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●小池・森バトル 五輪利権を間に、伏魔殿で妖怪同士の死闘
老害と言われて久しい森喜郎元総理だが、この人は、いまや政界を、相当前に引退した元政治家だ。にも拘らず、異様に利権の臭いがする社会現象の中で暗躍する才能を持っている。この才能は「異才・偉才」ではあるだろうが、時に、火事場泥棒のような生き様で、権力を手中に収めてきた人物でもある。到底、サメの脳味噌と揶揄されるような人物ではなく、狡猾さでは、日本の政治史上NO1の冠を得ることは間違いがない。ただ、狡猾の一言では分析しきれない、人間離れした「異才・偉才」でもない限り、ここまで、利権中枢に居座り続けるのは困難だろう。現状の小池都知事と森喜郎組織委会長の表面的バトルは以下のようなもの。
≪ (東京五輪)費用「3兆円超」 都、3施設見直し提言
2020年東京五輪・パラリンピックを巡り、東京都の都政改革本部の調査チームが経費や体制を検証した中間報告が29日に公表された。現状のままでは開催の総費用が3兆円を超える可能性があると警告し、都が整備に着手している3競技会場の抜本的見直しや関係組織の連携改善、情報公開の推進などを求めた。小池百合子知事は報道陣に「ランニングコストも考えた上での報告書で、重く受け止めたい。負の遺産を都民に押し付けるわけにはいかない」と述べた。
これまでに開催費用として明らかになっているのは、新国立競技場や恒久施設の建設など約5000億円だけで、警備費などの大会運営費は公表されていない。調査チームは12年ロンドン大会でも招致時点で7500億円とされた開催費用が最終的に2兆1000億円に増えたとしつつ、ロンドン大会からソフト面の経費を推定し「3兆円を超える可能性」を指摘した。 開催費用の総額が判明しないのは、国と大会組織委員会、都がそれぞれに予算を試算しているためと分析した。役割分担も不透明だとして、費用総額に上限を設け、都と国またはどちらかが開催計画や予算、人員を一元管理することを求めた。都が組織委を指導、監督し情報公開を進める仕組みづくりも提言した。
一方、大会組織委員会は仮設施設整備費を負担できないと指摘し、都内分の整備費として組織委の収入を超える分の1000億〜1500億円を都が負担するよう提案した。都外の仮設施設については「財政力の弱い自治体もあるので国が補助すべきだ」と求めた。対象は、射撃の陸上自衛隊朝霞訓練場(埼玉県朝霞市など)やサーフィンが予定されている釣ケ崎海岸(千葉県一宮町)など。
中間報告が競技会場の見直しを提言したことについて、萩生田光一官房副長官は29日の記者会見で「トータルで考えなければならない。目先で少し(建設費の)金額が膨らんでいるからやめるのでは問題の解決にならない」と懸念を示し、「議論は大いに結構だが現実的な線で提言をしていただきたい」とけん制した。【林田七恵、真野敏幸】
■会場変更 時間に制約
中間報告が移転による建設中止や既存施設活用などでの見直しを迫った3競技会場は、今年1月に実施設計と施工を一括で行う業者が決定している。海の森水上競技場(東京湾岸)は7月に着工され2019年3月に完成予定。他の2施設も今年度から工事を始め、19年12月の完成を目指していた。
会場では実際に競技をする「テストイベント」を行う必要がある。「海の森」は国際オリンピック委員会(IOC)などから本番と同じ季節での実施を求められ、五輪1年前の19年7〜8月に行う予定だった。
そもそも会場を変更するには、IOCや国際競技団体(IF)に改めて承認を得なければならない。現状ですら「完成時期やテストイベントも含めて時間的な余裕はない」(東京都オリンピック・パラリンピック準備局の担当者)中で、会場変更はスケジュール的に大きな制約を受ける。
