世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「トランプ米大統領」と紙面が踊る日 世界の勢力図は?

2016年07月31日 | 日記
戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗
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朝日出版社


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●「トランプ米大統領」と紙面が踊る日 世界の勢力図は?

 今日は、東京都知事選投票日だ。筆者の予想は、鳥越と小池が逆転した順位で決まりそうなので、少々ガックリしている。7月23日時点での、筆者予測は≪ “小池候補:鳥越候補:増田候補:未定=3.5:3.0:1.5:2.0” ≫となっていたが、昨日選挙活動が終わった時点の下馬評を総合的に見ると、“ 小池候補:鳥越候補:増田候補:その他=3.4:3.1:2.8:0.7 ”となっている。鳥越が小池を破るには、「その他」の気が変わって、鳥越に投票しないことには、辻褄合わない。

 ちなみに、投票率を50%と想定すると、有権者総数が1130万人なので、565万票の取り合いと云うことだ。200万票超える候補者不在と云う状況になっている。鳥越候補の文春新潮ネガキャンは、鳥越支持者に大きく影響している状況はなさそうだ。また、鳥越候補に集まった群衆の多さは、細川・小泉都知事選で学習済みなので、演説に集まってくる人々の熱気と開票結果は別物であること肝に銘じておいた方が良い。しかし、後半の数日は、小池候補の疲労が顔に出て、「鉄火場の女」の勢いが落ちていた。その状況を、有権者がどのように見て、投票行動に結びつけるか、その辺が鳥越候補の最後の望みだ。間違っても、20時選挙速報中継開始時点で、NHKが小池の「当確」を打たないことを祈りたい。増田候補に勢いという情報も多いが、筆者の情報では、まだ弱い。

 ここからが本題だが、米大統領選は、ドナルド・トランプ共和党候補の方が、1~3%、民主党クリントン候補を上回っている調査結果が多く目につく。筆者も、日本人が思考停止から抜け出す為には、「外圧が必須」と云う立場なので、トランプ候補の大統領選勝利は望むところだ。勿論、日本の既得権益と云う“ぬるま湯”に浸かっている人々、その太鼓持ちのような人々にとっては悪夢だろうが、「変りゆく米国」の姿をまざまざと見せられている状況では、過去の経験則に則して、ズルズルと云う政治姿勢は、オリエント東端の島国・三流国家“日本”が現実味を増してくる。

 アメリカと関係なく、日本は独自の道を模索し、選択すれば良いではないかと言っても、それは、口先だけの話で終わるわけで、現実を知らない人間の戯言だろう。日本のエスタブリッシュメント層においては、日米安保条約とTPPによって、日米関係は、更なる深化を成し遂げつつある。そのような思考回路で、概ね国の指導者たちは、認識している。当然、その認識に沿った統治機構は、霞が関官僚組織によって実行されるわけだが、彼らもまた、日本のエスタブリッシュメント層の考えと同調している。謂わば、日米関係は、安倍の個人的趣味を除けば、のっぴきならない新たな日米関係のステージに踏みだしている。

 無論、TPPに関しては、今後、多くの紆余曲折が予想されており、甘利・フロマンの間で交わされた合意はご破算になる可能性の方が高い。それはさて置き、日米韓豪その他連合勢力と、中ロ勢力との関係は、「米中G2時代」を想定している。わが国では、中国が今にも崩壊して、幾つかの国に分裂せざるを得ないなどと、妄想に耽っている連中もいるようだが、それが願望的妄想であり、現実から目を背けているに過ぎない。国際的情勢に関してだけは、自分達の願望や、利害損得で、事実関係を歪めて報道する姿勢は、酷く幼稚だ。まあ、中国を、その実力通りに評価する情報は、マスメディアにとって、諸刃の剣以上に冒険なので、啓蒙的言説と云う選択をしないのが、今の現状だ。

 つまり、中国やロシア包囲網と云う西側諸国の企てを、事実に即して報道することは、今までの言説の流れや、現状の利害損得から、自己矛盾を白状するようなもので、絶対に表には出てこないだろう。現在、エスタブリッシュメントな立場にいる人や、霞が関官僚達にとって、今までの、論理矛盾、自己矛盾を、説明するだけの器量を持ち合わせていない。また、仮に、持っていたとしても、自己利益にそぐわない事実なので、少なくとも、自分が、その立場にいる限り、「立場主義」に徹する。真実を暴露するなら、俺が立場を離れた時にしてくれと云うことだ。この心理が、数珠つなぎなのだから、永遠に、日本は、自己改革は絶対に出来ないようになっている。

 安倍一強政権が永遠に続いても、おそらく、リベラルな人々や左派の人々が危惧するほど、安倍政権は、日本を変えられない。我が国において、自己改革を目指した政権は、すべて潰れている。では、どうして、安倍政権は、色々と好き勝手をしているように見えるが、押さえておくべき「隷米姿勢表明」の部分は、重大なる確信的問題と捉え、隷米的選択をしている。ゆえに、安倍政権は、個人的に酷く相性の悪いオバマ政権であるにも関わらず、安泰なのは、その確信的利益のポイントを外していないと云うことになる。ロシア・プーチン大統領との親密な関係は、あくまで、個人的つき合いの範囲だと、谷内正太郎国家安全保障局長、内閣当別顧問を中心に、佐々江賢一郎駐米特命全権大使や齊木・杉山事務次官ら外務官僚が、我が国首相の個人的遊戯の範囲ですので、お目こぼしの程をと、根回ししているのだろう。

 日米関係の蜜月度は、いまや、真っ盛りと表現しても過言ではない。ペリー来航以来、すったもんだはあったが、概ね、ウィンウィンナ関係が成立している。しかし、中国の経済的抬頭、軍事的プレゼンスへの欲望は、内政上の問題を糊塗する範囲を逸脱し、ヘゲモニー方向に向かっていると解釈した方が妥当な勢いだ。この将来的「米中G2関係」のバランスを崩す関係にあるのがロシアだ。中ロの大接近は、時間をかけて「G2関係」に持ち込みたいアメリカにしては、何が何でも避けなければならない事実であったろう。それが、現在の西側陣営の「ロシア包囲網」に繋がっている。

 現実、中ロ関係は、一気呵成に深化するような勢いで動きだしたが、おそらく、西側陣営としては、イケイケのBRICs勢力を弱めなければ、将来的な設計、安定的「G2世界」に持ち込む計画に齟齬が生まれる。つまり、アメリカ凋落のソフトランディング計画に支障を来すと判断したのが、猛烈な資源中心の暴落である。金融や商品の相場を操っているのは、米英中心とした金融勢力なのだから、仕込みは意外に楽に出来たろう。この西側金融勢力の介入で、ロシア、ブラジル、サウジは徹底的に経済的ダメージを受けた。それが、現状のロシアとブラジルの惨状だ。

 これ以上書くのは疲れてきたので、少々走るが、BRICsの抬頭を抑え、中ロ接近に水を差し、計画は着々と進捗したかに思えたが、アメリカ合衆国のエスタブリッシュメント層の人々は、対外的権謀術策に神経が向かい過ぎて、何と云うことはない足元の土台がグラグラしている事に気づかなかったのだ。あまりにも強大な権力の上に胡坐をかき続けていたものだから、台座の脚が腐っているとは、思いもしなかったわけである。笑い話と言っては失礼だが、世界の王様が、黄金の台座にふんぞり返り、他国を指揮指導している間に、台座の四本の脚のメンテナンスを怠ったツケが回ってきた。四本の脚は、シロアリに半分近く食い荒らされ、今にも、王様は台座から転げ落ちようとしている。北杜夫の『さびしい王様』を思い出す。

 まあ、王様は、何とか台座から転げ落ちる難は避けたのだが、台座が腐っているだけではなく、その台座が置いてある、家の土台も腐り始めていると云う、ブラックユーモア小説もどきの現実を、我々は目撃している。このことを知った、北杜夫や開高健、或いはアンデルセンなら、どのような物語を創ったのだろう。少々文章が遊び過ぎだが、かくして、現在のアメリカ合衆国建国240年有史以来の危機に戸惑っている。それが、現在の米大統領選の事実関係だ。その事実関係は、あらゆるメディアに出ているだろうから、筆者が特に加えるものはない。問題は、今まで通りのクリントン候補が選ばれるか、異端のトランプ候補が選ばれるかと云うことだが、どうもヒラリーの人気のなさは、致命的な気がする。そう云う意味で、マイケル・ムーア氏の、渾身のコラムを見つけたたので、以下に、参考引用する。米大統領選挙の結果は、日本の国政選挙よりも重要な選挙になると、筆者は考えている。


 ≪ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう

友へ

悪い知らせを伝えるのは残念なことだが、昨年の夏、ドナルド・トランプが共和党の大統領候補になるだろうと君たちに言った時も、俺ははっきりと伝えていた。そして今や、君たちにとってさらにもっとおぞましい、気の滅入るような知らせがある。それは、ドナルド・トランプが、11月の 大統領選で勝つということだ。この浅ましくて無知で危険な、パートタイムのお笑いタレント兼フルタイムのソシオパス(社会病質者)は、俺たちの次期大統領になるだろう。

トランプ大統領。さあみんな、この言葉を言ってみよう。だってこれから4年間、この言葉を言うことになるんだよ。「トランプ大統領」。

俺の人生で今回ほど、俺は正しくない、俺が間違っている、って誰かに証明してほしいと思ったことはないな。

俺には、君たちが今何をしているかわかる。激しく首を横に振っているだろう。「いや、マイク、そんなことは起こらない!」とか言って。残念ながら、君たちは外界から隔離された狭い範囲の世界で生きている。その世界には、隣にエコー室があり、そこで君たちとその友人たちは、アメリカ人はバカ野郎を大統領に選んだりしないって確かめあっている。

あらゆることがトランプがらみだから、奴のクレージーなコメントとか、こっちが恥ずかしくなるくらい自分に酔っている奴のスタンスのおかげで、君たちは奴に対して、呆れたりあざ笑ったりしている。その頃、ヒラリー・クリントンの話を聴いて、私たちの最初の女性大統領、世界が敬う人、頭が切れて子供たちを大事にし、オバマのレガシーを継承する人に注目している。なぜならこれこそ、アメリカ人が求めているものだからさ! もちろんこれからの4年間もこのままさ!

君たちはすぐさま、この狭い世界から脱出しなきゃいけない。現実を否定しながら生きるのをやめて、限りなく現実だと心の奥底では理解している真実に向き合う必要がある。

「有権者の77%は女性と有色人種と35歳未満の若者だ。トランプは絶対に彼らの過半数の票を獲得できない!」なんてことで安心しようとするとか、「みんなこんなバカ野郎に投票することはないだろうし、自分にとって最善の利益に反して投票することもないだろう!」なんて理屈で安心しようとするのは、脳がトラウマから自分を守ろうとする働きなんだ。通りで大きな音を聞いても、「ああ、タイヤがパンクしただけだ」とか「あれ、誰かが爆竹を鳴らしているんじゃんないか?」と思うだろ。というか、誰かが銃で撃たれた音を聞いた、なんて思いたくないんだよ。

これは、911が起きたときに最初のニュースと目撃者の話が、「小型飛行機が誤って世界貿易センターに突っ込んだ」だったのと、同じ理由だな。俺たちは最善の結果を求め、望むことを必要としている。なんでかっていうと、ぶっちゃけ、生活はもう混乱してるし、給料ぎりぎりの暮らしで何とか生き抜こうとしたって、もう難しいんだよ。俺たちはこれ以上悪いことが起きても、対処できないんだ。だから何か恐ろしいことが実際に起きたって、俺たちの精神状態は変化を受け入れられないんだ。

フランスの ニースでトラックに轢かれた最初の人々が、この世で最後の瞬間にしたことは何かというと、その人は単に運転手がトラックをコントロールできなくなっただけだと思って、運転手に手を振って、歩道の縁石を飛び越えたことを指差して、「気をつけて!」と叫んだんだ。「歩道には人がいるよ!」って。

おい、みんな、これは事故じゃないんだ。事件が発生しているんだ。それでも、クリントンが事実の積み重ねとか、頭の回転の速さ、理屈とかで、トランプを倒せると信じている人は、この1年、56カ所で行われた予備選とか党員集会の結果を見過ごしている。共和党には16人が立候補して、みんな打倒トランプに全力を注いだけど、誰もトランプの勢いを止められなかっただろ。今の情勢だったら、本選でもこれは起きると思う。そしてこの事態に対処するためには、まず君ら みんなにこの事実を知ってもらう必要がある。それから、多分、もしかしたら、俺たちが今いる混乱から抜け出せる方法を見つけられるかもしれない。

勘違いしないでほしい。俺は自分の住んでいる国に大きな希望を持っている。状況は好転している。左派はジェイムズ・D・ハンターが言うところの「文化戦争」 に勝った。ゲイとレズビアンは結婚できるようになった。アメリカ人の大多数が今や、世論調査の質問に、寛大な答えをしている。女性の同一賃金――わかった。中絶は合法であるべき――わかった。環境法の強化――わかった。銃の規制強化――わかった。マリファナの合法化――わかった。大きな変化が起きている。 今年22州で勝利した社会主義者のサンダースにぜひ尋ねてほしい。そしてもしみんなが自宅のカウチからXboxとかプレイステーションで投票できるなら、 ヒラリーが圧勝するのは間違いないと思う。

でもこれは、アメリカで実際にできる方法じゃない。みんな家を出て、投票の列に並ばなければならない。そして仮にそこが貧しい黒人とかヒスパニックの地域だったら、長い列に並ぶだけでなく、うまく投票できないようにつくられている。だから、ほとんどの選挙で、投票率が50%になることだって難しい。そこに11月の大統領選の問題があるんだ。つまり、投票する気のある、投票するように鼓舞された有権者たちを、どうやって投票所に連れていくか?ってことだ。

みんな、この質問に対する答えがわかっているだろう。いちばん過激な支持者がいる候補者は誰なのか? どの熱狂的なファンが午前5時に起きて、朝から晩まで全力を尽くし、はるばる投票所まで行って、それだけじゃなくてトムとかディックとかハリーとか(そしてボブ、ジョー、ビリー・ボブ、ビリー・ジョー、ビリー・ボブ・ジョーとか)全員を投票に行かせるだろうか?その通り。これが俺たちが今最大級の危機に陥っている状況なんだ。そして自分をごまかさないでほしい。どんなに説得力のあるヒラリーのテレビ広告が流れても、討論会でヒラリーが トランプに事実を質しても、共和党主流派の自由主義者たちがトランプから票を吸い上げても、奴の呪術を止めることは出来ないだろう。

 ■トランプが大統領になる5つの理由を教えよう。

1.中西部の票読み。
ラストベルト(錆びついた工業地帯)の奴らは、EU離脱と同じことが起きることを歓迎している。トランプは、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった五大湖を取り巻く4つのブルーステート(民主党が優位の州)に意識を集中させると俺は思っている。この4つの州は、もともと民主党が強い地域だが、2010年以降それぞれの州で、共和党の知事が選ばれている(最終的にペンシルバニア州だけは、今は民主党知事になっている)。3月のミシガン州予備選で投票に行ったのは、民主党が119万人なのに対して、共和党は132万人だ。

トランプは、ペンシルベニア州の最近の世論調査でヒラリーをリードしていて、オハイオ州では同点だ。同点?トランプがこれだけ無茶苦茶な発言と行動しているのに、どうしてこの大統領選レースは、これほど接戦になっているのか?これは多分、ヒラリーがNAFTA(北米自由貿易協定)を支持したから、製造業中心の中西部の州の壊滅を助長した、とトランプが発言しているからだ。クリントンがTPPを支持したから、この4州の人々をひどく不利な立場に置いた他の貿易政策に関して、トランプはクリントンを攻撃するだろう。

トランプがミシガン州で選挙活動している時、フォード・モーターに働く工場労働者のために、もしフォードが工場を閉鎖してメキシコ へ移転するなら、メキシコで製造してアメリカに入って来る自動車すべてに、35%の関税を掛けると言った。これがミシガン州の賃金労働者たちの耳には、この上なく甘美な音楽のように響いたんだ。そしてこの時、トランプはAppleにも、iPhoneを中国で製造するのをやめて、ミシガンの工場で製造するように強要した。もちろん人々の胸は熱くなるわな。お隣の州知事ジョン・ケーシックが手にするはずだった大勝利を、トランプが持ち逃げしたんだ。

友よ、グリーンベイからピッツバーグまで、このあたりの人は、イングランドの中流階級と同じだ。疲弊して、元気ががなく、苦しんでいる。

この地域では、いわゆる中流階級の残骸と、田園地域に大工場の大きな煙突が散在している。彼らはレーガンのトリクルダウン理論に騙されて、怒り、辛い思いで働いている(もしくは、働き口すらない)人たちだ。いつも耳ざわりのいいことを言っておきながら、いざというときにはゴールドマン・サックスのロビイストに高額の小切手を書いてもらうのを期待して、なんでもかんでも揉み消してしまう民主党の政治家に捨てられた人たちなんだ。

イギリスで起きた ことは、ここでも起きるだろう。ボリス・ジョンソンみたいなエルマー・ガントリー(口がうまいやり手のセールスマン)が現れ、どんなにひどい状態になると わかっていても、今がチャンスなんだ!と確信させるように適当なことを大衆に言うだけだ。アメリカンドリームをぶち壊した奴ら全員に貼り付け! そしてアウトサイダーのドナルド・トランプが、奴らを懲らしめるためにやって来た!トランプに同意する必要はない!好きになる必要だってない!トランプは、 君らが嫌な人間たちに投げつける火炎瓶だ。それでなくても、彼らは君らに火炎瓶を投げつけてくるんだ!メッセージを送れ! トランプは君らのメッセンジャーだ!

そして、ここで数学が役に立つ。2012年、共和党大統領候補だったミット・ロムニーは64人の選挙人の票差で敗北した。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州で投票された選挙人票を足してみれば、合計64だ。トランプの予想通りで、トランプがやればいいことは、アイダホ州からジョージア州まで(決してヒラリーには投票しない州)のレッドステート(共和党が優位の州)を制したら、あとはこの4つのラストベルト州を押さえるだけだ。トランプにはスイングステート(選挙のたびに結果が変わる州)のフロリダ州は必要ない。コロラド州やバージニア州も必要ない。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州だけだ。これで、トランプはトップに躍り出るだろう。これが11月に起こる。

2.怒れる白人、最後の抵抗。

我がアメリカ男性たちが主導してきた240年間の統治は、終わろうとしている。一人の女性が、その座を引き継ごうとしている! なんでこんな事態になったんだ?! 注目! 警告のサインは出ていたが、俺たちはこれを見逃していた。ニクソンは、ジェンダーに冷たかったけど、タイトルIX(男女教育機会均等法)を作った。この法律は、学校で女子生徒も男子生徒と同じスポーツをする権利を持つべきだと言っている。その後女性たちは、民間ジェット機でパイロットにもなれるようになった。気がついたら、ビヨンセが今年のスーパーボウル(俺たちのゲームだ!)で、大勢の黒人女性と一緒にフィールドに雪崩込み、拳を突き上げ、男性の支配はここで終わった! と宣言していた。おお、なんてことだ! 

これは、危機に瀕している白人男性の心の中がかいま見える光景だ。本人の手から権力がすり抜けていき、彼らのやり方は、もはや容認されないという意識が芽生えている。この「フェミナチ」(保守派のフェミニストに対する蔑称)っていう怪物は、トランプが言ったような「目から血を流している、どこであっても血が出ている」(トランプが女性の生理を侮蔑した発言)奴らが、 俺たち男を征服するんだ。そして今や、俺たちに指図してきた黒人の男に8年間耐えなきゃいけなかったのに、今度は大変なことは傍観する、そして威張り散らす女のもとで、8年間を過ごすことになるのか? その後の8年間は、ゲイがホワイトハウスに入るのか!それからトランスジェンダーか! 君たちは、そんなことを目の当たりにする。その時までには、動物にも人権を認められているだろう。そしていまいましいハムスターが、この国を統治していることだろう。これは止めないといけないな!

 3.ヒラリー問題。
ここだけの話だけど、正直に話していいか? そして俺たちが話す前に、これだけは言わせて欲しい。俺はヒラリー・クリントンが好きだった、それもかなりな。ヒラリーは、不当な濡れ衣を着せられてきたと思う。ヒラリーがイラク戦争に賛成したから、俺は二度とヒラリーに投票しないと決めた。今日まで、そのつもりでいた。ファシストもどきが最高司令官になるのを防ぐために、俺はその決心を改めようと思っている。

悲しいことだが、ヒラリーは何かしら軍事行動を起こして、俺たちを従軍させる方法を見つけるだろう。ヒラリーはオバマより右寄りで、タカ派だ。しかしトランプの錯乱した指が、あの核ボタンに掛かったら、それでおしまい。完全に終わりだ。

現実を見てみよう。ここでは、俺たちにとって最大の問題はトランプではなく、ヒラリーだ。ヒラリーはまったく人気がないし、有権者のほぼ70%が、ヒラリーを信用できないと言っているし、不誠実だと考えている。ヒラリーは旧来の政治を象徴している。実際には、君たちの選挙権以外何も信用していない。一時期だけ同性婚反対のために闘い、その後は、同性婚の司祭を務めている。

若い女性が、最大の反ヒラリー派だ。この若い世代が、世界中のバーバラ・ ブッシュ夫人のような人たちに、「黙ってクッキーを焼きなさい」(ヒラリーはかつて「私は家でクッキーを焼くような人間じゃない」と言って反発を受け、専業主婦のブッシュ大統領夫人とクッキーレシピ対決をした)と言われる必要がないように、ヒラリーやその同世代の他の女性たちが耐えた犠牲と闘いを考えたら、若い女性たちは心を痛めないといけないな。でも、その子どもたちも、ヒラリーが嫌いだ。

そしてミレニアル世代が、毎日のようにヒラリーには投票しないと言っている。民主党員でも、無党派でも、オバマが大統領になった日とか、バーニー・サンダースが予備選の投票に臨んだ時みたいに、11月 8日に目覚めて、みんなワクワクしながら急いでヒラリーに投票しに行くなんてことは、有り得ないだろう。そんな熱狂はどこにもない。そしてこの選挙の勝敗を決めるのは、たった一つのことだ。つまり、誰が家にいる人々をより多く引っ張りだして投票させるか、ということだ。トランプはちょうど今、有利な立場にいる。

4.意気消沈したサンダース支持者票。
クリントンに投票しないバーニーの支持者に、やきもきするのはやめよう。俺たちはクリントンに投票するんだ! 世論調査をみたら、今年ヒラリーに投票するサンダース支持者の数は、2008年にオバマに投票したヒラリー支持者の数より多い。ここが問題じゃない。

やばいのは、ちまたのバーニー支持者が、当日ちょっと消極的だけどヒラリーに投票するために投票所に足を運ぶ。これが俺が言うところの「意気消沈した票」だ。つまり、そいつらは、投票所に有権者を5人連れて来ないんだ。それに、月に10時間選挙ボランティアをしない。どうしてヒラリーに投票するつもりなのかを、興奮した口調で話すこともない。

彼らは意気消沈した有権者なんだ。なんでかっていうと、若い人だったら、インチキやたわごとを一切容認しない。彼らにとってクリントン・ブッシュ時代に戻ることは、いきなり音楽を聞くために金を払わないといけなくなり、MySpaceを使って、巨大な携帯電話を持ち運ぶ時代に戻るようなものだ。彼らはトランプに投票しないだろう。そのうち第三の政党に投票する奴もいるだろうが、多くは家の中だ。ヒラリー・クリントンは、自分を支援する理由を彼らに与えるために、何とかしないといけない。

そして穏健派で物腰の柔らかい中道の白人男性の おっさんを副大統領候補にしたのは、ミレニアル世代からすると、ヒラリーが自分たちの票を重視していないように思うから、賢い戦略ではない。正副大統領候補に2人の女性が並ぶ案も浮上したよな。これはワクワクするアイデアだったけど、ヒラリーは逃げを打って、安全策を取った。これはヒラリーが、若者票を逃してしまっているいい例だ。

 5. ジェシー・ベンチュラ効果。
結局、有権者の何かしでかしてやろうというパワーを過小評価してはいけないし、いったん投票ブースのカーテンを閉めて、一人きりになったら、自分が隠れアナーキストだと自認している大衆を見くびってはいけない。投票ブースはセキュリティカメラや盗聴器が付いていないし、配偶者も子どもも上司も警官もいないし、いまいましい制限時間もない、世の中に残された数少ない貴重な場所だ。そこでは、必要なだけいることができるし、誰も何かをするように強制することはできない。ボタンを押してもいいし、党の公認候補にも、そうでなけりゃはミッキーマウスとかドナルド・ダックと書いて投票することだって出来る。規則はないんだ。

そして大勢の人間が疲弊した政治体制に怒っているから、大衆はトランプに同意するわけでもなく、トランプの偏狭な考えとかエゴを気に入っているとかでもなく、ただ、投票できるからっていうだけでトランプに投票する。計画をぶち壊しにして、パパやママをこまらせてやろうっていうくらいの気持ちで、これをやる。

ナイアガラの滝の端に立っている時、一瞬、柵を越えたらどうなるんだろうって心の中で思うのと同じような感覚で、黒幕になったような気分で、どうなっちゃうのか見てみたい一心でトランプにポンと票を入れる奴はいっぱいいるだろう。

90 年代に、ミネソタ州で知事にプロレスラーが選ばれたことを思い出してほしい。ミネソタ州の人たちの頭が悪いからそうなったわけじゃない。彼らが、ジェシー・ベンチュラは優秀な指導者で、政治的見識を持った人物だと思っていたら、彼に投票しなかっただろう。彼らは、ただ単にやってみただけだ。ミネソタ州は、アメリカでも最も賢明な州の一つだ。一方でミネソタ州の人たちはブラックユーモアを好む。そしてベンチュラに投票したのは、病んだ政治体制に対する、彼らなりの辛辣な悪ふざけだった。これがトランプにも再び起こる。

HBOのトーク番組「リアル・タイム・ウィズ・ビル・マー」の共和党全国大会特集に出演した後、ホテルに戻ろうとしたら、ある男が俺を引き止めた。 「マイク、俺たちはトランプに投票しなきゃいけない。俺たちは大改造する必要がある」。そういうことか。それだけで、彼にとっては十分だった。「大改造する」ためなんだ。トランプ大統領誕生は、まさに大改造になるだろうし、投票した人々の大部分は、外野席に座って、そんなリアリティ・ショーを見たいと思っている。 (次回、どのようにしたらトランプを倒せるか、俺の考えを投稿するつもりだ。)

                                           敬具
               
                    マイケル・ムーア ハフポストUS版より翻訳しました。

 ≫(THE HUFFINGTON POST日本語版)

ドナルド・トランプ 勝利への名語録 (PHP文庫)
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●腑に落ちない今上天皇の「譲位」報道 侍従長の復讐劇か?

2016年07月30日 | 日記
貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち (講談社現代新書)
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安倍
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●腑に落ちない今上天皇の「譲位」報道 侍従長の復讐劇か?

 今上天皇の「生前退位(譲位)」のNHKや共同通信の報道に何の根拠もなければ、昨日報道されたように、(早ければ、来月8日にも、現在の「お気持ち」を表明)と云う追記事が報じられることはないだろう。時事通信の記事、或いは政府の「生前退位」報道に関するスタンスは、極めて消極的だと認識できる。無論、時事の記事は、安倍官邸バイアスが色濃く掛かっているので、すべてを鵜呑みには出来ないが、表向き、菅官房長官の発言からも、我々は関わりたくない、と云う態度が滲み出ている。 「合区」の憲法改正など、国民的熟議が成立しそうもなく、国民は、皇室典範の改正論議に優先順位を与えるだろう。

 このような国民の雰囲気が醸成されることは、改憲に舵を切った、安倍官邸にとっては、まさに、青天霹靂だったに相違ない。先の「譲位報道」の時、宮内庁幹部は、こぞって「そのような事実はない」と強く否定していた。しかし、再び、宮内庁関係者が登場して、事実無根の話ではないとして、毎日が報道している。NHKはじめ、他のマスメディアは、必ずしも大きく紙面を割くことはなさそうだ。ネットサイトにおいても、トピック扱いはしていない。7月13日に比べると、嫌に扱いが些末な事柄のような扱いになっているが、宮内庁が、正式には何も決まっていないと断言しているので、またまた新聞辞令風味、情報源は特定されていない。

 ≪ 生前退位  8月8日軸に検討 陛下「お気持ち」表明
 生前退位の意向を宮内庁関係者に示している天皇陛下が、自らのお気持ちを国民に表明される日程について、同庁は8月8日を軸に検討している。同庁はできるだけ早い時期に実現するよう調整。既に固まっている公務や政治日程を外し、この日が有力になっている。生前退位は、象徴天皇の制度の根幹を見直すことにつながり、陛下のお気持ちが国民に伝えられることで議論が本格化することになりそうだ。
 宮内庁は、お気持ちを表明する機会として、12月23日の誕生日にあわせた記者会見などを選択肢として検討していた。しかし今月13日に陛下の生前退位の意向が一斉に報じられ、より早い8月に表明の場を設ける方向で再検討した。
 8月は、3日に内閣改造が予定され、陛下は閣僚の認証式に臨むことになる。6日の広島の原爆の日、9日の長崎の原爆の日、15日の終戦の日を避け、長野・軽井沢などで静養する下旬の時期も外すと、表明の日程は8日が有力になるという。
 お気持ちを表明する方法は、ビデオメッセージやテレビ中継などを候補に慎重に検討している。ビデオメッセージによる国民への語りかけは、2011年3月の東日本大震災に際して実施されたことがある。テレビ中継で行う場合、記者の同席も検討される。
 天皇は国政に関する権能を有しないと憲法で規定されていることを踏まえ、表明されるお気持ちの内容は、国の制度の変更を直接促すものにならないようにする。このため「退位」などの具体的な文言は避けられる見通しだ。高齢となることで天皇としての務めを十分に果たすことができなくなることへの思いが率直に語られるとみられる。
 天皇陛下は今月23日、皇太子さまと秋篠宮さま、長女の黒田清子さんを御所に招いて昼食をとった。その際、お気持ちの表明に関しても話されたとみられる。  ≫【毎日新聞:高島博之、山田奈緒】

≪ 憲法抵触を懸念=生前退位「お気持ち」表明で-政府
政府は、天皇陛下が生前退位に関して来月上旬にも「お気持ち」を表明される方向で調整が進んでいることを受け、天皇の政治的行為を禁じた憲法4条に抵触する事態を招かないか懸念している。生前退位の制度化をめぐっても、政府内では慎重論が依然根強いのが実情だ。
 政府高官は29日、天皇のお気持ち表明について「何かしら自身の思いを話されるのではないか。こちらが止められることではない」と述べ、政治性を帯びず、心情の発信にとどまるならやむを得ないとの認識を示した。
 憲法4条は「天皇は憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と規定。内閣の助言と承認に基づいて行う首相任命や閣僚認証、法律公布、大赦などの国事行為を除き、一切の政治的行動を認めていない。
  仮に生前退位を制度化する場合、法律の一つである皇室典範の改正が必要となる。陛下が改正を直接的に促したと受け取られれば、憲法4条に抵触しかねない。 別の政府高官は「陛下からお求めいただくことも、こちらから勝手に動くこともできない」と、極めて慎重な姿勢を示す。 ≫(時事通信)


 「生前退位(譲位)」のリーク報道の経緯から、情報源が、宮内庁表勢力でないことは窺える。天皇の「お気持ち」が、報道の事実と合致しているからと言って、宮内庁表勢力が情報発信源であるとは限らない。天皇の側近や宮内庁幹部、皇室の誰かが、「生前退位(譲位)」に関する情報源なのは確かだ。以下は、佐藤優の推量だが、河相周夫侍従長ではなかろうかと指摘している。同氏は、外務官僚に対して、幾分目が斜視傾向にあるので、すべて的確かどうか定かではない、目のつけどころは悪くないだろう。民主主義のすべてと言われる“デュ・プロセス・オブ・ロー(due process of law)”を口を酸っぱくして語っているが、その点は正論だ。


≪佐藤優が斬る!「天皇陛下『生前退位』リーク報道は、ココがおかしい」
【 7月14日、ほぼすべての新聞社が“天皇陛下「生前退位」のご意向示す”と一面トップで報じ、日本中に激震が走った。この報道に関し各所でさまざまな憶測がされるなか、佐藤優氏は「この話自体が、完全におかしい」と主張。その真意を明かす。】

■新聞の倫理が問われている
西川文野: 天皇陛下が生前退位のご意向を示されていることについて、政府は早ければ来年の通常国会で皇室典範の改正を含めた法整備を行う方向で調整に入りました。これは複数の政府関係者が明らかにしたものです。現在の皇室典範には生前退位の定めがないための措置で、政府は今年の12月23日の天皇誕生日を目途に骨子案をまとめたい考えです。 一方、天皇陛下が生前退位のご意向を周囲に示されたことを巡り、宮内庁が近く陛下に自らお気持ちを表明してもらう方向で検討していることがわかりま した。「宮内庁関係者」の話でわかったもので、政府として陛下の考えを広く国民に理解してもらって初めて議論がスタートできると判断し、異例の対応をとることにしたと見られます。
野村邦丸(以下邦丸): 昨日(7月14日)も伊藤惇夫さんにお話をしていただいたんですが、なるほどなと思うのは、天皇のご意向というものが、たとえば政府を動かすということになると、政治にはかかわらないという大原則から、これは憲法に触れる可能性もある。
佐藤優(以下佐藤): 完全に憲法に触れています。
邦丸: はい。
佐藤: それから今回、話が完全におかしいです。
邦丸: どこが、おかしいのでしょうか。
佐藤: どうしてかというと、宮内庁長官も宮内庁次長もその日のうちに「陛下は憲法上、制度や国政に関する発言はしていない」「生前退位について官邸と相談しているということはない」と否定していますよね。この否定記事は朝日新聞には小さく出ていましたが、ほかすべて、「ご意向がある」ということが一面に出ているんですね。その場合は、ニュースソースを明示しないといけないんです。
邦丸: はい。
佐藤: それを明示せずに「宮内庁関係者」としている。宮内庁は組織ですよね。組織は一体で、その最高責任者が「発言はしていない」「相談しているということはない」と言っているのならば、新聞各紙は「ない」ことを一面で報じていることになるわけですよね。 その場合は情報源が「宮内庁関係者」という匿名ではダメなんです。なぜかというと、宮内庁の長官が「否定していること」が事実だ、宮内庁長官はウソ をついている、とすべての新聞が報じていることになるわけですから、その根拠となる情報源が匿名の下に隠れてはいけないんですよ。
佐藤: 私は宮内庁長官や宮内庁次長がウソをつくことはないと考えています。ただ、宮内庁にはもう一つのルートがあるんです。いわゆる奥の院と言われている侍従長です。
邦丸: はい。侍従長というのは陛下のすぐそばにいつもいらっしゃる。
佐藤: そうです。表には出てこないことになっている現在の侍従長は、元外務事務次官の河相周夫(かわい・ちかお)さんです。長官と次長が「否定していることが事実ではない」というのなら、新聞はその裏を取らなければ記事にはできません。少なくともこの侍従長に当てて、実名でそれを書かなくてはいけないんです。
邦丸: なるほど。
佐藤: そうじゃないと、たとえば仮に「どうやら憲法改正のご意向があられるようだ」という形のニュースがどこからともなく宮内庁関係者から出るとする。そして宮内庁長官と次長がそれを否定しているとする。しかし、本当はそういうご意向があるんだということで憲法改正に動くとは考えられないわけですよ。 いわゆる天の声をこういう形で出すことで物事を進めようとしているのは、今の一部の宮内庁の人たち──つまり、外務省出身の人たちの動きだと思いますけれど、国家の民主的な統制からすると、ものすごく違和感がありますね。 陛下は内閣の助言と承認によって動かれるんですけれども、もし、憲法改正のご意向を持っておられるんだったら、内閣が責任を持って、宮内庁長官の会見で「陛下には、ご意向がある」として、それを踏まえて内閣の立場として菅官房長官が説明すればいいんです。 ですから、ご意向を示してもらう機会は、内閣が内閣の意志でつくる。それができるはずなんです。しかし、なぜ、これがリークで始まるのか。 また、なぜ宮内庁長官と次長が公式に否定していることが新聞のトップニュースになって、それが事実として動いていくのか。私はここのところで新聞の倫理が問われたと思います。新聞の人たちはニュースソースを知っているわけですから。 宮内庁長官が「ノーコメント」とか「公には申し上げられません」と否定していないのだったらいいんですが、明確に「そのような事実はない」と言って いるんですから、「ない」と言っていることを「ある」と報道したことに対して、誰も違和感を覚えないということは、マスコミが政府に「ウソをついても構わないんですよ」と言っているのと同じことなんですよね。
■なぜニュースソースを明かさないのか?
邦丸: 陛下が周囲に生前退位のご意向をもらしていらっしゃるという、その「周囲」というのは、たとえばの話、今の侍従長さんということなんですか。
佐藤: わからない。
邦丸: これはわからない。
佐藤: しかし、マスコミは、こういう重要な問題は宮内庁長官と宮内庁次長のほうに聞いて、もう一方の重要なポスト、つまり侍従長に公式な見解を求めないというのはおかしいんです。 宮内庁長官と次長が「違う」と言っている以上は、そういう話は「ない」ということですよね。これは、政府の立場、国家の立場ですね。われわれは納税 者です。われわれは国民の知る権利を持っていますが、それは「真実」を知る権利なんですね。「生前退位のご意向もないし、検討もされていない」というのが政府の立場だったら、それが真実のはずなんです。
佐藤: テレビや 新聞は自分たちの取材によって、それと違う話が「真実」だということを確信しているから、そう報じているわけでしょ。たとえば、外務案件だったら、外務大臣と外務省事務次官が否定しているのに、日本外交はこういうことをやります、と新聞の一面に出て、その情報源が「外務省筋」だったらダメでしょ。
邦丸: ダメですね。
佐藤: その場合、誰が言っているか明記しなくてはいけませんよね。だから、マスコミの人たちはよく考えてほしいんですけれど、こういう報道を続けていていいんですか。 情報源との信頼関係で、次から情報が入らなくなるということを心配しているんだと思うけれど、そんなことはありません。 私は皇室典範の改正に賛成ですよ。陛下がそういうご意向を持たれているなら、やったほうがいい。しかし、なぜこういうようなリークという方法で国民 世論を動かすのでしょうか。民主主義は「手続き」です。仮に内容がいいものであったとしても、おかしな手続きをしている時は、誰かがきちんと異議を申し立てないと、そこから民主主義が崩れてしまいます。

