世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●元気になる話題を紹介するが GPIFの6兆円の儲け話ではない

2015年02月28日 | 日記
もうエコノミストに騙されないために 紫炎のMBA講義録
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●元気になる話題を紹介するが GPIFの6兆円の儲け話ではない

年金積立金の10~12月期の黒字6兆円超 過去2番目の高水準だという。ここで云う運用実績という表現は意外に癖ものなので、我々国民は、不用意に喜んではいけないのだろう。2013年も10兆円儲かったと言っていたが、これってあくまで、帳簿上のことだからぬか喜びしないで貰いたい。株っていうのは、売って初めて利益が手に入るのだから、10兆円も6兆円も、GPIFの手中に握られたわけではない。

キャッシュを手にする為には、株式市場を通して、その利益が帳簿上出ている株を売って、利益を確定しなければならない。つまり、持ち株が上がったあがった、と金持ち気分になっている素人筋と同じことだ。個人が売る分には、市場に影響など出ないのだが、GPIFが兆単位で売却に動けば、株価は自動的に下がる。海外投資家も、公的資金が入っている安心感から買っているので、こちらも売りに回る。

結局キャッシュを手にしようとすると、株式市場の暴落を招くと云う「蟻地獄」と云うジレンマを東証市場は抱えたということ。そして、実体経済が好転しない限り、いつかはコケる偽装利益なのである。本当に儲かったのなら、詐欺会社のように、掴んだキャッシュを見せて貰いたいものだが、お見せしようとしても木の葉のような銭なので、お見せするのは帳簿だけですってお話ですな。これってマルチ商法なんだよね。永遠に株を買い続けないと、莫大な損を出す地獄に、政府は、国民を引き摺り込んだと云うことに過ぎない。とまぁ、また暗い話の枕文がついたが、見逃してもらいたい(笑)。以下は、筆者も気にしていた本なので、講談社の宣伝に寄与することにする。


≪ 世界シェア7割を誇る中小企業 「驚きの秘密」を特別公開!
 間接部門の肥大化が開発者の創造性の芽を摘む
メールで物事を決めるのは禁止!? 69歳を過ぎても現役で厚遇!? ほか

日ごろ、私たちが何気なく使っているエレベータ。そのエレベータが目的の階で数ミリのズレもなくピタリと止まるのを「当たり前」だ と思っていませんか? 実はこれ、都内のある中小企業が手掛ける「機械式精密位置決めスイッチ」のおかげなのですが、同社はこの分野で世界シェア7割を占めているといいます。従業員100人程度ながら、世界シェアトップを維持し続ける秘訣とは何か――好評発売中の講談社現代新書『世界に冠たる中小企業』(黒崎誠著)第4章より、以下、その一部を特別公開します。

中小企業の得意分野は、大企業の参入してこないようなニッチ市場とされる。だが、その多くは最初から存在していたものではない。ほとんどは、中小企 業が自らの手で新たにつくり上げたものだ。ニッチ市場で中小企業が生き残っているといった甘いものではなく、中小企業が自らの汗と努力によって、ニッチ市 場という新しい市場を創出したといっていい。日本の中小企業によるニッチ市場から誕生した製品の中には、世界トップどころか、その製品がなければ世界の経 済活動に支障をきたす例も数多くある。

 ■なぜエレベータはピタリと止まるのか
メトロール(東京・立川市)は、工作機械、半導体製造装置などの機械が正確に作動する位置を測定し、制御する「機械式精密位置決めスイッチ」をつくっている。一見、我々の生活とは縁のないように思えるが、たとえば、エレベータが数ミリの狂いもなくピタリと止まるのは、実は同社のスイッチのお陰だ。 最近では脳神経外科手術分野の医療機器にも使われ、多くの難病の患者を救済している。この分野で世界シェア70パーセントを有し、オンリーワン企業に近 い。従業員は100人をわずかに上回る中小企業にもかかわらず世界トップシェアを維持できる秘密は、モノづくりに命を懸けるといっても過言ではない高度の 技術への挑戦と、人事、経理等の管理部門はゼロといった徹底した合理的な経営にあった。

工作機械の代表ともいえる切削工作機械の先端には、金属を削るための刃が付いている。もし刃が正確な位置に取り付けられていなかったら、いくら優秀 な工作機械でもその高い性能を発揮できない。また、刃は極めて硬い特殊金属でできているが、それでも何百万回、何千万回と使われればいずれ刃こぼれする し、位置もずれてくる。これに気づかず稼働を続けていれば、機械は故障する。かつては機械の微妙な動き、音の変化などからこの道何十年のベテラン社員が位 置のずれや刃こぼれを見つけ出し、経験とカンで調整してきた。

だが、メトロールの開発した「位置決めスイッチ」を使用すれば、製品が不良品になるほど刃こぼれが進むと機械は自動的に停止する。不良品が発生する直前まで位置がずれても機械は止まる。この結果、ベテラン社員が絶えず機械をチェックする必要もなくなって生産ラインの自動化を可能とし、二四時間の稼働 と生産性向上につながった。メトロールのスイッチは、300万回以上使っても位置のばらつきが0.0005~0.001ミリ以内にとどまる。刃こぼれもほ ぼ同じ測定範囲で検知する。価格は機種によって異なるが、数千円から10万円台。位置決めスイッチは、メトロールのような機械的機能を利用するものと、 光、電磁波を利用するものの二つのタイプに分かれる。

光、電磁波のスイッチが大量に使用された時代もあり、おもに電気メーカーが製造していた。それらは光や磁力を増幅させて制御する一方、熱に弱いとい う決定的な弱点を持っていた。工作機械は、高い熱だけでなく電磁波も発生させる。さらに機械によって削られた金属の破片が飛び散り、機械から漏れ出す油も 性能に悪影響を与え、精度に狂いが生じる。

ところが、メトロールの機械式スイッチは、光や電磁波を利用しないから熱にも強く、油や削られた金属が飛び散るような過酷な条件下でも、ほぼ精度が変わらない。しかも、価格は光や電磁波のタイプの10分の1程度と極めて安価。リーマンショックで同社も売り上げが半分以下にまで減った。しかし、同社の売り上 げの半分以上を占める輸出の回復によって2年後にはリーマンショック前にまで回復させた。2014年度にはリーマンショック前を上回る15億円に達し、同 社の持つ国際競争力の強さを見せつけた。中小企業でも世界で圧倒的な技術力を有していれば、未曾有の不況さえ乗り切り安定した経営を続けられる典型例だろ う。

■大手企業の技術盗用に猛抗議
メトロールの創設者は、社長の松橋卓司の父親である章だ。章は東京大学工学部精密工学科を卒業した技術者。大手カメラメーカーに就職し、ここで内視 鏡の開発に携わり、世に出た初号機の実地設計を担った。現在ほど医学が進歩しておらず、胃がんはおろか胃潰瘍で死亡する人たちも多かった時代。胃の中をカメラで見ることができれば、多くの患者の命が救われると思い、技術者としてのやりがいを感じていた。だが、同社の幹部は内視鏡そのものにまったく理解を示さず、それどころか「内視鏡の実験で人身事故が起きたら、わが社の名前に傷が付く」と開発に圧力をかけてきた。このため7年間も民生品のカメラ開発に従事する傍ら、会社に隠れて研究・開発を続けた苦労の末、成功にこぎつけた。開発した内視鏡はその後健康保険が適用され、光ファイバーへと進化を遂げ、この会社を内視鏡で世界トップのメーカーに成長させた。

だが、「胃の中の写真を撮りたい」と願う医師とともに内視鏡の構想設計に携わった初期の開発者たちは多大な功績を挙げたにもかかわらず、経営の中枢に関わることも社内の表彰を受けることもなく、その功労に対して会社は極めて冷淡だったという。こうした会社の方針への反発もあり、「額に汗して、苦労し 世の中に貢献した技術者が報われる会社を創りたい」として章が設立したのが、メトロールだ。メトロールの社名は、メジャー(計測)とコントロール(制御)を合成してつけた造語だった。

メトロールには69歳を過ぎても現役として厚遇されている社員や、常勤ではないものの80歳になっても週に数回出社して20代、30代の若い社員と 一緒になって新製品の開発や製造の現場で働いている社員もいる。額に汗する技術者を大切にしたいと設立したメトロールの原点は今でも固く守られている。

会社設立後間もなくして、自社開発した重要な技術を大手企業に盗用される事件が発生した。特許を取っていないこともあり、相手の大手企業は抗議に耳 を貸そうともしなかった。怒った章は、その会社のトップに直接抗議の手紙を出して実情を知らせライセンス交渉に成功した。これによって、メトロールは存亡 の危機を免れた。技術を盗まれるような事態に陥ったら敢然と立ち向かう果敢な精神は、今でも脈々と生き続けている。

■受注者がリーダーを務め計画生産は皆無
メトロールの生産方式は、1人が受注から生産、検査、包装まで行う「1個流し」。完全な受注方式を採用し、見込み生産は一切していない。「3週間先の仕事も決まっていないのが、わが社最大の特色」(卓司社長)なのだ。在庫は1個も持たず、1個単位の注文に応じてつくっていく。このような生産方式を可能にさ せているのは、1個の注文が来たらそれに見合った数量の部品を自動的に発注できる同社独自の受注生産システムを確立していることが大きい。この方法であれ ば、部品があまることも不足することもないからだ。社長の卓司は「常にリアルタイムで対応し、計画生産は今後もまったく考えない」とまで言い切る。

どのようなユーザーからの問い合わせや注文に対しても、価格の見積もり、受注から納入日などの生産計画の決裁までを1日で済ませる。この結果、国内であれば最短数日でユーザーへ納入できるだけでなく、海外でもほとんどの地域に1週間以内の納入を可能にしている。

■社内メールで物事を決めるのは禁止
社員は社内専用のクローズドシステムのブログを共有することによって営業情報を絶えず共有しているから、情報共有のための会議も開かない。社員が社内でコーヒーを立ち飲みしながら会話する中で、会社の重要事項の多くが決まっていく。社内のメールでのやり取りで物事を決めることは禁止され、決めるとき には必ず顔を合わせて行う。

何時でも誰でも簡単に打ち合わせができるよう、事務所内にはセクションごとの部屋も壁もない。部・課長用の部屋どころか社長室もない。肩書きに関係 なく全社員がフラットな一部屋で仕事をしている。社長は事務所の真ん中で事務を執っているから、必要なら誰でも社長に直接話しかけることができる。

工場事務部門は工場の2階にあるが、事務所と同じようにフラットな1部屋方式。工場と事務所は、4つの階段で繋がっており、製造部門の社員が、事務 部門と打ち合わせをする必要があればいずれかの階段を上がればよい。逆に事務部門が製造部門に行くには階段を下りれば済む。システムだけをつくっても人間 関係がうまくいかなかったら絵に描いた餅に終わる。社員同士のコミュニケーションを円滑にするためコミュニケーションならぬ飲みニケーションを大切にし、 幹部社員は会社名義のクレジットカードを持っており、社員との必要な飲み会の費用は会社が支払う。飲みニケーションの場が、社内のコミュニケーションを活発にし、さらに活力源となっている。

700種もの製品をつくるのに必要な部品は7000種に達するが、工具の工夫や作業の平準化によって高度な熟練の必要がなく、ほとんどの社員が一定の教育・訓練を受けることで精度の高い製品をつくり上げる生産システムを確立させたことも、同社の強さの要因だ。

組み立てに携わる社員約60人のうち、約80パーセントは工場近くのマンションや一戸建てに住む普通の主婦を中心としたパートの女性たちだ。「会社は女性でもっている」のだ。女性の勤務時間は、子育てをしながらでも働けるよう朝9時30分から午後4時30分まで。工場内は女性の健康と身体のことを考えて床暖房。厚生年金、失業保険などの社会保険に加入し、ボーナスも年3回出る。パートの女性社員は「勤務時間の短い社員」と位置付けている。

年に3回は全社員が集まってパーティイベントを開くが、開催時刻は勤務時間の終わらない午後4時から。30分は勤務時間とし有給となる。パーティは社員が 企画して原則として全員参加。終了は5時30分。子供を保育園に迎えに行く時間などを考慮し、家庭と職場を両立させるためだ。パート社員は原則として1年 契約であるが、よほど勤務に向かないなどの理由がない限り継続を認められ、ほぼ100パーセントが継続し昇給もする。「わが社ではパートの女性社員にも重要な役割を果たしてもらう」と女性社員の能力を最大限引き出し、働きやすい環境を整えているのが大きい。

仕事上の改善、改革の提案の数は年に300件を超え、社員数の3倍に達する。この中にはパート社員からのものも多くある。ほとんどの社員が会社の方針を理解し、これに応えていることがはっきりする。メトロールは、社員にやさしいと言えるが、その一方で「仕事に関しては妥協のないプロの集団」との厳し い姿勢で臨む。1個流しの生産方式は、ただすぐれた製品をつくるだけでなく中間検査も行い、製造工程の中で不良品が外部に出ないよう責任を負う。しかも、 製品は1000分の1ミリの精度を求められるから、プロ意識が高くないとやれない。

■管理部門なんていらない
メトロールでは、人事、総務、経理などの管理部門にはそれぞれ一人しか配置されていない。人事評価は、営業、製造の現場を受け持つ各部長が担当する。現場のことを一番よく知っているのは部長なので、公平な人事になるという。総務の仕事も直接部門の社員が権限を委譲されて一人二役、三役を兼ねてこな している。海外出張も稟議書の提出など必要なく、クレジットカードを渡たされ、口頭の了解で認められる。法律、経理、社会保険といった専門的な知識を必要 とする分野は、弁護士、税理士、社会保険労務士などの専門家に依頼している。間接部門の担当が各一人で十分やっていけるのはこのためだ。

創業者の章は大手カメラメーカーで苦労の末に画期的な内視鏡を構想した初代開発者であるが、さほどの社会的な評価も与えられず、恩恵に与ったのは開発に反対した管理部門だった。「メーカーにとって間接部門の肥大化は開発者の創造性の芽を摘む」との経営哲学は一歩だに揺るがない。長年にわたって面接な どによる採用方式をとっていたが、入社した社員の中には自由闊達な社風に適応できない者も多く、この方式では本当の能力が見抜けないことを痛感。現在では 心理分析の専門家の立ち会いの下で面接を実施している。この結果、採用費用は増えたが、入社早々にすぐれた成績を上げる社員が現れるといった目に見える効果が現れるようになった。

中国、インド、台湾にも海外拠点を置いているが、その目的は生産でなく販売。現地スタッフを幹部に登用して決定権も委譲し、日本人と同じ待遇。英語、中国語などのホームページを立ち上げて広告も掲載し、海外60ヵ国以上と取引をしている。輸出の多くは円建て。大企業と中小企業は生きる道が違うと、 創造的な強い企業を目標とし、大企業を目指す気持ちはない。

黒崎 誠(くろさき・まこと)1944年群馬県生まれ。時事通信社に入社後、一貫して経済畑を歩み、経団連、日銀、旧大蔵省などを担当したほか、リクルート事件 など大型経済事件も報道してきた。宮崎支局長、福島支局長、編集委員、解説委員などを歴任。2004年に退社し、現在、帝京大学経済学部教授。著書に『世界を制した中小企業』(講談社現代新書)、『起業家の条件』(平凡社新書)など多数。
≫(現代ビジネス:メディアと教養―現代新書カフェ)

世界に冠たる中小企業 (講談社現代新書)
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●70年談話、読売「もう謝罪は充分」 回答者「今まで通りで充分」?

2015年02月27日 | 日記
日本劣化の正体 ~抹殺知事が最後の告発で明かす~
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●70年談話、読売「もう謝罪は充分」 回答者「今まで通りで充分」?

最近、なにか明るい話題はないかなと思って、ネットを徘徊してみたが、概ね悪い事、心配なこと、呆れることが散乱している。そんな中で、殆どの日本人が、少しだけ嬉しい気分になれるニュースがあった。例の海上噴火の西之島の話題だ。今では、東京ドーム52個分の大きさに成長しているという。どの程度の意味合いがあるか判らないが、争うこともなく国土が増えていると云う自然現象は、何とはなしにいい気分だ。出来れば竹島の東側で海上噴火があると傑作、竹島を呑み込んだら、どうなるのだろう(笑)。

 自然現象に比べると、人間が関わる出来事は、概ねウンザリとか、怒りを伴うもの、頭をひねるものが多すぎて、些か疲れてしまう。安倍首相の敗戦国無視の右傾的言動は、個人的な性癖のようなもので、私的領域にある限り、そういうモノの見方もあるだろうで済むのだが、曲がりなりにも、内閣総理大臣である以上、内外に、それ相当の影響は及ぼしている。国際的には誤解を招く発言も多いだろうし、国内的には奇妙な空気を醸成させている。どちらも、詳細に分析した上での判断ではなく、印象の問題なのだが、国際政治というもの、この印象と云うものが、結果を左右する場合が多いことも見逃せない。

今日は、特に話題を限定することなく、ぼんやりと安倍政権の手綱の調子を確認しているのだが、批判コラム自体を纏められないほど、あらゆる面で論理に一貫性がない。朝令暮改と云う言葉があるが、彼の場合は、対立する問題を同時並行で推し進める癖があるようだ。人間の身体で言えば四分五裂で完璧に死んでしまうのだが、どうも政治の世界では、出鱈目でも、その場その場を取り繕い、修飾語と接頭辞の組合せでペラペラ舌足らず早口で片づければ、凌げると云う按配になっている。

あとは、かなりヤバい事を言っても、隷属を約束したマスメディア連中が良しなに繕って報道するだろうと決めつけている。ただ、それでも内閣支持率は上がるわけで、極楽浄土にいるようだ(笑)。まあ、最近、安倍内閣の閣僚らの政治とカネにまつわる閣僚辞任劇が二人にでもなれば、かなりのダメージだろうが、世間を手放す事態にまでは至らないだろう。それよりも、安倍政権と蜜月度NO1の読売新聞が奇妙に癖のある世論調査をしているのが目についた。

≪「日本は平和国家」81%…戦後70年世論調査
読売新聞社は、戦後70年に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。戦後の日本について、「平和国家として歩んできた」と思う人は81%にのぼり、多くの人が肯定的に評価していることが分かった。  戦後の日本の評価では、「経済発展を最優先してきた」と思う人が61%となる一方で、「国際社会のために貢献してきた」と思う人は43%と半数を下回った。経済発展を遂げた反面、国際貢献は十分ではなかったと考える人が多かった。
 日中戦争や太平洋戦争など昭和の戦争について、「よく知っている」は5%にとどまり、「ある程度知っている」は44%。「知らない」は「あまり」と「全く」を合わせて49%だった。昭和の戦争を何によって知ったかを 聞くと「学校・教科書で」が60%で最も多かった。日本の歴代首相が中国や韓国に対して過去の歴史的事実について謝罪を繰り返してきたことに関しては、これまでの謝罪で「十分だ」が81%を占めた。
 日本の将来について全体として「暗い」とした人は、「どちらかといえば」を合わせると57%に達しており、将来に対する悲観的な見方も広がっている。 ≫(読売新聞)

よく読んでみたら、戦後70年の安倍談話を出すための地ならし世論誘導調査だったようである。日本は戦後「平和国家として歩んできた」過去形なのが笑えるが、安倍政権以降の、わが国の平和国家的歩みに関しては、特に聞いていない。そこを聞かずに、過去の内閣における、平和国家としての歩みを聞いても意味はないだろう。経済発展も、過去において反省の意を示したからこそ、約束された面も多分にある。

しかし平和国家として、「国際貢献」は不十分で、「積極的平和外交」で国際貢献度を増していかなければならない。調査に答えた人々が、国際貢献を、広義の戦争の出来る国の外交まで想定していたとは言い難い。安倍と読売が駆使する「国際貢献」と云う言葉は、隷米度を加速深化させ、世界に裏側までも自衛隊を派遣するのが、ここで云うところの国際貢献だけどと云う但し書きが抜けている。国際貢献と云う医療品を配るくらいの甘ったるい認識で答えることを期待して、設問を作ったようだ。

“日本の歴代首相が中国や韓国に対して過去の歴史的事実について謝罪を繰り返してきたことに関しては、これまでの謝罪で「十分だ」が81%を占めた。”で言うところの「充分だ」と云う意味が判らない。読売は、もう充分だから、そろそろ謝るのは止めにしよう、そう云うことなのだろう。回答者が、そこまで理解した上での回答ではないようだ。同じことを繰り返すだけで充分だろうとも受けとめられる。

日中戦争や太平洋戦争などの真実をあまりにも日本人は知らな過ぎる。教科書で知らせなければならない、となるのだろうが、藪蛇にならないのかな?と思う。日中戦争、太平洋戦争、どちらも欧米帝国主義への挑戦であり、挑戦者であった日本自体も、勝った暁には大東亜共栄圏の帝国になろうとしたのだと思う。それにもかかわらず、破れて米帝国主義の隷属国になったわけだが、その歴史的意義は、教科書にどのように書くのか、筆者には想像がつかない(笑)。どうも、安倍政権の為政を観察するコラムは、こちらの考えまでが纏まらなくなるのは困ったものだ。

パーソナルデータの衝撃――一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった
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●NHKの預金封鎖の裏事情 赤字国債は国民の借金にあらず

2015年02月26日 | 日記
いま、幸福について語ろう 宮台真司「幸福学」対談集
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●NHKの預金封鎖の裏事情 赤字国債は国民の借金にあらず

