世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●致命傷「私が総理ですから」 泣きっ面に蜂、株価暴落?

2015年06月30日 | 日記
黒田軍団かく闘えり―社会部長日誌
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●致命傷か「私が総理ですから」 泣きっ面に蜂、株価暴落?

生きていると、権力者に対して“いい気味だ!”と思わずガッツポーズをとることがある。今夜のところは、小さくガッツだが、30日の東証日経平均が500円ほど暴落すれば、かなりのジェスチャー入りのガッツになる。今週で2000円程度落ちれば、まさに、諸手を挙げ、声まで出してガッツだぜ!になるのだが、底値を拾う連中もいるだろうから、下げ渋る可能性も僅かにある。官製相場がオジャンになるのか、国家上げて買いに出るのか、これは結構な見世物である!筆者は昨年、売りで200万ほど損金を出したので現在は、キャピタルゲイン系は休暇中(笑)。安倍様のお陰で、ブルーチップ株の配当はかなりの増配。ありがとうよ、アベチャン(笑)。しかし、アンタは間違っているし、厚顔無恥だし、日本の憲政史上最悪の総理大臣なのは、決定的だね。

テレビ朝日の野郎、安倍官邸に媚を売っている。古賀茂明を切るのも当然だし、安倍と寿司食うのも当然の新聞社に成り下がった。安倍内閣の支持率が43%だって?右翼団体の会合で聞いてきたんじゃないのか?(笑)。全保障関連法案について、賛成が27%もいるんだね。俺達じゃなく、自衛隊が行くんだからと思っているのだろう。最近思うのだが、仮に戦争になったら、自衛官10人に国会議員一人の割合海外派兵するってのはどうだろう?もう少し、真剣に軍事に関して物事を考えるのではないのだろうか。それから、その法案に賛成した議員は全員、老いも若きも第一線に派兵しよう。足腰が立たなくても、通信業務や衛生兵、炊事業務は出来る。戦場の飯炊き議員も一緒くたに派遣しようではないか!

TPPに関しての調査結果も面白い。朝日が官邸に擦り寄って作文したのか、回答した連中がTPPがどういうものなのか、まったく判らずに答えているとしか思えない。支持するが40%で、支持しない37%を3%も上回っているのだから驚きだ。たしかに、酷い目に遭う人と好い目をする国民が現れ、格差は猛烈に開くことになるだろう。下流老人になってから、一生年収200万人生になってから、“こんなはずじゃなかった”と言ってももう遅い。TPPはかなり危ない処まで来ているが、もしかすると、日米だけの通商協定になったら、腹を抱えて笑ってしまうのだが、まだ、他の国はつき合うのだろうか?

それに引きかえ、福島民報や朝日の沖縄地域の調査結果では、安倍内閣の支持率は28%。NHKは支持率48%。FNNも46%。テレ朝が43%。読売は53%。毎日45%。これって官邸から、記者クラブに対して「45%~55%」の間で各社独自に調整すべきこと」と云う申し合わせがあったんじゃないのかな?多分、真実は33%サンザンなんじゃないの(笑)。まあ、筆者の御託はこのくらいにして、お口直しに、魚住昭氏のコラムを最後に引用しておく。権力と対峙した席に着くのがマスコミの務めだと云うのに、本当に情けない国になったものだ。


≪ 腹を括った憲法学者たちの〝叛乱〟
  〜権力者は今、ネス湖でネッシーを探している〜

 ■「記者はおのれを権力と対置させなければならない」
戦後の日本を代表するジャーナリストは?と訊かれたら、私は即座に3人の名を挙げる。

読売社会部出身でノンフィクション作家になった本田靖春さん。大阪読売社会部の「黒田軍団」を率いた黒田清さん。朝日の天声人語で洛陽の紙価を高めた深代惇郎さんである。

そのうちの一人である本田さんは生前こう語っていた。
「記者はおのれを権力と対置させなければならない。これは鉄則である。権力の側に身をすり寄せていけば、そうでなくとも弱い立場の人びとは、なおのこと隅っこに追いやられる」

いい言葉だなあ。最近とみにそう思う。70年間平和だった日本が戦争に向け舵を切る。その転換点に遭遇した一記者として何ができるか。途方に暮れたらこの言葉を呟いてみる。すると、迷いが吹っ切れる。

たとえ無力であっても、自分が今いる場から異議申し立てをしなければならぬ。後で「あの時、こう言えばよかった」と悔やむことだけはしたくない。 同じ自問自答を繰り返す人が学問の世界にも大勢いるようだ。彼らは学者生命を賭けて政府に物申そうと腹を括ったらしい。4日のインターネット審議中継で憲法審査会の質疑を見て、そう感じた。

■腹を括った憲法学者たち
審査会には憲法学界の重鎮3人が参考人に呼ばれていた。民主党の委員から「先生方が裁判官なら新安保法制をどう判断するか」と訊かれると3人そろって「憲法違反」と明言した。

自民党推薦の長谷部恭男・早大教授は「個別的自衛権のみ許されるという憲法9条の論理で、なぜ、集団的自衛権が許されるのか。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない。法的安定性を大きく揺るがすことになる」と言った。

民主党推薦の小林節・慶大名誉教授は「憲法は海外で軍事活動する法的資格を与えていない。集団的自衛権は仲間の国を助けに海外へ戦争に行くこと。露骨な戦争参加法案だ」と断言した。

維新の党推薦の笹田栄司・早大教授は「従来の安保法制は内閣法制局と自民党政権が(合憲性を)ガラス細工のようにぎりぎりで保ってきたが、それを踏み越えてしまった」と指摘した。

与党推薦の参考人まで法案を真っ向から否定するのは異常事態だ。私は過去にそんな例を知らない。菅官房長官は「まったく違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」と反論したが、嘘である。

「日本の憲法学者は何百人もいるが(違憲でないと言うのは)2~3人しかいない」(小林名誉教授) 憲法は国家権力を縛るための最高法規だ。内閣はその束縛から逃れられない。平たく言えば首相は憲法の僕にすぎない。

これは根本原理で憲法学者なら絶対に譲れない一線だ。解釈改憲を認めるような人はまともな憲法学者とみなされない。

自民党は長谷部教授の前に佐藤幸治・京大名誉教授に参考人招致を打診したが断られている。仮に佐藤名誉教授が出席していても結果は同じだったろう。

ご本人が6日、講演で〈憲法の個別的事柄に修正すべきことがあるのは否定しないが、根幹を変えてしまう発想は英米独にはない。日本ではいつまでぐだぐだ(根幹を揺るがすようなことを)言うのか、腹立たしくなる〉と怒りを露わにした。

学界の重鎮たちだけではない。若手の憲法学者として注目を浴びる木村草太・首都大東京准教授も今年3月の報道ステーション(テレビ朝日)で「集団的自衛権行使の根拠を憲法から探すのは、ネス湖でネッシーを探すより無理がある」と語っている。

むろん憲法学界には改憲派も護憲派もいて、さまざまな考え方の学者がいる。それでも今回はほぼ全員が安倍政権のやり口に猛反発している。あまりの無理無体に呆れた学者たちが〝叛乱〟を起こしたのである。

■今は権力者が新聞を作っている
私は審査会翌日(5日)の各紙の報道に注目した。毎日と東京は1面トップで〈「安保法制は憲法違反」 参考人全員が批判〉などと詳しく報じた。
朝日も1面の左肩で〈安保法制 3学者全員「違憲」〉と伝えた。政府を支持する産経ですら2面を大きく割いて〈安保法案 全参考人「違憲」 〝人選ミス〟与党墓穴〉の見出しで3学者の発言要旨を報じた。

ところが、読売は4面の片隅3段の扱いで〈与党推薦学者が「憲法違反」〉と長谷部教授の発言要旨と自民党の反応などを短く伝えただけだった。他の参考人二人が何と言ったのか読者にはまったくわからない。

そのうえ読売は6日の社説で政府が〈「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」という、極めて厳しい要件をつけている〉から〈合理的な範囲内の憲法解釈の変更だ〉と主張した。

 渡邉恒雄主筆の論法そのものである。私は15年前に彼の評伝を書いたから、彼の発想がわかる。彼は力がすべてを決するという論理の信奉者だ。こんな言葉を彼から聞いた。

「世の中を自分の思う方向に持っていこうと思っても力がなきゃできないんだ。俺には幸か不幸か1000万部ある。1000万部の力で総理を動かせる」

この考え方には権力の危うさや独善性に対する自覚がない。彼の思想は、首相が憲法の僕にすぎないという憲法学の理念と相容れない。「おのれを権力と対置させ」るというジャーナリズムの「鉄則」とも無縁である。

あえて言うなら、党首討論で「法案の説明はまったく正しい。私が総理ですから」と言ってのける首相と体質がよく似ている。

似た者同士が手を携えて日本の未来を決めるのだろうか。大阪読売の黒田さんは'00年に亡くなる前、私にこう語った。

「今の読売は権力にすり寄ってるなんてもんじゃない。権力者が新聞を作ってるんだ。そんなのジャーナリズムじゃない。これじゃ日本が戦争に突き進んだ時にちゃんとした批判もできない。読売をそんな新聞にしてしまったことが残念でならない」

現実は黒田さんが懸念した通りになってしまった。私はそれが悔しくてならぬ。
*参考:朝日・毎日・読売・産経・東京の新聞各紙5日付朝刊、読売新聞6日付朝刊、毎日新聞7日付朝刊掲載の各記事、『我、拗ね者として生涯を閉ず』(本田靖春著・講談社文庫) ≫(現代ビジネス:魚住昭の誌上デモ「わき道をゆく」連載第131回『週刊現代』2015年6月27日号より)

黒田清 記者魂は死なず (河出文庫)
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我、拗ね者として生涯を閉ず
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●安保法制を考える 中国の経済・軍事における、世界への影響力

2015年06月29日 | 日記
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●安保法制を考える 中国の経済・軍事における、世界への影響力 

今日はギリシャ・デフォルトによって、世界同時株高に楔が打たれるかどうかと云う週を迎えているが、世界中の金融政策当局が、景気の底割れ恐怖症で無秩序に資金供給をしているわけだが、これ以上蛇口を捻っても出てくるのは赤錆だらけの汚れた水になるわけだ。ここ一週間が、世界同時株高が崩壊するのか、それとも踏みとどまるのか、勝負所に来ているようだ。今日の東京は500円前後の下げに終始しているようだが、ギリシャ危機を迎えた割には、下げ渋っている。1000円近く下げるのが当然だろうが、買い支えている勢力もあるのだろう。株価については、取り上げるのは、今日でなくてもいいだろう。

さて、本日は喧噪的な、株価市場の話を横目に、知っておくべきお隣中国の経済と軍事力の話をしようと思う。まあ、本日も筆者の勉強の経緯履歴のようなコラムなので、一緒に考えていただければ幸いだ。後段のロイターコラムの解説は、中国軍の勘所を指摘していると思える。おそらく、中国軍は自国周辺における軍事的攻防戦の戦力に関する限り、アメリカの軍事力と同等以上の力を持っている点、安保法制に突っ走る日本政府の慌てぶりも理解可能だ。逆に、その米軍軍事力を補完する自衛隊が加わることは、アメリカにとって大変にあり難いことに相違ない。無論、だから言うことを聞く必要があるかどうか、それは別の話である。

軍事行動を行う前提に、日米安保及び集団的自衛権云々の判断になる、もとも重要なバックグラウンドは経済だろう。この点を踏まえずに、軍事力比較だけで、南シナ海、東シナ海の安定的防衛体制を論じるのも、国家単位で見る場合、趣味的で、決して本気には見えない。他国からの侵略の防衛を考えることは、その前提位ある、経済的力の温存も軍事力を維持向上させるうえで重要なものとなるだろう。人民網日本語版が偶然にも、中国の経済について債権国と云うテーマで、以下のように報じている。

≪ 中国は2020年に世界最大の海外投資国になる
 中国の対外投資の歩みが加速し、国際社会で幅広く注目を集めている。最近発表された一連の海外機関の報告書では、中国はいずれ世界で最も重要な海外投資国になるとの見方が示された。米財務省のジェイコブ・ルー長官も24日に行われた米中企業家円卓会議の席で、「中国の対米投資が急速に増加している。 2007年から2013年の間に、中国の対米投資は14倍増加した」と述べた。
  ドイツのメルカトル中国研究センターと米国の研究機関ロジウム・グループがこのほど共同で発表した報告書では、「2020年までに、中国は世界最大の投資国になり、中国の世界にある海外資産は現在の水準の3倍に増加する見込みだ。つまり現在の6兆4千億ドル(約792兆5760億円)が20兆ドル(約 2476兆円)に増加するということだ。中国は今や重要なグローバル投資国であり、今後10年で世界における対外直接投資の伸びの最も重要な駆動要因にな ることが予想される」としている。
 中国の対外投資プロジェクトは大きな注目を集めている。中国企業の本部拠点が17億ポンド(約3315億円)を投じて建設した英国のロイヤル・アルバー ト・ドックビジネスエリアにおけるプロジェクトの第1期オフィスビルは、今月26日に発売が始まり、多くの企業に好意的に迎えられた。このプロジェクトによって2万人以上の雇用が生まれ、ロンドンには60億ポンド(約1兆1700億円)の生産額がもたらされることになる。英国貿易投資総省がこのほど発表したデータによると、中国が過去5年間に英国で行った投資の年平均増加率は85%に達した。中国企業は英国への投資を継続することにより、現地で雇用を生み出し、危機に瀕した企業をいくつも救済し、たくさんの人々に福祉をもたらし、英国政府の収入を増やし、英国の経済発展を支援し、優れた社会的効果および経済的効果を上げた。(編集KS) ≫(「人民網日本語版」2015年6月28日)


この記事は中国政府のプロパガンダ解説記事だが、逆さまの方向性を示しているわけではなく、大袈裟に表現しているだけで、参考にはなる。GDP世界一も2020年くらいには達成しそうだと云うのだから、中国人の爆買い精神から考えても、捕らぬ狸の皮算用だとけなすのは難しい。ちなみに、この記事で使われている“海外資産は約792兆5760億円”と云う事から、純資産ではなく、債権資産の総額のことを言っている。この記事と同一基準で日本の対外資産残高をみれば、945兆2,730億円なので、概ね当たっている。ちなみに、日本は世界最大の債権国であることは、今も変わらない。

中国が2020年に現在の3倍、2476兆円になると云う話も、AIIB創設やBRICs共同プロジェクトや中国単独の開発銀行の参加もあり、まったくの夢物語とは言えない状況だろう。時間がないので、中国の対外負債残高には目を向けない範囲での話なので、外にも貸すが、内でも借りまくるとなれば、純資産額自体は、3倍も伸びないと考えて良いだろう。ちなみに、現在の一番新しいデータによると、世界の対外純資産残高は、1、日本:325兆円 2、中国:207兆円 3、ドイツ:192兆円 4、ロシア:11.5兆円 5、カナダ:2.6兆円となっている。これ以外の国は、対外純資産がマイナスの国で、断トツはアメリカの482兆円のマイナスだ。イタリア、フランスもそれなりにマイナスが多い。

アメリカ、イタリア、フランス。この3か国のイメージを考えると、あまり労働に勤勉ではない国、移民問題で揺れている国、贅沢三昧をしている国と云うマイナスイメージもあるのだが、お金が働きやすい国と云う事も言える。つまり、投資が自由に行いやすい国と云う事だ。良い面で見れば、その国家を信用する何かがあるので、快く他国が金をつぎ込んでいると云う側面もあるだろう。ただ、ポイントになる部門や企業への投資には、がっちり箍がはめられ、ソフトバンクなどは、苦戦しているようだ。軍事力に関する、検証は、以下のコラムを参照していただくことする。おそらく、コラムの容量一杯なので、筆者の感想は後日にしよう。


≪ コラム:中国が「軍事力」で米国に遠く及ばない理由
David Axe
[22日 ロイター] - 以下に述べる2つはともに真実だ。1)中国は急速に軍事力を向上させており、一部の局地的もしくは地域的な戦闘では、米軍と対等に戦うか、勝利する可能性がある。2)軍事的観点から言えば、中国は「紙の龍」であり、見掛け上は強いが、自国近海から遠く離れた場所で起きている出来事への介入には無力だ。

 上記2つをしっかり区別することは、中国の戦略的目標や軍事的手段、それらが周辺諸国や米国、既存の世界秩序に与える脅威を理解する上で重要だ。
 米国防総省が中国の軍事力を分析した最新の年次報告書によれば、中国政府の目標には「大国としての地位を確保し、最終的には地域での優位性を取り戻すこと」が含まれている。
 中国は世界的に部隊を展開する軍事大国ではない。事実、現時点ではそうなることを望んでもいない。
  しかし、だからと言って、世界最大の人口を抱える国が、地球上で最も裕福かつ強力な国に脅威を与えていないわけではない。米国と中国は対立しているのだ。その主たる理由は、中国が西太平洋での領有権主張を強めていることであり、そうした中国の姿勢が、米同盟国ならびに米国を中心に築いた戦後経済秩序への脅威になっているからだ。
 ただ中国にはまだ、世界的な戦線で米国と肩を並べる力はない。中国には、世界で戦うための軍事理論や専門知識や装備が欠けている。中国軍に近年の実戦経験は乏しく、その結果として訓練は非現実的なものとなっている。
 中国の陸海空軍には新たな装備が惜しみなく使われるだろうが、その多くは、中国政府のハッカーらが米国などから盗んだ設計図を基に作られたものだ。また、そうした装備の大半は実戦での厳しさを経験しておらず、実際にどの程度使い物になるかも分からない。
 しかし、それは問題にならないかもしれない。中国は米国とは違い、世界規模での軍の展開や戦闘には関心を持っていないからだ。中国が準備しているのは、経験不足の軍隊でも対応が容易な国境沿いや周辺海域での戦闘だ。
 軍事的なハンディキャップがあったとしても、自国の「庭先」でなら中国も米国に勝てるかもしれない。
 重要なことは、それに対して米国防総省がどの程度関心を払っておくべきかだ。

 <積極防御>
 1930年代から40年代の日本による侵略と占領は、それ以降の中国に計り知れない影響を与えた。1980年代半ばまで、中国の軍事戦略は1つの大きな不安、つまり新たな侵略に対する警戒に集中していた。この場合はソ連による陸路での攻撃だ。
 この脅威に対応するため、中国軍は防御的な地上部隊に注力していた。要するに、人と鉄でできた「万里の長城」だ。
 ソ連からの脅威が後退するのに伴い、中国共産党は1985年に国防戦略を見直した。そこで掲げられた「積極防衛」主義は、戦争を中国本土から遠ざけることを狙ったものだ。戦略の焦点は、中国西側の国境から、台湾海峡を含む東側の近海に移った。
 しかし、新たな戦略も主として防御的だった。実際、中国海軍は「攻撃されない限りは攻撃しない」と主張した。注目すべきは、中国共産党の目線では、台湾の独立宣言は中国の主権に対する「攻撃」であり、台湾に対する報復攻撃を正当化している点だ。
 30年後の現在、つい最近までは領有権を主張していなかった島々にまで対象を広げているにせよ、中国が取り組んでいる戦略が近海防御であることに変わりはない。
 そうであるからこそ、経済が花を開いてから防衛費に数千億ドルを投じているにもかかわらず、中国は依然として主に近距離の防御的兵器を求めているのだ。
 中国は米国に次ぐ世界第2位の戦闘機保有国だが(米国2800機、中国1500機)、遠隔地での戦闘を可能にする空中給油機が少ないことも、それで理由がつく。
 一方で米国は、空軍と海軍と海兵隊で合計500機以上の空中給油機を保有している。なぜなら、米軍は世界中で戦っているからだ。
 同様に、中国海軍も巨大ではある。戦艦保有数は約300隻で、米海軍が就役させている500隻に次ぐ多さだ。しかし、空軍と同じように中国海軍も主眼は近海防衛だ。艦隊の航続距離を伸ばす洋上補給艦は6隻しかない。一方、米海軍はこうした補給艦を30隻以上保有している。
 近距離戦力を重視した結果、中国軍は本土から離れれば離れるほど、戦闘の効率が落ちることになる。また同盟国がほとんどない中国は、紛争時に頼りにできる外国の基地もほとんどない。対照的に、米軍は世界中に数百カ所の活動拠点を持っている。
 中国軍は、仮に米国の「庭先」で米軍と対峙したいとしても、単純に太平洋を渡ることができない。一方で米軍は、中国の領海や領空から数マイル圏内で定期的に巡視活動を行っている。
 しかしながら、西太平洋では、中国は米軍の存在を脅かしている。防御的で近距離中心の海軍力と空軍力を有しているということは、裏を返せば、比較的狭い範囲に大規模戦力を短期間で集中できることを意味する。中国は質より量で勝負できると言えよう。
 対照的に、世界中で活動している米軍は通常、特定の地域には限られた数の艦船と航空機しか展開できない。数量面で圧倒的に優位に立たれれば、米軍の艦船と航空機が1対1では中国軍に勝るとしても意味はないかもしれない。
 米シンクタンクのランド研究所は2008年に行った分析で、台湾周辺での空中戦では、中国軍は米軍に対して大きな数的優位を持つと結論づけている。中国側がどれほど優位に立つかは、米軍が嘉手納基地(沖縄県)かアンダーセン基地(グアム島)のどちらから戦闘機を出動させるかに依存する。ランド研究所は「嘉手納から出撃すれば3対1、アンダーセンからなら10対1で中国が優位に立つ」と指摘。さらに、米軍機は技術的には中国機より優れているが、10倍優れているわけではないと警告している。

