世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●「中世の司法」と揶揄される日本刑事司法 欧米同一価値観有するは笑止

2014年03月31日 | 日記
絶望の裁判所 (講談社現代新書)
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講談社


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●「中世の司法」と揶揄される日本刑事司法 欧米同一価値観有するは笑止


 再び、日本の刑事司法における前近代的捜査方法等々が議論される裁判所の判断が出た。袴田事件の死刑囚として48年間にわたり勾留されていた袴田巌氏の再審が決定した。今回のようなケースが生まれるたびに、我国の警察、検察、裁判所の問題点がマスメディアなどで一時の流行のように、かまびすしくとり上げられるが、数か月もすると、何事もなかったように、坦々粛々と同じことが繰り返される。司法に関わる連中が、この日本の司法制度の非近代性を重々承知の上で、既存権力の上に胡坐をかくのは、いつものことである。

 多くの無知な国民が、“怪しい奴は吊るせ!”の感情を抱えている以上、改めて困難な近代司法制度に取り組む必要なんかない、と開き直っているのが、日本の警察であり、検察であり、裁判所なのである。原子力発電所が三つも爆発を起こし、致死量の放射能を地球上にばら撒こうと、“世界最高基準の安全対策”など云う勝手気ままな言説を旗印に、再稼働に邁進出来る国家なのだから、1億何千万人中数百人が冤罪で苦しんだとして、既存のシステムを変える気など毛頭ないのは当然だ。

 「俺たちの国は、そういう国なンだよ。文句あるなら、束になってかかって来いよ!」そんな気持ちが優勢な民主主義国家と云うことなのだろう。つまり、支配者層の連中の正体は、民主主義制度の衣を着た、野蛮人なのである。国民に関しては、野蛮人に支配されているのだから、何に例えればいいのか、言葉を慎むほかない。おそらく、怪しい日常を送っている人々や性格的に周囲と馴染まない(意味なく同調しない)人々を排除する「村社会」の伝統文化が居残っている為かもしれない。

 最近でこそ、科学的検証(DNA照合など)の反証により、判決の再審が決判断され、或は内部告発などにより、起訴の誤謬が見つかることがある状況になってきた。しかし、これ自体が偶々冤罪を防げた例外であり、民主主義国家の人権重視の司法が行われている状況からは程遠い。多くの人々から指摘されているので、ここで深くは言及しないが、国連からまで「ミドル・エイジ(中世)司法」と指摘されているのが日本の司法制度である。

 「絶望の裁判所」でも明らかなように、検察が起訴した刑事事件は99.8%の有罪率を誇ると云う事実から、逮捕で80%の有罪。起訴で、ほぼ百発百中の有罪なのだから、裁判官が無罪判決を出すことは、非常に困難な司法秩序の中に置かれていることを意味する。たしかに、疑わしき人々を犯罪者に仕立て、しょっ引き、有罪判決で刑務所に収監すれば、治安が表向き良くなる事実はあるのだろう。国民が、その治安の良さを警察のお陰で安心して暮らせる日本だと思い込むことは、彼らの法治ではない行為を行う免罪符を与えているし、積極的に非近代的司法制度を改めようと云う動機づけは、永遠に訪れないことになる。

 大雑把な括りで言えば、 1、怪しい奴に目をつける 2、怪しんだ尤もらしい根拠で捜査令状や逮捕状を裁判所に請求―要件を満たせば令状逮捕状は出る 3、これを前後して記者クラブスクラムで犯人の印象操作が警察を通し行われる 4、逮捕勾留 5、代用監獄により、取り調べは時間制限なく行われる 6、犯人の自白偏重主義が横行するため自白を得るために取調べと云う拷問が行われる 7、殴る蹴るは滅多にないだろうが、硬軟織り交ぜ刑事5~6人対容疑者一人の密室取調べが継続 8、勾留期間は建前上10日間だが、延長が容易く出来るので23日。また、1件につきだから3件の犯罪がある疑いがある場合は69日になる。 9、逮捕後、黙秘権もあるし、弁護士を呼ぶ権利もあるが、取り調べ中は弁護士は立ち会えない現実なので、容疑者は一人で警察官や検察官と対峙する 10、自白しない場合、保釈は軽微な犯罪でも認められないことが多い 11、可視化の話があるが、一部可視化は警察検察の都合の良い部分のビデオ撮影 12、無罪でも、保釈が欲しくて自白や供述調書へのサインは致命的 13、自白供述調書は自分をほぼ有罪にする決め手になる

 まぁかなり大雑把だが、上述のような按配になる。犯罪を犯した自覚があるなら、さっさと「おそれいいりやした」がサバサバして良いだろう。しかし、これが身に覚えがないとなると、俄然話は違ってくる。警察や検察は、自白を取ろうと、ありとあらゆる手を駆使してくる。脅し賺しは当然だが、被疑者の社会的立場が喪失するような事実関係を作り上げる傾向が強い。あらゆる関係する場所への家宅捜索などが行われるので、普通の会社員なら、概ねアウトである。もっと日本の刑事司法で厄介な点は、マスメディアが警察検察と一体化した立場に存在することである。

 袴田氏の事件において、当時の新聞は、袴田氏が逮捕される前から、袴田氏を犯人扱いした報道に徹している。なぜそうなるか?まさかジャーナリストとして無能としか思えない記者連中が、独自の取材記事をものにして書いているわけではない。すべては警察検察のリークによる情報の垂れ流しである。この警察検察のリーク情報を垂れ流さないと、その報道機関の記者は極めて不利な立場に追い込まれ、「特落ち」の連続と云う罠に嵌る。当然、その垂れ流しは、暗黙の不文律である。しかし、記者クラブとは、そのようなものであるが、マスメディアにとって楽チン過ぎる報道手段であり、やめようなどと考える社はない。

 かくして、犯罪者として世間に喧伝されてしまった社会人は、孤独の中で、多くの取調官の追求に遭うことになる。彼に有利な証言が可能だった人々でさえ、君子危うきに近寄らずの心境になるものである。あの人が、俺のアリバイを、と思っても、犯人として印象操作された彼は極悪人であり、関わりたくない気持ちに、善意の第三者まで引きずり込むのである。ビデオニュース・ドットコムが当時の毎日新聞を例示していたが、それは、それは凄い報道であり、無罪の可能性どころか、チンケな犯罪者まで(袴田氏の場合は異なるが)極悪人になるのである。

 袴田氏逮捕前の新聞記事は「従業員の“H”浮かぶ」。夕方逮捕される当日の朝刊に実名報道、「袴田を連行、本格取り調べ」「夕刻までに逮捕」「不敵な薄笑い」となる。逮捕後はもっと凄い、袴田自供!「金欲しさにやった」「粘りの宋さ69日」「パジャマの血でガックリ」「葬儀の日も高笑い」「ジキルとハイドの袴田」これがすべて、起訴前、有罪前の被疑者袴田氏に向けた報道である。どの社も似たりよったりだが、社会面では毎日が見てきたように垂れ流し報道を行うのは、小沢陸山会事件でも理解できるように、自分が目撃者であったように。記事を書きたがる趣向を持つ新聞社のようである。

 毎日であろうが、他の社であろうが、“朗報!袴田氏再審決定”などと云う記事を書く前に、当時自分たちは、袴田氏のことを、どのように報じたか、その事実に口を拭い、市民の忘却に期待するような報道をいつまで続けていくのだろう。どの面さげて、「袴田氏の48年はどうなった?」などと記事が書けるのだろうか。昔、記事を書いた記者と、今の記者は違う人物だからと云うエクスキューズで済まされる問題ではないだろう。報道のリテラシーの問題である。

 しかし、現実は坦々と過ぎるのである。村木事件における国家賠償訴訟の判決だが、裁判所は、検察の不当な逮捕起訴に対する国家賠償が認定したが、検察のリークにより受けた名誉棄損の部分を棄却した。国家賠償法において、多くは村木氏への賠償が認められたが、検察リークによる名誉棄損について、別途訴訟を起こしたが、改めて最高裁が棄却を決定した。

 検察官がマスメデ¬ィアに情報をリークしたことは明らかであると原告側は主張したが、高裁は「情報漏えいした大阪地検の職員が特定されていない」「漏洩した時期、態様、及び目的等について具体的な事実を認定するに足りる的確な証拠がない」「記者たちが検察リークを証言しているとしても、記者が特定されていなければならない」等々と語り、検察のリーク自体が存在しなかったとした。筆者の記憶では、「推認するに充分な状況がある」は日本の裁判所の常套句だが、検察や警察の不法行為には「推認」と云う言葉はないのだそうだ。何という身勝手な奴等だ。束にして薪にしてしまい、火力発電に応用したいものだ(笑)。

 毎日新聞が驚くことに、「袴田事件決定 直ちに再審を開始せよ」と云う社説で白々しく報じている。この社の連中の心臓は、毛が生えているなどと云うものではなく、メディアリテラシーとかジャーナリストとして矜持とか、まったく無縁のようである。TBSも然りだろう。盗人猛々しいと云う表現が妥当だとは思わないが、そんな気分にさせられる。最後に気づいたので、目が穢れそうな社説だが掲載しておく。

