世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●腹七分目の美学 守銭奴にひた走る経済人と経済学者の醜さ

2016年11月30日 | 日記



さらば白人国家アメリカ
クリエーター情報なし
講談社


●腹七分目の美学 守銭奴にひた走る既得権者の醜さ

 いま地球上で、グローバリズム信者だと堂々と口に出来る国の頂点に、日本と云う国は存在しているようだ。日経の世論調査でも、「トランプ大統領歓迎せず」が56%であったり、安倍内閣の経済政策、外交安保等々の政策も、市場関係者を歓ばせ、輸出企業を一服させる効果はあったが、それら効果は一過性であり、今、残された問題はマイナス金利や歪んだ金融市場の姿である。

 しかし、現状を容認するることが大好きな日本人は、内閣が、各論において、自分の考えと異なる方向の政策を打っていても、「まあ、イイか。野田の民進党よりはマシだろう」くらいの支持を表明している。事実、その考えは正しいかもしれない(笑)。多くの日本人は、今の日本政府の政権運営と世界を驚嘆させている反グローバリズムの動きが、全く逆な方向に向かっているくらいは知っている。

 米国追随政権運営以外の選択を知らない日本政府は、世界全体のベクトルが変わってきていると気づいても、オリジナリティがないのだから、ポカンと口を開けて傍観するほかない。日本政府も、与野党に関わらず、米国あっての日本。その米国が方向性を失っているのだから 、傍観が唯一の選択なのだ。自己決定を放棄した国の憐れさが、際立っているのが、今の日本だと言えるような気がする。

 英国、米国と云う第二次世界大戦後の世界の枠組み作りに強く関与し、事実指導的立場であった両国の国民が、そのアイデンティティに「NO」を突きつけた事実は、単なる偶然である筈がない。政党こそ違うが、ビル・クリントン、ジョージ・ブッシュ、バラク・オバマと3代に亘って、米国ホワイトハウスは、ウォールストリートと軍産複合企業群、多国籍企業群の執事のような政治を展開したのだから、グローバルと云う幅の広い方向性から、グローバリズムと云う狂信的イデオロギーの鎧を身につけ、敵味方を鮮明に色分けする特異性を発揮した。

 経済学においては、このグローバル経済における原動力は、フロンティアが存在し、その地に、投資を集中することで、厚みのある利益を生み、先進国もフロンティア地域も潤うメカニズムが成立した。しかし、最大にして最高のフロンティアであった中国は、世界のフロンティア地域から、一気に世界経済を牽引する一大勢力の樹立に向かって、その姿を明確に世界に見せつけている。

 グローバル経済の成長メカニズムの一つに過ぎなかった、20世紀最後のフロンティア国である中国が、米英中心に栄華を極めてきたグローバル経済と云う経済領域の枠組みを乗り越えて、グローバリズムと云うイデオロギーな色彩の強い、マンネリ化した欧米主義を温存しようと云う勢力と、もう、グローバリズムに糊代は残っていない。兎に角、新しいフェーズに入るためには、欧米型グローバリズムのイデオロギーから抜け出そうと云うのが、英国、米国、EU,中国、ロシア等々で、反グローバリズムな思想的動きはムーブメントから、パワーへと移行している。

 この動きに、驚くほど鈍感な国が、日本であることは、確実だ。正直、主だった先進国が、エスタブリッシュメントのあるべき姿を模索せざるを得ないと考えている最中、兎に角、20世紀的な欧米型付加価値に逃げ込めば、目立たずに「よい子」でいられるに違いないと云う、コウモリのような生き方が、もう通用しない21世紀が始まっていることを、言論人らがサボタージュして、誰一人語ろうとしていない。無論、マスメディアも全員走りだしている列車にブレーキを掛ける気力はない。日米大戦に突き進んだ大日本帝国と、何ら変わっていない日本人の組織を、我々は眺めているようだ。東京新聞が奮闘はしているが、多勢に無勢なのが日本の勢力図である。

≪ 米TPP離脱 グローバリズム是正を
 トランプ次期大統領の離脱明言でTPPは実現困難になった。発言の底流にあるグローバル化の歪(ひず)みを是正し修復しなければ、自由な貿易は前に進めないどころか、保護主義へと転落しかねない。
 世界中の新聞、テレビ、雑誌、ネットにあふれる論評、解説がトランプ氏の米大統領当選の衝撃を物語っている。
 なかでも重要な指摘のひとつに「歴史の転換点」がある。
 第二次世界大戦後、自由、人権、民主主義という理念、価値観を掲げてきた米国は内向きになり、外交も安全保障も経済も米国にとって損か得かという「取引」「米国の利益第一主義」に変容していく。米国が主導してきた国際政治、経済の枠組みの終わりという見方だ。
 冷戦終結後の一九九〇年代以降、米英を中心に加速した経済のグローバル化は、多国籍企業が富の偏りや格差の拡大を意に介せず利益を追求する貪欲な資本主義、マネーゲームの金融資本主義に化けた。負の側面が露(あら)わになったグローバル化は、その意味を込め「グローバリズム」と呼ばれるようになる。
 トランプ氏を大統領に押し上げたのは、グローバリズムに押しつぶされる人々の既得権層に対する怒りだった。これを黙殺して貿易の自由化をさらにすすめる環太平洋連携協定(TPP)からの離脱は、当然の帰結といえるだろう。
 貿易立国の日本は戦後、関税貿易一般協定(ガット)や世界貿易機関(WTO)を成長と安定の土台にしてきた。このため自由貿易の停滞や保護主義の台頭を懸念する声は強い。
 だが、米国をTPPから離脱させる力は、過剰な利益追求や金融資本のマネーゲームに振り回され、暮らしが破綻に追い込まれつつある中低所得者層のぎりぎりの抵抗にある。その事実を直視しなければいけない。
 二十四日の参院TPP特別委で安倍晋三首相は「自由で公正な経済圏を作っていく。日本はそれを掲げ続けねばならない」と審議を続ける理由を説明した。
 強者の自由が行き過ぎて弱肉強食となり、社会の公正は蔑(ないがし)ろにされてTPPは行き詰まった。
 グローバリズムの欠陥、その象徴である経済格差を「公正」という価値観で是正しない限り、自由な経済は前に進めない。新たな対立を生みだして世界を不安定にする保護主義の台頭を防ぐことはできない。 ≫(11月28日付東京新聞社説)

移民の経済学
クリエーター情報なし
東洋経済新報社

 

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●カストロはまだ90歳だった 歴史的人物に含めていた後悔

2016年11月28日 | 日記

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●カストロはまだ90歳だった 歴史的人物に含めていた後悔

 今夜はお疲れ気味なので、11月27日の日経新聞の記事をなぞりながら、何となくの感想を語ることで勘弁して頂く。朝起きると、胃カメラと大腸検査をWで受けるので、幾分ナーバスだ(笑)。

 社会主義を理想のイデオロギーとして半世紀、キューバ革命を実践していたフィデル・カストロ氏が亡くなった。個人的には、カストロの亡きあと、オバマとキューバが手打ちするのは勝手だろうが、どこかローマ法王は余計な親切をしてしまったのではないかと、必ずしも納得出来ない感情が残されている。アメリカとの雪解けで、明確にキューバ社会が経済的メリットが見えているのなら、まあ、仕方ないかの気分だが、そのメリットは殆ど見えていない。しかし、カストロやゲバラは、既に伝説の人だったので、カストロ氏が、まだ90歳であったことに、妙なリアリティーを感じている。

 原発推進の役人組織・経産省が、福島原発廃炉・賠償金の想定総額を、11兆円から、20兆円になるとして、財務省などと交渉する流れになっているそうだ。10年後には、50兆予算となって、有識者らの会議の俎上に乗ってるのだろう。同省が設ける有識者会議には報告するらしいが、唯々諾々役所の論点整理に乗るだけの有識者は、もう日本と云う社会には不必要なのではないだろうか。我が国は、デモクラシースタイルを学んだ欧米のパラダイムシフトに、もっと敏感であるべきだ。有識者と云うものは、最も現行の社会が普遍であることを望んでいる目付のようなもので、変化の危機において、最も役立たずな人々なのである。

