世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●仲井真知事の裏切り行為は辞任が正論、リコールは前途多難、言論で追いつめろ

2013年12月31日 | 日記
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●仲井真知事の裏切り行為は辞任が正論、リコールは前途多難、言論で追いつめろ

 仲井真知事は会見で「最大の公約違反をした。政府の圧力に屈し、沖縄の人々との約束を反故にした点は素直に謝罪する。当然のことだが、知事職の辞職も視野に入っている」とでも述べるものかと思いきや、まったく、何ひとつ悪びれる姿を見ることは最後まで、ペパーから目を上げなかった。空恐ろしい男である。

 闇取引により、沖縄県民に対する堂々たる公約違反を犯した知事なのだから、彼を選んだ有権者には、彼を知事の座から引きずり下ろす権利も保有している。これが、地方自治法で定められた、被公職者(知事)を解職請求する直接請求制度(リコール)である。ウィキペディアによると、以下のような制度になっている。

≪ リコールの制度
都道府県知事・市町村長の解職 選挙権のあるもの(有権者)の3分の1以上(40万を超えるときは、40万を超える数の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上、80万を超えるときは、80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上)の署名を集めて選挙管理委員会に請求できる(地方自治法第76条第1項及び第81条第1項)。

請求が有効であれば、請求から60日以内に住民投票が行われる(地方自治法第81条第2項)。投票の告示は、都道府県知事については少なくとも投票日の30日前に、市町村長については少なくとも投票日の20日前にしなければならない(地方自治法施行令第116条の2)。

解職投票において有効投票総数の過半数が賛成すれば、その首長(都道府県知事・市町村長)は失職する(地方自治法第83条)。ただし、投票前に対象の首長が職を失い又は死亡した場合は解職投票を行わない(地方自治法施行令第116条の2)。 その首長の選挙から1年間(無投票当選を除く)又は解職投票日から1年間は解職請求をすることができない(地方自治法第84条)。 ≫(ウィキペディア)

 直近の沖縄県の有権者数は1,097,023人であるから、仲井真知事への解職直接請求の住民投票を行うためには、225,000人の署名が必要となる。100万人を超える有権者の30%以下で、知事を解職する為の住民投票(直接請求権)が成立するのだから楽勝な感じもするが、現実はかなりの困難が待ち構えているようだ。現実に、知事のリコールと云うものが、いまだ日本では成立した例がない。つまり、短絡的な答えだが、10万人、20万人の署名を集めるエネルギーは並大抵のものではない事が窺える。今までに成立しものは、市長町長レベルで、県知事のリコールは一回も成立していない。

 現在、公私混同が顕著になってきて、歯止めが効かなくなってきた伊藤祐一郎鹿児島県知事に対するリコール運動が語られているが、12月18日にリコール運動を断念すると声明を出している。鹿児島の場合、27万人の署名が必要だったようだが、署名数は10万程度に留まった模様だ。≪「県知事リコール組ネバーギブアップ」事務局≫さんのページには、署名簿記載の注意書きが掲載されている。

≪ 署名簿記載の注意
 回収した署名簿の中に,市町村がごちゃまぜになっているものが,少なからず見受けられます。 署名簿は市町村別です!! 無効になったら本当にもったいないので,どうかよろしくおねがいします。
受任者の皆様へ 委任状(印鑑の押してあるページの始まりのページ)に住所,氏名,生年月日,性別が抜けているものがあります。 お忘れないようお願いします。
請求代表者の皆様へ 請求代表者の署名簿には委任状はついていません。
とにかく市町村別に分けて署名を頂いて下さい。
署名簿の記載の仕方にご不明な点があれば,どんなことでも事務所にご連絡ください。  ≫ (県知事リコール組ネバーギブアップHP)

 知事のリコールと云うレベルになると、上記の「署名簿記載の注意」を読んでも判るように、公職選挙法に基づく投票に比べ、個人の露出度が俄然高くなる。住所、氏名、生年月日を、同一の趣旨を有する人々に託すとしても、かなりのハードルになるのはたしかだ。沖縄に於いてはどうだろう。個人の思想信条や個人情報が他人に晒されると云う逡巡が薄らぐだろうか。そんなことはあり得ない。逆に、沖縄の場合、その逡巡度は増すばかりだろう。沖縄タイムス、琉球新報は社説で、仲井真知事に辞任、信を問えと言及している。沖縄のメディアの怒りは、その社説の1行1行に表れている。この社説を読む限り、沖縄県で、史上初の知事リコールが実現するかも、と思ってしまうのだが、署名集めの要件等を眺めてみると、沖縄の共同体としての融和さが、足枷になると云う不安もつきまとう。

≪ 知事埋め立て承認 即刻辞職し信を問え 民意に背く歴史的汚点
 仲井真弘多知事が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請を承認した。「県外移設」公約の事実上の撤回だ。大多数の県民の意思に反する歴史的汚点というべき政治決断であり、断じて容認できない。
  知事は、2010年知事選で掲げた「県外移設」公約の撤回ではないかとの記者団の質問に対し「公約を変えたつもりはない」と述べた。しかし、どう考えても 知事の説明は詭弁(きべん)だ。政府も当然、知事判断を辺野古移設へのゴーサインと受け止めるだろう。知事は責任を自覚して即刻辞職し、選挙で県民に信を問い直すべきだ。

見苦しい猿芝居

 知事の声明は法律の適合性についての根拠が曖昧なほか、安倍政権の基地負担軽減策を恣意(しい)的に評価しており、詐欺的だと断じざるを得ない。
 安倍政権の沖縄に対する思いを「かつてのどの内閣にも増して強い」と評価した。政権与党が自民党の県関係国会議員や県連に圧力をかけ「県外移設」公約を強引に撤回させたことなどまるで忘却したかのようだ。知事の政権評価は、県民の共感は到底得られまい。
 首相が示した基地負担軽減策で、普天間飛行場の5年以内の運用停止は「認識を共有」との口約束であり、日米地位協定は抜本改定ではなく新たな特別協定締結に向けた「交渉開始」と述べただけだ。
 米海兵隊輸送機MV22オスプレイについても、訓練の移転にすぎず沖縄への24機の常駐配備に何ら変化はない。要するに負担軽減の核心部分は、実質「ゼロ回答」なのだ。辺野古移設反対の県民意思を顧みない知事判断は、県民の尊厳を著しく傷つけるものだ。
 日米両国が喧伝(けんでん)する自由・民主主義・基本的人権の尊重という普遍的価値の沖縄への適用を、知事自ら取り下げるかのような判断は、屈辱的だ。日米の二重基準の欺まん性を指摘し「沖縄にも民主主主義を適用せよ」と言うのが筋だ。  知事の埋め立て承認判断は、基地問題と振興策を取引したこと一つを取っても、国内外にメディアを通じて「沖縄は心をカネで売り渡す」との誤ったメッセージを発信したに等しく、極めて罪深い。
 辺野古移設で取引するのは筋違いだ。振興策も基地負担軽減も本来、国の当然の責務だ。その過大評価は県民からすれば見苦しい“猿芝居”を見せられるようなものだ。

再び「捨て石」に

 知事は25日の安倍首相との会談の際、「基地問題は日本全体の安全保障に役立ち、寄与しているという気持ちを持っている。われわれは今(政権の)応援団。ありがとうございます」とも述べた。
 強烈な違和感を禁じ得ない。沖縄戦でおびただしい数の犠牲者を出した沖縄の知事が悲惨な歴史を忘却し、軍事偏重の安全保障政策に無批判なまま、沖縄の軍事要塞(ようさい)化を是認したに等しい妄言である。今を生きる県民だけでなく、無念の死を遂げた戦没者、沖縄の次世代をも冒涜(ぼうとく)する歴史的犯罪と言えよう。
 知事の言う「応援団」の意味が、軍事を突出させる安倍政権の「積極的平和主義」へ同調し「軍事の要石」の役割を担う意思表明であるならば看過できない。沖縄戦で本土防衛の「捨て石」にされた県民が、再び「捨て石」になる道を知事が容認することは許されない。
 知事の使命は、県民の生命、財産、生活環境を全力で守り抜くことであるはずだ。知事は県民を足蹴(あしげ)にし、県民分断を狙う日米の植民地的政策のお先棒を担いではならない。
 県民大会実行委員会や県議会、県下41市町村の首長、議長ら県民代表が「建白書」として首相に突きつけたオール沖縄の意思は、普天間飛行場の閉鎖・撤去と県外移設推進、オスプレイ配備の中止だ。県民を裏切った知事の辞職は免れない。 ≫(琉球新報社説)


≪ 社説 [知事埋め立て承認] 辞職し県民に信を問え
 政治家の命綱である「選挙公約」をかなぐり捨てた姿というほかない。だが、本人はそうは思っていない。埋め立ては承認したが、「県外移設」の公約は変えていない、という。県外移設を実現するために、政府から何の担保も取っていないのに、である。こんな説明で県民の理解が得られるとほんとに思っているのだろうか。
 政治家の公約は有権者との契約である。知事はもはや、県民の負託を受けた政治家としての資格を自ら放棄したと言わざるを得ない。
 米軍普天間飛行場の移設に向けて国が県に提出していた名護市辺野古沿岸部の埋め立て申請を、仲井真弘多知事は27日承認した。辺野古移設を認めたということだ。
 知事選で県外移設の公約に1票を託した有権者への裏切り行為である。
 知事は記者会見で、辺野古移設を承認したことと、県外移設の公約との矛盾を問われると、県外移設の公約を変えていない、と声を荒らげ、説明を拒否した。
 17日に首相官邸で開かれた沖縄政策協議会以来、知事に決定的に欠けているのは県民への説明責任だ。それは27日の記者会見でも果たすことがなかった。記者とのやりとりはわずか30分余り。県の方から一方的に打ち切った。
 知事は、県外移設の公約と、辺野古移設は併存するという。その理屈が分からない。辺野古移設は時間がかかるため、5年以内に県外移設するのが「普天間の5年以内の運用停止」の意味のようだ。
 だが、過去の経緯を見ても分かるように、本土で具体的な地名が出るたびに地元から反対運動が起きてみんな頓挫しているのが現状だ。
 知事が根拠としているのが、安倍晋三首相との会談で、首相が危険性除去は最大の課題であるとの「認識を共有している」との表明である。
 沖縄の基地問題で、これまでなされた閣議決定、総理大臣談話でさえほごにされているのにである。首相の表明が「口約束」にすぎないことは、知事本人が一番知っているはずだ。
 事務レベルで最後まで可否判断を保留していた環境保全については「現時点で取り得ると考えられる措置等が講じられている」として基準に適合していると判断した。本当にそうだろうか。
 ジュゴンやウミガメの保護、投入土砂に混入する恐れのある特定外来生物は不確定要素が大きい。県は、留意事項として国に専門家や有識者で構成される環境監視等委員会(仮称)を設置することを求めているが、実効性があるか不透明だ。承認ありき、としか見えない。
 本社が実施した直近の2種類の世論調査では「承認するべきでない」が64~72%に上り、「承認するべきだ」はいずれも約22%にとどまっている。知事と有権者の信頼関係は破綻したといっていい。知事の言葉が信を失っては、業務を遂行するのは不可能だ。
 仲井真知事は、1995年の米兵による暴行事件を受け、大田昌秀県政が米軍用地強制使用問題で代理署名の拒否をめぐり政府と対峙(たいじ)していたころの副知事を務めた。
 当時を知る関係者によると、「なんで県が中央と事を構えるのか」と言い、副知事として応諾の文案をつくる役回りを演じたという。2006年には当時の政府案を拒んでいた稲嶺恵一知事に「政府と事を構えるのはいかがなものか」といさめた。仲井真知事は旧通産省の官僚出身で、官僚体質がしみ込んでいる。その最も悪い部分が表れたのがこの日の記者会見だった。
 知事は記者会見を県庁で開くことができなかった。警備上の理由から、知事公舎に移した。警察に知事公舎を守られながら開かざるを得なかった記者会見が、知事の埋め立て承認の正当性に疑問符が付くことを象徴している。
 知事は会見で名護市民に対し何の言及もしなかった。17年間も地域を分断された市民の苦悩に思いをいたしているようには見えなかった。
 多くの県民は「平和的生存権」「環境権」「人格権」「公平・公正な基地負担」をかけて辺野古移設問題に向き合ってきた。その主張の正当性は高まるばかりだ。 ≫(沖縄タイムス社説)


 以下は、沖縄新報と沖縄テレビが行った世論調査の結果だ。詳細への言及は避けるが、仲井真知事への支持が38・7%もある点が意外だった。これにリコールの署名要件を加味して考えると、仲井真知事のリコール運動と云うのは、多難なようだ。その為か、沖縄の二大新聞の社説は、仲井真知事の自発的辞任を強く求めていたのかもしれない。 及ばずながら、筆者も事あるごとに、仲井真バッシングをすることに。鳩山由紀夫も、有料放送にうつつを抜かさず、空中戦ばかりせずに、平場に出てきて、仲井真への糾弾街頭演説でもすべきだろう。この問題に、一番強く関わったの総理だと云う自負があるのであれば、街頭に立ち、仲井真の不誠実さを沖縄の人々に訴えるべきである。

≪ 2013年12月30日
 琉球新報社は沖縄テレビ放送(OTV)と合同で28、29の両日、緊急の県内電話世論調査を実施した。仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古 移設に向けた埋め立てを承認したことについて、支持しないと回答したのは計61・4%に上り、支持するとした計34・2%を大きく上回った。県外移設を公約に掲げる知事の埋め立て判断を公約違反としたのは計72・4%に達した。自民党の地元国会議員や県連に圧力をかけ、県外移設から公約を方針転換させた政府・自民党の姿勢に「納得できない」としたのは72・6%。知事の埋め立て承認に反発し、公約違反だとみなす意見が大半を占める一方、安倍政権の強引な手法を批判する世論が浮き彫りになった。
 普天間飛行場の返還・移設問題をどう解決すべきかについては県外・国外、無条件閉鎖・撤去を求め、県内移設に反対する意見が計73・5%に達した。辺野古移設の支持は15・9%、辺野古を含めた県内移設支持は22・6%にとどまった。
 仲井真知事を「支持する」との回答は38・7%にとどまり、不支持の53・9%が大きく上回った。
 一方、安倍内閣の支持率は37・1%で、不支持率は54・8%で県内では不支持率が上回った。
 仲井真知事が安倍晋三首相に求めた「普天間飛行場の5年以内の運用停止」など米軍基地の負担軽減策に関する要望に対し、政府が示した負担軽減策を「評価する」としたのは28・2%にとどまった。「評価しない」は69・2%に達した。
 仲井真知事の埋め立て承認について「支持しない」が39・6%と最も多く、「どちらかと言えば支持しない」21・8%、「どちらかと言えば支持する」18%、「支持する」16・2%―と続いた。「分からない・無回答」は4・4%。
 仲井真知事の判断について「公約違反と言われても仕方がない」が42・5%で最も多く、「公約違反」29・9%、「公約違反とまでは言えない」16・7%、「公約違反には当たらない」7・7%―と続いた。「分からない・無回答」は3・2%だった。
<調査方法>  調査は28、29日の2日間、県内の20代以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に電話番号を発生させて電話をかけるRDD(ランダム・デジッ ト・ダイヤリング)法で実施した。電話帳に番号を載せていない人も調査が可能で、性別、年代別など有権者の縮図に合わせた精度の高い調査ができる。有権者 のいる世帯にかかったのは1556件で、うち854件から回答を得た。 ≫(琉球新報)

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●「靖国神社」は「戦争神社」と海外から呼ばれ、隠れ「長州神社」であり軍部神社

2013年12月29日 | 日記
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●「靖国神社」は「戦争神社」と海外から呼ばれ、隠れ「長州神社」であり軍部神社

 靖国神社とは、筆者にとって千鳥が淵に連なる桜の名所であり、九段の坂の上に存在する神社に過ぎない。そして、戦争により命を失った人々の慰霊を祀った、特殊な神社と云う知識しか持ち合わせていない。故に、神道との深い関わりについて、多くを語れる立場ではないが、この神社の歴史が驚くほど浅いことに気づいてから、なんだろうこの神社は?と云う疑念は常に脳裏の奥底で眠りを貪っていた。

 この神社の始まりは、戊辰戦争の戦死者を祀ることに端を発している。「戊辰戦争」なんて、明治元年に起きた戦争である。王政復古を唱える(天皇の政治利用)薩摩長州新政府軍VS幕府・奥羽越列藩同盟の戦いである。ご存じのように、政府軍が勝利したのが戊辰戦争。つまり、我が国が国際社会の一員となる為に行われた「内戦」と云う位置づけに置くことが出来る。そうして、新日本政府が日本の代表と認められた。しかし、この明治維新のお陰で、我が国は長い富国強兵、覇権国を目指す軍事国家の道を歩むことになったのが史実である。

 この「戊辰戦争」の戦死者を祀るために設立したのが「靖国神社」であり、薩長軍の戦死者を、朝廷(明治天皇)が神社を建立し、祀ったのが始まりである。実は、第一に「靖国神社」の性格を知る上で、とても重要なポイントである。第二のポイントが、薩長軍から薩摩のドロップアウトと長州の跋扈と云う史実だ。つまり、靖国神社の歴史を見ていくと、色々と難しいことが書かれているが、背骨には朝廷を利用し、長州のために戦った戦死者を祀る、長州神社と云う色彩を色濃く持っていることも忘れてはならない。*当然のことだが、安倍晋三は山口長州の人間である。

 靖国神社が長州神社では、日本国の代表的神社の地位に祭り上げるのは、どう考えても恥ずかし過ぎる。そこで、その後の国内におけるいざこざで命を失った政府側の者も祀った。故に、会津藩の戦死者は、その争いにおける立場の違いで、祀られた戦死者と祀られない戦死者(白虎隊)が生まれた。西南戦争における扱いも同様だ。表向きは、朝廷に逆らう者は祀らない神社だが、朝廷自身が、その判断を下したと云うより、新政府の役人たち(殆ど長州人)が祀る人々を決定した神社と云うことだ。その意味で、安倍晋三(長州人)が靖国を参拝しなかったことが「痛恨の極み」になるわけである。単なる個人的心の問題だわな。

 その後靖国は、我が国の内戦終了により、祀る戦死者がいなくなり、英霊不足に見舞われる。そこで、そうだ!外国と戦ってなくなった人も祀れば、「長州神社」と呼ばれずに済むわい、と膝を叩いたに違いないのだ。つまり、“メクラマシ”として、日清、日露戦争の戦死者をも祀る神社に変貌を遂げる。その上都合の好いことに、表向き明治天皇が造られた神社と云う看板があるので、国章である“菊の紋章”を使っても異論は出ない、と云う按配になる。そうして、「長州神社」は、お国のために戦って亡くなった英霊を祀る神社モドキに変容していく。

