世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●不安に慄き、逆にカラ騒ぎしている日米市場 年明けの恐怖

2016年12月29日 | 日記

 

爆誕!トランプ大統領で日本はこう変わる
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●不安に慄き、逆にカラ騒ぎしている日米市場 年明けの恐怖

 グローバル市場における不確実性指数(EPU)が、リーマンショックに繋がる“サブプライムローン”時のEPU200ポイントを遥かに超え、281ポイントになっているのだから、不確実性の時代、つまり、先の読めない時代がヒタヒタと近づいていると云う事実を否定する人々は少ないだろう。

 単に、風変わりな指導者が出現したとか、そういう属人的問題だけなら、世界を取り巻くモノゴトをおさめてゆく潮流が確かである限り、怖れることはないだろう。しかし、世界全体にパラダイムシフトをにおわす潮流が芽生えてきて、風変わりな指導者が各国に登場してこようとしている来年、2017年は、安倍とオバマの三文芝居のように、シナリオ通りには行かないことを多数目撃する時代の始まりと云う予感がする。

 しかし、現実の足元には、有り余った世界中のマネーは、投資すべきモノを見失い、ゲインを求めて、投機に走る以外手段を持たないのが現実だ。ジャブジャブのマネーの行き場は、投機市場か戦争経済における投資。それ以上でも以下でもないとなると、資本主義の限界は確実なのだろう。そんな気持ちで読むと、ブラックジョークのようなコラムとして読めてくる(笑)。


 ≪ 市場は「嵐の前の静けさ」か、不確実な時代の強い楽観
[東京 28日 ロイター] - トランプラリーが一服し、マーケットは静かな年の瀬を迎えている。クリスマス休暇から戻っていない投資家も多く、各市場とも商いは薄く動意も乏しい。だが、世界の不確実性はかつてなく高く、その一方で市場の楽観度は極めて強い。「嵐の前の静けさ」なのか──。期待と不安が交錯する2017年を迎えようとしている。

<コールよりプットが高い時代>
「Economic Policy Uncertainty Index(経済政策不確実性指数、EPU指数)」が市場関係者の注目を集めている。米国の大学教授らが開発した数値で、主要新聞の経済政策の不確実性に関する記事の数やエコノミストによる経済予想のばらつきなどから、経済政策の不確実性を数値化した指数だ。
 未来は不確実なものであるとはいえ、直近11月のグローバルEPU指数は281ポイントと、1997年の統計開始以来の最高を記録。リーマン・ショックにつながるサブプライム問題が起きていた2008年10月当時でさえ、200ポイント程度であり、足元の不確実性は突出して高い。
 高い不確実性の要因は、トランプ次期米大統領の不透明な政策実現性だけではない。「ブレグジットや、トランプ氏勝利で示されたのは、エスタブリッシュメントが作ってきた既存の体制への不満や反動だ。世界のレジームが変わろうとしていることが、不確実性を高めている」とフコクしんらい生命保険・財務部長、林宏明氏は話す。
 米国、ロシア、中国のパワーバランスが揺らぎ始め、来年のフランスやドイツの選挙には不透明感が強い。極右政党が躍進すれば、政策の行方はますます読めなくなる。中東などの地政学リスクもくすぶったままだ。 不確実性はリスクとは異なる。リスクは統計や経験に基づいて定量化や値付けができるが、不確実な事象は突然起きるため対処が難しい。「政治が予見できなくなった以上、ダウンサイドのヘッジポジションが重要になる。コールよりプットの価格が高い時代が続きそうだ」と、BNPパリバ証券・グローバルマーケット統括本部長の岡澤恭弥氏はみる。

<不確実性指数と恐怖指数の高い相関>
しかし、不確実な時代に反するように、市場は楽観度を強めている。ウェルズ・ファーゴ/ギャラップの調査では、投資家の楽観度は過去9年間で最高水準を記録。「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数.VIXも11ポイント台と歴史的にみて低水準だ。
 こうした楽観を映し、主要国の株価指数は高水準で推移。「トランプラリー」は一服しているものの、ダウ.DJIは史上初めて2万ドルに接近。予想株価収益率(PER)は20倍となっている。日経平均.N225も年初来高値を更新、2万円大台を視界にとらえている。
 市場に安心感をもたらしている理由の1つが、財政拡張政策だ。米国だけでなく、各国とも歳出拡大に動き出しており、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの推計では、2016年と17年の日本、カナダ、韓国、欧州、米国における財政拡張策は、合計で1兆ドル以上の規模に達する。
  ただ、「トランプ氏の財政拡張政策が、米国の潜在成長率を高めるのは難しい」(JPモルガン証券・シニアエコノミストの足立正道氏)との声は多い。 「財政政策が企業の前向きな設備投資に結びついたり、的確な規制緩和が行われれば、政策不確実性はポジティブな方向に顕在化する可能性もある」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)。だが、バラマキであったり、中途半端な規制緩和に終われば、期待は失望に変わる。
  長期的な相関性で見れば、高い不確実性指数と、低いVIX指数は両立しないとeワラント証券の投資情報室長、小野田慎氏は指摘する。不確実性指数が高まるとVIX指数も上昇する傾向があり、さらにVIX指数が大きく上昇すれば、株価(日経平均)は下落する相関性がみとめられるという。「いまの低いVIX指数は、経済政策の不確実性を織り込んでいない可能性がある」と小野田氏はみている。

<脚光浴びる日本政治の安定性>
世界的な不確実性が高まる中で、脚光を浴びているのが、日本の政治の安定性だ。衆院解散・総選挙がいつになるかという不透明要素はあるものの、野党の勢いが弱いだけに波乱を予想する市場関係者は少ない。 「今秋以降、海外勢が日本株を買っている理由は、円安による業績改善期待と政権の安定性。米国や欧州の政治が不安定化するなか、日本の政策が最も見通しやすいと評価されている」と、最近、海外投資家を訪問した外資系金融機関の運用担当者やエコノミストは、口をそろえる。
 しかし、「アベノミクス政策を話題にしなくなった」というのも、海外投資家に共通した傾向だという。金融緩和策の限界が意識されてきていることや「第3の矢」である成長戦略の失望というのが共通した理由だ。日本株買いは、日本経済や日本企業の魅力が高まってきたというよりも、相対的・消去法的な選択に過ぎない。
 黒田東彦日銀総裁は26日、経団連の審議員会で講演し、世界経済はリーマン・ショック後の調整局面を脱し、日本経済や企業経営にグローバルな「追い風」が吹きつつあるとの認識を示した。
  しかし、海外からの「追い風」は、すぐに風向きを変えるおそれもある。米国の保護主義政策や、欧州選挙の波乱など不確実性が顕在化すれば、リスクオフの円高が再開しかねない。日本自らのモメンタムが弱まっているなかでは、来年も「逆風」には警戒が必要だろう。
≫(ロイターコラム:伊賀大記 編集:田巻一彦)

爆誕!トランプ大統領で日本はこう変わる
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●安倍的な人々とは? 曖昧な環境に耐えられない幼児的な人々

2016年12月26日 | 日記
沖縄・憲法の及ばぬ島で
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高文研



●安倍的な人々とは? 曖昧な環境に耐えられない幼児的な人々

安倍政権や日本会議的人々の多くの考えは、以下の内山氏が指摘しているように、曖昧な環境が非常に不安定なものであり、今よりもっと確かなものにして、安堵の気分に浸りたいと云う欲求から、その行動原理が生まれているようだ。つまり、考えることと云うか、欲求している事柄に、情緒的に幼児性が見られるということだ。何ごとにも、根拠がないと心許ないと不安になると云うことだ。

今回の今上天皇の生前退位問題においても、憲法において人間宣言させておいて、天皇個人を人間扱いしたくない、天皇の属人性を認めない、そう云う傾向の強いことを言う自称保守主義者がいるが、天皇と云う立場の人間を必要とするが、そこにおける天皇は、存在そのものが重要であって、その天皇が、憲法でいうところの象徴天皇として、象徴行為をする必要はなく、国事行為だけで良い。国民の心の拠りどころなどは、余計な配慮だとまで言い募る不敬な右翼学者もいたようだ。

安倍的な人々は、日本と云う国の成立根拠がないことに、幼児的な不安を持ち、神話に、その根拠を求めると云うのだから、曖昧な話から、たしかさを導き出すと云う荒業に出ている。この安倍的な人々や神話保守主義者の国家観は、哲学や政治学とは異なる分野の主張であり、ほぼ、宗教における信仰と近似している。ただ、面白いことは、彼らは、その宗教的な心の支えを、国民総ぐるみで汚染されなければと考えるのだから、滑稽と云うか、怖ろしい。曖昧なものに行くつくのが国家観であり、あまり、国家についてたしかさを求めると、嘘を書き、話すことになる。

ただ最近のように、グローバリズムな動きに翻弄されてしまうと、国家の概念が嫌に希薄になるので、逆にナショナリズムな感覚を国民に意識させる傾向はあるかもしれない。内山氏の説に限らず、国家と云う単位の発生は、その地を統治する連中の、ご都合が大半を占めている。おそらく、国家と云う言葉は別にして、人の営みで、民主的で、ヒューマンな生活を求める単位は、精々数万人単位の集団が適当なのだろう。考えると、今の状況は、グローバリズムな動きは、意味なく広すぎ、デモクラシーのない世界を目指。国家やEU、ASEAN等の共同体も広すぎ、目的としているものの実現から、一層遠ざかっているようだ。


≪ 安倍政権が「強い国家」を目指すほど、国家は結局弱くなる単純な理由
国家というものの本質から考える 内山 節 哲学者
 ■国家というもののとらえ方
:国家のとらえ方は、時間幅の設定の仕方によって変化する。
:それはこういうことである。
:たとえば今日の私たちは電気のない生活など考えられない。ところが長い人類史のなかでは、人間が電気とともに暮らしたのはせいぜいこの100年間くらいのことであり、何をするにも電気が必要な生活をするようになってからは、まだ50年くらいしかたっていない。
:人類史全体をみれば、電気のない生活の方がはるかに長いが、いまの私たちにはそんなことは想像することもできない。
:国家も同じような面をもっている。50万年近い人類史をみれば、国家のない社会で人々が生きていた時間の方が圧倒的に長かった。

* * *

:日本で国家の形成がはじまるのは律令制に向けた整備がはじまる頃で、乙巳の変(いっしのへん)、大化改新を起点としても、その前の冠位十二階の制定あたりを起点としたとしても、まだ1500年もたっていない。
:その前の「日本」は、権力者が発生してから以降も、朝鮮半島と結んだ豪族たちが存在していただけであって、「日本」という国家が意識されていたわけでもないし、彼らは国家の統治者でもなかった。
:しかも律令制の整備がすすめられてからも、国家を意識していたのは支配階層の人たちだけであって、普通の庶民たちにとっては国家は縁のないものであった。
:江戸時代までの日本では、人々は自分の暮らす地域を「くに」と表現していたのであって、それもまた確定された地域のことではなかった。遠方の人たちに対しては藩を「くに」として語ったが、同じ藩内の人に対しては自分の暮らす村や町、その周辺が「くに」になる。
:明治時代に入ると日本は近代国家の建設に向かうが、といっても多くの人たちは国民意識などはもっていなかった。それが芽生えてくるのは日清戦争以降であり、定着したのは日露戦争の頃だと考えてよい。
:現在の私たちは日本国民であることを意識しながら暮らしているが、その歴史は電気の歴史とあまり変わらないのである。
:にもかかわらず、電気のない生活を経験した人がほとんどいなくなったように、現在の人間たちは国家のない暮らしを経験したことがない。だから国家は絶対的に必要な基盤のように感じる。
:だが、もしも電気に変わる便利なエネルギーが開発されれば、次第に電気は衰退していくのと同じように、国家を必要としない時代や、国家の下で暮らすメリットよりもデメリットの方が大きい時代が生まれれば、国家もまた衰退へと向かうかもしれないのである。

■国家は本質的に無根拠である
:ところでいま私は、「国家もまた衰退に向かうのかもしれない」と曖昧な言い方をしたのだけれど、なぜ曖昧なのかといえば、国家とはそもそも無根拠性を基盤にした創造物だからである。
:たとえば律令制を整備する過程で、日本の支配層は、日本という国家を形成しようとしている。しかしその動機は日本における支配権の確立であり、当時の朝鮮半島の混乱のなかで、中国とも朝鮮の国々とも違う自立した支配圏をつくりだすことにあった。
:つまりそれは、どのような統治権を確立するかという問題であり、その推進が国家を生みだしただけなのである。国家自身に成立根拠があったわけではない。統治権の確立が、結果として国家を生みだしたのであって、国家自体は無根拠性の上に成立している。
:江戸時代になれば幕府を軸にした武家国家が生まれてくるが、これもまた幕府による統治権の確立が日本という武家国家を生みだしたのであって、国家自体はやはり根拠なく形成されている。
:そしてそれは明治になっても変わることはなかった。
:欧米がもっている近代的な技術、経済、軍事力などを目にして、日本も近代国家を形成する方向にむかう。日本を取り巻く当時の国際情勢や日本の社会変化のなかで、より強力な中央集権国家として近代国家を形成する方向に、当時の日本はむかった。
:だがここでも、国家自体がそれを求めたわけではない。当時の政治に国家をよりどころにする必要性があったということであって、国家自体が近代国家をつくる根拠をもっていたわけではないのである。
:国家は、本質的に、無根拠な成立物なのである。
:それは諸外国においても変わらない。ただし私たちは成立したものの内部で暮らしているがゆえに、それが根拠のある産物であるかのように感じるだけである。