東京は立候補時に「85%の競技会場を選手村から8キロ圏内に配置」という計画を示した。しかし、膨らむコストを抑えるため大会組織委員会は都と連携して計画を見直し、既存施設の活用で11競技12会場を変更した。当初はIFの反発もあったが、昨年2月、6月、12月と3回開かれたIOC理事会で承認された。組織委の森喜朗会長は「IFが了解しないとIOCは受け付けてくれない」と話す。【柳澤一男】 ≫(毎日新聞)
≪ 小池都知事、「五輪のカネ」にメス!森氏組織委の監理団体化を要請
東京都の小池百合子知事(64)は28日、就任後初となる都議会本会議に臨み、所信表明を行った。2020年東京五輪について「施設整備や開催経費について、説明責任を果たす」とキッパリ。この言葉を裏付けるように、都は大会組織委への監督を強化するため、「監理団体」の指定に応じるよう要請を行っていたことが判明。組織委の「財布の中身」をチェックする狙いだ。
小池氏の所信表明は豊洲市場問題からスタートしたが、東京五輪についても「都民ファースト」の視点で切り込んだ。
「施設整備や開催経費などについて、国や組織委員会と連携を図り、説明責任を果たしながら解決方法を見いだす」
その手段として繰り出したのが、組織委の監理団体化だ。組織委は2014年1月に都と日本オリンピック委員会(JOC)が1億5000万円ずつ拠出して発足。都は同年6月に57億円を追加出資したが、都が指導監督を行う監理団体には指定していない。国際オリンピック委員会(IOC)など他団体の関与が強いことが理由だ。
しかし小池氏が知事に就任し、五輪関連予算の不透明なカネの流れが問題化。関係者によると、小池氏の意向を受けて、都は組織委に対し監理団体の指定に応じるよう要請をした。都が事業や収支などの調査を行い、監視の度合いを強める狙いがある。
ただ、監理団体の指定には組織委の合意が必要。加えて組織委は都の追加出資分57億円の返還の検討を始めるなど、都の出資比率を下げることで影響力をそごうとする動きも見せている。交渉は難航が予想される。
萩生田光一官房副長官は28日の会見で、「オールジャパンで盛り上げてきた五輪が陳腐化する心配もある」と懸念を表明。都と組織委間で協議するよう求めた。
調査チームが29日に公表する「第1次調査報告書」では、監理団体指定までは踏み込まないものの、任意の協定を結び都の調査が可能になるよう提言する方針。これが都による組織委への関与強化の第一歩となりそうで、組織委側の出方次第ではさらに監理団体化に向けた“圧力”を強めていく可能性がある。
組織委といえば、会長は小池氏と「犬猿の仲」とされる森喜朗元首相(79)。両者の“暗闘”は、まだまだ続く。 ≫(iZa)
小池知事が、あらゆる面において、都民の税金の使い道を「透明化させる」は政治公約であり、都知事として正論を発言している。既得権を手中に収めつつある森喜郎組織委員会長にしてみれば、小池都知事の要請は、“ちゃぶ台返し”に映ると云うのが、現在の状況だ。ただ、原則、予算をオーバーした場合は、一義的に東京都が、その予算の穴を埋める義務があり、それが賄い切れない場合は、国が支援すると云う、極めて曖昧な東京五輪における資金の流れになっている。また、オリンピック後の施設の管理費なども、都民の負担になるので、「都民ファースト」が最大の公約である小池都知事としては、後には引けない政治的ガチンコ対立となっている。この問題は、豊洲移転問題よりも、国際的第三者もIOC等も絡む問題なので、その裁きは厄介だ。しかし、主役が東京都であり、一義的費用負担が都民の肩に圧し掛かる以上、「都民ファースト」知事としては後には引けない大問題になってきている。
そもそも、森喜郎と小池百合子は因縁の関係で、常に二人の間で火花が散っていたわけで、こう云う形でバトル化することは予想されていた。どちらかと云うと、犬猿の仲になる原因は小池百合子から起因することが多いのだが、その原因の多くは、森から見ると小池は礼儀知らずと云う側面が多いのだが、“礼を尽くす”という観念は、世代によっても異なるし、男女においても異なるだろうし、生き様そのものでも異なる等々、価値観の違いである場合もあるので、一概に、小池側に問題があると云う話ではない。政治家として、信念を貫き通してみたり、“過ちては改むるに憚ること勿れ”等々の小池の行動原理が、森の目から不快であったと云うだけかもしれない。