以下は植草氏の、NHKニュース9における唐突な「預金封鎖」をトピック風にアレンジして流した報道への“分析コラム”だ。

 ≪ NHKによる預金封鎖特集放映舞台回しの黒幕
NHK=日本偏向協会が2月16日に「預金封鎖」について報道した。
その真意が取り沙汰されている。

一言で表現すれば、2017年4月の消費税再増税実施に向けての財務省企画をNHKが実施したものである。

番組の最終メッセージは次のものだ。
NHKはシンクタンク研究員の口から、財務省=安倍政権のメッセージを発せさせた。
「国として負った借金というのは国民の借金であり、万が一、うまくまわらなくなれば間違いなく、国民にふりかかってくる。厳しい財政状況を国全体としてきちんと受け止める必要がある」

この発言についてNHKは、 「悪化し続ける国の財政状況に警鐘を鳴らしています」と補足して伝えたが、第三者風の人物の発言を用いた、単なる政府のプロパガンダ放送に過ぎないと言える。

特集に登場した、現在91歳の大阪市立大学名誉教授の林直道氏の次の言葉が紹介される。
林氏は当時22歳の学生。大阪で母と姉の3人で暮らしていた。当時、一家の蓄えは3万円あったが、「預金封鎖」で預金を自由に引き出せなくなり、途方に暮れた。林氏は、手持ちのお金が不足したことで、ただでさえ足りなかった食料がさらに手に入りにくくなり、川の堤防に生えている草をゆがいて、ごく僅かのご飯とともに食べたこともあったと語ったとされた。

特集の最後に、NHKを代表する偏向記者の一人である大越健介氏が次のようにまとめた。
「「預金封鎖」と「財産税」は、今では考えがたい措置で、経済大国となった現代の日本と当時とを安易に重ね合わせるわけにはいきません。しかし、日本の財政が今、先進国で最悪の水準まで悪化していることを考えると、歴史上の出来事だと片づけてはならない問題だともいえます。政府は、この夏までに今後5年間の財政健全化計画を策定することにしています。歴史の教訓を肝に銘じ、同じ過ちを2度と繰り返さないよう現実を直視することが、現代を生きる私たちの責務ではないでしょうか。」

つまり、特集放送の目的は明確なのである。 「預金封鎖」という一般国民に甚大な損害を与える措置が、近未来に実施される可能性があるとの「恐怖」を煽り、消費税大増税を国民に呑ませようとしているのである。 安倍政権が発足して、NHKは完全に政府に私物化されている。 「みなさまのNHK」というのは大ウソで、「あべさまのNHK」 というのが実態である。

ピケティの著書がベストセラーになり、安倍政権の経済政策の歪みが一段と際立って見えるようになった。 安倍政権は日本社会における格差が、相対的に大きくはないと強弁しているが、この主張も通用しなくなっている。 財務省に取り入る御用学者は、日本の格差が大きくないとの主張を展開してきたが、これも通用しない。

所得上位10%の所得占有率は、日本で40%を超えている。 米国よりは低いものの、フランスなどよりはるかに高く、いまや日本は世界有数の格差社会に移行してしまっている。2007年の政府税制調査会報告書は、日本の法人の税および社会保険料負担の国際比較の調査結果を示した。

この報告書は、日本の法人の負担が、「国際比較上、高いとは言えない」と結論している。

それにもかかわらず、安倍政権は血眼になって法人税減税を推進し、他方で消費税大増税に突き進んでいる。 要するに、「官僚と大資本と富裕層の生活が第一」の政策運営を実行しているのである。

日銀は野放図な量的金融緩和政策を強化しているが、財務省は、最終的にハイパーインフレで政府債務を棒引きすることを目論んでいる。

その意味で、預金封鎖の「脅し」には、一定のリアリティーがあるのだが、それよりも重大な問題は、消費税のさらなる大増税が画策されていることである。

官僚天下りの排除という、「シロアリ退治」は少しでも進展したのか。

答えは「皆無」である。 「弱い者は死ね」と言っているに等しい、安倍政権の弱肉強食推進政策を私たちは糾弾しなければならない。 そして、その片棒を担ぐ日本偏向協会をNHK=日本偏向協会一刻も早く、解体するべきである。 ≫(植草一秀の『知られざる真実』)注:筆者にて一部改行


報道では、≪「国として負った借金というのは国民の借金であり、万が一、うまくまわらなくなれば間違いなく、国民にふりかかってくる。厳しい財政状況を国全体としてきちんと受け止める必要がある」≫と、まるで国民が自発的に借金を重ねたような言い回しになっているが、同氏は、この報道を概ね財務省のプロパガンダに過ぎないとしている。

一時、筆者はNHKのこの唐突な報道は、NHKの一部改革勢力が、アベノミクス批判をしたのではないかと訝っていた。同氏は、幾分その点も頭の隅に置きつつも、2017年には絶対に消費税を10%にする為のプロパガンダ報道として、解釈するところに落ち着いたようだ。それなりに、同氏の同省へのパイプもあるだろうから、この解釈は尊重しておくことにする。

しかし、財務省が考えるハイパーインフレで、政府債務を棒引きが最終目標だとすると、消費税を2%上乗せすることなど、どうでも良いことのように思えても来る。にも関わらず、このように取ってつけた報道は、アベノミクスへの警鐘とも受け取れるし、資産の海外シフト、金地金や不動産投機へ金の流れをチェンジしてしまうリスクも伴うわけで、痛し痒しのプロパガンダになっている感じもする。

筆者は、アベノミクスが始まった時点から、資産の分散には心掛けた。株式、金地金、海外預金、土地投資、銀行預金、現金を適時分散していた。最近では、所謂、資本主義と民主主義が基本的概念を変容させ、資本主義のヒトモノを飛ばした金融主義と、強者の論理をゴリ押しする見せかけの民主主義の時代に入っていると理解している。同氏のように、純粋に正論を語る論者も必要だが、相手の動きや思惑に応じた自衛手段を採るのも選択肢の一つだと考えている。

ほとんど、イカサマな資本主義と民主主義に根本的に冒されたグローバリズムにおいては、国家に多くを期待しても無駄なだけだと認識している。人それぞれ、個人的事情があるから、一概なことは言えないが、それなりに資産のある人々は、自衛手段を採っておくべきだと思う。どれ程上手く行っても、現時点より個人の生活環境は悪化する。津々浦々に不景気は届くが、好景気は絶対に届かない。

おそらく、政府や財務省が最後の最後に取り得る手段は、終戦直後からの7年間程度の間に起きた「預金封鎖と新札発行」における出来事が参考になるだろう。政府の債務残高がGDPの250%になっているのだから、終戦後の約270%に接近中なので、考えられる国内デフォルトは、霞が関文学的レトリックで、借り手である国が、貸し手である国民の富を強制的に召し上げ、借金をチャラの如く見せる二重取り税制を実施するに違いない。

シロアリ退治も必要だが、多分、それですべてが解決するとも思えない。気分的に爽快だが、借金はそれなりに積み上げられる。ただ、納得のいく税制と云うものはあるのだろう。ピケティの富裕税のようなものも必要だろうし、その上で、社会保障の引き締めも必要になるだろう。問題は、政治においては、優先順位の選択の問題なのだ。どの順位が正義なのか自明だが、時の政府が、正義に基づく為政をするとは限らない。

筆者は最近、サツマイモ、ジャガイモ、キャベツ、各種キノコ類、鶏肉と卵の自主生産を画策している(笑)。畑は木更津近辺にそれなりにあるので、食うや食わずにならないだけの知識習得に余念がない。意外に、家庭菜園の延長線にあるレベルだが、収穫物は見てくれ悪くても味は変わらん。人さまに売るものでもないから、どれ程不細工でも気にならない。しかも、日夜お日様に当たる生活なので、健康にまでよさそうだ。海外移住も視野にあったが、危なっかしい限りで、あきらめた(笑)。国内デフォルト状態を乗り切ろうとした奴らの手段は、以下のレポートに詳しい。


 ≪そして預金は切り捨てられた  戦後日本の債務調整の悲惨な現実 ――日本総合研究所調査部主任研究員 河村小百合 参考URL: http://diamond.jp/articles/-/40167


大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか
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●米軍の介入は噴飯もの 沖縄は日本にあらずとヤマトンチュー

2015年02月25日 | 日記
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●米軍の介入は噴飯もの 沖縄は日本にあらずとヤマトンチュー

 辺野古基地建設工事強行に平和裏に抗議する、沖縄平和運動センターの山城博治議長らを米軍が拘束した。本土のマスメディアの糞記者らも目撃しているが、米軍敷地内侵入の疑いだそうだが、柵を越えたわけでもなく、道路に中央線を引いた程度、子供の陣取りゲームの時、チョークで引いたような線である。それを踏んだの、よろけて一歩踏み出したとか、それこそイチャモンをつけて、事もあろうか、米軍が日本人を拘束したのだ。

 日米の地位協定が云々なんて話は、そもそもが不平等協定なのだから、そんなゴロツキ協定の土俵に立つ必要はない。野蛮な国であれば、拳銃や刃物で街を歩く米兵が襲われても不思議ではない占領地が沖縄だ。現時点では、沖縄の人々は穏健に振る舞っているが、何処かで限界が来るだろう。辺野古基地建設に反対の立場の翁長雄志知事の挨拶にさえ居留守を使い、安倍も菅も会おうとせずに逃げ回っている。まともに話が出来ないことばかり、沖縄に対して行っているのだから、「日教組!」なんて茶々も入れられず、触らぬ神に祟りなしで済まそうとしている。

 このような、日本政府の弱腰に苛立ってきたのが、辺野古現地・米軍キャンプシュワブの幹部が苛立ちを隠しきれず、チョイと脅してやれくらいの無教養な軽挙な行動だったとみられる。沖縄県警自体が、この米軍の強制的行為に驚く始末なのだから、米軍キャンプシュワブ幹部の個人的資質によるところも大きいのだろう。そう言えば、本土のメディアは無視していたが、在沖米海兵隊幹部の、基地建設反対抗議行動に対して「バカバカしい」と唾棄した発言が、沖縄紙で大きく報じられ、居直り強盗のような心境になったと云う程度の低い話である。しかし、このような占領軍のような認識しか持てない軍隊の幹部がいるのだから、質の悪さは推察するまでもなく程度が低いストリート・マッチョマンなのだろう。

 穏健である翁長雄志知事も、多くのオール沖縄と云うアイデンティティで当選してきただけに、見守る程度の行動力では、県民の信頼も失うことになるだろう。裏切者と仲井真のように晩節を汚さない行動が求められる。ここに来て、141年前の琉球政府とフランスやオランダとの国際修好条約の原文が、沖縄に里帰りすることになっている。つまり、立派に琉球と云う国家が存在した事実を示すものであり、その沖縄が、日本と云う国の日米安保条約のゴミダメにされている事実は歴史の真実だ。筆者などは、日本人の恥晒しの象徴だと認識する。どこまで沖縄を足蹴にすれば気が済む日本なのだかと云う、そういう意味では、この琉球政府の国際条約の里帰りは、意識下の部分にインパクトを与えるに違いない。

 見方によれば、日米は琉球国と云う国の領土を、自分たちの「核の最終処分場」と同様の扱いをして、日本本土、アメリカ本土でぬくぬくと暮らしているだけじゃないか、と云う問題になる。もうこうなると、沖縄県のやる気ひとつで、沖縄として独立する権利は、国際的に充分認められる可能性がある。東チモール独立より明白な理由があるのだから、この武器を徹底的に駆使すべきである。独立した上で、琉球が日米に基地貸与させるのは良いだろうが、沖縄県民が全員寝て暮らせるほどの賃料を取ればいい。

 ただし、この賃料は、日本及び米国の正式な軍事費として予算計上される事を、条件に加える必要がある。そうしないと、今度は、莫大な賃貸料を、日本政府が全額肩代わりすることになるだろうから、今以上に最悪になる。ただし、琉球政府は、中国や台湾とも通商条約を締結し、歴史上そうであったように、日本と中国、台湾との橋渡し役の任に就けばいいのではないだろうか。また、基地貸与も30年とか50年の絶対的期限を設け、琉球として生きる道を並行的に探るべきである。最低でもドイツの米軍基地並みの地位協定を結ばせるべきである。

 正直、沖縄の人々は、独立ゴロになって良いのだと思う。沖縄出身の知人の中で、角が立つような言動をする人を見かけない。このような社会的人格形成は、なにも温暖な気候の所為だけではない。屈辱の歴史の中で生きていく、一つの便法として編み出された処世術なのだろう。しかし、日本の国会議員が沖縄を、ここまでコケにするのであれば、そろそろ怒り狂っても、良い潮時だ。安倍政権が、辺野古基地ボーリングを粛々と実行するのであれば、翁長雄志知事は、ありとあらゆる知事としての権限を行使すべきだし、世界に向けた情報発信に全力を挙げるべき時期が到来している。


 ≪【辺野古発】米軍 道路境界線越えただけの反対派リーダー拘束
日本の統治者がバラク・オバマであり、アベシンゾーではないことを改めて認識させられる事件が起きた。
 きょう午前9時頃、米軍キャンプシュワブのゲート前で、辺野古基地の建設強行に反対する抗議活動を平和裡に行っていた、沖縄平和運動センターの山城博治議長らが米軍に拘束されたのである。
 山城議長らが身柄を押さえられた場所は、キャンプシュワブ前を走る国道と米軍の敷地(厳密にはゲート)を隔てる黄色い線より、数十センチ基地側だ。言い方を換えれば、山城議長らは道路を数十センチ、はみ出たに過ぎない。決して柵を越えたりしたのではないのだ。  
 国道と米軍基地とを隔てる線は、道路上に引かれた何の変哲もない線(写真)で、子供2~3人が横に並んで歩けば、簡単に越えることになる代物だ。
 酔っぱらったオッサンが千鳥足で歩けば、先ず線をまたぐだろう。要するに注意して歩かない限り、簡単に越えてしまうのだ。
 山城議長らの身柄を直接取り押さえたのは、米軍のセキュリティー(日本人)で、身柄は即、海兵隊に引き渡された。 その後、山城議長らは沖縄県警・名護警察署に移送された。
 沖縄県警が山城議長らを拘束しているのは、刑事特別法(※)違反による。在日米軍基地に侵入したという容疑だ。だが基地の敷地とを隔てる道路上の線を越えたというのは、形式犯に過ぎない。
 地元記者によると米軍から山城議長らの身柄を送られた沖縄県警は困惑しているそうだ。道路上の線をまたいだだけの住民を刑事訴追するつもりなどサラサラないからだ。逮捕するかどうかは現時点では未定だ。
 きょうは午後から米軍辺野古基地の建設に反対する県民集会が開かれることになっており、会場のキャンプシュワブ・ゲート前は朝から緊迫した雰囲気が張りつめていた。
 「ヒロジ」の愛称で親しまれる山城議長は基地反対運動のシンボル的存在だ。米軍はヒロジさえ抑えれば反対運動が尻すぼみになるとでも思ったのだろうか?
 山城議長らの手足をつかんで基地内に引きずり込んだセキュリティー(日本人)の身分は、基地従業員。米軍のセキュリティーといえども雇用主は日本政府だ。
 「米軍の土地に入るとは何ごとかっ!」。アベシンゾーが御主人様の意向を汲んで沖縄の住民を捕まえたのである。 ≫(田中龍作ジャーナル)


≪ 安倍首相と日本政府が翁長雄志沖縄県知事に会いたくない2つの理由

伊藤:「普天間、県外移設要請 沖縄県知事、日米政府に『5年以内』」。東京新聞総合面(2月6日朝刊)から。 沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は昨日、外務省と防衛省を訪れ、普天間飛行場(宜野湾市)を5年以内に運用停止し、県外に移設するよう求めました。翁長知事は要請後、記者団の質問に答え「普天間の一日も早い危険性除去に取り組んでもらいたい」と強調しました。 外務省、防衛省とも、大臣、副大臣は応じませんでした。普天間の名護市辺野古移設に反対する翁長知事の上京は去年12月の知事就任以来、6度目にな りますが、辺野古移設を推進する安倍晋三首相や沖縄基地負担軽減担当大臣を兼ねる菅義偉(すが・よしひで)官房長官との会談は実現していません。

邦丸: 昨年、翁長知事が誕生して以来、日本の総理大臣、官房長官はまだ、お会いになっていないということなんですが、そのなかで、みなさん、こういう条約文があったのを ご存じでしょうか。琉球とアメリカ、琉球とフランス、琉球とオランダ――琉球というのはあくまでも独立した国です――、この3つの国と修好条約を結んでいた、その原文が141年ぶりに沖縄に里帰りするニュースが出ています。

佐藤: そうなんですよ。これが今、沖縄ですごい大きなニュースになっていまして、今月末から3月の終わりまで、条約文が沖縄で公開されます。琉球王国が国際法の主体としてアメリカ、フランス、オランダと結んだ条約の本文 ――これはいわゆる琉球処分のちょっと前なんですが、そのときに琉球を日本の一部にするから国際条約なんか持っていては面倒臭いということで、召し上げちゃったんですよ――が、141年ぶりに沖縄に戻るということで、これは「沖縄がもともと独立国だった」 という歴史の記憶を沖縄のなかで甦らせるでしょうね。ですから、この翁長知事の誕生というのは、こういう歴史の見直しということにもすごく結びついているんです。
  翁長さんというのは、県民の圧倒的多数により信任されているわけですよね。だから、翁長さんと会わないということは、それを沖縄でどう受け止められるか。政府は沖縄の民意を代表している人と会う気はない。仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)前知事は、ある時期から沖縄の民意よりも東京の中央政府の意向 を代表するようになった。そうしたら、ものすごく親しく会うようになった。こういう姿勢というのは、どういうことか。バカにしているんじゃないか。
 しかも、翁長さんというのは保守なんですよ。あの人は、集団的自衛権は必要だと言っていますしね。それから、日米安保条約というのは生命線だと言っ ていますし。翁長さんの本音は、「日米安保条約は重要だし、嘉手納基地も維持しなければいけない。そのためには、普天間に大きな基地を欲張ってつくるということになると、日本国土の0.6%しかない面積のところに、74%の基地があるというのは、もうムリだ。これ以上の負担はできないから勘弁してくれ」ということにすぎないんですよ。
  なんで、それに耳を傾けないのか。これは、本当にわれわれを同胞と見なしているのか――そういう意識になる。そうすると、「もともと違うもんね」という意識が今、強まっているんですね。

邦丸: それにしても、安倍さんにしても菅さんにしても、なんでこんなに頑なに会わないんですか。

佐藤: 安倍さんにしても菅さんにしても悪い人じゃないんですけれど、率直に言うと、かける言葉が見つからないんだと思うんですよ。 邦丸: かける言葉が見つからない!