■根拠がないという「強さ」
:だがこのことは、国家の弱さを意味しているわけではない。むしろ逆に、そのことにこそ国家の強さがあるといってもかまわない。
:根拠があって生まれたものは、その根拠が崩れれば存続する理由がなくなる。ところが根拠なく生まれたものは、ある種の超越的な基盤をもっている。根拠を超えているという超越性である。
:すなわち、その無根拠性がゆえに国家は超越的に必要なもののように感じられてくる。
:とすると、国家はその根拠を明確にしてはいけないものだということになる。つまり、曖昧性をもっていなければならないのである。そして曖昧なものである以上は、それが衰退していくときがあるとしても、それもまた曖昧にすすむことになるだろう。
:逆に述べれば、国家に明確な根拠をつくろうとする試みは、国家を弱体化させることになるだろう。 たとえば昭和初年代、10年代の日本をみてみよう。このとき日本は明確な国家の根拠をつくろうとした。
:国民は天皇の赤子として位置づけられ、天皇のために命を捨てることは最大の「親孝行」であり、国民の美徳であるとされた。皇居遙拝が義務づけられ、皇民化教育が強化された。
:そして日本人はアジアの人々を欧米の支配から解放する任務をもった優れた民族であるとされた。国内的にも対外的にも、日本が日本である根拠が明確にされたのである。
:それは、一瞬、すべての国民がひとつの方向性に向かって団結する強固な国家をつくったかにみえた。
:だがわずか20年もたたないうちに、その結果は明らかになる。国家の崩壊というかたちで。
:根拠の明確化は国家の弱体化を招いていたのである。なぜそんなことが起こるのかといえば、国家の強さはその無根拠性にあるからである。根拠の明確化は、国家が誕生したそもそもの原理に反する。
:同じことがドイツやイタリアなどのファシズム政権下でも起こった。
:ナチズムがおこなったことは、ゲルマン民族の国家という根拠の明確化であり、優れたゲルマン民族を柱とする世界の確立という、これもまた国家の根拠の明確化である。だがそれらもまた、20年ももたないうちに崩壊した。

■安倍政権がはまる落とし穴
:逆に述べれば、戦後の日本は強い国家を形成していたといってもよい。
:1950年代後半からの日本の指針は、ひたすら経済発展におかれていた。経済発展が人々の所得をふやし、そのことが豊かな暮らしを実現する。この論理が日本を支配していた。国家よりも経済だったのである。
:この雰囲気のなかでは、国家の根拠も曖昧なままにおかれた。もちろん国民は税を納めなければならなかったし、税の使い道が妥当だとみんなが思っていたわけではない。だがそういうこと以上に、経済が戦後日本の根拠だったのである。
:それは国家に根拠を求めない時代をつくりだし、その雰囲気にある程度政治も対応することによって、無根拠性がつくる強靱さを成立させていたのが戦後の日本の国家だったといってもよい。何となくつづく国家が成立していたのである。
:とするといまの日本の政権は、自分たちの意志とは逆の政治を進めようとしていることになる。
:なぜ憲法九条を改正したいのか。それは国家の姿を明確化したいからであろう。
:なぜ国家への忠誠心を高めようとするのか。国家あっての国民であることをはっきりさせたいのであろう。 そしてそれらの先に描かれていくのは、国家としての日本の根拠の明確化である。それを成し遂げなければ戦後レジュームからの脱却はできないと考えているのだろうが、この道は国家の弱体化でしかない。
:なぜなら、くり返すが、そもそも国家は根拠があって生まれたものではないのである。ゆえに無根拠性という強さを最大限に活かすことしか、持続的な国家はつくれない。
:このような視点からみれば、今日の世界は、国家の黄昏に向かっているようにみえる。
:強い政治、根拠のある国家を求める動きが広がり、扇動政治家たちがそれをあおり立てている。その姿のなかに、私はむしろ、黄昏れる国家をみている。
 ≫(現代ビジネス:政治・内山節)


 

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)
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●息切れする「トランプノミクス」 日経2万円台届かずか?

2016年12月22日 | 日記

 

新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス (文春新書)
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文藝春秋


●息切れする「トランプノミクス」 日経2万円台届かずか?

 オバマ&メルケルの非現実的理想主義が、理想実現の為であれば、卑怯な手も悪魔な手ではないという偽善の下、8年間にわたって、アフリカや中東、東欧で、陰に日向に実行されてきたわけだが、その総決算は、世界秩序のパラダイム的な挑戦者の出現を生んでいる。彼ら挑戦者の多くは、現在のエスタブリッシュメント層による反撃に敗れるだろうが、一部は生き残ると考えておいて良いだろう。その者が生き残らなくても、その精神が生き残ることを含めて。

 今夜のコラムは拙コラム“トランプ景気は本物か?狂乱のキッカケではあるだろうが…”の続編として書いている。昨日の日経225も20000円を前に、足踏み状態になっている。2万を抜ければ次のステップ、と言いたいところだろうが、流石に、この幻想的トランプ相場で、そこまで思いを豊かにする人は少ないようだ。あくまで、一時生まれた相場の世界の風、金融関係者の稼ぎのキッカケだったと見るのが妥当だろう。

 しかし、トランプホワイトハウスの顔ぶれだが、現時点では、議会承認が困難な人物続出で、“船出レームダック”という珍現象が起きそうである。おそらく、そのレームダックに合わせて、今回の怪しげなトランプ相場も大きな音を立てて崩れそうである。ここから、買い上がれる強者ファンドは、多くないと云うのが、常識的な見方だろう。以下の安達氏のコラムは、同氏の希望的観測が強く滲み出ているので、注意を要す。


≪ 期待先行の「トランプノミクス」、本当に実現可能なのか?
カギを握るのは共和党重鎮との関係
 ■トランプ政権の第一関門
:米国大統領選後の「トランプラリー」は意外と長く続いている印象がある。トランプ氏が選挙期間中に言及してきた経済政策の多くが実行に移されると、米国の経済成長率が上方に押し上げられるとの期待が根強く残っているからだろう。
:ところで、トランプ氏の経済政策の主体は「財政政策」である。だが、アメリカの制度上、財政政策は予算という形で、議会の承認を得る必要がある。
:今回、大統領選と同時に上下院選も実施されたが、トランプ氏にとっては非常に幸運なことに、与党である共和党が上下院ともに過半数を獲得した。
:そのため、トランプ新大統領は、少なくとも次回の中間選挙までの2年間は、政府と議会の間の「ねじれ現象(アメリカでは「Divided Government(分割政府)」といわれる)」を経験せずに政策立案を行うことができる。ブッシュ大統領もオバマ大統領もこの「ねじれ現象」で自らの政策構想を十分に実現できず、「レームダック化」してしまった。
:もし、今回、民主党のクリントン候補が選挙戦に勝利していたら、上下院とも共和党が過半数を占める議会の強い抵抗で、就任早々、「レームダック化」していた可能性が高い。そういう意味では、「クリントン大統領」の下では、株価が急落していた可能性もあったかもしれない。
:だが、「上下院で与党が過半数を有する」という状況は、トランプ政権にとっては、第一関門をクリアしたに過ぎない。 :なぜならば、トランプ新大統領は、家計、企業向け大型減税に加え、インフラ整備を主体とした公共投資の拡大を経済政策の「目玉」にしているためである。
:特に、インフラ整備を主体とした公共投資の拡大は、トランプ氏が大統領選に勝利した直後の演説で「インフラ整備による雇用創出で経済を回復させる」とわざわざ言及したように、経済政策の根幹である可能性が高い。 :ところが、共和党は伝統的に「小さな政府」を志向している。一方で、インフラ整備等の公共投資は、政府が主体となって行う事業であり、大恐慌期におけるルーズベルト大統領のニューディール政策に起源を持つ「大きな政府」的政策である。これはむしろ、「民主党」的な経済政策であることは言うまでもない。
■第二関門は議会執行部の説得
:また、特に2009年以降、共和党内では、「Tea Party(ティー・パーティ)運動」という保守的なポピュリスト運動の影響力が強まっている。ここでいう「Tea Party」とは、独立前のアメリカで起こった「ボストン茶会事件」をもじったものである。
:「ボストン茶会事件」とは、1773年12月16日、当時の宗主国であるイギリスの植民地政策に抗議した住人が、東インド会社の船荷である紅茶箱を海に投棄した事件であり、アメリカ独立革命の象徴的な事件の一つとして世界史的に有名な事件である。
:最近の「Tea Party運動」における「Tea」とは、「Taxed Enough Already(もう十分に税は支払った、これ以上税金を支払うのはたくさんだ)」の略であり、オバマ政権下での公的資金を使った金融機関や自動車産業の救済、医療保険制度改革(通称「オバマケア」)に対する抗議運動である。
:このような「Tea Party運動」の支持を受けた議員が、インフラ整備を主体とした大型財政出動に賛成するか否かは現時点では不明であり、もし、このような財政出動に議会が反対した場合、トランプ新大統領の経済政策「トランプノミクス」は就任早々、後退を余儀なくされることになる。
:そこで、トランプ政権にとっての第二関門は、与党共和党との融和である。 アメリカの政治学者であるリチャード・ニュースタッド氏は、「大統領の仕事で最も重要なのは議会の説得である」と述べている。 :例えば、過去の大統領の中では、リチャード・ニクソン氏は、議会と全面対立し、「帝王的大統領」という批判を受け、これといった業績を上げることができずに、「ウォーターゲート事件」というスキャンダルで失脚した。
:その一方で、ビル・クリントン氏は、就任早々、巧みな説得工作で野党である共和党の議員も味方につけ、見事な経済政策運営を実現させた。
:「彼はこんなふうに言うだろう。『これをしろ!あれをやれ!』と。でも何も起こりはしない。大統領という仕事は陸軍とは全然違う、彼はそれがとても欲求不満の募るものだと知ることになるだろう」
:これは、かのフランクリン・ルーズベルト大統領の急死を受け、大統領を引き継ぎ、第二次世界大戦の収拾に奔走したハリー・トルーマン氏が、退任時に後任のドワイト・アイゼンハワー氏に向けて贈った言葉である(『アメリカ大統領制の現在 −権限の弱さをどう乗り越えるか−』〔待鳥聡史著、NHK出版〕より引用)。
:大統領は自分と意見を異とする議員を粘り強く説得しなければならない。 もし、トランプ新大統領が、この資質に欠けるとすれば、議会において上下院とも与党共和党が過半数を有しながら、これまで何人もの大統領が対応に苦慮した「政党対立政府」となるリスクがある。そして、この場合、トランプ大統領は早々にやる気を失い、「レームダック」化してしまう懸念がある。
:ただし、トランプ大統領が共和党の議員全員を説得する必要はない。
:ゲーリー・コックスとマシュー・マッキビンの研究(2006年)によれば、立法過程においては、連邦議会内の執行部の影響力が極めて強いことが定量的に示されている。すなわち、トランプ大統領にとって、いかに議会の執行部(もしくは重鎮)を説得するかが、自らの政策遂行に重要な意味合いを持つことになる。
:従って、今後、トランプ大統領の体制作りの過程では、共和党の執行部や重鎮とどの程度良好な関係を築くことができるかが重要なポイントとなるだろう。
:なお、よく「ハネムーン期間」として就任100日までは、大統領の政策が議会で通りやすいという説があるが、これは、政治学の世界では、定量分析で明確に否定されているようだ。
:もっとも、日本の政党のように、アメリカの共和党議員の意見も、必ずしも一致している訳ではない。特にアメリカの場合、各議員は、党の方針というよりも、むしろ、選挙区の意向を重視する傾向にあるといわれている。
:従って、共和党議員の中で、選出された選挙区の選挙民がトランプ大統領の経済政策を支持すれば、トランプ氏の経済政策構想は議会に承認される可能性が高まるといえよう。
■スコウロネク「モデル」に当てはめると
:そこで、どのような場合に個々の共和党議員がトランプ大統領の経済政策に賛同するかであるが、ここに興味深い研究結果が存在する。
:それは、米国の政治学者であるスティーブン・スコウロネク氏が2000年に発表した「Presidential Leadership in Political time」である。 これによれば、①現行の制度の理念が現状に即しているか、もしくは、その制度を運営した場合に国民は利益を得られるか、②大統領が現状変革に強い意欲を有するか、現状維持的か、の組み合わせ次第で、大統領が志向する政策構想が議員の支持を得ることができるか否かがある程度はわかる、という。
:例えば、①現行の制度が経済の現状にそぐわず、国民が利益を得ていない場合に、②現状変革に強い意欲を持つ大統領に交代した場合、その大統領の経済政策は議員の支持を得られる可能性が高まる。
:具体的には、世界大恐慌のさなかに大統領に就任したフランクリン・ルーズベルトのニューディール政策はその好例である。
:一方、世界大恐慌の直前に大統領に就任し、大恐慌が進行する中、何の有効な政策も講じることができなかったハーバート・フーバーは、①現行の制度が経済の現状にそぐわないにもかかわらず、②現状変革に消極的な大統領が就任した例である。
:また、逆に、①現行の制度は経済の現状にそこそこマッチしているにもかかわらず、②大胆な政策転換を志向したジミー・カーターは、現状変革の意識に乏しい世論の支持を得ることができなかった。
:その結果、実はレーガノミックスで提案された経済政策の多くを含んでいた先駆的な経済政策構想は議会の承認を得ることができず、しかも議会との対立が深刻化し、大きな実績を挙げられないまま任期を終えた例である。
:このスコウロネク氏の「モデル」をトランプ大統領に当てはめた場合、彼の経済政策を転換させようという意欲と、現状(長期停滞)にそぐわない経済政策(財政出動に消極的)という組み合わせは、トランプ大統領の経済政策構想が、議員の支持を得られる可能性が高いことを示唆しているとも解釈できる。
:以上のように考えていくと、トランプ大統領が、共和党の執行部(重鎮)とある程度良好な関係を築くことができれば、トランプノミクスは十分に実現可能ではないかと思われる。
 ≫(現代ビジネス:政治・安達 誠司)