森喜郎が小池を嫌いな理由は数々あるようだ。小池百合子は政界渡り鳥と言われるほど各政党を渡り歩いた経歴を持つ。まず、それがそもそも気に喰わない。その小池を「小泉清和会」(当時は小泉純一郎が会長職だったが、名前は森派)が受け入れたことで、益々小池に対して不快感を示していた。2003年には、小泉純一郎が内閣総理大臣に就任すると、森の反対を押し切り、小泉内閣の環境大臣に就任した。続いて第一次安倍内閣では防衛大臣も歴任した。森の反対アドバイスを、悉く蹴ったが、結果オーライの実績を残した。さらに、2008年には森の反対を押し切り、自民党総裁選に女性初の総裁選に立候補、落選した。(この時当選したのは麻生太郎)。居心地の悪くなった小池は清和会を脱退、無派閥となった。その後、自民都連・石原伸晃‐内田茂‐森喜郎ラインが押した増田寛也をWスコアーで破り、東京都知事に就任した。
森のアドバイスを聞いていたら、小池は只の自民党の、平議員の一人に過ぎず、大臣を歴任も出来なかっただろう。その意味で、権力の臭いに敏感な小池百合子の臭覚も「異才・偉才」である。逆に見ると、以外に似たもの同士なのかもしれない(笑)。考えてみれば、森喜郎が小渕内閣時代に自民党幹事長をしていて、問題の5人組による「小渕のひと言」(話せたとは思わないが)で、あっさり内閣総理大臣になったあたりも、中々抜け目ない。
また森喜郎は、現在の東京五輪組織委員会長と云う立場への就任にも、“5人組による「小渕のひと言」”のように、間隙を縫って、ちゃっかりその椅子を射止めている。猪瀬元東京都知事が2013年末に退任し、2014年2月に舛添前都知事が就任するのだが、何と!驚くなかれ、この空白期間である、2014年1月に森氏は、スルスルと五輪組織委会長に就任している。小渕元首相の脳梗塞の時同様に、空白地帯で権力の頂点に就任している。官邸主導だと云うのだが、誰が、どのような権限で任命したのか、その経緯は謎のままだ。猪瀬は、五輪組織委員会の人事は、都とJOCで決めると息巻いたわけだが、猪瀬は森喜郎就任だけは阻止しようと決意していたようだ。
ところがだ、猪瀬元東京都知事は、唐突にタイミングよく「徳洲会5000万献金事件」が表面化し、あえなく退陣となった。どうも、東京都には妖怪が棲んでいるらしい。安倍晋三のバックボーンも何故か森喜郎であるし、石原慎太郎都知事時代も、内田茂‐森喜郎ラインが存在し、参議院会館建設問題で猪瀬が横槍を入れて潰した辺りから、内田‐森ラインは、陰謀を企てていた可能性が濃厚だ。猪瀬が都知事立候補するに際し、「奴には選挙資金がない…。であれば、罠にすぐ喰いつく……」。“ド~コの誰かは知らないけれど、ピッタシかんかんで罠に嵌ってドンブリコ♪”そういうシナリオも想定内の話だ。舛添の失脚にも似たような空気感がある。
まあ、推理作家的な推論だが、当たらずと雖も遠からじと云う、絵図である。小池にしてみれば、非常に危険な勝負に出ているわけだが、彼女が若狭 勝(元東京地検特捜部副部長)を側近にした理由も肯ける。小池にしてみれば、“森喜郎‐内田茂‐官邸”を敵に回すわけだから、自分のリスク管理には余念がないところを、敢えて敵側に見せつけた可能性もある。小池の臭覚は、守屋防衛事務次官の首に鈴をつけ刺し違えたわけだ。小池は防衛大臣の再任を断った。そして、守屋は退任後に内田洋行事件で逮捕されると云う大騒動があった。この時も、東京地検と小池の関係には?があったが、意外に、小池知事は、検察庁、法務省との間に、強い繋がりを予感させるものがある。そう云う意味で、森喜郎も、猪瀬や舛添のように、簡単に料理できると思っていると、己の身に災難が降りかかることも念頭に置くべきだろう。小池は刺し違えも厭わぬ政治家なのだ。
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