■最大の「違和感」
邦丸: 早ければ来年の通常国会で皇室典範の改正を含めた法整備を行う。これのためにいろんなところにリークしていくわけですか。
佐藤: もちろん、そうです。
邦丸: これは憲法にもかかわってくる。
佐藤: 憲法にかかわってきます。最も重要なのは、皇太子には誰がなられるのかということです。今の法体制では、天皇が生前退位されると皇太子が空位ということになるんですね。そうなると、もう一度、女帝論が出てくるという話なんですね。
邦丸: 女性皇太子、女性天皇についての議論ですね。
佐藤: ですから、その辺のことも含めて非常に大きな話なんですよ。最初から「会見で非常に重要なご意向を発表します」と告知して、そこでご意向を発表していただく。あるいは、こういうご意向があることを踏まえての内閣の判断として、国民に公式の場で伝えるということが、なぜできないのか。私はすごく不思議に思うんです。 さらに、そういうことに対して違和感を持つことなく報道が進んでいくという事態に、非常に危うさを覚えるんですよ。内容さえよければそれでいいということではなくて、民主主義は手続きなのであり、その手続きに問題があるのにそのまま報道が進んでいます。
邦丸: 手続きという面で言うと、例えば、侍従長さんが「天皇陛下から聞いたご意向というのがあるんだよ」とリークしたと仮定します。では、そのリークの目的は何なのでしょうか。
佐藤: 二つあるでしょうね。一つは、世論の反応を見たい。世論の反応がGOなら進める。二つ目は、世論はGOだろうということを前提とした環境整備。 つまり、こういうことです。いずれにせよ、ここのところにおいては憲法問題が出てくる可能性がある。なぜならば、天皇は国政に関する権限を有してい ない。国事に関するすべての行為は内閣の助言によって行うという建前になっているならば、天皇陛下がご意志を持っておられるという問題で何かが動くということは、憲法体制との整合性の問題がある。 だから、とにかく「事実」として動かしてしまおう。国民の声としてそれが必要だということになれば、憲法問題は回避できる──こういうふうに考えるということは、一般論ですが、外務官僚のやりそうなことですよ。
邦丸: なるほど。
佐藤: だから、 宮内庁の長官と次長は官僚として極めて真っ当な対応をしているわけです。仮に、ご意向を漏らされたのだとしても、内閣の助言と承認がない限りにおいては、 どのようなご意向を聞いていても、それは存在しないことになるんです。その点を、宮内庁の長官と次長はものすごくよく守っているんですよ。 あの人たちが、一方で「実はこういうことを考えています」と言って、もう一方でウソをついているとは私は思えない。これは完全に役人生命にかかわる から、そういうことはしない。となると、その二人以外にどこかにそういうことをしている人がいて、完全に匿名の陰に隠れて大きな国家意思を動かそうとしているんですよ。だから私は、非常に違和感を覚える。

■アンフェアな事態に気づかないマスコミ
佐藤: マスコミにしても、普段は「この情報源が私だということは言わないでくださいよ。今後、重要なこともお話しできなくなっちゃうから」と言われたら、取材源の秘匿は守らなくてはいけない。ところが、これは宮内庁の長官と次長が否定している話なんだから、それにもかかわらず否定されている内容が「真実」だと報道する時は、国民はその匿名の情報源をどうやって信用しろというんですか。検証の方法がない。おかしいですよ、こんな報道は。
邦丸: はい。
佐藤: それならば、宮内庁の「誰」が言ったと、固有名詞が入らなければダメなんです。この情報を報道した人は、流したことの責任を取ってもらわないと。
邦丸: 近く陛下自らお気持ちを表明してもらう方向で検討しているという。
佐藤: 宮内庁は「組織」ですから、組織自体は語れないですから、組織の人間の誰かがそう語っているんですよ。 邦丸: 宮内庁長官が指示したことなのでしょうか。ニュース原稿を見ていると、「宮内庁が近く陛下自らお気持ちを表明してもらう方向で検討していることがわかりました」ということなんですが。
佐藤: マスコミは宮内庁長官には当てられますから、宮内庁長官は公のことは答えると思いますよ。しかし、宮内庁長官は「検討した事実はない」と否定しているわけですからね。
邦丸: この辺がちょっと矛盾しますよね。
佐藤: だから、宮内庁Aと宮内庁Bがあるということになっているんですよ。宮内庁Aは公式に全面否定している、しかし、宮内庁Bの話が事実なんだということになっているんだけれど、その宮内庁Bは匿名の陰に隠れてやっているわけですよね。アンフェアだと思いませんか。
邦丸: 思いますね。
佐藤: しかも、侍従長の場合は『文藝春秋』に「侍従長・河相周夫」の名前で随行記を寄稿しているわけですよ。ですから、侍従長だから語れないというのであれば、それならなぜ、『文藝春秋』には名前を出して寄稿しているんですか、という話になる。 一つの役所なんですから、宮内庁のなかできちんと責任をもって対応して、こういう重要なことは憲法体制に疑義がない体制で進めてほしい。私は率直にこう思うんです。
邦丸: はい。
佐藤: 内容はいいんです。でも、内容はいいものであっても、民主主義は手続きなんですよね。こういう手続きを許してしまう、つまり、役所が公式に否定しているにもかかわらず、その役所筋から流れていることによって大きな物事が動いて、法律の改正になって、憲法にもかかわることになってくるという、こういうようなことがこの国で行われていいのか。
邦丸: アンフェアですよね。
佐藤: 私はそう思います。しかも、新聞にその指摘がほとんどないでしょ。そういう問題意識が新聞記者の照会にないんですよ。「なんでこのタイミングなんですか?」という 照会ばかりなんですね。ですから私はいくつか取材を受けてきちんとていねいにコメントしたんですが、『AERA』だけには来週掲載されますが、ほかは使ってくれていないんですよ。 この「手続き」の問題だということをなぜみんなが議論しないのか、不思議なんです。気づいていないのは危ないと思います。みんなで大変危険な赤信号を渡り始めているんだと思います。
 ≫(現代ビジネス>オトナの生活>佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol.089(2016年7月27日配信)より)


 佐藤優の話に出てくる、河相周夫侍従長なる人物について、どうも知っておく必要がありそうだ。Wikipediaによると、以下のように記している。それにしても、河相侍従長の反乱だとすると、正直、民主主義の仕組みと云うもの、どこかに、意図的に行動すると、民主的な手続きを端折ることが出来ると云うことかもしれない。安倍官邸の閣議決定が好例だが、今回の譲位報道も、“デュ・プロセス・オブ・ロー(due process of law)”は無視されている。たった10カ月に満たない事務次官を経験すれば、その誰にもぶつけられない怒りは、マグマ溜まりのようにグツグツと煮えたぎっていた可能性は否定できない。ただ、佐藤優は、例の事件において、河相から冷たい仕打ちを受けたようなので、割り引いて読む必要はある。


≪ 河相周夫
(かわい ちかお、1952年11月22日 - )は、日本の外交官。侍従長(第9代)。
経歴
外務省北米局長、外務省総合外交政策局長、内閣官房副長官補、外務事務次官、外務省顧問、式部官長などを歴任した。
人物
東京都出身。1975年一橋大学経済学部を卒業し、外務省に入省する。2005年外務省北米局長就任。2006年4月にクリストファー・ヒル国務次官補と東京都内のホテルで会談し、BSE問題に絡み米国産牛肉の全面輸入禁止措置がとられていることにつき、ヒル次官補から早期解禁を要求されたのに対し、米国の検査体制整備がなされない限り、輸入解禁はできない旨を答えた。
同年6月にも、ヒル国務次官補と外務省で会談し、朝鮮民主主義人民共和国に対するミサイル防衛でアメリカ軍と連携を強化する方針を確認した。 2012年9月11日付外務事務次官就任。同年靖国神社・日本大使館放火事件犯人に対し引き渡し拒絶決定がなされたことに関し、申カク秀駐日大韓民国大使に遺憾である旨の抗議及び要請を行った。
2012年9月24日、沖縄県尖閣諸島問題を話し合うため、中国を訪問し、同25日、張志軍中華人民共和国外交部筆頭副部長と4時間に渡り会談した。双方は協議継続で一致したものの、議論は平行線のままで、関係改善の糸口を見いだすには至らなかった。
2013年1月に訪米、ウィリアム・ジョセフ・バーンズアメリカ合衆国国務副長官、ダニエル・ラッセルアメリカ国家安全保障会議アジア上級部長と安倍晋三首相の2月訪米への調整を行った。
2013年6月、通常2年以上の在職期間となる外務事務次官職を10ヶ月弱で退任。次官就任前から作家の佐藤優による批判をたびたび受けており、佐藤はこの次官退任劇についても安倍晋三内閣総理大臣による事実上の更迭であるとしているが、同月に小笠原倫明総務事務次官、真砂靖財務事務次官、金子順一厚生労働事務次官、坂篤郎日本郵政社長が、いずれも就任1年を満たずに退任した他、7月には森口泰孝文部科学事務次官も退任し、さらにこれに先立って3月に金沢博範防衛事務次官も退任、2012年12月には梅本和義内閣官房副長官補が就任1ヶ月ほどで退任していたなど、次官級職員の異例の退任が相次ぐ中での人事だった。外務省顧問等を経て、2014年(平成26年)9月1日、宮内庁式部官長。同年12月、皇后美智子のベルギー行啓に随行した他、2015年(平成27年)4月の今上天皇・皇后のパラオ行幸啓を事務方として取り仕切った[8]。 2015年5月1日から侍従長 ≫(Wikipedia抜粋)


 外務事務次官の地位に就きながら、その期間が通常2年であるにも拘らず、就任期間10カ月の事務次官と云う不名誉な称号を安倍官邸によって与えられた、現河相侍従長である。2013年は野田佳彦の「民主党売却解散」の翌年なのだが、当時事務次官であった河相侍従長は、民主党の選んだ事務次官全員の人事洗い出しが行われ、官僚粛清人事が横行した時の犠牲者の一人でもあった。能力的に問題点もあったようだが、安倍官邸主導官僚人事の犠牲者だとも言える。佐藤に言わせると、「義理を欠き」「人情を欠き」「恥をかく」ことが平気で出来ると云う「サンカク官僚」人物評になるが(笑)、当然、権力欲の強い人であれば、安倍官邸の人事に大いに不満を抱いていてもおかしくはない。

 仮に、丸谷才一の『たつた一人の反乱』ではないが、ボーイ・ソプラノで、「生前退位(譲位」情報を発信したとなると、トンデモナイ茶番劇によって、我々国民は、天皇の地位を個人的怨念によって振り回されたことになる。河相侍従長は、必ずしもアメリカとの関係が悪いわけでもないが、ロシア系にも強かった側面もあるので、外務省には珍しく、画策系な資質を持っているようだ。この「生前退位(譲位」情報は、今後も真実はどうだったのか、判らず仕舞いに坦々とことは流れていくのだろうが、奥歯にものが挟まったような違和感は拭えない。また、侍従長犯人説が有力だが、皇室の誰かと云う説にも、それなりに説得力はあるだろう。まあ、事実関係がある以上、ものごとは手順を踏むことになるのだろう。報道と云うもの、まさに、時と場合には騒乱罪のような罪を犯す。

 

安倍
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●”数字は踊る”安倍経済対策28兆円 ヘリマネ同調で日本崩壊

2016年07月29日 | 日記
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)
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●”数字は踊る”安倍経済対策28兆円 ヘリマネ同調で日本崩壊

 安倍は27日、来週とりまとめると云う、“「」つき「経済対策」”を前週の27日水曜日に、わざわざデカイ面してテレビ画面を占領するのか、不愉快極まりなかったが、何ちゅうことはない、31日日曜日の東京都知事選をターゲットにした、「番宣」だったようだ。知事選、増田は無理そうだが、万が一、小池が取りこぼししないためにも、側面支援という曰く付きの「番宣」と云うことのようだ。文春、新潮両面作戦で醜聞を仕込んであるので、大丈夫だとは思うが、死んでも、鳥越を都知事にするわけには行かない、と云う安倍官邸の強い邪な権力振り回しが鼻につく。

 事業規模28兆円なんて、虎の威をふくらし粉で膨らまし、尚且つ、さも壮大な経済対策であるような28兆円を強調し、三百代言並みの得意の舌足らず自信満々口調で、テレビ画面一杯に、膨らんだ首相の顔が映る。なんか、遠目に見ていると“ノ・ムヒョン”が生き返ったのかと勘違いした。まあ、それはさて置き、28兆円の対策など、嘘っぱちなのは常識だ。赤字国債発行と云う聞こえの悪いワードを使わない為に、「財源措置」等という新手の詐欺言辞を編み出した。詐欺師官邸のやることは抜け目ない。しかし、本質的に、アベノミクスは頓挫しているのだから、嘘っぱち政策であっても、やればやるほど、それ相当に悪化する。2200万人に1万5千円?何が目的のバラマキなのか、その目的すら不明瞭になっている。

 この「財源措置」ってのは、「財政投融資」が含まれているので、民間企業が設備投資や研究開発費に投資する場合の低利で貸付をする。「財政投融資」は、その時の企業の事業負担分も含めた、事業規模をカウントした予算額イコールを政府の経済対策総額にカウントしているのだから、財政用語の曖昧さを利用した「詐術言説」である。そもそも、この「財政投融資」は、民間企業がこの制度を利用して、設備投資等々を実行した場合に、初めて発生するもので、積極的対策費ではない。あきらかに、“ふくらし粉効果”を狙ったものである。

 安倍が27日の講演で「事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策をまとめたい」と、大風呂敷を広げたのが、野党連合候補を絶対に勝たせたくないと、白状したような感じもあるが、日銀黒田への牽制球である可能性もある。29日金曜日、本日だが、日銀金融政策決定会合の 結果発表を控えているからだ。安倍のふくらし粉であっても大胆な経済対策規模に見合う、追加金融政策を催促していると読むことも可能だ。しかし、これ以上の金融緩和と云うのは、日銀の限界を超えている。仮に、無理をしたとしても、「財政ファイナンス」と解釈されるのがオチで、容易に選択できる金融政策ではない。仮に、黒田が毒を喰らい皿までもと腹を括れば、あり得るのは「ヘリコプターマネー」の出番と云うことだが、ヘリマネの常識論から考えると、日銀マンの選択できる政策ではない。

≪ 要するに何が違うの? 「ヘリマネ」と日銀異次元緩和  
  編集委員 清水功哉
 日銀が2013年4月以降実施してきた「異次元緩和」とヘリコプターマネー(ヘリマネ)の違いはどこにあるのか――。28日から2日間の日程で開く日銀 金融政策決定会合を前に、そんな議論が熱を帯びている。追加緩和が決まった場合、それがヘリマネに該当するのかが注目されそうなので、基本的なポイントを 確認しておこう。
 ヘリマネとは、中央銀行が「返済不要」の永久的(あるいは半永久的)な資金供給で財政を支えるものといっていいだろう。例えば、満期も利子もない政府発行の永久債を中銀が引き受けたり、すでに中銀が保有する国債を永久債に換えたりする形態が考えられる。
  無利子永久債なら国は利払いをしなくて済む。元本を返す満期も来ない。つまり中銀に買ってもらった国債については「返済不要」ということになり、人々が将 来の増税の心配をする必要もなくなる。あたかもヘリコプターからお金をばらまくようなものであり、財政支出の効果がいい意味でも悪い意味でも大きくなると いう理屈だ(ちなみに、国の日銀への利払いは最終的に納付金という形で国に戻ると考えれば、無利子か有利子かはあまり本質的でないという指摘も出そう だ)。

 ■今の日銀の政策には一応の期限がある
  これに対して、日銀が手掛けてきた緩和政策(当初は量的・質的緩和、現在はマイナス金利付き量的・質的緩和)で購入している国債には満期がある。そして、 より重要なのは今の日銀の政策には一応の期限がある点だ。「日本銀行は、2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時 点まで、『マイナス金利付き量的・質的金融緩和』を継続する」と日銀公表文にある。物価2%の安定的な持続が実現すれば日銀はマネーを引き揚げる可能性が あるのだ。とすれば永久的な資金供給ではない。この点がヘリコプターマネーと異次元緩和の違いだろう。
 といった説明をすると、専門家から反論が来そうだ。「日銀が持つ国債が永久債か否かという仕組みの問題は必ずしも本質論ではない」と。重要な指摘ではある。
  池尾和人慶応大学教授も、週刊エコノミスト最新号(8月2日号)で次のようなコメントをしている。「たとえ永久債を日銀が買い入れたとしても、マネーの恒 久的な増加を人々に予想させることができるとは限らない。永久債であっても、繰り上げ償還したり、普通の国債に切り替えたりすることはいつでもできるから だ」
 要するに、永久債か否かという仕組みの問題より重みを持つのは、日銀の政策について人々が「マネーの恒久的な増加」という予想を持つか否かということだ。
 仮に日銀が永久債を持っても、繰り上げ償還などの可能性を人々が意識するなら、ヘリマネとはいいにくくなるかもしれない。逆に日銀が買う国債に満期があっても、満期に再購入を強いられるなどしてマネーの引き揚げが難しい状態になるなら、ヘリマネに近くなりそうだ。
 もちろん、仕組みの違いには全く意味がないとするのは言い過ぎだ。中銀が普通の国債ではなく永久債を持ったケースの方が、政策の自由度は下がると 考えられるからだ。人々の受け止め方(予想)も違うだろう。とはいえ、より本質的な論点は、脱デフレという目的を達した後、中銀がしっかりと緩和政策から 手を引けるか否かである。ある日銀中枢部門スタッフとヘリマネの定義について議論したときも、そのような認識を示していた。
 既に日銀は実 質的にヘリマネを手掛けていると指摘する論者は、政策の出口が本当に訪れるのかに不安を持っているのだろう。ただし、仮に大半の人がそう思っているならイ ンフレ期待がもっと強まっていても不思議はない。デフレ心理がなお根強いのは、不安がそれほど広がっていないからかもしれない。

 ■「財政との連携」と「財政への従属」の違い  
 もっとも、筆者も不安を全く持っていないわけではない。先ほど「今の日銀の政策には一応の期限がある」と書き、あえて「一応の」という言葉を入れたのも、 そのためである。日本の厳しい財政状況を考えれば、仮に2%物価目標の「安定的な持続」が実現できても、日銀が国債買い入れから手を引いたり、国債保有を 減らしたりできるかには不透明感がある。長期金利が跳ね上がるのを防ぐため、国債購入・保有を続けざるを得なくなる恐れもある。いわゆる「金融抑圧シナリ オ」だ。そうなればインフレが待っているかもしれない。
 政府が「大型」の経済対策を決めるのと足並みをそろえて、日銀が今回の政策会合で行動を起こすことにはそれなりの意味があるだろう。人々のデフレ心理の強さを考えれば、できるだけ効果的なタイミングを選んだ方がいいと日銀が考える可能性はある。
  ただし、「財政との連携」は「財政への従属」とは別物であるとしっかりと説明し、理解を得られなければ、追加緩和を実質的なヘリマネと受け止める空気が広 がるだろう。その方が、短期的には円安・株高を促す効果が大きいとする声もあるかもしれないが、長い目で見て日本経済にプラスかどうかは別問題である。
  最後に書いておきたいことがある。仮にヘリマネがインフレ心理に火をつければデフレ脱却実現の可能性が見えてくるが、最終的に高インフレを招いた場合には 人々にとって物価上昇の負担が重くなる点だ。いわゆるインフレタックス(通貨価値の下落による政府債務の実質的な圧縮)が課されるようであれば、中銀が供給したマネーが本質的な意味で「返済不要」だったのかに疑問も生じる。だからこそ筆者は念のためにカギカッコ付きで「返済不要」と書いているのだ。「タダほど高いものはない」という結果にならなければいいのだが、果たしてどうだろうか。  ≫(日経新聞電子版)


 ≪ コラム:ヘリマネは非現実的、失望の円高に要警戒=亀岡裕次氏
[東京 27日] - 対ドルで100円近辺まで円高が進んでいた為替が、7月11日に突如、円安へと切り返し、21日には107円台をつけた。最近の世界株高に示されるリスクオンの動きが円安をもたらした面もあるが、ヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策導入の期待が浮上したことが円安に寄与した面も大きい。
 ヘリマネの提唱者であるバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長が訪日し、11日に黒田東彦日銀総裁、12日に安倍晋三首相と会談したことが、きっかけとなった。 政府はヘリマネに関する具体的なやり取りはなかったとし、バーナンキ氏が金融政策と財政政策のポリシーミックスの必要性と、日銀には緩和手段がまだいろいろ存在すると指摘したことを明らかにした。
 政府はヘリマネを検討している事実はないとしたが、市場はヘリマネ導入の可能性をやや織り込んだ。 折しも与党が参院選に勝利した後で、政府がアベノミクス強化の姿勢を示し、大型経済対策が月内をめどに打ち出される見通しとなったうえ、28―29日に日銀金融政策決定会合が控えていることが、市場の憶測を強める原因となったようだ。
<ヘリマネ導入による円安リスクは制御不能>
  一部報道によれば、バーナンキ氏が4月に訪米した本田悦朗前内閣官房参与(現駐スイス大使)に対し、デフレ克服の最も強力な手段としてヘリマネに言及し、政府が市場性のない永久国債を発行、日銀が直接引き受ける手法などを選択肢の1つに挙げたとされる。
 また、政府と日銀が協定を結んで、日銀が市場で買い取った国債を半永久的に保有する一方で、政府が取り決めの範囲内で国債を発行するという方式も一部で報道されている。
 日銀が 国債を直接引き受けようと、別枠の基金や市場を経由して間接的に引き受けようと、いずれにせよ日銀が紙幣を増刷して財政支出を賄うことに変わりはない。政府が「永久に(あるいは半永久的に)債務返済の必要のない資金」を日銀から調達し、財政支出として市中にばらまくことになる。
 ヘリマネはこれまでとは違い、「実質的に資産の裏付けのない円」が出回り始めるようなものであるから、それがたとえ小規模であっても、円の信認が低下し、円は売られるだろう。また、財政規律の低下とみなされ、国債が格下げされたり、売られたりもするだろう。
  そもそも、ヘリマネの目的はどこにあるのだろうか。実質的に国の借金を増やさずに財政支出をすると、将来的な増税や社会保障削減への不安が後退して需要創出効果が高まり、デフレ克服に役立つからだろうか。それより、通貨安(円安)効果がデフレ克服に役立つからではないだろうか。
 ただし、ヘリマネ導入によってどの程度円安が進むのかは、事前にわからない。デフレ克服のための金融・財政の一体化策と言っても、円の信認と価値を低下させる政策に他ならないので、円安が大幅に進む可能性がある。
 当初は円安を背景に日本の株高が進むとしても、いずれ国債価格が下落(金利が上昇)して、株価や不動産価格にマイナス圧力がかかるだろう。また、円の価値が大幅に下落する見通しとなれば、海外勢が日本への投資を引き揚げて、円資産価格にマイナス圧力がかかる可能性もある。
  つまり、当局がコントロールできないような円安となれば、様々なリスクを伴うことになる。もし円安効果が小さければ、円安効果が大きくなるまでヘリマネの規模を拡大することにもなるだろう。
<狭まる追加緩和余地、円安効果は限定的>
  ヘリマネを導入した場合の円安効果は大きく、導入の可能性はゼロではないと市場がみているからこそ、円安が進んだはずだ。しかし、政府・日銀がヘリマネ導入に踏み切る可能性は非常に低い。
 すでに、黒田日銀総裁の「ヘリコプターマネーの必要も可能性もない」との発言などを受けて、円高に振れている。 一方、日銀が 7月の政策決定会合で追加緩和を行うとの市場の期待は強い。日銀当座預金のマイナス金利幅拡大は、民間銀行の収益悪化効果と市場金利低下効果が相殺し、円安効果は乏しいだろう。
 日銀が貸出支援基金から民間銀行に貸し出す金利にマイナスを適用した場合、銀行の利ざや縮小を抑えるものの、貸し出し規模が限定的なために金融緩和効果と円安効果もさほど大きくないとみられる。 また、国債買い入れ増額とマネタリーベースの増加ペースアップは、短期的に円安効果はあっても、量的緩和の終わりが近づくとの見方から中長期的には円高効果を持つはずだ。上場投資信託(ETF)などの買い入れ増額も、短期的に株高効果は望めても、世界的に市場がリスクオフに傾いてしまえば、効果は長続きしないだろう。
  上記緩和策を複数組み合わせて実行する可能性もあるが、資金需要が弱いなかで資金供給を増やしたり、市場金利を低下させたりしても、金融緩和効果は限られ、金融機関の運用金利と調達(預金等)金利の利ざや縮小が金融引き締め効果をもたらす。量的緩和の拡大余地が限られるとの見方は、強まることはあっても弱まることはないだろう。
  つまり、日銀金融政策に有効な追加緩和余地が十分に残っているとの期待は後退する方向にあるため、追加緩和をしても円安効果は限定的であり、金融緩和への期待変化が今後も次第に円高に作用していくとみられる。
 政府・日銀がヘリマネ導入に否定的な姿勢を示し続けた場合に一段と円高に振れる可能性と合わせて、円安よりも円高の進行を警戒すべきだろう。

*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。 (編集:麻生祐司) *本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 ≫(ロイターコラム)


 「緩和でも株安」との悲観シナリオが市場関係者の間に根深く残っている。しかし、政府の財政政策を睨んで、歩調を合わせることが黒田総裁の就任の重責であることは確定的ファクトなので、何らかの追加緩和を行う可能性は残されている。麻生財務金融担当が、「2%の物価安定目標の実現に向けて引き続き最大限の努力を続けることを大いに期待している」と言っているのだから、幻想的インフレターゲット2%に向かっている同調圧力は、相当に強い。ロイターが伝えるところでは、≪ 最近の閣僚発言から日銀は量・質・金利の3次元で追加緩和に踏み切ると予想。「『政府は国内総生産(GDP)600兆円、日銀は2%の物価上昇をやり抜く』という趣旨の共同声明が出てくる可能性がある」≫と、矢嶋康次・ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト語っている。筆者も、大向こうを唸らせるのが大好きな役者の黒田のことだから、お茶濁し程度の、有効性がゼロに等しい緩和策を出してくるような気がする。

 しかし、その金融政策がお座なりなものであれば、市場関係者の間では、金融緩和アリが優勢なのだから、「期待は裏切られた」と受けとめる確率の方が高い。その瞬間から、市場は「失望売り」に転ずるだろう。最近の上昇相場においては、「ヘリコプターマネー論」や「返済無期限の永久国債の発行」など、禁じ手論が優勢になった時に起きている。しかし、黒田も、ヘリマネの選択はあり得ないと言っていたのだから、サプライズは安手の「お化け屋敷」の水準になり、「失望売り」の要素の方が優勢だ。

 こう考えると、都知事選用リップサービス発言と云う、前述の筆者の推測は外れているようだ。経済対策規模28兆円のふくらし粉発言が、小池、増田両睨み与党候補に有利に働く意味合いは薄れる。下手を打てば、魔の金曜日と云う惨状もあり得るわけで、やはり、幻想的経済成長、GDP600兆円達成に向けてと云う詐術的シナリオに拘泥するのだろう。現実的希望を失った人間は、案外、自虐的に自分の立場と逆さまな人に親密性を憶えたりするようだから、人間とは不思議なものだ。虐げられている人種ほど、より過酷な環境に向かって集団的に突き進む。理論上、あり得ないことが発生するのが、人間が営むゆえの社会、そう云うことかもしれない。

田中角栄を葬ったのは誰だ
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●“露中関係"牛歩の歩みだが 米大統領選後に正体を見せるのか

2016年07月28日 | 日記
中東から世界が崩れる―イランの復活、サウジアラビアの変貌 (NHK出版新書 490)
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NHK出版


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●“露中関係"牛歩の歩みだが 米大統領選後に正体を見せるのか

 以下に参考引用するコラムは、『日本の若者は本当に「右傾化」しているか?無責任なレッテル貼りが「無用な対立」を生んでいる』は、興味あるタイトルにも関わらず、著者の主張がまったくもって語られていない駄作である。にもかかわらず、なぜ載せるのだと怒られるが、テーマが面白いので、コピーしたのだから載せておく。読み飛ばしても、支障のないコラムだ。筆者が感じる、“若者の右傾化論”は語るほどの水準の話ではないと認識している。限られた参加者による“メジャーもどきの言説作り”であり、実体として動く様子もない。右翼系の参加者の顔を眺めれば、滅多に自発的若者を目撃することはない。アルバイト動員が多く見受けられるのだから、自民党サポータークラブの領域に過ぎない。ただ、勘違いして、メジャーな右傾化と思われ、潮流が出来る危惧は残っているだろう。ゆえに、日本会議系の団体が、カネをかけて、メディア戦略を打つのだろう。


