世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●偽装された普遍的価値 アメリカン・ドリームの崩壊

2018年11月12日 | 日記
異端の時代――正統のかたちを求めて (岩波新書)
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岩波書店

 

トランプのアメリカに住む (岩波新書)
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岩波書店

 

アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年 (中公新書)
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中央公論新社


●偽装された普遍的価値 アメリカン・ドリームの崩壊

欧米が創りあげた民主主義と資本主義が、いま悲鳴を上げてのたうち回っている。マネーの奴隷と目される市場原理主義経済は、本来の資質通り、善悪や正義不正義、人道的見地‥等、公式な民主主義の定義に含まれている本質論には目もくれず、地球上を剥き出しの欲望のまま闊歩している。この自由な闊歩がグローバリズム経済により極大化されたと云うのが、最近の現状だろう。マネーの奴隷として象徴的に見られるのが企業であるとすれば、民主主義を持たない企業群に自由な活動環境を提供する国家と云うものは、結果的に、自発的なマネーへの従属を意味する。

昔の社会科の教科書には、企業には社会的使命が実存するかのように教えていたが、最近の企業を見る限り、この言説は嘘くさい。マネーの悪癖に振り回された市場原理主義な世界にある企業群には、社会的使命を果たす余力は奪われてしまったと考えるべき時代になった。国境なき経済活動を推進するグローバリズム経済と云うものは、国境のある経済活動の限界から生まれた鬼子のようなもので、マネーの欲望を極大した姿なのだ。しかし、このグローバリズム経済もフロンティア地域(今までは中国)で行き止まりを迎えている。

なぜ行き止まりなのかと言えば、グローバル経済(マネー)のご馳走であったフロンティア地域(中国)が、或る時点から共産党独裁の国家資本主義の担い手として成長した。フロンティア地域だと思い込んでいた中国が、いまや、市場を提供するばかりではなく、生産拠点となり、グローバル経済の良いとこ取りに成功した。尚且つ、その国家主義的経済の推進力を利用して、近隣諸国までも呑み込む経済活動区域(一帯一路)を拡大させるに至った。グローバル経済で良い思いをしていた国際金融(マネー)は虚を突かれたと云うべき状況になった。これが現状だ。

たしかに、一党独裁国家主義体制の下で、意思決定と責任が各企業に任されている自由主義企業群の経済活動と勝負するのだから、同じ土俵に乗っているとは言えない。ましてや、その国家資本主義が、実力に裏打ちされている場合、その勝負は自ずと知れる。国家資本主義国の勝利だ。中国と云う国家の実力がホンモノだと周辺国が思い込めば思い込むほど、その活動は波に乗る。おそらく、習近平の一帯一路構想にEU、ロシア、ASEANが乗り気になる気持ちも判る。安倍首相率いる日本でさえ、一帯一路への参加を表明するに至っている。現実、筆者は、諸手を上げて、中国の実力を信じていいものかどうか判断はつかない。

それよりも、中国の実力を推し測る代りと言ってはなんだが、日米欧などのグローバル企業群の動きに注目した方が賢明だろう。つまり、彼らの多くは、米国の市場を失ってでも、中国の市場を欲している動きが強く見られる。或る意味で、一帯一路の市場を、中国と共に分け合いたいと手もみしているようにさえ見える。しかし、これら企業群のマネーの多くは、米国ウォール街や英国シティー派生のものである。この点が、話を複雑にするのだが、マネーが自国に相当する英米の市場から遠ざかろうとしているのだ。マネーが、巣食う肉体を変えようとしている。

事実問題として、肉体の主である米国では、トランプ大統領による孤立主義が鮮明化しているのだ。格差や差別を美辞麗句で覆い隠す、偽善的民主主義を捨て、現存する醜悪な差別や格差を鮮明化すること、事実を事実として映像化してしまう、欲望剥き出しの民主主義と米国一国主義の米国を作ろうとしている。かなりの点で、グローバル経済からの撤退である。そして、個別的な利権を主張する傾向を鮮明にしている。おそらく、この状況が続けば、日欧等の企業による、米国市場へのアクセスは限定的にならざるを得なくなる。

このような状況は、米国経済の収縮を意味するわけで、限定的だが覇権の揺らぎにも繋がることになる。米国の揺らぎの分だけ、覇権の流れは中国に向かうわけだ。もし仮に、米国が同様の政策を取り続ければ、米中と云う、新たな東西冷戦構造を、意図的に再構築することになる。意図的にと言ったが、レーガン政権以降の米国経済は、紆余曲折はあったものの、中間層を失いながら、格差を拡大させ、辛うじて世界NO1の経済力を維持してきたが、経済活動の無理が、重大な格差を抱え、国民を分断するに至っているようだ。

つまりは、レーガン時代のプラザ合意以降、結局、米国の経済的ヘゲモニーは終焉に向かっていたことになる。トランプ大統領が、経済的ヘゲモニーを投げ捨てた大統領のように言われるのは少々気の毒で、格差と云うおもりを課された大統領と解釈する方が、公平なジャッジではないのだろうか。ただ彼は、その格差の鮮明化によって、大統領の岩盤支持層を纏めきると云う手法を使っていることが悪徳保安官のように見えるだけで、米国の弱点を晒して、世界に吠えているわけだが、単に悪者を一手に引き受けただけで、トランプ大統領のみの責任ではなく、レーガン以来のツケを、いま世界に晒しているに過ぎないと云うことだ。