 <第二列島線>
 しかし、中国の戦略があくまで防御的であるなら、米国が戦闘で中国に負けるリスクを負うのは、米国が先に攻撃を仕掛けた場合のみとなる。果たして、米国は中国に攻撃を仕掛けるだろうか。
 それは「攻撃」をどう定義するかによる。中国本土に対する攻撃は極めて考えにくい。ただ、米国を含む多くの国は、自国の利益に対する攻撃を、自国の領土に対する攻撃と同等とみなす。そして中国はますます、自国の利益の定義および領有権の主張範囲を広げている。
 一例を挙げれば、もし台湾が公式に独立を宣言すれば(間違いなく台湾は完全に独立しているが)、中国は台湾に武力侵攻するとしている。中国はまた、東シナ海で日本と、南シナ海では台湾、ベトナム、マレーシア、フィリピン、ブルネイと領有権をめぐって対立している。
 こうした問題は新しいものではないが、経済力と軍事力の拡大に伴って中国は主張を強めている。2014年後半からは、中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で埋め立て工事や人工島の建設を進め、係争国間で緊張感が急速に高まった。
 軍事目的もある人工島の建設は、領有権問題の平和的解決をますます難しいものにしている。
 米国は日本やフィリピンや台湾と軍事同盟を結んでおり、ベトナムとも連携を強化している。また、自由貿易の要である航行の自由を守ることにもコミットしている。上記の国のいずれかが中国と戦火を交える事態になれば、米国も巻き込まれる可能性がある。そして中国の「庭先」では、中国軍の近距離戦力が最も有効だ。
 自国周辺での戦闘においては、中国の軍事力は侮れない。ただ自国から遠く離れた場所で米軍と戦うのなら、中国軍は圧倒的に不利だろう。
 米国に課せられているのは、西太平洋を中国に明け渡すことなく、中国の思い通りの戦争に突入するのは避けることだ。それはつまり、軍事的圧力を後ろ盾にした交渉を意味する。米国防総省は年次報告書で「米国は中国との間で、アジアおよび世界の安全と繁栄を促す建設的関係の構築を模索している」とした。
 さらに同報告書には「同時に、米国は中国と競争する分野があろうことも認識しており、米国はこの競争に強い立場で臨むことを強調する」と書かれている。
 しかし、このアプローチには虚勢も含まれている。中国の行動が米国の利益に深刻な脅威をもたらす地域でのみ、米国は強い立場を保とうと努力している。中国は、明白かつ控え目な戦略的目標に対し、十分過ぎるほどの戦力を注意深く組み合わせてきた。
 それは、強力な組み合わせだ。

*筆者(David Axe)は、ツイッター創業者らによるブログサービス「Medium.com」の安全保障担当エディター。著書には「Army of God: Joseph Kony's War in Central Africa(原題)」などがある。 ≫(ロイター:コラム)

米中 世紀の競争 ―アメリカは中国の挑戦に打ち勝てるか
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●“感情劣化勢力” 応戦の手口は感情によるカウンター攻撃

2015年06月28日 | 日記
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●“感情劣化勢力” 応戦の手口は感情によるカウンター攻撃 

だいぶ前から思っていたことだが、世界的に言えることだろうが、リベラルや左翼の人々には“付和雷同”と云う武器がない。痩せても枯れても、自分の脳味噌で考えた一家言を持っていることが多い。その一家言が、確立された系統だった思想でもあるかのように思い込む傾向があるので、個人的にも、一定の勢力にしても、他との僅かな差異に酷く拘る。良くも悪くも、“沽券”があるわけだが、この“沽券”が一致協力と云う結論に、多くの場合至らない原因である。

ここ数年の日本政治における、民主、社民、共産を中心とした政治勢力が協力するどころか、対立するような立ち位置から、一歩たりとも動かないのは、上述のようなリベラル乃至は左派な人々の性向である。また、論理的矛盾を指摘された場合、酷く傷つき、内向的姿勢を保つのも、彼らの傾向だ。つまり、論理と云うか、理論に齟齬が生まれるや否や、ロジック全体が崩壊してしまうのだ。彼らの多くは、“情念”と云うものは、甚だ無教養なもので、無知主義であり、恥知らずで、最も忌むべき事と心得ている。ここが、インテリの最大の弱点なのだ。

その証明ではないが、ニュートラルから左翼に至るまでの政治勢力、或いは団体などが、大同団結したと云う話は聞いたことがない。内ゲバに陥ることは、頻繁に目にするが、共同歩調に邁進している姿など目にした記憶がない。それに比べて、“情念”と評するには余りにも“感情の劣化”が目立つ、安倍シンパと云われる勢力だが、団結力だけは、すこぶる強い。村社会の仲間意識に近似している。正直、筆者は、日本の“テレビ総白痴族”が似合うのは、“情緒”に訴える“言葉”であり、プロパガンダと云う事になる。感情で条件反射するように基礎的人間性を養ってしまった彼らが反応するのは、世間の情緒や感情と云う事になる。

百田を講師に迎えるような人種は、政治家であれ暴力団であれ、「これは情念だ」と云いながら、感情の発露となるシンボル(靖国神社、日の丸‥等)を振り回す。中々、情念と劣情との区別は難しいので、“テレビ総白痴族”が見極めることなど全く期待できない。筆者が希望を見出すとすれば、“テレビ総白痴族”に類する人種でも、政治的無関心の存在であった、リベラルでも左翼でも何でもない人々が、右翼並みに“感情の劣化”で対抗することが、もっとも可能性があると考えている。ヘイトスピーチをカウンター勢力が感情の爆発で、彼らの運動を尻つぼみなものに追い込んだのは好例である。

ルネ・デカルトの『情念論』では、
  デカルトは哲学の研究を進め、スウェーデンのクリスティナ女王に招致されて1649年10月にストックホルムへ移った。本書『情念論』は同年11月に出版した著作であり、5年前にドイツのファルツ選帝侯フリードリヒの皇女エリザベートに向けて執筆した論文がもとになっている。
 デカルトは本書で精神の知覚や感覚、感動、すなわち情念を主題として研究を行っている。本書の内容は人間本性と情念の基本について論じた第1部、多種多様な情念を論じる第2部、特殊な情念について論じる第3部から成り立っている。
 デカルトにとって精神の経験には精神が新しい経験を獲得する場合の受動と精神が経験の原因となっている場合の能動の二種類があり、精神の能動・受動性は身体の能動・受動性と逆になるように相互に作用する。前者は知覚または認識であり、後者は意志のはたらきであるとデカルトは見なしている。そして人間の情念とは動物精気が運動することによってもたらされ、動物精気が血中を通じて脳に到達することで情念が表れると論じる。
 特にデカルトは情念の原因が脳の中央に位置する松果腺にあると考え、身体運動の原因でもあると考えていた。デカルトはさまざまな種類の情念を検討しているが、まず基本的な情念として愛、憎しみ、欲望、喜び、悲しみ、驚きの六つがあり、これらが複合化することによって情念は複雑化していく。情念の働きを抑制するためにデカルトは謙遜、勇気などの徳を守ることを主張しており、知恵とは情念を支配する意義があると分析している。 ≫(Wikipedia抜粋)

各種辞書等を引いてみると、以下のようになる。
情念1:『“心に湧く感情や心に起る思念”(広辞苑)注:あまり意味はストレートに伝わらない。
情念2:“〈社会とか個人に対する〉消しがたい愛憎などの感情”(新明解国語辞典)
情念3:“語源的には受動を意味し,同じ passionの語は中世以後,キリストの受難をもさした。古くから情念はその激しい効果のゆえに恐れられ,デモクリトスはこれを魂の病理として知による解放を求め,プラトンも情念を理性と対置した。”(ブリタニカ国際大百科事典)
情念4:“感情が刺激されて生ずる想念。抑えがたい愛憎の感情”(大辞泉) 以上。

≪情念の働きを抑制するためにデカルトは謙遜、勇気などの徳を守ることを主張しており、知恵とは情念を支配する意義があると分析している。≫と解説しているように、知恵が情念を支配抑制するわけだが、知恵や教養や礼節が存在しない人種においては、“情念”らしきものは、“感情の劣化”時には“劣情”となって世間に迸る。その場合、対抗できるのは感情的カウンターであり、マキャベリズムだとも言えるだろう。
 
≪語源的には受動を意味し,同じ passionの語は中世以後,キリストの受難をもさした。古くから情念はその激しい効果のゆえに恐れられ,デモクリトスはこれを魂の病理として知による解放を求め,プラトンも情念を理性と対置した。≫とブリタニカが解説するように、一種魂の病理だと言えるが、制御する方法をデカルトは語ったが、情念を持って攻めてくる人間に対する対抗手段には言及していない。

思い浮かぶ言葉は、“目には目、歯には歯なのだ”が、イエスの山上の垂訓によると“右の頬を打たれたら、左の頬も差し出しなさい”と旧約聖書における、モーセのカルマの法則を解釈是正している。十戒のままだと、やられたらやり返せになるので、そこを新解釈にしたのか、噛み砕いて伝えたのだろう。詳しく書くと宗教論になるのでやめておく(笑)。ただ、カルマ(因果関係)は何によって起因したか、考えるのは後にすべきで、先ず目先の問題を解決せよと云う事のようだ。この解説は、釈迦が言うところの「毒矢のたとて」に相似的で、矢を放ったのは誰かとか、どうして飛んできたなど考えるのは後日にして、先ずは毒矢を抜き、治療するのが先決だ。そういう意味のようである。

このようなことを調べていくと、無知で恥知らずな勢力に対抗するには、先ずは出来ることをする。つまり、好き勝手にさせない。相手がウァーと叫んだら、その叫び以上にウァーと叫ぶことだ。一個の礫を放ってきたら、楯を用意して、二個の礫を投げ込もう。情念だか感情だか、区別はつかないが、情念に対して、理性で対抗するのには、殆ど無抵抗と変わりない。彼らの無教養、厚顔無恥に対抗する(カウンターパンチ)は超越した無教養と厚顔無恥の鎧で武装する必要があるのだろう。おそらく理性や知性で勝つことはないだろう。今夜は過激に。小室直樹が、判らん奴に飛び掛かったのは正しい手法の一つだったかもしれない。


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●文化芸術懇話会はヤラセ! “噛みつき犬”戦術に過ぎない

2015年06月27日 | 日記
マンガで読む 絶望名人カフカの人生論
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●文化芸術懇話会はヤラセ! “噛みつき犬”戦術に過ぎない

日本と云う国の、真の独立目指す観念は、敗戦後においても、脈々と生き続けている。多くの安倍シンパな人々や政治家を眺めていると、「情念」(*感情が刺激され生じてくる想念。抑えがたい愛憎の感情)と評する人々がいるが、到底「想念」にも至っていないわけで、単なる「感情の劣化」と解釈するのが妥当だろう。現在、歴史修正主義な言動や、“言論弾圧”の正当性を公言と主張する人々の醜態を見ている、情念などと云う立派な想念に至る以前の、感情の掃き溜めに過ぎない状況だ。その典型のような懇談会の席上、トンデモナイ感情の劣化が日の目を見た。朝日は以下のように、あっさりと報じていた。しかし、この寸劇には裏がある疑いが濃いので、後述する。噛みつき犬に噛みつくことは、あまりにも愚かなので、注意を要す。

 ≪ 「経団連に働きかけ、マスコミ懲らしめを」 自民勉強会
 安倍政権と考え方が近い文化人を通し、発信力の強化を目指そうと、安倍晋三首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)の初会合が25日、自民党本部であった。出席議員からは、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディア規制をすべきだとの声が上がった。
 出席者によると、議員からは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」など、政権に批判的な報道を規制すべきだという意見が出た。
 初会合には37人が参加した。官邸からは加藤勝信官房副長官が出席し、講師役に首相と親しい作家の百田尚樹氏が招かれた。同会は作家の大江健三郎氏が呼びかけ人に名を連ねる「九条の会」などリベラル派に対抗するのが狙い。憲法改正の国民投票まで活動を続けたい考えだという。 ≫(朝日新聞デジタル)

さて、自民党の有志(安倍シンパ議員)によって開催された「文化芸術懇話会」とは如何なるものなのか、先ずは知っておくべきだ。同会は、木原稔、加藤勝信、荻生田光一らの呼びかけによって、1か月ほど前に出来た“有名人に首相のやっていることは正しいと発信して貰う”趣旨で出来た会である。出来た経緯から考えて、安倍の安保法制成立は必至と多寡を括っていた割には、先々に暗雲が立ち込めてきたので、安倍官邸別働隊が動いたと云う事である。その会に、百田尚樹と云う馬鹿を呼んだものだから、無知と恥知らずな発言が飛び出すのは、必然的だった。安倍自民の主だった人々は、トンデモナイ発言で、厳に戒めなければならない‥等、彼らの暴言を批難している。ここまでは、昨日時点の報道だ。

しかし、「文化芸術懇話会」の面々が不用意な発言をすることは、安倍政権は当然承知の上だと断言しておこう。百田尚樹が講師で、木原稔、加藤勝信、萩生田光一、薗浦健太郎、青山周平、池田佳隆、石川昭政、井上貴博、大岡敏孝、大西英男、大西宏幸、岡下昌平、鬼木誠、熊田裕通、今野智博、坂井学、佐々木紀、白須賀貴樹、高鳥修一、谷川とむ、田畑裕明、長尾敬、藤原崇、星野剛士、堀井学、前田一男、松本洋平、宮川典子、宮沢博行、武藤貴也、宗清皇一、簗和生、山下貴司、山田賢司、滝波宏文、長峯誠、宮本周司の面々で、「神道政治連盟国会議員懇談会」が共通項として目立つのだから、彼らが、暴論を語るのは想定内であり、彼らを手厳しく批難する自民党幹部と云うシナリオも、想定内である。

このような、出来事は、安保法制成立に血道を上げる安倍官邸のとって、手痛い身内からの後方射撃(逆風)の趣旨で、ニュースは構成されているが、シナリオありきなのだから、目的は違うところにある、と観察しておくのが正しい。百田尚樹講師で、火あぶりの刑になって、安倍の、「彼らの考えはトンデモナイ履き違いで、許せぬ言動だ」と云う発言に信ぴょう性を持たせるための「猿芝居」である。単純な“マッチポンプ・プロパガンダ”だ。識者も、メディアも、最低この程度の“プロパガンダ手法”を学んでおいて貰いたい。

世論の流れが、安保法制国会通過が、数を頼りの政治勢力の横暴と国民に映らないために、ここは一工夫必要だったに違いない。その為に、仕組まれた「文化芸術懇話会」であり、場合によると“目標達成”と云う事で、官邸が“解散を命じました”等と云うニュースが数日中に流される可能性すらあるだろう。そうすることで、安倍の権力主義は充分に抑制されたもので、トンデモナイ感情の発露とは一線を画した「国益」のためである。そのような、流れを世間に拡散したいのだろう。

付け加えて解説しておくと、彼らが口にした「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」「沖縄のメディアは左翼勢力に乗っ取られている。なんとか知恵をいただきたい」「沖縄の2つの新聞社は、つぶさないといけない」(百田尚樹氏)等を、民主党の辻元は、安倍に「まさに報道の自由というのは、民主主義の根幹であると。当然、尊重されなければならないというのが安倍政権の立場であり、自民党の立場でもあるわけであります」とわざわざ発言させているのだから、実は真面目に振る舞って、的に塩を送ってしまった。菅には、政府コメントを避けながら、個人的には「個人的に聞かれれば、誰から見ても非常識だと思うのが自然だ」だと言わせ、二階総務会長には「そこにいた責任者が責任を取るべきだ」とまで言わせた。

ある意味で、彼ら(噛みつき犬)を批難することで、自分たちの穏健度を標榜しようと云う試みであり、代表役員の何人かには、意図的な懲罰のような形式を世間に見せつけるところまで、やるかもしれない。噛みつき犬に噛みつく愚行は避けたいものだ。こういう非難轟々になるのは、どんな馬鹿でも判るわけで、ヤラセの可能性の方が数段高い。また、もう一つ言及しておけば、マスメディアへの警鐘と、スポンサー企業への警鐘、沖縄二紙への警鐘は、彼らの発言の意図通りに、政治的には効力を発揮する可能性すらあるのだから、安倍政権にしては、相当高度なインテリジェンスで、日本の官僚らの限界も超えている。おそらく、CIA方面からのアドバイスで作り上げられた“マッチポンプ・シナリオ”と解釈すべき。

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)
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●米追随の安倍の右派は怖くはない 怖いのは米から離れた国家主義

2015年06月25日 | 日記
近世快人伝 頭山満から父杉山茂丸まで (文春学藝ライブラリー)
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●米追随の安倍の右派は怖くはない 怖いのは米から離れた国家主義

現状の日本の政治を眺めていると、絶望感が漂う。個人的には、直近、政治によって、日本社会が急激に変化させられることはないと認識している。このような言草は、“あいばのコラム”としては生温い表現なのだが、肌感覚から行くと、早々容易に、日本の政治が右翼一辺倒になるとは思っていない。安倍や、その取り巻きの印象から、ついつい、国家主義のこてこて右翼政治が国を牛耳るような感覚になるが、そのようになるには、米国依存を脱却したタカ派政治が始まった時に起きる憂鬱である。

現在の安倍自民党、乃至は安倍官邸の国家主義的傾向は、歴史修正にムキになっているだけで、それ以外は、すべてアメリカ覇権の一国主義とネオリベに依存しているので、大きな箍(たが)は外れていない。対韓の慰安婦問題は、実際問題どうでも良い話で、徹頭徹尾謝るか、金で解決するか、解決の方法論をどうするかと云う問題で、半ば兄弟喧嘩の類と思っておけばいい。結局のところ、日韓双方はアメリカの手の平から抜け出せないわけだから、同じ穴の狢の餌の取り合いくらいのものである(笑)。

中野晃一氏もビデオの中で発言しているが、アメリカとバーター取引的に、右翼的言動を醸すことは、阿吽の呼吸で容認されている範囲と認識すべきだ。実際問題、呆れるほど情けない話だが、日米安保の強化(武器輸出三原則の撤廃、NSCの設置、特定秘密保護法の制定。そして、審議中の安保法制、)。そして、日本市場の開放(TPP)をアメリカに約束しておけば、それ以外は、安倍の自由を相当程度容認してやる。これが、現在の日米政府の、本当に握ったプロミスと考えて良いのだと思う。

つまり、マグマ溜まりの溶岩を小規模噴火で噴出させてくれ、そう云う願望を達成するために、安倍晋三は、それ以外のすべてをアメリカに捧げると云う腹積もりでいると云う事だ。つまり、個人的な美意識の実現のために、国家も、国民も一定の犠牲を強いられるのは致し方ない、そのように考えていると言える。安倍が主張する積極的平和外交も、アメリカの真似をすると云う事で、靖国参拝や歴史修正的考えは、安倍の趣味である。内閣総理大臣に、個人的趣味で政治をやられたら堪らんと言っても、もう遅いわけで、安倍は暴れるだけ暴れ、矢尽き刀折れるまで、個人的趣味をエスカレートするだろう。国民が自民党を選び、自民党が安倍を選んだのだから、ヂュ・プロセス・オブ・ローなので、文句は言えない。嵐が去るのを待つしかない。

まあ早晩、年内か、来年中盤までに、安倍政権は終わるだろう。現状の野党勢力の醜態を見ている限り、野党に政治の軸足が大きくぶれる可能性は低い。維新は自民党の衛星だし、民主党内はバラバラだ。リベラル乃至は左派が共産、社民、生活では、実際問題対抗勢力に一気になることは、困難だ。民主党が分裂して、リベラル及び左派勢力に纏めること自体、絶望的だ。それあれば、このままこのままで、自民党中心の政権は継続する。ただ、あまりに右派的色彩を帯びてしまったので、その習性に」乗り出す可能性はある。谷垣が、恥も外聞もなく変節したり、岸田が隠忍自重しているのも、安倍の次は俺かも?と云う流れがあるのは事実である。女性初の首相と云う意味で野田聖子の目もあるだろう。ただ、清話会のバックボーンがあるので、彼らの考えを無視しない範囲で、リベラル色を出し、バランスに優れた自民党を演じるに違いない。

これだけ、見え見えのシナリオに沿った政治行動であっても、政治に関心のない多くの国民は、個人的直撃の甚大な被害で受けない限り、左バネを利かすことはない。このように書いてくると、どうも座して死を待つ日本人観が見えてくるが、どうも、日本人は、そういう国民になったのだろうな、と云う印象が非常に強くなっている。謂わば、お手上げな国家であり、国民と云う事だ。戦後の焼け野原や1千万人の死者等々、スーパー激甚被害を蒙らない限り、「平和とは何か?豊かさとは何か?幸せとは何か?」そういう発想に至らないのだと思う。

日本が“スーパー激甚被害”を蒙る予測例は、ひとつは日本列島の大地殻変動、火山と地震による破壊的被害だ。もう一つの“スーパー激甚被害”は、アメリカからの独立を目指して、軍国国家主義が主たる政治勢力になってしまった場合だ。この時は、アメリカの箍も外れるので、完全に戦前以上に警察国家が現実化するだろう。この場合、北朝鮮の不自由どころの話ではなく、有能な官僚機構に牛耳られた国家管理社会の具現化だから、北朝鮮を凌ぐ、スパー悪の枢軸国家になるだろう。民主主義も自由主義も、春の夜の夢の如しとなり、20世紀から21世紀前半において、そう云う日本と云う国があったと云う歴史上の国になる惧れはある。そこまで、考えるも善し、馬鹿言ってんじゃないと笑い飛ばすも善し、個人と自由と云う事だ。以下にビデオニュースドットコムの中野晃一氏インタビューの記事、及び無料のビデオURLを張り付けてあるので、視聴されることをお薦めする。

勿論、筆者は個人的な思想として、独立国は目指すが、軍国など無視する国を想定している。ここまで、経済に毒された世界中の国々や人々が存在するのだから、富を収奪するのが目的になる。マネーは、日本国内に存在する必要がないので、収奪したくても、それは不能犯罪になってしまう。であれば、ここまでグローバリズムが蔓延した以上、国際社会に対し、常に一歩離れた位置の地位を確立できるチャンスでもある。つまり、永世中立。或る意味で、半鎖国風味の自活国家を目指せる可能性がある。火山と地震で住めなくなれば、そりゃ、中国やアメリカ大陸に渡るしかないだろう(笑)。


≪ 自民党の右旋回の背景とそれが止まらない理由
    安倍政権が進める安全保障政策の転換は、自民党の政治路線の右傾化を象徴するようなものだが、それ以外にも近年自民党は過去の政権が容易に手を出せなかったタカ派色の強い政策を矢継ぎ早に打ち出し、実際に実行している。それはほんの一例をあげるだけでも、武器輸出三原則の撤廃、NSCの設置、特定秘密保護法の制定と、枚挙に暇がないほどだ。

  これは安倍政権がかつての自民党政権と比べて強い実行力を持った政権であるとの評価を下せる一方で、かなり自民党がタカ派色の強い方向に偏ってきているいることの反映と見ることができる。しかも、こうした急激な右旋回に対して、党内の穏健派やリベラル派と呼ばれる議員からは、まったくといっていいほど声があがってきていない。これもまた、派閥が鎬を削っていた時代のかつての自民党では、到底考えられないことだった。

 60年前に旧民主党と自由党の合併によって結成され、タカ派とハト派、リベラル派と保守派の間の絶妙のバランスの下で長年政権を担ってきた自民党が、その安定の源泉でもあったバランスを失ってしまっているかに見える。  自民党はどうしてしまったのか。なぜ自民党は変質してしまったのか。それは今後の日本の政治と針路にどのような影響を与えることになるのか。

 比較政治学や政治思想が専門でアメリカやイギリスの政党事情にも詳しい上智大学の中野晃一教授に、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。 ≫ビデオニュースドットコム:インタビューズ‐中野晃一氏(上智大学国際教養学部教授)
http://www.videonews.com/interviews/20150618_nakano/

右傾化する日本政治 (岩波新書)
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●アリャリャ 安倍・高村とモンサントの屁理屈は“クリソツ!”

