人員では圧倒的に優勢だ。弾薬、車輌、航空機や戦車の部品などを十分に供給すれば反政府軍を制圧できるはずだ。
 ロシアのようにアサド政権を支援して、シリア政府軍にテロ集団であるISやヌスラ戦線を討伐させて内乱を鎮定し、その後各国がシリア復興を援助して難民が戻れるようにする以外に、現実的な策は無いのではないか、と考えざるをえない。  
≫(ダイアモンドONLINE:経済・時事―田岡俊二の戦略「目からウロコ」

参考
■ IS殲滅には地上戦が不可欠  日本は報復の標的となりそうか?
http://diamond.jp/articles/-/82152

■ オバマの軍事行動はなぜことごとく失敗するのか
http://diamond.jp/articles/-/81498


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●印象論的な政党の変化 豊かさが価値を変え 政党も変わった(前篇)

2015年12月14日 | 日記
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●印象論的な政党の変化 豊かさが価値を変え 政党も変わった(前篇)

初めに申し上げておくが、今夜の話はザックリとした印象論なので、事実関係に、一定の齟齬があることも、あり得ると但し書きをつけておく。前・中・後篇の三つのコラム構成とする。

明治以降の政党にまで言及すると、只の政党の歴史ものになりコラムではなくなる。戦後、1955年に出来上がった、所謂「戦後55年体制」(与党:自民党、野党:社会党)の話、1993年~1994年までの38,9年続いた体制は終了するのだが、これも結局、政治の歴史を語ることになるので、今を感じる意味では、面白くもない。ただ、1954年(昭和29年)12月から1973年(昭和48年)11月までの約19年間続いた、わが国の「高度経済成長期」と重なっている点だけは、押さえておきたい。

ここから先の、日本の政治史は、好き嫌いは別にして、ある一人の政治家を中心に、紆余曲折が、日本の政界に旋風を巻き起こし、2009年の民主党政権獲得まで、続く。考えてみれば、最低でも37年間、永田町の中心人物と生きてきた“この一人の政治家”は、只者ではないだろう。その名は、小沢一郎だ。同氏に煮え湯を飲まされた政治家は後を絶たなかったし、記者クラブ連中との仲も疎遠で、メディアにも、多くの反小沢がメインストリームを歩んでいた。2009年、自ら率いる民主党が政権獲得確実と云う寸前に、東京地検特捜部の唐突に、西松献金問題で公設第一秘書が逮捕と云う事件が起き、小沢一郎は、内閣総理大臣の椅子を目の前で失った。

その後、同氏が、政界における神通力を徐々に失うことになったわけだが、アメリカが同盟国である日本の政界に、最もあからさまに介入した出来事であることは、前後の経緯から事実だと言い切っても良いだろう。まあ、このような事態は、アメリカが日本を国益として利用しようと思っている間は、想定できる出来事だったので、同氏が対アメリカ対策と云う布石を蔑ろにした点が悔やまれる。まあ、真っ向勝負をモットーにしていただけに、外務官僚と寝技で根回しする積りもなければ、財務官僚と財政問題での擦り合わせも不足だったのだろう。

以上のような経緯があって、わが国の政界構図も、かなり変わってきた。ご承知のように、自民党と公明党が連立を組んで、与党を形成している。この組み合わせは違和感だらけで、日本会議のような跳ねっ返り右翼のような団体と、平和をシンボルにしている宗教政党が連立を組んでいるのだから、政権を持つ与党が、どのような為政を行うか、必ずしも、与党政治家の意志で行われてはいないと云う証明でさえある。

まず、自民党と云う政党について、考えてみよう。一時は農村政党であったが、高度経済成長期において、農業に従事していた人々を「集団就職」を通じて、都市周辺の工場等々に掻き集め、重厚長大製造業の労働力に変えていった。その頃から、日本の稲作農業には収益率において、重大な欠点があったわけだが、米価を財政で上積みすることで、就農を極端に減らさない政策を採り、農業人口の票田を維持すると同時に、都市型票田の確率が急がれた。つまり、農業国としての「既存権益層」と都市周辺に、農業人口の票田移動した、製造業従事者を票田化しようと試みた。