このようなに、米国トランプ大統領や米国の格差状況をみた後で、先進国の「普遍的価値」等と云う言葉が、如何に空疎な言葉であったか、安倍晋三に聞いてみたいところだが、安倍は、今の米国も「普遍的価値」を共有している国だと思い込んでいるかもしれない。いや、「普遍的価値」なんて言葉は、カッコ良いから使っただけで、普遍的の意味すら知らない可能性がある。まぁ、いずれにせよ、米国が経済的ヘゲモニー競争から脱落することは時間の問題になってきた。ただ、軍事的ヘゲモニーは離さない点が気がかりだ。

経済における失地回復に、優位に立つ軍事を使わない保証がないことだ。米国と云う国は、CIAを通じて、世界の多くの国家の政府に干渉し、時には裏技で、政府転覆を得意技にしてきた国なのだ。ゆえに、何をするか判らないと云う裏の顔で、世界に睨みを利かせてきた覇権国だけに、どこに火をつけるか判ったものではない。シリア(IS誕生)、イランに限らず、香港、台湾、中国・新疆ウイグル自治区等々、CIA工作からは目を離せない。日米同盟の見直しを考えていた日本の政治家が早期に潰された姿も印象的だ。しかし、トランプ政権下だからこそ、日米同盟を見直す好機のように筆者には見えてくる。

いまだに、北朝鮮への米軍攻撃も可能性を残しているわけなので、現時点で言い出すわけにはいかないが、朝鮮戦争の終結が宣言された時がチャンスに思える。米軍への経済的支援を増額してでも、沖縄の基地負担軽減を計るべきで、玉城デニーが知事である間に、間隙をついて、トランプ大統領に直談判をして、日本政府の尻を突いて貰えれば、トランプ大統領の独裁も悪いものとばかりは言えないだろう。いずれにせよ、状況判断が難しい世界に突入した。まさに「Gゼロの世界」だ。


自由市場の終焉―国家資本主義とどう闘うか
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日本経済新聞出版社

 

知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた (講談社現代新書)
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講談社

 

FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実
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日本経済新聞出版社

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●「Gゼロ」の混乱 G20、唯一の民主国家・日本?

2018年11月09日 | 日記
対立の世紀 グローバリズムの破綻
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日本経済新聞出版社

 

ルポ 漂流する民主主義 (集英社新書)
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集英社

 

異端の時代――正統のかたちを求めて (岩波新書)
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岩波書店


●「Gゼロ」の混乱 G20、唯一の民主国家・日本?

以下は『Gゼロ時代』を論じたイアン・ブレマー氏への朝日新聞のインタビューだ。筆者の知るかぎり、同氏の世界観が特に優れたものとは思わないが、朝日新聞が、彼にインタビューしたことに、何らかの意味があるのかと深読みしてみたが、意図は曖昧なままだった。

ブレマー氏は論の中で、≪日本は「先進国のなかで例外的にポピュリズムの台頭から免れている。きちんと機能している世界最大の民主主義国だ」と評価した≫、この発言を読んだ筆者は、背中に虫が入ってしまったように、如何ともしがたい思いを抱いた。この発言に、朝日新聞は特別な論評を加えず、ありのままに掲載していることには、違和感をおぼえた。
先ずは、以下のインタビュー記事2本を読んでいただこう。


≪ イアン・ブレマー氏インタビュー
 ■「Gゼロの混乱、想像よりひどい」米政治学者ブレマー氏
 米政治学者のイアン・ブレマー氏(ユーラシアグループ社長)は朝日新聞などの取材に応じた。米国が保護主義的な行動で国際社会での役割を低下させている現状について「日本にとって非常に悪い状況だ」と分析。日米関係も悪化に向かうと予測した。
 ブレマー氏は「世界がリーダー不在の『Gゼロ時代』に入った」と以前から主張してきた。トランプ米大統領が、Gゼロに向かう世界の潮流を加速させたと分析し、「Gゼロのもたらす混乱は想像よりはるかにひどかった」と述べた。
 通商問題をめぐる米国の孤立ぶりが際だった6月上旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)については「過去最悪のG7だった」と振り返った。「日本は米国が主導する多国間の制度から利益を得てきたが、その米国が弱まる一方、中国が強力になりつつある」と、日本を取り巻く環境は悪くなりつつあると指摘した。
 トランプ氏が「二国間の貿易協定」を求める姿勢を崩さず、日本からの輸入車への高関税措置もちらつかせていることに触れ、日米関係は「今後悪化する」と分析した。
 一方で、日本については「先進国のなかで例外的にポピュリズムの台頭から免れている。きちんと機能している世界最大の民主主義国だ」と評価した。中国との軍事的な競争は得策ではないと述べ、ソフトパワーの強化や、インドや東南アジアとの連携が重要だと訴えた。(ワシントン=青山直篤)