2015年06月24日 | 日記
食の戦争 米国の罠に落ちる日本 (文春新書)
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●アリャリャ 安倍・高村とモンサントの屁理屈は“クリソツ!”

はじめに。日本のマスメディアは、沖縄全戦没者追悼式において、時の日本の首相が登壇時に「帰れ!」「嘘つき!」等と野次られた異例な状況を、殆どのTV局がスルーしているらしい。報道ステーションでは、その野次を聞き取れない雑音のように編集し直して流していた。筆者がハッキリ記事にしていたのを読んだのは、AFPのみである。NHKがこのような状況を流すはずもないのは、毎度のことで、完全に国営放送であり、受信料を支払う義務が国民にあると云う認識は、明らかに集団的自衛権同様に、憲法違反である。

 ≪ 安倍首相、「慰霊の日」式典でやじ浴びる 沖縄戦70年
【6月23日 AFP】太平洋戦争末期に住民を巻き込み多大な犠牲者を出した沖縄戦の終結から70年に合わせ、沖縄・糸満市の平和祈念公園で23日に行われた沖縄全戦没者追悼式で、あいさつのため登壇した安倍晋三(Shinzo Abe)首相が参列者からやじを浴びせられる一幕があった。
 米軍の沖縄駐留に不満を持つ地元住民らが、檀上にあがった安倍首相に「帰れ」などのやじを飛ばした。日本で首相が直接市民からやじられることはまれだ。
 安倍首相はあいさつの中で「沖縄の人々には、米軍基地の集中など長きにわたり、安全保障上の大きな負担を担っていただいている」と述べたうえで、「沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」と語った。  一方、翁長雄志(Takeshi Onaga)沖縄県知事は、米軍施設の73.8%が日本の国土面積の0.6%を占めるに過ぎない沖縄に集中し、県民に負担を強いていると訴え、参列者の温かい拍手に迎えられた。 ≫(c)AFP/Alastair HIMMER

さて今夜の本題だが、最近は自分の考えを述べる以前に、問題の本質を学ぶことが多く、参考情報をコラム風にしている事が多いのだが、1日24時間しかないので、常にキラキラ発想のコラムは書けない(笑)。今夜も、筆者の勉強の軌跡をチョイスする。

ただ、冒頭の日経新聞による、モンサントの言い分をふんだんに盛り込んだインタビュー記事が出るのは、TPPの成立を前提にした地ならな行動であることは一目で判る。その辺を踏まえながら、遺伝子組み換え食物とハイブリッド食物が、まったく異なるもののように印象づけているが、よくよく調べると、未来の人類にどのような影響を及ぼすか不明なもののようである。この辺は、放射能を年間**シーベルト浴びると**な影響が出る、出ないの話にも似ている。筆者の感覚を信頼すれば、天然自然から派生した改良の領域に至る科学と云うものには、必ずマネーの強欲や権力が絡んでいる事実を重く受け止めたいと思っている。

≪ 温暖化、技術で克服 モンサントが描く農業の未来

地球温暖化は世界の食糧生産に影響を及ぼす。農薬や種子などの大手、米 モンサントはバイオ技術の活用などに解決を見いだそうとする。しかし遺伝子 組み換え作物に対しては警戒的な消費者がいる。同社でアジア・太平洋地域 を担当するホアン・ファリナティ副社長に最近のアジアや米国での動きを聞いた。

 ――世界人口が増える一方で、食糧生産は気候変動の悪影響を受けやすくなると考えられます。すでに小麦やトウモロコシの生産に影響が出ているともいわれます。この厳しい状況に対しモンサントはどんな答えを出せるのですか。

  「農作物への需要は劇的に増加しているが、人口1人当たりの農耕地面積は減少している。そこに気候変動で栽培適地が移動している。また利用可能な水資源が不足し収量に影響を与える。私はここに2つの機会があると考える。まず、よりよい技術を開発し農家に提供すること。さらにその技術を収量増加につなげるために、うまく使いこなす手法を提供することだ。これらが気候変動に対応する基盤となる。農業の生産性はこれからも向上し、収量がピークを迎えるのはまだ先だ」

 ■農業の生産性はさらに向上する 持続可能な農業の支援にも着手

 ――単位面積あたり収量はどこまであげられますか。バイオ技術に限界はありますか。

  「農作物の潜在能力と現実の収量の間にはまだ差がある。バイオ技術の活用で潜在能力を高めることも可能だが、その前にまだ耕作法の改善による収量増の余地がある。例えば、フィリピンのモンサントの圃場では1エーカー(約4千平方メートル)あたり8トンのトウモロコシが収穫できるが、農家の平均収量は4.5 トンだ」

 「モンサントは2000年から30年の間にトウモロコシ、大豆、綿花、ナタネの4種の農作物について収量を2倍にすることを約束している」

――インドネシアのジャワ島で穀物商社や金融機関と組んで農家支援のプロジェクトを始めたそうですね。

 「世界経済フォーラムが10年に途上国の農業に関し産学官パートナーシップによる新しいビジョンを打ち出した。これを受けてインドネシアでは、ピサグロ(PISAgro、インドネシ ア持続可能な農業のためのパートナーシップ)プロジェクトが発足、モンサントはカーギルと地元のラクヤット銀行と組んで協力している。銀行に農家向けの小口融資(マイクロファイナンス)をしてもらいモンサントの技術を使ってトウモロコシを生産してもらう。生産物はカーギルが買い農家に現金収入がもたらされる」

 「1年前から始めて、まだ150戸ほどしか参加していないが、今年は1000戸以上に広げたい。生産性と収入を2倍にし農家を豊かにする。子どもを満足に学校に行かせられない貧しい農家をなくしたい」

 ――農家は豊かになると思いますが、モンサントとカーギル、銀行に農家が依存して、そのとりこになってしまうのではありませんか。

 「農家には選択権があり、決してとりこではない。参加している農家はこれからも続けたいと望んでおり、新たに参加する農家もある。彼らはプロジェクトに価値を見いだしている」

――遺伝子組み換えのトウモロコシを栽培しているのですか。

 「モンサントが交配育種でつくった高収量のハイブリッド・トウモロコシだ。遺伝子組み換え体(GMO)ではない」

 ――ほかにアジアで注目している国はありますか。

  「ベトナムで昨年、害虫抵抗性と除草剤耐性のある組み換えトウモロコシの栽培が認可された。ベトナムの農家にとってもモンサントにとっても大事な出来事だ。ベトナムはトウモロコシの輸入国だが、自給を目指していく。フィリピンは一足早く、トウモロコシの自給を達成している」

 ――遺伝子組み換え作物の表示義務化を求める声が米国で高まり、例えば東部のバーモント州では表示を義務化する法律ができたそうです。なぜ今になって米国でこうした動きが出てきたのですか。

 「組み換え技術が健康面でも環境面でも安全であることはこれまでの使用実績から実証されたと考えている。安全はモンサントにとって最優先事項だ。消費者には知る権利があり、真実を伝え誤解を招かないものであえば自主的な表示を支持している」

■遺伝子組み換え作物の表示義務化は反対 消費者へはていねいに説明

 ――表示の義務付けには反対するということですか。

 「その通り。自主的であるべきだ。誤解のない、混乱を招かない情報を届けるのが大事だ」

――承認を受けていない組み換え小麦が管理されていない場所で生育していたことが明らかになった事件が米国で13年に起きました。これが表示義務化の動きと関連していると考えますか。

 「小麦の問題とは無関係だ。消費者がなぜ疑問に思うかといえば、それは情報が不足しているからだ。モンサントとしては消費者とのコミュニケーションをもっと密にし、組み換え農作物の価値や、それがいかに農家を助けるのかをていねいに説明していく」

 ――ところで、スイスのライバル企業であるシンジェンタを買収しようとしていますが、その狙いは?

  「買収の戦略的な狙いは、第1にイノベーションのパイプラインを結合することにある。種子とバイオ技術のリーダーのモンサントと農薬に強いシンジェンタの技術力を融合する。第2に両社がいっしょになることで市場における存在感が増す。第3に農家に対し品種改良からバイオ技術、生産管理、農薬などの統合的な ソリューションを提供できる。シンジェンタの農薬部門を取り込むことでモンサントの農薬の品ぞろえを強化できる。最後に様々な側面でシナジー(相乗)効果 が期待できる。現在(5月下旬)、交渉が進行中だ」

 ■取材を終えて
 モンサントは過去の長い影を引きずる企業だ。同社の種子や除草剤ビジネスを批判する本や映画などが後を絶たない。記者は1990年ころ米ミズーリ州にある同社の研究所へ行き、除草剤耐性の遺伝子組み換え作物などに関し取材したことがある。そのときだったか、記憶がはっきりしないが、モンサントの事業を紹介する記事を書いた際に先輩記者か ら「ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤を生産した企業であることを忘れるな」と指摘されたことがある。
 遺伝子組み換え作物に抵抗感をもつ人は多い。しかしこの技術がトウモロコシなどの生産性を上げ、世界の食糧問題にひとつの解決法を提示している。「安全は実証済み」と断言されると、反発を感じてしまうが、米国ではワシントンポスト紙が社説で「GMOの表示は不要」と主張するなど、大勢はGMO容認なのだろう。
 逆に欧州議会は最近、GMO栽培に関し規制したり禁止したりするのは欧州連合(EU)加盟国の自由だとする立場を明確にした。域内で考え方が異なることに配慮したためだ。日本では栽培は制限されているが、輸入され消費されているのが現実だ。
  人口増加と経済成長で農業ビジネスは今後も大きな成長が見込まれる。特にアジア・太平洋地域は巨大な市場だ。ファリナティさんはアルゼンチンの農家出身で、大学で農業生産学を学びモンサントに入社した。途上国の農家が直面する問題を知るせいか、インドネシアのパートナーシップ事業を語る際には言葉に熱がこもっていたようにも感じた。  ≫(日経新聞電子版:編集委員 滝順一)

*参考:賛成派として

≪ 農業生産と環境負荷/ハイブリッド品種は罪か?
・「よい農産物」とはどんな農産物か? [32]
農業生産と環境への負荷について、次にハイブリッド品種(F1、一代雑種)について考えよう。最近、これの使用を問題視する論を目にするが、実際のところどうだろうか。
 ■ハイブリッド品種とは何か?
 まず最初に、ハイブリッド(F1)品種の問題と遺伝子組換え品種を混同されている方がときどきいるので、そこは注意していただきたい。ハイブリッド品種と遺伝子組換え品種というのは、分類の基準が違う、全く別な話題だ。
 ハイブリッド品種というのは、通常の交配方法をさらに高度化した方法で、純粋な全く違う性質を持った親同士を交配させて出来る品種のことだ。
 これは植物でも動物でもある。たとえば、牛にもハイブリッド品種というものがある。
 ホルスタインという有名な乳用品種の牛があるが、ホルスタインは非常に体が大きい。対して、日本の和牛は、非常に小ぶりな牛だ。このホルスタイン と和牛を交配すると、体の大きさはホルスタイン並みで、肉質は和牛に近い品種を得ることができる(ただし、純粋な和牛ほどの肉質にはならない)。これが、ハイブリッド品種というものだ。両方の“いいとこ取り”をしようとしている交配技術ということで、交配であるという意味では通常の交配技術と変わらない。
 ハイブリッド品種が問題とされる論点の一つは、あまりにもよい品種だと、単一品種になってしまい、自然の多様性が失われるという指摘だ。
 しかし、皆さんご存知のとおり、現在の日本で栽培されているコメの品種ではコシヒカリが圧倒的に多く、多様性という観点ではそれを危うくするよう な状態になっているのだが、これはハイブリッド品種ではないので問題にされない。通常の交配品種では問題にされないのに、ハイブリッド品種では問題にされてしまうというのは不思議だ。
 また、ハイブリッド品種にはもう一つ特徴がある。ハイブリッド品種そのものつまり雑種第一代の次の世代では、ほとんどの場合、雑種第一代の優れた 性質は失われる。したがって、ハイブリッド品種の種を買ってきて栽培し、その種子を採って翌年それを植えても、同じ性質の作物は出来ないのだ。これは、遺伝子に何か操作をしておいて、雑種第一代だけにその性質が現れて二代目以降にはその性質を受けつがせないようにしているということではない。遺伝の法則に 従ってそうなるというだけのことである。

 ■ハイブリッドは種苗会社の陰謀か?
 しかし、栽培した作物から種子を採ること(自家採種という)ができないのは、農家に支出を強いることで問題だという論もよく目にする。しかし、農 家が種苗を買うということは特別なことではなく、ハイブリッド品種でも、そうではない自家採種が可能な品種でも普通に行われていることだ。農家が種苗会社 から種苗を買うのは、優良な品種を選びたいということのほかに、発芽に失敗がなく安定した生産を期待するという面もある。もちろん、毎年自家採種で栽培し続けているという農家もいるが、それにはそのための土地が必要でコストも手間もかかる。それよりも種苗の確保は専門家に任せるのが合理的と考える生産者がいることで、種苗会社は成り立っていると考えるといいだろう。
 品種という問題については、最近在来種を守ることを意識されている方が多くなっている。これは、非常に重要なことだ。なぜなら、遺伝子は一度失われば戻ってこないからだ。
 その観点からハイブリッド品種をよくないものと考える人もいるようだが、ハイブリッド品種が作物生産の現場でメジャーになることがすなわち在来種を絶滅させることにはならない。在来種を熱心に栽培し続ける農家や、ハイブリッド品種以外に在来種を扱っている種苗メーカーは多い。種苗メーカーにしても、多様な遺伝子資源を持っていることは、新しい優良な品種を開発するために必要であるから、その保存には力を入れている。また、国や各国の研究機関は、遺伝子資源を保存するためのジーンバンクを整備してもいる。
 ハイブリッド品種については、もう一つ、その栽培には農薬や化学肥料の使用が必須であるということを言う人もいるが、別にそのようなことはない。ハイブリッド品種を有機栽培で育てることは可能だし、実際にそうしている農家もいる。
 このようなわけで、ハイブリッド品種であるから環境上の問題を生ずるということはない。その点では、通常の品種改良をされた種苗と同じことである。
 いずれにせよ、栽培しやすく、多収で、品質のよいものとして、バイブリッド品種は栽培現場で非常に重宝され、現在の農業生産にとって不可欠のものとなっている。 ≫(Food Watch Japan:農業生産と環境負荷/ハイブリッド品種は罪か?‐岡本信一)

*参考種苗の種類
(ただし、モンサントがハイブリッドと称するものは、どうも以下の説明のハイブリッドとは、似て非なるもののようだ。この辺は専門家でないと追求しかねるが、何らかの遺伝子操作はなされたハイブリッドなのだろうと疑っている)

 ≪ 在来種・固定種・F1種・遺伝子組み換え種子について
■在来種
ある地方で長年栽培され、その地方の風土に適応した品種。
■固定種
人々が自然交配や何年にも渡り選抜淘汰して育種し遺伝的に安定した品種。自家採取で次の世代の種を取る事ができる、ある程度の遺伝的多様性が含まれます。在来種はその地で土着したもので広い意味では固定種に含まれます。
■F1種(一代交配種)
日本語では一代雑種・ハイブリッド品種ともいう交配種のこと。好ましい形質(高収量・味・耐虫・耐病性など)を持つ異なる品種を人為的に交雑させ、両方の形質をかねそろえた種になる。 F2(雑種第2世代)には、多くの株に親(F1)と異なる形質が現れるため、自家採取がむずかしく、毎年種子を購入しなければならなります。
※F1品種は、「異なる品種を交配させ雑種を作ると、親より優秀な子ができることを利用した育種方法」によって作られる。種の交配によって欲しい特性を強化する方法なので、遺伝子の組み換えとは違います。
■遺伝子組み換え種子
遺伝的に手を加えられ、除草剤耐性(全体の71%)や殺虫性(28%)などの新しい性質を獲得した植物。GM作物には、ダイズ、ナタネ、トウモロコシ、綿、ジャガイモ、トマト、テンサイ、スクワッシュなどがあります。これまでの種と決定的に違う点は、「種の壁を越える。」と言う点です。 ex) 「種の壁を越える。」とは、 ・殺虫性の性質を持つ昆虫の遺伝子をとうもろこしに組み込む。
  遺伝子組替えは、遺伝子レベルで、目的の遺伝子を一本釣りして、相手の遺伝子に組み込み、遺伝子情報を換える方法です。その特徴としては、DNAの断片を 用いるので、どの生物間でも遺伝子組替えが可能になります(種の壁を越える)。本来、人間は人間としか交われないし、植物は植物としか交配できないのですが、その領域を越えたのが、遺伝子組み替え作物なのです。 自然界でも遺伝子組替えは行われています。生殖細胞(精子と卵子)が作られる時には、日常的に遺伝子組替えが 起こっているといわれます。これが生物の多様性を生み出す原因です。しかし、そこで組替えられるのは親の遺伝子であり、親の持っていない遺伝子の組替えは 起こりません。種の壁は越えないのです。
注:これらの種子から作られる遺伝子組み換え作物・食品に対して、 ①遺伝子組み換え種子を販売する多国籍業による農業支配 ②遺伝子汚染による生物多様性の危機 ③食品の安全性・人体への被害 などを懸念する声が日本を含め世界各国の市民・農民・NGO団体から上がっています。 ≫(A SEED JAPAN 食農チームHPより引用)
http://www.aseed.org/agriculture/index.html

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●日米ガイドラインって憲法よりエライの? 法律ですらない!

2015年06月23日 | 日記

 

西洋の没落 第一巻 形態と現実 (世界史の形態学の素描)
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●日米ガイドラインって憲法よりエライの? 法律ですらない!