 

未来政府
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東洋経済新報社
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●トランプ景気は本物か?狂乱のキッカケではあるだろうが…

2016年12月20日 | 日記

 

つながり、変える 私たちの立憲政治
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大月書店


●トランプ景気は本物か?狂乱のキッカケではあるだろうが…

 本日は、コラムをまとめる水準ではないのだが、トランプ景気と米FRBの利上げと云う、米国の褌で、さもアベノミクスが息を吹き返したような様相になっている、日本経済を、落ち着いて評価しておこうと考える。今夜時点は、二本の人様のコラムを参考引用しておく。その分析は、明後日。ただ、根本的に言えることは、虚偽市場、闇市場を創造する、謂わばバーチャル市場のようなもの、実物がついてこないのだから、経済効果は雰囲気づくりに役立つ程度だろう。

 ≪ 視点:日本がトランプ・ブランドから学べること=ブレマー氏
[東京 19日] - 「製品」としては質が悪くとも「ブランド」としては最先端を走る「ドナルド・トランプ」から日本が学べることは、強みを効果的に打ち出すマーケティングだと、米調査会社ユーラシア・グループ社長で国際政治学者のイアン・ブレマー氏は指摘する。 一方、安倍晋三首相はトランプ次期米大統領に対し、国際連合や国際通貨基金(IMF)といった多国間組織を含め、日米関係を支える組織的協力への理解を促すことが可能だと説く。 同氏の見解は以下の通り。
<トランプ・安倍会談の成果>
ドナルド・トランプ氏と取引をしていくにあたって、安倍晋三首相は、個人的関係がいかに重要であるかを理解している。米大統領選後、いち早くトランプ氏と会合を持った安倍首相の決断は、信頼の構築に役立つだろう。 重要なことは、環太平洋連携協定(TPP)に関するトランプ氏の見解に対し、安倍首相がいら立ちの感情に任せて、良好なコミュニケーションの障害を最初から作ったりはしなかったことだ。そして、安倍首相は、中国問題に関して、いち早く共通の基盤を見いだす機会をとらえた。 また、ロシアのプーチン大統領とトランプ氏の良好な関係は、安倍首相が日ロ間の通商および政治的関係の改善を図り、北方領土問題で前進することを可能にするだろう。
<中国にない日本の強み>
安倍首相は、日米をつなぐ価値観を信頼するようにトランプ氏を促すことができる。トランプ氏は、他の人々と向き合う際に、取引的なアプローチを取る。「これを私のためにやってくれ。そうすれば私はあなたのためにこれをやろう」といった具合だ。 確かに、中国の台頭は、日米の安全保障関係がこれまでになく重要性を増していることを示している。しかし、日米をつなぎ合わせているのは、民主主義に対するリスペクトの共有、法の支配、オープンな市場だ。これらは、非民主主義国家には真似できないことである。 そして、リーダー同士の関係を超えた、民主主義国家間の長期的パートナーシップは、共通の価値に依拠する組織・制度上の協力によって築き上げられるものだ。これらの点については、安倍首相がトランプ氏の理解を助けることができる。 安倍首相はまた、国際連合や国際通貨基金(IMF)、世界銀行といった多国間組織に対する米国の持続的投資が持つ価値に、トランプ氏が目を向けるように促すこともできる。トランプ氏のような現実的なビジネスマンは、恐らくこの種の多国間組織に対して、冷めた見方をしているかもしれない。しかし、米国と日本がより緊密に協力し合うための助けになるのはこうした組織の存在である。 ちなみに、安倍首相が、東アジアや東南アジアにおいて、日本の通商・政治的関係の多様化を図っていることは賢明だ。特にインドやインドネシア、マレーシア、フィリピンとの政治・安保・貿易・投資関係の深化にコミットすることは、日本にとって今後有益となろう。 最後に、日本にはトランプ氏から学べることがある。トランプ次期米大統領は、世界で認知された象徴的なブランドとなった。その製品は質が悪いこともあるが、ブランディングは「最先端」である。 日本は、インフラストラクチャーへの投資、安定性の促進、人道支援の提供、そして特に技術革新において世界のリーダーだ。安倍首相は、これらの強みを新たな「日本ブランド」として、世界規模でより効果的にマーケティングできる。何より、世界にとっても、中国には提供できない日本発の多くの貴重なものに触れることは重要である。(編集:麻生祐司)
*イアン・ブレマー氏は国際政治学者で、国際政治リスク分析・コンサルティングを手掛けるユーラシア・グループの創業社長。1994年、スタンフォード大学で博士号取得。同大学フーバー研究所のナショナルフェローに史上最年少25歳で就任。98年にユーラシア・グループを設立。主導国なき状況を「Gゼロ」と名付けたことでも有名。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。  ≫(ロイター・コラム:イアン・ブレマー)


 ≪ トランプ大統領就任後のインフレ上昇にご注意を
:12月13、14日、米連邦準備理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、0.25ポイントの利上げを決定した。同時に公表されたFOMCメンバーの政策金利見通しでは、2017年から2019年までの各年において、0.25ポイントずつ3回の利上げが予想されていることが示された。
:FOMCを控え、多くの市場参加者が2017年の利上げ回数は2回と予想するものが多かった。そのためFOMCの決定に関して、「想定以上にタカ派」との見解が多い。
:そのほかにもさまざまな見方があるが、今回の決定を市場参加者が予想しきれていなかったことは確かだ。依然、イエレン議長は慎重な姿勢を強調してはいるものの、参加者の金利見通し=ドッツ・プロットを見ると、想定以上に利上げが進む可能性も排除はできない。

 ■FRBの政策は低金利維持からインフレ抑制へ
:FOMCを控え、多くの市場参加者は12月に0.25ポイントの利上げを想定しつつも、今後については9月の金利予想から大きな変化はないと考えていた。
:その理由は、来年1月20日のトランプ氏の大統領就任を待たなければ、インフラ投資などを軸とする“トランプノミクス”の実態がわからないからだ。また、11月の時間当たり平均賃金が前月からマイナス0.1%減となったことも、政策見通しに大きな変化はないとの判断根拠になったはずだ。
:こうした見方に照らすと、予測の中央値でみた2017年の利上げ回数が9月の2回から3回に増えたことはサプライズだった。この結果を見た投資家やエコノミストは「想像以上にFRBはタカ派」と判断し、市場はドル買い、米国債売り(金利は上昇)に向かった。
:中にはこうした動きは過剰反応だとみる専門家もいるようだが、予想と異なる結果を受けた見通しの修正や投資方針の練り直しは、当面続く可能性がある。
:特に投資家らにとって驚きだったのは、17人のFOMCメンバーのうち11人が2017年に3回の利上げを予想したことだろう。
:これまで、多くのFRB関係者が依然として米金利には低金利環境が必要であること、利上げがドル高につながり米国経済を圧迫することに注意を喚起してきた。今回のFOMCの結果を見ると、メンバーの関心は低金利による景気下支えから、インフレの抑制に移りつつあると考えられる。
:経済や市場のデータを見ると、徐々に、現実及び予想ベースの物価は上昇してきたことがわかる。FRBがインフレ動向を評価する際に重視する個人消費支出(PCE)は2%を下回ってはいるものの、1.7%を超える水準にまで緩やかに上昇している。
:そして、大統領選挙後は、市場参加者が予想するインフレ率が急上昇し、過去2年程度の最高水準を更新した。こうした経済・市場動向とFOMCの内容を併せて考えると、FRB関係者はインフレ上昇の萌芽が膨らみつつあることを意識し始めているのだろう。

■無視できないトランプノミクス
:今後のインフレ率を考える上で無視できないのが、トランプ次期大統領が重視する財政政策だ。トランプ氏は5000億ドルとも1兆ドル(約59~117兆円)ともいわれるインフラ投資を実施し、4%台の経済成長率を目指すと主張してきた。
:こうした政策が実行されると、完全雇用に迫る労働市場の需給が逼迫し、賃金上昇を通してインフレ率は上昇するだろう。その場合、中長期的に家計が期待するインフレ率も高まるはずだ。
:今回のFOMCではっきりしたことは、トランプノミクスがどうなるか、わからない部分は多いものの、FRBにとってその潜在的な影響は無視できるものではないということだ。
:多くの投資家が「トランプノミクスは期待先行」と考え、それが金融政策に与える影響度は限定的だと考えてきた。一方、FRBはそうした市場の期待、そこから導き出される経済好転のシナリオを真剣に考慮し、利上げの重要性を示した。
:当然のことながら、財政出動は物価動向を左右する。インフレ率が上昇するとの見方が強まれば、2017年の利上げ回数が、現時点で想定される3回を上回ることもあるだろう。
:会合ごとにFRBの政策が財政政策や市場動向から影響を受けやすいことには注意が必要だ。市場では政策金利などの予想が公表される3、6、9、12月のFOMCで利上げが行われると予想するものが多いが、より柔軟に金融政策の動向を議論する姿勢が必要かもしれない。 このように考えると、まだ、米金利やドルが上昇基調で推移する可能性はありそうだ。米国経済が金利上昇やドル高に対してぜい弱ではあるものの、FOMCではドル高へのけん制は明示されなかった。
:足許では投機筋のドル買い・円売りのポジション(持ち高)も増えている。トランプノミクスへの期待が続く間、米金利上昇、ドル高のトレンドがサポートされやすいだろう。
 ≫(現代ビジネス:金融マーケット:真壁昭夫)

 

失われたもの
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●植民地丸出し事件 プーチン疑う、安倍に決定権はあるのか?

2016年12月16日 | 日記

 

孤立する韓国、「核武装」に走る
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日経BP社


●植民地丸出し事件 プーチン疑う、安倍に決定権はあるのか?

*今回の沖縄オスプレイ事故の連鎖に対する、米軍の海兵隊トップの正直な発言。彼の発言を非難しても意味はない。彼、彼らは、そう云う地位にあると米国政府から説明を受けているのだから。日本の外務省、防衛省も、それを追認しているのだから、海兵隊トップが、このような発言をしても、彼が異様な人物だと考えるのは間違いだ。

*それよりも、このような日米同盟の中に居ながら、ロシアと領土問題を交渉するとか、中国と尖閣問題で先鋭化する、こう云った安保関連の問題を解決する時、日本人は独立国だと思い込んでいるが、その相手国は、日本と云う国が「独立国なのか?」という判断そのものから判断しなければならないのだから、疑心暗鬼が底流にあるのは間違いない。今回のプーチン会談でも、プーチンの一番の疑問は、日本の首相の決定権は、どの範囲で自由なのかの見極めだそうである。

*現状の日米同盟の枠内で、命運を共にする決心であれば、北方領土と平和条約の成立要件を分離すべきだろ。領土抜きの平和条約もあると云う、平常心の対ロ感覚も必要だろう。経済協力は、ロシアに限らず、カントリーリスクがあるわけだから、くだらぬ外交の手土産を倹約すれば出てくる原資、分配の問題だろう。

 ≪ プーチン大統領の日本のマスコミとのインタビュー内容を読み取る
ロシアのプーチン大統領は7日、日本訪問を前に読売新聞と日本テレビとの広範なインタビューに応じた。これは恐らくプーチン大統領の16年の大統領任期中で最も完全かつ率直な露日関係に関するインタビューだ。プーチン大統領はきわめて正確に表現しているが、日本の立場を十分厳しく批判している。

■プーチン大統領は何を強調したかったのか?
:一つ目。日本との完全なる関係正常化は、ロシアの主な国益の中に含まれている。プーチン大統領は、これを繰り返し述べている。プーチン大統領は、領土問題の解決を目指しているかとの質問に、「もちろんだ。我々はそれを目指しており、我々はこれを心から述べている。なぜなら私たちは日本との関係における過去のすべての問題を終わらせることに関心を持っているからだ。我々の前進を妨げるものがあってはならない。これは我々の国家的優先事項の一つに入っている」と述べた。これはプーチン大統領の政治的目標であり、大統領は具体的に「我々は日本の参加に関心を持っている。例えばロシアの極東開発全般、テクノロジーを得ることだ」と指摘している。

