世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●昭和は遠くなりけり 家族の崩壊、不釣り合いな政策

2014年07月31日 | 日記
違和感から始まる社会学 日常性のフィールドワークへの招待 (光文社新書)
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●昭和は遠くなりけり 家族の崩壊、不釣り合いな政策

 7月25日付の拙コラムで「日本、少子化対策と口々に叫び 子供の貧困を見逃す社会観」と云うのを書いたが、今日の朝日にも、関連する情報が掲載されていた。日本の家族社会が崩壊に向かっている事を示す現象が、紙面を賑わしていた。棄民ではなく、「棄墓現象」だ。「空き家率」の問題も一面で取り上げられているが、このような日本の家族制度が崩壊している傾向が益々顕著だと云うのに、お上の発想も、右派政治家の事実認識は、家族制度の再生などと云う戯言に興じているのだから、批判する気力さえ湧いてこない。まあ、無気力を装いながら、皮肉っぽくけなしておこう。

 朝日が、この二つの明確なデータを1面でデカデカと報じた意味は何なのだろう。仮に別のセクションから個別に出てきた記事だとして、整理部が、この二つのデータが指し示すテーマが同じベクトルにあることを感じ取らなかった、と云うのはあり得ない。つまり、意識して「棄墓現象」と「空き家率」を並べたと解釈する方が自然だ。朝日が、どこまでを意図して、この二つのデータを並べたか別にして、明らかに、日本の家族社会の大きな綻び、或は崩壊を印象づける。少子化問題や子供の貧困にしても、老老介護問題にしても、お上や政治家の時代認識がずれていることによる弊害なのである。

 人口がジャガスカ減少しているのに、世帯数は増えている。つまり、5人家族とか4人家族を想定して、現状の家族観を無理やり持ち込むことで、論理の構成が行われているのだから、当然、その枠からはみ出してしまう人々が出てくる。はみ出してしまう人々の比率が、年々増加しているのだから、もう4人家族だとか、3世代共同住宅なんてのは、馬鹿げた幻想に過ぎない。このような、現状認識が、お上、政治家らが認識しない限り、わが国の福祉政策のすべてが空振り三振のような空疎な政策になっていくのだろう。

 安倍内閣の支持率が急落、奈落の底に向かっているのも、女性を敵に回しつつあるからだろう。籾井NHK会長、百田委員など、女性が好感を持つ確率の低い男を重用する辺りで、印象が酷く悪くなっている。その上、子供たちを戦場に赴かせる方向性を明示したのだから、プロ市民ではなくても、情緒的判定も加わり、バツ印が付くのは当然だろう。女は結婚しろ、家庭を持て。子供を育てろ、育ったら社会参加(働け!)では、ウンザリするのは当たり前。それでなくても、晩婚、非婚主義者が増えていると云うのに、19世紀、20世紀初頭の家族観に囚われた、まさに時代の逆行である。

 また、老老介護など、笑止な政策だ。準棄民政策と言っても過言ではない。70歳の子供に、95歳の親の面倒を見させる。80歳の奥さんが85歳の夫の介護をする?そんな馬鹿な高齢者介護方針が、正々堂々とまかり通り、マスメディアも異論を語らないのだから、全員の共謀による「棄民政策」を推進していると受けとめて間違いはない。東日本大震災への支援の輪とか、家族の肖像など、NHKは盛んに定番化して放送しているが、3世代家族への賛歌風な味付けが目につき過ぎる。これも、穿ってみれば、お上の日本の家族社会への賛美であり、美化しているし、イメージ化している。

 現実には、家族愛が溢れている震災による家族像だけが真実なのかと云う問題だ。取りあげて貰えない、愛もヘッタくれもない、見捨てられた老人や子供や障害者が存在した現実も伝えるべきだと思う。無論、日本社会には「見たいものだけ見る。見たくないものは見ない」これが、安寧の技術、知恵だと思う傾向もあるが、そういう民族には、国家観や世界観に思いが向かわない民族だと知らしめている。筆者は、それがイカンとは言っていない。安倍晋三などは二言目には「普遍的価値」などと云う、このようにない幽霊みたいなものが、いかにもあるように語るが、欧米キリスト教、ユダヤ教の価値観と二重になる部分の方が少ないのが、日本の価値観だと思う。

 つまりは、脱亜入欧という明治維新こそが大間違いで、長州などと云うのは、売国をしただけなのである。正直、アジア共同体構想にも、難点はある。ユーラシア大陸文明と島国文明は、水と油に近い関係性で、これを馴染ませるのは、殆ど不可能だろう。とどのつまりが、日本は日本だけで生きる事を基本にして、孤高の国家像を描く方が、よほどその国土に棲む人々のDNAに沿っているのだ。世界に飛び出さない日本人とか、如何にも消極的非難のような印象の論調が多いが、己を知った選択だとも言える。世界を股にかけ闘っている孫正義を観察していれば、この所業は日本人と云うだけでは、理解しがたい異なるものがある。勿論、悪い意味で例示したわけではない。日本が誇るべき経営者だが、日本人のDNAではない。ユニクロもそうだね。まあ、この辺の筆者の思いは、死ぬ間際にチャンと書くが、今はこの辺にしておこう(笑)。

 そういえば、未来工業の名経営者、山田昭男氏がなくなった。徹底した家族愛に満ちた、数少ない終身雇用型企業の創業者がなくなった。社長を引き継いだ山田雅裕氏にも、同様のDNAがあるようなので、このグローバリゼーション、金カネだけの経団連に目にもの見せて欲しいものである。この会社、1965年操業だが、どのような逆風にも耐え、全社一丸となり苦境に堪え、「赤字ナシ!平均13.7%の経常利益率を誇っている。一番のポイントは、性善説。そして、人間観というか、心理学に通じる、人をその気にさせる人徳と、ニンジンのタイミングのいい出し方に定評があったようだ。ご冥福を祈る。

 最後にひと言付け加えないわけにはかない、パレスチナ・ガザ地区の悲惨な状況。昨日は徹底的残虐に近い、イスラエルの総攻撃があったわけだが、西側諸国のマスメディアには、かん口令が敷かれた如く、殆ど紙面で報じることはない。口をつぐみ、「見ざる聞かざる言わざる」で、イスラエルの蛮行を黙認する姿には、寒々しさを禁じ得ない。国連が運営する避難所まで、バカスカ砲撃するのだから、イスラエルと云う国は、どうなっていうのだろう。そして、西側のメディアの体たらくも目に余る。どうにもならない、歪んだ正義が、世界を支配している。

「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命 (角川oneテーマ21)
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●日本は「露魔女」に近づくな 痛い目に遭うと脅す日経

2014年07月29日 | 日記
徳川制度(上) (岩波文庫)
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●日本は「露魔女」に近づくな 痛い目に遭うと脅す日経

 “切り張り”のおかげ?で貴重記録残った 藤原定家の「明月記」“なんて記事が朝日新聞に掲載されていたが、同日、米国務省はロシア軍が自国領からウクライナに砲撃していることを示す証拠写真なるものとしてハリウッド特撮班製作の“切り張りテクニック”を公開した。そういえば、STAP細胞のリケジョも“切り貼り”で時の人になったという。げに、偽物の多き世の中だ。米国務省などと云うのは、世界最強の捏造情報機関であり、アメリカのご都合主義な「正義」の総合商社。これは、イラク戦争後の世界の常識だろう(笑)。

 話は、以下の日経の滝田洋一なる編集委員の解説記事なのだが、読んでびっくりだ。ウクラナ問題の犯人は、ロシアなのは当然だが、それでも制裁の方法は、なかなか難しいとか何とか語り、最後になって≪…第2のパリバ問題が持ち上がらねばよいが。かの国の先行きが思いやられるが、日本にとってもよそ事ではない。マレーシア機事件後に安倍晋三首相が、プーチン大統領との対話に言及したことに対し、米国側は水面下で不快感を伝えてきているからだ。 ロシアのプーチン大統領の今秋訪日にこだわると、しっくりとはいっていないオバマ政権の虎の尾を踏みかねない。邦銀の対ロ与信も200億ドル近くにのぼる。江戸の敵を長崎で討たれないよう、細心の注意を払いたい。≫が言いたかったので、見出しは安倍政権への脅しで、国際金融なんて関係ない結語で終わる。

 ≪ 対ロ制裁で「虎の尾」に身構える国際金融界
編集委員 滝田洋一
 虎の尾を踏んでしまわないか。国際金融界が対ロ制裁で神経をとがらせている。ウクライナ問題で非があるのは明らかにロシアだが、経済制裁の音頭をとるのは米国。ロシアと取引している銀行にとって、その米当局との間合いは実に微妙だからだ。 欧州は何といってもロシアとの経済関係が密接だ。融資や債券引き受けなどによる対ロ与信額は今年3月末時点で欧州銀が1500億ドル余りと、全体の4分の3を占める。
 個別行ではオランダのINGグループ、仏ソシエテ・ジェネラル、ドイツ銀行、伊ウニクレディト、オーストリアのライファイゼン。欧州銀の与信額が、米シティグループなどと並び大きい。
 米国による対ロ制裁の強化は、これらの銀行の活動に影を落とす。7月16日に米財務省は、ロシアの大手行2行とエネルギー大手2社に、新たな制裁を科した。米国で90日を超える新たな借り入れをし、株式を発行することを禁じることにしたのだ。 銀行では、天然ガス最大手ガスプロム傘下のガスプロムバンクと国営の対外経済銀行(VEB)。エネルギーでは、天然ガス2位のノバテクと石油最大手のロスネフチ――。以上の4社は今後、米金融市場から締め出される。
 現時点では欧州連合(EU)はそこまでの制裁措置をとっていない。とはいえ欧州銀も、これらロシア銀と企業に対する新規融資には、二の足を踏まざるを得まい。ウクライナ上空でマレーシア航空機が撃墜されたことで、EUも対ロ制裁の強化に動いているが、そればかりではない。
 欧州銀は米国を有力なビジネスの拠点としている。ドルを抜きには商売があがったりになってしまう。しかも対ロ制裁で抜け駆けした際に、米国の法律に触れたりすれば、巨額の制裁金を科されるのは必至だ。 懲罰的な制裁には先例がある。仏銀のBNPパリバである。米国が制裁しているスーダン、キューバ、イランと、子会社などを通じ取引していた。事が発覚し米当局に89億7000万ドル(約9000億円)もの制裁金を科される羽目になった。 同行は2015年初から1年間、事件の舞台となった石油・ガス取引に関する、ドル資金の決済をも禁止される。一時はドル資金の取引から根こそぎ締め出されるのでは、と同行関係者は身震いしていたほどだ。
  最高執行責任者(COO)が詰め腹を切らされるなど、経営体制も大揺れとなっている。最近の米当局は内外の金融機関に巨額の制裁金を科している。ことロシアとの取引で逆鱗(げきりん)に触れたら、ただではすまない。いきおい、ピリピリした雰囲気が欧州の金融界を覆っている。
 米仏の首脳同士の関係がしっくりいっていないことが、問題をこじらせている面もある。6月初めにブリュッセルで開いた7カ国(G7)首脳会議では、ロシア制裁をめぐってオバマ米大統領とオランド仏大統領が売り言葉に買い言葉のけんか腰となった。
 マレーシア機撃墜という事件が起きたというのに、フランスはミストラル級の強襲揚陸艦2隻をロシアに予定通り売却した。景気低迷と対外収支悪化に苦しむフランスとしては、売却代金の12億ユーロは喉から手が出るほど欲しいのだろう。
 第2のパリバ問題が持ち上がらねばよいが。かの国の先行きが思いやられるが、日本にとってもよそ事ではない。マレーシア機事件後に安倍晋三首相が、プーチン大統領との対話に言及したことに対し、米国側は水面下で不快感を伝えてきているからだ。
 ロシアのプーチン大統領の今秋訪日にこだわると、しっくりとはいっていないオバマ政権の虎の尾を踏みかねない。邦銀の対ロ与信も200億ドル近くにのぼる。江戸の敵を長崎で討たれないよう、細心の注意を払いたい。 ≫(日経新聞)


 最近は、北朝鮮の主張にも、幾分真実が紛れ込んでいると思いたくなる、欧米マスメディアのプロパガンダ騒乱だが、ハマスが北朝鮮製ロケット弾を購入しようとしていたと云う情報に、北朝鮮外務省報道官は「米国が作り上げた全く根拠のないでっち上げだ」、「米国の謀略策動には、イスラエルをかばう犯罪行為を正当化しようとする不純な意図がある。国際社会の非難の焦点を我々に向けようと画策している」と言っているのは正しいかもと感じてしまう(笑)。ウクライナ政府は、首相の辞任で、政治状況自体が流動的になり、ポロシェンコ大統領も首の皮一枚で繋がっている危うさだけに、焦りが先行、マレーシア機ブラックボックスの解析情報の一部をリークしてしまった。「地対空ミサイルがやったのだ!」。無論その通りだが、親ロ派、ロシア、ウクライナの、どのミサイルだったかが問題なのであり、ミサイルであるのは、言わずもがな。それを言う辺りが臭いのだ。馬鹿者!

 最後はイスラエルの引っ込みつかないガザ地区攻撃は、もうめくら撃ち状態。遂にガザ市内の難民キャンプにまで、爆撃を行った。この攻撃で避難中の子供7人が犠牲になったそうだが、イスラエルの狂気を糾弾する世界中の良識のデモが気炎を上げるだろう。ネタニャフとしては、何らの成果もなく、たった50人の貴重だと云うイスラエル人の命を失わせた報酬が、パレスチナ1000人以上の犠牲だけでは物足りないと、イスラエル国民から糾弾されるのは拙い。せめて、ガザ地区の生命線である、トンネル全破壊程度の報酬をゲットしたいとケリーに仲裁内容を書かせたのだろう。アメリカもイスラエルも糞な国家である。1000人以上の殺人を侵し、アリの巣コロリンかね?まさに馬鹿者である。

徳川家が見た幕末の怪 (角川oneテーマ21)
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●ロシアを魔女にする欧米 世界破滅の覚悟は出来たのか

2014年07月28日 | 日記
よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃないか (オリバー・ストーンが語る日米史の真実)
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●ロシアを魔女にする欧米 世界破滅の覚悟は出来たのか

 覇権国家の力が頂点を越え、下降線を辿るようになると、現在、我々が目撃しているような混沌が起きるのだなと思う。おそらく、ロシアのプーチンは、ロシアが世界の覇権国家になろうなどとは思っていないだろう。現実に、なろうとしても、その夢は、初夢の類に違いない。にもかかわらず、欧米各国は、寄ってたかって、ロシアを世界の悪者に仕立てようとしている。西側諸国の経済が、本当に伸びていたなら、このようなキナ臭い問題を噴出させる必要もなかった。つまり、世界景気の真実は、明らかにリセッションと云う奔流に飲み込まれていると云うことのようだ。

 単に、デモクラシーの堅持とか、侵略を許さないという高邁な目的で実行されているプロパガンダではないと云うのが、筆者に認識だ。ロシアのプーチンの失墜が実現したら、次は中国の民主化に手を突っ込むのは必定だと言えるだろう。もしかすると、習近平はプーチンの失墜をみてビビりまくり、民主化するようなフリに専念するかもしれない。世界の主たる国々の指導者や識者の多くが、本当はロシアや親ロ派がミサイルを撃ったわけではない、と気づいているかもしれない。ただ、“物言えば唇寒し…”なのも事実、アメリカに楯突いて、生き延びた者はいないというトラウマは、厳然と西側の人々に染みついている。

 現時点を観察する限り、EUはプーチンの読みと異なる方向に走り出してしまったようだ。EU(NATO)の存在価値を高く評価し過ぎたかもしれない。世界に公正な目で物事を判定する力、が残っている方に賭けたのだろう。英国はコバンザメのような国だから、どうしようもないが、独仏にはジャスティスの魂が残されていると評価してしまった事に問題があった。彼らも、英日豪韓加と変わらず、コバンザメだったのだ。ことここに至ると、プーチンの選択は限られてくる。

 三択問題になるだろう。第一は、プーチンが大統領を降りてアメリカ傀儡の政権にロシアを引き渡す。エリツィンの取った米国の準コバンザメ作戦だ。第二は、ウクライナ南部東部を、強引にロシアに編入してしまう方法だ。第三は、徹底抗戦の姿勢を崩さず、核戦争辞さずの姿勢を貫く方法だ。第一の選択は、おそらく筆者の知る限りのプーチンにおいては考えにくい。その場合、ロシア国内で飼い慣らしてきた多くの反プーチン勢力に、ウクライナ問題やクリミア併合の責任追及で、内政を大混乱に陥れる戦略に遭遇し、自ら降りなくても、より一層の窮地に立つ。

 第三の選択は、ロシアもヨーロッパもアメリカも中国も、勿論日本も、人の住めない国になる可能性は大いにある。精々、南半球の一部が人類生存を可能にする地になるかもしれない。この選択をプーチンが排除することはないだろうが、誰が考えても、運がいいとして、地球を半分以下に狭め、20世紀初頭のような世界にするのだから、最終戦略だと言える。プーチンを含め、世界の誰もが望まない核戦争だ。米国の軍事専門家らによる、米国の核先制攻撃で、ロシアを破滅させることは可能らしい。しかし、北米大陸が無傷でいられるわけもなく、北半球は人類の住めない地になるのだろう。

 第三の選択は、プーチン外交の最後の切り札だと言えるわけで、EUを脅す好材料だ。ケネディー×フルフチョフの核ボタン押す押さないの時よりも、より効果的に、ロシアの殆どと、アメリカの一部も放射能の雲に覆われる。その雲は、地続き、大西洋、太平洋を渡り、最終的には福島原発事故の影響など、胡散霧消するほどの惨事になるだろう。たしかに、チェルノブイリと福島で、原発の利用を止めることにしたドイツの英断など、糞のような話になってしまう。そういう意味で、この選択肢も排除しない姿勢をみせながら、新たな手を打つのが、プーチンに残された選択だ。その突破口が第二の選択、ウクライナ南部東部のロシア併合ではないかと思われる。

 希望の星であったEUの体たらくを見れば、僅かにあると思っていた、公平な目線など存在しないことが判明しかけているのだから、EUの冷静な判断を期待するよりも、アメリカ同様に脅す方が理に適っている、と判断する可能性の方が高いだろう。つまり、方針転換で、ウクライナ南部東部の併合やむなしとなる。当然、アメリカは、NATOにウクライナへの派兵を要求してくるだろう。それにNATOが速やかに応じない場合は、アメリカ自らが、ウクライナ国内に派兵するかもしれない。そして、NATO加盟国の尻を叩くのである。現状は、法的に無理なようだが、急きょ議会を何某かの法案を作るに違いない。

 そうなると、ウクライナ対ロシアの戦争になる。現状のウクライナ内戦から、ウクライナ対ロシアの戦争になる。米国が単独でもウクラナに派兵するだろうから、アメリカ対ロシアの局地戦が始まる。おそらく、地上戦及び空軍による戦争だろうが、一進一退のいい勝負になるだろう。英豪は同時参戦で、日本にも兵站での要求が来るやもしれない。安倍のウルトラ外交など、煙のように消えてしまう(笑)。現実には、急きょ法案作りから始めるので、参戦には6か月は掛かるだろう。ここに至っても、仏独が動かないとなると、NATOはなんだ、ユーロ圏を援けた金融の恩義を忘れたのかと、アメリカが脅す。ロシアはロシアで、おまえらが出てくるなら、核のボタンを押すぞとなる。

 独仏が動かないとなると、オバマが窮地に陥る。アメリカ国内は蜂の巣を突いたような大騒ぎになり、大統領弾劾裁判が始まるかもしれない。今でも、3割に人間が、オバマは弾劾に値するわけだから、その時点では軽く6割くらいになるのではないだろうか。そうなってしまえば、金持ちと貧乏人の喧嘩の様相を見せるので、プーチンに分が出てくる。そうでもしないと、プーチンの出口が見えてこない。そういう意味で、理不尽だが、現状はアメリカのプロパガンダが優勢だ。しかし、このような事態も、アメリカの覇権の陰りであり、謀略以外に覇権が守れないジレンマなのだろう。

 さて、前原誠司の親玉みたいな口先男演説上手のオバマの根性は如何なものか、見ものである。ただ、オバマが消えても、アメリカ・ネオコンの火は消えないので、永遠にこう云うことが繰り返されるだけかもしれない。結局、人間は、永遠に争いごとを作り、争い。争うために武器を作り、砲弾を製造して、それを消費することで経済をまわしている動物なのかと思うと、幾分、滅ぶのも宿命なのだろうかと厭世な気分にさせられる。今夜のコラムは、かなり暗い推測になってしまったが、“逆櫓の道を残す”知恵がアメリカにあるか、捨身で打開の突破口をロシアが見出すか、無責任だが興味は尽きない。国内政治への関心は薄れるばかり、退屈で仕方がない(笑)。