 社説:袴田事件決定 直ちに再審を開始せよ
 捜査側の証拠捏造(ねつぞう)の疑いにまで踏み込んだ事実上の無罪認定だ。
 静岡県で1966年、一家4人が殺害された袴田事件で、静岡地裁が再審開始の決定を出した。袴田巌元被告(78)のこれ以上の拘置は「耐え難いほど正義に反する」との地裁の決定で、袴田元被告は逮捕から48年ぶりに釈放された。
 再審に費やした時間は、あまりに長すぎた。検察は決定に不服があれば高裁に即時抗告できる。だが、決定の内容や袴田元被告の年齢を考慮すれば、再審裁判をするか否かでこれ以上、時間をかけてはならない。速やかに再審裁判を開始すべきだ。
 再審の扉は、新証拠が提示されなければ開かれない。今回の第2次再審請求審では、確定判決で犯行時の着衣とされたシャツなど5点の衣類のDNA型鑑定が焦点となった。
 地裁は、「血痕が袴田元被告や被害者と一致しない」とした弁護側のDNA型鑑定を新証拠と認め、袴田元被告を犯人とするには合理的な疑いが残るとした。「疑わしきは被告人の利益に」の刑事裁判の原則が再審にも当てはまるとした最高裁の白鳥決定に沿った妥当な判断だ。
 決定は、5点の衣類が、事件から1年以上経過して発見されたことを「不自然だ」と指摘した。「後日捏造された疑いを生じさせる」として、捜査当局が、なりふり構わず証拠を捏造した疑いまで投げかけた。
 証拠の捏造があったとすれば許されない。確定裁判でも45通の自白調書のうち44通の任意性が否定され、証拠不採用になった。証拠が不十分な中、犯人視や自白の強要など不当捜査が行われた疑いが残る。静岡県警は捜査を徹底検証すべきだ。
 検察の責任も大きい。第2次再審請求審では、公判で未提出だった約600点の証拠が地裁の勧告を受けて新たに開示され、弁護側が確定判決との矛盾点などを突いた。
 裁判の遂行には、公正な証拠の開示が不可欠だ。東京電力女性社員殺害事件や布川事件など近年、再審無罪が確定した事件でも、検察の証拠開示の不十分さが指摘された。被告側に有利な証拠を検察が恣意(しい)的に出さないことを防ぐ証拠開示の制度やルールが必要だ。
 一連の再審請求審を振り返れば、裁判所も強く反省を迫られる。81年提起の第1次再審請求審は、最高裁で棄却されるまで27年を要した。自由を奪われ、死刑台と隣り合わせで過ごした袴田元被告の長い年月を思うと、迅速な裁判が実現できなかったことが悔やまれる。
 半世紀近い塀の扉を開けたのは最新のDNA型鑑定の成果だが、適正な刑事手続きや公正な証拠開示など国民に信頼される刑事司法の原点を改めて確認したい。 ≫(毎日新聞:3月28日社説)

こんな日本に誰がした! 休刊10年『噂の真相』編集長の嘆きと怒り
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●今やジャーナリストNO1風な長谷川幸洋 安倍晋三と運命共同体な男

2014年03月30日 | 日記
文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)
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●今やジャーナリストNO1風な長谷川幸洋 安倍晋三と運命共同体な男

 以下の長谷川幸洋のインタビューは、おそらくFM放送局「J-WAVE」で流され話題になった安倍晋三とのインタビューの内容だろう。「J-WAVE」の前身はエフエム東京だ。創業時、セゾングループと、東急グループが出資者として深く関わった。その後、経済界、放送関連企業のバックアップがあり、現在のFM放送局「J-WAVE」に至る。現在同社は、多くの出資を受けており、系列色は消えているが、時折、もろに政治色を前面に出すこともある。ニッポン放送(フジサンケイグループ)や経済界のの影響が多少強い。

 同放送局の番組、“JAM THE WORLD”のパーソナリティは、野中英紀、津田大介、堤未果、長谷川幸洋、堀潤を並べ、不偏不党の装いに徹している。しかし、この中でメジャーなジャーナリストと目されるのは長谷川であり、同氏が同番組のメインナビゲータなのは、なんとなく窺える。安倍晋三と云う、痩せても枯れても、どれほどおバカさんでも、ラジオの番組で長々とインタビューに応じたと云うことは、ナビゲーターが仲良しの一人であるからであり、ニュートラルな相手であれば、此処までインタビューには応じないと考えていくべきだ。ゆえに、このインタビュー記事はプロパガンダ性を強く帯びている。まぁ各自お読みいただき、ご判断願いたい。第3回もあるようなので、首相も暇なのだろう(笑)。

 このインタビューは長谷川の第一声「まず、ウクライナ情勢です。これはもしかしたら冷戦終結後のもっとも大きな出来事かもしれないと思っています。なぜなら、ロシアは国連安保理の常任理事国であり、 本来なら一番国際法を守らなければならない立場の国でありながら、クリミアに侵攻して実効支配をし始めている。この情勢を総理はどのようにご覧になっていますか?」と云う決めつけ質問から始まっている時点で、長谷川幸洋は、ジャーナリストではなく、米国新興宗教信者にして、安倍官邸の協力者であることを白状した。あとは、読まずに済ませてもいい内容を暗示してしまった。まぁ取りあえず、折角だから、通読しておいても、と云う方々の為に2回分のインタビュー記事を掲載しておく。注意しておくことは、安倍が長々と話した部分が政府から国民への説明責任であるが、同時に政治的プロパガンダになっている。長谷川は合の手を入れている幇間であり、政府メッセンジャーであることだ。

 ≪ 安倍晋三首相・特別インタビュー【第1回】 「ウクライナで起こっていることはアジアでも起こりうる」
長谷川: 今日はたくさん聞きたいことがあります。どうぞ、よろしくお願いします。
安倍:よろしくお願いします。
長谷川:まず、ウクライナ情勢です。これはもしかしたら冷戦終結後のもっとも大きな出来事かもしれないと思っています。なぜなら、ロシアは国連安保理の常任理事国であり、 本来なら一番国際法を守らなければならない立場の国でありながら、クリミアに侵攻して実効支配をし始めている。この情勢を総理はどのようにご覧になっていますか?

■力を背景にした現状変更は決して許すことはできない
安倍: まず、日本の立場は明確です。それは、「力を背景とした現状変更は決して許すことができない」ということです。そして今、ウクライナで起こっていることは決してこの地域だけでの問題ではなく、たとえばアジアでも起こりうることなんです。そのような意味においては、世界全体の、国際社会全体の問題だと捉えるべきだと思うのです。 私はG7の会議でもそのように主張しました。だからこそ、この原則を守らなければならない。ロシアの取っている行動は明らかに法に反する行動です。だからこそ国際法をしっかりと守っていくためにG7では一致結束して行動していくということで一致しました。
長谷川: 「アジアでも起こりうること」と首相が指摘されたときに、各国首脳からの反応はどうでしたか?
安倍: G7において他の国がどのような発言をしたのかは引用しないことになっているので国名は挙げませんが、アジアにおいては台頭する中国という存在があり、南シナ海、 東シナ海でもいろんなことが起こっているという話をしましたら、3ヵ国の首脳から基本的に私と同じ認識が示されました。
長谷川: 今、東シナ海、南シナ海、中国と国名が出ましたが、総理は国名を挙げてお話しされたのでしょうか?
安倍: アジアにおいては中国の存在は極めて大きいということ、そして、東シナ海、南シナ海においても力を背景とした現状変更の試み、挑発行為が行われているということは、ファクトとして紹介しました。

 ■「封じ込め」ではなく対話のチャンネルを維持していく必要がある
長谷川: ウクライナで起きていることは、われわれジャーナリズムの世界では「新しい冷戦の始まりだ」とも言われていますが、総理はどのようにお考えですか?
安倍: まさに 「新しい冷戦のスタート」にしてはなりません。かつてのように、再び米ソが対立し、世界が西側、東側に別れていたという状況を作ってはいけない。現在では、経済はグローバルにつながっていますから、対立が起きれば、結局、世界経済を直撃してすべての国に損害を与えることは長谷川さんもご承知の通りでしょう。 かつてのように西側、東側のブロックの中で経済が形成されていた時代とは違うのです。だからこそ、私もG7の会議において、「力を背景とした現状変更の試みは絶対に許すことができない」と主張したのです。 一方で、ロシアが経済的な制裁に対して無責任な報復をするかもしれない。(その可能性も含めて)この問題が世界経済にどのような影響があるのかをよ く議論しておく必要があるとも申し上げました。だからこそ、あのような形で違法にクリミアをロシアに編入したり、今後、さらに東ウクライナにロシアが軍隊を派遣させたりすることがあってはならないのです。 同時にウクライナを経済的に安定させていくことが必要です。日本は15億ドルの支援をしていく予定です。現段階では具体的な数字を挙げたのは日本だけですが、日本がリードする形でウクライナへの支援をしていく必要があると思います。 ロシアに対しても、国際社会から受け入れられる形の対応をするように強く促していく必要があると思います。いわば"封じ込め"ではなく、常に対話のチャネルを維持していく必要があると思います。日本のもう一つの原則として、「どんな課題があっても、課題があるからこそ対話は継続すべきだ」とG7で主張しましたし、それはG7全体のコンセンサスになっていると思います。
長谷川: 今おっしゃられたように、米国、欧州、もちろん日本もロシアとは相互依存関係にあり、経済的な制裁を行えばはねかえってくる可能性がある。とりわけ、欧州はエネルギー3割をロシアから輸入していることもあり、もしかしたらアメリカと欧州の足並みはそろっていないのではないかという見方もありますが、いかがでしょ うか?
安倍: 大切なことは、G7において声を一つにしてメッセージを発し続けていくことです。まさにそれは国際法を遵守し、ウクライナの国の一体性を維持し、力による現状変更を許してはならない、という原則に対してEU、米国、日本、G7は一致していると示す必要があるという認識を持ちましたし、事実一致することができました。 もちろん、長谷川さんがおっしゃったようにそれぞれの国はロシアとの関係を持っています。日本とロシアも、平和条約交渉をまさに再スタートしたばかりです。しかし、それとは別にG7において「これは許せないことだから、共同で行動していく」ということをハーグにおいてきちんと示せたと私は思います。