佐藤: 要するに、「なんとしても辺野古をつくります」「ちょっと待ってください」という論戦になる。論戦になったら、たぶん勝てないと思っているんですよ。

邦丸: ははあ。

佐藤: だって、 「私、安保条約は賛成ですし。このままでは民意を考えたら大変なことになるじゃないですか。それから、普天間の海兵隊って、台湾海峡とか朝鮮半島の有事に備えているんですか。それならなんで沖縄に3ヵ月しかいないで、オーストラリアとかモンゴルの砂漠で訓練しているんですか。砂漠で訓練しているということは、考えているのは中東での有事でしょ。沖縄と直接関係ないでしょ」と、具体的な事実を突きつけられると、なかなか反論できないですからね。

邦丸: ふーむ。

佐藤: 森本敏・元防衛大臣が最後の記者会見で、米軍普天間飛行場の移設先について「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」と言っていた。これが実態なんですよね。

邦丸: 沖縄県知 事選挙のときに、翁長さんが知事になるという当選結果が出たときに、佐藤優さんが那覇のラジオ沖縄のスタジオでおっしゃったのは、「沖縄県として、自治体としてワシントンに1人か2人かわからないけれど駐在職員を置くんじゃないか。あるいは、沖縄のアメリカ事務所を置くんじゃないか。そういう考えが翁長さんにはおありなんじゃないか。日本政府を通すのではなくて、ダイレクトに合衆国政府との対話を始めるんじゃないか」ということでした。

佐藤: ですから、その代表に、那覇のアメリカ総領事館に勤めていた人を任命しましたね。
  今、日本政府が頑なに翁長さんに会わないというもう一つの理由は、翁長さんはケネディ大使に会いたいと、ずっと要請しているんですよ。ところが、ア メリカはまだ日本の閣僚が会っていないところでアメリカだけが先走りたくないという感触なんですね。ですから、政府と会った次の段階で、沖縄が直接アメリ カと交渉する、あるいは国連に訴えることになるのをなんとしても止めたいと政府は思っているんでしょう。
 いずれにしても、沖縄の状況がどうなっているかということを、自分たちの希望的観測ではなくて、等身大で見なければいけないと思うんですけれど、なかなかそこは難しいんですよね。
  私は、沖縄と日本は一体であってほしい。それは、父親が日本人、母親が沖縄人ですので、非常に強く思うんですよ。そのためには、やっぱり沖縄への過 重負担ということで、「同胞と思っていないんじゃないか」という疑念を沖縄が持っていて、それに対してぜんぜん応えていない東京の中央政府、これが問題だと思うんですよ。普通の日本国民に関しては、そんな細かいことは知らないですしね。べつに、沖縄とそんな対立を起こそうと思っているわけではないですから。
  マスコミにしても、こういった条約(琉球王国がアメリカ、フランス、オランダと結んだ条約)があって、それが里帰りするんだということが、東京のメ ディアではほとんどスルーされちゃっていますからね。沖縄では大きなニュースになっているのに。最近、そういうことが多いんですよね。(・・・以下略) ≫(現代ビジネス:佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.054(2015年2月13日配信:文化放送「くにまるジャパン発言録」より))

近代日本の「南進」と沖縄 (岩波現代全書)
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●地方創生なんてのは嘘っぱち 中央集権温存の戯言

2015年02月24日 | 日記
日本資本主義の正体 (幻冬舎新書)
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●地方創生なんてのは嘘っぱち 中央集権温存の戯言 

 筆者が最近嫌いになった言葉に、“合理的”や“効率的”や“利便性”と云った類の言葉がある。55歳を過ぎ、60歳に近づくに従って、この意識は、更に強くなっている。45歳前後でビジネスの世界から足を洗う前は、これらの言葉を年中口にして生きていたのだから、何というツマラナイことに執着していた23年間だったのかと思う(笑)。そのような言葉を、他者に向かって投げつけ、それらの言葉通りに業務をこなす連中を高く評価し、上に引き上げてきたのだが、今になると、悪行を重ねてきたような、後味の悪さが残るのみである。

 学問的には正確ではないだろうが、日本と云う国、そこに住む日本人と云う民族は、多くは土着性があり、共同体的(村の共通認識)生き方をしてきたのだと思う。特に、農民や職人と云う類の人々に、その認識は強くあったものと考える。一つ一つのことを、馬鹿のように繰り返し、繰り返し行為することで、凡庸ではあるが、隠れた名工や言葉にはないが作物名人が居たのだと思う。その人々の伝統や知識や技術を習得しながら、その行為により、絆が生まれ、共助の精神が育ったものと思考する。

 国家単位で、このような独自的成立過程を経た国家と云うのは、世界的に稀なのだと思う。英国は幾分似ているが、宗教的な統一性において、英国には政治宗教の不可分な成立過程があるので、考えると云う思考経路(イデオロギー)を抜きにして、自然発生してきた国と云うのは、日本だけのように思える。世界には、国ではないが、それに似た地域はあるのかもしれないが、国家レベルで比較になる国としては、日本が、唯一宗教的色彩抜きに、日々の営みの連続性で成立した国と云うのは、個性的だと考えている。

 筆者の稚拙な歴史観から考えると、原則的に徳川幕府の時代までは、帝国主義的感覚は殆どなく、単に一個の島国の領域で統治と被統治の関係に留まっていたので、共同体意識は明確に残っていた。当時の欧米型帝国主義の圧力に屈し、幕府及び雄藩による天皇を巻き込んだ、様々な生き残りが画策されたのが明治維新なのだ。最終的には、鎖国的尊王攘夷論だった面々が、観念的な攘夷論を放棄し、近代化と国内統一を優先して、開国によって富国強兵を図り、欧米に対抗できる力をつけるべきだとする「大攘夷」論が台頭した。この時代においては、欧米帝国主義に対抗するために、現実的選択ではあったが、近代化イコール欧米化になると云う落とし穴に気づくリーダーは薩長連合には居なかったようだ。

 つまり、近代化イコール欧米化は、まさに帝国主義の路線を走る選択しか残されなかったことになる。問題は、当時のリーダーたちが、日本と云う国の民が持っていた個別の共同体の概念に、思いが至らなかった難点が瑕疵としてのこり、近代化によって、日本民族が有していた農林漁業や職人として社会に携わることで共同体を維持し、意識の共有財産があった点が、大きく見逃された。その結果、地域の個性を失う中央集権的な振舞いに専念した為に、一層欧米化し、帝国主義化してしまった。

 おそらく、統治と被統治と云う関係が、国家の成立要素であり、共同体と云う社会構成が要素は見逃されたわけである。おそらく、当時において、社会学的な概念自体が欠けていたことによるものだと思われる。そうこうしている間に、日本はひたすら欧米型の帝国主義志向を強くし、最終的には、第二次世界大戦で、大敗北を喫した。しかし、敗戦後、地域の共同体を再生する機会と可能性は残されていたのだが、何故か帝国主義的思考経路から抜け出すことがない儘に、東西冷戦構造の争いに巻き込まれた。

 この冷戦構造の中で、日本は漁夫の利を得たのは事実だ。しかし、その急速な戦後の復旧復興と高度経済成長が、日本と云う国の個性的美徳を忘却させる結果を招いてしまった。それでも未だ、高度経済成長期に中央集権的で護送船団貿易立国を目指すために行われた、工業地帯に労働者を掻き集める、所謂“集団就職運動”が起きることで、地域の共同体は、完全に息の根を止められた。おそらく、その当時、この出来事が宇沢弘文が主張するところの、社会的共通資本の概念は、こと如く、資本の貪欲さによって破壊された。

 安倍政権では、統一地方選向けに、些末すぎる「まち・ひと・しごと 地方創生」なんてオタメゴカシを言っているが、中央集権温存と輸出製造業を優遇し、農林漁業を蔑ろにする事を鮮明にしているのだから、地方創生などは、絶対に成り立たない。筆者の感覚では、これでTPPなどを批准してしまえば、ほぼ日本的美徳は壊滅するだろうと考えていたが、以下のような書物を読んでみると、幾分希望も残っているかなと、ささやかに夢を見る。どこで、日本が、欧米型の帝国主義的な発想から抜け出せるのか否かは、破滅の中から芽生えるものか、或いは、キリスト教文化ごっこの無神論国家として終わるのか、他者的立ち位置で、時折グタグタ言いながら、見守って行こうと思う今日この頃だ。


≪ 中小企業の底力---黒崎誠・著『世界に冠たる中小企業』

  2014年の早春から秋風の吹く9月中旬まで、世界トップのシェア、技術を持つとされる中小企業の取材のため全国を飛び回った。100万分の1ミリ、1グラムにこだわって製品をつくる超先端のナノテクノロジー、中小企業のお家芸である匠の技・・・・・・といったように方法こそ違えど、はっきりしたのは、日本 の中小企業こそが日本どころか世界のモノづくりの礎となっていることだった。

 今回の取材で得られた二十数社の奮闘ぶりは、2月18日に発売予定の講談社現代新書『世界に冠たる中小企業』 としてまとめられる予定だ。大学で中小企業論を担当している筆者の重大なテーマの一つが、「町工場と呼ばれるような小さな企業がなぜこれほど高い技術やシェアを有しているのか」、それと同時に「このような高度の技術をいかにして次世代に継承していくか」である。

 そして、最終的に一冊の本として上梓しようと決意したのは、東日本大震災の際、あらためて日本の中小企業の底力を痛感させられたからだった。

 震災では、東北や北関東の“町工場”と呼ばれる中小企業の多くが大きな被害を受け、操業停止に追い込まれたところも少なくなかった。するとトヨタ、 ホンダなど国内の自動車メーカーだけでなく、世界の名だたる自動車メーカーまでもがクルマをつくることができない騒ぎとなった。

  また、地震発生時、東北新幹線は27本の列車が200キロ以上の猛スピードで走行中だったが、いずれも2分以内に急停止し、一人のけが人を出すこと もなかった。新幹線の急停止に使われる主要な機器類は、大手メーカーでつくられたものであるが、その電気回路に使われる抵抗器など主要部品の多くは、中小企業がつくっている。また、時速300キロ以上の猛スピードで走る新幹線の車輪は、日本を代表する大手企業がつくっているが、その車輪を1000分の1ミリの精度で切削加工する工作機械をつくっているのは、従業員百数十人の中小企業だ。世界に誇る日本の新幹線技術を支えているのは、まぎれもなくこうした中小企業なのである。

 昨年話題となった「はやぶさ2」の重要部品をつくったのは、ナノテクの技術を持つ宮城や大阪の中小企業だ。世界トップの競争力を持つとされる自動 車、ロボットなどの最先端産業だけでなく、東京スカイツリーから宇宙開発のロケットなどまで、“縁の下の力持ち”的な役割を果たしている中小企業は数え切れない。

 身近なところでいえば、最近のカメラは、ピント合わせにほとんど苦労しない。また、手ブレなどの心配もほぼないが、この技術の開発に重要な役割を果たしたのは、世界的なナノテクの技術を持つ日本の中小の精密機械メーカーだ。

 日本だけでなく世界経済を支えている日本の中小企業であるが、その多くは国民に名前どころか存在さえあまり知られていない。最盛期の1985年に中小製造業(従業員四人以上)は43万8000社あまりだった。それが、2000年には31万社、2005年25万1000社、そして現在では20万社を割っている。

 大手企業の海外進出、海外を含めて安い価格の部品を供給するLCC(ロー・コスト・カントリ)などにより、転廃業に追い込まれる中小・零細企業が後 を絶たないからだ。かつて、中小企業の街として栄えた東京の大田区、品川区や、関西の東大阪市も活気溢れていた往年の面影はなくなりつつある。

  厳しさを増す一方の環境の中で、「この製品をつくれるのは世界広しといえどもわが社だけ」のオンリーワン、「世界の70~80パーセントのシェアを持っており、模造品をつくられないよう韓国や中国には輸出を制限しています」といった底力のあるところや、「数年後には世界に飛躍します」といった元気な中小企業が、まだ日本に数多くある。こうした中小企業の存在を少しでも知っていただきたかったのも、今回の刊行の動機の一つになっている。

 底力のある中小企業の多くは、東北、北陸、中国地方などに本社・工場を置き、働く社員のほとんどは地元の高校を卒業した人達であり、地元の雇用、経 済面で大きく貢献している。安倍内閣は、地方の創生をアベノミクスの一つの柱としている。だが、その中身は、過疎地域への定住人口還流の促進、農業、観光産業の活性化など、従来の発想から抜け出せないままだ。

 アベノミクスにケチをつける気はないが、これだけで地方創生が成功するとは思えない。従来から地方で頑張っている中小企業の強化・育成や、起業家精神に溢れた新たな中小企業を生み出すことが、真の地方創生に繋がることになるだろう。

【 黒崎誠(くろさき・まこと) 1944年、群馬県生まれ。時事通信社に入社後、一貫して経済畑を歩み、経団連、日銀、旧大蔵省などを担当したほか、リクルート事件など大型経済事件も報 道してきた。宮崎支局長、福島支局長、編集委員、解説委員などを歴任。2004年退社し、現在帝京大学経済学部教授。著書に『会社更生法と管財人』(教育 社)、『我が企業再建』(プレジデント社)、『世界を制した中小企業』(講談社現代新書)など。】
 ≫(現代ビジネス:メディアと教養・読書人の雑誌「本」2015年2月号より)

世界に冠たる中小企業 (講談社現代新書)
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●資本主義の限界と景気 知財、金融・武器の成長は幻想市場

2015年02月23日 | 日記
アメリカン・スナイパー (ハヤカワ文庫 NF 427)
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●資本主義の限界と景気 知財、金融・武器の成長は幻想市場

 安倍が54年ぶりに、米議会で演説をさせて貰うのだそうな。この演説をする為に、我が国が、TPPや軍事関係(日米防衛協力のための指針再改定)において、アメリカに理不尽な妥協をすることが決定的になったようだ。たかが修飾語だらけの演説の為に、国益に目を瞑るとは、なんともはやだ。挙句に、バンドン会議にも出席とか。南極の国際会議にも出たいのではないだろうか?この男が、動く、話す、息をするたびに、日本は国益を損ねているような印象さえしてくる。根拠は述べる必要もない(笑)。

 さて本題だ。最近、筆者は日本の公表される経済指標を見ながら、これらの数値はバラバラに発表されるので、本業でもなければ、最終集計表を作りにしても、必ず仮説の数値が混入する。つまり、ここでいったん区切れると云うことがなく、常に仮の数値が入った上でまとめを作るしかない。仮に、その不十分が改善したとして、一つ一つの経済統計の数値を冷静に見積もると、景気好循環を結論づけるようなものにはならない。

 しかし、金融の世界では、好い材料はそのまま、悪い材料は先行きの好転を加味する。つまり、好いものも悪いものも、全部好いものに変換するキーボードが一個多くついているのが金融業界の特殊キーボードなのだなと理解するようになった(笑)。世界の株式市場が、すべて上昇基調になってきた。幻想景気のアメリカ株式市場だけでなく、すべてに、その傾向が現れている。アメリカ同様に、どの市場も個々の経済指標には、問題点や疑問点が多いにも関わらず、未来市場を加味していると言っても、詭弁に近い理由で上昇している。こういうのを、単純な言葉で表現すると「株式バブル」なのである。

≪ 世界の株式、欧州や日本が堅調
 景気改善期待で 今週(16~20日)の世界の株式市場では、欧州株の堅調さが目立った。イタリアとスイスは週間で3%、フランスは2%上昇した。ドイツ株は20日に過去 最高値を更新した。20日に延長が決まったユーロ圏によるギリシャ金融支援の結果について事前に気をもむ投資家は多かったが、景気の底堅さを評価した買い が優勢だった。 欧州経済研究センター(ZEW)が17日発表した2月のドイツの景気期待指数は前月より上昇した。20日発表の2月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値も市場予想を上回り、欧州株を押し上げた。
  日本株も堅調だった。16日発表の2014年10~12月期の国内総生産(GDP)が前期比の実質でプラスだった。発表直後は成長率が市場予想を下回った ことへの懸念もあったが、徐々に3四半期ぶりのプラス成長を評価し景気回復を期待する買いが増えた。日経平均株価はほぼ15年ぶりの高値を付けた。
 一方、ロシアなど資源国の株価は弱かった。原油価格は下げ止まりの兆しがみえつつあるものの、直近で株価が反発基調だったため短期的な利益確定の売りが出た。 ≫(日経新聞:椎名遥香)

*ちなみに、16日から20日までの主だった世界の株式市場の週間騰落率を見てみると……
・イタリア  ▲3.01%
・スイス   ▲2.78%
・日本    ▲2.34%
・フランス  ▲1.50%
・中国    ▲1.34%
・ブラジル  ▲1.19%
・メキシコ  ▲1.11%
・ドイツ   ▲0.80%
・米国    ▲0.67%
・英国    ▲0.61%
・香港    ▲0.61%
・韓国    ▲0.20%
・トルコ   ▽0.37%
・ロシア   ▽0.40%
・タイ    ▽0.77%
となり、下落したのは25株式市場の内、下落したのは3カ国だけだ。

 株式は、投機の場なのだから、必ずしも現状の景気を正確に反映することはないので不思議はない。しかし、世間的な受けとめ方は、思惑だが、将来的に好くなることを加味して上昇するものだと認識している。だから、現状の公表される数値が、必ずしも好くなくても、先々好いのだろうと思ってしまう。この辺の心理を金融経済主義者は巧みに利用しているのだろう。つまりは、幻想の世界、バーチャル空間に近い概念なのだが、現実には、此の世界が世界の経済を半ば動かしているのだから、どうにも判らない世界である。

 日本の場合、自他ともに認める「官制相場」なのだから、底値が盤石だと云う安心感が株価を下支えしている。日銀が年間3兆円のETF(上場投資信託)を買う約束事があるし、GPIFが数兆円規模で介入できる状況だし、ゆうちょ銀行も株式投資を大幅に増やす方向だと云うのだから、下がる要素が少ない。唯一下がる要素は、日本の経済成長と云うファンダメンタルに改善兆候がないと云うことだ(笑)。まさに、本末転倒な話だが、株価しか上げられるものがないと云う現実を表しているのだろう。

 EUもオセアニアも日本も中国も韓国も経済のファンダメンタルは悪い。本家本元のアメリカは、実体経済自体は更に悪い。実質家庭収入は40年前より下がっているし、実質小売り売上高は6年近く横ばいだ。企業の設備投資も増えていないし、インフラ整備の公共事業が行われてもいない。なのにGDPだけが上がっている。実体的経済成長がないのに、経済成長しているように見える経済状況なのだ。アメリカの経済成長ほど幻想的なもの世界にはない。

 それでも、如何にも経済が好循環しているように見えるのが、いま世界がシガミツイテいる金融経済なのである。これを手放した瞬間に、奈落なのだ。ただし、長引けば長引くほど、底なしの奈落に向かう。今の奈落なら、崖っぷちで止まれるかもしれないのだが、現在進行で生きている人間達には、それを無視もできず、未必の故意のような経済政策が正論であるよう、みんなで渡っているから怖くないだけだろう

 しかし、いつの日か、何処かの誰かによって、バブルは破綻する。資本主義は終わっている。その証拠の一つがピケティの資本主義の修正が注目されるわけである。おそらく、ピケティの格差是正資本主義は論理的に正しいとしても、現在進行で利益を多く享受している人間達には、受け入れられない修正で、論の世界で終わるのだろう。ピケティの論を実現化させるためには、物理的闘争が加わらなければ、実現は困難だ。富む人間から、富を収奪するシステムを作ると云うことは、幾分暴力的でないと無理だろう。

 暴力的になりそうだと気づいて、幾分富む側が妥協することくらいはあるかもしれない。殴られるくらいなら、1割くらい今後入ってくる富が減ってもイイか、と云うことはあり得る。金融の儲けは、この位にして、著作権や特許権をグローバル展開でルール化すれば、莫大な収入が見込める。紛争地域の争いが、モグラ叩きのように継続すれば兵器産業は、資本主義製造業の典型になるし、生き残れる。

 知財関連のルール化とバーチャル空間における、利益相反も(ディズニーvsグーグル)もGoogleの企業の多角化で、利益相反は軽減される方個性を出している。いずれにせよ、バーチャル空間と知財関連権益で、収益を確保する方向だが、どこか人間の本来の経済活動原則、つまり原動力とは関わりない、意図的に作られたマーケットにおいてしか成長が見込めないと云うことは、何処まで行っても延命策と云う言葉がついて回る。やはり、価値観をパラダイムシフトした連中や国家が、最終的な意味の豊かさを享受できるのではないのだろうか。

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●今、最悪の組合せが実現 「最悪な政策と最高の政権運営」

2015年02月22日 | 日記
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●今、最悪の組合せが実現 「最悪な政策と最高の政権運営」

 若杉冽氏と古賀茂明氏の対談の後篇を引き続き掲載しておく。彼らの対談の中の夢物語に「官僚の官僚による改革」的な発言があるが、おそらく、そのような方向性が出てこないと、我が国の改革は実現しないだろうと云う印象を強くした。最悪の組合せ「最悪の政策と最高の政権運営」のお陰で、革命的破滅が起きて、戦後の焼け野原的状況からの改革には、猛烈な痛みと犠牲が伴う。

 筆者は、そちらの方が可能性が多いと思うが、穏健な方向を模索すると、両氏のような考えに至るのも理解はできる。筆者も民主党で心のある政治家は長妻だと云う点で異論はない。ただ、群れないタイプなので守りには弱い。彼を支える江田憲司や古賀茂明的人材が30人程度顔を揃えられれば、このような勢力が一方に出来るだろう。そして、執拗に小沢一郎への夢を捨てないのであれば、小泉親子と小沢、鳩山が、もう一つの自民党を潰す勢力として抬頭してくれることを考える。

 ただ、日本の国内で、日本の進むべき道を模索する環境が整ったとしても、今度は、世界規模のカオスの広がりに目を向けると、こちらの国家是正の環境整備に対抗するように、世界の混乱が、否応なく我が国を包囲して、“AデビルとBデビル”どちらかを選択しないとグルーバルに生きていけない究極の選択を迫られることになるかもしれない。その時は、自分の家だけ平穏にしていても、“男(女)は敷居を跨げば七人の敵あり”で、世界が展開するので、苦悩と闘争に限りはないようだ。

≪ 「安倍政権に危機感を持ってるハト派の官僚は実はたくさんいるんです」
 『東京ブラックアウト』若杉冽×古賀茂明 対談 【後編】
『東京ブラックアウト』『原発ホワイトアウト』の著者で現役キャリア官僚の若杉冽氏と古賀茂明氏の対談。前編では、官僚の生態を中心にお届けした。 後編では、2冊の著書のような破滅への道から日本の軌道を修正する方法はないのか。永田町、霞が関の人材について本音トークが炸裂する。 注:対談者の略歴記載は省略前篇を参照。

■小泉進次郎は期待できるのか?
古賀茂明: 再稼働が進んだ原発がテロで狙われれば、『東京ブラックアウト』のように、日本はとんでもないことになっていく可能性がありますね。自民党でも民主党でもない勢力が、台頭しなければ、原子力ムラは安泰、再稼働が進み、若杉さんのようなキャリア官僚も、改革には動きづらい。小説では、大泉元首相 が「原発即ゼロ」でがんばりますが、現実では小泉進次郎さんあたりが「脱原発」で、立ち上がらないかという期待もありますがなかなか難しい。

若杉冽: 小泉進次郎さんというのは、国民の多くが、小泉純一郎元首相の面影を感じ、連想したところから、人気が始まっているんですよね。純一郎さん自身 が「自民党をぶっ壊す!」と言った変革者であったわけだから、進次郎さんも変革者であり続けないと本当は失速するわけで、彼はそれをどこまでわかっているかですよね。

古賀: 人間、どうしても放っておくと守りに入っちゃうでしょ。小泉進次郎さんだって、人気絶頂のところから始まっているから、この人気は保ちながら着々と少しずつ自民党の中で地位を上げていこうかと、タイミングをうかがっている感じですよね。あそこまで人気があったら、自民党をいきなり飛び出して、どんどん勝負に出てっちゃったらいいじゃんと思うけれど、コケたくはない。そろそろみんな、何だ何もやらないのかと、感じ始めてくるんじゃないかと思うんです。

若杉: 最近、週刊誌もあおってますけどね、自民党を飛び出して、進次郎と純一郎で親子新党を作れ!ですから。守りということで言うと、武雄市長だった樋渡啓祐さんが佐賀県知事選に出て、彼はやっぱり県知事に乗り換えるタイミングでオスプレイと原発再稼働に、官邸との関係でコミットした。変革者というよりも、変人として人気を博していた人間が、ある日、気がついたら県知事の切符と引き換えに体制側に回って、それで失速するという本当に非常に象徴的な例だったと思います。

古賀: 橋下徹さんを思い出しますね。

若杉: ほぼ同じですよね(笑)。

古賀: 似てるところがありますね。

若杉: 再稼働容認で失速です。

古賀: そう。あれで相当みんな、がっかりしました。僕は全然、恨みには思ってないんだけど、相当だまされちゃったって感じで。今回、『東京ブラックアウト』を読んでいて、橋下さんの大飯原発再稼働のこと思い出したんです……。 最初、大飯再稼働に反対するとき、「みなさん、福島の事故を見たでしょ。あの事故を見て、まだ原発を動かしたいと思っている人はロボットだ。なぜなら人の心がないんだ」、そこまで言っていたんです。それなのに、ある日突然、「やっぱり動かしてもいい」って言ったんですから。周囲の期待をこんなに高めてくれただけに失望も、思い切り大きかったという結末でした。  

若杉: なぜ橋下さんは、変わったんですか?

