世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

特定秘密、徳洲会、猪瀬直樹、辺野古、防空識別圏… 裏読みの裏を読む困難さ

2013年11月30日 | 日記
遺言~「財界の良心」から反骨のジャーナリストへ
品川正治・斎藤貴男
青灯社


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●特定秘密、徳洲会、猪瀬直樹、辺野古、防空識別圏… 裏読みの裏を読む困難さ

 29日の朝生テレビ「激論!特定秘密保護法案の目的と懸念」を軽く飲んで帰宅後、午前2時頃から3時半くらいまで視聴してみた。概ね、出席者の顔ぶれに相応しい議論の迷走だったが、幾つか“なるほどね”と印象を持つ発言も聞けたので、まあ聞きていた甲斐はあった。議論の内容は、あらゆるとことで、出席者が発言している事を披露しているのだから、特に目新しさはない。筆者は、人物ウォッチに重きを置いて聞いていた。

 その結果、4人の人物ウォッチで成果を挙げた。断トツに最悪だった男は、誰あろう長谷川幸洋だった。明らかに、自民党出席者・磯崎、中谷の失地回復の為の発言に終始し、この法案の最も気味悪い部分、つまり内調マタ―に利用され、軽々と国民生活に公安警察が手出ししてくると云う“治安維持法”としての議論に向かわないように、度々チャチャを入れていた。長谷川の言い分は「この法律は、そもそも「我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて」なのだから、一般国民の生活なんかに影響がないような言いっぷりをして、青木理の不安を嘲笑っていた。

 この長谷川幸洋は何時から、此処まで安倍官邸サイドに立つ男になったのか判らないが、以前のジャーナリストとしての発言とは、臭いがまったく異なっている。安倍側に立ったのでないなら、米国側に寄り添っているとも見えるし、警察官僚擁護者のようにも見える。自民党の礒崎陽輔や中谷元は、本気で安全保障に関わる問題だけの法律だと、半ば本気で思い込んでいるところがあるが、悪意は感じない。存在自体がブザマでみじめだったのが、民主党の裏切り男・階猛だ。たまに発言の機会が訪れるが、自党の宣伝を語るだけで、誰も話に乗って来ず、不在証明証を手渡された感がある。小沢一郎も、こう云う男を近くに置いておいたのは勘が悪過ぎる。

 特定秘密保護法案の話はこのくらいにして、次に行こう。あぁ次は、徳洲会と東京都知事猪瀬直樹をまとめて片づけておこう。徳田虎雄、毅親子は、どうもこの按配だと政治的に抹殺されそうだ。患者にはそれなりのメリットを提供していた病院経営勢力が日本から消え去る模様だ。いがみ合っていた各自治体の医師会などは、拍手喝さいかもしれない。また秩序維持の為に容認できないと考えていた厚労省にとって異端勢力が消えることになる。官僚組織は徳洲会勢力の崩壊は諸手を挙げて評価するのだろう。官邸や経産省も、徳洲会が占めていた部分を外資医療関係勢力に宛がうことに異論はないようだ。邪魔者は消せの掟通りで官僚の好物、秩序維持のメカニズムだ。

 徳田虎雄のPCに残されていたデータから、夥しい政界工作の資金の流れが入手出来たに違いない。このビックデータの中から、官僚の秩序維持に相応しくない言動を繰り返す者として、東京都知事猪瀬直樹が一番バッターのご指名を受けた。猪瀬の弁解やアリバイ証明等々真実が含まれているかもしれないが、5000万円の現ナマを徳田毅議員の事務所で受け取った時点でアウトだろう。問題は、その金に何色をつけるかは、東京地検特捜部の本気度が試される。ハードルは高いようだが、贈収賄に持ち込めたら、東京地検特捜の器量も捨てがたいと評価してやろう。

 猪瀬も気の毒と言えば気の毒でもある(笑)。子供の頃から抱えていたであろうコンプレックスを撥ねのけ、ついには国内における選挙で、個人的に得た得票数400万超えの新記録を樹立、東京都知事の椅子を得たのである。その後、愛妻(愛人もいたようだが)は帰らぬ人となる不幸に見舞われるが、その悲しみを乗り越えるような朗報、東京オリンピック開催が決定一時のヒーローの高揚を味わった。そして、今度は5千万の件だ。好事魔多し、の典型のような人物だが、たかだか5000万円でトップバッターに指名されたのは納得はいかないに相違ない。“俺も罪人だとして、大罪を犯している先輩らがいるだろう。S・Iだろう、K・Mだろう…”猪瀬にしてみれば指を折りたくなるに違いない。

 おそらく、7年後のオリンピック開催までに起こるであろう、莫大な資金の流れのイニシアチブを、この小男一人に吸い取られては堪らんと云う勢力の思惑が強く検察を後押ししたと見るのが妥当だ。おそらく、何か明確なミッションがあり、ことが進むわけではなく、同一の土俵に乗っているプレーヤーにとって自明の行動原理が作用したと考えおけばいいだろう。共通の思惑を持つ統治メカニズム内の阿吽の呼吸というやつだろう。残念ながら、猪瀬直樹は東京都知事には当選したが、我が国の統治メカニズムの不文律に従う可能性は低く、どこまで行っても一発屋なノンフィクションライターだったのである。

 さてと、お次は何だったかな?あぁ辺野古だ。辺野古移設の現在の首謀者は安倍と菅だが、25日に現場指揮者の石破幹事長が脅し(除名処分臭わす)の任にあたり、懐柔硬軟織り交ぜて、沖縄地盤で辺野古移設反対で当選していた5人の国会議員が事実上辺野古埋め立てを容認派に変身させた。キャロライン・ケネディーが大使に着任した以上、早目に結果を出す必要に迫られた自民党が、なりふり構わぬ攻勢に出たということ。猪瀬が金庫に入れた何倍もの金が官房長官の金庫から吐き出されたと憶測を言う人々もいるくらいだ。沖縄のメディアは怒り心頭、“民意を裏切る行為だ 議員辞職し信を問え”、“恥ずべき裏切行為だ”と断罪している。最後の砦が仲井真知事ということになるが、この砦は軟弱な地盤に建つ城のようなもの、倒れそうで倒れない面もあり、今後の推移を見守るしかない。

 お次が最後のテーマ“中国の防空識別圏”騒動だ。筆者が当初考えていた通り、まだまだ中国の防空識別圏を設定するレーダー網が出来上がっている筈はないので、防空識別圏を設定したと言っても、東シナ海上の地図に書き込んだ段階かと思われる。どうも、日米にも、筆者と同様の判断に立つ人々が多いらしく、苛立った中国は「スクランブルをやったぞ!」と中国空軍が申進科報道官が発言している。しかし、日本の防衛省内部では「空域全体を把握できるとは思えない」、中国は管理する能力があると言いたいのだろう」と殆ど舐め切っている。たしかに、中国のレーダー網が、あれだけの地域を網羅する施設を設けている筈がない。

 中国軍の暴走から起きた防空識別圏を設定したという声明かもしれないが、習主席も確認した上の行為なのかどうか、バイデン米副大統領が日中韓3カ国を緊急訪問、事実確認を急ぐと云う事のようだ。中国国内のツイッターなどでは、日米の通常飛行の情報を知り、「なぜ撃墜しないのだ!」と云う書き込みが増加中で、中国政府は、対応に追われている模様だ。結局、有りもしないレーダー網があるが如く語った都合上、早期警戒機「空警-2000」1機と、ロシア製「スホイ30」、中国製「殲11」など数機の戦闘機を識別圏に派遣して、張子の虎のレーダー網の替わりをさせようとしているようだ。

 なんだか、剥げ山に緑のペンキを吹きつけた行為に似ているのだが(笑)、国民の煽り方ひとつで、蛮勇を抱えたパイロットがいないとも限らず、危険度を高めたのは事実だろう。中国国防省はその後、レーダー網は飛行機を飛ばすことで賄う風の言い回しに切り替えているが、彼らのメンツもこのままでは丸潰れ、バイデン米副大統領がどんな妥協案でまとめるのか、見物である。

 今回の中国の声明は、米国と日韓の飛行を躊躇わせる効果を一瞬抱かせたが、あっさり日米韓の飛行実施により葬られた形だが、国内世論を喚起してしまった都合上、このままいそいそ退場と云うわけにもいかない感じだ。お粗末な軍事戦略を立てたものだが、現場の士気を盛りたてようとでもしたのだろうか?ただ、中国のメンツも考慮に入れた報道が先ほどなされた。時事通信によると 「米政府、中国への飛行計画通知促す=防空圏通過の民間機-日本と足並み乱れ」と見出しを打って、≪ 米国務省は29日、中国が東シナ海に設定した防空識別圏を米民間航空機が通過する場合、「外国政府が出した航空情報と一致して飛行することを一般的に期待する」との立場を示した。同日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はこれに関連し、防空圏を飛行する航空各社に対して中国当局へ飛行計画を通知するよう促す方針をオバマ政権が決定したと報じた。 国務省は一方で、「中国が設定した防空圏の運用上の要求を米政府として受け入れることを意味しない」とも強調した。 日本の航空各社は日本政府の要請に基づき、中国の防空識別圏を通過する航空機の飛行計画を中国当局へ提出することを取りやめている。米政府の決定は日本とは一致せず、日米の足並みの乱れは、中国の防空圏運用を強める可能性がある。≫とある。

 バイデン副大統領と習主席との会談に合わせた、中国へのメンツの立て方として採用された“気配り”である可能性が高いが、万が一という懸念もあると判断したのかもしれない。そうなると、呆れてものも言えないが、日本政府もJALやANAに対し、朝令暮改で、米国政府の方針を真似るに違いない。そこで突っ張るのも男らしくはあるが、米国にだけイイ子ぶらせるのも不快なわけで、此処は恥などは端から“かき捨て”政権なのだから、ころころ方針転換した方が良いのではなかろうか(笑)。

暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)
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韓国、TPP参加へ!日経の速報は特ダネ、誤報? 何に焦っているの、パクさん?

2013年11月29日 | 日記
中国という蟻地獄に落ちた韓国
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●韓国、TPP参加へ!日経の速報は特ダネ、誤報? 何に焦っているの、パクさん?

 本日11月29日は時間の都合上、コラムは休みつもりだったが、興味深い速報が日経新聞にアップされたので、参考のため掲載しておく。この記事の参考資料として、同紙の10月23日付記事も参考添付する。二つの記事を読んで、色々と考えてみようと思う。特に、何故か個人的資質において、あまりにも反日的言動の目立つ朴槿恵(パク・クネ)大統領との絡みで、この問題を考えてみようと思っている。 無論、日経新聞が安倍自民党政権の擁護メディアであり、世界金融勢力と歩調を合わせるメディアである事を忘れてはならないが、防空識別圏を巡る“中国対日米関係”が対立構造を意図的にクローズアップしている昨今の現状に、焦りを感じているのも事実だろう。外交防衛上の問題点が、経済事情に反映されるのは当然で、その影響があるのかもしれない。

≪ 韓国がTPP参加へ 「2国間」重視を転換
 韓国政府が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する方針を固めたことが29日、分かった。近く表明する。複数の関係筋が明らかにした。日米両国など交渉参加国の同意を得た上で、早ければ来春からの交渉参加を目指す。韓国はこれまで2国間の自由貿易協定(FTA)を重視してきたが、輸出市場で競合する日本のTPP参加を踏まえ、戦略を転換する。
 TPPは日米両国に加え、ベトナムやマレーシアなど計12カ国が参加する。域内の人口は7億8千万人(2011年)、貿易規模は9兆5千億 ドル(12年)に達する。12年の貿易額が1兆ドル(約102兆円)と世界第8位の貿易大国である韓国が参加すれば、アジア太平洋地域で一段と強力な貿易圏が誕生する。
 具体的には、12月3日からインドネシア・バリ島で開く世界貿易機関(WTO)閣僚会議などの場で「TPPへの関心表明」をする可能性がある。その後、非公式の2国間協議を経て、正式に参加を宣言し、参加国からの了承を得る段取りを描く。
 ただ、韓国が年内の実質合意を目指すTPPに交渉段階から参加できるかどうかは、不透明な面がある。交渉参加に必要な米議会の手続きが90 日かかるためで、早くても交渉参加は来年3月ごろになる見通し。韓国政府はTPP交渉の越年もにらみ、早期の交渉参加に理解を得たい考えだ。
 韓国では、追加的な市場開放に抵抗がある農業分野や、自動車など日本と競合する産業分野でTPPへの慎重論も根強い。交渉参加を決めた後も、どの分野をどれだけ譲歩するかで国内調整が難航する可能性もある。
 韓国はこれまで、米国や欧州連合(EU) とFTAを締結。2月に発足した朴槿恵(パク・クネ)政権は、中国などとの2国間FTA交渉を重視してきた。TPPについては「急ぐ必要はない」との意見 が大勢だったが、日本が7月にTPP交渉に参加したほか、EUとの交渉を始めるなどして情勢が一変。「輸出市場で日本に後れを取る」などとする意見が強まっていた。 ≫(11月29日・日経新聞)


 ≪ TPP参加、韓国の苦悩 車の市場開放など焦点に  FTA大国に日本のハードル
 自由貿易協定(FTA)大国を自認する韓国が、環太平洋経済連携協定(TPP)を巡って悩みを深めている。交渉参加の是非を検討していることは認めながら、いまひとつ動きが鈍いのは、なぜだろうか。
 朴槿恵(パク・クネ)大統領がTPPへの関心を表明する――。今月上旬、インドネシアで開いたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の直前、こんな観測が流れて、通商交渉関係者の関心を集めた。 「年末がヤマ場」  実際は会議の期間中、朴氏に目立った発言はなかった。ただ、まったくのガセネタだったかというと、そうでもない。「検討したのは事実だが、調整がつかなかった」。政府関係者は証言する。
 政府内では外務省が積極姿勢をとる一方、農林畜産食品省が慎重論を展開する構図。今回は、主管官庁である産業通商資源省も「時期尚早」との立場に回ったという。
 「次のヤマ場は年末から年明けにかけてだ」とある政府高官は言う。その頃にはおそらくTPP交渉の越年と、来年前半という新たな妥結目標が見えてくる。韓国はそこで参加するかどうか判断すればよいという訳だ。
 朴氏はAPECでTPP参加国の首脳と相次いで会談。カナダとは年内のFTA交渉妥結に努力する方針で一致した。韓国はTPP参加12カ国中、米国など7カ国とFTAを締結済み。他の加盟国とのFTA交渉をできるだけ進めて、TPP加入時の負担を少なくする、いわば2段階戦略だ。
 ただ、TPP参加を決断したとしても、その先のハードルは高い。農業分野の市場開放に抵抗があるのは日本と同じ。「日韓は共闘できる」との声があるのはそのためだが、その日本が、今度は壁になる可能性もある。
 「日本とのFTAで我々が得られるものが何かあるのか?」。9月3日。TPPを主題にした政府主催の専門家会議で、こんな質問をしたのは現代自動車の関係者だ。韓国にとってTPPは事実上、2004年から交渉が中断する日韓FTA締結を意味する。競合する業界には敏感な問題だ。
 09年には約5%だった輸入車の韓国内シェアは最近、12%程度にまで上昇した。ウォン安の修正だけが理由ではない。日本メーカーは米国製の日本車を米韓FTAで下がった関税率を使って韓国に輸出している。欧州車の攻勢もあり、現代自は一部車種で値下げを余儀なくされている。
 米からの乗用車の輸入関税は16年に撤廃となる。TPPで日本からの輸入車に課す8%の関税までなくなれば現代自グループが7割のシェアを握る国内市場の競争が一段と激しくなる。部品・素材など他の工業製品の輸入増への警戒感も強い。 時間切れの懸念  韓国内では米国主導のTPPについて「反米・親中の感情を刺激する」との声もくすぶる。日韓関係が冷え込むなかTPPに「反日」の要素まで加わったら、交渉も国内調整も制御できなくなる――。拙速を嫌う空気が漂う背後には、そんな事情もありそうだ。
 そもそも、韓国が交渉段階から参加できるかどうかはなお不透明だ。仮に年明けに交渉参加宣言をしても、90日間の米議会手続きを終えた春ごろには、大筋妥結している可能性がある。「韓国には妥結後に参加してほしいのが米国の本音」との説もある。  国内の反対論を押し切って米国などとのFTAをまとめ上げてきた韓国だが、TPPでは出遅れた。大型FTAへの疲労感と慢心があったからだ。当初、TPPに関心が低かった朴政権が軌道修正したのは日本の参加がきっかけ。「まさか日本が本当にTPPに加わるとは思っていなかったようだ」。日本政府関係者はこんな見方を示す。
 「いつかは入らなければならない。消極的になってはいけない」。経済の司令塔、玄●(日へんに午)錫(ヒョン・オソク)経済副首相兼企画財政相は強調する。誰かに言い聞かせるかのような表現が、韓国の苦悩を物語っている。 ≫(10月23日・日経新聞:ソウル支局長 内山清行)

韓国 反日感情の正体 (角川oneテーマ21)
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中国は”幻の防空識別圏”を設定した? 米軍が飛んだのだから、次は自衛隊の番

2013年11月28日 | 日記
中国人民解放軍の実力 (ちくま新書)
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●中国は”幻の防空識別圏”設定した? 米軍が飛んだのだから、次は自衛隊の番

 読売などは、中国政府が敷いた防空識別圏の設定に対し、米軍のB52爆撃機が、通告なしで中国の防空識別圏を飛行したのは、カーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員(元国防総省上級顧問)の言葉を借り、「武力や脅しを背景に尖閣諸島上空を防空識別圏として設定するのは、これまでと異なる新しい状況だ。B52の飛行は、80%は米国自身のため、20%が日本のため」だと云う恩着せがましいコメントを引用しているが、チャンチャラ可笑しな記事である。カーネギー国際平和財団なんて云うのは共和党戦争屋勢力の一員であり、現オバマ民主党政権と対立軸を持つ、日米安保マフィアの片割れである。

 中国人民解放軍は陸軍を中心とする、金食い虫の群れであり、中国共産党は如何にして、この肥大化した時代遅れの軍事組織を近代化しようと躍起になっているのが現状と認識すべきである。つまり、あんなに広大な防空識別圏をカバー出来るだけのレーダー網は整備されておらず、当分、中国政府が日本や米国に対し脅しを掛けても、意味がないくらい多くの軍事関係者が認識している事である。読売・産経は殊更に危機を煽り立てているが、5年程度は口先だけの話と思っておいても良いだろう。ヒラリー・クリントンが去ったオバマ政権においては、米中蜜月時代と云う認識は一昔前の観念で、今や、中露は米国にとって警戒すべき陣営になってきたようだ。