 特に明治大正昭和の歴史を通して、靖国神社は帝国陸海軍の施設の一部を構成するに至り、第二次大戦に赴く兵士は、靖国に帰還すると云う、奇妙奇天烈な言説を押しつけられたのである。靖国に帰還する=戦死、と云うことで、戦争で死ぬことを美徳とする色彩まで帯びたのである。合理性とか、人間性と最も離れた部分に存在する神社であり、伊勢神社など、古来の歴史に基づく神道の神社だと認識する事には、ドデカイ抵抗の存在する神社である。ただ、この神社が長州勢力に支配されている神社であるため、政府の神社なのだから、当然、 その後の日本神道(神社)における活動の核となり、その個別の藩閥神社の特長を薄めていったに過ぎない。

 個人的には、明治維新が大和の国崩壊の幕開けであったと認識するので、当然、維新のけん引力であった長州藩を祀る神社など、お参りする事はない。伊勢神宮とは、天と地の開きがあり、大国魂神社とも比べものにならない。靖国は、国家権力を権威付ける国家装置であり、それ以上でも以下でもない、と云うことに過ぎない。貴様は戦死者に対し、慰霊をしないのか!と叫ぶバカもいるようだが、慰霊の形には様々な形があり、人様にトヤカク言われる筋合いはないし、まして国家などの権力から強制されるものであるわけがない。

 明治維新以降の軍事史と軸を同じくし、天皇の名を語り人工物として作り上げられたのが靖国神社であり、古来の我が国が信仰と関わる神道とは似て非なるものであること肝に銘ずべきである。日本政府が、歪曲的に、捻りに捻って生み出した「国家神道」等と云うイカサマ神道紛いに騙されて現を抜かす軍事オタクには、頭を抱えてしまう。単に感情のフックに引っかけられたダボハゼであり、無知蒙昧の権化と言えるのだろう。第二次大戦の敗戦における落とし前は、原爆を落とされ全面降伏しただけではない。世界を巻き込む戦争を主導した日独伊に、それ相当の落とし前をつけて貰う約束が、戦勝国の強奪品となり、その概念は、残念ながら今持って厳然と生きており、国連の安全保障理事国を構成している。この事実に目を背け、ただ威勢のイイ話に興じても意味はないだろう。余程の戦略的行動が必須で、ドイツの例に見習うのが、世界の常識になりつつある事も考慮しなければならない。

 つまり、敗戦国の落とし前は、ヒットラーのナチスズムであり、ムッソリーニのファシズムであり、東条の軍国主義ある。つまり、戦争の責任を誰かや何らかの勢力に押しつけることで、世界戦争に決着をつける必要があったのだ。本来、東条(軍部代表)の軍国主義が“誰かや何らかの勢力”であるのか、天皇に帰依する問題なのか、無論議論の余地はある。しかし、日本と連合軍の話し合いに於いて、“誰かや何らかの勢力”は天皇ではなく、軍部と云うことで決着した。この決着が基礎となり、現在の民主主義国家日本が成立している以上、この決着にチャチャを入れることは、連合国を明らかに刺激し、新たな感情のフック勢力の台頭を許すことになる。

 このように、現在の世界情勢の枠組みを基礎に成り立っている、民主主義や資本主義の恩恵の中で、我々は、何故か上手に生きて来た。無論、その方が連合軍にとって有益だったから、と云う議論の余地もある。しかし、その枠組みで利益を享受し、世界一の債権国になっている事実に目を背けるのは、ルール違反だと云う誹りを免れない。そのような戦後の枠組みを無視して、戦前の陸海軍の記念碑が大量に並び、歴史な浅い長州藩賛美の神社(靖国)を信教の自由と云う言説で、逃げおおせるとの思うのは、大変な間違いである。その意味で、中国韓国はいざ知らず、欧米各国、ロシア、ユダヤ協会等々が、安倍靖国訪問を徹底的に糾弾する意味合いがあることを、我々は肝に銘じておく必要がある。

 米国大使館のFB掲示板が炎上しているようだが、“チームセコウの仕業”と揶揄されている。一時の感情に釣り上げられた雑魚の吹き溜まりなのだ、と米国が笑って見逃せばイイのだが……。果たして、米国の器が如何なるものか、結果を注視しておこう。かなり不愉快な現実を認識しなければならないのが、戦後の日本の歴史であり、連合国勢力がはびこる国連における立場だたと云う認識も必要だ。一時は経済力を振りかざし、それなりの存在感を示していたが、国連における安保理事国五カ国が存在する限り、士農工商的な国家の地位差別は存在する。そこで存在感を示さない限り、貧乏代官に取り入る豪商であっても、無礼打ちが行われる危険を包含している事も忘れないようにしたいものだ。

 以上、筆者の浅学による靖国神社の立ち位置の概要は、多くの外国が共通的に持つ概要と似ているので、今さらのように、日本政府が話せば判る、と云った付け焼刃な弥縫策やご説明で言い逃れられる問題ではない。今後、どのような影響が我が国を襲うか予断を許さないが、これこれのペナルティーとして、と云う行動や対応ではなく、真綿で首を絞められるようなジワジワな日本排除論が世界の共通認識になる危険性さえ感じさせる。正直、“ままごとごっこ”を安倍晋三が行っている点は、日本の知識人に共有されているようだが、それを理解する世界の国々ではないと思う。

歴史認識を問い直す 靖国、慰安婦、領土問題 (角川oneテーマ21)
東郷 和彦
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●金平キャスターに切り込まれ周章狼狽の仲井真 こんな筈ではと腹が痛くなる安倍晋三

2013年12月28日 | 日記
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●金平キャスターに切り込まれ周章狼狽の仲井真 こんな筈ではと腹が痛くなる安倍晋三

 大胆な予測をしておこう。筆者の予測は当たらないと評判なので(笑)、外れても何の痛痒もない。その予測は、靖国信仰に帰依する人々にとって許し難いことなのだが、日本が東アジアにおける孤立、延いては全世界からの孤立から逃れる手段は、もう僅かに一つしか残されていない。その僅かな手法も、中国や韓国からは“めくらまし”と批難されるだろうが、世界的世論を全面的に敵に回す危機からは、逃れられるだろう。その選択とは、靖国からA級戦犯の合祀を取り除くか、否応なく戦場に駆り立てられた兵士の英霊の御霊を、千鳥ケ淵戦没者墓苑に祀ることである。この件に関して、多くを語るつもりはないが、中韓を除く国々の政府は一定の範囲で、日本政府の決定を評価するだろう。

 上述のような快挙な行為を安倍晋三が決定しない限り、彼が内閣総理大臣の椅子に座っていられるのは、半年程度と思われる。中国や韓国からのバッシングは、いまさらの感があり聞き飽きている(笑)。一種、彼らの日本評価の枕詞のようなもので、仲違いしている当事者同士の評判など、一顧だの意味さえない。しかし、その他のアジア諸国や欧米露の評価は気にせざるを得ない。なにせ、グローバルに展開する経済的ダイナミズムには欠かせない資格者の要素であるからだ。無論、個人的には鎖国的内向国家が日本人向きだと思っているので、そういう筆者自身は異次元に存在する(笑)。

 それはさておき、沖縄県の仲井真と云うオッサンを片づけておこう。仲井真と云う男の顔には、裏切り者の相が額にも、眼球にも、指先にまで刻印されているではないか。あのような相の男を知事にしたこと自体、根本的に間違っている。官房機密費がどれ程動いたのか、筆者は知る由もないが、初めから、仲井真の裏切りは想定内なのではないのだろうか。TBSの金平キャスターにヤリ込められ、周章狼狽を逸脱、ブチ切れるありさまだった。意味不明の理屈を並べ立て、もう何を言っているのか、本人すら判らない程、極度のパニックを起こしていた。産経さんが、ご丁寧に金平と仲井真問答を紹介している。

 ≪ 辺野古埋め立て申請承認 「何を言いたいんですか」記者にいらだつ仲井真知事
 沖縄県の仲井真弘多知事は27日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に向け、同県名護市辺野古の埋め立て承認を表明した記者会見で、知事の「日本語能力」をネタに質問したTBSの金平茂紀キャスターに激しく反論した。主なやりとりは以下の通り。

 金平氏「仲井真さんは、日本国民としての日本語能力を、常識的な日本語能力をお持ちの方だと思うからお聞きするのだが、公有水面の埋め立ての申請があった場所は県内か、県外か」

 県土木建築部長「埋め立て申請のあった場所は当然県内でございます」

 金平氏「県内に埋め立てをして、そこに移設をしようという、その承認を求めるところに今日公印を押されているんですね。  交付されたということは、辺野古に、つまり県内移設を認めるということに同意されたというふうに、普通の一般的な日本語の能力を持っている県民の方が理解するというのは当たり前のことだと思いますよ。
 それと、今、おっしゃってた県外移設を自分の公約としてこの間の参院選の時におっしゃいましたね。それを覆しているという思いはないというふうなことをおっしゃってましたが、どう考えたってですよ、どうやってその間に整合性を付けるのか。
 片方では県外移設については私は変えていないと言いながら、県内移設を進める方のもとに県知事が承認をされたんですよ。県知事っていうのはロボットじゃないですから、明らかに」

 仲井真氏「今のご質問ですか。私に対する批判ですか。何を言いたいんですか。要するに。質問をしてください」

 金平氏「その整合性について、どういうふうに説明をするのかということを申し上げたいんです」

 仲井真氏「だから説明をずっとしているじゃありませんか。何をご質問されてんですか。要は。  だから承認をしましたよ。これは法の手続きに従って承認をしたんです。それで、どこがどうだとおっしゃってるんですか。ご質問の趣旨が。
 私もあなた同様に、日本語はあんた並みには持っているつもりですが、何ですか」

 金平氏「えー、ですから申し上げてるんですが…」

 仲井真氏「ですから、私も聞いとるんです。ちゃんと質問してください」

 金平氏「整合性について、どういうふうに…」

 仲井真氏「だから、どこがどう整合、不整合だと思っているんです。質問のご趣旨がよく分かりませんよ」

 金平氏「埋め立てを承認するという立場と県外移設を進めるという立場が、この声明の中では併存しているんじゃないかということを申し上げている」

  仲井真氏「当然でございますよ。だって、まず(日米)両政府が、辺野古に埋め立てしたいということはどうぞと。これ、どうぞっていうより、それは法律上の手続きとして承認致しますと、こういうことですよ。
 だけど、これいったい何年かかるって、あんた現実を今度は見てください。あなたも有名な方だとすれば。
 何年かかるか分からないのに、この基地がそのまま宜野湾の真ん中にあり続けるということに問題があると、県知事として前から申し上げているんです。危険だから。これは両政府も前からそう言ってんですから」
 「だから、これは一方で早く、この危険を減らす、ゼロにするというのは、これは安倍晋三首相も菅義偉官房長官も共有していると言ってるじゃありませんか。だから、これはこれで手を打たないとダメなんですよ。
 だから、これは辺野古だとかなりの時間がかかるから、この間今政府は9・5年と言っているんですか、おそらくこれはかかると僕は予測をしています。
 そうすると、それよりももっと早く、どこかこの機能を停止させ、移すしかないじゃありませんか。これは並行して存在し得ると言っているんです。当然でしょ」

 金平氏「並行して…」

 仲井真氏「どこが。当たり前じゃありませんか。だって、長年かかる。まだその5年ぐらい以内にもっと移せる場所を探せと言っているんですから。探してもらいたい。それで探しましょうと政府は言っているんですから。そのご質問は政府にもぜひやられたらいいですよ」

 金平氏「先ほど(他のマスコミの)記者がおっしゃったように、この承認によって日米両政府が辺野古移設に向けて淡々と作業を進めていくのではないか」

 仲井真氏「それはあなたに言われなくても政府の仕事ですよ。それで」

 金平氏「県知事としての高度な政治判断というのはあるでしょう。これはただ申請があったから、そのまま適格かどうかを認めるというだけではなくて、県知事としての政治判断というのはあるでしょう」

 仲井真氏「ですから、ぜひね、簡潔なちょっと質問の形式にしてくれませんか。今あなたと議論を僕はする気は毛頭ありません」

 金平氏「する気がないのであれば、私が今申し上げたようなことに対して、県知事がおっしゃっているような答えが県民にもし理解が得られないとした場合は、県知事としての責任をどうお考えか」

 仲井真氏「そういうことが質問に、もし何々であればどう責任を取りますかというのを、あなたに聞かれる理由は1つもありません。もうここに書いてある通り だから、今日はここだけをよく読んで、理解をしていただきたいと思うんです。もし、理解ができなければ、ではありません。あなたの方でまずこれ読んで、普天間基地の問題をよく理解していただきたいというのが私の切なる願いですよ」  

 金平氏「今この瞬間も…」

 仲井真氏「ですから、もう終わりませんか。あなたとのこのお互いの議論のやり取り」 ≫(産経新聞)


 仲井真知事は、官邸内部の官僚から授かった複雑なロジック、普天間の早期廃止が第一の目的で、辺野古移設容認は、一種の方便であり、今後どのような展開を見せるか判らないのだから、先ずは一旦撤退して、日米両政府に花を持たせた上で、県外移設の道も探るわけだから、論を捨てたわけではない。今まで通り、辺野古移設はモラトリアム状態であり、公約違反にはなっていない。それよりも、喫緊の果実を得るのも知事の役目である、と言うべきところ、何処かで歯車が狂ったのだろう。途中から説明に整合性がなくなった一番の原因は、整合性がないと云う言葉への興奮だった。そして、役人からのレクチャーの手順を間違えてしまい、立ち往生した。この知事の命運も尽きかけている。

 そうそう、命運が尽きかけているといえば、我が国の内閣総理大臣、安倍様運命も、相当に危なくなっているようだ。前述したように、安倍政権危機脱出の選択は極めて限られてきた。どうにか期待感含みで支持率48%を死守していたわけだが、今回の靖国参拝で10ポイント近く支持率を落とすかもしれない。そんなことを考えるだけでも、腹が痛くなりそうだ。しかし、支持率低下による腹痛よりも、もっと腹が痛くなりそうな事態の接近が、兜町では囁かれている。それが、新春早々からの株価の大暴落である。何故、そのような事が起きるのか、詳細は判らないが、海外資金のリスク回避行動が雪崩をうって起きるのではないかと云う不安である。以下はブルンバーグの社説だが、フィナンシャル同様、安倍政権の暗雲を示唆している内容のようだ。


 ≪ 無益な力の誇示、日中の国力をそぐだけだ-社説
 12月27日(ブルームバーグ):日本の指導者が靖国神社を参拝するのにちょうど良い時期というのはあり得ない。安倍晋三首相の26日の参拝は特に波紋を広げるものだ。 1978年に東京裁判のA級戦犯14人が合祀(ごうし)されて以来、政府高官の靖国参拝のたびに、第2次世界大戦中に日本軍の残忍な占領に苦しめられた近隣諸国の激しい怒りを招いてきた。

  これが日本の天皇がそれ以降、靖国を参拝しなくなった理由であり、安倍氏が2006-07年の第1次内閣時代と、1年前の現政権発足以来、参拝していなかった理由でもある。安倍氏のこのような自制は、中国と韓国の指導者からこれまでに寄せられたかもしれない以上に、称賛に値する。

 だが、26日の靖国参拝で、安倍氏は獲得し得た名声を逃した。中国の習近平国家主席が同じように対立的な態度を取ったことで、日本が北東アジアで道徳的に優位な立場を取り戻したかに見えたまさにその時に、首相は参拝した。

  日本や韓国が領土と主張するさまざまな諸島や岩礁を含む東シナ海に、習政権が一方的に防空識別圏(ADIZ)を設定したことで、威嚇的な覇権国としての中国脅威論が再び台頭した。日本は今月、防衛予算の増加と一段と積極的な防衛戦略を発表したが、中国以外からは抗議の声は上がらなかった。しかし、仮にこの発表が今週であれば、反応は全く違っていただろう。

 安倍首相と習主席の考えはいったい何なのか。楽観論者に言わせれば、アジアの2人の指導者は単に戦略的に振る舞っているにすぎないかもしれない。両者とも野心的で困難な経済改革計画を打ち出した。恐らく、強硬派を今なだめておくことで、将来、別の領域で反対を未然に防ぐという論理展開なのだろう。両指導者は、より決然とした外交政策を、日中それぞれの経済再生の当然かつ不可欠な要素と考えている可能性が大きい。

 そうだとすれば、2人とも間違っている。脅威は相互に及ぶからだ。日中ではこれまでのところ、構造改革はまだ議論の段階にとどまっている。両国経済が抱える課題の大きさは、今年初めに比べ小さくなっていない。過去数週間を振り返っただけでも、中国の指導者は銀行間の流動性逼迫(ひっぱく)などに直面した。 極めて大規模な金融緩和が円相場を押し下げ、日本の輸出企業の利益は上向いたが、日本の労働者や小売店、飲食店のレジにこれまでよりも多くのお金が流れるようになったわけではない。外国との対立は、日中が強く必要としている活力と集中力の邪魔になるだけだ。

 両国にとって、攻撃的な姿勢は地政学上も成果に乏しい。中国の防空識別圏設定は太平洋地域での米国の軍事的優位を押し返そうと狙ったものでもあったが、これを受けて米国の外交政策はむしろアジアへの重点移行を再び強めることになった。米政府当局者がアジア地域を訪れれば、米国の安全保障面の支援の申し出に耳を傾け、大歓迎するありさまを目にする。

  中国側の戦略に米国が断固たる反応を示したことに、日本は感謝した。だが、米政府当局者は、アジア地域の全ての当事国が緊張を和らげるよう協力することを期待すると繰り返し強調しており、安倍氏がこれを故意に無視していることを不快に思っている。米国のもう一つの同盟国である韓国と、日本との関係は改善の兆しがあったが、今やたなざらし状態に戻ってしまった。ますます予測ができなくなっている北朝鮮に、日韓が協調して対応する可能性は消え去った。

 想定されるような安倍首相、習主席の意図とは反対に、攻撃的な姿勢を取ることで日本、中国のいずれも国力を強化できていない。両指導者はアジアそして世界全体を一層危険な場所にしているのにすぎない。 原題:Useless Shows of Strength Only Make Japan and ChinaWeaker: View    ≫(ブルンバーグ:社説抜粋)


 欧米資金の日本投資(あくまで投機マネーだが)が、安倍晋三のあまりにも無謀な行動により、東シナ海の緊張が一気に高まり、一食触発の危惧を抱えたと云う情勢は、何ひとつ日本の成長を望んでの資金でない限り、逃げ足は脱兎の如くなのは自明だ。貰った果実(辺野古埋め立て)は有難く頂くが、日本の周辺諸国への配慮のなさで起きる事態には、我々は関与するつもりはない。これが、アメリカの国益に沿った結論だろう。大使館の声明に続き、国務省サキ報道官も「失望」を明確に打ち出し、辺野古埋め立てのご褒美だった筈の、ヘーゲル国防長官と小野寺防衛相の電話会談を延期(中止)した。参拝の正当性を、事後どれ程英文等々で発信しても、誰も読む気分にはならない。