「安倍」のアの字は、「阿呆(あほう)」のアの字とは違う。そう言われても得心がいかないほど、時の内閣総理大臣は無知蒙昧だ。揉み手で接近するか、頭ごなしに脅しつけるか、その二つが、彼を操縦する方法である。前者が官邸内側近たちであり、後者が安保マフィア、アーミテージ、ナイであり、米軍であり、国務省。最後にホワイトハウスだが、ここまで行くと、あまり深く日本の内閣総理大臣がどうのこうの考えることは稀だ。

その時の内閣総理大臣がアホな上に、負けず嫌いで、子供の頃から、言い訳だけで生きてきたらしく、誠実と云う言葉から最も遠ざかった日本人と云っても過言ではないだろう。最近では、アメリカに恫喝された恨みを、野党の議員や、マスコミに向かって八つ当たりするのが日常になっている。賢明な憲法学者などに対しても、アイツら馬鹿だと、阿呆が評するのだから、もう手におえない。NHKを完全掌握し、民放もテレ朝を最後に手中に収め、読売産経は昔からの仲間、朝日毎日もそこそこ抑えは効いている。ネットも、7:3で安倍の勝利だ。怖いものなんて、何もない。安倍はその気になっているだろう。

地球が裏返しになっても、安保法制だけは国会を通過させる。日本憲政史上最長の会期延長をしたのだから、心意気を示そうと云うのだろう。参議院選が近づけば近づくほど政治家は官邸の言うことを聞く。小選挙区は、独裁政治のパラダイスだ、と菅などは嘯いているのだろう。安倍は会期の延長に関して「十分な審議時間を取って、徹底的に議論をしていきたい」を強調した上で、最後には「決めるべき時には決める」つまり、強行採決が丁寧な説明と言っている後ろで「決めてやる」と後光が差しているのだから、こりゃブラックユーモアの世界であり、民主主義国家じゃないと、国際社会に表明しているようなものである。

こうなると、官邸が気にするのは、世論調査の内閣支持率と「行動する世論」である。新聞テレビは主だったところはポイントを抑えたので、マスメディアからの「世論喚起」はあまり起きないだろう。多分、官邸は、そう踏んでいる筈だ。しかし、国会の会期延長は、安倍の命取りになる惧れも出てきた。惧れと云う言葉は不適切で、この場合「惧れ」=「希望」が芽生えてくるとも言える。朝日の世論調査で内閣支持率39%が出た。まだ4割もの国民が支持しているのかと呆れるが、消去法で、そう云う選択もあるのだが、戦争に自分や家族が徴兵されるとでも思いだせば、「トンデモナイ!冗談やめてよ!」となるのは、必定だ。集団的自衛権と云う言葉を吐くたびに、支持率は下がる。会期延長はミスジャッジになるだろう。

民主党の枝野が「徴兵制」の言葉を使い出したのも、ここに狙いがあるのだろう。徴兵制を否定しても、自衛官の戦死。自衛官不足=徴兵。連想ゲームなのだから、国民は反応する。ニートで暇な奴だって怒り出す。日米安保のお陰で、日本は経済発展できた。「これからも、アメリカさんヨロシク!」で行けると思っている貴方、貴女。「あんた、違いますよ!」と云う事が明々白々になってきた。日米安保の基本は、自衛隊では、専守防衛をするのにも不足があるので、その補完的条約として「日米安保条約」がある米軍が自衛隊の戦力の不足を補完し、日本は米軍に基地を提供すると云うものだ。筆者などは、それ自体にも異論があるが、まあ、強要の範囲にあった。

しかしだ、今度の2+2の「日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)」は、まったく、主客転倒したガイドラインになっている。世界の警察官として、しなくても良い戦争を世界各地で惹き起こしているアメリカの同盟国並みの協力をすることになったのだ。つまり、自衛隊の戦力不足を補完する米軍から、米軍の不足を補完する自衛隊になったと云う事だ。補完の対象が、自衛隊から米軍にチェンジしてしまった。判りますか?男が女を守ってあげると言ってたのが、女が男を守る羽目に陥ったのが、新・日米ガイドラインなのだ。つまり、阿呆で鉾の収め方を知らない人間の突撃一発状態なのである。

ここまで来たら、ハタと考えてみようではないか。国際社会や民主主義国家は、一定のルールに従ってやって行きましょうね(法治国)となっている。それでは、一見、法治国家の形態模写をしているとしても、一応法治国家だ。法治国家である以上、その国に存在する各種の法には、定められた法の優先順位と云うものがある。ちなみに、簡単に法の優先順位を書いておくと、何てったって一番偉いのは「憲法」(国家の基本秩序を定める根本規範。統治体制、権利義務などを定めている)2位が「条約」(国際法上で国家間〈国際連合等の国際機関も締結主体となり得る〉で結ばれる成文法であり、日本国が同意しているものは公布され、国内では法律より優先する。3位が「法律」国会の議決を経て制定される。4位が「政令」(閣議決定で“…法施行令”と呼ばれるもの)5位以下には内閣府令、省令、規則。地方に条例、規則などがある。

今回のアホの集団的自衛権行使容認は、2+2の「日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)」に沿った動きと言えるが、ここで慌てふためいて「新ガイドラインは日米安保条約の改定そのものだ。ガイドラインに沿って提出された安保法制は、憲法を改定までしている。日米安保条約を改定して、憲法を解釈と云うが、現実には憲法改正にまで踏み込んだのだから、たしかに凄い。尋常な神経では出来ない。しかし、ここは、冷静に法令上の優先順位をじっくり理解することだ。

「日米ガイドライン」なんてものは、法律でも、条約でも、省令でもない。国会も議決もなければ、閣議決定もない。じゃあ、「日米ガイドライン」と云うモンスターのように扱われている「日米ガイドライン」ってのは、根拠なき脅威を日本国民に与えているのか、と云う問題だ。ここが、プロパガンダの凄いところだ。日本の政治家も、マスメデァも金科玉条なモノとして扱う「阿吽の呼吸」と云うシロモノで、法的拘束力はゼロである。いかがわしい「努力目標を例示化」しただけのものだ。これを守らないことで痛めつけられるのは、今の政権だけである。つまり、安倍や高村や菅である。我々には関係ないし、他の政治家にも大きな影響はない。安倍が危険になるだけだよ(笑)。

努力目標。実行しても良いけど、安全保障条約の改定で実行しましょう。その前に、アメリカさん、我々は愚直に誠実に、国民に対して、憲法改正の是非を問い、アメリカ様と、死なばもろともと云う決意をご披露させて頂きたい。中国であろうが、ロシアであろうが、イスラム国、アフガン、イラク等々どこにでもご一緒しますが、すべて日本国憲法を変えて、正々堂々、名乗りを上げて進軍するのが、日本民族の慣わしてございます。そういう調子で行こうじゃないか。こんな事実を並べ立てられて、賛成の諸君は名を名乗れ!80歳だろうと、20歳だろうと、男であろうが、女であろうが平等に戦地に向かわせて差し上げます。それが平等の原則です。あぁ忘れるところだった、安倍官邸の全員は最も早く戦地にお送りしましょう!!

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●ただ、”集団的自衛権”と言いたいだけで、国民の命を晒す“岸の孫” 

2015年06月22日 | 日記
砂の王宮
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●ただ、”集団的自衛権”と言いたいだけで、国民の命を晒す“岸の孫” 

偉そうに積極的平和外交とか、特定秘密保護法、集団的自衛権、異次元金融緩和とか、殆ど有効性が証明できないシンボリックな政治と云うのか、アジテーションが安倍と云うアジテーターに煽られて、世間に流布している。正直、何ひとつ真っ当な成果は上がっていない。それどころか、この日本を根っこから完全に壊してしまいそうな首相が、権限の殆どを掌握してしまったのだから、合法的であるが、見えない暴力による権力の集中が現実になされてしまっている。

たかが一内閣に、否、コロコロ代わる首相如きに、憲法を歪曲する権限があるなんて、聞いたことも、考えた記憶もない。しかし、全権委任が通用する国が具現化している。現に、目の前で起きているのだから、現実だろう。“何なのだ、これは?”そう思うのだが後の祭りだ。最近の政治家は、戦争を知らないどころか、戦争の功罪すら充分理解されていないかもようにも思う。おざなりの「戦争は悲惨だ」というフレーズは知っていても、その実体験もなければ、その後遺症に悩んでいた焼け跡世代、団塊世代の記憶以上に、戦争を知らない。安倍も菅も記憶もない筈だ。橋下も、岡田も、百田の戦争小説だけ読んでいる錯覚を憶える。

日米安保さえ守っていれば、暫くは大丈夫だろう。安倍だって、本気で戦争を好んでいるわけではなく、アメリカに縋っていれば何とかなる、そんな安易な「神話」に自らを委ねているだけの男に過ぎない。丁度、世界一厳しい原発安全基準だと、平気で公言できる人間なのだから、推して知るべしだ。しかし、権力と云うものは、誰も呼びもしないのに、鵜の目鷹の目な連中が押し掛け、周りを取り囲む。もうこうなると、周囲の勘違いの圧力には逆らえず、「間違っていました、ごめんなさい」と云う事も不可能な時点に到達している。

政党が、正当としての意志を持つわけではなく、時の内閣総理大臣になった人間が、能力の如何を問わず、権力者になる。そして、その権力を利用する形で、彼の取り巻きが、すべてを差配してゆく。ここまで来ると、野党までが、米安保マフィアの御託宣に縋ろうと、その布石を打ちはじめる。ここ数日では、徴兵制の議論までしても良いんじゃないか、そんなことを言い出す馬鹿まで出てくる。村上誠一郎ではないが、いくら日米安保条約があるからと云って、安全保障と防衛をごっちゃにしたまま、国会が動いているのは、世も末の感がある。

民主党の枝野や細野が徴兵制に関して発言し始めたのは、おそらく、次期国政選挙を意識しながら、安倍自民党を脅すと同時に、若い世代の有権者に訴えると云うよりも、脅しつけているように聞こえてくる。誠実さとか、徳のない政治家の言葉は、「神の見えざる手」には、永遠になれない。本質論を語る人々のいない国では、その土壌で選ばれる政治家に、誠や徳を望むのは、ないもの強請りと云うことだ。今夜は最後に、特に防衛に関して、誠実を貫く為に、かなりリスキーな形で、反官邸の立場を貫く、柳澤協二氏について書いている、魚住昭氏のコラムを引用しておく。

≪ 権力を裏切った男の覚悟 〜イラクを体験した元防衛官僚はなぜ安保法制に反対するのか〜
 ■「あれ以上のことをやれば必ず戦死者が出る」
 元内閣官房副長官補の柳澤協二さんは注目すべき人である。 彼は官邸で自衛隊のイラク派遣の実務責任者を務めた元防衛官僚だ。3月21日付の朝日新聞で〈航空自衛隊は輸送任務でバグダッド空港まで行きました〉と振り返りながら安保法制の問題点をこう指摘していた。
 〈(新法では)そこから先の戦闘部隊がいる場所まで輸送できるようになる。それは非常に緊急性の高い輸送です。政府案は戦闘が起きたら輸送を中断する仕組みになっていますが、戦闘を行っている部隊の指揮下に入ることになれば、輸送を中断するわけにはいかないでしょう〉
 〈自衛隊派遣の前提だった「非戦闘地域」という概念は(略)自衛隊を 戦闘部隊の指揮下に入れず、直接の戦闘に巻き込ませないという意味があった。この概念を廃止して活動範囲を広げれば、今までより確実にリスクは高まります。イラクでは何とか戦死者を出さずに済みましたが、あれ以上のことをやれば必ず戦死者が出ると思います〉
 安保政策の裏も表も知り尽くした人の言葉だから説得力がある。
 共産党の志位和夫委員長はこの発言をもとに5月末の衆院安保特別委で「自衛隊員に戦死者が出るのは避けがたいのではないか」と安倍首相を追及した。
 これに対し首相は「柳澤さんは重大な間違いを犯している。自衛隊が輸送して届ける先の部隊の指揮下に入ることはない。柳澤さんは何でこんな初歩的なことをわからず、べらべらしゃべっているのか」と不快感をむき出しにして反論した。
 私は軍事の素人だから指揮権のことはよくわからない。が、〈あれ以上のことをやれば必ず戦死者が出る〉という柳澤発言に疑問を差し挟む余地はない。
 サマワの宿営地周辺にはたびたび砲弾が撃ち込まれた。空自の輸送機も携帯ミサイルに狙われていることを示す赤ランプが点灯し、警報が鳴る事態が頻発した。「非戦闘地域」ですら戦場に限りなく近かった。戦死者がなかったのは僥倖だった。

 ■柳澤さんの覚悟の理由
 柳澤さんはそうした実情を熟知しているからこそ安保法制の危険性を訴えている。 ・彼はいまの安倍政権にとって最も目障りな存在と言っていいだろう。
 私の勝手な感想を言わせてもらうなら、柳澤さんは危ない橋を渡っている。権力は裏切り者を許さない。どこに落とし穴があるかわからない。それは十分承知のはずだ。にもかかわらず彼が腹を括った理由は何か?
 その答えは彼の著書に記されていた。〈三九年にわたる防衛官僚としての人生の集大成〉となった「イラク」体験である。
 9・11同時多発テロの翌年夏、柳澤さんは防衛庁(当時)官房長から防衛研究所の所長に転出した。米国がイラク戦争へと向かうなか、彼の問題意識はブッシュ大統領の「先制攻撃」論をいかに正当化することができるかだったそうだ。
 当時の柳澤さんはイラクによる大量破壊兵器の「隠蔽」を確信していた。そのうえ米国の圧倒的な軍事力を見せつけることが〈大量破壊兵器の拡散問題を事実上解決する〉と期待していたのだという。
 防衛研内部には反対論もあった。主任研究官は(1)米国が軍事力で勝利すれば、目標とされる国はかえって核兵器を持とうとして世界が不安定化する(2)米国の力を背景に維持されている国際システムの信頼性が低下する、などの理由で異を唱えた。
 結果、主任研究官が懸念した通りになった。「先制攻撃」の最大根拠だった大量破壊兵器も存在しなかった。
 '04年4月、柳澤さんは内閣官房副長官補に任命された。すでにイラクでは自衛隊の部隊がサマワで復興支援活動を本格化させていた。同年11月、ロケット砲弾が宿営地のコンテナを貫通した。イラク全土の治安は最悪の時期を迎えていた。
 柳澤さんが最も悩んだのは犠牲者の問題だ。自衛隊は〈日本が国家として達成しなければならない目標〉を持たず、米国との「お付き合い」で派遣されていた。そのために隊員が犠牲になるわけにいかない。
 もし戦死者が出たら、首相に進言する立場の自分も道義的責任を免れない。'08年末、自衛隊員の撤収が完了するまでの4年半は、柳澤さんにとって緊張と不安の連続だったらしい。
 幸運にも自衛隊は一人の戦死者も出さず、一発の銃弾も撃たずに済んだけれど、〈イラクへの自衛隊派遣は、自衛隊と日本社会、憲法解釈の限界であるとともに、人間として私自身が受け入れられる限界でもありました〉と真情を吐露している。

 ■安倍政権は何をしたいのかわからない
 自衛隊員は命令を受ければ黙って任務を遂行する。
 しかし彼らには家族もある。命令を下す者には「本当に必要なことか」という悩みやためらいがあってしかるべきだが〈今の政府では「血を流すことが必要だ」と、自ら血を流す立場にない人間が軽々に主張しており、元防衛官僚として、そのことに怒りを禁じ〉得ないと柳澤さんは言う。
 さらに問題なのは、安倍政権が何をしたいのか意味不明なことだ。今回の集団的自衛権の話は日本から持ち出していて、米国から日本に何を求めるのかという具体的な話がない。首相個人の願望だけが先走りする。
 政府が挙げる集団的自衛権行使の事例も矛盾だらけだ。首相が会見で説明した邦人避難民を乗せた米艦の防護も、避難民は自衛隊機が救出することになっているのであり得ない。万一あっても邦人を守るのだから個別的自衛権で対処できる。
 そもそも集団的自衛権とは、自国が攻撃されていない場合に他国を守るための根拠だから〈これを行使しなければ日本を守れないという「具体例」を考えだすこと自体に無理がある〉と柳澤さんは喝破している。 根本的な矛盾を抱えたまま数の力で作られた政策はやがて破綻する。民意を否定する政権は民意によって否定される。柳澤さんはそれを信じて政権批判をつづけるという。〈自衛隊が実際の戦場で最初の弾を撃つまで、我々に残された時間はあるのですから〉と呟きながら。

*参考:いずれも柳澤協二著『検証 官邸のイラク戦争―元防衛官僚による批判と自省』、『亡国の安保政策―安倍政権と「積極的平和主義」の罠』(ともに岩波書店刊)、『亡国の集団的自衛権』(集英社新書) ≫(現代ビジネス:魚住昭の誌上デモ「わき道をゆく」連載第130回—『週刊現代』2015年6月20日号より)

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●奄美の独立から考える沖縄米軍基地 日米安保の瓦解と琉球独立

2015年06月21日 | 日記
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●奄美の独立から考える沖縄米軍基地 日米安保の瓦解と琉球独立

以下は日刊ゲンダイ、高野孟氏のコラムだが、だいぶ前に筆者が書いた内容と変わりない。日刊ゲンダイもテーマがぼやけて来てるのではないだろうか?翁長知事の訪米が、マスメディアから揶揄されるように価値のなかった訪米と、叩いている時こそ、ぶつけるべきコラムである。まあ、人さまのコラムにケチをつけても始まらないが、そう思う。今夜は、手抜きと云うより、琉球と奄美群島、この二つの日本ではなかった、少数民族、そしてその文化について、もうチョイと勉強しておこうと云う気持ちで、確認した流れをご披露して終わりにする。これでも、相当にチョイスに手こずった(笑)。

 ≪ 大メディアが報じない翁長訪米の本当の成果 永田町の裏を読む/高野孟
 翁長雄志沖縄県知事らのハワイ、ワシントン訪問については、まだ県自身が総括的な報告を発表していない。それもあって、沖縄のメディアは「一定の成果が あった」と言うのに対して本土のメディアは「大した成果はなかった」という感じで報じていて、どうも本当のところは見えてこない。が、ワシントンで取材に 当たった、日米関係に詳しい旧知の米国人ジャーナリストや日本人特派員などに聞くと、意外なほど翁長訪米の評価は高かった。
 「初めてということもあるし、日本外務省=在米日本大使館も米国務省などに『まともに相手にしないで適当にあしらってくれ』と裏から働きかけをしていたの で、目に見えた目覚ましい効果はなくて当たり前だが、日米関係に関心を持つ議員や専門家の間では、かなりのインパクトになったと思う」と某米国人記者は言 う。何よりも、「安保反対だから基地をなくせ」という伝統的な左翼の理屈ではなく、翁長が「私は長く自民党にいて安保体制をよく理解している。その立場か らして、日米政府がこのまま辺野古の基地建設を強行すると、日米同盟に重大な損害が生じる」という訴え方をしたことが、ワシントンの安保のプロや沖縄事情 に詳しいプロたちには「極めて新鮮に響いた」と言うのだ。
 「しかも、翁長は非常にスマートかつ上品に、ワシントンに“恫喝”と言って悪ければ、勘所を押さえた“警告”を発した」と彼は指摘する。
 ひとつは、彼は今のところ、あらゆる法的手段を使って建設を差し止めようとしているが、それでも日米が強行した場合、「沖縄の自治の意識は本土の人たち とは違う。激しい抵抗が起きて、その様子が映像として世界に流れたら、日米同盟はもたない」と、共同通信のインタビューでも述べている。仮にも流血の事態 になれば、何で今ごろ、他国の住民の血を流してまで海兵隊の基地を新設するのかということになり、米国世論はひっくり返る。
 もうひとつは、辺野古がそんなことになったり、あるいは普天間で何かの事故ひとつでも起これば「県民の矛先は嘉手納空軍基地に向かう。米国が本当に恐れ ているのはその点でしょう」と問いかけたことだ。某日本人特派員は「これは図星で、嘉手納をはじめ沖縄の全基地を失うくらいなら辺野古は無理押ししないと いう考えにペンタゴンが傾く可能性ある」と見る。
 第1回翁長訪米は思いのほか深いボディーブローとなったのかもしれない。 ≫(日刊ゲンダイ・高野孟コラム)


*知らなかった、奄美群島の個別の歴史

≪ 奄美群島の歴史(超要約)
先史時代:日本本土や沖縄諸島地方と交流は、縄文時代・弥生時代・古墳時代などを通じて活発に行われていた。宇宿貝塚(奄美大島)からは、南島起源の宇宿下層式土器と共に、九州の縄文後期の市来式土器や、種子島・屋久島・口永良部島が起源の一湊式土器が出土している。

古代:奄美の存在が日本の歴史書に登場するのは7世紀で、『日本書紀』には657年(斉明天皇3年)に「海見嶋」、682年(天武天皇11年)に「阿麻弥人」、『続日本紀』には699年(文武天皇3年)に「菴美」、714年(和銅7年)に「奄美」とあり全て奄美群島のことだと考えられ、当時の日本の中央との交流があったことがわかる。

中世:この時代の奄美群島は、遺跡や伝承、また群島外の歴史書によって様子の推定が行われている。 『漂到琉球国記』や『元亨釈書』では、日本本土から見て奄美は日本の域内であり「貴海国」と称され、沖縄諸島以南の「琉球国」は異域と見做されていた。『平家物語』でも、奄美と沖縄は違うと捉えられていた。

琉球時代:1266年(文永3年)、奄美群島から沖縄本島の英祖王に入貢した事が、『中山世鑑』 などの琉球正史に記されているが、交易の存在を元に創作されたと考えられる。当時の沖縄地域は群雄割拠の状態であり、英祖王の勢力は沖縄本島の一部を支配 しているに過ぎず、それ以前から奄美群島に対して行われていた日本本土からの直接的な移住や出先機関の設置と同様な能力がある事も考えられないため、後に 宗主国の明に倣った琉球版冊封体制の装飾であると考えられる。

近世:1603年(慶長8年)、江戸幕府が開かれて日本が新時代に入ると、幕府は中国大陸の明と通航を考えるようになり、薩摩藩主・島津忠恒に琉球王国に進出して明と通じることを許可した。1609年4月8日(慶長14年3月4日)、島津軍3000名余りを乗せた軍船が薩摩の山川港を出帆した。4月12日(3月8日)に奄美大島へ上陸して制圧、4月26日(3月22日)に徳之島、4月28日(3月24日)に沖永良部島を次々と攻略し、4月30日(3月26日)には沖縄本島北部の運天港に上陸、今帰仁城を落として首里城へ迫った。尚寧は止む無く和睦を申し入れ開城した。島津軍は5月8日(4月5日)に首里城を接収し、4月半ばには薩摩に凱旋帰国した。

近代:明治維新後の1879年(明治12年)4月、太政官通達により奄美群島は大隅国に編入され大島郡が設置されたが、これに前後して行われた廃藩置県により薩摩藩が廃されて鹿児島県となり、奄美群島も含まれることとなった。1908年(明治41年)4月1日、島嶼町村制制の施行に伴い、大島郡に16村が成立する。

米国占領時代:1945年(昭和20年)9月2日、米軍によって本土から分割され米国民政府の統治下に置かれた。同年9月22日に 行われた現地守備隊と米第10軍とで交わされた降伏調印式の際、日本軍守備隊は米軍側が用意した降伏文書に奄美群島が「Northern Ryukyu(北部琉球)」と書かれていることを発見、日本から分割する意図を悟り、鹿児島県所属であることを訴えて調印しなかった。これには米第10軍 司令官が譲歩し、鹿児島県奄美群島であることを確認した後に降伏した。
  1946年(昭和21年)2月2日、正式に日本からの行政分離が連合軍総司令部から発表され、米国民政府の命令により本土出身者が公職から追放、本土に強制送還となった。空席となった役職には地元出身者が就任し、10月3日に臨時北部南西諸島政庁が成立した。1950年(昭和25年)11月25日に奄美群島政府に改称。