≪ 日本の若者は本当に「右傾化」しているか?
  無責任なレッテル貼りが「無用な対立」を生んでいる
■日本社会「右傾化」論の実像
・日本社会の「右傾化」「保守化」ということが言われて久しくなっています。
・例えばここ数年で、「ヘイトスピーチ」(憎悪扇動)や「レイシズム」(人種差別)が問題として採り上げられることが多くなりました。そのような動きを懸念して、2016年5月24日には、自民党や民進党などの賛成多数で「ヘイトスピーチ解消法」が成立しています。
・民族的、社会的マイノリティに対して扇動される憎悪について、政治を含めた日本社会全体で取り組んでいく、という姿勢が鮮明になってきています。
・保守派として知られる自民党の西田昌司議員も、この法案の成立に寄せて《ヘイトスピーチをする方は、ただちに国会が許さない(という意志を示し た)。ヘイトスピーチするなどという考えは、直ちに捨てて頂きたい》とコメントし、公明党の矢倉克夫議員も《まずはヘイトスピーチ、恐怖にかられている 方々にしっかり国の意志を示すことを早急にやらなければいけない》と述べています1。
・この法案には問題点がいくつか指摘されているものの、これを皮切りに、様々な社会階層に対する憎悪の扇動はいけないことだと考える必要があるでしょう。
・このように政治的な動きが整っていく一方で、他者に対する差別扇動はいまだに続いていると言わざるを得ないのが現状です。
・例えば「保守速報」などのような、我が国の民族的マイノリティや政治的な左派勢力、あるいは近隣諸国に対する攻撃や嘲笑の扇動を目的とした(と言わ ざるを得ない)まとめサイトが多くのPV(ページビュー)を集めるほか、「はちま寄稿」「ハムスター速報」などの主要なまとめサイトもまた同様の記事を掲載して支持を集めています(特に「ハムスター速報」に関しては、2012年に片山さつき議員が「ハム速を守ろう!」という発言をして話題になったことがある)。
・またツイッター上においては、左派勢力を嘲笑してリツイートやフォロワーを集める論客も少なくないように見えます。
・近年になって、日本社会の「右傾化」論はヘイトスピーチの解消などの具体的な社会の改善活動と繋がるようになってきました。
・しかし、それまで語られてきた「右傾化」については、その実像を捉え損ねたと言わざるを得ないというのが私の見立てです。そしてそれが、我が国のヘイトスピーチなどへの対策を遅らせてきたのではないか、とも思えます。
・今回は、「右傾化」論がどのように我が国の社会を捉え、そして捉え損ねてきたかについて見ていきたいと思います。
■「ぷちナショ」という出発点
・日本社会の「右傾化」について警鐘が鳴らされるきっかけになったのは、2002年に発行された香山リカの『ぷちナショナリズム症候群——若者たちの新ニッポン主義』(中公新書ラクレ、2002年)だというのがおおよその見方かと思います。
・この本は、2002年に日本と韓国の共催で行われたサッカーのワールドカップにおいて、若い世代が「ニッポン」を連呼するという現象に対し、それが過去に侵略戦争などを行ってきた我が国の歴史とは切り離された、「屈託のない」危険なナショナリズムの兆候なのではないかと論じたものです。
・同書においては、ワールドカップの他、当時ベストセラーとなっていた齋藤孝の『声に出して読みたい日本語』(草思社、2001年)などに見られるような日本語ブームなどのような若者文化と、当時の小泉純一郎政権における靖国神社参拝などの政治的な動きがオーバーラップされるように描かれています。
・この本が発売されたのは2002年9月。ワールドカップが開催されていたのが同年の5月から6月の間であることを考えると、実に早い出版であると言えます。
・翌年、香山は保守派の論客として知られる福田和也と『「愛国」問答——これは「ぷちナショナリズム」なのか』(中公新書ラクレ、2003年)を出したほか、ちくま新書からは『ぷちナショナリズム症候群』からの繋がりとなる『「私」の愛国心』『テレビの罠——コイズミ現象を読みとく』(それぞれ2004年、2006年)という政治関係の著書を上梓しました。『なぜ日本人は劣化したか』(講談社現代新書、2007年)や『劣化する日本人』(ベスト新書、2014年)などの社会関係の本でも若い世代の「右傾化」を述べています。
・また2015年12月には、『ぷちナショナリズム症候群』が『がちナショナリズム——「愛国者」たちの不安の正体』(ちくま新書、2015年)として再版されています。
■香山リカ、活躍の背景――雑誌から新書へ
・香山のこのような議論に対する批判については後述しますが、香山のこれらの議論が新書というメディアで行われたのは実に象徴的です。
・というのも、1990年代から2000年代にかけて、言論の方向性を決定づけるメディアが総合雑誌から新書に変わったとされているからです(なお、香山の新書メディアにおける発言については、拙著『「劣化言説の時代」のメディアと論客』で検証している2)。
・岡田章子(東海大学准教授/雑誌メディア研究)は、デフレ不況における消費者の意識の変化や、インターネットの普及による情報接触環境の変化により、論点を総合的に見せる総合雑誌から、一点集中型の新書に変化していったと指摘しています3。
・先月の私の文章(「マーケティング化する『若者論』の罪」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48919)で採り上げた三浦展は、この現在の新書ブーム、そして新書の普及による言論のアジェンダ・セッティングの変化を背景に伸張した論客の一人です。
・他にも新書メディアで日本社会の「劣化」を論じた論客は少なくありません。
・香山はそのようなメディア環境の中で、「若者(の心性)の専門家」として、日本社会の劣化言説(のみならず、社会批評から自己啓発に至るまで様々な言説。香山の新書での言論は実に多岐にわたる)を語り、また多産であったことも相まって、現代の言論のありかたそのものにフィットした論客として活躍できたと言っていいでしょう。
・香山によって引っ張られてきた「右傾化」論は、かなり長い期間、「若者論として」発展してきました。特にそれは、若い世代における「階層化」と絡めて論じられることが多くなっていったのです。
・例えば「女子供文化研究家」を自称する荷宮和子は、『若者はなぜ怒らなくなったのか——団塊と団塊ジュニアの溝』(中公新書ラクレ、2003年)などにおいて昨今の「右傾化」論やリベラル勢力の退潮が「決まってしまったものは仕方がない」という若い世代の心性の変化にあると指摘しました。
・2004年に長崎県佐世保市で起こった女子小学生による同級生殺傷事件に際して書かれた論考では、若い世代の
《「在日ではなく、女ではなく、低学歴ではないものの、しかし、低所得な人間」》による(とされる)ネット上の書き込みに注目し、《その種の意見を見かけるたびに、「戦争になったら強姦し放題 だぜ!」という彼らの声なき声が私には聞こえてくる》《だからこそ、こんな状況の中で「月刊現代」をわざわざ読んでいる、といった人たちには、「無教養な田舎者」が戦場に送られたときに何をしでかすかについての自覚と覚悟を、抱いておいてほしいと思うのである》と不信を扇動しています4。
・また金子勝は、2005年の衆議院議員総選挙(いわゆる「郵政選挙」)の結果について、同時期に発売された三浦の『下流社会』(光文社新書、2005年)と絡めてフリーターやニートに代表される「階層化した若者」が自民党を支持したと指摘5。
・吉武輝子や矢幡洋、千石保も2005年9月12日,13日付の東京新聞で当時首相であった小泉純一郎や自民党の戦術が「若者」的であったから勝ったのだという分析をしてみせましたし6、内田樹も、小泉の戦略は若い世代にアピールしたと述べました7。
・このような立場は、2005年の衆院選で自民党が取ったとされるメディア戦略、特に「B層」と呼ばれる、「IQ」が低く(ある広告代理店が自民党に 提示した資料での表現。2005年6月26日の「郵政民営化に関する特別委員会」における佐々木憲昭議員の指摘)、小泉改革に肯定的な層を動員することによって成功したのだという認識と見事に一致しています。
■「右傾化した若者」の自己肯定に使われる
・このように、左派の論客やメディアにおいては、香山による「ぷちナショナリズム」の「発見」から現在に至るまで、自分たちにとって都合の悪い政治的な動きは「若者」によるものであるというスタンスをとり続けたのです。
・2014年の東京都知事選挙や先般の参議院議員選挙においても、そのような態度をとる論客は見受けられまました。参院選では、若い世代において自民党への支持が高いという調査結果が報道されたとき、森達也が「いまの若い世代は同調圧力に流されやすくなっているために自民党を支持している」という通俗 的な認識に基づく議論を発表しました。
・左派がそのような態度をとり続けているとき、批判されている「右傾化した若者」は、「既存左派は階層化した我々を救済してくれない(ゆえに右傾化しているのだ)」と、左派の認識を逆に自己肯定に使うようになっています。
・例えば「ロストジェネレーション(ロスジェネ)」の代表的な論客である赤木智弘は左派の格差認識について、
《経済格差という現状の背景には、まず「富裕層」が存在し、その下に富裕層によって安定した役割を与えられている「安定労働層」がいて、さらに安定 労働層のために調整弁にされる「貧困労働層」が存在するという構図がある。左派はこの構図を自覚していないのか、結果として安定労働層と貧困労働層の間の格差を押し広げてしまっている。/こうした状況で、私は左派が想定する救済対象に「弱者であるはずの私」が含まれるとは決して思えない。いわば左派は「基本的な平等」をないがしろにしているのではないかとさえ感じてしまう》 と指摘しています8。
・しかし「左派が自分たち(若者)を救ってくれないこと」に拘泥することは、結果として世代間の対立を扇動することにしかならなかったと言わざるを得ません。
・このように、若者論によって主導されてきた「右傾化」論は、既存左派と「意識の高い」若い世代の論客の対立を扇動し、結果として「右傾化した若者」に絶好の言い訳を与えてしまったとしか言い様がないように思えます。
・ツイッターなどのネット上の論客においては「既存左派が若者を救ってくれないから自分たちは右傾化するのだ」という議論を繰り返して支持を集める論 客も多くいますが(なお先の参院選をはじめ、左派勢力の中には若い世代の貧困問題などに取り組む人も少なくなく、事実に反する)、「若者の右傾化」論こそがこのような態度を生んでしまったことは検討に値するでしょう。

■「若者の右傾化」論のズレと対策
・最後に、「若者の右傾化」論に対して向けられてきた批判を紹介します。
・例えば2002年に刊行された『ぷちナショナリズム症候群』をいち早く批判したのは、反権力のスキャンダリズムを掲げる雑誌『噂の眞相』のコラム「撃」でした。
・このコラムは《日本語ブームや朗読ブームの危うさを取り上げつつ、そこで検証されるべき歴史と目の前の現象とを切り離して屈託なくふるまうのが「ぷちナショナリスト」だと香山は言うのだが、他でもない香山自身の考察がまったく歴史性を欠いているのである。(略)社会的背景を考えるといっても、せいぜい数十年単位の世代論でしかない》と香山自身の分析の浅薄さを批判しました9。
・また鈴木謙介は月刊誌『世界』2005年7月号の寄稿で「右傾化」論の示す「右傾化」という議論の焦点が合っていないこと、実像としては「ネット私刑」による「左派的な形式による反左派的な主張」に近いと指摘10。
・樋口直人は右派系市民運動への参加者の中心は「貧困化した若者」ではなく正社員や自営業者などの中流の中年層が中心であると分析し11、 古谷経衡は2014年の東京都知事選挙において「20代が田母神俊雄候補を支持した」という指摘に対して、田母神の得票における20代の割合は全体として それほど多くなく(16%)、さらに2014年都知事選や朝日新聞の世論調査などから「右傾化」はあまり支持されないという結果を導出しています12。
・ネット上のヘイトスピーチの対策については、例えばツイッターに関して、高史明は、古典的、現代的レイシズム関連のツイートのおよそ2割〜2割半が、上位25のアカウントによって占められていると指摘しています13。
・インターネット上の「炎上」に参加したことのある人が、全体の2%程度に過ぎないこと14と絡めて考えると、問題は深刻であっても、現実的な対策は可能であることが示唆されます。
・若者の政治意識については、特にSEALDsに代表される左派系の若者の政治運動なども絡めて稿を改めて論じたいとは思いますが、長い間「若者論」として展開された「右傾化」論が、社会の実像を見誤らせ、若い世代への無用な対立を煽り、社会問題の解決を遅らせてきたことについては、今一度省察すべき です。

*後藤和智(ごとう・かずとも) 1984年生まれ、宮城県仙台市出身。 東北大学工学部卒業、同大学院工学研究科博士課程前期修了、修士(工学)。2004年に若者論を検証するブログを開設。 サークル「後藤和智事務所OffLine」としての活動は「コミックマーケット73」(2007年冬コミ)より。 現在は若者論研究のほか、同人誌では統計学や社会学の解説書、データジャーナリズムなども扱う。公式ブログ:
http://kazugoto.hatenablog.com/
 ≫(現代ビジネス>オトナの生活>後藤和智・賢者の知恵)


 今夜の本題は、『世界の厄介者、ロシアと中国に働く吸引力 牛歩ながら着実に進み始めた?"同盟関係"』の方だ。なるほど!と膝を叩くほど、中ロ関係の現状は判るコラムではない。筆者も、中ロ関係には非常に興味があるのだが、中露同盟的動きが、今ひとつ明確になっていないことへの疑問があった。W.C.氏のコラムが、正鵠を得ているとは言えないが、中ロ双方の現状認識の一面を理解させている。ロシアそのものは、米国のオバマ政権、ネオコン勢力から総攻撃を喰らい、必死の防戦戦争のまっただ中、屋台骨に危うさも出ている中国経済を抱えて、厄介事は、対米問題だけにしておきたい中国の立場も理解出来る。まあ、W.C.氏が、露中同盟の成立を嫌っている立場と云うことも念頭に入れながら読み解く方が良さそうだが(笑)。

 あそこまで、中国が南シナ海に拘泥する事情の真意は判らない面があるが、中国が手を出さないでいたら、アメリカの支配領域にされることが明々白々だったゆえに、確信的課題になってしまったのだろう。TPPと太平洋の軍事的支配権は、米国にとって、残された僅かなフロンティア地域であることから、触手を伸ばすのは、確実だった。その支配が確定的になることは、目と鼻のシナ海で展開されることは、看過できないファクトだったろう。EUがNATOで雁字搦めのジレンマに陥っているのを目撃している中国としては、顰蹙を買ってでも、暴挙に出る方法がベターだったと理解する。

 米大統領選の成り行きは、その二大政党制の根本から皹だらけで、四分五裂と表現しても良いほどの事態に至っている。中ロは、現状耐えきることが肝心だと考えているのだろう。アメリカ全体が、実は迷い児になっているのだから、いま、慌てふためくことはない。クリントンになるなら、現状の戦力を前進させればだけだし、トランプになった場合は、地政学上のモラトリアムに持ち込むことは可能だと考えているかもしれない。ハッキリしている事は、中ロ共に、「米国一国主義」は正しくないし、不愉快なのだ。まあ、今後の展開は、アメリカにどのようなホワイトハウスが出来るか、それ次第では、中ロ共に、自国経済の立て直しを本格的に手を着けたいと云うのが本音だろう。両国ともに、アメリカの裏に表に展開される内政干渉にウンザリしているのは確かだ。


≪ 世界の厄介者、ロシアと中国に働く吸引力
  牛歩ながら着実に進み始めた? "同盟関係"
 中国の傅瑩(Fu Ying)・全人代外事委員会主任委員が、米外交雑誌「Foreign Affairs」の1/2月号に「中国から見たロシア」と題した露中関係論を寄稿している。
 その結論から見ると、「米国の今の動きはアジアにとって危険である一方、中露には反米ブロックを形成するつもりなど毛頭ない」という米国向けのアピールが狙いだったようだ。
 中国の米国対策でロシアが出汁に使われた感がなきにしもあらずだが、露中関係は第三国を敵視することなく2国間の協力により互いの目標を達成し合って行くという、安定した戦略的パートナーシップであると誇らしげに説き、歴史を乗り越えてそのような関係構築に成功したことは、大国同士がどう平和裏 に共存できるかを示す好例である、とまで述べる。
 米国もこれに見倣ってほしい、というところだろう。それゆえ彼女に言わせれば、露中関係を否定的に捉える西側の互いに相反する2つの見方 - 露中両国の現在の関係は便宜上の結婚に過ぎず、いつかは破綻する運命にある、あるいは、戦略面や思想面で露中が反米・反西側同盟を形成する - はいずれ も的外れでしかない、ということになる。

 ■ロシアと中国で見識の差
 しかし、彼女は少なくとも1つだけ間違っている。両国関係を否定的とは言わずとも、彼女とは異なった目で見ているのは西側だけではない、ロシアの知識人やメディアも、なのだ。
 傅瑩の説くように、露中が同盟関係には立ち至っていない点には同意しつつ、カーネギー財団モスクワ・センター所長のD.トレーニンは今の露中関係を、「決して対立はしないが、常に同調とも限らない。露中の間の距離は近い、しかし近過ぎもしない」と表現する。
 そして、「中国と強固な同盟が作れなかったことは、ロシアの東進政策での失敗とは言えまい、なぜなら過度にロシアが中国に依存することを避け得たから」と付け加えることを忘れない。 
 こうした地政学的な観点は、物事を冷めた目で見るのが仕事だから、その種の表現がロシア側の対中熱気の薄れを表象、とまでは言えまい。それがあるとすれば、前回このコラムでも触れたように、両者の経済関係で、だろう。
 トレーニンの下で、カーネギー財団モスクワ・センターのアジア・太平洋方面部長を務めるA.ガブーエフは、ロシアが自国の投資環境の改善を果たさぬままに東進政策を加速し始め、それが世界の資源価格下落と中国の成長鈍化にぶつかってしまった不幸を指摘する。
 他のロシアの論者も、これらの要因で中国企業がエネルギー分野への投資に慎重になってしまったと嘆き、ロシア中銀は、中国経済の1%の減速がロシア経済の0.5%の減速をもたらすと弾く。
 昨年の露中貿易額は対前年比で約30%と大幅に減少し、ロシアは中国にとって16番目の貿易相手国でしかなくなってしまった。今年に入ってからも 1~4月で昨年同期の2.7%増に過ぎず、2020年で貿易総額2000億ドル達成の看板はまだ下ろしていないものの、ロシア政府高官からはこれに懐疑的な溜息が聞こえんばかりだ。
 貿易の減少は、それでもまだ短期的な話として片付ける余地があるかもしれない。しかし、中国の対露直接投資の額が昨年で5.6億ドルと、中国の対外直接投資全体の0.5%でしかないとかになると、ロシア側の失望感は否が応にも増してしまう。

 ■「中国経済が下り坂だから?」
 ならば、中国の対露直接投資残高が同じCIS内のカザフスタンに向けての額(2014年末で271億ドル、ユーラシア銀行の数値)の1/10強でしかない事実をどう説明できるのか?
 露中政府間委員会(双方のトップはI.シュヴァロフ/第一副首相、張高麗/第一副首相)が両国の共同投資案件として58件(総額500億ドル)を選択したものの、露紙によれば具体的に話が進んでいるのはその中でわずか12件(5件という説も)という牛歩。
 V.プーチン大統領自らが声を枯らして投資を呼び込む極東の先進特区では、案件総数166に対し、中国企業はその中の8件にしか参画しようとしていない。そして、金融分野では、在露の中国商銀子会社がすでに昨年の11~12月に資産を大きく減らした(中国銀行で45.3%減)と報じられる。
 こうなると、資源価格下落や中国経済の成長鈍化といった説明そのものまで、何やら胡散臭く見えてしまう。ロシアの失望感は、「中国にはロシアをその経済苦境から引っ張り上げる積りなどない、結局中国も融資などでは対露制裁の影響を恐れてしまう」といった評に行き着く。

 ■中国、ロシア経済を酷評
 だが、中国側にも言いたいことは山ほどある。昨年の12月に新華社のロシア語版は、ロシア経済はお先真っ暗、との論評を掲載した。その中でロシアは、経済戦略が行き詰まり、脱工業化と農業停滞の中で出口なきシステム危機に陥っている、と酷評される。
 こんな危ないところにどうして投資などできようか、だ。経済制裁を受ける身で、かつ通貨・ルーブルが大幅下落と来ては、投資を考える側のリスクは際限なく膨れ上がってしまう。
 より問題なのは、ロシアのD.メドベージェフ首相が訪中で李克強首相と経済協力拡大に向けた会談を行ったまさにその日(12月17日)に、この論評が公表されたことだろう。あからさまな中国側の意思表示とすら受け取れる。
 ロシアでは早速これに対して、露中経済関係の歩みの鈍さの原因をロシアに押し付けようとの意図だ、とかの指摘が出される。
 5月末にソチで行われた露中の経済会議では、双方から実務面での問題提起がなされ、中国側からはロシアの諸手続きでの官僚主義、特に労働許可取得の難しさが批判される。中国人は、そこにロシア官憲の対中警戒心を感じ取ってしまう。
 在露中国企業家連合の会頭は、別の場でロシア人を前にして、「君らは我々のカネを愛しても、我々を愛しているわけではないだろう」と言い放ったという。よほど日頃のフラストレーションが溜っていたようだ。
 冒頭に紹介した傅瑩は、中国からの移民問題や中央アジアが中国経済圏に飲み込まれてしまうことへロシアが懸念を持ち、そして中国も1800年代に 多くの領土をロシア帝国に奪われたことへのこだわりを持つ、という双方の問題が存在することを認めながら、それらが両者の関係を阻害するには至っていない と結論付ける。
 しかし、例えばウラジオストクがかつては中国の町であり、それがいつかは必ず中国に戻って来ると信じる向きが中国にはまだ多い、などとメディアが思い出したように書けば、それが気にならない方がおかしい。
 この点を意識してか、中国社会科学院ロシア・東欧・中央アジア研究所の李勇泉(Li Yongquan)教授は、極東での中国の拡張をロシアが懸念する限り投資流入はあり得ないと指摘する。ロシアが懸念するような材料など、実際にはない、がその趣旨だろう。
 中国の大学で働くロシアの女性学者は、「中国人の知るロシアとは、プーチン大統領とロシア美人だけ」とコメントしている。
 無知や無関心は、それはそれで問題だろうが、中国人の中にいれば、少なくとも彼らがロシアから目を離さず、近いうちに押しかけてきてその領土を持って行ってしまう、というわけでもない、と分かってくる。
 あれやこれやで露中両国民の相互理解がまだ十分ではなく、それが少なからず経済実務に支障を与えていることは、どうやら間違いないようだ。しかし、それは露中間に限った話でも別段なく、双方が付き合いの経験値を積んでいく中で、やがて時が解決してくれる部分もあると考えれば、悲観ばかりに暮れる必要もないのだろう。

■大局観と抽象化が十八番のロシア
 経済外交の分野で東進政策や対中接近が必ずしも円滑に進んでいないなら、何がロシアの根本問題なのかをロシアの論者は突き詰める。この種の大局観にあふれ、そして時には抽象化が独り歩きする分析はロシア人の十八番だ。
 ガブーエフは、東進=対中接近が、が単に反西側の反射なのか、それともそれ自体に意味があるものなのか、についてロシアが結論を出せていないことが問題だと述べる(腰が座っていないという意味では、ロシアが本気で東に向かうのかに半信半疑の中国も同様)。
 似たような趣旨を、外交雑誌編集長のF.ルキヤーノフも述べている(参照1、2)。
●ソ連崩壊以降の世界の状況は、崩壊前後のソ連・ロシアの指導層の誰もが考えもしなかった形で進んでおり、ロシアはその中で一種の自己喪失(Identity crisis)に陥っている。
●「絹の道」への中国の膨大なインフラ投資はロシアへの挑戦でもあるが、同時にロシアに参画の機会も与えるはず。だが、その中でどう自分を位置付けるかがまだ決まっていない。
●ロシアは西側への従属を拒絶するが、だからといって東方で諸々での指導的立場に立てるわけでもない。従って、その存在を発揮することも叶わないという中途半端な状態に置かれている。
 トレーニンも、ロシアにアジアに向けた戦略と呼べるものはなく、あるのは「de facto」戦略、すなわち国ごとの個別の関係だけ、と切って捨てる。プーチンの次元で、ロシアを世界的な存在とすることや、東シベリア/極東の経済を発展させ、アジア・太平洋地域での主要プレーヤーとなることが目標となってはいても、それに見合った戦略に落とし込まれてはいないということになる。
 要は何が理由であろうと、戦略不在ということなのだ。そうさせているのは、自分はこうだと他国に自信をもって主張できる何かがロシアに欠けているからなのだろう。
 その欠けているものとは恐らく、まずは経済力、そしてさらには自国への自信そのものの礎となるはずの国の一体性ではないのか。プーチンがある日突然いなくなってしまったならロシアは空中分解か、などと怯えるようでは一体性も何もあったものではない。
 だから多くの論者は、経済外交をやるならとにもかくにも自国の経済状況を改善せよ、相手が中国であろうとなかろうと、ロシアの投資環境を改善せよ、と主張する。
 また、ガブーエフやルキヤーノフは、ロシアの思考回路での問題点を以下のように衝く(参照1、2) ●偉大なロシアがアジアで単なる原料供給国であってはならない、といったロシアの確信(命題)が物事の進展を阻害している。
 ●経済力で中国の弟分になりたくはない、と言うが、中国がもし1970年代以降の対米関係で弟分に成り下がることを単なる感情論で拒んでいたなら、今の中国経済の奇蹟はなかっただろう。
●欧州もロシアに比べてはるかに経済規模は大きいが、彼らに弟分とはみなされてはいないではないか。

 ■同盟関係には程遠い
 トレーニンの“地政学的”な分野に立ち返ると、露中が将来的に同盟関係にまで進むかどうかが議論される。
 彼の論に従えば、2014年からロシアの東進政策と対中接近が喧伝されたものの、これまでのその実態は、トップ同士の相互理解進展、中国企業のロ シアの資源へアクセス拡大、ロシアによる人民解放軍への最新兵器供与、中国と欧州を結ぶ交通路確立でのロシア内インフラの利用、といった程度に終わってお り、同盟関係には程遠い。
 彼や他の多くの論者が述べるように同盟関係が成り立っていないとなれば、それはなぜか、となる。その答えには、両者間に信頼が欠如しているから、 といった厳しい発言(前駐露大使・李輝(Li Hui))や両者の経済力格差、それに中国がロシアを基本的にはアジアではなく欧州の国家とみなし、それゆえに自分がコントロールできる相手でもないと思っているから、などが出されている。
 李勇泉は、どうやらロシアが本気で東に向かっているとはあまり信じられないようで、その東進政策の意味は、せいぜいが中国の存在によるロシアのエ ネルギー資源輸出多岐化の実現、と述べている。これに対して、欧州国家であることが理由でロシアとの距離があると中国が見るなら、中国はGeo- economic playerではあっても、まだGeo-political playerではない、とトレーニンは評する。
 傅瑩もそうだが、ロシア外交評議会・アジア太平洋地域プログラム担当のL.ヴィクトローノヴァは、必要がないから同盟関係に立たないだけで、もしその必要が生じるなら2001年締結の「露中善隣協力条約」で対処可能と説く(同条約第9条 では、一方が第三国から脅威を受けた際の協議条項が規定されている)。
 できないのではなくその必要がないから、とは、俗世間でも負け惜しみで使われることが多い説明のような気もするが、自分を犠牲にしても相手のため に、が国際政治の場では夢物語にすらならない現実を踏まえれば、露中間で同盟が成るかどうか、という問いは、当の露中よりも、この2カ国に同盟を組まれたなら不都合と思う他国の詮索の産物なのかもしれない。
 それでも、対米・対西側への出方でのこれまでの両国の差が、鉄の同盟には至らない理由であったことも事実だろう。中国が主として経済でのつながりの面から、ロシアほどには米国や西側との対立を求めてはいない、とは多くのロシアの論者も認めてきた。
 米露間の冷戦思考継続に中国は驚くのみ、と書く傅瑩は、ウクライナ問題で中国は、旧ソ連内でのロシアと他国との歴史的な関係を考慮しても、同国の 独立・主権・領土の一体を尊重すべき、しかし、西側の教唆で発生したカラー革命やNATO(北大西洋条約機構)の東進には疑問を呈さざるを得ない、という 中国の姿勢を鮮明に述べている。
 国内にウイグルや民主化といった問題を抱える以上、それらを後押しするような動きや概念は、それが米露にどう関わる話であろうと片っ端から否定していくしかない。
 EUやTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への対応でも両者に差が見られる。そして、中国が「一帯一路」や「絹の道」構想を推し進める中央アジアも、露中関係が微妙な地域ということになる。
 ロシアは「絹の道」への参画に2014年までは前向きではなかったし、これに安全保障問題にも関係する上海機構が絡んでくると、即座に中国と手に手を取って、というわけにはいかなくなる。

 ■度重なる首脳会談
 そのため、この6月にウズベキスタンで行われた上海機構首脳会議が「絹の道」と上海機構の連結という点では大した成果を挙げなかったことに、ロシアは内心では安堵していると、オスロの国際平和研究所上級研究員・P.バーエフは分析している。
 こうした第三国への対応で、露中は今後接近していけるのだろうか。
 プーチンはこの6月にタシケント、北京と場所を変えて2度も続けて習近平と会談した。それにしては具体的な大型契約の新たな締結発表などがなく、ロシア側の失望も買ったのだが、今回はどうやら習近平の方がプーチンを無理矢理にでも北京に呼び込んだようだ。
 WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)は、中国が南シナ海関連でロシアを味方にせねばならない立場に追い込まれたとして、ウクライナ問題で中国が取った対応(制裁に加わらず、批判せず)と同じようにロシアが南シナ海問題で行動することを習近平が強く期待している、との観測を報じる。
 南シナ海を巡る対米・対隣国の関係が緊張する中で、仲間は1人でも多い方がいい。そして9月の杭州でのG20サミットでは、中国の株を上げるためにプーチンにも一役買ってもらわねばならない・・・。最近開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議での中国外相のなりふり構わぬ動きを見れば、習近平がそう考えていることも容易に察しが付く。
 ロシア外務省は、公式には南シナ海での問題に対し中立の姿勢を崩してはいないが、従来に比べれば中国の肩を持つ姿勢が目立つようになる。ならば、これが首脳会談で中国側が得た最大の成果だろう。
 トレーニンは、露中間の経済関係は実利主義に基づき政治は絡まない、と断じているが、バーエフは、ロシアの南シナ海問題での協力への見返りに、ヤマールLNGへの中国からの融資120億ドルを習近平が認めた、と見る。これが“プーチンの案件”だからである。
 大西洋評議会の上級研究員・S.ブランクはつとに、「露中関係がしょせんは便宜的関係に終わる」という米国に多い見方が、中国がロシアを引き留めるために譲歩したり、ロシアも対中関係維持のために第三国との関係悪化も辞さない行動に出ている、といった最近の露中接近を見逃している、と指摘している。   物事は既成概念を超えて動き出しているのかもしれない。そして、それが南シナ海の問題のみならず、千島列島でのロシア軍基地建設や、韓国へのTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備にまでつながっているのなら、日本にとっても露中関係は他人事ではなくなる。
 もっとも、ロシアでは外交政策で指導層の意見がまとまり切っているわけでもなく、中国も対米で今のところは手一杯の状態、そして何より米国の次期 大統領がどのような外交政策に乗り出してくるのか予断を許さない以上、露中関係に当面は大きな変化はないだろう - そうロシア科学アカデミー・極東研究 所のV.カーシンは予測する。 
 動きがない、に越したことはない。それが米国の新政権が発足する来年の1月までの話でしかなくとも。  ≫(JBpress>国際>コラム:W.C.大手商社ロシア担当匿名)

アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!
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サイゾー


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●米大統領選、トランプに一票! 国民は考える機会に遭遇する

2016年07月27日 | 日記
属国民主主義論
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東洋経済新報社


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●米大統領選、トランプに一票! 国民は考える機会に遭遇する

 自ら変わることが出来そうもない「日本」と云う国は、海外の圧力によって、変ってゆくしかないだろうかと思う昨今だ。いや、明治維新以降、「日本」は、おそらく、その繰り返しだったのだろう。鎌倉、室町、江戸と幕藩政治の時代が、「日本」の最高到達点であった感慨すらあるわけだ。参議院選の結果を見ても、都知事選の状況をみても、変ろうと云う、自意識が国民の側にない雰囲気が充満しており、理論的に、その将来的リスクを説明しても、至るべき結果を見た上で、何となくの「空気」が次のフェーズを、何となく創ってくれるだろう。おそらく、今後50年以上、その傾向は変らないと確信すらしてしまう。

 情けない状況だが、それが明治以降の日本の中枢の意志であり、国民は、鬼畜米英と叫びながら、天皇陛下か、鬼畜米英が、国民を解放し、救い出してくれると、何の根拠もなく感じていたのだろう。それ程、自意識と云うものが欠落した民族なのである。ただ、筆者は、そのことを、非難もしない、自虐する気もない。世界一長い期間、国家であり続けた「日本」と云う国は、“犬が西向きゃ尾は東”当然のことを当然と受けとめ、四季折々の風情や過酷を、それなりに受け入れてしまう、自然国家独特の特性を持っている。さらに、島国であり、大陸の権力闘争からも、一歩引く独自のポジションを、地政学上与えられてきた。

 しかし、日本人の自然任せ、運任せの、或る意味で、最も美しく、争うことを是としない文化は、欧米文化が謂うところの、考える葦と云った国の動かし方とは異なる思考経路で動く傾向がある。ゆえに、欧米民主主義を持ち込み、選択の自由を与えても、その選択は、あるがままを好むことに、概ね収れんされる。自民党、民進党どちらが政権を取ろうが、第二次大戦後の日本の政権が、向いている方向は、太平洋の彼方の東を向いている。明治大正昭和においては、欧米諸国のあちらこちらを向いていたが、いまや、悪女の深情けと云う言葉がピッタリなほどアメリカ様を見つめている飼い犬だ。

 国民の国政における興味も、地方自治体に対する興味も、所詮、「生活に関わること」のみが興味の対象で、リアリティーを持って、民主主義とか、国の将来とか、憲法論や外交軍事など、興味の埒外にある。象徴化した天皇の権力が、アメリカ様に移ったのだなと云う程度の感想であり、感慨のレベルでもない。しかし、それで、上手く国が回っているのだから、「別に?」と云うのが現実だろう。どれほど、外で、政治論や社会問題を論じたとして、根っこには、権力が、実はアメリカ様に握られている現実を自然現象のように受け入れてしまうのが、日本人なのである。

 であるならば、日本の政治家も、官僚も、企業人も、国民も、興味を持つべきは“米大統領選挙”に収斂されて然るべきだ。しかし、景気だ、社会保障だ、子育てだ、消費税の数パーセント方が需要だと言い募るのである。参院選が、都知事選が……。以前にも書いたが、グローバル世界、グローバル経済と慣用句のように日常生活で使いながら、何ちゅうことはない、世界の傾向には無頓着なのだ。まあ、”ゆで蛙”になっても構わないから、自己判断で、自分の生き様が大きく変わることが嫌いなのだろう。他力で、酷くなっても、文句は言うが、それではどうしようと、自発的に動くことはしない。

 その国民性を、何度も言うが、悪いとは思っていない。自然に寄り添って生きてきた縄文人そのもであり、日本人の原点なのだから、そう云う生き方も、潔しと考えている。まあ、このように考えると、「日本」が他力の強い影響を受けて、無意識的に変わることが起きる以外、変り様はない。たまたま、筆者個人は、現状であれば、アメリカの選択に影響を受ける「日本」であるなら、既得権益の方向性を原則踏襲するクリントンでは、単なるリピート権力に縛られるだけで、安全だが、ワクワクドキドキの時を過ごせない。

 その意味では、まったくの未知数だが、ドナルド・トランプへの期待が大きい。未知数よりも毒がありそうだが(笑)。無論、日本の既得権益グループは、こぞって変りたくないのだから、ヒラリー・クリントン候補の応援だろうが、他力本願で構わないので、チェンジが欲しい。最低でも、日本人が今後とも「民主国家」として、世界の立ち位置を決めたいのであれば、生活感一辺倒から、デモクラシー的思考の世界に一歩踏み出すキッカケが欲しい。そもそも我々は、とデカンショな時間を持って貰いたいものである。トランプが大統領になれば、危機的状況も生まれるかもしれないが、喉もとに匕首を突きつけられるのだから、多少は考えるだろう。いや、それでも考えないかもしれない……。

縄文人に学ぶ (新潮新書)
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●“ポケモンGO”が教えてくれた! 「監視社会」&開発企業とCIA

2016年07月26日 | 日記
大村智ものがたり~苦しい道こそ楽しい人生
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●“ポケモンGO”が教えてくれた! 「監視社会」&開発企業とCIA

 “ポケモンGO”は面白そうなゲームだと思った。昨日、多くの人に遅れること一日、筆者もダウンロードした。しかし、家の中で起動させてみて、なんか奇妙な感覚があった。技術的なことは一切判らないが、嫌な予感がした。そう云うことで、筆者はアプリをアンインストールした。まあ、アンインストールしても、一定範囲は覗かれてしまっている。まあ、その辺は、スマホ生活をしている以上、SNS等々を通じて、既に下着レベルまで脱がされているわけだから、諦めるほかはない。

 筆者が、自分が「監視カメラ」に変身したような気分になったことが問題だ。最近の犯罪検挙のニュースなどを見聞きしていると、街角や店舗などに据え付けられた監視カメラ。或いは、マンションのエントランス、通路、駐車場等々に据えられた監視カメラが犯人検挙の最有力情報源として重要視されていることは理解していた。

 たしかに、監視カメラの有効性は認めよう。時代と共に、警察の捜査手法が変わって行くことも認めよう。監視カメラ一辺倒の捜査手段しかなくなるようなことのないよう祈りつつだが、捜査がデジタル化されることで、誤認逮捕は減るかもしれないが、平凡な容姿だったがゆえに、姿かたちが似ていて、素行が怪しいというだけで、任意同行を求められるような事態もあり得るわけで、一概に悦ばしいことだと手放しで「監視カメラ社会」を歓迎するのも、如何かと思う今日この頃だ。

 公式ページを読んでも、何だかチンプンカンプンだ(笑)。早い話が、ゲームに参加し、ゲームを起動すると、GPS機能によって、身の回りや移動している場所にポケモンが出没する。出没するとスマートフォンが振動して、ポケモンがいるよと知らせてくれる。
≪ マップ上に現れたポケモンをタップすると、ポケモンと遭遇。画面を通して、実際の風景の上に現れたポケモンに、画面上のモンスターボールをスワイプして投げると、捕まえることができます。慎重に、でも早く捕まえないと、逃げられてしまう≫(ガイドより抜粋)
≪ ポケモンを捕まえるために使うモンスターボールは、マップ上に現れる『ポケストップ』と呼ばれる、特定の場所で手に入れることができます。『ポケストッ プ』ではモンスターボールのほか、さまざまな道具が手に入ります。せっかくポケモンに遭遇できても、モンスターボールがなくて捕まえられない! ということがないように、多くの『ポケストップ』に立ち寄って、モンスターボールをたくさん手に入れておこう。 『ポケストップ』は、世界中のあらゆる場所にあります。名所旧跡や有名なモニュメントなどはもちろん、普段気にしていなかった身近なあの場所も、実は『ポケストップ』かも?≫(公式ガイド抜粋)

 ≪「Pokémon GO」,フィールドテスト実施に先駆けて基本的な遊び方が公開。
ゲームの雰囲気が伝わってくる最新のスクリーンショットは必見  ポケモンは,Nianticと共同開発しているスマートフォンアプリ「Pokémon GO」(iOS / Android)の最新情報を,2016年3月下旬に開始予定のフィールドテストに先駆けて公開した。  こちらの記事でお伝えしたとおり,本作はスマートフォンの位置情報を利用し,現実世界でポケモンを探したり,捕まえたりできるタイトルだ。
 今回は遊び方について紹介しよう。ゲームを起動中にポケモンが自分の近くに現れると,スマホが振動して通知してくれる。遭遇するにはマップ上に現れたポケモンをタップすればよく,ゲーム内でモンスターボールをスワイプ操作で投げると捕まえられるという。ユーザーインタフェースやマップを確認できるスクリーンショットも公開されたので,合わせて掲載しよう。
 ちなみにプレスリリースによると,湖や海の近くなら“みずタイプのポケモン”に出会えるかもしれないとのこと。
 ほかにも,マップ上に現れる「ポケストップ」でモンスターボールや道具を入手できたり,「ポケモンのタマゴ」を孵化させるには,たくさん歩かなければならなかったりと,基礎的な情報も公開された。
 また,ポケモントレーナーのレベルが上がると,3種類あるチームの中から,いずれか1つに参加するよう要請され,マップ上に現れるジムに所属できるようになる。同じチームに所属するプレイヤーと一緒にジムを守る,協力プレイの要素も盛り込まれるとのことだ。  ≫(4Gamer.net)