ジャパン・イズ・バック――安倍政権にみる近代日本「立場主義」の矛盾
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●安富歩いわく ピンキリと云う二つの立場を設えた安倍晋三

2014年07月27日 | 日記
ジャパン・イズ・バック――安倍政権にみる近代日本「立場主義」の矛盾
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●安富歩いわく ピンキリと云う二つの立場を設えた安倍晋三

 以下の“安富歩”のインタビュー記事に物申すつもりはない。必ずしも、すべて同感とはいわないが、異なる視点で物事を見ることの大切さも教えてくれる。彼と、現役東大生のすれ違いが滑稽にさえ見える授業風景は、時折IWJで愉しむことがある。安富教授の講義内容は理解していても、その授業には同化せず、おのれ独りの知恵にしようと云う雰囲気が、東大生気質を観察するようで面白い。

 ところで、欧米各国が、嫌にガザ地区のイスラエル殺戮テロ国家の仲介に必死なフリをしている。充分に殺すだけ殺したから、これ以上は、国際世論上も拙いだろうから、矛をおさめたらどうか。今なら、人道的見地から停戦を受け入れる姿勢を見せることで、湧きあがりつつある「反イスラエル機運」を覆すことが出来る、等とでも思っているのだろうか。米国務長官ケリーやEUや英仏独伊が善人の真似ごとに興じている。殺させるだけ、殺しておいて、仲介だとか、和平交渉だとか、そんな理屈が成り立つ世界自体が奇異だろう。生活のロジスティクスである、トンネルを全部破壊は、休戦中もOKなんて、キチガイ染みた仲裁案など、糞のようなものだ。

 最近筆者は陰謀論とは関係なく、イスラエルロビーと云う言葉は、ヤラセなのではないかと疑うに至っている。奴らは、覇権国アメリカのメッセンジャーであり、何を隠そう、アメリカがイスラエルを指導してるようにさえ思えてくる。たしかに、アメリカの指導層にユダヤ人が多いのは事実だが、彼らがシオニストだとしても、現在のイスラエルと云う国家と同質ではない感じも持っている。つまり、イスラエルは完全なアメリカの暴力装置であり、国際世論上、Wスタンダード過ぎるきらいのある事柄を、イスラエルに実行させているだけのように思えてきてる。モサドやイスラエル軍は、CIA、米軍の支店に過ぎない。そういう見方をしておく方が、より正解に近いと考えるに至っている。まあ、きな臭い話はこの辺にして、安富教授のモノの見方考え方をお愉しみあれ。


≪“立場主義”が日本を破滅させる 「魂の脱植民地化」の必要性を訴える安冨歩・東京大学教授に聞く

 【 東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、東京大学関係者を中心とする日本の専門家や権威には共通する欺瞞に満ちた話法=「東大話法」が あると指摘して注目を集めてきた東京大学教授の安冨歩氏。背景には、何にも増して「立場」を重視するという世界的にも特異な日本社会の在り方が大きく影響 してきたという。
 近著『ジャパン・イズ・バック 安倍政権に見る近代日本「立場主義」の矛盾』では、安倍晋三政権はもはや機能しなくなりつつある「立場主義」を何としても維持したい「立場ある人たち」のものでしかない、必要なのは安倍首相が繰り返し強調する「強い日本」ではなく、状況の変化に柔軟に対応できるしなやかさを持った社会の形成だと強調する。
 その安冨氏に安倍政権の本質と、今、日本社会が進むべき方向性とその考え方について聞いた。(聞き手は石黒千賀子) 】

――安倍晋三政権は昨年末、特定秘密保護法案を衆参両院で可決、この7月1日には、憲法の解釈変更による集団的自衛権行使容認も閣議決定しました。強引な手法から支持率はさすがに低下してきていますが、久方ぶりの長期政権となりそうです。

安冨:経済政策のアベノミクスも国家主義的動きも基本的には政策としては間違っています。しかし、高い支持率はこの間違った政策を国民が望んでいる、ということを意味します。国民はだまされているわけではありません。なぜそういうことになるのか。
 私の考えでは、多くの日本人は「立場主義者」であり、「立場」をなくせば生きていけない、と思い込んでいます。日本経済が行き詰まったのに伴って多くの 人の立場が失われつつある中で、安倍政権は人々の立場を無理矢理にでも作り出すという機能を果たしています。だから多くの人が自分の立場が守られるような気がして、支持している。

 ◆「立場」のない人にも「立場」与えた安倍政権
  まず、もともと固い「立場」を持っている既得権益者たちに対しては、財政赤字を拡大させてでも景気刺激策だの、医療費、年金といった形で彼らのパイを守るための資金を提供しているので、当然支持されますね。
 ただ、実際には既得権益者のパイを守るために資金を出しているのではありません。エリート官僚が自分の立場、つまり天下り後の何千万円という自分の年収を維持、確保するために、古賀茂明氏の言葉を借りれば彼らの「生活設計」のためにやっているのです。ただ、それに対して人々が文句を言わないように、財政が破綻しているというのに、既得権益者たちに小金をばらまき続けて黙らせている、というのが実態です。  
 一方、すべての立場から排除された人には、「日本人である」という「立場」を与えることで、パイを与えずして支持を獲得しています。ご存じのように、デ フレもあって20代、30代の年収は近年下がり続け、非正規雇用者比率は、2013年は36.2%と、バブル最中の1990年の20%から倍近くに増えています。そこそこの大学を出たり、能力を持っていても、ひとたび正社員のレールからはずれると、右肩下がりの経済と雇用不安から結婚や家族を持つこともままならない人が少なくありません。
 そんな人たちにとって唯一残された立場が「日本国籍」です。安倍さんが連呼する「強い日本を取り戻す」によって、彼らは自分たちの「日本人」という立場 が強いものになると感じ、惹かれるのでしょう。中国との対立を煽ることで、その立場の感覚はリアルなものになっています。もし徴兵制が始まれば、それこそ 本物の立場が得られるわけです。

――この2つのグループの人々が安倍政権を支持しており、両方を合わせれば日本国民の過半数を占める、ということでしょう。 通常、保守政権は体制派、既得権益層の支持を重視し、革新政権は左派、あるいは非体制派の声を代弁するものですが、双方の支持を掴んだという点ではイノベーティブな政権とも言える…。

安冨:そうですね。日本は敗戦へ の反省から、ナショナリズムを政権安定のためには使わない、という不文律があったように思います。それが変わったのです。いつからなのか。確かに小泉純一郎首相も靖国神社に参拝して一定の支持は得たと思いますが、それは高い支持率を背景にやったことで、ナショナリズムで支持を獲得した、とは感じませんでした。安倍首相の場合、明らかに風向きが変わって、右傾化することで支持を得ています。

◆安倍政権の支持構造はナチスに似ている
 安倍政権の支持構造は、この意味でナチスと似ています。ナチスは、第1次大戦の敗戦により背負った莫大な賠償金でドイツ経済が疲弊している時に、軍拡の ための積極的な産業政策を展開して資本家や産業界を取り込む一方、反ユダヤ主義を掲げることで何も持たない人に「アーリア人の誇り」というものを生み出し、支持を獲得していきました。

――そういうことを意識してやっているのでしょうか。

安冨:どうなんでしょうね。ヒトラーも安倍さんも無意識にやっていると思います。それがたまたまうまく当たった、という感じではないでしょうか。
 安倍さんも、自分の「立場」に完全にはまっている。ご存じのように安倍氏の母親は岸信介の長女。つまり、彼女は日本で初めて父親と息子が首相になった女性なわけで、安倍氏は基本的にその母親のコントロールの下にあると私は見ています。
 経済政策のアベノミクスは、「革新官僚」で「満洲国」の実力者だった岸信介の推進した満洲産業開発五カ年計画*ばりの資金のばらまきです。見てくればかりの空虚な計画に莫大な資金を無理矢理投入し、あたかも何か成果があったかのように振る舞う、という点で全く同じです。さらに、ナショナリステイックな政策は安倍氏にとって本丸。いわば岸家の家訓のようなもので、それに従ってやったら時代と呼応したということでしょう。

* 1933年に関東軍と満鉄調査部部員が満州国を建設するため、20の分野の産業について重点的に開発目標を定め総額26億円を投じるとした「満州産業開発5カ年計画」のこと。

 岸信介も、岸の実弟である佐藤栄作も、日本も核武装すれば米英に並ぶ超大国になれると真剣に考えていた、と思います。特に佐藤は首相時代、中国が核武装するなら日本もそうすべきだと考えていたことが、NHKのドキュメンタリーでも明らかになっています。結局、米国に反対され、アメリカのジョンソン大統領と会談して、自らの核武装を放棄する代わりに米国の「核の傘」によって防衛してもらうという確約を取り付けたうえで、非核三原則を打ち出してノーベル賞を貰ったわけですが、当時は外務省上層部にも核武装すれば超大国の仲間入りができるという発想があったようです。

◆脱原発をドイツができて日本ができない理由
 それどころか福島であれだけの原発事故を起こしても、いまだに日本の政府関係者の間では核武装しているか、いつでも核武装できる国が一流国家で、そういうことができない国は二流国だとわけの分からないランキングが支配しているのではないでしょうか。だから、原子力技術を放棄すれば、それは二流国家に転落することを意味すると思う。彼らが口に出すことは稀ですが、そのような古い枠組みを解体せずに思考しているのです。
 ちなみにドイツは、国が立派であるかどうかの基準は核武装とか核エネルギーとは何の関係もないということをちゃんと理解しています。だからこそ脱原発に明確に舵を切ることができたのです。
 恐ろしいのは、こうした日本の動きが、米国が今後採用すべき安全保障戦略として、最近よく話題になっている「オフショア・バランシング」と妙に合致しつつあるという点です。

――オフショア・バランシングとはどのような戦略を言うのでしょうか。

安冨:イギリスは18~19世紀 に、安全保障戦略として、フランスとドイツなどの大陸諸国の対立関係を利用して、常にいずれかの弱い方を支援してバランスを維持することで漁夫の利を得て いたとする分析です。この戦略が破綻して第1次世界大勃発につながったということになります。
 米国では20年ほど前から、アジアにおいては日本を中国に対抗できる勢力にすべく核武装させ、常に状況を見ながらいずれかの弱い方に付くという戦略により、東アジアの安定を図るべきだ、と提唱する安全保障関係者がかなり出てきています。

――中国が激怒しそうな戦略ですね。

安冨:アメリカにとっては、それがちょうどいいわけです。中国の習近平国家主席はオバマ大統領に、「太平洋は十分に広いから米国と中国で半分に分けよう」と提案していますが、戦後ずっと太平洋すべてににらみを効かせてきた米国としては、中国に半分譲るのは嫌なわけです。ならば日本に核武装をさせて、アメリカの代わりに日本に西太平洋を管理させれば、アメリカは中国に対してカードが切れるようになる。日本が台頭しすぎれば「日本はやり過ぎだね」と中国側に寄り添えばいいし、中国が強くなりすぎれば日本側に付けばいい。

◆ラテンアメリカ系人口急増で内向きにならざるを得ない米国
 こうした案が浮上してくるのは、どんどん人口が膨張していく世界のすべてでアメリカが警察官の役割を続けるのはもう無理だという認識が米政府にあるからです。背景には莫大な財政赤字と米国の人口構成の変化があります。米国では、白人の次に多いのは今やラテンアメリカ系で、既に人口の15%を突破しています。黒人や白人は増えていないのに、ラテンアメリカ系は年齢構成も若く凄まじい勢いで増えている。大統領選挙のたびに人口構成比で1~2%増えていて、 2050年には人口の半分を超えるとされています。 米国は早晩、白人の国ではなくなるということです。つまり、米国の政治家にとっては今後、ラテンアメリカ系の票をいかに獲得するかが選挙戦で勝つカギを握るようになるわけで、そのためには社会保障や学校教育の充実が求められていく。つまり、ますます財政支出を拡大せざるを得ない。アジア太平洋の防衛に資金をさく余裕は一層なくなり、政策面でも米国はどんどん内向きになって行かざるを得ないということです。「アジア重視」というアメリカの声明は、掛け声だけではないか、と私は疑っています。

――それが奇しくも、安倍氏をはじめとする日本でタカ派の安全保障政策を追求する人たちの立場と合致して、今の右傾化に拍車をかけている…と。

安富:日本における今の米軍基地は貸座敷というか、日本は米国の植民地みたいなものですが、安倍さんたちにしてみれば、集団的自衛権も行使できて、かつ日本が核武装できるとなれば、彼らのイメージする「立派な独立国」に近づくわけで、米国との関係ももっと対等な関係になる。これは自民党を中心とする保守層の長年の悲願だったわけです。
 こうした動きの背景に、米国の核の利権をベースとした軍事産業の動きというものも同時に強く感じています。ロッキード・マーティンといった軍事産業の巨大企業は米政府の軍事費が削減される中にあっても莫大な費用を投じて、米政府に対してロビー活動を展開しています。しかしそれに絶対的限界があるとすれば、日本などの東アジア諸国も核武装させてマーケットの対象にしたい、という思惑が働いても不思議はありません。
 日本の安全保障にかかわる政策ならば本来、国家を挙げて議論をすべきです。ところが、重大な問題であればあるほど、ごく一部の人間だけが情報を握って動かす。こういうことが世界中で近年、構造化されているように思います。ここでいう一部の人間というのは、いわゆるエリートです。

◆エリートにとっては「奥さんに怒られないこと」が重要
 そして特にエリートというのは、基本的には頭がどこか狂っていて、自分の立場のこと、自分の給料のこと、自分の奥さんが怒らないかどうか、といったことしか考えていないんじゃないか――こう考えるといろんなことが理解できるようになります。
 特に奥さんにいかに怒られないようにするかというのは日本のエリート男性には相当、当てはまる。例えば、何年か前に(2007年11月)、守屋武昌氏と いう防衛事務次官が収賄容疑で逮捕されましたね。あの時は配偶者の幸子氏も同じ収賄容疑で逮捕されました。公務員の収賄罪で配偶者まで逮捕するのは異例中の異例ですが、ゴルフの接待に同伴するだけでなく、確か単独でも接待を相当受けていたことを検察が重視、刑法の「身分なき共犯」に当たるとして逮捕に至ったと記憶しています。この事実は守屋氏が奥さんのためにどれだけ収賄していたかを表していると思います。 守屋氏は「防衛省の天皇」と呼ばれるほどの実力者でした。その「天皇」が奥さんの命令で汚職をしながら、防衛政策を決めていたわけです。奥さんに沢山貢ぎ物を持ってくるやつに都合のいいように日本の防衛政策が決まっていた、という事実の恐ろしさを我々は深く認識せねばなりません。
 嘆かわしいのは、こんな事態を招いているのは何も守屋氏一人ではないことです。90年代後半(1996年)にやはり収賄罪で逮捕された厚生事務次官(岡光序治氏)も、確か奥さんが贈賄側に自宅キッチンのリフォームまで要求していたことで当時、話題を集めたものです。彼らは例外ではなく、やり過ぎただけなのです。
 ことほど左様に国家政策など、ごく一部の役人(というか、その奥さん)の都合によって決められているというのが実態ではないでしょうか。古賀茂明氏が、電力政策は経産省の役人の生活設計のために行われている、と言っておられたのは、単なる事実だと思います。

◆日本のガラパゴス化も夫婦関係が原因
 こんなこと言うと、「またそんな~」と思われるかもしれませんが、日本が「ガラパゴス化」している、というのも、この夫婦関係が原因なんです。

――ええっ?!どういうことですか?

安冨:大企業の決定権を握る連中はエリート男性です。守屋氏の小型みたいなもの。そこには、やはり、幸子氏の小型がくっついているわけです。こういう夫婦関係を大阪大学の深尾葉子准教授は「タガメ女/カエル男」と命名しました。そういうカエル男は、組織の意思決定をする際に、組織の将来のことなんか考えません。タガメ女のご機嫌を伺いつつ、意思決定するのです。つまり、自分が将来に貰う給料と年金のことしか考えません。
 それはつまり、自分の立場を守る、ということです。自分の立場を守るためには、構造的変化はよくありません。会社内で誰かが全く新しいイノベーションを起こしてしまったら、たとえ会社にとっては良いことでも、自分の相対的地位が下がってしまうのは困ります。
 そういう連中が往々にしてやるのは、(1)部下のイノベーションを邪魔する、(2)もしイノベーションが成功してしまったら、その部下を追い出して、成果を横取りする、です。(1)の場合、イノベーションは起きません。(2)の場合はイノベーションは単発で終わって続きません。日本中の大企業でこういうことが起きているので、国内企業でイノベーションは起きません。そうなると、日本市場を海外市場から切り離してブロックしてしまう以外に、利益を出す方法 はないわけです。
 そんなことしたら、短期的には利益が出ても、長期的には「iPhone」の例のように良い商品は必ず海外から侵入してくるのだから、不合理だろう、と思うかもしれませんが、カエル男にとっては関係ありません。自分が権力を握っている数年間が問題なのであって、そこを逃げ切ってしまえば、あとは退職金を貰って企業天下りをして子会社でブイブイ言わせ、また退職金を貰って年金生活に入れば勝ちです。逃げ切ることしか考えていないのです。 かくして日本はガラパゴス化するのです。立場を守りたい人間にとって、日本市場が国際化するのは非常に怖いことです。ガラパゴス化は、いわば立場主義者によるラッダイト運動です。熟練工によるラッダイトは、機械の導入という技術革新を阻止して生産過程を守ろうとするわけですが、立場主義者によるガラパゴス化は、いわばネットワーク化とボーダーレス化とを阻止して立場の生態系を守ろうという動きです。かくして立場は守られ、日本の競争力は失われていっ たということでしょう。

◆プラザ合意という転換する好機を逃した日本
――バブル崩壊以降、低迷を続けているわけですが、日本の転換点は一体どこにあったとご覧になりますか。

安冨:随分昔の話になりますが、プラザ合意で変わるべきだった、と私は考えています。あれは立場主義の成功によって発展した日本社会へのメッセージでした。カエル男たちが、立場を守るために命がけで役を果たし、タガメ女が銃後の守りを固めると、組織が機能してうまくいった時代がありました。それが60年代~80年代の日本の繁栄をもたらしたのです。
 しかしコンピューターが本格的に生産過程に導入され、オートメーションが工場からオフィスまで押し寄せ、さらにマーケティングにまで広がるようになり、そういう生産集団は非生産的になったのです。特に、円高になってしまえば、そういったシャカリキになって働く集団は、全く意味がなくなりました。
 それゆえ、その段階で立場主義による製造業を放棄して、生産拠点をアジアへと積極的に移転させねばなりませんでした。ただ、それには戦後補償という問題を片付ける必要がありましたが、我々に戦時の愚行がもたらした悲劇に直面する勇気がなかったのです。
 生産拠点を海外に移転させた後には、日本が東アジアのイノベーションと金融のセンタ―となり、富裕層の観光地・隠棲地となるべきでした。それには大学に 在学する学生の半分くらいをアジアの留学生とし、彼らを大企業が採用し、日本社会に受け入れる必要がありました。しかし、四年制大学卒業の日本人男子学生がヨーイドンでスタートして出世競争をするという立場システムを、日本企業はいささかも変更しなかったので、そういうことは起きませんでした。
 東大の内輪向けの学生名簿に、女性には名前の後に(女)と書いてあり、外国人には(中国)とか国籍が書いてあったのを思い出します。日本人の男子学生だけが「正常」であり、それ以外はまるで「異常」だという認識が、21世紀になっても東大生の脳裏にしっかりと刻み込まれていたのです。これで国際競争力を維持するのは不可能です。
 また、地域社会も、外国人を受け入れる必要がありました。そうしなければ不動産を買ってくれる人がいないんですから。しかし、日本の町内会は、不動産価値が下がることよりも、ゴミ当番や掃除当番や自治会役員をしっかりできない「外人」がやってくることを憎悪しました。それでは立場の秩序が乱れるからです。
 かくして日本社会は、プラザ合意のメッセージを受け止め損ね、あの愚かで破壊的なバブルを引き起こしたのです。そのありあまった金でアメリカやヨーロッパの不動産や財宝を驚くべき高値で買い取り、後に、驚くべき安値で売り払ったのです。もしこのお金を、中国や東南アジアやインドに投資していれば、今頃、 一体、いくらになっていたでしょうか。