 しかし民選で選出された知事は日本復帰を公約に掲げた人物であったため(他の民政府も同様)、不快を感じた米国民政府は権限の縮小を決意し、1952年(昭和27年)4月1日には首班が米国民政府任命である琉球中央政府及び奄美地方庁を設立して民政府の権限を縮小、後に廃止した。
 それらの米国民政府の政治的動きや、沖縄戦で疲弊した沖縄本島への資金集中、本土との分離により換金作物や物産の販売経路の途絶などにより経済が疲弊し飢餓の兆候さえ出てきていた奄美群島の住民は不満を増大させた。

 分離直後から始まっていた奄美群島祖国復帰運動は激しさを増し、日本復帰を願う署名が1951年(昭和26年)2月19日より始まり、署名は最終的に14歳以上の住民の99.8%に達し、マハトマ・ガンディーの非暴力運動にならい集落単位または自治体単位でハンガーストライキを行い、小中学生が血判状を提出する事態も発生した。復帰運動の指導者に奄美大島日本復帰協議会議長の泉芳朗や、ロシア文学者の昇曙夢などがいる。 日本国との平和条約の1952年(昭和27年)4月28日発効によって日本の主権が回復することが決まると、アメリカは基地が少なく復帰運動の激しい奄美群島の統治を諦め、1952年(昭和27年)2月10日にトカラ列島が[3]、残りの奄美群島も1953年(昭和28年)8月8日のダレス声明による権利放棄を受け、12月25日に返還された。クリスマスであったことから、米国政府は「日本へのプレゼント」と皮肉った。 米軍占領・軍政時代を「アメリカ世(あめりかゆ)」とも呼ぶ。

本土復帰時代:奄美群島が復帰した後、沖縄県が日本に返還される1972年(昭和47年)までの約20年間にわたり、沖縄の6万余人に及ぶ奄美群島出身者は、「在沖奄美人」と称されて様々な社会的制約や差別をうけることとなった。沖縄県がいまだアメリカの占領統治下にあったため、沖縄本島に出稼ぎに出ていた奄美群島出身者は戸籍上外国人となり、就労が難しくなるという経緯があった。公務員等の公職追放も行われ、当時の琉球銀行総裁もその一人である。また、参政権剥奪、土地所有権剥奪、奄美群島出身者以外の日本国民には認められた政府税の外国人優遇制度は奄美出身者には認められなかった。これは奄美復帰運動を、日本共産党の影響を受ける奄美共産党(奄 美社会民主党)が主導し、その影響が沖縄県に及ぶのを阻止するためとも言われるが、実際はこれらの政策は沖縄本島住民が、奄美群島出身者によって職を奪わ れるとの危機感のもと、琉球列島米国民政府に陳情したことによる。また当時の沖縄タイムスなど在琉マスコミもこれを支持した。 ≫(以上、Wikipedia抜粋)


*最後に、奄美・与論島出身の喜山荘一氏のコラムを紹介して、終わりにする。

 ≪ 『琉球独立への道』
 松島泰勝の『琉球独立への道』 (2012年)を読み、沖縄の日本に対する心理的距離が修復不可能なほどに遠く隔たってしまっているのに気づく。松島は、日本とがんじがらめになってる「沖縄」という言葉を用いずに「琉球」という言葉を対置する。この言葉の選択そのものが日本と対で想起されることを嫌ったものだ。
 日本が沖縄に「植民地」を強いているという松島の主張は、パラレルにアメリカが日本に「属国」を強いているということを思い起こさせる。沖縄が日 本に対して無力なのは日本がアメリカに対して無力であるのと同じである、というように。しかしよく聞くこの連想は思考停止を呼んでしまうが、そうしてしまえば、「属国」の象徴であり実体である米軍基地の多くを沖縄に強いていることから目をそらさせてしまう。しかし、日本が主権国家であるなら米軍基地は沖縄のみならず日本からも全面撤去されなければならないのは言うを待たないことであり、松島の怒りは至極、真っ当なものだ。
 松島が「沖縄」という言葉ではなく「琉球」と言うことには、与論島の者にとっては格別の意味がある。沖縄では含まれないが「琉球」なら奄美に対して開かれているからだ。だが、松島はその範囲は「沖縄県」と書いている。
  その範囲は現在の沖縄県の島々とする。琉球文化圏という言葉もあるように、奄美諸島とは琉球王国時代に共通の歴史をもち、文化、 気候、風土、動植物等において共通点を多くもっている。しかし、1609年の島津藩による琉球侵略以後、奄美諸島は島津藩の直轄領となり、王府の政治的影響力がほとんど及ばない地域となった。その後、鹿児島県の行政区域となり、戦後、激しい「復帰」運動を経て鹿児島県の一部となった。また奄美諸島には琉球王国により武力で王国内に編入された歴史がある。(p.)
 この態度には、奄美の人からも「自分たちは含めないでくれ」と言われた背景も手伝っている。「奄美諸島は琉球王国により武力で王国内に編入された 歴史がある」という言もまた、奄美大島の中から時折、聞こえてくる言葉だ。こう語られる時、琉球だけではなく、琉球、薩摩、アメリカがセットになることが多い。このどちらにも支配されてきた歴史がある、と。だが、個人的にも年長者からも具体的な被害を聞くことのない「琉球」による征討が、薩摩、アメリカと同等に語られるのは奇異なことであり、これは本来、立ち向かわなければいけない相手から目をそらすための方便に、ぼくには聞こえる。ともあれ、文化は近しいが歴史を異にするとよく言われる言葉を引くように、松島は独立構想の範疇に奄美を含めていない。また、こうも書いている。
  さらに琉球では独立論者、独立党、独立に関する書籍、シンポジウム等が数多く存在するのに対して、奄美諸島では新元博文の主張を除いて独立論が多くないという状況もある。
 ここはぼくも他人事ではなく書かなければならない。『奄美自立論』 を 書いた時、出版社からのオーダーが「奄美独立論」がテーマだった。ぼくは「奄美独立」について一度も考えたことがないので驚き、「自立」というテーマを選択した。まず、「奄美」のなかに与論島は含まれる地理用語は理解していても「奄美」という言葉が自分のものであるという程の親近感はない。また、「奄美独立」と言ってもそれは名瀬中心を指すに過ぎず、奄美の周縁に位置する者は軽視されるに決まっているという偏見もあった。「奄美」は奄美をひとくくりにできる包括力を持っていない。そうであるなら、そこが独立することなど考えたこともないのは自然なことだった。ただ、仮に包括力があったとしても、沖縄の十分の一しかない人口で何もできないという無力感が襲ってくるだろう(松島がフィールドワークしている島嶼国家の独立例は人口が問題ではないことを教えるものなのだが)。
 松島は自己から日本人を区別し琉球人としてアイデンティティを置く。ぼくも自分を日本人として感じたことはない。けれど、その代替として奄美人に はリアリティがないし言葉そのものが熟していない。そうやって考えれば、最もリアリティを持つのは、与論人(ユンヌンチュ)である。それなら自称することができる。次に親近感があるのは琉球人である。けれど、琉球人を自称するのに、日常的で身近な交流の相手がいない。与論とはそういう位置だと思う。このような対置すべき規模のないアイデンティティが、それでもここ最近、抵抗感が下がっていると感じるのも確かだ。日本人だと思えるようになったということではない。「単一民族」という言説が容易に相対化されるようになり、言語についても単一のものではないことが明らかになりつつあり、日本列島にやってきたヒト 集団の様相も少しずつ、単色ではないことが市民感覚としても共有されるようになってきたからだ。
 沖縄学は、東北学などのように日本国の多様性を明らかにする地域学の1つでしかないのか。植民地を対象とする学問は、当該地を統治し、支配するために学問が利用されてきたという歴史をもっている。琉球が日本とは別のネイションであることを前提としない沖縄学は、琉球の植民地支配に流用されるおそれがおおいにある。
 沖縄学が琉球の脱植民地化に役立つ学問になるにはどうしたらいいだろうか。何世紀にもわたる外部からの支配の下に生まれてきたアイデンティティを確認するために、言語学、歴史学、考古学を通じて「集合的自我」を再発見し、「エスニックの過去」の中に自分のルーツをつきとめることが重要になる。民族の学問を通じて、「受動的なエスニック共同体」を「活動的なエスニック共同体」つまり政治共同体、歴史の主体に転換することが可能になるだろう。(p.169)
 ぼくはここで引かれているアントニー・スミスの『ナショナリズムの生命力』をまだ確認していないので、ここでの文脈をいまひとつ追えないのだが、 ぼくがやりたいと考えているのも、何がなんでも日本と同じ民族であるはずだという思い込みを、内側から開くことだ。そのために、『奄美自立論』 をもっと大きな広場に出すには松島の次の視点は必要なものとして視野に入ってくる。
 島津藩支配下の奄美諸島において、厳しい砂糖収奪や奴隷制の世界史的意味も、三角貿易下にあったカリブ海諸島と比較してこそ明らかになるだろう。17~18世紀にかけて、西欧から武器・雑貨が西アフリカに運ばれ奴隷と交換され、商品としての奴隷がカリブ海諸島、アメリカ大陸にもたらされ、砂糖黍プランテーション等において酷使された。奄美諸島の場合は、島津藩が雑貨等を島にもたらし、島民を労働力として使うなど、奴隷制、砂糖黍 プランテーションが同諸島内において完結していた。砂糖黍プランテーションは16世紀ポルトガルが自らの植民地、ブラジルをはじめ、その後、中南米、フィリピン、ジャワに拡大しており、奄美諸島における奄美諸島における砂糖搾取時代と同時期である。(p.12)
  この視点は問題意識として引き継ぎたい。
  ところで、『琉球独立への道』 のアジテーションの核心は次の言葉だ。 琉球独立後、日本国には米軍基地を引き取ってもらいたい。(中略)。米軍基地が拡大した日本国では憲法「9条」の形骸化がさらに進むだろう、琉球国は「9条」を日本国から引き取り、自らの憲法に「9条」を明記する。琉球は国として日本国から分かれることで「戦争の島」から「平和の島」へと生まれ変わる。(p.)
 国家としての日本はこの言葉を受けとめなければならないと思う。

◇◆◇

松島の「琉球」は奄美に対して開かれた通路を最後に置いている。 ・奄美諸島は、1609年以降、他の琉球とは異なる歴史過程をたどってきており、琉球連邦と対等な地位で参加するかどうかは、奄美諸島人民による議論と、住民投票を各島々で実施するなかで決定されよう。(p.249)
 これは、これまでどちらかと言えば決めつけられてきた態度からは一線を画するものだ。
 今年は沖縄「復帰」四十周年に当たる。1972年、松島は9歳。もう何事が起こっているかは理解できる年齢だ。松島の「独立」という選択は、問題意識を持った者が歩んできた生の四十年の帰結であり通過点である。松島のほんの少し北の境界線の向こうで「復帰」を見つめた松島と同年齢の者にとって、松島の歩みに目を向けずにはいられない。  
≫(喜山荘一氏のブログ:与論島クオリア“◆与論だけの“あの感じ”を言葉にする◆与論・奄美・沖縄(琉球弧)の“同じ”を発見する◆”より)

琉球独立論
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●嵩上げ国家日本 安保、景気、株価、不動産すべてがバブル

2015年06月20日 | 日記
なぜ日本人はご先祖様に祈るのか ドイツ人禅僧が見たフシギな死生観 (幻冬舎新書)
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●嵩上げ国家日本 安保、景気、株価、不動産すべてがバブル

つくづく思うことだが、安倍晋三と云う男は、21世紀日本の「アダ花」として、歴史に残ることだろう。ネトウヨ的自民、維新の仲間からは「キラ星」のように見えるのだろうが、典型的な「あだ花」だ。現在進行中の安保法制に至っては、最高裁判決を曲解しても、恥じらう素振りひとつ見せない。ふぐ料理を食べきた客が、ふぐの調理師免許を持っている板前に対して「お前のような捌き方じゃ毒が混入する」と言って、包丁を板前から取り上げ、内臓込み混みの“ふぐちり”を提供するに等しい。

早い話が、米軍の世界警察の30%の仕事=“兵站”を非戦闘地域の“後方支援”だと強弁して実行しようとしている。このまま、本質的修正がなされない限り、自衛隊員の海外派兵、戦死者が出るのは、火を見るよりも明らかだろう。10050年間、占領国家であり続けることで、被支配の快楽を思う存分満喫したのは、既得権益勢力のみならず、下々も僅かではあるが、既得権を得ていたようだ。その実感が存在する故に、未だ、国民の蜂起と云った現象は起きていないのだろう。

もしかすると、日本人の体質として、“被支配のくすねるような狡猾”、それで満足する民族なのかもしれない、と云う疑念が頭を擡げる。2030年くらいには、東京の下流老人問題が火を噴くのは間違いがないが、有権者の年齢引き下げの影響が強く出れば(例:若年世代の投票率向上28%から60%)のような珍現象が起きれば、60歳代以上と30歳代以下の“仁義なき戦い”が起きると云う推測も成り立つ。その時は、高齢者から若者世代への富の移行、分配の不公平是正が、閣議決定で一気に噴出するだろう。その時は、町中に“下流老人”が溢れ、至るところで饐えた臭いが漂うことになる。

筆者も気を引き締めて、国家から富を収奪されないような方策を練るべき時期が来たようだ(笑)。余談はこの位にするが、自衛隊員の戦死者が続出したから、もう集団的自衛権から降りますと国家の意志をアメリカに示しても、聞く耳をアメリカ様が持つことはなく、次々と地球上全方位で、海外派兵のオファーが来るのは必定だ。アメリカに、強くその意志を示し、派兵を断固断る政権は、霞が関司法により、憲法解釈同様の手法で歪曲合法化され、逮捕される。悪くすれば、東京湾に沈められるか、樹海に埋められる。

剣呑な話をいつまでもするのは控えるが、そう云う惧れのある安倍政権のアメリカ隷属精神だ。アメリカが、中国やロシア相手に軍事行動に出ることは、21世紀においては、まずない。フィリピンと中国海軍の戦闘が始まれば、一気に戦争に巻き込まれるのは日本と豪州だろう。米軍が中国やロシアと直接開戦する可能性は、ほぼゼロだ。外務防衛を総動員してでも、アメリカ軍の代行業務を押しつけられる。この時、TPPで日本経済の核を外資に握られていたら、なお一層の戦渦の拡大をみる。

賢者の多くは、実は、それをよく弁えている。ただ、どこの国でも、どんな時代でも、俺や家族は“災難には遭わない”と思うのが人の常である。見出しの“安保、景気、株価、不動産すべてが嵩上げ”に関して、少しだけ述べて、今夜はお開きにする。意外に日本経済は、日本人の実体が伴わない形で、好景気な数値指標が発表されている。統計の魔術だろうと云う見方もあるが、本当の数値である可能性もある。中国“爆買い”を揶揄的の報道する傾向があるが、この中国や東南アジアから訪日による経済効果は、目を見張るものがある。

これは、円安効果とビザの緩和によるところが大きいのだが、特に中国本土からの訪日が異様に伸びたことによって起きた現象だ。人民元の価値が相当上がった事もWで貢献した。“爆買い”のターゲットであった香港における学生運動が、本土の香港離れを加速し、その流れが一気に日本に来たと思って差し支えない。この中国マネーを吸い上げたのが日本。香港の小売店が軒並み3~5割売り上げを落とし、その分日本経済が潤った。東京の中心地や湾岸地域の高層マンションも、億単位の部屋が飛ぶように売れている。場合によると、そのマンション全体の半分が中国人オーナーという状況にまで達している。

中国本土のマンションでも見られるし、香港の不動産にも見られることだが、考えられないくらいの価格帯になっており、日本のマンションが格安に見える投機心理が働いているようだが、10年後には、入居者が半減するようなマンションが出てきそうだ。中国人オーナーは共益費等を入金しないことも考えられ、日本人入居者の共益費負担は倍増する危機も語られている。投機的に失敗だと気づけば、彼らは投げ売りするのだから、高価な価格で購入したマンションが一気に、その資産価値を失うだろう。

株価は、既に皆様が充分に承知しているように、公的資金で買い支える、時には買い上がると云う国家総動員体制なのだから、ハゲタカファンドも提灯買いをするものだから、否応なく2万円なんて日経平均を示しているが、いずれにせよ、実力の嵩上げ官製相場である。つまり、安保、景気、株価、不動産すべてが嵩上げされた状態で、タイトロープな環境にあるわけだ。当面、FRBが金融引き締めはいつか?と云う流れだから、日本の金融引き締めは、当分ないと見るのが常識。嵩上げ国家は、まだ暫く続きそうだ。しかし、金融の異次元緩和と円安による勘違い俄か景気は、本質的にバブルなのだから、必ず弾ける。それにしても、米軍の力量の評価も、相当に嵩上げされているので、何事かが起きて、流れが逆向きになった時、ギリシャと変わらない日本。否、軍事面やTPP市場開放が相乗的に働けば、日本人の暮らし向きは、一気に昭和40年代に落ち込むのだろう。

ウェブニュース一億総バカ時代 (双葉新書)
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●考えさせられる利便追求の先の世界 人間の手足がなくなる日

2015年06月19日 | 日記
生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書)
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●考えさせられる利便追求の先の世界 人間の手足がなくなる日

今夜は多忙のため、以下の現代ビジネスが紹介している“週刊現代”の記事を引用しておく。“東京おもちゃショー”が開かれているが、本格的未来技術ショーの方向に流れているようだ。利便性の追求なのか、技術革新の一環なのか、判りにくい面が多いが、21世紀の末には、人間に足が不必要な時代が来るのかもしれない。こうやって、世界経済は、本来の自然な人間の機能を補完する流れから、取って替わる時代が来ているような錯覚を憶える。

ヤマダ電機が潰れようと筆者には関係ないが、アマゾンの日本市場浸食の犠牲になった企業群の一つだと認識する。Googleも世界中でやりたい放題野放し状態で、アメリカの国家戦略的ビジネスに、多くの日本企業は淘汰されて行く可能性を示唆している。TPPもオバマと共和党による裏取引により、ちゃぶ台返しで、無理くりTPA成立を演出するかもしれない。TPPの成立は、更に過激に日本市場の形を変えてしまうのだろう。

たしかに、筆者が関連するアフィリエイトにおいても、AMAZONの手数料率が最低であるにも関わらず、断トツの成果を上げている。他のアフィリエイト関連は、軒並み閑古鳥だ。必ずしも安くないものもあるのだが、品揃えが豊富であり、多くの商品が送料無料なのは強みだ。東京であれば、間違いなく翌日又は翌々日には商品が届く。近くのヤマダ電機の売り場にスナック菓子の棚が出来ていた。残念ながら、品揃え価格共に、ドラックストア―やスーパーに負ける。そのスーパーも、3割引き商品がよく売れると云う状況は、いずれ顧客は5割引きにしか靡かない時代が来そうだ。そして、ドローンで、スタバのラテとベーグルサンドが届く日もあるのだろうか。足が要らなくなりそうだ(笑)。盲腸が退化したように、先ずは足の小指が消えるのか?