 陛下の生前退位を巡る政府の有識者会議(座長今井敬)による、16人の専門家への意見聴取を実行している最中のようだが、退位そのものを否定するする立場のイデオロギーを持論とする人々の意見を聞くことが必要かどうか、疑問がある。彼らは、天皇の個人的意志を認めるべき立場にはない人々であり、合理的論理性があると云うより、“でなければならない人々”名のだから……。まあ、桜井よしこ氏や渡部昇一氏などはガス抜きでご意見聴取の必要性があったのかもしれない(笑)。

 配偶者控除の制度設計には、殆ど興味がない。根本的に、我が国が、100年後、どのような国であるべきかの、国民的コンセンサスの欠片すら見たことがないので、年収が103万であれ、150万であれ、あるべき社会の共通理念もなく、税制改正を屁理屈で弄り回しても、社会に与える影響はマイナスの部分がメインとなり、プラスの効果はスポイルされるだろう。

 トランプ次期大統領が決定後、理屈抜きで過激な「円安」が続いている。日米の金利差を考慮しても、動きは急すぎるし、ヘッジファンドの悪戯相場の最中にあると読むべきだろう。円安≒輸出増、このワンパターン連想ゲームも健在で、欧米中心に、相当のパワーでパラダイムが揺すぶられていると思うのだが、小生の感受性が強すぎるのか、怖がり過ぎなのか、まあ、半々で影響しているのだろう。まだまだ、目についた記事はあるが、この辺で寝ます。


 

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●煮え湯を飲む覚悟 領土棚上げで日ロ経済協力の先攻

2016年11月27日 | 日記

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●煮え湯を飲む覚悟 領土棚上げで日ロ経済協力の先攻

 以下、ロシア・スプートニク日本の記事を読むまでもなく、トランプ大統領の出現によって、ロシア・プーチン大統領側の対日姿勢が僅かではあるが、変ってきていると思える幾つかの事実が報道されている。国家間の外交上存在する問題は、そもそも論で双方の国に温度差がある。国家間の外交上の親密度は、敢えて男女関係で例えれば、愛人関係に近く、決して夫婦関係を望んではいけない領域の次元にあると考えておくものなのだろう。

 ≪ 岸田外相、プーチン大統領と会談へ調整
 日ロ両政府は、岸田文雄外相が12月2日にロシア・サンクトペテルブルクを訪れ、プーチン大統領と会談する方向で最終調整に入った。プーチン氏が北方領土問題の解決を急がない姿勢を鮮明にする中、同月15日に山口県で行われる日ロ首脳会談に向けて交渉加速を働きかける狙いだ。
 日本政府関係者が明らかにした。岸田氏は同月3日にモスクワでラブロフ外相と会談する予定で、その前にプーチン氏にも会い、北方領土問題を含む平和条約交渉の進展に理解を求める考えだ。サンクトペテルブルクはプーチン氏の故郷。
 プーチン氏は今月19日にペルーで行った安倍晋三首相との会談で、ロシアの領有権を前提に北方領土で合弁事業などを進める「共同経済活動」を提案。20日の記者会見では「平和条約締結の準備で駆け出すようなことをあまりしたくない」などと述べた。 ≫(朝日新聞デジタル)


 領土と云うものは、現に実行支配している側にとっては、前にも後ろにも、変らなければならない必然性はない。我が国が、実効支配している尖閣諸島の支配の形を、自らの意志で変えてしまった等と云う出来事は、本来の外交処方箋からは導き出せない、いびつな意思決定だった。この件を詳細に語る積りはないが、歪な思想を持つ政治家の個人プレイによって、火中の栗を拾う行為をした事実は消えないだろう。我が国は、凪状態の海原に渦をみずから作る国なのだから、ロシアが、その時々の世界情勢に鑑み、解決のエネルギー分散を変更しようとするのは、当然と見るべきだ。国家間の外交において、卑怯とか裏切行為とかのレベルで議論するレベルでは、外交そのものが出来ない国ですと白状しているに近い。

≪ なぜロシアは択捉・国後にミサイルシステムを配備した?
 ロシア大統領府のペスコフ報道官はクリル諸島へのミサイルシステム配備について、露日間の関係発展に影響が出てはならない、と述べた。日本の菅官房長官は、プーチン大統領の訪日準備にも日露間交渉にも影響は出ない、との考えを示した。
 一方、防衛省防衛政策局長の前田哲氏は、クリル南部への地対艦ミサイルシステム配備はロシア艦隊の太平洋への展開を確実化するものであり、極東におけるロシア戦略潜水艦部隊の行動圏を確保するためのものである、という見解を示している。
 22日、太平洋艦隊の公式新聞「軍事当直」の報道で、沿岸用ミサイル複合体「バル」と「バスチオン」がクリル諸島のイトゥルプ(択捉島)、クナシル(国後島)両島に配備されたことが明らかにされた。配備の正確な日時は明らかにされていないが、これが2011年に始まった一連の配備計画の一部であるのは明らかだ。それは、極東に、沿海地方南岸から北極に至る統一沿岸防衛システムを創設するという計画である。23日には岸田外務大臣が声明を出し、日本は事情を調べてしかるべき措置をとる、と述べた。
 来月プーチン大統領が訪日することを考えると、南クリル岩礁の二島に現代兵器を配備するというのはあまり時宜を得た行動とは言えない、と一部のメディアは報じている。が、戦略技術分析センターのワシーリー・カーシン研究員は「これは計画通りのことであり、単に諸島における軍事ポテンシャルを低下させないために行われることである。日本はもう長いこと、ロシアを潜在的な敵国と見なしてはいないし、今、日本との関係は非常に良好に推移している。しかし南クリルはやはり係争領土であり、そこに軍部隊は保持されるのだ。次世代兵器は計画通り、南クリル全域に配備されていくことになる」と話している。
 また、極東研究所日本研究センター長ワレリー・キスタノフ氏も、北東アジアの安全保障環境について語った。「今、軍拡競争が起きており、緊張が高まっている。領土問題を含め、大量の二国間係争があり、それぞれ緊迫化している。北朝鮮の核実験は日米韓の三角形による軍事協力の強化の口実になっている。韓国に次いで日本にも米国の対ミサイルシステムTHAADが配備されるという話もある。ロシアが極東における防衛ポテンシャルを強化するのは、主に米国のこうした計画を警戒してのことだ。」
  極東研究所日本研究センター上級研究員ヴィクトル・パヴリャチェンコ氏はスプートニクに対し、日本は今回のことをあまり心配しなくてよい、と語った。「なぜ他ならぬ今、このような騒ぎが突如持ち上がったのか。ロシアの東の国境付近における安全保障について決定が下されたのは1年前のことで、公式にも発表されていた。二島へのミサイルシステム配備は、ロシア軍の再装備及び国防ポテンシャル強化戦略の枠内で行われていることだ。1990年代から現在まで、ほとんど本格的な兵器はなかった。今問題になっているミサイルは防衛的なもので、これを攻撃用に作り変えることはできない。もちろん国境強化の意向は主権強化の願望を意味する。しかし、それは、1956年にソ連と日本の間で結ばれた条約をはじめとする国際条約の枠内で、我々が日本と交渉を行えない、ということではない。」
  日本の専門家の見解はどうか。東京財団研究員で、ロシア政治に詳しい畔蒜泰助氏は次のように指摘している。「この計画そのものはロシア国防省によって今年3月に発表されており、『年内には実施する』ということも併せてオープンになっていた。その意味では、事前の計画が実施されたにすぎないと言える。一部の日本の報道にあるように、プーチン大統領の訪日を目前にしたタイミングで、ロシア側がミサイル配備をぶつけてきた、というわけではないし、日本政府はこの点を理解している。ただし、日本の世論は別だ。
 それでなくても、先日のペルー・リマにおける安倍首相とプーチン大統領の会談で、特に領土問題に関しては、日本国民は『あまり期待している通りの方向には進んでいないようだ』という感触を受けている。そのタイミングでミサイル配備の報道があったために、さらに世論が過敏に反応する可能性がある。ぺスコフ大統領報道官も発言していたが、ミサイル複合体の配備が日露関係進展の流れに水を差すべきではない。日本の世論に影響が出ているのは確かだが、日露政府の間でちゃんとしたコミュニケーションがなされていれば、悪影響は最小限にとどめられるだろうし、そのように努力すべきであると考えている。」
 ペルー・リマにおけるAPECでプーチン大統領は、ロシアと日本の間に平和条約がないことは時代錯誤であり、それが両国の前進を妨げている、との見解を示した。「ロシアも日本も平和条約締結を誠実に望み、どうすればそれが叶うか、方法を探している。ひとつ確かなことは、この志向をあらゆる手を尽くして支持しなければならない、ということだ」とプーチン大統領は述べた。 興味深いことに、南クリル諸島におけるミサイルシステム配備のニュースは今日に至っても、ロシア国防省公式サイトに掲載されていない。 ≫(スプートニク日本)