■リーダー不在のGゼロ時代「日本こそ指導役に」 米学者
 米中の対立が激化し、各地で戦後国際秩序の基盤となってきた民主主義が揺らぐなか、世界の秩序は大きく変わりつつある。米国際政治学者のイアン・ブレマーさんは、リーダーとなる国が存在しない「Gゼロ」を予測した。10月に来日したブレマーさんに世界の現状と日本の役割を聞いた。 ――世界の現状をどう見ますか。
 「今は『地政学的不況』下にある。第2次世界大戦以来、経済不況は7年おきくらいに訪れ、我々は経済不況から脱するのにどういう手段があるか、ある程度理解している。2018年も世界が一堂に会し、『我々に違いもあるが、不況は望まない。景気刺激の救済策で連携する必要がある』と声をあげた。だが、地政学的秩序はゆっくり変化し、より危険だ」
 「米国が主導した世界秩序が終わり、世界から飛び込んでくるニュースを見れば、米国は同盟国の反対にもかかわらずイラン核合意から離脱し、サウジアラビアはトルコでジャーナリストを殺害。ロシアはあらゆる国にサイバー攻撃し、選挙の妨害を試みる。中国は国際刑事警察機構トップを拘束する。明らかに秩序が崩壊していることを示している。国際機関やリベラル民主主義が弱体化しているのに、リーダーが集まってもそれをどう修復するか議論もしていない」

 ――トランプ米大統領をはじめ、反グローバリズムをアピールする指導者が増えてきました。

 「四つの理由がある。第一は、先進工業民主主義国で中産階級が置いてきぼりにされている。第二は、特に欧州でそうだが、移民の流入を好まず人口構成が変わるのに反感を持つ。第三は、米国が牽引(けんいん)した戦争にかり出される貧しい人々の反発。最後はソーシャルメディアの発達。自分好みや同意できることのみを提供するアルゴリズムによってニュースや政治情報を得る人々が多くなったことだ。最後の技術やソーシャルメディアはこの5年間で起きたもので、最も影響が大きい。二極化に拍車をかけ、ポピュリズムや過激主義の台頭を生んでいる」

 ――日本の政治情勢をどう見ていますか。

 「Gゼロの唯一の例外は日本。人口減少で1人当たりの所得は悪くない。日本は移民をさほど受け入れず、反移民感情も低い。日本は戦争に反対し、軍を戦地に送らず問題を抱えていない。ソーシャルメディアについても、日本の利用者は人口の39%に過ぎず、大人はあまりそれを好まない。世論調査によれば、日本人はまだ新聞や雑誌を信用しており、ソーシャルメディアを信用していない」
 「欧米がリベラル民主主義の危機に直面しているなかで、日本はリベラル民主主義が機能している事例となっている。多様性は共に協力し、相互交流して何かを構築する時には強みになるが、互いに交わらず、別々の場所から情報を得る時、多様性は弱みになる」
 「日本は自分たちのモデルを宣伝していないが、危険な状態に突入する可能性がある世界で、それは日本にとっても好機であるばかりか、責任がある。リベラル民主主義が崩壊するなか、日本が国際的に発信しなければ、それは非難に値する。日本がすべきことは多く、IMF(国際通貨基金)やWTO(世界貿易機関)のような国際機関を守るため、さらに活発な指導的役割を果たさなければならない。これまではあまり好まなかったのかもしれないが、日本の外交力で声高に主張すべきだ」

 ――米中関係をどうみますか。

 「米中では二つのことが起きている。これまで米国民が中国を気に留めていなかったような様々な問題で、中国がさらに強力になってきていることと、両国がウィンウィンの関係からゼロサムの競合に軸足を移している。これらが組み合わされると非常に危険だ」

 ――国際社会で日本はどう振る舞うべきですか。

 「安倍晋三首相はトランプ氏に好意を持っているように随分と振る舞っているが、2人の関係はうまくいっていない。日本人は礼儀正しく、争いを避けるのがうまいが、それは実際の友情とかけ離れている。トランプ氏は他国の指導者のことなど気にもかけず、米国の長期的方向性も気にしない。ほとんどの政治家は、ある程度自己陶酔的になるが、彼のレベルは過去の大統領と比べものにならない」
 「安倍首相が憲法改正や日本の軍事力構築を推し進めるのは、よい考えではない。日本が不必要に脅威とみられる。多くの米国の外交専門家は来日すると『日本には強力な軍事力が必要だ』と発言するが、それは日本に聞こえのよいことを言っているからで真実ではない。もし日本が賢いのなら、大きなシンガポールのような国になるべきだ。脅威とも見られず、米中双方とうまくやることだ」
 「サービスやインフラ、高齢者の健康管理など、日本には中国が必要とする優れた物がたくさんある。米中関係が窮地に陥れば、日本は米国に付かざるを得ず、軍事や技術協力、経済貿易の側面から、その選択の余地はない。(中国に)敵対姿勢を示したいと思わないのなら、米中関係が悪化しないよう望むべきだ」(聞き手・佐藤武嗣、清宮涼)
 ≫(朝日新聞デジタル)