:2つ目。プーチン大統領は、日本のロシアとの対話へのアプローチや戦術について、何度かきわめて批判的に述べている。大統領は「私の日本の同僚たちの依頼で2000年に私たちは1956年の取り決めを基盤に平和条約締結の可能性の議論に戻った。しかし1956年の取り決めでは2島について述べられているが、あなたは今ご自分で、首相は4島について問題を提起していると仰った。つまり、我々はすでに1956年の取り決めの枠から出たとうことであり、これは全く別の状況であり、別の問題の提起だ」と述べた。プーチン大統領は、日本の公式な立場が、平和条約交渉を再開するという考えで決まった合意と食い違っていることを明確に示唆した。

:3つ目。プーチン大統領は、1956年の共同宣言で述べられているハボマイとシコタン譲渡の議論は、日本の公式的な立場が変化した時に初めて可能となると強調している。プーチン大統領は「あなたは常に1956年の宣言を引用していますが、日本がこの宣言の履行を拒否したのですよ。いいですか、もし首相が、もし日本の内閣が、まさにこの考えに戻るならば、私たちは議論しましょう」と述べた。そのようにならなかった場合、交渉は実際のところ行われないだろう。

:4つ目。プーチン大統領は、日本が何度も交渉を中断したことを非難している。大統領は「ある時、数年前に日本は一方的に自らこの交渉を打ち切り、我々とのコンタクトを拒否した」と述べた。少なくとも小泉首相時代の状況と、ウクライナ危機の時の2年前を思い出すことができる。これに関連してプーチン大統領は、ロシアとの現実的な対話を決断する上で日本がどれだけ米国から独立しているかの証拠を求めている。大統領は、ウクライナでの出来事の後で日本が承認した対露制裁について、「つまり日本には何らかの同盟義務があるということだ。我々はそれを尊重するが、我々は日本の自由のレベル、日本が自ら思い切って何をする用意があるのかを理解する必要がある。これを見分けなければならず、これは二義的性質の問題ではない」と述べた。日本の独立した立場は、今後の交渉の条件だ。プーチン大統領が関心を持っているのは、単なる制裁の解除あるいは緩和ではない。

:5つ目。平和条約締結の別の前提条件は、南クリル諸島での経済協力、そして全体的な経済協力の具体的な成果でなければならない。大統領は「自動的に、ただ可能性のある共同協力計画を描いただけでは、平和条約締結と、その領土的性質の問題解決の基盤に関する問題を解決することは私たちにはできない、単に私たちにはできない」と述べた。意向に関する声明や約束では、プーチン大統領を満足させることはできない。 :6つ目。プーチン大統領は、1956年の共同宣言の効力が及んでいないクナシリとエトロフに関する日本の立場を無視してはない。大統領は「南クリル諸島に関してだが、これについては様々な案が可能だ。我々は、1島での、2島での、3島での、4島での共同活動を検討する用意がある。重要なのは条件だが、条件は最大限リベラルでなければならない。これについては安倍首相が述べ、私は彼に同意している」と語った。一方でプーチン大統領にとってこれは、全く別の交渉テーマだ。
 ≫(スプートニク日本)


≪ 【オスプレイ墜落】沖縄海兵隊トップ「感謝されるべきだ」 副知事「植民地意識丸出し」
The Huffington Post | 執筆者: 吉野太一郎
:沖縄本島沖の海上で12月13日夜、アメリカ軍海兵隊の輸送機オスプレイが海上に墜落、不時着した事故を受け、在沖縄海兵隊トップが「感謝されるべきだ」と発言したと報じられた。
:朝日新聞デジタルによると、14日に在沖海兵隊司令官のローレンス・ニコルソン在日米軍沖縄地域調整官と会談した安慶田(あげだ)光男・沖縄県副知事が、オスプレイの飛行停止と配備撤回を求める抗議文を手渡した際、ニコルソン氏が「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」「(事故を)政治問題にするのか」と述べ、不満を示したという。安慶田副知事は報道陣に「謝罪は全くなかった。本当に植民地意識丸出しだなと感じた」と述べた。
:会談のあとに記者会見したニコルソン氏によると、事故は12月13日午後9時30分ごろ、沖縄県名護市の東約1kmの海上で起きた。普天間飛行場に所属するオスプレイ1機が空中給油の訓練中、燃料を送るホースが切れて羽根に当たり、機体が損傷。パイロットは住宅地の上空を通って嘉手納基地や普天間飛行場に戻るルートを避け、海上に不時着することを判断したといい、事故で乗組員5人のうち2人が負傷した。
:「沖縄県民に謝罪はないのか」という記者の質問に対し、ニコルソン氏は以下のように答えた。
:「我々は、遺憾(regret)だと知事、副知事に話した。事故に対してはとても遺憾に思っている。ただし、パイロットの素晴らしい行動、沖縄の人々を危険にさらすまいという決断については遺憾に思っていない。日頃のハードな訓練の成果だ」
:記者が「謝罪はしないのか」と質問すると、司令官は「遺憾は何を意味するのか。遺憾とは謝罪(apology)のことだ」と述べた。
:ニコルソン氏は記者会見で「2012年のオスプレイ配備以来、沖縄県民に懸念があることは理解している。熟練した操縦士で安全な飛行をして、沖縄県民に絶対に危害を加えないよう、できることはすべてやってきた」とも強調した。
:事故を受け、アメリカ政府は、日本でのオスプレイの飛行を一時的に停止することを日本側に伝えた。NHKニュースによると、岸田文雄外相が14日午前、キャロライン・ケネディ駐日大使と電話会談し「安全が確認されるまで、わが国でオスプレイの飛行を停止するよう」要請。ケネディ大使は「飛行再開は日本政府との間で緊密な調整を行ったうえで行う」と述べたという。
 ≫(The Huffington Post)

日本・韓国・台湾は「核」を持つのか?
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●産業や市場の捏造 鵜の目鷹の目、無理やり作る情けなさ

2016年12月14日 | 日記

 

いま世界の哲学者が考えていること
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●産業や市場の捏造 鵜の目鷹の目、無理やり作る情けなさ

 相場と云うものは不思議なもので、市場の参加者に夢や幻想を抱かせるだけでも、好況相場を作りだすことが出来る。ここ最近の、トランプ相場も、その傾向が強い相場と云える。現実に、トランプ大統領がホワイトハウスに入る前までは、幻想的相場にいることは可能だ。それにしても、このトランプ相場に引き摺られ、東証も6営業日値上げ、1万9250円をつけた。2万円を前に、今回の騒乱相場の潮時探しに入るものと思われる。

 トランプ大統領の勝利と「反グローバリズム」な流れの中、日本政府や世界のエスタブリッシュメント層による、「反グローバリズム」と云う世界的な潮流に激しく抵抗する根強い動きが現れてきている。ひとつは、グローバリズム経済の構成要素、地域的なフロンティアに変って、産業の統合とか、企業統合(M&A)や未来市場への共同ファンド進出等々、エスタブリッシュメント層による反撃が始まった。ソフトバンクの孫氏の動きやアップルやサウジアラビアの動きは、「反グローバリズム」な世界的潮流に対抗する「超グローバリズム」な動きとみるべきだろう。まだ、どちらが有利不利と云う展開は見えていない。M&Aの動きも攻撃的。

 世界のエスタブリッシュメントな人々の動きは、あきらかに、「反グローバリズム」の勝手はさせない、より堅固なマネーの力を見せつけようと云う哲学がある。無論、個人的には嫌いな考えだが、哲学として、認識可能だ。それに引きかえ、安倍晋三政権の“ゴミ浚い”のような、チマチマ情けない市場の取替えや風が吹けば桶屋が儲かる的発想、挙句は霞が関の利権拡大に大いに貢献するIR法の国会通過。いずれにしても、こういう動きの、最終的答えは、世界経済は成長の限界を自覚した上で、遊び半分で抵抗しているのかもしれない。このような現象は、次の世界が想像できない為に起きている不安の表れなのだろうか?気になった記事を、幾つか掲載しておく。

 ≪ 月末の金曜日は午後3時退社 消費促進を
:停滞する消費を盛り上げようと、買い物などを促す全国的なキャンペーンを検討している政府と経済界は12日、初めての協議会を開き、来年2月から月末の金曜日にキャンペーンを実施し、企業に対して従業員が午後3時をめどに退社できるよう対応を呼びかけるなどの方針を決めました。
:政府と経済界は、停滞する消費を盛り上げようと、月末の金曜日を「プレミアムフライデー」と銘打ち、買い物や旅行を促す全国規模のキャンペーンを検討していて、12日、東京都内で経団連や小売りなどの業界団体の代表が出席して、実施に向けた初めての協議会を開きました。
:協議会では、第1回のキャンペーンを来年2月24日に実施することや、共通のロゴマークを使えるようにすること、そして、キャンペーンの効果を高めるため、企業に対して従業員が午後3時をめどに退社できるよう対応を呼びかけるなどの方針を決めました。
:このうち、従業員を早めに退社させる取り組みについては、経団連が会員の企業に呼びかけ、各社が具体的な対応を検討することにしています。
:協議会は今後、関係する業界団体や地域の商店街などによる取り組みをまとめ、キャンペーンや早めの退社が定着するよう企業などに働きかけることにしています。

■プレミアムフライデー 効果と課題
:政府と経済界が検討している「プレミアムフライデー」の経済効果について、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、国内の大手企業や中小企業の従業員が一斉に午後3時に仕事を終えて買い物や旅行、娯楽などの消費をすることを前提に1日当たりおよそ1230億円に上ると試算しています。
:これは、推計で1300億円を超える「ハロウィーン」の市場規模に匹敵する規模となっています。
:一方、企業の間で午後3時の退勤が広がるには課題もあります。
:大手企業の間では、出退勤の時間を柔軟にするフレックス制度や、1日の勤務時間を前半と後半に分けて半日ごとに有給休暇を取得できる制度などがありますが、中小企業では大手ほどこうした制度の導入が進んでいません。
:また、中小企業では人手不足が続いているうえ、月末は商品の納期や、仕事の締め切りが集中し、仕事量がふだんより多くなりがちだといいます。
:経済産業省はまずは、柔軟な働き方ができる勤務制度が整っている大手企業から早めの退社を促す取り組みを始め、金曜日にこうした動きが定着すれば、中小企業や地方の企業にも働きかけていきたいとしています。

■金曜日 社員に早めの退社促す企業も
:すでに金曜日は社員に早めの退社を促しているという企業もあります。
:東京・渋谷区に本社がある東急電鉄は、水曜日と金曜日は毎週「ノー残業デー」に設定し、定時に退社するよう促しています。
:例えば、午前9時半に勤務を始めた社員は午後6時半の退社となります。
:また、社員が勤務する時間を比較的、自由に決められるよう、有給休暇を1日単位ではなく、1時間単位で取得できる制度も導入しています。
:さらにこの会社は、本社の社員であれば誰でも職場として使える「シェアオフィス」を東京都や神奈川県などに30か所つくっていて、退社後の時間を有効に使えるよう仕事が終われば「シェアオフィス」からそのまま帰宅できるようにしています。
:金曜日は、早めに仕事を終えて退社しているという男性社員は、「小さい子どもがいるので金曜日に早く帰れると土曜日に朝から出かけられる。メリハリのある働き方につながっている」と話していました。
:東急電鉄労務厚生部の鈴木誉久統括部長さんは「グループには鉄道や百貨店など多くの事業部門がありそれぞれ働く時間帯が違っているので、一人一人の選択の幅を広げる形で柔軟な働き方を検討していきたい」と話していました。 街の声は賛否両論
:東京の新橋駅前では午後3時をめどに退社できることを歓迎するという声があった一方、実際に早く退社するのは難しいといった意見も聞かれました。
:化学メーカーで働く50代の男性は「フレックス制度なども定着してきているし曜日を決めて取り組むのはとてもよいことだと思う。映画や旅行に行きたい」と話していました。
:また、人材派遣会社で働く30代の男性は「金曜に早く帰れるならとてもうれしいし休日の充実につながる。経済にもよい効果があるのではないか」と話していました。
:一方、映像制作会社で働く20代の女性は「早く退社できれば有意義に時間を使いたいが、将来の不安があるので給料が増えないならお金はあまり使わず貯金にまわしたいと思う」と話していたほか、広告会社で働く20代の男性は「自分の会社では午後3時に仕事を終えるのはかなり難しいと思う。所得を増やすような施策がない中で消費につながるかは疑問だ」と話していました。  ≫(NHK)