≪ 冷水浴びせたプーチン発言 ナイーブな楽観主義的な対露政策を見直せ 新潟県立大学教授・袴田茂樹
12月にプーチン大統領が訪日し、山口で公式の首脳会談、翌日東京で実務会議が行われる。安倍晋三首相は当初、山口での会談に拘(こだわ)った。「静かな環境でゆっくり」つまり、平和条約問題を2人でじっくり懇談したいからだ。しかし経済協力にしか関心のないプーチン氏は、当初は東京での公式会談、それが無理なら山口と東京の双方を望んだ。大型経済代表団同伴が理由だ。結局首相はプーチン氏に押し切られた。
≪役者は露側の方が数段上≫
 9月6日、プーチン氏は記者会見で露記者の「東京でも伊勢志摩でもなく、なぜ山口なのか」との質問に「詮索したくないが、日本は米国追随だからだ」と答えている。伊勢志摩云々(うんぬん)の質問は素人的に見えるし、プーチン氏の答えも異様だ。だが私はこの質疑応答は奥が深いと思う。
 日本は今年先進7カ国(G7)の議長国だ。伊勢志摩サミットの後、同じ場所で首脳会談をすれば議長国が露をG7同様に扱う、つまり制裁の環(わ)を破ることになる。東京訪問にも裏がある。国家元首が公式に東京を訪問した場合、国賓として天皇陛下が会見される。
 これは最高の待遇であり、露がG7の制裁下にある状況では不適切だ。露側は首相が東京での会議を決断する前に、わざわざ「天皇陛下との会見は不要」と日本側に伝えている。首相がプーチン氏の東京訪問を渋るのは会見を避けるためで、それは米国の圧力故だと露が見ていることを示している。
 今年9月にサウジアラビアの国内序列では第3位のムハンマド副皇太子(31)が訪日した際、彼は若いにも拘(かか)わらず最高実力者なので、例外的に天皇陛下が会見された。もちろん安倍首相の配慮だ。こうなると、プーチン氏の東京訪問は、首相に対して「シンゾウ、お前は俺をムハンマド以下に扱えるか」との挑戦状を意味する。
 東京での会合は実務会議だとして天皇陛下と会見を行わないなら、その分首相は経済協力により熱心にならざるを得ない。露側に押し切られたと言ったが、会見が行われるにせよないにせよ、露側の方が役者が数段上の感がする。
≪一挙に冷え込んだ期待値≫
 さて、日露首脳会談と今後の日露関係を考えたい。露の通信社は19日のリマでの会談については平和条約を無視して専ら日露の経済協力進展のみを報じた。今年筆者はロシアで大統領府関係者や国際問題専門家たちと私的に話した。
 最も強い印象は、北方領土問題解決に関する日露の大きな温度差だ。わが国では2島先行論、2島+α論、共同統治論、さらに一部のロシア問題専門家は「2島どころか4島返還シナリオも動き始めた」とさえ言う。多くのメディアも、官邸やその周辺からの情報と称して、領土問題解決の期待値を高める楽観論を多く流した。
 これとは対照的に、露で話した人で、プーチン氏訪日で北方領土問題が具体的に前進すると考えている者は皆無だった。親日的なある専門家は、「たとえ色丹、歯舞が日本に引き渡されるとしても、100年か200年以上先のこと」と述べた。最近、国後島などへのミサイル配備も報じられた。
 日本側の楽観論に冷や水を浴びせたのが、10月末のソチでのプーチン氏主催によるバルダイ会議および今回のリマでの首脳会談後のプーチン氏発言だ。ソチでは平和条約締結に期限を決めるのは有害だとし、「日露間には中露間のような高い信頼関係はない」として、日本がもっと対露協力・信頼醸成に努力するよう促した。
 リマでは、「われわれは平和条約締結を前のめりで急ぎたくない」と暗に安倍批判をした。また、条約締結への道は簡単ではない、クリルは第二次大戦の結果今はロシア領だとし、さらに、56年宣言に基づく2島返還に関しても、何を根拠に、その後どちらの国の主権下に置かれるのか、いかなる条件で引き渡されるのか宣言には書かれていない、とも述べた。これらの硬い発言によって、わが国の楽天的幻想あるいは高い期待値も一挙に冷え込み、メディアの論調も一変した。
≪平和条約は「ふり」にすぎない≫  
実は、これらの強硬発言はプーチン氏自身が近年幾度も繰り返しているのだが、わが国ではメディアも官邸も経済省庁も無視した。あるいは知らなかった。そして、露が求める経済協力に熱心に励めば、目的の平和条約締結の諸条件が生まれるとナイーブに信じ全力をあげて努力している。 しかしこの対応は明らかに逆効果だ。つまり、露側としては平和条約の重要性は強調し大いに関心があるふりをしながら、その締結は無期限に延ばす方が、日本からいつまでも多くの協力を得られるからだ。近年のプーチン氏の言動がすべてそれを証明している。
 ではわが国は露にどう対応すべきか。異なる意味で、これまでの発想にとらわれない新アプローチが必要である。長期的な日露関係の安定も対露経済協力や対話継続も重要だ。しかし現実を直視すれば、ナイーブな楽観主義に基づく対露政策は見直すべき時である。 (新潟県立大学教授・袴田茂樹 はかまだしげき) ≫(産経新聞コラム)


 安倍・プーチンの蜜月情報に、日本の外交筋も、メディアも、墓穴の中で騒いでいただけと云う事実が輪郭を現した。おそらく、トランプ大統領が出現しようとしまいと、プーチン訪日による“サプライズなプレゼント”はないのだろう。ロシアが、日本を外交的に喜ばせなければならない理由がない。中ロと日露では、米国プレゼンスの違いが、議論するレベルにも達していないのだから、二国間の信頼度云々など、語るだけ無駄な状況と言うべきだろう。温度差があり過ぎる二国間問題を少しでも前進させようと、工夫を重ねることは、結果的に、後々重大な重荷になる可能性がある。であるならば、現時点おいては、ロシアやプーチンが望む外交問題の解決への協力を第一義と捉え、オバマとメルケルの意地悪に苦しむ大国を助けるだけで充分だろう。外交とは、時間軸を輪切りにしたとき、常ウィンウィンと云う年輪が見えるものではない。

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●材料(餌)は糞でも味噌でも構わない 心許なきアメリカ経済

2016年11月25日 | 日記

 

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●材料(餌)は糞でも味噌でも構わない 心許なきアメリカ経済