 今さら、安倍晋三の本意は「不戦の誓い」だ、と強弁しても、世界の拡散してしまった安倍右翼政治家の印象を拭うことは不可能だ。筆者は、安倍晋三が、デフレからの脱却を一年足らずで遂行し、靖国参拝で支持者への公約を履行したことで、政権運営に一段落した理由で辞任を表明すれば、それはそれで見事な“散りぎわ”と評価してやるのだが、まさかそんな玉とも思えない(笑)。このままの状態を続けることは、中韓の二カ国に、道徳的に優勢な政治判断の選択余地を残したことになり、世界の日本に向ける目が、一層厳しくなる危惧が生まれた。韓国では“アベノ・オウンゴール”と皮肉な評価が生まれている。

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●英霊の数を増やそうとする蛮行 首相の幼稚な私情は国益を捨て、日本孤立を鮮明に

2013年12月27日 | 日記
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●英霊の数を増やそうとする蛮行 首相の幼稚な私情は国益を捨て、日本孤立を鮮明に

 どうにも、この人物の外交姿勢が判らない。幼稚さと奢りの象徴だと思えば、理解出来ないこともないのだが、官邸で孤立しているわけでもないのだろうから、周辺の人々の考えくらい聞いたに違いない。到底、全員が国益より、首相への阿りに徹した人物ばかりがいるわけではないだろう。それとも、安倍首相に対しては、“もの言えば唇寒し”、な雰囲気が蔓延しているのだろうか。

 7年前には、小泉純一郎が靖国を参拝しているが、当時、中韓との関係は小康状態で、特に善くも悪くもなかった。米国とは、ブッシュのイケイケと手を結び、蜜月に近い関係を構築し、日本売りをしていたわけだから、日米関係は極めて良好であった。当時に比べた場合、現在は中国とは尖閣や航空識別圏における鞘当が頻発しており、何らかのキッカケ一つで戦火を交えるセンシティブな緊張関係が存在する。韓国の慰安婦を含む戦中の歴史認識問題も、彼の国のヒステリー症状をカウントするとしても、最悪に限りなく接近した状況にある。

 欧米露も、一様に安倍首相の靖国参拝に対し、温度差はあるが、批難の声明をあげている。安倍政権の改憲を懐刀に行われている一連の法案成立は、一見、米軍と自衛隊の共同体構築の必要悪のように理解されているし、アメリカのたっての要望のような装いをしているが、安倍の腹にイチモツが隠し持たれている疑念をオバマ米大統領は理解しているだろう。その意味で、アメリカの苛立ちは相当のものだ。官邸は、安倍の靖国訪問を受けて、アメリカ政府が懸念や憂慮の意を示す程度と考えていた節があるが、現実は「失望」と云うメッセージが出されている。時事通信は以下のように伝えている。

≪ 靖国参拝「中国への贈り物」=いら立つオバマ政権-米紙
 【ワシントン時事】26日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は社説で、安倍晋三首相の靖国神社参拝について「日本の軍国主義復活という亡霊を自国の軍事力拡張の口実にしてきた中国指導部に対する贈り物になった」と論評した。
 オバマ政権はこれまで域内安定を重視し、日本側にさまざまなレベルで参拝の自制を求めてきたが、こうした努力が公然と無視されたことにいら立ちを隠せないでいる。
 同紙はまた、靖国参拝は「日韓関係の改善に行動を起こすのを拒否してきた韓国の朴槿恵大統領の姿勢を鮮明に正当化するものだ」 と指摘する識者の見解を掲載した。米政府内では最近、朴大統領のかたくなな姿勢が日韓関係の障害になっているとの見方が強まっていただけに、政権内の知日派ははしごを外された格好となっている。 
 国務省のサキ報道官は同日、「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している」とする談話を発表。在日米大使館が発表した声明と同じ内容だが、国務省の立場として改めて世界に向けて表明された。
 ≫(時事通信)

 中国では、安倍晋三の入国禁止の是非が問われたり、韓国では、日本との軍事交流は考え直さなければならない等の話も聞こえてくる。例の弾薬1万発について、即刻返却するとは言わず、補充完了次第返却、となんだかコチラも当たり前のことを意味深く語っている(笑)。安倍シンパな人々や、保守というより右翼に近い論者たちも、大いに安倍の参拝を評価しているのだが、日本政府の本質が再び現れたと見る向きも多いのが最大の懸念となるだろう。日米同盟重視、或いは基軸と云う表現が可能だった状況から、一歩退くリスクも抱えたようだ。デフレからの脱却、強い日本を取り戻すと云う“アベノミクス”への評価も変質するだろう。

 現在進行形の安倍首相の経済政策“アベノミクス”は、政策の善悪は別にして、世界の金融資本からは好評価(稼げるネタ)を受け、特に異次元の金融緩和は、為替誘導と知りつつ、その行為を容認する欧米の後押しがあっての、影響力だった。しかし、この評価は必ず後退する。おそらく、年明けに、その姿が表れるに違いない。株価が紆余曲折を伴いながらも上昇していた動力源が海外のファンド資金である事は自明なわけで、これら資金の撤退が早まるリスクを安倍は“私情”の貫徹により犯したことになる。軍事上も、経済上も、“私情”のために“国益”を後退させた靖国参拝と云うことになる可能性が極めて高くなった。

 安倍晋三が珍しく、公約を実行した。まぁ靖国を参拝するなら、26日は絶好のタイミングだったのだろう。内閣総理大臣に私的とか、個人的信仰の問題とか云う詭弁は通用しないのが国際社会、その影響についても、彼が全面的に受け入れなければならない。筆者は、安倍晋三が行きたかったのであれば、行くのは勝手だと思う。特に、是々非々の感情は湧かない。しかし、我が国が、中韓との関係改善を望むとするのであれば、子供じみた愚挙と言えるだろう。米国のたび重なる警告を無視した点は、個人的には評価する。しかし、その結果責任は安倍自身にとって貰わない事には、あまりにも東シナ海周辺をキナ臭いものになる。一旦、火を噴いた時に、日米同盟が真っ当に機能するかどうか、当てにはならない情勢だ。

 安倍晋三の頭の中は、奇妙奇天烈な計算式が存在し、対米中韓関係に於いて、彼の国に対し、足し算引き算が成り立っているものと想像する。つまり、あれこれアッチの主張を取り入れ、その行動を補佐した。故に、コチラの都合も偶には聞いて貰うとか、見逃して貰うのが筋論、と云う数式が成立しているのだと思う。小学生の口げんかのような論法だ。辺野古埋め立てで、沖縄県知事をねじ伏せたご褒美のようなもの、一つくらい好き勝手させて貰って、何処がイケナイの?外交的にでも、そのような“ボッチャン家庭の情”の世界が存在すると思っているのだろう。この調子だと、間違いなくソチ冬季五輪の開会式に出席するのだろう。そして、北方領土問題の前進を画策し、米中を牽制しようと思っているようだが、プーチンが世界情勢を無視して、安倍の幼稚な遊びにつき合うとは思えない。

新しい火の創造
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●甘噛みする朝日・毎日の社説 政府の弾薬提供事件、噛みつくならチャンと噛みつけ

2013年12月25日 | 日記
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●甘噛みする朝日・毎日の社説 政府の弾薬提供事件、噛みつくならチャンと噛みつけ

 我が国が、国連を通じて韓国軍への弾薬1万発提供した問題へのマスメディアの対応報道の違いが面白い。読売、産経、日経が、政府にとって都合の悪い情報を矮小化、又は隠蔽するのは自明なので、今さらコメントするに値しない。特に、朝日新聞が、この弾薬提供と云う暴挙をあまり報じない姿勢に疑問を持っていたが、漸く“社説”で、取り上げた。しかし、その論調は隔靴掻痒、政府に噛みついたと云うより、甘噛みした程度のもので、半分腰が引けている。先ずは読んでいただこう。

≪ 弾薬の提供―「例外」の検証が必要だ
 安倍政権が、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で、陸上自衛隊の弾薬1万発を韓国軍に無償譲渡した。
 国連南スーダン派遣団(UNMISS)を通じての提供となる。日本の弾薬が国連や他国に譲渡されたのは初めてだ。
 今回の決定は、PKO協力法と武器輸出三原則の双方で「例外」扱いとされた。
 これを正当化するため、政府は「緊急事態」「必要性・人道性」を強調するが、従来の政府見解からは逸脱している。
 歴代内閣はこれまでの国会答弁で、PKO協力法にもとづく国連への武器・弾薬の譲渡について「要請は想定していない。あってもお断りする」「武器・弾薬は含まれない」と否定してきた。
 それなのに弾薬を提供したのだから、国会での審議は不可欠だ。国会答弁の積み重ねを軽んじ、時の政権によって解釈が変わるようでは、法体系への信頼は大きく揺らぐ。
 野党は国会の閉会中審査を求めている。政府は早急に国会や国民に説明を尽くすべきだ。今回の判断が妥当かどうか、具体的な検証が必要である。
 武器輸出三原則に関しても、官房長官談話を出して緊急の必要性に応じた措置だと強調したが、それで説明責任を果たしたとは到底いえない。
 三原則でも国連への武器・弾薬の提供は「想定外」であり、納得のいく説明がいる。
 政権は今月策定した国家安全保障戦略で、武器輸出三原則の見直しを明記した。今回の例外措置を突破口にして、なし崩しに緩和に道を開くようなことがあってはならない。
 そもそも、今回の「例外」の妥当性を判断するには、わからないことが多すぎる。
 どういう経緯で国連から話があったのか。韓国側は切迫した状況で要請したわけではないと説明しているが、実態はどうなのか。譲渡の方針を決めた国家安全保障会議(日本版NSC)ではどんな議論があったのか。詳細に明らかにすべきだ。
 日韓で説明が食い違うようなら、冷え込んだ関係がさらにこじれかねない。提供された弾薬の取り扱いについても、いずれ明らかにすべきだろう。
 そもそも、安倍首相や防衛相ら少人数の会合であるNSCの議論を伏せたままでは、国民の幅広い信頼は得られない。
 「積極的平和主義」の名のもとに、法整備もないままNSCの決定で既成事実を積み重ね、自衛隊の紛争への関与を強めることは避けるべきだ。 ≫(朝日新聞12月25日付:社説)

 今回の国連を通じて韓国軍への弾薬提供は、菅官房長官曰く「緊急事態、必要性・人道性」に基づくもので、PKO協力法と武器輸出三原則の双方で「例外」だと主張している。そのような例外の適用に至った経緯の検証は、国会で緊急に審査すべきである、と主張している。この点では、毎日新聞の社説も同様の主張をしている。浅く広く、読者層を持つマスメディアの、何とも煮え切らないもの言いである。問題は、政府が行っている傍若無人の振舞いを、健全野党がまともに存在しない国会で、アリバイ作り程度のセレモニーは消化せよ、と言っているに過ぎない。

 議会制民主主義の建前上、このような論調になるのかもしれないが、今回の政府の行為が正しいか、間違っているか、その判断を留保している。そして、有名無実な国会での審議を尽くせと主張している。しかし、過去の政府見解など、端から関係ない、と云う国会運営をしている安倍政権に対し、野党はどのような対抗手段を持っていると言うのだろうか。過去における、政府見解との相違、整合性等と云うもの関わりなく政策を押しとおすのが、現在の官邸の意志なのだから、その問題を糾弾するのは、野党ではなく、メディアの責任であり、義務であり、権利でもある。

 まぁ、日本政府と韓国政府の言い分に、大きな違いが生じている事への、事実追求くらいは国会でも行えるかもしれない。弾薬を提供した後で、「緊急にして人道的見地」のアリバイ作りに奔走する小野寺防衛相の慌てた演出を眺めていると、何処かで話に齟齬があったことを窺わせる。わざわざ、現地の自衛隊拠点の指揮官とテレビ電話している処をマスコミに公開する等と云う行為は、既にどこか怪しげだと思うのが正常な神経の判断だ。本当に、韓国軍から緊急の要請があったと強調したいがあまり、墓穴を掘っているようにも見えるが、人によっては、「そうなんだ、仕方ないね」と云う人もいるだろう。本当に、韓国軍が弾薬を求めていたのであれば、韓国軍軍人とテレビ会談でもしない限り、アリバイにもならない(笑)。日本政府は、伝聞情報だと云う情報を羅列して正当性を証明できない事を理解すべきだ。

 この問題の第一報が何処から齎され、どのような確認方法が取られたのか、と云った問題を国会が追求できるのであれば、朝日や毎日が主張するように、閉会中であっても、審議する価値はあるだろう。昨日のコラムで、既に言及しているが、韓国軍の弾薬が尽きたので、緊急であり人道的だ、と日本政府が発表すれば、それでなくても噛みつく相手探しが国是になっている国民なのだから、韓国国内に、テイタラク韓国軍の世論が噴き上がるのは、当然予想できる。敢えて、そのようになるよう仕掛けたのであれば、それはそれで大した戦術だが、それは穿ちすぎだろう。

 このような問題は、本来であれば、韓国軍のメンツも重んじた形で実質的な支援に支障を来さない手段を講じるのが外務省等の官僚の務めである。日本から、事実上韓国軍に弾薬が渡るとしても、国連南スーダン派遣団(UNMISS)から支給された弾薬の再配分として行われていれば、体裁が整うのに、それをしていない。自衛隊が保有していた弾薬が日本製であっても、一旦国連に提供したものの再配分と云う体裁は整えられる筈なのだ。筆者は、この弾薬の詳細は判らないが、多分日本製であることが判別可能な刻印が刻まれているので、韓国軍が滅多やたらな使い方をすれば、思わぬトバッチリを受ける危惧も残された。

 安倍は「国家安全保障戦略」を決定。世界の平和と安定に積極的に関与していくことを目指す積極的平和主義をぶち上げたばかり、日本が一番乗りで逃げ出すわけにもいかない、と云うのが外務省の連中の考えだ。しかし、CNNによると、米国人の国外脱出、及び米軍の撤収も視野に、スペイン駐留の海兵隊員150人の派遣を決めており、外務省のメンツ云々につき合っていると、自衛隊が首都ジュバで孤立する危険も生じるわけだから、その見極めは、政府の思惑に引き摺られてはならない。

 つい今しがた、菅官房長官が南スーダンの戦況が内戦化している事への対応として、自衛隊PKOの撤収を断固否定した。
国連安全保障理事会が決議したUNMISSの派兵倍増を大歓迎したが、これ以上の自衛隊の増派は考えていない、と時事が伝えている。状況は、極めて内戦に近い状態を示しており、内戦と平和維持活動を行うPKOは同時並行的に存立しえないものだが、今後の展開を見守りたい。

イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告
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●武器輸出三原則に横車、日米韓と国連を巻き込む壮大なシナリオ疑惑が浮上!

2013年12月24日 | 日記
トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)
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●武器輸出三原則に横車、日米韓と国連を巻き込む壮大なシナリオ疑惑が浮上!

 横車とは、横紙破り【《(和)紙は漉き目が縦に通っていて横には破りにくいところから》自分の思ったとおりを無理に押し通そうとすること。また、そのような人。】(提供元:「デジタル大辞泉」)とも言う。時事と毎日の記事を読む限り、如何にも緊急避難的で人道的見地からと云う政府の言説が正しい判断のようにも思えるのだが、チョッと立ちどまって考えてみよう。

 この一連の憲法違反にも通じる疑念のある政府の行為を、あっそうですか、とスル―してしまうのは、あまりにも素直すぎる感覚だろう。本来であれば、真っ先に噛みつく論陣を張っている朝日新聞のサイトでは、23日23時現在、何ら事実関係すら言及していない。23日は天皇誕生日だが、朝日新聞は創立記念日で全社休みなのだろうか?その割には、陛下の80歳になる誕生日の会見等は詳細に報道している。おそらく、噛みつき方で社内が揉めているようにも窺える。

 それにしても、陛下の80歳の誕生日を前にした会見の内容は、読売、産経、日経などは、耳を塞ぎたくなるような内容だっただけに、サイトでの陛下の会見模様を伝える記事は、末尾で序に載せておくような、それこそ不敬な報道姿勢であった。山本太郎のマナー違反な陛下への行為に対する罵詈雑言な報道内容と、同じ陛下に対する新聞社の対応の態度なのか、と目を疑う。なぜこのような扱いが生まれたか、よくよく考えて、本日の見出しの出来事も吟味する必要がある。それほど、現在に安倍政権が行っている行為は、日本国の明日の有様を、あらぬ方向に導こうと必死こいているのである。天皇誕生日に、憲法違反行為を白昼堂々と行うとは、まったくもって恥知らずの面々である。

 安倍晋三は、菅官房長官、石破幹事長を引き連れ、なぜかわからないが、消滅寸前の日本維新の会の橋下に会ったそうである。先日は石原慎太郎とも会っていた。その少し前には、渡辺喜美とも会っていた。どうやら、公明党切りが鮮明になってきているようだ。筆者の予想が当たりと云う事実関係が続々報じられている。「もう、憲法なんて馬鹿馬鹿しくて守ってはいられんよな。どうせ、愚民どもは何が何だか判らないだろう、ドサクサ紛れにビシバシ既成事実を積み重ねてしまおうではないか」さしずめ、そのようなニアンスで安倍官邸は突っ走っているのは間違いないようだ。

 80歳を迎えるに当たり、天皇陛下が会見で、≪……80年の道のりを振り返って、特に印象に残っている出来事という質問ですが、やはり最も印象に残っているのは先の戦争のことです。私が学齢に達した時には中国との戦争が始まっており、その翌年の12月8日から、中国のほかに新たに米国、英国、オランダとの戦争が始まりました。終戦を迎えたのは小学校の最後の年でした。この戦争による日本人の犠牲者は約310万人と言われています。前途に様々な夢を持って生きていた多くの人々が、若くして命を失ったことを思うと、本当に痛ましい限りです。  戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。……。
……日本国憲法には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と規定されています。この条項を順守することを念頭において、私は天皇としての活動を律しています。  しかし、質問にあった五輪招致活動のように、主旨がはっきりうたってあればともかく、問題によっては、国政に関与するのかどうか、判断の難しい場合もあります。そのような場合はできる限り客観的に、また法律的に、考えられる立場にある宮内庁長官や参与の意見を聴くことにしています。今度の場合、参与も宮内庁長官始め関係者も、この問題が国政に関与するかどうか一生懸命考えてくれました。今後とも憲法を順守する立場に立って、事に当たっていくつもりです。……≫
、と述べられた。
注:天皇陛下会見の全文は
http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312220201.html
で読むことが出来る。

 明らかに、天皇皇后両陛下は、現在の憲法の精神に基づいて、自らの行動さえも律していると宣言なさっている。このことは、安倍、菅、石破、石原などにとっては、耳が痛いのを通り越し、腹立たしい発言趣旨に思えてならないのであろう。安倍晋三が疑似大統領制・専制君主制の制度における、権力を掌握したい風情なのだから、腹の中は煮えたぎっていると推察した方が正しいだろう。まさか、この陛下の会見のお言葉に、これ見よがしな対抗手段として、日本版NSC会議がそそくさと早速開かれたとは思いたくないが、時系列から眺めれば、天皇の発言趣旨と対峙しようと云う姿勢にさえ見えてくる。