≪ ヤマダ電機「閉店ラッシュ」が意味するもの  「量販店」が消える日
 家電に続いて、スーパーも危ない 量販店の巨象が苦しんでいる—一時は売上高2兆円超を誇ったヤマダ電機のことだ。人口減やネット通販の浸透で、大規模店に種々雑多な商品を陳列するビジネスモデルは曲がり角を迎えている。

■客よりも店員が多い
「店が潰れるらしいという噂が流れはじめたのは4月頃でした。はっきりわかったのは5月の中旬、閉店の2週間前です。販売員たちの士気はすっかり低下してしまって、雰囲気は最悪ですよ。とりあえずリストラはないということ でしたが、遠くの店舗へ異動を命じられたら通えなくて辞める人も出てくるでしょう。私もまだ転職できる年齢のうちに資格でも取ろうと考えています」 こう話すのは、ヤマダ電機テックランドNew江東潮見店(東京都)の若手男性販売員。家電量販最大手のヤマダ電機は5月25日、同月末までに全国で約1000店舗ある直営店のうち46店を閉めることを正式発表した。江東潮見店も閉店リストに入っており、敷地の周辺には「閉店セール」とプリントされた 赤いのぼりが目に付く。

だが、派手派手しいのぼりとは裏腹に、広い店内は閑散としている。売れ筋のはずの季節家電のコーナーでは扇風機の風にあおられ、大きな綿ぼこりが転 がっていた。フロアによっては客よりも店員の数が上回っているほどだ。客の入りがいちばん目立ったのは、マッサージチェアの一角。といっても、年配の人たちが何を買うでもなく、マッサージ機にゆっくりと身を横たえている姿が目に付くくらいだ。

日用品売り場でフライパンを物色していた女性客が語る。 「冷蔵庫もテレビも、電球や文房具も全部ヤマダで買ってきました。今回の閉店はショックです。駅前にスーパーはまだありますが、他の日用品はどこで買えばいいかわからない。陸の孤島のようになって、治安も悪くならないか心配です」 積極的に新店をオープンし続け、全国津々浦々に販売網を築いてきたヤマダ電機の売上高は、'11年3月期に達成した2兆1532億円をピークに急激に減少。'15年3月期には1兆6643億円にまで落ち込んでいる。

エコポイント制度やテレビの地デジ化などによる買い換え需要が一段落し、消費増税後の反動もあって、急激な落ち込みようだ。家電流通に詳しいプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が語る。 「都心で中国人観光客の『爆買い』を取り込むことに成功しているヨドバシカメラやビックカメラとは対照的に、ヤマダは郊外・地方を中心に成長してきたため、人口減少などで消費力が落ちている地方経済低迷のダメージをもろに受けています」

ヤマダを悩ませているのは売り上げ減だけではない。旧村上ファンドの出身者たちがシンガポールで創設したファンド、エフィッシモに、大量に株を買い 占められているのだ。同ファンドはヤマダの株の13%超を保有しており、今後、筆頭株主としてさまざまな要求を突き付けてくる可能性が高い。 まさしく内憂外患の窮地に立たされているヤマダ電機。'90年代にはコジマやカトーデンキ(現ケーズホールディングス)と「YKK戦争」と呼ばれる 激安競争をくり広げ、その勝利者となった。だが現在、同社を脅かしているのは他の量販店ではなく、圧倒的な品揃えと販売価格を誇るインターネット通販だ。

 ■安さではもう勝てない
ヤマダに限らず家電量販店では、客が店頭で品定めをして、最終的に値段の安いネットの店で買い物をするという新しい消費行動に頭を悩ませている。高 い賃料や人件費を払っても量販店はただのショールームに過ぎず、一銭も入らない—このような買い物のしかたは「ショールーミング」と呼ばれている。

ネットを通じた物流に詳しいイー・ロジット代表取締役の角井亮一氏が語る。 「以前は量販店を回って安い店を探したものですが、今は『カカクコ ム』のように値段が一覧で比較できるサイトもあり、安く買いたいならインターネットでという考え方が定着してきました。しかもアマゾンのような大手サイト は、自社開発の専門のソフトを使って戦略的商品の選定を行っており、『この商品はダントツ1位の安さにする』『この商品は高くてもかまわない』と巧みに値付けをしており、必ずしも安い買い物をしなくても、消費者は『ネット通販は便利だ』と感じるようになってきています」

■品揃えでもネットに負ける
家電はとりわけネット通販と相性のよい商品だ。メーカーと型番が決まっていれば、基本的にどこで買っても同じスペックが保証されているし、価格の比 較も容易だからだ。百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏によると、小売りにはネット通販によって侵食されやすい分野とそうでない分野がある。例えば、飛行機やコンサートのチケット、証券、本や雑誌、音楽、そして家電などはインターネットの出現で大きく流通の形態が変わった。

「逆にネットで売りにくいものに、生鮮食料品など個別差が多い商品、輸送コストが高い低価格品(例=トイレットペーパー)、売買に多くの説明が必要なもの(例=不動産や自動車)、ブランド力が高く値下げしにくい商品(例=宝石や高級ブランド品)などがあります」 家電をネットでなく、店頭で買ってもらうためには価格競争にまきこまれるのではなく、詳しい商品説明やアフターケアなどのサービス面を強化しなければならない。だが、ヤマダはその点でも戦略を誤った。販売員の接客教育に重点を置かなかったのである。

業界紙デスクが語る。 「毎年、日経ビジネスが調査・発表するアフターサービスランキングの『家電量販店部門』で、ヤマダ電機は毎回のようにワースト1位なのです。急拡大と激しい価格競争のつけが回っていて、『電話に出ない』『店員が少ない』といった評価が定着してしまった」 大量のモノを集めて安く売りさばくという量販店ビジネスのモデルが通用していた時代はよかった。拡大路線を突き進み、シェアを取ることでメーカー側 に価格交渉を持ちかけ、より安い値段で仕入れることもできただろう。

しかし、ネット通販の定着によって、量販店というビジネスモデルが大きな曲がり角に立たされている。 経産省が'14年8月に発表した数字によると、'13年の日本の一般消費者向けのネット販売市場は11兆1660億円で(前年比17・4%増)、 EC化率(ネットでの取引が全商取引のうちに占める割合)は3・67%だった。市場は今後もますます拡大し、'20年には市場規模は20兆円を突破するとの予想もある。さらに「eコマース革命」を打ち出すヤフージャパンの試算では、日本のEC化率は20%まで成長すると見られている。つまりネット通販はさらに5倍の成長余地があるのだ。

前出の鈴木孝之氏は「家電量販店に限らず、イオンやイトーヨーカドーなどの総合量販店も次々と新規店舗を出店し、規模を拡大することで成長してきましたが、このような業態は一時代を終えた」と言い切る。 実際、イオンは'15年2月期決算での営業利益が1414億円で前期比17・5%減。イオンリテールやダイエーなどの総合スーパー部門が足を引っ張った形だ。イトーヨーカ堂も業績が冴えず、売上高営業利益率が0・1%。同グループ内のコンビニ事業(セブン-イレブン)の利益率10・1%と比べると ビジネスモデルが崩壊寸前であることがわかるだろう。

ネット先進国のアメリカでは、ショッピングモールやスーパーにまで如実に影響が出始めている。前出の角井氏は語る。 「ネットの台頭によって全米に1800店あったモールのうち約300が姿を消したと言われています。モールやスーパーも今後はデリバリーサービスが不可欠だと認識されるようになりました。 アメリカのアマゾンは都市部や近郊に小型の物流センターを設置して、生鮮食品なども扱うアマゾン・フレッシュを始めています。もはやネット通販で買えないもののほうが少ないくらいです」

■そして廃墟になる
スーパーが扱う生鮮食料品は、本来ネット通販と相性が悪い商品だ。しかし、そのようなジャンルにまでアマゾンは進出しようとしているのだ。 さらに、この波は飲食業にまで広がっており、今まで宅配営業に無関心だった企業も、ネット通販に乗り出している。スターバックスがいい例で、同社のハワード・シュルツ会長は「すべての飲食業はデリバリーを検討しないと生き残れない」と語っている。

大型量販店は町の個人商店ではとうていかなわない品揃えと価格競争力で集客してきた。しかし巨大な物流センターを備え、注文した翌日には品物が届く といった利便性を売りにするネット通販の前では、品揃えも価格競争力も見劣りがしてしまう。モールに行けば、必要なものが安く手に入るという常識はもはや通用しないのだ。 では、ネット通販では期待できないサービスを提供できるかといえば、その面では地域に密着した個人商店のようなきめ細かな対応は不可能だ。

商品が多すぎて、販売員自身がその商品の特徴をわかっていないということもしょっちゅうある。だが結局、「量販店がネット店舗に対抗するためには接客力を上げるしかない」と堀田経営コンサルティング事務所代表の堀田泰希氏は語る。 「高度な接客を求めがちな高齢者が増えるにつれて、もっとアナログな顧客管理が大切になってくるでしょう。ポイントカードなどを通じて顧客情報を吸い上げるデジタルな管理は進んでいますが、その逆が大切なのです」 価格で勝負できないなら、付加価値をつけるしかない。

しかし、それはかつて量販店が拡大したときに個人商店が試みてなしえなかったことだ。ネット通 販の前に量販店も同じ戦いを強いられることになるだろう。郊外のモールが駅前のシャッター街のように閑散とする日も近いかもしれない。すぐ目の前に物流倉庫があって、ありとあらゆる商品が並んでいるのに、インターネットを使わないとそれも手に入らない—そんな不可解な時代がやってくる。

だが、それも我々消費者が低価格と手軽さを追求し、自ら招いた結果なのだ。 冒頭の閉店が決まったヤマダ電機で呼び込みをしていた店員に「閉店セールで、本当にお買い得な商品はどれか」と尋ねてみた。すると、「それは在庫一 掃処分ということで……」と口ごもり、「ちょっと失礼します」と立ち去ってしまった。床には、相変わらず綿ぼこりが扇風機の風に舞い続けていた。  ≫(現代ビジネス:オトナの生活‐賢者の知恵‐「週刊現代」2015年6月13日号より) 

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)
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●どのツラ下げて発言するのか 菅官房長官「主権者教育」を加速

2015年06月18日 | 日記
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●どのツラ下げて発言するのか 菅官房長官「主権者教育」を加速

公選法の改正により、18歳、19歳にも選挙権が与えられることになった。これを受けて、安倍、高村、菅、下村のような奴等から「主権者」などと云う言葉を聞くとは、思いもよらなかったが、菅は戦争賛歌を歌い上げる内閣を代表して「高校生や大学生を中心に、周知、啓発に取り組むことが大事だ。各選挙管理委員会や学校現場で主権者教育を一層推進してもらいたい」と述べたようだが、“主権者教育を一層推進”とは驚きだ。“正論”は常に安倍内閣にあり、主権を侵すことも、国益においてはあり得ると考えている連中に、主権在民とは言われたくないものだ。

まして、あの右翼下村博文が大臣をしている文科省と総務省が、高校での主権者教育の徹底を図るために副教材を作成し、全高校生に配るそうだ。教員に任せておくと碌なことにならないと考えた官僚たちは、各選管の担当者が学校に出向く出前授業や、模擬投票も全国で展開するのだそうである。まあ、世界的傾向からいけば、18歳以上の投票権と云うのは、国民投票が18歳にした以上、整合性を持たせる意味でも、そうせざるを得ないだろう。筆者は、個人的に、こんな見せかけの民主主義国家で、有権者の数を拡大したからと云って、基本的部分で影響はない。否、逆に一段と投票率を下げる可能性の方が多いだろう。それでも、18歳以上の人々で、政治に言い分がある人にとっては有意義な決定と言える。東京新聞が一番詳細に、この公選法改正について、記事を書いているので、先ずは引用する。

≪ 選挙権 18歳以上に 来夏から適用
 選挙権年齢を「十八歳以上」に引き下げる改正公選法が十七日午前の参院本会議で全会一致により可決、成立した。一九四五年に「二十五歳以上」から 「二十歳以上」に引き下げて以来、七十年ぶりの改革となる。来年夏の参院選から適用されるのがほぼ確実だ。十八、十九歳の未成年者約二百四十万人が有権者 に加わる見込みで、政府は若者の政治参加の意識を高める主権者教育の充実などを急ぐ。
 改正法は約一週間で公布される予定で、公布から一年の周知期間を経て施行される。施行後初めて公示される国政選挙が最初の適用対象となる。その後、知事選など地方選挙で順次導入される。
  選挙権年齢の引き下げに連動させ、現行で二十歳の成人年齢や少年法対象年齢を下げるかどうかが今後の課題。各党は、衆院議員は二十五歳以上、参院議員は三十歳以上と規定される各種の被選挙権年齢の引き下げも議論する。二十歳未満には認められていなかった選挙運動は改正に伴い十八歳から可能となる。高校三年生でも投票を呼び掛けられる。十八、十九歳の未成年者が買収など連座制の適用対象となる重大な選挙違反を犯し、選挙の公正に支障を及ぼす場合は原則、検察官送致(逆送)とする規定を付則に明記した。
 選挙権年齢の引き下げは、昨年の国民投票法改正で憲法改正に必要な国民投票の年齢を二〇一八年に「十八歳以上」に下げるとしたことを受けた措置。
  <選挙権年齢と国民投票年齢>
 2014年6月施行の改正国民投票法は、憲法改正に必要な国民投票の投票年齢を18年6月に「20歳以上」から「18歳以上」へと自動的に引き下げると定めた。自民、民主など各党は、それを前倒しし、施行から2年以内に国民投票年齢と選挙権年齢を同時に「18歳以上」へ引き下げる方針で合意している。選挙権年齢を引き下げる改正公選法の成立後は、「20歳以上」のままとなっている国民投票年齢の見直し実現が課題となる。 ≫(東京新聞)

しかし、参議院でも全会一致で公選法改正が通過したところをみると、各党は、それぞれ我が党に有利と思ったのだろうか?少なくとも、民主党には、この18歳以上への選挙権拡大は不利に働くように思われる。なにせ、現時点でも、公式サイトがスマホに充分対応していないのだから、かなり不利だ。官公労中心の“連合頼り”の政党の体質が如実に表れているということだ。一番、浸透力があるのは共産党だろう。

個人的な意見を言わせてもらえば、報道の自由を阿吽の呼吸で抑圧しておいて、「主権者教育」を文科省と総務省で加速させると言われても、どこにミスリードするか判ったものではないだろう。まあ、18歳がNHKのニュースを見て、政治を考えている事は稀だろうから、テレビ好きの中高年よりはミスリードされない可能性はある。多分、新聞を読む確率もかなり低いので、ミスリードの不安はなさそうだ。やはり、勝負の場はネットの世界における、「口コミ」ではないかと推量できる。

たしか、先の衆議院選で、20代の投票率は30%を初めて切ったので、その比率で推し量れば、全国で240万票の3割として、72万票増えるだけだから、影響は軽微とも言える。しかし、天から投票権が降ってきた彼らは、意外に燃える可能性もあるだろう。高校生又は大学生なわけだが、特に高校生へのアプローチがポイントになる。戦争に引っ張り出されるぞと云う説得は幾分宗教の勧誘に似ているが、自民に不利だろう(笑)。年金問題では、世代間の確執が話題に上るかもしれない。

現実の日本の有権者の多くがネットに繋がらない生活様式で生きている。総務省の25年版のインターネット利用状況によると、≪平成24年末のインターネット利用者数は、平成23年末より42万人増加して9,652万人、人口普及率は79.5%となった。また、端末別インターネット利用状況をみると、「自宅のパソコン」が59.5%と最も多く、次いで「携帯電話」(42.8%)、「自宅以外のパソコン」(34.1%)となっており、スマートフォンは31.4%となっている。≫しかし、携帯電話のネット環境は情報入手と云う意味では、可能だが事実上不可能と云う感じなので、統計上の9千万人が利用していると考えるのは早計だ。情報入手手段としてのネット利用は、PCとスマホと云うのは常識化している。

また、世代別のネット利用率は≪平成24年末における個人の世代別インターネット利用率は、13歳~49歳までは9割を超えているのに対し、60歳以上は大きく下落している(注:45%前後)。また、所属世帯年収別の利用率は、400万円以上で8割を超えており、所属世帯年収の低い区分との利用格差が存在している。≫となり、前述のNHK及びマスメディアの政治に関する報道姿勢が、60歳以上に人々に多大な影響を及ぼしていることが判る。徐々に60代は世代交代していくので、利用率は上がっていくが、投票率の点からは、60代上にアピールすることが選挙時の最重点世代になるのは変わりない。

それに、日本の場合、日本標準とでもいうか、yahooをHPに設定しているユーザーが多いので、ヤフーのトップページのトピックスが、意外に意外な政治的効果を握っている。筆者の感覚では、相当に安倍政権に親和的傾向があるので、ネットユーザーと云っても、ググると云った使い方まで行きついている60代以上は少ない。今夜は、選挙権が18歳以上に引き下げられたことを課題に、雑然とその意味を考えてみた。個人的には、18歳引き下げが、良いのか悪いのか、どちらとも判断できていない。ただ、仮に、日米関係が同盟レベルまで達した時には、この18歳を持って大人扱いする意味は、非常に大きく過酷なものになる。地球の裏まで派兵する自衛隊。自衛隊員の不足。希望徴兵。そして徴兵制にエスカレートする事は充分考えられる。

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●中国“集団的自衛権"にビビり埋め立て中止 成果を強調か?安倍官邸

2015年06月17日 | 日記
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●中国“集団的自衛権"にビビり埋め立て中止 成果を強調か?安倍官邸

以下の朝日の記事を読んでいた、思った。まさかと思うが、「積極的平和主義、接続可能な日米安保強化の成果が表れた」等と今の安倍内閣なら言い出しそうだな(笑)、と思った。そして、NHKが、日米防衛関係の高度化に一定の配慮を示したと言える、なんちゃって報道するかも?なにせ、大河ドラマ「花燃ゆ」のラストシーンで歴史を改竄するくらいだからね。どこまで安倍歴史修正主義に阿るつもりか!松下村塾テロリスト集団を長州関連で大河ドラマにしただけでも恥ずかしいのにさ。

 ≪ 南沙埋め立て「近く完成」 中国、事態の収拾狙う?
 中国外務省は16日、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で中国が続けている岩礁の埋め立て工事について、「近く完成する」との報道官コメントを発表した。米国や周辺諸国とのあつれきが強まる中、埋め立てを拡大させない姿勢を示す狙いとみられるが、埋め立て地での建設工事は続けるとしている。
 陸慷報道局長のコメントで「関係部門によると、南沙諸島での建設工事は計画に従い、陸上部分での埋め立て工事が近く完成する」とした。中国が政治的に敏感な工事の工期を対外的に公表するのは異例で、当面は埋め立て範囲を広げないとの姿勢を示すことで事態のエスカレートを避ける狙いがあるとみられる。
 中国による埋め立ては、批判と圧力を強める米国や周辺国との大きな火種になっている。来週、米国で米中戦略・経済対話が始まり、9月には習近平(シーチンピン)国家主席の訪米も控える中、中国指導部は国内で弱腰と批判されない範囲での事態収拾の道を探り始めた模様だ。
 コメントは埋め立てについて「中国の主権の範囲内」の問題で「批判されるいわれはない」と主張。埋め立て地で施設の建設は続けるとして、実効支配で譲るつもりはないとの姿勢を示した。 ≫(朝日新聞デジタル:北京=林望)

高村副総裁の「砂川事件」の最高裁判決の拡大、歪曲解釈は、法制局が思いついたのだろうか。それにしても、ここに来て「砂川事件」を話題にしてしまったのは、安倍自民の重大なミスだろう。日本における米軍基地の存在理由や時の内閣から、霞が関、最高裁までもが、隷米に彩られて戦後の敗戦日本のシステムを形成し、戦後70年、廃炉にするのかと思いきや、外壁にトタン板を張り付け、原子炉は強化された。そして、新たなウランを投入し、日々ヒヤヒヤの連続で放射能を扱う。そんな按配になって来ている。

中国の報道局長が「中国の南沙諸島岩礁の埋め立て工事が当初の目標を達成した」として、埋め立て工事の停止を宣言したことは、9月習近平国家主席の訪米あることから、エスカレートをひかえたと見るのが常識的だが、ネトウヨ的な解釈をすれば、安倍首相の日米豪を視野に入れた、自衛隊の際限なき海外派兵の方向舵を切ったからである。このような現象を分析する場合、安倍内閣が提出している“安保法制(集団的自衛権行使)”の影響及び成果を無視して解釈することは難しいだろう‥等と言い出しそうだ。今の安倍取り巻き連中なら、そういう発言をしても不思議ではないだろう(笑)。

先のドイツ・エルマウ・サミット(G7)の首脳宣言は以下の通り。脈絡がないようなデータを掲載するが、G7とかG8の首脳宣言と云うものを初めて通読してみたが、東西冷戦に勝利した西側諸国の幻想的で、自由と民主主義、金融投資型資本主義がすべて「善」であると云う驕り昂ぶりに満たされた、厭味タップリな唯我独尊だ。この思想が地球上を覆い尽くすことで、世界は平和と安定的接続可能な地球になる、と言っている。しかし、発展途上の国や国民にとって、俺たちはたらふく食べて、腹を壊しているから、お前らも、気をつけて、少しだけ食べることを要望する、と言われてもね。未開発国家の民としては納得がイカン!

しかし、この宣言文を読んでいて判ったのだが、アメリカ国務省主導で骨格が出来ている世界秩序でしか、地球上の人々や民族は生きていてはいけないらしい。俺たちの言うことを聞け。資源を大切にしろ。飢餓で子供を飢えさせるな!本音は、そんなに子供を産むな、無闇に地下資源を掘り出すな、接続可能社会が壊れるではないか!なんだか、筆者には、美辞麗句がふんだんにある宣言だが、胡散臭く感じる。安倍の“巧言令色鮮し仁”もそっくりだ。まあ、これを読んで判った事は、欧米による”世界統一国家”の普遍的価値とは、こんなものか、と理解は出来た。引用が長いので、今夜はこれにて失礼。


≪ 2015 G7エルマウ・サミット首脳宣言(仮訳)     平成27年6月8日
 我々G7 首脳は,年一回のサミットのため,2015 年6 月7日及び8日にエルマウで会合を開催した。我々は,共有された価値と理念に導かれ,現代の複雑で国際的な経済的及び政治的諸課題に対処するために緊密に協働すること を決意する。我々は,自由及び民主主義の価値,これらの普遍性,法の支配及び人権の尊重,並びに平和及び安全を促進することにコミットしている。特に世界の多数の危機に鑑み,我々は,G7諸国として,自由,主権及び領土の一体性を堅持するとの我々のコミットメントにおいて一致団結する。
 G7は,地球の将来を形成する上で特別な責任を感じている。2015年は,国際協力及び持続可能な開発課題にとって,節目となる年である。パリでの気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)は,世界の気候の保護にとって極めて重要であり,ニューヨークでの国連サミットは,今後にわたる,普遍的で,地球規模で,持続可能な開発アジェンダを設定し,アディスアベバでの第3回開発資金国際会議は,ポスト2015年開発アジェンダの実施を支持する。我々は,野心的な結果のための重要な推進力を提供することを望む。「先を見越して考え,共に行動する。」,これが我々の指針である。

 我々は,本日,主要な世界的課題に対処する役割を果たすために,また,世界で最も喫緊の諸課題に対応するために,保健,女性の能力強化及び気候保 護に関する具体的な措置について合意した。さらに,貿易を成長の主要な原動力として促進することに加えてこれらの具体的な措置を実施することは,強固で持続可能かつ均衡ある成長及び雇用創出という我々の重要な目標を達成することを助ける。我々は,他の国々に対して,このアジェンダの追求に参加するよう要請する。