 本来であれば、我が国が独立を果たすに適した国際環境が出来あがっているようなのだが、すべてを米国に依存する度合いが益々強まる安倍政権や霞が関官僚にとって、真の独立なんて厄介な荷物を背負う気はさらさらないわけで、またしても、日本は米国との距離感を正確に測るチャンスを逸するようである。今であれば、米国50%、中国30%、ロシア20%の按分外交が不可能ではない世界情勢であるにも関わらず、なお一層対米依存を強めようと云うのだから、話をする気にもならない。ホワイトハウスのアーネスト報道官は、尖閣諸島をめぐり日中が対立していることについて、外交的に解決すべきとの見解を示し、不必要に対立を煽る行為だとし、「こうした問題は脅しや対立を激化するような表現を通じて対処すべきではなく、外交的な解決が可能であり、そうすべきだ」等と言いながら、B52爆撃機を平気で、中国がプロパンガンダで宣言した防空識別圏内を飛び回るのだから、米軍の倍返しと言っても過言ではなく、どっちもどっちの話の話だ。絶対に中国のレーダー網が完成していないことを証明している行為だと言える。

 習近平主席新指導部の主導で行われる中国人民解放軍の近代化と云うか現代化を三中全会決定で国防に関しては、軍制改革についてかなり踏み込んだ表現をしている。当然、人民解放軍の近代化、現代化は緒に就いたばかりで、パワーバランスを考えながら、ジワジワと進めるしかないのが現実で、おいそれと陸軍中心(ぶら下がっている軍人がわんさといる)の時代遅れ軍隊をパラダイムシフトさせるわけだから、手法を一歩間違えれば、軍のクーデターまで想像がつくわけで、空けてビックリの人民解放軍と云う事も十二分にあり得る。イラク戦争の時にも、イラク・フセイン大統領の幻の共和国防衛隊を精鋭揃いで、米軍も手を焼くだろう等と言われたが、もぬけの殻だった共和国防衛隊であった事実の記憶もある。中国の新指導部が考えている、人民解放軍の大改革については、以下のコラムを参考にして貰おう。参考コラムが真実を言い当てているかどうかは、なにせ中国のこと、参考までにしておこう(笑)。


 ≪ 習近平政権のきな臭い国防改革  防空識別圏の設定で局地紛争の可能性高まる

 中国の国防をめぐるきな臭い話がいくつか続いている。今回は中国の軍事をめぐるゴシップを少々。

防空識別圏の設定で緊張高まる
 日本で目下、中国の軍事をめぐるニュースとしてホットなのは東シナ海に防空識別圏(ADIZ)が設定されたことだろう。ADIZとは、国家が防衛上に設定した空域のことで、領空の外側に設けられた一種の緩衝空域だという。
 この空域に国籍不明機が入れば領空侵犯される前に、国籍と飛行目的を確認し、警告を発して引き返せば撃墜されない。事前に飛行計画を出しておけば、スクランブルがかかることもない。各国の都合でそれぞれ設定するもので、別に領土、領海を限定するものではない。
 中国はこれまで設定していなかった。ADIZを設定するのは航空安全上、防空上、重要なことなのだが、問題は中国のADIZが尖閣諸島上空を含む東シナ海まで含み、日中中間線のよりも日本側に張り出しているということにある。
 中国の防空識別圏の最も東側は九州からわずか130キロ。日本の航空機が自国の領空を飛行すると、中国側が警告を発し、スクランブルをかけてくることもあるわけだ。尖閣上空でスクランブル合戦、みたいな事態も想定され、日中間は今以上に緊張感が増すことになる。
 当然日本は、強く抗議し、ADIZ設定を取り消すよう要求している。これは韓国のADIZとも重なっており、中韓がともに主権を主張する離於島(中国名は蘇岩礁)上空が含まれている。日本と対立を深め中国にすり寄っている韓国ですらこれには「遺憾」と表明した。
 米国もケリー国務長官が「東シナ海の現状を一方的に変えようとする行動」と非難し、ヘーゲル国防長官も「日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用される という米国の長年の政策を再確認する」と中国側を牽制した。中国は米国の態度に「日本の冒険的な行為を助長するような誤ったシグナルの発信をやめるべき だ」と反論している。
 ちなみに日本は北方領土や竹島上空をADIZに設定していない。領空・領土とは関係ないという建前があるし、施政権の執行できない領土の問題について平和的に解決をはかる道筋を保留するための配慮である。
 中国は日本が実効支配をしている尖閣諸島の上をADIZに設定したわけだから、尖閣問題について平和的解決をはかる意志がない、というふうに受け止められる。日中間に局地紛争が起きる可能性が今までより格段に高くなったという現実を日本も認識すべきだ。
 その関連で言えば、在日本中国大使館が在日中国人(僑民)に対して、自主的に所在登録するよう通知したのも、おそらくは日中間有事を想定したものと思われている。大使館のウェブサイトにはこうある。 「海外僑民に領事保護を提供することは中国在外大使館領事館の重要な職責である。重大突発緊急事件発生時に、適時に僑民と連絡をとり協力助力を提供し、最大限の僑民の安全と利益を保護するため、大使館は僑民の自主的登録を即日展開することを決定した…」
 防空識別圏の設定のタイミングと兼ね合わせると、この「重大突発緊急事件」というのは、尖閣有事であると考えるのが普通だろう。

人民解放軍の国軍化
 こういった動きは、私は習近平政権がこのほど打ち出した三中全会(党中央委員会第三回全体会議)の決定が反映されていると考えている。三中全会決定で国防に関しては、軍制改革についてかなり踏み込んだ表現があった。
 「党の指揮を聞く、戦いに勝てる、風紀優良な人民軍隊をしっかり建設し、新たな形勢の下の強軍目標とし、国防と軍隊の突出した矛盾と問題解決に努力し、 軍事理論を発展させ、軍事戦略指導を強化し、新しい軍事戦略方針を完全なものとし、中国の特色ある現代軍事力体系を構築する」
 国防と軍隊の突出した矛盾とは何か、というのははっきり書かれていないが、これまでの経緯から考えると、国軍化問題ではないか、と思う。つまり、解放軍が共産党の軍とするか、国家の軍とするかというテーマである。
 事実上、国防を担う国軍としての機能を持つ解放軍の統帥権は共産党の中央軍事委主席にある党の軍である。党の軍という性格の変質を絶対譲りたくない保守派が存在する。
 だが一方、国軍化すれば、党の政治と切り離した軍事プロフェッショナル集団として高度化できる。軍の現代化を望む若い将校たちは国軍化支持者が多いとも聞く。具体的に決定の文言を見ると、以下のような文章がある。

 「軍隊体制の編制調整改革の深化、指導管理体制の改革、軍事委総部の指導機関職能配置及び機構設置を優化し、軍兵各種指導管理体制を改善する。軍事委の 聯合作戦指揮機構と戦区聯合作戦指揮体制を健全化し、聯合作戦訓練と保障体制を改革する。新型作戦力指導体制を改善する。情報化建設の集中統括を強化す る。武装警察部隊力構成と指揮管理体制を優化する。軍隊規模構成を優化し、軍兵、官兵、部隊と機関の比率を改善し非戦闘部門とその人員を削減する。多方面 の安全需要と作戦任務に向けた部隊編成を改革する。軍隊院校の改革、軍隊院校の教育の健全化、部隊訓練の実施、軍事職業教育の三位一体の新型軍事人材教育 システムを改善する…」

 「軍民融合の深い発展を推進する。あらゆる面で軍民融合の発展的統一指導を推進し、軍における協調、需給に対する接収、資源享受メカニズムを建設する。 健全な国防工業体系をつくり、国防科技共同イノベーション体制を改善し、国防科学研究生産管理と武器装備購買体制メカニズムを改革する。優勢な民営企業に 軍事科学研究生産、メンテナンス領域に参入させる。国民教育による軍事人材育成政策制度を改革改善する。軍隊の保障社会化領域を開拓する。国防教育改革を 深化させ、国防動員体制メカニズムを健全化させ、平時徴用および戦時動員法規メカニズムを改善する。予備兵役体制改革を深化させる。防海防空管理体制メカ ニズムを順番に整理調整する…」

 小難しい表現だが、要するに軍制改革を行い、予備兵役体制や戦時動員法などの国防総動員体制を整え、有事に本格的に備えた「能打仗勝(戦に勝てる)」解放軍にする、ということである。
 大使館の在日中国人登録に関する通知は、国防総動員体制に関わるものだろう。中国にはすでに国家総動員法というものがあり、戦時となれば在外中国人をも 動員できることになっている。ADIZ設定も、三中全会決定を読めば、「防海防空管理体制メカニズムの整理調整」という表現で盛り込まれていた。

 七大軍区を撤廃し軍を現代化
 軍制改革については具体的なことはあまり出ていないが、改革の目的の1つが、軍の指揮権の整理であることは決定の文言からうかがえる。軍制改革の中身に ついては、香港の軍事評論家、馬鼎盛氏が「七大軍区を撤去し、中央軍事委および、(新たにつくる中国版NSCともいうべき)国家安全委員会が直接統帥指揮権をもつ野戦軍集団軍にとってかえる」という予測を示している。
 いわく「世界最大規模の常備軍を平和時にあわせて大幅削減する。たとえ局部戦争が勃発しても、軍民融合を発展深化させた新軍事体制で柔軟に対処する」
 七大軍区は毛沢東時代に、敵を国内に引きずりこんで殲滅する戦法のために考えられた陸軍が主役の軍制であり、一方、今の中国が直面する危機である対外的 な局地紛争に最初に対応するのは空海軍およびミサイル部隊である。大軍区制は時代にあわず無駄が多い。そこをスリム化して、軍を現代化し、より立体的戦闘 に適した実践力のある軍制に切り替える。
 具体的には、陸・海・空、戦略ミサイル部隊、武装警察を傘下に収めた4つくらいの戦略区から構成されるという案が、胡錦濤時代から浮かんでは消えていた。
 ちなみに中国の今の七大軍区制は、瀋陽軍区、北京軍区、済南軍区、南京軍区、広州軍区、成都軍区、蘭州軍区に別れている。この軍区は時代によって増えたり減ったりしているが、建国当初の軍区は、軍区ごとに司令員(指揮統率)と政治委員を持つ軍閥的な存在だった。
 小平が第一次天安門事件で全職務を剥奪されて失脚したとき、広州軍区に逃げ込んで庇護されたが、つまりは毛沢東ですら広州軍区には手が出せない独立性があったということだ。
 昨今は解放軍の機械化、情報化が進むとともに、軍区にまたがる演習や空海軍との合同演習も増えたが、その場合の指揮系統というのはずいぶん複雑なようである。
 最高指揮権は当然中央軍事委にあるが、たとえば中国海軍の駆逐艦が海上自衛隊哨戒機に射撃管制レーダーの照準を合わせた事件は、駆逐艦艦長の独断行為であったという。本当なら、欧米や日本とは比べものにならないほど指揮系統が雑であるということだ。
 また、元重慶市党委書記の薄熙来が失脚した背景に、成都軍区と組んでクーデターを起こそうとしたという話もあった。北朝鮮の核実験時、瀋陽軍区の機材の北朝鮮への横流し疑惑も流れた。そのぐらい大軍区制というのは党中央のコントロールの効きにくいものなのかもしれない。
 馬氏によれば「大軍区体制は陸軍が幅を聞かせてきた時代の歴史的遺物であり、この数百億の軍費を海軍や戦略ミサイル部隊や空軍に転用すれば、完全に軍制改革の深化という三中全会精神に合致する。同時に国家安全委員会の成立主旨とも矛盾なく進む」というわけだ。
 ちなみに国家安全委員会については以前紹介した通り中国版NSCという見方でいいと思う。  軍総参謀部、総政治部と武装警察、公安、安全部、外交部、党の対外宣伝部門の代表をメンバーに入れ込み、習近平国家主席の直属とする。縦割り組織の横の 連携をとり、国内外の治安維持、諜報防諜などへの取り組みを的確に行うとともに、治安維持権力を習近平総書記が一手に掌握することになる。
 中央政法委員書記が政治局常務委を外れることで権力の強さがワンランク下がった分、それに代わる軍から警察権力、外交、宣伝、諜報に至るまでを包括的に 掌握するのが国家安全委員会で、中央軍事委と並列して軍の運用にもかかわれば、軍の動きを外交部が知らずに定例記者会見で恥をかく、ということも無くなる かもしれない。

対外強硬姿勢を見せなければ求心力を保てない
 軍制改革も国家総動員体制の改善も国家安全委員会の設立も習政権の強権化を進める方向にあると見えるのだが、どうだろう。
 国防改革については実のところまだ謎であるし、これがどういう意味を持つのかを見定めるにはもっと材料が欲しい。だが、習政権がこういう軍事国家志向の 動きを見せている背景には、国内の不安定化がギリギリの段階にまで来ているということではないだろうか。対外強硬姿勢を見せなければ党の求心力を保てない ということではないだろうか。
 しかし、経済改革をやろうとすれば外資の導入を含め周辺国との安定的な関係は不可欠だ。こんな形で周辺国を刺激していては、せっかくの三中全会で盛り込 んだ改革もうまくはいくまい。経済がうまくいかねばさらに国内不安定化が進む。習政権は負のスパイラルに陥っているように見える。 ≫(日経PBnet:アジア・国際 ―中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス:福島香織)

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人は苦節のなかに光をみつける ロマンと切実さが綯交ぜになる「五日市憲法」とは3

2013年11月27日 | 日記
石橋湛山評論集 (岩波文庫 青 168-1)
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●人は苦節のなかに光をみつける ロマンと切実さが綯交ぜになる「五日市憲法」とは3

 筆者のように、明治維新と云う“西洋かぶれ”な輩の革命など、縄文大和民族の恥さらしだ等と思い込む人間には、明治の歴史は忌避、唾棄すべき“歴史の過ち”なのだから、その歴史を詳細に知らないのは当然である。しかし、大日本帝国憲法発布以前に、「五日市憲法草案」のように基本的人権に目が向いている民間人の憲法観念が存在したことは、目から鱗である。正直、美智子妃殿下の会見回答を読むことで知り得たとは、国民として恥じ入るばかりである。そのことは個人的反省だが、遅まきながら、筆者も「五日市憲法草案」について、色々と調べてみた。そして、明治も捨てたものではない、人々の心意気は存在したのだ、と云う思いに至っている。食わず嫌いを戒められる思いだ。先ずは、東京新聞の同憲法草案について記事を引用し、話をはじめたいと思う。

≪ 五日市憲法草案を公開 あすから あきる野中央図書館
 東京都あきる野市の中央図書館は、明治初期に旧五日市町(現あきる野市)で起草された「五日市憲法草案」の原本の一部を二十六日から公開する。改憲が現実的な政治課題となり、憲法への関心が高まる中、主催者は「国の形を真剣に考えた明治の人々の精神を知ってほしい」と来館を呼び掛ける。
 五日市憲法草案は大日本帝国憲法が公布される八年前の一八八一(明治十四)年に起草され、一九六八年に色川大吉東京経済大教授(当時)のグループが町内旧家の土蔵から発見した。全二百四カ条の原本は二十四枚あり、普段は図書館書庫に保管し、テーマを決めて年に一回、部分的に公開している。
 今回は基本的人権や司法権を記した部分五枚を公開。四五条で基本的人権を不可侵なものと定め、その後に言論、信教、結社・集会など国民の権利と自由を三十カ条にわたって規定する。
 司法権規定では国事犯(政治犯)に死刑を科さないとし、容疑者、被告人の権利保障を明記している。日本国憲法との内容対比を付けた草案全文レプリカや、起草者である千葉卓三郎(一八五二~一八八三年)に関する資料も展示する。
 松島満館長は「山間地で排他的なイメージもある五日市だが、現憲法のもととなるような最先端思想に触れていたことが分かる」と話した。
 五日市憲法草案については、皇后さまが二十日に七十九歳の誕生日を迎えられた際、宮内記者会の質問に寄せた回答文で、昨年一月に天皇陛下とあきる野市を訪れた際、原本を視察したことへ言及。「世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います」と、強い感銘を受けたことを明らかにしている。
 展示は十一月四日までで、一日は休館。入場無料。問い合わせは、同図書館=電042(558)1108=へ。 ≫(東京新聞)

 通称「五日市憲法草案」は「日本帝国憲法」と草案原本には記されている。1889年に公布された「大日本帝国憲法」よりも、大袈裟度が少ないネーミングなのが、まず目を引いた。それはさておき、この憲法草案が「大日本帝国憲法」より8年も前に練られたものである事も興味を惹くが、204条もある憲法草案である点も注目できる。(204条中、150条を基本的人権など国民の権利保障に重きをおいていた)。「大日本帝国憲法」が76条であり、現在の「日本国憲法」が103条であることを考えても、量的な多さも目をひく。この点は、為政者の立場ではなく、市民の側に立脚した心配事を思い出す限りに規定したであろう苦心度が窺える。当然、統治する側と統治される側では、真逆な規定が盛り込まれるわけで、この辺にも自由民権運動の流れの中で起草されたことが理解できる。悪くいえば、纏まりがないとも言えるが、統治される側の立場としては、現実的不安と杞憂が綯交ぜになったとして、草案である限り、批難には当たらない。注目すべきは、国民の権利を網羅的に表現している処に、この憲法草案の価値がある。

 統治する側に立てば、昨日の特定秘密保護法案の強行採決、日本版NSA法案の採決、TPP交渉・協議進行等の動きをみても判る通り、統治システムの有効度を高度化する為に、国民の側を取り締る“投網”を立法する事に腐心するわけで、統治の“投網”を許さず、と云う点が、この統治される側の立場としては、現実的不安と杞憂が具現化した形で、「五日市憲法草案(日本帝国憲法)」盛り込まれている。しかし、明治の初期において、これだけ人権を意識した人々がいたと云う事実は衝撃的である。20世紀後半から21世紀にかけて日本人に蔓延している“人権より金だ”と云う風潮に比べ、まことにピュアである。“貧すれば鈍す”と云う言葉が嘘のようにさえ思われる。“満腹は愚鈍を産む”が真実かもしれない。

 五日市村の出身ではない千葉卓三郎は、深沢村の名主である豪農、深沢名生・権八親子の知的好奇心を満たす立場にあり、山深い里にも自由民権思想が根づいた事も興味深い。深沢家に残る当時の書籍は膨大なもので、幕府の終焉と、次の時代は庶民の時代にしなければ、と云う心意気とか息吹を十二分に感じさせる。起草したのが千葉卓三郎だとすると、伊達藩士の血脈もあるだろうし、戊辰戦争で賊軍として敗北を味わった挫折や反骨の心情もあったであろう点も留意しておきたい。ロシア正教会のニコライの影響を受けている点にも留意が必要だ。現在、駿河台に建つニコライ堂のニコライなのだが、正教会がどういうものか語り出すと、話が横道に逸れるのでやめておく(笑)。千葉卓三郎は米人からプロテスタントも学んでいるので、彼も深沢親子並に知的好奇心の強い人物であったのだろう。

 正教会、プロテスタントを学びと云うことになると、“西洋かぶれ”ではないのか、となるが、仏教や儒学も学んでいるので、 かぶれてはいないと推測する。仙台藩独特の中央への反骨とあらゆる方面に知的好奇心を発揮する千葉卓三郎が同じく知的好奇心を持つ深沢親子と出会ったことは幸運だったのだろう。千葉の反骨と知識を、深沢家の好奇心と富がバックアップしたのかもしれない。深く知りたい誘惑とロマンを漂わせている。また、深沢村の名主だった深沢親子は林業を営み、並はずれた豪農・豪商であったらしく、秋川、多摩川を交通路として、五日市村から材木を、東京や横浜から文化文明を持ちかえっていたようだ。