 さて本題に入るが、上述の話だけでも充分に、安倍官邸が何を考えているか、疑う理由は充分にある。まぁそれだけでは、理論性をあまりに端折り過ぎなので、敢えて幾つかの疑問点を提示しておく。

 まず第一の疑念はPKO活動として、南スーダン・東部ジョングレイ州で活動中の韓国軍工兵隊の銃弾が不足し、治安悪化に対応できない為、至急銃弾の補充を国連を通じて、同じくPKO活動に参加している陸上自衛隊が保有している小銃弾1万発の提供を無償で依頼したとい云う事のようだ。韓国軍工兵隊は当然、治安の一線部隊として活動していたわけだから、武装兵器の兵站は十二分であるべきで、常識的には考えにくい事態である。それとも、韓国軍の兵士が無闇矢鱈と小銃をぶっ放したと云うことなのか?だとしたら、まったくもって軍事作戦上の体たらくであり、韓国軍の司令官は処罰に値する事になる。

 つまり、上記のように物事を考えていくと、韓国軍がまるでドジを踏んだような成り行きだが、実戦経験豊富な韓国軍では考えにくい出来事でもある。つまり、あり得ない出来事が起きていると云う事実が重要だ。否、そのような状況になっているので、と政府が報道関係者にレクチャーし、それが活字になっているだけの話だと思う方が、妥当ではないのだろうか。政府の発表自体が変ではないかと疑うのがジャーナリストであり、垂れ流すメディアは“マスゴミ”と云う蔑称に値する。

 今回の南スーダンにおける国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している我が国自衛隊の装備は、筆者の知る限り武器は≪9mm拳銃84丁、小銃(89式5.56mm小銃又は64式7.62mm小銃)297丁、5.56mm機関銃MINIMI5丁≫となっている。その武器に必要な銃弾が何万発か、詳細は判らないが、5.56mmの銃弾を1万発、人道的支援だか何だか判らんが、携帯していた事実の方が凄い情報だと認識する。国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している我が国自衛隊の部隊は、インフラ整備が主たる任務と野田政権時代聞かされてきたのだが、どうも2013年の1月に、似て非なる部隊に、安倍政権によって変身させられていたようだ。

 この南スーダン国連南スーダン派遣団(UNMISS)の問題は野田政権下で急浮上したわけだが、ざっくりと、その経緯などを眺めてみると、日米韓の政府及び軍隊と国連・潘基文国連事務総長がその成立に大きな役割を果たしていたことが理解できる。2011年9月には潘基文国連事務総長、野田佳彦内閣総理大臣は南スーダン国連南スーダン派遣団(UNMISS)に関し、会談を行っている。但し、野田民主党時代の自衛隊の規模は、国内で理解されている範囲の我が国自衛隊のPKO規模であったことは、前述の武器の規模からも窺える。おそらく、その後公表されていない物量が投下されていた可能性は充分ある。

 一川保夫、田中直紀が防衛大臣の時期には、自衛隊PKO部隊の装備も貧弱だったが、森本敏が野田佳彦首相の下、大臣に就任してからは、幾分編成や装備品において、公式な資料はないが充実させて行った傾向があるようだ。その傾向が極めて顕著な姿をみせたのが、2013年の1月からだ。つまり、安倍自民党が政権に復帰して1カ月後のことであった。

 ウィキペディアによると
≪ 7月19日 - 南スーダンへの派遣要員を含む、海外派遣の自衛官約910人は、7月19日までに第23回参議院議員通常選挙の不在者投票を済ませた。……10月4日 - 内閣府は、自衛隊の派遣期間を2014年10月末まで再延長する方針を決定した。また、人員も330人から410人に増やす予定。この方針は、10月15日の閣議で正式に決定した。 派遣部隊の任務と規模は道路等のインフラ整備等を行う陸上自衛隊施設部隊(最大330名)、上記部隊の活動を支援するため、支援調整所を設け、国連、現地政府機関等との調整を行う陸上自衛隊の部隊(最大40名)、上記の陸上自衛隊員からなる2部隊のための輸送及び補給の業務を行う海上自衛隊の部隊(170名)、上記の陸上自衛隊員からなる2部隊のための人員・物資等の空輸及び空輸を行う航空機の整備を行う部隊(170名)、なお、派遣部隊の隊長は現地支援調整所の所長(1佐)が就任し、別に派遣部隊の指揮官として施設隊の長(2佐)が就任する。≫
となっており、モロに軍隊派兵の色彩を帯びた。

 大雑把だが、今回の南スーダン国連南スーダン派遣団(UNMISS)への自衛隊PKO派遣の内容は次第に変質したことが窺える。その変質に野田佳彦、安倍晋三が継続的に関わっていた事実も垣間見える。このように時系列的変化を見ると、ここ数日泥縄で決定されている日本版NSCの動きは、一定のシナリオありきの、出来事だと推測が可能である。つまり、米国と韓国、そして潘基文国連事務総長と日本政府、外務省の描いた計画が実行されたと疑う余地は充分にあると云うことだ。筆者が、銃弾が底をつくような戦術を展開した韓国軍は馬鹿ではないか、と意図的に語ったが、そのことを、韓国軍も不愉快に思ったらしく、本日、以下のようなコメントを発表している。

≪ 「銃弾不足していない」と韓国、批判に配慮か 「予備量確保で借りただけ」
 治安情勢が悪化している南スーダンで、国連平和維持活動(PKO)で展開中の韓国軍に銃弾1万発を日本が提供したことに関し、韓国国防省報道官は24日、「予備量を確保するため臨時で借りたものだ。(銃弾は)不足していない」と語った。
 日本側の説明では、施設を警備する韓国軍に銃弾が不足し、提供がなければ避難民の生命に危険が及ぶ可能性が高いと国連が判断、日本に提供を要請。日本は「緊急の必要性・人道性が極めて高い」とする官房長官談話を出している。韓国国防省の説明は、この状況と矛盾する。
 韓国では、日本の自衛隊の活動領域拡大に批判的な声が強く、韓国軍が必要な銃弾を準備せず自衛隊から提供を受けたことで政府批判が起きる可能性もある。報道官の発言はこうした批判をかわす目的もありそうだ。 ≫(共同通信)

安倍政権と日本政治の新段階 新自由主義・軍事大国化・改憲にどう対抗するか
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●PC遠隔操作事件、自白しないから受刑者以下の待遇 諸悪の根源は裁判所にあり

2013年12月23日 | 日記
日本司法の逆説―最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち
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●PC遠隔操作事件、自白しないから受刑者以下の待遇 諸悪の根源は裁判所にあり

 以下の江川紹子氏のコラムを読んで貰えば、単なる容疑者に過ぎない人物が、禁固刑の判決を受け、どこかの刑務所に収監されている以上に過酷な状況に置き留められる、ゲシュタポも真っ青になるような日本の司法制度の大欠陥が、まさに白昼堂々と展開されている。今までも、このような捜査取り調べ方法が行われている事は、我が国の司直の国民からの信頼を著しく損なっている。世界の人々が知ったなら、日本と云う国が民主主義と法治な国家である事など、一切ない、と一瞬で理解してしまうだろう。

 今回のPC遠隔操作ウィルス事件の顛末を思い出せば、警察及び検察の大失態に端を発している。己らの大失態、筆者の感覚からいけば、司法官僚らの権利の濫用と云う犯罪行為が行われたことが発端であり、「ごめんなさい」の一言で、その罪を免れられる我が国の司法制度に大欠陥があることは、あまりにも自明過ぎる。

 PC遠隔操作ウィルス事件の重大な問題は、片山祐輔被告人が真犯人であるかどうかと云う問題なのではない。片 氏の弁護を担当する佐藤弁護士、木谷弁護士が、公判前整理以前から、インターネットメディアなどに対し、異例の記者会見を行い、その顛末の経緯をつまびらかにすることで、片山容疑者がどのような状況に置かれ、どのように精神的に追い込まれ、精神異常を来す寸前で、自白させようとする検察官の意図を公表しよう、と身を捨てて努力しているお陰で、我々は、この真実を知ることになっている。

 そもそも、この裁判における検察の立証は、状況証拠の羅列に過ぎず、“このような状況下で、犯行を行えるのは容疑者以外の人間が見つからなかったので、片山氏が犯人に違いない”という事を、公判前整理に於いても白状している。検察側の証拠整理に於いても、物証らしきものは皆無で、何が何でも、片山氏を犯人に仕立て上げない事には、一件落着、ことの発端となった不名誉と云うか、犯罪的誤謬を多くに人々に犯した大恥を抹消出来ないと云う、本末転倒な精神構造に於いてなされている。これこそが、日本の司法制度の悪癖なのである。

 来年の2月から公判が始まるようだが、片山氏はこのままだと、1年以上容疑者のまま服役している以上の苦痛の中に、いま居るのである。謂わば、日本の警察・検察の拷問に遭っていると言っても過言ではない。自白しないのはケシカランの一点張りで、片山氏の釈放など、歯牙にもかけない。まして、家族との面会さえ禁止する行為は、ナチス政権下以下の前近代的司法の在り方だ。まさに基本的人権条項を削除しようと云う自民党政権の思惑通りの司法である。我が国の裁判所は、予定調和な行動に拘泥し、正義の判断など枝葉末節な時限だと割り切ってさえいる。

 この警察や検察の、違法捜査、自白強要と云う悪しき習慣を変えさせる能力を、裁判所が有しているに関わらず、その機能を発揮しようとはしない。つまり、職務怠慢、サボタージュの一種である。堀江貴文氏が江川氏の記事に≪ 私は無期禁固刑と呼ぶ @amneris84: 裁判が始まる前から実刑以上の罰が課されている状態に異議申し立てさえするなというのは、ひどくはないか? ≫とツイートしているが、彼は自制の利いた表現をしているわけで、日本の司法制度は狂っている。最近の一票の格差問題への判決にしても、秩序維持が彼らの役目であり、法理上の正義を貫徹しようと云う姿勢など皆無だ。違憲だが、選挙結果は有効、何度繰り返したかわからない言葉の継続だ。思考停止の典型に過ぎないだろう。

 裁判所の判断が、法治国家として機能しないのであれば、特定秘密保護法などが機能し始めた時、我が国で、何が起こるのか、想像を絶する冤罪の山を築くのだろう。これほど、既得権への思慕が日本の裁判所にもあるのであれば、TPPであれ何であれ構わないが、警察検察、裁判機能まで、イッソやるなら民営化しちまえ!その方が、幾らかサバサバするほど、日本の司法制度は狂っている。本日は理論的コラムと云うより、怒り感情に任せて書きなぐったのであしからず。

≪【PC遠隔操作事件】家族との面会禁止の是非を問う

  PC遠隔操作事件で起訴後も勾留が続いている片山祐輔氏は、今もなお、弁護人以外とは誰とも面会できない「接見禁止」の 状態が続いている。家族とも会えず、手紙のやりとりもできない。これに対し、弁護団は接見禁止決定の取り消しを求めたが、東京地裁刑事14部(藤原靖士裁 判官)は、「現行法に被告人や弁護人が接見禁止決定の取り消しを請求できる規定がない」として、請求を棄却。これに対し、弁護側は「法律家の悪しき形式論だ」(木谷明弁護士)として、近く異議申し立ての準抗告を行う。最終的には最高裁の判断を求めることが予想され、事件そのものとは別に、被告人の面会の権利を巡る司法判断が注目される。

異議を申し立てることすらできないのか
  片山氏は、今年2月10日に逮捕されてから、捜査の間、ずっと身柄の勾留と接見禁止が続いた。捜査は6月28日に終結。 だが、その後も勾留と接見禁止は続いている。勾留や接見禁止の決定は裁判所が出す。刑事訴訟法には勾留の理由や必要性がなくなった時には、勾留を取り消さなければならないとする規定が明記されているが、接見禁止については何らの規定も書かれていない。弁護団は何度も母親と弟との面会を求め、接見禁止決定の一部を解除する職権発動を裁判所に求めてきたが、裁判所は受け入れなかった。このような「職権を発動しない」という裁判所の対応に対しては、これまで被告・弁護側からは異議申し立ての手続きができない、とされてきた。 実際、今回の請求も、刑事14部の受付が受理を渋った。元裁判官の木谷弁護士が「こちらは、請求する権利があると考えて請求している。この点について裁判官の判断を求めているのに、受付が受け取らないとは僭越至極」と一喝し、ようやく受理された。

 請求書によれば、弁護団は、
 
*現実の訴訟においては、法制定当時には思い及ばなかった事態も生じることがある。そのような場合、規定がないからといって、不合理を放置しておくのではなく、法文の解釈によって適切に対処するのがプロの法律家の役割である。

*捜査が終了すれば罪証隠滅のおそれも格段に減少する。接見禁止決定をする場合は、捜査段階に限るのが、一般的な見解である。本件は、最終起訴から半年。しかも、年末・年始を控えており、せめて近親者との接見を認めてやりたい。

*勾留取り消しの請求権があるのに、接見禁止についての規定がないのは法の不備。それを被告人にガマンしろというのは正しくない。そういう場合は、不合理を解釈で解消する努力を惜しむべきではない
ーーなどとし、法の不備を解釈によって埋めた事例もあげている。

 たとえば、1981年に千葉県柏市で起きた「みどりちゃん殺害事件」。小学6年生の女の子の刺殺死体が発見さ れ、中学3年生のA少年が犯行を自白したものの、少年院に送られる保護処分となって否認に転じた。当時の少年法では、再審の規定がなく、保護処分を見直す道は閉ざされていた。A少年の弁護士が保護処分の取り消しを申し立てたが、家庭裁判所は認めなかったため、高裁への異議申し立て(抗告)をした。すると、 高裁は少年法の規定がないことを理由に、抗告自体が「不適法」とした。これに対し、最高裁は少年法の解釈運用によって、規定がなくても本件抗告は適法として、少年事件の再審に道を開く判断を行った。 「接見禁止の場合は、勾留に関する規定を準用すればよいだけの話だ」と木谷弁護士は言う。

  検察官の反対理由は? 東京地裁は、今回の判断を行うにあたって、検察官にも事情を聞き、意見を求めている。その際、検察官は「犯人が使ったアカウントのパスワードを家族に伝え、それが第三者に伝わって真犯人になりすました メールが送られる可能性がある」という捜査段階でも繰り返し述べていた主張を展開。片山氏が犯人であるとする直接的な証拠がなく、検察側は客観証拠を積み上げて「想定される犯人像に合う要素をすべて備えているのは被告人しかいない」という形での立証をよぎなくされていることを説明し、新たにメールを送られるなど、要素の1つでも崩されれば、検察官立証に著しいダメージを与えるとして、接見禁止を解除することに猛烈に反対している。

  拘置所での面会は、刑務官が横ですべての会話を聞き、記録を取っている。そんな状況で密かにパスワードを伝えるなど、現実的に考えれば、不可能だろう。 検察官の理屈によるならば、判決が出るまで誰との接見も認めるな、ということになりはしないか? 検察官の手持ち証拠が脆弱で立証が困難だからといって、被告人にいつまでも不利益を強いていいのだろうか。 裁判開始前から実刑以上の刑罰 実刑が確定した人でも、一定の頻度で家族や友人・支援者らと面会ができ、手紙のやりとりも許される。凶悪事件を引き起こした死刑囚でさえ、家族や限られた友人との交流は可能だ。身柄を拘束されたまま、家族にも会えず、手紙のやりとりもできないという、今の片山氏の置かれた状況は、裁判を受ける前から、すでに実刑判決以上の刑罰を受けている状態と言える。 にもかかわらず、接見禁止の解除を申し立てる権利すら認めない、という東京地裁の対応に、高裁や最高裁がどのように判断するのか。注目していきたい。 ≫(yahooニュース:個人・ジャーナリスト江川紹子)

司法権力の内幕 (ちくま新書)
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沖縄辺野古移設・観測報道の胡散臭さ 安倍自民の公明切りの分水嶺か?

2013年12月22日 | 日記
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●沖縄辺野古移設・観測報道の胡散臭さ 安倍自民の公明切りの分水嶺か?

 以下は、ガセネタにも怖れを知らず情報拡散に余念のない歳川氏の準提灯記事だが、先ずは読んでいただこう。

≪ ゴーサイン間近の「辺野古移設」。
安倍官邸の懸念は、米大使の会見出欠と公明党沖縄県連の強硬反対
  第2次安倍晋三政権は12月26日、政権発足1年の節目を迎える。官庁の御用納め前日のこの日、沖縄県の仲井眞弘多知事は、安倍首相と共に首相官邸で記者会見を行い、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を発表することになる。

 沖縄県民の〝怒り〟を危惧する米大使館
  今、関心を集めているのは、その場にキャロライン・ケネディ駐日米大使が同席するかどうかである。 在京米国大使館は、安倍官邸が同席を強く望んでいることを承知しているが、就任間もないケネディ大使が共同会見に出席して沖縄県民の〝怒り〟を買うことを危惧し、消極的だという。

 直近の『朝日新聞』と『沖縄タイムス』の県内共同世論調査(12月14~16日実施)によると、辺野古沿岸部埋め立て承認反対が64%、移設反対が 66%で、依然として県外移設を求める声が多い。在京米国大使館政治部(部長=ダーナ・ウェルトン駐日公使)は、こうした沖縄の地元世論を気にかけているのだ。 そうであるとしても、仲井眞知事の埋め立て承認は事実上の辺野古移設に対するゴーサインを意味する。

 1996年の橋本龍太郎首相(当時)とウォルター・モンデール駐日米大使(同)の会談で普天間飛行場返還の合意に達し、翌年11月の日本政府の辺野古移設閣議決定から17年も経た後の実現である。歴代の政権が試みて成し遂げられなかった返還を実現するとなると、これも安倍政権の「成果」となる。クリスマスの翌日ではあるが、安倍首相にとっては、ビックなクリスマスプレゼントである。

公明党県連の対応に影落とす「教義」
  ただ、安倍官邸に気懸かりがないということではない。 連立政権のパートナーである公明党の沖縄県連本部は依然として「県外移設」に固執し、県議会会期中の13日、仲井眞知事に辺野古沿岸部埋め立てに反対の提言書を手渡している。では、なぜ公明党沖縄県連は強く反対しているのか。 それは、公明党の支持母体・創価学会の池田大作名誉会長が、小説『人間革命』を執筆したのが沖縄であったことと無関係ではない。「戦争ほど、残酷なものはない。戦争ほど、悲惨なものはない。だが、その戦争はまだつづいていた」――という書き出しは、「護憲・平和・生活」を結党の基本とする公明党の言わば「拠り所」になっている。