■公式サイト: http://www.pokemongo.jp/howto/get/


 結局、GPS機能とカメラ機能が連動しているゲームと云うことだ。つまり、そのユーザー自身の行動範囲や日時特定でプライバシーが、どこかの誰かに把握されている可能性があると云うこと。技術的には問題なく可能なようだ。まあ、この点は、プライバシーなんて知ったことかと云う人々もいるので、一概に危ないよとか、余計なお世話だ。ただ、カメラ機能は、ユーザーの行った場所をリアルタイムに映し出すわけだから、予期しない形だが、周辺の景色から、周辺の人々まで映し出されるリスクが存在する。つまり、映し出された第三者が、何らかの意味で重要な人物である場合もあるし、浮気現場が映されていることもあり得る。

 つまり、意図せず、他人のプライバシーを侵害する怖れがあるわけだ。と云うことは、そのデーターをビッグデータとして利用することは、現在の技術で充分可能と云うことになる。このことを総合的に考えると、“ポケモンGO”を起動して、遊べば遊ぶほど、どこかの誰かに、リアルタイムで情報を提供していると云うことになる。このゲームのクラウド側に、最低でも情報は流れるので、そのデータが、如何様に使われるかは、もう、ユーザーの守備範囲から離れてしまう。このゲームをすることは、自分自身を監視する「監視カメラ」であり、且つ他人をも監視する「監視カメラ」になり得ると云うことだ。こう云う仕掛けなので、筆者は、俺が「監視カメラ」に変身すると感じたわけである。

 以下は、各種情報源の見出しだ。様々な情報をランダムに掲載しておくが、これら記事を記憶しておくと、“ポケモンGO”が、驚くべき個人及び社会の情報源になってしまうかが理解出来る。賢明な読者は、この見出しの参考URLを、別途読まれることをお薦めする。時間の関係で、記事の引用は割愛する。ただ、幾つか、筆者と同様に、「監視社会用監視カメラ」であると警鐘を鳴らしているものは、記事も引用しておく。


 ≪ オリバー・ストーン監督、ポケモンGO現象に「全体主義」を危惧
【7月22日 AFP】映画監督のオリバー・ストーン(Oliver Stone)氏(69)が21日、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(Pokemon Go)」の世界的なブームについて、全体主義に導かれ得る「新たな段階の侵略」と表現した。
 ストーン監督は、米サンディエゴ(San Diego)で開催中の「コミックコン(Comic-Con)2016」初日、米国家安全保障局(NSA)の元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者をモデルにした同監督の新作映画の討論会で、「ポケモンGO」は「監視資本主義」のより大きな文化の一環だと述べた。
 さらに、「これは、史上最も成長スピードの速いビジネスだ。彼らは巨額の資金を、監視活動、つまりはデータマイニングに投じている」としながら、 「この部屋にいるすべての人に対し、何を買ったか、好きなものは何か、そしてとりわけ日頃の行動についての情報を収集・分析している」と指摘した。
 位置情報に基づく拡張現実ゲームの「ポケモンGO」をめぐっては、今月初めのリリース以降、世界的な大ブームを巻き起こしている。だが、グーグル(Google)の閲覧履歴やEメールへのアクセスなどが要求されるとして、一部では批判も起きている。
 アカデミー賞3度受賞の経歴を持つ同ストーン監督は、「ポケモンGO」は監視文化の「始まり」で、それが「至るところ」にあると述べ、「これは、一部で監視資本主義と呼ばれており、その新たな段階にある」とした。
 また、「率直に言って、そこにあるのは新しい形態のロボット社会だ。そこでは、皆さんがどのように行動したがっているのかが把握され、その行動に合わせたモックアップが用意・提供される。いわゆる全体主義というものだ」と警鐘をならした。 ≫(AFP(c)AFP)


≪ポケモンGOに米の陰謀論 ロシア、国内配信禁止要求も
【モスクワ共同】米国などで大ヒットしているスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」について、ロシアでは「米国の特殊機関がスパイ活動のために開発した」と見なし、国家の安全保障を揺るがす恐れがある“陰謀”だとして、禁止を求める動きが出ている。
 20日のインタファクス通信によると、ロシア下院の共産党議員は、ポケモンGOが最先端の戦争で米国を利するために使われ、利用者のスマートフォンの撮影情報がスパイに悪用され得ると主張。連邦保安局(FSB)に対し、国内配信を禁止するよう文書で要求した。 ≫(東京新聞)

★「ポケモンGO」個人情報に注意を(NHK) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160722/k10010604901000.html

★“ポケモンGO”は単なる監視装置ではない~壮大な洗脳実験プロジェクトの可能性!(WANTONのブログ)
http://ameblo.jp/64152966/entry-12183266690.html

★「ポケモンGO」は“全人類奴隷化”への監視装置である可能性。ルーツを辿ると…(mixiみんなの日記)
 http://open.mixi.jp/user/14949337/diary/1954345006

★モスクワではポケモンの代わりにチャイコフスキーとガガーリンを捕まえる(テスト)(スプートニク日本)
http://jp.sputniknews.com/russia/20160725/2553467.html

★スマート化する監視カメラ(ヤフーニュース>個人>小林啓倫) http://bylines.news.yahoo.co.jp/kobayashiakihito/20121017-00022112/

★低解像度の監視カメラ映像から個人特定を可能に(RBB TODAY) http://www.rbbtoday.com/article/2016/03/08/140345.html

★Pokémon Goは日本製のゲームではない? 開発元のNiantic LabsはGoogle子会社 http://business.newsln.jp/news/201607141315520000.html


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●ロシア・ドーピング騒動 IOC、米国の陰謀工作から距離

2016年07月25日 | 日記


戦争中の暮しの記録―保存版
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●ロシア・ドーピング騒動 IOC、米国の陰謀工作から距離

 正直、今回の一連のロシア国ぐるみのドーピング疑惑と云うか、「」つき「国際社会」のメディアが決めつけるように報道する姿勢を見ていて、嫌な感じがしていた。まあ、ロシアも中国も、手かえ品かえ、選手の機能向上を目指して、あらゆる分野で、あらゆる努力をしているのは事実だろう。このことは、何も中露に限定されている話ではなく、アメリカでも中南米、アフリカ、ヨーロッパでも、それなりに実行されていると認識する。

 問題は、どうして、ロシアが特別待遇で突出した騒ぎになったのか、その地政学的外交軍事問題を背景に、ドーピング疑惑問題をあらためて検証した時、一定の同調圧力が西側諸国に存在する。“ドーピング=悪=中露”と云った構図だ。このような構図は、単なる妄想なわけではない。こう云う問題にまで、米オバマ政権が、政治的ウィングを拡大しようとしている政治的要因、疑惑が多過ぎる現実を見据えた上のことである。順不同になるが、米国が、ロシア及びプーチン憎しで、政治外交軍事に動いている傍証や状況証拠は、山のように存在する。

1、大国として、米国が突出したヘゲモニーを有する国家であることが、絶対的ではなくなっていた。

2、BRICSの抬頭を通じて、相対的に、より一層米国の覇権国としてもプレゼンスが脆弱化した。

3、その結果、中国・習近平、ロシア・プーチン、ブラジル・ルセフ等の「反一国主義」(アメリカ主義)への、反米意識が抬頭。

4、市場原理から起きたことか、或いは意図的に計画されたことか明確ではないが、世界市場において、世界的経済減速を理由に、原油や鉱物資源の価格が急落した。

5、ロシアやサウジアラビアも資源価格低下で、国力を低下させたが、特に、資源中心で抬頭したブラジルの二代にわたる左傾化は、アメリカの地続き南米であり、CIAの工作が効果的なことから、ブラジル左傾化の波を阻止する流れが、アメリカを中心に起きた。結果、ルセフ大統領は、180日間の大統領権限停止と云う意味不明な判決を受けている。まもなく始まるリオ五輪にも、経済的、治安的問題で世界的不安が共有されるに至っている。

6、BRICS、中国の経済減速も加速度的だ。ブラジルは概ねくたばった。米一国主義の継続は可能だ。しかし、アメリカ政府及びオバマ大統領にとって、戦後の世界を二分する形で対峙していた、ロシア(ソ連邦)と云う国家は、EUや日豪のヘタレとは異なり、衰えたとは謂えども、アメリカの思い通りに世界をハンドリングすることを許容しない。

7、ロシアのナショナリズムを見くびっていたアメリカは、政治的に国民の強い支持を背景にしたプーチン大統領に、ありとあらゆる世界をハンドリングする政治的軍事的行動を阻止されていた。特に、プーチンが大統領として実権を握って以降、オバマの前に、常にプーチンが立塞がっていた。このことは、米国にとって不都合なプーチンであると同時に、それ以上に、オバマ大統領にとって、不快極まりない政治的ライバル化してしまった。オバマにしてみると、常に世界で注目されるリーダーにプーチンが選ばれ、オバマは数回選ばれた状況に、あきらかに嫉妬している。

8、アフガン、イラン、イラク、リビア、エジプト、ウクライナ、シリア…。アメリカ諜報の行動を厳しく監視していたのがロシアだ。そして、その悉くにおいて、阻止、乃至は工作失敗に導いている。個人的には、アメリカの自由主義への国体の転換を標榜した「内政干渉」をロシア(プーチン)は阻止していた。現状認識だけでも、イラン、エジプト、ウクライナ、シリアは、アメリカ一国主義に同調する気配は遠ざかりつつある。最近では、トルコ・エルドアン大統領までが、反NATO、親露方向に動いている。

9、ウクライナにおけるクーデターにおいて、ヌーランド国務次官補ユーラシア担当が、ウクライナ野党の指導者を支援し、彼ら及びウクライナ国内のNPO,NGO等々に日本円で1兆円の資金を投入していた。(事実確認されている)そのような経緯でウクライナクーデターはヤヌコビッチ元大統領は命からがらロシアに亡命した。しかし、このオバマ政権の計画を察知していたロシア・プーチン政権は電光石火で、ロシア帝国の領地であったクリミア地域を、民意を背景に統合した。その上、ウクライナ南東部では、未だにウクライナ政府の行政権が及ばない独立運動の最中で、オバマ政権は、騒乱罪的行動への締め括りが出来ない事態に至っている。

 バラク・オバマの世界に君臨する世界を、ウラジミール・プーチンは、悉く邪魔と云うか、世界支配を阻止し続けた。「」つき「国際社会」に同調圧力をかけ、ロシアに対しては赤裸々な「経済制裁」を実行し、ロシア経済をズタズタにした。いまでも、ロシア経済はズタズタのままだろう。しかし、プーチンの権力は凋落するどころか、さらに盤石さを見せ、窮乏に堪えてでも、ナショナリズムが大切と云う、ロシア国民からの絶対の支持を得ている。記憶では、支持率は80%超えている。現在のオバマの支持率はルーズベルト以降の大統領では、したから三番目だ。トルーマン、カーターの次に低く、50%を切っている。あのイラク戦争ブッシュよりも低いのである。

10、NSA(国家安全保障局)による、同盟国である国々の政治リーダーや企業の情報を盗聴していた事実を暴露し、世界的センセーションを巻き起こした、エドワード・ジョセフ・スノーデン氏の亡命を引き受けたのも、ロシア・プーチンである。ウィキリークスとはニアンスが異なるが、米国にとって、爆弾の機雷を握られている苛立ちのなかにある。このことへの報復云々ではないが、ロシア陸上界の組織的ドーピング問題を告発した中距離のユリア・ステパノワ選手と、夫でモスクワの検査機関に勤務していたビタリー氏が、カナダに政治亡命を申請したようだ。また、元ドーピング検査機関所長のグリゴリー・ロドチェンコフ氏は早々と米国に亡命しているようだ。上記三名は、ロシア政府に命を狙われていると云う亡命理由のようだが、米国務省の工作で、10億ドルと、亡命保証の下、話をまことしやかに告発した可能性も充分にある。俺も、誘われたら乗りそうな条件だ(笑)。

 ざっと記憶帳をひも解いてみても、米国オバマ政権が、どれ程国家としての行動を阻害されたか、オバマ個人のメンツもどれ程潰されてきたか、それを考えると、今回のドーピング問題の根っこには、国際政治上の米露の戦いと、オバマとプーチンの闘争と云う個人的恩讐の臭いさえしてしてしまう。以下に、今回の騒動の、一応の顛末記を、ランダムに参考掲載しておく。


 ≪ 【IOC】  露、リオ排除せず 各競技団体判断
【モスクワ杉尾直哉】国際オリンピック委員会(IOC)は24日、電話による緊急理事会を開き、国ぐるみのドーピング(禁止薬物使用)が指摘されているロシアをリオデジャネイロ五輪(8月5日開幕)から全面排除しないことを決めた。個々のロシア選手の出場可否の判断は、各競技の国際競技団体に委ね、IOCとしての判断は避けた。 陸上参加は困難か  過去にドーピング違反で資格停止処分を受けた経歴がある選手や、国際競技団体が出場資格を十分に満たしていないと判断した選手は出場を認められない。
 タス通信によると、ロシア・オリンピック委員会は25日に緊急役員会を開き、「反ドーピング独立委員会」を設置する。プーチン大統領が22日に提案した委員会を正式に発足させ、国を挙げてドーピングと戦う姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。
 ロシアに関しては、まず陸上で組織的なドーピング疑惑が発覚。国際陸上競技連盟が昨年11月にロシア陸連を資格停止処分とし、今年6月に、ロシア国外を拠点とし潔白が証明できる場合を除いてロシア陸上選手のリオ五輪出場を禁止すると決めた。さらに世界反ドーピング機関(WADA)が今月18日、2014 年ソチ五輪や、夏季の20競技、パラリンピック競技などで国主導のドーピング隠蔽(いんぺい)があったと認定し、IOCにリオ五輪からロシア選手団を排除するよう勧告した。しかしIOCは19日の緊急理事会で、法的側面の精査が必要であるとして判断を先送りしていた。
 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は21日、ロシア陸上選手のリオ五輪出場を禁止した国際陸連の決定を支持する裁定をした。しかし最終的にはIOCが五輪出場の可否を決断すべきだとの見解を示していた。  ≫(毎日新聞)


 ≪ ドーピング告発、ロシア2氏亡命 カナダに申請
 ロシア・メディアは17日までに、ロシア陸上界の組織的ドーピング問題を告発した中距離のユリア・ステパノワ(旧姓ルサノワ)選手と、夫でモスクワの検査機関に勤務していたビタリー氏が、カナダに政治亡命を申請したと伝えた。
 国際陸連(IAAF)はロシア陸連の暫定的な資格停止処分を決めた。ロシア陸連が2016年リオデジャネイロ五輪に出場できない可能性がある中、2人は身の危険を感じて亡命を決めたとみられる。
 昨年12月のドイツ公共放送ARDによるロシアのドーピング報道は、2人の告発に基づく。  (時事) ≫(朝日新聞デジタル)


≪ 露選手数十人が使用か 米紙が前所長証言報道
【モスクワ杉尾直哉】米紙ニューヨーク・タイムズは12日、2014年2月にロシア南部ソチで開かれた冬季五輪に参加した ロシアの選手のうち、メダル受賞者15人を含む数十人が禁止薬物を使用していたとするドーピング疑惑を報じた。世界反ドーピング機関(WADA)から認可 を受けていたロシアの検査機関の所長だったグリゴリー・ロドチェンコフ氏が同紙の取材に応じ、薬物投与の実態について詳細に語った。
 同紙はロドチェンコフ氏の証言を基に薬物を投与されたとするメダリスト3人の実名を報じた。ボブスレーで金メダルのアレクサンドル・ズブコフ▽クロスカ ントリーで金と銀メダルのアレクサンドル・レグコフ▽スケルトンで金メダルのアレクサンドル・トレチャコフ−−の3選手。
 タス通信によると、国際オリンピック委員会(IOC)広報は12日、「報道は極めて具体的であり、WADAに対して調査開始を求める」と述べた。
 ロシアのドーピング問題は、ドイツ公共放送ARDが14年12月、陸上界の組織的関与疑惑を報じ、明らかになった。これを受け、露陸上界は国際陸連から 資格停止処分を受け、8月のリオデジャネイロ五輪出場が危ぶまれている。今回、冬季五輪の選手団にまで疑惑の対象が広がり、ロシアは説明責任を厳しく問わ れそうだ。ロシアで18年に開催されるサッカー・ワールドカップ(W杯)にも影響を与える可能性がある。
 ロドチェンコフ氏は、露陸上界の問題に関する昨年11月のWADAの報告書で、組織的関与の「中心人物」と指摘されていた。同紙によると、投与対象者リ ストを露スポーツ省からもらい、アルコール飲料に複数の薬物を混ぜた「カクテル」を飲ませていた。「カクテル」は自身が発案し、吸収を速めるなどの効果が あったという。尿検査の検体は、ロシアの治安・情報機関である連邦保安庁(FSB)職員とみられる人物が、薬物投与前にあらかじめ取っていた検体とすり替 えていた。
 こうした指摘について、ムトコ露スポーツ相は12日深夜、タス通信に対し、「ばかげた話」と一蹴。「記事は法的観点から検討しなければならない」と述 べ、法的措置も辞さない構えを示した。同紙の報道について、露国営テレビは13日未明のニュース番組でトップで伝えたが、実名で報じられた選手らは同テレ ビに対し疑惑を一切否定した。
 ロドチェンコフ氏は昨年11月、露政府から検査機関の所長職を解任され、その後、「身の危険」を感じて米国に事実上亡命。現在はロサンゼルスに住んでい る。かつてロドチェンコフ氏と親しかったロシア反ドーピング機関の幹部ら2人は今年2月、あいついでロシア国内で死亡している。  ≫(毎日新聞)


≪ ステパノワの出場認めず=ドーピング告発に謝意―IOC〔五輪〕
【ロンドン時事】国際オリンピック委員会(IOC)は24日、ドーピング問題を告発したことで、国際陸連からリオデジャネイロ五輪出場を認められた女子中距離のユリア・ステパノワの出場は認めないと発表した。
 ステパノワは2014年、モスクワのドーピング検査機関に所属していた夫のビタリー氏とともにロシアのドーピング問題を告発。ロシア代表ではなく、中立の立場でリオ五輪出場を要望していた。
 IOCはロシア選手の条件付き出場を認める一方で、過去に違反を犯した選手は除外する方針を決定。違反歴を持つステパノワについても例外は認めないとした。
 IOCは声明で、ドーピング問題に立ち向かったことには謝意を表明。夫妻をリオ五輪に招待し、ステパノワの競技生活を支援する意向を示した。 ≫(時事通信)


≪ 「露は国家主導でドーピング」
2016年7月19日 アレクセイ・モスコ、ロシアNOW
 ロシアでは2011年以来、陽性反応の出たサンプルを隠ぺいするシステムが行われていた――。世界反ドーピング機関(WADA)の独立調査チームの報告書には、このように述べられている。
 7月18日(月曜日)、世界反ドーピング機関(WADA) の独立調査チームのリチャード・マクラーレン委員長は、2014年ソチ冬季オリンピックでロシア選手は集団的にドーピングを行い、関連省庁の職員が、その サンプルを陰性のものにすり替えていた、と述べた。「我々が調査したサンプルのすべてに隠ぺいの跡があった」と、マクラーレン委員長は、カナダのトロント で、ソチ五輪ののドーピングに関するWADAの調査結果を発表した際に指摘した。
 ロシアのドーピング検査機関元所長のグリゴリー・ロドチェンコフ氏のスキャンダラスなインタビューが、5月13日付け米紙ニューヨーク・タイムズ に掲載されたのを受け、WADAは調査を開始。ロドチェンコフ氏はインタビューのなかで、ソチ五輪でロシア選手が集団的にドーピングを行い、それを特殊機 関が隠ぺいしたと述べていた。
 WADAは 今回の調査で、ロドチェンコフ氏の発言に同意している。ロシア連邦保安庁(FSB)は、モスクワからドーピング検査のサンプルを、ソチ五輪前に設けられた 特別な実験室にある特殊な冷蔵庫に持ち出していた。FSBはこのような秘密の活動を行っていた」。マクラーレン委員長はこう語った。
 同委員長によると、同様のシステムは、2011年以来行われており、2013年のモスクワ開催の世界陸上、昨年のカザン開催の世界水泳選手権でも用いられたという。 情報漏えい  WADAの調査結果が公表される1日前、ニューヨーク・タイムズそ の他、いくつかの報道機関に、次のような記事が載った。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長に対し、米国反ドーピング機関 (USADA)のトラビス・タイガート会長のほか、ドイツ、スペイン、フランス、ノルウェイ、日本、デンマーク、ニュージーランド、カナダ、スイスの9カ 国の反ドーピング機関、および20のスポーツ団体が書簡を作成して支持を求めているというもの。
 その書簡は、ロシアの国ぐるみのドーピング疑惑が立証された場合、リオデジャネイロ五輪でロシア選手団の締め出しを呼びかける内容だという。ロシア・オリンピック委員会は、USADAのこの要求に対し、IOCとWADAへの書簡で答え 、そのなかで、USADA の行為は五輪憲章違反であると非難したうえ、WADAの調査結果の詳細が発表前に漏れていたのではと推測している。
 なお、潔白なロシア選手までリオ五輪から締め出されかねないことについて、国際体操連盟 (FIG)、国際水泳連盟(FINA)、国際レスリング連盟(FILA)、国際バレーボール連盟(FIVB)は、懸念の意を表明している。
ロシア選手団はリオ五輪から締め出されるか
 形式的には、WADAの調査結果(マクラーレン報告)は、夏季五輪には関係がない。WADAの法務専門家も、ロシア選手団のリオ五輪への参加問題について、IOCに勧告を与えるつもりはないと述べている。
 一方、ロシア・オリンピック委員会は、ロシア選手団を排除し得るのは、IOCの執行委員会で多数決で表決された場合のみだと指摘している。「だが、これも理論上の話だ。近代オリンピック史上、また五輪憲章制定以来、このような措置が適用されたケースはない」と、ロシア・オリンピック委員会のアレ クサンドル・ブリリアントフ法務局長は、タス通信のインタビューに対し指摘している。
 また、ロシアから選出されたIOC委員 であるヴィタリー・スミルノフ氏は、IOCがそのような行動に出ることはないだろうと考えている。「IOCがそうした挙に出るとは思えない。私はIOCで 既に45年間働いており、その勢力図を承知しているし、IOC幹部にははっきりした立場がある。バッハ会長は、冬季五輪参加者の責任を他の五輪や種目に転嫁することはできないと述べている」。スミルノフ氏は、テレビ局「マッチTV」に出演してこう語った。  ≫(ロシアNOW)


 ≪ プーチン大統領がWADA報告で声明
 プーチン大統領の声明が18日、クレムリンの公式ウェブサイトに掲載された。WADA特別委員会の報告書で指摘されたロシアの役人を、調査が終了するまで一時的に外すという。同時に、もう少し完全で客観的な情報を提示するようWADAに求めた。
スポーツへの政治介入
 プーチン大統領は同時に、今回のドーピング騒動について、スポーツに再び(冷戦時代のような)政治的介入が入り始めていると考えている。
  「スポーツへの政治的干渉の危険な再開を目の当たりにしている。干渉の形は確かに変わったが、スポーツを地政学的圧力、国とその国民の悪いイメージ づくりの道具にするという本質は昔と同じ。(中略)今日、ドーピング使用が発覚したといって、潔白な選手たちの利益を守るとみせかけて、彼らを含めた選手 全員に対して、制裁を加えようという試みが行われ、いわゆるドーピング騒動が利用され始めている」と記されている。
 ロシアのスポーツ選手を非難するWADA特別委員会の結論は、「スキャンダラスと評判」の一人の主張にもとづいて構築されている。これがモスクワ反ドーピング研究所のグリゴリー・ロトチェンコフ元所長のことを指しているのは明らかだ。
ロシアはオリンピズムの原則を大切にしている
 プーチン大統領の声明によれば、ロシアは以前からずっと、「スポーツにドーピングが存在する余地はない」という自国の立場を明確に示してきた。  「ロシアは一貫してこの悪を根絶し、国内法を改善し、関連国際機関や国際オリンピック委員会とオープンに協力し、自国の義務を厳格に遵守している」とプーチン大統領。  ≫(ロシアNOW)

 ≪ ロシアのリオ五輪除外に米国反ドーピング機関の“横やり”
 リオ五輪への参加の可否が注目されるロシア選手団。国際オリンピック委員会(IOC)は24日に臨時理事会を開いて最終的に判断することになった。
 IOCはロシア政府主導でのドーピング違反、検体の隠蔽を問題視しているが、リオ五輪からの締め出しを図る裏に米国反ドーピング機関(USADA)の関与も指摘されている。
 USADAはIOCに対してロシアの出場を認めるべきではないとの書簡を送ったというのだ。タス通信が20日、ロシアオリンピック委員会のアレクサンダー・ジューコフ会長の話として伝えている。
 記事によるとソチ五輪でのロシア選手団の不正を暴いた世界反ドーピング機関(WADA)特別調査チームによる報告書の公表が18日。それに先がけて16日にはIOC宛てのUSADAの草案文書が一部メディアで報じられた。
 ジューコフ会長は報告書の内容が明らかになる前にUSADAがロシアの出場停止を訴えたことを疑問視し「(五輪からの締め出しを画策する)IOCによる我々への圧力ではないかと感じた」と話している。
 ロシアと米国は五輪では毎回、メダル数を争うライバル関係にある。前回のロンドンまでのメダル獲得総数は米国は金976個を含む2404個でトップ。ロ シアは1123個(金440個)で続いている。多くの競技で互いにしのぎを削る間柄だけに、米国にとってはロシアの欠場が追い風となるのは間違いない。  ロシアの出場資格問題には政治的な陰謀も渦巻いている。 ≫(日刊ゲンダイ)

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●富裕層の守銭奴と税務当局の闘争 累進課税強化と刑罰強化

2016年07月24日 | 日記
税金亡命
佐藤 弘幸
ダイヤモンド社


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●富裕層の守銭奴と税務当局の闘争 累進課税強化と刑罰強化

 以下は、日本の富裕層に関しての節税、脱税などに関する情報やその紹介に関する記事及びコラムだ。税の徴収と云うものは、公正を期待されるわけだが、脱税と節税の間にあるグレーゾーンのパナマ文書事件のような問題を考えると、基本は、当たり前の徴税で、徴税額が増えるのが理想だ。不正のある納税者を炙り出すために、徴税以上の歳費を費消したのでは意味がない。幾ら法治国で法の遵守を追求するからと言って、対費用効果がマイナスでは、正義の鉄槌も高いものにつく。

 税に関して素人なので、細かい部分で様々な支障は出てくるかもしれないが、経済成長が、世界的に鈍化しており、我が国の場合には、移民の解禁や新たな市場開拓と誕生でもない限り、経済成長は限りなくゼロに近い。こういう構造的経済不調において、経済成長ありきの、税体系自体が間違い、と云うことだろう。つまり、経済成長や資本の利息率が1~2%程度とか、ゼロやマイナスになるような時代においては、累進課税の税率を引き上げる以外、効果的税増の手段はない。消費税にターゲットを絞る税制は、逆進性が著しく、公正公平の原則に反している。

 稼ぎの多い奴が、多くを負担する。稼ぎのマーケットを構成した貧乏人の多くのお蔭で、儲けたわけだから、その負担を受け持つのは当然である。昭和49年(1974年)の所得税率の最高税額は75%。住民税は18%。合計で93%が最高税率だった。まさに、国家に奉仕して、国民を潤してくれるのが、富裕層だった。当然、世間の尊敬の的であり、国民栄誉賞を受け取るに相応しい人々だったのである。国民の税金食わせて貰う奉職に就きながら、叙勲とか、本来あり得ない。

 所得税に限定してみても、階段状に税率は下がり続け、平成11年(1999年)には75%だった所得税最高税率が37%になってしまった。言い方を変えれば、「してしまった」となる。これではあまりにも目立ち過ぎだと思ったのか、二段階引き上げ、昨年最高税率を45%まで上げた。しかし、住民税の最高税率は下げ続けたままで、ピークの18%時代から、今では10%と時代となり、浅く広く、手間いらずで税収の上がる消費税に目が向いたわけだが、個人消費者の総スカンを食い、今頃、どうしようと、慌てふためているのだろう(笑)。グレーゾーンや脱税を追いかけるのも程々があるわけで、偏執狂脱税Gメンだらけも迷惑だ。後は、脱税への厳罰化、刑罰強化の法整備が必要になるだろう。無論、この刑の厳罰化に関しては、国家権力濫用の惧れもあるので、その対処法も同時に必要になるのだろう。

 法人税にせよ、所得税にせよ、「新自由主義理論」の路線に、アメリカが突き進んでいたので、竹下内閣当時に、所得税から消費税と云う流れが出来たようだ。市場原理主義は市場には「神の手がある」ので、任せておけば、塩梅よく世間を回してくれると…。その為には、市場の動きを阻害する国の規制を撤廃することがポイントになった。その「規制緩和」の大合唱は、小泉竹中路線から、安倍黒田路線に繋がることになる。強欲資本の市場原理が、真っ赤な偽物なことの、証明は、もう充分ではないか。「徳」のない世界に、神の手が降臨する筈もない(笑)。

 アベノミクスや政府は≪「貯蓄から投資へ」の流れに逆行している。金融庁の今夏の税制改正要望では少額投資非課税制度(NISA)の恒久化の扱いが注目されているが、株式などの相続税評価額の在り方も焦点になりそうだ。≫ と、守銭奴国民に対抗する「守銭奴陥落作戦」を断行しているが、老後不安を煽るに良いだけ煽っておき、自助で人生生き抜け説教するのだから、政策のポリシーに齟齬が合うわけで、法理念そのものに瑕疵があると言っても過言ではない。所得税や法人税の累進性を高めると、富裕層、稼ぎ頭企業が逃げてゆく論があるが、G0の時代とテロの時代、日本語の通用しない世界で、金を守ることが、どれ程辛いか、経験すれば身に染みて判るから、杞憂に終わる。


≪ 「実はスイスに…」 日本の富裕層、相次ぎ修正申告
■パナマ文書で租税回避に厳しい目
パナマ文書問題などをきっかけに日本国内でも富裕層の租税回避に厳しい目が向けられている。2014年から5千万円を超える海外資産には「国外財産調書」の提出が義務付けられ、富裕層の修正申告も相次ぐ。ただ海外に日本の調査権は直接は及ばないため、国税当局は日本人が海外に保有する資産の全体像を把握しきれていない。
 「実はスイスに数億円の株などがある。国外財産調書のことは知っていたが、これまで資産を申告せず調書を提出してなかった」。東京都内の税理士(57)の事務所で、相談に訪れた50代の男性経営者が神妙な面持ちで切り出した。
 この税理士によると、経営者は20年以上前から海外で資産を運用し、規模は年々拡大。最近では海外の資産分だけで年間100万円前後の所得があったという。相談後、経営者はすぐに修正申告の手続きを取った。
  大手税理士法人の山田&パートナーズによると、同法人に寄せられる海外資産に関連する相談や修正申告の件数は、国外財産調書の導入前は年間10件程度だったが、導入後の14年以降は年間50件程度まで急増している。辻・本郷税理士法人も「海外資産に関連した相談件数は2~3割増えている」という。
 野村総合研究所の調査では、2013年時点で純金融資産(国内外の保有資産の合計から負債を差し引いた値)が1億円以上の富裕層は約101万世帯と推計されている。
  一方、国外財産調書を提出している人は約8千人(15年提出分)。個人の税務に詳しい税理士は「富裕層の厚みから考えれば、提出義務を果たしていない人の方が多いのではないか」と指摘する。「海外財産なら課税の網から逃れられる」との意識を持つ人も少なくないとみられる。別の税理士は「『無申告の海外資産を保有している』と相談に来た人に修正申告を勧めたら、二度と来なかったケースもあった」と話す。
 国税庁は実際にどれくらいの人が5千万円を超える財産を海外に持っているのか正確には把握していない。調査・徴収権は海外には及ばず、金融機関の口座を直接調べることなどはできない。同庁幹部は「送金や入金記録などから海外資産の保有状況を地道に調べるしかない」と話す。
 各国とは租税条約による情報交換もしているが、別の同庁幹部は「税収の確保は国家権力そのもの。当事国の徴税権と対立し、簡単には協力してもらえないケースもある」と明かす。
 海外資産を使った課税逃れが横行すれば、「富の再分配」という税制の機能を損ないかねない。青山学院大学の三木義一学長(租税法)は「金融取引に対して課税するなど、富裕層に一定の負担を求める新たな制度も検討すべきだ」と指摘している。  
▼国外財産調書
 海外資産の種類や時価などを記載する。富裕層の所得税や相続税の課税逃れを防ぐため2014年1月に導入された。年末時点で5千万円を超える海外資産を保有する人は翌年の3月15日までに税務署長に提出しなければならない。
 故意の不提出や虚偽記載には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。最新の15年提出分(14年分)の提出者数は制度の周知などで前年比約47%増の8184人、財産総額は同23%増の3兆1150億円。財産の内訳は有価証券が最多で1兆6845億円だった。  ≫(日経新聞電子版)

≪ 国税が富裕層の徴税強化、金融庁は相続税圧縮も
国税当局が富裕層への徴税強化を進めている。ここ数年、富裕層の資産を捕捉するための制度改革を相次いで実施した。2014年1月から5000万円以上の 海外資産を持つ人は毎年、資産の内容や額などをリストアップした「国外財産調書」を税務署に提出することになった。当局は海外資産が不動産であれば賃貸収入を得ていないか有価証券であれば利息や売却益を得ていないかと監視の目を光らせている。一方、国が旗を振る「貯蓄から投資へ」の流れを加速させるため、金融庁には上場株式や投資信託など値下がりリスクのある金融資産について相続時の評価額の圧縮を検討している。
 ■富裕層の専門チームが全国展開へ
国税当局は徴税強化に躍起だ。制度改革だけでなく、調査体制も強化した。15年7月に東名阪の3つの国税局に富裕層を専門とする調査チームを設置し た。このチームが富裕層の中から調査候補をピックアップし、対象となった個人は「重点管理富裕層名簿」という国税内部のリストに記載される。この対象者は A、B、Cの3つに区分され、Aは調査することが前提の人、Bは調査する可能性がある人、Cは様子を見る人となる。
 専門調査チームは7月には全国に拡大される見込みだ。具体的な実績は明らかにされていないが、当局はこの取り組みに手応えを感じており、東名阪の3国税局から全国の12国税局・事務所に専門部隊を置く構えだ。
 ■大手証券が顧客囲い込みに
納税は国民の義務とはいえ、多額の税金を納める富裕層の悩みは深い。一方、大手の証券会社などはこれをビジネスチャンスと捉え、富裕層の囲い込みに動いている。富裕層の多くは高齢の企業オーナーで、彼らの最大の不安は無事に事業承継を済ませられるかだ。税の問題はまず顧問税理士に相談するが、ほとんどの税理士は事業承継を手掛けた経験がない。そこで、富裕層ビジネスに強い大手証券の出番となる。
 事業承継のポイントは持ち株の生前贈与だ。スムーズに承継が進めば、顧客からの信頼が高まり、今後の取引拡大も期待できる。だが、長男ではなく次男に継がせたいとか外部から後継者を呼びたいとか簡単に口にできない悩みを聞き出さない限り、最適なスキームは作れない。
  そのため、担当者は企業オーナーに「使えるやつだ」(大手証券)と思ってもらうために必死だ。例えば、生前贈与する非上場株の評価額を圧縮するため、評価額を抑えやすい類似業種比準価額方式を薦めたり、資産管理会社を通じた自社株保有で評価額を下げることを提案したりと、地道な営業に汗をかいている。
 ■売れない期間のリスクを考慮
 もっとも、パナマ文書が暴いたケースのように、提案合戦の行き過ぎでグレーゾーンにまで踏み込まないように注意が必要だ。富裕層は「危ない橋」を渡りたがらない人が大半で、金融機関は節度を持った対応が求められる。
  一方、真面目な納税者には国も応えようとしている。例えば、相続が発生すると名義書換完了まで遺産を売却できないが、株式や投信などはこの間に大きく値下がりするリスクがある。高齢の富裕層の中には、こうしたリスクを避けるために株式などを生前に処分するケースもあり、結果として「貯蓄から投資へ」の流れに逆行している。金融庁の今夏の税制改正要望では少額投資非課税制度(NISA)の恒久化の扱いが注目されているが、株式などの相続税評価額の在り方も焦点になりそうだ。 ≫(日経新聞:R&Iファンド情報編集部)


 ≪ 大富豪、国税、カネ守りが死闘!“税金逃れの主戦場”を生き抜く「本物の金持ち」
【清武英利、シンガポール・ルポの舞台裏】
■取材には時間がかかりますよ
富裕層はなぜ、資産を抱えて祖国を出るのか。タックスヘイブンの国に、誰からどのように誘われたのか。息苦しい日本だったのか。異国で何を幸せとするのか。誰と生き、どこで死ぬのか。 そんなことを聞きに、2年半前、大金持ちの移住者で沸くシンガポールに渡った。旅の初め、いつものように、特ダネの神様に祈った。「本当のことを言ってくれる人を見つけ出せますように」。
先達の鎌田慧氏は『ルポルタージュの書き方』(明治書院)で、こう書いている。 〈ルポルタージュの旅とは、真実を語ってくれる人を探しだす旅であり、自己発見と自己変革の旅である〉
幸い、新聞記者時代の2000年にも、私はシンガポールを取材していた。英語は話せなくても、私には当地の古い友人たちが付いており、今では約3万7千人の日本人が住む“ムラ”がある。 ルポルタージュの手法の一つに、定点観測という描き方がある。
その日本人ムラの真ん中に腰を据え、ひたすら話を聞いて全体を描こう。車酔いではない けれど、人酔いするくらいに、朝から晩まで次々に人に会っていれば、本当のことを話してくれる人に出会うことができるはずだ、と思っていた―と、ここまで 書けば、読者はもうお分かりだろうが、取材を始めるとき、私はいつも楽天的なのである。そしていつものように、取材を始めてすぐ、ムラの住人に甘さを警告された。 「取材にはとても時間がかかりますよ」
 ■存在を消す富裕層たち
シンガポールで教えてくれたのは、外資系に勤めるプライベートバンカーである。 「本物の富裕層にも簡単に会えません。ここは戦場みたいなところです。あなたは日本の税務調査官がこの地に潜伏しているのをご存じないでしょう。忍者の『草』のように当地に同化して探っているのです。そんなところで、富裕層がひょいと顔を出したら調査官に撃たれてしまいますよ」
別のプライベートバンクの関係者は、「資産家が表に出てこないのは、日本の税務署に目をつけられるのが嫌だからです」とはっきり言った。彼女の説明はわかりやすかった。
「半端なく苦労して貯めた人にとって、おカネは税務署に取られるか守るか、という感覚なんです。それにクリーンなカネでない人もいるのでしょう。私の知っている人は、日本を出る前も来てからも、『国税がここまで追いかけて来ている』って言ってるもの」
なるほど、日本から5000キロも離れたこの国が、税金の戦場になっているのか。
「資産家の中にはね、日本の会社を後継者に譲ってきたと言いながら、実際はこっちで指示を出してる人もいます。会長でも役員でもないのにね。登記上、表に出ないけどテレビ会議で経営判断したり、Skypeで指示したり、こっちに幹部を来させるとかね。 国税庁は意地になって税金を取ろうとしていますから、日本に一時帰国したときは、毎日ホテルを変えて(足取りをつかまれないようにして)いる資産家もいるそうです。でも、これから十年も経ったら、日本から富裕層が脱出しちゃって、中間層以下しか残らない国になっているんじゃないですか」
再びなるほどと思いながら帰国し、考え込んだ。さて、この旅で身を切るような真実を語ってくれた人がどれだけいたか。
2度目の旅では友人たちに甘えないように、一人でムラを歩いた。すると、次々に証言者が現れた。あれは特ダネの神様が同情して降りてきてくれたのだろう。 シンガポール銀行(BOS)で、日本人の辣腕バンカーが富裕層から詐欺を働いて逮捕されたこと。日本人の被害者が殺されかけたと訴えているのに、それが封印されていたこと。
課税逃れのために当地へ移住し、「退屈で死にそうだ」と漏らす日本人富裕層が少なからずいること。その資金を守るプライベートバ ンクで、百億円の生命保険も販売していること。バンカーや富裕層は当然のようにタックスヘイブンの国にペーパーカンパニーを持っていること―。 聞き歩きをしているうちに証言は膨大な量になりすぎて、何が何だかわからなくなった。
何しろ取材時間だけで50時間を超える関係者もいるのだ。 メモに埋もれて溜息をつく姿にあきれたのだろう、妻は証言メモの束に細かい索引を作り、編集者とともに叱咤した。よろめきながら新著『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』を脱稿して、執筆の神様の方はなぜ早く助けに来てくれなかったのかと訝しんでいる。  ≫(現代ビジネス>メディアと教養>清武英利・読書人の雑誌「本」より)

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●民進党、万年野党&溶解への道 カスだけが生き残った!