◆魂に傷を負ったことがすべての原因
――日本はなぜ発想の転換をできなかったのでしょうか。なぜここまでの事態に至っているのでしょうか。

安冨:それは、人々が子供時代に受けた魂の傷が原因だと私は考えています。

――た、魂、ですか? 安冨さんは名刺に研究分野として「魂の脱植民地化」と書かれていますね。

安冨:こういうことを言うと、オカルトだと思われるかもしれませんね。しかし、私はそれが根本問題だと考えています。子供時代に理不尽な扱いや暴力を受けると、人間の魂には深い傷が刻まれます。その傷は悪いことにその人の「性格」となり、隠蔽されてしまうのです。何か変なことをしても、性格だとか個性だったら、仕方ない、と思ってしまいますよね?でも、そうではないのです。
 さきほどの守屋氏にしたって、配偶者の幸子氏にしたって、あんな風にしようと思ってやっているのではなく、そういう風に「してしまう」のだと私は思って います。そしてそれは、彼らの魂につけられた傷を隠蔽しているからだと思うのです。傷を隠蔽すると、それに向き合って治癒する、ということができません。 だからものすごく痛い。その苦しみを誤魔化すために、何かの刺激が必要だったのだと思います。  どうして幸子氏は、毎週毎週、ゴルフに行かなければならなかったのか。そうしないと気が狂いそうだったのでしょう。だから止められない。自腹でやっていたら、公務員の安月給では破綻してしまう。守屋氏は山田洋行に何とかさせるしかなかった。彼は彼で、自分の魂の傷の痛みを何とかするために、権力を握り、それを振り回して他人を支配し、暴力を振るうという衝動を抑えられなかったのではないでしょうか。

◆まともな人間が権力を握れないのが今の社会
 そういう人々は、権力欲や上昇志向が強いので、そうでない人が我慢できないことを我慢できます。それが彼らの出世エネルギーです。そういうエネルギーの強い人が成功する社会では、まともな人間が権力を握ることはまずありません。
 そうすると、彼らはその権力を利用して、他人の魂を傷つけようとするのです。かくして社会が傷ついた魂によって満たされてしまうとうわけです。これで世の中がうまくいけば、私は驚きます。
 東小雪(ひがし・こゆき)さんという方が、最近、重要な本を出されました…。

――元タカラジェンヌの方ですね。

安冨:そうです。6月に著書『なかったことにしたくない』 を出版したわけですが、日本人で実父に自分が強姦されていたということを告白した初めての人ではないかと思います。でも日本にも実際、そうした人は何千人、何万人、あるいは何十万人、下手をすると何百万人という数できっといます。で、その人たちはみんな、受けた傷を隠蔽して暮らしている。彼女自身もそうでしたが、「それ」を忘却することで隠蔽して暮らしていた。ただ、魂に負った傷は消えていないので、何らかの形で暴力として表れる。 彼女の場合は、向精神薬をずっと飲んだり、リストカットなど何度も自殺も試みている。つまり、彼女の場合、自分を傷つけるという暴力だったわけですが、往々にしてそれは他人を傷つけるというところに出ます。  この点については、アリス・ミラー*という心理学者が30年ほど前に、児童虐待とその社会的悪影響について分析した著書『The Drama of the Gifted Child(邦題:才能ある子のドラマ)』が有名で、この本は心理学の古典とされており、今も欧米などでは非常に読まれています。

(* 1923年ポーランドに生まれ、46年スイスに移住、2010年に死去。元精神分析家で、臨床の豊富さとその質の高さ、著述の多さで世界的に有名な心理学者。『The Drama of the Gifted Child』は、初版から30周年を記念して、ドイツでは2007年、米国では2008年にハードカバーで出版されている。)

 東さんは、自分の過去を思い出し、告白するまでに長い年月が必要だったとのことです。それでも「『暴力』と『否認』はとても密接な関係にあると実感する ようになった」と書いているように、実態にふたをするのではなく、自分の体験を言葉にすることで、同じような生きづらさを抱える人に「生きる力」を取り戻してもらえたらとの願いからあの出版を決めたようです。私はその勇気に敬服しています。

◆中国の人々の怒りを日本に向けて爆発させたいのか
――人が傷を負うというのは、児童虐待だけではないですよね。戦争によって傷つく、戦争で大事な人、家族を失う、あるいは最近ならウクライナにおけるマレーシア航空機撃墜事件で突然、家族を失う。イスラエルのガザ侵攻ではたくさんの子供が殺されています。…様々 な悲劇によって傷を負う…

安冨:そうです。あの中国だってそうです。アヘン戦争、日中戦争、国共合作とそして内戦、そのあげくの果てにハチャメチャな経済政策で膨大な餓死者を出した大躍進に、人類史上にまれに見る暴力が吹き荒れた文化大革命…。あの文革は、いわば中国の国民全員がリンチに参加したようなものです。リンチに参加しなかったら、リンチされるという事態です。全国民にそんなことを強いたらどうなるか。こうした長年にわたり負ってきた精神的傷というものに中国は今も全部ふたをしたままです。

――どこかで爆発せざるを得ない…

安冨:だから日本が変なことをすれば、日本に向けて爆発してくる。確かに中国政府がそう仕向けているところもあると思います。ただ、私は日本は自ら積極的に右傾化していくことで、中国の人たちがこんなに負ってきた傷を日本への怒りとして爆発させたいのか、と聞きたい。
 それよりどうしたら中国の人も、日本人も、自分たちの負ってきた傷を少しでも治癒できる方向に進むことができるのかを、共に考えることが必要ではないでしょうか。まず日本人が人を癒やせるようになるまで自分を癒やさないとだめで、それによって中国人が魂に負った傷を何とかしない限り、世界は崩壊します。 間違いなく。
 とにかく、1人の人間が変わると、それは5人なり10人なりに影響します。5人なり10人に影響すれば、さらに5人なり10人に影響していくわけだから、そうした連鎖が5回くらい起きたら社会は変わっていく。私はそう思っています。

◆私が女性の服を着るようになったのは…
――おっしゃることはよく分かりますが、残念ながら今の日本から「変わりそう」という印象は受けません。いわんや「日本人が癒やされる」までというほど、もはや時間がないのでは、と感じてしまいます。そして、それ以上に気になるのはこのインタビュー記事に対する読者の反応です。安全保障や日中関係については、一部の読者、特にネトウヨと思われる方々が強烈に反応してきます。特に本日の安冨さん、前回、この欄に登場して下さった時とは見た目も少々異なりますし…。

 安冨:おっしゃること、よく分かります(笑)。まず、自分のことから説明しましょう。
 私は身体的には男性で、しかも性的対象は女性限定です。しかし、もしかしたら、性認識は自分のことを女性だと思っているのではないか、ということに1年ほど前に気づいたんです。東小雪さんが本に書いていますが、性別を考えるには3つの物差しがあるそうです。生まれた時に医師が判断する身体的な性と、自分のことを男と思っているか、女と思っているかという性認識と、そして女性を好きになるか男性を好きになるかという性的指向の3つです。これらはしかも明確に二分されるのではなく、グラデーションを持って分布しています。
 私はいわゆるストレートですが、何か内面的には女性であると…。50年間も気づかなかったのですが、気づいた。なぜ気づくに至ったかというと、1年前に やったある健康法によるダイエットがきっかけでした。それで体重が10キロ以上減った。それだけ痩せると、それまでの服がすべて着られなくなりました。 で、新しい服を買いに行くわけですが、体に合うズボンがない。太腿と腰が太い割に、自分で言うのもなんですが、ウエストが細くて、どうも合わない。そこで パートナーの彼女に勧められて、女物のズボンをはいたらぴったりだった。驚いたのは、体に合うだけでなく、それまでにない異様な安心感を覚えたんです。
 最初は体にフィットした服のせいかと思っていたのですが、しばらく考えるとそれだけではないな、と感じるところがあって、ほかにもいろいろ女性の服を着てみたらますます自分の心が安定していく、ということが分かったのです。

◆不満や怒りが表出することは社会にとって大事
――東大ではその装いで授業をしていらっしゃる?

安冨:はい。昨年秋にやった授業のビデオがネットで見られますが、そこでは女物の服を着て化粧しています。今後も当然、この格好でやります。ちなみに教授会はこうした格好で行っています。
 最初は人前に出る時は、あまり人を驚かさないようにしていたんですが、だんだんそれが自分にとってストレスになって、コミュニケーションに出てしまう。 つまり、敵対的になったりして、悪影響が大きいことに徐々に気づいたので、こうした服装にしたいと感じた日には素直に着ることにしたわけです。
 自分が『東大話法』といった攻撃的な本を書いたりしていた理由も無意識にこうしたストレスを感じてきたからではないかと気づきました。そのせいか最近はこうした格好をしていると、エリートたちの実態を責め立てるようなことも言う気もなくなってきました。

――失礼ですが、そうした服装にされていて攻撃されたりしたことはないですか。

安冨氏:ないですね。三橋順子さんという歴史学者で有名な女装家がおられますが、彼女が書いているように、日本は男性で女性でもあるような「双性」の人に寛容な社会なのです。攻撃と言えば、このインタビュー記事に対して読者が強烈に反応するかもしれない、という点、ウエルカムですよ。
 不満、怒りが「出る」というのは非常に大事なことなんです。日本が右傾化しているかどうかということではなく、これまではそうした不満が表に出てくることはあまりなかった。基本的に最も虐げられている人たちの力はすごい。この「虐げられている」というのは経済的な意味というより、精神に傷を負った人たちのことで、そういう人たちの傷というものの力はすごい。そういう傷がいわゆるファシズムや差別や戦争といった集団的暴力を生み出すからです。傷というのは、隠されていればいるほど力が強くなる。だから例えば、この記事に反応することで怒り、不満が露呈する方がおられるとすれば、それは大変ありがたいことだと私は考えています。

◆怒りの表出の仕方は時代によって異なる

――品のない表現ですが、「ガス抜き」になるということでしょうか。

 安冨:というより、傷が存在する ことが明らかになることが大事だという意味です。ああいう人たちが、リベラリストの仮面をかぶる方が怖い。「こんな風に反応をする人がいるんだ。日本は一体どうなるのだろう」とみんなが感じることが大事なんです。みんながリベラリストの仮面をかぶって、ちゃんと振る舞っていたら、何も心配する必要はない、ということになる。そうなる方が危険です。
 それぞれの魂が負っている傷が吹き出す「表出の仕方」というのは、時代によって異なります。1970年代の連合赤軍みたいなのもあれば、労働争議、あるいは最近増えている若者によるホームレスの人たちに対する暴力沙汰など、様々に形を変えて出る。大事なのはその表出した現象に対応するのではなくて、その根本にある原因を考えることです。
 だから、今の時代も、いろんな痛み、悲しみ、苦しみ、怒り、憎しみが、社会のすべての側面で、個々の家庭の中でもうごめいているという、つらい事実をま ず認識する。その上でどうしたらいいのかと考えることがまず第一歩です。そのために言論の自由が保障されているわけですから。  ≫(日経ビジネス:マネージメント:キーパーソンに聞く・安富歩)


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●安倍が悪魔を呼び寄せた イスラエルと軍事パートナー

2014年07月26日 | 日記
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●安倍が悪魔を呼び寄せた イスラエルと軍事パートナー

 もう、イスラエルの乱暴狼藉がとまらない。パレスチナ人すべてを抹殺するまで止めたくない、そんな感じだ。米国務長官ケリーが仲裁に乗り出した云々の話なんか、ニュースじゃないだろう。事前に米国情報筋とは話がついていると考えるのが妥当だし、米国務省も程々なら、良いんじゃないの、と了解したことは、容認想像がつく。米国だって、ハマスの勢力が増えることは好ましくないわけで、イスラエルが悪役を引き受けるなら、渡りに船に近い話である。なぜ、ガザでの大量殺戮を横目で見ながら、ロシア・プーチンの悪口三昧を言うのに多忙だったから等と云うことはないだろう。

 米国が、動かざるを得なくなった一番の理由は、報復の範囲とか、正義の鉄槌とプロパガンダ出来ない世界世論が盛り上がった点にある。ウクライナクーデター謀略では、世界世論を概ね上手いこと印象操作することで、プロパガンダが成功しているが、ロシアにかまけている間に、イスラエルの暴挙にまでは、神経が充分に至らなかった部分があり、西側メディア全体の、逆風が吹いてきて、今さらイスラエル擁護など出来るはずもない。国際世論の雰囲気は、イスラエルの乱暴狼藉、テロ国家とさえ名指しされるに至っている。これはヤバイ!早く手を打たないと、と云うのが現状だろう。また、イスラエル自身が自国民の犠牲が、たった30人超えただけで、国内世論がネタニヤフ首相の失敗に言及する論調も生まれてきている事実は、イスラエル自身も困っていた。

 謂わば、米国とイスラエルにとって、矛をおさめる時期が来たと、少々慌てながら仲裁に乗り出したように見えるが、はじめから出来レースなのは、多少の知識を有するものなら、当たり前のように感じるに違いない。しかし、パレスチナ自治政府やハマスは、その辺の事情も把握しているので、容易に妥協することはないだろう。流れはイスラエル悪に向かっている。精々、一時の停戦合意程度は好ましいことだが、今後も犠牲が増えるとしても、国際世論を固定化させる方が、将来的に得策と云う考えもあるだろ。パレスチナ人が、単に野蛮な人々ではないわけで、国際世論を味方につけることを忌避する理由はゼロだ。朝日は以下のように状況を報じている。ケリーの提案は異様だ。停戦中も、ガザ地区の人々の生命線なる「トンネルを破壊することは継続していいよ」、誰がこんな話飲むものか!


≪ パレスチナ、各地で衝突 ガザの死者800人超す
 パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘は25日、停戦の見通しが立たない中で18日目を迎え、死者数は800人を超えた。増え続ける同胞の犠牲にヨルダン川西岸のパレスチナ人たちはいらだちを募らせ、衝突が頻発している。
 西岸各地では25日、ガザ攻撃に抗議するデモ隊がイスラエル治安部隊と衝突。パレスチナのマアン通信によると4人が死亡した。24日夜にも、自治区ラマラ近郊で数万人のデモ隊と治安部隊が衝突した。デモ隊は検問を突破してイスラム教の聖地がある東エルサレムに向かおうとし、治安部隊は催涙弾に加えて実弾を発砲。1人が死亡、約300人が負傷した。
 ラマラ近郊で25日、衝突で亡くなった男性の葬儀があった。ハマスの緑の旗を掲げる人も。参列したハイサム・サレムさん(37)は「治安部隊が先に撃ってきた。イスラエルは報いを受けるべきだ」と怒った。
 ヨルダン川西岸は、ハマスと対立するパレスチナ自治政府の主流派ファタハが支配する。ただ、ガザに親戚や友人がいる人も多く、ガザ市民の犠牲はひとごとではない。イブラヒム・ジャラデットさん(19)は「屈辱だ。自治政府のアッバス議長は若者を率いて抵抗すべきだ」と語った。
 25日はイスラム教の断食月の最後の金曜日。イスラエル当局は厳戒態勢を敷いた。
 ガザの保健省によると、8日の戦闘開始からの死者数は828人、負傷者は5300人以上。14万人以上が家を追われた。ガザ北部では24日、国連運営の学校が砲撃され、15人が死亡したが、イスラエルのネタニヤフ首相は同日、「全力で作戦を継続する」と述べた。一方、イスラエル軍は25日、ハマスがガザで拉致したと発表したイスラエル兵が、地上戦で死亡したと認定した。
 停戦に向けた仲介にあたるケリー米国務長官は、25日もエジプトの首都カイロで調整を続けた。25日付イスラエル紙ハアレツは、ケリー氏が、1週間程度の一時休戦と、その間にガザの境界封鎖解除などを交渉する案を示したと報じた。ただ、休戦の間もイスラエル軍はハマスが掘った侵入用の地下トンネルを破壊できるとしており、ハマスが受け入れるかは疑わしい。
 イスラエル政府は25日の臨時閣議でケリー氏の提案について協議する。 ≫(朝日新聞デジタル:ラマラ=渡辺淳基、エルサレム=山尾有紀恵)


 要するに、ガザ地区からパレスチナ人が住めないようにして、イスラエル入植者の楽園にしようとでもしているようにしか思えないだろう。単なるパレスチナ側の徹底抗戦玉砕と云うわけではない。イスラエルの犯罪的虐殺行為を、簡単にやめさせ、国際世論を下火にさせるより、言葉は悪いが、肉を切らせて骨を切る覚悟も必要なのかもしれない。少々、言っていることが野蛮なのは承知だが、悪魔と闘う以上、そういう捨身な戦法の方がベターであることが多い。ただ、戦火がやみ、元の木阿弥に戻るのであれば、辛いだろうが、踏ん張る価値はある。いま、世界の人々の眼は、筆者ほどではないが、イスラエルって国は、どういう国なんだ?ユダヤ人ってのは、聞きしに勝る民族なのかな?と疑心暗鬼になりかけている。ここは考えどころである。

 ところで、安倍晋三は、勝手に、このイスラエルと云う国と「包括的パートナーシップ構築に関する共同声明」と云うものを発表している。具体的協力がどのようなものになるか、泥縄共同声明だから、何も決めてはいない。しかし、逆の「包括的パートナーシップ」と云うのは只ならぬ関係性を暗示している。つまり、米国の次ぐ準同盟関係を結ぶ方向と理解できる。まあ、安倍ファシズムとネタニヤフファシズムだから、相性は抜群だが、国民から見れば、トンデモナイ奴と米国に次ぐ友人になるなんて、ギャオ!と云う感じになる人も多いだろうが、そうなる可能性は大いにある。その辺は、”ハマスは潰しても良い”の佐藤優が肯定的ポジショントークを披露しているので、反面教師のつもりで、読んでみることを薦める。


≪ 元外交官で作家の佐藤優氏の解説です。
2014年5月12日、安倍総理とイスラエルのネタニヤフ首相が「日本・イスラエル共同声明」に署名しましたが、佐藤氏はこの声明には重要な意図が隠されていることを指摘しています。

 アナウンサー:今日付けの東京新聞の佐藤優さんの本音のコラム、「日本・イスラエル共同声明」。この事がどうして大きく扱われないのかという風に、佐藤さん仰ってるんですが、日本とイスラエル共同声明、どんな事が話し合われたんですか?

佐藤:まず名前からしてもですよ、日本・イスラエル間の新たな包括的パートナーシップの構築に関する共同声明なんて言う、「包括的パートナーシップ」って入ってるわけですよ。
 包括的パートナーシップっていうのは、友達なんだけれど色んな事これからやっていきますよ、という事ですよね。ですから準同盟国位に近づいてくる。
 それで、ポイント2つあって、双方はサイバーセキュリティに関する協力の必要性を確認し、両国の関係諸機関に対話を行う事への期待を表明した。
 期待への表明だけども、サイバーテロ対策っていうのは実は裏があるんです。日本じゃできないの、攻撃しないから。サイバー技術、防衛技術は攻撃している国しかつかわないんです。攻撃して初めてつく、そういう技術なんですよ。でも日本は専守防衛だからそれできない。そこで知恵働かした知恵者がいたんですね。
 イスラエルは、例えばイランのスタンドアローン・システムの原子炉、外と繋がってないんですよ。それなんだけれども、突然遠心分離機おかしな動きをしちゃう。
 これどうしてかというと、新聞報道ベースですけどね、イランの技師がヨーロッパに出た時に、イスラエルの工作員が部屋を15分はずしてコンピュータを部屋に置いている時に、コンピュータの中にウイルスを差し込んで入れちゃうわけですよ。
 そしたら、USBをそこに入れて、切り離されているスタンドアローン・システムの原子炉に入れたら、感染しちゃったと。だから切り離されているコンピュータをどういうふうにして破壊するかとか、そういった技術までを含めて、世界の超トップなんですよ。
 だからドイツなんかすごく怒っているわけなんですね。ドイツの機材に対して入り込んできたとか、アメリカもびっくりする位の力があるわけなんです。だからイスラエルの力をもってすると、例えば邦丸(くにまる)さん(アナウンサー)のプライベート・コンピュータの中身を覗きたいと思ったら、多分2~3時間でできると思います。
  文化放送のアドレスがあるとするならば、そこの所から入って色んな事をやったりとか、或いはスノーデンさんが言っているような別のシステムでと。だからそれを逆に防御するシステムを持っているわけですよね。
 それを手に入れると北朝鮮とか中国、ロシアに対して鉄壁防御が出来るわけなんです。その代わり、技術はイスラエルと共有しますからイスラエル抜けますよ。こういう事にどうも踏み込むっていう事じゃないかと僕は思うんですよ。

 アナウンサー:安倍さんと、それからイスラエルのネタニヤフ首相が今週の月曜日(5月12日)ですね、東京で署名してます。

佐藤:それから防衛協力の要請を確認して、閣僚級を含む両国の防衛当局下の交流拡大で一致したと書いてあるんですが、これだけじゃどういう事かわかんないけど僕はね、無人戦闘機でイスラエルの技術得るんじゃないかと。
 この無人戦闘機はアメリカのグローバルホークは値段が高い。それから色んな機能がたくさん付いているわけですよ、特に殺傷系の機能が。
 イスラエルのはもっとピンポイントで偵察をするとか、或いはピンポイントで誰か暗殺するとか、そういう技術がものすごい優れているわけですよ。値段も安い。どうもこういう技術入れる事考えているんじゃないかなと思うんですよね。
 となると、アメリカ一辺倒じゃなくて、アメリカの同盟国であるイスラエルと組むことによって技術を向上させると共に、アメリカと兵器の値段ってあって無き物なんですよ。言い値で買わないといけないんだけども、ちゃんと競争原理を入れていると。
 というと今回の日本・イスラエルの共同声明っていうのは、日本の安全保障とか外交政策、今まで日本はアラブ寄りでしたからね。これガラッと変える相当デカいもので、私は集団的自衛権の問題なんかよりもずっと実質的に日本が変わっていくという事だと思うんですよ。

 アナウンサー:イスラエルに対する嫌悪感を持っている国々からすると、安倍さんとネタニヤフさんの共同声明の署名っていうのは、日本国内では全然それ程報道されないけども・・・。

佐藤:世界でも報道されてないですからね。だから知らないうちに物凄く大変な事が進んでいるんだと思うんですよね。

 アナウンサー:敏感な国からすると「えーっ!?」っていうことになるわけです?