古賀: 僕らに対しては「いやあ、古賀さん、ごめん、ごめん」っていう感じで。「やっぱり大阪市長っていうのは大阪市民の生活を預かっているんだ。古賀さんとか飯田哲也さんとか佐藤暁さんとか、原発の専門家から話を聞いて、確かにうまくやれば原発なしでもいけるような気もした。でも万が一、原発ゼロにした 結果、電力供給不足で停電になって、いろんな支障が起きるっていう可能性を、どうしても自分として排除しきれなくなった。政治は結果だから、万一のことが起きたらっていう、そこがやっぱり怖くなっちゃったんですよね」っていう言い方。端的に言えばビビッたんです、関電とか経産省にいろいろ脅かされてね。やはり今井(尚哉・現首相政策秘書官)さんですよ。

若杉: そうですよね。あの時、資源エネルギー庁次長だった今井さんが、橋下さんを説得したということなんでしょうか。

古賀: 今、安倍官邸で一番権力を握っているわけですけれど、前原さんのところに今井さんが足繁く通っていました。前原さんはもともと原発推進の超タカ派の人ですが、前原さんと橋下さんがすごく親しくて、橋下さんは将来、国政に出ていったとき組合を切り捨てた民主党という形ができれば組める、その民主党のリーダーは前原さんだろう、と。まあ、反りも合うんでしょうけどね。 その前原さんのところに今井さんがいつも行って理論武装させて、橋下さんが月に1回ぐらい前原さんのところの勉強会に行くんですね、東京の。そのたびに今井君が一緒に説明して橋下さんの心が揺れるわけですよ。きれいなカラー刷りの資料を見せられて。そうこうしているうちに最後は細野豪志環境大臣が出てくるんですよ。これが超人たらし。すごいんですよ。

■調子のいい経産官僚
若杉: 民主党の代表戦の頃の「週刊新潮」にも書いてありましたけれど、あそこに書いてあるとおりですね、細野さんっていう男の人格は。まったく何ていうんですかね。中身がないし、背骨がないし、環境大臣になって経産省出身の秘書官から「やっぱり原発しかありません」と、ささやかれたら、そう思っちゃうっていう、そういうことですよね。

古賀: 民主党のだれについても、かわいがられるんですよ。鳩山さんにも、小沢さんにも。そして、菅さんになっても野田さんになっても決して疎まれることはない。

若杉: 何か、調子のいい経産官僚みたいですね(笑)。

古賀: ああ、すごい。そのとおり(笑)。

若杉: 民主党政権でも、こうやって(ゴマをするポーズ)、安倍政権になっても、こうやってる(ゴマをするポーズ)。

古賀: 私が麻生政権で公務員改革をやっていたときに、麻生さんっていうのは公務員改革が大嫌いな人。官僚とべったりだし、今も財務省とべったりでやってますけど、だから総理大臣が公務員改革をやりたくないわけですよ。 でも、公務員改革担当が甘利さんで、すごい貧乏くじなんですね(笑)。甘利さん自身は公務員改革をやってもいいかなという思い。組合なんて蹴散らしてやれみたいな、ちょっと武闘派的なところがあるから、けっこう関心を持っていたんですよ。でも上が麻生さんだからあんまり本気でやったって怒られる(笑)。僕らとしては、選挙がもうすぐ来ますよ。これで公務員改革に後ろ向きっていうレッテルを貼られたら、自民党はもう地に落ちますよというのを脅しにして、ずっとやっていたわけですね。  

若杉: 古賀さんが、新聞にリークしたり、民主党をたきつけたりしながらですよね(笑)。

古賀: 国会ではその流れをつくるためには民主党にガンガン質問してもらうわけです。それでいろんなネタを持っていくわけですね。細野さんとか長妻さんとか馬渕さんとか、松井孝治、松本剛明、それから原口一博、この辺がワーワー言って責めるわけですよ。

若杉: 国会で攻められ続けるのが甘利さん。

古賀: 特に細野さんが、弁舌さわやかでツボにはまって甘利さんをガンガン攻撃したわけです。「天下りを全部やめさせろ」とか。それで翌日、大臣室に甘利さんを訪ねたら、機嫌が悪いかなと思いきや、「しかし細野っていうのはいい男だな、すごい追及の仕方も格好いいし、男前だし、ああいうのが自民党にほしいんだよな」と言うわけです(笑)。攻撃されて、ケチョンケチョンに言われているにもかかわらず、甘利さんが「いやあ、山本モナが惚れるのは本当にわかる」って。どんどん話がそれてますけれどね。

若杉: まあ、細野さんが代表になれば民主党も復活できるんじゃないか、とも思いましたけれど、あの暴露合戦で失敗しましたよね。

古賀: ちょっと何か、人格に、細野さんに「はてなマーク」がついちゃった。でも安倍さんもあそこまで1回、落ちて復活してますからね。

 ■「戦争はしないけれども改革はする」党は成立するか
若杉: 今日の対談の前に私も『国家の暴走』読ませてもらいましたけれど、いや、大変興味深かったんです、古賀さんの言う「戦争しないけれども改革をするっていう」のは、確かに国民はそこのところを求めていると思うんです。けれど、なかなか現実の政治で出てこないじゃないですか。江田憲司さんが一時、そうだったかもしれないけど、橋下さんと手を握っちゃって、わからなくなってしまったし。そこって、どうして有力な政治家が出てこないんですかね。

古賀: 安倍政権の人たちは古賀はあんなこと言っているけど、あれは妄想なんだと。

若杉: 妄想ですか(笑)。

古賀: つまり改革はするけど戦争はしないなんていうことを支持している層がいないから、だれもそういう政策を掲げないんだ。こういうふうに一生懸命宣伝してるらしいです。だけど僕がいろんな地方とかを回って講演したり、いろんな地方の議員とか、いろんな人と話をしてると全然そんなことはなくて、マグマとしてはそこの部分っていうのは相当たまってるなって。

若杉: いや、本当に、飢餓感がすごくどんどんマグマとして蓄積しているような気がしますね。私の周りでも、ハト派の官僚はいっぱいいます。ただ、あれよあれよと、日本版NSCができ、特定秘密保護法ができ、集団的自衛権の閣議決定がなされてしまった。危機感をもっている役人も多いですよ。

古賀: 自民党が気がついてないだけで、今、だんだん山体膨張みたいな感じになってるというのが僕の見方で、選挙直前になればみんな、どこの党を選ぼうかというので政党支持率というのを見ると無党派がだんだん減っていくんですけど、選挙がないときは無党派がずっと膨らんできたじゃないですか。もう半分前後、常にあるという。集団的自衛権を閣議決定しました。それで10%落ちましたと。結局、今、受け皿になる政党、政治家がいないなと、みんなが感じていて、だからしょうがないな、無党派だと。

若杉: ところが選挙になると、入れるところがないという。しかたないから共産党に入れた。

古賀: 僕は、このまま行くと、安倍政権っていうのは確実に戦争に向かっている。しかも安倍さんとして見れば何が何でも、ただ戦争したいと思っているわけじゃもちろんなくて日本を守るためには戦争できるような体制をどんどん整えなくちゃいけない。それは武器輸出三原則をなくしちゃったっていう、ここがすごい大きいと思うんですね。 最初は、武器輸出解禁したって、アメリカとかイギリスとかフランスとかロシアとか中国が入り乱れてものすごい競争をやっている中にポッと出の日本の業界が、はい、性能がいいです。買ってくださいなんてやったからって、そんな簡単に売れるようなことはないし、全然、心配ないですよという話だった。ところが 4月に解禁して、今や日本の潜水艦がすごいとか、日本の何とか式戦車がすごいとか、ありとあらゆる分野で日本の技術はやっぱりすごいですよ。あとは値段だけだと。

若杉: にもかかわらず、豪州に潜水艦を売り込もうとしたら、豪州国内で反発を招いて、アボット首相が解任されそうになる始末です。いきなりやりなれていない商売で、武士の商法という印象を受けます。

古賀: 僕が1番驚いたのは、江渡(聡徳)さんかな、前の防衛大臣の発言です。今までなら国会で防衛産業の問題になると、「決して金儲けじゃなくて、国民の命を守るためには日本の防衛産業も成長してもらわないといけないんです。金儲けは夢にも考えていません」っていう答弁をして逃げるという想定問答を共有してみんなでそれを守っていたわけですよ。だから、『報道ステーション』で「防衛産業を税金で援助する動き」のニュースを去年の12月にやった時も、どうせ質問してもまともな答えはかえって来ないだろうけれど、せめて防衛大臣が逃げてる感じを出そうか、そういう絵を撮ろうと思って質問したら、「いや、武器 輸出で国内の産業の基盤充実を考える、国民の雇用にもなる」と防衛大臣が答えてしまったんです。「えっ」て言って、みんなが驚いて、その先の関連質問ができなくなっちゃった。とプレスの人が言ってましたよ。

若杉: 呆気にとられて終わったと(笑)。

古賀: 今、とんでもないこと言っちゃったよっていう場面があったんですよ。

若杉: 不思議ですね。

古賀: 武器産業を成長の柱にっていうね。もしそれが起きたらどうなるかっていうと、まさに戦争できる国じゃなくて、アメリカで今、起きている、これからどんどん防衛予算は削減です。長期計画がつくられちゃいましたと。それで何が議論になっているかというと、ロッキード社がどこかの工場の何割の人をレイオフですとかいう話になって、景気が悪くなるとか、その地域が沈んじゃうとかいう議論を一所懸命やってるわけですよ。日本でもそれが起きるっていうことですね。

若杉: やめられなくなってしまうわけですね、一度武器輸出を始めて、軍需産業で潤うと。

■悪魔のジグソーパズル
古賀: もちろん防衛産業をやっている人だって世界中で人殺しをしたいと思っている人は1人もいないんだけど、何を願うようになるかというと、やっぱり戦争が起きればな。これは売れるぞというのをどうしても考えちゃうでしょ。戦争のほうへという政治的圧力が高まって、これは公共事業と同じになるわけですよ。 知り合いの土建屋さんで、「人間としてこんなこと思っちゃいけないんですけど、誰も死者が出ない災害が起きてほしい、っていう気持ち正直あるんですよ」というね。そうすれば公共事業で生活がラクになる。

若杉: 正直な人ですね。防衛産業でもそう考える人が出てくるんですね。

古賀: 原発もまったく同じ構造ですよね、結局。あの事故を見たら「やっぱり動かすって人間じゃないよね」って橋下さんが言った言葉、ほとんどの日本人が共有したと思うんだけど、気がついてみると、しばらくするとね。ああ、完全に復活してると気がつくんです。

若杉: 『東京ブラックアウト』で書きましたが、新崎原発の格納容器爆発の直後、官僚と日電連の二人が、ロードマップを考える場面。見せ掛けじゃない発送電分離を作ると言いながら、実はできるだけ先延ばしして、その間に既存の電力会社が生き延びられるように、制度的に全部きっちり保証してしまうというやり方をするんですね。

古賀: 国民から見れば、東京電力はまだまだ、だれも責任とってないじゃないかという話なんですが、他の電力会社から見ると、国に対して俺たちを同じ目に遭わせるつもりじゃないでしょうね、万一、事故があっても、東京電力みたいな惨めなことにはならないようにしてくださいよということなんです。だから、発送電分離の前に今、ものすごい細かいことまで含めて全部経産省がたぶんリストアップして、はい、これは何々審議会の何々小委員会ね。これは内閣府の方でやってもらえますか、と制度的に保証しようとしている。

若杉: おっしゃるとおりなんですよ。今まではそもそも原発事故は起きないという前提だったので、もしものことが起きたときについての制度的な備えはなかった。何かあったら国が面倒見てくれるだろうという電力会社と、経産省の間で、阿吽の呼吸という感じの信頼関係があったんです。けれど、原発事故があって、そういう阿吽の呼吸でやるとか信頼関係とかそういうのも崩れてきている。だから、全部制度的に担保しなくちゃいけなくなって、それをやっているんです。そういう意味ではまさに改悪なんですよね、制度としては。

古賀: そう。だから今までなんとなくふわふわとした部分があったんで、だから原子力ムラのモンスターといっても、なんとなくちょっとやや弱いところもありそうな、アキレス腱がありそうな感じのモンスターだった。

若杉: そうですよね。ところが、最後のアキレス腱のところまで鎧で覆ってしまうような改正を今、進めつつありますよね。ガチガチに重武装して、だれがどうやってかかっても絶対に簡単に払いのけられるようなモンスターになろうとしている。で、その重武装が全部バラバラに行われてるんですよ。

古賀: マスコミはとても理解できていない。本当は一覧表にして、事故が起きたときとか起きないときも含めて原発にまつわるいろいろなコストっていうのを、こういうものは必要です、こういう対応は必要です。全部1から20、30ぐらいまで挙げてこれはここで手当します、どこの審議会で議論しています、どこの大臣がこういう発言してますという一覧表をつくってパッと貼り出すとすごいおもしろいだろうなと。

若杉: 今は完成したジグゾーパズルをわざわざ一度、ばらけてマスコミに投げつけてるから、どのピースがどうはまっているのかわからない。

古賀: それ、すごい、いいたとえです。もうジグゾーパズルのようにわかりにくい。

若杉: そういうことですよね。私なりに、そのジグゾーパズルをなるべくつなぎ合わせてわかりやすくしたのが、この『東京ブラックアウト』での再稼働への 霞が関や永田町の原子力ムラの住人のヤリ口の描写なんです。避難計画をどこの責任で作るのか、発送電分離をどう進めるのか……。けれども、まだまだ政府の中にいる私ですら、ピースでわからないところもありますしね。

 ■安倍政権は最悪の組み合わせ
古賀: そうするとまだまだ本当は書ききれないウラもたくさんあるし、これから先、どうなるのかなとか、次のタイトルを何か、考えてますか?

若杉: この悪だくみが続く限りはできるだけがんばりたいとは思いますけどね。

古賀: でももう、僕は「改革はするけれど、戦争はしない」第4象限の党、「フォーラム4」とかいろいろ言ってるんですけど、そろそろ若杉さんも正体を現して日本の政治に打って出るんだみたいなことをやってくれませんか? そういう投書とか来ません?

若杉: 講談社には来ているそうですけれど、私は政府の中にとどまって発信し続けるほうが、今の時点では意味があるかなと思っています。第2、第3の若杉冽が出てくるのであれば、もう私は不要になる。そうなればそういうこともあるかもしれませんね。

古賀: これは『原発ホワイトアウト』のときの対談より、一歩踏み込みましたね(笑)。あのころは「何がなんでも私は中にとどまって発信するほうが意義があると思います」で、そこで終わりでしたけれども。

若杉: そうでしたか。いや、だから第2、第3の若杉冽が出てくれば。

古賀: 出てきますかね。

若杉: どうですかね。ただ相当おかしいなと思っているやつらは、霞が関にもいっぱいいますよね。

古賀: 今の安倍政権っていうのはすごい悪い組み合わせなんですよね。政策がおかしいんです。だけど政権運営はすごくうまいんです。

若杉: 最悪の組み合わせですよね。悪い政策が着々と実現していくという恐ろしい組み合わせです。

古賀: 民主党の場合はみんなが一時期、期待して、いい政策も持っていたのかもしれません。けれども政権運営がめちゃくちゃだったので、何もできないで終わった。1番いいのは素晴らしい政策を持っていて、かつ政権運営もきっちりできるということになれば国民のためになることがどんどん実現していく。 それを仮に第4象限の勢力が大きくなって政権を担うということになったときでも政策はいいんだけど政権運営をきっちりやらなきゃいけない。そのためにはおかしな官僚にだまされたり、あるいは足を引っ張られたりとか、そういうチャレンジがあっても、だまされないようにする。

若杉: 民主党政権は目指していたことは、自民党のオルタナティブとしていい政策もたくさんあったと思います。ただ、前作『原発ホワイトアウト』でも書いたとおり、烏合の衆で、政権を取るまでが目的化していて、政権をとった後の官僚の操縦術、掌握術がまるでだめだった。 「改革派官僚を行政内部で公募する」なんて気張ってみても、官僚は政治家と180度違ってリスク回避志向が強い人種です。政治家の側が見極めて引っ張り上げないといけない。

 ■心ある官僚のリクルートが必要
古賀: 心ある官僚をちゃんと見分けて引っ張り上げて、政権運営をしていくという、それをやらなくちゃいけないので、そうするとやっぱりある程度の数の心ある官僚とか、元官僚とかいう人をリクルートしておく必要があるんです、事前に。 そういう人がいるとなれば、第4象限の党に行ったってうまくいくのかなっていう不安感を持っている政治家に対しても、こんなにサポートする官僚部隊がいますよとアピールできる。もうすでに霞が関を辞めた人の中でも改革派といわれる人は少しはいるんだけど最近、ちょっと辞めた人たちがおかしくなっていってるような感じもあってね。

若杉: ああ、そうですか。あっ、確かに一部、そういう人たちもいますね。

古賀: いきなり原発推進派になって、電力会社に買収されちゃったのかなという人とか、急に専門でもないけど集団的自衛権とか、バンバン応援してみたりとか。結局は安倍政権があまりにも強いので、反対していても飯の種にならないなって判断するという。

若杉: せっかく役人を辞めたのに残念なことですよね。本当に。

古賀: 辞めろとまでは言わないけど若杉さんみたいな形でチャレンジしたり、あるいは政権の中からいろんな改革を叫んだり、叫ぶとつぶされるというのであれば、外の人を使って、それを実現しようとしたり、あるいは思い切って外に出て、中の人と協力しながらそういう政治勢力をつくっていこうとか、そういう改革派的な官僚というので、もう1回、ちょっとね。 若杉さんが私が若杉ですよと言ってやるわけにいかないけど、本名で。いや、若杉という正体とは全然、違う本来の自分の現場の立場でそういう人をちょっと探してもらって僕ら外にいる人たちといろいろ勉強したり、何か、そういうのってできないですかね。

若杉: もちろん私も努力しますけれども、当然、私が知らないところにも改革派の卵はいると思うので、ぜひ、このメルマガなり、雑誌の記事を読んだ方にはですね、直接、第4象限の党首の古賀さんに連絡をしてください。

古賀: いや、いや、私は党首とかはいいんです(笑)。

若杉: そこで古賀さんが党首じゃないっていうのもちょっと話の流れ的に・・・・・・。

古賀: まあまあ、それはさっきの逆襲ですね。逆襲を受けてますけど(笑)。 それで第4象限の党っていうのはわかりにくいので、今、フォーラム4っていうのを始めようかと。フォーラム4の霞が関支部だったり、あるいは何々省支部的な人たちをつくってもらう。それでやりたいという人はもちろん僕に直接、連絡をとってもらってもいいし、あるいは講談社のこの『東京ブラックアウト』編集部宛に若杉冽さんを私は手伝いたいという手紙でもメールでももらってもいいし、それは本当に10人とか20人とか集まったらすごいことになりますよ。

若杉: そうですよね。「改革はするけれど戦争はしない」というのは、僕は思想信条的には大賛成ですよ、それは。

古賀: もうすぐにも立候補したいと。

若杉: いや、いや(笑)。たださっきも出ましたけれど、現実の政治を今、やってる人で、それを担ぐ個人名はあまり見えてこないのは・・・・・・。渡辺喜美さんとかはそうだったんですか?

古賀: 昔はそうだったけど、思い切りタカ派になっちゃった。江田憲司さんはそのうちタカ派の橋下さんと大ゲンカして割れたら、第4象限という可能性はあります。民主党の中で実は潜在的にはけっこういると思うんですね。だけど強力なリーダーがいないんですよ。今、1番近いのは長妻さんなんだけど、長妻さんはやっぱり…。

若杉: 長妻さんは代表選で官公労が支持してましたよね。霞が関改革派の長妻さんが公務員の組合の支援を受けるというのは、あれ、どういうことかわかんないんですけどね。 古賀: 長妻さんだけでしたからね、民主党政権で天下り撤廃とか本気で戦って、厚労省の逆鱗には触れるし、財務省はつぶしにかかったんですね。 だから公務員改革とか1番熱心なはずなんだけど、今回は、岡田さんにしても、細野さんだって本当は組合なんか嫌いなんだけど、とにかくみんな、組合票っていうのが1番当てになるんですよ。今回は長妻さんの考えはやっぱり離党するより、代表戦で勝った方が近道だろうということだったんでしょう。でも勝たなかったのでよかったかなと(笑)。

若杉: じゃあ、将来の第4象限の党は長妻党首の可能性もありますね。

古賀: もう、霞が関アノニマスとか、そういうのもいろいろ始めてみたいと思いますので、ぜひ、心ある官僚の方々はわれこそはと。あるいはちょっとのぞいてみようでもいいんですけど、まあ、難しいんでしょうけど、若杉さんのように覆面してでもいいので、是非参加してほしいと思っているんですよ。(文中一部敬称略)  ≫(現代ビジネス:メディアと教養・スゴ本の広場)

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●官邸の恫喝が凄いのか、脅しに弱い人間が情けなのか?