2016年07月23日 | 日記
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●民進党、万年野党&溶解への道 カスだけが生き残った!

 都知事選も中盤に差し掛かっている。大雑把に選挙情勢を俯瞰すると、“小池候補:鳥越候補:増田候補:未定=3.5:3.0:1.5:2.0”と云う情勢と見受ける。どうも、官邸と自民都連の応援する人物が齟齬を来すと云うか、増田候補に見切りをつけ、勝ち馬を側面援助して、野党連合候補を蹴落とす戦術に方向転換した気配が濃厚だ。所謂、怪しい保守を主張する日本会議等々の連中が、増田候補に難色を示していることも、官邸の態度が二転三転した事情なのだろう。野党連合候補である鳥越候補は、ネガキャンの攻撃も受けているようだから、余程頑張らないと、勝利の目は遠ざかる。ウッカリすると、自民党は、組織票の一部を小池候補に回し、リードを盤石にする手まで繰り出すかもしれない。鳥越候補は、著名ジャーナリストであるから、序盤は断然有利だが、選挙戦突入以降は、逃げ切るだけでなく、“都知事になる”と云う必死度が出てこないと、じり貧になる怖れは多分にある。

 昨日の我が国は、都知事選挙も“ポケモンGO”に占拠されたようだ。それでなくとも、“歩きスマホ”の危険が叫ばれている日本で、“歩きスマホでポケモンゲット!”と云うゲームだけに、面白そうだが、社会的問題も一緒にブーム化させてしまうかもしれない。欧米ロの主だったメディアも、“ポケモンGO”への言及記事は多い。ただ、ゲームの面白さよりも、ゲームに夢中になることで起きる事件や事故についての記事が多く見られる。サウジアラビアのイスラム教聖職者団体が、ポケモンのカードゲームは「反イスラム的」と声明を出したと云う世界のメディア報道を否定した。サウジ政府も聖職者団体も、“ポケモンGO”を「反イスラム的」としたことはないと火消しに回ったと、世界の潮流にまで影響を及ぼしているようだ。小生も、数日中にアプリをゲットしようと思っている(笑)。

≪ ポケモンGO、日本でも配信開始 欧米で爆発的人気
スマートフォンのゲーム「Pokemon GO」(ポケモンゴー、eは鋭アクセント付き)のサービスが22日、日本でも始まった。スマホの基本ソフト「アンドロイド」や「iOS」向けのゲームアプリが、午前10時すぎからダウンロードできるようになった。
 先行している米国や欧州では大人気で、早く遊びたいとの声が高まっていた。ポケモンはファン層が子どもから大人まで幅広く、たくさんの人がプレーしそうだ。欧米の状況を踏まえて運営用のサーバーを強化し、アプリの修正などをしたうえで、日本でも開始したとみられる。
 ポケモンGOはスマホの画面を見ながら街を歩き、ポケモンを探すゲーム。カメラのモニター機能や位置情報などを利用することで、現実世界にポケモンが出現するような感覚が味わえる。捕まえたポケモンを成長させ、他の人のものと戦わせることもできる。
 ポケモンブランドを管理する「ポケモン」(東京)と米国のゲーム会社「ナイアンティック」、任天堂(京都)の3社が共同で企画した。
 アプリのダウンロードは無料で、基本的に費用をかけずに遊べる。ゲームを有利に進めるアイテムを手に入れるため、お金を払わなければいけない場合もある。
 海外では夢中になって交通事故に遭ったり、立ち入り禁止地域に入ったりする事例が相次ぐ。夏休みの子どもらが安全に楽しめるように、政府や学校などは事前に注意を呼びかけていた。
 ナイアンティック社はホームページで守ってもらいたいルールを公表した。「立ちいってはいけない場所や、許可無く立ち入れない場所や建物には、決 して入らないでください」などとしている。「他人に迷惑にならず楽しいと思ってやっていることが、他のプレーヤーや同じ場所にいる方には全く違う形で捉えられることがあることを、ご理解いただくようお願いします」と配慮も求めている。
 スマホと連動して近くにポケモンがいると知らせてくれる端末「Pokemon(eは鋭アクセント付き) GO Plus」(ポケモン ゴー プラス)は、税抜き3500円で7月末に発売される予定だ。(西村宏治、新田哲史)    
  ◇  
〈ポケモン〉 ゲームソフト「ポケットモンスター」のシリーズに登場する架空の生き物。1996年発売の「ポケットモンスター 赤・緑」が初代の ゲームで、「ピカチュウ」など151匹を集めて「図鑑」を完成させる遊びが人気を集めた。種類は今では720以上まで増えている。ポケモンが活躍するアニメは、これまでに約95の国・地域で放送された。ゲームや関連商品の売り上げなどを合わせた世界の市場規模は、累計で4・8兆円を超すとされる。  ≫(朝日新聞デジタル)


 米共和党の次期大統領選正式候補にトランプ氏が選ばれ、21日、指名受諾演説を行った。グローバリズム世界経済に毒された、「」つき「国際社会陣営」は、こぞって、トランプ候補を非難乃至は揶揄する論調で埋め尽くしたいる。日本のメディアも、ピンからキリまで、反トランプ現象を起こしているようだ。しかし、トランプ氏の主張には、多くの点で、賛同する政策も多く見られる。個人的には、通説論に与する気はない。世界のアメリカであるよりも、アメリカ人のアメリカであることが、最も大切で、世界の国々に、“あぁしろ、こうしろと説教する気はない”と云う「反グローバリズム」の嗜好には、賛同さえ憶える。ロシアや中国が、個別的対米問題は別にして、「自国主義」に、アメリカが向かうことを歓迎する論調が目立っている。おそらく、中東の国々も、“そうだ、そうだと”、小さな声で言っているに違いない。朝日は以下のように報じている。兎に角、騒乱罪的国際関与外交方針を、アメリカは見直すべきだ。

≪ トランプ氏が指名受諾演説 クリントン氏に敵意むき出し
 米共和党の大統領候補に指名されたトランプ氏(70)は21日夜(日本時間22日昼)、オハイオ州で開かれた党全国大会で指名受諾演説を行った。外交・安全保障、経済政策とも米国益を最優先する「米国第一主義」が「我々の信条になる」と強調。環太平洋経済連携協定(TPP)に反対する姿勢を打ち出した。
 大会最終日の21日、党から大統領候補に指名されたトランプ氏が登壇し、指名受諾を宣言。その後に演説し、「我々は米国を最優先する。グローバリズムでなく、アメリカニズム(米国主義)が信条になる」と強調。「米国を最優先しない政治家が率いる限り、米国は他国から尊敬されない」とオバマ政権を批判した。
 既成政治を批判し、「私ほど仕組みを熟知している人間はいない。私だけが修正できる」と自信を示した。
 貿易政策では「だましている国に立ち向かう新たな、公平な貿易政策を開始する」と強調。TPPについて「米国の製造業が破壊されるのみならず、米 国が外国政府の支配下に置かれる」と指摘し、「米国の労働者を傷つけ、自由と独立を脅かす、いかなる貿易協定にも署名しないと宣誓する」と主張した。また、北米自由貿易協定(NAFTA)については関係国と再交渉し、「我々が望む合意ができなければ、離脱する」と述べたほか、中国の知的財産権侵害を批判し、中国との貿易協定も見直す考えを示した。
 外交・安全保障政策では、民主党のクリントン前国務長官時代に過激派組織「イスラム国」(IS)が勢いを増し、リビアやエジプトが崩壊したとして、その外交手腕を疑問視した。
 また、「我々は劣化した米軍を再建し、米国が防衛する国々に相応の負担を払うよう求める」と語った。以前、駐留経費を日本側が全額負担しなければ在日米軍を撤退させるとし、自国防衛のための日韓両国の核兵器保有を容認する考えも示唆。演説では日本には触れなかったが、北大西洋条約機構(NATO)については「多くの国がテロと戦う対価を払っておらず、時代遅れだ」として改革が必要との認識を示した。
 一方、移民政策では「不法移民やギャング、暴力を防ぎ、薬物の流入を防ぐため、国境に巨大な壁を建設する」と強調。自分が大統領になれば、「犯罪や暴力はなくなる」と述べた。
 また大規模減税で「雇用を呼び戻す」と訴え、積極的に設備投資を進める考えも示した。
 演説では、11月の本選で対決するクリントン氏への敵意をむき出しにし、国務長官時代に公務で私用メールアドレスを使った問題に触れ、「彼女が達 成したのは、ひどい犯罪に関与し、その罪から逃れたことだ」と指摘。大企業から多額献金を受けているとして「彼らは彼女のすべてをコントロールしている。 彼女は操り人形だ」と断じた。  ≫(朝日新聞デジタル:クリーブランド=佐藤武嗣)

 ≪ トランプ氏、米大統領就任をかけた戦いに出馬合意
米億万長者のドナルド・トランプ氏はクリーブランドでの党大会で共和党からの米大統領選挙への出馬指名を正式に承諾した。 トランプ氏は共和党の党員らを前に「謹んで、また感謝の念をもって、米国大統領への指名を受諾する」と述べた。
トランプ氏はまた、国が犯罪と暴力に直面しているときに政治的修正に留まっていてはならないと語り、2017年1月20日から国の安全は回復すると約束した。
トランプ氏は外交政策の失敗の責任はオバマ大統領と民主党推薦のヒラリー・クリントン氏にあるとして非難した。
トランプ氏は大統領として米国の内政に集中すると述べ、グローバルな問題に集中する姿勢を見せているライバル候補との差異を指摘し、自分の信条はアメリカニズムにあるのであり、グロバリズムではないと語った。
2017年1月20日、今年11月の大統領選の結果をもって次期米大統領の就任が行なわれる。
先に報じられたとことによると、トランプ氏は、米大統領選挙の民主党候補の指名を確実にした前国務長官のヒラリー・クリントン氏こそが、テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」の出現を引き起こしたと発言していた。 ≫(スプートニク日本)

≪ トランプ氏:クリントン氏が「ダーイシュ」をつくり出した
米大統領選挙の民主党候補の指名を確実にした前国務長官のヒラリー・クリントン氏が、テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」の出現を引き起こした。
共和党の指名を確実にしたドナルド・トランプ氏が述べた。Orlando Sentinelが伝えた。 トランプ氏は、「ヒラリー・クリントン氏は、自身の愚かな政策によって『ダーイシュ(IS)』をつくり出した。クリントン氏は、『ダーイシュ』に対する責任を負っている。彼女がバラク・オバマ氏を指導した。
なぜなら、私が思うに、彼は何も知らなかったからだ。私は、オバマ氏はクリントン氏を当てにしていたと思っている」と語った。
先に伝えられたところによると、ジョン・ケリー米国務長官はモスクワ訪問で、ロシアに対し、シリアにおけるテロ組織との戦いについて、ロシアとのより深い連携を提案する。 ≫(スプートニク日本)


 ようやく、民進党の話に辿りついたが、既にくたばってしまった(笑)。先の参議院選挙では、野党連合を実現させたまでは良かったが、それを結果に結びつけることは出来ずに、改憲勢力に2/3議席をギリギリだが確保させることになった。民進党の代表選は、今のところ、9月7日が有力のようだ。まあそれよりも、岡田代表の命運は、東京都知事選の結果次第に大きく影響されそうだ。野党連合候補の鳥越氏が当選すれば、細野や前原がどれ程吠えようとも、再選が濃厚だ。しかし、ウッカリ、産経の記事を読んでしまったのだが(笑)、現民進党と云う政党から、本来のリベラルと言われていた勢力の流れは、消えつつあることを思わせる内容になっていた。

 共産・社民・生活3党と、民進党の主たるグループは、想像以上に異なる性向を持った政治家に占められている現実を悟らさせた。産経の色分けだが、「主流派」が、岡田克也代表と蓮舫など所属の野田佳彦の“花斉会”で構成され、「非主流」が、前原グループ・細野グループで構成しているのだそうだ。筆者の感覚からは、目糞鼻糞な主流・反主流の面々であり、民主党を駄目にした奴らだけが生き残っている。笑うに笑えない話だが、今の民進党の現実のようだ。“明治は遠くなりにけり”ではないが、鳩山・小沢の“民主党は遠くなりにけり”の感慨ひとしおだ。仮に、これが民進党の実態であるのなら、民進党抜きで、反自民勢力を組み立てる「或る出来事が必要になる」。安倍自民の悪政が火を噴くとか(事例:自衛隊IS掃討作戦参加戦死者多数)、日米安保体制を揺るがす事態が発生(事例:トランプ大統領の日本核武装容認)するとか、大災害(事例:中部首都圏崩壊の地震が起きる)とか、ついつい、大ショック療法を想起してしまう。


≪「反岡田」勢力結集の動き 共産連携に反発、対抗候補一本化目指す
 民進党内で、岡田克也代表の任期満了に伴う党代表選をめぐり、「反岡田」勢力の結集を目指す動きが出始めた。岡田氏は参院選で共産党との共闘を重 視し、憲法改正議論を封印。にもかかわらず、結果は与党などの改憲勢力が発議に必要な3分の2以上を占める惨敗となり、「共産依存」が進む岡田体制への不 満が高まっているからだ。党内の保守系議員は8月中旬までに候補者を一本化し、岡田氏の再選阻止を狙う。
 「ご足労いただきありがとうございます」
 細野豪志元環境相は22日、議員会館の自室に旧民主党出身の平田健二前参院議長を招き入れ、参院選の話もそこそこに代表選について意見を交わした。
 平田氏は、共産党と組む党運営に反対し、「このまま進めば民進党はじり貧だ」と警告。憲法改正議論をタブー視しないよう求め、細野氏には「民共連携に反対する候補を代表選に出すべきだ」と訴えた。
 細野氏が会長を務める党内派閥「自誓会」には、「代表選に候補を出さないなら、派は解散すべきだ」(中堅)と細野氏の出馬を求める声も多い。
  「反岡田」勢力の裾野は広がりつつある。馬淵澄夫元国土交通相は21日のメールマガジンで「次の衆院選は間違いなく憲法が争点となる。単なる『護憲』では 対峙(たいじ)できないことも考えなければならない」と強調。参院選福島選挙区で勝利したばかりの増子輝彦参院議員も、20日のメールマガジンで「岡田代 表には1日も早く辞任すべき決意をしてほしい」と指弾した。
 党内では、こうした批判を背景に、自ら出馬をにおわす議員も出始めている。
 長島昭久元防衛副大臣は22日のブログで「党の中にも 憲法改正が必要だと考える議員は少なくない」と指摘したうえで「『政権準備政党』としての真のリーダーシップが求められる。その先頭に立つ覚悟です」とつ づった。長島氏は細野氏と意見交換を繰り返しており、周囲には「8月のお盆過ぎには保守系、反共産党で候補を一本化する」と語っている。
 党内きっての改憲論者とされる前原誠司元外相も出馬に意欲を示している。保守系議員の間では、前原、細野、長島の3氏のなかから「反岡田」の統一候補を選ぶ方向で調整が進む。
 ただ、党内には次期衆院選も見据え、民共連携を進める岡田体制の継続を求める声も強い。保守系3氏がこうした流れに屈せず、統一候補の選定までこぎ着けられるかは不透明だ。 ≫(産経新聞:坂本一之、千田恒弥)


 PS:
今度は、EUの最中心国、ドイツで無差別テロが起きたようだが、まだ、詳細は判らない。朝日とNHKは以下のように報じている。

≪ドイツで銃乱射、6人死亡か 犯人の一人は自殺との情報
 ドイツ警察当局によると、同国南部ミュンヘンのショッピングセンターなどで22日午後(日本時間23日未明)、銃乱射事件が発生した。警察当局はフェイスブック上で、異なる3人の人物がライフル銃を持っていて、少なくとも3カ所で銃を乱射した、という目撃者の情報を伝えた。ロイター通信は警察当局の話として、6人が死亡した、と伝えた。
 ロイター通信が地元メディアの報道として伝えたところでは、犯人の一人がショッピングセンター近くで銃で頭を撃って自殺したという。警察当局は市民に対し、自宅や近くの建物内に避難するように呼びかけている。  ≫(朝日新聞デジタル)

 ≪ ドイツ・ミュンヘンで銃発砲 少なくとも6人死亡
ドイツ南部の都市、ミュンヘンで、現地時間の22日午後(日本時間の23日未明)、何者かが銃を発砲して少なくとも6人が死亡し、警察はテロ事件の疑いもあるとして、現場から逃走した3人組の行方を追うとともに、周辺の住民に警戒を呼びかけています。
ドイツ南部の中心都市、ミュンヘンで、現地時間の22日午後6時前(日本時間の23日午前1時前)、市の北西部にある2つの通りと商業施設で相次いで発砲がありました。
地元の警察は、一連の発砲で少なくとも6人が死亡し、複数のけが人が出ていることを明らかにしたうえで、発砲したのは拳銃やライフルのような武器を持った3人組で、現場から逃走したとしてテロ事件の疑いもあるとみて行方を追っています。
警察は周辺の広い範囲を封鎖して付近の住民に外出を控えるよう呼びかけていて、鉄道や地下鉄、バスなどの公共交通機関も警察の指示で運休しています。
ドイツ南部では今月18日にも、アフガニスタン出身の17歳の難民の少年が走行中の列車の中でおのを振り回すなどして、乗客など5人がけがをする事件が起きていて、治安当局などが警戒を強めていました。
映像には発砲音や逃げる人の様子 イギリスの公共放送BBCは、事件発生時に近くに居あわせた人が携帯電話で撮影したとみられる映像を放送しています。 映像では、通りに面したファストフード店の前で発砲音のような音が響くなか、5、6人の人が走って逃げて行く様子が映っています。 発砲音のような音は20回ほど連続して聞こえ、人々が叫んでいる声も録音されていて、緊迫した現場の様子がわかります。
ミュンヘンはドイツ第3の都市
ミュンヘンはドイツ南部に位置するバイエルン州の州都です。人口はおよそ150万人で、人口規模では首都ベルリン、北部のハンブルクに次ぐドイツ第3の都市です。
大手自動車メーカーBMWが本社を置くなど多くの企業が立地し、市内には4000人を超える日本人が住んでいます。 また、ビールの本場として知られているほか、ドイツ南部の観光の拠点ともなっていて、1年を通じて世界中から多くの観光客が訪れています。
各国のコメント
ア メリカのオバマ大統領は22日、ドイツ南部のミュンヘンで起きた事件について、「何が起きたのかはまだ詳しく分からないが、私たちの心は被害にあった人たちとともにある。ドイツは重要な同盟国であり、いかなる支援も惜しまない」と述べ、ドイツ政府を支援する考えを示しました。
イギリスのジョンソン外相は、みずからのツイッターを通じ、「大きな衝撃と悲しみを感じる。私の思いは犠牲者と、その愛する人たち、そして、すべてのドイツ国民とともにある」と述べました。 ≫(NHKニュース)

東北・蝦夷の魂
クリエーター情報なし
現代書館


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●“ロシア政府報道”を読む 西側報道の捏造、瑕疵も見えてくる

2016年07月22日 | 日記
21世紀の戦争論 昭和史から考える (文春新書)
半藤 一利,佐藤 優
文藝春秋


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●“ロシア政府報道”を読む 西側報道の捏造、瑕疵も見えてくる

 ロシアを好きな日本人は少数派だろう。筆者も、個人的には、米露は好きになれない(笑)。安倍晋三が、今後も日本で、日本破壊に精を出すのであれば、5年後くらいには、身体の自由が利くうちに、ヨーロッパ移住を考えなけれならないようだ。ただ、EU・NATOとロシアのキナ臭さは、相当なものだから、米国傀儡NATO軍の対ロ戦争も、ないとは言えない情勢だけに、南洋の国か、カナダくらいの方が安全かもしれない。

 我々は、日常的に西側陣営の目(日本のマスメディア)から見た、国内外のニュースや情報を、見聞きしている。まあ、その程度で、一般生活に、重大な支障が出ることはない。殆どの人が、そのようなメディアリテラシーの仲間だからである。しかし、筆者が提唱する“準鎖国国家”でもない、グローバル世界に羽ばたくジャパン!国際社会で生き抜くジャパン!世界の競争に勝ち抜けるジャパン!逞しく構造改革を推進し、普通の国並みの経済成長を甦らせるジャパン!しかし、これらのジャパンを実現させるためにも、国内の政治経済ばかり見聞きしていて良いのだろうか。筆者は、酷く怖ろしい結論に至る日本人を目撃しそうで、形の見えない不安を憶えている。

 中国、ロシア、中東などの話題をコラムに書くと、ブログ・ランキングなどは、ネトウヨ(自民党サポータークラブ含む)の餌食となり、無惨に順位を低下させている(笑)。“読んだら、義理でも押せよ”そんな気にまでなってしまう。4~5千人が訪問しても、クリックする人は50人前後、1%だから、少し驚く。まあ、小生の愚痴は別にしておくとして、日本も日本人も、否が応にも、世界の情勢に左右されるわけで、国内政治や経済展望をするにも、世界がどのようになっているか、日米欧の報道だけを鵜呑みにして良いものか、考える時代が到来しているのだと認識する。一方的な立場の報道だけで、頭を一杯にすると、概ね頓珍漢な結論になる。

 現時点では、アメリカ中心の世界動向ではあるが、相当に、その一国主義は揺らいできている。次期米大統領がヒラリーなのか、トランプなのか判らないが、いずれにせよ、オバマとの違いを鮮明に打ち出さないと、国民の支持は数カ月で萎んでしまう。新大統領は当初、力むだろうから、世界のあらゆる陣営に国と軋轢を強める可能性が高い。また、同盟関係にある国に対しては、より親米的であるか、隷属的であるか、そういう圧力が高められることになるだろう。中国は、現状では、南シナ海でチャラチャラとプレゼンスをしているが、経済的米中蜜月は継続中だ。しかし、アフリカや中東は、今後とも地政学的な揉め事は続くし、ロシアと米国NATOの鍔迫り合いも、リスキーだ。

 北朝鮮と韓国の国境線には、キナ臭さが漂っている。朝鮮半島で戦火が幕を開けることはないだろうと云うのが一般的解釈のようだが、楽観過ぎるだろう。中国軍が暴発することもあり得るし、世界中で、無差別的な、テロは今後も起きるだろう。いや、連鎖的に増加すると云うのが、常識的解釈だ。ブラジル・リオ五輪などは、テロリストにとって最大のパフォーマンス舞台と云う見方もある。ブラジルの政情は極めて不安定で、“ジカ熱”や治安などに加え、テロが加われば、想像以上の惨劇が起きないとも限らない。ロシアは、ドーピング問題で、五輪出場を阻まれるようだが、案外、ラッキーだった等という結論を見たら、驚きである。

 今夜は、そういう趣旨で、ロシア・プーチン大統領のプロパガンダ報道機関と言われるスプートニクの抜粋記事を、出来るだけ時系列に並べておく。無論、日米欧メディアが、西側世界のプロパガンダであると同様に、スプートニクも同類である。しかし、どのようなプロパガンダなのか、真実の一端が発見できるか、NHK・読売・日経・時事だけ見聞きしていたら、それは情報弱者に過ぎない。公正公平の原則から逸脱し、概ね騙される。朝日・毎日・東京を追加しても、肝に変わりはないので、騙され方が複雑になるだけかもしれない。逆の流れも同じことだと思う。まあ、我慢してロシア・プーチンの言い分にも耳を傾けてみよう。

 ■スプートニク日本
スプートニク(SPUTNIK、ロシア語: Спутник)は、ロシアの通信社。ロシア政府系メディアであるロシアの今日傘下で2014年11月10日に設立、RIAノーボスチとロシアの声に代わってロシア国外での展開を担っている。 日本語版は、2015年3月20日に開設された ラジオ・スプートニクは、スプートニクの音声放送である。
2015年には、1日に30言語により34ヶ国130都市で、のべ800時間の放送を行っている。放送は、FM、デジタルラジオ(DAB/DAB+)、HDラジオ(英語版)、携帯電話、インターネットによって行われる 設立当時、ロシアのジャーナリストアレクサンドル・ポドラビーネク(英語版)は、スプートニクをロシア政府の対外プロパガンダ機関であると指摘している。
フォーリン・ポリシー(英語版)では、ウラジーミル・プーチンによるバズフィード(ネットニュースサイト)のようなもので、西側に対抗するものと評された。 このような見方に対して、ロシアの今日のドミトリー・コンスタンチーノヴィチ・キセリョフ(英語版)とマルガリータ・シモニャン(英語版)は、西側メディアに対して異なる見地からの発信であるとしている ≫(Wikipedia抜粋)

■ロシアの今日
ロシアの今日(ロシア語: Россия Сегодня, tr. ラシーヤ・シヴォードニャ、Rossíya Sevódnya; IPA: [rɐˈsʲijə sʲɪˈvodʲnʲə])は、ロシア大統領令によって2013年12月9日に設立された国際通信社。既存のRT(旧称ロシア・トゥデイ)とは異なる組織であるが、ロシア以外ではしばしば「ロシア・トゥデイ」や「新ロシア・トゥデイ」として言及される 2013年12月9日、通信社RIAノーボスチと国際放送ラジオ局ロシアの声(旧:ラジオ・モスクワ)の合併により成立した。
ロシア大統領令によれば、「他国の人々に向けてのロシアのロシアの国策、生活、社会についての情報を供給する」ことを使命としている。大統領府長官セルゲイ・イワノフは、ロシアのメディアの費用対効果を改善するために創設されたと語っている。
しかしながらRIAノーボスチの報道では、この動きはメディアコントロールを強化する試みであると推測しており、西側諸国の報道では国営メディアであり、ロシアの対外イメージを好転させるためのウラジーミル・プーチン大統領による広報組織と見られている。
2009年以前はロシア・トゥデイの名称を使用していたRTは、名称が類似するロシアの今日との関係性が無いとしている。一方、BBCはロシアの今日がRTを補完する機能を有すると観測した報道を行っている。
2013年12月31日、RT編集長のマルガリータ・シモニャン(英語版)が編集長に就任、双方を兼務することになった。 2014年11月10日、マルチメディア展開を担うスプートニクを設立。音声メディアとしてロシアの声を置き換える「ラジオ・スプートニク」を開始した。ラジオ・スプートニクは、FM、デジタルラジオ(DAB/DAB+)、HDラジオ(英語版)、携帯電話、インターネットを通じた国際放送を行っている。
ロシア国内では、引き続きRIAノーボスチのブランド名でロシア語による通信社としてインターネットで活動している。  ≫(Wikipedia抜粋)


★19日~20日

≪ ロシア人専門家、MDの放射線を危ぶむ星州郡住民の危惧は根拠あり
米国MD THAADの配備先に決まった 韓国南部の慶尚北道星州郡では、地元住民の抗議行動が行なわれた。住民はレーダーから出される放射線の影響を憂慮しており、政権に対して配置決定を覆すよう呼びかけている。 米国側はレーダーの星州郡への配備は韓国を北朝鮮の潜在的脅威から守るという米国の断固とした決意に裏付けられるものと説明している。
だがこれが配備されることにより、星州郡は自動的に北朝鮮の標的にされてしまう。また韓国の住民たちの間では深刻な問題が生じた。それはレーダー施設から放射される強力な電磁放射線の危険性と関連したものだ。ロシア人軍事専門家のコンスタンチン・シフコフ氏はスプートニクに対して次のような見解を明らかにしている。
「当然のことながらTHAADのシステムのレーダーは出力がかなり大きい。なぜなら遠距離をかなり低い高度で飛ぶ小さな弾頭を発見、追跡するには実際にかなり大きな出力が必要だからだ。このためレーダーが周辺領域に対して放射線を照射することは間違いない。米国がこれを市街地に近い場所に設置した場合、住民の健康は大きな危険にさらされる。通常、こうしたシステムは付近住民への否定的影響を最小化するために居住区から離れた場所に設置される。このため韓国の住民らの憂慮はもっともなことなのだ。少しでも安全を図ろうとするならば、こうした施設は少なくとも数10キロ、本来ならば 150キロ離れた場所にたてなければならない。」
スプートニク:仮にこの規則が遵守されないとなると住民の抱いているリスクは現実のものになるのか?
「米MDは北朝鮮の戦域戦術ミサイルを無害化する目的で作られたといわれている。おそらくこれは根拠があることだろう。だが住民の側からすれば根拠に欠ける話だ。なぜなら放射線被害のほかにも住民は直撃対象になってしまうからだ。ミサイルは文字通り自分たちの頭の上に落ちてくることになる。なぜなら米MDがミ サイルを迎撃したとしても、ミサイルは宇宙空間に留まらず、必ずどこかに落ちてくる。ミサイルの軌跡はMDによって変えられてしまっているのだから、それが落ちてくる先は軍事施設でも司令部でもなく、民間人の頭上になる。」
韓国の「韓国の平和と統一への連帯」組織のオ・ミチョン事務総長も米MDの韓国配備の決定は朝鮮半島の平和を損ねるだけでなく、韓国国民の安全を脅威にさらすと語っている。ロシアと中国もまた、米MDの朝鮮半島展開は地域情勢を不安定化させるだけとの懸念を表している。 先に伝えられたところによると、米国防総省は7日、米韓は朝鮮民主主義人民共和国からの脅威に対抗するために韓国領内への米ミサイル防衛システム THAADの配備に合意したことを明らかにした。 ≫(スプートニク日本)


 ≪「米国人と日本人にとって北朝鮮のミサイル発射は毎回贈り物だ」
米国人と日本人にとって北朝鮮のミサイル発射は毎回贈り物となっている。19日、ロシア下院(国家会議)国防委員会の委員長で元ロシア黒海艦隊司令官のウラジーミル・コモエドフ提督が、ロシアの通信社「インターファクス」のインタビューで語った。
コモエドフ氏は、「米国人と日本人にとって北朝鮮のミサイル発射は毎回、自国のミサイル予算をさらに増大させるための贈り物だ」と述べた。
コモエドフ氏は、次のように語った―
「米国と地域の主要諸国は朝鮮統一を恐れている。もし統一が起きたら、力と資金が統一され、北朝鮮の強力な軍が韓国の強力な財源へのアクセスを得る。結果、朝鮮統一による影響の高まりが、地域の経済的、軍事・政治的状況を根本的に変えるだろう。これを理解しているのは我々だけではなく、恒常的な紛 争と緊張による半島の弱体化で得をする大勢の人たちも理解している。」
ロシアは北朝鮮のミサイル実験を支持していない。しかし緊張を高めない問題解決を提案している。
コモエドフ氏は、「朝鮮問題は解決する必要がある。だが圧力を強めたり、エスカレーションさせたり、地域にミサイル防衛(MD)システムを配備するなどの方法でそれを行ってはならない。奥深くに目を向けて、分断された民族の問題を解決する必要がある」と述べた。
先に伝えられたところによると、米戦略司令部(US STRATCOM)は、北朝鮮が製造したミサイル3基の発射を確認した。 ≫(スプートニク日本)