*今夜は、金融資本主義と云うか、ウォール街相場主義とでも云うのか、米国経済が、ウォール街の為替と株式、債券市場の値動きだけで、米国経済のプラスマイナスを生みだし、経済成長に大きく貢献している実態を目の当たりにしている。内向き経済政策と大幅減税、大型財政出動と云う“反グローバリズム経済”に大きく期待して?市場はリスクオン状態になっている。常日頃、米国指導層の多くが、「誤った経済政策」と警鐘を鳴らしていた“トランプ大統領”の「誤った経済政策」が、まさに実行される寸前と云う理由で市場は好感相場に入っている。 FRBの年内利上げと相乗的効果あるに違い?事実関係の分析などの正誤表を作る気は、市場参加者にはなさそうだ(笑)。筆者は“トランプは外交・安保に興味のない大統領”と云う印象を持っているが、ワシントンポスト紙も、同じ印象に気づいたようである。

 ≪ 「安保無関心? 情勢説明断る」米紙電子版
 米紙ワシントン・ポスト電子版は23日、トランプ次期大統領が8日実施の大統領選で勝利した後、情報機関による安全保障情勢の説明を2回しか受けていないと報じた。歴代の大統領選勝者と比較して「著しく少ない」として、安保に対する無関心ぶりの表れだとの見方もあると指摘した。
 政権移行チームの関係者は、トランプ氏は新政権の構想固めに集中していると説明。ペンス次期副大統領はほぼ連日説明を受けている。米政府当局者は「トランプ氏は勉強すべきことがたくさんある」と懸念を示した。
 トランプ氏は選挙直後と22日の計2回説明を受けたが、それ以外は断っているという。  ≫(共同・毎日新聞)

 ワシントン筋のエスタブリッシュメントな人々や、過去にアイゼンハワー大統領が、アメリカ最大の敵は軍産複合企業にあり、と述懐したように、“風が吹けば桶屋が儲かる”世界規模の安保軍事政策や外交政策を、正解を確認する作業を絶対にさせて貰えない米大統領としては、その情報関連に接する機会を減らしておく伝達構造は、「ストップ・振り込め詐欺被害」と同じことで、アメリカが、覇権国であり続けるための「振り込め軍事・工作費詐欺」から。一旦身を躱せるわけで、軍産複合企業や裏情報で正規ルートのエスタブリッシュメントな人々の脳内に不安病を植えつける工作から逃れている点は、冷徹な、眼で眺めれば、内向きこそ、外向き経済への早道だった。そんな結論さえ見えてくるものである。 無論、現在進行形の根拠なきリスクオン相場の要素に、覇権国たらんとする保険料を振り込まないトランプ政権への評価は含まれていないだろう。実際問題、過去におけるホワイトハウスの住民が、どれ程の「振り込め詐欺」による被害を受けていたものか、正確な数字は把握出来ないし、把握と云う作業は恥さらし検証作業なのだから、検証すべき動機付けは、限りなくゼロに近い。しかし、はじめから政権内のディベート能力の差異や、覇権国家としての協賛金的出費として割り切る。そのことに価値を見出さないとすれば、トランプ政権が誤った経済政策を実行しても、答えは正しいことをしてしまった成績表となって戻ってくる結果論も充分あり得る。以下は、参考にした情報一覧。


≪「トランプ相場」に警鐘=金融市場のリスク高まる-ECB
【フランクフルト時事】欧州中央銀行(ECB)は24日、トランプ次期米大統領による政策転換など世界的な政治面での不透明感の高まりに対し、今後の金融市場の混乱につながるリスク要因だとして警戒感を示した。米大統領選直後の株価急落から一転して世界的な株高が続く「トランプ相場」に対し、警鐘を鳴らした。
 ECBは同日公表したユーロ圏の半年次金融安定報告で、米国の経済政策変更に伴うユーロ圏への影響を「現段階では極めて不透明」と指摘。ただ、政治の先行きが不透明となる中、「世界的な資産価格の調整リスクが高まっている」と分析した。 
 欧州では来年にかけて、ドイツやフランスなどの主要国で選挙が予定されている。ECBは英国の欧州連合(EU)離脱決定なども踏まえ、「政策の内向きの志向が強まり、成長を阻害するおそれがある」と懸念を示した。  ≫(時事通信)

 ≪ トランプ氏とロシア:未来を覗いてみる
 近年の露米関係が、失敗に終わった「再起動」から出発して、あわや「冷戦」というところにまで至ったことはよく知られている。トランプ氏の米大統領就任で露米関係は今後どうなっていくのだろうか?
 元財務副大臣で現戦略立案センター所長のアレクセイ・クドリン氏によると、ロシアと米国を待ち受けているのは雪解けだという。クドリン氏は、一部の対ロシア制裁の影響は近いうちにも緩和され、ビジネス環境は改善するだろうと自信を見せた
 「今でもロシアは孤立状態ではありません。米国を含め、すべての国と取引をしています。一定の制限があるにも関わらずそうなのです。もちろん、今後はもっと活発な交流を技術、金融、教育などの分野で行っていかなくてはなりません。」
 クドリン氏はまた、トランプ氏当選と「Brexit」が世界の政治をハッとさせたと付け加えた。こうした出来事は、エリートたちが市民の現実的問題から遠くかけ離れてしまったこと、政治家が一般市民の意見にもっと関心を持つべきだということを示している。
 しかし、誰もがこのような考えをもっているわけではない:懐疑的な見方も存在する。「独立軍事レビュー」編集者のヴィクトル・リトフキン氏は、露米関係に原則的な変化は訪れないと考えている
  「私たちは競合者です。地球上のライバルだと言ってもいい。この事実から逃げることはできません。
(*太字筆者)
米国はずっと昔から、世界のヘゲモニーであり続けることを目指し、世界の支配を目指してきました。今もそれは続いていますし、今後も間違いなく続いていくでしょう。確かに、何らかの動きはあるかもしれませんが、米国がヘゲモニーであり続けるという主要な理念を捨てることは絶対にありません。なぜなら、米国にとってこれは単なるイデオロギーではないからです。これにはドルの権威、マネーフローの支配がかかっているのです。ロシアは絶対にこれを受け入れず、納得しません。ですから、米国はロシアと戦うのです。」

 一方で、楽観的な見方をしているのが、著名な政治学者で独露フォーラム学術部長のアレクサンドル・ラル氏である:「プーチン大統領と米新政権が、ロシアと西側諸国の対立を収めるための歴史的取引を締結する可能性は十分にあります。現在、米国のミサイル防衛システムはロシアに向けられていますが、私はトランプ氏がこの状況を変えると確信しています。 *ロシアと米国が重要な国際問題で合意するようになれば、多くの国で反ロシア・ヒステリーは収まるでしょう。米国はこれまでとは全く違う問題の解決により大きな関心を示すようになります。* :新政権は東欧諸国がロシアを挑発して対立を引き起こし、その後、米国の背後に隠れるような行動を許しはしないでしょう。また、西側諸国とロシアの関係正常化を求めるフランスとドイツの勢力も、米政治家からの支持を得るでしょう。」


 国家運営理論実践研究所情報分析センター所長のユーリー・バランチク氏は露米関係改善の処方箋を提案している:「冷戦の思考から抜け出すには、一歩踏み出して、ロシアと中国の経済協力に匹敵するような大規模な露米共同インフラプロジェクトをスタートさせればいいのです。例えば極東とアラスカの協力や、北極での協力です。こうした協力が長く続けば続くほど、トランプ氏の一期目が終了する頃には、着実で安定した世界が得られるでしょう。」
 これらの予測は、楽観的なものもそうでないものも、時間がその成否を証明してくれる。しかし重要なことは、国家間関係の理論に従えば、ロシアと米国の間には、国家同士の自然な競争を対立や戦争に発展させるような要素は何もないという点である。露米間には領土係争もない。豊富な資源の可能性をはらむ大陸棚をめぐって戦いが進む北極においてでさえ、ロシアと米国はお互いに対する領土請求をしていない。経済においても深い矛盾はない。これは単に貿易関係のレベルが恐ろしく低いからに他ならない。イデオロギーでさえも、原則的に解決不可能な相違はないのだ。  ≫(スプートニク日本)