2015年02月21日 | 日記
国家の暴走 安倍政権の世論操作術 (角川oneテーマ21)
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●官邸の恫喝が凄いのか、脅しに弱い人間が情けなのか?

 天下の首相ともあろうものが、秘書に書かせることが多いであろう、Twitterやフェイスブックにおける情報発信も、批判的な書き込みを見逃すことがない。多くはブロックで済ますらしいが、時に著名人、民間人の別なく、個人攻撃するそうである。当然、担当秘書に、そのような心構えで業務に邁進する安倍晋三の容認があってのことだろう。こういう「強権好き」が政権の座に就いたと云うことは、日本にとって“青天の霹靂”なのだ。

 権力のあるものが、その権力を思う存分乱用しようと思えば、多分、こんなものではないレベルの恐怖に裏打ちされた国民統治は出来ると云うことだ。自民党の政治家がビビり、野党の政治家がビビり、マスコミがビビり、安倍政権の刃向う考えの論者も、ごく僅かの人々を残し全滅状態だ。この“物言えば唇寒し秋の風”な状態が、どこまで続くのかが一つの問題だが、国民が、余程の根性で“倍返し”を決意しないと、もう一回り過激な強権な政権が成立することまで危惧される。

 国会では現在進行形で、平和主義を自らかなぐり捨てる「積極的平和外交」と云う“ネオコン外交国家”を目指す方向性が生まれているが、公明党に歯止めとなってくれることを望んでも無理だろう。文言の修正程度は応じるだろうが、骨組みを変えるようなことはあり得ない。周辺事態法とPKOの改正及び米国以外への武器・後方支援、自衛隊の海外派遣など、随時可能な恒久法にしようと云う動きは、明らかに憲法9条放棄宣言である。この一連の日本の軍国化を容認させる為に、アジア、中東、中南米に何兆と云う金をばら撒いてきたのだろう。一番筆者がヤバいと思うことは、イスラエルとの急激な接近である。これはマジに命取りになるかもしれない。

 22日に開催の「東京マラソン」では警備に万全を尽くすとしながら、1万人警備体制を敷くことになったらしい。参加者のペットボトル持ち込み禁止令から、DJポリスならぬ「ランニングポリス」を試験導入すると云う。まさに、ショック・ドクトリンの典型例だが、戒厳令の予行演習でもするつもりの勢いだ。空港でお馴染のゲート式金属探知機を、今までの7台から60台と大幅に増やすそうである。その上、自己アピール、政治主張を思わせるファッション等もレース中止の対象にすると云う。これで、何事か起きたら、悲喜劇の極みだが、取りあえずは無事を祈っておこう。横道の話が長くなったが、本題に入ろう。

 以下は古賀茂明氏と若杉冽氏と云う面白い組み合わせの対談である。概ね理解している範囲だが、あらためて書かれたものを読むと、凄く単純でささいな感情の動きで、人間が動き、結果的に国家が動いてしまうことを、再確認させられる。何兆のお金が動くわけでもないのに、その金で、人の心が買われ、行動が買われ、遂には国家が壊れて行く。

 自民党の議員たちが殆ど金太郎アメのようになっている辺りは、成程、ニュートラル層に当面は期待できないな、と自覚できる。安倍の資質に逆らえない風潮と云う事は、余程の資質なのだと云う事だ。おそらく、徹底的に暴力的で、且つ陰湿で執念深い。トンデモナイ人物を首相にしてしまったわけだが、後の祭りのようである。

 あと注目しておきたいのが、東京電力が随意契約を見直し、給料等の見直しをする事で、呆れたことに利益を計上する企業になった。逆に、事故も起こさずやってきている関西電力が大赤字のメカニズムには笑ってしまった。殊のほか些末な損得勘定で、国民全体は大損をする。大変悪質な国家のシステムなのだが、あまりの全身癌で、何処から手をつけて良いのか、モグラ叩きで疲れ果ててしまいそうだ(笑)。アウトにならない国家であって欲しいものだが、相当無謀な希望である。


≪『東京ブラックアウト』若杉冽×古賀茂明 (告発対談 「キャリア官僚はメルトダウン中に再稼働を考え始める生き物です」)

『東京ブラックアウト』は、フクシマ原発の事故後、原子力ムラの思惑通りに原発が次々再稼働して行く過程を描写するところから始まるノンフィクショ ンノベルだ。その後、再稼働した「新崎原発」がテロにあい、全電源を喪失、メルトダウンする。避難計画は機能せず、やがて東京にも放射能の雨と雪が降りそそぐ・・・・・・。 現役キャリア官僚だから書けたリアリティある悪夢。近い将来、このシナリオは現実のものとなってしまう可能性が高い。 原発再稼働はなぜ止まらない のか、安倍官邸を牛耳るのは誰か、この流れを止める政治家はいないのか、などについて、作者の若杉冽氏と、同じく霞が関の官僚を知り尽くした古賀茂明氏 が、120分語り合った。

【 若杉冽(わかすぎ・れつ) 東京大学法学部卒業。国家公務員Ⅰ種試験合格。現在、霞が関の省庁に勤務するキャリア官僚。著者には、ベストセラーになった『原発ホワイトアウト』がある。】

【 古賀茂明(こが・しげあき) 1955年、長崎県生まれ。80年東京大学法学 部卒業後、現在の経済産業省入省。経済・産業政策の要職を歴任、08年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任。急進的な改革を提言したが、民主党の反対で廃案に。東日本大震災と福島第一原発事故を受け、東電の破綻処理などを『日本中枢の崩壊』(講談社刊)で好評、11年9月退官。その後は『報道ステーション』ほかメディアで精力的に発信。近著『国家の暴走』(角川oneテーマ21)では安倍政権の危険性を指摘、「改革はするが戦争はしない」国の実現を模索する。】  

 ■ 霞が関で若杉冽の犯人探しは?
古賀茂明: 若杉さんとは、前作の『原発ホワイトアウト』が出たあとに、『週刊プレイボーイ』と『週刊現代』で対談しまして、それ以来です。2作目の『東京ブラックアウト』でも、また私の実名を出していただきまして……。安倍首相、小泉元首相、新潟県の泉田知事、他にも原発ムラの実在する住民たちを連想させる登場人物がみんな仮名。東京電力や電事連、柏崎原発や川内原発も仮名なのに、私はなぜか実名で、ありがとうござい ます(笑)

若杉冽: すみません。仮に電車の中で見かけたら声をかけたくなるくらい親しい人は、実名でも後で許してくれると聞きまして。限りなく事実に近くてもウラが取れない話だったり、今後起こり得るんだけれども、もちろんまだ起こっていない話を書くときはどうしても仮名にするので、実名が古賀さんくらいになりました。 「官僚制に辛辣だが紳士的で主婦層に特に人気がある」「総理夫人の加部咲恵とFB友だちで密かに好意を寄せられている」と褒めてありますので、どうかお許しください。

古賀: さて、1作目も感動したんですけど、それをしのぐおもしろさで、引っかからずに読めました。避難計画のずさんさとか、再稼働への政府の動きとか、半分くらい自分のメルマガでも指摘したテーマなんですが、それが実際に起きたらこうなってしまうという映像が浮かぶ面白さ、というか怖さです。売れてるんですか?

若杉: まだ、古賀さんの霞が関からの告発第一作『日本中枢の崩壊』ほどではありませんが、2作目の『東京ブラックアウト』が7万部で、合計で23万部を超えました。

古賀: それだけ影響力があると、若杉冽は誰なんだと。現役のキャリア官僚と称しているけど、どこの役所のどいつなんだ、実在するのかと、犯人探しが凄いんではないですか。

若杉: いや、怖いですよ。私は正直、脅えています。

古賀: いや、危ないんですよ。普通に考えると犯人を突き止められて、トバされたり、いじめられたり、何をやられてもおかしくないんですが、ただ彼らも少し頭がよくなったようで。下手に若杉冽に手をつけると・・・・・・。

若杉: そうです。やり過ぎると、窮鼠猫を噛むじゃないですけど、第2の古賀茂明を生んでしまう。それは最悪の事態で(笑)、追い込んだ人間が責任を取らないといけなくなりますから。

古賀: ギリギリのバランスのところに今はあって、自民党は圧倒的多数で多少余裕がある。これが昔の麻生政権みたいに、もう自民党も終わりじゃないかみたいなときだと、この本で原発再稼働のウラが暴かれて政権の致命傷になるんじゃないかと、本気でつぶしにくると思うんです。だからこれから情勢が変われば「この大事なときに、こいつ」みたいなことが起きると本気でつぶしにくる。

若杉: 実際、大手の新聞社から著者インタビューの依頼があって、取材を受けたのに、記事にもならなかったという、探りに来たとしか思えないひどい話もありましたね。あれは危なかったです。

古賀: それは相当いろんなことやってくるでしょう。僕のときは全然、前例がなくて、役所の中で実名でめちゃくちゃ告発を始めたときに、向こうはこいつと思って、いろいろ封じ込めようと思ったんでしょうけれど、僕が常に彼らの想定外のことをやり続けて、どんどん向こうが墓穴を掘ってたって感じでしたね。『日本中枢の崩壊』も事前に秘書課と広報室に出したんですよ、それで内容を検閲してくださいって言った。ところが 2週間ぐらいじっと時間がたっても、何も文句を言ってこれない。

若杉: 検閲したことの責任をだれもとりたくなかったんでしょうね。

古賀: でも、渡した原稿がダミーで、実は違う内容のものが出て、大臣に怒られたりする可能性があるから、出来上がった本の包みを僕が部屋の机の上に置いておいたら誰かがそれを盗みに来たんですね。で、全部コピーして戻して想定問答を作っていたようです。

若杉: それは確実な話なんですか?

古賀: 私の部屋は、廊下との間に鍵のあるドアがあり、その内側に秘書がいて、さらにその内側の自分の部屋に入るところにも鍵付きのドアがあるんですね。廊下との間のドアには鍵をかけるんですが、秘書のいるところから入るドアにはカギなんてかけたことのないのに、 朝になったらカギがかかってた。 掃除に入った秘書が、おかしいなと思って、私が出勤したとき、「古賀さん、昨日本を見たら1冊だけ新品じゃなくて大きく本を開いた感じのものがあって・・・。向こうは大事なものをしまっているのに カギをかけないはずがないと、勘違いしてバレたんです(笑)。

 ■ パニック時に再稼働を考える官僚という生き物
古賀: 『東京ブラックアウト』は、新崎原発がメルトダウンして、福島第1のときにシミュレーションした最悪の事態、二百何十キロ避難が本当に起きて、ずさんな避難計画のせいで原発20㎞30㎞圏の住民が逃げ惑ってパニックになる。その状況を知ってか知らずか、ずっと離れた官邸の関係者、家族をすでに海外に避難させた霞が関の官僚たちがどういう反応をし、どう自分たちは生き延びようとしているのか、これらがものすごく細かく描写されています(笑)。 あれはやっぱりキャリア官僚じゃないと絶対に書けない。普通の人から見たらすごい衝撃で、えーっ、官僚たちはそんなひどいやつらなの、えっ、そんなばかなこと、考えちゃうのとか、そういう場面が1ページに何回も何回も出てくるみたいなおもしろさがあります。

若杉: そうなんですか。古賀さんにそういうふうに言っていただくと大変私としても新鮮な驚きというか、私からしてみると福島第一原発の事故以後は特に、いろんな報道が散発的に出てくるんですけど、やっぱり報道っていうのはウラが取れないといけないから、本当の真実のごくごく一部しか出ないんですよね。 ウラが取り切れないところにも真実はあって、実像はもっと別のところにもある。実像を知っている私からすると別に日々起きて見聞きしている話、日常 的にごくごく当たり前のやり取りで記憶に残ったものを、小説という形に置き換えて書いているだけなんです。それが霞が関の外の人から見ると、とても非常識なことなんだなというのを、外に出られた古賀さんにあらためて言われると、ああ、そうなのかと気がつくものがありますね。

古賀: いや、そうなんですよ。僕は若杉さんが全国で講演したらおもしろいなと思うんです、さすがにすぐはでき ないでしょうけれど、講演したらわかります。僕も霞が関の外に出てから、いろいろ講演するようになって難しい話もしますけれども、みなさんが聞いておもしろかったっていうのは、実は官僚ってこういうときはこういうふうに考えて、こういう行動をとっちゃうんですよという普通の話をしたときが1番盛り上がるん ですよ。 驚きだったっていう人もいるし、すごい憤りを感じたっていう人も、めちゃめちゃ滑稽で笑えましたっていう人もいる。官僚ってこうだとは夢にも思えな かったという人が多いんです。『東京ブラックアウト』で例を挙げると、新崎原発周辺がパニックになっているときに、遠く離れた官邸で、原子力ムラの二人が密談する場面とか。

若杉: 新崎原発がメルトダウンして、格納容器が爆発して首相官邸も騒然となる中、二人の原子力ムラの人間が騒然とする官邸を抜け出して、「まずいことになりましたな」と言いつつ、今後のことをそっと打ち合わせします。経産省キャリアで資源エネルギー庁の次長と、「日電連」の関東電力出身の常務理事の二人ですね。

古賀: ひとりは今、安倍官邸で中心的存在の人がモデルで、もう一人も、東京電力から電事連に出向して、電力会社が政治家にカネを配る仕組みを作った人がモデルでしょう? この二人が、フクシマに続く2度目のメルトダウンの直後に、またしても作業員や住民の被ばく限度を引き上げるところから始まって、懲りずにまた原発を再稼働させるスキームを作っていく。一般の人にとってはさすがにありえないと思う場面ですよ。

若杉: でも官僚的には当然、ああいう会話になるわけなんです。それはそうですよね、メルトダウンで格納容器が爆発して、日本がパニックになっているときに、同じ方向に電力関係者も役所も官僚も走っていっちゃったら、事態の収拾はできないわけですから、パパッとああいう今後へのロードマップを作ります。 ロードマップを作るときには、当然、省益や自分の将来に不利益にならないことを考えます。たとえば与党の政治家が次の総選挙で、「脱原発」と言うのは認めるが、「即ゼロ」と言ってしまう人間は電力業界として支援しないことにしよう。 原発事故の被災地の復旧・復興の財源を、事故を機会に原子力発電に課税することでひねり出してまおう。つまり実質再稼働するのを前提にしよう、などをメモにする。メモを作るというのは、有能なキャリア官僚なら必ずやりますよね。

古賀: 福島第一原発事故のときに、『東京ブラックアウト』で描かれたメモと、そっくり同じじゃないけれど、まさにあったんですよ1枚紙が。「Yペーパー」と呼ばれるものです、確か。今、安倍官邸で総理を支えている人ですよね。この事故からどうやって原発再稼働をするかを書いたメモ。

若杉: 何でしたっけ。大間と島根は動かす、とか、今、建設途上のやつは完成させて稼働させるとか、そういうようなメモですよね?

古賀: 福島の原発事故直後で、まさにどうしよう!? どうしろ! と言っているときに、もうそういう、原発復活へのシナリオをメモにして作っているキャリア官僚がいたわけです。

若杉: 私としては、キャリア官僚が考えることをそのまま書いただけなんです。

古賀: ところがそれが実は普通の人から見ると、とんでもない驚きなんです。そういう思いもよらないことが実際に起きているんだというのを知らないまま、表向きの世界だけを知らされて、新聞を読んで、テレビを見る。そして、ああ、やっぱり原発を動かすしかないのかな、いや、原発がないとやっぱり俺たちの生活は貧しくなるんだとか、本当に今でも思っている人がけっこういたりしますね。

若杉: 集団的自衛権を認めないと北朝鮮との関係でやられちゃうとか、そういうふうに思わされちゃうわけですね。

 ■ 安倍官邸にいる「優秀な」キャリア官僚たち
古賀: 官邸主導でそう思わせる術が、すごくうまくなっていると思いませんか? 昔に比べると。

若杉: そうですね。やっぱり霞が関から行った、官邸のスタッフが悪いやつらだけど優秀だっていうことなんでしょうね。

古賀: 去年の9月に出した『国家の暴走』という本、サブタイトルは「安倍政権の世論操作術」にしたんですが、政権運営の中でも世論操作を非常にうまくやっているのが安倍政権だなと思うんですね。 今まで政権運営っていうと派閥のバランスとか、野党との裏取引とかが、大事な要素でした。ところが圧倒的多数を持っているので、いかに世論を操作し ていくか、という政権運営術が最近では小泉内閣に次ぐ、いや、むしろ小泉内閣を超えたと言って良いくらいレベルが上がったんだという感じがするんです。

若杉: おっしゃるとおりですよね。怖いですよね、本当に。経産省から官邸に来ている3人が、非常に仕事ができるという意味では尊敬に値する。しかしちょっと方向感覚を間違っていませんかという意味では心配になる人たちがそろってますよね。そういう意味ではより チームプレーできているかもしれませんね、小泉内閣のときよりも。

古賀: そうですね。筆頭秘書官の今井尚哉さん、事務秘書官に柳瀬唯夫さん、内閣広報官の長谷川さん、この経産省キャリアたちはすごくうまく機能していて、その3人って僕が役所にいるときはもちろんだけれど、常にいろいろ議論したり、一緒に仕事したりもした、ちょっと恐ろしい人たちなんですね。しかも、今年は総選挙がなくなりましたから。

若杉: やりたい放題ですよね。それにしても今回の解散は永田町自体、ほとんどみんな騙されてましたよね。財務官僚も日銀の人たちも怒り狂ってましたよ。

古賀: そうでしょうね。特に日銀が、ぎりぎりでバズーカ第二弾で援護射撃したのに恥をかかされた。

若杉: 消費増税のためじゃなくて自民党を勝たすために俺たちは騙されたんだという感じでした。

古賀: そこら辺はやはり、官邸の経産官僚が恐ろしいほど活躍しましたね。この調子で川内原発再稼働なんでしょうが、僕は無理やり統一地方選のあとまで延ばさせるんじゃないかと思っています。

若杉: そうかもしれません、佐賀県知事選で負けたりしたのが影響するかもしれませんよね、再稼働したら統一地方選も厳しいでしょうから。ただ、圧力を散らす可能性もあるんじゃないでしょうか。

古賀: 集団的自衛権もあるから全部統一地方選後というわけにもいかない?

若杉: 私は、川内原発の再稼働も工事計画の認可の遅れを口実に少し遅らせて、集団的自衛権の大騒ぎの裏でスルスルっと川内と高浜の再稼働をやるのかなあという気がしています。後はベルトコンベアのように続くでしょう。

■ 官僚にとって安倍官邸の強権人事は恐怖
古賀: いずれにせよ再稼働しないという可能性は『東京ブラックアウト』に書かれているように、まったくありませんね??若杉さんは再稼働反対ではないんですか?