しかし、この試みは、失敗に終わり、勤労者の多くは、労働組合員となり、自民党に対峙する政党の支持者になってゆく。この現象で、頭角を現したのが「社会党」だ。社会党は、その後「社民党」や「民主党」に分散されてゆく。ただ、ここで注意しておかなければならないのは、その「集団就職労働者」の受け皿であった「重厚長大製造業」及びその下請け製造業の経営者との関係を重要視した。ここでも(企業)、自民党は「既存権益層」の票田の一部を死守した。ここには、明確な「労使対立」があったので、自民党は、直接の票田にはならないが、政治活動などに必要な資金源として、「重厚長大製造業」及びその下請け製造業の経営者との関係を密にしてゆく。

ここまでのポイントとして、留意すべきは、その当時から「既存権益層」には、霞が関官僚組織があったことを忘れてはならない。つまり、行政の担い手と共通の利益を持つことが多い政党であったことだ。理屈上は、霞が関官僚組織は立法府(国会・政治家)が作った法律等を粛々と行政に反映させる為に働く公僕なのだが、現実は、大いに違っていることだ。立法府が作る法律の原案を作ることが多く、その過程における知恵袋にもなっている。おそらく、ここが日本の政治の、最も厄介なメカニズムなのだろう。霞が関官僚は東大、京大などに在籍、昔で言えば「高文」現在だと「国家公務員I種試験」(国家公務員総合職試験)と呼ばれるものに合格した、一般人に比べれば比較的IQの高い連中が、霞が関の官僚組織に入る。

そういう人間が、既にガチガチに出来上がった中央官僚組織の中に入るのだから、厄介だ。彼らは、多くの場合専門的知識を有しているわけだから、その分野のエキスパートになることは理の当然である。しかも、彼らには永遠に近い身分保障が与えられているので、役人から墓場までは、絵に描いたように分るわけである。官僚組織は生きものではないので、死ぬ心配も滅多に起きない組織なので、生死をさまようような事もまず起きない。ゆえに、彼らのエキスパート能力は、ある一定の力学に沿って、研ぎ澄まされる。ここで云う一定の力学とは、守備範囲の拡充である。これを怠ると、出来ない奴と言われることが多いようだ。嘗て民主党の野田佳彦が「シロアリ」と評した、シロアリの巣を拡張することが優秀な官僚として扱われる。

野田佳彦などは、好例中の好例だが、選挙に弱くて、どうにもならなかった政治家が、「シロアリ」に魂を売った途端に、左団扇でトップ当選してしまう事実が、すべてを証明している。財務省を通じた野田佳彦応援組織が急遽作られたわけではなく、既に、その地域に網の目のように張り巡らされている官僚組織と利益損得を共有する経済界や医学界や他の専門分野の組織体などが、全力で野田を応援する結果として、トップ当選党云う芸当が出来るのだろう。つまり、官僚組織の力に逆らうには、余程の根性と、財力と組織力が必要になるわけで、並大抵の政治家では太刀打ちできない。万が一、そのようなメカニズムもなく野田佳彦が当選したのであれば、「ムサシ」を疑う羽目になる(笑)。
前篇終わり

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●「?」がつくが  「真っ当な政党」は日本共産党だけに見てきた

2015年12月12日 | 日記
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●「?」がつくが 「真っ当な政党」は日本共産党だけに見てきた

流石に朝日新聞は自公政権の「軽減税率対象」を巡る茶番劇を、腹立たしく思っているらしく、デジタル版では、ベタ扱いで厭々報じている。読売は国際宇宙ステーション(ISS)からの宇宙飛行士の帰還を仰々しく報道しているが、税金をアメリカとロシアに支払う便法のようなもの、悪いが、無駄銭のひとつだと認識している。自公政権の「軽減税率対象」を巡る茶番劇をトピックの二番目に配しているので、自公政権は、出来る限り、国民負担の軽減に努力していると云う寸劇を、真面目に報じている。最もこの茶番に力を籠めて報道していたのは、俗称「アベチャンネル」と皮肉られているNHKニュースのようだ。NHKニュースの文字情報を引用すると以下の通りだ。朝日のベタ記事と比較参照すると、如何に「アベチャンネル化」が加速している事を証明している。