≪ 今さらカジノなんてやめておけ
ゲスト:鳥畑与一氏(静岡大学人文社会科学部教授)
番組:マル激トーク・オン・ディマンド 第818回(2016年12月10日)
 日本ではお隣りの韓国の政治やアメリカのトランプ大統領の動向により多くの関心が集まっているようだが、その間も、日本の国会では重要な法案が次々と審議され、成立している。
 12月6日にはカジノの設置を謳うIR法案が衆院を通過し、14日の今国会会期末までに成立する見通しだ。
 しかし、このIR法案は実に多くの問題を抱えている。
 カジノを中核とするIR(統合型リゾート)の設置の推進を謳うこの法案では、日本にも大規模なカジノの導入が想定されている。賭博を禁止している刑法に、例外的な条件を設けようというものだ。
 そもそも今回の法案が想定している大規模なカジノが採算をとるためには、外国人観光客の誘致だけではとても追いつかない。かなりの数の日本人に、カジノでお金を落としてもらう必要がある。
 しかし、実は日本は既にギャンブル大国だ。公式の数値では日本には競馬、競輪などの公営ギャンブルしかないことになっているが、実際はパチンコという立派な20兆円ギャンブル産業を抱える。日本のギャンブルの市場規模は5兆円余りとなっているが、パチンコの売り上げ23兆円を加えると、日本は29兆円のギャンブル市場を抱える世界に冠たるギャンブル大国なのだ。
 その分、日本ではギャンブル依存症も非常に深刻だ。厚労省の調査では人口の4.8%、実に500万人以上がギャンブル依存症の状態にあるという。
 脳の機能にまで異常をきたすギャンブル依存症は立派な疾病だが、日本ではギャンブル依存症に対する理解が進んでいないため、依存症になっても実際に治療を受ける人は少ない。また、実際に患者を適切に診断できる医師の数も非常に限られている。
 500万人のギャンブル依存症を抱え、その対策もまともにできていない日本に、新たに大規模なカジノが導入されたらどうなるか。
 経済効果ももう少し慎重な精査が必要だし、依存症対策もまず新たにカジノを始める前に、既存の依存症患者の対策が先決ではないか。
 カジノ法案に批判的な鳥畑教授とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
*鳥畑 与一 とりはた よいち 静岡大学人文社会科学部教授 1958年石川県生まれ。82年大阪市立大学商学部卒業。89年大阪市立大学大学院経営学研究科後期博士課程修了(国際金融論)。2004年より現職。著書に『略奪的金融の暴走―金融版新自由主義がもたらしたもの』、『カジノ幻想』、共著に『徹底批判!! カジノ賭博合法化: 国民を食い物にする「カジノビジネス」の正体』など。  ≫(ビデオニュースドットコム)


≪ アベノミクスよ、どこへ 理論的支柱の「教祖」が変節
 人為的にインフレを起こすリフレーション(reflation)はアベノミクスの主軸政策だ。その提唱者である浜田宏一米エール大名誉教授の変節が最近、リフレ論者たちを失望させ、政府幹部や経済学者たちをあきれさせている。
 リフレ派は、日本銀行が空前の規模のお金を市場に投入する政策で必ずデフレから脱却して景気が良くなる、と主張してきた。浜田氏はその指導者であり、安倍晋三首相がアベノミクスの理論的支柱として内閣官房参与に迎え入れた経済ブレーンだ。
 その当人が突然「QE(量的金融緩和)が効かなくなっている」(「激論マイナス金利政策」日本経済研究センター編)と言い始め、「学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」(日本経済新聞11月15日付インタビュー)と白旗を掲げたのだから、関係者は驚いたに違いない。教祖が突然「信仰をやめる」と言い出したに等しい。
 現実を見ればリフレ論を掲げ続けるのには無理がある。日銀がいくら市場に資金を投入してもインフレの兆候は見えないからだ。足元の消費者物価は8カ月連続でややマイナス。リフレ派がいくら強弁しようと、政策の誤りは隠しようがない。
 日本銀行でリフレを推進してきた岩田規久男副総裁らも事実上の転向を余儀なくされた。9月の政策決定会合で、お金の量の拡大に必ずしもこだわらない新政策への変更に反対票を投じなかったのだ。
 当人たちは現状をどう総括しているのだろうか。
 浜田氏に取材を申し入れたが、残念ながら回答は得られなかった。
 「リフレ派は終わった」と断じるのは中原伸之氏だ。浜田氏とともにリフレ論を唱え、首相の経済ブレーンを務めてきた元日銀審議委員だ。
 「私はリフレ派というよりリアリスト。インフレ目標にこだわって手を広げるより、名目国内総生産を目標にじっくりやればいい」と語り、日銀に路線修正を求める。
 問題は「リフレ派なき日銀」に変わったとしても、金融政策がきれいさっぱり正常化するわけではないことだ。
 市場にたまったお金の量は平時の3倍の415兆円にもふくらんでしまった。今後の金融のリスクを考えれば、これは放置できない。
 しかもこれが年間80兆円ペースで増え続ける仕組みを、日銀はいまも明確には修正できていないのだ。
 経済危機をしのぐため先進各国は異常な金融緩和にのめり込んだ。その危機が終わり米国はすでに利上げに転じ、正常化に動き出した。欧州も量的緩和の縮小を決めた。
 ひとり日銀だけが出口論の議論さえ「時期尚早」(黒田東彦総裁)と封印し続ける。
 アベノミクスの呪縛にとらわれた日銀が生みだす金融政策の異常。それが、こんどはアベノミクスそのものを漂流させようとしている。  ≫(朝日新聞:編集委員・原真人)

 

グーグルを驚愕させた日本人の知らないニッポン企業 (講談社+α新書)
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●「価値の共有」に酔い痴れるな 上手な民主主義は怖い

2016年12月11日 | 日記

 

新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ
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●「価値の共有」に酔い痴れるな 上手な民主主義は怖い

 以下の東京新聞のコラムでは、独メルケル首相の「価値観」を是認する立ち位置から語っているわけだが、問題は、彼女やオバマ大統領が標榜する、現状のアメリカ的広義のデモクラシー《 血統、肌の色、宗教、性別、性的指向、政治的立場に左右されず、民主主義、自由、人権と、人の尊厳への敬意という価値観の共有 》の継続が、今後の21世紀的世界観であるのなら、もぐら叩き状態に入った「全方位なグローバリズム」を更に深堀しようと云う、とてつもなく教条的な提案に思えてくる。

 たしかに、アメリカ中心のデモクラシーと資本主義のセットには、価値観を生みだすだけの説得力があった。ゆえに、第二次大戦後70有余年価値観であり続けた。しかし、その価値観を証明し続けるために、資本主義は、グローバル経済を求め、結果的だが、政治はグローバリズムな方向に勝算の見通しもなく突き進んだ。その結果が、開拓市場を失ったグローバリズムの罠に落ちている。フロンティアがないのなら、地域の囲い込みをフロンティア代りにする、カジノ産業でフロンティア不足を補うなど、意味不明なチンケナ安倍首相のような発想まで飛び出してくる。

 結局、都合よく進捗していた結果オーライな経験則の集大成が西側陣営の「普遍的価値」らしいのだが、《 血統、肌の色、宗教、性別、性的指向、政治的立場に左右されず、民主主義、自由、人権と、人の尊厳への敬意という価値観の共有 》のだが、真の姿と云う意味で「民主主義、自由、人権と、人の尊厳への敬意という価値観」を、裏稼業なしに、真から実行出来ている国などないわけで、国家と云う支配の枠組みに隠れて、自由人権が保証されているとは言い難い。ロシア、中国、中東‥等の国においても保証されていないが、メルケリのドイツでも、オバマのアメリカでも、守られているとは言い難い。

 仮に、現状を言い表すのであれば、米独などは、民主主義らしき手続きを上手にこなし、合法性に逃げることが上手な統治機構を持っている。しょうじき、ただそれだけの違いだ。或る意味で、悪事がばれ難い複雑な統治機構を持ち、物事を四より悪化させる民主主義だとも言える。筆者の感覚からすると「詭弁民主国家」に陥ったのがアメリカであり、似てきたのが、ドイツと日本。そんな感じである。美しい民主主義などない。正義の資本主義もない。理想の言葉に酔いしれず、汚く、脆弱な欠点を持っている制度と云う認識で、慎重に扱うものであり、信じるものでない(笑)。


≪ メルケル氏が切った啖呵
 よく先進七カ国(G7)などの間で「価値観を共有する」という言葉が使われる。「共有しない」側には、北朝鮮はもちろん、最近では、中国やロシアも属するとされることが多いようだ。どういう価値観なのだろうか。
 「血統、肌の色、宗教、性別、性的指向、政治的立場に左右されず、民主主義、自由、人権と、人の尊厳への敬意という価値観の共有に基づき、トランプ次期米大統領との緊密な協力を申し出たい」
 ドイツのメルケル首相は、トランプ氏にかけたお祝いの電話でこう述べた。オバマ大統領とは一致できていた価値観を今後も共有できなければ、米国に対してといえどもお付き合いお断りということだ。ミュンヘン在住のジャーナリスト熊谷徹氏は、トランプ氏への「毒矢」と評した。安倍首相がいち早くトランプ氏に会いに行ったことと比較すると、メルケル氏の強い姿勢はいっそう際立つ。
 戦後ドイツの国是は、ナチスを繰り返さないことに尽きる。その根本を支える価値観が、メルケル氏が毒矢に塗り込んだ、差別への強い嫌悪と人道主義だ。
 トランプ氏はこの価値観に反する発言を繰り返していた。メルケル氏が切った啖呵(たんか)にどう反応するのか。波紋は、価値観共有を目指してきた欧州、さらにはG7へと広がり、共有しない側も巻き込んで、世界秩序を揺るがしかねない。(熊倉逸男)
  ≫(東京新聞12月7日付 私説・論説室から)

安倍でもわかる政治思想入門
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●前門・後門の虎と狼、飛入りの敵 全方位な観察力必須な時代

2016年12月09日 | 日記



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●前門・後門の虎と狼、飛入りの敵 全方位な観察力必須な時代

今夜は検査尽くしで疲れ果て、寝てばかり筆者。手抜きだが、考えなければならない世界の現状をシッカリ書いてあるコラムを紹介。トランプ時代の勝ち負け組は、まだ生煮えの印象論だけど、通説として読んでおく。後者のイタリア国民投票では、勘違いした争点で「国民投票」が実施されてしまうリスク、或る意味で、市民の政治への興味度喪失のような事象は、トドノツマリ、民主主義国家の国民が、自ら民主主義を捨ててしまう、驚くべき結果まで生むようだ。

この二つのコラムを読んでみるだけで、アメリカ、英国、イタリア、フランスの政治の歴史的伝統が劇的に変っていく可能性が高くなってきた。アメリカのトランプの場合は、NO1のアプローチを変えるだけだろうが、そのルーチンは、反グローバリズムである。オバマが反目していたロシアとの関係修復如何では、中露の蜜月に水を差すリスクも包含している。まあ、グローバリズムな広がりは、完全に行くづまったのだから、エスタブリッシュメント層も、トランプの方向性に同意している可能性が見えてきた。ウォール街の連中の、トランプへの協力度などは、その表れだろう。


 ≪ コラム:「トランプ時代」の勝ち組と負け組、日本はどちらか
Josh Cohen
[28日 ロイター] - ドナルド・トランプ次期米大統領が外交政策の詳細を詰めるのを、世界はまだ待っている状態だ。これまでに彼が発した言葉を考慮してみれば、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、トランプ時代における「負け組」となる可能性が高い。 ロシアについては、トランプ次期大統領がプーチン大統領を称賛しているからである。NATO諸国については、トランプ氏が、加盟国の「ただ乗り」によって、米国が応分以上に同盟維持コストを負担せざるを得なくなっている、と考えているためだ。 今回は1月20日に予定される大統領就任に先立ち、上記以外の意外な3つの「勝ち組」と「負け組」をご紹介しよう。

<負け組>

●メキシコ
メキシコの元外相は、トランプ氏の当選を自国にとって「純然たる災厄」であると嘆いた。彼は正しいかもしれない。トランプ氏は選挙期間中、メキシコを悪者扱いし、国境を隔てる新たな壁の建設費用を負担させ、メキシコ系移民による本国への電信送金を禁じ、数百万人を強制送還し、北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉もしくは終了させると約束した。 トランプ氏が当選した翌日、メキシコ・ペソの対ドル相場は史上最低の水準まで下落した。理由は簡単だ。トランプ氏が選挙期間中に約束した通り、メキシコから輸出される多くの商品に35%の関税をかければ、メキシコ経済はあっというまにリセッションに陥ってしまうだろう。メキシコ系移民の本国送金を禁止すれば貧困が拡大し、数百万規模の強制送還があればメキシコ国内での犯罪発生率、失業率の急上昇を招きかねない。

●日本
トランプ政権誕生により、日本は2つの側面で負け組となる可能性がある。まず、選挙期間中、トランプ氏が日米同盟にどれだけ肩入れするかという疑問が生じている。トランプ氏は、在日米軍の駐留コストを日本政府にもっと負担させるべきだと述べ、日本がそれに応じなければ米軍を撤退させる可能性があると示唆した。 また彼は日米同盟を不公平だと非難し、「日本が攻撃されれば米国はただちに支援に駆けつけなければならないが、米国が攻撃されても日本は助ける必要がない」と指摘した。 またトランプ氏は、就任初日に米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から脱退すると約束している。安倍晋三首相が重点政策として掲げるTPPは、2月に米国を含む12カ国によって調印された。 安倍首相は輸出の追い風になることを期待して、TPPの国会承認を得ようとしているところだが、トランプ氏はTPPを「災厄」と呼んでいる。いくつかの問題についてはトランプ氏も意見を変える可能性が窺えるが、彼の選挙運動においては自由貿易に対する反対が重要な柱になっていただけに、TPPは「死んでしまう」可能性が高く、日本にとってはかなり大きな長期的損失をもたらしかねない。