■世界経済
〇世界経済の状況
 我々の前回の会合以降,世界経済の回復は進展した。いくつかの主要先進国において成長は強まっており,見通しは改善してきた。エネルギー価格の下落は,ほとんどのG7諸国経済に対して下支え効果がある。しかし,多くのG7諸国の経済活動は依然としてその潜在成長力を下回っており,強固で持続可能かつ均衡ある成長という我々の目標を達成するため更なる取組が必要である。G7全体としての失業率は,近年大幅に低下しているものの,依然として高すぎる水準にある。また,長期化した低インフレ,弱い投資及び需要,高水準の公的及び民間の債務,内外の不均衡の継続,地政学的緊張並びに金融市場の変動などの課題も残っている。
 我々は,これらの課題に対処すること,及び全ての人々のための成長を達成するため引き続き取り組むことにコミットする。より強固でより包摂的な成 長のため,我々は,我々の経済の脆弱性に立ち向かう必要がある。G7諸国が今後長年にわたり技術の先端領域で活動することを確保するため,我々は,教育及びイノベーションの促進,知的財産権の保護,特に中小企業のための,ビジネスに配慮した環境の整備を通じた民間投資への支援,適切な水準の公共投資の確保,民間部門と協力した効果的な資金の動員によりインフラ不足に対処するための質の高いインフラ投資の促進並びに野心的な構造改革の更なる実施による生産性の向上により成長を促進する。
 我々は,これらの分野における過去の改革のコミットメントを果たし,それによって信認の向上をもたらし持続可能な成長を引き上げることに合意す る。我々は,引き続き,債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せつつ,経済成長と雇用創出を支えるために,短期的な経済状況を勘案して機動的に財政戦略を実施する。我々は,中央銀行のマンデートの範囲内で,金融政策が物価の安定を維持し,経済回復を下支えするべきであることに合意する。我々は,既存の G7の為替相場のコミットメントを再確認する。
 健全な経済基盤は全ての人々のより良い生活の礎である。長期的に世界を持続可能な成長の道筋に乗せるためには,特に,気候の保護,健康の促進及び 社会の全ての構成員の平等な参加が必要になる。したがって,G7はこれらの課題を我々の成長アジェンダの中心に置くことにコミットする。

〇女性の起業家精神 
 省略
〇金融市場の規制
 健全な国際金融システムは成長を持続可能な軌道に乗せるための鍵である。グローバルな金融危機の根本的な原因に対処するため,中核的な改革が合意されてきた。特に銀行セクターの健全性の強化を通じて、より堅固でより強じんな金融システムの構築に関して重要な進捗があった。しかし,その作業は未だ完了しておらず,規制改革の完遂が引き続き鍵となる。更に進んで,我々は次の優先事項を特定した。合意された改革の完全,整合的かつ迅速な実施 は,開かれた強じんなグローバル金融システムを確保するために不可欠である。我々は,グローバルなシステム上重要な金融機関の破綻から生じる損失を納税者が被ることを防ぐため,引き続きグローバルレベルで「大き過ぎて潰せない」問題に対処する。特に,我々は,グローバルなシステム上重要な銀行の総損失吸収力について提案された共通の国際基準を,厳格かつ包括的な影響度調査の完了の後,11月までに最終化することに引き続きコミットする。
 我々はまた,もたらされるシステミックリスクと適切に見合うように,シャドーバンキングセクターの規制と監視を強化することに引き続きコミットす る。合意されたG20シャドーバンキングロードマップの適時かつ包括的な実施が不可欠である。加えて,我々は,実体経済を支える上での市場型金融の役割を確実に果たせるよう取り組む一方,市場型金融から新たに生じつつあるあらゆるシステミックリスクを監視し対処する。システミックリスクを低減させ透明性を向上させることを助けるために,我々はまた,金融規制分野,特に,速やかな実施が求められている破綻処理及びデリバティブ市場改革の分野において,規制がより実効的となるようクロスボーダーの協力を強化することの重要性を強調する。我々は,国・地域が,サンクトペテルブルク宣言にのっとり,正当化されるときには,相互の規制に委ねることを奨励する。最後に,我々はまた,生じ得るあらゆる新たなシステミックリスクに対処するため,引き続き金融市場のボラティリティを監視する。

〇租税
 我々は,全ての人々にとっての公正さと繁栄のために不可欠な,公正かつ現代的な国際課税システムを達成することにコミットしている。したがって,我々は,G20/OECD税源浸食・利益移転(BEPS)行動計画に関する具体的かつ実行可能な勧告を本年末までに取りまとめるという我々のコミットメントを再確認する。更に進んで,同行動計画の効果的な実施を確保することが極めて重要であり,我々は,G20及びOECDに対して,この目的を達成するための対象を特定したモニタリングプロセスを構築することを奨励する。我々は,国境を越える税のルーリングに関する自動的情報交換を強く促進することにコミットする。さらに,我々は,所要の法制手続を完了することを条件として,2017年又は2018年末までに,自動的情報交換のための新しい単一の 国際基準を全ての金融センターを含めて迅速に実施することに期待する。我々はまた,要請に基づく情報交換のための国際基準を未実施又は適切に実施していない国・地域に対し,迅速な実施を要請する。
 我々は,脱税,汚職及び不正な資金の流れを生むその他の活動と闘う上での実質的所有者の透明性の重要性を認識し,自国の行動計画の実施に関する最 新情報を提供することにコミットする。我々は,国際課税に関する議題について開発途上国と協働するという我々のコミットメントを再確認し,引き続き開発途上国の税務行政能力の構築を支援する。
 さらに,我々は,二重課税のリスクが国境を越えた貿易及び投資の障壁とならないことを確保するため, 拘束的強制的仲裁を創設するというコミットメントを含め,租税に関する既存の国際的な情報ネットワーク及び国境を越えた協力を強化するよう努力する。我々 は,BEPSプロジェクトの一環である拘束的仲裁に関してなされた取組を支持し,他国に対し,我々と共にこの重要な取組に参加することを奨励する。

〇貿易
 貿易と投資は,成長,雇用及び持続可能な開発の主要な原動力である。貿易に対する障壁の削減により世界経済の成長を促進することが引き続き不可欠であり,我々は,市場を開放し続け,スタンドスティルやロールバックによることを含め,あらゆる形態の保護主義と闘うとの我々のコミットメントを再確認する。この目的のため,我々は,G20のスタンドスティルのコミットメントの更なる延長を支持し,他国にも同じ行動をとるよう要請する。同時に, 我々は,貿易障壁を削減すること,また,経済自由化のための一方的措置をとることにより我々の競争力を向上させることに引き続きコミットする。我々は,投資を保護・促進し,全ての投資家にとって公平な競争条件を維持する。公的輸出金融に係る国際基準は,世界貿易におけるゆがみを回避又は縮小するために極めて重要であり,我々は,公的輸出金融の基準に関する国際作業部会に対する我々の支持を強調する。
 我々は,WTOバリ合意の完全かつ迅速な実施への貢献によることを含め,ルールに基づく多角的貿易体制を強化することにコミットする。2015年はWTO貿易円滑化協定(TFA)の発効に特に焦点を当てるべきである。そのため,G7各国は本年12月のナイロビにおける第10回WTO閣僚会議 (MC10)までに国内の批准手続を完了させるためにあらゆる努力を行うことにコミットする。我々は,また,ドーハ・ラウンドの迅速な妥結及びバランスのとれた成果を確保するWTOポスト・バリ作業計画の7月までの早期の合意を求め,このためのWTOにおける努力を完全に支持する。TFAの履行及びポスト・バリ作業計画の合意の双方が,アフリカで開催される初めてのWTO閣僚会議となるMC10の成功の基礎を成す。我々は,TFAにおいて合意された措置 の開発途上国による履行を引き続き支援する用意がある。我々は,WTOの交渉の柱を再活性化しWTOのコンセンサスの枠組みにおいて柔軟性が達成可能であることを示した2013年のWTO閣僚会議の成功を基礎としなければならない。我々は,WTOからのインプットに基づく,多角的貿易体制をより良く機能させる方途に関するG20における議論に期待する。
 多角的貿易体制の強化が引き続き優先事項である一方,我々は,野心的で高水準の新しい二国間及び地域的自由貿易協定(FTAs)を締結するために 行われている取組についても歓迎し,新サービス貿易協定(TiSA),情報技術協定(ITA)拡大及び環境物品に関する協定(EGA)を含む複数国間交渉の早期の進展に期待する。我々はITA拡大を遅滞なく妥結するよう取り組む。これらの協定は多角的システムを支えることができ,世界貿易の強化並びに成長及び雇用の促進に貢献し,将来の多国間協定の土台としての役割を果たす。この目的のため,FTAは透明,高水準で包括的であるとともに,WTOの枠組みと整合的でこれを支えるものである必要がある。
 我々は,環太平洋パートナーシップ(TPP),環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)及び日EU経済連携協定(EPA)/FTAを含む, 野心的,包括的で互恵的な合意の達成を目指して現在行われている主要な貿易交渉の進展を歓迎する。我々は,可能な限り早期にTPP交渉を妥結し,また,望むらくは本年末までに日EU・EPA/FTAに大筋合意するため,あらゆる努力を傾注する。我々は,可能な限り早期に,望むらくは本年末までに合意の概要に係る理解を確定することを目標として,TTIPの全ての課題に関する取組を直ちに加速し,交渉の全ての要素における進展を確保する。我々は,カナダと EUの間の包括的経済貿易協定(CETA)の交渉妥結を歓迎し,その速やかな発効に期待する。我々は,我々の二国間及び地域的FTAが世界経済を支えることを確保するため取り組む。

〇責任あるサプライ・チェーン
 省略

 ■外交政策
〇共通の価値及び原則に関する行動
 我々G7は,自由,平和及び領土の一体性と,国際法及び人権の尊重の重要性を強調する。我々は,全ての国の主権平等を堅持するためのあらゆる努力とともに,領土の一体性及び政治的独立の尊重を強く支持する。我々は,国際法の尊重及び世界の安全保障を損なうことを示す現在の諸紛争を懸念する。
 我々の共通の価値及び原則に基づき,我々は以下のとおりコミットする。

〇ウクライナにおける紛争解決の追求
 我々は,ロシア連邦によるクリミア半島の違法な併合への非難を改めて表明し,同併合の不承認政策を再確認する。  我々は,ウクライナ東部における紛争の外交的解決を見いだす努力,特にノルマンディー・フォーマット及び三者コンタクト・グループの枠組みの下で のものへの完全なる支持を改めて表明する。我々は,平和的解決を見いだすことに関する欧州安全保障協力機構(OSCE)の主要な役割を歓迎する。我々は, 全ての当事者に対し,設立された三者コンタクト・グループ及び4つの作業部会を通じて,2015年2月12日にミンスクにおいて署名された実施のための包 括措置を含むミンスク合意を完全に履行するよう要請する。我々は,コンタクト・ライン沿いにおける最近の戦闘の増加を懸念する。我々は,全ての当事者に対し,停戦及び重火器の撤去の完全な尊重及び履行を改めて呼びかける。我々は,制裁の期間はロシアによるミンスク合意の完全な履行及びウクライナの主権の尊重に明確に関連されるべきことを想起する。制裁は,ロシアがこれらのコミットメントを履行したときに後退され得る。しかし,我々はまた,ロシアの行動に応じ必要ならば,ロシアのコストを増大させるために,更なる制限的措置をとる用意がある。我々は,ロシアが,分離派武装勢力への国境を越えた支援を停止するとともに,ミンスク合意のコミットメントを完全に履行させるよう分離派武装勢力に対し大きな影響力を行使することを期待する。
 我々は,ウクライナ政府が包括的で構造的な改革を実施するためにとっている措置を賞賛及び支持し,ウクライナの指導部がIMF及びEUのコミットメントに沿って必要な基本的変革を断固として継続することを要請する。我々は,ウクライナが変革を前進させるに当たり,資金的及び技術的な援助を提供するために,国際金融機関及び他のパートナーと協働することに関するコミットメントを再確認する。我々は,キエフのG7大使に対し,ウクライナ・サポート・グ ループを設立するよう求める。その任務は,協調された助言及び支援を通じて,ウクライナの経済改革プロセスを前進させることにある。

〇高水準の原子力安全の達成
 省略
〇ルールを基礎とした海洋秩序の維持及び海洋安全保障の達成
 我々は,とりわけ海洋法に関する国際連合条約に反映された国際法の諸原則に基づく,ルールを基礎とした海洋における秩序を維持することにコミットする。我々は,東シナ海及び南シナ海での緊張を懸念している。我々は,平和的紛争解決,及び世界の海洋の自由で阻害されない適法な利用の重要性を強調する。我々は,威嚇,強制又は武力の行使,及び,大規模な埋立てを含む,現状の変更を試みるいかなる一方的行動にも強く反対する。我々は,リューベックにおいてG7外相が発出した海洋安全保障に関する宣言を支持する。

〇多数国間条約の制度の強化/武器貿易条約
 我々は,多数国間条約及びコミットメントの仕組みを強化する重要性を強調し,この点に関し,2014年12月24日に発効した武器貿易条約の重要性を強調する。

〇拡散の防止及び拡散への対抗
 省略

〇イラン
 我々は,4月2日に,EUによって促進され,EU3+3とイランとの間で到達した,包括的共同作業計画の主要な要素に関する政治的了解を歓迎する。我々は,イランの核計画が専ら平和的な性質のものであることを確保し,イランが核兵器を取得しないことを確保する包括的解決策を6月30日までに実現するための,EU3+3とイランによる継続的な努力を支持する。我々は,イランに対し,イランの核活動の検証に関して国際原子力機関(IAEA) と完全に協力し,軍事的側面の可能性に関連する問題を含む全ての未解決の問題に対処するよう求める。我々は,イランに対し,自国の市民の人権を尊重し,地域の安定に建設的に貢献するよう要請する。

〇北朝鮮
 我々は,北朝鮮による核及び弾道ミサイル開発の継続,並びに甚だしい人権侵害及び他国の国民の拉致を強く非難する。

〇外交的解決への支援
  省略
〇リビア
 リビアにおいて,我々は,テロの脅威の増大,武器の拡散,移民の密出入国,人道上の苦しみ及び国の資産の枯渇について深く懸念する。政治的な合意に至らない限り,現在の不安定性は,リビアの人々自身に痛切に辛く感じ取られている危機を長引かせる恐れがある。統治の及ばない場所への拡大をテロ集団が試み,犯罪のネットワークがリビア経由の正規でない移住を助長することにより状況を利用する中で,リビアの人々は既に苦しんでいる。
 闘いの時は過ぎ,大胆な政治的決定を行う時が来た。我々は,リビアの全ての当事者に対し,この機会を捉え,武器を置き,革命を生み出した願望を民 主主義国家の政治的な基盤に変革するために協働するよう要請する。政治的合意の時は今であり,我々は,対話プロセスを支持し彼ら自身の社会に平和を追求することにより指導力を示してきたリビアの人々を称賛する。
 我々は,ベルナルディノ・レオン国連事務総長特使主導の交渉における全ての当事者による進展を歓迎する。リビアの指導者達は,今,これらの交渉を 妥結し,リビアの人々に説明責任を果たす国民統一政府を形成する機会を捉えなければならない。リビアの人々及び彼らに影響力を有する人々は,合意を達成し実現するため,この決定的な時期に,必要な力強さと指導力を示さなければならない。
 合意に至った際には,我々は,包摂的で代表権のある政府が治安部隊を含む効果的な国家機構を構築し,行政事務を回復し,インフラを拡大し,経済を 強化・再構築・多様化し,テロリスト及び犯罪のネットワークに関わる者を国から追い出そうとする中で,政府に重要な支援を提供する用意がある。

〇イスラエル・パレスチナ紛争
 イスラエル・パレスチナ紛争について,我々は,当事者に対し,カルテットを含む国際社会の積極的な支援を得て,平和的かつ安全な二国家共存に基づき,交渉による解決に取り組むよう要請する。

〇移民の密入国との闘い/難民危機の原因への対処
 我々は,紛争及び人道危機の積み重ね,劣悪な経済面及び環境面の状況,並びに抑圧的体制によって引き起こされた,増加しかつ先例のない世界的な難 民,国内避難民及び移民の流動に著しく悩んでいる。地中海及びベンガル湾/アンダマン海における最近の悲劇は,この現象,特に人身取引及び移民の密入国の犯罪に効果的に対処する緊急の必要性を示している。我々は,移民の密入国の防止及び取り締まりを行い,並びに,国内の及び国境を越えた人身取引を発見し, 抑止し,及び阻止することに関する我々のコミットメントを再確認する。我々は全ての国に対し,ここまで悲劇的な結果を多数の人々にもたらしているこれらの 危機の原因に取り組み,難民及び移民を受け入れている中所得国の独自の発展のニーズに対処するよう要請する。

〇テロ及びその資金調達との闘い
 テロの惨禍は,数え切れない無辜の被害者に影響を与えてきた。テロの惨禍は,寛容,宗教的自由を含めた普遍的な人権及び基本的自由の享受を否定 し,文化遺産を破壊し,並びに数百万の人々を故郷から追い立てるものである。外国人テロ戦闘員の現象を踏まえ,テロと暴力的過激主義に対する闘いは,全ての国際社会にとって引き続き優先課題でなければならない。この文脈において,我々は,ISIL/Da’eshに対抗するグローバル連合の継続的な努力を歓迎する。我々は,このテロ組織を壊滅させ,その憎むべきイデオロギーの拡散と闘うとの我々のコミットメントを再確認する。我々は,その首脳達がエルマウ城における議論に参加したイラク,チュニジア及びナイジェリアを含めて,野蛮なテロ行為に苦しむ全ての国や地域と共に結束する。特に,良い統治及び人権の尊重を促進することにより,インターネットを通じた憎悪や不寛容の拡散を含めた,テロ及び暴力的過激主義の拡散につながる状況に取り組むことは,全ての国及び社会にとっての任務である。我々は,テロ行為を発見及び予防し,国際法に従って責任者を訴追し,犯罪者を更正及び社会復帰させ,並びにテロ資金の調達を防止するために必要な措置を実施する重要性を強調する。
 テロとの闘い及びテロリストへの資金供与はG7にとっての主要な課題である。我々は,迅速にかつ断固として行動し続け,協調した形での行動を強め る。特に,我々はテロリストの資産凍結に関する既存の国際的枠組みを効果的に履行するとのコミットメントを再確認し,G7各国間での国境を越えた資産凍結要請を円滑化する。我々は,仮想通貨及びその他の新たな支払手段の適切な規制を含め,全ての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる。 我々は,金融活動作業部会(FATF)により行われている活動の重要性を再確認し,この活動に積極的に協力することにコミットする。我々は,強固なフォローアップ・プロセスを通じたものを含め,FATFの基準の効果的な履行を確保するために努力する。
 同様に,我々は,世界の幾つかの種を絶滅の寸前にまで追い詰め,場合によっては,組織犯罪,反乱及びテロの資金調達のために利用されている野生動植物の違法取引と闘うことにコミットする。

〇アフリカのパートナーへの支援 
 省略
〇アフガニスタンへの支援
 省略
〇ネパールの復興支援 
 省略
〇保健
 省略
〇エボラ出血熱
 省略 
〇薬剤耐性
 省略  
〇顧みられない熱帯病
 省略

■気候変動,エネルギー,環境
〇気候変動
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書において示されたように,気候変動に対処するために,緊急かつ具体的な行動が必要である。我々は,今年12月にパリで行われる気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において,野心的,強固,包括的かつ変化する国の状況を反映し,国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で全ての締約国に適用される議定書,他の法的文書又は法的効力を有する合意成果を採択するという,我々の強い決意を確認する。(*一部省略)
〇エネルギー
 我々は,2014年にブリュッセルで決定されたエネルギー安全保障の原則及び具体的行動へのコミットメントを再確認し,それ以降にローマG7エネ ルギーイニシアティブの下で達成された進展を歓迎するとともに,これらの実施を継続する。さらに,我々は,持続可能なエネルギー安全保障のための G7ハンブルク・イニシアティブ,特にG7諸国及びその他の国々における持続可能なエネルギー安全保障を更に強化するための追加的な具体的共同行動を歓迎する。
 特に,我々は,ウクライナ及びその他の脆弱国において現在進められているエネルギーシステムの改革と自由化の取組に対する支援を再確認し,エネル ギーを,政治的な威圧の手段,あるいは安全保障上の脅威として用いるべきではないことを強調する。我々は,エネルギー関連の補助金を削減し,エネルギー効率に係わる計画に投資するウクライナ政府の意思を歓迎する。
 加えて,我々は,エネルギーシステムの脆弱性に関する評価の取組を継続する考えである。さらに,我々は,パイプラインガス及び液化天然ガスの双方 を対象とするガス市場の強じん性と柔軟性の強化に取り組む。我々は,多様化がエネルギー安全保障の中核的要素であると考え,エネルギー構成並びに燃料,エネルギー源及び流通経路の更なる多様化を目指す。我々は,エネルギー効率の分野における協力を強化し,エネルギー部門のサイバーセキュリティを強化するための新たな協調的な取組を立ち上げる。そして我々は,他の関心国と共に,再生可能エネルギーとその他の低炭素技術の重要性を強調しつつ,クリーン・エネル ギーの研究,開発及び実証に関する全体的な協調と透明性を高めるべく,協働する。我々は,我々のエネルギー大臣に対して,これらのイニシアティブを進め,2016年に我々に報告するよう求める。

〇資源効率性
 天然資源の保護と効率的な利用は,持続可能な開発に不可欠である。我々は,産業の競争力,経済成長と雇用,並びに環境,気候及び惑星の保護のため に極めて重要と考える資源効率性の向上に努める。我々は引き続き,「神戸3R行動計画」及びその他の既存のイニシアティブに基づき,持続可能な資源管理と循環型社会を促進するためのより広範な戦略の一部として,資源効率性を向上させるための野心的な行動をとる。我々は,自発的に知識を共有し情報ネットワークを創出するためのフォーラムとして,資源効率性のためのG7アライアンスを設立する。附属書に記載されたとおり,アライアンスは,資源効率性によって提供される機会を進め,ベスト・プラクティスを促進し,イノベーションを強化するため,産業界,中小企業,その他関連するステークホルダーと協力する。我々は,革新的な官民連携を通じた協力を含め,資源効率性に関して開発途上国と協力する利点を認識する。我々は,国連環境計画(UNEP)国際資源パネルに対して,資源効率性のための最も有望な可能性潜在力と解決策を強調した統合報告書を準備することを求める。我々はさらに,OECDに対して,統合報告書を補完する政策指針を作成することを招請する。