 この件がある限り、たとえ公明党執行部が強く求めても、沖縄県民の過半が反対する辺野古移設同意に与することはできないというのが沖縄県連本部の基本姿勢だというのだ。仮に、知事承認によって実際の埋め立て工事が始まり、移設絶対反対派が実力阻止行動に踏み切れば、不測の事態が起こらないとも限らない。言わば、「第2の成田空港建設阻止・三里塚闘争」の出来である。 「本土・東京の人には沖縄県民の心が分からない」と、よく聞かされる。ましてや、次期創価学会会長人事についても、健康回復が伝えられる池田名誉会長の意向抜きに考えられないという現状では、「名誉会長の教えを忖度した上での判断だ」と県連側が言い募れば、党本部も無視することはできまい。 つまり、普天間移設問題には公明党・創価学会ファクターが色濃く投影しているのだ。「政策」ではなく「教義」の問題になっていると言っていいのかもしれない。

 それはともかく、安倍首相は、在日米軍を含むアジア・太平洋地域の米軍再編を推進するオバマ大統領との間で合意を見た、日米同盟関係の再定義の象徴として普天間問題を捉えており、1月19日の名護市長選で移設反対の稲嶺進市長が再選されたとしても、既定の辺野古への移設を断念することはない。 市街地のど真ん中にある普天間飛行場の固定化よりはいいはずだ、というのが安倍官邸の基本的な立ち位置である。 ≫(現代ビジネス:ニュースの深層・歳川隆雄)


 歳川氏の上記コラムは、彼に限ることではなく、多くの記者クラブメディアが、暗に仲井眞知事が辺野古埋め立て容認の条件闘争に入ったと報じている。実は筆者も、その情報に幾分傾斜し肯いた。日本版NSCや特定秘密保護法の泥縄式国会審議を観察していても、安倍官邸が当面、米軍との軍事的共同体の強化を目指している方向は明確だ。その流れを素直に解釈していけば、仲井眞知事が条件闘争に入らざるを得なかった状況も理解できる。褒めているわけではないが、知事の孤軍奮闘も万策尽きたと云う風情なのだろう。

 仲井眞知事の様子を見ていると、体調が芳しいようには常々見えないのだから、本当に入院加療を要する状態かもしれない。ただ、歳川氏のコラムによると、≪2月26日、……沖縄県の仲井眞弘多知事は、安倍首相と共に首相官邸で記者会見を行い、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を発表することになる。≫と云うのが事実であれば、入院が仮病であったとも言える。筆者は、仲井眞知事が日米地位協定の見直しを置き土産と知事引退表明をセットにして、沖縄県民の理解を得ようとしているのではないか、と相当善意な推測をしていたが、日米地位協定の見直しの影も形もない段階で、辺野古埋め立て容認判断は、明らかな県民への裏切りだけになるのだが、仲井眞知事とはそもそも、そのレベルの人間だったと云うことなのかもしれない。まぁ、国政選挙で安倍自民を大勝利させた国民がいるわけだから、沖縄県民が仲井眞を知事に選んだとしても、あまりに愚かだ、と蔑むわけにもいかない。

 次の問題が、公明党の姿勢だ。歳川氏が書いてあるように、創価学会の教義にも関わるのが、この沖縄問題なのだから、仮に公明党山口代表が自民党に唯々諾々と協力するようだと、先々に禍根を残すことは、容易に想像できる。この沖縄辺野古移設問題が、自民党と公明党の分水嶺になる可能性も秘めているだろう。維新の石原と安倍は、何らかの協力体制を密約したようだし、みんなの渡辺は、裸で安倍に抱きつく始末なのだから、公明切りも視野に入れた攻防が年明けに繰り広げられるかもしれない。

 しかし、世界全体の流れや動きも含めて、国家の方向を定めようと思うのであれば、慣性の法則に身を任せるだけではない、思考の覚醒が求められる時代にも関わらず、4畳半のコタツ生活から抜け出さないような国家展望の中で、本当に日本は大丈夫なのか、杞憂が次々と浮かんでくる。米国の創られた経済統計の数値を鵜呑みにして良いものか、米国内に於いても、様々な議論がなされている。中国や韓国の統計数値も怪しいが、日本とて、同様のウソ臭さはあるわけである。変な競争になるが、どちらの嘘の方がよりマシか、などという競い合いになっているようで仕方ない。

 過激ではないが、緩やかなユーラシア大陸共存圏と欧米共存圏が構築されようとしている時、単に継続に身を委ね、環太平洋同盟圏で行こうと云う流れだけに固執した外交防衛経済の枠組みが唯一の選択だと決めつけるのは、あまりにも短絡に過ぎるのではないのか。最低でも、50年先の世界の勢力図を、一定の知見と、確率のある予測を加味した、情勢分析が欠かせないと思うのだが、そのような議論を日本に於いては、殆ど見聞きすることがない。自立すると云うことが、これ程求められている時代はないのだ。しかし、自立と云う言葉の観念が乏しい国家では、口にすればするほど、余所余所しくさえ思われる。

ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく
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最近のプーチンの歩みは綽々、米国・EUの歩みは千鳥足 傀儡日本の歩みは?

2013年12月21日 | 日記
日本自立のためのプーチン最強講義 もし、あの絶対リーダーが日本の首相になったら
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●最近のプーチンの歩みは綽々、米国・EUの歩みは千鳥足 傀儡日本の歩みは?

 NATO(EU)とロシアの綱引きに遭っていたウクライナのヤヌコビッチ大統領が欧州連合(EU)との協定を締結しなかった。オレンジ革命以来、この協定の締結の行方は、ロシアの孤立を画策する欧米諸国にとって軍事上の重要項目だった。しかし、ついにプーチンは、その画策をひっくり返すことに成功した。詳しい経緯は判らないが、燃料をロシアに全面的に依存するウクライナにとって、パイプライン閉鎖の恐怖は死活問題だったわけで、当面の帰結としては、妥当な落ち着き先である。無論、今月1日のキエフで起きた大規模デモなどの光景を目の当たりにすると、まだまだ紆余曲折はありそうだが、当面、プーチンの勝利である。

 来年2月にはソチ冬季オリンピックが開催されるが、恒例となっている各国首脳が開会式に出席するセレモニーに、オバマ大統領、オランド仏大統領などが欠席を表明した。表向きは、同性愛宣伝禁止法を制定したロシアの人権政策への抗議と云うのが理由だが、上述ウクライナのEU加盟をロシアに阻止された事への恨みと云うのが本音だろう。1980年のモスクワ五輪は、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議し、ボイコットと云う極端な行動に出た西側諸国だが、今回は、取り敢えずのポーズと云う意味合いの方を強く感じる。

 この辺にも、EUと米国の結束の緩みが影響しているのだろうが、ロシア東欧圏対NATOの静かな睨み合いが、あらためて再燃しつつある。ここに、中国がロシア側につくのは自然の流れなのだから、中露東欧圏(大陸系)が再興しつつある環境が見え隠れしている。それもこれも、米国とEUの温度差に起因することか明確な事象が現れたわけで、つまりは、米国の力の衰えがハッキリした形で現れたと云うことに過ぎない。東西冷戦構造の再来を怖れた米国は、TPP絡みで、アジアシフトに舵を切ったわけで、苦し紛れの選択だったのだろう。

 このような力の鬩ぎ合いの最中だった故に、プーチンのシリア化学兵器使用問題への仲介が、功を奏したとも言えるわけだ。そんな東西冷戦構造の再構築のような大きな流れが出来つつある中で、安倍とプーチンが意気投合と云った日本のマスメディアの論調は、オバマの安倍への警戒心を助長したであろうことも想像に難くない。当然、安倍レベルは、北方領土の為のロシア外交程度でしか理解していないので、オバマの苛立ちの意味が、今ひとつ理解し難いのだろう。プーチンの野望は、ゴルバチョフが解体したソ連邦の再構築であり、中国を含むユーラシア大陸の覇者になることなのだから、本来、余程腰を据えた外交が求められる筈だが、いたってノーテンキ。たかだか土むき出しの小島を挟んで、敵は中国一本槍なのだから、見ているだけで疲れる。

 プーチンは、欧米の人権問題への危惧への配慮も一応はみせており、政敵とまで言われた、元石油王で反政権派のミハイル・ホドルコフスキー受刑者(50)に恩赦を与えると発表した。ホドルコフスキー受刑者は、プーチン政権による人権侵害の象徴となり、対露投資にも悪影響を及ぼしてきただけに、開かれたロシアを印象づけようとしているのかもしれない。ロシアと日本との領土問題の話し合いも、成り行き次第では、棚からぼた餅があるかもしれないが、そのぼた餅をパクパク食べるべきかどうかは、深く考えておく必要がある。ロシアも中国もほくそ笑むだろうが、米国は間違いなく苛立つに違いない。つまりは、国家の防衛と云うもの、実は外交の結果の問題であり、外交が機能しなくなると、一面的軍事防衛に意識が一方方向に働き、無駄な歳出に血道をあげることになる。以上のようなユーラシア大陸防衛圏が構築されつつある現状認識の下、読むと面白い記事があったので、以下に掲載する。

≪ 世界を戦争に押しやるアメリカ政府
Paul Craig Roberts 2013年12月14日
読者の皆様、皆様が当事者としての責任を果たしてくださったので、私も自らの責任を果たしたい。

世界を戦争に押しやるアメリカ政府
Paul Craig Roberts
 アメリカ政府は、アメリカに、12年間戦争をさせてきた。アフガニスタン、イラク、ソマリア、リビア、パキスタン、イエメン、そして、これから戦争になりかねないシリア、出番を待っているイラン。これらの戦争は、資金、威信や、アメリカ人兵士達と、攻撃される一般市民両方の死亡と負傷の点で、非常に犠牲の大きなものだ。こうした戦争のいずれにも、やむにやまれぬ理由も、正当化できる説明はありそうにない。戦争は、軍事/安全保障複合体の利益にとって 重要だ。戦争は、アメリカにおけるシュタージ警察国家の建設の口実として役立っており、またこうした戦争は、ヨルダン川西岸と、レバノン南部全てをイスラエルが併合する障害を除去して、イスラエルの利益に役立ってきた。

 これらの戦争は金がかかり、破壊的ではあるものの、世界大戦のレベルは遥かに下回り、まして、核兵器を保有する敵国に対する世界大戦には及ばない。 人類にとって致命的な戦争は、アメリカ政府が、アメリカや、NATOとアジアのアメリカ傀儡諸国を、そこへ向かって突進させているロシアと中国との戦争だ。アメリカ政府がこの最終戦争に突進する原因となっている多数の要因はあるが、最も重要なのは、アメリカ例外主義という教義だ。

 この独善的な教義によれば、アメリカは、なくてはならない国なのだ。これの意味するところは、アメリカは、世界に対し、非宗教的な“民主的資本主義”覇権を確立すべく、歴史によって選ばれたというものだ。この目標の優位性ゆえに、アメリカ政府は、伝統的な道徳規範を超越し、アメリカ国内法、国際法も含め、全ての法を超越する。

  かくして、挑発されたわけでもないのに一方的に行う他の国々への侵略にも、国際法や、ニュルンベルク基準の下で、明らかな戦争犯罪である一般市民への攻撃に対しても、アメリカ政府内の誰一人として、責任を問われずにいる。また、アメリカ政府内の誰一人として、アメリカ法やジュネーブ協定の下で禁じられている犯罪である拷問に対しても責任を問われずにいる。令状無しのスパイ、令状なしの捜査、人身保護令状請求権の侵害、適正手続き無しの国民殺害、法的代理人の否定、秘密の証拠にもとづく有罪判決といった、憲法上の権利に対する無数の侵害に対しても誰も責任を問われずにいる。リストは長大だ。 あらゆる点で、ナチス・ドイツの生まれ変わりである政府の、一体何が例外で、なくてはならないものなのか疑いたくなる。自分たちは、世界でも特別な国民だという信念を吹き込まれる国民は、必然的に人間性を喪失する。かくして、ブラドリー・マニングが暴露したアメリカ軍のビデオが示している通り、アメ リカ軍兵士達は、街路を歩く無辜の人々を無差別に殺して、楽しんでいる。

 米国自由人権協会と、憲法上の権利を主張する団体や、インターネット上の独立した発言を除いて、キリスト教会を含むアメリカ国民は、自らの政府の犯罪行為と不道徳行為を、ほとんど抗議もせずに、受け入れている。

 道徳的非難がないことが、アメリカ政府を大胆にさせ、アメリカ政府は、アメリカ世界覇権の邪魔になるロシアと中国の現政府に対し強く出ている。

 アメリカは、1991年のソ連崩壊以来、22年間、反ロシア工作を行なってきた。レーガン-ゴルバチョフ合意に反して、アメリカ政府はNATOを東ヨーロッパやバルト諸国にまで拡張し、ロシア国境に軍事基地を建設した。アメリカは、グルジアやウクライナ等ロシアそのものの元構成諸国にまで、NATO を拡張することも狙っている。

 アメリカが、ロシア国境に軍事基地やミサイル基地を建設する唯一の理由は、アメリカの覇権に抵抗するロシアの能力を無効にすることだ。ロシアは近隣諸国に対し、いかなる威嚇的振る舞いもしておらず、グルジアの南オセチア侵略に対するロシアの反撃を唯一の例外として、アメリカの挑発を前にしても極めて受動的だった。

 これも今変わりつつある。ジョージ・W・ブッシュ政権がアメリカの戦争原理を変更し、核兵器を防衛的、報復的使用から、先制的第一撃へと押し上げ、 ロシア国境へのアメリカの対弾道弾ミサイル基地の建設と、アメリカが新技術を兵器化したことで、アメリカがロシアの第一撃能力を奪おうとしていることが、 ロシアにとって明らかになった。

 12月12日、ロシア国会(議会の両院)での大統領演説で、ウラジーミル・プーチンは、アメリカがロシアに及ぼしている攻撃的な軍事的脅威をとりあげた。アメリカは、その対弾道ミサイルを、防衛システムと呼んでいるが、“実際は戦略的攻撃能力”の重要な一環であり、勢力の均衡をアメリカに有利な様に変更することを狙ったものだとプーチンは述べた。脅威の存在を認め、プーチンは脅威に答えた。“ロシアに対する軍事的優位性を実現できるという幻想は誰にも持たせないようにしよう。我々は決してそれを許さない。”

 オバマ政権が核兵器削減協定を廃棄したのに答えて、プーチンは述べた。“我々はこうしたこと全てを認識しており、何をすべきかを知っている。”

 誰かが将来歴史を書くことができれば、オバマ政権はレーガン大統領が終わらせようと熱心に努力した冷戦をよみがえらせ、熱い戦争へと突進させた政権として記録されよう。

  ロシアを敵にするだけでは満足せず、オバマ政権は中国までも敵にした。オバマ政権は、南シナ海は“アメリカ国家安全保障にとっての関心”地域だと宣言した。これは、メキシコ湾は、中国の国家安全保障にとって関心ある地域だと中国が宣言するようなものだ。

 南シナ海に対する主張が口先だけのものではないことを明らかにする為、オバマ政権は、アメリカ艦隊の60%を、中国の勢力圏へ再配置を必要とする “アジアへの回帰”を発表した。アメリカは、フィリピン、韓国、ベトナム、オーストラリアとタイへの海軍基地と空軍基地の確保に余念がない。アメリカは、 様々な島々に対する中国の主張と争い、空域を拡張した中国近隣諸国と組んで挑発を強化した。

 中国はおじけづいてはいない。中国は“世界の非アメリカ化”を呼びかけている。先月、現在中国政府は、アメリカを地表から消し去るに十分な核兵器とその運搬システムを所有していると発表した。数日前、南シナ海で、中国艦船がアメリカ・ミサイル巡洋艦に攻撃的に接近した。

 アメリカがロシアと中国に対してとっている軍事的攻撃の姿勢は、通常なら、戦争に至って終わる、極端な自信満々な態度を示している。アメリカ国民は、アメリカの優れた技術的能力で、ロシアと中国のミサイル発射を防いだり、迎撃したりすることができると言われ、アメリカの先制攻撃は、朝飯前状態にま で高められる。ところが、イランが核兵器を入手することによる潜在的な危険は、余りに大きいので、今、先制攻撃戦争が必要だと言われており、核兵器を入手するかも知れないごく少数の無国籍イスラム教徒達に対し、アメリカは無防備なままであるという理由で、巨大な国土安全保障省が正当化される。アメリカの攻撃に対するロシアと中国の報復的対応は、取るに足りないこと見なされるが、イランの核の脅威と無国籍のイスラム教徒はそうではないというのは異常な状況だ。

 ロシアと中国に戦争のシグナルを送るだけでは満足せずに、アメリカは、イランと仕事をしている企業への新たな制裁を発表し、イラン人共同社会を粉砕することに決めたもののように思われる。イラン人は、アメリカの妨害を、アメリカが恐らく意図した通り、アメリカには協定を本気で維持する意図が欠如していると理解し、ジュネーブを発ち、イランに帰国した。協定が復活されうるか、あるいはイスラエル・ロビーが、イランとの戦争の脅威を終わらせるのを約束する協定を頓挫させることに成功したかは現時点ではまだわからない。

 アメリカ国民は、自国政府に対する影響力、あるいは政府の意図についての認識すら、例え持っているとしても、ごく僅かしかないか。しかも、世界戦争推進に向けるアメリカ政府の動きを止める為、アメリカ国民がその後ろに結集できる組織的な反対勢力は存在しない。希望が多少でもあるとすれば、それはアメリカのヨーロッパやアジアの傀儡にあるように思われる。ひたすらアメリカの対世界覇権を獲得を幇助するだけの目的の為に、自らの国の存在を危うくしている これら政府に一体どのような利益があるのだろう? 各国政府は、アメリカがやっているゲームが、自国にとって致死的なものであることが理解できないのだろうか?