 ≪ロシア人に「ポケモンGO」を辛抱強く待つよう呼びかけられる
ロシア通信・情報技術・マスコミ監督庁は、ゲーム「ポケモンGO」をする際に発生する恐れのある危険性について警告した。 ロシア通信・情報技術・マスコミ監督庁のフェイスブック公式ページでは、ロシアではまだ「ポケモンGO」が公式にリリースされていないと指摘されている。 同庁は、「大勢のゲーマーが、自分たちの地域での公式リリースよりも前にサードパーティ製APKをインストールする方法で『ポケモンGO』へのアクセスを得ようとしている。これらのサードパーティ製は、それを介してウイルスDroidJackを拡散している詐欺師が使用している」と伝えた。 これに関連してロシア通信・情報技術・マスコミ監督庁は、サードパーティ製アプリのインストールを控えるよう呼びかけている。 また同庁は、米ミズーリ州の警察が別の危険性を発見したと指摘した。通信・情報技術・マスコミ監督庁は、犯罪者たちが「周辺地域にポケモンが出現する可能性が高まる所謂『ルアーモジュール』を様々な場所に配置し、ゲーマーたちを待ち伏せした」と伝えた。 ≫(スプートニク日本)


≪ 韓国MD配備先住民の怒り:政府は「配備」の通知のみ、我々を安心させようともしない
韓国の首都ソウルから南東に200km離れたところに位置する小さな町、星州郡ではすでに数日間にわたって、米国のTHAADシステム配備への地元住民の抗議活動が静まらない。住民は、戦闘行動が起こった場合、北朝鮮との不穏な国境に近い首都地区の住民ではなく、まさに彼ら星州郡の住民が第一に、MDシステム破壊を狙った敵の攻撃の的にされるのではないかと危ぶんでいる。
ここ最近、頻繁に聞かれる声だが、露中の反対にもかかわらずTHAADシステムを韓国に配備するならば、探知レーダーとミサイルシステムは人里離れた無人島に配置すべきだという見解がある。これは韓国国民がミサイルの有効性と安全性を確信するための方策としてだ。 自らも星州郡出身である韓国の軍事専門家、イ・ジェヨン氏はスプートニクのインタビューで次のように述べた。
「THAADに使われているFBX-Tレーダーの代わりに海上配備Xバンドレーダー(SBX-1)を利用することも十分可能なはずだ。THAADミサイルシステム本体は無人島や山間部に配備すればいい。」
ジェヨン氏はまた、星州郡が選ばれた理由の1つとして移動の便利さという次のような仮説を述べた。駐韓米軍基地がある大都市、大邱広域市は星州郡か らわずか1時間の距離に位置する。THAADシステムに勤務予定の135人にとっては、基地のある大邱広域市から星州郡までの移動が単に楽だったのだろうという仮説だ。
韓国の実践人道主義医師協議会の元共同代表、盧泰孟(ノテメン)氏は次のように述べた。 「探知レーダーからの電磁波は一意に有害であるという声明は誇張かもしれないが、『なに、全てうまくいきます。私たちを信じてください』というだけ、というのは強要以外の何物でもない。」 また、盧泰孟氏は次のように付け加える 「国民は国と政府から安全を受け取るべきであり、安全の保証を探すことがあってはならない。もし政府が簡単でわかりやすい科学的な根拠を提示できなければ、THAADシステム配備を即座に停止する必要があるということだ。」 ≫(スプートニク日本)


≪ キエフで有名なジャーナリストが死亡、自動車の爆破で
20日、キエフ中心部で乗用車が爆発し、有名な記者が死亡。 亡くなったのはパーヴェル・シェレメト氏。20日、ウクライナのインターネットニュースサイト「ウクラインスカヤ・プラヴダ」が報じた。 死亡したパーヴェル・シェレメト氏はロシア、ベラルーシ、ウクライナで活躍するTV記者。
ロシアのTV界では第1チャンネルをはじめとして10年ほ ど活躍し、その後、キエフへと居を移し、インターネットニュースサイト「ウクラインスカヤ・プラヴダ」および「ラジオ・ヴェスチ」で5年勤務した。
「ウクラインスカヤ・プラヴダ」の報道では、シェレメト氏は職場に向かおうと乗車したところ、車内に仕掛けられていた爆発物が作動。車は「ウクラインスカヤ・プラヴダ」の指導部のエレーナ・プリトゥラ氏の所有。爆破事件当時、プリトゥラ氏は乗車していなかった。
ウクライナ内務省のゾリャン・シキリャク参事官は声明を表し、車内でTNT換算で400グラムから600グラムの爆破威力を持つ手製の爆破装置が遠隔操作によって作動した疑いがあると語った。
ロシア外務省のマリヤ・ザハロヴァ公式報道官は、ウクライナはシステム的に記者たちの共同墓地化していると発言。
「キエフでパーヴェル・シェレメト氏の乗った乗用車が爆発した。プロフェッショナルな仕事を行い、どんな権力に対しても、どんな時代においても権力 に対する考えを恐れず述べる人物だった。だから彼は尊敬を集めていた。ウクライナ(これは国ではなく、システムとしてだが)はジャーナリストたちの共同墓地と化しつつある。」 ザハロヴァ報道官は自分の facebookにこう記した。 ≫(スプートニク日本)


 ★21日~22日

≪「欧州に批判する権利はない」:エルドアン大統領、トルコで非常事態令
トルコのエルドアン大統領は、クーデターの試みに参加した者に対して効果的な行動をとるため、3ヶ月の期間で非常事態令を出した。ロイターが報じた。
エルドアン大統領は、この措置は憲法に完全に準拠して行われており、法律やトルコ国民の基本的自由を侵害しないことを強調した。
命令は官報に掲載されると同時に正式に発効する。非常事態下では、大統領と政府はトルコ議会を無視して新しい法律を採択し、必要な場合には権利と自由を制限したり停止することができるようになる。
「我が国が直面している脅威と比較にならないほど小さなテロが行われた欧州諸国が同様の措置を取っている。彼らに私たちの決定を批判する権利はない」安全保障局および政府の会議で大統領が述べた。
先に報じられたところによると、トルコの諜報組織「MIT」は、国内で国家クーデターが準備されていることをつかみ、その数時間前、軍に警告していた。 ≫(スプートニク日本)


 ≪ 露外務省:NATOはトルコでのクーデター阻止の代わりに「ロシアの脅威」に取り組んでいた 「NATOは、トルコでの軍事クーデターを阻止するため働く代わりに、偽りの『ロシアの脅威』なるものに取り組んでいた」―ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官は、スプートニク通信のインタビューの中で、このように指摘した。
ザハロワ報道官は、次のように述べている- 「トルコでの出来事は、国内に悲劇をもたらし、また地域を今以上に不安定化させる可能性があった。こうした事すべては、ワルシャワでのNATOサミットから1週間後に起こった。
NATOは、安全に向けた作業のためのあらゆる手段を持った極めて巨大な軍事・政治的機構である。しかしこのシステムは、近づいていた脅威には目を向けなかった。 (トルコでクーデターが起きた時)NATO はどこにいたのだ? 
彼らは『ロシアの脅威』とかいう偽りに力を集中させていた。それは彼ら自身が考え出したものであり、その後、その『脅威』とやらへの対抗を決めたのだ。」
7月15日から16日にかけての深夜、トルコでクーデター未遂事件が起きた。しかし16日の朝には、トルコ当局は、クーデターの鎮圧を発表した。この事件で、290人以上が死亡し1400人が負傷した。 ≫(スプートニク日本)


 ≪エルドアン大統領「クーデター未遂には外国政府関与の可能性」
トルコで起きた軍事クーデター未遂のには外国政府の影がある可能性があると、トルコのエルドアン大統領が発言した。 エルドアン大統領はアルジャジーラのインタビューで次のように述べている。
「このクーデターの後ろには他の政府がいる可能性がある。ギュレン派(イスラム教指導者ギュレン氏の地下組織メンバー)は、高い知能を持っており、これら全てを計画できた。時が来れば、全てのつながりは暴かれる」
7月16日深夜、トルコで反乱軍が軍事クーデターを試みた。トルコ政府はクーデターを組織したとして、米国にいるイスラム教指導者ギュレン氏を非難した。しかし、ギュレン氏は疑いを否定している。 先に伝えられたところによると、「ウィキリークス」はトルコ与党関係者の約30万通のメールを公開した。 ≫(スプートニク日本) 


 ≪トランプ氏:米国に他人に何かを教える権利はない
共和党の米国大統領候補ドナルド・トランプ氏は、米国が他の国に何かを教える権利はない、と述べた。ニューヨーク・タイムズのインタビューでの発言。
「我が国で何が起こっているかを見てほしい。人々が警察を冷酷に殺すような状態で、どのように我々は人に何かを教えることが出来るのか」と同氏。
トランプ氏は、他の国のふるまいを矯正しようとする前に米国は自らを秩序のもとに置かねばならない、とし、その一例として、クーデター後の浄化についてトルコに教えるには及ばない、とした。
米国の大統領選挙は、11月8日に開催される。トランプ氏は全国党大会で共和党候補として選出された。民主党の代表ヒラリー・クリントン氏との対決が期待される。 ≫(スプートニク日本)


≪ロシア外務省ザハロワ報道官:NATOは本当の脅威を直視していない

ロシア外務省のザハロワ報道官がスプートニクの独占インタビューに応じ、一連の外交問題、何らかの形でロシアに関わる最近の世界の出来事について語った。その短縮版をお届けする。
スプートニク:トルコでここ数日起こっていることの原因は何だと思われるか?
ザハロワ氏:我々の目下の懸案はトルコにいるロシア市民の安全だ。適時にトルコを脱出せず、そこに閉じ込められている人々との連絡を維持することが今一番重要なことだ。
これに劣らず重要なのは、トルコと協力して、トルコの領土に残るロシア市民の安全を確保することだ。我々はこれに24時間態勢で取り組んでいる。 トルコの一件に対するNATOの影響に関しては、この一件がNATOサミットの1週間後に行われたことに注意を喚起したい。
トルコはNATOの重要にして非常に活発な加盟国だ。
安全保障分野の仕事に必要な資金を十分に持つトルコ最大の軍事的・政治的構造は、トルコ自体および地域の安全保障への脅威の可能性 について一言もなかった。
NATOはどこだ?NATOは「ロシアの脅威」に取り組んでいた。
NATO自身が考案し、それと戦うことにした、架空の脅威だ。 脅威に取り組む際にNATOが見せる古典的な方向音痴が示されたのだ。
ワルシャワでのサミットとトルコのクーデターの試みの間にニースで起こったテロに注意してほしい。これらすべては NATO指導部が「ロシアの脅威」を議論した後で起こったことだ。
スプートニク:ロシアはNATOとの対話を継続することに対して開かれている。より高いレベルでのそれを含め、ロシア自身はNATOとより頻繁に協議を行う準備ができているか?
ザハロワ氏:我々はNATOとの関係を推進していたが、一方的に連絡がブロックされた。その後、一定期間を置いて、彼らは連絡再開を決めた。その決定がなされたのち、我々はすぐに、協力を妨げたのは我々ではないので、NATOとの対話に障壁は存在しないと述べた。
ただし、協力は相互的尊重の中で、対等な立場で行われるべきだ。 我々は、すべての紛争は対話を通じて解決されるべきだと考えている。 NATOとの連絡を中断することは間違っている。相互作用のメカニズムは、比較的穏やかな時期だけではなく、すべてが悪くなっている危機の期間においても、対話の上に構築されてきたのだから。 ≫(スプートニク日本)

≪ロシア人スポーツ選手の五輪不参加はどれほど高くつくか?
国際オリンピック委員会(IOC)がリオデジャネイロ五輪へのロシア人選手の参加、不参加を判断する際に決め手となりうるのはスポンサーの見解になりうる。米国の日刊紙USAトゥディは、IOCが ドーピングスキャンダルが競技のイメージに深刻なダメージを与えると判断した場合は、ロシア人選手団の参加を退ける可能性があるとの見方を表している。
だが現段階では五輪に巨額を出資するコカコーラ、Visa などの大企業は口をつぐむのをよしとし、ドーピングスキャンダルへのコメントを一切出していない。
テニスのマリア・シャラポヴァ選手が2年間の出場停止処分を受けたあともシャラポヴァ選手と広告契約を結ぶ大企業は性急に協力を停止しようとはしていない。テニスのラケットのメーカーとして有名なHead社などは逆に、 シャラポヴァ選手と協力関係にあることを誇示する声明を表したほどだ。
金融アナリストで雑誌「エクスペルト」で経済評論家として執筆するアンナ・コロリョ ヴァ氏はスプートニクからのインタビューに対し、巨額の収益を失いかねない他の外国人スポンサーからもこれと似た反応を見せるだろうとして、次のように語っている。
「スポンサー企業のロシア人選手に対する立場はかなり揺るぎなく、予見できるものだ。ドーピングスキャンダルがどういう展開を見せようと、企業はスポーツ選手らが自己の達成を目指して長い道のりを辿ってきたことをよく理解している。 それに選手らはオリンピックのほかにも数え切れないほど多くの競技に参加してきている。そこで達成された勝利が全てドーピングによるものだったと非難するのは根拠に欠ける話だ。試合での勝利は選手らの成長を見守ってきたおびただしい数のファンたちの目の前で遂げられてきたものであり、このファンたちこそス ポンサー企業のターゲットオーディエンスなのだ。 スポンサー企業らは、マリア・シャラポヴァ選手はリオに行こうが行くまいが、どんな場合でも彼女は最高のスポーツのスターであり続けると分かっている。彼女は世界ランキング1位を何度も獲得してきた。これこそが重要なのだ。今回の彼女に対するドーピングクレームだって真偽のほどは怪しい。」
世界アンチ・ドーピング機関(WADA)がその使用を禁じ、これによってシャラポヴァ選手が非難を受けた問題のメルドニウムだが、実は使用禁止の決 定は広範な臨床結果に基づいたものではない。またメルドニウムがドーピングであることを科学的に証明した発表もまた、そう多く出されていない。
リチャード・マクラーレン氏率いるWADAの第3者調査委員会が作成した、2014年のソチ冬季五輪でも大規模なドーピング隠蔽工作があったとする レポートも、具体的な証拠のない濃い霧に包まれている。
ドーピング検査容器の製造メーカーであるスウェーデンの「ベルリンガー・スペシャルAG」社は容器が開けられ中身が摩り替えられていたというマクラーレン氏のレポートは信憑性に欠けるとして、自社は定期的に容器のテストを行っていると主張している。
また検査自体、封印された容器を開ける事が不可能であることを明確に証明している。これはソチ五輪で使用された型の容器も同じだ。 しかも今回のドーピングスキャンダルが政治化されているという見解も少なくない。
コロリョヴァ氏は、スポンサー企業は政治家の都合のいいように立ち回り、 コマーシャルで巨額の収益を運んできてくれたメディアの華を手放すことはまずないとの見方を示し、さらに次のように語っている。 「この場合、政治はもちろん次期五輪を非常に大きく損ねている。だが決定を下すマーケティング部は市場の状況に基づく判断を行なう。市場の状況とはつまり、巨額をつぎ込んできているブランドだ。そしてそうしたブランドをメディア上でプロモートしている広告塔がいる。 このため企業はどういった結果になろうとこれからも広告塔と契約を結ぶだろう。なぜならこうした人たちがいなければ自社が占めてきたニッチはライバルブランドに奪われてしまうからだ。だから広告塔にイシンバエヴァ選手(ロシア、棒高跳び)の獲得に成功した企業がドーピング・スキャンダルを理由にこれだけの好成績を挙げた選手との協力を打ち切るとは思えない。 それでも広告企業に対する全体的な圧力はこれから出てくるだろうとは思う。西側ではすでにロシア人選手らに対し、出場する際はロシア国旗ではなくIOCの旗を掲げるよう提案された。だがロシア人選手らはこれを拒否し、出場の際は必ず自分の国の旗を掲げるよう主張している。ドーピング・スキャンダルが騒がれる分、企業ブランドにとってはニュース欄で名前が繰り替えされるという補足効果を生んでいる。
『ブラックPR』という広告用語が存在するのも偶然の話ではない。」 このブラックPRだが本来の「ホワイトPR」よりずっと広告効果が高いこともしばしばある。スポンサーにしてみればこの先ロシア人選手を支援して も、イメージが損なわれることは一切ない。シャラポヴァの一件がそのよい証拠といえる。そのかわり巨額の損益を犯すリスクのほうがよっぽど大きいのだ。 ≫(スプートニク日本)


≪ ロシアがエルドアン大統領にクーデターを警告したとの噂に露政府コメント

ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領補佐官は、いわくロシアがエルドアン大統領にクーデターが準備されていると警告したとの情報は有していない。 ペスコフ大統領補佐官はイランFARS紙が公開した情報にコメントし、記者団に次のように述べている。 「私はそのような情報を有しておらず、通信社はどの情報源を参照したのか知らない」 イランのマスメディアによると、トルコのエルドアン大統領は、クーデター未遂の数時間前に警告を受け取ったという。 ペスコフ大統領補佐官はまた、クーデター後に発令された非常事態はトルコの国内問題だと述べた。 ≫(スプートニク日本)


 ≪ クーデター騒動を解き明かす:トルコをめぐる日米露の立場
トルコ軍の一部によって起こされた、クーデター未遂事件。クーデターはなぜこのタイミングで起き、なぜ未遂に終わったのか。そしてこの反乱は、トルコの外交にどのような影響を及ぼすのか。スプートニクは、現代トルコの問題に詳しい公益財団法人・中東調査会の金子真夕(かねこ・まゆ)研究員にインタビューを行った。本稿ではインタビューの抜粋をお届けする。
金子氏は、クーデターが起きた理由について、
「与党・公正発展党(AKP)に対する軍人の不満が爆発したこと」だと指摘している。 金子氏「2002年に、現在のエルドアン大統領率いる公正発展党が政権の座についてから、軍は徐々に弱体化させられてきました。トルコの国是である世俗主義と、公正発展党の支持者に代表されるイスラム主義支持層との対立が年々激しさを増し、トルコ国内の溝は埋められないほど深くなってきています。世俗派の象徴である軍は、イスラム化していく現在の政権や、エルドアン大統領のあまりにも強権的な手法に対して、危機感を以前から抱いていました。それが一気に爆発したのが今回のクーデターです。」
金子氏によれば、クーデターが未遂に終わったのには2つの理由がある。一つは、トルコ軍全軍による武装蜂起ではなかったこと。陸海空軍、そしてジャンダルマ(国家憲兵)のうち、今回のクーデターのイニシアティブをとったのは空軍だとみられている。軍のトップである参謀総長は関与せず、むしろ反乱軍によって身柄を拘束されていた。そしてもう一つは、トルコ国民が、武力行使による政権交代を是としなかったことだ。これはトルコ国民に民主主義が浸透してきたことの表れであると金子氏はみている。
金子氏「トルコ軍は今まで、国内に混乱が生じた場合や世俗主義が脅かされそうになった場合に、クーデターによって一時的に政権を担い、また民政に移管させるという機能を果たしてきました。今回のように軍が大規模に展開したのは1960年と1980年の二回です。二回とも陸海空軍すべてが一斉に行動を起こしクーデターを成功させました。しかし最後の軍事クーデターから40年近くが経ち、トルコ情勢も大きく変わりました。今回の映像を分析すると、エルドアン大統領が国民に向けて発した『外へ出てクーデターに抵抗しよう』という呼びかけに応じた人の中には、『エルドアン大統領は嫌いだが、武力行使で政権を交代させるのは絶対反対だ』という人も多数いたように見受けられます。これまでトルコ国民にとって 軍は絶対的な存在であり尊敬の対象でしたが、この騒動によって、トルコ軍は自身の手で自らの権威を失墜させてしまいました。」
エルドアン大統領が、クーデターの黒幕だとみなしているのが、米国に亡命中のイスラム指導者、フェトフッラー・ギュレン師だ。トルコのユルドゥルム 首相は19日、ギュレン師の身柄引き渡しを求める公式文書を米国に送付したことを明かした。また、これのみならず、トルコと米国の間にはいくつかの懸念材料がある。
金子氏「米国は今のところ、ギュレン師がクーデターを主導したという明確な証拠がない限り、引き渡しには応じられないというスタンスを貫いています。この引き渡し問題が長期化すると、IS・イスラム国対策をめぐる情勢に大きい影響が出かねません。現在の米国主導のIS空爆作戦はトルコの軍事空港を拠点にしていることもあり、トルコの協力が不可欠です。またトルコが長年抱えているクルド問題について米国とトルコは立場を異にしていま す。トルコは、反政府勢力のクルディスタン労働者党(PKK)と激しい戦闘を繰り返しています。一方、米国は対IS作戦において、PKKの兄弟組織である シリアのクルド民兵組織(YPG)を支援しています。トルコとしては絶対に、YPGを認めるわけにいきません。また、米国大統領選挙の行方も注視するべきです。もしトランプ氏が勝利することになれば、トルコに対してより強固な姿勢をとりかねず、関係が悪化する可能性があります。」
それに引きかえ、トルコとロシアとの関係は強まっていくとみられる。トルコがロシアとの関係を重視するのは、トルコの不安定さの表れだ。昨年11月 のトルコ軍によるロシア機「スホイ24」の撃墜事件以来、二国の関係は冷え切っていたが、エルドアン大統領の謝罪により回復の兆しを見せている。
金子氏「エルドアン大統領もプーチン大統領も、強いリーダーシップを発揮して国を動かしてきた指導者です。ロシア機撃墜事件の後、どちらが先に折れるのかに注目していましたが、トルコ側からロシアに関係修復をはかる書簡を送り、プーチン大統領もこれを受け入れました。対露外交を良好にしていく動きをトルコが見せたのは、トルコを取り巻く情勢が非常に不安定であるからに他なりません。難民問題のほか、トルコ国内ではISもPKKも自爆テロを相次いで起こしており、情勢が不安定になっています。欧米からエルドアン大統領の強権さや言論の自由の封殺に対して強い懸念が示されている中で、エルドア ン大統領は自身の権力基盤を強化していくため、できる限り近くの国との関係を深めていきたいと考えています。中でも、大国ロシアとの良好な関係を築くことは最重要事項です。またロシアとは経済の問題もあります。ロシアの経済制裁により観光客が激減したことはトルコにとって打撃でした。」
一方、日本の対トルコ政策にスタンスのブレはみられない。
日本は、トルコ当局によるクーデター捜査を見守る姿勢を示し、エルドアン政権を批判する欧米とは一線を画している。
金子氏「トルコの対日外交にも、日本の対トルコ政策にも、現時点では特段の変更はないと思います。トルコは昔からの親日国ですし、 安倍首相とエルドアン大統領の関係も非常に良好です。日本の大手企業は多数トルコに進出していますし、クーデターの影響も限定的でした。日本とトルコは良好な関係と経済的な結びつきを維持すると思いますが、クーデター騒動で、トルコは危ない国だという恐怖感を日本人に与え、トルコのイメージが変わってしまいました。」
金子真夕氏のフル・インタビューは、スプートニク音声番組「トルコで今、何が起きているのか?日本人専門家がわかりやすく解説」をお聴きください。 ≫(スプートニク日本)


  ≪トルコ、ロシアSu-24撃墜のパイロットは自発的に決定を下したと発表
トルコのパイロットは昨年11月、「すでにトルコ領空を後にした」ロシアのSu-24を撃墜することを自ら決定した。スプートニクのインタビューで与党トルコ公正発展党国会議員ヤシン・アクタイ氏が述べた。 「17 秒間の領空侵犯があった。そのあとで再度侵犯があるなど、もちろん、容認できない。ただ、この話は脇に置こう。飛行機を撃墜するという決定は、空中で行わ れた。このような決定はパイロットが、武力行使規則に則ってとる。しかし、短い時間領空侵犯し、立ち去ろうとしている航空機をあえて撃墜しないという可能 性もパイロットにはあった」とアクタイ氏。 「のち明らかになったところでは、ロシアの航空機はすでに領空を脱していた。それを撃墜した点は問題が提起される」という。 トルコでクーデターの試みの後、ベキル・ボズダグ法務大臣は、昨年11月にロシアのSu-24を撃墜パイロットは軍事クーデターの際に逮捕されていると述べた。 ≫(スプートニク日本)
以上。

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●安倍一強政治 “神の見えざる手”包囲網、お天道様は粛々と

2016年07月21日 | 日記
マイナス金利
徳勝 礼子
東洋経済新報社


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●安倍一強政治 “神の見えざる手”包囲網、お天道様は粛々と

 先ずは、テレビ司会者界の大物中の大物、大橋巨泉氏が亡くなられた。ここに、深く哀悼の意を表し、安らかに御永眠されますようお祈りいたします。晩年は、たび重なる癌細胞との闘いだったと記憶するが、執拗な癌細胞の攻撃に、徹底的に抵抗した姿は、流石、反権力・反既成概念と云うアンチテーゼな生き方の締め括りに相応しい。筆者の知る限り、リベラル性と保守性を、ベスト・ミックスで所有していた戦中派の一人だったと理解している。時に自由人であり、時にエスタブリッシュメントであった人物は、今後、それ程出てくるとは思えないが、反安倍の論客が一人消えたことは、残念である。

 2001年には、旧民主党から参議院比例区に立候補、トップ当選を果たした。しかし、≪ アメリカ同時多発テロ事件を非難する国会決議には、「アメリカを支持する」との文言を理由に民主党でただ1人反対。また、インド洋への自衛隊派遣に伴う事後承認にも反対するなど、短期間でいわゆる「造反」を連発した。また、8月6日の民主党両院総会では、巨泉は鳩山に「社会主義インターナショナルに加盟しセンターレフト(中道左派)の党としての性格を鮮明にせよ」と迫ったが、鳩山から「民主党のコンセンサスではない」と却下されている。≫ ≪ こうした党との意見の違いによりわずか6か月で辞職。辞職の弁では「日本の民主党がこれほどまでに反民主的な集団とは思わなかった」と述べた。辞職会見の時には、旧社会党系の民主党議員や社会民主党の女性議員が「巨泉さん辞めないでください!」と辞職する巨泉を止めようと説得する場面があった(この時は、福島瑞穂や辻元清美などの議員もいた)。この時巨泉は「僕は辞めると言ってはいないんです。辞めたのです」と説得する女性議員に向かって述べた。≫ 注:≪≫内は(Wikipedia抜粋) 

 次に注目したのが、『鳥越氏陣営、週刊文春に抗議文 女性疑惑「事実無根」』の報道だ。朝日新聞は以下のように報じている。まあ、このようなゴシップをキャッチアップし、リークしたのは「内調」と云う見立てが妥当だろう。詳細を分析と云うよりも、「文春」の記事内容は、第三者的伝聞の羅列であり、真っ当な証拠立てひとつない。訴訟で負けることは承知の上で「飛ばし特ダネ」と云う形を取った。少なくとも、都知事選の最中に、判決が出ることはないので、選挙妨害としては有効だ。問題は、なぜ、官邸や霞が関と持ちつ持たれつのズブズブの関係にある「文春」が確信犯的行為に出たかだ。筆者の推測では、都知事選、鳥越候補が、実際のところ、小池、増田候補を、ダブルスコアーで引き離している状況証拠の一つと推測した。

 ≪鳥越氏陣営、週刊文春に抗議文 女性疑惑「事実無根」
東京都知事選に野党統一候補として立候補している鳥越俊太郎氏(76)の選挙事務所は20日、21日発売の週刊文春に掲載予定の記事について、鳥越氏の弁護士が同誌編集部に抗議文を送付したことを同氏のホームページ上で明らかにした。
 記事は、鳥越氏の過去の女性関係に疑惑があるとする内容。抗議文は「(週刊文春の取材には)事実無根であると回答した。明確な選挙妨害であり、公職選挙法違反と名誉毀損(きそん)の疑いで近く、東京地検に刑事告訴すべく準備を進めている」としている。週刊文春編集部は朝日新聞の取材に対して「記事には十分自信を持っている」と回答した。  ≫(朝日新聞デジタル)


 次に気になったのが、日本経済の実態は悪くなるばかりの状況で、なぜ?為替が大きく円安に振れ、東証日経平均が19日、6連騰の離れ業を演じた。ブルームバーグは証券マンの言を借りて≪ 日経平均は「三役好転」、底入れ確認-チャート。 19日の東京株式市場で日経平均株価は6日続伸。一時1万6726円71銭と、6月9日以来の高値を付けた。均衡表チャートでは、15日の転換線の基準線超えに続き、日々線が2本の先行スパンで形作られる「雲」の上に抜けたうえ、遅行スパンが日々線を上抜いたことで、相場の転換を示唆する「三役好転」となった。いちよし証券投資情報部の高橋幸洋課長は「これで6月24日の1万4864円が当面の底だったと確認できた」としたうえで、長期横ばいレンジを離 脱して本格的な反騰局面に移行するためには「4月25日の1万7613円を上抜く必要がある」と述べた。≫と相場を煽っている。

 しかし、株式チャートとは別の要因が色濃く見えている催促相場の意味合いの方が強いので、非常に警戒を要する。問題は、その催促の中身だ。ずばり、その中身は、現状の政権側と日銀が出来ることは、「ヘリコプター・マネー」と云う経済放棄と云う手段である。しかし、アメリカ覇権の勢いもボロボロ、実体経済もボロボロ。政治的にも、四分五裂状態、明日のアメリカの姿が不鮮明になってきている。世界の目を、トルコ政変に持ち込もうと試みたが、この試みも、ロシア・トルコのトップの手打ちでパー。同士への助命嘆願に、必死こいているようだが、魅力を失ったEU加盟など、袖にする環境が整ってしまった。

 それでも、根深く、アメリカ政府や金融グループの抵抗は続くだろう。イスラム国の雄を狙うエルドアンは、今や、グローバル勢力の敵側に飛び移った感がある。
≪トルコ・リラが過去最安値を更新-S&Pが格下げ、見通しネガティブ。20日の外国為替市場で、トルコ・リラがドルに対し過去最安値を更新した。先週のクーデター未遂を受けた政情不安の高まりを理由に、S&Pグローバル・レーティングがトルコの格付けを引き下げた。  
 リラは一時1ドル=3.0834リラまで下げた。イスタンブール時間午後7時2分現在は1.1%安の3.0755リラ。  
 S&Pはトルコの格付けを「BB」に指定、これまでの「BB+」から引き下げた。見通しは「ネガティブ(弱含み)」。クーデター未遂を受けて政治的分裂 がさらに深刻化したとし、これがトルコの投資環境と成長、資本流入に影響すると分析した。ムーディーズ・インベスター・サービスもトルコのソブリン格付け を引き下げ方向で見直している。(ブルームバーグ)≫
と総攻撃を掛けてきている(笑)。まあ、宗教的、独裁政治的なエルドアンの選択なので、攻撃要素が低すぎて、エルドアンを殺そうとした企てに比して、チンケだ。

 まあ、いずれにせよ、日米の政府及び金融当局の思惑は一致している。FRBにしてみれば、何とか年内に金利を引き上げたい。その為には、英国EU離脱によるマネー不足状態は極めて不都合だ。日本の政府、金融当局も、アベノミクスが成功裡に進捗しているように見える仮面が喉から手が出るほど欲しいのだから、「ヘリコプター・マネー」に限りなく接近中と云うことだろう。おそらく、その瞬間風速の甘露は格別だろうが、モルヒネの大量投与ホスピス経済まっしぐらなのは確実だ。つまり、参議院選改憲勢力2/3議席獲得が、安倍晋三の最後の「あだ花」と云うことになりそうな按配だ。

 東京都知事選の結果が、その分水嶺となる確率は高くなっている。しかし、その分水嶺に気づかず、安倍と黒田は「日米協調」と云う“アメリカン・デビル”の囁きを信じて、ヘリマネに突入する可能性は高くなっている。10兆円オーバーの財政出動と、日銀のファイナンスが、同時多発的テロのように繰り出されるリスクは高まっている。もう、国民津々浦々話も“眉唾だと”見切られる寸前、もうこれしか、手段は残っていない。ロイターコラムは以下のように警告している。まあ、どこの経済誌を見ても、ヘリマネ大いに結構と云うのは、嘘つきマネタリストだけだろう(笑)。


≪コラム:ヘリコプターマネーの悲劇=佐々木融氏
[東京 6月24日] - 最近、国内外を問わず、投資家とのミーティングで「ヘリコプターマネー」の可能性について議論することが非常に多くなった。
・ヘリコプターマネーとは、文字通り、ヘリコプターからお金をばらまくように、国民に対して現金をばらまくような政策のことを言う。もともとは経済学者のミルトン・フリードマンが1960年代に用いた言葉だが、近年ではバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)前議長がまだ理事だった時代に、デフレに関する講演で 「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけば良い」と発言したことが有名だ。
・これまで、日銀やその他主要国の中央銀行も、量的緩和と呼ばれる金融緩和政策を行ってきた。この量的緩和もお金をばらまいているような印象を与えるが、そうではない。
・中央銀行はお金を銀行に渡す代わりに国債やその他の資産を受け取っている。つまり、ただで銀行にお金をあげているわけではない。銀行も我々にただでお金をくれるわけではない。どんなに金利がマイナスになっても、銀行は我々に対してお金をくれるわけではなく、貸しているだけだ。つまり、実際には金融政策でヘリコプターマネーを行うことはできない。
・ヘリコプターマネーを実行できるのは政府だ。中央銀行は我々の財布の中にお金を入れることはできないが、政府にはできる。交付金、商品券、地域振興券、子育て支援金、高齢者補助金など、名目は何だったとしても、政府はやろうと思えばいつでも国民に対してお金をばらまくことができる。
・通常の場合、ばらまきを思いとどまらせるのが、国債価格の下落、つまり長期金利の上昇である。政府はお金をばらまくためには、新たに国債を発行し、お金を市場から借りてこなければならない。
・その結果、市場は財政赤字増大に対する懸念を強め、国債価格は下落し、長期金利が上昇、結果的に政府の資金繰りは苦しくなる。格付け機関から格下げもされてしまうため、なおさら金利は上昇する。だから通常のケースでは、ばらまきを実行するのは難しい。
・しかし、日本では今、事情が異なっている。期間10年までの国債であれば、政府は国債を増発し、借金を膨らませても、金利を払うどころか、金利を受け取れるような状態になっている。
・また、日本の中央銀行である日銀が、国債発行額の90%以上を市場から購入しているため、国債価格の下落を心配する必要がないように見える。おそらく、今の日本政府は日本国債が格下げされても気にしないのではないだろうか。
つまり、現在の日本では、政府が借金を膨らませることを思いとどまらせるメカニズムが正常に機能していないため、政府が中央銀行を財布代わりに使って、お金をばらまくことが可能になっている。まさに、ヘリコプターマネーを実現することが容易な状況なのである。
・何か対価となるものがありさえすれば、中央銀行はその気になれば、いくらでもお金を発行することができる。したがって、歴史的教訓から中央銀行は政府から独立していなければならないとされてきた。時の為政者が国民からの人気を高めるために、お金をばらまこうとするのを防ぐためである。
・しかし、中央銀行の独立性は、今の日本では形骸化してしまっている。日銀の議事要旨によれば、マイナス金利導入を決定した1月29日の金融政策決定会合は、16分間中断している。政府側の出席者から、財務大臣および経済財政政策担当大臣と連絡を取るため、会議の一時中断の申し出があったからだという。
<出口のない泥沼>
・一般的には政府が日銀からお金を受け取って、国民に対してばらまいてくれたら嬉しいと思う人もいるかもしれない。しかし、政府がお金をばらまき始めると、結果的にはお金の価値が下がることになり、大多数の国民にとっては悲劇的な結果を生むことになる。
・例えば、日本にいる全労働者に対して、給料と同じだけの補助金が配られ、それがしばらく続くと政府が約束したとしよう。そうなると、単純に言えば、お金の価値は半分になってしまうと想像がつくだろう。
・今まで月30万円の給料をもらっていた人が月60万円の給料をもらうことになるわけだから、町の商店街の店主は商品価格を倍にするだろう。お金の価値が半分になるということは、物価が倍になるということと同義だ。
給料が倍になって、物価が倍になるなら、何も変わらないから別に良いのではないかと思う人もいるかもしれない。ただ、なぜこれが大多数の国民にとって悲劇になるかというと、大多数の国民は預金を持っているからだ。残念ながら、この場合、保有している預金の価値も半分になってしまう。預金金額は変わらないが、 物価が倍になってしまうからだ。
つまり、ヘリコプターマネーは、国民にお金をばらまいているように見えるが、実際には、押しても引いても出てこない日本国民の大量の預金を巧妙に引き出す政策であるとも言えるのだ。
・ならば、それほど大規模に行わずに、少しだけやれば良いではないかとの意見も聞かれそうだ。しかし、今の日本で消費が盛り上がらないのは、明らかに経済構造に問題があるからであって、一時的に「棚からぼた餅」的な収入があっても、ほとんど預金されてしまうだけだろう。
・だから、継続的にやらなければ目に見える効果は出ない。したがって、政府は目に見える効果が出るまで、ばらまきを継続してしまうだろう。何しろ、借金を膨らませれば膨らませるほど、収入が増え、国債価格の下落も気にする必要がないのだから、継続するインセンティブが強くならない方がおかしい。
・そうしてお金の価値が下がった時、物価は上昇する。この時、普通に考えれば、日銀はマイナス金利どころか量的緩和政策も止めることになる。しかし、それでは、日本の長期金利が急騰し、大量に超長期債を購入している日本の金融機関が、これらの債券投資から膨大な損失を被ることになる。
・そのため、たとえ物価が上昇したとしても、日銀はマイナス金利や量的緩和政策を簡単には止められないだろう。そうなると、政府は、ばらまき政策を容易に続けることが可能になってしまう。つまり、いったんヘリコプターマネーを始めてしまうと、出口のない泥沼にはまってしまう可能性があるのだ。
・日本は1930年代にも似たような過ちを犯している。筆者は1年ほど前に某政治家にこうした懸念をぶつけてみたところ、「1930年代は、金融政策や経済のことをよく分かっている人が少なかったが、今は何が危険かを分かっている人は多い。だから、政府が危険な政策を取ろうとしたら皆で止めるだろう。よって、 同じような結果にはならない」と言われたことがあった。
・その指摘が正しいことを願い、ヘリコプターマネーの悲劇を止める側の一人として、とりあえず本コラムを執筆した。
* 佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局 為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱 い日本の強い円」など。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 ≫(ロイター:コラム)