 ところで肝心の「五日市憲法草案(日本帝国憲法)」では、どのように形で国民の権利を謳っていたか、その点を最後に見ておく。

■国民には自由権が存在し、他より侵害されることはなく、国はそれを保護する義務がある。

■国民はすべて平等であり、国家から同等の保護が受けられ、地方や門閥、貴族などの差別はなく、一部に特権を与えてはならない。ここでいう門閥は薩摩・長州・土佐・肥前の4藩、特に薩・長2藩の出身者を指す。

■国民は教育を受ける権利を持ち、義務教育が規定され、教育する権利は、教師と親権者にあり、国家統制の画一的教育すべからずとなっている。(下村や安倍晋三達に聞かせたいものである)

■国政より地方自治に重きが置かれており、地方における風俗慣例などに国が干渉することを禁じている。顔の見える行政区への尊重、延いては人権意識の強さと共同体自治の大切さが判っていたようだ。

■君主主権を尊重しているが、民権と君権がバッティングした時は、民権が優越性を持つと、思い切った文言もみられる。

 人権項目では、外国籍の人権保障まで記されている。第1篇国帝(41カ条)、第2篇公法(36カ条)、第3篇立法権(79カ条)、第4篇行政権(13カ条)、第5篇司法権(35カ条)で構成されているが、その中心は人権の尊重で、国民の権利の部分は150カ条もあり、多くが国民の権利を謳っている。面白い点は、行政が国民の基本的人権を侵害した場合は、国会がこれを否定できるとしている。また、司法における罪刑法定主義を明確にし、裁判官の専断を抑止しようとしている。罪刑法定主義など、念頭にない安倍晋三に読ませたい憲法である。

 時代背景が貧困であったり、戦禍の惨状にあるような場合を通じて、豊かな文学や芸術が花開くと言われているが“貧すれば鈍す”より“満腹が愚鈍を産む”と考えた方が納得できる近時の世相である。“貧すれば鈍す”とは、貧しいと日々を生活に追われ、才気や高潔さを失うと意味しているが、筆者の感じでは、19世紀頃に生まれた格言ではないのかと思ってしまう。20世紀、21世紀を観察する限り、富があらゆる面で飽食を助長し、人間を愚鈍で浅ましいものに向かわせているように感じる。富がなければ、工夫が生まれ、飽食がないから、満腹に向かって走る気力も出ると云うことではないのか。夢想やロマン、理想を夢見る、そんなことも飽食の時代では、逆に考え難くなっている。このような人間集団の心理が、世界のマネー勢力に構造的に利用されているようで仕方がない。

成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか (一般書)
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両陛下の国民の安寧を願う心と乖離する日本政府の保守化 五日市憲法草案とは2

2013年11月26日 | 日記
縄文人に学ぶ (新潮新書)
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●両陛下の国民の安寧を願う心と乖離する日本政府の保守化 五日市憲法草案とは2

 今日にも、特定秘密保護法案が衆議院を通過するかもしれない。筆者としては、多くの識者が警告を発するほど、この法案が喫緊の危機を漂わせているとは思っていない。見通しが甘いと云う誹りを受けるかもしれないが、そうそうに牙を剥きだすと考えるのは、警戒のし過ぎだと思っている。つまり、この法理的原則を蔑にしたような法案は、チョッとやそっとでは、使い物にならないと云うことだ。そもそも、立憲の基本原則も、罪刑法定主義の意味すら知らない総理は、この自分で国会や国民に投げかけた法案の趣旨を理解していないと思っている。何となく、軍国的で恰好イイじゃないか!程度の認識に過ぎないのだから。

 勿論、官僚達が、この法律の条文を拡大解釈して悪用する可能性は残されているが、それも喉元の熱さを忘れた頃にしか発揮されないと思っている。あまりに、疑心暗鬼になり、敏感に反応することで、“案外こういう脅しが通用するものなのだな”と保守化する安倍晋三的噴き上がり情緒派と同類の人間達が、国民の反応効果に味をしめ、より悪質な国民を締めつける方向に走り出すリスクの方が高いと認識している。少なくとも、ここ3年程度は、この法案による検挙や家宅捜索はないだろうと考えている。危険なのは、3年後も自民党が政権の座にある場合には、かなりの危険を伴うかもしれない。両議院の議員数の関係から、一見、自民党政権が盤石のように見えるのだが、中身はスカスカの支持で得た議席であり、国民が“自民党は何をするか判らなくて怖い”と思った瞬間から、猛烈な風が吹くわけで、まだまだ地固めしたいのが本音だ。

 09年の以降の、民主党の一部勢力と官僚らによる無血クーデターが、戦後日本の立ち位置を議論する景気になったことは、歴史的な価値は非常に大きい。小沢・鳩山ラインが甚大な被害を受けた点は悲劇的だが、この事件が契機となり、日本の真の独立とか、官僚制度の功罪、日米同盟の価値、対中国・ロシア・韓国・ASEANとの距離感など、多くの課題が議論されるようになった点では、歴史的に貴重な出来事だったのである。無論、鳩山や小沢にとっては迷惑千万な話には違いないが、国民が、敗戦によって“タナボタ”のように与えられた民主主義とか、基本的人権とか、言論の自由・法治国家とかの観念をあらためて考え直す契機になった点は評価しても良いかもしれない。

 現在は、その流れが菅・野田と云う裏切り者の行為により、悪の枢軸・自民党と官僚らの手に主権が奪われている流れは不幸なのだが、歴史は常に流れている。権力はいつの日か必ず滅びる“自民党は永遠です”なんてことはないと云う事を肝に銘じておけば、現状をそれ程激しく嘆く必要もない。例えば、我が国における「自由民権運動」 ≪日本のブルジョア民主主義革命運動。国会開設、憲法制定、地租軽減、地方自治、不平等条約撤廃という五大要求を掲げ、明治政府が意図する絶対主義的天皇制国家に対し、民主主義的な立憲制国家をつくろうとした。1874年(明治7)板垣退助(たいすけ)らの民撰(みんせん)議院設立建白書の提出が運動の出発であり、80~81年が高揚期、84年の激化事件で解体期に入り、87年の不平等条約の不十分な改正案反対を中心とする三大事件建白運動、大同団結運動から、「民力休養」が主張される第4議会(1892)まで運動は引き継がれる。明治政府は讒謗律(ざんぼうりつ)、新聞紙条例、出版条例改正(以上1875)、集会条例(1880)、集会条例改正追加(1882)などで運動を厳しく弾圧した。(日本大百科全書)≫

 上述「自由民権運動」も、当初は板垣の「征韓論」を含む、不平士族が中心の運動であり、それに農村指導者層(豪農民権)が加わった経緯がある。その後、都市ブルジョワ層や貧困層、博徒集団など、当時の政府の方針に批判的な多種多様な立場からの参加が多く見られた。逆のこのような流れは、限定的人種層の為の自由民権では立ち行かないわけで、そこに日本に住む人々すべてを網羅する包括的な自由民権意識の成立に寄与したものと思われる。以下の“週刊金曜日ニュースサイト”の「日本国憲法の源流と改憲論議への“気がかり”――「五日市憲法」に触れた皇后」というコラムで言及している「五日市憲法草案」も前述のような歴史の流れの中で起草されたものと考えられる。本日はここまでとし、次回筆者が受けとめた「五日市憲法草案」について語りたい。


≪ 日本国憲法の源流と改憲論議への“気がかり”―― 「五日市憲法」に触れた皇后

天皇に手紙を渡した山本太郎参議院議員の言動が「(天皇の)政治利用」ではないかと物議をかもしている。そんな中、この一〇月に七九歳の誕生日を迎えた皇后が言及した「五日市憲法草案」について、発見者の一人で専修大学教授の新井勝紘氏が取材に応じた。 新井氏は「政治利用されるのはよくない」とした上で、「皇后という地位には関係なく、ごく普通の人間があの憲法草案を読んで感じる、素直な反応だと思う」と話した。

 明治期の自由民権運動期に生み出された五日市憲法草案。東北に生まれ、後に神奈川県(現東京)西多摩の五日市に移り住んでいた千葉卓三郎が、地元の青年たちと議論をかさねて練りあげた。全二〇四条におよぶ条文は、民権運動期に生まれた多くの憲法のなかでも、とりわけ民主主義の色合いが濃いことで知られている。

 その「国民の権利」の項目には、「日本国民は各自の権利自由を達すべし、他より妨害すべからず、且つ国法これを保護すべし」とある。国の法律は国民の権利を守るためにこそあるのだという考え方は、現行日本国憲法の「国民主権」に通ずる。
 また、「日本国に在居する人民は、内外国人を論ぜず、その身体生命財産名誉を保固す」という文言もある。ヘイトスピーチ(差別扇動表現)など排外主義が吹き荒れる現代を見越したような文言だ。

 皇后が宮内庁記者会の質問に寄せた回答文書には、こうある。 〈今年は憲法をめぐり、例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。(中略)「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。(中略)当時これに類する民間の憲法草案が、日本各地の少なくとも四〇数か所で作られていたと聞きましたが、近代日本の黎明期に生きた人々の、政治参加への強い意欲や、自国の未来にかけた熱い願いに触れ、深い感銘を覚えたことでした。(中略)市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして、世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います〉

 現行日本国憲法は戦後GHQから押しつけられたものだとする主張があるが、実際はそうとも言えない。「今の日本国憲法は形としては押しつけられたもののように見えるけれども、基本的人権や国民主権という考え方の源流をたどると一八八〇年代の自由民権期の憲法草案にいきつく」(新井氏)

 皇后が東京・あきる野市にある五日市郷土館を訪れたのは昨年の一月。同館には、千葉が執筆した「タクロン・チーバー氏法律格言」も展示されている。これは当時、世界の「法律格言」(元老院蔵版)の中の王位や皇帝を中心にした箇所を、千葉が、国民を中心に据えたものに読みかえたものだ。 「国王ハ決シテ死セズ」(前述の『法律格言』)とあったところを、千葉は「国王ハ死ス国民ハ決シテ死セス」とかえている。この点は、天皇を「元首」に位置づける自民党憲法改正案の考え方とは、およそ正反対の発想だと言っていい。  皇后が述べる「例年にも増して盛んな論議」とは、自民党の改憲へ向けた動きとみて間違いない。

 新井氏も「『象徴』が『元首』となれば、自分たちの地位にも直接かかわってくる。皇后の五日市憲法への言及は、今の憲法をめぐる状況を気がかりに感じておられるためではないか」と語る。
 五日市憲法が発見されて四五年。皇后の言及もひとつの契機に、生まれた背景や、込められた普遍的な価値を見出したい。 ≫(週刊金曜日ニュース:野中大樹・編集部、11月8日号)

そして、メディアは日本を戦争に導いた
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皇后陛下が、質問に“文書ご回答”された中で言及されている「五日市憲法草案」とは1

2013年11月25日 | 日記
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●皇后陛下が、質問に“文書ご回答”された中で言及されている「五日市憲法草案」とは1

 先ずは、宮内庁のページに掲載されている「宮内記者会の質問に対する文書ご回答」を読んでいただこう。皇后陛下のお言葉の意味合いと宮内庁の苦心の労作の“文書ご回答”の文脈を、夫々の感性で読み感じていただくのが、一番と考えている。筆者が当該コラムで多少調べた点は、皇后陛下の“文書ご回答”についてではなく、あくまで「五日市憲法草案」なるものは、どのようなものであったか、と云うことに過ぎない。

 但し、本日は宮内庁HPの掲載だけとする。一読したに過ぎないが、両陛下の、あまりにも多忙な日々に頭が下がると同時に、以前から言われているように、ご公務の削減と云うこころくばりは、国民の一人として、強く感じる次第である。


≪  皇后陛下お誕生日に際し(平成25年)
    宮内記者会の質問に対する文書ご回答
問1
東日本大震災は発生から2年半が過ぎましたが,なお課題は山積です。一方で,皇族が出席されたIOC総会で2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催が決まるなど明るい出来事がありました。皇后さまにとってのこの1年,印象に残った出来事やご感想をお聞かせ下さい。

皇后陛下
この10月で,東日本大震災から既に2年7か月以上になりますが,避難者は今も28万人を超えており,被災された方々のその後の日々を案じています。
 7月には,福島第一原発原子炉建屋の爆発の折,現場で指揮に当たった吉田元所長が亡くなりました。その死を悼むとともに,今も作業現場で働く人々の安全を祈っています。大震災とその後の日々が,次第に過去として遠ざかっていく中,どこまでも被災した地域の人々に寄り添う気持ちを持ち続けなければと思っています。
今年は10月に入り,ようやく朝夕に涼しさを感じるようになりました。夏が異常に長く,暑く,又,かつてなかった程の激しい豪雨や突風,日本ではこれまで稀な現象であった竜巻等が各地で発生し,時に人命を奪い,人々の生活に予想もしなかった不便や損害をもたらすという悲しい出来事が相次いで起こりました。この回答を準備している今も,台風26号が北上し,伊豆大島に死者,行方不明者多数が出ており,深く案じています。世界の各地でも異常気象による災害が多く,この元にあるといわれている地球温暖化の問題を,今までにも増して強く認識させられた1年でした。
5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。 明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。
オリンピック,パラリンピックの東京開催の決定は,当日早朝の中継放送で知りました。関係者の大きな努力が報われ,東京が7年後の開催地と決まった今,その成功を心から願っています。
世界のあちこちで今年も内戦やテロにより,多くの人が生命を失い,又,傷つけられました。取り分けアルジェリアで,武装勢力により「日揮」の関係者が殺害された事件は,大きな衝撃でした。国内では戦後の復興期,成長期に造られた建造物の多くに老朽化が進んでいるということで,事故につながる可能性のあることを非常に心配しています。
この1年も多くの親しい方たちが亡くなりました。阪神淡路大震災の時の日本看護協会会長・見藤隆子さん,暮しの手帖を創刊された大橋鎮子さん,日本における女性の人権の尊重を新憲法に反映させたベアテ・ゴードンさん,映像の世界で大きな貢献をされた高野悦子さん等,私の少し前を歩いておられた方々を失い,改めてその御生涯と,生き抜かれた時代を思っています。
先の大戦中,イタリア戦線で片腕を失い,後,連邦議会上院議員として多くの米国人に敬愛された日系人ダニエル・イノウエさんや,陛下とご一緒に沖縄につき沢山のお教えを頂いた外間守善さん,芸術の世界に大きな業績を残された河竹登志夫さんや三善晃さんともお別れせねばなりませんでした。
この10月には,伊勢神宮で20年ぶりの御遷宮が行われました。何年にもわたる関係者の計り知れぬ努力により,滞りなく遷御になり,悦ばしく有り難いことでございました。御高齢にかかわらず,陛下の姉宮でいらっしゃる池田厚子様が,神宮祭主として前回に次ぐ2度目の御奉仕を遊ばし,その許で長女の清子も,臨時祭主としてご一緒に務めさせて頂きました。清子が祭主様をお支えするという,尊く大切なお役を果たすことが出来,今,深く 安堵しております。

問2
今年,皇后さまはご体調が優れず,いくつかのご公務などをお取りやめになりました。天皇陛下も今年80歳を迎えられます。両陛下の現在のご体調や健康管理,ご公務や宮中祭祀に関してご負担軽減が必要との意見について,どのようにお考えでしょうか。

皇后陛下
 加齢と共に,四肢に痛みや痺れが出るようになり,今年,数回にわたり公務への出席を欠きました。体調の不良を公にすること は,決して本意ではありませんが,欠席の理由を説明せねばならず,そのため大勢の方に心配をかけることとなり心苦しく思っています。健康管理については, 医師の意見に従い,その時々に必要な検査を受けていますが,まだ投薬などの治療を継続して受ける段階のものはなく,これからもしばらくは,今までとあまり変わりなく過ごしていけるのではないでしょうか。
質問にあった宮中祭祀のことですが,最近は身体的な困難から,以前のように年間全てのお祀りに出席することは出来なくなり ました。せめて年始の元始祭,昭和天皇,香淳皇后の例祭を始め,年間少なくとも5,6回のお参りは務めたいと願っています。明治天皇が「昔の手ぶり」を忘れないようにと,御製で仰せになっているように,昔ながらの所作に心を込めることが,祭祀には大切ではないかと思い,だんだんと年をとっても,繰り返し大前に参らせて頂く緊張感の中で,そうした所作を体が覚えていてほしい,という気持ちがあります。前(さき)の御代からお受けしたものを,精一杯次の時代まで運ぶ者でありたいと願っています。

問3
皇太子妃雅子さまは11年ぶりに公式に外国をご訪問になりました。また,悠仁さまの小学校入学をはじめ,お孫さまたちに節目となる出来事が相次ぎました。ご家族と様々なご交流があると思いますが,皇室の一員として若い世代に期待されていることをお聞かせください。

皇后陛下
皇太子妃がオランダ訪問を果たし,元気に帰国したことは,本当に喜ばしいことでした。その後も皇太子と共に被災地を訪問したり式典に出席する等,よい状態が続いていることをうれしく思っています。
孫の世代も,それぞれ成長し,眞子は大学の最高学年に進み,今では,成年皇族としての務めも行っています。こうした二つの立場を,緊張しながらも誠実に果たしている姿を,うれしく見守っています。次女の佳子は大学生になり,今年は初めての一人での海外滞在も経験しました。来年は二十歳(はたち)になり,皇室はまた一人,若々しい成年皇族を迎えます。東宮では愛子が6年生になりました。背も随分伸び,もうじき私の背を超すでしょう。チェロ奏者の一員として,皇太子と共に オーケストラに参加したり,今年の沼津の遠泳ではやや苦手であった水泳でも努力を重ね,自分の目標を達成したことをうれしく,又,いとおしく思いました。悠仁は小学生になりました。草原を走り回る姿はまだとても幼く見えますが,年齢に応じた経験を重ね、その中で少しずつ,自分の立場を自覚していくようにという両親の願いの許で,今はのびのびと育てられています。
こうした若い世代の成長に期待すると共に,私にはご高齢の三笠宮同妃両殿下が,幾たびかの御不例の折にも,その都度それを克服なさり,今もお健やかにお過ごしのことが本当に心強く,有り難いことに思われます。これからも両殿下のご健康が長く保たれ,私どもや後に続く世代の生き方を見守って頂きたいと願っています。