若杉: 心情的には反対なんですが、今の安倍政権のもとでは、もう再稼働する以外の選択肢はないでしょうね。それは役人がどうということじゃなくて政治の選択として示されている以上、もう、そこの自由度はなくなっていると思います。

古賀: 「19兆円の請求書」の文書を出して核燃料サイクルを止めるべきだと主張した改革派官僚じゃないですけど、そういう人たちは今、いないんですか、私がリクルートしたくなるような。

若杉: いや、いないわけじゃなくて、息を潜めているということだと思います。やはり官僚だって当然、議会制民主制のもとで、政治からガバナンスされているわけなので、そのガバナンスの範囲の中でどこまで動けるかということだと思いますね。

古賀: 歴代の政権に比べて安倍政権は怖いっていうイメージがありますよね。

若杉: ありますね。人事も含めて徹底的にやりますからね。

古賀: 要するに何かやったら徹底的につぶしに来るだろうなと。お前、気をつけろよじゃ済まない。

若杉: 官僚からすると、そういう怖さがありますね。

古賀: 昔の自民党なんか、けっこう緩かったですよね。

若杉: 自民党の中にもいろんな考え方の人がいて、ある先生との関係で問題が生じてもサポートしてくれる別の先生がいるとか、懐が深かったんです。けれども、いまは小選挙区制になったことと、なによりも安倍官邸が非常に強くなっている結果なんでしょうけれども、党内が金太郎飴みたいになってきて異論が許されないんです。自民党の中の議論の幅というのが、ものすごく少なくなってきていると思います。 昔だったら、別に河野太郎先生とか、村上誠一郎先生みたいに「原発反対」「集団的自衛権反対」と言ったからといっても、ああ中にはそういう先生もいるよな程度の認識だったと思いますが、いまや二人はものすごく異色、異端に見えているというのが残念ですね。

 ■「電力モンスター・システム」とは何か
古賀: やっぱり安倍さんの個人的なキャラクターが反映しているんでしょうね。一般民間人をツイッターやフェイスブックで、やっつけに行ったりするじゃないですか。一国の総理が個人攻撃をする怖さ。 たぶん官僚っていう人種はそういう勝負には、強くない人が多いでしょう。ということは、いわゆる原子力ムラのモンスター・システムは結局変わらず維 持されるということですか? 若杉さんが『原発ホワイトアウト』や『東京ブラックアウト』でリアルに書き続けている、「電力モンスター・システム」について少し解説してもらえますか。

若杉: 「電力モンスター・システム」というのは、電力業界が政界への影響力を高めるための錬金術ですね。電力会社には総括原価方式という電気料金の決め方が法律で決まっていて、かかったコストから料金を決められるわけです。 浮かせた金を調達先などを使うことによって政治家に配ったり、広告としてマスコミに配る。金で政治を買っているということですね。それで民意が反映されなくなってしまっている。小説では、関東電力から日電連の常務理事に出向している小島が考案した仕組みですね。

古賀: かかったコストは全部料金に乗せていいという仕組みなので、電力会社は発電所をつくっても、日常的に資材を買っても、いろんなところで政治家やマスコミと飲食しても、全部いくらでも高く払える、その分料金に上乗せすればいいというのが総括原価方式ですよね。 普通の民間同士だったら100億円で成立する調達を全部120億円にして、高く発注してあげた20億円の超過利潤をプールさせて、政界工作、マスコミ対策用にそれを全部集めてくると、おそらく1000億円単位のお金ができてくるんだけど、それを全部電力会社とか、あるいは電事連とか。この本の中では……。

若杉: 日本電力連盟ですね。日電連が差配をして、この先生にいくらパーティー券を買ってあげる、いろんな広告とか幹部接待でテレビ局とか新聞社とか雑誌社にもお金が回る。

古賀: 学者には「先生、研究してください」とか言って、どうでもいいレポートを1本書いてもらうと何百万円というお金が行って、いざというとき学者として原発を擁護してくれる。与野党問わず電力業界を応援してくれそうな落選議員は、ちゃんと大学の何とか講師とかを紹介する。あとは何がありますかね。どういうところにお金が回ってますかね。

若杉: そんなものですかね。「電力会社からの上納金だけでも日本電力連盟に年間400億円が渡り、電力業界全体では年間2000億円が自由に使える」と、『東京ブラックアウト』では書いています。

古賀: 日本中、ありとあらゆる人が電力会社のおかげで生活しているというのが「電力モンスター・システム」ですよね。みんなで大臣のパーティー券を買ってあげていましたとか、電力会社の役員が個人で献金しましたとか、新聞にポロッと出ますよね。『東京ブラックア ウト』にもリアルな例が紹介されていますし、去年あたり談合で、東電も捕まったし、関電も捕まってましたよ。 要は高く買ってあげるときに昔は全部、いわゆる随意契約。電力会社側が最初から高い値段で入札させてあげるっていう構図が公取が入って実際に摘発して、朝日新聞には大きく出るんだけど、それ以外は大きく出ないです。

若杉: あれだけの衝撃的な話なのに、ほとんど報じられませんでしたよ。

古賀: それで僕がわざわざツイッターでつぶやかなきゃいけない(笑)。ところが事故の後、東京電力はそういう変なことがやりにくくなって、コストを下げろ、ちゃんと入札しろと、調達を本気でやっていくうちにどんどん利益が出ちゃいました。

若杉: 4000億円も改善してしまいましたね。

古賀: 一方で、総括原価方式があって、東京電力が何であんなに利益が出るのに関西電力はどうしてあんなに赤字なのか?

若杉: それはおもしろいですよね。本当は東京電力でやったのと同じことを、横展開すれば関西電力だって、どこだって、みんな原発なしでも黒字になるはずですよね。

古賀: 関電は一生懸命やったふりをしているけれど、結局、原発依存度が高いから、その分ダメージが大きい。値上げすりゃいいやと思っていたら「値上げするなら、給料削れますか? リストラしますか?」という社会状況になってきた。そうすると官僚の側では天下りで関西電力に行った人の給料もカットするということになって、天下りに行ってる先輩がかわいそうだ、電気料金はあげにくいなあっていうことも考える。

若杉: それから政治に回っている金も動かせるから、政治との関係でもリストラやコスト削減が許されないでしょうね。

古賀: そうですね。電力モンスター・システムで養われている政治家から、お前、何やってんだ。何、勘違いしてるんだっていう話になっちゃうんでしょう。だから関西電力は赤字のままなんでしょうね。 (以下、後篇に続く)  ≫(現代ビジネス:メディアと教養・スゴ本の広場)

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●歴史は過去と現在がつきもの 自己都合の未来志向は虚飾

2015年02月20日 | 日記
経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策
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●歴史は過去と現在がつきもの 自己都合の未来志向は虚飾

 安倍政権が「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」(略称・21世紀構想懇談会)と云う諮問機関を設置した。この諮問機関と位置づけた仰々しい懇談会のメンバーには、安倍寄りの御仁らがズラズラ並ぶ。菅によるとバランス重視だそうだが、どの角度から眺めてみても、右に大きく傾いている。西室泰三、小島順彦、北岡伸一、中西輝政、岡本行夫、西原正と名前を並べてしまえば、どんな考えが中心に展開するかは、推して知るべしなわけで、菅官房長官談話など、ただ空々しいだけのものである。

 “世界に発信できるようなものを英知を結集して”云々とあるが、最近の「英知」と云うものは、随分程度が落ちたものである。「談話を書くことを目的にしたものではない。政府が談話の具体的内容を検討するに当たり、意見を伺いたい」と云うところは、実はポイントで、有識者メンバーに対して免責を与えたので、心置きなく自己都合で、思う存分のことを懇談して欲しいと云う事だろう。朝日によれば“最終的に談話を作るのは、あくまでも政府だとの考えを強調した”とさり気なく書いているが、免責を認めた点を強調している。朝日もだいぶ痛んでいるらしく、安倍関連の記事はビクビクしながら書いている姿勢が鮮明になってきた。

 日経新聞でさえ、見出しでは“バランス重視”と打ち出したが、“北岡氏や中西輝政京大名誉教授らは保守の論客で首相と親交があり、安倍政権下での有識者会議にしばしば名を連ねるなど安倍色がにじむ。菅長官は「談話を書くことが目的ではなく、政府が談話を検討するにあたって意見をうかがう意味で設置した」と語る。「侵略」や「反省」といったキーワードをそのまま踏襲することに首相は慎重だ。最後に独自色を示す余地も大きく残る。”と見出しとは中身は違うかも?と、この諮問会議の性格に懐疑的ニアンスを臭わしている。逆に、朝日新聞記事への監視の目が厳しいことを窺わせる。

 朝日新聞がどうなろうと、筆者は一向に構わないが、中立からリベラル系の購読者層を失う危機に直面しているようだ。新聞の購読料が落ちても構わない、関連事業で充分食べていけるから、と言えるのは50代以上の管理職だけで、40代以下は死活問題になるだろう。朝日新聞から、中立リベラル層を除けば、販売部数の激減は免れるのはかなり厳しい。新聞購読者数は業界全体でも落ちているわけだから、Wパンチに見舞われるわけで、どれ程関連企業で食っていけると言っても、それは朝日新聞のブランド力に負うところもあったわけだから、最終的には死活問題に繋がるのだろう。

 それが判っているのであれば、政権に徹底抗戦する選択もある筈なのだが、経営も編集も勝ち逃げの50代に占められているのだから、有能な記者は、次々と社を離れていくことになるのだろう。こういう情勢になると、何故か “毎日新聞”の存在が気になり始める。与党の一角を占める公明党との繋がりが強い分だけ、官邸の監視の目も緩いのだろう。現状は、毎日新聞が購読者を増やせるチャンスかもしれない。報道ステーションも危なっかしいので、残るはニュース23だけになるのだろうか?

 それにしても、この諮問会議が「未来志向の視点を重視する」と痛く強調するのだが、過去と現在の視座を不都合だと思い込んでいる政府や有識者による考えが色濃く出るのは間違いないだろう。ただ、東芝、三菱系がメンバーに入っている点を考慮すれば、単に右傾化歴史修正主義なだけでなく、商売重視な面も見逃せない。謂わば、国家主義で、不都合な過去と現在にはサヨウナラをして、出来たら、世界中で商売を上手い事やって行くには。どうすればいいか考える会と云う事なのだろう。

 「国際社会」と云う言葉が好きな割には、グローバルな主論には逆らうのだから、常にひも付きODAを供与して、護送船団方式で輸出を伸ばそうと云う幻影的国家運営から一歩も踏み出せずにいる。「未来志向」と言いながら、過去へ過去へとひた走るのだから、批判すべき言葉も浮かばない。こうして、国家主義とグローバルと製造業輸出振興と云う過去と現在がごちゃ混ぜになった政策が繰りひろげられ、未来だと言いくるめられる。

 その上で、安全保障関連法案に関しては、米軍への後方支援を定めた周辺事態法から「周辺」という事実上の地理的な制約をなくし、米軍やそれ以外の他国軍への支援を海外で展開できるようにする抜本的な改革案を考えているのだから、軍国主義までが加わるのだから始末に負えない。しかし、安倍政権が、言葉での威勢の良さに比べ、どこまで本気度があるのか、この辺が、極めて怪しい。あくまで強い国家風味の雰囲気を愉しんでいるだけで、自己満足な要素が混在しているのように感じられる。つまり、「ごっこ」だけで、安倍は満足なのではないかと云う疑念がつきまとう。

 仮に、本気で軍国主義で強権な国家を作りたいのであれば、世界情勢をもう少し加味した、賢明で狡猾な方法が取られるはずなのだ。しかし、嗜好がもろ見えで、狡猾的配慮がなされていない点は、違和感がある。常に子供染みてバカバカしく、世界の知識人やリーダーの頭を混乱させて歓んでいるのだから、おかしいと思うべきだ。日本国内だけで政治が実行できるなら良いのだが、そういう世界に棲んでいるわけではないので、戦略的ではない。つまり、安倍自身が抱く、強いリーダー像を追い求めているナルシスト政治なだけで、それ以上のものはないのだろう。そういう意味では、安倍政権の動きを大仰に受けとめなくても良いような気にもなる。日本に政治のなかった5年なんて言葉が、いずれ恒常化するかもしれない(笑)。

≪ 戦後70年談話の有識者会議、25日初会合 16人決定
 菅義偉官房長官は19日の記者会見で、安倍晋三首相が戦後70年の今年中に出す「安倍談話」について検討する有識者懇談会のメンバー16人を発表した。西室泰三・日本郵政社長(79)が座長に就任する見通しで、25日に初会合を開き、夏をめどに議論をまとめ、首相に報告する。首相は懇談会の議論を踏まえ、談話の作成に当たることになる。 懇談会の名称は「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」(略称・21世紀構想懇談会)で、首相の諮問機 関と位置づけた。菅氏は会見で「先の大戦への反省、戦後平和国家としての歩み、今後日本はアジア太平洋地域や世界にどう貢献していくか。世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいきたい」と述べた。
 西室氏は日中の有識者でつくる「新日中友好21世紀委員会」の日本側座長を務めた。座長代理には、集団的自衛権の行使をめぐる首相の私的諮問機関で座長代理を務め、首相に近い北岡伸一・国際大学学長(66)を充てる。
 メンバーにはほかに、首相に近い国際政治学者の中西輝政・京大名誉教授(67)が入ったほか、三菱商事会長で経団連副会長の小島順彦氏(73)、外務省OBの岡本行夫氏(69)と宮家邦彦氏(61)、元防衛大学校長の西原正氏(77)らが名前を連ねた。メディアからは飯塚恵子・読売新聞アメリカ総局長、山田孝男・毎日新聞政治部特別編集委員が入った。
 菅氏は有識者懇談会の役割について、「談話を書くことを目的にしたものではない。政府が談話の具体的内容を検討するに当たり、意見を伺いたい」と説明。最終的に談話を作るのは、あくまでも政府だとの考えを強調した。
 首相は第2次政権が発足した直後から、談話を出すことや有識者会議を設置する意向を示してきた。その理由について、首相周辺は「未来志向の新たな 談話を出すことは第1次政権からの悲願であり、国民の理解が得られる進め方を首相はずっと考えていた」と周到な準備があったことを打ち明ける。
 戦後50年の村山談話でも60年の小泉談話でもこうした有識者会議は開かれておらず、小泉内閣の元高官は「首相の談話を出す際に有識者会議を置く理由が分からない」と語る。
 首相官邸は首相が1月の年頭会見で有識者会議の設置を表明したことを受け、人選作業に着手した。菅氏は会見で「懇談会では多様な視点から議論をい ただくので、幅広い分野の様々な方々に委員の就任をお願いした」と説明。首相に考えの近い有識者だけでなく、バランスを重視した人選であることを強調した。
 官邸関係者は「そもそも幅広い意見を出してもらうための懇談会だ。安倍首相に近いブレーンで固めるという選択肢はなかった」と語る。
 首相はこれまで、70年談話について、「侵略」「心からのおわび」などを明記した戦後50年の村山談話や60年の小泉談話を「全体として引き継ぐ」と語っている。一方で、文言をそのまま継承することには慎重な姿勢を示しており、首相個人の考えが談話にどこまで反映されるのかが新たな談話の焦点になっている。
 過去の談話を大きく書き換えることへの懸念は、与党内からも上がっている。公明党の山口那津男代表は18日、有識者懇談会の議論を「見守る」としつつ、「我々としては、まったく意味の変わるものにならないようにコンセンサスを作るべきだと申し上げた。そこは踏まえた上で対応されると思っている」と牽制(けんせい)した。 ≫(朝日新聞デジタル:冨名腰隆、藤原慎一)

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●マスメディアの惰眠 支持率UPに糞味噌こね回す政権を許すな

2015年02月19日 | 日記
日本電力戦争: 資源と権益、原子力をめぐる闘争の系譜
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●マスメディアの惰眠 支持率UPに糞味噌こね回す政権を許すな

 どうせ言っても、“カエルの面に小便”だろうが、敢えて言いたい。本当に、日本のマスメディアの惰眠の程は、無視していられないほど酷くなっている。英国の経済誌エコノミストに驚かれ、指摘されるような実情が真実だろう。日本のマスメディアにおいては、もう震災復興は成し遂げられたと云う顔つきになっている。そんなわけはない、政権に見放され、業者に見捨てられ、官僚の縦割り行政に阻まれ、「やっている、進んでいる、復興も新ステージに入った。」このようなことを嘯く、現実離れした放言男の震災現場訪問のニュースを流すのに罪悪感は憶えないのだろうか。

 安倍は、綺麗な所だけを回り、新しい箒の目がくっきりと目につく現場を、下々を従えて視察し「復興も新たなステージに移りつつあることを実感できた。政府として予算や税制、金融面において支援に力を入れていく。閣僚全員が復興相だという意識を持って取り組む」などと、まったく現実と違う世界を見てきたように、へらへらと語る。そのニュースがテレビ画面に流れるのだから、日本全体の空気は、震災の復旧復興もだいぶ進んだようだと思い込み、もう話題はイスラム国やホワイト・エグゼンプションに移行する。心のケアに向かう?「その前に住むところ作ってけれ!」心は自分で何とかするからさ(笑)。

 原発の安全基準についてなど、マスメディアが真っ当であれば、いの一番にヤリ玉に挙げられる話題だろう。口が裂けても、「独立した原子力規制委員会によって世界最高水準の新しい安全基準が策定されました・・・略・・・/まずは、厳格は新安全基準を乗り越えた原発についてその再稼働を判断していく」等とは言えないわけで、安全だと保証することはないと断言している委員長の言を待たずとも、旧態依然の「多分危なくない」と云う論理がまかり通るのだから、世界の笑われ者である。

 報道ステーション辺りは踏んばっているようだが、古賀茂明氏を降板させる流れがあるくらいだから、この報道番組も風前の灯火なのだろう。あとは、ニュース23だが、こちらにも官邸の手が回っているのは確実だ。現在、悪い中でも幾分良心的な報道に心掛けているのが、毎日新聞とTBSと云うのも奇妙な按配だ。小沢一郎関連では、最も先鋭的報道を心掛けた毎日系が、ここに来て一番安定的報道をしていると云うのも皮肉だ。創価学会との絡みが、こういう時に歯止めと云うのも、なんだかな?と思うわけである。本当に、日本のマスメディアは、このまま立ち枯れするのだろうか。

 NHKなどの会長の籾井ナンタラ云う男に至っては、中期経営計画の説明のため出席した席において、「過去の発言には責任を取らない」と開き直り、醜き顔を一層醜くし、「なぜ蒸し返して1年前に戻るのか」「あなたが言っているのはへ理屈だ」と開き直る始末。天下の公共放送が安倍政権に完全に電波ジャックされているのだから、手に負えない(笑)。その夜、安倍首相は「日本女性エグゼクティブ協会」の会合で「稲田さんはジャンヌ・ダルクのように農協改革に取り組んだ」等とフランス政府を激怒するような言葉を軽々しく口走る始末だ。

 当年をもって100歳になられる”むのたけじ氏”が嘆くわけであり、彼に真っ当な報道を見せる機会は当分来ないのだろう。どの政治分野においても、安倍政権の現在進行形の瑕疵は指摘できるわけで、いまや分野がどこであっても、政権を批判出来る課題満載だ。どこを覗いても、一定のニュース性と話題性で充満している。こういう時こそ、新しい読者を獲得するチャンスだと思うのだが、甲羅の中に首を引込め、嵐が去るのを待っているとは情けない。また、次の政権が穏当な政権であればあるほど、マスメディアはしっぺ返しのように、騒乱的に政権の足を引っ張るに違いないのだ。やはり、日本人には民主主義は無理かもしれない?以下、エコノミストの記事を引用しておく。

≪ 津波後の日本:遅々として進まない復興
■ 東北地方の復興が躓きかけている。
 2011年3月11日に日本の東北地方で巨大な地震と津波、原子力発電所のメルトダウンが起きてから4年近く経つが、いまだに17万人を超える人たちが破壊された海岸沿いの仮設住宅に閉じ込められている。その1人は、津波で流された港町、陸前高田のかび臭い仮設住宅 で夫と暮らす70代の女性、ヨシダ・スミコさんだ。
 この町では、ヨシダ夫妻の息子、イサオさんを含む1750人以上の人が亡くなった。イサオさんは市の職員で、ほかの人たちが高台に行くのを手助けしていた。
 自宅と呼べる場所も息子のための仏壇もなく、息子をきちんと弔うことができないとヨシダさんは言う。仏壇は間に合わせのテーブルの上に置かれた写真で代用するしかない。あまりにも長い間悲しみをこらえてきたので涙が出ない、とヨシダさんは言う。
■ 刺激策による建設ブーム、建設会社は東北から東京へ
 日本の安倍晋三首相は、壊滅的な被害を受けた東北は、日本経済を復活させる自身の計画の重要な試金石だと話している。実際、昨年12月の総選挙の初期の遊説は、陸前高田の学校の校庭に押し込まれた多くのプレハブ住宅団地の1つで行われた。
 だが、他の国家的優先事項の方が東北地方の復興より勝っているように見える。安倍氏の金融・財政刺激策によって起こった建設ブームは、東北から建設業界の設備を吸い上げ、より実入りのいい仕事がある東京に向かわせている。
 地元の人は、津波で家を失った貧しい人や高齢者がいまだに新しい家に住めずにいる時に、なぜ東京が2020年のオリンピックのために華美なスタジアムを建設するのかと疑問を投げかける。最も大きな被害を受けた県の1つ、岩手の達増拓也知事は、政府はこの地域への関心を失いつつあると言う。
 東北の復興には、最初から資金とエネルギーとビジョンが必要だった。震災後の数カ月間、地元の人たちは不屈の精神を発揮し、国中からボランティアが支援に駆けつけた。約2000万トンの瓦礫はすぐに取り除かれた。
 希望を抱く設計家たちは、高台に建設され、再生可能エネルギーを動力源とする新しい町の構想を描いた。東北の復興が国全体を景気低迷から救い出せるのではないかと考える人までいた。 こうした当初の期待からすると、なかなか復興が進まないことは、とてつもなく大きな落胆につながっている。沿岸部のあちこちで多くのインフラが取り替えられないままになっており、建設が計画された新たな公営住宅のうち、完成したのはわずか6つだけだ。
 陸前高田の荒れ地を車で通り抜けると、カーナビの画面がすべての住宅、ガソリンスタンド、市の建物が以前立っていた場所を不気味に表示する。町はまだ、地震で1メートル沈下した土地を埋め立てるために近くの山から採取した土を運んでいる段階だ。
 3700人が津波で溺死した宮城県石巻市では、新たな定住先に入居したのは150余りの世帯だけで、まだ1万2700人が仮設住宅で暮らしている。市の職員は、復興の遅れの責任の一端は、国の官僚機構にあるとしている。石巻の市長は、水田が新たな市街地用地として再区分されるのを農水省が認めるのに6カ月かかったと言う。
■ 弱まりつつある社会の結束
 多くの町や村では、お金のある人が新しい家を建てるにつれ、初期の結束が弱まりつつある。世代間にも意見の相違がある。高齢の住民は沿岸の村や家 族の墓から永遠に離れるのを嫌がる。多くの人は牡蠣の養殖や漁業でいい暮らしをしていた。対照的に、若い世代は、海岸の後方の高台にある大きな統合された共同体で暮らしたいと思っている。
 そのような町がいつか本当に建設されるのだろうかという疑念が、津波の前から進んでいた地域の過疎化を加速させている。津波の被害に遭った3県の中では最北端に位置する岩手の人口は、震災以降4万6000人、率にして3%近く減少している。
 震災後、国は5年間で25兆円を投じると約束した。だが、国の制度が、多くの公的資金が被災者に直接届くのを邪魔している。家を失った人は、最大300万円まで支援金を受け取ることができる(多くの家は保険に入っていなかった)。
 だが、多くの人は経済的苦境に陥っており、流された家の住宅ローンを今も払い、貧しすぎて新しい町に移転する予定の共同体に参加できないことが多い。
 一方、何を建設するのかを選別するのは、地元の役人や中央政府よりもむしろ、建設会社の経営者であることが多い。陸前高田の市役所が最近、新たな 中学校建設の入札に参加するよう各社に要請したところ、開発業者は予算が3割以上少なすぎると言い、この計画は実現しなかった。その1つの結果として、地元の銀行は使われない政府の資金を抱え込んでいる。 1360人以上が亡くなった港町、気仙沼では、避難者用の公営住宅の最初の団地が開設されたばかりだ。建設会社は大抵このような住宅を建設するのを断っている、と菅原茂市長は言う。
 国の復興庁は、プロジェクトの予算は妥当だと主張する。だが、人件費と建材費が高騰し、よそで建設ブームが起きているため、建設会社は引き受ける仕事をえり好みすることができる。
■ 防潮堤は本当に必要なのか?
 例えば気仙沼では、人口6万7000人の町のために70余りの新たな防潮堤が計画されており、建設会社は最初の防潮堤に喜んでコンクリートを流し込んでいる。これらの防潮堤は、最大で幅90メートル、高さ15メートルの壁で、国が2001年に東北の海岸を守るために必要と判断したものだ。これらの 防潮堤には最大1兆円がつぎ込まれる予定になっている。
 だが、これらの防潮堤は、別のところでもっと有効に使える資金を使い果たしている。巨大な建造物は、評判も良くなければ、あまり役にも立たない。 国土交通省でさえ、計画された防潮堤では4年前の地震と津波に対処できなかっただろうと認めている。地元の指導者たちは、防潮堤を進めているのは、国がそれを強く要求したことが主な原因だと言う。
 津波で母親と家を失った後、陸前高田の住民を助けるためにNPOを立ち上げた伊藤英さんによると、避難者に関しては、彼らの新しい住宅建設の本当 の期限は2020年だということになるかもしれない。というのも、オリンピックの時に彼らがまだ仮設住宅に住んでいたら、「外国人がどう思うか」と伊藤さんは疑問に思うからだ。 
≫(© 2015 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved. *英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。 英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。)

誰が復興を阻んだか
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●国民の倍返し 安倍のホップ・ステップ・ジャンプは最後にドボン!