 ≪コラム:トランプ相場は世界動乱期の「あだ花」か=斉藤洋二氏
[東京 22日] - 来年1月のトランプ大統領誕生を前にして、ご祝儀的な「トランプラリー」が続いている。トランプ氏の勝利確定直後こそリスクオフで円高が進み日本株は急落したが、その後一転してリスクオンとなり米株史上最高値更新、長期金利上昇そしてドル全面高の状況に勢いが増している。
:背景には、「トランプノミクス」つまり大規模な減税やインフラ投資による財政拡大と雇用増大への期待が政権発足前から独り歩きしていることがある。 また、トランプ氏が選挙前に、2010年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)を廃止する意向を示していたことも大きく作用しているようだ。報道によれば、現在は一部見直しにトーンダウンしているようだが、金融界ではリーマンショック以前のように今よりも自由な環境で「貪欲」に利益を追求できるとの期待感が高まっている。
:加えて、財務長官候補にJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)やゴールドマン・サックス元幹部のスティーブ・ムニューチン氏ら米金融業界の住人の名前が浮上していることも、ウォール街の安心感につながっているのだろう。
:このように1月20日のトランプ新大統領就任を前に市場は大きな期待感に包まれているが、果たして夢見心地はいつまで続くのだろうか。トランプラリーの先に訪れるのは、本格的な米国経済の復活そして相場の続伸と読む向きもあるが、いずれドル高への懸念、金融危機再発の恐れ、安全保障体制への不安などが浮上し、相場の揺らぎがもたらされるのではないだろうか。

<グローバリゼーションの正念場
2016年を総括するにはまだ少し早い気もするが、結局、今年は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)と米大統領選の1年だったと言えよう。
:これら政治キャンペーンの行方をめぐって市場は大きく揺れたが、ブレグジットとトランプ氏勝利が共通して持つ意味は、戦後70年間続いたヒト・モノ・カネの移動を自由にするグローバリゼーションとエリート主導の既成政治が大きな曲がり角に立ったということだろう。つまり、欧米先導の国際政治・経済システムが足元から大きく揺さぶられている。
:そもそも自由貿易主義の利点は重商主義を批判したアダム・スミスに始まり、国際分業のメリットなどを説いたデビッド・リカードら多くの経済学者によって研究されてきた。そして、このような学問的な裏付けに加え、1930年代のブロック経済が第2次世界大戦の原因の1つになったとの猛省から、戦後の自由貿易体制は整備されていった。
:近年で特に大きな原動力となったのは1980年代にサッチャー英首相とレーガン米大統領が進めた規制緩和と一体化した新自由主義的な政策だ。その流れの中で、欧州ではEU統合が進み、アジアでは「世界の工場」である中国を軸に国際分業体制の構築が図られた。
:もともと自由貿易の追求は、国内で弊害が生じる点が指摘されていたため、産業保護などの手当てが各国で打たれてきた。しかしここにきて、世界では格差が進行し、過去20年で所得を増やしたのは富裕層と新興国の中間層のみと言われる時代に突入した。米英の労働者層ですらグローバリゼーションの恩恵を感じにくくなっており、格差と移民問題への不満はもはや許容範囲を超えたということだろう。
:特に自由貿易を推進してきた英国では「国民国家」回帰への熱望(その裏側で高まるEUやドイツへの反感)がブレグジットへと国を動かした。また、米国でも中国からの輸入増大により100万人単位で雇用が失われたと言われるなど、白人貧困層の不満の声が高まった。
:つまり、仏歴史学者のエマニュエル・トッド氏の言う「グローバリゼーション・ファティーグ(疲労)」が蔓延しているというのが現在の先進国の実情だろう。

<中国主導の新パラダイム到来か>
世界が高度成長を享受していたときならいざ知らず、現在は未曽有の金融緩和を推し進めても経済停滞を回避できなくなっている。この環境下、米国民の負託を受けたトランプ次期大統領は、環太平洋連携協定(TPP)を葬り去り、そして1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)も狙い撃ちにしようとしている。その結果、メキシコに進出した自動車産業に対して高率の輸入関税がかけられるのではないかとの憶測も飛び交う状況に至っている。 つまり、保護主義の台頭に伴い、各国の報復関税が横行し、加えてアンチダンピング(不当廉売)措置の連発など最悪のスパイラルが展開される恐れが高まっているのだ。
:現在の反グローバリゼーションの遠因は、中国の低コスト労働力だったと言っても良いだろう。これは、日本にデフレ不況をもたらし、米国において白人の低所得者層を苦しめた。このような状況を踏まえて国際貿易システムの再構築が図られていたのだが、今後、反グローバリゼーションの潮流の中でその先行きは見通しにくい。
:そもそもオバマ米大統領のTPP構想の狙いは中国に対抗する経済圏の確立だったが、同構想の頓挫が確実となった現在、中国の経済圏が今まで以上に拡大する可能性は高まった。それを推し進める役割を果たすのが東アジア地域包括的経済連携(RCEP)だろう。
:RCEPは、東南アジア諸国連合(ASEAN)を核として、日中韓印などのアジア主要国、さらにオーストラリア、ニュージーランドなどオセアニア諸国も参加する巨大経済圏構想である。これまではTPPの動向をにらみ、交渉が遅れていたが、トランプ次期大統領の離脱宣言でTPPが漂流すれば、一気に進み出す可能性がある。今後、RCEPはアジア経済圏の拡大と深化に貢献するだけでなく、中国をリーダーとする新興国主導の国際秩序構築を目指す試みの中心となっていく可能性が高い。
:こうした中、米国が「AMERICA FIRST(米国第一主義)」を主張し、保護主義色を強めれば、世界はより早く米国一極集中体制から中国をリーダーとした新興国主体の新たなパラダイムへと移行していくことになる。その歴史的な分岐点が2016年だったと将来回想されるのではないだろうか。トランプラリーは、そうした新時代が訪れる前に咲いた「あだ花」なのかもしれない。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。 ≫(本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。)


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●さらば、グローバル経済 冷凍保存出来ない普遍的価値

2016年11月24日 | 日記
ポピュリズム化する世界 ―なぜポピュリストは物事に白黒をつけたがるのか?
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●さらば、グローバル経済 冷凍保存出来ない普遍的価値

トランプが大統領候補になり、瓢箪から駒のように、本命ヒラリー候補を破り、第45代アメリカ大統領になったのだから、オバマ―ヒラリー路線のアメリカは、米国民によって否定されたのである。この米民主党の大統領らを自らの集団の代行者として、その地位が譲られていたのだろうが、オバマにも、ヒラリーであっても、金融資本主義勢力の代表者風味に味付けされていた。エスタブリッシュメントの利益確保と云う目的と、グルーバル経済と西側デモクラシーの体裁を保とうとしてきたわけだが、遂に、限界が来たことを、トランプ大統領の出現は示唆している。

無論、トランプ大統領の、反グローバリズムと内向き経済と云う政治姿勢が、一気に花開くわけではないので、エスタブリッシュメントなグローバリズム思考と内向き経済思考の効果の潰し合い、分析の難しい経済事情が、当面続くものと想像できる。トランプ大統領は柔軟な経営者であるから、ホワイトハウスにおいては、現実路線を踏襲するだろうと云う分析も多いが、クリントン、ブッシュ、オバマの歴代大統領よりも、反グローバリズムであるし、歴然たる反グローバリズム主義者の支持の上に、彼がいる以上、その支持者たちの姿を、健忘症名人のようなオバマのようなアリバイ主義な生き方をするイヤラシイ知恵者ではないだろう。

以下の現代ビジネスの近藤大介氏と、千恵者中国人の会話の中から、中米露の3大国関係の姿が見えてくる。過激に動き回るトランプ大統領の内向き経済思考が、マスメディアの世界ではメインエンジンのような扱いを受けるだろうが、トランプ大統領の出現に関わらず、すでに「反グローバル経済」のパワーは厳然たる地位を、既に地球上のイデオロギーとして確立されている事実だ。僅かな感受性さえあれば、地球上のあらゆるところで、生命ある人間たちの怒りや、事実証明が、直接、間接に起きている。