この1年のご動静
皇后さまには,本日,満79歳のお誕生日をお迎えになりました。
昨年2月に冠動脈バイパス手術をお受けになった天皇陛下のご様子をその後も注意深くお見守りになりながら,この1年も天皇陛下をお側(そば)でお支えになり,数多くのお務めを果たされました。この間,4月から頸椎(けいつい)症性神経根症による左の肩から上腕にかけての激しいお痛みが暫(しばら)く続き,ややご体力に低下が見られました。皇后さまは,なるべく公務に影響が出ないようにとのお気持ちからご静養期間は最小限とされ,公務を数回にわたりお休みになられただけでお務めをお続けになり,体調の回復に努められました。現在は,ごく順調にお過ごしです。
この1年間,皇后さまとしてのお立場でお務めになったお仕事は,宮中祭祀と勤労奉仕団へのご会釈を除き339件ありました。
一昨年3月に発生した東日本大震災に関しては,陛下と共に今年3月に開催された東日本大震災2周年追悼式に臨席されたほか,7月には岩手県遠野市,大船渡市,陸前高田市等を訪問され,後方支援に当たった関係者や応急仮設住宅に居住する被災者等をねぎらい励まされました。また,私的ご旅行先として福島 県飯舘村を訪問され,小学校の合同仮設校舎や地元企業にお立ち寄りになって被災地の状況をお聴きになったほか,伊達市の桃生産農家を励まされました。
さらに,東日本大震災の復興を支援する「千の音色でつなぐ絆」プロジェクトほか各種チャリティーコンサートにお出ましになり,その活動を支援されました。
地方行幸啓としては,このほかにも昨年11月に全国豊かな海づくり大会ご臨席のため沖縄県に,同年12月に明治天皇百年式年のご参拝に併せて京都府と岐阜県(同年9月の国民体育大会の際に予定されながら台風の接近によりご訪問になれなかった大垣市)に,今年5月には全国植樹祭ご出席のため鳥取県にお出ましになりました。また,6月には野口英世アフリカ賞授賞式等にご臨席のため神奈川県横浜市を,世界生物学的精神医学会国際会議開会式ご臨席等のため京 都府と大阪府を,8月にはサイトウ・キネン・フェスティバル松本ご鑑賞のため長野県松本市をご訪問になりました。
このほか,両陛下は,今年から都道府県知事等からの願い出によるものとは別に,ご自身でご訪問の場所と時期をお決めになって地方にお出ましになる私的ご旅行を始められました。昭和天皇と香淳皇后も,昭和天皇が満79歳をお迎えになったときにお始めになっています。4月には長野県千曲市のあんずの里ス ケッチパークをご訪問になり,7月には福島県福島市,川俣町及び居住制限区域の指定を受けた飯舘村をご訪問になりました。福島県では,当初のご計画では伊達市の桃生産農家をお訪ねになる予定でしたが,前夜からの大雨による被害が発生したため,お出ましにより警察や消防等の手を取り,被災地域に必要な対応に遺漏が生ずることを案じられ,ご訪問をお取り止めになりました。代わりに福島市のご宿泊所に生産農家や関係者をお招きになって生産や除染活動の状況等をお聴きになり,一緒に桃を召し上がりました。
地方へのお出ましは,ご静養のための御用邸等へのお出ましを除き,また,いずれも陛下とご一緒の私的ご旅行を含めて9府県18市7町3村に及びました。
都内へは,ご公務として陛下と共に42回お出ましになり,全国戦没者追悼式等の式典や国際生物学賞等の授賞式へご臨席になったほか,各種の芸術や伝統文化等をご奨励になりました。お一方では26回の行啓があり,全国赤十字大会,フローレンス・ナイチンゲール記章授与式,「日本更生保護女性の集い」祝賀会等に臨席されたほか,東日本大震災復興支援関連行事に多数お出ましになりました。
なお,両陛下は,これまで三多摩地区も含め都内各地で催される行事等にお出ましになってこられましたが,5月に羽村市,この秋に武蔵村山市,瑞穂町をお訪ねになったことで,福生(ふっさ)市を残す東京都(いくつかの島を除く)の全ての地区をお訪ねになったことになります。遠からぬ将来いずれ福生(ふっさ)市をお訪ねになることと思います。
また,宮殿や御所では,陛下と共に文化勲章受章者及び文化功労者,各種大臣表彰受賞者,農林水産祭天皇杯受賞者,国際平和協力隊員,国際緊急援助隊員,シニア海外ボランティア及び日系社会シニアボランティア,青年海外協力隊帰国隊員及び日系社会青年ボランティアの代表,日本学士院会員,日本芸術院会 員等々,文化,社会,産業,国際協力,学術,芸術,スポーツ等の分野でその発展に尽力し貢献された数多くの人々にお会いになり,その功をたたえ労をねぎらわれました。また,皇后さまお一方では,「ねむの木賞」受賞者とお会いになったり,被災地の訪問看護の状況や日本赤十字社の活動状況等をお聴きになりました。
献穀者,賢所勤労奉仕団及び皇居勤労奉仕団へのご会釈は59回,延べ7,325名を数えました。
この1年間は外国へのご訪問はありませんでしたが,多数の外国からの賓客や外国大使等を接遇されるなど,国際親善の増進にも尽くされました。
国賓の接遇については,陛下と共に今年6月に来日されたフランス国大統領閣下及びヴァレリー・トリエルヴェレール女史の歓迎行事,ご会見,宮中晩餐にお出ましになりました。また,3月にはスリランカ国大統領閣下及び同令夫人,4月にはメキシコ国大統領閣下及び同令夫人を公式実務訪問賓客として陛下と 共にお迎えになり午餐を催されました。このほか,パナマ国大統領閣下及び同令夫人,ハイチ国大統領閣下及び同令夫人,キルギス国大統領閣下及び同令夫人と会見されたほか,ノルウェー国首相夫妻,オランダ国最高裁判所長官夫妻,カナダ国下院議長,インド国首相夫妻及びモンゴル国首相夫妻をご引見になりました。さらに,ベルギー国王女アストリッド殿下を御所でのご夕餐に,ブルネイ国国王陛下及び王妃陛下,赤十字国際委員会総裁を御所でのお茶に,第5回アフリカ開発会議に出席した各国首脳夫妻等37名を宮殿での茶会にお招きになりました。加えて,退任する国連大学学長夫妻を,次いで新任の同学長を御所にお招きになっています。
在京の外交団との関係では,この1年間に着任後間もない38か国の大使夫妻をお茶に,着任後3年を経過した20か国の大使夫妻を午餐にお招きになり,離任する11か国の大使夫妻をご引見になりました。日本から赴任する62か国の大使夫妻にも出発前にお会いになり,帰国した55か国の大使夫妻をお茶に招いて任地の話をお聴きになりました。
宮中祭祀については,頸椎(けいつい)症性神経根症のご症状がこれ以上悪化しないよう,頸(けい)部への負担の大きいご装束や御髪(おぐし)上げによるご拝礼を極力避けていただくことが望ましいのですが,皇后さまには,女性側の宮中祭祀の礼法が絶えることがないようにとの思(おぼ)し召しから,回数を減らされつつ,引き続き数回の宮中祭祀にお出ましになっており,今年は元始祭の儀(宮中三殿),昭和天皇祭の儀(皇霊殿),春季皇霊祭の儀(皇霊殿)及び春季神殿祭の儀(神殿),香淳皇后例祭の儀(皇霊殿)並びに秋季皇霊祭の儀(皇霊殿)及び秋季神殿祭の儀(神殿)に列せられました。さらに今年は,伊勢神宮の式年遷宮に際し,陛下の遙拝の儀に合わせて御所で皇大神宮及び豊受(とようけ)大神宮をそれぞれご遙拝になりました。
今年のご養蚕は4月から始められ,恒例の行事を含めご公務の合間に21回にわたり桑畑,野蚕室,御養蚕所等においでになり,野蚕の山つけや収穫,桑つみ,ご給桑,わら蔟作り,上蔟,繭掻き,毛羽取り等の仕事に当たられました。今年は約157キロの繭の収穫がありました。
皇后さまは,この1年も時に土日や祝日も含め御所の内外でお仕事を続けてこられました。
今も時に発症する頸椎(けいつい)症性神経根症による痛みや痺(しび)れ, おみ足の不具合などに辛抱強く対応されつつ,日々のお務めを果たしておられます。いまだ復興途上にある被災地東北の人々の様子をいつもお心に懸けられながら,日々お会いになる多分野の人一人一人に心を尽くして接しておられるご様子です。しかし,年々ご高齢になられ,来年は80歳におなりになることを考慮しますと,ご休養の日数を増やしたりするなどの配慮をすることが今後もあるいは必要になってくるのではないかと思われます。
お仕事の合間には,短時間でも読書をされたり,ピアノを弾かれたりされています。今年6月には,皇后さまが平成の初め頃に依頼を受けて英訳されたまど・みちおさんの詩集「Rainbow にじ」と「Eraser けしゴム」が出版されました。
皇后さまが翻訳されたまどさんの詩は,既に「THE ANIMALS どうぶつたち」ほかが上梓されていますが,今回の出版により,まどさんが国際アンデルセン賞・作家賞を受賞される対象となった皇后さまが翻訳された詩の大部分が公刊されたことになります。また,音楽の関係では,今年も8月に例年どおり草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルに参加され,講師として参加した音楽家たちの奏でるヴァイオリン,クラリネット,チェロ,コントラバス等の音に合わせてアンサンブルを学ばれました。毎日の早朝のご散策は変わりなくお続けになっていますが,お具合の良いときには,時折,陛下と短時間ですがテニスをご一緒にされています。
10月20日のお誕生日当日は,当初,昨年同様の祝賀行事が執り行われる予定でしたが,天皇皇后両陛下には,台風26号による大雨により,伊豆大島などにおいて死亡者が多数に及び,依然として多くの人々の安否が不明であることから,お誕生日祝賀の宮殿行事の全てをお取り止めになりました。
 ≫(宮内庁公式HPより)

民衆史の発見
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朝日新聞出版


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世界金融資本から“逃さへんで!”と大阪弁で脅されている日銀黒田と安倍政権

2013年11月23日 | 日記
経済学は人びとを幸福にできるか
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東洋経済新報社


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●世界金融資本から“逃さへんで!”と大阪弁で脅されている日銀黒田と安倍政権

 日本株が世界市場を横目に逆行高を続けている。同時に、円売り圧力も強く、100円境に行ったり来たりになっている。為替相場や株式相場では、将来的展望を、今現在は“思惑”と置き換えて、何に投資するかを決めるわけだが、今回の日本株の逆行高は、為替との抱き合わせで起きている海外資金による影響が色濃い。

 株高が、日本企業の先々の業績の好調を先読みした動きなら、このような傾向は喜ばしいことだが、現実に日本企業の好決算の中身を吟味すれば、為替による貢献と有価証券評価益から導き出されたものであるくらい、誰もが承知している。つまりは、円安にさえ誘導しておけば、嫌でも日本企業の決算業績は向上するのだから、基本は為替相場における“円売り”が原動力で、株価を押し上げる戦略と見ることが出来るだろう。企業の実体的業績回復などには、彼ら世界の資金は興味を持っていない。

 彼らの思惑とすれば、日本の機関投資家の運用資産を組み替えによる積極的買い越しや小額投資非課税制度(NISA)の本格参入などで、株価が上がるに違いないと、政府や日銀の金融政策の方向性に合わせた投機の動きであり、「言った通り、政策を実行しろよ」と睨みを利かせている投機だとも言える。EUが金利を下げたのは、本当にユーロ圏の経済不況が深刻なことに起因するので、必ずしも金融政策と言い切れない。苦し紛れの金利政策に過ぎない。

 アメリカFRBの動きはどうかと言えば、イエレンが穏健派だから、バーナンキ・プットを継続する期待もあったのだが、どうも情勢的には金融緩和の出口を幾分締める方向に動くのではないかと云う観測が根強い。そうなると、休むことを許されていない世界の金融と云うものは、投資する先を探し、利ザヤを稼ぐ行動を要求されているので、思惑が成り立つ投資先を探すことになる。そこで、緩やかな経済回復の兆しがあるアメリカ経済の先行きには、金融を引き締めようる動きが出るのは、確実だ。

 では、金融緩和余力が残っている国家はどこだと云う話になり、日本が浮上する。消去法で日本市場に資金が流れ込んでいるのが現状だが、その資金は、日銀の更なる金融緩和と、アベノミクスの成長戦略であると思われる市場開放が本格的になることを催促する形だとも言える。株価が上がったから景気は好くなっている風なプロパガンダではなく、実質的景気浮揚策を打ち出せ、と云う催促相場になっているのだ。正直、世界の資金が、欧米の実体経済や金融市場に関する情報に比べ、日本の実体経済や金融情報には疎い面もあり、彼らの行動が、日本経済の好転を意味していると早合点するのは間違いだ。

 彼らは、バーナンキ・プットに代わって、黒田プットとか安倍プットが確実に、世界の金融投機経済を下支えせよ、と命じている買いである点も考えておかなければならない。世界の金は、あきらかに実体経済を誤魔化す為に、垂れ流されていたわけで、行き場は、実体の伴う市場ではなく、投機市場の中で循環しているに過ぎないのだ。証券会社などは、個人資金の市場参入が顕著になってきた等々囃しているが、瑣末な材料に過ぎない。問題は、政府や日銀が、彼らの圧力をどのように感じ、どのような行動をするかに掛かっている。

 日銀の黒田総裁は、我が国の消費者物価指数前年比が大幅に上昇している事を知っている筈だし、国内企業物価指数(生産者物価指数)の前年比に追いつき、インフレ経済の軌道には目処がついた、と思っているに違いない。たった数カ月で、デフレからの脱却、逆の意味のインフレターゲットが功を奏すとは、気味が悪いくらいである。しかし、黒田が考えている以上に順調過ぎるインフレ目標の達成は、違和感を、黒田本人が抱えているに相違ない。そもそも、日銀黒田のインフレターゲット政策は、デフレをインフレ化させると云う、世界初の試みであり、未知との遭遇もあり得る懸念を持つ金融政策だった。

 しかし、現在起きている円安誘導による利益は大企業に一方的に集約されており、一般消費者に振り向けられるものは少ない。にも拘らず、経団連などは、その上に“法人税減税”がセットされれば、企業の賃上げを容認するなどと言っているが、大企業は異次元金融緩和と円安で、必要以上の恩恵を既に受けているのだから、呆れてものが言えないユダ思考の人々だ。尚且つ、彼らが容認する賃上げも、拘束力は当然ないし、経団連傘下企業に限るわけであり、且つ罰則がつくものでもない。なんだか、政府が労組で、経団連が経営者のような構図だが、褒めてやりたいところだが、この構図自体が不自然で、欺瞞に過ぎないことを証明している。

 また、2014年4月には消費税が3%上げられ、8%になるわけだが、この時点までに、消費者物価指数が上昇基調にあるとなると、絶望的な消費者物価を生み出すかもしれない。1997年の2%の消費税値上げでも、消費者物価はかなり上昇したのだから、上昇基調の中で、上昇要因を追加するのだから、何が起きるか想定外の話になって行く。

 日銀黒田は、本来であれば金融政策をフリーハンドで行いたいはずだが、過度の円安と株高を世界の資金によって演出したに過ぎないだけに、世界の投機マネーに乗っ取られた形で、金融政策を行わなければならないジレンマを抱えたわけで、謂わば、金融資本の虜になったも同然かもしれない。このような、国民の生活を寺銭にする博打をする政府に、我々は身を委ねてしまったのだ。その政府は、今度は国民の生命財産を寺銭に、戦場と云う博打場まで開こうかと考えているのだから、げに怖ろしき事である。

人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか (日経ビジネス人文庫)
水野 和夫
日本経済新聞出版社


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自民を下野させ、秘密保護法に賛成・修正に応じた政治家を秘密漏えい罪でふん縛れ!

2013年11月22日 | 日記
そして、メディアは日本を戦争に導いた
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東洋経済新報社


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●自民を下野させ、秘密保護法に賛成・修正に応じた政治家を秘密漏えい罪でふん縛れ!

 各地で、秘密保護法案に対する市民の反対集会が盛り上がっている。しかし、安倍ファシズム政権の進撃をとめるには、あまりにも遅すぎる対応だったろう。逆に言うならば、このような国民の抵抗や文化人らの反発があることを想定した上で、拙速と批難されても構わない、秘密裏にと言われても構わない腹で、スケジュールが綿密に組まれたのだろう。まさに公安的スケジュールの組み方である。

 この法案を国会で通過させない方法は、あまり残されていない。100万に集会で、国会を包囲するとか、集会の騒乱で市民側に死者が出るとか、そのような世界世論を喚起するような出来事でもない限り、阻止の方法がない。我が国の世論だけでは、到底安倍ファシズム政権の横暴を阻止出来ないのが現実だ。しかし、いまだに法案の実態解明が曖昧なままであり、どこの馬の骨かも判らないわけだから、市民側も、どこまで危険なものか、肌感覚を共有するに至っていないと思われる。

 そして、この暗黒国家法が市民の生活に、どのように牙を剥き、現実的被害者が、どのように出てくるかなどは、行政官僚らの裁量に委ねられるわけだから、論理的な法律の瑕疵を具体的に指摘し難い部分がある。様々な推量から(多くは正しい推量なのだが)問題点を指摘する以外に、現時点で、市民側の不利益を、市民側に充分に知らせるツールが欠けている。それこそが、この法案の暗黒度を示しているわけだ。どうして、こんな政権に国民は政治を委ねてしまったのか、今さら言っても仕方のないことだが、理屈は別にして、管理暗黒国家は着々と、その基盤を構築している。

 Nシステム、監視カメラ、マイナンバー法、日本版NSC、秘密保護法、教育への国家の関与度、国民投票法等々、独裁軍事国家、国民監視国家にひた走っている姿は明確だ。しかし、これらの多くが、安倍晋三ひとりで為されたものでないことを考えると、国民や国会とは異なる組織により、着々と積み上げられてきた陰謀だと認識するほうが妥当だ。犯人は、米軍とタッグを組んだ外務省と、警察検察機構全体だろう。そして、安倍晋三によって全貌が見えてきたとも言える。正直、どのような対抗手段が国民の側に残されているか、考えるだけでも、呆然となる。

 こうなると、最低限の公職選挙法が生きていて、民主主義が機能しているのなら、3年を切った次の国政選挙で、自民党を下野させる以外に手段は殆ど残されていない。巷では、国政選挙における不正疑惑も取り沙汰されているが、それはさておき、国民の側は、自民党を下野させることに全力を挙げるのが、唯一の残された道である。マスメディアが煽り立てた、衆参ネジレが問題だといった問題も、実はそれこそが、官僚や政治の暴走を防ぐ、最良の選択だったのである。論者やマスメディアの言うことは、本当に当てにならない。

 そして、自民党を下野させ、安倍晋三、菅官房長官、石破幹事長。そして官邸で指揮命令している官僚ども。この法案に、悪化する修正を加えて参画した渡辺喜美や橋下徹等々を秘密漏えい罪で、警察に逮捕させることに夢を託すような気分になってくる。テメェらの作った悪法で、ひっ括られるのだから、まさに本望と云うものだ。まったく無力のように見える、国民の側にも、いざとなれば、このような復讐の手段が残されている事を、唯一の愉しみにでもしないと、生きていても気分が悪い(笑)。何処が政権を取っても構わないが、自民党を下野させることが、国民の喫緊の課題だと、本日現在考える。否、憤怒の中で感じているだけだが……。

臨時軍事費特別会計 帝国日本を破滅させた魔性の制度
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講談社