 正直、安倍晋三が握っている権力は、戦争に国民を連れていく前に、ヘリマネで殺してしまう可能性が、大いに高まっている。佐々木氏のコラムの説明でよく理解出来るが、ヘリマネの誘惑に勝てる政府、自民党とは思えない。しかも、条件が揃い過ぎている。日米金融当局の利害が一致している上に、日本のマイナス金利状態が、土俵を綺麗に、箒目を入れているのだから、かなり危険は迫っている。個人的には、金投資に5年ほど前から切り替えているので、ヘリマネで、預金価値が半減し、国の泥棒被害に遭わずに済みそうだ。これからだと、相当に金相場も値上がりしているので、安全かどうか判断はつかない。政府と日銀が二人羽織りになった瞬間から始めておかなければ、もう無理だろろう。何度か、拙コラムでは主張しているが、人様に強く推奨する自信はなかったのだ。

 そうそう、安倍一強政権の包囲網の中には、沖縄翁長知事の反撃もある。関係筋の話としては、「辺野古新基地絶望的」と云うのは、常識になりつつある。琉球新報の社説は、知事が、鹿児島県西之表市の馬毛島を視察した件に関して以下のように書いている。また、≪キャンプ・シュワブ内の辺野古崎付近の陸上部や海域について、沖縄県教育委員会は20日、文化財保護法に基づき「長崎兼久遺物散布地」として遺跡に認定した。同基地内の遺跡認定は8カ所目。同法に基づき、認定された範囲の調査が必要となる。辺野古の新基地建設計画に影響しそうだ。(琉球新報)≫


 <社説>知事の馬毛島視察 普天間問題考える契機に
翁長雄志知事が鹿児島県西之表市の馬毛島を視察した。島のほぼ全域を所有する男性は、翁長知事に「米軍基地としては十二分にやっていける」と説明したという。
 馬毛島は、おおさか維新の会が米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止に向けた訓練の移転先として提案している。だが知事の視察目的は、馬毛島に訓練を移転したいとか、普天間飛行場自体を移設してほしいということではない。
 政府が「唯一の解決策」とする名護市辺野古以外にも、移設候補地は国内にあるとの問題提起である。辺野古が「唯一」ではないことを政府に突き付け、撤回させる手段の一つとみるべきだ。
 それでも、安倍政権は沖縄の「地理的優位性」などを挙げて「辺野古が唯一」と繰り返すだろう。だが「地理的優位性」は専門家が否定している。本土の反発を回避したいことが真の理由だ。
 普天間飛行場返還合意時の官房長官だった梶山静六氏は「必ず本土の反対勢力が組織的に住民投票運動を起こす」と本土側の反発を恐れ、辺野古が普天間飛行場の移設先になったと理由を書簡に記していた。  馬毛島は種子島の西約12キロにある無人島である。東京・硫黄島で暫定的に実施している米軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練の移転候補地に挙がっている。だが観光への影響や事故の懸念から反対の声が出ている。
 そのような中での翁長知事の視察に対し、辺野古移設への反対運動などに共感してきた地元の市民団体関係者らは「大変遺憾」とする声明を発表した。西之表市も、沖縄県から事前の説明などがなかったことに不快感を示している。丁寧に説明し、理解を得ることを県には求めたい。
 戦後71年が経過しても、沖縄には在日米軍専用施設の74・46%が集中し、圧倒的反対にもかかわらず辺野古新基地まで押し付けられようとしている。沖縄県民は命の危険にさらされ続けていることも、国民全体で共有してほしい。
 翁長知事の視察への反発によって、米軍基地は国内のどこでも歓迎されない迷惑施設であることが改めてはっきりした。普天間飛行場の危険性除去は移設でいいのか、移設を条件としない閉鎖・撤去がいいのか。知事視察を国民が普天間問題を深く考える契機としたい。  ≫(琉球新報7月20日社説)


 実は、さらにもう一つ、安倍1強を包囲する情報が、フクイチ事故処理問題から浮上している。凍結壁なんてシロモノは、大失敗。当たり前だよ、動いている地下水を凍らせる?土台無理な話。アンダーコントロールなんて、嘘も嘘大嘘だと云うこと(笑)。その上にだ、今度は、溶け落ちた核燃料を取り出すなんて荒唐無稽な計画も、こそっと、方向転換してきた。ついに出た、「石棺案」だ。あぁそれなのに、それなのに、原発再稼働、安全神主の田中のひと言で、危険も安全。規制委員会は推進委員会に名称を変更させるべきである。名が体を、逆さまに表すのは、ブラックジョーク過ぎるだろう。ついでだ、安倍晋三くんも、石棺の中に閉じ込めたら、余程愉快なのだろうが?

沖縄と差別
クリエーター情報なし
金曜日

 

市民が明らかにした福島原発事故の真実: 東電と国は何を隠ぺいしたか (彩流社ブックレット)
海渡 雄一
彩流社


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●NHKニュース報道 事実確認、いかに国民を洗脳していくか?

2016年07月20日 | 日記
現代語訳 貧乏物語 (講談社現代新書)
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講談社


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●NHKニュース報道 事実確認、いかに国民を洗脳していくか?

昨夜は、偶然NHKの看板ニュース番組「ニュースウォッチ9」をじっくり視聴する機会があった。精神衛生上、視聴しないことを旨としているが、たまには、国家権力の“犬”であり、「」つき「国際社会」の走狗としての活躍ぶりを観ておくのも、後学のためと、叫びたくなる心を死に物狂いで制御して、能天気な親戚どもと、その報道内容、伝えようとしている印象を確認した。超一流の高給泥棒らの、詐欺師制作集団だけあって、“なるほど、一般の人が、このニュースを視聴すれば、自民党など与党系政党のシンパになるし、「」つき「国際社会」の正義に酔いしれるのは確実だと確認できた。

たしかに、安倍政権が人事権を縦横無尽に駆使することで、NHK経営委員を選び、彼らにNHK会長職に籾井勝人という人物を就任させたわけだ。この人物、就任後の記者会見で、トンデモ発言を連発したことは、夙に有名だ。特に「政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」は、小学生でも知っている“迷言”としてピカイチである(笑)。この発言の趣旨は、「」つき「国際社会」次元でも、「アメリカ様」と同義と理解しているようだ。

*Wikipedia抜粋によると、
≪2014年1月25日のNHK会長就任記者会見において籾井が記者の質問に対して「個人として」と断りを入れた上で以下のように発言したと報じた。
・特定秘密保護法に関する質問について報道が少ない・姿勢が政府寄り、との主張には「まあ一応通っちゃったんで、言ってもしょうがないんじゃないかと思うんですけども。まあ……、ちょっと……僕なり に個人的な意見はないことはないんですが、これはちょっと、あまりにも、あれなんで、ちょっと差し控えさせて頂ければと思いますが」(発言ママ)と断りつつ、「あまりカッカする必要はない」。
・竹島問題・尖閣諸島問題の質問について「日本の立場を国際放送で明確に発信していく、国際放送とはそういうもの。政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」。 放送内容の質問について「日本政府と懸け離れたものであってはならない」。
・慰安婦の質問について「今のモラルでは悪いんですよ」としつつ、補償問題は日韓基本条約で解決済みと述べ、「戦争をしているどこの国にもあった」としてフランス、ドイツの名を挙げた。関連して「なぜオランダに今頃まだ飾り窓があるんですか」と述べた。この慰安婦問題と日韓基本条約に関する発言の直後に会長就任会見の場である事を記者から指摘され「発言を取り消したい」と述べた。
・籾井は2014年2月27日の衆議院総務委員会で、一連の発言について「考えを取り消したわけではないが、申し上げたことは取り消した」と述べ、持論は変えていないことを示した上で、「自分の思いを番組に反映させることはない」と述べた。≫

ニュースウオッチ9 2016年7月19日放送回
『ニュースウオッチ9』(読み:ニュースウォッチナイン、英語:News Watch 9)は、NHK総合テレビジョンで月曜日から金曜日の21時台(JST)に放送されているニュース番組である。略称は“NW9”

■ニュース概要
宇宙飛行士の大西卓哉さんは国際宇宙ステーションから初の記者会見に臨み、約 10日が経過したが身体は宇宙環境に適応し、宇宙での独特な仕事の仕方も身に着けつつあると語った。無重力空間での生活はユニークで、物を探す時には 360度全方向を探さねばならず、体の移動の際にもコツが必要だと実感したという。今後は宇宙実験に奮闘していきたいとコメント。

一昨年のソチ五輪でプーチン大統領は五輪を主催するとい う自らの夢を実現し、競技でも過去最多のメダル数を獲得しスポーツ大国の復興という政権の切願も叶えた。だが、WASAの調査チームはロシアのスポーツ省などが主導して組織的なドーピングが2011年から約4年間、行われていたと認定した。開封できない容器を開けて検体をすり替える方法をロシア連邦保安庁 が開発し、検体のすり替えは同省の副大臣が指示していたとしている。調査結果についてロシアのメディア、大統領は反発。その一方で報告書で名前が挙がった人物は捜査が終わるまで、一時的に職務を停止するとも述べた。またロシアオリンピック委員会はドーピングに関係ない選手の出場は認められるべきとの立場を 示した。

国際オリンピック委員会の会長は問題に関与した個人・組 織に厳しい制裁を科すことも辞さないとする声明を発表し、同委員会はロシア側への対処・制裁などを検討している。結論次第ではリオ五輪への選手団の派遣が認められない可能性があり、日本アンチ・ドーピング機構の専務理事は過去の事象を軽視し、将来の議論だけをするのは危険で、過去にロシアの選手が全てのア スリートに何をしてきたか重大に考えるべきと指摘。

アメリカ・オハイオ州で共和党大会が開かれ、ドナルド・ トランプ氏が登壇した。採択された政策綱領によると貿易政策についてはアメリカ第一主義に基づいたよりより内容の貿易協定が必要とし、TPP離脱について は党内意見も反映させて直接の言及は避けた。移民政策ではアメリカ南部の国境に壁を築くことを明記し、日本については一言触れただけだった。一方で党大会では混乱も起こり、トランプ氏を候補者にしたくない代議員からも異議が上がった。反トランプ派の異議は否決されたが一部の代議員が会場を辞去するなど異例の事態となった。

共和党の代議員であるトム・ジョン氏はトランプ氏は感情 的で、外国人に対する恐怖やナショナリズムを煽っているとして支持すべきか懊悩していた。新聞記事でトランプ氏を批判したところ、家族などへの脅迫メールを相次いで受け取った。不支持を貫くべきか、党の候補を支えるべきか正誤の秤にかけるも、決めかねていた。また、ジョシュア・クレイボーン氏はトランプ氏 への不支持を表明し、前政権で役職を務めたクリスティーン・ホイットマン氏はヒラリー氏に投票することも選択肢の1つと明かした。そして、トム氏は共和党 の議員らと協議し、トランプ氏の主張には同意できないがクリントン氏よりもはるかにマシだとして支持することを決断した。

トルコで軍の一部によるクーデター未遂をめぐって、首 都・アンカラの大統領府付近で発生した爆発の映像が政府によって公開された。最初の爆発から約1分後に付近で爆発が起き、多くの人びとが巻き込まれた。一 連のクーデターで市民145人を含む208人が犠牲となり、地元メディアは捜査当局がクーデターへ関与した疑いで軍幹部を含む8300人以上拘束したと伝えている。警察官を中心に公務員の大規模な解任も行われ、ユルドゥルム首相は最大野党の党首と会談しクーデターを試みたグループを徹底的に追求するとして 団結を呼びかけた。

ホワイトハウスの報道官は批判勢力の一掃を図るような強権的な手法は自制すべきとの考えを強調し、オバマ大統領はエルドアン大統領と電話会談を近く行い、アメリカの立場を伝えるという見通しを示した。

国際宇宙ステーションに滞在中の大西卓哉さんは宇宙での 暮らしや仕事についてSNSでほぼ毎日発信していて、身体の変化や尿意などについて種種様々綴っている。無重力で血液などが上半身に移動することで顔がパンパンになり、慣れるまで不快感を覚えるとしている。また国際宇宙ステーションは思いの外揺れ、振動が実験に影響を来すこともあるという。宇宙船とのドッ キングに使用されるロボットアームを操作することを楽しみにしていた大西さんは初めて操作できた時にガンダムの主人公がガンダムに乗り込んだ時に発したセリフ「コイツ、動くぞ!」と口に出したと明かしている。

宇宙での生活について、大西さんは浮いていることが慣れ てくると快適で、寝癖の心配もないと語った。その大西さんを地上から支えるのがJAXAのフライトディレクタの中野優理香さんで、実験や作業のスケジュー ル作成、実験での注意点を確認するうえでコミュニケーションをとるようにしていると語った。また大西さんは予習をしたうえで作業に臨み、時間を前倒して終わることができるという。今後行われる、老化現象の解明を目指すマウスの実験は日本初で、実験に関連した作業は順調に進行しているという。

永六輔さんがしたためた未公開の歌詞は8行の短い詩で構 成され、50年以上の親交があった歌手の加藤登紀子さんは平成25年頃にこの歌詞を受け取った。加藤さんは明るいイメージとは異なるフレーズに戸惑いながらも曲をつけたという。永さんは「上を向いて歩こう」などの作詞を手がけ、その時代の人々の思いに寄り添った歌詞でヒット曲を出した。だが、シンガソング ライターの登場などを理由に歌謡曲の作詞から退いていた。

加藤さんが歌詞を受け取った頃、永六輔さんはパーキンソ ン病、前立腺がんを患っていたが東日本大震災の被災地で被災者の声に耳を傾けていた。歌詞では「虚しさが耐えられるのはともだち、あなた、戦う心」という言葉で結ばれ、加藤さんは市政の人々に寄り添ってきた永さんの思いを後世に語り継いでいきたいと語った。なお、この歌詞は未完成で、加藤さんは完成した暁 には永さん本人に披露したいと考えていたという。

NHKは今月16日から3日間、世論調査を実施した。安 倍内閣の支持率は前回比で2ポイント増の48%で、支持しないは36%だった。最も取り組むべき政策課題について、「社会保障」が26%、「景気対策」が 22%、「財政再建」、「子育て支援」、「格差是正」がそれぞれ12%、「外交・安全保障」が10%だった。今回の参議院選挙で与党と憲法改正に前向きな勢力が憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を占めたことについて、「よかった」が27%、「よくなかった」が29%、「どちらともいえない」が37% だった。

民進党、社民党、共産党、生活の党による野党4党の連携 について、「今後も続けたほうがいい」が26%、「続けないほうがいい」が24%、「どちらともいえない」が43%。現下の憲法を改正する必要性につい て、「必要ある」が28%、「必要ない」が32%、「どちらともいえない」が30%。アベノミクスへの期待について、「大いに期待」が9%、「ある程度期 待」が37%、「あまり期待せず」が34%、「まったく期待せず」が14%。

芥川賞、直木賞の受賞作が決定した。芥川賞に選ばれたのは村田沙耶香さんの「コンビニ人間」で、初候補で受賞となった。直木賞には荻原浩さんの「海の見える理髪店」が選ばれ、5回目の候補での受賞。

南シナ海をめぐる中国の主張は国際法に違反するとした仲 裁裁判の判断について、フィリピンのヤサイ外相は中国に判断を受け入れるよう、求めていく姿勢を改めて強調した。一方の中国は仲裁裁判の判断を踏まえた形での協議に応じないだけでなく、強硬な措置も辞さないとしている。

アメリカの疾病対策センターは西部のユタ州でジカ熱の男性患者を看護していた親戚が感染したと発表。アメリカ国内では流行地域への渡航歴がある感染者と性交渉による感染者が1300人余報告されているが、2つの経路以外での感染は初めての事例とみられる。

■気象情報
■sports9
■ニュース引き続きニュース概要
日本時間の午後2時頃、台湾北部の桃園で高速道路を走行していた観光バスが道路沿いのガードレールに衝突し、中国からの団体客などと台湾のガイドとドライバーの26人が死亡した。なお、邦人が乗っていたという情報はないという。

WADAはソチ五輪でロシアのスポーツ省などが関与し、 国家が主導して組織的なドーピングが行っていたと指摘。組織的なドーピングは2011年から約4年間行われ、陽性反応を示した577の検体のうち、ロシア を中心とする312の検体がすり替えられていたと明らかにしている。国際オリンピック委員会の会長は問題に関与した個人・組織に厳しい制裁を科すことも辞さないとする声明を発表し、同委員会はロシア側への対処・制裁などを検討している。

■エンディング
ドル円相場、日経平均株価、東証株価指数などを伝えた。
河野憲治キャスターはロシアに対して、何らかの制裁が決まるのか世界が注目しているとコメント。
クローズアップ現代+の番組宣伝。以上 
 ≫(Gooテレビ番組より抜粋)

 上記は、7月19日の『ニュースウオッチ9』のニュース報道の概要だ。はじめに、人畜無害というか、税金で宇宙に行った宇宙飛行士がナンボのものか、寡聞にして知らないが、筆者の感覚からは、トップニュースとして扱う意味は皆無とBSにチャンネルした。特に、周りの連中も、「宇宙飛行士の話が聞きたい!」と抗議するものはいなかった。多少は、変人筆者に怖れをなしているのかもしれない。まあ、悪いヤツとか、うるさ型と思われている方が、兎角この世は生き易い(笑)。

次のニュースは、冒頭から「ロシアが国家ぐるみでドーピングに関与」と仰々しく報道しはじめた。これは、色々な意味で、興味深い内容なので、チャンネルを手から離した。このドーピング問題も諜報の一環に組み込まれているファクターなのだから、様々な角度から、何故、ロシアだけなのか?を考える必要がある。それも、リオ五輪が、それでなくても、真っ当に開催されるかどうか危ぶまれているというのに、スポーツ大国ロシアを参加させず、勝利したメダリストらの栄誉にも、満ち欠けが出てきそうだ。世界反ドーピング機関(WADA)がインテリジェンス機能を持っていると自体、酷く“政治的”臭いを感じる。IOCもNHKのように決めつけず、留保要因を模索している動きも見せている。朝日新聞が以下ように報じている。
 
≪ロシアのドーピング隠し、処分の結論持ち越し IOC
 ロシアが国家ぐるみで行っていたドーピング隠しについて、国際オリンピック委員会(IOC)は19日、電話会議による理事会を開いたが、処分の結論を持ち越した。世界反ドーピング機関(WADA)が18日、8~9月のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックからロシアの全選手を締め出すことを検討すべきだと勧告していた。
 IOCの声明によると、ロシア選手個人の権利も考慮して選択肢を探るとした。21日に予定されている、ドーピング問題でリオ五輪に原則参加できないロシア陸上選手の訴えに対するスポーツ仲裁裁判所の裁定を参考にするという。
 WADAの調査チームによって今回不正が明らかになったのは2011年後半~15年8月で、国際大会では13年の世界陸上選手権や14年のソチ五輪などが含まれる。調査チームは、モスクワの検査機関が577件のロシア選手の陽性結果を把握していたことを突き止めた。この577件は陸上139件、重量挙げ117 件、パラ競技35件など五輪競技外も含めて31競技。陽性の結果はその都度、検査機関からスポーツ省に報告され、ユーリー・ナゴルヌイフ次官ら上層部の指 示で、そのうち312件は救済対象としてその後一切調査をせずに「陰性」と登録した。多くの競技でドーピング隠しが行われていることも明らかになった。
 ロシアは10年バンクーバー五輪で、国・地域別で11位の金メダル3個を含め、メダル15個に終わった。ソチ五輪では国・地域別でトップの金13個を含む33個のメダルを獲得した。自国開催のソチ五輪で低調な結果を避けるために組織ぐるみのドーピング及び隠蔽(いんぺい)を始めたとみられる。
 ロシアのプーチン大統領は 声明を発表し、出場停止が陸上以外にも広がる可能性が浮上していることに不快感を表明。1980年モスクワ五輪と84年ロサンゼルス五輪で東西諸国がそれ ぞれボイコットしたことを例に挙げ、「政治によるスポーツへの干渉が繰り返されようとしている」と強く批判した。 
 ≫(朝日新聞デジタル:遠田寛生、河野正樹、駒木明義)

ところで、このIOCの下部機関であるWADAという組織は何者で、どこの国支配下にあるのか、或いは利権関係はどのような構図なのか、そういう事を調べてみたが、今ひとつ理解しきれていない。以下は、やはりWADAの第三者委員会が指摘した、東京五輪招致委員会や電通絡みで、裏金の存在を指摘したり、ロシアのドーピング幹部からの暴露など、国家規模のインテリジェンス能力を保持しているようだが、まさに小型のNSAやCIAと同種の臭いがしている。おそらく、プーチンではないが、相当に政治的キナ臭さを持つ組織である。

≪ 東京五輪「裏金支払い」報道 IOCは沈黙
2020年に予定される東京オリンピックの開催をめぐり、招致委員会側が国際陸上競技連盟(IAAF)のラミン・ディアク前会長の息子が関係する口座に「7ケタ」の金額を支払ったとされる報道について、国際オリンピック委員会(IOC)はコメントを拒否している。 英紙ガーディアンは、ディアク氏が関わるシンガポール企業の口座に招致委が総額130万ユーロ(約1億6000万円)を支払った疑いがあると報じた。
今年3月には、スポーツ界の汚職を捜査するフランス検察が、2016年五輪と2020年五輪の開催地決定手続きについても捜査を着手。ガーディアン紙によると、フランス警察も疑惑に注目している。 報道についてIOCは、「フランス捜査当局がIAAFについて捜査開始した当初から、当局や世界反ドーピング機関(WADA)と連絡を取り合っている」とコ メント。「IOCの倫理・コンプライアンス担当は、不適切な行動の疑惑を解消するため関係者全員と今後も連絡を取り続ける。捜査の内容について現時点でこ れ以上はいっさいコメントしない」と付け足した。
東京の五輪招致活動の実態が注目されるきっかけとなったのは、WADAの独立委が今年1月 に提出した腐敗関連報告書だった。独立委は注記で、ディアク前会長のもうひとりの息子ハリル氏とトルコ・イスタンブール招致委委員の会話内容を詳述。会話記録は、日本の招致委が「ダイアモンド・リーグかIAAFのいずれかに」、「協賛金400万ドル~500万ドルを支払った」と示唆している。
報告書の脚注はさらに、イスタンブールが招致争いで敗れたのは「協賛金を払わずラミン・ディアクの支持を失ったから」だと主張している。
WADA独立委は、この指摘について「自分たちの管轄範囲外」のため内容を調べなかったと説明している。 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の広報担当は、WADA報告書の記述は「我々の理解と異なる」として、東京が五輪招致に名乗りを上げたのは、スポーツの尊厳にかかわる諸問題に日本として誠実に取り組んでいくという姿勢の表明でもあったと説明している。
ディアク前会長はすでにフランス当局に捜査されていた。ロシア陸連によるドーピングを見逃して賄賂を受け取っていたとされ、汚職と資金洗浄の疑いで 昨年逮捕された。IAAFのマーケティング・コンサルタントとして父親に雇われた息子のパパ・マサタ・ディアク容疑者も捜査線上に上り、インターポール (国際刑事警察機構)が指名手配している。
パパ容疑者はIAAFから永久追放されているが、昨年12月にはBBCに対して、自分も父親も無実だと主張していた。 IOCは五輪招致をめぐり1999年ソルトレークシティ大会で組織的な汚職の構造が明るみになって以来、規則を全面的に見直し、信頼を回復していた。
今年2月にはWADA独立委委員長のパウンド元WADA会長(IOC委員、同副会長も歴任)が、IOCに組織的な汚職はないと「ほぼ確信」していると表明。しかしフランス検察はそのわずか1カ月後に、2016年大会と2020年大会の招致手続をめぐり捜査に着手した。
(英語記事 Olympics: IOC refuses to comment on Tokyo 'payment' claim)
 ≫(BBC>NEWS JAPAN)

≪米共和党トランプ候補の正式候補を決める党大会では混乱も起こり、トランプ氏を候補者にしたくない代議員からも異議が上がった。反トランプ派の異議は否決されたが一部の代議員が会場を辞去するなど異例の事態となった。≫と報じているが、ニュースのニアンスとしては、碌でもない大統領候補だと云う流れの編集になっていた。まあ、何と言おうと、米国民が雌雄を決する話し、NHKごときが、米大統領候補に対して四の五の言うのは、隷米姿勢を放棄してから評論すべきだ。

次のトルコ・クーデターに関する報道が、実に興味深い。クーデター画策組の、助命嘆願のような動きに慌ただしい、米国の発言がふるっている。≪ホワイトハウスの報道官は批判勢力の一掃を図るような強権的な手法は自制すべきとの考えを強調し、オバマ大統領はエルドアン大統領と電話会談を近く行い、アメリカの立場を伝えるという見通しを示した。≫どうして、オバマやアメリカが、選挙で選ばれた政権にクーデターを企てた奴らを助けるようなニアンスの発言をするのだろう?もうこの辺で、今回のクーデターに米国が一枚噛んでいたことを白状したような流れになっている。ケリーも、死刑など復活したら、トルコはEUに入れんぞ、と脅かしたのだか、悲鳴を上げたのか、区別すらつかない。米空軍基地が閉鎖されたら、中東における米軍プレズンは極端に低下する。

実は、ロシア国ぐるみドーピング疑惑を表沙汰にしたタイミングと、トルコ・クーデターが大失敗に終わったツケが、アメリカに回ってきて、苛立ったオバマ政権が、WADAの証拠を、ロシアに報復的に突きつけた可能性があるな、と筆者は感じた。トルコ・エルドアン政権とロシア・プーチン政権は、その政治的利害関係において複雑だが、一致点も多い。イスラム国家としての見栄もあるし、サウジに替わる大国になるチャンスさえある。アメリカの後押しが、ベストだが、トルコを見下し、イランに中東大国に設えようと云う流れが見えている。結構、国際関係で裏目の政策も目立つエルドアン政権としては、プーチンの助言に耳を貸さなければならない状況に追い込まれていた。

そこに目をつけたプーチンは、エルドアンに、自国とは関係のない利益情報を、エルドアンに、もれなく提供していた。トルコの諜報能力もそれなりだが、アメリカの動きに関しては、エルドアンにしてみれば、プーチンに頼るのが一番なのだ。プーチンとしても、中東への足掛かりとして、シリア・アサド大統領と、トルコ・エルドアン大統領は、良きパートナーになれる素地が充分なのだ。その所為か、ロシア国営報道機関に近いスプートニクの報道に、トルコ・エルドアン関連が目白押しなのだろう。以下に、スプートニクの報道見出しと、URLを参考掲載しておく。


■ロシア・スプートニクの報道見出し。
・ドーピング検査容器の製造会社 容器を損傷なしに開けることは不可能と発表
http://jp.sputniknews.com/sport/20160719/2522023.html

・トルコの諜報機関はクーデターの準備を知っていたか? http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160719/2518514.html

・プーチン大統領 ドーピングについて:ロシアは国際的な義務を果たしている
http://jp.sputniknews.com/russia/20160719/2512314.html

・プーチン大統領 エルドアン大統領にトルコの秩序と安定の回復を願う
http://jp.sputniknews.com/politics/20160717/2505290.html

・ロシア五輪委員会 WADAの非難にコメントする
http://jp.sputniknews.com/sport/20160719/2516649.html

・米空軍が置かれているトルコの軍基地で捜査が行われる
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160719/2513554.html

・トルコ スホイ24型機撃墜に対する補償に関する発言を撤回
注:実際はトルコはこの間違いに関して平謝りで、スホイ24型機撃墜被害家族に、トルコの豪邸をプレゼントする話まで出ている。遺族は丁重に断ったらしいが?でなければ、プーチンがエルドアンに、色々と情報を提供する筈もない。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160628/2385567.html

‥等 ≫(以上、スプートニク)

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●自ら放った矢に射抜かれたアメリカ 巨人の再生はあるのか?

2016年07月19日 | 日記
未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く
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●自ら放った矢に射抜かれたアメリカ 巨人の再生はあるのか?

今夜は、聖人君主のような高みから、森本あんり氏のコラムを引用する。おそらく、キリスト教信者であるだろう同氏のコラムは、さらりと読めば、なるほど納得なのだが、筆者の目からは、視点が極めて偏狭なコラムとして読んでしまった。なぜなら、アメリカ内政的見地から、オバマの苦悩を論じている。精々、関係しているのは、日本に触れる程度だ。しかし、陰に日向に、アメリカ・オバマ政権が表立って、時には非合法的裏に回り、世界を股にかけた国家と云う、ヘゲモニー次元をネグレクトしている。意識的か、無意識的か判断はつかないが、アメリカがヘゲモニー国家であるために起こしている「二律背反」、ダブルスタンダード、時にはトリプルスタンダードな立ち位置について、まったく検討されていない。

 ≪反知性主義は、しばしば既存の権威への反抗を旗印にするが……その発現形態はポピュリズムと踵を接しており、民主的選挙という虚構の大衆化で近年は特に目立つようになった。今次の大統領選挙における民主党のサンダース氏や共和党のトランプ氏の台頭も、この背景から理解することができる。≫、と書いているが、サンダース支持者まで、トランプ支持者同様にカッコで括るのは、相当にマヤカシである。サンダースに対する支持は、高学歴と若い世代として捉えるべきで、反知性主義の例示には相応しいとは思えない。同氏の観念からいくと、既存の権威への反抗はすべて、反知性になってしまうようだ。かなり変だ。

≪ 彼は、人種や性別や性的志向にかかわりなく、すべての人の人権と市民権が守られることを求めた。できるだけ多くの人が医療保険の恩恵を受けられる制度の導入をはかった。 ・移民の受け入れを促進し、死刑制度への憂慮を公言し、所得格差を縮めるための施策を推進した。そして彼は、他宗教への寛容を説き、イスラム国家との 友好関係を築き、テロが起きてもけっして相手やその宗教を批難せず、乱射事件が起きるたびに現地へ飛んで、涙を流しつつ傷ついた人びとを慰めた。≫と書いているが、ここなどはまさに、アメリカの内政と、覇権国としての対外政策に、おびただしい齟齬があるわけだ。アメリカ国民の、差別をなくすことであり、他の世界の国々に対するメッセージとは、原則の部分で、逆さまと言ってもイイのだが、それは目を瞑るでは、原理も原則も糞喰らえだ。

オバマは、あるインタビューでアメリカ人を評して≪「人びとはみな善意と品格と常識に満ちているのに、なぜかそれが硬直した教条主義的で底意地の悪い政治の駆け引きに絡め取られてしまう」――この矛盾は、いったいどこから来るのだろうか。≫と答えたようだが、内政的なリップサービスにしても、言い過ぎだろう。筆者の感覚から行けば、アメリカ人ほど独善的国民はいないわけで。善意も品格も、同国内における振舞いであるかもしれないが、ひとたび、他国に足を踏み入れたアメリカ人程、「国家差別」する国民は、見たことがない。これが、アメリカ国家の移民国家の欺瞞に満ちた統治システムなのだろう。笑ってしまう。

≪この構図は、オバマ氏が大統領に選出された日の、あの熱狂的な宣言にもあてはまる。「白人と黒人の和解」という提案をすることができるのは、黒人だ けである。赦しや和解を提案できるのは、虐げられて苦しめられた側の者なのである。相手を痛めつけておいて、「和解しましょう」と言い出すことはできない。 ・オバマ氏の悲願となった国民の融和は、黒人や低所得者といった社会的弱者に主導権を渡さない限り、達成することのできない目標なのである。≫、これも国内政治に限定された言説であり、アフガンやイラクやイラン、シリア、リビア、ロシアは、虐げられている側に、筆者には見えるのだが、違うのだろうか?

充分に、その趣旨を理解せずに同氏の著書『反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体』だが、今夜現在、酷く反省している。推薦図書に加えたこと、ここに深く反省している事をお伝えして、今夜の、意地悪評論を締めくくる。おやすみなさい!