安倍官邸にも出入りしている同氏の論を、ここまであけすけに朝日が報じるのは何なのだろう?どうしても、考えたくなる。敢えて、ブレマー氏や朝日が、何を言わんとしているのか、彼らの罠に嵌ることで、考えを巡らしてみたいものである(笑)。筆者が気にかかる点は、同氏が好んで使う『リベラル民主主義』と云う言葉だ。世界で起きている社会・政治現象を、個別に見ていけば、その一つひとつから、民主主義の崩壊を読み解くことが出来るのは事実だ。

しかし、そもそも民主主義と資本主義、敢えて言えば“企業論理(マネー・利潤追求)”は相いれない関係性を持っていることだ。企業の活躍しやすい社会を目指せば目指すほど、その国の政治は民主主義から遠ざかる。それは当然のことだ。マネー・利潤追求、つまり企業には民主的互助的原理は存在しないと云うことだ。日本社会の共通の興味は、ここ何十年も、“景気・雇用・社会保障”に集約されている。前者の二つは企業の活性化を求めたものである。後者の社会保障の充実等々は財源が必要なのだから、歳入の是非にかかっているので、やはり、企業の活性化だ。

つまり、リベラル民主主義体制においても、その大衆が求めているものは、企業活動で得た利益の再配分を期待していることになる。大衆は、民主主義と云う観念のない企業に、リベラル民主主義的行為又は観念を求めていることになる。無論、このような大衆の望みは、ない物ねだりなのだから、実現することは、毛ほどもない。民主主義を維持することと、その大衆が求める諸課題を解決するプロセスには、自己矛盾があるのだから、実現することは、ほぼ皆無なのだ。

企業経営者は、1年ごと或いは四半期ごとの経営成績に一喜一憂する地位であり、少ない資本で、いかに最大限の利潤を出すかが死活問題なのだから、法人税などの社会還元は、限界点まで少なくしようとするわけで、大衆が求めるトリクルダウンとは真逆の行為に始終している。だからと言って、企業経営者が悪だとは言えない。彼らは役割を果たしているに過ぎないのだから。個々の経営者は、自分の行動が民主主義の原理に反しているかどうかなど考えている暇はない。常に、利益の最大化を目指す存在なのだ。そして、リベラル民主主義の論理とは真逆な行動で評価されることさえある存在だと云うことを大衆は忘れている、或いは気づいていないと云うことだろう。

リベラル民主主義と企業活動は、ある点で合意形成可能だが、最終的には破綻の道に突入せざるを得ない関係性を持っている。その調整弁に、政治や行政が存在する理由があるわけだが、最近の安倍政権の動きなどを観察すると、企業(マネー)の性格と、大衆の要望のミスマッチを調整する気はさらさらない姿を露わにしている。アメリカ市場の拡大は望めないので、現状維持に努めるが、低下は確定的だ。それなら、行くべき市場は中国やASEAN市場だ。安倍政権も経団連も、パンツ一枚まとわずに、中国に詣でた。

このような国、日本であるにも関わらず、ブレマー氏が、≪日本は「先進国のなかで例外的にポピュリズムの台頭から免れている。きちんと機能している世界最大の民主主義国だ」と評価した≫と評した理由はわからないが、米国・EUのポピュリズムが最悪なので、相関的にマシだと評したのか、リップサービスなのか、単に無知なのかは判らない。いずれにせよ、企業(マネー)は市場を彷徨うのだが、最終的には行きづまるしかないわけで、こんなチキンレースを、いつまで続けていくのか誰も判っていないのだ。

いや、次なる処方箋が見えないので、このままでは駄目だと思いながらも、惰性でものごとを判断しているのかもしれない。こうして考えていくと、民主主義と資本主義が、経済の成長期には成り立つペアーであったが、低成長時代においては、離婚の危機にあると云う事実を知ることになる。しかし、長年連れ添ったペアーだけに、多くのしがらみがあり、容易にペアー解消には至らない。おそらく、日本も世界も、“普遍的価値観”をチェンジする難題に直面している。筆者は以前から、定常経済における国家観を考える時期が来ていると主張しているが、安倍政権は、まだまだ市場原理主義に則って、世界の市場を彷徨おうとしている。困った政治家だ。

最後になったが、朝日新聞はブレマー氏のインタビューで語られた≪世論調査によれば、日本人はまだ新聞や雑誌を信用しており、ソーシャルメディアを信用していない≫。ここの部分だけ言いたかったのかもしれない(笑)。次回は、新たな“普遍的価値観”否、“固有の価値観”と云うものを考えてみようと思う。


ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来
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新世界秩序
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未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか (PHP新書)
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●安倍訪中が意味するもの 日米安保脱却の扉をひらく?

2018年11月01日 | 日記
トランプのアメリカに住む (岩波新書)
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「新自由主義」の妖怪――資本主義史論の試み
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自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体 (講談社現代新書)
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安倍訪中が意味するもの 日米安保脱却の扉をひらく?