●モルジブ諸島
インド洋に浮かぶ小さな列島であるモルジブ諸島では、最高地点が海抜2.4メートルしかなく、トランプ氏の勝利によって最大の打撃を受ける可能性がある。この諸島の一部はすでにインド洋に没しており、今世紀末までにモルジブという国全体が消滅してしまうものと予想されている。 モルジブ諸島がトランプ政権の期間中に消滅するわけではないが、トランプ氏は「地球温暖化は中国による捏造」と主張しており、政権移行チームの環境保護庁長官にも気候変動懐疑派を指名している。さらにトランプ氏は、昨年の画期的なパリ気候変動対策協定からの脱退をめぐっても矛盾する発言を重ねており、モルジブの長期的な命運にとっても幸先はよくない。

<勝ち組>
●イスラエル
トランプ氏が選挙期間中に主張した立場は、イスラエルのネタニヤフ首相率いる連立与党と完全に一致している。トランプ氏は在イスラエル米国大使館をエルサレムに移転することを約束しており、ある上級顧問は、イスラエルによるヨルダン川西岸地区への入植は「和平のための障害ではない」と発言している。 またトランプ氏は、イスラエルが執拗に反対するイラン核開発合意を非難している。 これに加えて、選挙期間中のトランプ陣営の文書には、380億ドル(約4.3兆円)というイスラエル向けとして過去最大となる米国の軍事支援パッケージは、支援の「最低額であり、最高額ではない」と記されている。

●エジプトとトルコ
トランプ氏は明らかに独裁者を好み、国家建設を嫌う傾向を見せていることから、彼がエジプトの独裁的指導者であるシシ大統領に魅了されているとしても不思議はない。9月にシシ大統領と会談した後、トランプ陣営は声明のなかで、「エジプトの対テロ戦争への力強い支援」に感謝し、トランプ氏が勝利した場合にはワシントンを訪問するよう呼び掛け、トランプ政権がシシ大統領の忠実な同盟国となることを約束した。 民主主義に対するシシ氏の姿勢が決して誉められたものではないことにはまったく触れなかった。(ムスリム移民の米入国を制限するとの同陣営の声明にも触れなかったようだ)。大統領選での大勝利後、トランプ氏と最初に言葉を交わした海外首脳がシシ氏であったという事実からも、エジプトが、トランプ勝利による「勝ち組」なろうとしているように見受けられる。 トルコのエルドアン大統領も、やはりトランプ勝利から利益を得ようとしているように見える。7月にトルコで発生したクーデター未遂事件の後、エルドアン氏が政敵を弾圧したことをトランプ氏は称賛。市民の自由侵害を理由にエルドアン氏を批判する可能性を一蹴している。 トルコ側から見てさらにありがたいのは、トランプ氏の顧問を務める陸軍出身のマイケル・フリン氏が投票日に寄稿した論説において、クーデター計画を背後で操ったとしてトルコ政府が批判しているイスラム教指導者ギュレン師を、米国を安全な隠れ家として不当に利用しているイスラム教過激主義者として批判したことである。

●欧州の極右ポピュリスト
欧州は全般的にトランプ氏の当選に対して衝撃と落胆の反応を示しているが、例外もある。欧州の右派ポピュリストたちだ。 ハンガリーで独裁色を強めつつあるオルバン首相はトランプ氏の勝利を「素晴らしいニュース」と表現し、フランス国民戦線のルペン党首は「自由な米国民」を祝福し、英国独立党の党首で欧州連合(EU)脱退キャンペーンの先頭に立ったナイジェル・ファラージ氏(選挙期間中も積極的にトランプ氏を支持していた)は、トランプ氏の当選後、満面に笑みをたたえてトランプ・タワーを訪れて同氏と面会した。 欧州のポピュリストたちが興奮する理由は想像に難くない。1つには、オランダ、フランス、ドイツのポピュリスト政党はどこも、今年の自国での選挙において、トランプ氏の勝利が有権者にとって1つのモデルになることを期待している。さらに、トランプ政権で影響力の強い首席戦略官兼上級顧問となるスティーブ・バノン氏(トランプ氏の前選対本部長であり、いわゆる「オルタナ右翼」系メディアサイト「ブライトバート・ニュース」主宰者)、は、欧州の右派・反移民ナショナリストを尊敬していると伝えられている。

<結論は時期尚早か>
改めて確認しておくが、トランプ氏の外交政策が何をもたらすかという点について確固たる結論を出すには時期尚早であり、選挙運動と違い、実際の政権運営では制約を課せられることをトランプ氏が学ぶ可能性は高い。実際、トランプ氏の政権移行チームはすでに、イスラエルや国境の「壁」に関する外交政策上の公約をいくつか後退させつつある。その一方で、トランプ氏が計画しているロシアとの関係改善や、イスラム国との戦いにおけるシリアのアサド政権との協力については、議会幹部からの抵抗に直面している。 だが、トランプ次期大統領が必然的に妥協を余儀なくされる部分もあるとはいえ、1つだけ明白なことがある。トランプ氏は、よかれ悪しかれ、既存の地政学的な秩序を、予想もできない形で確実に揺さぶるだろう。
*筆者は米国際開発庁(USAID)の元プロジェクトオフィサーで、旧ソ連の経済改革プロジェクトに従事した経歴を持つ。 *本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン) ≫(ロイター・コラム)


≪ イタリア国民投票は「No」、かすむEUの未来  憲法改正は「NO」――。
12月4日、世界が注目したイタリアの国民投票は、拍子抜けするほど早く勝負がついた。
 イタリアのマッテオ・レンツィ首相が進退をかけて問うた憲法改正の是非は、投票締め切り直後の世論調査で、「賛成」が42~46%、「反対」が54~58%となり、否決が優勢であることが明らかになった。それからまもなくの5日午前0時過ぎ(現地時間)、記者会見を開いたレンツィ首相は「反対派の勝利は明白。責任はすべて私にある」と敗北を宣言した。
 同首相は5日の午後にセルジオ・マッタレラ大統領に会い、辞任の意向を伝える方針だ。最終的な投票結果は賛成40.89%、反対59.11%、投票率は65.47%だった。
 結果は、レンツィ首相の苦戦が伝えられていた事前の世論調査通りとなった。予想通りとは言え、世界の金融市場に与えるショックは大きい。締め切り直後の「否決優勢」の世論調査を受け、通貨ユーロは1ユーロ=1.067ドル台から1.056台に急落。5日、アジアや欧米の株式市場にも余波が広がった。

 ■政治停滞の“元凶”を解消するはずだったが
 そもそも、イタリアのこの国民投票は、国内の政治改革の一環として、実施されたもの。本来なら、世界の株式市場を揺さぶるほどの影響を与えるはずではなかった。
 レンツィ首相が求めたのは、端的に言えば、議会が法案を審議するスピードを上げることだった。イタリアでは、第2次世界大戦後の1948年に施行した憲法によって、上院と下院が完全に対等な力を持っている。
 ファシスト政権を生んだ戦時の反省から、政党の暴走を抑止するために設計された仕組みだ。一方で、法案の審議に時間がかかり過ぎることが欠点とされてきた。これが、政策運営を進めにくくしている構造的な要因だと、レンツィ首相は考えてきた。
 そこで、レンツィ首相は、現在よりも上院の権限を大幅に縮小する一方で下院の力を高める仕組みを構築しようと取り組んできた。
 2015年にまず、下院の新選挙法を施行。これは、下院の選挙で最も多い票を得た政党に大きな権限を与える制度だ。第1党は、全630議席のうち54%にあたる340議席を自動的に獲得できる。第1党となれば、議席の過半数を握れるため政策を進めやすくなる。
 そして、上院の権限を縮小すべく憲法改正を問うたのが、今回の国民投票だった。具体的には、(1)上院の議席を現在の315から100に削減する、(2)上院の議員は選挙で選ぶのではなく、地方自治体の代表などで構成する、(3)内閣不信任案を決議できるのは下院だけとする――など。議会は事実上の一院制となり、上院は、諮問機関的な役割を担うものに変更する。
 下院における第1党の力を強め、上院の権限を弱めることで、停滞する政策を一気に進める。これが、レンツィ首相の大きな構想だった。首相は憲法改正が実現した場合、法案成立のスピードは大幅にアップし、さらに年間5億ユーロ(約650億円)ほどのコスト削減が可能になると訴えていた。

■国内問題から国際的な政治イシューに
 繰り返しになるが、国民投票はあくまでもイタリア政治が抱える積年の課題の解消を目指すものだった。ところが、ある発言によって、国内問題は、EU(欧州連合)の結束を占う国際的な政治イシューへと変貌してしまった。
 それは、レンツィ首相による「国民投票に自らの進退をかける」との発言だ。本来、政治改革の是非を問うはずだった投票は、「レンツィ政権発足後の2年間の成果に対する信任投票の意味合いを帯びてしまった」(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのロレンゾ・コドグノ客員教授)。
 しかし、レンツィ首相が就任から約2年の間に実施した政策に対する国民の評価は冷ややかだ。「あえて言えば、労働改革を進めたこと。しかし、これは前政権が取り組んでいた改革を引き継いだに過ぎない」と、JETROミラノ事務所の山内正史氏は言う。しかも、労働改革は解雇規制を緩和したもので、むしろ企業側に立った政策との批判もある。
 イタリア国民の多くは、レンツィ首相の政策によって景気が回復したという実感に乏しい。むしろ、中東やアフリカ地域からの移民が増え続けるなど、イタリアの課題を何も解決していないと考える人が多い。レンツィ首相がかつて市長を務めていたフィレンツェに住む30代の女性は、「彼は我々の生活を何も良くしていない。だから、国民投票にはノーを入れた」と述べていた。
 自ら踏み込んだ発言をしてしまった結果、自身の首を締める。レンツィ首相の行動は、英国のEU離脱決定を巡る責任を取って辞任した英デイビット・キャメロン前首相の姿にも重なる。

■EUの結束力を占うイベントに
 このレンツィ首相の進退発言が、世界を大きな不安に陥れた。否決されて同首相が辞任した場合、イタリアで政治混乱を引き起こすのではないか、という懸念が広がったのである。
 タイミングも最悪だった。英国が6月に国民投票を実施し、EUからの離脱を決め、欧州ではEUの結束に対する不安がかつてないほど高まっている。仮に、レンツィ退陣後のイタリア総選挙で、EUに懐疑的な政党が躍進した場合、EUの混乱はさらに広がるのではないか、との連想が広がる。
 実際、イタリア国内ではEUに懐疑的な勢力が台頭している。その代表が、コメディアンのジュゼッペ・グリロ氏が立ち上げた「五つ星運動」。既に、同党出身者が、トリノとローマの市長を務めている。その他、マテオ・サルヴィ二氏が率いる北部同盟も勢いを増している。いずれも、今回の国民投票では「NO」を呼びかけた。既存の政党に対して不満を抱く国民の支持を集め、「反エスタブリッシュメント」政党としてのポジションを確立した。
 現状に不満を抱く国民の支持を背に、既存政党に挑む構図は、英国のEU離脱や米国の大統領選とよく似ている。そして、英米ともに既存勢力が敗れたことから、イタリアでも今後同じ状況が繰り返されるのではないか、との不安が駆け巡っている。

 ■金融機関も火種としてくすぶる
 さらにイタリアには、国民投票とは別に燻り続けている火種がある。金融機関の不良債権問題だ。イタリアの銀行の多くは、2008年のリーマンショック時に大きな打撃を避けることができたがゆえに、銀行改革が遅れていると言われてきた。
 イタリアの金融機関ではユーロ危機以降積み上がった不良債権の処理が進んでおらず、借り入れた資金の利子しか支払うことができない無数の“ゾンビ企業”に苦しめられている。レンツィ首相は今年4月に銀行救済基金などを設立、対応にあたってきた。
 ところが今年6月、英国のEU離脱決定によって欧州景気が減速する懸念が増した結果、イタリアの金融機関の脆弱性が改めて浮かび上がった。これを回避するため、欧州委員会やECB(欧州中央銀行)は、イタリア政府に対して不良債権処理を急ぐように圧力をかけている。
 難しいのは、これが国内世論の反発を招き、政治が混乱に陥る可能性があることだ。金融機関に公的資金を注入すれば国民の税金が使われることになる。
 不良債権に苦しむ金融機関の象徴が、イタリア銀行3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(モンテ・パスキ)だ。同行は50億ユーロ(約5970億円)の増資や、不良債権を証券化した上での売却などの経営再建策を7月に発表した。イタリアの金融関係者は、「国民投票の結果に関係なく、増資計画は粛々と進められる」と言う。しかし、今後イタリアで政情不安が広がり、投資家が増資計画に対して慎重になれば、救済計画が狂う可能性も否定できない。
 モンテ・パスキだけではない。イタリアでは、銀行の支店数が3万を超えている。これの半減と15万人に上る従業員の削減が急務だと言われている。しかし、銀行改革を積極的に推進していたレンツィ首相の辞任によって、改革が頓挫する可能性も出てきた。「そうなれば、イタリア銀行が抱える本質的な問題が先送りされ、銀行危機の火種が燻り続けることになる」と、金融関係者は指摘する。