≪ 軽減税率 「外食」で折り合わず 12日再協議
消費税の軽減税率を巡って、自民党の谷垣幹事長と公明党の井上幹事長は、11日、2度にわたって協議を行いました。この中で焦点となっている対象品目について、自民党が「外食」まで含めた「酒類を除く飲食料品」とすることを提案しましたが、「外食」の取り扱いで両党は折り合わず、12日に改めて協議することになりました。

自民党の谷垣幹事長と公明党の井上幹事長の協議は、国会近くのホテルで、11日、2度にわたって、両党の税制調査会長らも同席して行われました。 この中で自民党は、焦点となっている対象品目について、軽減税率の導入時に「外食」まで含めて、「酒類を除く飲食料品」とし、財源を1兆3000億円まで上積みすることを提案し、11日中の決着に向けて調整が行われました。 その結果、両党は対象品目について、「生鮮食品」に「加工食品」も加えることでは一致しました。

ただ、「外食」の取り扱いでは公明党内に、「外食」まで軽減税率を適用した場合、利益を受けるのはむしろ所得の高い層ではないかという指摘などもあって、11日は折り合わず、12日に改めて協議することになりました。 このあと公明党の井上幹事長は記者団に対し、「対象に加工食品を含めるというところまでは基本的に合意しているが、最後の詰めがあるので、引き続き協議する。あすの夕方をめどに取りまとめをしたい」と述べました。

協議に出席した自民党の林前農林水産大臣は記者団に対し、「加工食品を対象とすることで基本的に合意した。詰めの作業を、あす同じメンバーで行う」と述べました。  ≫(NHKニュース)

≪自民、軽減税率対象に外食も提案 12日に継続協議へ
 自民党の谷垣禎一、公明の井上義久両幹事長は11日、2017年4月の消費税10%への引き上げ時に導入する軽減税率について協議した。自民党は税率を8%に据え置く対象を酒類を除く食品全般に加え、外食も含めるよう提案。税収減の穴埋めに必要な財源をどう確保するかとともに、12日に引き続き協議して決着をめざすことになった。 ≫(朝日新聞デジタル)


国民の4割、5割が支持しているらしい、自公政権だが国会も開かずに、首相は、無理やり外遊スケジュールを埋めさせ、国際外交多忙のためと云う言い訳を作り、国会論戦を逃げまくっているが、党主導のような顔をして、谷垣と井上が、アベノミクス失速を、なきことのように振る舞い、消費税10%の軽減税率の話にうつつを抜かしている。そもそも、5%から8%に、3%も消費税を上げた結果の検証も終わっていないのに、捕らぬ狸の皮算用に終始している。その議論をNHKなどは、国民の生活に優しい政策だと言わんばかりに「アベチャンネル」で報じているが、5%の消費税で、漸く経済成長らしい数字を出したのだが、8%時点で、GDPは完全にストップした。

財務省の試算などでは、消費税を上げれば、税収が増えて、財政赤字の垂れ流しが少なくとも止まるような事を言っているが、現実に国庫全体を潤わせる歳入が伸びているのかどうか定かではない。製造業の増収増益が税収に寄与している面はあるが、消費税の還元や優遇税制を加味すれば、さほど歳入増に寄与していないと推測できる。そもそも論から考えても、IMFや金融資本主義者の語っている「緊縮財政論」というものが、怪しい話であることはエマニュエル・トッドも指摘している。お手盛りで作った国債の格付け会社如きに陰謀的信用を持たせ、国家の手足を捥いで、経済政策を国益に沿って実行できないようにしたのがIMFの「緊縮財政論」である。