〇海洋環境の保護
 我々は,海洋及び沿岸の生物と生態系に直接影響し,潜在的には人間の健康にも影響し得る海洋ごみ,特にプラスチックごみが世界的課題を提起してい ることを認識する。したがって,海洋ごみ問題に対処し,この動きを世界的なものとするため,より効果的で強化された取組が求められる。G7は,陸域及び海域に由来する海洋ごみの発生源対策,海洋ごみの回収・処理活動並びに教育,研究及び啓発活動の必要性を強調しつつ,附属書に示された,海洋ごみ問題に対処する上で優先度の高い活動と解決策にコミットする。
 我々G7は,国の管轄権の及ぶ区域の境界の外の深海底鉱業とそれが与える機会に対する関心の高まりに留意する。我々は,国際海底機構に対して,全 ての関連するステークホルダーを早期に関与させつつ,開発途上国の利益を考慮しながら,持続可能な深海底鉱業のための明確で,効果的かつ透明性のある規範作りのための作業を継続するよう要請する。主要な優先事項には,投資家のために規制の確実性と予見可能性を整備すること及び,深海底鉱業により生じ得る有害な影響からの海洋環境の効果的な保護を強化することを含む。我々は,深海底鉱業活動において予防的アプローチをとること,並びに環境影響評価及び科学的調査を実施することにコミットする。

 ■開発
〇持続可能な開発のためのポスト2015年アジェンダ
 2015年は国際的な持続可能な開発課題にとって節目となる年である。アディスアベバでの第3回開発資金国際会議,ポスト2015年開発アジェンダを採択するためのニューヨークでの国連サミット及びパリでの気候変動会議は,今後の地球規模の持続可能な開発及び気候変動の課題を定める。
 我々は,持続可能な開発の,環境,経済及び社会という3つの側面を均衡ある形で統合する,野心的で,人間中心で,地球に配慮した,普遍的に適用される持続可能な開発のためのポスト2015年アジェンダを達成することにコミットする。
 このアジェンダは,ミレニアム開発目標の残された課題を完了させ,極度の貧困を終焉させ,誰も置き去りにせず,不平等を削減し,持続可能な経済へ の世界的な移行を加速させ,天然資源の持続可能な管理を促進し,平和,良い統治及び人権を強化すべきである。全ての国において,全ての国とステークホルダーによる適切な行動を動員するために,我々は,重要な政策メッセージの作成と伝達を支持する。我々は,2030年までに極度の貧困を終焉させ,持続可能な開発に移行するという我々の共通の目標に向けた,普遍性,共有された責任,相互の説明責任,効率的で効果的なモニタリングとレビュー及び様々なステークホルダーを巻き込んだアプローチに基づく新たなグローバル・パートナーシップの構築にコミットする。
 この新たな変革のアジェンダの促進を後押しするため,我々は,国際保健,食料安全保障,気候・海洋の保護,持続可能なサプライ・チェーン及び女性の経済的能力強化に関する重要な手段にコミットしている。
 我々は,国内資源の動員,革新的資金調達,民間からの資金調達,政府開発及びその他の援助並びに野心的な政策枠組みを含め,資金的・非資金的実施手段の促進を支援することに共にコミットする。
 我々は, ODAやその他の国際公的資金が,開発のためのその他の資金源の触媒として,また補完するものとして果たす重要な役割を再確認する。我々は,国民総所得 (GNI)に対するODA比0.7%目標や,後発開発途上国に対するODAの減少傾向を逆転させ,ODAを最も必要とする国により多く振り向けるなどの我々それぞれのODAのコミットメントを再確認する。我々はまた,民間資金の流れを奨励することにコミットする。

〇食料安全保障
 良い統治,経済成長,より良く機能する市場及び研究・技術への投資は,国内及び民間部門の投資の増加並びに開発援助と併せ,食料安全保障の強化と栄養の改善に共に貢献してきた。
 パートナー国及び国際的な関係者が関与する広範な取組の一部として,またポスト2015年開発アジェンダに対する大きな貢献として,我々は,2030年までに開発途上国における5億人を飢餓と栄養不良から救い出すことを目指す。附属書に記載された食料安全保障及び栄養に関する広範なG7開発アプローチは,これらの目標に相当程度貢献する。我々は,ダイナミックな農村の変革を支援し,責任ある投資と持続可能な農業を促進し,栄養に関する多分野にわたるアプローチを促進するための取組を強化し,紛争・危機の際の食料安全保障及び栄養を守ることを目指す。我々は,パートナー国の戦略と整合させ, 開発効果を改善し,我々の進捗に係る透明性のあるモニタリングを強化し続ける。我々は,我々の行動が女性及び小規模・家族農家の能力強化を続けるとともに,持続可能な農業・フードバリューチェーンを推進し,支援することを確保する。我々は,2015年ミラノ国際博覧会(「地球に食料を,生命にエネルギー を」)と,持続可能な農業並びに世界の飢餓及び栄養不良の撲滅に対する同博覧会の影響を歓迎する。

〇女性の経済的な能力強化
省略
〇複雑な契約交渉の支援強化(CONNEX)
省略
〇ドーヴィル・パートナーシップ
省略 
〇G7説明責任
省略
〇結語
 我々は,日本議長の下,2016年に会合することを楽しみにしている。 ≫(以上、外務省公式サイトより抜粋)

オオカミがいないと、なぜウサギが滅びるのか
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集英社インターナショナル


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●安倍は“米・国益代行業者” 中露は米に任せよ、お前は中東だよ!

2015年06月16日 | 日記
危機を突破する力 これからの日本人のための知恵 (角川新書)
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KADOKAWA/角川書店


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●安倍は“米・国益代行業者” 中露は米に任せよ、お前は中東だよ!

失われた20年、30年と言われる日本では“閉塞感”で国民の精神は病んでいた。そのような国に、宗主国アメリカの無駄吠えに等しい“普遍的欧米価値観”保持のために、是非、一緒に戦わせてくださいと云う政権が出来たのだから、実際は“晴天の霹靂”のはずである。本来であれば、与党側の理念誤謬、運営ミスが重なっているのだから、野党にとって千載一遇のチャンスなのだが、そのチャンスを生かすどころか、そんな与党に塩を送りつける野党が出てくる始末。“因幡の白うさぎ”のような状況の日本である。

ただ、安倍晋三が“戦争も出来る普通の国”を嗜好品のように好んでいると云う客観的事実に基づいて、オバマ政権と日米安保マフィアが「不愉快で、生意気な歴史修正主義者だが、国益のためには、その性癖を利用しよう」と結論づけたのだろう。ホワイトハウスが考える「米国の国益」は1、中露包囲。2、金融緩和の肩代わり。3、自由貿易の促進だろう。1は日本に中露包囲の軍事的役割を担わせると、感情が劣化した政権なので危険すぎる。中露包囲は米国中心のNATOが行い、手薄になる中東関連で「世界の警察官代行」の任に就けると、アメリカ人の犠牲も少なく、予算的にも非常に助かる。

次に、アメリカが行ってきた国力を限界まで低下させた金融緩和は、絶対に停止しなければならない。しかし、グローバル自由経済を守るためには、どこかが米国金融緩和を代行する国が必要になる。それは、世界広しと云えど、日本しかないだろう。であれば、日本株を吊り上げ、景気の良さを醸す目的で、金融緩和を押しつければ良い。つまり、軍事力は中東で行使させよう。マネー製造を日本に代行させよう。出来たら、TPPの成立で、米国の金融サービス産業や医薬産業、農業生産物の自由化。著作権関連の権利の拡大を得ようではないか。

つまり、世界の警察官業務の35%前後を日本に代行させる。それも、どうも上手く行かない中東で。安倍政権も日銀も、パフォーマンスとして自己利益にも繋がるので、無尽蔵の金融緩和は二つ返事で飛びつく。為替の状況で、韓国などが酷い目に遭うが、随分良い思いをさせた後なのだから、文句は言わせない。西側諸国の経済発展に、マネー供給は欠かせない。今までアメリカが頑張っていたのだから、今度は日本の番だ。3のTPPは今ひとつ思い通りに行っていないが、国益3大の内、二つに安倍政権が協力したのだから、国賓扱いにしてやろうじゃないか。そういう大きな流れの中に、現在の日本はあるようだ。

現時点で、このアメリカの国益目標達成は、ほぼ成功している。安倍も自らの力で、戦争が出来る普通の国に、戦後初めて挑戦し、それを実現させた首相であると云う白昼夢に酔いしれている。しかし、この一連の流れは、アメリカの国益に沿った動きであり、得るものは得るが、欧米価値観に反逆するような歴史修正主義の部分を見逃すつもりはない。単に、安倍と云う男は、鳩山を凌ぐ、「驚くべきルーピー」でアメリカ国益の代行をさせているだけで、流れが確立された時点で、用無しになった、それら人脈は潰すことが仕上げと云うことだ。アメリカ国益代行の安倍に気づいて、田原総一朗もアーミテージとナイが言ったことと同じことを安倍はしているだけとコラムに書いていた。



≪ 安保関連法案は「第3次アーミテージ・ナイレポート」の要望通り?
 今国会の焦点となっている安全保障関連法案について、安倍内閣は審議を早く進めようと必死になっている。
 ところが6月4日、衆院憲法審査会に識者として呼ばれた憲法学者3人が全員、「集団的自衛権は違憲だ」としてノーを突きつけたため、政府は違憲論を封じるため躍起になっている。

■安保関連法案は「これまでの定義を踏み越え、憲法違反」
 自民党、公明党、次世代の党が推薦した早稲田大学法学学術院教授の長谷部恭男氏は、「集団的自衛権の行使が許されることは、従来の政府見解の基本的論理の枠内では説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがすもので憲法違反だ」と述べた。
 民主党が推薦した慶応義塾大学名誉教授で改憲論者として知られる小林節氏は、「仲間の国を助けるため海外に戦争に行くことは、憲法9条に明確に違反して いる」と述べた。また、小林氏は戦争を強盗にたとえて、「長谷部先生が銀行強盗して、僕が車で送迎すれば、一緒に強盗したことになる。露骨な戦争参加法案 だ」と批判した。
 さらに維新の党が推薦した早稲田大学政治経済学術院教授の笹田栄司氏は、「内閣法制局は自民党政権と共に安全保障法制を作成し、ガラス細工と言えなくも ないが、ギリギリのところで保ってきていた。しかし、今回の関連法案はこれまでの定義を踏み越えており、憲法違反だ」と述べた。

 ■日本は一流国か二流国かを問うた「アーミテージ・ナイレポート」
 小林氏によれば「日本の憲法学者は何百人もいるが、(安保関連法案が違憲ではないと言う人は)2、3人しかいない」という。それほど「学説上の常識、歴 史的常識」であるにもかかわらず、安倍政権はなぜ、安保関連法案は「憲法に適合するものだ」という見解をまとめ、法案の早期成立を急ぐのか。
 その根拠とも考えられるのが「第3次アーミテージ・ナイレポート」(The U.S.-Japan Alliance――anchoring stability in asia)だ。
 これは、米国のリチャード・アーミテージ元国務副長官とジョセフ・ナイ元国務次官補(ハーバード大学特別功労教授)を中心とした超党派の外交・安全保障研究グループが2012年8月15日に公表した報告書である。
 海上自衛隊幹部学校・戦略研究グループがウェブサイトで「第3次アーミテージ・ナイレポート」の概要について紹介している。
 レポートでは、「同盟の漂流」というキーワードを使いながら、「世界で最も重要な同盟関係である『日米同盟』が瀕死の状態にある」とする。
 そして、「日本が今後世界の中で『一流国』であり続けたいのか、あるいは『二流国』に甘んじることを許容するつもりなのか」と問いかけ、「一流国」であり続けようとするのなら、「国際社会で一定の役割を果たすべきである」という見解を示している、というのだ。

 ■自衛隊の「時代遅れの抑制」とは何か
 レポートでは、自衛隊について「日本で最も信頼に足る組織である」と評価する一方で、自衛隊の「時代遅れの抑制」を解消することが大事だと説く。
 「時代遅れの抑制」の解消とは何か。私の解釈では、それは「専守防衛と一国平和主義を見直せ」ということだろう。
 日本は防衛上の必要があっても相手国に先制攻撃は行わず、攻撃を受けてからはじめて軍事力を行使するという「専守防衛」を基本の考えとしている。また、日本は他国への軍事介入を否定し、いわば一国平和主義でやってきた。
 この専守防衛と一国平和主義が「時代遅れの抑制」であり、それを解消すべきだというのだろう。日本は、世界のことに関心を持ち、きちんと発言し、必要な行動をすべきだとレポートは指摘している。
 そしてまさに今、国会で審議されている安保関連法案はレポートのテーマに沿った内容になっているといってもいいのだ。
 レポートには突然、「ホルムズ海峡」と「南シナ海」の二つの言葉が出てくる。ともに日本へ石油エネルギー資源を輸送するルートであり、日本の安全と安定に深刻な影響を及ぼす地域だという指摘だろう。

 ■ホルムズ海峡への掃海艇を日本は単独で派遣せよと「レポート」
 今回の安保関連法案で安倍内閣は「周辺事態法」を「重要影響事態法」に変えようとしている。1999年、小渕内閣のときに成立した「周辺事態法」は、朝鮮半島など日本周辺地域で有事が起きた際に自衛隊も行動するというもので、地理的な制約がある。しかし、新しい「重要影響事態法」によって、自衛隊の活動 範囲は地球規模に拡大されることになる。
 なぜ安倍内閣は「ホルムズ海峡での掃海作業」を言い出したのか。「第3次アーミテージ・ナイレポート」を読むと、はっきりと「イランがホルムズ海峡を封 鎖する意図もしくは兆候を最初に言葉で示した際には、日本は単独で掃海艇を同海峡に派遣すべきである」と言及しているからだ。それを実現するには、「周辺事態法」を改正して地球の果てまで行けるようにせざるを得なかった、ということが改めてよくわかる。
 レポートは日本の「武器輸出三原則の緩和」についても指摘している。「米国は、『武器輸出三原則』の緩和を好機ととらえ、日本の防衛産業に対し、米国のみならずオーストラリアなど他の同盟国に対しても、技術の輸出を行うよう働きかけるべきである」というのだ。
 そして、レポートの原文を読むと、驚くことに集団的自衛権については、「集団的自衛の禁止は同盟の障害である」(Prohibition of collective self-defense is an impediment to the alliance)と言い切っている。
 安倍内閣は集団的自衛権を行使できる要件として、2014年7月に「武力行使の新3要件」を閣議決定した。日本の存続が危うくなった場合に武力行使でき るというものだが、これは個別的自衛権の延長で解釈できるものであり、わざわざ集団的自衛権と断ることはないのではないか。

 ■集団的自衛権の行使容認は米国側の要請と考えられる
「武力行使の新3要件」は次の通りだ。
【 武力行使の新3要件 ○我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること ○これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと ○必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと 】

  私は、安倍晋三首相や中谷元・防衛相の国会答弁を聞いても、なぜ集団的自衛権の行使をいま認める必要があるのかわからなかったが、その理由が米国か らの要請に応えるためだったということならそれなりに理解できる。つまり、集団的自衛権の行使容認は、日本側の発想でなく、米国が日本に要請したものだっ たと考えられるからだ。
 さらにレポートは、国連平和維持活動(PKO)についても、「さらなる参加のため、日本は自国PKO要員が、文民の他、他国のPKO要員、さらに要すれば部隊を防護することができるよう、法的権限の範囲を拡大すべきである」と指摘する。
 これは今審議されている「国連平和維持活動(PKO)協力法改正案」につながる指摘と受け止めることができるだろう。  私は「第3次アーミテージ・ナイレポート」を読んで、安保関連法案の主要な項目がレポートで指摘された内容であることを知り、改めて驚いた。

 ■政府は自衛隊のリスクを国民にきちんと説明すべき
 安保関連法案は「その内容があいまいだ」「憲法に違反する」と野党が猛反対しているが、日本は今、周辺地域への対応を現実には問われている。
 異常なまでに軍事力を拡大している中国は、南シナ海において岩礁の埋め立て作業を7カ所で進めており、フィリピンをはじめとするアジアの国々との緊張が高まっている。米国や欧州連合(EU)も海洋権益を拡大する中国を批判する姿勢を強めている。
 戦争は何がきっかけで起きるかわからない。どの国も戦争をしたいとは思っていない。しかし、もし南シナ海で有事が起きたとき、日本はどうするのか。中国 の強引な権益拡大にノーと言い、それなりの行動をとるのかどうか。それが今、問われている。米国は日本も行動しろと要請しているのだ。
 現在の日米関係を考えれば、日本は米国の要請を断ることはなかなかできないだろう。しかし、たとえ米軍の後方支援をするにしろ、自衛隊のリスクが高まることは避けられない。
 ところが、安倍首相は限定的な集団的自衛権の行使だから「米国の戦争に巻き込まれることは絶対にありえない」との主張を繰り返し、中谷防衛相も自衛隊のリスクを認めようとしない。
 政府は自衛隊の背負うリスクが高まることを国会できちんと説明し、国民の了解を得るべきではないか。それをあいまいにしているから、世論調査で安保関連 法案について「わからない」と答える人が多数いるのだ。もし自衛隊にリスクを背負わせることになるのなら、政治家にも国民にも覚悟が必要なのだ。 ≫(日経Bizアカデミー・トレンド ・ 田原総一朗の政財界「ここだけの話」)

新聞と日本人 (祥伝社新書)
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●民主党は終わっている政党だ 維新に縋る=安倍に縋る

2015年06月15日 | 日記
新・自衛隊論 (講談社現代新書)
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講談社


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●民主党は終わっている政党だ 維新に縋る=安倍に縋る

嗚呼、岡田は駄目だ。こと此処に至っても、民主党と維新が連携すれば、国民の信が戻ってくると云う考えにしか及ばない。昨日の小沢一郎の「野党統一名簿」というシロモノも時代感覚としてピントがずれている。一年前なら、このような意見でも、通用したかもしれない。しかし、安倍政権の集団的自衛権を振りまわす方向性に、半分是々非々で対応しようなどと云う中途半端な姿勢で、物事がひっくり返せる状況ではなくなっている。

おそらく、既存の政党で一定の範囲で安倍ファシズム政権に対抗できるのは「共産党」だけだろう。対抗の手段がどうであれ、ガチンコ勝負が期待できる。流石に、筆者は「共産党」が日本の2大政党の一翼になって欲しいとは思っていないので、個人的には困る(笑)。ただ、現時点の既存政党では共産党しか対峙力を有していない。国民の目には、自民党も民主党も維新の党も“同じ穴の、各階に住んでいるムジナ”であって、現在の日本の利権構造にまみれた戦後システムを壊す気はさらさらない連中だ。

筆者は、フォーラム4が未知数な分だけ、期待している。少なくとも、安保法制をガラガラポンする勇気と云うか、命知らずなのは古賀茂明だけだろう。古賀であれば、霞が関改革は乱暴に着手し、その手順においても民主党の二の舞は踏まないだけの知恵と情報がある。経済政策では、未だ「経済成長」の重きを置いているが、これは現実を知ることで変わっていくだろう。原発を断固中止して、再生エネルギー分野の産業に力点を置くことで、日本の生き方に、地域の共同体のイメージも変わってくるだろう。

この「日本の閉塞感」だけでも国民はウンザリしているのに、戦争がしたいよ政権なのだから、かなり重篤な状況だから、一点突破を旗印に攻め込めば、意外に霞が関機構が弱い事もあり得る。明治以来、この官僚機構に面と向かって対峙した政治家はいない。政党もない。チョッと半端に弄ろうとした、鳩山一郎も、石橋湛山も、橋下も、鳩山由紀夫も潰された。序でのように小沢一郎まで半死半生の目に遭わされた。古賀がフォーラム4を通じて、霞が関瞬間崩壊のシナリオを描ければ、もっとも期待できる政治集団になるだろう。

≪ 維新との共闘に努力=岡田民主代表
民主党の岡田克也代表は14日、前橋市で講演し、安全保障関連法案の成立阻止に向けた維新の党との共闘について、「いろんなことはあっても、広い気持ちで協力関係を築ける努力をする。その度量と力が民主党に求められている」と述べ、粘り強く努力する考えを示した。
  国会では与野党が対立する労働者派遣法改正案をめぐり、廃案を掲げる民主党と、与党に協力的な維新の溝が深まっている。岡田氏は与党が同改正案を12日に 採決しようとしたことに触れ、「残念ながら野党の一部もかんでいた」と維新を批判しながらも、「(野党が)対立ばかりしていても国民の信頼は得られない」 と強調した。 ≫(時事通信)

 ≪ 安倍首相、橋下氏と会談=安保で維新に協力要請か
 安倍晋三首 相は14日夜、維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長と東京都内のホテルで約3時間、夕食を共にしながら会談した。首相は、最重要課題と位置付ける安全保障関 連法案の今国会成立に向け、橋下氏との直接会談で維新の協力を要請したとみられる。維新は既に労働者派遣法改正案で与党に協力姿勢を示しており、維新の今 後の対応次第では野党の足並みの乱れが拡大しそうだ。
 首相と橋下氏の会談は、今年5月の大阪市住民投票で大阪都構想が否決され、橋下氏が政界引退を表明して以降は初めてで、2013年12月以来。菅義偉官房長官と維新顧問の松井一郎大阪府知事も同席した。会談後、橋下氏ら出席者は記者団の質問に無言だった。
  維新は、安保法案が規定する自衛隊の海外活動への制約を厳しくする内容の対案を提出する方針で、自民党が前向きな修正協議に応じる可能性がある。維新は派 遣法改正案への対応でも、廃案を目指す民主党とは距離を置いている。首相はこうした状況を踏まえ、維新との連携を深めて野党陣営の分断を図る構えだ。 
 一方、橋下氏側は、都構想に自民党大阪府連が反対する中、首相や菅長官が事実上支持したことを評価している。大阪市を残したまま行政区の権限を強化する「総合区」制度の導入に理解を求めたとみられる。 ≫(時事通信)

ヒトラー対スターリン 悪の最終決戦 (ベスト新書)
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