 ■分からなくなったフランス大統領選
 では、今後イタリアはどうなるのか。
 焦点の一つは、レンツィ首相が本当に辞任するかどうかだ。5日の敗北宣言で、辞任の意志を表明したものの、マッタレラ大統領は慰留すると見られる。仮に慰留を受け入れれば、レンツィ政権は続行することになる。しかし、非常に不安定なものにならざるを得ない。
 一方、当初の宣言どおり辞任すれば、大統領が新たな首相を指名し、暫定政権が発足する。今のところ、候補として挙がっているのは、グラッソ元大統領、パドアン財務相、フランチェスキーニ民主党元党首など。ただ、この場合も暫定政権であることから、政権運営は不安定にならざるを得ないだろう。
 その結果、2018年2月に実施が予定されている総選挙が、大幅に前倒しになる可能性も否定できない。  選挙になった場合に注目を集めるのは、先に触れた新興政党の動きだ。今回の結果を受けて、五つ星運動をはじめとする、既存政党に対抗する勢力が議席を増やすことは間違いない。実際、レンツィ首相が敗北を認めた後、五つ星運動のグリロ氏は早期の解散総選挙をブログで呼びかけた。もっとも、いくら急伸しているとはいえ、政権を担うまでの議席数は得られないというのが、多くの識者の見方だ。
 だが、こうした動きは、むしろイタリア以外の国で反EU勢力に勢いを与える可能性が高い。
 真っ先に挙がるのが、フランスだ。この結果を受けて、はやくも来年の大統領選を意識した動きが出始めている。フランスの極右政党、国民戦線の党首で、大統領選への立候補を表明しているマリーヌ・ルペン氏は早速、ツイッターでイタリアの国民投票の結果を称賛した。
 一方、反EUの勢いを削ぐ動きもある。同じ4日にオーストリアで実施されたやり直し大統領選では、反移民を掲げる極右、自由党のノルベルト・ホーファー氏が敗れ、緑の党のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が勝利した。ホーファー氏が勝てば、EU初の「極右出身の国家元首」が誕生するところだった。
 それでも、欧州各地で噴き上がる、既存のエスタブリッシュメントに対する反発は広がっている。今回のイタリア国民投票の結果は、この動きをさらに強めることにつながる。グローバリズムよりもナショナリズムを優先する世界の流れは、2017年以降、さらに増幅する可能性が高い。
 ≫(日経ビジネスオンライン:政治・国際:蛯谷敏)

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●安倍政権の無駄吠え “TPP・カジノ・対米中露韓外交・グローバリズム”

2016年12月04日 | 日記



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●安倍政権の無駄吠え “TPP・カジノ・対米中露韓外交・グローバリズム” 

何をやっても、国民は無抵抗。野党勢力も諦め気分。メディアは死に体。世論の風向きが変わる雰囲気もない。国民も、身の回りの生活に関する情報には敏感だが、身の回りから、1キロ離れたら、“関係ネ!”状態になると、回りまわって影響があるなど、気づく人は滅多にいない。

我が国は、野田民主党が安倍自民に身売りでもするような狂気の解散を選択、お天道さまが描いたような、見事な保守政治体制を通り越して、歴史修正主義の意図さえ抱えた安定政権が誕生した。安倍自民党政権は、癒着の宗教政党公明党と選挙メカニズムの有効性に若干の陰りが見られるものの、衆参両院の過半数堅持を実現している。この保守的勢力に、政党としての質量ともに、全身に滑りでも塗ったような、目的不明の政党が協力する方向にあり、気がつくと、両院は、改憲政党2/3議席確保状態になっている。

安倍自民政権は、戦前戦後を通じて、最も強力な政権を樹立する幸運に巡りあい、完璧な安倍一強政権を実現した。この事実に、面と向かって、異を唱える者はいないだろう。おそらく、当のご本人、安倍晋三さんも、俺って幸運な男だ。たぶん、いま、世界で一番安定した政治権力者は俺だろうと、自負しているに違いないのだ。自由主義やグローバリズムと云う、“普遍的価値”に遂に追いついた安倍さんにしてみれば、これで、世界の主たるプレイヤーになれると確信しているのだろう。

右巻きな歴史修正主義な国家観を持ちながら、何とか、弱味を持たない西側主権国同等の価値観と同等の立場になり、自他ともに認める主権国家として振る舞うことに邁進した。つまり、憲法も変えて、西側価値観の一致と、行動の一致を実現し、戦後の敗戦国根性の払拭は、安倍さんの祖父さん含めた、トラウマの払拭なのかもしれない。つまり、その目的が強烈であったため、現実の世界で起きている、20世紀的ではない世界のバラバラな、しかし、確実な逆方向のモメンタムに、気づくことはなかった。冷静に見つめたら、安倍さんの国会運営は、直近の世界の趨勢は一過性と悟りきっているようだが、20世紀が葬られようとしていると読み解く方が妥当なのだと思う。

一周遅れで、西側価値観の仲間入りを成し遂げるために、安倍さんは、強権的悪人になることも厭わない決意だったのでしょう。そして、その強健な振舞いは、酷く反知性的であり、且つファシズム的臭いの強いものとなっていた。しかし、有能な取り巻きのお蔭で、安倍さんの権力は、日本国内では盤石なものとなってしまった。テレビ局から、大手全国紙に権力に逆らうことを許さなくしたわけだから、余程のひねくれ者が文句を言うだけで、メジャーな言説は、すべて安倍政権是認の世論を作り上げた。これら一連の安倍官邸の統治メカニズムはナチスの手法をなぞっているようなものだが、21世紀においても4、意外に通用することを、見せつけた。

或る意味、異様な世界を現実化させるほど、安倍自民政権、否、安倍晋三一強政権は、日本国内では成立したのである。このような政治・社会現象が、正常な現象であるかどうか判断は留保するとしても、現実に、逆らうヤツのいない政治的空間を、安倍さんは作り上げたし、日本社会は、そのような社会現象の成立を消極的であったとしても、認めたのである。

日本と云う国が、漸く世界レベルの国になったのだから、これからが、安倍さんの政治的収穫期が到来すると云う図式であった。しかし、日本は変ったのだが、世界は待っていなかった。安倍さんが、あらゆる常識を踏みにじってでも、軍事力の行使も辞さない、自他ともに認める独立国であるための構成要素を整備するために、ありとあらゆる、脱法的、反知性的、恫喝的手段を持って、まさに、今日こんにち、外見上成し遂げたのである。世界が、我が国の都合に合わせてくれていれば、安倍首相は最も優れた内閣総理大臣の名に恥じない功績を上げたことになる。

今までの、我が国の首相としては、善きにつけ悪しきにつけ、熱意を持って、自己の職責と思い込み実現の為に、恥も外聞も恐れず行動した首相はいないだろう。おそらく、首相が、信頼に値する人々を中心に、物事を考え、どのような方向で政治的決着をつけているか、目標の立てかたも、他の政権に比べて、具体的だったものと思われる。曖昧さを排除したため、過去の官邸に比べて、強権、恫喝等々リベラルな味つけなどは一切不要政権運営がなされ、単なるデモクラシー信奉者に寒気を与え、世界も、安倍官邸と同調的動きを見せるとなれば、相当に悲劇的「日本の姿」が見えてくるところであった。

しかし、日本人にとって幸運であり、安倍一強政権にとって不運な世界の動きが、ありとあらゆる分野において、時代の潮流と呼んでも構わない水準で、世界各地で、勃発的であるのに、俯瞰的に眺めると連鎖的に、「反グローバリズム」の流れは確実化している。エスタブリッシュメント層に陣取っているグローバリズム勢力の逆襲が明確に起きるのなら、既に、その兆候は見られるはずだが、自由主義、グローバリズム陣営の動きは極めて鈍い。世界のエスタブリッシュメントであり、グローバリズム勢力は、概ね重なるわけだが、この1%から10%のエスタブリッシュメントな人々が、99%から90%の一般国民から、民主主義のツール(選挙)を通じて、正面から異を唱えられ、選挙結果から、エスタブリッシュメントな人々の退場と云う、具体的政治傾向が、具体的に世界各地で起きている。

 それら、反グローバリズムな政治勢力は世界の大きなうねりとなっているが、そのウネリが今後どのようなものになって行くのか、明確にはなっていない。ただ、それらの動きは、グローバリズムに対して、親和的な歩調を示す可能性は低いものと思われる。安倍一強政権は、より一層のグローバリズム(特に経済活動)を強く指向していたわけだが、この思惑は、完全に外れることになりそうだ。一過性のトランプノミクスで一時的な円安株高が示されているが、世界経済の実情との乖離はあきらか。一過性の問題に過ぎない。世界の自由貿易の流れが、停滞することはほぼ明白であり、興味は、その停滞度に移っている。

トランプ米国の外交方針が正体を現している状況ではないが、CIAを中心とする、インテリジェンス外交から、目に見える腕力勝負になる可能性は多い。ただ、迂遠な戦いは少なくなるので、軍事的世界の問題は、犠牲が出ることはあるとしても、短期間で決着と云う、乱暴な国務国防な選択が多くなると解釈した方が良い。安倍さんの安保法制実施のいい機会ではないかと云う説もあるが、実際は、法整備したが「使わない法」であることを望んでいる安倍政権にとっては、諸刃の剣になりかねない具体的事象が起きるかもしれない。自衛隊員の戦闘による死傷事故である。

グローバリズム経済の追求が、アベノミクスの原点なわけだから、欠点だらけでも、世界の潮流がグローバルである限り、言い訳の材料に事欠かない。しかし、あれ程、日本経済の成長の原動力となる「TPP」と云う協定は、トランプ大統領の出現で、グローバルな自由貿易とは逆さまな内向きで、自己利益中心主義な動きを、少なくとも当面は、看板を下ろすことは期待できない。つまり、米国は、対米貿易黒字国に対して、厳しい要求を突きつけてくるのは、決定的だ。

GDP経済成長主導型グローバル経済の終焉は、5年ほど前から、明確に指摘はされていたが、エスタブリッシュメント層は、それを無視する態度に終始した。しかし、ぶくぶくに太った金融エスタブリッシュメント層にも、グローバル経済のフロンティア不足は、伸びるべき市場の不足、謂わば、マネーが餌を失う現象を見せるに至っている(マイナス金利政策)。

グローバル経済政策のハズレだけなら、安倍政権は持つかもしれないが、世界的なグローバリズム否定の流れは、当然のことだが、外交安全保障の面で、劇的な変化を見せるであろうことは、当然である。安倍官邸が、描いていた「普遍的価値外交」の、普遍的が、あっさりと変えられたのだから、忌々しき事態になるのは確実だ。これ以上を、具体的に書く必要はないだろう。対米、対中、対ロ、対韓……。すべて、根本的に見直すことになる。山口でのプーチン会談での、思わぬ成果なし外交が、安倍晋三のケチのつき始めとならないことを祈りたいものである(笑)。

 

グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命 (朝日新書)
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●象徴天皇に関し、有識者の不見識に逃げ込む無責任政府

2016年12月02日 | 日記

 

セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと
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岩波書店


●象徴天皇に関し、有識者の不見識に逃げ込む無責任政府

 以下、時事通信が伝える政府による「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)の有識者ヒヤリングが、一通り終わったと云う記事である。政府が設置した有識者会議そのものも、構成する有識者自体も、何らの選出根拠などないわけで、所謂、過去のエスタブリッシュメントな人々の寄せ集めであり、何処までいっても既得権益内の人々の利益代表に過ぎない。この利益代表イコール国民の総意に近づくかどうか、今ひとつ曖昧だ。

 屋上屋を重ねるばかりの有識者のヒヤリングまで、ご丁寧に行ったという馬鹿げた記事だ。ピンからキリまで、資格自体が不明な人々の、意味不明なご意見を並べられても、何ら参考にもならない。混乱を助長するだけだろう(笑)。日本国憲法の成立過程に難癖をつけたり、国家神道の立場上の天皇観を語る信仰上の感想、感情であり、ヒヤリングしなければならない水準のお話とは思えない。こんなことは、今井敬、御厨連中も判っているのだろうが、安倍政権の心のバックボーン、日本会議や神道政治連盟への配慮だとすると、愚にもつかない回り道である。

 日本会議や神道政治連盟の思い込み、望みなどの天皇観は、正直、所謂、国民の総意と云う概念とは異なる世界に棲んでいる人々の話で、同じ土俵上で展開させる意見とは全く違う。また、仮に、異論が存在するとしても、生前退位賛成と同数程度、反対意見があるようなシンボリックな反対意見数の異常な誇張である。

 今上天皇が、最も日本国憲法における「象徴天皇」を実践してきた、張本人であること、この事実を無視して、テメエらの「気分」など、国の金を使って聞くだけ無駄だ。世界で初めて、その意図するところを充分理解する努力と実践を行ってきたのが、現在の天皇なのであるから、その「象徴天皇」を身を持って全身全霊務めたご本人の意見こそが、最も重要視されるべきで、感覚であり、意見である。

 今上天皇としては、おそらく、このような「本人」ではない人間や、国民の総意とは思えない人間たちの意見にそれなりの意味があるような演出をすると予測していたのだろう、イレギュラーではあるが、政府の、このような卑怯奇天烈なプロパガンダ手法に対抗して、今上天皇の友人が、天皇の心の内を分析するような手法まで用意していた。要するに、天皇家にとって、安倍政府の天皇観は、どうも現皇室と親和的ではない方向を示している。