 ドイツだけが、同時に自国の利益にも役に立てながら、世界を戦争から救うことができる可能性がある。ドイツがすべきことは、EUとNATOからの脱退だけだ。同盟は崩壊し、その崩壊は、アメリカ政府の覇権への野望を終わらせることとなろう。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい る。
彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the Westが購入可能。
記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/12/14/washington-drives-world-toward-war-paul-craig-roberts/
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多くの日本の読者の方々も、ポール・クレーグ・ロバーツ氏に寄付されたことだろう。 「チリ大統領にバチェレ氏決選投票、左派の女性前職」 右派が政権をとる前、彼女が大統領だった。彼女が復活したとは素晴らしいことだ。
どこかの属国では、二大政党なるものの片方がシナリオ通り政権を取り、やがてぼろぼろとなり、さらに強力になって、元の売国与党に大政奉還した国とは大違い。
信頼を完全にうしなった政党のかわりに、ガラクタを寄せ集め、にせの「夢よもう一度」状態をでっち上げようと大本営広報部は必死。 二大政党は、完成すれば宗主国と同じになるだけ。どちらを選んでも、大多数の国民はかならず不幸になる仕組み。小選挙区制度が悪の根源。
秘密法案反対もポーズだけとって、大本営広報部への信頼をつなぎ止めようという工作だったろう。本当に反対なら、テレビも使って継続すればよい。 TPP隠蔽欺瞞報道を見るだけで、大本営広報部洗脳工作のインチキさは十分わかる。
日本国民は、自国政府に対する影響力、あるいは政府の意図についての認識すら、例え持っているとしても、ごく僅かしかないか。しかも、世界戦争推進に向ける日本政府の動きを止める為、日本の国民がその後ろに結集できる組織的な反対勢力は存在していない。
ひたすらアメリカの対世界覇権を獲得を幇助するだけの目的の為、自らの国の存在を危うくしている日本政府に一体どのような利益があるのだろう? 日本政府は、アメリカがやっているゲームが、日本にとって致死的なものであることが理解できないのだろうか?  ≫(マスコミに載らない海外記事さんのブログより転載)

なぜメルケルは「転向」したのか
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有力都知事選立候補者を推論 自民系・丸川珠代、反自民系・田中康夫、山口一臣

2013年12月20日 | 日記
いま東京と東京論を問い直す ―首都機能から考える21世紀日本― (PLANETS SELECTION for Kindle)
門脇耕三,中川大地,速水健朗,藤村龍至,宇野常寛
第二次惑星開発委員会/PLANETS


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●有力都知事選立候補者を推論 自民系・丸川珠代、反自民系・田中康夫、山口一臣

 本日は寒々しい曇天、時々風強く霰まで混じる奇妙な空模様だが、まさに安倍政権率いるジャポンの行く末を象徴している。まぁ夜になれば、星の一つふたつ目に出来るかもしれない。夜がいつ来るのかは、まだ見当もつかないのだが(笑)。醜態を晒した猪瀬知事に1000万円の退職金が出たそうだが、副知事退職時の3700万円と合わせて4700万円をゲットした。これで司直の手で裁きが行われなければ、まぁまぁの身入りということだ。ただ、猪瀬を口汚く罵ってリンチに掛けても、日本の病巣に何らダメージを与えないわけで、猪瀬リンチは程々にして、見えざる巨悪の姿に思いを馳せる方が、余程健全なのも確かである。猪瀬も、今後ペン一本で生きていきたいと望んでいるようだが、人生を賭けるレベルのノンフィクションでも書かない限り、作家として生きることも容易ではないだろう。

 巷は、東京都知事選で盛り上がっている。折角なので、筆者も気軽に下世話に井戸端思考に耽ってみることに(笑)。日経は、自民党は自信満々で都知事選に望むだろう、などと寝惚けた記事を書いていたが、安倍政権への逆風が吹きはじめているのに、風向きセンサーが故障しているとしか思えない。最近のヤバイ金融外資が東証に仕掛け、好相場を演じている事実を掴んだ上かどうかわからないが、無責任な経済誌なことだけは、たしか。自民推薦候補は、公明党、維新の会、みんなの党、結いの党の「5党連合」なのだと云う認識は広まっているので、どんでん返しを喰らう可能性は大いにある。問題は、「5党連合」に対抗する候補者を市民派が一本化で擁立出来るかどうかに掛かっている。「5党連合」の候補者は消去法で眺めると、丸川珠代参院議員が最有力、二番手が佐藤ゆかりではないかと思われる。行政に長けている点ではマイナスがつくが、行政を知っていると言っても、失敗した大田房江では見向きもされないだろう。

 残る国会議員としては、稲田朋美、猪口邦子、小渕優子、片山さつき、小池百合子、橋本聖子、野田聖子がメディア露出度はあるが、無党派が毛嫌いする臭いがついている議員も多く、他は無名。後は在野に求めるわけだが、櫻井よしこはないだろう(笑)。大宅映子、曽野綾子は年齢的に無理。勝間和代あたりが顔を出してくるかもしれないが、4月以降の経済崩壊を想定すると、腰が引けるかもしれない。キャスターアナウンサー関連で保守系とおぼしき女性は、滝川クリテル、膳場貴子辺りか。苦し紛れで男性を選ぶとすると、安住紳一郎とか宮根誠司、半分お笑い系だが、安倍官邸としては、勝てそうなら、誰でもOKだろうが、政府一体のファシズム体制が強化される。

 「5党連合」に対抗する陣営も、ここは国政の試金石と認識した共闘が絶対的条件で、「反5党連合」の旗幟を鮮明にするべき時が来ていると思われる。少なくとも、すべての問題で意見の一致を見なくて済む、知事選なのだから、大局的に判断決断して貰いたい。こちらの陣営の候補者は政治的未知数の方が良いだろう。時には青島幸男的でも構わない。ただ、「5党連合」が女性を起用してくる可能性が高いので、出来得れば「反5党連合」の候補も女性の方が良いだろうが、アピール度が強ければ男性でも可能だろう。

 ざっと「反5党連合」が担げる可能性のある人々を羅列しておく。人選に漏れもあるだろうから、適当に個々人で補足して、シミュレーションすると暫しの時間つぶしにはもってこいだ。筆者が「反5党連合」の候補として思いついた人々一覧。【女性】萩原博子、香山リカ、落合恵子、長野智子、紺谷典子、蓮舫、堤未果。【男性】宇都宮健児、堀潤、田中康夫、宮台真司、山口一臣等々。 オリンピック開催までの7年間の賞味期限を考慮すると、女性では香山リカ、長野智子、蓮舫、堤未果など、少々インパクトに欠けるか?男性では、オリンピック気分も考慮すると宇都宮健児はチト辛い。有力は堀潤、田中康夫、宮台真司、山口一臣。筆者が強く推薦する「反5党連合」の強力候補者は知名度で田中康夫。穴が苦渋のキャリアで苦戦中の山口一臣となる。
尚、上述シミュレーションは個々人の気持ちなどは寸借していない。

都知事―権力と都政 (中公新書)
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“核の傘信仰”に日和見、外交を放棄する外務官僚と官邸 外交・防衛は国家の両輪

2013年12月19日 | 日記

 

特定秘密保護法案と日本版NSC
佐藤優,福島みずほ
株式会社金曜日


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●“核の傘信仰”に日和見、外交を放棄する外務官僚と官邸 外交・防衛は国家の両輪

 本日も安倍自民が、我が国をあらぬ方向に引き摺りこむ情報が満載だ。あらぬ方向が、人類平和共存の理想を持つ“日出ずる国”ならいざ知らず、その真っ逆さまの地に誘おう、否、強制連行しようと云うのだか、注意喚起、“裏声で歌う君が代”の心境になるのは当然だ。孫崎氏が労作の『小説外務省―尖閣諸島問題の誤謬―』の出版が暗礁に乗り上げ、小説の主人公の外務官僚・西京寺大介について、あらすじを暴露(笑)し始めた。よほど痺れを切らしているのだろう。

 気持は非常によく理解できるが、筆者の想像だと、孫崎氏の陽の目を見ない未発表小説はフィクションというより、ノンフィクションに近いものになっている可能性があるのだと思う。つまり、NHKを我が物にしようとする安倍官邸の勢いが隆盛中に、火中の栗を拾いに行く勇気を出版社に求めるのは、至難の行為に思える。孫崎氏が、AMAZONのKindle ダイレクト・パブリッシング (KDP)を知らないのだろうか?AMAZONにも断られるノンフィクションレベルに達しているのであれば、フィクション性の強いものに書き換える必要があるのだろう。日本の外務省からAMAZONへの圧力はないが、米大使館から問い合わせされるかもしれない。その辺りに臭いを嗅ぐ意味でも、KDPの活用をお薦めする。KDPが可能なら必ず売れますよ。

 のっけから横道の話になってしまったが、筆者独特の言い回し、勘弁して頂こう(笑)。ところで、本題の話に入る前に、朝日の18日の社説を読んでいただく。そこから、国家の外交と防衛が、国家運営の操舵である基本原則について考えていこうと思う。

 ≪ 安倍政権の安保戦略―平和主義を取り違えるな
 安倍政権がきのう、今後10年の外交・安保政策の指針となる初めての国家安全保障戦略(NSS)を閣議決定した。
 これを踏まえた新防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)も、あわせて決定した。
 安保戦略は本来、外交と防衛を組み合わせた安全保障の見取り図を示す意味がある。
 戦略の中核に据えられたのは日本の「強靱性(きょうじんせい)」を高めることである。政権の関心は軍事に偏っており、バランスを欠いた印象が否めない。
 ■9条を掘り崩す
 大国化する中国への対抗心に駆られるあまり、日本の安保政策の基軸としている専守防衛から、「力の行使」にカジを切ろうとしているのか。
 日中関係を安定軌道にのせる外交戦略などは、どこかに置き忘れてきたかのようだ。
 安保戦略が強調しているのが、安倍首相が唱え始めた「積極的平和主義」というキーワードである。
 憲法9条による縛りを解き、日本の軍事的な役割を拡大していく考え方のことだ。
 裏返せば、海外の紛争から一定の距離を置いてきた戦後の平和主義を「消極的」と切り捨てる発想が透けて見える。
 このキーワードは、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認をめざす安倍政権の布石でもある。
 平和主義の看板は掲げ続ける。しかし、それは方便にすぎず、実体は日本の安保政策の大転換となる。
 安倍政権は国家安全保障会議(日本版NSC)を立ち上げ、多くの反対を押し切って特定秘密保護法も成立させた。
 そして今回の安保戦略――。さらに、集団的自衛権の行使容認というパズルのピースがはまれば、安倍首相がめざす「強靱化」は、ほぼ完成する。
 そのとき、戦後の平和主義は足もとから崩れる。
 ■軍事力の拡大ねらう
 憲法9条が体現してきた安保政策の中身を掘り崩す動きは、すでに始まっている。
 安保戦略では、武器輸出三原則について「新たな安保環境に適合する明確な原則を定める」と記された。空文化が進む懸念がぬぐえない。
 日本は三原則のもと、非軍事的な手段で平和構築に貢献し、信頼を得てきた。そういうあり方こそ、積極的平和主義の名にふさわしいはずだ。
 敵のミサイル発射基地を自衛隊がたたく敵基地攻撃論も、近隣諸国や米国からの警戒感を招いてきた。防衛大綱では、弾道ミサイルへの対応のなかで「検討の上、必要な措置を講ずる」という表現にとどめたが、将来に含みを残している。
 たしかに、日本を取り巻く安保環境は厳しい。
 中国は海洋で国際秩序への挑戦を続けている。米国の影響力は低下し、尖閣諸島をめぐる確執や北朝鮮の核ミサイル問題への対処にも不安が残る。
 そこで、日本が軍事的な役割を拡大し、地域のパワーバランスをはかるのが安倍政権の考え方なのだろう。戦争に至らないまでも、不測の事態に備える必要があるのは確かだ。
 とはいえ、新たに「統合機動防衛力」構想を掲げた防衛大綱や、中期防が示した装備増強が適正かどうかは精査が必要だ。  機動戦闘車99両、新型輸送機オスプレイ17機、水陸両用車52両、無人偵察機グローバルホーク3機……。減り続けていた戦闘機も、260機から280機に増やす。
 沖縄配備が反発を招いた米海兵隊のオスプレイや、やはり米海兵隊が上陸・奪還作戦に使ってきた水陸両用車を導入する。  自衛隊への配備は、広く国民の理解を得られるだろうか。
 中期防が示した5年間の総額の防衛費は24兆6700億円と増加に転じている。
 ■国際社会の共感を
 軍事偏重の動きは、近隣諸国への敵対的なメッセージにもなる。軍拡が軍拡を呼ぶ「安全保障のジレンマ」に陥れば、かえって地域の安定を損なう。  地域の軍備管理の構想もないまま、軍拡競争に足を踏み入れるような発想からは、およそ戦略性は感じられない。
 そもそも中国の軍拡を抑制するには、国際世論を日本に引きつける外交力が必要になる。歴史認識や領土問題の取り扱いが肝心だが、安保戦略からは解決への道筋が見えない。
 逆に、「我が国と郷土を愛する心を養う」という一文が盛り込まれた。過剰な愛国心教育につながる危うさをはらむ。
 ナショナリズムをあおって国策を推し進めるような、息苦しい社会に導くのは誤りだ。
 これまでも、戦前回帰を思わせる政治家の発言が国際的な批判を浴び、日本の外交的な立場を悪くしてきた。
 国際社会の共感を生むためにも、日本の平和主義をどう位置づけ、いかに活用するか。明確に発信すべきだ。
 ≫(朝日新聞18日付社説)


 上記社説、今さら朝日に言われたくないセリフが並ぶのは片腹痛いわけだが、遅まきながら声高に語っているだけマシかもしれない。安倍官邸の軍拡化を危惧する読者が大勢を占めているマーケットを意識しているのかもしれない。売上拡張の次元からも、安倍官邸主導の危うさを指摘するメディアであろうとしているだけかもしれない。本来、外務官僚と云うもの、敗戦国の負の遺産を背中に、遠き道のりを歩んできた自負があってしかるべきだった。しかし、歪んだ世界の環境が、不本意ではあったが、戦勝国ロシア、中国を置いてきぼりに、敗戦国日本を経済的に豊かにしてしまった。この歴史的原則が歪められたツケを、いま我々は支払へとアメリカ、中国から攻め立てられている、と筆者は理解している。

 つまり、歴史の悪戯で得た利権を戦勝国に還元せよと云う圧力が、影に日向に掛かっているのではないかと思考する。ケリ―米国務長官が日本の国家安全保障戦略に対し、中国が極めて警戒すべき必要があるとコメントしている事に関し、国家安全保障戦略は「日米両国が共に取り組み、日本が一定の時間をかけて計画してきた」ものであり、「日米は平和的な目標の達成に向け、建設的な努力について話をしてきただけだ」とし、「日本は人道支援や平和維持の分野でますます責任ある重要な役割を果たそうとしている。米国は戦略的観点から日本の取り組みを歓迎する」とコメントを出している。

 ケリ―米国務長官が、安倍官邸の思惑を知らない筈はないのだが、敢えて、国家主義に傾倒している事に触れず、好意的なコメントにとどめ置いているが、実は、ケリ―の発言は、安倍官邸に明確に“釘も刺している”。“日本は人道支援や平和維持の分野でますます責任ある重要な役割を果たそうとしている。”ことを強調しているわけで、日本版NSC、特定秘密保護法、国家安全保障戦略、集団的自衛権行使、改憲。戦争の出来る国日本まで想定はしたいないからね、と指摘しているようにも受けとめられる。水陸両用車52両やオスプレイ購入で、勝手に戦争できると思うなよ、と言っている。しかし、そこまで、ケリ―の言葉を解釈しいないのが、今の安倍官邸だ。

 そして、本来であれば、否、首相違いますよ、米国が米軍と協調して歩むのは、後方支援、米兵輸送、医療活動、人道支援、平和維持PKOの分野だと言っています、とご注進すべきなのである。しかし、モノ言えばくちびる寒しの政権に余計なことを言うつもりはない。判っているが、ことが複雑になり、面倒を背負い込むだけだから、外務官僚は何も語らない。俺たちが戦場に出向くわけでもない、“ほったらかし”で構わんさ。これ以上首相がイイ気になったら、アメリカがなんとかしてくれるよ(笑)。

 現在の外務省の状況は、“米国依存症候群”に殆どの官僚が感染しているので、実際問題、対中露等々への外交的対応能力を殆ど有していない。つまりは、外交交渉とは、米国との枝葉末節なやり取りであり、日米地位協定だって触れることさえ、キャリアに傷をつけるだけと理解している。外交しない、米国依存を決め込んだ外務官僚なんてものは、居なくてもいいほど最悪なのである。その上、その官僚の中には、トンデモナイ悪魔の思想信条に魅入られた人物が、時折産出される。その思想信条とは、国家主義・軍国主義な国家の樹立を思考する輩が存在するのだから、“消極的害務官僚”である“米国依存症候群”の何倍も危険な思想の持ち主達が、突然変異のような人物が輩出する。その典型が日本版NSC初代事務局長に推されている谷内正太郎元外務事務次官なのである。

 だいぶ長くなってしまった。谷内正太郎という人物像に関しては、あらためて触れることにする。眠くなってきた(笑)。しかし、昨日と同じ感想だが、益々酷くなる我が国先行きだ。安倍官邸は、支持率低下の犯罪者摘発(保護法への悪意の記事を羅列し、報道機関*朝日、東京、毎日*を裁き、記事の解説を歪曲的に解説する)の“オフレ”を高市早苗と云う鼻の下の長い女代議士が出し、自民党議員らに、支持者への説明(騙し)に利用するよう指導する事にしたらしい。「意図的支持率低下に断固立ち向かうのは、君達議員の務めである」と檄でも飛ばしているのだろう(笑)。猪瀬もギブアップするらしいが、検察の逮捕おめこぼしが確約されたのだろう。そうそう、沖縄県の仲井真知事は辺野古埋め立て承認の交換条件をアリバイ的に出したようだから、あの入院騒動は雲隠れと云う事のようだ。おめおめと沖縄県に戻るのは怖いのだろう。どいつもこいつも、糞ばかりの日本と云う国だね、ウンザリだよ(笑)。

孫崎享の真実の戦後史! (Town Mook 日本および日本人シリーズ)
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若者たち、ママそして子供達、悪い国に生まれた不幸 ゴメン大人が駄目だった

2013年12月18日 | 日記
日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)
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●若者たち、ママそして子供達、悪い国に生まれた不幸 ゴメン大人が駄目だった

 本日の見出しのようなことを書く日も近いのだろう。鬱陶しい気分がみなぎっている。特に、何を取り上げても、似たりよったりのクダラヌ茶番が繰り広げられているのだから、一々取り上げても意味がないくらい酷い状況になってしまった。世界中に、此処まで日本の醜態をみせてしまった以上、余程の努力をしない限り、世界から信頼を得るのは厳しくなった。一部のクダラヌ輩の思想信条が、日本の本音のように喧伝された以上、これは元に戻すのは容易ではないと思う。

 孫崎氏が『小説外務省ー尖閣諸島問題の誤謬ー』を出版してくれる社を探しているようだが、多くの出版社は尻ごみしているに違いない。こう云う現象は、孫崎氏の執筆に限らず、様々な形で、中国や北朝鮮のような言論弾圧国家を形成していくのだろう。ここ数日のことだが、岩波書店の雑誌「世界」の14年1月号「情報は誰のものか」と特集「世界増刊 イチエフ・クライシス」の新刊が注文出来なくなっている。いずれも中古本の価格が表示されている。岩波の「世界」は相当にリベラルなわけだが、他の通販サイトでも似たような現象があるので、品切れであれば、予約等が可能なはず。さて果て、単なる手違いなら良いのだが、岩波に確認するしかないのだろう。

 以下の朝日新聞の二つの記事は、安倍自民党政権がわざわざ意図的に選び抜いた国家防衛の「積極的平和外交」と云う好戦国宣言をしたに等しいものである。この流れに、異議を唱え続けない限り、国民は、望まない無用な諍いに、否応なく巻き込まれるリスクの増大を意味している。安倍や麻生や石破が本気で軍国主義国家を目指しているのかどうか、些か怪しいのだが、世の中と云うもの、そのような「空気」が醸成されてしまうわけだし、中国や韓国も、猜疑心と反発心をみなぎらせる結果となるので、赤とんぼが飛んできただけで、戦争の火蓋は切られるものなのだ。ことが起きてから、そんな気はなかった等と言えないのが、まさに「空気」なのである。