佐藤:まだあんまり気付いてないと思いますね。今日書いたので気付く人も出てくるかもしれませんけど。
 ただ、こういう事を私は何で書いたかというと、やはり知らしめて関係を改善していかなきゃいけないと。重要な事はやはりきちんと説明しないといけないと思うんですよ。

 アナウンサー:武器輸出三原則を解禁っていうニュースも一時期ありましたよね。こうなってくると技術協力をするってことは、日本の企業とイスラエルの企業との共同開発っていうのは、タガがどんどん緩んでいく可能性がありますわね?

佐藤:そう思います。ですからナントカ重工系っていう所が非常にこれから元気になってくるわけですよ。
 それと同時に先ほど邦丸さん(アナウンサー)仰った武器輸出三原則の緩和の時のポイントは何だったのかっていうと、一番大きかったのは実はイスラエルなんですよ。
 次期の主力戦闘機のF35、この部品の42,3%が日本で造っているんですよ。イスラエルは戦争で使う可能性が高いですから。ここで武器輸出三原則を緩めておかないと、イスラエルへの輸出ができない。
 となると、この部品は全部韓国に持ってかれちゃった所なんです。だからあそこで緩めなければ、大きな防衛利権は韓国に行っていた。そしたら朴槿恵(パク・クネ)さんもう少し機嫌よかったかもしれませんけどね。
 ですから、意外と報道されているんですよ、断片で。しかしそれが、大きな経済的な意味や政治的意味を持っているっていう事が、よく解説されていない事柄っていうのがあるんですね。
 その一つっていうのが、今度の日本・イスラエル共同声明なんですよ。ですから安倍政権というのは、相当やっぱり今までにない踏み込んだ事を色々やってます。  ≫(くにまるジャパン:太平洋戦争史と死後のことを考えるさんのページより拝借)

よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃないか (オリバー・ストーンが語る日米史の真実)
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●日本、少子化対策と口々に叫び 子供の貧困を見逃す社会観

2014年07月25日 | 日記
違和感から始まる社会学 日常性のフィールドワークへの招待 (光文社新書)
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●日本、少子化対策と口々に叫び 子供の貧困を見逃す社会観

 たまには、きな臭さのない話をしてみようと思う。安倍政権においては、少子化問題は、末席に追いやられ、育児終了の女性労働力の活用なんて方向に視点が捻じ曲げられてしまった感がある。もう少子化対策なんてやっても無駄。産むヤツは産むけど、産まないヤツは、どんな支援策打とうが、砂漠の水撒きのようなもの、やめようぜ。おそらく、有識者等々の考えは、このような方向が主流なのだと思う。文明病の根本的原因もあるわけだから、その対策が弥縫策になりがちなのは避けがたい。筆者も同じ感覚は共有する。

 おそらく、日本の場合、戦後の団塊世代の塊がゴッソリ高齢者になり、多高齢者社会が、相対的に少子化問題を際立たせている図式だ。これから40年も時間が流れれば、一定の安定した人口構成が実現するだろうから、たかだか40年の為に、日本の家族制度を根本的に変えるような、過ちは冒すべきでない、と云う認識もあるだろう。その意味では、半世紀だけ外国人労働者の労働力を使いたいという発想の心根も判る。5年スパン、10年スパンは、税収面、健康保険収入の面で、僅かに息がつける計算は成り立つ。このようなご都合主義で、半世紀耐え抜けば、社会保障関連のシステム崩壊も免れるのではなかろうかと云う、哲学なき技術論になっている。しかし、世界の労働市場は、社会保障関連の役人の思惑以上に、厳しい現実がある。

 日本が、“おっとり刀”で参戦したアジアの単純労働市場は、既に売り手市場に変わりつつある。人材会社の説明する内容が正しければ、台湾や韓国の労働条件の方が、数段好条件のようであったりするのだか、単純労働者の確保も机上の空論になる場合もある。また、敢えて他国まで出稼ぎに行かなくても、国内で働ぎ口が増える傾向もある。30年くらい前の、アジアの国別労働環境をベースに物事を考えていくと、これで良いだろうと思った弥縫策すら、10年遅れの政策になる状況だ。つまり、労働市場はグローバルな動きによって、かなり流動的時代が続きそうなのである。そうなると、根本的人口問題、労働者不足を是正するためには、人口の根本的底上げが必要なのでは、と云う議論が欠かせない。それは、色々やったが、どれひとつとして、根本的で劇的な改善方向に向かったものはない。

 ゆえに、弥縫策の選択がベターだという結論に至るのだが、本当だろうか。仮の話だが、生産人口の減少とGDPとの相関関係は、今までと同じような構造で起きる前提があるのではないか、と云う疑問も持つべきである。極論すれば、現状と同規模のGDPを維持できるとして、その時の生産人口が減少していたなら、一人当たりのGDPは伸びるわけで、必ずしも税収の減少に直結はしていない気もする。産業構造の変革で、仮に金融や海外投資、ロボット技術の革命的変革など、可能性がゼロだと断定は出来ない。

 人口減少を、現在のメディアの論調に合わせて考える必要もないような気がする。筆者の感覚としては、この人口減、生産人口減と云う問題よりも、20世紀型の家族制度の中で、社会保障や福祉政策、介護等の問題を括っている観念こそ、問題なのではないか、と考える。厚労省の13年度の「国民生活基礎調査の概況」を眺めてみると、間違いなく、人口は減少している。しかし、皮肉にも、 世帯数は反比例とは言わないが、漸増傾向を示している。高齢化による単身世帯増、結婚しない・出来ない単身増、シングルママパパ家庭の増などが考えられる。いずれにせよ、7人世帯とか、5人世帯なんて時代は終わり、現状は2.51人だが、ウッカリすると2.0を切るかもしれない。

 このような不都合な事実を無視して、国家の政策は役人の手間暇やポスト増に繋がる社会保障制度を増進させ、民主党政権下の「子ども手当」も、その姿を変えてしまい、役人の組織介在を増加させる改悪に向かっている。老老介護だとか、孤独死とか、一時騒ぐが、本質論の議論を聞いたことがない。特に、これからの時代に、世帯の家族数が5人乃至は4人なんて勘定で、制度設計していることが奇妙。20年もしたら、孤独死は当たり前、自己責任。老老介護の不安のある人々には、「アフラックのお任せ介護保険は如何ですか?」と云うことになるのだろう。

 このように、人口構成に関する諸問題の課題の解決弥縫策が、旧態依然の家族制度を核にして行われている現実は、まったく無駄な財政支出を、中央の集権組織の役人や、それに巣食っている福祉マフィアに掠め取られているのだろう。日本の歴史的家父長制の流れ、或は儒教等の流れから、家族と云う単位による制度の成立には、それ相当の因果関係があったわけだが、その因果関係が崩壊してる時代において、家族単位の統治意識の限界が近づいていることが理解できる。このように、現実の世間と制度のずれが、多くの面の矛盾を露呈させていると認識すべきだ。また、このような流れの延長線上には、子供は、父親母親が揃っている前提で福祉制度が出来ていることによって生じる、現実との歪みも見逃せない。

 以下のコラムは、わが国の「子どもの貧困率」で先進国トップレベルの16.3%に関するコラムだが、アベノミクスと狂乱株価に踊る、日本と云う国の現実であること自体、俄かに信じられない衝撃の事実だ。コラム自体の趣旨は異なるテーマに当てられているが、国家レベルで眺める場合、硬直した家族単位の問題にも直面する。人口減少は、国力の重大な問題だと喧伝しながら、生まれてきた子供が、まっとうに暮らせない、育つことも出来ない、教育も受けられない現実があるとは、呆れてものも言えない。自助努力を要求する前に、自助できる国民を育てるのは、親でもあるが、国家でもある。なにが教育改革だ。その前に普通の人間らしい生活が可能な具体的支援が先で、教育概念を弄繰り回すのは、その後の話だろう。


 ≪ 日本は世界トップの“働けど貧困国”? “富裕層”の連鎖と“貧困”の連鎖が加速している。
  100万ドル(約1億円)以上の資産を保有する、日本の富裕世帯数は124万世帯となり、米国、中国に次いで世界3位となる一方で、「生活が苦しい」と全世帯の6割、母子世帯の84.8%が答えた。 しかも、「子どもの貧困率」が16.3%と過去最悪を更新し、これは先進国でもトップレベルだ(平成25年度 国民生活基礎調査の概況)。
  子どもの貧困率が年々上昇している背景に、シングルマザーの増加や、非正規雇用の低賃金が存在していることは言うまでもない。 が、親が働いているにもかかわらず、子どもが貧困であるという現象は、世界的に極めて珍しい現象。2008年のOECDのデータでは、働いている1人世帯の子どもの貧困率は、OECD加盟国中で最も高かったのである。
  つまり、働けど働けど生活は楽にならない、「努力するだけ無駄」な社会が、今の日本の姿なのだ。 いつ間にやら、グローバル化が当たり前の世の中になってしまったが、グローバル化とは、デキる人“だけ”しか生き残れない社会に拍車をかけるモノ。一部の人と企業にしか利益をもたらさない。
 そして、その戦いに敗れた人たちの子どもが、貧困になる。 子どもの貧困は、学力低下や、不登校、ひきこもり、高校の中退……、最悪の場合、自殺の引き金にもなる。
 子どもの自殺というと、「いじめ」ばかりがクローズアップされるが、実際には貧困が原因とされる自殺のほうが多いのだ。 2011年以降に自殺した国公私立の小中高校、特別支援学校の児童生徒約500人について実態を調査したところ、経済的困難で将来を悲観した自殺が5%と、いじめの2%を上回っていることが明らかになっている(文科省調べ)。
  完全なる負の連鎖――。「日本の貧困は生きていけないほど貧しくない」などと平気で口にする人たちは、この実態をどう受け止めるのだろうか。 ブランド服に身をまとい、夏休みを海外で過ごす子どもたちがいる一方で、貧困の負のスパイラルに引きずりこまれる子どもたちがいる。書いているだけで、暗澹たる気持ちになってしまうのだが、子どもたちの6人に1人がこういった状況に置かれている。6人に1人。そう、6人に1人だ。
  政府は「子供の貧困対策」の大綱案をまとめ、月内にも閣議決定するが、その内容は「6人に1人」という危機感を、どこまで感じているのか少々疑問を抱くものとなっている。 もちろんこれが、子どもの貧困解消への最初の大きな一歩になるんだとは思う。でも、子どもを育てる“親”の賃金、非正規雇用の賃金の低さ、これらも合わせて具体的に実効性のある政策に取り組む必要がある。 もっともっと危機感をもったほうがいい。
 だって、子どもの貧困は、私たちの“常識”を覆す問題を生み出すまでになっているのだ。 両親の学歴や、所得、職業から、子どもたちが生まれ育つ家庭の社会的階層(Socioeconomic status:SES)をとらえ、上位、中位、下位に分類したところ、学校外での学習時間は、階層上位グループの子どもが一日あたり76.6分であるのに対し、中グループでは60.7分、下位グループでは55.4分と明らかな差があり、「授業の理解度」でも明確な階層差があった(『学力と階層』(苅谷剛彦 氏))。
  が、それ以上に深刻な差が認められたのが、学習へのかかわり方、すなわち「学習への意欲」だった。 「学習への意欲」を社会階層で分析した結果、階層下位の子どもたちほど、「学習への意欲」が低いことが明らかになった。少人数授業などを取り入れ、熱心に取り組んでいる地域でさえ、階層格差に起因する「学習意欲差」を縮小するのは難しいことが、調査結果から示されたのである。
 私たちは、「努力」というのは、誰もが気持ち次第でできるものだと考える。だが、それは本人の問題ではなく、子どもたちの出身階層に強く影響される「能力」だったのである。 その理由を私は、階層上位の家庭の親たちが、競争に勝った人々であることが関連していると考えている。 勝つためには、当然、努力が必要となる。
  「努力」なんて言葉を使うと、根性、忍耐など同様、究極の精神論のようで、スマートに生きてきたエリートには、泥臭く聞こえるかもしれない。 だが、人は何かしら動機づけられるから、努力する。会社の出世競争に勝つため、収入を多く得るために努力し、その努力が実ったとき、競争に勝つ。 そういう親のもとで育つ子どもは、「努力する」ことの意味と、「本人の努力次第で手に入るものがある」ことを自然と学ぶ。
 一方、階層下位の家庭の親たちは、「努力しても報われなかった」人たちといっても過言ではない。 働いても働いても、生活は楽にならない。生活することに必死だから、「学びたい」という欲求があっても、余裕のない生活に追われ、気持ちも次第に萎える。 “貧困の蜘蛛の巣”から、どうあがいても脱することができない人々は、「努力するだけ無駄」と、努力を放棄するようになる。
 それは、子どもたちが、努力することの意味を学ぶ機会を失うことでもある。 おまけに、生活に余裕がない家庭では、仕事に忙しくて子どもと向き合う時間もない。子どもががんばってテストでいい点をとっても、「頑張ったね!」と褒めてあげる機会も制限される。 貧困という経済的な問題が、子どもとの“関わり方”にまで波及していくのだ。
 小学校の先生をやっている友人が、経済的に困窮している家庭の子どもほど、授業についていけなくなると、「私バカだから、わからな~い」と投げ出す傾向が強いと嘆いていた。 「努力」のスイッチが、どこにあるのか? どうしたら、努力ができるのか? なぜ、努力しなきゃいけないのか? それらがちっともわからない。
 頑張って学力を上げなければならない子どもたちほど、「踏ん張って努力する力」が低い。それが、階層格差の実態であり、見過ごされがちな重大な問題なのだ。 前述の苅谷さんは、「自ら学ぶ力=努力する力」とは、生きる力であると説く。変化が激しく、不確実性の高い時代では、この自ら学ぶ力が、 もっとも重要な力で、この力が、家庭環境の影響を強く受けることを考慮すると、「この学ぶ力の違いが、次世代にも持ち越されることになるかもしれない」と 警鐘を鳴らし、教育の重要性を指摘している。
  社会の階級格差が、子どもたちの学力低下問題だけではなく、人間の本質的な力である「生きる力」に影響を及ぼすという考え方は、私の専門分野であるSense Of Coherence(首尾一貫感覚、SOC)とも、共通している。 SOCは先天的なものではなく、後天的に育まれる力で、幼少期の生活環境、親の関係性は、子どもの成長過程におけるSOCの形成に大きな影響を与える。 SOCとは、「どんな状況の中でも、半歩でも、4分の1歩でもいいから、前に進もうとする、前に開かれた力であり、「人生を生き抜くために、努力する力」だ。 SOCの高い人は、自分の人生にとって意味ある出来事、あるいは大切な出来事に関する危機に遭遇したときに、それを『自分に対する挑戦だ』と考え、「どうにかして対峙してやる。立ち向かっていくことは自分の人生にとって必要だ」 と、動機づけられ、それを必死で乗り越える。
 つまり、努力することの意味も、それを乗り越えるために“努力する力”も、身に付けているのである。 「本人の努力が足りないんだよ」 「頑張るしかない。努力するしかないんだよ」 ついついこんな言葉をこぼしてしまうが、努力とは“育まれていく力”。 もっともっと「親が働いているにもかかわらず、子どもが貧困である」という事実に、危機感を持って取り組まなくてはならない。
 そして、もし、「私はバカだから」「私、頭悪いから」と、言葉にならない悲鳴を上げてしまう、努力する力が低い人がいたならば、その力を育む“手ほどき”を、周りの人たちにはして欲しいと思う。 おそらくそれはとてつもなく労力のいることだし、そう簡単に上手くいくものではないだろう。
 だが、「あなたは大切だ」という価値あるメッセージを繰り返し経験することは、SOC形成にとても有効である。 20歳を過ぎても、30歳を過ぎても、いくつになっても、たった1人でいいので、自分を大切だと思ってくれる人がいる、“質のいい環境”に身を置くことさえできれば、生きる力は高められる。
 「私にはそんな人いない……」――。 そう嘆いている方も、是非、もう一度周りを見渡してほしい。 きっといると思いますよ。うん。きっと。少しだけいい人生にするためにも、周りを見渡してみてください。

◇河合薫 健康社会学者
健康社会学者(Ph.D.,保健学)。
千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。 気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。 2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了(Ph.D)。 産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究。 フィールドワークとして行っている働く人々へのインタビュー数は600人に迫る。 医療・健康に関する様々な学会に所属し、東京大学や早稲田大学で教鞭を取る。 ≫ (yahooニュース:河合薫・個人オーサーより)

こんな日本に誰がした! 休刊10年『噂の真相』編集長の嘆きと怒り
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●憶測呼ぶアルジェリア機の墜落 フランス人多数犠牲か?

2014年07月25日 | 日記
不敵のジャーナリスト 筑紫哲也の流儀と思想 (集英社新書)
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●憶測呼ぶアルジェリア機の墜落 フランス人多数犠牲か?