2015年02月18日 | 日記
帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ16)
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●国民の倍返し 安倍のホップ・ステップ・ジャンプは最後にドボン! 

 リテラで佐々木望氏が書いているが、ISにまつわる安倍官邸の疑惑の数々は明々白々なくらい確信的ものだろう。積極的平和外交が、イスラム過激派のテロ組織を対岸から囃し立てたわけだから、「お前の母ちゃんデベソ」と云う、可愛い子供の挑発的口喧嘩では終わる筈はない。安倍がどれ程阿呆であっても、周辺の人間は、そのリスクを百も承知で、安倍をカイロ演説に臨ませたのだろう。首相が手を入れたというより、百田とか花田とか、その類の連中に手を入れさせたのは間違いないのだ。

 とどのつまりは、2020年開催予定の東京オリンピックも“パー”となり、海外に出向いた、日本人の幾人かがテロの犠牲と云う最悪な事態も想定できるのである。しかし、「ヤバい」ことを「ヤバい」と言えない空気が、マスメディアによって醸成され、政府を批判することは、自分たちのオマンマの食い上げだと云う社内ロジックが、強く働いているそうだ。運よく、偽善のメディアや政権に与しない僅かな人々だけが、安倍政権に抗う人々になっている。

 産経新聞の態度を今さら批判するのも馬鹿げているが、放置すると、どこまでつけ上がるか判らないので、今夜は批判しておこう(笑)。論理の飛躍とか、そういうレベルではないナチズムも吃驚な理屈をこね回し、安倍官邸を批判することは「イスラム国寄り」な人物だと言い出すのだから、イスラム国以上に危険な言説を振り撒く民主主義最悪の凶器の濫用だ。こんな新聞社を記者クラブ仲間として、スクラムを組んでいられると云う事は、同程度に誰も彼もが腐っている証拠なのだろう。

 産経が、官邸批判姿勢の論者や政治家を「イスラム国寄り」と報じたわけだが、名前が挙げられた8人の方たちも、この際だから、人権擁護委員会に訴えるとか、名誉棄損・侮辱罪で検察に告訴するとか、粛々と防衛闘争をするべきである。民主党・枝野幸男幹事長、民主党・徳永エリ参院議員、共産党・池内さおり衆院議員、社民党・吉田忠智党首、生活の党と山本太郎となかまたち・小沢一郎代表、柳澤協二・元官房副長官補、孫崎享・元駐イラン大使、古賀茂明・元経済産業省課長だが、筆者の知る限り、反安倍はたしかだが、IS寄りの発言など、金輪際していない。充分告訴に値する。

 小沢一郎が、無罪を勝ち得た時点で、勝利に酔わず、マスメディアと徹底抗戦する根性があったなら、小沢一郎の現在の状況は、かなり違ったものになっている感じがする。どうも、自分の無罪の時点で満足したことが、何処か一般大衆全体に訴求できない、つまり、「空気」を作り切れなかったと云う禍根があるのだ。このように考えると、産経新聞などは、告訴に充分値する存在なのだと思う。

 デモクラシーNOWによると、米上院情報特別委員会において、CIAがブッシュ政権下で行っていた「拘禁尋問プログラム」に関する報告書を公表した。この報告書によると、 CIAによって秘密収容所に拘禁された119名のうち39名が、水責め、睡眠剥奪、心理的高圧状況に追い込む、拷問を政府容認で行っていたとする事実を開示した。この件に関して、現大統領オバマは、「昔のことを蒸し返すな」と、次は俺の番になることを自覚した態度に終始している。

 そこで、この程度に国(アメリカ)の人権擁護では、ラムズフェルド元国防長官、ジョージ・テネット元 CIA長官やその上に位置した、チェイニーやブッシュを人権侵害で裁くには、欧州の人権問題として取り上げる方向に決定した。つまり、ブッシュ政権の政府高官をドイツで刑事告発したと云う話だが、結構、インパクトがある。なぜなら、誤認逮捕で、CIAは一般市民であるドイツ人を拘束、拷問を行った事実が明らかになったためである。NSAの盗聴事件が、この問題とリンクして、ドイツでは有罪になる可能性がかなりあると云う事実である。この告訴が起きて以降、この問題に関連したCIAエージェントの国外旅行が禁止されていると云うのだから、チェイニーが国際犯罪者としてドイツ官憲から指名手配されることもありそうだ(笑)。

 将来、現在の西側勢力にパラダイムシフトが起きた時は、必ず安倍政権に連なる人々は裁かれるだろう。否、ドイツの一般市民が、ドイツ首相の不用意過ぎるアジ演説で殺された、言い換えれば殺したとなれば、現時点でも、告訴対象になり得るのだろう。つまり、古賀茂明氏が言葉にした“I am not Abe”と日本人の良心で言わなければならない。安倍の悪事の“ホップ・ステップ・ジャンプ”には、愉快な“倍返し”のオチがある。それが今夜のコラムの見出し「ホップ・ステップ・ジャンプ&ドボン!」なのである。

 “ドボン”と云うのは麻雀におけるルールで“箱点”つまり、借金生活に入ることを指すのだが、ルールによっては、一人がハコテンになった瞬間に、ゲームオーバーとなり、ハコテンになったものは、持ち点の倍を支払うと云うルールがある。いつの日か、正義の司法が成り立った時、このような政権に連なった者達、及び、それに付和雷同したメディアや言論人が、投獄され処罰される時代が来るのを夢に描くことにしよう。そうでもしないと、発狂せずに、安倍政権の行いなど見ることは出来ない。それ程に酷いと云う事だ。

暴力の人類史 上
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●政治に距離おく人々急増? 黙して語らぬ民の防衛策は

2015年02月17日 | 日記
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●政治に距離おく人々急増? 黙して語らぬ民の防衛策は

 どこの新聞社もテレビ局も、世論調査は世論喚起と云うか、世間の空気作りに貢献しているのだろうが、それにどんな意味があるのか、かなり懐疑的である。他人がどのように思うかが、自分の考えの参考になるのならいざ知らず、付和雷同の利便性として費消されるだけなら、マスメディアが自ら、考え参加する民主主義本来の原点を挫くことになっているのだと思う。

 今回の調査で、最も気になった事は、今回の調査の回答率である。おそらく、回答した人々の考えでは、このような調査結果が出た、と云う事だが、半数にも満たない回答率である点が気がかりだ。
『〈調査方法〉14、15の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3932件、有効回答は1840人。回答率47%。』
半分以上の人が答えたくないと調査を拒否したのだろう。無論、多忙で、それどころではない人もいたのだろうが。

 最近、筆者の周辺においては、政治や経済や国際情勢の話は、殆ど話題にもならない。彼らに、彼らの周辺はどうなのかと尋ねてみたが、異口同音に、そう云う事で話が盛り上がることは、ほぼセロだと言う。09年に西松建設を皮切りに起きた、小沢一郎に関係する検察やマスメディアの騒乱事件や、それを打ち返すように、鳩山・小沢コンビが政権交代を成し遂げた頃の国民の熱気は、たったの300日くらいで消滅した。その後は、その熱気は冷めるばかりで、もう焼けぼっくいも残っていない惨状だ。

 国政選挙の投票率は下げ止まることがなく、昨年末の選挙では52.66%と過去最低を記録した。世論調査への回答率も、国政選挙の投票率もほぼ5割の参加者しかいない民主主義は、概ね機能していないか、或いは、そこそこ満足なので物言う必要性を感じないのか、政治に期待しても意味がないと思うのか、その辺は今ひとつ決定する要因が不足している。こういう状況は、国家の意志決定において、非常に拙いことなのだが、所詮、戦わずして入手した民主主義の価値などは、この程度だろうと云う感じもする。

 安倍晋三にしてみれば、何を言っても大丈夫そうだし、何をやっても、言葉のレトリックで騙してしまえば、何事も気づかれないものだと、ほとほと感じ入っているのだろう。今や、確信的愉快犯の化身となり、相手が怒りそうな言葉を選んだり、怖ろしげに国民の一部や野党が噛みつきそうな話題や法案をチラつかせ、遊んでいる。これでもか、これでもかとニヤつきながら、火に油を注ぐのを趣味にし始めたような感じなのだから笑うしかない。

 韓国の大統領並みにトンチンカンナ事に精を出しているのだから、国際的信頼度、信用度は、彼によってかなり壊されているだろうが、それに気づこうとしなければ、政治的包囲網に守られていると実感できない人々にとっては、我関せずの世界で充分なのかもしれない。急に卑近な話題を振るが、昨夜のニュース9で、NHKが唐突に「預金封鎖」の話題を振った。我家では、このトピックス変だよね、となった。藪から棒で、このような話が出るのは奇妙だ。皆さんも、チョイと考えてみた方が良いような気がする。我家の「アベデタラメックス」防衛手段は、金の延べ棒と芋畑用の用地確保である(笑)。以下は、朝日新聞の世論調査に関する記事。


 ≪ 内閣支持率上昇50% 70年談話「おわび必要」52%
朝日新聞社が14、15の両日実施した全国世論調査(電話)で、安倍内閣の支持率は50%(1月17、18日実施の前回調査42%)と上昇した。不支持率は31%(同37%)。中東の過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件への政府対応については、「評価する」50%が「評価しない」29%を上回った。 安倍内閣の支持率が50%になるのは、2014年3月以来。日本人人質事件に対する政府の対応を「評価する」と答えた層の70%が安倍内閣を支持しており、支持率上昇に影響したものとみられる。
 無党派層では政府の対応を「評価する」39%、「評価しない」34%だった。
 「イスラム国」による日本人を標的にしたテロ事件が今後も起きる不安については、「大いに」「ある程度」を合わせた「感じる」が86%。「あまり」「まったく」を合わせた「感じない」は13%だった。人質事件のあとも、「イスラム国」対策の難民支援や食糧援助を続けるとした首相の方針には「賛成」が72%、「反対」が14%だった。
 政府が今年発表する予定の戦後70年談話について、戦後50年と60年の談話に入っていた「植民地支配と侵略」「痛切な反省」「心からのおわび」という言葉を「入れるべきだ」は52%で、「その必要はない」の31%を上回った。安倍内閣支持層でも「入れるべきだ」50%、「その必要はない」35%だった。 ≫(朝日新聞デジタル)

≪ 世論調査―質問と回答〈2月14、15日実施〉
(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は1月17、18日の調査結果)

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する50(42)  支持しない31(37)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」50%、右は「支持しない」31%の理由)
   首相が安倍さん11〈5〉 11〈3〉
 自民党中心の内閣24〈12〉 23〈7〉
 政策の面43〈21〉 54〈16〉
 なんとなく18〈9〉 10〈3〉

◇(「支持する」と答えた50%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。

 これからも安倍内閣への支持を続ける45〈23〉  安倍内閣への支持を続けるとは限らない52〈26〉

◇(「支持しない」と答えた31%の人に)これからも安倍内閣を支持しないと思いますか。安倍内閣を支持するかもしれないと思いますか。
 これからも安倍内閣を支持しない60〈18〉
 安倍内閣を支持するかもしれない34〈10〉

◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
自民40(33)▽民主7(9)▽維新2(3)▽公明4(4)▽共産4(4)▽社民1(1)▽生活0(0)▽次世代0(0)▽太陽0(0)▽元気0(0)▽改革0(0)▽その他の政党0(1)▽支持政党なし35(38)▽答えない・分からない7(7)

◆中東の過激派組織「イスラム国」による日本人の人質事件についてうかがいます。今回の事件に対する日本政府の対応を評価しますか。評価しませんか。
 評価する 50
   評価しない 29

◆「イスラム国」による、日本人を標的にしたテロ事件が、今後も起きる不安をどの程度感じますか。(択一)
 大いに感じる32
 ある程度感じる54
 あまり感じない11
 まったく感じない2

◆安倍首相は、人質事件の後も、「イスラム国」対策として、難民支援や食糧援助を続ける方針を示しました。この方針に賛成ですか。反対ですか。
 賛成 72
   反対 14

◆原子力発電を利用することに、賛成ですか。反対ですか。
 賛成 37
   反対   44

◆国民の間で福島第一原発事故の被災者への関心が薄れ、風化しつつあると思いますか。そうは思いませんか。
 関心が薄れ、風化しつつある73
 そうは思わない23

◆お店で買おうとした食べ物の産地が福島県だったら、買うのを控えると思いますか。そうは思いませんか。
 買うのを控える23
 そうは思わない72

◆東京都渋谷区は、男性同士、女性同士のカップルに証明書を発行し、渋谷区の住民や企業などに、男女の夫婦と同じように扱うよう求める方針です。この方針を評価しますか。評価しませんか。
 評価する52
 評価しない27

◆男性同士、女性同士の結婚を、法律で認めるべきだと思いますか。認めるべきではないと思いますか。     認めるべきだ41
 認めるべきではない37

◆今年は戦後70年です。政府は、戦後50年と60年に、植民地支配や侵略で、アジアなどの人々に大きな苦しみを与えたとして「痛切な反省」や「心からのおわび」という言葉を入れた談話を発表しました。これらの談話を評価しますか。評価しませんか。
 評価する 62
   評価しない 20

◆政府は、今年、戦後70年の談話を発表する予定です。この談話にも、戦後50年と60年の談話に入っていた「植民地支配と侵略」「痛切な反省」「心からのおわび」という言葉を入れるべきだと思いますか。その必要はないと思いますか。
 入れるべきだ52
 その必要はない31    
  ◇  
〈調査方法〉14、15の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3932件、有効回答は1840人。回答率47%。 ≫(朝日新聞デジタル)

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●国際問題を語る資格なき日経 米の宣伝文で日本人を騙すな

2015年02月16日 | 日記
好戦の共和国アメリカ―戦争の記憶をたどる (岩波新書)
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●国際問題を語る資格なき日経 米の宣伝文で日本人を騙すな

 アメリカと云う、世界一好戦的な国家が、戦況について語る時、その口から出てくる言葉は、悉く嘘である。にも拘らず、その情報を日本人の4500円も支払っている読者に、あまりにもプロパガンダ一色の情報を流すのは、あまりにも酷すぎる。以下が、日経電子版の記事だが、目が点になった。苦笑いでは済まされないほど酷い嘘に近い宣伝文。それを何ら吟味することなく、垂れ流すのは日経的と言えばそれまでだが、あまりにも180度異なるので、敢えて俎上に乗せておく。

≪ 米、ロシアに圧力強める ウクライナ停戦合意履行で
 【ワシントン=川合智之】ウクライナ東部での停戦合意の着実な履行に向けオバマ米政権がロシアに圧力を強めている。ケリー国務長官は14日、ロシアのラブロフ外相と電話で協議し、親ロシア派の武装勢力がウクライナ東部ドネツク州デバリツェボ周辺で攻撃を続けていると懸念を伝えた。停戦を前にロシアと親ロ派が同市を孤立させる目的で攻撃を仕掛けたとも主張した。 オバマ大統領は14日、ドイツのメルケル首相と電話で協議し「すべての署名者が停戦の合意を緊急に履行する必要がある」との見解で一致した。
  米国務省のサキ報道官は14日、ウクライナ軍の戦略的な要衝であるデバリツェボ周辺で砲撃を加えているのは「ロシア軍であり、親ロ派ではない」とする証拠画像を公表した。周辺の上空から撮影された画像にはロシア軍の自走火砲と多連装ロケット砲が写っていると指摘し、ロシアの出方をけん制した。
  オバマ氏は停戦の合意が履行されなければ、ポロシェンコ氏の求めに応じ、殺傷能力のある武器をウクライナ軍に提供する方針に繰り返し言及してきた。これに対しメルケル氏は欧州内の緊張や戦闘後の復興に関する負担が高まるのを警戒し、米国の武器供与に反対する意向を示している。
 オバマ政権は当面、ウクライナへの本格的な軍事支援の可能性をちらつかせることで停戦合意の実行を促す構えだ。効果が表れなければ、オバマ氏らが改めてロシアに踏み込んだ言動に出ることも予想される。 ≫(日経新聞)

 冗談じゃない、今回のミンクス合意の言いだしっぺは、ロシアのプーチンであり、オバマの傀儡バイデンは、崩壊寸前のウクライナ政府に、唯々諾々と停戦合意などするなと、くぎを刺しに行っていたのだ。見出しには書けなかったが、ソ連邦に恨み骨髄のポーランドや、米CIAが中心に送り込んだウクライナ国内のネオナチ勢力も、ミンクスで行われたウクライナ停戦合意をぶち壊したい勢力を抑え込めるかどうかが、今回の停戦合意の成果に影響するのである。アメリカ政府は自分たちが主役でない和戦協議など、この世では成り立たない前提を壊されたくないに過ぎない。今回のミンクス合意が実現するかどうか、実現されて一番不快になるのがアメリカ合衆国である事は、完璧な事実だ。

 ロシアもドイツもフランスも、ウクライナ如きで、自国経済を、これ以上疲弊させたくないわけだから、合意の意図は本物だろう。しかし、前述の米国、ポーランド、ネオナチ、NATO側傭兵らにしてみれば、戦闘が続くことが利であるだけに、予断は許さない。しかし、アメリカを蚊帳の外に置いて行われた停戦会議は新たな世界秩序のあり方として、一つの模範ケースになることを、アメリカは最も恐れているだろう。我が国の存在なく、平和が実現するなど、地球上であってはならないテーゼが歪むからである。ゆえに、如何にも、己の国がミンクス合意の陰のリーダーである如く振る舞っているのだ。まさに、人の褌で相撲を取るだけで飽き足らず、旗竿にして振りまわすのだから厚顔である。

≪ ウクライナ東部で停戦発効、重火器の発射音聞こえず
【2月15日 AFP】ウクライナ政府軍と同国東部の親露派勢力の間で合意された停戦は、発効時刻の15日午前0時(日本時間同7時)から1時間以上が過ぎた後も守られているもようだ。
 親露派支配地域の主要都市ドネツク(Donetsk)にいるAFPの記者によると、午前1時30分(日本時間同8時30分)ごろ自動小銃の銃声が聞こえたが、重火器の発射音はしていないという。
 軍の情報筋によると、いずれも14日に激しい砲撃を受けた政府側の支配下にある港湾都市マリウポリ(Mariupol)と鉄道の要衝デバルツェボ(Debaltseve)でも停戦は守られているという。 ≫(c)AFP

 停戦合意においては、この世の常だが、停戦寸前まで自陣の支配区域を拡大するのは当たり前の話で、ギリギリまで激しい攻防がなされるものだ。戦争をしている陣営の片側の情報だけを垂れ流せば、当然大本営発表の、“勝って勝手勝ちまくっている”とか、無差別に市民を殺した砲弾は敵側のものだと言い募るのはこの世の常識だ。無差別爆撃は、アメリカの得意中の得意だろう?東京大空襲を忘れたのか日経新聞よ。このような場合には、カウンター情報を並列する事こそ、安倍官邸が求める公平公正の報道なのである。だから、韓国より報道の自由度が低くみられるのだ(笑)。