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山田厚史氏が指摘する公安警察の闇 保護法が通過する国会は思考停止の吹き溜り

2013年11月21日 | 日記
増補版 国策捜査 暴走する特捜検察と餌食にされた人たち (角川文庫)
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角川書店


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●山田厚史氏が指摘する公安警察の闇 保護法が通過する国会は思考停止の吹き溜り

 以下は週刊ダイヤモンドに掲載されている元朝日新聞記者・山田厚史氏の「特定秘密保護法」に関するコラムだ。以前の拙コラムでも言及した事だが、官僚は常に権益の拡大に繋がることを“善”とする習性があるので、“為にする法案”であれば、常に積極的に、これを取り込む集団である。昨日の安富氏の話ではないが、「立場主義」に準じた生き方の典型的姿が、官僚達なのである。勿論、警察とて官僚組織の一員に数えられる。

 元防衛研究所所長であり、第1次安倍内閣で内閣官房副長官補を務めた柳澤協二氏がビデオニュース・ドットコムにおける対談で、政権と官僚組織は“嘘”を言うのが常であり、“真実”を言うほど正直である筈がない、と論破していたが、その通りなのである。小出裕章氏が原発の危険性に関して、どんな人との議論でも負けたことがない、と言っていたが、相手は最後に“小出君、僕にも生活がある”と答えたそうだが、これこそが「立場主義」なのだろう。

 たしかに、まだまだ「立場主義」で生活している実体社会はあるのだが、原理的に「立場主義」が立ち行かなくなっているのは事実で、もう救いの手立てはない。国民が、それを肌で感じて、身の回りから変革に着手すれば良いと云う考えもある。国政選挙になると、何らかの力の介在により、思わぬ結果ばかりを見せつけられているので、虚脱感や無力を憶えるが、各地域における首長選などの結果を見ると、国民は「見える範囲、手が届く範囲」で少しづつだが動いている希望も見える。既存するあらゆるリアリティが、実は自分達を苦しめている元凶ではないかと気づきが始まっているのかもしれない。逆に官僚どもは、それに気づき、そのような「空気」に世の中がならない為の布石を打っているのかもしれない。


 ≪ 日本を暗くする特定秘密保護法  情報流出事件が示す公安警察の暗躍
 反対する世論の高まりを恐れるかのように安倍政権は特定秘密保護法案(以下、秘密保護法)の成立を急ぐ。修正協議でみんなの党を取り込み、次は日本維新の会。「野党の意見を反映した」という演出だが、修正は枝葉末節に過ぎない。秘密の妥当性を判断する「独立機関の設置」や「無期限の秘密は認めない」という大原則は骨抜きになる。

ツワネ原則
 日本弁護士連合会は「国際的な取り決めであるツワネ原則から逸脱している」と異議を投げかけている。今年6月、南アフリカの都市ツワネに70ヵ国 500人余の国際法専門家や法曹関係者が集い、国家が安全保障を理由に国民の知る権利を脅かすことが無いよう原則を定めた。「情報への権利に関する国際原則」(通称ツワネ原則)は、仮訳をネットで見ることができる。
  「諜報機関を含めたいかなる政府機関も情報公開の必要性から免除されない」と謳うツワネ原則は、敢えて核心を表現するなら「無期限の秘密は認めない」「秘密を審査する独立機関を設置する」が大原則だ。

 日本に秘密保護を迫った米国でさえ、一定期間後に情報公開を義務付け、さらに国立公文書館が秘密の妥当性を審査する。日本は「情報が漏れる」ことを恐れ、独立機関を認めず、大事な秘密は永遠に封印される仕組みだ。

 9.11の同時多発テロ以来、多くの政府が秘密保護に傾斜し、国民の知る権利が脅かされている。国家による監視活動が強まれば人権侵害が多発する。人権を守るべき司法が政府に配慮して後退していることへの危機感がツワネ原則を生みだした。

 国際テロ捜査情報流出事件
 さて秘密保護法ができたらどうなるか――。分かりやすい実例があった。2010年10月、警視庁公安部から流出した114点の機密情報で明らかになった秘密調査活動だ。

 テロに無関係な人々まで対象になり、個人情報が丸裸にされ、テロ情報データベースに記録された。罪なき人の人権が侵され、公安警察を肥大化させたモデルケースである。被害を受けたのは日本に住むイスラム諸国の人々だ。流出情報に「東京在住のイスラム教徒全調査」があった。イスラム教を国教とする国から日本に来て、警視庁管内に住む(営業する)人がすべて捜査対象になった。 「イスラム諸国人把握状況」という一覧表がある。57ヵ国の1万2848人の氏名、生年月日、旅券番号、出生地、家族構成、通っているモスクなどが調べられた。例えばバングラデシュは外国人登録者数3348人、把握件数3123人、把握率93.3%と記載されている。

 流出資料には「個人ファイル」もあり、顔写真付きで職業や活動状況、知人の証言による人物像などが記述されている。大使館員の銀行口座記録や東京にあるモスクも監視下にあり、信者数や一日の出入り記録も載っていた。

 留学生が通っている大学、日本語学校、国際交流会館、支援団体もすべて捜査対象。50団体あるNPO・NGO、宗教上の処理をされたハラール食品を扱う店やレストラン、中古車販売店、貿易会社、利用できるホテルも調べられた。爆薬との関係を疑ってか化学剤を取り扱う店も調査対象だ。どれもテロと関係があるとは思えない情報だ。

 ことさら問題のない日本のイスラム社会まで「テロとの関連」が疑われ、外事警察がテロリスト予備軍と見て、監視下に置いた。日本の警察が米国の諜報活動の下請けになっていたのである。 「捜査協力者に育成するまでの心得」や「米連邦捜査局(FBI)からの要請に基づく事情聴取」といった内部書類や捜査情報を英訳した報告書も流出している。

 中東などで「テロとの戦争」に明け暮れるアメリカと同じ視点で、日本の外事警察が捜査令状も無く、国会のチェックも働かないまま秘密裏に捜査を進めていたのだ。  個人情報を流出させられたムスリム男性6人が「プライバシーを侵害されたばかりでなく、事実誤認や偏見に基づく情報を公開され不利益を受けた」と 東京地検に告訴した。原告弁護団は「テロ対策の名を借りた違法な捜査、人権の侵害、信仰の自由を侵す憲法違反の捜査だ」と主張している。

 警視庁は、流出書類は自分たちが作成したことを認めていないが「仮にそうだとしてもテロ対策として正当な業務。違法性はない」と強弁する。

 裁判は9月に結審、来年の1月15日に判決が下る。裁判所がどんな判断を下すのか。基本的人権の尊重を謳う憲法の下で、人権侵害が疑われる捜査を司法がどう判断するが注目される。

平穏だった日本のイスラム社会にひび
 そこで秘密保護法との関係だ。この法案は特定秘密を①防衛秘密、②外交秘密、③特定有害活動(スパイ)防止秘密、④テロ対策秘密の4分野に認めている。

 法案が国会を通れば、イスラム教徒への情報収集は「テロ対策」とされ、捜査は秘密のベールに隠される。実態をメディアが明らかにしようとすれば秘密漏えいで刑事罰を食らいかねない。捜査が基本的人権を侵すものでも、秘密の壁の中で行えば誰も分からない。  

 原告弁護団の一人井桁大介弁護士は、 「テロ対策で調べたとしても、テロと関わりがない人の情報は記録から外すべきだ。ところが警視庁はそうせず、税金を遣ってひたすらイスラム教徒のデータベースを作り続けている。テロ対策は口実で、市民の個人情報を捜査資料として蓄えているのが実態だ」 と指摘する。

 日本で暮らす外国人は登録抹消やビザ更新に気を使う。警察ともめごとを起こしたくない、という弱みに付け込み、協力者に仕立て上げる。捜査官は雑談を装って狙いをつけた個人の活動や人柄を聞き出すというやり方だ。

 警察の期待に沿うような受け答えをしているうちに歪んだ人物像が形成される。それをもとにさらに交友関係の捜査が広がる、という悪循環が実際に起きた。

 顔写真付きの個人ファイルが流出した人は、自分とかけ離れた人物像で公安記録に載っていたことに驚き、怒った。テロリストとの関係を疑われ、家族の名前まで明らかにされた。インターネットの接続を断たれたり、取引を打ち切られたり実害をこうむった。

 警察に情報を提供した人は信用を失い、仲間から排除された。雑談でしゃべったことがもっともらしい証言として実名入りで捜査記録に残ってしまったからだ。平穏だった日本のイスラム社会が捜査の手が入ることでひび割れ、壊れていった。

 テロの予防を口実に公安が人々の暮らしの中に割り込んでゆく。特高が聞き耳を立て、迂闊に話もできない、という暗い社会の記憶が蘇る。「予防」と「情報活動」は市民社会を息苦しいものにするだろう。

「縄張り拡張」のチャンス
 治安維持法と特高警察に象徴される戦前の「監視社会」は敗戦で終止符を打たれたが、米ソ対立が始まると「左翼」を監視する公安が復活した。共産党が暴力革命の路線を捨てると、「過激派対策」に重心を移し、過激派が影をひそめ、冷戦が終わると公安の仕事は激減した。存在理由が希薄になり「テロ防止対策」に生き残りをかける。新設されたのが外事3課。国際テロ対策が任務だが日常活動はイスラム社会の監視である。

 イスラム教徒にとっては迷惑な話だが、秘密保護法は公安警察にとって「縄張り拡張」のチャンスなのだ。  秘密保護法案はテロの定義を「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、または重要な施設その他の物を破壊するための活動」としている。

 要するに、信念に基づいて世間が驚くような破壊活動をすればテロと見なされる。

 捕鯨調査船に船で体当たりした戦闘的環境団体シーシェパードなどテロリストに分類されるかもしれない。シーシェパードと連絡を取ったり、取材をしたりすればテロ関係者として捜査の対象になるかもしれない。  

 調査や監視が身内にも及ぶのが秘密保護法の特徴だ。秘密を扱う担当者が外部に漏らすことを恐れるからだ。担当者は家族や交友関係から飲酒の節度、信用状態、経済的状況まで「身体検査」を受ける。

 イスラム捜査では、警視庁の巡査部長クラスまで秘密に関与していた。現場の捜査員である巡査部長まで「身体検査」して適性を判断するのだろうか。 飲酒の節度や経済状況まで調べれば、不適格となる人も出るだろう。自分が不適格となったら、職場の同僚や、飲み仲間など友達の誰かが悪い情報を伝えたのではないか、と疑う。職場や暮らしが暗くなる。

 秘密の指定や、取り扱い担当者の適性評価など重要な項目は「行政の長」が行う、となっているが、これと並んで県警本部長が秘密指定や適性評価に重要な役割を担っている。秘密と言えば防衛機密や外交機密が思い浮かぶが、今回の特徴である「テロ対策」は公安警察が舞台だ。だから政府は、野党から「秘密の範囲を防衛と外交に限定しよう」と提案されても応じない。秘密保護法は警察組織と一体になっている。 「テロの予防」を錦の御旗に市民社会を標的にするのが秘密保護法だ。並行して内部告発を防止するため組織内部を監視する。公安を肥大化させ、日本を暗くする法律である。

 ≫(週刊ダイヤモンド:国際・山田厚史の世界かわらばん)

http://diamond.jp/articles/-/44805


メディアの罠―権力に加担する新聞・テレビの深層 (vita)
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米国が望まぬ要求を潜り込ませた外務の保護法 それに悪乗りするエリート集団

2013年11月20日 | 日記
オバマも救えないアメリカ (新潮新書)
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●米国が望まぬ要求を潜り込ませた外務の保護法 それに悪乗りするエリート集団

 どうも今回の特定秘密保護法案を作ったのは、外務省主導のようである。外務の復権と法務検察警察の悪乗り法案だと見るのが妥当だろう。みんなの党の 渡辺喜美は何を考えているのか、“首相が大三者機関として関与し???”、首相こそが、行政の長だぜ!寝惚けたことを修正申し入れた。これでは、法案の中身が一層悪くなるような修正案を飲んで貰ったとか訳の判らないことになっている。行政改革が一丁目一番地の党是をかなぐり捨て、官僚機構に頭を垂れる態度は、異様にしか見えない。みんなの党・渡辺喜美は政治家として失格だし、みんなの党は完璧に終わった政党になるだろう。維新は多少マシなことを言っているが、渡辺の抜け駆けを許すまじという勢いで、早晩飲むのではなかろうか。穿った見方をすると、来春にも自民党との連立に雪崩込もうとしているようにさえ見えてしまう。

 キャロライン・ケネディ新駐日大使が、天皇陛下にオバマ大統領からの信任状を届ける「信任状奉呈式」に臨んだ。これで名実ともにキャロライン・ケネディ米国は駐日大使としての日々がスタートした。アメリカのロイヤルファミリー扱いのケネディ家の象徴である彼女の大使派遣に対する日本の受け取り方は様々で、歓迎と懐疑があい半ばしている。筆者の受けとめ方は、歴史上に登場するアメリカの人物が来日したのだな、程度で、それ以上のことはない。オバマがキャロライン・ケネディ駐日大使に何を期待しているのか、まだ筆者には判らない。

 ところで本題だが、IWJのサイトで緊急対話シリーズ2として、11月18日に東大教授・安富歩と阪大教授・福井康太の『特定秘密保護法案を問う』と云う対談が行われた。1時間20分程度のものだが、非常に面白い。多くは安富教授がべらべらと語るのだが、時々訥々と福井教授が話す、対象的対談風景だけでも面白い。無論、中身も満載だ。福井教授が法社会学が専門のようなので、話は永遠に拡がりをみせる。安富教授がドンドン視点を拡大するので、時折福井教授が特定秘密保護法の話に戻そうと努力している辺りも、中々に面白い。

 肝心の中身の話だが、多岐にわたるので、視聴なさるのがベストである。筆者の場合、書き起こし等と云うことの出来ない人なので、勝手に自分なりの解釈で納得記憶してしまうので、このような場合不正確な情報を書いてしまうことが多い(笑)。IWJ対談のURLは、
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/112351

 結論から行けば、要するに特定秘密保護法案は法律としての建て付けがなく、法の態をなしていないと云うことだ。安富教授が多用する「立場主義」については、以下の文を引用する。

≪……

 原発事故でメディアに登場してきた御用学者たちは、口癖のように「我が国は」と言います。「我が国」という言葉を使うことで、事故を起こしたのは 「我」ではなく「我が国」だから我関せず、まるで傍観者のようにヌケヌケと「原発は安全(なはず)だ」と言い続けることができるのです。

 日本の企業では、横領などの個人的な犯罪は厳しく処罰されますが、見込み違いの過剰投資や明らかにムダな新規事業など企業ぐるみで行った失策は、 まず間違いなく責任の所在があやふやにされます。"みんなでやった失敗"ということにして、悪事を微分化することで、責任と罪悪感を分散するのです。

 こうした悪事の微分化に手を染めている企業人が使いたがる「東大話法」が「弊社といたしましては」「我が社においては」です。当事者意識など微塵も感じさせずに、ひたすら傍観者ぶります。

 こういう「我が国」「我が社」男は、聞いてもないのに「女房がさ~」「カミさんがねえ~」と言いたがります。これはけっして愛妻家の証などではなく、「東大話法」のファミリーバージョン。自分はこう思うという主体性が欠落した、「夫」という立場を守るためだけに発言している「立場主義者」というわけです。

---本書では、「立場三原則」という日本社会の隠れた規則を紹介されています。

1.役を果たすためには、なんでもやらなくてはならない。
2.立場を守るためには何をしてもいい。
3.人の立場を侵害してはいけない。

 以上の3つです。「東大話法」の使い手たちは、間違いなくこの3原則に縛られています。
 こうした呪縛は昼間の顔だけではなく、彼ら「立場主義者」の人格そのものを蝕みますので、家に帰っても「夫」という役を果たして立場を守るのです。このような男性に惹かれて結婚する女性は、どういう価値観をもっているのでしょうか?  「立場」が好きな夫と添い遂げるには、自らも「妻」という立場で夫を搾取するという思考の女性でなければならないでしょう。

---夢も希望もありませんね。

 そうです。そんな現実に気づいて絶望し、上司に相談したとしましょう。「立場主義者」の上司なら、こんな「東大話法」で慰めてくれるはずです。 「夫婦なんて、どこだって、そんなものだよ」

---なんだかよくわかりませんが、納得してしまいそうですね。

「どこだって」と、まるで自分が社会のスタンダードを知り尽くしたかのように装って、ケムに巻くのです。ふつうに考えれば、その相談した男性と同じような夫婦関係がいったいどこにあるのか、まったくもって根拠がないはずなのですが、自信満々に断言されると、「そんなものかな」と洗脳されてしまいますから要注意です。

---しかしそんな風に「東大話法」で事の本質をごまかすエリートは日本社会にいっぱいいます。そんな人たちからどうやって身を守ればいいのでしょうか?