 この見出しのような憶測はほぼ外れだと思う(笑)。現時点では、憶測の域を出ていない話だが、昨日のアリジェリア航空の、マリ上空での消息を絶ったという。飛行事故はなぜか連鎖的に起きると云う歴史があるので、単純に飛行機事故と受けとめてしまえば、それまでだ。しかし、この当該アルジェリア航空の乗客の半分以上がフランス人だったという報道に接すると、フランスが米英のブーイングに関わらず、オランド仏大統領は、ロシアへの輸出を計画してきたミストラル級強襲揚陸艦2隻のうち1隻を予定通り納入すると宣言した事とニュースが連鎖する。

 勿論、考え過ぎの連鎖だとは思うが、アルジェリアと云う国が、フランスと旧宗主国と云う関係にあることや、軍事兵器等がロシア製、中国製であることなども考慮に入れ、対ロ制裁での、英国キャメロンとフランスオランドの罵り合戦なども記憶しながら想像をたくましくすると、奇妙な符号があるのではと、チョッとだけ疑っておきたいニュースである。まさか、フランスの対ロ制裁への不協和音に対する制裁にしては隔靴掻痒なのだが、今の世の中、何が正しく、何が嘘で、誰が嘘をついているか判らないだけに、疑って観察し、口に出さないのが悧巧と云うことか(笑)。

≪ アルジェリア機、墜落か=116人搭乗、マリ上空で交信途絶
  【ロンドン時事】アフリカ西部ブルキナファソの首都ワガドゥグからアルジェに向かっていたアルジェリア航空のMD83型機(乗客乗員116人)が24日、消息を絶った。ロイター通信によると、アルジェリア航空当局者は同機が墜落したと述べた。
  同機はワガドゥグを24日午前に離陸した。アルジェリアのラジオがセラル首相の話として伝えたところによると、交信が途絶えたのは離陸から約50分後のマリ上空。アルジェリアとの国境からは約500キロだったという。関係筋によれば、同機は嵐のため迂回(うかい)を指示され、針路を変更した後に消息を絶った。 機体はスペインの航空会社スウィフトエアからアルジェリア航空にリースされており、乗員6人は全員スペイン人という。ロイターによれば、搭乗者名簿にはフランス人50人が記載されている。
 アルジェリアでは2月、軍のC130輸送機が悪天候の中、北西部の山岳地帯に墜落し70人以上が死亡した。  日本政府高官は24日夜、「邦人被害の情報はない」と述べた。 ≫(時事通信)


≪  仏、対ロ軍艦輸出を強行へ=制裁より巨額契約優先
 【パリ時事】フランス政府は、ロシアへの輸出を計画してきたミストラル級強襲揚陸艦2隻のうち1隻を予定通り10月に納入する。ウクライナでのマレーシア機撃墜事件の影響で国際世論は一段と厳しく、計画の撤回を求めてきた米英両国の反発は必至だ。仏メディアが一斉に報じた。
 3月のクリミア半島併合以来、欧米諸国はロシアに対する批判を強め、対ロ制裁を発動してきた。そうした中でフランスがロシアとの大型商談をこのまま進められるのか注目されてきた。
 オランド仏大統領は21日、記者団に「船体はほぼ完成した。10月に引き渡す」と明言。予定通り揚陸艦の対ロ輸出を貫く考えを内外に表明した。 ≫(時事通信)

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)
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●報ステの平等欺瞞 ユダ特殊部隊員とガザの少女の死

2014年07月24日 | 日記
漢字に託した「日本の心」 (NHK出版新書 438)
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●報ステの平等欺瞞 ユダ特殊部隊員とガザの少女の死

 最近の西側主要メディアの論調において感じることは、米国を中心とする欧米中心の世界の維持と云う“合言葉”が歴然と存在することである。デモクラシーと自由主義の世界こそが「普遍的価値」を持ち、穏当で妥当な地球人の生き方のように思われてきた。その世界で、惹起する諸問題も、あくまで、その欧米的普遍的価値の中における、個性の発露程度の認識で済まされていた。この絶大とも思える価値観に揺らぎが生じていると感じる人々は、まだまだマイナーな存在でしかない。世界中の主たるマスメデァの情報に接する限り、虐殺を正当化するイスラエルと云う国にも、正当な理があると云うのだから、あまり世界の枠組みに反することを主張しても無意味かな?思ってしまうこの頃である。

 敗戦国のわが国が、末席であっても名誉白人的な特別扱いを受け、西側諸国のサブ・メイン・プレヤーのように扱われる世界の持続が、日本民族の矜持など忘れた人々には、心地いいものなのだろう。(注:小野寺防衛大臣がアメリカに出向き演説。何度となく、「大国」と叫んだそうである(笑)。米国人がコケているらしい)まあ、それも悪くない。そういう世界が未来永劫続く保証でもあるなら、それなりの平和は続くし、転ぶことはあっても、死には至らないだろう。丁度、放射能で、何らかの人体的影響があったとしても、放射能の所為か、人体細胞の宿命的疾患に由来するか不明確なのだから、原因不明で、それなりの人生を全うできるのだから、まあ良いような気もする。

 しかし、本当に米国を中心とする西側陣営の生命力は永遠なのか、と本気で考えると、そうは思えない。BRICSの抬頭だけではないだろう。ASEAN諸国も、その流れの中で経済成長と存在感維持の為に、世界でそれなりの地位の確保を主張するだろう。中東の各国も、現在のヒッチャカメッチャカを永遠に繰り返さず、世界における地位の向上を目指すだろう。つまり、いつの日にか、アメリカ中心主義の世界が壊れていくのは、運命的な出来事だという認識を、横着をこいて、他人事のように傍観しておこうと云う意識下に多くの国も、国民もいるのだろう。

 そして、日本のマスメディアも、同じように考えているに違いない。つまりは、傍観者面で、すべてを他人事にしてしまいたい、という横着な欲望の虜になっているのだ。出来ることなら善人面を通したい思惑で。昨夜の報道ステーションを車を走らせながら見聞きしていたが、ロシアが窮地、プーチン軟化と云う作りを一番に報じていた。次に、トンデモナイ東京電力の仕業みたいな話で、リベラルを装い、次にパレスチナガザ地区の話に移ったが、この悲しいお話二話がふるっている。虐殺国家イスラエルの“特殊部隊員の死“と”8歳とかの殺戮の巻き添え死“ を同列に扱う、無神経なくらいイスラエルへの配慮ある報道を行った。戦うことを自ら決めた軍人とガザに生まれただけのパレスチナの少女の死が、同列に並ぶとは、仏教の「仏」の概念からは同じだろうが、今現在のイスラエルとパレスチナの一方的戦闘状態を報道する立場から考えると、「死のすり替え」を巧妙に行い、ユダ金のご機嫌を取ったような不快な放送だった。

 以下は、筆者がざっと読んだ記事の見出し。お好きな部分を読むもよし、プーチン叩きの記事を読むもよしである。参考までに掲載。それでは、今夜はこの辺で。暑いですね、まだ28度もあります(笑)熱中症になりそうなので、水ガブガブで寝ることに。

 
≪停戦交渉が始まる一方、イスラエルが病院やモスク、住居を爆撃

 イスラエルによるガザ地区への攻撃は、3週目に入りまし た。パレスチナ人の死亡者数は600人を超え、そのほとんどが一般市民です。そのうちの100人以上は子供です。3700人以上のパレスチナ人が負傷して います。イスラエルは地上侵攻を始めてから、27人の兵士が死亡したと述べています。イスラエルは7月22日、ガザ地区で死亡したと見られるイスラエル兵士のうち、一人の遺体がまだ見つかっていない、または身元不明であることを正式に発表しました。
 この発表の2日前にハマスは、この兵士を捕らえたと述べていました。イスラエルは本日7月22日、現時点までに、モスク5軒とサッカー競技場を含むガザ地区の70箇所以上を攻撃しました。7月21日には、少なくとも103人のパレスチナ人が死亡しました。その中には、イスラエルがガザ市の居住塔地区を爆撃したときの11人が含まれています。この攻撃で5人の子供 が死亡しました。ガザの中心の街デル・エル・バラでは、イスラエルがアル=アクサ病院を砲撃した際に5人が死亡、70人が負傷しました。イスラエルによって攻撃された医療施設は、過去2週間でこれが3件目になりました。負傷者の中には、約30人の医療従事者が含まれています。ガザからデモクラシー・ナウ!の特派員で独立系ジャーナリストのシャリフ・アブゥル・クドゥースに話を聞きます。「ガザは筆舌に尽くしがたい喪失の場であり、落とされる爆弾によって家族の人数が減り続けている場所です」と、彼は言います。
 クドゥースは、ガザ市にある、アルジャジーラのスタジオとフロアを共有しているAP通信社のスタジオから生中継で報告します。彼は、イスラエルが7 月22日早朝、アルジャジーラの事務所の窓に発砲したと言います。彼の報告によると、アルジャジーラとAP通信は、ビルからスタッフを避難させました。AP通信はそれ以降、イスラエルが彼らの事務所を標的にはしないことを確認しましたが、アルジャジーラは同様のことを確認できておらず、彼らのスタッフはビルの一番下の階で待機しています。現在のところ、AP通信のスタッフは、任意で事務所での仕事に戻っています。「これはメディアを標的にした、もう一つの事例です」と、クドゥースは言います。

◇ハマスは本当は何を要求しているのか? イスラエル人ジャーナリストのギデオン・レヴィが語るガザの致命的封鎖の終焉
 イスラエルによるガザ地区への攻撃は3週目にはいり、国際的な仲介による停戦への新たな動きが進行しています。イスラエルのツィッピー・リブニ法相は7月22日、ハマスの条件がイスラエル、米国、エジプトの条件とはかけ離れたものであるため、戦いの即時停戦の「希望はない」と述べました。
 ハマスの要求の中心は、イスラエルによるガザ地区封鎖の解除と、囚人となっているハマス成員の釈放です。7年間の包囲は、経済、市民活動のインフラ、水の供給をまひさせました。ガザでは、失業率が40%を超え、約80%が人道支援に頼っています。国連は、緊急な対策が取られなければ、ガザは2020年までには住めない場所になるだろうと警告しています。2012年11月の停戦では封鎖が緩和されるはずでしたが、イスラエルは逆にそれを強化しました。ハマスが「ゆっくりとした死」(slow death)と呼ぶ状況に対する闘いを続けることを誓う中、新たな停戦は、米国と他の諸国がイスラエルに方針を転換させるよう圧力をかけるかどうかに大きく左右されます。
 テルアビブから、イスラエル人ジャーナリストのギデオン・レヴィに話を聞きます。ハアレツ紙の最近の記事の中でレヴィは次にように書きました。「[ハマスの]条件は市民的だが、それを達成しようとする手段は軍事的で、暴力的、犯罪的だ。しかし(苦い)真実は、ガザがイスラエルに対してロケット弾を発射しなければ、誰も気にもかけないということだ。[ハマスの]要求のリストを読んでみて、その中に一つでも不当な要求があるか率直に判断して ほしい」。

◇イスラエル人作家ギデオン・レヴィ:
ネタニヤフがロケット弾中止を求めるなら、彼は公正な平和を受け入れるなければならない
 テルアビブから番組に参加するイスラエル人ジャーナリストのギデオン・レヴィは、イスラエル政府がパレスチナナ人の基本的権利を否定することをやめるまで中東平和は決して達成できないと主張します。「もちろんイスラエルは平和を望んでいます。しかしが望んでいるのは公正な平和ではない。」と、レヴィは言います。
 「すべては正義の問題です。過去を振り返って、イスラエルがどの段階で、どの瞬間に占領を止めようとしたことがあったかを考えてみてください。占領を終わらせる本当の準備ができていたことがあったという一例を示してみてください。そんなことは今まで一度もなかったのです。いつも時間稼ぎと現状維持だけでした。現状維持とはすなわち、ヨルダン川西岸の占領とガザの包囲、イスラエルでの平和な生活でした。
 そのことの究極の証明にあたるのが、[ヨルダン川西岸の]入植地です。イスラエルは入植地を作ることを決してやめませんでした。そして[そうしながら]、パレスチナ人と世界に対して、[我々は]この土地を明け渡すつもりはないと言っているのです」。レヴィからさらに、彼がイスラエル空軍のパイロットたちにガザへの空爆を拒否するよう要求した後で脅迫を受けた理由と、イスラエルを国際刑事裁判所に提訴しようとするパレスチナの取り組みが前向きな 一歩になると彼が考える理由についても話を聞きます。 ≫(以上3記事はデモクラシ・ナウHPより抜粋)


◇プーチン氏の4つの過ち ロシア、窮地に (フィナンシャル・タイムズ:訳・日経新聞) http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2202J_S4A720C1000000/

◇オバマ大統領がプーチン大統領を個人攻撃しない理由 (WSJ) http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304067104580047012079873700?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesThird

◇ロシアが国際社会から一気に孤立! マレーシア航空機撃墜事件のインパクト (ダイアモンド・オンライン:国際・北野幸伯) http://diamond.jp/articles/-/56424

 ◇米国はマレーシア機墜落でウクライナ政府が有罪であることを示す証拠を持っている可能性がある―専門家 (ロシアの声:テレビRT) http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_23/275017478/

◇ロシア、事件のデーターを提出、EU、米国の反応を待つ (ロシアの声:コンスタンチン・ガリボフ) http://japanese.ruvr.ru/2014_07_23/275014528/



日本仏教入門 (角川選書)
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●日本政府は米に追随すべし「ロシアが犯人」となぜ言わない!

2014年07月23日 | 日記
イスラエルとは何か (平凡社新書)
ヤコヴ・M.ラブキン
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●日本政府は米に追随すべし「ロシアが犯人」となぜ言わない!

 筆者が違和感だらけで眺めていた新聞社がある。毎日新聞だ!この二流新聞の本音は知る由もないが、ウクライナ東部でのマレーシア機撃墜事故に関して、異様なほど断定的に、親ロ派勢力及びロシア軍、そしてプーチン大統領糾弾に、アメリカ政府以上の熱の入れようだった。以下に、毎日のマレーシア機撃墜事故関連報道の見出しだけ羅列しておく。テレ朝の報道ステーションも、アメリカ発のウクラナ情報に寄り添い臭気を漂わせている。 NHKの大越は用事もないのに訪米し、知ったかぶりの嘘をレポートしまくっている。行くなら、ガザだろう!行くなら、ウクライナ東部かモスクワだろうが!馬鹿野郎!!

 悪口雑言はさておき、毎日新聞のロシア犯人説指向の報道見出し一覧(17日から22日の順)を書きだしておく。
#ウクライナ軍:攻撃機撃墜される 露がミサイル攻撃か(日本時間17日)
 注:マレーシア機撃墜事故17日発生後の毎日の記事見出し。毎日の記事の特長は、アメリカ発、ウクライナ政府発の情報で埋め尽くされ、且つ他紙が「…か?」としているところを、殆ど断定的事実のように報道しているのが目についた。
#マレーシア機撃墜:ウクライナ政府「親ロシア派のテロ」(18日以降の見出し)
#マレーシア機撃墜:地対空ミサイル、米が確認 全員死亡
#マレーシア機撃墜:「言語に絶する犯罪」豪州首相
#マレーシア機撃墜:「ブク」か? 兵器搭載車の画像公開
#マレーシア機撃墜:OSCE調査団足止め 親露派が制限
#マレーシア機撃墜:露、安保理で防戦一方 欧米が間接証拠
#マレーシア機撃墜:「露側地域から発射」米大統領が声明
#マレーシア機撃墜:米大統領、ロシア側を非難
#マレーシア機撃墜:数週間前、露から大量兵器…米国務長官
#マレーシア機撃墜:収容遺体、親露派が奪う
#ウクライナ:政権側が発表「親露派が市民400人拘束中」
#オバマ大統領:撃墜事件調査 プーチン氏に親露派説得要求
#マレーシア機撃墜:「ウクライナ軍機が接近」 露国防省指摘、けん制姿勢変えず
#マレーシア機撃墜:親露派、遺体引き渡し 飛行記録提出、態度を軟化 安保理、非難決議採択
注:22日午後からは、ロシアを口汚く誹謗中傷する記事は姿を消している。ローテーションかもしれないが、次はどこの新聞社が、ロシアネガキャンに精出すか、よくよくウォッチしておこう(笑)

 ロシア軍のロシア空軍参謀本部第1作戦部部長のアンドレイ・カルタポロフ中将のブリーフィングで、アメリカおよびウクライナ空軍の疑惑が、明確な証拠に基づき語られると、毎日新聞の国際担当のデスクは、ぱたりとアメリカのプロパガンダ報道をとめた。単に、毎日新聞と云うメディアが、センセーショナルな記事のつくりを性癖としているとしても、産経、読売以上に突出して、ロシア叩き、プーチン叩きに参戦していた。筆者には、この疑問への解はないが、極めて異様な報道姿勢だった。今後もウォッチしておきたい。

 以上が毎日新聞の異様さの一端だが、今度は、ロシア叩きに、日本政府が参戦していない、とアメリカの悪名高き米国家安全保障会議(NSC)のメデイロス・アジア上級部長が難癖をつけたようである。折角、ここまで捏造情報を積み上げ、国際世論を固めようとしているのに、日米同盟集団的自衛権閣議決定で完璧な子分と宣言した日本政府が、オーストリア、英国のように、右に倣えして、ロシア叩き、プーチン追い込みに積極的にならないのはケシカラン!早々に、日本政府はロシア及びプーチン非難声明を出すべきだ!もう、笑うしかない凋落ピエロのアメリカと云うことだ。呆れてものが言えない(笑)。

 ≪ 米NSC部長「日本政府も発言を」…撃墜調査で
 【ワシントン=井上陽子】米国家安全保障会議(NSC)のメデイロス・アジア上級部長は21日、自民党の河井克行衆院議員とワシントン市内で会談し、ウ クライナ東部でマレーシア航空機が撃墜された事件について、「国際社会が透明性のある調査をできるように、日本政府も発言してほしい」と要請した。 今回の事件について、米政府が日本に協力を求めるのは初めて。
 オバマ政権は、墜落現場を支配する親ロシア派武装集団が、証拠 隠滅を図る動きを見せていることに強く反発している。河井氏によると、メデイロス氏はこうした状況を踏まえ、「日本のしっかりした発言を期待している」と 述べ、日本が明確な立場を示すよう求めたという。河井氏はこれに対し、日本政府ができる限りの協力を行うという安倍政権の立場を説明した。 ≫(読売新聞)

 AFPの報道によると、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区の攻撃による死者数は21日現在で548人に達している。イスラエルの死者は24人程度と云うことだ。先日、1:200に正義も糞もあるか、と云うコラムを書いたが、事態は世界を敵に回し闘うぞ、とイスラエルが宣言しているようにさえ見えてくる。流石に、世界の人々が立ち上がり、反イスラエルと云う旗幟を表した。ロンドンでは10万人集会デモが繰り広げられた。NY、日本、エジプト、カナダ欧州各国で、同時多発的にデモが行われた。このような世界的盛り上がりは、米国のイラク戦争反対集会でも以来であり、その抗議の怒り度が判ると云うものだ。

 このイスラエルの狂気に近い殺戮を、オバマは理解できると応援しているのだから、紛争地帯でミサイルが彼方此方飛んで、流れ弾が当たる事はあり得る事態であり、それで鬼の首でも取ったように騒ぎまくるオバマやケリーの脳味噌の中身を覗いて見たいものである。米とイスラエルは狂気だ。地球上の癌細胞にさえ見えてくる。あそこまで。エスカレートすると、世界世論が逆回転し始める。なるほど、ユダヤ人には、それ相当の排除されることを好んで行う性癖のある民族なのか、と云う歪んではいるが、奇妙に納得感もある感情が襲ってくる。このままだと、ユダヤ排斥運動に火がつきそうだ。まあ身から出た錆だかなんか知らないが、虐げられることは、神からの試練と受けとめられる民族らしいので頑張ってみればいい。ただ、世界の指導層、金融幹部、識者には、ユダヤ人が支配的に生存しているので、この別角度の反撃も注意深く見守る必要がある。

 このイスラエルの狂気の親玉、ネタニヤフ首相はガザへの軍事作戦は「国際的な正当性がある」と嘯いたようだ。それもこれも、米国及びオバマが容認している所為である。間接的にロシアが悪い、つまりプーチンが悪いなんて言ってお茶を濁す暇があるなら、やるべきことをやれ。どう考えても、アメリカの欺瞞のすべてが、イスラエルユダヤに通じる。もしかすると、世界の不穏な空気の7割方が、この二国によって醸成され、実行されているのではないかとさえ思えてくる。この欺瞞による、世界のいざこざのすべてが、アメリカ、イスラエル等々の軍事産業を食わせるためだとすると、なんとも酷過ぎる産業保護政策だ。アメリカの軍事予算は約60兆円。軍事武器関連が25兆円くらいらしいから、猛烈な利権産業だ。日本の原子力ムラなんて可愛いものに見えてくる。

 思い出したが、このイスラエルのネタニヤフ首相ってのが、最近日本に来ていたのを思い出した。国賓ではなく、実務訪問賓客と云う扱いのようだが、図々しくも天皇陛下の引見を受けている。その際、安倍政権はなんだか知らないうちに、このネタニヤフと「包括的パートナーシップ」とか云うものを結んだそうだ。馬鹿馬鹿しくて、内容を調べる気にもならないが、包括的に仲良くしようと云うことだろう。殺戮国家のお友だちだから、きっと安倍政権も殺戮願望があるのだろう(笑)。この時の菅官房長官のコメントがふるっている。「ネタニヤフ首相は中東和平実現の文脈で最重要人物の一人」、「わが国にとって重要な中東地域の安定化について、首相と意見交換することは大変意義がある」だそうだ。中東地域の安定化が、この殺戮とは、腰が抜けてしまいそうだ(笑)。安倍の友だちも、全員狂っているな。こっちも、狂えるものなら狂いたいものだが、どうも簡単に、彼らのようには狂えない(笑)。

アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか (新潮文庫)
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●米情報機関及びキエフ政府に深まる謎 怪しいのはどっちだ!