≪ アメリカ社会がハマった「分断」の袋小路〜噴出する「反知性主義」
   "オバマの夢"が迎えた皮肉な結末
■オバマはムスリム!?
・アメリカでは、教会の説教師は政治家のように語り、政治家は説教師のように語る、と言われる。しかし、近代の大統領でオバマ氏ほど自分の信仰につい て多くを語った大統領はいない。それは、彼ほど自分の信仰について執拗に尋ねられ、疑問を投げかけられた大統領もいないからである。
・バラク・フセイン・オバマは、ケニア出身でムスリム系の父をもち、ハワイに生まれ、インドネシアのムスリム社会で育った。母方はカンザス州の伝統的 なキリスト教系家庭の出身だが、オバマ氏がキリスト教徒になったのは成人して後、1985年にシカゴの地域組織化活動に携わってからのことである。
・彼は、黒人教会が歴史的に果たしてきた役割の大きさを知り、シカゴのプロテスタント教会で洗礼を受けた経緯を、選挙の前にも後にも繰り返し語ってきた。
・にもかかわらず、彼がイスラム教徒だと思っているアメリカ人は今でも少なくない。
・昨年の調査では、29%がそう思っており、その数は共和党員に尋ねると43%、ドナルド・トランプ氏の支持者では54%にものぼる。教育程度の差も色濃く反映されており、オバマがプロテスタントだと知っているのは、大卒者では63%だが、そうでない人では28%にまで下がる。
・ネット上には、オバマ氏本人や周囲の人が何を言おうとも、彼が「隠れムスリム」だと固く信じて疑わない人びとがいて、数々の「証拠」を論じ立てている。日本ではほとんど報道されなかったが、オバマ氏の結婚指輪が大問題になったこともある。
・曰く、そこには「アッラーの他に神はいない」というアラビア文字の信仰告白が刻まれている、というのである。彼がイスラム教徒に好意的なのもそのためだ、という陰謀論である。

 ■反知性主義の発現形態
・このような風潮を、「反知性主義」の噴出と捉えることもできよう。アメリカには、反知性主義を生み出した歴史的な土壌がある。その表現は、病的で偏執的なこともあれば、健康で建設的なこともある。
・反知性主義は、しばしば既存の権威への反抗を旗印にするが、その反抗に精神的な拠り所を提供したのは、ラディカルな宗教的平等意識であった。神の前では、教育があろうとなかろうと、この世の権威があろうとなかろうと、誰もがみな平等であり、同じ重さの一票を投ずる権利がある。
・その発現形態はポピュリズムと踵を接しており、民主的選挙という虚構の大衆化で近年は特に目立つようになった。
・今次の大統領選挙における民主党のサンダース氏や共和党のトランプ氏の台頭も、この背景から理解することができる。
・候補者の選定は、以前であればすべて中央のエリート政治家に任せきりだった。ワシントンのお偉方が選んでお膳立てしてくれた候補者の中から、いちばんよいのを選べばよかったのだ。
・だが、今は違う。あらかじめ盛りつけられた皿の中から選ぶのではなく、ビュフェのように自分でそのお皿に食べたいものを盛りつけるのである。

 ■「国家の祭司」のような役割
・8年前にオバマ氏が大統領選を制したときの歴史的興奮を記憶している人は多いだろう。いつかその日が来ることを予感してはいても、まさかこんなにも早く、アメリカに「黒人」の大統領が誕生することを、誰が予想できただろうか。
・熱狂的な大観衆を前にして、オバマ氏が勝利宣言で語ったのは、「われわれはもはや民主党員や共和党員ではなく、白人や黒人でもない、われわれはユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカだ」という統合のメッセージだった。
・そして事実、彼の2期8年間は、人種や所得や宗教で分断された国民を統合するための努力に費やされた、と統括できる。
・彼は、人種や性別や性的志向にかかわりなく、すべての人の人権と市民権が守られることを求めた。できるだけ多くの人が医療保険の恩恵を受けられる制度の導入をはかった。
・移民の受け入れを促進し、死刑制度への憂慮を公言し、所得格差を縮めるための施策を推進した。そして彼は、他宗教への寛容を説き、イスラム国家との 友好関係を築き、テロが起きてもけっして相手やその宗教を批難せず、乱射事件が起きるたびに現地へ飛んで、涙を流しつつ傷ついた人びとを慰めた。
・彼は、隣国キューバとの国交を半世紀ぶりに回復し、現職の大統領として88年ぶりに同国を訪れた。そして、現職のアメリカ大統領としてはじめて広島を訪れ、慰霊碑に献花し、被爆者を抱きしめた。オバマは、ほとんど「国家の祭司」だったのである。
・だが、こうした融和と和解を推し進めれば進めるほど、彼の目指していた統合は霞みがちになり、アメリカ社会は声高な反対論に晒されて、いっそう深い分断と亀裂に苛まれるようになった。
・オバマ氏自身も、アメリカが以前にも増して二極分解し、お互いへの不信感を募らせるようになっていることを、最近のインタビューで苦渋とともに振り返っている。
・「人びとはみな善意と品格と常識に満ちているのに、なぜかそれが硬直した教条主義的で底意地の悪い政治の駆け引きに絡め取られてしまう」――この矛盾は、いったいどこから来るのだろうか。

 ■統合への願いがはらむ皮肉な力学
・7月7日に起きたダラスでの銃撃事件は、またしてもアメリカの根深い人種間分断を全世界に見せつけることになった。問題が深刻なのは、それが単発の出来事でなく、先行するいくつもの事件の上に重ねられたさらなる悲劇だという点である。
・昨年6月にサウスカロライナ州チャールストンで起きた黒人教会銃乱射事件では、9人の犠牲者の中に同教会牧師で上院議員のクレメンタ・ピンクニー氏 が含まれていた。オバマ氏はその葬儀で式辞を述べたが、彼はその機会を、銃規制の強化などといったいつもの政治的アジェンダを推進するのに利用することもできただろう。
・だが、そうはしなかった――。
・彼の心を深く捉えていたのは、母を殺害された娘が犯人に語りかけた「わたしはあなたを赦します」という言葉であり、息子を喪った母が語った「わたしの全身は痛みに呻いています。でも神があなたを慈しんでくださるように」という言葉だった。
・オバマ氏は30分以上にわたる式辞を黒人教会の説教壇にふさわしく語り、赦しと和解こそが信仰の本質である、と締めくくったのである。それは、憎悪に分断された国を再び一つにしたいという、彼の政治的信念の中核でもあった。
・ところが、まさにそのようなメッセージこそが、彼の反対者たちを苛立たせることになる。なぜなら、「赦し」は犠牲者の側からしか与えることができないからである。
・この構図は、オバマ氏が大統領に選出された日の、あの熱狂的な宣言にもあてはまる。「白人と黒人の和解」という提案をすることができるのは、黒人だ けである。赦しや和解を提案できるのは、虐げられて苦しめられた側の者なのである。相手を痛めつけておいて、「和解しましょう」と言い出すことはできない。
・オバマ氏の悲願となった国民の融和は、黒人や低所得者といった社会的弱者に主導権を渡さない限り、達成することのできない目標なのである。
・それを認めるのは、これまで社会の強者であり主役であった人びとには耐えがたいことである。オバマ氏の掲げた「統合」という課題は、社会の各所でそれまでマイノリティだった者に主導権を握らせようとする危険な企てを意味する。
・「黒人のくせに偉そうなことを言うな」という反発を、オバマ大統領は個人としても幾度となく受けてきたことだろう。彼の目指した統合は、その反発の矛先を黒人社会全体へと拡げる、という皮肉な力学を生んでしまった。

 ■和解の政治学
・オバマ氏自身もそのことに気づいていないわけではない。
・だから彼は、大統領になってからは、「人種カード」を切ることがほとんどなかった。アメリカの大統領は、黒人の代表ではなく、全アメリカ人の代表でなければならないからである。そして、これも彼を支持してきた黒人たちに不満を抱かせる原因となっている。
・こうした問題構成は、日本ではあまり論じられることがないが、90年代に始められた「和解の政治学」という学問分野でしばしば扱われてきたものである。「和解」や「赦し」は、宗教的な由来をもつと同時に、きわめて現実的な政治的帰結を伴う概念である。
・オバマ氏は、キング牧師や冷戦期の政治的神学者ラインホルド・ニーバーを尊敬する人物に掲げ、ナチスに抵抗して殉教したドイツの神学者ディートリヒ・ボンヘッファーを読むほどの神学的な素養をもっている。
・しかし、和解の政治学は、誰にとっても一筋縄ではゆかない困難を露呈させてしまった。和解や赦しへの道のりは、どこの国でも長くて険しい。足下の日韓・日中関係を想起すれば、その困難はわれわれにも理解できるだろう。
・だが、たとえ困難で紆余曲折が続くとしても、今後の世界が担ってゆかねばならない普遍的な課題の一つである。武力や政治力だけでテロを押さえ込むことは、おそらく今後も不可能だからである。

 ■アメリカのキリスト教を問う
・オバマ氏の施策は、イスラムへの好意的な発言だけではなく、妊娠中絶や同性婚などといった主題でも、キリスト教保守派の神経をことごとく逆撫でする結果になった。
・シカゴ大学で憲法学を教えていた経歴をもつ彼は、連邦国家アメリカが政教分離を国是とする「非宗教的国家」として建国されたことを明言したが、これもアメリカを「キリスト教国」だと思い込んでいる人びとの怒りを買った。
・歴史的にも憲法学的にも、オバマ発言の方が正しいにもかかわらず、である。
・キリスト教は、アメリカという文化に深く根を下ろし、その分だけ土着化し、つまりアメリカ化した。そのアメリカ化したキリスト教は、単純で内向き、生硬で直線的、そして自己肯定と自己慶賀に満ちている。
・だが、キリスト教は世界のどこでもそういう姿を取る、というわけではない。聖書の伝えるメッセージは、本来は常に超越的で彼岸的であり、この世の現実を批判する要素を含んでいる。
・アメリカのキリスト教もまた、常に現在のような姿であったわけではない。 オバマ氏は、大統領就任の宣誓式に際して、アブラハム・リンカンの聖書を用いた。リンカンは、神の意志がアメリカの意志と異なり得ること、アメリカ 国家と聖書の神との間には乖離があり、正義の神はアメリカをも審きのもとにおく神であること、を知っていた数少ない大統領の一人である。
・時代は今、「理念による統合」を願ったオバマから、「利害による分断」を恥じないトランプへと向かっているようである。もしオバマが統合に失敗したとすれば、それはアメリカの失敗であり、アメリカのキリスト教の失敗なのである。

*森本あんり(もりもと・あんり)
国際基督教大学教授・学務副学長。1956年、神奈川県生まれ。国際基督教大学(ICU)人文科学科卒。東京神学大学大学院を経て、プリンストン神学大学 院博士課程修了(組織神学)。プリンストンやバークレーで客員教授を務める。国際基督教大学牧師、同大学人文科学科教授等を経て、2012年より現職。主 な著作に『反知性主義』『ジョナサン・エドワーズ研究』『現代に語りかけるキリスト教』『アジア神学講義』『アメリカ・キリスト教史』『アメリカ的理念の身体』など。  ≫(現代ビジネス>オトナの生活>賢者の知恵・森本あんり・国際基督教大学教授)

PS:朝日文庫の保阪正康著『安倍"壊憲"政権と昭和史の教訓』をどうしてもgooさんは、絶対に読ませたくない判断に至っているようです。NTT故の縛りか忖度かは知らないが、かなり疑問のある処理方法だ。参議院選が終わったら、解放かなと思ったが、未だに、アフリエイトを受けつけない???



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●米の影、トルコ・クーデター 待ち受けたエルドアンとプーチン

2016年07月18日 | 日記
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●米の影、トルコ・クーデター 待ち受けたエルドアンとプーチン

トルコ・エルドアン政権追い落としのクーデターの全貌が見えてきた。このコラムが、トルコ・クーデター騒動の、当面の筆者の結論になる。ウクライナクーデターで、あれ程の間違いを冒し、いまや、ウクライナ国民を放置国家にして、もうウクライナには飽きた、今度はトルコに手を着けようとしたようだ。事前に察知したのがロシア・プーチン大統領だったのだろう。まさかと思っていたウクライナで、非公式とはいえ、あれだけの関与をしていた米国務省の狂気は、プーチンは高を括っていた面があったのかもしれない。まあ、漁夫の利ではないが、経済的負担が増えても、不凍港の軍港確保は棚からぼた餅だとも言える。

結局、イスラム国を生んでしまうし、シリアのアサドを失脚もさせることが出来ず、何ひとつ、オバマ大統領と米国務省、国防省は、ロシアのプーチンに、指ひとつ触れることは出来なかった。無論、あらゆる面で、プーチン・ロシアは厳しいのだが、プーチンのカリスマ性で乗り切っている。ナショナリズムに舵を切ったと云うよりも、プーチンの個人的支持率の高さが、ロシアと云う国の忍耐強さを醸成している。この辺が、移民国家アメリカ人の、策に溺れた部分だろう。理論的に合理的であれば、斯く斯く然々のようになる、というアングロサクソンの理屈は、スラブ民族には通用しない面があると云う、長い歴史のロシア文化を蔑ろにした結果だろう。

今回のトルコ・エルドアン大統領追い落とし作戦も、あきらかにトルコ駐留の米軍が深く関与している証拠が次々と上がっているようだ。トルコはEU加盟に邁進して、西側諸国に協力的姿勢を見せていたが、媚を売れば売るほど、足元を見られ、エルドアン自身が餌食になるとは、思いもしなかったのだろう。トルコ軍機による、ロシア空軍機の爆撃事件を発端に、一時は、NATO(米)の思惑通りに展開したかに思えたが、あの時点で、プーチンとエルドアンの間で、事実関係の擦り合わせが行われ、ウクライナ方式がトルコでも展開している事実に気づいたのだろ。以下の報道をじっくり読んでいくと、アメリカの関与疑いなしと考える、トルコ・エルドアンとプーチンの情報が共有されていることが窺える。


 ≪ トルコ「クーデターを首謀」米にギュレン師引き渡し要求
 トルコのボズダー法相は17日、未遂に終わったクーデターに関与したとして約6千人を拘束したと述べた。陸軍の幹部など複数の将官や大佐らが含ま れる。またトルコ政府はクーデターを首謀したのは米国亡命中のイスラム教指導者ギュレン師だとして、米国に同師の引き渡しを求めた。
 ユルドゥルム首相は16日、反乱で市民や治安部隊の161人が死亡したと発表。このほか軍当局によると、反乱勢力の兵士が104人死亡したとしている。
 政府は16日、2839人の軍人を拘束したと発表。地元メディアによると、このうち最高幹部はアーデム・フドゥディ陸軍第2軍司令官、エルダル・オズトゥルク陸軍第3軍司令官、アキン・オズトゥルク元空軍司令官らで、トルコ紙によると将官40人以上、大佐が29人いるという。軍トップのフルシ・アカル参謀総長は15日夜に反乱勢力に拘束され、16日に救出された。この間、陸軍第1軍司令官が代行を務めた。また2745人の裁判官と検察官に逮捕状を出し、これまでに拘束されたのは少なくとも135人に上る。
 政府は反乱を機に、軍と司法権力から最高実力者のエルドアン大統領に批判的な勢力を一掃する構えだ。
 トルコの与野党4党は16日、クーデターを非難し、「政治的な違いがあっても我々は国民の意思を受け入れ続ける」とする共同声明を発表。トルコ政 府高官は17日、「軍の反政府勢力で逃亡中の複数の重要人物がいるが、間もなく逮捕される」と述べ、治安が回復されていることを強調した。最大都市イスタンブールは日常を取り戻しつつある。
 エルドアン氏は16日、クーデターを企てたのはギュレン師を信奉する勢力だとし、米国に対し同師の身柄引き渡しを要求した。一方、ギュレン師は声明を発表。クーデター 計画を強く非難したうえで「この50年間に起きたクーデターで苦労を経験した一人として、このような企てに私を関連づけるのは名誉を傷つけることだ」とした。16日に一部メディアの取材に応じ、クーデターへの関与を否定した。
 米国のケリー国務長官は、疑惑があるとするならば「証拠を提示するように求める」とトルコ側に求め、慎重な姿勢を示した。ギュレン師の引き渡しとの関連は不明だが、トルコ政府は米軍などが過激派組織「イスラム国」(IS)空爆の拠点とするトルコ南部の空軍基地を16日から閉鎖しており、使用できなくなっている。
 ≫(朝日新聞デジタル:イスタンブール=石田耕一郎、カイロ=翁長忠雄)


≪ トルコ首相、死刑制度復活に言及 EU加盟さらに困難に
 トルコのユルドゥルム首相は16日、事件の再発を防ぐためとして、トルコが2002年に廃止した死刑制度の復活に言及した。 トルコは1987年に欧州連合(EU)への加盟を申請し、2005年からEU加盟交渉を開始。だが、少数民族クルド人の基本的人権の抑圧や、報道の自由の制限などをEU側に問題視され、進展が見られない状態が続いている。EU側は冷戦体制から抜け出した中東欧諸国の加盟を先に認めた。
 トルコは02年、正式加盟の条件となる死刑制度の廃止や、クルド語の教育・放送の容認などの民主政策を決定。だが、今回の「死刑制度復活」発言は、トルコが目指すEU加盟をさらに困難にするものだ。  ロイター通信などによると、トルコ当局はクーデターの動きを受けて、エルドアン大統領の政敵とされるイスラム教指導者ギュレン師(米国亡命中)に近いとみられる裁判官ら2745人を解任、司法関係者10人を拘束した。また、クルド人系の武装組織への攻撃拠点である南東部ディヤルバクルの空軍基地の軍人ら約100人も拘束した。
 政権のさらなる権限強化は、エルドアン氏の独裁強化につながると危惧する声は、国内外で目立つ。  トルコメディアによると、エルドアン氏は今年5月、当時のダウトオール首相を事実上更迭し、「側近中の側近」とされるユルドゥルム氏を後任首相にする人事を主導した。ユルドゥルム氏はエルドアン氏の意向に沿った政権運営をしており、エルドアン氏への過度の権力集中が懸念される状況になっている。
 エルドアン氏がダウトオール氏を更迭した最大の理由は、エルドアン氏が悲願とする「実権型大統領制」への移行をめぐり、ダウトオール氏が慎重姿勢に転じたためとされる。
 エルドアン氏はトルコの最高権力者として、トルコ建国100周年の2023年をまたぎ、長期間、国を率いたい意向とされる。そのため、現行の議院内閣制から、大統領が強い権限を持つ制度を実現するための憲法改正を掲げている。
 トルコでは近年、言論・報道の自由が事実上制限されるなど独裁傾向が強まり、エルドアン氏に批判的な学者やジャーナリストの摘発が相次いでいた。今年3月には同氏への批判的論調で知られた大手新聞社が政府管理下に置かれ、国際人権団体から言論の自由や報道の自由に対する弾圧だと批判された。 ≫(朝日新聞デジタル:イスタンブール=春日芳晃、渡辺丘)


≪ トルコ政府、裁判官2745人を解任
 ロイター通信によると、トルコ政府は16日、クーデターの動きを受けて、裁判官2745人を解任した。同国のニュース専門局NTVが、裁判官・検察官高等委員会の決定として伝えた。また同国のアナドル通信社は、同委員会の5人のメンバーも解任されたと伝えた。 ≫(朝日新聞デジタル)


そうして、遂にトルコは、米軍インジルリク駐留の米空軍が関与している事実を掴んだようだ。それが、上述のギュレン師引き渡し要求に繋がるし、EU及びNATOへの帰属を放棄する方向に舵を切ったようだ。エルドアンも、この瞬間に、プーチンが囁いた話は本当だったと、思い知っただろう。今後は、余程の状況変化がない限り、トルコと米軍基地関係は急速に冷え込むのだろう。

 ≪トルコのチャヴシオール外相は、同国で発生したクーデターの試みに、トルコ南部インジルリクの米空軍基地の軍人らが関与したと発表した。
空軍基地でのクーデター鎮圧作戦で、クーデターに参加した複数の軍人が拘束された。 なおチャヴシオール外相は、基地は業務を続けていると指摘した。 インジルリクは、米国の軍事基地で、米空軍とトルコ空軍が使用している。 なお先に伝えられたところによると、NATO諸国の航空機も置かれているトルコ軍のインジルリク空軍基地は、現地当局により、封鎖され、電気の供給も止められている。
 ≫(スプートニク)

 ≪ 政権転覆の試み、プーチン氏が批判 トルコ大統領に電話
ロシアのプーチン大統領は17日、トルコのエルドアン大統領に電話し、民主的に選ばれた政権を不法に転覆させる試みは断じて容認できないというロシアの立場を伝えた。市民を含む多くの犠牲者が出たことには哀悼の意を表明した。ロシア大統領府が発表した。
 両大統領はまた、近く直接会談するという合意を再確認した。プーチン氏は、ロシア人観光客の安全確保を要請した。
 プーチン氏は6月末、昨年のロシア軍機撃墜事件を機に悪化していたトルコとの関係回復に乗り出していた。今回の電話は、路線に変更がないことを確認する意味がある。  ≫(朝日新聞デジタル:モスクワ=駒木明義)


≪ ロシアのプーチン大統領は、トルコのエルドアン大統領と電話会談し、トルコで起きたクーデターの試みによる犠牲者に哀悼の意を表し、トルコの秩序と安定の回復を願った。ロシア大統領府広報部が発表した。
プーチン大統領とエルドアン大統領の電話会談は、ロシア側のイニシアチブで実施された。プーチン大統領は電話会談で、違憲行為と暴力は国の活動の中で許しがたいものであるというロシアの原則的な立場を強調した。
またプーチン大統領は、トルコが同国に滞在するロシア人観光客の安全を確保することに期待を表した。エルドアン大統領は、そのために必要な措置を全て講じると約束した。
また両首脳は、近いうちに会談を行うという合意も確認した。 なお先に伝えられたところによると、トルコ当局は、自国全土の制御を取り戻した。  ≫(スプートニク)

≪ トルコのクーデター、市民に発砲する兵士
【7月17日 AFP】トルコ政府は16日、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領に不満を持ち、政権転覆を試みた軍の一部勢力によるクーデターを鎮圧し、国政の制御を取り戻した。民間人とクーデターを企てた軍人らを合わせて265人が死亡した。
 最大都市イスタンブール(Istanbul)のボスポラス(Bosphorus)大橋では、クーデターに抗議する市民に対し、兵士が発砲した。映像は、発砲から身を守る市民ら。16日撮影。 ≫(AFP(c)AFP)

 ≪ トルコ大統領府周辺の戦車に空爆、大統領府高官
【7月16日 AFP】トルコ大統領府高官によると、首都アンカラ(Ankara)で16日、軍のF16戦闘機数機が、クーデターを試みる動きを見せた軍の一部が大統領府の外に配置した戦車に対し空爆を開始した。
 高官は「トルコ軍のF16数機が大統領府外の戦車に対し空爆を開始した」と述べ、さらに、先に衛星通信施設に対する攻撃に関与した(反乱勢力側の)軍のヘリコプターはアンカラのゴルバシ(Golbasi)で撃墜されたと述べた。
 トルコ民放のNTVテレビは、大統領府のある地区から黒煙が上がったと伝えた。 ≫(AFP(c)AFP)


それに対して、米ケリー国務長官は、「米関与は完全な誤り」と、()つきの国際社会の西側勢力の力を背景に、いつも通りの二枚舌で乗り切ろうとしている。しかし、西側の日本を含むマスメディア共は、いつまでこんなワンパターンの茶番が通用すると思っているのだろうか。まあ、原子力村の絶大な協力者であり、東京の金を地方に回せと主張していた男に、東京都知事候補にする違和感を、違和感と思わない鈍感さを持つ自民党が、政権政党に居座れるのだから、日本も西側諸国も、鈍感が蔓延している。

日本がアベノミクスと日銀黒田のお蔭で、「ゆで蛙の運命」を着実に歩んでいるが、西側世界も同じ友と云うことなのだろう。英国のEU離脱も粛々と実行されそうだし、EUの権威も凋落傾向。エルドアンは、ある日を境に、EU帰属の妄執が消え失せたのだろう。アメリ大統領選は、ヒラリーで決まりではない状況のようだし、そろそろ、グローバリズムを一旦中止するリセット時期に差し掛かっているのかもしれない。

世界が、一旦、自国民の状況を問い直せと、天命的に命じているようにさえ思える今日この頃だ。最後に、NHKのNATO軍包囲網に苛立つロシアと云う情報を、偶然だろうがNHKが嬉しそうに垂れ流していた(笑)。ポーランド、バルト三国に4000人なんて、屁の役にも立つまい。ロシアは一瞬に300万の軍隊を送り、30分で制圧してしまう。怒ったのはジェスチャーに過ぎない。ミサイル防衛基地造ろうとした瞬間に、総攻撃に出遭う。NATO軍は慌てふためいて逃亡し、ぽつんと、ポーランドとバルト三国の阿呆な指導者が、ロシアに跪くことになる。まあ、ヒラリーは戦争好きで有名だから、彼女が女性初の大統領になれば、スタンドプレイとして、ポーランド、バルト三国を戦火の海にするかもしれないが、ベトナム戦争どころか、核戦争まで想起出来るので、相当にヤバイ状況になる。

≪ トルコのクーデター未遂、死者265人 米長官「米関与説は完全な誤り」
[イスタンブール/アンカラ/ワシントン 16日 ロイター] - トルコ当局者は16日、軍部の一部勢力によるクーデター未遂に関連し、死者数が少なくとも265人に上ると明らかにした。このうち161人の大半が民間人と警察官で、104人が反乱勢力だという。
政府は状況は制御できているとし、反乱に関与した疑いで兵士から上級幹部まで2839人が拘束されたと発表。国営アナトリア通信によると、シリア、イラク、イランの国境を担当する陸軍第2軍司令部のトップも拘束された。
また当局は司法関係者についても、エルドアン大統領と対立する在米のイスラム教指導者ギュレン師に関係があるとして、3000人近い検察当局者や判事らの解任や拘束を命じた。
エルドアン大統領は、クーデターを企てたのはギュレン師の支持者だと主張しており、米政府にギュレン師を国外退去させるよう求めた。
一方、ギュレン師は声明でクーデターを非難し、自身の関与を否定している。
オバマ米大統領は、クーデターを支持した勢力と政権側の双方に対し、一段の情勢不安定化を避けるため法の支配を尊重するよう求めた。
ケリー米国務長官も、クーデターに関する調査を行う際に法の支配が尊重されるべきだとトルコのチャブシオール外相に伝えた。
また米国務省は、ケリー長官が「クーデターの試みに米国が関与したとの示唆や主張は完全な誤りで、両国関係に悪影響を与える」と述べたと発表した。 またケリー長官は、米国は反乱に関与した人物の特定に協力するとした上で、トルコ政府はギュレン師が関与したとの証拠を示すべきだと述べた。  ≫(ロイター通信)


≪ ロシア NATOの部隊配備に強い反発
NATO=北大西洋条約機構は、対立が深まるロシアとの政治協議に臨みましたが、東ヨーロッパに新たに部隊を配備する決定などがロシアの強い反発を招いていて、双方の溝は埋まっていません。
NATO加盟国とロシアは、安全保障面での一定の協力や連携の道を探るため、定期的に大使級の政治協議を行ってきましたが、おととしロシアがウクライナ南部のクリミアを併合して以降、対立が深まり、中断していました。
しかし、対話の窓口は必要だとして、ことし4月、2年ぶりに協議を再開し、13日、ベルギーの首都ブリュッセルにあるNATO本部で再び協議を行いました。 この中でNATOは先週、ポーランドで開いた首脳会議でロシアに隣接するバルト3国とポーランドに、合わせて4000人規模の多国籍部隊を配備する決定をしたことなどを説明しました。
これに対し、ロシア側は強い反発と懸念を伝えたものとみられます。そのうえでロシア側は、バルト海周辺の緊張が高まるおそれがあるとして、この空域で軍用機が演習や巡視活動を行う際には情報共有するなど、偶発的な衝突を防ぐ対策を提案したということです。
双方は今後も協議を続けることにしていますが、NATOのストルテンベルグ事務総長は13日の記者会見で「ロシアとの間で現状認識に違いがある」と述べ、双方の軍備強化に対する不信感が根強く、溝が深いことを示唆しました。  ≫(NHK)


脱グローバル論 日本の未来のつくりかた
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●「特異性」、長所か欠点か “象徴天皇”と“民主主義”の矛盾

2016年07月17日 | 日記
「象徴天皇」の戦後史 (講談社選書メチエ)
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●「特異性」、長所か欠点か “象徴天皇”と“民主主義”の矛盾 

 PS:トルコ・クーデター西側メディア鎮圧喧伝だが、ロシア・スプートニクは、以下のように報じている。エルドアン大統領が行方知らずになっている可能性もある。と云うことは、トルコ政府が健在だとして、誰がトルコ政府の権力を握っているのかがハッキリしない。まだ、日本のマスメディアが短絡的に報じるほどクーデターが鎮圧されていないか、又は、この混乱に乗じて、エルドアンが追い落とされたと云う、一部軍部のクーデターを利用した、更なる行政や軍部のクーデターが起きた可能性もある。

≪ トルコ大統領 イスタンブールから何処ともなく飛び去る
今日、トルコのエルドアン大統領は、イスタンブールから別の場所に飛び立った。
テレビ「アルジャジーラ」が伝えた。 テレビ報道によれば、大統領を乗せた特別機は、イスタンブールのアタチュルク国際空港から飛び立ったが、行く先は明らかではない。 大統領の居場所について、トルコ当局からの公式の確認情報は届いていない。 トルコで16日未明、軍事クーデターの試みがあった。当局は「状況は制御下にある」と主張している。しかし、目撃者によると、反乱軍は攻撃を続けている。  ≫(スプートニク)


今夜も旅先のため時間的余裕がないので、見出しに関してひと言。“ビデオニュースドットコム”のニュースコメンタリーで、宮台真司が話していた内容は、充分視聴に値する。大変悩ましく、不合理の熟議と、そこから得られる合理性を追求する難解な問題が、日本国憲法における象徴天皇と、9条以下の国民主権と云う概念。そう、天皇には、個人的人権がないと云う、トテツモナイ矛盾。では、個人的人権を認めたらどうなるか。象徴天皇制が成り立たない。この矛盾した国家の特異性は、明治憲法においても実質同じ意味を持っていた。ゆえに、日本会議的憲法論も、結果的には現憲法同様の矛盾を持つので、目糞鼻糞の話。

難解過ぎて、一晩二晩では解釈不可能。もしかすると、永遠の議論になるような気にもなる。ただ、一神教から発生した近代民主主義の形態と、八百万の神への宗教心、信心が民族的エートスと思われる日本では、キリスト教的民主主義とは、どこかに特異性を持つのは当然かもしれない。日本人が、この特異性を、自国の長所と受けとめ、その特異性を「吉」とするかどうかは、日本人の思考や感受性によって解決していかなければならない問題とも言える。これ以上書くと、小生の考えが出てしまうので、やめる(笑)。先ずは、以下の紹介文を読むか、ビデオは無料で視聴できるので、お好きなように。では、おやすみなさい。


 ≪ なぜ天皇の生前退位がそれほど大問題なのか
 今上天皇が、生前に天皇の位を皇太子に譲る意向を示していたことが報道され、大きな議論を呼んでいる。それは現在の象徴天皇制が、そのような事態を想定していなかったためだ。
 今上天皇は82歳とご高齢なうえ、過去に前立腺がんや心臓のバイバス手術などの病歴もあり、多くの公務を務めなければならない状態が大きな負担に なっていた。一方で、長男の皇太子も既に56歳と、今上天皇が即位した時の年齢を超えている。そうした中で、今上天皇は天皇の位を生前に皇太子さまに譲る 「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示していたのだという。
 皇位継承などを定めた法律、皇室典範には生前退位に関する定めがない。そのため、今上天皇の意向に沿って生前退位を可能にするためには、皇室典範の改正が必要になると考えられている。
 皇室典範とて法治国家日本においては法律の一つに過ぎない。国会の承認があれば、その改正は可能だ。
 ところが、問題はそれほど簡単ではない。そもそも皇室典範に生前退位の定めがないのは、政府にできればそのような事態を避けたい理由があったからだった。
 現在の皇室典範では天皇が崩御した時のみ、皇太子が世襲で即位することが定められており、それ以外の方法で退位や譲位が行われることは想定されて いない。一般には生前譲位が可能になると、天皇が退位後も上皇や法皇などの地位から政治的な影響力を持つことになる恐れや、逆に本人の意思に反して強制的に天皇が退位させられることも可能になる恐れがあることなどが、指摘されている。また、天皇自身が退位の意向を示すことは、それ自体が憲法が禁じた天皇による政治権力の行使につながるとの指摘もある。  そうした懸念が、近い将来、現実に問題化することは考えにくいが、天皇に関する取り決めは国家百年の計にも関わる重い意味を持つ。一度それが可能になれば、何十年、何百年か先の将来に大きな禍根を残すことになる可能性も真剣に考えなければならない。
 しかし、今回、今上天皇が「生前退位」、あるいは「譲位」の意向を示したことによって、それよりももっと重要な問題がわれわれに投げかけられたと 考えるべきだろう。それはそもそも象徴天皇制という現在の制度が、元々孕んでいる大きな矛盾と言ってもいい。われわれは天皇を聖なる存在として尊んでいる。だからこそ、われわれの多くが天皇に対して強い尊崇の念を抱く。陛下が被災地に赴けば、被災者たちは大きな勇気を与えられ、どんなスポーツでも天覧試合は歴史に残るような名勝負になることが多い。
 ところがわれわれは天皇がそのような聖なる超越的な存在であることを求めながら、もう一方で、政治的な発言を一切封じたばかりか、事実上人権さえ も認めていない。天皇は公務を拒否することもできないし、そもそも憲法で天皇は世襲と定められている以上、即位を拒むこともできない。職業選択の自由など何もない。しかも、一度即位してしまえば、退位もできず、亡くなるまで天皇としての役割を全うすることを義務付けられる。これが、われわれが象徴天皇制と呼んでいる制度の実態だ。
 これまでは今上天皇がそのようなある意味で理不尽な立場を甘受し、粛々と公務に勤されてきたからこそ、その問題は浮上してこなかった。しかし、同時にわれわれ日本国民はその間、その問題と向き合うことをせず、放置し続けてきた。今上天皇に聖なる存在として国民を包摂したり、励ます役割を果たすことは期待しながら、天皇ご自身がどのような問題を抱えているかについては、いたって鈍感だった。
 今回の問題はその矛盾が、今上天皇ご自身がご高齢の上に健康不安まで抱えるようになった今日、現実的な問題として浮上したに過ぎない。 
 そもそも何が問題なのか。そして、この問題とわれわれはどう向き合えばいいのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。  ≫(ビデオニュースドットコム:ニュース・コメンタリー (2016年7月16日))

 http://www.videonews.com/commentary/160716-02/


■参考資料:日本国憲法第8条までと、第9条からの線引きに注意。憲法の第8条までは天皇の地位について定義されている。第9条からが、本来の民主主義における憲法の第一条とも言える。
 この部分が、日本国憲法と云うか、日本の特異性であり、何千年前からの天皇とのつき合いの歴史から生みだされた部分がある。上述のように、明治憲法下でも、天皇の地位は、主権者ではなく、「統治権の総攬者」となっている。
 簡単に理解すると、“国政のすべての一手に掌握する”と理解して良い。天皇大権(統帥大権、非常大権、緊急命令発令大権、官制大権、戒厳大権)」という天皇だけが有する「絶対的権力」が、天皇個人に属しているように書かれているが、「輔弼(ほひつ)制度」(天皇の行為としてなされ、あるいはなされざるべきことについて進言すること。大日本帝国憲法では大臣責任制が採用され、国務一般の輔弼について「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」と定められていたが(第55条第1項)、実際には内閣官制に基づいて内閣が輔弼を行った。)があり、天皇の統帥権は、内閣の輔弼という「鵺」のようなものを通じて、ハンドリング可能だったようだ。少々乱暴な解説(笑)。

 ■日本国憲法 
〔第1条〕 天皇は 日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって この地位は 主権の存する日本国民の総意に基づく。
〔第2条〕 皇位は 世襲のものであって 国会の議決した皇室典範の定めるところにより これを継承する。 〔第3条〕 天皇の国事に関するすべての行為には 内閣の助言と承認を必要とし 内閣が その責任を負う。 〔第4条〕 天皇は この憲法の定める国事に関する行為のみを行い 国政に関する機能を有しない。 天皇は 法律の定めるところにより その国事に関する行為を 委任することができる。
〔第5条〕 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは 摂政は 天皇の名で その国事に関する行為を行う。 この場合には 前条第1項の規定を準用する。
〔第6条〕 天皇は 国会の指名に基づいて 内閣総理大臣を任命する。 天皇は 内閣の指名に基づいて 最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
〔第7条〕 天皇は 内閣の助言と承認により 国民のために 左の国事に関する行為を行う。
1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2.国会を召集すること。
3.衆議院を解散すること。
4.国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5.国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任命   並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7.栄典を授与すること。
8.批准書及び法律の定める   その他の外交文書を認証すること。
9.外国の大使及び公使を接受すること。
10.儀式を行うこと。
〔第8条〕 皇室に財産を譲り渡し 又は皇室が 財産を譲り受け 若しくは賜与することは 国会の議決に基づかなければならない。
――――――――――――――――――
〔第9条〕 日本国民は 正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し 国権の発動たる戦争と 武力による威嚇又は武力の行使は 国際紛争を解決する手段としては 永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため 陸海空軍その他の戦力は これを保持しない。 国の交戦権は これを認めない。

倭国の形成と東北 (東北の古代史)
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