特に、自国通過を放棄して、ユーロと云う罠に嵌ってしまったのが、ギリシャであり、イタリア、スペイン、ポルトガルである。トッドの厳しい指摘に沿うと、いずれフランスも南欧の国々に引きずられるだろうと看破している。これらの緊縮財政の狙いは、IMF及び世界銀行の一極支配で、グローバリズム経済を米英独で好きなように操れるものにしようと云う魂胆なのだろう。ドイツは純宗主国待遇が約束されているのだろうが、ドイツ経済の健全化が殊のほか目を見張るものがあり、アングロサクソン陣営がビビり出した結果が、VW暴露事件を惹き起こしたのだろう。ゲルマン民族畏るべし、と米英は思ったに違いない。アメリカのダウ・ケミカルとデュポンが合併する話が飛び込んできた。この動きも、ドイツBASF社の一強を抑え込むアングロサクソンの考えだろう。いずれにせよ、財政緊縮論は世界の金融資本に自由度を付与するだけで、一般国民は、一層奴隷化する原理原則だ。

まあ、そんな感じで動いている世界の中で、国家観とか、戦略性とかに縁のない日本人が、本気で彼らの行動に参加するとか、そのグローバル世界で、米英中露やドイツ相手に、本当にプレヤーとして、振る舞えるのか、正直、不可能に近いのだと思われる。仮に、グローバル世界で、勝ち組の末席に座れたとしても、搾取される側とほとんど変わらないゲインを得るに過ぎないのだと思う。相当長期な展望からいけば、国富どころか、国民一人一人の蓄財すらも彼らのに奪われて、オシマイとなるのだろう。気がついた時には、日本の製造大企業が、世界の資金の傘下であったり、中国資本の傘下の会社に変っているような事は日常化する。

筆者が言うほど酷くないとしても、傾向としては、その方向だと思う。消費税10%とありきで、閉会中に与党の自公政権が好き勝つて言っているのを、国民のためを思っている自公政権のような話に歪曲しているのだが、意外に、こういう根本をネグった報道に、国民は騙されやすいものなのだ。詐術の一種だが、報道するのは各メディアの勝手だから、違法だとは言えない。海外に、無計画なバラマキ外交をする金と、消費税10%がバーター取引されいる印象を憶える。国費の使い方が、私利私欲に陥っている。この点は日本共産党の赤旗の主張がわかり易いので、引用しておく。


 ≪ 大企業に格別の減税 庶民増税隠しのニセ「軽減」
  与党が「税制改正大綱」了承
 自民・公明両党は10日、それぞれ税制調 査会の総会を開き、消費税を10%に引き上げる際の消費税率据え置き制度の取り扱いを除いて、法人税の実効税率を引き下げることなどを盛り込んだ2016 年度「税制改正大綱」を了承しました。国民に増税を押し付けながら、大企業に格別の減税を行う安倍晋三政権の国民犠牲の姿勢が表れています。
 大綱は大企業優遇が顕著です。現在、32・11%の法人実効税率を16年度に29・97%、18年度に29・74%と2段階で引き下げます。法人実効税率は企業の所得にかかる税なので、黒字の大企業ほど恩恵を受けることになります。
 企業の役員報酬に対する優遇税制を拡大します。役員報酬を損金(費用)として計上し、法人税負担を軽くします。これまで扱いが不明確だった株主資本利益率(ROE)に連動した報酬も損金算入できることを明確にしました。役員報酬の高額化を促進する可能性があります。
  消費税については17年4月に10%に引き上げる際、加工食品をふくむ食料品を8%に据え置く方向性が決まっています。ただ財源や具体的な対象品目については、10日に自民・公明両党の幹事長が断続的に協議したものの決まりませんでした。加工食品を対象に加えたとしても、消費税率の引き上げによって国民には年間4兆円を超える負担が増えます。「軽減税率」といって負担増を覆い隠し、大増税を国民にのませる手段です。
 当初、生鮮食品だけを据え置きの対象とすると主張してきた自民党が、加工食品への拡大を認めたのは、衆院選・参院選で「軽減税率の導入」を公約に掲げた公明党に配慮したためです。地方選挙や参院選で公明党の協力を取り付ける思惑もあるといわれています。  8%への消費税増税で日本経済はマイナス成長に陥りました。たとえ一部で税率が8%に据え置かれたとしても、税率を10%に引き上げれば日本経済の土台を破壊します。
 株主資本利益率 企業の株主資本(自己資本)に対する当期純利益の割合を指します。ROEともよばれ、企業の収益性を測る指標とされます。  ≫(しんぶん赤旗)