 ■5回の首脳会談で日露の信頼関係は醸成された
長谷川: 日本は 北方領土問題を抱えています。北方領土交渉に今回の問題が悪影響をあたえるのではないかという声もありますが、私は必ずしもそうとは思わない。ロシアに とって北方領土とクリミア半島はまったく位置づけが違い、北方領土は別途日本と交渉していくのではないかという可能性も残されているのではないかと思います。そのあたりはいかがでしょうか?
安倍: さきほど申しましたように、G7でロシアに対して共通の行動を取って行くことでは一致しましたし、日本もその一員です。同時に、プーチン大統領とは昨年来、5回首脳会談を行いました。短期間のうちに5回も首脳会談を行うことによって信頼関係は醸成されたと思っています。 平和条約のような大きな問題を解決するためには、最終的にそれぞれの首脳が政治決断しなければ絶対に解決しません。そのためにもまずは信頼関係を醸成する必要があると考えたからです。たしかにこうした問題が起こっていますが、日露関係の重要性には変わりがありません。われわれは粘り強く平和条約交渉に取り組んでいきたいと考えています。
長谷川: では、平和条約、北方領土問題についてもまだ十分に話し合うチャンス、可能性は開かれていると考えてよいのでしょうか?
安倍: 日本の悲願でもあり、戦争が終わって68年経つのに、ロシアと日本という隣りあった大きな国の間で平和条約がないというのは異常です。このような異常な状況は地域の平和と安定にとっても良くありません。これはなんとしても解決をしたいと思っています。

■プーチンとはいかなる人物か?
長谷川: 総理から見て、ずばりプーチン大統領はどのような人でしょうか?
安倍: 決断する力には富んでいるだろうと思います。もちろん今回のクリミアに対する決断は間違っていると思いますよ。しかし、国内でさまざまな意見が対立をする中においても本人が断固としてリーダーシップを発揮して決断をする力を持っていると思います。また、そういう人物でなければ北方領土問題を含む平和条約交渉を最終的に決断できないだろうと思いますね。
長谷川: 今年の秋にプーチン大統領は日本訪問が予定されていますが、このスケジュールは変わりありませんか?
安倍: 現在のところ、われわれはその方向に向けて作業を進めていきたい。しかし、当然、クリミア、ウクライナの問題の解決に向けて、まずは全力で取り組んでいくことは当然だろうと思っています。
長谷川: このあとさらに詳しく聞きますが、中国は今回の事態の陰の主役になるのかなと私は見ていますが、中国はこの問題においてどのような立ち位置だと理解すれば良いのでしょうか?
安倍: ロシアもそうですが、中国は常任理事国の一国です。であると同時に、ロシアと緊密な関係を持っています。また米国、日本をはじめ、経済的には多くの国と密接な関係があります。そうした関係を中国としても維持をしていきたいのだろうと考えています。中国も国内でさまざまな課題を抱えています。 またさきほど申し上げたように、国際的には南シナ海、東シナ海での行動があります。そういう中においてどのような対応を取ってくるかが問題になるかと思います。*第1回以上

 ■中国はクリミアの問題を見て何を考えているのか
長谷川: 中国についてさらにお聞きします。先ほど総理はハーグのサミットにおいて、東シナ海と南シナ海の問題を念頭に置いて、日本やアジアの国々にとっても対岸の火事で はないということを主張した、ということでした。私は、その認識が各国にどれくらい強く共有されるのかが重要なポイントだと思っています。その辺り、総理の感触をお聞かせください。
安倍: ウクライナの問題がヨーロッパ、EUだけの問題ではなく、世界全体の問題だという認識をG7で共有することが重要だと思っています。ですから、G7の会合において、私が発言するチャンスを得たときに、少し説明をしながらその話をしました。 G7の代表のみなさんは、私の話に大変興味深く耳を傾けてくださり、さらに私のあとに発言した方たちは「安倍さんが言ったように」という形で言及してくださいました。 アジアにおける中国の脅威と、その力を背景とした現状変更の試みを許してはいけないということを明確にしておかなければ、それは世界にも波及していきます。そういう観点を念頭に置きながらこの問題を議論していくべきだということは共通の認識になったと思います。
長谷川: 先日もフィリピンの大統領が、『The New York Times』のインタビューで、中国が南シナ海において、1995年以来、たとえばミスチーフ環礁、スカボロー礁を実効支配している状況を、かつてのヒトラーに対する宥和政策になぞらえて、警告しています。つまり、まさしく力による現状変更の試みが南シナ海で行われつつあったと。 とりわけ日本においては、尖閣諸島の問題があるわけです。だからこそ心配で、そういう認識が世界の人々に共有されるということがとても大事だと思うわけです。中国は今、ロシアのクリミアの冒険を見て、何を考えているんでしょうか?
安倍: 中国はすでに、南シナ海において、係争中の岩礁等を軍事力を背景として獲得していっています。フィリピンに対しても、ベトナムに対してもそうですね。そして、南沙諸島、西沙諸島において一方的に「9ドット」というものを指定して、自分たちの排他的経済水域を相手の了解を得ることなく指定してきています。 それに対して、東南アジアの国々は大変な脅威を感じている。そこで、やはり海洋法条約に則ってお互いに行動しよう、何か偶発的な出来事が起こってはいけないからきちんと行動規範を決めましょう、ということを提案しています。 防空識別圏もそうです。事前に何の相談もなく、しかも、国際的な常識を破る形でいきなり設定して、そこを通る民間航空機はすべて中国に通報しろと主張しています。これはあまりに非常識なことであり、国際社会からも強く非難されています。

 ■日本と中国は切っても切れない関係
安倍:われわれと中国との関係は、特に経済においては、切っても切れない関係にあると思います。日本は中国に輸出して利益を上げていますし、多くの企業が投資をしてやはり利益を上げています。同時に中国は日本からの投資によって、1000万人以上の雇用を生み出しています。かつ日本にしかできない半製品を輸入して加工することで、日本も含めた欧米諸国に輸出をして多くの利益を上げている。つまり、切っても切れない関係なんです。 ですから、その関係性の中において、平和的に台頭していくことによって経済を成長させ、国民を豊かにしていく。それが中国の通っていくべき道だと思 います。海洋、あるいは海洋資源というのは国際公共財ですから、「国際社会と一緒に活用していきましょう」という立場をとるべきなんですね。「これは私のものだ」と軍事力を背景に獲得していこうという姿勢は改めさせなければいけない。 ASEANの一つひとつの国は、確かに軍事力では中国と比べものになりません。だからこそ、お互いの助け合いが必要です。共同して、中国を排他的に追い出していこうということではなく、中国にも輪の中に入ってもらって、公共財である海を国際法のルールに則って一緒に使いましょう、ということを私たち は申し上げているわけです。こういう認識をアジアだけではなく、G7の国々とも共有したい。そこで中国も正しい方向に転換してほしいと思いますね。

■アメリカとの関係は大丈夫なのか?
長谷川: 今回のクリミア侵攻を見ていて非常に心配になったことがあります。ロシアは安保理の常任理事国であり、中国も同じく安保理の常任理事国です。こんなことはあってはならないし、望まないことではあるけれども、もしも中国が尖閣諸島で同じような乱暴な行為に出た場合には、中国自身が常任理事国であるために、国連が機能しない。そういう可能性が、今回の件で明らかになったと私は受け止めています。 そうなったときに、日本の安全保障にとって大事なのは、やはり日米同盟だと思います。そこで日米同盟についてお聞きしますが、どうも、この前の総理 ご自身の靖国参拝に対する「失望発言」があってから、日米関係がぎくしゃくしているような印象があるのですが、その後どうなっているのですか?
安倍: 日米関係について言えば、たとえば民主党政権時代に、普天間基地の辺野古への移転が二転三転しましたが、安倍政権になってから、われわれは約束を果たしています。埋め立ての承認を知事から得ることができました。つまり、普天間基地の辺野古への移転について、確かに国民のみなさまの同意を十分にとれているとは言えない状況ではありますが、しっかりと米国との約束通りに進めています。 それに対して、米国側も嘉手納以南の基地返還を実行してくれていると思います。近々、西普天間の日本への返還が行われます。本当に返還されるのかと いう懐疑的な見方もあったのですが、これがしっかりと行われれば、だんだんと関係が変わってきているということを沖縄のみなさんにも実感してもらえると思います。 またTPP交渉も、難しい交渉ではありますが、昨年私も決断をして、交渉がスタートしました。こちらもやるべきことはきっちりと進めています。京都にXバンドレーダーを設置して、日米の抑止力体制を強化する。これも地元のご了解をいただいて、進めています。 これまでずっと滞っていたことを、安倍政権のこの1年間で相当進めることができました。そういう意味では、日米の同盟関係への信頼は揺るぎないもの だと思います。ただもちろん、お互い別の国ですから、別々の歴史があるわけですから、意見がすべて同じというわけではありませんが、根本的に日米同盟というのは、お互いにとって決定的に必要な関係といってもいいと思います。 アメリカはアジアへは、第7艦隊がしっかりと展開していて、所謂前方展開戦略でこの地域の平和と安定にコミットしています。そのアメリカを信用して いるんですね。その基地はどこかと言えば、日本にある。横須賀であり佐世保であるわけです。これを別の国に持っていくことは、信頼関係においても、技術的な面においても絶対にできないわけですから、そういったことをお互いに認識しながら、お互いを尊重していくことが大切だろうと思います。