≪ 中国念頭に自衛隊増強 「国を愛する心」明記 安保戦略
 【蔵前勝久、園田耕司】安倍内閣は17日、外交・安全保障の基本方針となる国家安全保障戦略(NSS)を初めて策定し、防衛計画の大綱(新防衛大綱)、中期防衛力整備計画とともに閣議決定した。NSSに「愛国心」を盛り込み、中国の軍事的台頭や北朝鮮への懸念を強調。周辺国に対抗するため、集団的自衛権の行使を視野に、日米同盟の強化と自衛隊の増強をはかる「軍事力重視」の内容だ。

■集団的自衛権も視野
 安倍晋三首相は、17日に開かれた私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)でNSSの策定に触れ、「日本が個別的自衛権だけで国家の存立を全うすることができるのか。集団的自衛権が本当に必要ないのか」と憲法解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認を訴えた。
 NSSは12月に発足した外交・安保政策の司令塔である国家安全保障会議の行動指針となり、基本理念に「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を掲げた。
 第1次政権で果たせなかった国家安保会議の設置とNSSの策定にたどり着いた安倍首相が次に目指すのは、米国とのさらなる軍事協力を軸とする集団的自衛権の行使容認だ。安保法制懇は17日、年明けの次回以降、報告書の取りまとめに入ることを確認した。
 NSSでは、中国の尖閣諸島付近の領海侵入や防空識別圏設定への懸念を示し、「日米安全保障体制の実効性を高め、多面的な日米同盟を実現していく」として集団的自衛権の行使容認をにじませた。
 さらにNSSを支える新防衛大綱では、「防衛力は安全保障の最終的な担保で、脅威を排除する意思と能力を表す」と明記した。
 ただ行使容認に向けた道のりは容易ではない。連立を組む公明党が反対姿勢を崩しておらず、菅義偉官房長官はこの日の会見で「(行使容認は)来年度以降の課題になる」と語った。解釈変更をめぐる判断について、安倍政権は通常国会で来年度予算が成立した後の来春以降とする方針だ。

■公明の疑問、押し切る
 今回の国家安全保障戦略(NSS)には、「我が国と郷土を愛する心を養う」という文言が盛り込まれた。NSSはその理由を、「国家安全保障を身近な問題としてとらえ、重要性を認識することが不可欠」と記す。  国の安全保障政策が、個人の心の領域に踏み込むことにつながりかねない内容だけに、NSSに「愛国心」を入れることには、与党内にも慎重論があった。
 「そもそも国家安全保障戦略という文書に、この記述が必要なのか」。11日にあった与党の会合で、政府案の「国を愛する心を育む」という表現に、公明議員が疑問を呈した。
 この表現は、有識者会議で出た「開かれた愛国心を明記すべきだ」という意見を受けて盛り込まれた。第1次政権で取り組んだ教育基本法の改正で、「愛国心」条項の新設を主導した安倍晋三首相の意向も反映された。
 12日、公明党の太田昭宏国土交通相が首相と直談判し、冒頭の表現で折り合った。
 「愛国心」をめぐっては、1957年に閣議決定した国防の基本方針にも「民生を安定し、愛国心を高揚する」と明記されている。時の首相は安倍氏の祖父、岸信介氏だった。 ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪ モデルは「殴り込み部隊」 水陸機動団設置、根強い異論
 【園田耕司】防衛計画の大綱(新防衛大綱)で打ち出された米海兵隊をモデルとした水陸機動団には、異論も根強い。自衛隊が1954年の創設以来、海兵隊を持たなかったのは「殴り込み部隊」とも言われる海兵隊の能力が、日本の「専守防衛」の基本方針にそぐわない、と考えられてきたからだ。
 離島防衛を専門とする陸上自衛隊西部方面普通科連隊でさえ、発足当初は本格的な上陸作戦能力を持つことは想定していなかった。ところが近年の尖閣諸島問題をめぐる中国との対立が深刻になるにつれ、陸上自衛隊は「海兵隊」構想を本格化させた。
 陸自にすれば、南西諸島防衛で「海空重視」の傾向が年々強まるなか、主力装備品の戦車は削減対象となり、新たな役割を作り出す必要性に迫られた、という事情もある。自衛隊増強に力を入れる自民党が政権に復帰し、安倍晋三首相も「必要性を議論しなければいけない」と後押しした。
 ただ、海兵隊構想の是非をめぐって論争は絶えない。防衛省が7月にまとめた新防衛大綱の中間報告では「海兵隊的機能」と明記されたが、周辺国の反発を懸念する公明党が難色を示し、最終的に「水陸両用」という表現に薄まった。
 軍事戦略的にも疑問の声が出ている。軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は「島を守るために最も大事なのは制空権の確保だ。東シナ海正面の中国空軍は数的に圧倒的に優勢で、制空権がなければ水上艦も動けないし、地上部隊が隙をついて上陸しても孤立して全滅するだけだ」と警告する。 ≫(朝日新聞デジタル)


 その他にも、トンデモナイ事象のオンパレードになっている。徳洲会問題では、猪瀬知事は辞任か議会解散かの百条委員会の設置を決められ、まさに崖っぷちに立たされている。辞任で、特捜検察の逮捕が容易くなることを、猪瀬は極度に怖れているのだろうが、巨悪が眠ったままのこの世は変わらないのだろう。亀井静香にも火の粉が飛んできたようだが、昨年9月に前事務総長の能宗克行が解任された時点で、直ぐに2000万を返却したようなので、おそらくセーフなのだろう。検察としては、徳田毅の公職選挙法違反から手出しをしたわけだから、参議院選前の入出金までウィングを拡げるのは難しいものと思われる。ただ、警察の方は能宗克行を横領容疑で逮捕しているので、そちらの捜査の展開は判らないが、彼の証拠書類を挟んで検察と警察が睨みあっている状況と云うのは酷く面白いが歪んでいる。

 結局、捜査逮捕は警察業務、起訴公判は検察と云う、原則的枠組みを無視した、異様な地検特捜部と云う存在の問題点が浮き彫りになっている。日本の司法制度の歪みの典型だ。地検特捜と云う存在は、今さら言うまでもなく米国傀儡の組織であり、捜査の案件によっては、アメリカの臭いがプンプンなのである。今回の徳洲会問題も、プンプン臭うわけで、TPPによる医療保険制度の改悪を危惧し抵抗する徳洲会と云うグループは米国にとっても邪魔な存在だし、厚労省にとっても邪魔。となれば、狙われる要素は満載なのである。行きがけの駄賃ではないが、徳洲会グループの外資買収まで視野に入っているのかもしれない。とんだトバッチリだが、猪瀬も強欲だったし、日頃の行いも悪いから、塗炭の苦しみに喘いでいる。

 書き出したら切りがなくなるが、米軍普天間飛行場の移転先、名護市辺野古沿岸部の埋め立て年内承認問題。肝心の年内に承認の是非を判断すると言っていた仲井真弘多知事が急遽都内の病院に入院した問題。これは、どちらにも受けとめられる状況で、承認した上で、入院加療を要すと云うことで知事引退までありそうな按配だ。仲井真弘多知事が沖縄県民を裏切らないことを祈りたいが、思うようには行かないかもしれない。来年1月19日の名護市長選は、現状では反対派の稲嶺進現市長が有利だが、仲井真知事の承認が出た場合は、名護市長選の逆転もあると予想されている。アベノミクスの崩壊前夜も書かなければならないが、本日はここまで、おやすみなさい。

アメリカはいつまで日本を守るか (一般書)
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支持率低下に苛立つ官房長官 「報道が悪い!」近い将来、こう云う報道は厳罰に

2013年12月17日 | 日記
知の武装: 救国のインテリジェンス (新潮新書 551)
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●支持率低下に苛立つ官房長官 「報道が悪い!」近い将来、こう云う報道は厳罰に

 本日の見出しは、一部筆者の歪曲的表現だが、そうなる可能性は充分秘めているのが、安倍自民党政権である確率は非常に高い。政府転覆を目論む、政策の効果を意図的に、極大化して、国民を煽る報道は、大衆の蜂起(暴動)の危機を助長し、テロ扇動行為と何ら変わらない、なんて話になるかもしれない。

 安倍も菅も、産経とフジによる世論調査の結果に関しては、発言以上に苛立っているのが判る。内閣支持率47.4%は、相当ショックだったに違いない。日銀や政府発表の経済指標は、概ね好いことだらけにで埋め尽くしているが、そこにマヤカシのファクターが入っていることを、百も承知の彼らにしてみれば、14年4月以降の安倍晋三人気を、如何に維持するか、そのアイディア枯渇に苦しんでいる。ロケット・スタートは、予想を上回る順調なもので、1年間を突っ切った。政策を民主党時代から大転換させたのだから、大向こうを呻らせる効果も相乗的に働き、120点の出来だった。

 しかし、好材料の在庫は尽きているので、打ち出したアベノミクスなるものが、実質的に効果を表し、内容のある経済効果を期待するしかないのだが、国民の側は、奈落の底の少し手前で、あなた方は救われる、と信仰宗教の教祖のような予言で、内閣支持率を上向かせることは出来ないだろう。打つ手が限定的になってきた。補正予算も五兆円規模とチンケなもので、焼け石に水なのは自明だ。企業の好決算も、保有有価証券の評価益や為替差益によるものが殆どなのだから、投機市場に命運を握られた内閣支持率と言っても過言ではない。市場原理主義に身を委ねた政権なんて生まれて初めてお目にかかったが、世の中、こう云うことも起こるものか、と目から鱗である。

 日中に横たわる防空識別圏問題を通じて、米国が必ずしも日米同盟の当然の帰結のような態度を、ひとつも示さなかったことへの苛立ちも加わっているに違いない。現実問題、日米同盟と云う目に見える形の軍事同盟があるとすれば、米中には、ステルスな米中同盟が存在することを、我々は認識しておく必要がある。12月16日発表の米財務省の10月の国際資本動向(TIC)によると、米国債市場の安定感は、中国依存が一層明確になっている。≪中国の米国債保有額は107億ドル増の1兆3045億ドル(約134兆円)と、 海外投資家の中で最大の伸びを記録した。≫(WSJ)なのである。つまり、中国は米国債市場の金主なのである。このことを一顧だせずに、日米同盟は堅固だと云うのは信仰宗教の領域だ。

 産経や読売が、必死で安倍官邸の秘密保護法への言い訳を報じている。菅は「映画監督が映画を作れなくなるとか、(米軍の新型輸送機MV22)オスプレイをスマートフォンで撮ってメールをすると逮捕されるとか、あり得ないことが報道されている」と指摘、「国民が懸念している部分は、施行までの間にしっかりと説明していきたい」と強弁の限りを尽くしているが、自分らで、自分等を監視するような機関を100万つくっても、誰も安心などしやしない。その上、大変に滑稽な話だが、安倍晋三の人脈だけが、永遠に政権の座に居座る前提で、物事を考えている点が、目茶苦茶に馬鹿なのだ。

 一旦成立した法律は、いつどのような形で運用され、解釈されるか判らないわけで、自分達が永遠に政権の座に居る前提の法律など、法律とは言えないのだ。法のあらゆる部分に、恣意性が入り込む隙間だらけの法律、それも基本的人権を踏みにじるような罰則規定のある法律を作る心根が、胡散臭くて、且つ無知なのである。胡散臭いで思い出したが、突如ベストセラー作家に躍り出て来た百田尚樹と云う人物がいる。どのような執筆能力があるのか判らないが、矢継早にあれだけの小説を書きなぐるだけでも凄いが、2008年から仕込まれた橋下徹のイメージに重なる男だ。弁護士の胡散臭さがバレタので、今度は右翼作家に手を変えたのか。

 この百田という人物、最近は異様にテレビに出演しまくっている。橋下の逆さまバージョンだ。それにしても、テレビ屋出身者だが、「永遠の0ゼロ」「輝く夜」「風の中のマリア」「錨を上げよ」「プリズム」「モンスター」「リング」「海賊と呼ばれた男」「影法師」「黄金のバンタムを破った男」「幸福な生活」「至高の音楽」「夢を売る男」…。どのようにすると、これだけの作品を矢継ぎ早に執筆し、歴史的受賞歴もない、見るからに“むくつけし男”が今をときめく流行作家になたのか、登場から、現在のテレビの露出度をどのように捉えるべきか、頭を捻っている。そうそう、NHKの経営委員に、安倍のオトモダチとして名を連ねたのも記憶にあたらしい。

呆韓論 (産経セレクト S 1)
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安倍と記者クラブの嘘 「減反廃止」大見得の裏に補助金、実質存続又は増額

2013年12月16日 | 日記
成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか (一般書)
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●安倍と記者クラブの嘘 「減反廃止」大見得の裏に補助金、実質存続又は増額

 12月9日の安倍が記者会見の席上、高揚した“ドヤ顔”で言い出した。「40年以上続いてきた米の生産調整を見直し、いわゆる減反の廃止を決定した。減反の廃止など絶対に自民党にはできないと言われてきた。これを私たちはやったのだ!」。本当ならたいしたものだが、安倍の言葉を鵜呑みにするほど国民は馬鹿ではないだろう。(そう思いたい)しかし、各紙の見出しを見る限り「減反廃止」の活字だけが紙面を埋めていた。勘違いする人々も大いに違いない。アホの橋下など「首相に先を越された!残念」等と、愚衆の典型のような顔で、大評価している有様だ。

 正直、日本の農政は常に基本政策が不在で、票田として期待される分だけ“ばら撒き体質”は、まったく今回も変わっていない。名前を変えて出ています、という状況に過ぎない。最近のTPP問題に端を発する700%を超える関税も問題だが、成長戦略という見出しとは、まったく関係のない“改革断行”が行われただけである。言い換えるなら、民主党政権で行った政策は、善かれ悪しかれ、すべてを否定する為になされた政策の看板のすげ替えだ、と論破可能である。

 但し、グローバル化の中における合理性に追求では、極めて不利な立場にある稲作農業だが、日本の水田稲作文化の継承と云う縄文弥生から受け継ぐ文化をどうするのか、という切り口から考える場合は、異なる解が導かれるだろう。真正保守としては、合理性の面で叩かれる稲作、コメ作りの文化を絶やす事には、大いに違和感を憶える。国土の景観の問題もさることながら、治水や滋養の面で、水田は大きな役割を発揮していたし、農業地域の共同体自治を成立させる生活習慣としての有益性も見逃すことは出来ない。労働集約と云う行為を通じて、日本文化が継承された歴史的意義を、どのように捉えるかで、合理性が悪である場合もあると云う問題を21世紀の人間は考えざるを得ない。

 宮台真司が以下のマル激トーク・オン・ディマンドの中で、最後の方で「誰が、誰の為に、何をしているのか。それが判らないのが問題だ」的な表現をしていたが、いま我々の世界で起きている出来事のすべてが、この言葉になぞらえて考えていくと、誰が主体で、誰が恩恵を受け、誰が犠牲者になるのか。そして、何に向かって、誰がどのような方法で行っているのか、そういう事を色々と考えさせられる。農業問題は、以下の安藤准教授の話の通り、農作物生産の技術的問題から、仕組みの複雑さなどで、専門外の筆者が、一言で切り分け出来る問題でもなく、経済学者如きの合理性で切り貼りされたら、元も子もなくしてしまいそうだ。以下にマル激トークと経済面から批判的なダイアモンドの記事を参考添付する。経済合理性論、農業技術論、日本文化論の次元では、安倍の政策転換は、零点又はマイナス政策と云うことだ。最後に一言だが、アメリカが戦略的に他国の農業生産メカニズムを破壊する為に行っている、農産物の輸出奨励補助金制度こそ、TPPの俎上に乗せるべき重大な問題だ。


≪ マル激トーク・オン・ディマンド 第661回(2013年12月14日)
「減反廃止」で日本の農業は生き残れるか
ゲスト:安藤光義氏(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)

 政府は12月10日に決定した「農林水産業・地域の活力創造プラン」で、「減反政策の廃止」を打ち出したとされる。安倍首相は9日の会見で、「40年以上続いてきた米の生産調整を見直し、いわゆる減反の廃止を決定した。減反の廃止など絶対に自民党できないと言われてきた。これを私たちはやったのだ」と長年の課題だったコメ農政の大転換に胸を張ってみせた。政権の意向を受けたものかどうかは定かではないが、確かに11月下旬頃から大手メディアもこぞって 「減反廃止」を大々的に報じている。しかし、専門家や農業関係者からは、今回政府が決定した内容は実際には、安倍首相が誇ってみせたような「減反政策の廃止」とはほど遠い内容ではないかとの指摘が聞こえてくる。

 減反政策というのは、コメの値崩れを防ぐために、転作に対して補助金を出すなどして、コメの生産を管理することである。しかし農政問題に詳しいゲストの 安藤光義氏によると、今回、政府が決定した内容では、実際にはこれまで通り転作奨励の補助金は続けられる。いや、むしろ項目によっては新設・増額さえされている。また、これまで政府が行ってきたコメの生産数量目標の管理も、これまで通り政府が行うという。唯一の違いは、これまで都道府県別に割り当てていた 生産数量目標を廃止し、政府は国全体の生産目標だけを公表することになった点だという。

 民主党政権時代に鳴り物入りで創設した戸別所得補償制度は5年後の廃止が決まったものの、全体としては従来の補助金農政と変わらない、それどころか項目によっては補助金が増額されている分、農政全体の予算規模は膨らむ可能性すら指摘されているのが、今回の決定の実態なのだ。

 日本のコメ農政は戦後一貫してコメ自給率100%を掲げて進められてきた。1970年代に入ると需要の頭打ちや豊作などもあってコメの供給過剰が表面化 し、政府がその需給管理に本格的に乗り出すことになった。政府は毎年の米価を決めて、コメを全量買い上げる一方、コメ農家に対しては、麦や大豆などへの転作を奨励してコメ生産を抑制することで補助金がつく仕組みを設けて全体の供給量を管理するいわゆる減反政策がスタートした。

 安藤氏は減反政策は当初うまく機能していたと評価する。しかし、その後、日本人のコメの消費量は年々減少し、コメ余りが深刻化すると同時に、ブランド米などの自主流通米が拡大したために、今や250万ヘクタールある日本の水田の4割にあたる100万ヘクタールが、減反の対象となってしまった。転作による生産調整も転作率が4割を超えるところが多く、減反という名の補助金によって米価を買い支える日本の農政の基本モデルはもはや限界を迎えていると安藤氏は指摘する。そして更に日本人のコメ離れとTPPなどによる市場からの圧力が加わることは必至な情勢なのだ。かといって、日本の財政の現状を考えると、これ以上のコメを買い支えるだけの財源などどこにもないことも論を待たない。

 なんだかんだ言っても減反はやめられない。一方で、減反による米価の買い支えももはや限界を迎えている。しかも、これ以上買い支える財源もない。安藤氏は、もう少し早ければ減反をやめるという選択肢もあったかもしれないが、もはやそれも難しいという。そのような袋小路にあって、相変わらず抜本的な政策転換を図ることができなかったというのが、今回安倍首相が胸を張り、マスコミ各社が大々的に「減反廃止」と報じた新しい農業政策のもう一つの現実なのだ。