2014年07月22日 | 日記
プーチンの思考――「強いロシア」への選択
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岩波書店


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●米情報機関及びキエフ政府に深まる謎 怪しいのはどっちだ!

 以下は、寡黙だが、確実に証明可能な事実関係及び証拠しか出さないロシア軍の一部データが示された。バラク・オバマが連日連夜、米国の大統領の職を辞して、ホワイトハウスのスポークスマンに転職したような、滑稽とも見えてくる、国家総動員態勢のプロパガンダに、知的人々は眉をひそめていたに違いない。しかし、わが国の「マスマスウソゴミ」は、サッカーの次はマレーシア機撃墜が花形話題だと、ダボハゼのように飛びつき。こちらは、「マスマスウソゴミ」が、御用コメンテータを雁首並ばせ、口々に「証拠は上がった。犯人はテロ勢力だ。テロ勢力のボスはプーチンだ」との言説作りに奔走中である(笑)。

 その意味で、筆者としては、「情報とか、言い分」と云うものは、東西とか、好き嫌いの別なく、公平な質量で、吟味するのが民主的で平等な理念に適う「モノの見方、考え方」の基礎だと認識している。ゆえに、あまりにも、多勢に無勢なロシア側からの情報は、筆者は意識的にダダ漏れにしておく(笑)。オバマの印象操作声明などは、「マスマスウソゴミ」に任せておけばいい。


≪マレー機事件のロシア公開データー、キエフ当局に多くの疑問を投げかける
 ロシア軍部は21日のブリーフィングで、事故の起きる前のウクライナ、ドネツク州の状況を示した客観的なコントロールのデーターを発表した。ロシア国防省の準備した資料は欧州先進諸国およびマレーシアの専門家らに手渡される。資料へのアクセスは自由に行える。

 マレーシア機の航空路のずれ
 ブリーフィングで発言したロシア空軍参謀本部第1作戦部部長のアンドレイ・カルタポロフ中将によれば、ドネツクまでマレーシア航空機は通常決められた航空路をたどっていた。ところがドネツク以後は航路を北方向に曲げている。
 
 軍機は空中で何をしていたのか?
 ロシア軍の有するデーターでは、マレー機の墜落事件当時現場付近にはウクライナ空軍機はなかったというキエフ当局の声明が覆される。カルタポロフ中将によれば、事件の前、マレー機から3-5キロメートルの地点にウクライナ軍の戦闘爆撃機Su25が確認できる。

 なんのために「ブーク」が移動したのか?
 カルタポロフ中将によれば、墜落機はウクライナ軍の地対空ミサイル「ブーク」の行動ゾーンにあった。中将はマレー機の飛行スキームを示し、「スキームでは 航空路が分かるほか、同機の墜落したとされる場所がウクライナ軍の地対空ミサイル『ブーク』の稼働ゾーンと一致していることが分かる」と語っている。

 米国の人工衛星には全てが見えていたか?
 カルタポロフ中将によれば、事件の起きた時刻にちょうど、ウクライナ上空を米国の人工衛星が通過している。 「これが偶然なのか、それとも違うのか。だがマレー機の事件の発生時刻と米国の人工衛星がウクライナ領域を観測していた時刻が一致している」 ≫(ロシアの声)

*21世紀混沌の中で、本当の情報を得る教本

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)
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●“集団自衛”法制局解釈の罠 安倍のドヤ顔が真っ青に

2014年07月22日 | 日記
安倍政権の罠: 単純化される政治とメディア (平凡社新書)
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平凡社


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●“集団自衛”法制局解釈の罠 安倍のドヤ顔が真っ青に

 安倍晋三のドヤ顔が、一瞬で凍りつき、真っ青になり、次に間抜けな赤鬼形相に変わるような法解釈論が出てきた。内閣法制局の最高難度法技法は、法制懇、安倍官邸、大臣各位を罠に嵌めたのか、と云う議論がビデオニュースドットコムのニュース・コメンタリーで論じられた。法解釈なので、一般の人々には極めて判りにくい議論である。法解釈なので、一概に、ここで起きている議論イコール正解と云うものではないが、少なくとも、安倍晋三がドヤ顔とキレ顔で、僅かに覚えた集団的自衛権に関する法律ロジック以外、何ひとつ口に出さなかった、乗り切りテクニックが、実は仇になった面が炙りだされた議論であり、面白かった。

 最後は公明党北側と法制局の間で、ぎりぎり公明党が閣議決定にサインの出来る解釈可能な法解釈で行われる「当てはめ」で乗り切った。まさに、法制局が安倍内閣等々を騙したわけだが、以下のまとめでも書いているように、騙された解釈を、政権も野党も騙されたとは知らず、その寸劇を垂れ流すマスメディアも、読み解く国民も、全員が確信犯的な対応をしてしまえば、憲法上のバックボーンなしに、既成事実(含む各法律の成立)が重なれば、それを今さら覆せない、という点では、集団的自衛権は行使されて行くだろう。

 この閣議決定に実効性を持たせる法案審議は、来春統一地方選以降に一括審議されるようなので、1年近くの間、国民の見えない場所で、闇の審議が行われるのは確実だ。法解釈の取材記事など、記者クラブ垂れ流し報道に入り浸っている“マスマスウソゴミ”に出来るはずもなく、情報の開示がゼロ状態で、事は粛々と進む懸念が大きい。その頃までに、安倍内閣支持率が30%台になっていれば、すんなり一括法が通過しない僥倖もあるだろうが、国の運命を、僥倖に待つのは、かなり邪道だ。やはり、今後は、安倍内閣の集団的自衛権行使容認閣議決定は、「看板に偽りあり!個別的自衛権の事例を追加しただけだ」と書き立て、安倍晋三の心を揺さぶる方が選択肢として正しいと思われる。

 ただ、怖い推論も成り立つ。安倍晋三が、個別に隷米外務官僚OBや法制懇の面々をお白洲に呼び出し、糾弾し、そうであれば内閣法制局の罠を逆手に取り、錯誤のままに、関連法の法案の中に、思う存分に集団的自衛権の行使に見合う内容を盛り込もうとするかもしれない。来年の今頃は、手負いの獅子になっているのは確実で、いっそ一発かまして、罠にかけた官僚やマスメディアの度肝を抜いてやろうと、ヤケクソになるリスクも残されている。まあ、株価が落ちるか、内閣支持率が落ちるか、早々にご退場願う環境が出来上がれば良いのだが、これだけは運を天に任せるしかなさそうだ。今の永田町に、何かを望むのは、無駄骨の典型だ。


≪ 国会質問で見えてきた集団的自衛権論争の核心部分
 政府が「集団的自衛権」と呼んでいるものは何のことはない、実は個別的自衛権のことだった。
 安倍政権が7月1日に集団的自衛権の容認を閣議決定したことを受けて、7月の14、15の両日、衆参両院で集中審議が行われたが、両日の国会審議を通じ て、今回政府が行った「解釈改憲」というものは、実際はわれわれが考えてきた「憲法解釈の変更」や「集団的自衛権の容認」とはまったく異なるものだったこ とが浮き彫りになった。
 憲法学者の木村草太首都大学東京教授は、この国会審議で政府が今回行った集団的自衛権の容認は、実はこれまでの憲法解釈を変更し、これまでは足を踏み入れることが認められていなかった「集団的自衛権」の領域に足を踏み入れるものではないことが明らかになったと指摘する。
 閣議決定で「集団的自衛権」と呼んでいるものは、実際は個別的自衛権と集団的自衛権が重複する領域にある事象で、今回政府はそれを必死になって探し出し、それを集めたものを無理矢理「集団的自衛権」と呼んでいるだけであって、実際はこれまでの個別的自衛権の範囲を一切超えるものではないと木村氏は言うのだ。
 それが明確に答弁として木村氏があげるのが、15日の参議院予算委員会集中審議における福山哲郎参院議員と横畠裕介内閣法制局長官のやりとりだったという。
 そこでは「政府が憲法解釈を変更するのは戦後2度目のことか」と問い質す福山議員に対し、横畠長官は「法令の解釈は当てはめの問題だが、その意味で「変更があったのか?」ということならば、一部変更したということ」と回答している。木村氏はこれを「横畠長官の職人技の光るもの」だったと評価する。
 これは法律学者に向けた発言だったと断りをした上で、木村氏は横畠長官の答弁をこう解説する。
 横畠長官が「当てはめの問題」としたものは、つまり今回政府が「集団的自衛権を行使できる事例」として出してきたものはいずれも、集団的自衛権と見ることもできるが従来の個別的自衛権の枠内で武力行使が可能な事例と見ることもできるものばかりだ。つまり、個別的自衛権と集団的自衛権が重複する部分にある事例ということになる。それを従来の個別的自衛権の範疇にあるものと見るか集団的自衛権に入るものと見るかは単なる「当てはめ」の問題に過ぎないというのが、横畠氏の答弁の趣旨だったと木村氏は言う。
 それをあえて集団的自衛権側に「当てはめ」るのであれば、これを「2度目の憲法解釈の変更」と言って言えないことはないが、それはどっちでもいいこと、というのが横畠長官の発言の趣旨であり、それを法律家に向けて半ば隠語的な意味で発信していたのだと自身が法律家である木村氏は指摘する。
  そういえば、あの時横畠長官はこれが戦後2度目の解釈改憲であることを認めるという重大な答弁をしていながら、なぜかその表情には薄笑いが浮かんで見えた。違和感を持った人もいたかもしれないが、そこにそういう含意があったとすれば妙に納得がいくのも事実だ。
 木村氏はこれまで政府が「個別的自衛権」として容認してきたものの中に、集団的自衛権と重複する部分、つまり個別的自衛権の範疇だと言うこともできる し、集団的自衛権の枠内に当てはめることもできる事象は少なからずあったことから、今回の8事象の容認というのも、実際には過去の重複部分の容認と変わるものではないと指摘する。
 そもそも自民党と連立を組む公明党は集団的自衛権を行使するためにはあくまで憲法改正が必要になるとの立場を崩していない。その公明党が今回の政府案を容認した背景には、公明党にとってはこれが個別的自衛権の範疇を出るものではないと解釈することが可能なものだったからに他ならない。しかし、理由は定かではないが、安倍政権、いや特に安倍首相自身がどうしても「集団的自衛権の行使が可能になった」と言いたがっている。ならば、「当てはめ」次第でそう強弁しても嘘にはならない事例を、内閣法制局と公明党が合作したというのが、今回のいわゆる「集団的自衛権の容認」劇の核心だったということになる。
 確かに法律家の目から見るとそれが真実なのかもしれない。しかし、両日の安倍首相や岸田外相の答弁を見る限り、政治家の多くはあの場で横畠氏と世の法律家の間で交わされた暗号通信の意味を正確に理解していないことは明らかだ。
  恐らくそれは質問をしていた岡田克也議員や福山哲郎議員についても言えることだろう。だとすると、いくら官僚や法律家が法律の専門的な知識を駆使して、実際は解釈改憲とは言えないような代物を作っておきながら、解釈改憲と言いたくてしょうがない政治家には「解釈改憲をしたと言っても差し支えはありませんよ」と甘言するような二重構図は非常に危険と言わねばならない。
 なぜならば、最後に法律を作るのは国会であり政治家だ。そしてそれを行使するのも政治家がトップを務める内閣だし、トップレベルで外交を行うのも政治家だ。実際に安倍首相や岸田外相らは、自分たちの勝手な理解に基づく集団的自衛権容認論を海外で大っぴらに喧伝し始めている。内閣法制局と公明党幹部の間の阿吽の呼吸などというものが、外国政府との外交交渉の場で通用するとはとても思えない。
  官僚が悪知恵とも呼べるような手法で、政治家の要求と法律との整合性を保てるような玉虫色の解を出して、とりあえずはその場を収めることができたとしても、その効力はせいぜい霞ヶ関から半径1キロの範囲程度にしか及ばな いだろう。そして、何よりもまず、主権者である国民がそのような法律家たちの解釈を共有できていなければ、何の意味もない。
 やはり課題となるのは今回の「疑惑の解釈改憲」に基づいて、実際の法律の整備が行われる時だろう。もし今回の閣議決定が横畠長官が答弁したようなものだとすれば、新しく整備される法律は個別的自衛権の範疇をはみ出すものは一切できないということになる。そのような法律家の認識を前提として法案審議が行われるか、現時点では内閣法制局官僚の手の平の上で踊ったような形になっている政治家が主導権を握り、自分たちの理解する閣議決定の解釈に則った法律を作ってしまうか。そして、それをメディアやわれわれ国民が許すのか。今、それが問われている。
 ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、集団的自衛権容認の核心とは何だったのか、何か今後の課題となるかなどを気鋭の憲法学者木村氏と議論した。 ≫(ビデオニュースドットコム:ニュース・コメンタリー神保哲生・宮台真司・ ゲスト木村草太氏(首都大学東京都市教養学部准教授)


 最後に、イスラエルの狂気が止まる事を知らない。20人にも満たないイスラエルの犠牲者に対し、500人以上の女子供老人を殺戮する、イスラエルと云う国家を、イスラエルには自衛の権利がある、と口を開けば語りだす木偶の棒として名高いケリー国務長官は、ウクライナ、マレーシア航空機撃墜事件に関しては、口を開くたびに、「ロシア関与の証拠は掃いて捨てるほどある」と喚き散らし、アメリカの支配の及ぶ西側諸国の外務省を通じ、高圧的プロパガンダに徹している。日本のマスマスウソゴミの報道も、日々エスカレート、ヒステリック状態でロシア非難の合唱会を開いている。イラク戦争もパウエル国務長官の演説でも、証拠はごまんとあると言っていた。皆さんは、もう忘れたのだろうか?

≪プーチン大統領「何人も自らの狭い政治的利益達成の為に、マレー機墜落を利用すべきではない」
  ロシアのプーチン大統領は、TV「ロシア24」のインタビューに答えた中で「何人も、自らの狭い政治的目的達成のために、ウクライナでのマレーシア航空ボーイング777墜落を利用すべきではない」と述べ、次のように指摘した
 「ロシアは何度も、ウクライナで対立する全ての当事者に、流血の戦いを即時停止し、交渉のテーブルに着くよう求めてきた。もし6月28日に、ウクライナ東部での戦闘行動が再開されなければ、今回のような悲劇は起こらなかったろう。 この地域の状況に責任を持つ人々は、自分達の国民、そして一般市民が悲劇の犠牲となった国々の国民に対する責任感を高める必要がある。
  一方ロシアは、ウクライナ東部での紛争が軍事的なものから、交渉のテーブルに当事者すべてがつくような、平和的で専ら外交的手段による問題解決へと移行するよう、自分達にできるあらゆる事をするだろう。
 ロシアは、ドネツク州でのマレー機墜落のあらゆる状況の調査をICAOが組織し詳しく実施する事に関心を持っており、援助を続ける用意がある。」
 なお、これに先立ちプーチン大統領は、英国のキャメロン首相との電話会談の中で「国際的な調査が終わるまで、マレー機墜落の状況について、急いで結論を出したり、政治的に利用した声明を出したりするのを差し控える事が重要だ」と強調している。 ≫( リア-ノーヴォスチ)

 いずれにせよ、アメリカが必死になって騒いでいる状況が理解できる。ウクライナクーデターを企てたCIA、FBIの連中にとって、悪の枢軸を固定化することで、謀略が完結するのだから、必死だろう。とんでもなく物覚えの悪い連中だらけのウクライナ政府軍の面倒をこれ以上見ていられないと云う事情を抱えているアメリカは、ロシア、悪の枢軸説を、国際世論にすべく、最後の挑戦をしている。ロシアのプーチンにしてみれば、調子に乗って無残な証拠を並べだすのを待っている状況と推測できる。それまでは、抑制的に敵の武器のあらかたを吐き出させる心づもりなのだ。プロパガンダと云うものの弱点は、常に新たな有力情報を流し続けなければならない。息が切れた時点でアウトなのだ。正直、個人的には、非常にインテリジェンスな東西抗争を眺める意味深さがある。

 もう一つ、面白く、且つ意味深い中国共産党機関紙・人民日報の情報があった。いや~羨ましい限りだ。中国が西側の「普遍的価値」を鵜呑みにしてはいかん。“毛沢東思想やトウ小平理論など歴代最高指導者の指導理念と共に”この部分は蛇足と云うか、十八番の知れる言説だが、“秦の始皇帝から続く、悠久の東洋の価値観に根差し”とでも語れば、中国は東洋のリーダーになれるところだったが、西洋の普遍的価値への挑戦までは、壮大なスケールだったが、毛沢東が出てきた時点で矮小化された言説になったのは残念である(笑)。やはり、何処か国家的枠組み不測の中国だ。日本も同じように間違いな道を進んでいるので、似た者同士かもしらん(笑)。

≪「西側価値観のイエスマンになるな」=党幹部の思想統制強化-中国
【北京時事】21日付の中国共産党機関紙・人民日報は、党中央組織部が幹部教育・養成に関して「西側諸国の憲政や民主、普遍的価値、公民社会などの言論の 騒音の中で方向を見失わない」ことや、「西側の道徳的価値観の『イエスマン』にならない」ことなど、思想統制を強める通知を出したと伝えた。
 その上で、毛沢東思想やトウ小平理論など歴代最高指導者の指導理念と共に、「習近平総書記の一連の重要講話の精神を深く学習しなければならない」と指示した。こうした通知は、党内の政治体制改革をめぐる議論を封じ込める狙いがある。 ≫(時事通信)

安倍官邸と新聞 「二極化する報道」の危機 (集英社新書)
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●米豪日にNATOは負けている 米国に追随しようキャメロン

2014年07月21日 | 日記
徳川制度(上) (岩波文庫)
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●米豪日にNATOは負けている 米国に追随しようキャメロン 

 バラク・オバマがブッシュに変身したような勢いで、推測を連発し、マレーシア機撃墜犯人を名指し、共謀罪適用で、「犯行のドンはロシア・プーチンだ」とマフィアのゴットファーザーな目つきで公式声明を出している。調査の緒にも就いていないのに、犯人が彼らでなければ、俺が困るとでも言わんばかりの勢いだ。ある意味で、オバマの行動か奇怪だ。ブッシュ・ジュニアの場合は、自国内で起きた「同時多発テロ事件」自国の国民が犠牲になったのだから、判断に拙速さがあっても、多少のエクスキューズは認められるが、遠いウクライナでの、戦闘地の民間機撃墜事故で、ここまで、米国大統領が前面に出てきて、実行犯を名指し、と云うのは外交的でもなく、軍事的でもなく、覇権国らしからぬ振る舞いで、自由主義陣営も、このオバマの異様な興奮度に度肝を抜かされているようだ。

 このような異様な、米大統領バラク・オバマの行動について、ジャーナリストは、冷静な分析を行うべきである。日豪の政府や役人、マスメディアがオバマの“口走り”に追随するのを見て、遅れ馳せ参じたのがイギリスのキャメロンだ。キャメロンはサンデータイムスに寄稿「「プーチン・ロシア 大統領がウクライナに対する姿勢を変えないなら、欧州、西側もロシアに対する姿勢を根本的に変えなければならない」とオバマにメッセージを送った。米英同盟は不滅ですってね。ユーロ圏から離脱している英国の首相に、“欧州も”と云う言葉は宙に浮く。

 上記だけなら、プーチンも笑って見逃すが、更に調子に乗り「ロシアが主権国家を不安定化させ、領土の一体性を侵害し、悪党の武装集団を支え、訓練し、武器を与えた結果だとはっきりさせなければならない」、「ウクライナ東部で起きている現実に向き合おうとしない者が欧州連合(EU)にはあまりに多い」と強調したあたりから、オバマのねつ造情報の定着化を担う寄稿の正体を現した。独仏への当て擦りのようなキャメロンは、一層独仏EU諸国に、米英同盟と同じではない!と云う気分にさせるだろう。まあ、そのくらい、バラク・オバマが焦っていると云うことなのだろう。

 おそらく、NATO加盟国の足並みが、ウクライナ問題を機に一層バラバラ感を出してしまったことが、米英豪と日本マスメディアの半音狂った狂想曲を奏でるしかない事態になっているようだ。ドイツの公共テレビZDFが18日に公表した世論調査では、対米関係に関する質問で、「良い」が49%、「悪い」が48%となり、イラク戦争時以来の%で「悪い」が過半数に迫っている。アメリカの違法な情報収集が原因とZDFは評論しているが、アメリカの同盟国である筈のEU(NATO)への内政干渉的が鼻持ちならないところまで、ドイツ国民を苛立たせているのが判る。また、ウクライナ問題でも、リスクを背負い込むのはEUであり、米国などなんの影響も受けない国に、宗主面されるのにも、ウンザリしているのだろう。フランスでも、似たような風が吹いているだろう。