 簡単です。「東大話法」はあくまでテクニックで話しているので、内容がありません。なので、上司に対して「なんかもっともらしく適当なこと言ってるなあ」と感じたなら、その適当に言っていることを真に受けて質問することです。

 そうすると「やればいいんだよ、やれば」とか言います。そしたら「承知しました」と言って、それをトコトンやってしまいましょう。すると、そもそも適当なことを言ったくせに責任を取りたくない上司は、必ずこんな「東大話法」で"休戦"を申し入れてきます。 「そこまでやるとは思ってなかったなあ」

 これを言わせたらしめたもの。もはやあなたに「東大話法」の受難が降りかかることはなくなるでしょう。「立場主義者」たちからは「あいつはシャレが通じない」なんてジャブがこそこそ飛んでくるかもしれませんが、要は負け惜しみ。けっして挑発に乗って「立場主義者」の土俵に戻るような愚かなことをしてはいけません。
 ≫(現代ビジネス:この著者に聞けより抜粋・もう「東大話法」にはだまされない)

 安富教授は、今回の対談の中でも、日本の家族制度の次に現れた「立場主義」が限界点に達し、彼らが悪あがきをしていると分析する。悪あがきなのだから、ほっておいてもいずれ治まると云う事なら、それまで待てばいいのだが、この「立場主義」が日本の統治システム全体を覆っているので、可愛い立場主義の悪あがきではおさまらない。このような国家の末期的症状に合わせるように、現れたのが現在の政権であり、戻ってはいけないところに戻ろうとする症状は、非常に危険だ。今さら、“三丁目の夕日”を再び見ようとすることは、幻想だと気づかなければならない。

 つまり、経済成長期において順調に回っていた「立場主義」は、経済の成長が見込めない社会と少子高齢化と云う根本問題を抱えて、まったく機能しなくなってしまった。この末期的症状に対する抵抗こそが「幻想」と云う目標である。そして、この「幻想」に向かって、極めて日本人らしく振舞い、努力することは、実は「暴走」に繋がる。集団が暴走すると、それを止めることは、多くの場合不可能になる。人々は、見たくない、聞きたくない、考えたくなくなる。要するに思考停止に陥ることになる。

 日本が世界に自慢の磨き抜かれた「立場主義」が一切通用しない世の中になったのだ。そこでギブアップすれば良いのだが、自分達の「立場主義」に時代への対応能力がなくなったことを、認めたくもないものだから、当然のように抗うことになる。この対応、努力している風な雰囲気を破壊する「内部告発」時には「抵抗運動」などは、絶対に許すわけにはいかない、と云う結論に達する。この法案が、日米による共同軍事行動に対応した法律だけではない理由はここにある。

 頑張れば、元の地点に戻れるのではないかと云う「幻想」が努力を伴って「暴走」する。幻想から暴走なら、一時の情動とも言えるが、努力が介在する為に、動かし難い力を生み出してしまう。このような状態に陥ると、後ろに虎がいるのに、目の前に入る猫を威嚇と勘違いし、“こいつが悪い”と追いかけまわす。そして無防備になった背後から、虎にガブリと食われてしまうような事態が起きてしまう。それもこれも、米国一国支配の世界が壊れて来たことが原因なのだが、日本は、もう一度米国を強くして、近隣諸国に睨みを効かせて欲しいと「立場主義」に拘泥する。

 しかし、アメリカは早晩“モンロー主義”に回帰せざるを得ない大国であり、正直、日本の「立場主義」を死んでも離さない、統治システムと心中する気はさらさらない。にも拘らず、日本は米国にしがみつく体制の維持に汲々としているのだ。冷静に歴史を見れば判ることだが、「立場主義」に変わるべきシステムを痛みを伴っても模索しない限り、幻想と努力が暴走を惹き起すことは、かなりの確率で起きそうな事態になっているようだ。あいかわらず、中国を刺激するような行動に出ているが、安倍政権は収集能力を有しているのだろうか。対談の内容はまだまだ続くが、拙コラムではここまでにする。

≪ 自衛隊が沖縄の無人島で大規模な離島奪還訓練――「中国への刺激」を懸念
 九州、沖縄を中心に自衛隊三万四〇〇〇人を動員した大規模な実働演習が一一月一日から一八日までの日程で始まった。沖縄の無人島で上陸 訓練も実施される。
 事実上の離島奪還訓練で、尖閣をめぐる領有権で関係が悪化する中国を刺激するのでは、と懸念されている。上陸訓練は那覇市の南東約四〇 〇キロにある沖大東島。米軍の射爆撃場となっている。陸自普通科連隊(歩兵)が、海自の輸送艦で島に近づいたり、空自戦闘機が射撃訓練したりする予定だ。
 自衛隊による訓練は時代ごとに変遷する。冷戦中ならソ連軍の侵攻に対処することだったし、その後は対テロ対策などが注目された。そして現在の南西諸島の島嶼防衛は中国を意識しているはずだ。
 侵攻対処、テロ対策と離島奪還の違いは何か。侵攻対処は対ソ全面戦争を想定したし、テロ対策も北朝鮮のコマンドー部隊に都市部や原発などを襲われたら、という映画のようなシーンを想像させた。いずれもリアリティに欠けた。
 しかし沖縄で離島奪還訓練となると話は違う。尖閣諸島の領有権をめぐる中国との緊張があり、一部メディアも今回の訓練が中国を刺激しかねない、と書いている。かりに中国側も対抗して大規模な演習を実施すると、沖縄周辺の海はさらに荒れ狂う。住民にとっては実に迷惑なことだ。
 そもそも「奪われた離島を地上部隊が上陸作戦で奪還する」という限定的な軍事作戦は、果たして合理的なのか。制空権、制海権を確保していれば、島は護られるというのが常識とされる。さらに日本が国土防衛の頼みとする米側も本音のところ「尖閣をめぐり日中が撃ち合うとは、ばかげた、滑稽な発想」 (ジェフリー・ベーダー元米国家安全保障会議アジア担当上級部長)と見なす。米国では、上陸作戦をお家芸とする海兵隊の不要論が絶えない。自衛隊が海兵隊 の真似をするのが、時代の要請なのか。 
≫(週刊金曜日ニュース:屋良朝博・ジャーナリスト、11月8日号)

「学歴エリート」は暴走する 「東大話法」が蝕む日本人の魂 (講談社プラスアルファ新書)
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米国の覇権主義からの脱落は国益 しかし、時代遅れの猿まね日本は悲惨散々

2013年11月19日 | 日記
世論〈上〉 (岩波文庫)
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●米国の覇権主義からの脱落は国益 しかし、時代遅れの猿まね日本は悲惨散々

 今週中にも、特定秘密保護法案が衆議院を通過しそうな按配である。自民公明与党に、自民党補完政党「維新とみんな」がアリバイ作りの抵抗の上、天下の悪法の通過に加担するようだ。まぁ、そういう正体の政党なのに、それを見極められない国民がいるのだから、どうすることも出来ない。これが、日本の有権者のレベルだと思えば、腹も立たない。しかし、それにしても酷い法律だ。作文した人間は罪刑法定主義との連関について、一顧だもしていない法律であり、ことごとく日本国憲法に抵触する出来事が頻発する惧れさえある。挙句の果てに、みんなの党などは、修正だと言いながら、より法文に不鮮明さを増加させるような文言を追加させ、悦に入っているのだから始末におえない。

 安倍晋三が、米国に追随するかの如き態度を示しながら、ウルトラC難度の戦略的外交防衛国家を目指している可能性も捨てきれないが、単なる安倍の個人的妄想である。つまり、米国に隷属するフリをしながら、独自軍事力を高め、いつの日か親離れした暁には、押しも押されぬ軍事国家であり、尚且つ経済大国であると云う幻想を抱いている妄想を、オバマは見越しているのだろう。それゆえ、現時点では、パシリがパシリらしい態度の範囲なので、黙認する。しかし、何処かの時点で安倍晋三を切り捨てようと思っているに違いない。故に、オバマは安倍の顔を見るのも嫌なのだが、国益になる範囲では、好きにさせておく選択をしているのだろう。安倍の方は、いずれオバマ政権は終わる。そうすれば米国戦争屋の時代が来るに違いない、と思い込んでいるかもしれない。SFや戦記小説に夢中になるオタク少年なのである。

 世界のあちらこちらから、日本の異様な右傾化に眉を潜めているのがわかる。焚きつけているのはアーミテージくらいのものだろう。ニューヨークタイムズ紙は社説で、「特定秘密保護法案」について、以下のように語っている。概ね同紙のような考えが、世界の主流を歩いている事実を、日本人はもう少し自覚するべきなのだが、世界なんてレベルで、物事を考える人間はごく僅か、1%程度の国民の共有意識では、到底バカが主体の非近代的、非民主的に警鐘を鳴らすのは、無駄骨だ。以下にニューヨーク・タイムズの本文及び対訳と米国の凋落と再生に言及するコラムを紹介しておく。


≪ ニューヨーク・タイムズ社説: 自由主義とは言えない日本の秘密法案(和訳) 
Japan's Illiberal Secrecy Law: New York Times editorial (October 29)

――日本の国会で審議されている「特定秘密保護法案」を「ニューヨーク・タイムズ」論説委員会が批判した10月29日付の社説の和訳を紹介する。 報道人としての当然の懸念と警告であると思う。 http://www.nytimes.com/2013/10/30/opinion/international/japans-illiberal-secrecy-law.html?_r=1& (翻訳は正確を期すために投稿後微修正することがあります。)――

『 社説
Japan's Illiberal Secrecy Law
自由主義とは言えない日本の秘密法案
By THE EDITORIAL BOARD 論説委員会 Published: October 29, 2013


The Japanese government is poised to enact a secrecy law that will undermine the people’s right to know. The law will give all government ministries the right to classify information related to defense, diplomacy, counterintelligence and counterterrorism as a state secret. But there is no guideline as to what constitutes a secret. This lack of definition means the government could well designate any inconvenient information secret.
日本政府は人々の知る権利を弱める秘密法案を成立させようとしている。この法律は、全ての政府の省庁に対し、防衛、外交、スパイ防止、テロ防止に関連する情報を秘密指定する権利を与える。しかし何をもって秘密とするかのガイドラインがない。この定義の不在は、政府が不都合な情報を何でも秘密指定してしまえるという意味を持つ。

Under the proposed law, government officials found to have revealed secrets could be jailed up to 10 years. Such a provision would give officials even greater incentive to label documents secret rather than risk their release.
法案では、政府関係者が秘密を漏えいしたとみなされた場合に最高10年の懲役となる。このような措置は政府関係者に対し、情報を公開するリスクを取るよりも情報を秘密と分類するさらなる動機を与えることとなる。

Until now, only the Defense Ministry had the authority to classify information as a “defense secret.” Its record is abysmal. Of the 55,000 documents the ministry classified secret between 2006 and 2011, 34,000 were destroyed at the end of a particular secrecy period, depending on the document. And only one was declassified for public release.
これまでは、防衛省のみが情報を「防衛機密」として秘密指定することができた。しかしその実績はひどいものだ。防衛省が2006年と 2011年の間に秘密指定した5万5千件の文書のうち、文書によっては秘密指定の期間終了時に破棄され、それが3万4千件に上ったのだ。そのうち公開されたのはたったの1件であった。

The new law would allow the secrecy period to be extended indefinitely. And it further limits government accountability by making no clear provision for sharing secrets with elected representatives in the national Diet.
新法が通れば、秘密指定の期間は無期限に延長できるようになる。そして、国会における、選挙で選ばれた国民の代表者たちと秘密を共有する明確な規定がないことにより政府の説明責任をさらに限定している。

The law will make an already opaque government more so by threatening to jail journalists, up to five years, for doing their job in an “invalid” and “wrongful” manner. Japan’s newspapers fear that there will be markedly less communication between journalists and government officials. Opinion polls show that the public is very skeptical of the law and its reach. The government of Prime Minister Shinzo Abe, however, is eager to pass it as soon as possible.

法案は、「不正」や「不当」な方法で取材をした報道関係者に最高5年の懲役という脅しをかけることによって、すでに不透明な政府を更に不透明なものにしている。日本の新聞社は、報道関係者と政府関係者間のコミュニケーションが著しく減ると心配している。世論調査によると、公衆はこの法案とそれが及ぼす影響に対して大きな懸念を抱いている。それにもかかわらず安倍晋三首相の政府はこの法案を一刻も早く通そうとしている。

Mr. Abe needs it to establish an American-style national security council. Washington has made clear that more intelligence cannot be shared with Japan until it has tighter information control. Of the six departments in Mr. Abe’s proposed security council, one department places China together with North Korea, while other departments focus on allies and other nations. This move reflects the confrontational stance the Abe government has been taking toward China and another sign of a hawkish foreign policy that may well harm civil liberties and create even more mistrust of the Japanese government in East Asia.
 安倍氏がこの法案を必要としているのは米国方式の国家安全保障会議を設立するためである。ワシントンは、日本が情報統制をもっと厳しくするまでは今以上の機密情報を日本と共有することはできないと表明している。安倍氏が提案している国家安全保障会議は、6部門のうちの1つを中国と北朝鮮にあて、他の部門は同盟・友好国やその他の地域としている。この動きは、安倍政権が中国に対して取っているに対立的な姿勢を反映しており、市民の人権を害し、東アジアに今以上の日本政府への不信感を生み出すタカ派的外交政策の兆候であるとも言える。』(翻訳:乗松聡子 @PeacePhilosophy)
≫(Peace Philosophy Centreさんのサイトより、URLは以下を参照)

http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/11/japans-illiberal-secrecy-law-new-york.html


≪ アメリカの再生 アメリカの復元力という伝統

この間のブログで「アメリカの凋落」と書き、何人かの友人からお叱りをいただいた。

いうまでもないが、これはアメリカの『覇権主義の凋落』という文脈であるので、誤解を解く意味で、まとまりもないが、今、思うところを書いておきたい。

日米の政治風土の大きな違いをまざまざと今、われわれは見せつけられている。 アメリカで起きていることは、日本で言えば、自民党衆議院議員の295人の内230人が、安倍政権が進めるTPP交渉に待ったをかけたというに等しい。 そんなことは日本では起こり得ないことを悲しいことに私たち日本国民は知っている。

日本では、民主主義の死滅をもたらす秘密保護法が、おそらく少なからぬ自民党議員が疑問を持ちつつ(アメリカ留学経験のある弁護士でもある森雅子氏が担当大 臣を任されて、とんちんかんな答弁を繰り返しているのは、ご本人がこの法律に納得していないからとお見受けする)、アリバイ的な微細な修正を施しただけ で、通過させられようとしている。 個々の議員の主体性は存在しないに等しい。

議院内閣制と大統領制という統治機構上の相違が、まず浮かぶ。 しかし、それはおそらく、表層のことに過ぎない。 問題は、党が決めたことには従うという、家畜化された政党制だろう。 「自由民主」と称しながら、『自由』でも『民主』でもない。 高支持率の党首に服従する無力な議員の群に過ぎない。

かつての自民党には、多様性と懐の深さが存在した。 民主党政権の3年を経て、そうした政治文化は、死滅してしまった。 復活した自民党は、まるで全体主義政党だ。

もう少しレンジを広く取ろう。 この国では、私たちは、自分の手で明日を選び取ることができるのだ、という当たり前のことが、決して当たり前と思われていない。 仮に、国民主権の原則が、単なる正当化原理(権力者の言い訳)以上のものだとするならば、少なくとも、次のようなことを国民に要求するだろう。
主権者として自覚し、主権者として主張し、主権者として行動する。 これには、自分の手で明日を選び取ることができるという信念が必要だろう。 むろん、その結果に対して、主権者として責任を引き受ける覚悟も必要だ。 この根本が、日本の政治文化には根付いていない。

アメリカにおける『覇権主義の凋落』と、対比しておきたい。 アメリカの覇権によって利益を得てきた集団は、「1%」の富裕層であり、最低限のモラルすら投げ捨て、国民を家畜扱いする、グローバル資本だ。 米国議会の与党から上がった声は、グローバル資本に駆動されて暴走を続ける政府に対して民意が突きつけた拒絶に他ならない。
アメリカのグローバル資本の一番の被害者は、アメリカ国民なのだ。 アメリカ国民は、家畜化されなかった。 未来は自分たちで変えることができるとの信念を捨てなかったのだ。 今、アメリカで起きつつあることは、アメリカ民主主義の復活への序章なのだろう。

アメリカの覇権は後退するであろう。

一国が決めたルールで、全世界を支配しようなどと言うことが、そもそも正しい行いではないのだから、混乱は続くにしても、健全な世界を取り戻す一歩になるだろう。 そして、アメリカの国民は、より解放された国民になるだろう。

アメリカの復元力、という言い古された言葉がある。 アメリカでは、ほとんど絶望的と見える闘いに、挑み続け諦めない国民がいるということだ。 下院議員から上がった、“NO”の声は彼らにとっては、アメリカの凋落ではなく、民衆の復活を告げるのろしだ。 TPPは確かに、直ちに取りやめにはならず、議会もしばらく揉め続けるだろう。
しかし、メディアがいうような「年内妥結」をめぐってではない。 最低限でも、交渉内容を公開するか否かが焦点だ。 僕には、この形勢では、万一としか思われないが、アメリカ国民は、それでも、場合によっては、一時的敗北を余儀なくされる可能性もあるかもしれない。 しかし、彼らは決して、あきらめはしない。 だから、復活への第一歩を画した彼らに、心から、エールを送りたい。

日本でも同じはずだと、敢えて言う。

私たちは明日を選び取ることができる。 そして、国民主権原則によれば、私たちは明日を選び取ったとみなされる。 その責任を負うべきなのは、私たちだ。 この件に関して、もう一つ挙げるのであれば、この国のマスコミのおバカぶりである。 雑記事ながら、下院民主党のこの動きに触れるマスコミは存在したようだ。
しかし、その論調は、毎日新聞などが『年内妥結に影』とおバカな評価を告げるばかりだ。 仮にも自民党衆議院議員の4分の3が安倍首相の進めるTPP交渉の中止を求めて書簡を送ったとしたら、TPP交渉はどうなるだろうか。 『年内妥結に影』という程度ですまされる問題だろうか。 まして、アメリカでは貿易協定交渉の権限は正式に議会に帰属している。
わずかに産経新聞が『早期妥結へ暗雲』『議会二分』と、かなり正確な見出しを付けている。但し、それも『早期妥結』に対する『暗雲』であり、本質を見るものではない(「年内妥結」との決まり文句でなく、「早期」とするのがミソ。いったい、どのくらいを早期と考えるのだろうか)。 問題は、国民の生活に大きな影響を及ぼす事柄を国会の頭越しに、極限的な密室交渉で決めてよいかという民主主義の問題だ。

朝日新聞に至っては、17日付で日米関税交渉を採りあげて、「環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、米国が日本にすべての輸入品の関税をなくすよう求めていることが分かった。日本が例外扱いを求めているコメなどの農産品「重要5項目」も、20年以上の猶予期間をつくるなどして撤廃するよう要求。
米国の想定外の強硬姿勢に日本政府は反発を強めており、年内妥結は不透明さを増している。」とリードを打つおバカぶりである。 根本の米議会が揺れているのに、関税交渉で「年内妥結のために戦略の再検討が必要」との趣旨で結ばれるこの記事は、完全に倒錯している。
何と朝日新聞(名古屋)は、これを一面トップ記事として扱っている。 米国議会で起きている一大事を伏せて、アメリカの強硬な関税交渉の姿勢を一面トップで報じる。 譲歩しなければ大変なことになると、言わんばかりである。 バランスの欠如は明らかであろう。
政府公報の面目躍如である。 朝日は、自民党議員の4分の3が、秘密交渉にNOを突きつけたとしても、アメリカの要求を採りあげて、年内妥結のために、再検討が必要だとするのであろうか。
尊敬していると思われるニューヨークタイムズ紙の分析は、天と地の差である。

下院議員は、オバマ政権には交渉権限はない、交渉を止めよ、と主張しているのだ。
交渉権限のないUSTRとの交渉の継続は、TPP自体に対して賛否いずれのスタンスを取ろうが、百害あって一利なしである。 まして、この期に及んでなお関税交渉で譲歩しようなどは、交渉相手を利する以外の何物でもない。
日本政府=日本国の代理人(≠USTR代理人)という前提で考えるとすれば、アメリカ大統領の交渉権限問題に決着がつくまで、他の交渉当事国とともに足並みを揃えて交渉を中断するのが真っ当である。

追記 朝日新聞のこの体たらくについて、考えてみている。 記者ではなく、デスクを支配している何かがあるのだろう。 阪神支局事件のためだろうか。 それなら、「タブーの正体」に記された川端幹人氏のあとがきをよんでほしい。 個人ではなく、組織に属しているのだから、勇気は10分の1も要らないはずだ。 いや、スポンサー収入のせいだろうか。 それなら、平均年収が弁護士の2倍以上という給料に拘らず、ジャーナリズムに徹するだけですむ話である。
理解してあげようとしても、やっぱり無理である。 
≫(街の弁護士日記さんのブログより) *筆者が勝手に改行している
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/


「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
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ナチス以来の権力集中国家が誕生する 日米軍事同盟の範囲からの逸脱の懸念も