自称、良識的日本人を自負するあいば達也は考えた。安倍晋三をコケにすることにも飽きたので、安倍を名宰相にするためには、どのようにすればいいのか、様々に吟味してみた。無論、どれほど理論上の名宰相有資格者であっても、国民から、「あいつは嘘つき」「あいつの人格は許せねえ」と評価された場合、有資格者であっても、二次面接で落とされることは言うまでもない。

最初にオチを言ってしまっているので、これからシタタメル様々な吟味は徒労に終わることは承知だが、3期も自民党総裁を歴任する政治家なのだから、吟味くらいはしてやらないのは礼を失すると考えている。安倍政権の個別案件においては、収賄や強要、恐喝、隠蔽など、何らかの刑法に抵触するような振舞いをしているわけだが、その個別の罪はさておくと、世界の大きな流れの中で、ウッカリ正しい方向に走りだした傾向が観察できる。

歴史の悪戯と云うものは不思議だ。最も愚劣な政治権力者が、右顧左眄する内に、自国を最も正しい方向に導いてしまう出来事があるものだ。無論、安倍政権が論理的に正しい方向性を出したわけではなく、時代の流れの勢いに流され“意地汚い浮き草”のように振る舞った結果、正しい道を歩みだしたということだ。いや、歩みだしているように見えているだけで、逆戻りするかもしれないので、既成事実として評価は出来ないが、現在進行形の範囲で、評価出来る。

無論、その心得の中には、不遜や裏切りの臭いも残っているわけだが、一歩だけでも、正しい日本の方向に足を踏み入れた事実は評価しよう。第一に、対中国政策を最重要に考え出したフシがあることだ。より近い大陸に覇権が移行する臭いの誘惑に負けたと言って良いだろう。近い将来の米国、中国のマーケットの市場規模の差は歴然としているわけで、意地汚い経団連が、中国マーケット重視を、経産省を通じて官邸に強く働きかけたことは容易に想像がつく。そして、その選択は、概ね間違っていないのは事実だ。

今までであれば、外務省が主体になって、官邸を対米従属の強い政権に方向づけていたが、安倍官邸の内閣人事局と云う強権が、官僚独裁政治を打破し、政治主導を実現した。結果、財務省、外務省の力を骨抜きにしたので、フリーハンドの外交が可能になった。政治主導と官僚主導の、どちらが適正な政治を行うかは、その時代の要請によって適性の判断はかわるので、どちらとも言えない。ただ、現時点だけで判断すれば、政治主導だったから、あれほど不用意に安倍は外交が出来たと言える。

そして、その無目的だった外交をしていたわけだが、最後の最後になって行きついた訪中外交で、的を射た。このようなフリーハンドな外交が出来たのは、超強権安倍官邸だから出来たことだが、オバマ時代には絶対に不可能な外交だった。また、トランプと云う米大統領の誕生で、流石の安倍官邸も我に返ったに違いない。こんなアメリカとつき合うくらいなら、中国と朝貢外交した方が得策だと。前門の虎より後門の狼に方がつき合い易そうだと踏んだのだろう。トランプのお蔭で、貿易上は対米輸出で酷い目に遭うが、その分だけ、米国からの政治介入は回避出来るわけで、痛み分けである。であるなら、対中国への接近は当然の結論だ。

親オバマだった独メルケル首相も、やる気をなくした。米国一流の、民主化と云う内政干渉イデオロギーの衰退は確実なもので、この流れが急に止まることはない按配だ。トランプ大統領は名実ともに、世界の警察はやめる、名誉職のような覇権国家でなくても構わない。軍事同盟している国は、米軍駐留経費を全額持つべきとまで言っている。つまり、払わないのなら、米軍を撤退させると言っているの。つまり、話の持っていきようでは、日米同盟が緩やかに氷解する可能性さえあるのだ。

米国が同盟を結んでいる主だった国は、英・EU(NATO)・日豪韓・サウジ・イスラエル・トルコなどだ。その一つひとつを吟味してみれば判ることだが、英はEU離脱で浮足立っているし、EUの盟主ドイツ。メリケル首相はトランプ大統領とは水と油でやる気を失った。ドイツが混乱すれば、EUのスポンサーが消えるわけだから、EU本体の命運にも疑問符がつく。韓国は、北朝鮮と朝鮮戦争終結に向けてステップを踏んでおり、韓国駐留米軍の撤退は、現実的に視野に入った。サウジは王子の乱行で、当てに出来ない国になっているし、トルコも露中への接近が露わだ。つまり、世界で、クソ真面目に米軍とつき合っている国は、日本と豪州だけである。

余談になるが、このような状況下で、辺野古新基地建設に猛進する安倍官邸の姿勢には、どこかで矛盾が露呈している。玉城知事が本気でトランプと話をすれば、「米軍には不必要だが、自衛隊には必要なのだろう」と云う言質を得るだけで、防衛省へのカウンターパンチになるし、官邸の強硬策のイカサマぶりが露呈するだろう。まぁ言いようによっては、自主独立の国家として、辺野古基地は重要だ。普天間、嘉手納より、辺野古が公共事業としても重要と云うのが、経産省政権の言い分になるだろう。