 「日本から4割の水田が消えた時の景色を想像できますか」と安藤氏が指摘するように、日本にとって水田が持つ意味は単なるコメを作る耕作地以上の意味を 持つ。今、われわれにはどのような選択肢が残されているのか。それでもこのような弥縫策を続けた場合の最悪のシナリオとはどのようなものなのか。ゲストの 安藤光義氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。 ≫(ビデオニュース・ドットコム)


 ≪ 大山鳴動してねずみ一匹 “減反廃止騒動”の真相
2013年11月26日(火)09:00
 与党・自民党がコメの生産調整制度の改革を進めている。国による生産数量目標の配分の廃止などをもって、減反制度の廃止ともてはやす報道も多い。だが、実際はそういうことにはならなそうだ。 「減反から国は手を引く、これからは自分たちで生産調整をやってくれということか。愛情のかけらもない農業改革だ」「この時期にTPP(環太平洋経済連携協 定)と一緒に減反廃止の話が出てきてたまげた。今後の所得について農家が心配している」……。会議室をびっしり埋めた議員から、不安や不満の声が相次いで上がった。

 11月6日、コメの生産調整制度に対する中間とりまとめ案が検討された自民党農林水産戦略調査会・農林部会等の合同会議だ。
  一種の“ガス抜き”のような怒号が飛び交う会を経て、「個別に農家の収入がどう変わるかの金額が出ていないのでまだ不安はあるが、大きな方向については全員の理解は進んだ。次年度の生産調整数値を出す11月末までには、政府与党で合意した案を固める」と齋藤健・自民党農林部会長は言う。

 減反とは、主食用のコメの供給を国や自治体、農業生産者等の調整で抑制して、米価を高値維持し、生産者の経営を安定させる政策を指す。この40年間綿々と続いてきた、いわば生産カルテルだ。
  この日本農政の根幹にくさびを打つかのような、10月末の与党方針発表と林芳正・農林水産大臣の発言があり、「減反廃止」として報道が過熱した。しかし、 与党の政策と報道には乖離があって、現実には減反廃止にはつながらないだろう。その理由を知るには、過去の経緯からひもとく必要がある。

 “減反破り”へのペナルティはすでに存在しない  

  減反が始まったのは1970年。戦後のコメ不足を背景に、生産されるコメを国が買い上げ、供給量と価格を管理した食糧管理制度の時代のことだ。60年代後半からコメは過剰生産となり、国の買い入れ負担は重くなっていた。買い入れ量を減らし財政負担を削減することを目的に、減反は生まれた。  生産者にとって減反に協力することとは「主食用米を規定の生産数量目標以上に生産しないこと」だ。これに協力すれば補助金(交付金)が交付され、協力しなければ翌年の減反義務の面積の増加や農業機械購入時の補助金が受けられないなどのペナルティがあった。アメとムチの政策だ。  どれだけ減反を行うか(生産数量目標)の枠は、国から都道府県、市町村、そして個々の生産者へと順次下りてきて、配分された。

 そもそも今日、「ペナルティを伴った減反の義務はすでにない」(林農水相)。民主党政権時に廃止されたからだ。詳しくは表に示したが、増産したい 生産者は存分に増産できる一方、減反に協力した生産者には生産面積に応じ10アール当たり1万5000円が支払われる。ムチはなくなり、アメだけの政策に なったのだ。この「戸別所得補償制度」を、自民党はバラマキとして厳しく批判、その撤廃を1年前の衆議院選挙の公約として掲げた。

 今回、自民党が打ち出した“新方針”は主要なもので三つある。
 第一に「2014年産米から直接支払い交付金を漸減させた上で、18年産米からは廃止する」。第二に「国から都道府県への生産数量目標の割り当て を5年後をめどに廃止し、集荷業者や農業団体などが一体となって需給に応じた生産を行う状況になるよう取り組む」。第三に「飼料用米など非主食用米の生産に対し、現行よりもさらにインセンティブの厚い補助金を導入する」というものだ。
 メディアの報道では、最初の二つの新方針をもって「減反廃止」と表現しているものが多い。
 確かに、第一の新方針、主食用米の生産数量目標の順守を条件に支払われる補助金が廃止されること(いわゆる戸別所得補償制度の廃止)は、大きなアメの撤廃だ。また、第二の新方針で、国の関与はなくなるかのようなトーンだ。

 飼料用米生産への“アメ”を大拡充 主食用米減産を牽引

 しかし、その代わりに用意されたアメは、相当に甘い。
 まず、地域内で生産者が農地を維持していくために行う活動に対して支払う「多面的機能支払制度」がある。この詳細は明らかでないが、形を変えた補助金だ。  そして、前述の第三の新方針、「飼料用米など非主食用米の生産に対する補助金」だ。実質的に主食用米の減反がこれからも続くのは、この政策によるものが大きい。

 つまり、主食用米の作付けを生産者に割り当てて制限するという旧来の「減反」から、非主食用米の作付けについてのインセンティブ(アメ)を格段に手厚くすることで「転作」を奨励し、結果的に主食用米の作付けを減らす形になるわけだ。過去の自民党政権時にも実施されていた方式だが、今度は表現が微妙に変わった。

 いまでも非主食用米を作る生産者には、その米粉や飼料用米の販売収入と、主食用米収入との差額を埋めるため10アール当たり8万円が支払われているが、この金額は江藤拓・農水副大臣が「現状よりも上げたいという思いはある」と言うように今後増額される可能性が強い。さらに、飼料用米の生産数量に応じて補助金を支払う数量払いも加わる。
 結果的に、国民負担が増えることもありそうだ。

 現在減反されている面積はおよそ100万ヘクタールある。米粉・飼料用米への転作による減反分は現在6.8万ヘクタールと10%未満しかないが、 「すでにここに544億円が支払われている。現在の8万円の補助金が仮に今後10万円に増え、生産者がこれに応じ20万ヘクタールに作付面積を増やすと総額2000億円が財源として必要になる。自民党では戸別所得補償制度の廃止により浮いた財源をこの非主食用米生産のインセンティブ拡充に充てる予定というが、これでは収まらず、必要となる予算額はむしろ現在より増える可能性も高い。減反廃止どころか、減反の強化だ」と山下一仁・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹は批判する。  細部の金額は今後決まる部分が多く、実際にどのような形で着地するかは不明だ。また、たとえ飼料用米生産へのインセンティブが増額されても、やはり人が食べるコメを作りたいという生産者もいる。実際の生産数量がどうなるかは見えにくい。

 また、新方針では、国が行う生産配分の代わりに、国の出す需給見通しに応じて自治体や(JAなどの)生産者団体が数量配分を自主的に行う、としている。新潟・北海道など、単価の高いブランド米を生産しJAの統制力が強い地区であれば、価格を維持するために地域内で実質的な生産調整が行われる可能性がある。そうでない地域ではどうなるか。今後5年間の移行期間で政府は調整を迫られることになるだろう。  さらに、米価の下落による収入減を補填する制度も拡充される。これまでその対象は4ヘクタール以上の大規模農家のみだったが、15年からこの規模要件は撤廃され、小規模農家の集合体である集落営農にも適用される。

 補填がなければ、小規模生産では経営が立ち行かず、農地を売却したり貸したりすることになるはずが、「(小規模生産の)兼業農家も補填を受けられるので、農地は主業農家に集まらず、全体として大規模化による生産効率の向上が進まない」と山下研究主幹は言う。  減反を行う中でも、日本のコメの生産技術は年々進化し、日本米とミニマムアクセス(高関税で国内米を保護する代償として設定されたコメの輸入枠)による輸入米の価格は接近しつつある(図参照)。

 こうしたコメの実力を生かし、輸出などの攻めに転じる方策もあったはずだが、この三十数年間のコメ農政の根幹の“税金で主食用米の価格を高く維持する”政策はそう簡単に崩れることはなさそうだ。このままでは、「空騒ぎ」に終わりそうな“減反廃止騒動”だ。
  ≫(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

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度重なるオバマの失敗 それでも安倍率いる自公与党は、米国政府につき従うのか

2013年12月15日 | 日記
アメリカの新・中国戦略を知らない日本人
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●度重なるオバマの失敗 それでも安倍率いる自公与党は、米国政府につき従うのか

 以下のランディ・フォーブスらのWSJ寄稿コラムの内容を詮議するつもりはない。殊更に、中国威嚇論を展開しているあたり、共和党戦争屋っぽい受けとめかたで、賛同する価値はない。しかし、バイデン副大統領が日中韓を訪問し、何を安倍政権に伝えたか、習近平やパク・クネに何を語ったかは、報道機関に流れている情報をなぞっても、会談の本当の内容は判らないだろう。ただ、バイデンが中国に強く出た形跡はない。米国が強く出ても、ハイハイと二つ返事で忠告に従う中国でのない筈。

 このコラムは、巷のハイパー・ナショナリズムに傾倒している人々にとって、心地よいコラムの内容になっているのだが、日本の米国依存型ナショナリストとっては、“そうだ、オバマのやり方は生ぬるい”という点で、情緒的に苛立ちがあるのも事実だろう。しかし、米国の現在の鈍らな態度こそが、現在、そしてこれからのアメリカの立場を暗示しているわけで、それこそ忖度すれば理解し得る範囲内の行動だと思う。

 TPP交渉の年内妥結も頓挫し、継続協議に持ち込むだけでも大変だった状況を考えると、事務方の調整能力云々でもなく、政治決着させるだけのイニシアチブを米国が必ずしも握っていない状況を示している。TPP交渉が、何故あれ程までに交渉内容の情報を開示したがらないのか。おそらく、情報開示をしてしまうと、アメリカのゴリ押し(逆に横綱相撲が取れない)ばかりが世界に知られ、威信を傷づける惧れがあるに相違ない。今回も、日本の外務省は、アメリカと年内妥結に向けて共同歩調を取ったが、甘利ら政治家は、必ずしも、外務省の敷いた道筋に沿っては動かなかった面がある。

 その理由を明らかにするのは難しいが、各国の対米姿勢が官僚らのレクチャー内容と乖離した事実を、数多く知る事になった点では、政治家にとって有意義だったのだろう。貿易協定の量的規模に於いて、日米が組むことで、完全にイニシアチブが取れると目論んだ官僚達だが、蓋を開けてみると、日本ほど“アメリカ様一辺倒”で交渉ごとにあたる姿勢がないことを肌で感じたに違いない。日本が日米同盟で囲われ者になり思考停止している間に、アジア等々の弱小国は混乱を繰り返しながらも、その困難と闘うことで、自立の精神を身につけていたのである。

 北アフリカ、中東、ウクライナ、タイなど、国家体制の選択で、暴力等々も加わり国民が争っている場面もあるが、民主的に平和裏に行われる多国間協議おいては、国連のあらゆる機関での決定のプロセスで、大国の主張が必ずしも受け入れられず、会議が迷走し、決定に至らない現象を目撃する。表向き、公正公平を原則とする民主主義推進のリーダーを自認するアメリカにとって、このような事態は、表向きに隠された戦略的思惑が実現しないことを表している。そこで、モデルケースを制御不可能な多国籍から、一定数の国々との話し合いで、成功をおさめようと試みたのがTPPの大枠なのだろう。

 21世紀と云うのは、20世紀、時に第二次大戦後、そして東西冷戦構造の解体で始まった米国の独り勝ち時代を経て、世界の権力構成の再編の過渡期にあるのだろう。そして、現状を見る限り絶対的勝者がいなくなりつつある事実を、我々は見守っている。日米同盟で、絶対的勝者の地位に座ろうと考えている奇妙な政治主導者もいるようだが、まったくの勘違い以外のなにものでもないだろう。このコラムを書いた人脈に通じる人々だけなら、その日本の仮説も成り立つだろうが、どちらかと言えば、米国内では少数派に属すると判断する方が賢明だ。彼らとタッグを組んだとしても、人種の壁を突破するほどのことはない。

 相対的にみると、米中が絶対的ではないとしても、おおよその世界の覇者風になると見るのが、流れ的には妥当な線だ。「米国+つかず離れずの英国・EU」対「中露+中央アジア、東欧」対「中東」。理屈上はASEANがその勢力図に加わる。無論、上記のような単純な色分けは起きないだろうが、ベースはその構造の上にある。実際には、そこに外交防衛+経済的相対関係が絡み、より一層勢力図は混沌を増していくのかもしれない。少なくとも、方向性を定めるのは、時期尚早な時代が、現在我々の前に拡がっている。答えは筆者も判らないが、見識を誇る偉そうな人々も、実は判っていない。もしかすると、世界中の中のすべての人が、その先行きの見通しを立てられないでいるのだろう。現時点で、言えることは、国の行方を固定化するような方向に舵を切ることは、慎むべき時代なのだと思う。

 どちらかといえば、内向きな方向性で、内々を固める方向に力を注いだ方が得策だ。我が国が、いま採るべき道は、決めないことである。鈍らな態度が適切な選択時期なのである。例えていえば、大平正芳政権のような鈍らに徹し、モラトリアムな態度を示し、状況を見定める時節なのである。絶対に自信を持って言えることは、自国の意思自体が迷走している国家と運命を共にするような拙速を戒める時代である。にも関わらず、駄馬が先走っている現状は、すべての面で、大変危険だ。しかし当面、我々国民の側は、その無謀な暴走を傍観するしか選択肢が無いと云うのだから、何とも悩ましい。


 ≪ 【寄稿】アジアでの制空権リスクにさらす米国の対中外交
By J. RANDY FORBES AND MICHAEL AUSLIN
 先週のバイデン副大統領の東アジア歴訪には、中国が東シナ海上空に広大な防空識別圏(ADIZ)を設定したことで急激に高まった緊張を解消する効果はほとんどなかった。日中韓に対するバイデン副大統領のメッセージの隠れたテーマは「うまくいく方法を模索しよう」 だった。米国の同盟国が明らかに期待していたのは、米国が空の無害通航権を重ねて主張し、昔から設定されているADIZに重なるような中国のADIZの設 定を拒絶することだった。ところが、米国政府は混乱したメッセージを送り、は東アジアの空における中国の一方的なADIZの設定し直しを受け入れないこと を同盟国に確信させることに失敗した。

 中国はADIZを日本が数十年前に設定したADIZに意図的に重複させた。そこには日中両国政府が領有権を主張し合っている尖閣諸島や韓国のADIZの一部も含まれている。日本政府と韓国政府は民間航空会社に対し、中国が民間機にも求めた運行情報とトランスポンダー・コードの事前通知に従わないよう要請した。それとは対照的に、米国務省は米国の航空会社に対し、そうした情報を中国に提供するように指示した。

 中国の挑発に対して米国が断固とした態度をとらないことが、韓国によるADIZの拡張の一因となった可能性がある。韓国のADIZは今や中国のADIZと重なる部分がさらに広がり、日本のそれとも重複している。

 報道によると、日本は通常通り、中国のADIZで自衛隊機を飛行させた。米国も2週間前、中国が設定したADIZに2機の「B52」爆撃機を派遣した。同盟国との合同飛行訓練を含むこうした任務を向こう数カ月間にわたって続けることは重要な意味を持つ。

 バイデン副大統領は北京で、米国は新たな状況を甘んじて受け入れつつあるというメッセージを送った。副大統領は中国と日本が危機管理メカニズムを構築することを強く促したが、もてなしてくれた中国の要人たちにADIZの撤回を求めることはなかった。新たに設定されたADIZは第一歩でしかなく、中国のそうした暴挙が今後も続くことは明らかであるにもかかわらず、そのような対応をとったのである。南シナ海のように緊張が高まっている地域が中国の次の標的になる可能性が高い。

 そのため、米国政府は、海、空、宇宙、サイバー空間といった特定の国家が支配していない公共の領域への困難なアクセスを狙った中国のさらなる挑発 に対して覚悟しなければならない。ところが、米国は現在、軍事予算を削減しており、2020年代半ばには1兆3000億ドルほど削減されている見通しだ。

 アジアの空で米国と日本を挑発するほど中国が自信を持ち、北朝鮮が核兵器能力を持ち、イランが核保有に向けて前進し、軍事力を立て直して再び強引になったロシアがウクライナのような隣国に圧力をかけている世の中において、現在の米国の方針は非常に無責任である。強い米国なしの世界は平和が当たり前ではなくなる恐れがある。というよりも、かなり不安定になるのは確実だ。  中国の最近の行動はいろんな意味で、米国は制空権のおかげで世界で唯一の超大国であり続けていることを思い起こさせてくれた。朝鮮戦争以来、米軍は重要な地域へのアクセスを拒否される心配もなく世界的に活動できてきた。地球上のどこであれ、米軍にはほぼ瞬時に破壊的な攻撃を仕かけることが可能だった。

 今後数年間の軍事予算削減にもかかわらず、連邦議会は今のところ唯一の次世代制空戦闘機計画である「F35」統合攻撃戦闘機を支持し続けざるを得ない。その背景には、特に中国、ロシア、イランが高度な防空技術に巨費を投じていることがある。

 同様に、内陸部の奥地の標的を脅かす信頼できる能力を維持するためにも、次世代長距離爆撃機計画への完全なコミットメントが不可欠である。米国は大国や核兵器能力を入手しようとしている小国による軍事行動を抑止するためにも、最大の兵器量を搭載でき、ステルス性能を持ち、敵からの攻撃に耐え得る爆 撃機を配備しなければならない。

 米国には、紛争中の空域でも撃墜されずに長時間高速で飛行できるステルス無人機に投資することも求められている。南シナ海、北朝鮮、イラン、シリアなど危機をはらんだ地域が拡大していくなか、現在のシステムでは脅威を察知して反応するのに必要なすべての情報を米国や同盟国に提供できるとは思えないからだ。

 こうしたことの根底にあるのは、より優れた諜報能力、監視能力と防護性が高いコミュニケーションネットワークの必要性である。米国のコミュニケー ションネットワークや衛星攻撃能力へのサイバー攻撃は米軍の作戦の有効性を損なわせかねず、中国は素早い勝利が得られると確信してしまうかもしれない。米空軍の世界的規模のコミュニケーションを維持する能力は、防衛計画おいて最優先されなければならない。

 中国は国力の向上がいかに軍事能力のさまざまな側面を米国が長く支配してきた領域にまで拡大させるかということを示してきた。今のところ、中国空軍が米国の空軍力に匹敵すると考える者はいないが、米国における政治的な意志の欠如と伝統的な優位性の着実な低下が組み合わされば、2020年代には劇的に異なる環境を生み出してしまうかもしれない。そうなったら米軍は50年以上ぶりに制空権に目を向け、自分たちは本当に安全なのかと疑問に思うことだろう。世界の安定を維持する米国の能力はますます試されることになる。
(共同筆者のJ・ランディ・フォーブス下院議員――バージニア州選出共和党――は下院軍事委員会の委員長で、中国議員連盟の会長も務めている。マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長で、wsj.comのコラムニストでもある)
≫(WSJ日本版:寄稿コラム)

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