ここで、バニー・サンダースが、英国が、EUが、習近平が、ウラジミール・プーチンが……、ASEANが……、と云う話をする気はない。聞く気があれば、幾らでも聞こえてくる、怒りであり、予言であり、神のお告げのようでさえある。世界のエスタブリッシュメントな人々の多くは、既に、自分達の階層の敗北を予感している。我が国の首相が、今後も「普遍的価値」と云う、新興宗教的言辞を弄するかどうか判らないが、グローバル経済のこれ以上の発展は、大半の人類を犠牲者にするものくらい、どれ程の馬鹿でも知っている。安倍晋三さんも、知ったうえで嘘に乗っていることを期待している。

ただ、ここ最近の「TPP裸踊り」「トランプタワー詣」「プーチン教」など、信じているフリをしなければならないリーダーの辛さばかりとは言えない怖さが残っている。今後、あいば達也は穏健な権力監視のウォッチャーに徹するので、色濃い嫌味は言わないことにする。それにしても、経済政策上、成長を打ち消す「トランプノミクス」でNY株式市場、ドル高市場だけで、見せかけの成長市場詐欺は、いい加減やめて欲しいものだ。今の安倍政権が継続すると、一年以内に浦島太郎政権を抱える日本の政治を目撃できそうである(笑)。もしかすると、グローバル金融経済の場合、実際の経済実態の逆さまを市場で演じることさえ出来れば、虚飾の経済成長が保証されているのかもしれない。そんな気分にもなってくる。

しかし、最近のエスタブリッシュメントな人々の振舞いは、グローバル経済への関与を弱めながら、併行的に、次の成長戦略の構築を望んでいるのだろうが、いつまでも、市場の値動きだけに成長エンジンを委ねると云うのは無謀であり、無知である。以下引用の記事も、グローバル経済、金融資本主義ありきのテーブルに就いての議論なのだから、読む価値は少ないが、金融資本主義な発想と、グローバルと云う理由だけのフェーズで立ち往生しているのも考えものだ。

 ≪ 中国が「トランプ新時代」に最も危惧していること あるベテラン外交筋との一問一答
 先週、一週間にわたって北京と上海を訪れた。11月9日に、ドナルド・トランプ候補が次期アメリカ大統領に確定してから、安倍晋三政権の動きは慌ただしいが、中国政府の動きは、ほとんど伝わってこない。 そこで、トランプ新時代の中国がアジアで何を目指し、どのような米中関係、及び日中関係を築いていくつもりなのかを、見定めようとしたのだ。
  思えば先週は、安倍首相とトランプ次期アメリカ大統領の「トランプタワー会談」、北方領土問題を巡る安倍首相とプーチン大統領の15回目の日ロ首脳会談、そしてペルーでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合など、日本にとって重要外交が目白押しだった。中国は、こうした安倍首相の一挙手一投足を注視していた。
 以下、北京のあるベテランの外交関係者と私との、トランプ新政権をめぐる一問一答をお伝えしよう。

■新政権のメリット・デメリット
近藤: まず最初に、今回のアメリカ大統領選の結果を、中国政府はどう捉えているのか?

中国人: 「百年不遇的大機会」(百年に一度の絶好のチャンス)と捉えている。アメリカ人の選択に万歳だ。
近藤: なぜ万歳なのか、具体的に教えてほしい。

中国人: われわれは、「希拉里」(ヒラリー)と「特朗普」(トランプ)の双方が勝利するケースを想定し、それぞれ中国にとってのメリットとデメリットを計算していた。 もし「希拉里」が勝利した場合、中国のメリットは、良くも悪くも彼女の考え、スタイルなどをすでに熟知していることだった。そしてデメリットは、わが国に対する「上から目線」(強硬路線)だ。 「希拉里」が最初に中国を訪問したのは、1995年9月に北京で開いた第4回世界婦人大会の席だった。その時、「希拉里」はアメリカの「第一夫人」(ファースト・レディ)で、われわれは彼女に対し、最高のもてなしをした。 一例を挙げれば、彼女がアメリカ代表として訪中して演説するメンツのために、北京最大の目抜き通り「長安街」に、中華全国婦連ビルを建てたようなものだった。おかげで彼女は後に、「あのときの訪中が、自分の政治家としての原点だった」と述懐している。 その時の「美しい思い出」が遠因となって、「克林頓」(クリントン)大統領夫妻は、1998年6月から7月にかけて、9日間も訪中した。アメリカを代表する企業の経営者ら1200人もの随行者を引き連れて、西安、北京、上海、桂林、香港を回ったのだ。われわれもアメリカを敵に回さないために、中国ビジネスとチャイナ・マネーという「蜜の味」を存分に捧げた。 彼女が今回、いわゆる「メール問題」で多額の裏金を受け取っていたという疑惑報道を見ていると、あの頃と変わっていないなという印象だ。彼女はとにかく、カネが大好きな「成金娘」だった。 だが、金の切れ目が縁の切れ目とでも言うべきか、2009年1月にオバマ政権下で国務長官に就くと、世界中からカネ集めができるようになったせいか、とたんに中国に冷たくなった。そして2010年7月、ハノイで開かれたARF(ASEAN地域フォーラム)で、南シナ海の領有権問題に関与していくと宣言したのだ。 以後は、わが国の友好国であるベトナムとミャンマーを引き剥がしていった。 「希拉里」政権が誕生したら、目指すのは「奥巴馬」(オバマ)政権の継続ではなくて、強化だったろう。日本と組んで、新たな中国包囲網を目指したに違いない。 それに対して、「特朗普」はどうだろう。選挙演説を聞いていると、在日アメリカ軍を撤退させるとか、経済的中国包囲網であるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を大統領に就任した日に破棄するとか、頼もしいことを言ってくれるではないか。 大統領選の影に霞んでしまったが、今回の選挙によって、上下両院を共和党が制したことも大きい。過去の中米関係を振り返ると、共和党政権の時の方が民主党政権の時よりも、おおむね良好だったからだ。 もう一つ、「特朗普」政権が、日本に対して経済的及び軍事的に、これまでの政権とは比較にならないほど厳しい態度に出ることが見込まれることも、中国にとってメリットの一つだ。 だが実際には、いまのところあまりに「特朗普」に対する情報が少ない。行動や政策がまったくの未知数というのが、デメリットだ。

 ■安倍首相の外交パフォーマンス
近藤: 「トランプ新政権が未知数なのがデメリット」というが、それは日本も同様だ。だが最近の日本の報道を見ていると、安保問題にしても経済問題にしても、側近にベテランの重鎮たちを起用したので、トランプ氏が選挙期間中に吹聴していたようなおかしなことにはならないという論調が目立つ。

中国人: それは違う。「特朗普」は、共和党出身とはいえ、共和党の各種利益団体から献金を受けて勝ったわけではないので、これまでのアメリカ大統領に較べて、就任後の行動は束縛されないだろう。すなわち中国と同様で、トップダウンで決定がしやすいわけだ。これは周囲の対中強硬派に左右されないという意味で、中国にとってはありがたいことだ。 習近平主席も、今回の「特朗普」と同様、いわゆる「本命候補」ではなかったため、「中南海」(最高幹部の職住地)に基盤がほとんどなかった。それで政権に就いた当初は、やれ「弱い皇帝」だ、「傀儡政権」だなどと揶揄されたものだ。 それが、4年経ったいまはどうだ? ロシアのプーチン大統領も、就任当初は同様だったではないか。むしろ基盤がない指導者の方が、利害関係がない分、ワンマン指導者になれるのだ。 重ねて言うが、これからの展開としては、ワシントンに基盤のない「特朗普」が周囲の言うことを聞くのではなくて、周囲が「特朗普総統」(トランプ大統領)の意向に染まっていくということだ。 アメリカでも、かつてレーガン大統領が誕生した時は同様だったではないか。だからわれわれは、周囲の幹部たちも重要視しているが、あくまでも「本命」は「特朗普」本人だ。