いずれにせよ、安倍官邸は環太平洋よりも、一帯一路への参加を選択すことになるだろう。それがハイエナ経団連の切なる願いなのだから。しかし、下卑た市場原理主義的イデオロギーの名の下、到底無限とは思えない市場を拡大する考えには無理がある。民主主義と云う欺瞞のイデオロギーに裏打ちされたように見えるグローバリズム経済が、持つ者と持たざる者の差を拡大し、最終的には民主主義を破壊する方向に動きだすとは、誰が考えただろう。市場原理主義には無理があった。彼らの考えが正しいと証明するためには、魚や昆虫までを顧客にしなければならなくなる。或いは、地球を2つ3つ用意しなければならない。

安倍首相は、意味が分かっていないだろうが、自由貿易を守ると言っても、グローバリズム経済は金融経済とタッグを組むことで、国境を亡くし、マネーに勢いを与え、人間がマネーに傅く結果を招く。マネーがいくら生き物だと例えられても、マネーに従属する人間たちと云う世界は、想像を絶する醜く空々しい世界になるに違いない。その意味で、トランプ大統領自身は理解してないだろうが、彼の保護貿易主義がグローバル金融資本主義世界に警鐘を鳴らす結果になるかもしれない。

或いは一定期間、残された市場を食い荒らすまで、グローバル企業群が宴を愉しむだろうが、期間限定であり、市場が細ればジ・エンドなのだ。この現在の流れは、自主独立を目指す日本にとって、日米安保体制からの脱却のチャンスだが、米国の重しを失った日本と云う国も、想像してみれば、相当に怖い気もする。米国の従属からの脱却は望むところだが、重しを失った日本と云う国に、本当の意思があるのかどうか、かなり不安である。渋谷のハロウィーン騒ぎを観ながら書いているが、更に不安になる日本の現状だ。

貧困を救えない国 日本 (PHP新書)
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正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点 (中公新書)
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徹底検証 神社本庁 (ちくま新書)
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●安倍の朝貢外交 改憲めど立たず“ウヨ豚”と別れの歌

2018年10月29日 | 日記
日銀バブルが日本を蝕む (文春新書)
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文藝春秋

 

ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法
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KADOKAWA

 

立憲的改憲 (ちくま新書)
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筑摩書房


●安倍の朝貢外交 改憲めど立たず“ウヨ豚”と別れの歌

安倍政権がレームダックすることは、時間の問題なのは、誰もが知っている。最長でも3年以上はあり得ないのだから、居眠りでもしていれば、いずれ“コロリ転げた木の根っこ”と云う按配だ。無論、安倍政権下で破壊された日本の根源的システムの修復に、多くの時間と労力と費用が求められるが、それは、国民全体の自業自得から生まれたことなので、「俺は反対した」と主張しても、詮ないことである。

安倍は、自衛隊観閲式で「(改憲は)これは今を生きる政治家の責任。その責任をしっかり果たしていく決意だ」と、憲法改正に向けての決意表明をした。常識的には公明党の協力を得る可能性を含め、日程的に厳しいと見るべきだろう。しかし、公明党が駄目なら、国民民主を抱き込んで、自民・維新・国民の3党で発議に持って行こうと云う強硬路線もないわけではないが無理筋な気がする。そうなると、衆参2/3議席の、国民投票発議のアドバンテージを失う可能性が濃厚になる。

来年夏の参議院選は、勝ち過ぎの自民党参議院議員の改選だけに、現在の発議に必要なアドバンテージを失うことは織り込み済みと言えそうだ。そうなると、安倍政権の功績と、強く国民が認識出来るような政治的出来事でもない限り、衆参同日選を打っても、現在より永田町での勢力図を良くする可能性はゼロに等しい。仮に、習近平の計らいで拉致問題を一気に解決しても(現実は悲惨な事実の確認だろうが)、夏の参議院選で衆参2/3議席喪失と云う情勢を逆転するのは困難に思える。ここで最も肝心なことは、安倍政権が国民に飽きられていることだ。政権が、どのような功績を上げても、国民の中に、ここから先我が国の展望は判らないが、安倍が首相を続けていけないようにしたい、そういう願望の空気が流れている点が重大だ。

その証左ではないが、沖縄県知事選、豊見城市長選、君津市長選、那覇市長選、川西市長選と、立て続けに与党側の候補が敗れている。個別に勝利者側に勝因があるだろうが、無党派の票が反安倍で統一されている点はたしかだ。仮に起死回生の得点を挙げても、“人格への疑問”は払拭しようがないわけであり、また、多くの悪政と悪行の数々を帳消しにすることは不可能だ。妄想的に願望していた北朝鮮と偶発的衝突もトランプの手の平返しで泡と消え、一強多弱体制であるにも関わらず、宿痾的憲法改正意欲の表明は、日本会議へのリップサービスだけで終焉と云う流れのようだ。

トランプに手の平返しを喰らい、プーチンからは馬鹿にされて、アベノミクスと云う言葉はメディアから消えた。安倍政権は、一強多弱の体制作りに邁進することが目的で、何をするかと云う目的を持たない、馬鹿げた政治集団だったことになり、前代未聞の政権だったと政治史に名を刻むことになりそうだ。安倍政治はピンボールの球のように、あっちに弾かれこっちに転がり、場外に弾き飛ばされそうになっている。