 ■「日米同盟は揺るぎない関係にある」
長谷川: つまり、アメリカ国務省の失望発言から今は修復した、と?
安倍: そもそも日米同盟というのが揺るぎない関係であることは間違いありません。そうした言葉のやりとりのようなちょっとやそっとのことでは揺るがないんです。しかし、そういった関係の中にあっても、お互いに誤解があってはなりません。 私は私の靖国参拝における発言についても米国に伝えていますし、(米国が)例のコメントを出したときも、私のあの時のステートメントに対する評価に近い言及が出されています。私がこう述べたということは留意しますよと。日本の報道機関はあまり報じませんが。 そういう中において、日本も主張すべきことは主張しますが、今後ともこの同盟関係の維持というのは、日本だけが必要としているのではなく米国も必要としている、ということだと思いますね。
長谷川: 今回のサミットの中でオバマ大統領とは個別のやりとりはありましたか?
安倍: そうですね。最初のセッションでは席が隣だったので、その際、今回の核セキュリティサミットにおいて、日米が核物質を最少化していく研究を共同で行っていく、そして日本が米国にプルトニウムを一部返すという協定を共同声明として発表することができてよかったということを申し上げました。 オバマ大統領からは、この日米の共同声明こそ核セキュリティサミットの最大の成果であり、安倍さんの努力に感謝したいという話がありました。そこで、この核セキュリティサミットについても最終的に成功するように協力してやっていきましょう、という話になりました。 そして、日米韓の首脳会談を行ったあと、4月のオバマ大統領の来日についての話、TPPについての話もしました。

■同盟関係がなければ1+1は1にしかならない
長谷川: 集団的 自衛権の見直しについては、ずっと問題になっている。そこに加えて、今回のクリミア問題がある。そして、総理が先ほどご指摘されたように、東シナ海における中国の問題もある。このクリミア情勢をうけて、集団的自衛権の見直しの意味合い、その重要性は一段と高まったのではないかと思います。 国連の安保理が機能しないかもしれないという状態の中で、集団的自衛権、つまり国連憲章51条ですが、この問題の重要性を改めて国民に説明していくためのロジックについてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか?
安倍: 国連というのはとても大切な機関です。国連を活用した今日までの成果はすばらしいと思いますし、その中で日本も貢献をしてきました。来年で創設70周年を迎えるのですが、しかし、生まれたときから、国連にはそもそも課題と問題点があるんですね。 いわゆる戦勝国がつくった国際的な機関ですから、戦勝国側の主な国々が常任理事国となりました。問題点といったのは、その常任理事国が拒否権を持っ ているということです。他の加盟100数十ヵ国が賛成しても、常任理事国が拒否権を行使すれば、物事がまったく動いていかないわけです。 国連というのは、いわば国同士の紛争が起こったときに、最後は国連が出てっておさめますよ、それまでの間、各国が自衛権を発動できますよ、ということになっているのですが、今長谷川さんがおっしゃったように、国連の常任理事国が、その問題を収めよう、あるいは攻撃を受けている国を助けようという場合に、拒否権を発動されてしまったらどうにもできない、という基本的な問題点があるんですね。 だからこそ、同盟関係というのは大切であって、しっかりとした絆にしていく必要があるんです。

 ■アジア太平洋全体の集団安全保障体制はあるのか
 長谷川: 将来は日米同盟から、もっと視野を広く持って、アジア太平洋全体の集団安全保障体制を構想する、というお考えはないでしょうか?
安倍: 同盟関係をつくっていく、そしてそれを増やしていくためには均一性がなければなりません。日本とアメリカはともに自由と民主主義、基本的人権、法の支配という基本的価値を共有しています。利害関係が一致しています。軍事力においては大きな差がありますが、日本も相当高いレベルの自衛力を持っているからこそ、お互いが共同して行動できます。 そして、先ほどの集団的自衛権の話に戻りますが、アジア太平洋地域の安全保障関係が変わっていく中で、一国のみでは一国を守れないんですよ。そこで、平時にあっても他国と共同しているということは、大きな抑止力になるんですね。 他国と共同するということは、自分の国がやられたときに「助けて」といったら、「わかりました」と。相手の国が日本の近くで攻撃を受けて、日本だけ が助けられる場所にいるのに「ごめんね」と言って見捨てた瞬間、同盟関係は終わりますよ。人間同士でも同じように、民主国家においてもその関係は終わります。 同盟関係がよければ1+1が2以上になりますが、同盟関係がなければ1+1は1にしかならない危険性を持っている。そういう意味から、真剣によく考えていく必要があるんだろうと思います。 「アジア全体の集団安全保障体制」ということについては、じゃあその範囲はどこまでなのかという問題があります。結局のところ機能しないものを作っても意味がないと思います。 しかし今、ARF(ASEAN地域フォーラム)のようにアジアの安全保障をお互いに議論する場はあります。そして、会議体としてもASEAN(東南アジア諸国連合)があり、ASEAN+3(日中韓)があり、EAS(東アジア首脳会議)があります。そういう中において、安全保障についてお互いに議論していくことも大切だろうと思います。 ヨーロッパのNATOはソビエトがワルシャワ条約機構を作ったので、米国を中心に拡大していったわけです。しかし国連においては国連軍はなかなかできませんよね。それと同じ結果になってはあまり意味がありません。 ただお互いに意思疎通をしながら、なるべく外交的な話し合いの中で、平和的に解決をするという意味においては、ARFなどを活用していくことが大切だと思います。*第2回以上、第3回につづく ≫(現代ビジネス:ニュースの深層:長谷川幸洋)


 面白いコラムがWSJに掲載されている。ゲーツ元国防長官のネオコン振りが全開の寄稿コラムである。こちらの方が脚色なく、牙むき出しで一読に値する。現在、ウクライナ・クーデター政権内では、何が起きているか、日本人の多くも、アメリカ人も知らないのだろう。狡賢いだけのEU寄り政治家が、ウクライナ民族主義者に脅かされ、反ユダヤ主義者の恫喝に震え上がっている現実は凄まじい状況だ。しかし、ヤヌコビッチ前大統領をウクライナから追い出したのは、民衆ではなく、実は暴力を好む、彼ら民族主義者と反ユダヤ主義者の腕力によるクーデターであった。ゆえに、EU寄りの政治家も、民衆も、彼らに歯向かえない状況が増幅している。

 この調子だと、クリミア半島独立云々の枠をはみ出し、ウクライナ内戦が勃発する可能性の方が高くなっている。どうするのかね?オバマ君。NATOが介入するには、どんな勢力とどんな勢力が内戦をしているのか判らなくなるような様相だ。EU各国の民族運動にも波及する怖れさえ考えられる。ドイツ、フランス、英国、イタリア、スペイン等々における民族独立、地域独立の機運が先鋭化する可能性を秘めている。EU諸国はウクライナにおいて、訳のわからぬ内戦が始まった場合、ウクライナのEU加盟に消極的になるに違いない。ウクライナのネオナチを扇動したのが米国であっても、ロシアに塩を送る結果を招いている。超裏読みをすると、ウクライナの民族主義者とネオナチ気取りの連中は、NATO、ロシア双方から報酬を得ている疑惑さえ浮上する。