 日本のNHKを含む“マスマスウソゴミ”の記事や解説などに真面目に見聞きしていたら、想像もつかない出来事とが、世界で展開している事実を何も知らずに、アメリカ追随以外に選択肢がある筈がない、と云う悪魔なファンタジーの世界で催眠強盗に遭うのは必定だが、戦後70年の中で、金を貯め込んだプチブル意識が、事実を見つめる勇気を剥奪している。目先の利益損得や既定の言語に縛られ、物事を根本的に考える思考を失っている点は、救いようがない。これをチェンジする方法論は、残念ながら筆者はお手上げである。

 米国とウクライナ発の公表情報のみを垂れ流す神経を持つ日本の“マスマスウソゴミ”の報道姿勢は、日々エスカレートするばかり。犯人の名指しされている側の情報の一端くらい報道すべきだろう。最初から、検証なし、判断するまでもなく垂れ流す。このような報道精神では、仮にまともな社説などを書いても、アリバイ作りとか、エクスキューズな見解程度にしか扱いようがない。こんな新聞社が、反原発、再稼働反対をモットーにしても、ポジショントークに過ぎないと思われるだけだ。長谷川幸洋が再稼働は反対だと言うがごとし。

 まあ親ロ派が地対空ミサイル「ブーク」で、マレーシア航空機をウクライナ政府軍攻撃機と誤認して、撃墜した可能性も排除は出来ない。しかし、仮にそうだとしても、その行為がイコール、ロシアに責任があると云うのは、理屈に合わないだろう。ロシアを排除したG7は、現在の怪しいウクライナ政権を承認しているのだから、国家として、それ相当の領土の管理責任は現ウクライナ政府にある。米中露の管轄外の話だ。その領土の一部が造反勢力に支配されているのであれば、それ相当の警告を世界に、公表しなければならない。領土の管理もせずに、領空を好き勝手に民間機を飛ばさせていたとなれば、政府と造反勢力の紛争に巻き込まれることは、想定の範囲だ。

 国際世論が、その国家としての管理不行き届きには目を瞑り、武器を輸出した国の責任を追及するなど、まったく論理的に理に適っていない。昨日のコラムでも話したように、ウクライナにおける政府転覆計画が実行された時点で、アメリカは関与しているわけだし、オバマも国内のネオコンと欧州ネオナチと手を結んででもプーチンへの私怨を晴らそうとしているのは明らかだ。でなければ、国内の経済団体へも犠牲を払わせて、一人ロシアへの経済制裁に踏み出すわけもない。ロシアは米国の銀行融資を受けることが出来なくなっても、一向に構わない状況を着々と構築中である。BRICSが中心となる新開発銀行の成長速度を速めるだけで、米国経済へのダメージの方が強いくらいだ。

 アメリカ商工会議所と全米製造業者協会はオバマのロシア経済制裁に反対する声明がメジャーマスコミの全面広告載るくらいだ。ブリュッセルの会議でも、EU諸国はオバマの方針を拒否したのだ。損害が軽微なアメリカと、致命的ダメージを受ける欧州と、一緒にしないでくれ。彼らは異口同音に、アメリカの独善性に否定的だった。ロシアを孤立させようと躍起になるオバマは、逆に西側諸国の中で孤立状態に陥った。そこで、恫喝的に、豪州、英国政府を動かし、次には日本を動かすつもりになっているが、日本は“マスマスウソゴミ”と外務省は靡いたが、鈍感アベちゃんは未だロシアに未練を残している。

 外務省は、もう無理です。年内のプーチン訪日は不可能と云う方向で纏まっているようだが、官邸が素直に諦めるかどうか、疑問だ。おそらく、安倍晋三は、北朝鮮訪問とプーチン来日、どちらも駄目だと言うなら、内政干渉のアメリカだと、息巻くかもしれない(笑)。多分、どちらかは実現する。オバマは、北朝鮮を選ぶだろう。プーチンが国賓として天皇と会うなんて、許せんだろう。自分は、嫌々あった癖に、プーチンには天皇と合わせたくない。まさに、権力を握った餓鬼である。似た者同士、安倍オバマはお似合いのカップルだが、馬は合わないようだ(笑)。

 アメリカの、このような傲慢、思い上がり、デモクラシーの仮面をかぶった権力亡者が、暴力片手に薫陶を垂れるのはやめるべきだろう。これだけ、プロパガンダの限りを尽くし、イラクの大量破壊兵器開発・保有疑惑を国連安保理で、コリン・パウエル国務長官(当時)が演説し、結果的に赤っ恥を掻いたわけだが、まさにデジャブだ。それも、いま相手にしているのは、イラクのフセインではなく、常任理事国で、最大の核保有国ロシアのプーチンだ。まだ、プーチンが抑制的姿勢を崩していないのが救いだ。勝てる見込みがあるからの抑制だと分析もできる。

 ロシアと中国の関係が最大限親密かどうか疑問符もつくが、米中露と云う3大プレーヤーが21世紀に、先ず登場している事実を、謙虚に受け入れるべきだ。軍事同盟国家の韓国だって揺れている。そんなに世界中に手を回せるほどの余裕のある大国ではないと云う現実を噛みしめるべき時が来たのだ。悪あがきしているのは、ロシアではなく、アメリカだ。日本の“マスマスウソゴミ”の情報を鵜呑みにしている日本人は、世界の孤児である(笑)。孤立と孤児で沈むのも悪くはない。英豪も一緒、仲間がいないわけでもない。

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●MH17便撃墜を奇禍とし 米国はロシアをイラクの二の舞に

2014年07月20日 | 日記
21世紀はどんな世界になるのか――国際情勢、科学技術、社会の「未来」を予測する (岩波ジュニア新書)
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●MH17便撃墜を奇禍とし 米国はロシアをイラクの二の舞に

 時事通信はマレーシア機撃墜の情報戦がロシアとウクライナの間で起きていると報道するが、まったく違う。アメリカ、オーストラリア、日本の主たるメディアとの情報戦になっている。それが、現状の西側諸国のメディアの論調だ。冗談でも、ウクライナ対ロシアなどと云う矮小化された枠組みの問題ではない。こういう日本メディアのピント外れな論調が、安倍のピント外れの集団的自衛権に関する衆参両院の予算委員会における質問議員をコケにするような態度を見逃すのである。

 今や、環太平洋軍事同盟化しつつある{日米豪軍事同盟}はNATOにおける、各国の独立意思の尊重という概念を取り払った、“アメリカ教”軍事同盟に変貌しつつあることが最大の課題だ。このかなり強引な結びつきを強める日米豪同盟的状況が、NATOの結束の弱さを補完するように大きな枠組みで動いている。この動きと、ウクライナ東部上空で起きたマレーシア民間機の撃墜事故宣伝戦は、「911同時多発テロ事件」と同様の構図を持って、西側諸国のマスメディアを躍起とさせているのだ。EU(NATO)諸国などそっちのけである(笑)。

 ここ数日の米国メディアのロシア共犯説は、イラク大量破壊情報同様に、米国情報当局の好き勝手な確証的ではない証拠の連鎖によって、世界世論を己の味方に引き入れ、「イラク・フセイン」と「ロシア・プーチン」のデジャブに持ち込もうとしているのは確実だ。冷静に世界の情報戦を眺めていても、米日豪の突出した、見込み報道が目立ち過ぎる。環太平洋の軍事同盟の流れと、ウクライナ・マレーシア機撃墜事故報道が一致していることは偶然ではないだろう。この大きなトラップを見る限り、マレーシア機が、どこの誰に撃墜されたのか即断は到底できない。まるで、わが国の冤罪捜査を、警察検察リーク報道で、世論形成するのに、そっくりだ。

 バラク・オバマにとって、世界広しといえど、ウラジミール・プーチンほど、バラクの顔に泥を塗りまくっている男がいないのは事実だ(笑)。シリア化学兵器問題では、世界の恥さらしになったのだから、その恨みは深いだろう。ブッシュのように短絡的にチェイニーのシナリオで踊ったのとは異なり、自らウクライナで、ウラジミールに反吐を吐かせてやると云う計画性すら感じさせる。その為であれば、イデオロギーを封印して、国内のネオコンやウクライナのネオナチと結託するのも厭わぬ異様さが垣間見えるのも納得である。おそらく、バラクの今回の動きは、ウラジミールへの私怨と言っても過言ではない。結果論だが、マレーシア機の惨事もバラク・オバマが惹き起こした惨事と見ることさえ可能なのである。

 ≪ 第三国の犠牲、宣伝戦に躍起=撃墜事件でロシアとウクライナ
 【キエフ時事】ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派支配地域でマレーシア航空機が撃墜された事件で、政府軍と親ロ派の戦闘が続くウクライナ情勢は大きな転換点を迎えた。第三国の子供を含む298人が 犠牲となったことに怒りが広がる中、国際世論を味方に付けようと、ロシア、ウクライナ双方は宣伝戦に躍起になっている。
 ウクライナのポロシェンコ大統領は19日、死亡した乗客乗員の出身各国の首脳に哀悼の意を表明した。ロシアのプーチン大統領も18日に、犠牲者が最も多いオランダ、マレーシアの両首脳に弔意を伝えている。
  今後は撃墜の経緯の解明が焦点となるが、調査は長期化が避けられない。ウクライナ当局は管制記録を確保する一方、ブラックボックスを親ロ派に奪われたとの情報がある。親ロ派は国際調査団の現地入り前に、証拠隠滅を図っているもようだ。地対空ミサイルを発射した側は、国際社会から厳しく糾弾されることになる。
 オバマ米大統領は「東部の親ロ派支配地域から発射された地対空ミサイルで撃墜された証拠がある」と明言。プーチン大統領はウクライナの政権に責任があると非難しつつ、国際的な調査結果を待つべきだとの立場だ。ポロシェンコ大統領は「テロ行為」だと糾弾している。
  ロシア、ウクライナのメディアも相手国の批判に終始し、第三国の犠牲自体を取り上げた報道は少ない。ロシアの数少ない独立系メディア「ドシチ(雨)」は、 交流サイトに涙を拭うオランダ人、マレーシア人とみられる写真を投稿。「少しでも非難合戦をやめ、死者のことを考えよう」と異例の呼び掛けを行った。 ≫ (時事通信)

 バラク・オバマは、何が何でもロシアの地対空ミサイルシステム“ブーク”のミサイルが、親ロ派の支配下にあるウクライナ東部ドネツク州地域から発射されたのだから、撃墜したのは親ロのテロ集団だと語って、プーチンのフセイン化宣伝工作に躍起なようだ。ウクライナ親ロ派のスポークスマンは、あまり訓練を受けていないようで、ホワイトハウスのような手練手管は苦手なようだ。悪の枢軸リーダーのように名指しされているプーチンも、オバマのようにヒステリックに叫ぼうとはしていない。極めて抑制の利いた論調で、今回の問題に対し発言している。オバマがミュージカルで歌って踊っているとすれば、プーチンは歌劇の舞台で、目力で演技している老俳優のように見えてくる。まあ個人的には、パフォーマンス好きの西側よりも、東側の受け身な強靭さの方が好みであるので、バラクとセルゲイのどちらが好ましいかと云う趣味の問題でもある(笑)。


 ≪ ウクライナに墜落したマレーシア機は軍に撃墜された
  ロシアは、マレーシア機の墜落に関する状況を客観的に明らかにするために、できることを全て行うよう呼びかけている。ロシアのプーチン大統領によると、この悲劇の責任はウクライナ政府にある。
 外国人298人が、ウクライナでの戦闘の犠牲となった。ウクライナ南部・東部の上空を飛行していたアムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空のボーイング777が墜落し、乗客乗員合わせて298人が死亡した。今回の悲劇では、大規模な戦闘行為が行われている地域の上空が、なぜ民間機の飛行ルートとなっていたのかという疑問もある。だがプーチン大統領は、犠牲者の家族に哀悼の意を表し、もしウクライナ政府が南部・東部で軍事作戦を実施しなければ、間違いなく、この悲劇は起こらなかったはずだとの確信を示し、次のように語っている。
  「私たちは起こったことの客観的な状況が、ロシアの世論、ウクライナの世論、そして全世界の知るところとなるように、自分たちにできることを全て行う。こ の悲劇は、全く受け入れられないものだ。全ての人々は、この悲劇からしかるべき結論を導き出す義務がある。全ての人に、起こったことに関する客観的な情報 が提供されなければならない」。
 現時点で、今回の悲劇の原因について複数の説が存在している。恐らくマレーシア機は撃墜された。ウクライナ政府は、義勇軍がマレーシア機を撃墜したとして非難した。だがマレーシア機は、高度1万500メートルを飛行していた。軍事専門家のアンドレイ・クリンツェヴィチ氏は、義勇軍が保有している大したことのない技術で、このような高度を速いスピードで飛行する対象を撃墜するためには、かなり真剣に努力しなければならないと指摘し、次のように語っている。
  「このような航空機を義勇軍が撃墜するのはほぼ不可能だ。飛行速度は非常に速い。決断を下すための時間は1分未満。訓練を受けていない者は、恐らく反応が間に合わないだろう。そのため、マレーシア機はテロ行為によって空中で分解したか、あるいは戦闘機または地対空ミサイルS200のような本格的なシステム によって撃墜されたと考えられる」。
  ウクライナ軍はS200で民間機を撃墜した過去を持っている。2001年、ウクライナ軍は演習中にテルアビブ発ノボシビルスク行きのシベリア航空のツポレ フ154を撃墜した。撃墜事件では乗客66人乗員12人の全員が死亡した。ウクライナ政府は長い間撃墜を否定していたが、その後、ウクライナ軍が誤射した ことを認めた。ウクライナ政府は現在、以前のシナリオで行動している。ウクライナ政府は、戦闘行為が行われている地域でこのような悲劇が起こった罪も、取り返しのつかない誤射の罪も認めようとしていない。だが、真実は必ず明らかになるだろう。マレーシア機の「ブラックボックス」が、良い状態で発見され、解析が行われている。また世界中の追跡システムが、地上からのミサイル発射を必ず探知している。すなわち、もしマレーシア機が撃墜されたならば、ミサイルの発射場所を特定するのは難しくはない。
 米情報機関筋はすでに、墜落現場の周辺地域で「地対空」クラスのミサイルが発射されたと発表した。またマレーシア機を担当したスペインの管制官は自身のツイッターで、マレーシア機がレーダーから消える数分前、その隣にウクライナの戦闘機2機が見られたと書き込んだ。
  国際航空委員会はすでに悲劇の調査を開始した。マレーシア機が墜落した地域を管理している南部・東部の義勇軍のリーダーたちは、国際的な調査団や欧州安全保障協力機構(OSCE)の監視員、ウクライナ政府の代表者などが墜落現場へ訪れる際の安全を保証し、ウクライナ政府に対して、捜索・救助活動が行われて いる間の停戦を宣言するよう提案した。 ≫(ロシアの声: ナターリヤ コワレンコ)


≪ ロシア国防省:いかなるロシアの兵器も国境を越えてウクライナへ運ばれてはいない
 ロシア国防省の報道官は、地対空ミサイルシステム「ブーク」も、ロシア軍のその他の種類の武器も、国境を越えてウクライナへ運ばれてはいないと発表した。
 報道官は、「これを密かに行うことは不可能だ」と指摘した。
 報道官は、キエフ政権が「ブーク」の「着弾監視員」とされるロシア人2人を拘束したと発表したことを受け、「ブーク」などの兵器を密かにウクライナへ運ぶことは不可能であり、着弾監視員は、地上の標的に対する兵器システムのみを使用しているため、原則的に、彼らが「ブーク」を使用することはできないと述べた。
 ウクライナ保安庁のナリバイチェンコ長官は18日、マレーシア航空のボーイング777が墜落する前、地対空ミサイルシステム「ブーク」と乗組員が、ロシアからウクライナ領土に入ったとする声明を表した。 ≫(ロシアの声:イタル・タス)

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●“見込み捜査”情報合戦 西側はロシア主犯説垂れ流し

2014年07月19日 | 日記
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●“見込み捜査”情報合戦 西側はロシア主犯説垂れ流し

 日本に住んでいて、ロシアのプーチン大統領やウクライナ親ロ派の強面な人々を擁護することは、中々大変だ。世界中が、911同時多発テロ事件以来の仰々しさで、実行犯人、教唆犯人探しに奔走している。西側世界のマスメディア全体で見れば、7:3くらいの按配でアメリカ発の情報が正しい前提でメディアが動いている。中東やアジア、アフリカ、南米では、ほぼ五分五分の情報が流れているようだ。英国を除く、EU諸国の報道はまちまちで、65:35でアメリカ情報に偏るが、西側全体の潮流よりは抑制が効いている。

 このようなロシアと経済中心に関係の深いEU諸国の現象は印象的だ。アメリカと云う暴力装置付覇権国家の行動原理に、独仏伊などは必ずしも全面同意の姿勢は示していない点が、今回のウクライナ問題全体に言える傾向であった。日本の安倍政権も、米国・イスラエルの対露姿勢に、全面同調はしていない。つまり、ロシア封じ込めのウクライナのNATO化、中国封じ込めのミヤンマー民主主義化の動きが、順調に進むためには日韓関係が親和的でなければならないし、NATO軍の結束が盤石である必要がある。

 オバマは、日韓関係の融和にそれなりの配慮を示しているが、秘密工作勢力を動員するには至っていない。動員していれば、パク、アベ共に暗殺ターゲットになつているだろう。日米韓の結束が東アジアにおける中国封じ込めの肝だが、対中会話も同時並行で行っているので、緊急性の順位は低い。それに対し、ウクライナの知に火をつけてしまった、米イスラエル+ネオコン勢力は、何が何でも、ウクライナ傀儡政府を擁護し、NATO化し、ミサイル基地設置は、喫緊の課題になっている。

 ところが、NATO軍と云う名前も加盟国も世界一の軍事同盟であるにも関わらず、中身がスカスカなことを、ロシア・プーチン並びに中国・習に見透かされている。この不愉快さと云うか、覇権の陰りを一層鮮明にするNATO軍の正体の暴露は、一国主義者のアメリカにとって、致命的痛手になり得る、という危機感がワシントンにある。今回のマレーシア航空撃墜で犠牲になった人々の国籍の半分以上がNATO加盟国だ。筆者の目から見ると、情報戦がエスカレートしている中心には、いつのまにかアメリカ政府が鎮座している。こういう現象を確認しておくことが、国際情勢分析には欠かせない。

 この撃墜事故が誰の仕業かよりも、その出来事を、どの勢力が、どのように最大限有効な情報に仕立て、外交戦争に利用するかが見ものなのである。観察する限り、アメリカ発の情報で、西側諸国のメディアは埋め尽くされている。そこで、この情報の帰結は何を狙っているのかという興味だが、筆者は、NATO軍が有名無実化する流れを食い止め、その結束強化を狙ったものではないのか、という解が見えてしまう。イスラエルとパレスチナにおける「200:1」のアンバランスを無視して、イスラエルに正義ありとする流れと同じに見える。もっと言えば、911同時多発テロ事件同様の臭いさえしてくる。筆者は、西側に対抗する勢力の情報を出来るだけ掲載することで、その不均衡の是正をすることはジャーナリスト的だと思っている。

≪ ロシア国防省:マレーシア機が墜落した日、ウクライナの「ブーク」のレーダーが稼働していた
  マレーシア機の墜落した場所は、ウクライナの地対空ミサイルシステム「S200」の砲台2基と「ブークM1」の発射台3基の迎撃ゾーンに入っていた。イタル・タスが、ロシア国防省の情報として伝えた。 国防省は、ロシアのレーダーによって7月17日、居住区スティラに配備された『ブークM1』の砲台のレーダー『クーポル』の稼働が探知されたと発表した。 ≫(ロシアの声)

≪ ウクライナの管制官;飛行プランより低空を飛行するようボーイングに要求
  ウクライナで墜落したマレーシア航空ボーイング777型機は、飛行プランが求めた高度よりも低いところを飛んでいた。 同航空が自社のサイトで明らかにしたところでは「これは、ウクライナの航空管制官の求めによりなされた。」 マレーシア航空のサイト上では、次のように説明されている― 「MH17便の飛行プランでは、ウクライナ領上空を高度1万660メートル(3万5千フィート)で飛行するよう求められていた。しかしウクライナの管制官の要求により、MH17便は、高度1万60メートル(3万3千フィート)を飛行せざるを得なかった。」 ≫(ロシアの声)