ついには、国会会期中だというのに北京に500人もの経済人を引き連れて馳せ参じ、朝貢外交に舵を切ると云う“ウルトラ出鱈目”な政治姿勢に転換した。このような外交姿勢は、日本会議勢力にとって、或いは“ネトウヨ連中”にとって、万死に値するような行為なのである。結局、アベノミクスの失政を経済界から責め立てられ、日米安保外交をしていたら、世界の潮流に乗り遅れ、数年後の日本経済はのっぴきならないことになる、と泣きつかれ、やむなく朝貢外交に舵を切ったと云うのが事実関係だろう。

結局、だいぶ前に水野和夫氏が唱えていた“ユーラシア大陸覇権回帰”が現実味を帯びてきたと云うことだろう。筆者も、水野氏と同様の考えを持っていたが、日本の右派勢力やネトウヨが地団駄踏んでも、中国が世界一の経済大国になることを止めることは、アメリカでも出来ないのが現状だ。アメリカの大企業自体、中国と対立するどころか、中国市場に、自らの企業の進出や製品を購入して貰いたいわけで、トランプ政権の外交姿勢と関わりなく、各企業は、独自の裁量で、中国マーケットへの参入を試みている。

おそらく、2030年前後に中国経済は、名目GDPにおいて米国を抜き去るのは確定的になっている。既に2014年に購買力平価ベースでは世界一になっているので、どこから見ても、中国が世界一の経済大国になることは避けようのない事実である。ゆえに、今回の安倍の訪中は正しい選択なのだが、プーチン、トランプの両首脳に翻弄された挙句の外交姿勢転換に映る意味では、相当に国際的評価は貶められる結果になるだろう。

世界の誰もが疑いようもない事実であるにも関わらず、この中国の世界一の経済大国と云う事実を認めたくない国民が多く住む日本と云う国の教養度はどうなっているのかと疑いたくなるが、戦前戦後と、中国を見下してきた日本人にとって、容認したくない感情があるのは理解出来るが、その感情を煽るようなかたちで、中国人を馬鹿にするテレビ番組が放映され、まだまだ中国は酷い国イメージの映像を垂れ流し、一般庶民に誤った事実誤認をメディアがフェイク的に囲い込んだ罪も大きいだろう。アメリカが覇権に固執する時は「米中戦争」だが、今のアメリカに中国と戦争したいと思う人間はアーミテージを含み、誰もいないだろう。

流石に「改憲」に黄色信号が灯った安倍にしてみれば、もう、“右翼・安倍晋三”という看板を下ろしても好い時期が来たと判断したのだろう。つまり、もう右翼の後ろ盾で政権を維持する魅力はなくなった、そう判断したきらいがある。おそらく、株価は2万4千円がピークで、1万6千円近辺で落ち着くことになりそうだが、日銀の異次元緩和、円安誘導も限界点が見えてきたようだ。いずれ、日銀黒田も店仕舞方向を模索することになるだろうが、ソフトランディングは、ほぼ不可能なわけで、小さな日本独自の恐慌くらいは覚悟した方が良さそうだ。

無論、今後も安倍一強が続くことはなく、来年の統一地方選、参議院選終了後、2/3議席のアドバンテージを失い、改憲右翼・安倍晋三は終わるわけで、後は野となれ山となれの心境だから、参議院選敗退で退陣と云う線が濃厚だ。そうすれば、選挙に敗れて2/3議席確保できず、改憲もままならず傷心に退陣する安倍首相を演じて、安倍一強作りに貢献した日本会議やネトウヨへの言い訳もでき、目出度く退陣するのだろう。まぁ、ここまで考えると、安倍以降の“自民党”と云う政党が面白い。

希望的観測も含むが、安倍退陣後、自民党が分裂傾向を見せるのではないかと考えている。菅が自民党分裂の台風の目と見ている。無論、菅が自民党を割るかどうか別にして、彼が総裁になろうとした瞬間から、自民党は分裂の様相を示すに違いない。菅がなるくらいなら、麻生も、二階も、岸田も。河野も、俺にも総裁の資格あるよね、そういう気分になる。勿論、石破は言うに及ばずだ。最大派閥細田派には、総裁候補になりそうな玉が居ないので、大混乱必至だ。小沢一郎も健在だけに、自民党に手を突っ込み、火に油を注ぐ可能性もおおありだ。

最後の方は、下世話な話になってしまったが、安倍一強なども、“幽霊の正体見たり枯れ尾花”という話に過ぎなかったとあきれ果てることになりそうだ。それにしても、日本人の中国見下し意識は、そろそろ卒業しなければならない時代が到来しているように思われる。そもそも、古代の歴史上の史実に基づけば、遣隋使、遣唐使の朝貢外交により、当時の先進文化を学んだわけであり、世界の歴史がぐるっと一回りして、中国大陸に覇権が戻ってきたことになるわけで、そう嘆き悲しむこととは思えないのだが、皆様はどのようにお考えだろう。


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●安倍政権の醜悪につき合う中で 世界は確実に変貌している

2018年10月18日 | 日記


●安倍政権の醜悪につき合う中で 世界は確実に変貌している

つい先日、第4次アーミテージ・ナイレポート(CSIS戦略国際問題研究所)が報告されたと、朝日新聞等々が報道していた。提言の内容は、安倍政権の外交安全保障姿勢と似通った傾向を持ち、もしかすると、安倍官邸が下書きをしたためて駐日米大使館に送付、返送されてきた書類のような内容で、一顧だも出来ない内容の代物だった。