≪【寄稿】西側に挑戦するプーチン大統領=ゲーツ元国防長官
 ロシアのプーチン大統領には積年の恨みがある。冷戦で西側諸国が勝利を収めたことに憤慨している。特に最愛のソビエト連邦の崩壊を米国のせいだとし、これを「20世紀最悪の地政学的惨事」と称している。
 プーチン氏の根深い不満は、3月18日にロシアによるクリミア併合を発表した演説であらわになった。同氏は1990年代のロシアの恥と自身がみなす事態を苦々しく思っている。具体的には、自国経済の崩壊、北大西洋条約機構(NATO)が旧ソ連独自の「同盟」であるワルシャワ条約機構の加盟国に拡 大、欧州の通常戦力を制限する条約(プーチン氏は「植民地条約」と呼ぶ)にロシアが合意、セルビアなどに対するロシアの影響力を西側が排除、ウクライナとグルジアをNATOと欧州連合(EU)に参加させようと西側が画策、西側の政府・実業家・学者が国内外の問題の扱い方をロシアに指図――などだ。
 プーチン氏は世界でのロシアの権力と影響力を取り戻し、かつて旧ソ連の一部だった独立国をロシアの傘下に取り戻そうとしている。(数々の経済問題 に対する責任が伴う)ソ連復活への欲望は表に出していないものの、政治・経済・安全保障面でのロシアの勢力圏を作り支配するつもりだ。まだ本格的な計画や戦略はないが、意志は固く時機をうかがいながら今は耐えている。
 2012年に通算で大統領3期目に入ったプーチン氏は長期にわたる駆け引きをしている。ロシア 憲法の下で、合法的に24年まで大統領にとどまることができることから、時間には余裕がある。1990年代のソ連崩壊後、ロシアの民主主義と政治的自由の抑圧に対する国内外の抗議を気にも留めず、プーチン氏は情け容赦なくロシアに「秩序」を取り戻した。
 プーチン氏はここ数年、「旧ソ連諸国」に権威主義的な目を向けている。08年に同氏がグルジアに侵攻した時、西側諸国はほとんど何もせず、ロシア軍は今もアブハジア・南オセチア地域を占領している。同氏はアルメニアにEUとの協定案を破棄させ、モルドバにも同様の圧力をかけている。
 昨年11月には、経済的・政治的影響力を行使して、ウクライナの当時のヤヌコビッチ大統領に、同国を西側諸国に近づけることになるEUとの協定調印を中止させた。このためにヤヌコビッチ氏が追放されると、プーチン氏はクリミアを編入し、ウクライナ東部についても軍事介入をちらつかせている。
 ウクライナはプーチン氏の親ロシア連合構想の中核だ。その規模もさることながら、重要なのはウクライナの首都キエフは1000年以上前のロシア皇帝生誕の地であることだ。同氏はキエフに親ロシア政府が復活するまで満足することなく、手を休めることもないだろう。
 プーチン氏の世界観は欧米首脳のそれとは大きく異なる。欧米人が交渉や正当な手続き、法規によってしか変更すべきではないと考える国境不可侵の原 則や国際法に対して西側首脳が抱いている崇敬の念を同氏は持ち合わせていない。人権や政治的権利にも関心がない。何よりも、ゼロ・サム的な世界観に固執している。各国がいずれも満足のいく関係が重要と西側諸国が考えているのとは対照的に、プーチン氏にとっては、どのような取引でも勝つか負けるかだ。つまり 一方が何かを得ればもう一方は失うことになる。権力を獲得し、維持し、蓄積するのが何より大事なのだ。
 ロシア周辺国に対するプーチン氏の野望に対抗するには、西側も戦略的な長い駆け引きを仕掛けるしかない。それはプーチン氏の世界観と目標――そして目標達成の手段――がいずれロシアを著しく衰弱させ孤立させることをロシア国民につまびらかにする行動を取ることだ。
 西側諸国も犠牲を払うことになるかもしれないが、欧州はロシア産の石油や天然ガスへの依存度を下げ、ロシアに本格的な経済制裁を科さなければなら ない。ロシアと国境を接するNATO加盟国は軍備を強化し、同盟軍の支援も仰ぐ必要がある。バルト三国は経済面やインターネット関連でロシアの影響を受けやすい状況を解消しなければならない(エストニアとラトビアにいるロシア人とロシア語を話す人々の数を考えればなおさらだ)。
 西側諸国による対ロシア投資も縮小すべきだ。ロシアは尊敬の念や合法性を示す主要8カ国(G8)首脳会議などの会合から追放されるべきだ。米国の国防予算は1年前にオバマ政権の14年度予算案で提示された水準に戻すべきだ。米国防総省は諸経費を大幅に削減し、その分を軍艦などの軍備増強に充てるべ きだ。欧州からの米軍撤退は中止すべきだ。そしてEUにモルドバ、グルジア、ウクライナとの連合協定締結を促すべきだ。
 だが今のところ、西側諸国の対応は鈍い。プーチン氏の取り巻きやオリガルヒ(国内の新興財閥)の個人資産の凍結や渡航制限は同氏にほとんど影響を 与えていない。ロシアの銀行に対する米国の一方的な制裁は、欧州の協力なしには効果はないだろう。純然たる武力侵略に対する西側諸国の言葉と行動のギャップは極めて大きい。これではまるで、プーチン氏がウクライナ東部に軍隊を派遣しなければ、西側諸国がこれ以上制裁を科したり、代償を支払わせたりしないかのようだ。事実上、ロシアのクリミア併合は確定し、ごく一握りのロシア当局者を除き、ビジネスは通常通り続くだろう。
 新たな冷戦、ましては軍事的対立など望む人は誰もいない。われわれはロシアをパートナーにしたいと考えているが、プーチン政権下でそれが不可能な のは明らかだ。プーチン氏が挑んでいるのはクリミアやウクライナだけにとどまらない。同氏の行動は、何よりも独立国が自ら選んだ相手と連携してビジネスを行う権利など、ポスト冷戦体制全体への挑戦だ。
 報復主義者が武力で恨みを晴らすのを黙認することは、欧州であれアジアであれ場所を問わず危機を長引かせ、軍事衝突を引き起こしかねない。中国が 東シナ海や南シナ海で攻勢を強めている状況や、イランの核開発問題と中東での介入主義政策、北朝鮮の不安定で予測不可能な状況はいずれも欧州でも注目され ている。中国などはシリア問題での西側諸国の無力ぶりを目の当たりにした。今回のロシアの武力侵略に対しても同様に対応が分かれ弱腰になることが、将来、 危険な結末を招くと私は恐れている。
 西側諸国は最もタイミングの悪い時期にプーチン氏の挑戦を受けている。欧州は景気回復ペースが鈍く、ロシアとは経済的に強く結び付いている。米国 は10年以上に及ぶ戦争から立ち直りつつあり、共和党と民主党のリーダーらは有権者の間で広がる孤立主義に直面している。背景には、新たな海外での大きな問題が現在の政治情勢に影響を及ぼすとの見通しがある。クリミアとウクライナは遠い場所にあり、欧米にとっての重要性が国民にあまり理解されていない。
 そのため、いつものことながら、西側首脳には断固たる行動を取る必要性を説明する責任がある。米大統領だったフランクリン・ルーズベルトは、「政 府には政策を立てるだけでなく、常に説得する、導く、犠牲になる、教えるという仕事がある。なぜなら政治家の最大の責務は教育することだからだ」と語っている。プーチン氏の強引で傲慢(ごうまん)な行動には西側首脳の戦略的思考、力強い指導力、鋼のような決意が必要だ――今すぐに。 *ゲーツ氏は1991~93年にブッシュ(父)政権で米中央情報局(CIA)長官、06~11年にブッシュ政権とオバマ政権で国防長官を務めた。 ≫(WSJ:寄稿・米国元国防長官ロバート・ゲイツ)

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●『文明の衝突』文明の激突は不可避 日米欧の国際政治に歴史観なし

2014年03月29日 | 日記
「帝国以後」と日本の選択
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●『文明の衝突』文明の激突は不可避 日米欧の国際政治に歴史観なし

 最近の世界情勢を眺めていると、10年スパンで物事を評価し、重大な決定を真実のようにいとも容易く、安易に下しているようだ。壮大な展望に立つアメリカ合衆国なんて言っても、大枠の地球が過去に描いてきた紀元前からの歴史に目を向ければ、いたって些末な“壮大な展望”なのである。実は、個人的なことだが、父親が先週98歳で亡くなった。目標年齢100歳を目前に亡くなったのだが、悔しさも如何ばかりかと思料している。莫大な年金生活者が一人減少したわけだから、国益には適っているのだろう。現在は家族葬のあとの、お別れの会準備に奔走している。とてもとても多忙である。そんなわけなので、今夜のコラムは、サミュエル・P・ハンテイントンの『文明の衝突』をウィキペディア抜粋で紹介しておく。事情ご賢察のうえ、手抜きのほどご容赦願おう。

 筆者は、故ハンティントンの『文明の衝突』を読んで、全面的に支持したわけではないが、世界を俯瞰的に眺める座標軸の一つを提示していると思う。今回のウクライナ騒乱をどのように捉えるか、故ハンティントンの考えを聞くわけにはいかないが、エマニュエル・トッドの意見は聞いてみたい。以前読んだ村山節の文明法則800年周期と云うのがあったが、結構面白い説であり、フムフムな部分もあった。過去においてはたしかに、大まかに見ると、西洋系文明と東洋的文明が中間期を挟んで、交互に栄枯盛衰を繰り返している。安倍や籾井や渡辺喜美をぼろくそに貶すのも面白いが、俯瞰な視座から世界を眺めるのも一興だ。

≪ 『文明の衝突』(ぶんめいのしょうとつ)は、アメリカ合衆国の政治学者サミュエル・P・ハンティントンが1996年に著した国際政治学の著作。 原題は『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』(文明の衝突と世界秩序の再創造)。

冷戦が終わった現代世界においては、文明と文明との衝突が対立の主要な軸であると述べた。特に文明と文明が接する断層線(フオルト・ライン)での紛争が激化しやすいと指摘した。
記事の多くはイスラム圏、ロシアについてであり、他の地域に関してはおまけ程度の扱いである。 本書はハンティントンの論文『文明の衝突?』から派生したものである。この論文は雑誌『フォーリン・アフェアーズ』の1993年夏号にて発表され、激しい論争をもたらした。
もともとはジョン・オリン戦略研究所の「変容する安全保障環境と米国の国益」プログラムにおける活動の成果でもある。1989年にフランシス・フクヤマによって発表された論文『歴史の終わり』に対する反論の位置づけもあり、また2001年のアメリカ同時多発テロ事件やそれに引き続くアフガニスタン紛争やイラク戦争を予見した研究として注目された。
ただしエマニュエル・トッドは宗教や表面上の文化のみで文明を分けるべきでないと、ハンティントンの諸文明の考察に反論している。

内容
本書はそれまでの「西側」、「東側」、「国民国家」などの国際政治の視座ではなく、文明に着目して冷戦後の世界秩序を分析する国際政治学的な研究である。
その内容は、文明の概念と特徴を定義した第一部「さまざまな文明からなる世界」、非西欧文明の発展を論じている第二部「文明間のバランスのシフト」、文明における文化的秩序の発生について論じた第三部「文明の秩序の出現」、文明間の紛争や戦争について論じた第四部「文明の衝突」、そして西欧文明の復興や新時代の世界秩序について論じた第五部「文明の未来」から成り立っている。

諸文明の世界観
ハンティントンはまず文化が国際政治においても重大な役割を果たしていることを指摘した。特に冷戦後において文化の多極化が進み、政治的な影響すら及ぼした。なぜなら文化とは人間が社会の中で自らのアイデンティティを定義する決定的な基盤であり、そのため利益だけでなく自らのアイデンティティのために政治を利用することがあるためである。
伝統的な国民国家は健在であるが、しかし行動は従来のように権力や利益だけでなく文化によっても方向付けられうるものである。そこで現在の諸国家を七つまたは八つの主要文明によって区分することがハンティントンにより提案された。 ここで議論されている文明という概念については、文化的、歴史的な着眼から考察されている。
そもそも文明とは何かという議論について、文明は複数は 存在しないという見解がある。つまり文明とは未開状態の対置概念であり、そして西欧社会は唯一の文明であった。この文明の見解は社会の発展という観点からのみ定義されるものであるが、文明と文化の関連からも考察できる。文明は包括的な概念であり、広範な文化のまとまりであると考えられる。文明の輪郭は言語、歴史、宗教、生活習慣、社会制度、さらに主観的な自己認識から見出される。
人間は重複し、また時には矛盾するアイデンティティを持っているために、それぞれの文明圏に明確な境界を定義することはできないが、文明は人間のアイデンティティとして最大限のものとして成立している。だからこそ文明は拡散しても消滅することはなく、ある一定のまとまりを持って存在している。
ただしエマニュエルトッドは家族構造と人口統計に基づいて世界を認識している。このため、サミュエル・P・ハンティントンの『文明の衝突』を全くの妄想と見なしている。 ただし世界政治における行為者として文明を位置づけているわけではない。文明は文化的なまとまりであって、政治的なまとまりではない。あくまで文明 はさまざまな行為主体の政治行動を方向付けるものである。近代世界以後の日本を除く全ての主要文明が二カ国以上の国家主体を含んでいる。文明の総数については歴史研究において学説が分裂している。16個、21個、8個、9個などと文明の数え方にはいくつかの基準がある。
しかしハンティントンの分析は、歴史的には最低限でも主要文明は12個存在し、そのうち7つは現存せず、新たに2個または3個の文明が加わったと考えれば、現在の主要文明は7個または8個であるとした。