バフェットからの手紙 [第3版] (ウィザードブックシリーズ)
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●911のブッシュとMH17撃墜のオバマのドヤ顔二重写し

2014年07月19日 | 日記
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●911のブッシュとMH17撃墜のオバマのドヤ顔二重写し

 ウクライナ戦闘地域で悲劇が起きた。西側メディア、ウクライナ暫定政府、米国政府は、一斉にウクライナ東部親ロ派勢力の“地対空ミサイル”による撃墜である、と報じている。ウクライナ政府も米国政府も、現場に立ち入り、検証も何もしないうちから、ロシア製のミサイルBUKに撃墜されたと報じている。以下の朝日の記事は、幾分抑制的だが、親ロ派の仕業方向に偏った報道になっている。

≪マレーシア機墜落、298人死亡か 撃墜めぐり非難応酬
 ウクライナ東部でマレーシア航空のボーイング777型機が墜落した事件で、ウクライナのポロシェンコ大統領は「テロ攻撃だ」と述べ、親ロシア派武装勢力に撃墜されたとの見方を示した。乗客乗員298人全員が死亡したとみられる。武装勢力側は関与を否定している。
 墜落したのは、アムステルダム発クアラルンプール行きのMH17便。マレーシア航空によると、乗客283人、乗員15人が搭乗していた。乗客数は当初280人とされていたが、3人の幼児が含まれていなかったことが判明した。
 乗客乗員の国籍は、オランダが154人と最も多く、マレーシアが43人、オーストラリアが27人、インドネシアが12人、英国が9人、ドイツとベルギーが4人ずつ、フィリピンが3人、カナダが1人、未確認が41人。日本人の乗客は確認されていない。乗客うち100人以上は、豪南東部メルボルンで20日から開催される予定のエイズに関する国際会議に向かう途中だったとみられる。
 マレーシア航空機は現地時間の17日午後4時20分(日本時間午後10時20分)ごろ、ウクライナ東部のドネツク州上空からロシアに入る直前に連絡を絶った。国際航空運送協会(IATA)などによると、高度約1万メートルの通常のルートを飛行中だったとみられる。
 ロイター通信によると、機体は、ロシア国境まで約40キロの地点に墜落していた。現場付近ではウクライナ軍と武装勢力が激しい戦闘を続けており、14日と16日にもウクライナ軍機が撃墜されていた。  ポロシェンコ大統領は「事故や惨事ではなく、テロ行為だ」と、親ロシア派武装勢力を非難。飛行記録を収めたブラックボックスについて、「残念ながら、テロリストたちはブラックボックスをモスクワに持ち去る意向だ」と述べ、武装勢力側が確保していることと指摘した。今回の事件が親ロシア派武装勢力による撃墜と確認されれば、ロシアへの国際的な非難がいっそう強まることになる。
 ウクライナ内務省は17日、マレーシア航空機が旧ソ連製の地対空ミサイルシステム「BUK」によって撃墜されたとの見方を示した。米CNNテレビは米政府高官の話として、米政府がマレーシア機が地対空ミサイルに撃墜されたと結論づけたと報じた。ロイター通信によると、ウクライナ保安局のナリワイチェンコ長官は、親ロ派が航空機の撃墜をロシア情報機関員に報告しているとされる盗聴記録を公開した。
 一方、ウクライナからの独立を宣言している親ロシア派の代表はロシアメディアに対して「ウクライナ軍が撃墜した」「我々が持っている対空ミサイルは高度3千メートルまでしか届かない」と述べた。ただ「共和国」の広報担当者は6月29日にイタル・タス通信に対して「BUK」を入手したことを認めており、言い分には疑問も出そうだ。
 ロシアのプーチン大統領は17日深夜、政府関係者との会議で「ウクライナ東部で軍事行動が行われていなければ起きなかった悲劇だ」と述べたが、誰が撃墜したかについては言及を避けた。「現場となった国に責任があることは疑いない」と述べ、原因に関わらずウクライナ政府に責任があるとの考えを示した。
 ロシア大統領府によると事件後、プーチン大統領はオバマ米大統領と電話で情勢について意見交換した。オバマ氏は、前日に発表した対ロ追加制裁の方針を伝え、緊張緩和のためロシア政府に具体的な行動を求めた。
 衝撃的な事件に、国際社会は一斉に懸念を表明した。オバマ米大統領は「おそろしい悲劇だ」と語り、ポロシェンコ大統領に支援する考えを伝えた。欧州連合(EU)は「早急な原因究明を求める。迅速に事実及び責任が明らかにされる必要がある」との声明を出した。
 マレーシア航空では、3月8日にもクアラルンプール発北京行きのボーイング777型機が南シナ海上で交信が途切れ、今も消息不明のままとなっている。 ≫(朝日新聞デジタル:モスクワ=駒木明義、ワシントン=大島隆、奥寺淳、ブリュッセル=吉田美智子)

 読売などは、完全に一方的報道。ウクライナ内務省(CIAに占拠されている)の幹部の発言をもとに記事を執筆。産経は≪「われわれは飛行機を撃墜した」 墜落20分後、親露派の会話盗聴記録を公表≫の見出しで、記事の内容は、真偽不明だと云う記事だ(笑)。日経は「親ロ派が支配する空域だ」と親ロ派が攻撃したに違いないとの印象的見出しを打っている。東京新聞は「マレーシア機墜落 政府・親ロ派、相互非難」と事実関係の真偽不明を見出しで表現している。驚くほど徹底的なプロパガンダ報道に徹しているのが、WSJ紙だと云う点が興味深い。以下は、WSJの撃墜に関する2本の記事だ。


 ≪マレーシア機、ミサイルで撃墜-ロシア側関与か
 アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空ボーイング777型旅客機が17日、ウクライナ東部ドネツク州上空を飛行中に墜落したことについて、米情報機関は地対空ミサイルによって撃墜されたことを確認した。
 米情報機関の間では、ミサイルを発射したのがロシア軍か、親ロシア派分離主義勢力のいずれかについては見解が分かれている。ただ、親ロシア派分離主義勢力が飛行中の民間機を独力で撃墜できる能力はないと見られている。
 ある米当局者は「すべての道はある程度ロシア人に帰結する」と述べた。
 プーチン・ロシア大統領は「この領土が平和であり、ウクライナ南部で軍事行動が取られていなかったならば、この悲劇は起きていなかっただろう」と述べた。
 一方、オバマ米大統領は「恐ろしい悲劇だ」とした上で、ウクライナのポロシェンコ大統領に対し、墜落現場の保全を求めた。
 マレーシア航空によると、墜落したのは17便で、ロシア・ウクライナ国境から約50キロメートル(30マイル)離れたところで連絡が途絶えた。同機は17日正午ごろアムステルダムを出発し、18日未明にクアラルンプールに到着する予定だった。
 ウクライナの国家航空管制局は、乗客・乗員295人を乗せた同機が墜落したことを確認し、特別調査委員会関係者を現場に急行させたと述べた。
 ウクライナ内務省顧問のアントン・ゲラシチェンコ氏によると、同機は、高度約1万メートル上空を飛行中、ドネツク州のHrabove村近くに墜落した。
  墜落を受けて、直後からその原因に対する憶測が飛び交っている。過去数カ月間、ウクライナ軍は、親ロシア派分離主義者を鎮圧しようとしてきた。分離主義者 勢力は4月に東部の町を占拠し、共和国として独立を宣言した。今週、一段と戦闘が激化しており、ウクライナ当局は軍用貨物機1機とジェット戦闘機1機がこの地域で撃墜されたと発表している。
 今回の墜落は、マレーシア航空にとって悪夢の再来だ。3月には同航空の別のボーイング777型機がクアラルンプールから北京に向かう途中、消息を絶った。現在も行方不明のままで、世界的なミステリーになっている。
 ウクライナ東部の墜落現場で地元の人によって撮影された映像は、日没前に野原から巨大な灰色の煙が立ち上っているのがわかる。その後の映像には、ウクライナの消防隊が飛行機の残がいに放水している場面が写り、乗客の持っていたパスポートや航空券のほか、墜落現場近くでそのままになっている遺体の断片もあった。
 同機墜落直後から、非難の応酬が始まった。前出の内務省のゲラシチェンコ氏は電話で、親ロシア派反政府勢力がロシアとの国境近くのスニジュネー近郊に地対空ミサイル装置を設置していたと主張した。
 同氏は「彼らは明らかに、自分たちが攻撃の標的にしているのが軍の輸送機だと考えていた」と述べ、「(マレーシア機を)撃墜したのは彼らだ」と語った。ただし同氏の主張の事実はされていない。
  ゲラシチェンコ氏はフェイスブックの投稿で、分離主義者たちは「Buk」地対空ミサイルシステムを入手しており、それが17日日中にスニジュネーとトレー ズの町近くを移動していたのを地元住民が目撃していると述べた。そして、マレーシア機が17日午後遅くに墜落する約1時間前に、墜落現場からそれほど遠く ないシャフチョルスクという町に地対空ミサイルを積んだ輸送部隊が向かっているのが目撃されていたと述べた。
 しかし、分離主義勢力指導者は17日、高度1万メートルもの上空を飛行するボーイング777型機を撃墜できるほど強力な地対空ミサイルシステム、例えば「Buk」システムを入手していた事実はないと強く否定した。
 例えば分離主義者の宣言したドネツク人民共和国の指導者の1人Sergei Kavtaradze氏は、ウクライナ軍がマレーシア機を撃墜したと非難した。
 同氏はインタファクス通信に対し、「マレーシア機はウクライナ政府陣営によって撃墜された」と述べ、「われわれは、その種の防空システムを所有していない」と語った。
 ウクライナの大統領と首相は、この墜落について、誰の仕業か直ちに指摘しなかった。
 ヤツェニュク首相は、マレーシア機墜落の原因と、今週同じ地域で墜落したウクライナ軍貨物輸送機とジェット戦闘機の原因も併せて究明するため、特別調査を指示した。 

 ≪マレーシア機、最新の地対空ミサイルで撃墜か
17日にウクライナ東部で墜落したアムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空ボーイング777型旅客機は、入手が簡単で使用しやすい携行ミサイルではなく、最新の地対空ミサイルにより撃墜された可能性が極めて大きい。
 携行ミサイルはこれまでも旅客機攻撃に使用されたことがある。だが携行ミサイルの場合、マレーシア航空機が飛行していた高度約9000メートルにははるかに届かない。同機には乗客・乗員合わせて295人が搭乗していた。
 2002年にケニア・モンバサ発のアルキア・イスラエル航空のボーイング757型機がミサイル攻撃を受けたことがあったが、このときは命中しなかった。03年には国際輸送会社DHLのバグダッド発エアバスA300型機がミサイルを撃たれたが、安全に着陸できた。
 こうした事件を受け、一部航空会社はミサイル攻撃への防御を強化し始めている。イスラエルはあらゆる旅客機に対し、通常は熱追尾式の携行ミサイルに対する防御システムを装備するよう義務付けている。 ≫(以上2本の記事はWSJより転載)


 WSJも思い切った見出しをつけたものだ。「マレーシア機、ミサイルで撃墜-ロシア側関与か」なのだから、この記事を読んだ読者の印象は、ロシア軍が、マレーシアの民間機を撃墜した、と思い込むだろう。WSJの記事の肝の部分は―― 『米情報機関は地対空ミサイルによって撃墜されたことを確認した。  米情報機関の間では、ミサイルを発射したのがロシア軍か、親ロシア派分離主義勢力のいずれかについては見解が分かれている。ただ、親ロシア派分離主義勢力が飛行中の民間機を独力で撃墜できる能力はないと見られている。  ある米当局者は「すべての道はある程度ロシア人に帰結する」と述べた。  プーチン・ロシア大統領は「この領土が平和であり、ウクライナ南部で軍事行動が取られていなかったならば、この悲劇は起きていなかっただろう」と述べた。』――と書いた部分だ。

 多少知的レベルの高い人々の印象を操作する狙いが感じられる文章だ。ただ、疑っている、ウクライナ東部親ロ派やロシア軍の言い分に関しては、一切取材していないので、ニュースソースはアメリカ情報当局(CIA)とイスラエル情報当局(モサド)の思い通りの情報をダダ漏れさせているのが顕著だ。我々が、このような情報に接する場合、特に注意する必要があるのが、戦争プロパガンダ報道である。

 以上のような世論形成誘導プロパガンダ報道は加熱している。特に、米国系メディア(日本のマスメディアも属す)の報道は、親ロ派の犯行の証拠があるとかないとか姦しい。西側世論形成の真打、バラク・オバマがホワイトハウスで、声明を読み上げた。「同機を撃ち落とした地対空ミサイルは親ロシア派支配地域から発射れた」(注:オバマの声明は、暗に親ロ派の犯行と言うに等しいニアンスで語っている。多分、その声明を読み上げる時の顔は、ブッシュの911声明と顔で語ったに違いない。「イラクには大量破壊兵器を隠し持っている」米国CIAの情報は正しいからね(笑)

 親ロ派がやったに違いないが大勢を占める中、親ロ派は稚拙なスポークスマンが奮戦しているが、あまりの多勢に無勢、フェアな報道合戦には程遠い。戦闘地域における民間機への警告や対応は、曲がりなりにも西側勢力公認のウクライナ政府の責任なのは明白。プーチンが言う、どちらの攻撃で云々ではなく、話し合いで解決する気がなかったウクライナ政府のサボタージュによる責任は免れないと云う主張は一理ある。オバマの「確信ブッシュ顔」の声明よりは、外交的である。またオバマは、このウクライナ紛争に対する影響力はプーチンが一番持っているのだから、その解決に尽力を尽くすべき、と語ったが、こりゃ相当に「盗人猛々しい」発言である。


■ 今回の事件を含めウクライナ紛争に、筆者は幾つかの疑問を抱えている。

(1)なぜ米ネオコン勢力はウクライナでの政府転覆クーデターを起こさせる必要があったのか?そして、民主党のオバマも、ネオコンと呉越同舟を選択したんのか?
(2)ウクライナのEU加盟(NATO加盟)がアメリカにどのような好影響があるのか?
(3)ロシアが世界の覇権を狙っているとも思えないが、なぜ、その力を封じ込めようと考えるのか? (4)ロシア・中国同盟の深化を阻止しなければならないのか?
(5)親ロ派が敢えて上空通過の民間機を撃墜するメリットはあるのか?
(6)仮に、親ロ派のミサイルによる撃墜だとして、軍事的紛争地帯におけるアクシデントは責められる問題か?
(7)このマレーシア航空の撃墜事故で、利を得る勢力は何処か? *以上のような疑問を自らに問い、その一つ一つを考えてみよう。

■疑問に対する、当面の解
(筆者個人見解)

(1)の解:アメリカン一国主義の崩壊は、アメリカンデモクラシーが作り上げた捏造民主主義の崩壊であり、ドル基軸の崩壊を招き、すべてのマクロ経済政策のコントロールがつかず、西側諸国の総利益を脅かす。敵の敵は味方と云う発想だろう。このアメリカが第二次世界大戦後創造してきたアメリカ的「普遍的価値」の変更は許されず、それに面と向かう国や指導者は、世界の平和の脅威である。ゆえに、それらは悪の枢軸として、抹殺抹消しなければならない。

(2)の解:(1)の解を実現するためには、軍事的ロシア及びプーチンのミサイル封じ込みは有効。ゆえに、ウクライナもポーランド同様に、NATOのミサイル基地とすることが肝心だ。万が一、ウクライナ経済が疲弊しても、NATO軍事基地が残れば、西側諸国の戦略上重要な意味を持つ。

(3)の解:ロシアだけならいざ知らず、中国との強い連携も視野にあるので、中露と云う常任理事国二か国の東側勢力の団結は、大変な威嚇になる。場合によれば、アメリカ覇権国家の崩壊を意味する。アメリカの欺瞞的平和は、「アメリカ・アズ・ナンバーワン」がないと、秩序維持は不可能になり、各州の独立運動が強まる。合衆国の存在意義がなくなる。

(4)の解:上述(3)の解で言及したように、アメリカ一国支配の構図が崩れれば、強大な人工移民国家を統治するツールの殆どを失う。ワシントン及びホワイトハウスの喪失である。既に起きているBRICSの結束が強固になればなるほど、ドル基軸の影響力は弱まるし、金融を握ることで、財政の誤魔化しが不可能になり、凋落傾向に油を注ぐ。ゆえに、ミヤンマーとウクライナは中国、ロシア封じ込めの国家戦略である。

(5)の解:メリットは皆無だろう。誤射と云うことはあり得るが、親ロ派のミサイルが命中したのか、ウクライナ軍機のミサイルが命中したのか、米ロが同一の答えに至らないのは、判りきった話である(笑)。むしろ、親ロ派のミサイルによる撃墜は、自らの首を絞める行為で、何処かの内閣総理大臣のような「キ印」な行為に走る事は考えにくい。逆に、膠着状態のウクライナ東部におけるウクライナ政府軍の劣勢を挽回するプロパガンダには有効だろう。

(6)の解:砲弾が飛び交うことが判っている紛争地の空域をフライトすること自体、冷静に考えれば異常な話で、そのこと自体が不思議だ。たしかに、アムステルダムからクアラルンプールに向かうには、ウクライナ上空を飛ぶのが直線的で経済的に合理的だ。マレーシア航空17便以外にも、当時数機が航行しているが、混雑空域と云うほどでもない。この事故以来、各航空会社はウクライナ上空迂回ルートを選択している。筆者から言わして貰えば、ウクライナ空軍機が撃墜された情報が既にあったのだから、迂回は当然の選択である。航行ルートの安全意識が希薄だったと責められても文句は言えない。その空域で戦争している双方の責に帰すロジックにも違和感がある。

(7)の解:情報合戦で優位に立つアメリカ中心の勢力にとっては、格好の材料が手に入ったことになる。この事故で、利を得るのはアメリカであり、傀儡ウクライナ政府だろう。親ロ派及びロシアは受け身にならざるを得ない。ただ、注意深く観察すると、親ロ派が優勢地域からのミサイル発射だったとするオバマの情報は何が根拠なのか不明確だ。またまたCIA発であれば、「911同時爆破」と同じ構図に近づく。ルートの関係もあるが、17便の乗客乗員の国籍に、アメリカ人1名、イスラエル人ゼロになっている。ユダヤ人が乗っていたかは、国籍だけでは判断できないので保留。ただ、アメリカ人1名ってのは、正直少ない。まぁ穿ち過ぎているかもしれないが、NATOへの警告的事故で遭ったのも事実だ。この勢いで行けば、NATO系の乗客が非常に多く犠牲になっている。NATOの米国への協力度の少なさに苛立っていたバラク・オバマにとっては、“青天の霹靂”になるかもしれない。

 格安なフライトには経済的合理性で使われるルートだが、国際民間航空機関(ICAO)は、ただの内戦レベルと捉え、飛行禁止勧告を出していなかったようだし、ウクライナ政府も、民間機の飛行を容認していたのだから、それこそ責はある。また、上空1万メートルの標的を撃ち落とすミサイルは、ロシアもウクライナも同じように持っているので、どちらのミサイルなのか断定するのは、ほぼ無理。つまりは、情報合戦が継続するだけだが、筆者はイラク戦争突入時のブッシュやチェイニーの顔とオバマの顔が二重に映る。このような情報戦になると、多勢に無勢となるのが相場だが、何人かの人間が、異なる目線を持つことも意味はあるだろう。

 PS:「ロシアの声」によると、以下のような情報にも接することが出来る。マレーシア航空のサイトによる情報なので、ロシアの声のねつ造とは言えない。戦闘地域で、意図的に低空での飛行を要求した「ウクライナ管制官」。管制官はウクライナ政府の管理下にあるのだから、事実であれば、かなりキナ臭さを漂わす情報である。 ≪ ウクライナの管制官;飛行プランより低空を飛行するようボーイングに要求 ウクライナで墜落したマレーシア航空ボーイング777型機は、飛行プランが求めた高度よりも低いところを飛んでいた。 同航空が自社のサイトで明らかにしたところでは「これは、ウクライナの航空管制官の求めによりなされた。」 マレーシア航空のサイト上では、次のように説明されている― 「MH17便の飛行プランでは、ウクライナ領上空を高度1万660メートル(3万5千フィート)で飛行するよう求められていた。しかしウクライナの管制官の要求により、MH17便は、高度1万60メートル(3万3千フィート)を飛行せざるを得なかった。」 ≫(ロシアの声)

アメリカ的、イギリス的 (河出ブックス)
クリエーター情報なし
河出書房新社


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