昔から、ホワイトハウスは二つあると言われてきたが、最近では三つ四つになっているらしい。前述のCSISレポートなどは、その他提言に類するもので、直近の世界情勢から考えてみて、荒唐無稽な情勢分析をもとに、持論を正当化しようと、メディアリテラシーのない、後進国の住民へのプロパガンダにもなっていないもので、お笑としかいいようがないが、日本のメディアは、それなりの待遇で報じている。

この報告書全体に流れている前提は、日米安保マフィア連中の戯言だが、この戯言に準じて、安倍政権の利権的日米同盟の方向性が決定される可能性は強いので、戯言だと馬鹿にしているわけにもいかない。この提言においては、ありもしない危機が創造され、その創造的危機に対応するために、日本は準備しなければならないと云う構図を示し、日米の軍産複合企業の飯の種を提供するように仕掛けられている。如何にも、神の啓示によく似ている。しかし、最近の世界情勢全般に目を向ければ、この創造的危機が荒唐無稽なものであることは歴然としている。

それだけに、今回のアーミテージ・ナイレポートがまがい物であることが歴然としたことは、タイムリーに悪いことではない。筆者の想像だが、ジョセフ・ナイは名義貸しに過ぎないようにさえ思える。もしかすると、アーミテージまでが、その類かもしれない。ドナルド・トランプ政権とも違うし、NYT紙が報じたホワイトハウス官僚らとも異なる、日米安保マフィア政権による、捏造レポートである可能性は非常に高い。ただ、不運なことに、安倍政権においては、同調的論説なので、このCSIS的創造的危機に対応すべく国家予算が浪費される可能性は高い。

しかし、アメリカ大統領にドナルド・トランプが選ばれた現実は直視すべき現象だ。彼の個性的言動が注視されるあまり、米国民の原罪的問題点が軽視されている嫌いがあると云うことだ。米国が自由の国であると云う、或る意味で間違った言説を、我々は信じ切るとか、勘違いしている面が多々あると云う事実を考えるべきかもしれないと云う点だ。端的に言うと、国境のある自由主義と、国境がない自由主義は、まったく異なるものと云うことだ。

つまり、ケインズ的ものと、フリードマン的ものの違いについてだ。結果的な結論だが、明確に国境をもって経済発展を目指すのか、国境の垣根を超えて自由に経済発展すべきか、と云う問題だ。その意味で、トランプの進めている方向はケインズ的である。かなりの試行錯誤はみられるが、フリードマン的なグローバル経済時代の副作用を治そうと云う意志は伝わる。大航海時代から大陸時代への転換点が垣間見えることから目を背けてはならない。

トランプ大統領のキャラクターに目を奪われていると、彼の背後にあるアメリカ人の意志を見逃す危険が大いにあると云うことだ。たしかに、トランプ大統領の言動すべてを非難や揶揄する報道がメインストリームを歩いているが、それは、現在までが、フリードマン的グローバル経済が、スタンダードに成立しているに過ぎないことを前提とすべきである。つまり、現時点でのトランプ大統領は異端だが、ケインズ時代には、ハイエクやフリードマン的思想は異端だった。

英国のEU離脱に象徴されるように、ギリシャ危機的問題が、今では第三位の経済国イタリアを襲っている。このままでは、EUをドイツ一国で抱えることになるわけだが、ドイツ・メルケル首相の影響力にも陰りが見られ、漸く政権を維持しているのが現実だ。ロシアの経済は、そもそもが小さいので、経済低迷は目立たないが、中国の経済成長が鈍化し、米中経済制裁の攻防が体力を奪うのは確実だろう。トランプの北朝鮮融和路線とイラン敵視政策は矛盾な面も見られるが、世界経済に大きな影を落としている。

米・イスラエルの中東の代理人であるサウジアラビアの経済は行き詰まりを見せ、オカルト的王子の政権は、世界に挑戦的だ。駐トルコ大使館内で、反政権ジャーナリストを、生きたまま切断したなどと云う血みどろのオカルト的行為が世界を揺るがしている。あきらかに、現在進行形の出来事は、時代の転換を予感させる。後にして思えば、あの時、トランプの出現こそが、グローバリズムの終焉であったと、歴史に刻まれるのかもしれない。そして、世界は第二ケインズ経済世界に戻っていくのかもしれない。

こんな時代に転換点に、わが国では、安倍晋三というグローバル経済主義者で歴史修正主義者な愚か者が現れたのも、最終的には時代のあだ花と言えるような気がする。国家神道を標榜する日本会議なるものが跋扈する現象も、フリードマン的ものの終焉と、ケインズ的ものの再生が起きる過渡期に生まれた良性の癌くらいに考えるのも、いまの日本を考える時、必要かもしれない。このあだ花の洗礼なくしては、次なる日本のフェーズには進めないと思えば、良性癌のひと暴れは過ぎ去るのを待つのも選択だ。そう云う意味で、コラムの更新もモチベーション不足になっている。

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