・中華文明 - 紀元前15世紀頃に発生し、儒教に基づいた文明圏であり儒教文明とも呼ぶ。その中核を中国として、台湾、朝鮮、韓国、ベトナム、シンガポールから成る。経済成長と軍備の拡大、および国外在住の華人社会の影響力を含め、その勢力を拡大しつつある。
・ヒンドゥー文明 - 紀元前20世紀以降にインド亜大陸において発生したヒンドゥー教を基盤とする文明圏である。
・イスラム文明 - 7世紀から現れたイスラム教を基礎とする文明圏であり、その戦略的位置や人口増加の傾向、石油資源で影響力を拡大している。
・日本文明 - 2世紀から5世紀において中華文明から派生して成立した文明圏であり、日本一国のみで成立する孤立文明。ただしエマニュエル・トッドは日本はドイツと似た文明を持っていると反論している。
・東方正教会文明 - 16世紀にビザンティン文明を母体として発生し、東方正教に立脚した文明圏である。 ・西欧文明 - 8世紀に発生し、キリスト教に依拠した文明圏である。19世紀から20世紀は世界の中心だったが、今後、中華、イスラム圏に対して守勢に立たされるため団結する必要がある。
・ラテンアメリカ文明 - 西欧文明と土着の文化が融合した文明、主にカトリックに根ざしている文明圏である。
・アフリカ文明 - アフリカ世界における多様な文化状況に配慮すれば、文明の存在は疑わしいものであるため、主要文明に分類できないかもしれない。 エチオピアやハイチはどの主要文明にも属さない孤立国である。モンゴル、チベット、タイ、ミャンマーなどは仏教文化として括られているが積極的な行為主体とは考えていない。

変容する文明
近代において圧倒的な影響力を与えた西欧文明は現在では二面性があり、それは圧倒的な優位を誇る先進的な文明という側面と、相対的に衰弱しつつある 衰退途上の文明という側面である。
このような西欧文明の衰退には極めて長期的な衰退であること、また不規則な進行で衰退すること、権力資源が量的に低下し続けていることといった特徴がある。
特に領土、経済生産、軍事力全ての面での衰退が始まっていることは顕著であり、21世紀においても西欧文明は最強の文明であり続けることが可能であったとしても、その国力の基盤は着実に縮小していくことになるとハンチントンは予測した。
このような衰退の兆候は近年の諸事件に見出すことができる。その一つに地域主義の発生がある。文明開化の歴史には例外なく文化を背景とした価値観、生活習慣、社会制度の変更が行われているが、近年の地域主義の進展によって、世界各地で文化摩擦と文化復興が見られる。また20世紀前半における宗教衰退の予測は誤っていたことが証明された。
「神の復讐」と呼ばれるこの宗教復興運動はあらゆる文明圏で発生しており、宗教に対する新しい態度が現代社会にもたらされた。この運動はかつての近代化がもたらした社会変革に対する反動、西欧の衰退に伴う西欧化への反発、冷戦の終結によるイデオロギーの影響力低下などの諸要因によって発生したと考えられる。 地域主義と宗教の再生は世界的に認められる現象であるが、これが顕著なのがアジアである。
中華文明、日本文明、イスラム文明において経済成長が目立って進んだ結果、西欧文明の文化に対する挑戦的な態度が見られるようになった。20世紀において東アジアでは日本がまず高度経済成長を遂げ、これは日本の特殊性によるものだと解釈する研究もなされた。しかしその後に日本だけでなく香港、台湾、韓国、シンガポール、中国、マレーシア、タイ、インドネシアでも経済成長しつつある。
そしてそれまでの西欧文明が与えたオリエンタリズムに反発し、儒教や漢字などのアジアの文化の普遍性が主張されるようになっていった。 同様にイスラム文明も台頭しつつあり、近代化を進めながらも西欧文化を拒否して独自のイスラム文明を再構築しようとしている。近年のイスラム復興運動とはこのような社会状況を背景とする文化的、政治的運動であり、イスラムの原理主義はその要素に過ぎない。
文明の内部構造 世界政治において文化やアイデンティティが重大な影響を果たすようになれば、文明の境界線にしたがって世界政治の枠組みは再構築されることになる。かつてのアメリカとソヴィエトによって形成されたイデオロギーの勢力圏に代って、それぞれの文明の勢力圏が新たな断層線、フォルト・ラインを生み出し、そこで冷戦中にはなかった紛争が頻発するようになっている。
1990年代以降に世界的なアイデンティティの危機が出現しており、人々は血縁、宗教、民族、言語、価値観、社会制度などが極めて重要なものと見なすようになり、文化の共通性によって協調や対立が促される。 このような文化に根ざした政治的対立や協調を理解する上で冷戦期において冷戦期とは異なる用語が導入されなければならない。アメリカとソヴィエトの超大国に対し、諸国の関係は同盟国、衛星国、依存国、中立国、非同盟国のどれかであった。
しかし冷戦後は文明に対してその文明を構成する国家である構成国、その文明において文化中心的な役割を果たす中核国、文化を共有しない孤立国、二つ以上の文化的な集団によって分裂している分裂国、引き裂かれた国家として国家主体を位置づける枠組みが必要である。
冷戦後の世界政治において主要文明の中核国は重要な役割を果たすようになっている。中核国は他国を文明の構成員に誘致し、また拒否する重要な行為主体である。
ある文明の参加各国は中核国を中心に同心円に位置しており、全ての国は文化を共有する文明圏に参加し、協力しようとするが、文化的に異なるものには対抗しようとする。これは安全保障や経済とは明らかに異なる行動原理であり、区別しなければならない。中核国が持つ勢力圏は文明圏と一致し、その影響力は文化水準や文化の影響力などによって左右される。

フォルト・ライン戦争
文明が相互に対立しあう状況は深刻化しつつあり、微視的にはイスラム文明、ヒンドゥー文明、アフリカ文明、西欧文明、東方正教文明がその当事者に挙げられるが、巨視的には西欧文明と非西欧文明の対立として理解できる。
なぜなら政治的独立を勝ち取った非西欧文明は西欧文明の支配を抜け出そうとしており、西欧文明との均衡を求めようとする。このような関係が敵対的なものになるにはいくつかの側面があるが、イスラム文明や中華文明は挑戦する存在として西欧文明と緊張関係にあり、場合によっては敵対関係になりうる主要文明である。ラテンアメリカ文明やアフリカ文明は西欧文明に対して劣勢であり、また西欧文明に依存的な態勢であるために対立することは考えにくい。
一方でロシア文明、インド文明、日本文明は特に西欧文明は中間的な主要文明であり、状況によって は協力的にもなり、対立的にもなると考えられる。つまり最も衝突の危険が高い主要文明はイスラム文明と中華文明である。
文明の衝突とは二つの視点から見ることができる。一つは地域において文明のフォルト・ラインにおいて紛争が勃発する形態である。これは国境地帯や国内の異民族集団によって発生する。このような文明の衝突は民族浄化などの事件を引き起こす事件であり、バルカン半島に おける民族問題はその典型的な事例である。
もう一つは世界において主要文明の中核国と他の文明の列強との間で紛争が勃発する形態であり、これらの争点は古典的な国際政治学の問題として研究されている。それは世界的な政治的影響力、相対的な軍事力、繁栄や経済力、人間、価値観や文化、領土などがそれである。
フォルト・ライン紛争とは文明圏の間で生じる紛争であり、フォルト・ライン戦争はこれが暴力化したものを指す。戦争は必ず終結するものと考えられているが、フォルト・ライン戦争は必ずしも将来終結するとは限らない。
なぜならフォルト・ライン戦争とは文明間の異質性に根ざしたフォルト・ラインによるものであり、地理的な近接性、異なる社会制度や宗教、歴史的記憶によって半永久的に引き起こされうるものである。したがってフォルト・ライン戦争が終結するには二つの政治的展開が考えられる。
一つは戦争当事者が暴力の有効性を否定して穏健派が意思決定の主導権を握り、相手との和平に合意しなくてはならない。 また戦闘停止の利害を共有し、また第三者の調停などの条件として考えられる。

新しい世界秩序
 冷戦期において脅威とされていた共産主義勢力の次に出現した新たな世界秩序において、最も深刻な脅威は主要文明の相互作用によって引き起こされる文明の衝突であることが分かる。
世界の主要文明の中核国によって世界戦争が勃発する危険性は否定できない。なぜならフォルト・ライン戦争は最初の戦争当事者が一構成国であっても、その利害は必然的に文明全体に関わることになるためである。大規模な文明の衝突という最悪の事態を回避するためには中核国は他の文明によるフォルト・ライン戦争に軍事介入することには注意を払わなければならない。
ハンティントンはこの不干渉のルールと、文明の中核国が交渉を行い、自己が属する文明のフォルト・ライン戦争が拡大することを予防する共同調停のルールを平和の条件としている。そしてより長期的な観点から現在の不平等な文明の政治的地位は平等なものへと平和的に是正し、西欧文明と非西欧文明の衝突を予防する努力が必要であるだろう。
ただしこれらの原則や政策は現状から考えて 実施することは大きな困難である。しかし世界平和を求めるためにはそれまでとは異なる文明に依拠した政治秩序が必要であると結論する。 ≫(ウィキペディア抜粋)