2013年11月18日 | 日記
アメリカン・デモクラシーの逆説 (岩波新書)
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●ナチス以来の権力集中国家が誕生する 日米軍事同盟の範囲からの逸脱の懸念も

 ビデオニュース・ドットコムが“日本記者クラブ主催”の西山太吉氏をゲストに呼んだ会見を全編流している。誰でも視聴可能なので、是非見ることをお薦めする。
http://www.youtube.com/watch?v=jeNiQP6t6F0&feature=youtu.be

 西山氏が如何に一徹な頑固ジャーナリストだとしても、西山氏の証言は、驚くほど核心に迫る“日本の官僚統治システム”への糾弾であり、近い将来に向けた日本人への警鐘なのである。彼が「知る権利をマスメディアが主張できるのか?」風の言い回しに、集まったメディア関連の人々は、グーの音も出せず、質問したのは、過去の西山氏の取材行動及び暴露の方法に対する誹謗中傷の類の質問が、女性の参加者から出ただけで、質問するだけの情報すら持たず、単に居並んでいるに過ぎなかった。

 居並ぶメディア関係者にとって、日米同盟は自明の問題であり、議論に値しないと云うコンセンサスが出来あがっているようだ。まさに日本のメディアの「思考停止」が浮き彫りになっている状況を露呈した。日本外国特派員協会においても、西山氏は同様の発言趣旨で会見を行っている。多くのブログサイト等でも紹介されているが、敢えて執拗に、この問題にスポットを当てておかないと、後々後悔する自分がいるのがイヤである。ありがたいことに、「みんな楽しくHappyがいい」さんのサイトで文字おこしをされているので、そちらで情報を入手される方法もある。
“みんな楽しくHappyがいい”さんのURL:
http://kiikochan.blog136.fc2.com/

 朝日新聞や毎日新聞、東京新聞が頑張って異を唱えているが、遅きに失した感も否めない。まさかアリバイとしての反対論でないことに期待したいところだが、否定できない経歴を各メディアは持っているので、世論喚起、世間に“秘密保護法大反対”の「風を起こす」、そこまでの気概は感じられない。それでも、朝日は一応抵抗の姿をみせ、以下のように報じている。だいたいが、民主党政権が「情報公開法改正」を国会に出しておきながら、易々と廃案した。国会を通過させることが可能だったにも関わらず、廃案にしたのは、誰あろう、民主党の糞どもである。その上、野田政権においては、この大問題の「秘密保護法」の成立に着手していたのだから、異例であり異様だ。今さら、どの面下げて、秘密保護法反対などと言えるのか。自民党も汚いが、自民党は悪人であることを、敢えて隠そうとしない分、悪質度は低い。最悪な悪人は、善人面をしたがる無能な奴らだ。

≪ 秘密保護法案、広がる反対の輪 外国人記者、歴史学者も
 【田井中雅人】特定秘密保護法案に反対や懸念の声明を出す団体などが様々な分野に広がっている。外国人記者や文筆家、歴史学者、国際NGO……。衆議院での審議が大詰めを迎えようとする中、廃案を求める声があがる。
 海外の記者が集まる東京・有楽町の日本外国特派員協会。今月11日、協会は法案の廃案か大幅な修正を求める声明を発表した。
 米国人フリージャーナリストのルーシー・バーミンガム会長は言う。「協会は日本の様々な問題について中立を維持してきた。反対声明を出すのは極めて異例のことだ」  国籍に関わらず、日本で取材する記者の存亡の危機として、声を上げずにはいられなかったという。
 法案第21条によると、報道の自由は「(政府が)十分に配慮しなければならない」とするだけだ。対象が不明確な「特定秘密」を取材した記者は、日本人か外国人かに関わらず処罰される可能性がある。バーミンガム会長は「穴だらけの法案はひとまず廃案にし、報道の自由や人権を守るべきだ」と訴える。
 文筆家らでつくる日本ペンクラブも、政府が法案を閣議決定した10月25日に反対声明を発表し、廃案を求めた。
 作家の浅田次郎会長は「既存の国家公務員法や自衛隊法で十分だ」と話す。「歴史的にどの国でも、おかしな法律は屋上屋を架してできていく。今は大丈夫でも、後世の『カリスマ権力者』にとって最大の武器となり、言論弾圧に悪用される可能性が高い」
 9月に採択された国際ペン(本部・ロンドン)の「情報監視に関する決議」は、米国家安全保障局(NSA)の秘密個人情報収集による人権侵害に懸念を表明している。浅田会長は「日本の状況についても近く問題提起する」という。
 歴史学関係団体の代表9人も、10月30日に反対声明を出した。特定秘密に指定された文書が各機関での保管期限終了後に国立公文書館などに移管・公開される保証がない▽特定秘密文書を調査史料として入手すると、法案第23条の「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」とされ、刑事処罰の対象にされる恐れがある――と訴えている。
 同時代史学会代表の吉田裕・一橋大大学院教授(日本近現代史)は「日本政府に都合の悪い戦後処理に関わる史料などが特定秘密に指定されると、永久に公開されぬまま歴史の闇に葬られ、検証不能になるだろう」と警鐘を鳴らす。
    
 ◇ ■秘密保護法案に反対・懸念を表明した主な団体など

【法律家関係】
・日本弁護士連合会
・弁護士会
・自由法曹団
・青年法律家協会
【学者・研究者】
・憲法・メディア法学者
・刑事法研究者 ・歴史学者 ・日本科学者会議
【マスコミ関係・文筆業】
・日本ペンクラブ
・日本外国特派員協会
・日本新聞協会
・日本民間放送連盟
・日本雑誌協会と日本書籍出版協会
・日本ジャーナリスト会議
・テレビキャスター・ジャーナリストら8人
・日本脚本家連盟
・文化団体連絡会議
【マスコミ関係労働組合】
・日本新聞労働組合連合(新聞労連)
・日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
・日本出版労働組合連合会(出版労連)
・映画演劇労働組合連合会(映演労連)
【議会】
・福島県議会
【NGO・市民団体】
・国際協力NGO102団体
・日本国民救援会
・日本消費者連盟
・日本平和委員会
・全国市民オンブズマン連絡会議
・NPO法人 情報公開市民センター
・NPO法人 情報公開クリアリングハウス
・新日本婦人の会
・グリーンピース・ジャパン
・アムネスティ日本
・監視社会を拒否する会  ≫(朝日新聞)

参考:≪ 特定秘密保護法案 全文 ≫(朝日新聞) URL:
 http://www.asahi.com/articles/TKY201310250345.html


沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟 (岩波新書)
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奇妙な団体と安倍晋三のカンボジア・ラオス訪問 この奇妙な団体は何者?

2013年11月17日 | 日記
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●奇妙な団体と安倍晋三のカンボジア・ラオス訪問 この奇妙な団体は何者?

 15日の金曜日の日経をパラパラ捲っていると奇妙な広告に出遭った。「世界オピニオンリーダーズサミット」が開催されると云う広告だ。町村信孝、小池百合子がゲストとして参加すると云うのだから、もう既に怪しい。主催はまったく聞き覚えのない「WSD・世界開発協力機構」というところだ。ただ、後援として、外務省、防衛省、米国大使館などの名前が連なっている。ゲストには、ビル・クリントン、コリン・パウエル、藤崎一郎、ケリ―元米国東アジア太平洋担当国務次官補等々である。トニ―・ブレアも来日のようだ。モデレーターとして半田晴久(深見東州)とある。

 モデレーターと云うのは、司会者と云う意味もあり座長とか仲介者とか色んな意味がある。 *「WSD・世界開発協力機構」とか、半田晴久(深見東州)氏なる人物を知らないのは、単に筆者の無知によるものなら、それはそれで恥じ入るのみだが、知らない儘ににも捨ておけない。かなりネット上の情報を漁ってみたが、結局、正体の全貌を把握するには至らなかった。あまり深入りすると、トラウマに襲われそうなので、程々で切り上げたが、俗にいう“胡散臭い”とか、“怪しい”という言葉を当て嵌めてしまいたくなるが、そうのように断じるだけの根拠もない。

 只一つだけ、今回の安倍晋三のカンボジア・ラオス訪問と時期を同じく「世界オピニオンリーダーズサミット」が開催されている点は奇妙に合致する点は気がかりだ。何故かと云うと「WSD・世界開発協力機構」なる機関が、カンボジア王国と深い繋がりを持っている様子が窺えるからである。同団体の理事に“カンボジア王国 サムデック・ノロドム・シルブッド殿下”と云う名が確認できる。ラオスとも親しい関係を構築しているようだ。そのような情報を念頭に以下の記事を読むと、安倍晋三がカンボジアに行ったのは、「世界オピニオンリーダーズサミット」を惹きたてる為のようにさえ思えてくる。


≪ <安倍首相>カンボジアと安保協力で一致 共同声明発表
 【プノンペン吉永康朗】安倍晋三首相は16日午後(日本時間同)、カンボジアのフン・セン首相と首相府で会談した。中国の海洋進出を念頭に、海洋を巡る問題で「法の支配」の原則を確立する重要性や、安全保障、経済面などでの協力をうたった共同声明を発表。日本の支援による救急医療センターの設立も確認し、カンボジアの保健医療向上に協力する覚書を締結した。
 日本の首相のカンボジア訪問は、多国間の会議を除けば約13年ぶり。安倍首相は会談で、自らが掲げる「積極的平和主義」を「平和国家の根幹は変わらない」と説明。フン・セン首相は「全面的に支持したい」と述べた。両首相は、実効性のある「南シナ海行動規範」の早期締結を求めることで一致。さらに、国連平和維持活動(PKO)の要員の教育・訓練で協力する協定を締結。北朝鮮の拉致問題解決で協力することでも一致した。
 安倍首相は会談後の共同記者発表で、「ODA(政府開発援助)に加え、日本企業の投資を促進したい。安全保障分野の対話、協力を一層強化したい」と語った。フン・セン首相も「協力関係を一歩一歩発展させ、将来的に戦略的パートナーシップを結びたい」と期待感を示した。  安倍首相は17日ラオスを訪問し、トンシン首相と会談する。 ≫(毎日新聞)


 ちなみに、ネットで探った情報(事実確認は出来ていない)をランダムに羅列しておくと、以下の通り。

■NPO世界開発機構とは≪特定非営利活動法人「世界開発協力機構」(Worldwide Support for Development:WSD)は、2008年2月、東京都より特定非営利活動法人(NPO法人)の認可を受けた国際支援組織で、国際協力や福祉活動、 大学・学術系団体への支援活動等を行う団体です。≫で、
目的は≪ 特定非営利活動法人(NPO法人)世界開発協力機構(Worldwide Support for Development:WSD)は、広く世界各国の人々に対して、教育環境の整備活動や、経済的・社会的困難にある人々の救済援助活動をはじめとする、 福祉・学術・教育等における支援や国際協力活動を行う団体です。このような活動を行うことにより、世界の人々がみな等しく、経済的・社会的・文化的その他 全ての面において、安全で質の高い幸福な生活を送ることが出来る社会の実現を目指します。このことによって、広く公益の増進に寄与することを目的とします。≫だそうである。団体の役員、トップは総裁で半田晴久(深見東州)氏である。

■深見東州(半田晴久)氏とは?ウィキペディアによると≪深見 東州(ふかみ とうしゅう、本名:半田晴久(はんだはるひさ)1951年3月18日 - )は、日本のアーティスト[1][2]。社会福祉活動を展開し、芸術家、神道家、学者、評論家、オペラ歌手、画家、書家、能楽師、実業家としても活動している。 普遍的な宗教性こそが大切であると考え、狭い宗教の枠を越えて、多面的に公共の福祉に役立つことを第一としている。主に、芸術活動や神道家としての活動等を行う際は、深見東州(ふかみとうしゅう)という通名を使用している(以前は、深見青山という通名を使用していた)。学術活動や評論活動及び公益活動や実業家としての活動を行う際は、本名の半田晴久(はんだはるひさ)で活動している。また、劇団活動や小説家、詩人として作家活動を行う際は、戸渡阿見(ととあみ)というペンネームを使用している。さらに、上記のあらゆる活動を行う人物として登場する際はレオナルドTOSHUというペンネームをラジオパーソナリティ名やツイッター上で使用している。長谷川幸延(小説家、劇作家)は、親戚にあたる。 在福岡カンボジア王国名誉領事。2004年11月、インターナショナル・ロータリーより、ポール・ハリス賞受賞(WA Rotary Club Paul Harris Fellow)。2005年6月、紺綬褒章受章。

■同氏の経歴から推察すると、宗教家の色彩が色濃く見える。そこに現れるのが「ワールドメイト」という宗教団体だ。
ウィキペディアによると ≪ワールドメイトは、深見東州(当時は深見青山、本名:半田晴久)と橘カオル(本名:徳田愛子)が1984年にコスモコアとして創設した神道系の宗教法人。過去にはコスモメイトやパワフルコスモメイトといった名称で活動していた。≫。
活動は ≪皇大神御社による、神社としての宗教活動のほか、全国各地の神社参拝、大祓神事、エンターテインメント的な要素が強い講演会、神人合一を目指す神法伝授、先祖供養や救霊、コンサートなどの芸術活動、チャリティーなどの慈善事業、国内外での福祉活動や公益活動、神道研究等への援助活動等を行っている。 
 リーダーは新宗教の教祖としては、きわめて博識であり、数百回を超える講演会は、一つとして同じ内容のものはない。また、苦難に対する救済のための宗教はすでに数多く存在するため、喜び、楽しみ、感動を創っていく新しい宗教を目指したいという、リーダーの意向と天啓により、従来にはなかったユニークな活動形態をとっている。 
 特に、「ホープ・ワールドワイド(Hope Worldwide)」(キリスト教系国際チャリティー組織)やカンボジア王国と協力し、24時間診療の無料病院(シアヌーク病院)への支援を継続的に行っている。神道国際学会の主要なスポンサーである。
 団体の沿革は、 ≪リーダーの深見は、母が信仰していた世界救世教に幼少時から親しみ、その後大本に転向する。同志社大学を卒業後、大和ハウス工業の営業マンだった1977年に、大本と提携している銀座の道院紅卍字会で、根本宏に師事をする。その後、道院で、真光に接していたこともある植松愛子と出会う。    
 1977年、深見が植松の内弟子となって、宗教的生活を開始する。1984年、小規模な集まりに名称をつけ、宗教団体コスモコアを設立し、神道をベースとした講演会活動を開始した。1985年、深見東州が『神界からの神通力』を出版すると、会員が増加し、宗教活動が活発化した。 
 1987年、コスモメイトに改称。1988年、皇大神御社(すめらおおかみおんやしろ、旧称 皇大神社 すめらおおかみやしろ)を建立して総本部に定め、皇大神御社を中心に、会員参加型の祭祀・祭事や神事を行うようになる。  1994年4月、パワフルコスモメイトに改称。
  1994年12月、ワールドメイトに改称。団体名の改称は、団体自身の器が大きくなるにつれ、さらなる救済力や普遍性を発揮する組織に生まれ変わるという意味がある。  
 日本に183ヶ所の支部、アメリカ合衆国やイギリスなど海外に10ヶ所の支部があり、公式ウェブサイトは2011年7月時点の会員数を約72,000人と発表しているが、Inken Prohlによれば2012年時点で会員数は34,000人、Katherine Marshallによれば2013年時点で会員数は37,000人とされている。 2012年9月、文化庁所轄の宗教法人となった。≫

■≪東京芸術財団「TAF=TOKYO ARTS FOUNDATION」は、次の目的を実現する為、2011年2月25日、東京都一般財団法人として設立されました。≫とあり、財団の会長は半田晴久氏だが、理事長に井上康道氏(FM福岡、西日本新聞関連)までは身内だが、次なる理事には亀井静香、鳩山由紀夫、小沢一郎、鳩山邦夫等が居並ぶ。どうもこの深見東州(半田晴久)氏はウィングが広く拡散しており、その狙い等々が非常に掴みにくいのが特長でもある。まぁこの東京芸術財団はめくらましの可能性も否めない。
以上

 上記、様々にネット上を探索すると、筆者以上の何かを発見することも可能と思われる。興味のある方は深く調べてみるのも一興だ。最後に「ワールドメイトの実態と云うサイトを個人が熱心に発信している。制作者の立ち位置が判らないので、その内容が真実かどうか不明。ただ、かなり熱心に追いかけているので、一読しておいても良いだろう。ただし、内容に関して、筆者は何ひとつ推奨する根拠を持っていない。

無宗教こそ日本人の宗教である (角川oneテーマ21)
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TPP本交渉は“噛ませ犬”の疑惑 並行する日米二国間協議の忖度外交で解決済み

2013年11月16日 | 日記
TPP 黒い条約 (集英社新書)
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●TPP本交渉は“噛ませ犬”の疑惑 並行する日米二国間協議の忖度外交で解決済み

 どうも前ぶれ高らかだったTPP交渉に暗雲が立ち込めてきているようだ。TPPの妥結を前に、かんぽ生命がアヒルに白旗上げたり、JAの万歳章会長が経団連のモンサント・米倉の手をしっかり握りしめたりと恥も外聞もない出来事が起きている。TPP交渉の席上では、米国を除くシンガポールや豪州が“コメを含む農産品や工業品の関税の全撤廃を要求している。遅れて来てやってきた鴨ネギ日本をなぶり殺しにしようと弄んでいる。

 しかし、TPP交渉の席に就いている、肝心の米国通商代表部の連中が表見代理人である可能性が出てきた事実は大きい。米国上下院では、各政治圧力団体の大抵抗が凄まじく、議員の態度が右往左往する事態になっている。≪米議会下院民主党の議員有志は13日、下院民主151人が通商一括交渉権(TPA)をオバマ大統領に与えることを支持しないとする書簡を大統領に送付した≫と読売新聞があっさりと報道しているが、下院で民主党151議席、共和党22議席の議員が、オバマに付与する“ 通商一括交渉権(TPA)”に拒否姿勢を示したことは大きな問題だ。まだ旗幟を鮮明にしていない議員も多く、増加する可能性が強い。

 “ 通商一括交渉権(TPA)”とは、貿易促進権限とも呼ばれ、以前には” ファスト・トラック権限“と呼ばれていたものと同様である。大統領に交渉の権限を一括で与え、個別内容の修正を求めずに、その是非は、一括承認するか不承認とする事にする権利。ただ、今回のTPP貿易協定の中身は、貿易と云うより、国のあり方全体に網を掛けるような協定であるため、大統領に全部お任せ出来るような貿易協定でない点が、米国議会では問題になっている。しかも、日本でも問題になっているように、何が、どのように話され、どのような結論に至るか、秘密秘密のパレードなのだから、気味が悪くて仕方がない。そんな協定の交渉権限を、一大統領に、すべてを委ねるなどは、国会議員として、無責任過ぎるし、職務放棄と蔑まれるべき行為だというのが、彼らの主張である。