≪「変わらぬ形を」 おことば公表前、学友に打ち明け
 天皇陛下が退位の意向がにじむおことばを公表する直前の7月21日、恒久的な制度による退位を望む考えを学友に打ち明けられていたことが分かった。摂政に否定的な考えも明言したという。学友は麻生太郎副総理兼財務相の紹介で、官邸で退位問題を担当する杉田和博官房副長官に会い、陛下の気持ちを伝えた。
 学友は学習院の高等科まで陛下と同級生だった明石元紹氏(82)。明石氏によると、7月13日に陛下の退位の意向が報じられた約1週間後の7月21日午後10時過ぎ、陛下の身の回りの世話をする宮内庁職員から自宅に「陛下がお話ししたいとおっしゃっている」と電話があり、陛下が電話に出られた。
 陛下は退位について「ずいぶん前から考えていた」としたうえで、「日本の歴史は長いが、途中で(天皇が)代わった例はいくらもある。生きているうちに譲位をしてもびっくりすることでもない」と話したという。制度のあり方について、陛下は「国のための制度がある以上、合理的でいつも変わらない形にならないと意味がない」と恒久制度を望む気持ちを打ち明けたという。
 また摂政については、昭和天皇が皇太子時代に務めた例を挙げ、「天皇と摂政をそれぞれ支持するグループができて日本が政治的に二つに分かれるみたいなこともあったらしい」と指摘し、「よくないんじゃないか」と話したという。
 明石氏は杉田氏と約1時間面会。明石氏が「法律の問題があるかもしれないが早く実現してほしい」と要望したのに対し、杉田氏は「一代限りの退位ならまとめることはできるが、恒久法という形は難しい」との考えを示したという。
 陛下は8月のおことばで、摂政に否定的な考えを示し、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」と述べている。 ≫【毎日新聞:田辺佑介】


≪9人容認、7人慎重=有識者、1月後半に論点整理-政府、特例法で調整-天皇退位
 天皇陛下の退位などについて検討する政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)は30日、首相官邸で5回目の会合を開き、皇室制度や憲法の専門家からのヒアリングを終えた。専門家16人のうち、9人が退位に賛成・容認、7人が反対・慎重論を唱えた。制度化については、賛成・容認論者のうち4人が恒久的な制度とするよう主張、残り5人は一代限りの特例法による対応に理解を示した。
 これを受け、同会議は12月7日以降、4回にわたりメンバー間で論点を整理し、来年1月後半をめどに公表する考えだ。
 退位の是非に対し、専門家の賛否は分かれたが、政府は陛下が82歳と高齢であることを踏まえ、詳細な制度設計に踏み込まずに済む特例法による対応が望ましいとの考え。来年5月の大型連休前後に関連法案を国会に提出する方向で調整を進める。
 菅義偉官房長官は30日の記者会見で、「議論が一定の段階に至った時点において、与野党も交えた議論も考えてもらいたい」と述べ、論点整理の公表後に与野党に諮る意向を示した。
 ヒアリングは11月7、14、30日の3回に分けて実施。退位とその制度化の是非や公務負担軽減策など8項目について見解を聴いた。最終回の30日は、憲法の専門家5人から意見を聴き、百地章国士舘大院客員教授ら4人が退位賛成または容認、八木秀次麗沢大教授だけが反対した。

 


≫(時事通信)


老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 (講談社現代新書)
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●ウクライナ危機を逆手に取られ苛立つ米国の次なる妄想外交

2016年12月01日 | 日記

 

黒い巨塔 最高裁判所
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●ウクライナ危機を逆手に取られ苛立つ米国の次なる妄想外交

 以下、米シンクタンク、ウィルソン・センター・ケナン研究所の副所長のWilliam E. Pomeranzの、プーチン・トランプ蜜月の分析が面白い。ものごとを、裏返しに眺めるように人々とを誘導すれば、ウクライナクーデターを画策し、ロシアにおけるプーチンの大統領権限を確実なものにしたと云うシナリオがあった如き前提を提示しうるのだから、インテリジェンスの世界は棲みにくい(笑)。

 オバマとメルケルによるヒステリック外交が、G8と云う世界の枠組みを歪め、教条的外交の教科書でも読まされているような、不愉快な数年を世界は過ごしてきた。 Pomeranz氏の分析に則ると、ロシアが経済制裁で危機に陥ってのも、もしかするとプーチンの戦略であり、クリミア併合は既定の路線であった。出来れば、アメリカは、ロシアにウクライナ東部と云う負の遺産を抱えさせようとしているのだが、本気で抱えると、プーチンは名乗り出ないのは面白くないと言っている。

 その上、欧米中心の経済制裁を受けることで、プーチン大統領は権力を集中させるナショナリズムの恩恵を受け、権力を堅固なものにしている。また、欧米の品質の高い商品が市場に出回らないことで、ロシアの競争力のない製造業は息を吹き返し、市場原理とは異なる形で、経済が回りだしている。経済は、回りだせば、それなりに成長もするわけで、西側世界市場と異なるが、そこそこ満足な、ロシア独特の市場が限定的に出来上がる。その内、後進的だった商品競争力も、徐々に復活の方向に動いてきている。

 結局、この米国のシンクタンクの副所長の恨み節は、米国主導で、ロシア・プーチンを貶めようとした画策が、プチンに裏を掛かれ、すべて、負の筋書きばかりが残されたウクライナクーデターだった。欧米の経済制裁が、皮肉にも、プーチンへの権力の集中を生み、クリミアまで併合され、お荷物ウクライナ東部を受け取ろうともしない。シリアクーデターの意趣返しの積りだったウクライナでも、一本取れないとなると、米国務省の知性は世界に恥を晒したままと云う状況が続く。このコラムでは、トランプ大統領と争うことが難しいプーチンの立場は、皮肉な漁夫の利ポジションから脱落するのではないかと、都合の良いシナリを描いている。逆に言えば、オバマ政権における、ロシア外交は、ことごとく失敗していると白状したようなコラムだと言える。


≪ コラム:プーチン大統領、トランプ氏との「蜜月」が生む代償
[21日 ロイター] - 成功した政治家というものは通常、そこに至る過程でそれなりの幸運に恵まれているものだ。ドナルド・トランプ氏が次期米大統領に選出されたことで、ロシアのプーチン大統領は最高の幸運を手にした。 孤立が続く代わりに、プーチン大統領は改めて「米ロ関係の再起動」の機会を得るだろうし、認識された影響圏、国内問題への不干渉、米国との対等な関係など、複数の長期的な目標にも実現可能性が出てくる。

だが、トランプ氏が本当に交渉上手なら、プーチン大統領は、反米的な姿勢、経済における保護主義など、自身への権力集中を支えてきた中心的な政策をいくつか犠牲にせざるを得なくなるだろう。

また米国との関係改善を進めるなかで、以前からの問題がさらに複雑化する可能性も高い。特にそれが顕著なのがウクライナ東部をめぐる問題だ。相当の数に上るであろう成果を数える前に、プーチン大統領はそれが自分にとってどのような結果を意味するのかを考える必要がある。

プーチン大統領はこれまで、1つの基本的な前提をもとに外交政策を組み立ててきた。つまり、国際社会におけるロシアの主要な、そして実際には唯一のライバルは米国であるという前提だ。すべての政策、演説、外交協議、ニュース番組は、この中心的な命題を軸としていた。

だが、その「敵」、あるいは少なくともその最も歪んだ虚像が突然消えてしまったら、どうなるだろう。

プーチン大統領にとって、プロパガンダを次々に生み出す源泉は「傲慢で厚かましい、力に取り憑かれた米国」に代わるものはない。

代替として分かりやすいのは「ロシア・ナショナリズム」だが、依然として多民族・多宗教のロシアでは、分断をもたらす可能性が高すぎる。それどころかプーチン大統領は先日、ロシアにおける諸民族間の関係に取り組むような新法の必要性を論じたほどなのだ。もっとも、この法案は、国家理念の統合に力を注ぐのではなく、どうやらロシアの国家構造における緩慢な官僚的煩雑さに対処するものになりそうだ。

プーチン大統領としては、欧州やイスラム国など、米国以外に敵を探すこともできるかもしれない。だが、それらが超大国のライバルとしてお馴染みの米国と同じ程度にロシア国民を刺激してくれる可能性は低い。プーチン氏は反米的な姿勢を軟化させるかもしれないが、そうすることにより、国家統合を進めるための頼りになる数少ない材料の1つを失うリスクに直面する。

 皮肉なことに、もしトランプ大統領が対ロ制裁の解除を決定すれば(そして欧州連合もすぐに後に続けば)、プーチン大統領の経済戦略もやはり混乱に陥ってしまう。ロシアによるクリミア半島併合とその後のウクライナ東部への軍事介入をめぐる米国の制裁に対抗して、プーチン大統領側でも報復的な制裁を課し、欧州連合(EU)及び米国からの食料輸入を禁止した。これは国内の食料生産者に大きな追い風となった。

またプーチン大統領は、電子機器、ソフトウェア、工作機械、製薬など多数の製品に関して、経済主権の名のもとでロシアの製造企業を優遇し補助金を与える輸入代替制度を開始した。

輸入代替制度を支える経済的な論拠は、依然としてかなり疑わしい。ほぼ確実に、品質の劣る、競争力の低い製品が出回ることになるからだ。だが、トランプ大統領が制裁制度の終了を提示し、その引き換えに、ロシアによる報復的制裁の解除とロシア市場への無差別のアクセスを求めてきたらどうなるだろう。

プーチン大統領は、そうした取引の一環として保護主義的な政策を解除せざるをえず、それによって、ロシア国内に新たに生まれたチーズ、ソフトウェア、医薬品などの生産者を西側企業との競争に晒すことになる。プーチン大統領の経済戦略全体が解体され、今後何年かは国家による保護を享受できるという前提で行動していた国内生産者からの反感を買うことになるだろう。

制裁が急に解除されると、プーチン氏のもう1つの計画、つまりウクライナ方面でも障害が生じる。制裁は2015年2月にウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの首脳たちのあいだで合意された「ミンスク2」和平プロセスと密接にリンクしている。欧州諸国は、この合意の実施に向けた進捗が見られるまで制裁を続けると主張しており、そのためにはロシア、ウクライナ双方の具体的な行動が必要になる。

前線からの重火器の撤去も含め、分離主義勢力による休戦の実施を監視する責任はロシア側にある。ウクライナ側に求められる譲歩は、それよりもはるかに厳しい。ウクライナ政府はドネツク、ルガンスクにおける地方選挙を承認し、これらの地域に相当の自治権を与えなければならない可能性がある。

だが、「ミンスク2」合意が十分に実施される前にトランプ大統領が制裁解除を決定すれば、ウクライナとしては、分離主義勢力に対処するうえで、はるかに自由に動けるようになるだろう。実際、ウクライナ側の識者のなかには、ドネツク、ルガンスク両地域にはあっさり自治権を与えてしまい、ウクライナを政治的な再統合というコストのかかるプロセスから解放しようという提案も出ているほどだ。

:ウクライナ政府がウクライナ東部から手を引く決定を下せば、プーチン大統領にとっては大きなジレンマになる。ロシア政府はウクライナ政府に干渉する口実を失い、一方で、ウクライナ東部の統治に関して、行政・財政面での長期的責任を引き受けることになる。

ウクライナ政府によるそうした動きを座視する代わりに、プーチン大統領が、ロシア軍部隊が介入していることはもちろん常に否定しつつも、ウクライナに対する軍事的な圧力を再び強める可能性は非常に高い。

トランプ大統領と、その現実主義のアドバイザーたちが、ロシアの主張する影響圏について不干渉政策を採用する可能性は高いが、新たな戦闘が始まると、特にプーチン大統領がロシア政府によるウクライナ情勢への介入を国民の目から隠したいと思うのであれば、当然ながら新たなリスクが生じることになる。

したがって、トランプ氏の勝利によってプーチン大統領はいくつか難しい選択を迫られる可能性がある。

プーチン大統領はあいかわらず柔軟性のある政治家であり、ロシア経済の深刻なリセッションから回復する時間を稼ぐための必要な休息として米ロ関係の改善を喜んで受け入れるかもしれない。とはいえ、プーチン氏の人気は対決型の外交政策と保護主義的な措置と直結している。外敵がいなくなれば、プーチン氏は自分の政策への支持を集めるために別の方法を見つけなければならない。経済運営における成功に頼ることはできないだろう。ロシア経済開発省は10月、ロシア国民の生活推移順は2035年まで改善しないだろうと発表している。

ロシア政府は明らかにトランプ氏の当選を喜んでいるが、トランプ大統領政権への期待を抑えるようにも努めている。これは健全な交渉戦術なのかもしれないが、同時に、プーチン氏が彼にとっての優先順位の調整に時間を要していることの表われとも考えられる。米国の新政権との取り決めが、彼の外交政策、経済戦略、国民からの支持基盤の主要な柱をひっくり返すとなれば、なおさらだ。

*筆者(William E. Pomeranz)は外交政策の米シンクタンク、ウィルソン・センター・ケナン研究所の副所長。 *本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
 ≫(ロイターコラム)

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