 ウクライナのポロシェンコ大統領は、明らかにNATOの傀儡であり、EUの支持は脆弱だ。つまり、ポロシェンコは、NATO(アメリカの下請け軍事組織)の思惑に沿って生きるしかないので、重要事項を決める時には、米国政府のレクチャーを受けた上で行動するパターンが続いている。また、ウクライナ諜報組織には、多くの親ロシア勢力がいるので、このアメリカの動きは、逐一ロシアに報告されている。

 今回のミンクス合意は、ドイツのメルケリが個人的繋がりを駆使して、オバマとプーチンを宥めた面が強い。オバマには“NATOのウクライナ介入の事実を暴露しますよ”。プーチンには“このままだと、本当にロシアの経済破たんするわよ”。そんな感じのやり取りで、ことが丸く治まりつつあるのが現状だろう。しかし、肝心のウクライナ政府内部の対立が激しく、ウクライナ政府自体の存在、勿論経済的破綻も、秒読み状態で予断を許さない。

≪ ウクライナ:新停戦合意、国内で批判 親露派に譲歩しすぎ
【モスクワ田中洋之】ウクライナ東部での15日からの停戦などを盛り込んだ12日の新たな合意について、ウクライナ国内では親ロシア派武装勢力との徹底抗戦を掲げる民族主義組織から反発の声が上がり、停戦実現に暗雲が広がっている。親露派への自治権付与につながる憲法改正に関する合意にも批判があり、ポロシェンコ大統領は難しい立場に置かれている。
 「親ロシアのテロリストとの合意は憲法に反し、法的効力を持たない。ロシアに占領された土地を完全に解放するまで戦闘を続ける」。ウクライナの極右連合「右派セクター」代表で、昨年10月の選挙で最高会議(国会)議員となったヤロシ氏は13日、フェイスブックにこう書き込んだ。ヤロシ氏は、ウクライナ政府軍から停戦や重火器撤去の命令が来ても応じない考えを示している。
 右派セクターは昨年2月にヤヌコビッチ前大統領を追放した政変で重要な役割を果たし、親露派と対峙(たいじ)する東部に現在も戦闘員を多数派遣している。ウクライナのメドベージェフ大統領顧問は「ヤロシ氏の自己宣伝であることを願う」とコメントしたが、国内では民族主義が高まっており、政府としても対応に苦慮している模様だ。
 新たな合意では、地方分権化を柱とする新憲法を年内に施行することが盛り込まれた。東部で実効支配地域を広げる親露派に自治権を与える憲法改正はロシアが要求していたもので、国内からは「譲歩しすぎだ」との批判が出ている。ウクライナでは昨年9月の停戦合意に基づき、親露派支配地域に「特別の地位」を認める法律が制定されたが、その後撤回された経緯がある。
 ポロシェンコ大統領は12日の合意直後にウクライナのテレビに対し、「(親露派に自治権を付与する)連邦化については、いかなる合意もない。ウクライナはこれからも単一国家であり続ける」と強調した。だが、合意にある「地方分権」のための憲法改正を審議する最高会議では激しい議論が予想され、年内施行を疑問視する声が出ている。
 また、親露派が掌握しているロシアとの国境管理をウクライナ政府が取り戻すことで合意したものの、親露派支配地域での地方選挙実施や憲法改正などが条件とされている。ロシアから親露派への軍事支援を阻止するにはウクライナ政府による国境管理が欠かせないが、実現までには紆余(うよ)曲折が予想される。 ≫(毎日新聞)


 日本のマスメディアの中で、ウクライナ問題の記事に関して、一方的なアメリカ・プロパガンダ報道の中で、幾分冷静な報道が見られるのが毎日新聞だ。ウクライナ報道では、朝日、日経、時事は最悪。読売、産経は興味なし(笑)。余程の識者でも、かなりアメリカ・プロパガンダ機能の罠に嵌っている。これだけ、嘘メディアに毒されれば、生真面目にユースを読み聞きする人ほど罠に嵌るわけだから、益々もって悪質だ。最後に、アメリカの覇権的横暴に反論するロシアの言い分を引用しておく。読むかぎり、抑制的で論理的だ。アメリカのアイデンティティが覇権国であり続ける点と云う指摘は、極めて真っ当な意見である。


≪ 「ミンスクの眠れぬ夜」が明けて

【 国際ジャーナリズム調査センターのヤクブ・コレイバ氏は「ミンスクでの交渉は、米政府だけが世界の問題を解決する力があるとのテーゼを覆し、欧州が米国の参加なしに、ずっと効果的にそれができる事を示した」と指摘した。】

以下、彼の見解をさらにご紹介したい―

 ――――ミンスクで達成された合意は、疑いなく、 流血の惨事が続くよりもよいものである。しかし、それがまだ始まりに過ぎない事を認めなければならない。フィナーレに行き着くまでは、まだまだ長く苦しい調整プロセスが待っている。状況は、常に変わる可能性がある。

ミンスクでの交渉結果は、ウクライナでの平和を全く保証するものではない。平和達成のためには、今のところ紙の上にのみ存在する原則の全てを、現実のものとする事が求められる。そのために必要なのは、様々なレベルでの実務的な会合ばかりではなく、真の善意や心の底から戦争を終わらせたいとの願いだ。その意味でキエフ側には、それが絶望的なほど欠けている。

ミンスクでの交渉をもとに、一連の重要な結論を出す事ができる。第一に、ノルマンジー形式での4者サミットは、ウクライナが主権国家ではなく、中央政府には現在の国境内でその存在を保障する能力がない事を明らかにした。問題は、キエフ当局が国内での主権を失っている事、つまり国家として存在する事に対し市民の側からの支持を失っている事により、困難なものとなっている。

キエフ当局は、国内での主権を取り戻す事が出来ないのだ。問題を解決するには、国を分裂させるか、あるいは反対者を殲滅するほかにない、そう彼らは考えている。

ポロシェンコ大統領は、交渉のテーブルに着きたくないと言うほどでもないが、そもそも自ら独立を宣言する南部・東部地域の代表とは会いたくなかったと思われるが、それ自体、四半世紀を経て、独立ウクライナの存在をアピールする所謂『ウクライナ・プロジェクト』が崩壊の運命にある事を示したと言える。

ウクライナは、基本的な問題において自分達の間で合意に達する力がない。それゆえ外交問題担当者には、停戦問題ばかりでなく、市民の今後の平和的生活の調整が求められている。なぜなら対立する双方は、達成された合意の数々の本質を、それぞれ自分流に様々に理解しているからだ。

ドネツク及びルガンスク人民共和国の指導者らは、合意の中に、自治への夢を見ているが、キエフ当局は、戦術的一歩と見なし、蜂起した輩と最終的な一戦を構えるための中休みとしてしか見ていない。 第二に、明らかになったのは、EUが欧州政治の政治的実体ではないという点だ。『欧州の統一』に関する独仏指導者達の大げさな熱弁や、すべてをみんな調整しようとのブリュッセルの官僚達の熱心な努力にもかかわらず、ミンスクでのサミットは、欧州には偉大な大国が存在し、現在それがドイツとロシアとフランスである事をはっきりと示した。

この3カ国の参加なしに、今や欧州政治の差し迫った問題は何一つとして解決できないのだ。欧州のどこで突然きな臭いにおいがしても、皆が電話をかけるのは、モスクワでありベルリンでありパリなのだ。 第三に明らかになった点は、欧州の問題は、米国の参加なしに解決できるし又、そうすべきだという事だ。

ミンスクでの会合の前になされた集中的な政治ゲームは、欧州と米国の見解に深刻な違いがある事を示すものだった。独仏の指導者らは、自分達の大部分の発言のみならず行動の中で、平和を求める志向性を鮮明にした。

一方米政府は、挑発行為や会合を台無しにしようとする試みに夢中だった。米国の政治家達は、自分達の世界覇権を守るためには、地域にリーダーが育たないよう、地域紛争を時に煽り立てる必要があると考え、完全に論理的にまた確信的に行動していた。この覇権のイロハを、米国の戦略家達は、所属する党が民主であり共和であれ関係なく、我が物とし、長い間成功裏に、様々な地域で用いてきている。

問題を創り出しながら、米国は、パートナー達に対し、自分と一緒に行動し、そのコントロール下に入った時だけ、物事はうまくいくのだと吹き込む企てを続けている。  今回のミンスクでの交渉は、米国政府だけが、世界の諸問題を解決する能力を持つとのテーゼを覆し、米国の助けなど受けずとも欧州がそれをはるかに効果的にすることができるのだという事を示すものとなった。―――― ≫(ロシア声)

虚像の抑止力 沖縄・東京・ワシントン発 安全保障政策の新機軸
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●全国紙は通信社記事泥棒 テレビニュースは7割歪曲

2015年02月15日 | 日記
atプラス23
柄谷 行人,水野 和夫,中山 智香子,大竹 弘二,いがらし みきお,井野 朋也,迫川 尚子,山崎 亮,大澤 真幸,岸 政彦
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●全国紙は通信社記事泥棒 テレビニュースは7割歪曲

 マスメディアと云うものに、理想形態があるかどうか、これは議論の余地がある。右寄り、左寄り、親欧米系、親BRICS系、親イスラム系、親イデオロギー系‥等、その色合いが鮮明なのも構わないだろう。そのような新聞やテレビにも、それなりの存在価値があるのだと思う。問題なのは、中立的ポジショニングを標榜しながら、思い込みな歪曲的報道をする手合いの報道機関が最も厄介だ。識者、ジャーナリストなどを例にとれば、立花隆、長谷川幸洋、佐藤優など、ポジショントークが目立つ人々だ。しかし、彼らはニュートラルだと思われている。

 上述は卑近な例なのだが、日本の報道の自由度ランキングが酷く落ちている。「国境なき記者団」にも、それなりの色は着いているだろうが、かなりの面でフェアな格付けをしているので、概ね信用して良いだろう。ただ、この団体の価値観には、自由と民主主義が正しいのだと云う土俵に乗っていることを忘れてはならない。また、言論の自由、表現の自由、信仰信条の自由を保証し、時には、資本の自由も保証されている社会構造に価値観を置いている点は、哲学的には一考あって然るべき部分でもある。朝日が、このランキングについて、以下のように報道している。

≪ 国境なき記者団「報道の自由が悪化」 旅券返納も批判
 国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は12日、「報道の自由度ランキング」を発表した。北欧諸国が上位で、北朝鮮や中国が最下位グループなのは例年通りだが、世界中で状況が悪化していると強調。対テロの名のもとに進む盗聴などにも警鐘を鳴らした。
 180の国・地域の状況を調べた。上位はフィンランド、ノルウェー、デンマークの順。下位は北朝鮮(179位)、シリア(177位)、中国(176位)など。
 過激派組織「イスラム国」をめぐっては、米国人ジャーナリストの殺害などを例に挙げ、「敵とみなした記者らを容赦なく排除する」と批判した。一方で、対テロの名のもとにフランスが個人の監視手続きを簡単にしたり、英国が記者らの個人情報を収集したりしたことにも懸念を示した。
 日本は二つ順位を下げて61位。昨年12月に施行された「特定秘密保護法」をとりあげ、「『不当に』情報を得た記者らも懲役刑の対象となった」と指摘した。
 今回のリポートには含まれないが、シリアに渡ろうとしたフリーカメラマンの旅券を日本政府が取りあげた問題について、アジア担当のベンジャマン・イスマイール氏は朝日新聞に「明らかに報道の自由の侵害だ。取材に行くかどうかはメディアやジャーナリストが決めるものだ」と強調した。 ≫(朝日新聞デジタル:パリ=青田秀樹)


 記事が報じているように、安倍政権になってからの日本の報道の自由度は、調査のある度に下がっている。このランキングには、メディアの自粛や、ジャーナリスト精神の欠如など、計量化出来ないファクターは考慮されていないわけだが、「空気」を重んじる日本においては、ここに示されているランキング以上にポジションは下位に低迷しているものと推量できる。兎に角、日本の全国紙など見ていると、文化やスポーツ面を除けば、独自取材の記事は僅かである。政府か官僚機構に属する記者クラブ等からのご説明付発表を垂れ流しているだけで、見出しのつけ方程度の相違しか見られない。

 言ってみれば、官報を意訳したかわら版みたいなもので、月々3千円も4千円も出す類のものではない。これなら、共同通信一社の無味簡素な記事の羅列の方が、人々に比較検討する学びの機会を与えるので、有効なくらいだ。また、世界全体の情報を得る努力を提供する意味で、海外の新聞、雑誌の記事を翻訳したペーパーなども有効だろう。無論、著作権や翻訳の権利の問題はあるだろうが、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国、韓国、豪州、米国‥等の各紙等の見出しを羅列するだけでも、非常に有効な情報発信基地になるだろう。

 筆者が、24時間以上の時間を与えられたら、そう云うサイトを立ち上げたいところだが、流石にそこまで手を伸ばす余裕がない。そうするだけでも、世界の価値観の違いが理解出来るに違いない。まあある程度の素養がないと、見出しでは、何を言われているか判らない不安は残るのだが(笑)。こんな風に、日本の新聞やテレビニュースを考えると、不要なもので生きている人々がいたり、不要なものに金を出している人々がいるものだなと、ふと思う。しかし、政治や国際欄を見ない人もいるわけで、それなりに価値があるとも言える。

 さて、国際NGO「国境なき記者団」のランキングで、目についた国を見てみる。上位は北欧が居並ぶ。気になる国を上位から探してみると、8位にカナダが入っている。ドイツは12位で健闘。ベルギーの15位、ポーランド18位は幾分甘い点数に感じる。豪州は25位だ。スペイン33位、英国34位、フランス38位は順当か。米国の49位は少し甘いが、日本が61位なら、相対的には正しいようだ(笑)。韓国が日本の一つ上の60位と云うのが皮肉っぽくて愉しい。モンゴル54位で日本や韓国よりも上と云うのは興味深い。

 香港は70位、イタリア73位とベルルスコーニ支配が響いているのか、マフィアの所為か判らない。クウェート90位、ギリシャ91位、ペルー92位となっている。ブラジルが99位と云うのは意外な感じだが、ジャーナリズム精神が南米自体全体に弱いのかもしれないし、欧米支配との闘いの中で、プロパガンダだけが成長したのかもしれない。話題のイスラエルは101位なのだが、この国と軍事同盟に接近中と云うのだから、わが政権も相当に怪しいものと世界は見ているのだろう。

*今、西側報道機関がウクライナ政府発表の記事を垂れ流しているが、この国の順位は129位だが、もう少し下でも良い感じだ。タイは134位、インド136位、インドネシア138位、フィリピン141位。日本政府が頼りきったヨルダンは143位にランクインしている。トルコが149位だから、ヨルダンの方がましだと思ったのだろうか(笑)。

 下位低迷では、ロシアはウクライナより下位の152位と云うのは政治的意図もありそうだ。エジプトは158位、サウジ164位、キューバ169位、ソマリア172位、イラン173位、ベトナム175位、中国176位、シリア177位、北朝鮮179位は常連。名誉の180位最低ランクはエリトリア?知らない国名だったが1991年にエチオピアから独立した国らしい。“イスラム国”が含まれたら、どの辺のランキングになるのだろう?このランキングを見ていて思ったのだが、170位台は番外地にしたいのが国際NGO「国境なき記者団」の本音かもしれない。

 ただ、国家体制が報道の自由、言論の自由を標榜している国と、何らかの報道の制限を課している体制によって下位にランクされる場合もあるわけだから、その辺の考慮があっても良いように感じたし、逆に、報道は公正公平だと言い募る国家だけを抽出したランキングも面白い試みだと感じた。日本では、マスメディアの記者もいない、外交ルートも定かではない国や地域の情報を、フリーランスの記者や通信社の記事をクレジットなしで報道し、自らの取材のように装うのが、日本のマスメディアの一大特長である。つまり、通信社の記事を自らの取材記事のように書き語り、マスメディアは報じている。メディアリテラシーもヘッタくれもあったものではないのだね(笑)。

現代思想 2015年3月臨時増刊号 総特集◎宇沢弘文 -人間のための経済-
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●安倍の“ホラ演説”は聞きあきた 実績を示せ!ボケナス!

2015年02月15日 | 日記
日米〈核〉同盟――原爆、核の傘、フクシマ (岩波新書)
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●安倍の“ホラ演説”は聞きあきた 実績を示せ!ボケナス! 

 自民党で一番偉いのが安倍晋三なのだね。日本で一番偉い政党は自民党だね。このような現実的事実を、つくづく考えてみると、日本ってのは、相当に痛んだ、痛い国家なのだと言えるだろう。わけのわからん殺人事件は頻発するし、放射能の危険があって、原油が恒常的に50~60ドルで推移すると言われ、再生可能エネルギーによる新産業分野の開拓見込みもあると云うのに、原発再稼働だからね。

 安倍の施政方針演説を伝えるNHKは、馬鹿みたいに「戦後以来の大改悪」いや「戦後以来の大改革」を3回も繰り返し、テロップは画面からはみ出すほどデカくなった(笑)。演説する男が狂っているのは承知だが、報道するNHKまで狂ったようだ。笑い事では済まされない忌々しき問題なのだけれど、ここまで演出自体が劇画的になると、苦笑いの世界になってしまう。マンガ麻生の上前を刎ねている。憲政史上初の劇画的自画自賛政権として、歴史に刻まれることは間違いがない。

 問題は、この男が施政方針で並べ立てた「改悪姿勢」いや「改革姿勢」がどこまでが口先で、どの辺が本当に改悪されるのか、それによって、日本の壊れ具合も決まるのだろう。ここまで酷い政権に対応するには、理論なんていらないだろう。感情が劣化し、悪しき心に蝕まれた人間に対しては、精一杯の悪口雑言の限りを尽くして、対抗すべきである。ヘイトスピーチを退治するのは“レイシストをしばき隊”のような姿勢も必要と云うことだ。百田や籾井を潰すにも、このような行動様式は有効だろう。

 なにせ安倍晋三と云う人は、歌舞伎町を白いスーツに身を固め、100人の顔の見えないボディーガードを従えて、肩で風切り闊歩し、自国領土を踏み荒らし、アメリカ資本に売り払い、改革と称して、自国民を踏みつぶそうってのだから、それ相当の悪口雑言くらい覚悟の上だろう。マスメディアの諸君も、堪忍袋の緒でも切ったらどうなんだ。まあ、はじめから堪忍袋そのものがないのかもしれない。感情の劣化には、感情の劣化で対抗するのも一つの便法と言えるだろう。

 「国会に求められているのは批判の応酬ではなく行動だ」と、この男は、議論することを批判されることと受けとめ、一切の議論を拒否している。しかも、この言葉には、野党の議員も共に、我が野心に協調すべきと脅しているようなのである。つまり、真昼間から、天下の国会で、大政翼賛会勧誘運動を示したわけである。「改革」改革と叫んだわりには、具体的改革の道筋は国連の改革くらいで、出来ないことだけ具体的に言及している。なんじゃこりゃ!

 自分はボディーガードされているから、テロからは逃れられる。イスラム国は殲滅だ。イスラム国と云う群れを、殲滅すつと云う事は、イスラム過激派の連中を、世界に散り散りバラバラに蹴散らすと云うことで、テロの危機をより多く、世界の各地に拡散させることなのだ。彼らの、恩讐を物理的に殲滅は出来ないのだから。「日本を取り戻す」と偉そうに語るが、昔も今も、当分先まで、誰に言われるまでもなく「日本は日本だ」ボケ語るんじゃないの!

 「批判の応酬ではなく、やるか、やらないか」だと嘯くが、単に自分の政策を議論の俎上に乗せられるのが嫌なだけだろう。アベノミクスが上手くいきそうな時もケチをつけられて頓挫した。人質事件も上手く行きそうなのに、外野がぐちぐちゃ言うからドジってしまった。政府批判は現に慎むべきで「「国民みんなが心を一つにチャンチャンチャン」これって、体制翼賛そのものだろうが。純化路線で国を誤らせた過去に学ばず、歴史修正に勤しみ、それこそ国際社会から、鼻つまみにあっているではないか!

 非正規雇用をジャンジャン増やし、雇用改善だ!実質賃金の低下?そりゃあ、今年来年再来年、ジャンジャン給料が上がる。都合の悪い話は、明日、来週、その内、いつかね。日本の経済構造の問題点の指摘ひとつ出来ていないのに、改革のしようがないだろう。重厚長大産業を守る護送船団方式も手放さず、TPP関税撤廃グローバル経済?聞いてあきれる。経済のケの字も知らず、価値観のカの字も知らない。平和と永続的に貢献可能な産業育成のネタは数々あれど、そこに向かおうと云う意欲はゼロ。官僚作文に百田尚樹と電通が手直しを入れたような演説草稿で、中核派のアジ演説を彷彿とさせる。

 株価が唯一の安倍政権の取り柄、ここだけは死んでも頑張る姿勢だけは鮮明だ。ファンダメンタルにおいて、上がる筈もない株価が上がる。無論、官制相場と云う、いわば八百長相場なのだけど、相場だから、上がれば儲かる。永遠に買い続ける仲間を増やす方法に官邸は着手しているようだ。日本ゆうちょ銀行、GPIFに続き、今度は「JA」の金にも目をつけ、色つけて儲けさせるから、JA改革を飲めと引導を渡す始末。その次にはNISAの大型版登場で、日本株式購入で特別減税なんて手まで考えだしそうだ。狂っているのは間違いないが、マスメディアも100人の殺し屋兼ボディーガードがいるに違いない幻想に怯え、ちびっているのだから、どうにも手のつけようがない。まあ、赤旗さんと日刊ゲンダイさんに、リテラさんに頑張ってもらいましょう。

〈大国〉への執念 安倍政権と日本の危機
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