 肝心かなめの、オバマの足元が崩れかけているのだから、交渉の席に就く交渉官たちの心もそぞろだろう。官々諤々、自分のディベート能力を花開かせ、次なるステップの踏み台にしようと望んでいる官僚らにとって、議論のすべてが、無かった事になりましたじゃ、泣くに泣けないに違いない(笑)。しかし、そうなる可能性もかなりある。また、オバマに“ 通商一括交渉権(TPA)”が付与されたとしても、議会が一括で拒否することも大いにある。それは良かった、これでTPPはお流れだ、と思ったら、それは大間違いでもある。そこが、今回のTPP交渉の悩ましい部分なのである。

 TPPお流れで、なんの問題もなくなると言いたいところだが、このような事態を想定、織り込み済みのオバマ政権は、TPP交渉以前から、日米二国間協議に着手している。昔、日米構造協議とか年次改革要望書などと呼ばれた一方的交渉と同様な交渉が、TPP交渉と並行するかたちで、TPP日米並行協議が行われている。この双務性を持たない“片務的”協議自体は王と下僕の話し合いのようである。これが残されている。この交渉と並行的に、安倍政権は、霞が関が得意中の得意とする“忖度外交姿勢”を発揮し、早々と米国から文句を言われないように、国内の受け入れ態勢の準備に入っている。故に、TPPが流れても、日本の危機だけは続くのである。以下のコラムが詳しく説明している。


 ≪ 片務的なTPP日米並行協議の問題点

1. 結局日米二国間協議の場に引きずり出された日本

  西側自由主義経済圏の中では依然として米国に次いで第2位の経済力を持つ日本が米国と協力して国際的な自由貿易体制の強化を図ることは一般論として 重要である一方で、TPPを含む貿易交渉はそれぞれの国の実利に基づいた虚々実々の経済戦争である側面を忘れてはならない。経済力も交渉力もないような小国が米国のような強い国の主張に抗えないというような冷徹な現実はあるが、交渉参加国の中で米国に次ぐ群を抜いた経済力を持つ日本は小国のような扱いを受けるべきでなく、相手側の要求に対して防戦一方にならずに日本側としても相手国から得るべきものはしっかりと主張して獲得することこそ真の意味での「国益を守る」ことにつながる。

 TPP参加の可否をめぐる議論の中で、「市場自由化の実利を日本としても期待できる大きな国内市場を持つ米国との間で、韓国のように二国間自由貿易協定を結んだ方が良いのではないか。」逆に言えば、「わが国の市場が一方的に開放されるだけで、わが国にとっては相手国から得る実利を期待し得ないニュー ジーランド(NZ)のような国にTPPを通じて我が国の市場を開く必要があるのか。」という議論があり、これに対する反論として、「米国との間の二国間交渉では非常に厳しい交渉が予想されるので、こうした一対一の厳しい交渉を避けるためにも、TPPという多数国間の交渉の場に参加して、日本と利益を共通とするような国(例えば、乳製品におけるカナダ等)と連携して交渉した方が良い。」という意見があった。つまり、本来日本との二国間交渉であれば受け入れる必要もないようなNZ等の国からの要望を受け入れてまでも、米国との一対一の真剣勝負を回避するためにTPP交渉に参加したという思惑も動機としてあったのである。

  以上のような本来不必要なNZ等への譲歩を行ってまでも、米国との二国間交渉を避けたかった日本であったが、結局我が国のTPP交渉参加の許諾を米国から得る条件として、TPP交渉と並行して米国との間で米国の関心分野である自動車、保険、衛生植物検疫措置(SPS:農業)等の非関税障壁について二国間で協議を行い、合意した内容はTPP発効と同時に法的拘束力を持った協定等によって実施されることとなった。

2. 一方的・片務的な日米協議の協議事項

 8月7日から9日にかけて開催された第1回の日米協議の内容の詳細は明らかにされていないが、協議事項はすべて米国側関心事項に沿ったものであり、 日本側から米国に対して、是正を求めるような事項が含まれていない、明らかに一方的・片務的な交渉である。米国の不公正貿易措置については、既に過去のコラムで指摘したとおり、毎年経済産業省が取りまとめている「不公正貿易白書」の中で細かく指摘されており、一例を挙げれば、WTOの場で米国の敗訴が確定している「バード修正事項」の問題について、米国がWTOの決定に従った是正措置を取らないために我が国がWTO協定に基づいて発動している対抗措置を本年9月1日からさらに1年延長することを8月2日に決定したばかりである。こうした米国側の不公正貿易措置について日本側から一切取り上げることができずに、一方的に米国側の関心事項について防戦を余儀なくされるというのは、対等な貿易交渉とは言えないし、政府首脳部が口にする「攻めるべきは攻め、守るべきは守る」という図式が、少なくても米国に対しては一切成立していないことを明白に物語っている。

3.いくつかの具体的に懸念される事項

 (1)自動車交渉

 自動車貿易については、相互の市場の更なる開放を進めてWin=Winの関係を構築できるTPPのモデルと本来なりうる分野である。しかし、日本の TPP参加に最も反対する米国の自動車業界の強い要求を受けて、米国市場の開放については、現在日本車にかけられている米国の高関税については「TPP交渉における最も長い段階的な引き下げ期間によって撤廃され、かつ最大限に後ろ倒しされる」一方で、日本市場については、米国車に対する「非関税障壁」が存在することを前提に広範な分野で米国の改善要求に沿った交渉が進められることを日米事前協議の場で既に認めさせられている。

 つまり米国は失うものが一切ない一方的・片務的交渉である。さらに、本年4月には、日本政府は販売台数が少ない輸入自動車のために特別に設けられた簡易な認証制度である輸入自動車特別取扱い制度(PHP)の対象となる一型式あたりの年間販売予定上限台数を2,000台から5,000台に引き上げることを決定させられている。自動車協議の米国側関心事項の詳細を論ずるスペースはないが、最も問題と考えられるのが、米国と比べて我が国の方が進んでいる自動車の環境性能・安全に関する基準に ついて両国の調和を図るとされ、さらにこのような規制を新たに講ずる際に「透明性」の確保として、新たな規制措置の事前通知、意見を表明する機会の保証、 新たな規制に対応するための合理的な期間の確保などを求められている点である。

 我が国の国土が米国と比べて極めて狭く人口が密集しているというような合理的な事情から我が国の環境・安全基準の方が米国内に比べて高めに設定されているにもかかわらず、新聞報道によれば、例えば、米国の殆どの州においては自動車の騒音基準がないので、我が国にも騒音基準の段階的な撤廃を求めるなど国民の「安全安心」に直結する国内基準にまで、米国車を売りつけるために不合理な 内政干渉を行ってくる意図も垣間見える。

(2)保険

  日本の生命保険市場は米国に次いで世界第2位の規模を誇る、外資にとっては魅力的な市場である。生命保険全体で見ると外資の割合は2割弱にすぎないものの、医療保険特にがん保険については米国系の保険会社が市場シェアの約80%を握る金城湯池の地であり、74%のシェアを誇るアフラックに至っては同 社の営業利益の約8割を日本市場から挙げているという元々極めていびつな市場であった(※1)。

 こうした米系保険会社の寡占を阻止するために日本郵政グループの強力な販売網を持つかんぽ生命が国内大手生命保険会社と組んでがん保険市場に参入しようとしたことがこの問題の発端である。米系保険会社としては現在の寡占的で収益性の高い市場を維持するために、かんぽ生命が日本郵政グループの一員として、他の民間保険会社と比べて有利な競争条件に置かれているとして、公平な競争条件が確立するまでは、かんぽ生命の新規市場参入を阻止するよう米国政府を通じて日本政府に働きかけた。

 日本政府は、日米事前協議の結果、米側要求のとおり、現在公平な競争条件が成立していないという前提を認めて、公平な競争条件が確立されるまではかんぽ生命の新規参入は認めないと決定した。これに対し、新規分野に参入して収益力を強化し、一日も早い株式の上場を果たしたい日本郵政は 国内生保大手との提携は諦め、アフラックと提携してアフラックの保険を日本郵政のネットワークで販売することに合意し、問題の解決を図った。既に国内市場の75%のシェアを持った圧倒的な寡占企業が、全国の郵便局という強力なネットワークを獲得してさらに収益力を高めることが日本の消費者保護の観点から好ましいかどうかという判断については独禁法当局の判断に任せるとして、これで保険の分野についての米の関心事項は、同じく民間の保険会社と共通の規制を受けていない(金融庁の監督を受けていない)と批判されている共済に絞られることになった。

(3)その他の非関税措置

  その他の非関税措置としては、透明性・貿易円滑化、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、急送便及び衛生植物検疫措置(SPS)の各項目について協議が行われることとなる。すべてにわたって詳述する紙面はないが、政府調達、急送便、SPS以外の項目については当然のことながら、製造業の利益にも直結する論点であり、国内で流布されているような「TPPでは農業が負け組で、製造業が勝ち組」というような単純な図式で割り切れないことを十分認識する必要がある。

  また、高関税や関税割当制度といったあからさまな保護貿易主義的な政策ではなく、SPSを活用して実質上国内の競争力の弱い農業製品等を保護する傾向が世界各国でみられるが、そうした意味ではSPSは関税が撤廃された後でも活用し得る最後の国際法的に是認され得る実質的な国内産業保護手段であり、国民の「食の安全安心」を守るという意味では、上述した自動車の環境基準・安全基準と同様の極めて重要な問題であることに留意する必要がある。

4.米国をはじめとする交渉相手国の具体的な関心事項を見極める必要性

  日本政府のTPP交渉に関する対処方針は公表されてはいないが、衆参両院の農林水産委員会の決議によれば、「コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資 源作物(砂糖・でんぷん)」の計5項目(関税分類上586品目)について聖域として関税撤廃の対象から除外することこそが、今次TPPの我が国交渉団に課せられた最大の課題とされているようである。

 しかし、「例外なき関税の撤廃」を主張しかつそれを受け入れることが実際に可能なのは国内に保護すべき産業をほとんど持たないシンガポール、ブルネイ、NZといったTPP交渉の先駆けとなったP4協定の加盟国くらいであり、米国にしても、乳製品についてはNZと、砂糖については豪と比べて競争力が相対的に劣後しており、国内のこうした産業を保護するためにこれらの分野について関税を撤廃する可能性は全くないと言ってよい。

 従って、「例外なき関税の撤廃」などという合意は現実的にはあり得ないし、乳製品と甘味資源作物については、米やカナダなども日本と同様に守るサイドにいることを認識する必要がある。さらに小麦については、米国小麦生産者協会は「日本は米国にとって長年にわたり最大の小麦輸出市場であり、既に日本市場の60%を保持しているため、 拙速な自由化を追求して、日本市場において豪やカナダの小麦のシェアが増えることだけは絶対に避けなくてはいけない。」という極めて現実的な要望を米国政府に提出しているのであり、関税の撤廃などを要求していない。また牛肉についても米国産の輸入牛肉に関する基準を既に本年4月に大幅に緩和をした結果、米国産牛肉の対日輸出は約45%増加すると見込まれており、米国の食肉輸出連合会等も既に満足しており解決済みといってよい。

 コメに至っては、新たにUSTR代表に就任したフロマン大使の議会証言や、米国政府・議会による日本とのTPP交渉に関する公式文書の中にも、優先事項として一切触れられていないし、他のTPP交渉参加国も強い関心を示していない。なぜなら日本のコメ市場の自由化を図っても、その利益を主として享受するのは、価格面などで競争力のあるタイなどのアジア諸国であって米国等のTPP参加国ではないからである。

 TPPにおいては物品、サービス、投資及び政府調達については、市場アクセスの包括パッケージとしての合意が追及されており、米国の砂糖や乳製品などのように、各国の最もセンシティブな重要事項はこうしたパッケージ全体として最終的には首脳レベルでの二国間交渉で決着がつけられる見通しが強まっている。

 我が国が現在やるべきこととしては、あるはずもない重要5品目の関税撤廃などについて国民の不安を煽ることではなく、TPP交渉最終局面における米国等との二国間首脳レベル交渉において、日本からも切れる交渉カードをしっかり用意することであり、そのためには相手国の弱い分野について実務交渉のレベ ルでしっかりと切り込んでおくことと、相手の欲しい事項について、時期尚早に我が国の切り札を切らない(早々と妥協しない)ことが肝要である。 
≫(大和総研グループ:調査提言企画室 主席研究員 長谷部正道)


 つまり、仮にTPP交渉が座礁したり、オバマが議会から総スカンを喰らっても、並行的に行われている二国間協議の内容次第では、TPPの不成立は二国間合意にも波及、不成立になる筈だが、実際は日米の関係からいっても、そのような決着にはならない。かんぽ生命や軽自動車の増税など、忖度外交交渉で初めから白旗外交なのだから、TPPが流れても、米国は実利を得るのである。日本政府が米国一国と対峙する気力を失った時点で、この勝負は決着していたとも考えられる。中途半端な多国籍で米国に抵抗する等と云う、戦略性ゼロの民族が、より複雑になる他国を巻き込んだ交渉など選んだこと自体間違いだ。否、そもそも参入障壁云々等と云う交渉に、端から乗る必要など皆無だった。こうやって、TPP交渉の推移を観察してみると、TPPと云う“おもて書き”が“噛ませ犬”で、それに平行する二国間協議での決着が思惑だったかにさえ見えてくる。

「一生安心」にだまされるな! 医療保険はすぐやめなさい
内藤 眞弓
ダイヤモンド社


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いくぶん懐疑傾向のある植草氏だが 最高のエコノミスト、且つ真実に純粋

2013年11月15日 | 日記
経済学は人びとを幸福にできるか
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いくぶん懐疑傾向のある植草氏だが 最高のエコノミスト、且つ真実に純粋

 今日はことの他多忙のため、植草一秀氏のコラムの引用で勘弁していただく。以下の同氏が論ずる「小泉元首相の反原発発言」への論評は、なかなか面白い。あの小沢一郎排除の急先鋒として大活躍している後藤謙次が、未だに日本の政治の裏側で暗躍しているという情報を提供してくれている。その根拠の一つが 週刊ダイヤモンド誌で連載している「永田町ライブ!」だそうである。後藤謙次など、既に黄泉の世界に旅立ったのではないかと思っていた筆者(笑)にとって、目から鱗だ。

 筆者の13日付コラム≪小泉元首相「原発は即時廃止」発言の裏事情 揮毫「百考は一行にしかず」は憎い≫の中で指摘した裏事情の一つ(野党勢力の分断?)を断定的裏事情だと看破している。12年の総選挙において、選挙の話題を一人占めした“橋下徹と慎太郎”陽動作戦の再来と云うことだ。大江健三郎が苦々しい顔をしたに違いない、小泉の反原発発言は、必ず反原発勢力の団結を阻害する効果があるのは事実である。小泉純一郎の狙いが奈辺にあるかは明確ではないが、反原発陣営の糾合を阻止する効果は抜群なのは確かだ。尚、植草氏のエコノミストとしての才覚は、現在の日本における智である。この点、筆者は信じてやまない。同氏が野村のチーフエコノミストであった時代からのファンでもある。

 ≪ 小泉氏原発ゼロ発言は既得権益勢力の総選挙対策

  小泉元首相が原発ゼロを唱えて、マスメディアがこれを大きく報じているが、この手の情報操作に気を付けなければならない。小泉元首相が原発ゼロを主張することを批判するつもりはない。周回遅れで、まともな主張に合流したわけで、正論に気付くのが随分と遅かったことが批判されるのはやむを得ないが、主張そのものは当たりまえの正論だ。

  小泉氏が講演で述べたことは、十年遅れていると言えば言い過ぎかも知れないが、少なくとも2年半は遅れている論議だ。地球は自転していることが多くの人に確認された数年のちに、地球は自転していると声高に叫び、その発言をメディアが大きく取り上げているに等しい。

 2011年の事故当初からこの主張を示してきた人は多数いるし、50年来、反原発の主張を提示してきた人が多数存在する。いまごろになって原発ゼロの主張を示して、これを大きく取り上げるメディアがぼけている。

 注意が必要であるというのは、今回の記者クラブでの講演を大きく報道することが、あらかじめ計画されてきた事実があることだ。小沢一郎氏を攻撃することを目的に創設されたと見られている、御用メディア連絡会である「三宝会」が発足したのが1996年である。竹下登氏が創設したメディア連絡会である。

 その御用聞きの役目を負ってきたのが、共同通信社の後藤謙次氏である。 後藤氏はいまなお、小沢氏攻撃の役目を負ってメディアに登場している。三宝会は言い方を変えれば、米官業政電の既得権益ペンタゴンの情報戦略=情報工作部隊である。
黒幕は米国である。
司令塔は米国にある。
 米国が元締めで、これと結託して利権を占有しているのが官と業。その手先が電=電波産業=御用メディアと政=利権政治屋である。その電のなかで、ひとつの重要工作部隊となってきたのが「三宝会」なのだ。

その「三宝会」で世話人の任にあたってきた一人が後藤謙次氏である。 この後藤謙次氏が週刊ダイヤモンドで政治コラムを連載している。「永田町ライブ!」である。11月16日号に小泉元首相の原発ゼロ発言についての記事を掲載している。

  この記事のなかで、小泉元首相が11月12日に引退後初めて日本記者クラブで記者会見を行うことが記されている。メディアは、これを特大の扱いで報じることを、あらかじめ計画していたことがよく分かる。

日本に元首相は何人もいる。

 鳩山由紀夫首相は、東アジア共同体を設立して、極めて重要な仕事を、精力的にこなしている。 11月2日には、東アジア共同体が沖縄国際大学で「終わらない<占領>」と題するシンポジウムを開催した。最高のメンバーが参集して、意義深いシンポジウムが開催された。「敗戦から68年いまだに日本を占領し続ける米軍」

 小泉氏の三歩遅れの脱原発論よりは、はるかに重要な情報が提供されている。 琉球新報、沖縄タイムズは、このシンポジウムを大きく報道したが、全国紙、通信社、全国放送などは、ほとんど報道していない。2009年の総選挙で鳩山政権が誕生した。日本の既得権益=米官業政電は、この政権を潰すことを至上命題にした。

  焦点は2012年に実施された総選挙だった。それ以前に、民主党内部から鳩山政権破壊工作が展開された。民主党内部の既得権益勢力に、党内クーデターを挙行させたのである。このクーデターを首謀したのが、民主党内の悪徳10人衆だった。渡部、藤井、仙谷、菅、野田、岡田、前原、枝野、安住、玄葉の面々だ。これと並行して、2012年総選挙対策が講じられた。その目玉が橋下徹氏だった。

  橋下徹氏はいまや賞味期限切れとなり、もはや完全に力を失ったが、既得権益は、2012年選挙対策の目玉として橋下徹氏を全面活用したのである。手法は、メディアが徹底して、橋下徹氏を祀り上げることだ。何の意味もなく、橋下報道が繰り返された。メディアがその力を総動員して情報工作を展開すれば、無から有を生み出すことなど朝飯前である。民主党から、真正民主党勢力が離脱することは明白だった。本来は、悪徳勢力が民主党から離脱すべきだったが、悪徳勢力が民主党を占拠してしまっていたから、真正=正統勢力が民主党から離脱した。この勢力が2012年総選挙の最大の脅威だったのである。 ≫(植草一秀の『知られざる真実』より)
*筆者が勝手に改行している

日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射-
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