 ≪ 主張
  与党税制改定大綱
  消費税増税の負担打ち消せぬ
2016年度以降の税制について検討してきた自民・公明の与党が、17年4月からの消費税率の10%への引き上げのさい8%に据え置く対象に加工食 品を含める方針で合意、これにもとづいて16年度税制改定大綱を決定することになりました。いわゆる「軽減税率」の導入は税率を据え置くだけで、負担の軽減どころか増税の負担を打ち消すものになりません。事業者の負担は確実に増えます。16年度の税制改定では主に大企業のための法人税の前倒し減税が決まっており、安倍晋三政権の国民犠牲政治を浮き彫りにしています。
増税を無理に押しとおす
 消費税の10%への引き上げのさい8%に据え置く対象を加工食品にまで広げることになったのは、自民党が主張した生鮮食品だけでは国民の実感が乏 しいという公明党の主張に同意したためです。安倍首相らには沖縄などの地方選挙や参院選挙で公明党の協力を取り付ける思惑があるといわれます。
 「軽減税率」の導入はもともと、消費税率を5%から8%(昨年4月から)、8%から10%(当初は今年10月から予定、17年4月に延期)へと連続的に増税すると決めたさい、与党が持ち出したものです。消費税の増税が国民の暮らしも経済も破壊するため不人気なのをごまかすためで、消費税増税を無理やり押しとおす姑息(こそく)な手段です。
 「軽減税率」導入といっても対象となる品目の税率を据え置くだけなので、現在より負担が軽くなるわけではありません。複数税率導入は事業者にとっ ては事務手続きが煩雑になり負担が増えます。拡大する加工食品をどこで線引きするのか、財源はどう確保するのかなど、調整は難航しました。
 対象を加工食品にまで広げた結果、消費税の増税による増収見込みが1兆円近く減るといいますが、消費税率を2%引き上げるだけでも税収は5兆4000億円も増えるといわれており、国民の負担は大幅に増えます。5%から8%への引き上げ分を含めれば負担増は10兆円をはるかに超します。
 原則としてあらゆる商品やサービスに課税される消費税増税による負担増は、同じだけ国民の消費を冷やし、経済を悪化させます。昨年の消費税増税の あと日本経済は大きく落ち込み、8日発表された今年7~9月期の国内総生産(GDP)の改定値でも個人消費は速報段階より落ち込んでいます。消費税増税の負担増は、多少のごまかしで解消しません。
 公明党は加工食品への対象拡大を低所得者対策のようにいいますが、経済学者などでつくる民間税制調査会(民間税調)の試算では、食料品の税率を軽 くしても、低所得者ほど負担割合が高い消費税の逆進性は変わりません。低所得者対策をいうなら「軽減税率」導入などとごまかさず、増税そのものを中止すべきです。
増税も大企業減税もやめ
 自公の税制改定大綱は、消費税増税とともに廃止される自動車取得税に代わる新しい自動車税の導入も決めました。一方法人実効税率については16年度に29・97%まで引き下げ、赤字法人などへの課税を強化するとしています。  国民や中小企業を犠牲にする消費税増税も大企業減税もやめ、社会保障に必要な財源は消費税に頼らず確保する、税制・財政の抜本的な見直しが不可欠です。
 ≫(しんぶん赤旗:主張)

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