近藤: トランプ氏本人が重要だと考えるのは、日本も同様だ。だからこそ安倍首相は11月17日、世界の首脳に先駆けてニューヨークのトランプタワーを訪問し、90分にわたって日本を売り込んだのだ。あの会談は、安倍首相のこの4年近い執政の中で、一世一代の外交パフォーマンスだった。

中国人: 私はまったくそうは思わない。安倍・特朗普会談のニュースは、中国中央電視台(CCTV)のニュースなどでも大きく取り上げられたが、ある解説者は安倍首相の心情を評して、「心存僥幸」(もしかしたらうまくいくかもしれないと心に期待する)と言っていた。なかなかうまいことを言うと思った。 つまり、二人の会談が成功だったというのは、あくまでも日本側の期待感が多分に混じっているということだ。むしろ大統領就任前に直接会ったことで、「特朗普」は安倍首相の「両面派」(八方美人)的性格を見破って、日本にとっては損になったのではないか。 安倍首相は、9月の杭州G20で、習近平主席と和気藹々とした首脳会談を行っていながら、それが終わるとすぐに記者団の前で、中国を非難した。まさに「両面派」の政治家だ。「特朗普」は百戦錬磨の商人だから、すぐに安倍首相の「面貌」を見破って、信用できない男だという判断を下したのではないか。

 ■中国が注目する2人のキーパーソン
近藤: そのような判断を下すことこそ、中国側の願望ではないか。日本は、すでにトップが90分間会談してパイプを築いたが、習近平主席は、短時間電話で話したにすぎない。中国はトランプ新政権にアプローチを取っているのか?

中国人: 日本は「先発制人」(機先を制す)で、一刻も早く「特朗普」とのパイプを築こうと、しゃかりきになった。だがわれわれは、「後発制人」(後発の者が制す=「後出しじゃんけん」の意)の精神で、まずはじっくり様子見しているのだ。 何せ、「特朗普」はまだ実際に大統領に就任したわけでもなければ、新政権のスタッフがすべて定まったわけでもない。明確な外交政策も打ち出していない。いわばアメリカの一市民ではないか。そんな中で、こちらから動いてどうするのか。 実際には、2年も待てば、「特朗普」政権のボロが次々に出てきて、窮地に陥ると見ている。70歳の政治の素人が、いきなり世界最大の超大国を統率するのは、容易ではないからだ。 そうなったら「商人総統」は、世界第2の経済大国である中国の「老板(ラオバン)」(習近平主席)に、頭を下げて「商談」をしに来るに決まっている。ビジネスは結局、カネを持っている方が有利なのだから、こちらは相手の出方を慎重に見極めた上で動けばよいのだ。

近藤: それでは、中国はいまは何もせず、ただ傍観しているのか?

中国人: (ニヤリとして)そんなことはない。すでに着々と、布石を打っている。 2人のキーパーソンを教えよう。一人目は、副大統領に就任するマイク・ペンス・インディアナ州知事だ。 これまでの副大統領は、「ホワイトハウスの盲腸」などと揶揄され、大した役割は果たしてこなかった。だが、トランプ新政権におけるペンス副大統領の役割は、極めて重要だ。 われわれは、「特朗普総統」が、4年の任期内に大統領職を放り投げる可能性も視野に入れている。「不動産王」と呼ばれた彼の目標は、「人生の終着点に大統領の玉座に座ってみること」にあったわけだ。いわば「人生ゲーム」のような感覚で大統領選挙戦をやっていた。 だから、24時間365日プライバシーもない「白宮」(ホワイトハウス)の生活が居心地悪ければ、サッサと降りてしまう可能性がある。そうなったら、ペンス副大統領が大統領職を代行することになる。 ペンス副大統領の地盤であるインディアナ州と、中国で過去20年にわたって友好姉妹関係を結んでいるのが、習近平主席の最大の地盤である浙江省だ。習主席は、浙江省党委書記(省トップ)時代(2002年~2007年)に、当時インディアナ州選出の下院議員だったペンス氏と交友がある。また、習近平政権の中枢を担っている「浙江閥」(浙江省出身者)は、ペンス副大統領と強いコネクションを持っている。 二人目は、トランプ大統領の長女イヴァンカ嬢の夫であるジャレッド・クシュナー氏だ。35歳のクシュナー氏は、単に大統領の娘婿というだけでなく、岳父の大統領選挙のすべてを取り仕切っていた片腕だ。17日の安倍・特朗普会談の写真を見ても、同席していたではないか。 実はクシュナー氏の弟、ジョシュア・クシュナー氏の恋人であるカーリー・クロス嬢は、アメリカで有名なモデルで、ニューヨークのファッション業界をリードする存在だ。そのクロス嬢と、昨年から多額の専属モデル契約をしているのが、華為(ファーウェイ)なのだ。だからクシュナー一家は、中国とは大変親しい関係にある。

 ■「商人総統」の動き方
近藤: なるほど。他には、現在中国として、新たな米中関係の構築に向けて、どんな準備をしているのか?

中国人: それは多種多様な準備や研究をしている。外交関係者たちは、誰もが大忙しで、「これでは春節(旧正月)も休めない」などとぼやいているくらいだ。 一つだけ、興味深いことを教えよう。それは、政治問題や軍事問題を経済問題にすり替える戦略の研究だ。 「特朗普」は「商人総統」だ。これまでのアメリカ大統領というのは、例えば「小布什総統」(ブッシュJr.大統領)が典型例だが、コストを度外視して戦争をおっぱじめたりした。ところが、「特朗普」は根っからの商人だから、常にコストを第一に考えながら政策を決定していくに違いない。 つまり、中国と政治問題や軍事問題で対立する莫大なコストを考えれば、むしろ友好関係を結んだ方が、アメリカにとって利益になると考えるだろうということだ。 実はそのことは、1979年に中米の国交が正常化して以降、アメリカの歴代政権が取って来た道だった。より正確に言えば、どの大統領も就任当初は中国に対して手厳しいが、政権の後半になっていくと、中国ビジネスやチャイナマネーの旨みを知って、顔がほころんでくるのだ。 唯一の例外が、「奥巴馬総統」(オバマ大統領)だった。最初は中国との友好を謳っていたから、2009年11月の初訪中の際に、われわれは上海ディズニーランドの認可をプレゼントした。ところがその後、徐々に中国に対して強硬になっていき、昨年秋からは、やれ「航行の自由作戦」だ、韓国へのTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備だと喧しい。 だが「特朗普総統」は商人なので、就任当初から、中国ビジネスとチャイナマネーの旨みに気づくはずだ。

 ■北方領土は帰ってこない
近藤: トランプ新時代を迎えて、世界が激変することが見込まれるが、一番大きな変化になるかもしれないのが、「米ロ新冷戦」と言われた時代の終焉だ。周知のように、トランプ氏は選挙期間中、プーチン大統領のことを「最も尊敬に値する指導者」と持ち上げ、ロシアとの関係改善を公約に掲げてきた。 図らずも、安倍首相もロシアとの関係改善を目指していて、来月15日にはプーチン大統領を、安倍首相の故郷である山口に招くことになっている。トランプ時代のロシアという存在を、中国はどう見ているのか?

中国人: 一つ、言っておこう。先ほど、わが国が政治・軍事問題を経済問題にすり替える研究をしていると述べたろう。実はその中には、日ロの北方領土交渉の研究も含まれているのだ。 一言で言えば、ソ連邦が崩壊してロシアが混乱に陥った前世紀末、日本は北方領土を買い取るチャンスがあったということだ。19世紀には、アメリカがロシアから広大なアラスカを買い取ったし、平和的に領土を買い取るという場面は、世界史においてしばしば見られることだ。 それなのに、日本は千載一遇のチャンスを逃したのだ。もはや、「普京総統」(プーチン大統領)が山口県に来ようが、安倍首相がロシアへ行こうが、北方領土が日本に返ることはない。11月7日にサンクトペテルブルクで李克強総理と「梅徳韋傑夫総理」(メドベージェフ首相)が会談した時にも、北方領土を日本に返還するという報告はなかった。
  総じて言うと、これからの世界は、中米ロの三国鼎立時代を迎えるだろう。アジアでは中国の影響力が強まり、ヨーロッパではロシアの影響力が強まる。冒頭で「百年に一度のビッグチャンス」と言ったのは、このことを指している。

 ■最大の懸念は日本の核武装化
近藤: 最後に一つ、日本が気になっていることを聞きたい。日本では、アメリカに政治の空白ができる来年の1月20日までに、中国が8月上旬の時のように「尖閣襲来」を仕掛けるとか、南シナ海の軍事要塞化を一気呵成に進めるといった憶測報道が飛び交っている。中国はこうした挙に出る気でいるのか?