文明の衝突
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●政府も意地を張らずに「尖閣領土、引き分け」に舵を切れ 勝敗にこだわるな

2014年03月28日 | 日記
新・資本主義宣言 (7つの未来設計図)
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●政府も意地を張らずに「尖閣領土、引き分け」に舵を切れ 勝敗にこだわるな

 東シナ海に浮かぶ岩礁で口角泡を飛ばし、戦争まで始める気分の人々の気がしれない。中国に負けるとか、勝つとか、そんなことも、どうでも良いだろう 筆者から見ると、こんな些細な問題を懸案事項にする方が、明らかに国益を損ねている。世界中の人々の9割以上が、日本政府の「領土問題は存在しない論」を笑いながら聞いている事実を知らないのだろうか、バカバカしい。筆者にも、ナショナリズムの心はある。しかし、興味を持つべきは、尖閣なんてチャチナ係争で対中問題の進展がないこと、そして経済的不利益を蒙ること、且つ、対米従属からの脱却(日本の真の独立)の為にも、無益な係争に関わっていることは愚かである。

 欧米の態度は、明らかに中国にシフトしている、と考えるのが妥当だ。アメリカが中国より日本を重視するはずがない。軍産複合勢力は中国といがみ合う日本と云う国は都合が好いわけだが、あくまで経済合理性によるもので、心情的に日本にチアを送っているわけではない。今後の日本外交は、米国6割、中国2割、ロシア1割、ASEAN1割外交防衛が基軸である。筆者などは、玉突きバーター取引で、尖閣棚上げで、北方四島の歯舞諸島、色丹島+国後共同開発を優先すべきである。オバマの勢いに気圧され、リベラルに振舞う安倍晋三は日本の屈辱である。外交に、歴史的事実関係とか、民族や政治理念を振り回しても、何一つ得るものはない。

 米国の政府及び知識層が、中国との距離感に神経を費やしている時に、ナショナリズムで、中国といがみ合っても、何ら得はない。ガキの喧嘩ではないのだ。双方の言い分の中を取るのが早道だし、日本が自分の足で独り立ちする追い風にもなるのだ。敗戦国のくせに、メンツばかり重んじて、御しがたい国家だね、日本てのは。これが、世界の外交の認識だと云うこと、少しは考えたらよさそうなものである。尖閣の海中には石油が~とか、希少メタルが~なんて、大したもんじゃない。それに日本政府は原発再稼働~!なのでしょう?石油なんかそんなに欲しくはない。いずれに日にか、日本の製造業は重厚長大を捨て、付加価値生産にシフトせざるを得ないわけで、ひっちゃかめっちゃか電力が必要になるとも思えない。

 それよりも、中国、ロシア、ASEANの関係を正常に戻すことの方が、まさに価値がある。米国とって都合の良い集団的自衛権も、肝心の米国が懐疑的になっているのだから、特定秘密保護法のように、アメリカの口車に乗せられ、創らされただけで、現実には秘密など教えてはくれないのである。秘密は盗むが、教えることはない。秘密とは、自分の手足で収集するものであり、人様から貰うものではない。都合の悪いものは一切教えてなんかくれるか、子供でも判る理屈だろう。いずれにせよ、米国一辺倒の外交防衛を信じていると、我国だけが置いてきぼりを喰らう可能性は大いにある。本命であっても、婚約破棄はある。スペアーを準備するのは21世紀に生きる花嫁の心得である(笑)。

 今夜は好き勝手を乱暴に語ったが、髄を外れてはいないと信じている。以下はWSJと朝日新聞の記事だが、日本人に向かって忠告、或は誘導言説でもあるが、乗れる部分には乗り、異なる方面にも乗ればいいだけだ。相手の言い分に乗り、しかし、多方面で利を得る程度の知恵は出したいものである。正直、現在の日本人の民族意識とか、政治理念とか、倫理観などいい加減なものなのだから、図太く合理的選択をすべきだ。その選択を、合理的ではない判断に基づき風にアレンジするのが外交官の仕事だ。外務省よ、思考停止の日常生活を放棄せよ。偶には考えることだ。

≪ 尖閣諸島めぐるPR合戦、中国は日本より上手=米軍事専門家
 尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐるPR合戦で日本は中国にひけをとっており、形勢を逆転する必要がある、と2人の米著名退役軍人は指摘する。
 オバマ政権でアジア・太平洋安全保障担当の国防次官補を務めたウォレス・グレグソン元海兵隊中将は、「われわれはストーリーを変え始める必要がある。個人的な見方では、現在、われわれは(尖閣諸島をめぐる議論の)主導権を握っていない。中国に握られてしまっている」と述べた。
 グレグソン氏は退役海軍少将で米海軍分析センター上級研究員を務めるマイケル・マクデビット氏と共に、25日に都内で開かれた東シナ海の緊張をめぐるシンポジウムで講演した。 両氏は、日本は戦後長く平和主義を貫いてきたにもかかわらず、中国は日本を軍国主義に駆り立てられた攻撃者として描くことに成功していると指摘。その結果、日本に徐々に圧力をかける中国政府の戦略が効果を上げているとの認識を示した。
  マクデビット氏は「中国の目的は、徐々にではあるが確実に日本政府を追い詰めることだと私は確信している」とした上で、「中国政府は日本政府が『降参』と言うのを期待している」と述べた。
  マクデビット氏は、日本はスタンスを変え、尖閣諸島の領有権をめぐる対立の存在を認めることによって攻勢に出ることができるだろうとの考えを表明。 さらに、尖閣諸島をめぐる論争を国際司法裁判所に持ち込み、国際的な行動規定に従うことが正しいと確信していると主張することができると述べた。
 さらに、「そうすれば中国はそれに対処せざるを得ない。中国政府は無視することもできるが、少なくとも守勢に回る」とし、「そうでなければ、(中国政府による)ゆっくりながら、確実な締め付けが続くことになり、その苦境から抜け出す方法は考えつかない」と語った。
  一方、グレグソン氏は、日米は中国や他の諸国に対し、日本国内に軍事力を持つ理由を明確に説明するよう提言。「中国に対する攻撃の意図はないが、日本を攻撃する意図がある国があれば、それに反撃するのがわれわれの計画だ」というメッセージを送るべきだ、と述べた。 ≫(WSJ:日本リアルタイム)


 ≪ 新型大国関係「米中、衝突避ける挑戦」 スタインバーグ前米国務副長官=訂正あり
 米中が模索する「新型大国関係」について、米オバマ政権で対中政策立案の中心的役割を果たしたジェームズ・スタインバーグ前国務副長官が朝日新聞のインタビューに応じた。決定的な対決を避けようとする両国の試みは正しいとしつつ、中国による防空識別圏設定などで「問題が生じた」と指摘。不信感が双方にあるとし、「長期的な戦略に基づいた変化の兆候なら非常に危険なことだ」と強調した。
 日中関係にも言及し、対立が続く尖閣諸島問題での「棚上げ論」を支持した。
 国務副長官は国務省ナンバー2で、スタインバーグ氏は2011年7月までの任期中、何度も訪中した。ケリー国務長官が今月14日に訪中し、オバマ大統領も3月に習近平(シーチンピン)国家主席と首脳会談に臨むのを前に、対中政策の現状を聞いた。
 新型大国関係を、第1次世界大戦前の英独など、歴史が繰り返してきた既存の大国と興隆する大国による衝突を避けるものと説明。「いかに(衝突の)危険を避け、互いの違いをうまくさばけるかの核心的な挑戦だ」とし、米国の外交政策には中国との協力が欠かせないとの考えを強調した。
 一方で、中国の東シナ海での防空圏設定や南シナ海で 実効支配を強める動きについて、意見の違いが目立っていると指摘。中国は米軍の再編を含むオバマ政権のアジア重視政策を「中国包囲網」ととらえ、米国には中国が米軍を西太平洋から追い出そうとしていると考える向きがあるなど、双方に不信感が出ていると語った。相手の真意をつかめない状況が最も危険だとし 「両国の関係を本気でうまくコントロールしなければならない」と語った。
 現時点では中国との安定的な関係を目指す政策に変更はないと指摘。米中関係は「(限られた利得を奪い合う)ゼロサムゲームではない」とし、日本などアジアの同盟国と関係を強化しながら中国との関係を築くことの重要性を強調した。
 日中関係については「対話がない状態を心配している」。尖閣をめぐって日中が武力衝突する事態は米国も支持しないとし、田中角栄元首相と中国のトウ小平氏との間に尖閣問題の棚上げ合意があったとの認識を前提に、「(この合意は)正しかった。尖閣問題はわきに置くべきだ」と訴えた。 (シラキュース〈米ニューヨーク州〉=奥寺淳)
 <訂正> 20日付のスタインバーグ前米国務副長官のインタビューの記事で、「田中角栄元首相と中国の小平氏との間に尖閣問題の棚上げ合意があったとの認識」とあるのは、「田中角栄元首相や中国の小平氏らの時代に日中首脳間に尖閣問題の棚上げ合意があったとの認識」の誤りでした。訂正します。 ≫(朝日新聞デジタル)

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●リベラルなナショナリスト?安倍晋三の末路 米中露から嫌悪される日本

2014年03月27日 | 日記
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●リベラルなナショナリスト?安倍晋三の末路 米中露から嫌悪される日本

 日米のマスメディアより、オバマ大統領の方が現実を直視している点では評価できる。しかし、ロシアのクリミア介入がウクライナ問題の始まりと云う、オバマのロジックには、一切同調は出来ない。どの角度から観察しても、ウクライナの政治に介入したのは欧米が先であり、そのことをネグって、論を展開することは、すべてが我田引水論になってしまう。語る事すべてが捏造のそしりを受けるわけで、デモクラシーを標榜する大国のリーダーの言葉としては薄っぺらだ。北朝鮮の金さんや韓国の慰安婦問題で誠意(金よこせ)をみせろと叫び続け、最後には疲れ果てるのはオチである。