中国人: そんな報道はナンセンスの極みだ。南シナ海で領有権を争っているフィリピンとは、周知のように、「小特朗普総統」(ミニ・トランプ大統領)が10月に訪中し、「親中派宣言」をしたではないか。 また、いま日本と揉め事を起こしたら、われわれにとって百害あって一利なしだ。 なぜかといえば、今回の「特朗普総統」誕生を受けて、われわれが最も危惧しているのが、日本の核武装化なのだ。日本は、在日アメリカ軍が撤退してしまうかもしれないと危惧しているようだが、それを同じくらい危惧しているのが中国だ。日本が核武装したら、アジアの安全保障秩序は、根本から変わってしまう。 中国にとっては、在日米軍が撤退し、かつ日本が核武装しないという選択肢がベストだが、そううまくはいかないだろう。その意味でも、中国は今後の日米同盟関係を注視しているのだ。

* * * 今回、中国を訪問して、2017年からアジアも激変していく予兆を感じた。次週も引き続き、この問題を取り上げたい。
≫(現代ビジネス)


アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!
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死の縁に立ち、歩きながら考えた日和見レボルーション

2016年11月20日 | 日記

●死の縁に立ち、歩きながら考えた日和見レボルーション

ICUに繋がれ1か月が過ぎた。今後、ブログの更新など出来るものかどうか、甚だ疑問な環境下に…。仮に、意地汚く命を取りとめたとしても、今までのような闘争的スタンスからは、数歩距離を置き、より俯瞰的心持ちで、日本や世界のことを考えるコラムにしていこうと考えている。現実、この数行を書くだけで、酸素不足激しく、強制的に三角形の酸素マスクの囚われ人になっている。以下の朝日の記事を引用しながら、安倍晋三の幸運度を今さらのように感じている。我が国の暗愚な首相の尻馬に乗っている方が、よほど、理屈抜きに幸運なのではないか?そんな弱気の虫の囁きを聞きながら、はて?と悩んでいる。少なくとも、ブログのカテゴリーは変えた方が良さそうだ。本日は、ここまでが限界、続きは数日後。


≪ 会談にイバンカ氏「政治の私物化」 米でトランプ氏批判
トランプ次期米大統領が17日にニューヨークで安倍晋三首相と会談した際、長女イバンカ氏(35)らを同席させたことに「政治の私物化」との批判が出ている。国内外でホテルや不動産業を手がけてきたトランプ氏は当選後も「トランプ・ファミリー」を重用しており、政治とビジネスの境界が問題になっている。

イバンカ氏は、ファミリーの中核企業「トランプ・オーガニゼーション」の幹部で、同社ホームページによると、不動産事業の利益を拡大する責任者を務めるほか、世界各地に展開するホテル事業にも関わる。
  会談は「非公式」とされ、報道陣に非公開だったが、後に公表された写真でイバンカ氏の同席が判明した。ニューヨーク・タイムズ紙は「(政治とビジネスの)利害対立の可能性」と指摘。米フォーチュン誌はイバンカ氏に国家の機密情報にアクセスする権限がない点も問題視している。 ≫(朝日新聞)

 ≪ トランプ氏への楽観論に釘 アルゼンチン大統領が語った
「大胆で積極的。持論を押しつけ、押し通す人物だ」。18日、安倍晋三首相の公式訪問を前に朝日新聞の単独会見に応じたアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領(57)は、トランプ次期米大統領(70)をこう評した。自らも実業家出身でトランプ氏と1980年代から家族ぐるみの親交がある。その性格と経営術をよく知る立場から、「大統領就任後は柔軟姿勢に転じるのではないか」といった楽観論に釘を刺した。
マクリ氏の父は、一代で財をなした実業家。その父が米ニューヨークでの事業でトランプ氏と契約を結んだのを機に親交が始まった。「一緒にゴルフもしたし、ビジネスの議論もした。一時とても深い関係だった」と振り返った。

 ただ米大統領選の期間、マクリ氏はオバマ氏後継のクリントン氏への支持を明言。トランプ氏を「変わり者」などと述べていた。

 大統領選後、マクリ氏は「多くの人を敵に回しながら勝利したことは、その能力と洞察力が優れていることを物語る」と認めて電話で祝福し、この対応をトランプ氏も歓迎したという。「一緒に働き、かつてないほど良い二国間関係を築こうと約束した」と話す。
マクリ氏は21日、ブエノスアイレスで安倍首相と会談する。(ブエノスアイレス=田村剛)

     ◇

 アルゼンチンのマクリ大統領の単独会見での主な発言は次の通り。

 ――安倍首相がアルゼンチンを公式訪問する。
日本は最も力強く革新的な国の一つ。戦略的な関係構築を心から望んでいる。日本からの投資拡大を期待したい。

 ――どんな分野での投資を期待するか。
インフラ整備、鉱業、農産品加工などの分野で日本企業の進出を期待する。観光業でもアルゼンチンは魅力的だ。旅行業者が参入すればうまく行くだろう。アルゼンチンは食料の一大生産国でもあり、日本への輸出も拡大したい。勤勉で革新の能力を持つ日本人を尊敬している。アルゼンチンに新たな日本移民にも来てほしい。

 ――前政権は保護主義的な政策だった。
新政権では百八十度、方向転換した。債務を支払い、外貨規制をなくした。投資が増え、雇用が増大するだろう。アルゼンチンへの投資にリスクを心配する必要はない。

 ――前政権は中国と関係が深かった。
我々は全ての国々とより良い関係を目指す。日本との長く豊かな関係を失いたくない。私は日本国民とその文化、能力に深い尊敬を抱いている。日本のようなパートナーが必要だ。

 ――南米南部共同市場(メルコスル)は今後どうなるか。
世界と結びつかなくてはいけない。今は欧州連合(EU)と自由貿易協定の交渉中だ。太平洋同盟との統合も理想だ。中南米全体が一つにまとまらなくてはいけない。そうすれば、日本とのFTA交渉も進められる。

 ――環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉をどう見ているか。
さらに進展することを望んでいる。トランプ氏が疑問を呈してはいるが、TPPはとても好ましい動きだ。オブザーバーとして関心を持っている。

 ――トランプ氏と旧知の仲と聞いた。どんな人か。
 大胆で積極的で、自分の意見を押し通す人物だ。トランプ氏には自分の意見があり、それを押しつけようとするだろう。

 ――どんな関係だった?
 何年も前、トランプ氏とビジネス契約を結び、一時期、とても深い関係だった。一緒にゴルフもしたしビジネスの議論もした。食事や意見交換もした。

 ――電話では何を話したのか。
 かつてないほど良い両国関係を築こうと約束した。これまでのオバマ大統領との良好な関係が今後も続き、トランプ氏との間でさらに拡大することを願う。電話ではトランプ氏との娘とも話した。幼い頃から知っている。

 ――実業家が政治家になることのメリットは何か。
 給与を支払い、雇用を維持する義務を負う人間は、人々が何を求めているか理解できる。世界の多くの指導者が国民の要求に関心を持たない中、大きな意味がある。21世紀は技術革新が労働者から仕事を奪っている。必要なのは、雇用を生み出す創造性だ。

 ――デメリットは?
 政治システムを学ばなくてはいけない。ただ、その気があれば、理解するのに時間はかからない。トランプ氏が多くの人を敵に回して選挙に勝てたことは、その能力と洞察力にたけているということを物語る。
≫(朝日新聞デジタル)

 

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