 米国がNATOを通じて、東方拡張戦略を推進し、ロシアの勢力を縮小させる考えがあったのは事実だ。戦略においても、現実の戦術においても、仕掛けたのは、明らかに欧米側である。ロシアのプーチンと中国・習近平の間で、ユーラシア大陸ブロックの構想は練られたであろうが、特に国際社会の反発を買って、ウクライナの領土に云々はなかったであろう。プーチンにしてみれば、米国の力が、今後益々凋落するまで待機する手筈であったと思考する。

 スタンバイ状態でありながら、アイドリングを静かに行っている、ロシアの忍耐強い神経戦に、しびれを切らしてしまったのは、欧米勢である。彼らにしてみれば、世界の覇権は、欧米で共有するのが自明であり、その他の地域には、覇権に見合う器量を持っているブロックはない、と云うのが「バイブル並に絶対なもの」として存在する。しかし、なぜバイブル並の絶対的自信を持つ欧米が、なにを慌てたのかと云うことになる。おそらく、国際連合と云う戦後の枠組みに大きな綻びが生まれていることを認知させる。以下は時事通信が伝えるオバマの状況だが、アチョコチに思い込みが前提で、記事が書かれている。

 ≪ 米大統領、秩序維持で限界も=欧州、アジアで安保環境悪化
 【ハーグ時事】オバマ米大統領は外遊先のオランダ・ハーグで、ウクライナ情勢をめぐり、欧州各国首脳と協議を重ねた。大統領はさらに日韓中3カ国の首脳とも会談。欧州とアジアにまたがる同盟網の盟主として、領土保全や主権の擁護を訴えたが、両地域で進む力による現状変更の動きや安全保障環境の悪化に歯止めをかけるのは容易ではなく、限界も透けて見えた。
 「ロシア軍がクリミアを支配下に置いている。同地で既に起きた事態の解決は簡単だと告げるのは不誠実だ」。大統領は25日の記者会見でこう語り、ロシアによるウクライナ南部クリミアの併合を撤回させることは困難だと率直に認めた。
 大統領は、重要産業を狙った実効性のある対ロシア制裁の発動準備を整えるよう各国に呼び掛け、先進7カ国(G7)首脳会議で同意を得た。G7は、ロシアで開かれる主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)のボイコットも決めた。
  ただ、ロシアから多くのエネルギー供給を受ける欧州連合(EU)の一部加盟国は、強力な制裁発動に慎重。このためG7は、ロシアに依存しないエネルギー安全保障政策を検討する方針を打ち出し、不安の解消に努めた。軍事力は用いないと明言している大統領にとって、制裁はロシアに対抗する最も強力な武器だが、 国際協調の足元は盤石ではない。
 一方、ロシアのウクライナ介入は、アジアにも不安を広げている。安倍晋三首相はクリミア併合を「アジアなど国際社会全体の問題だ」と指摘した。現状を放置すれば、東シナ海などで領有権の主張を強め、威圧的行動を続ける中国を勢いづかせかねないとの危惧を示した形だ。
 こうした声を踏まえ、オバマ大統領は中国の習近平国家主席との会談で、東シナ海への防空識別圏設定に懸念を伝え、対話と国際法に基づく問題の解決を訴えた。しかし習主席は「米側が客観的で公平な態度を取るべきだ」と一蹴した。
  また、北朝鮮はハーグ現地時間の25日、弾道ミサイル2発を発射。大統領が安倍首相、韓国の朴槿恵大統領と3者会談を行い、北朝鮮の核保有を認めないと確認したタイミングに合わせて挑発に及び、地域がいかに不安定かを改めて認識させた。 ≫(時事通信)

 前半のオバマの立場に関しては、客観的報道に徹しているが、中盤以降は、安倍官邸のメディア・ウォッチャー班の監視を意識した記事になっている。中国の威嚇が存在するとしても、その威嚇を前提に、外交防衛全体を網羅するようなレベルの威嚇かどうか、議論する必要がある。「日中戦わば」的な議論が巷ではかしましいわけだが、幅広い人材による議論の場は開かれていないし、一方的イデオロギーに偏った人々の言説が独り歩きしているだけで、公正公平な、乃至は多様な意見の開陳さえ、国民には見えていない。無論、このようなシンポジューム、或はワークショップを政府が行うことは、火に油を注ぐ行為である。

 野田と云う、100年に一度出てくることさえあり得ない阿呆の、「尖閣国有化」お陰で、ナショナリズムを背中に背負わざるを得ない中国に、棚上げの尖閣への介入行動を促したわけだから、飛んで火に入るシロアリである。欧米がウクライナ・クーデターを画策した暗愚な行為も、アホ野田に非常に似ている。まぁ野田の場合は、対中関係でこれ以上揉めたくない心理的強迫観念が、誤ったジャッジをさせたのだろう。しかし、当時の胡錦濤主席が、死に物狂いの顔つきで「国有化は拙い」と忠告したメッセージをドジョウ頭で聞き流し、愚行に走った。

 なにせ、中国と云う図体のデカい国家は、そもそも、国家なのかどうか不確かな共同体のようなもので、権力が分散している事への認識が希薄だったと言えるだろう。あの時野田政権は、公的機関が尖閣の土地取引することは出来ない、と政府見解を出せば済んだ話なのに、右翼が怖くて、それが出来なかった。中国と云う共同体は、毛沢東を世俗的皇帝として認めることで、その他の事柄は、時代に即応して改革改善可能なもと云う合理主義に徹することが出来る共同体になった。正直、中国共産党の総書記がNO1と云うより、いまだに毛沢東がNO1なのである。

 文革であれだけの死人を出しながらも、毛沢東は世俗皇帝として君臨し、今もなお君臨し続けている。ただ、中国全体の歴史となると、甚だ込み入っていて、伝統中国がどのようなものなのか、全体像を捉えるのは容易ではない。清王朝時代になって、漸く「国」と云う概念が生まれた共同体である。それまでの中国と云う地域は「天下あって国家無し」と呼ばれた所以である。中国共同体の帝国は「夏」(紀元前2070年頃 - 紀元前1600年頃)?辺りから明確になるが、国家と云う意識はなく、王様がいただけである。

 「秦」、「漢」、「隋」、「唐」、「宋」、「元」(モンゴル帝国)、「明」、「清」、「満州」(中華民国)、中華人民共和国・中華民国と云う変遷がある。この中で、国家の概念が導入されたのは「清」の時代からである。現在、中国の中心民族は「漢民族」だと言われているが、ネーションの歴史的検証から行くと、必ずしも一致しない。つまり、民族の連続性がほとんど見られない国なのである。ナショナリズムに注目しても、国民には中国共産党と中国を重ね合わせて見ているとは思えない。中国の概念に関して深追いはこの辺で中止するが、続きを考えたい方は『おどろきの中国 そもそも国家なのか?』を読んでいただきたい。新書なのだが、社会学者の鼎談(ていだん)なので、スラスラ読めるとは言い難い(笑)。

 かなり横道に逸れたが、その中国が経済的合理が欧米との協調にあると考えたとしても、「幇」(相互ほう助)を重んじる国民性は、国家の実像以上にたしかなので、ロシアとの関係を重視するのは当然になる。理屈上、米国との関係を深める方が国益に適うからといって、日本のような態度には出ない、出られないのが、中国であり、中国共産党も、その縛りから逃れられない。その意味で、オバマが習に一緒にロシアを排除しようなんて言っても、意に介さないのだ。

 ロシア人も中国的なら、同様のつき合い方も可能だが、これがまったく違うのがロシア人だ。そこで、筆者も迷うが、安倍官邸などは、頭の中がグチャグチャになっているに違いない(笑)。外務省の役人どもは、対米隷属が前提で出世争いのレースに参加できるわけだから、中国通など殆どいない。ロシア通も殆どいない。だから、思考停止でアメリカに追随するしか、選択肢がなくなる。安倍信三の心には、爺さんである岸信介の対米対等化路線の実現を目指そうと云う心情は持っている。しかし、鳩山由紀夫同様に、それを実現する手順に対するインテリジェンスがない。

 仮にあっても、付け焼刃な理論構成だから、日々齟齬が生まれ、頓挫する。現時点では、鳩山よりは長持ちしているが、長持ちした分だけ、痛い目に遭う度合いも酷いものになるのだろう。気の毒に…。幾ら落ち目だからといって、いまだに世界に君臨しているのはアメリカだ。弱い日本が、米国から距離を置く国家になる為には、それ相当の仲間(幇)が必須だ。その幇となるべき国家が中国やロシアである可能性は十分にある。しかし、意思表示は早すぎる。ナショナリズムを見せるのも早過ぎる。その点で、安倍晋三は既に失敗を犯している。もう取り返しはつかないだろう。あまりにもナショナリストな仲間を掻き集めすぎた。

 これでは、アメリカからも疑念のある目で見られ、中国からは目の敵にされ、ロシアに見放されたら、一巻の終わりだ。中途半端な心情が露呈することは、無計画を白状するようなもので、味方になってくれる人がいなくなる。海外に出て、リベラル色を喧伝し、国内に戻ってナショナリストな振る舞いに興じようとするのは、余りに子供染みた手法である。結局、あのような人々しか、安倍晋三のお友達ではなかったと云うことが、安倍晋三の正体のすべてを現している。本当に気の毒だが、かなり酷い目に遭って政権を追われるのだろう。

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●麻生の発言が正しい時もある 安倍は海外でハト派、国内に戻りタカ派

2014年03月26日 | 日記
原発の倫理学
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●麻生の発言が正しい時もある 安倍は海外でハト派、国内に戻りタカ派

 ロシアの歴史からクリミヤ、キエフを除く欧米諸国の歴史観自体が変なのだから、ロシア、ウクライナの間に領土問題が横たわるのは当然だ。領土の真実を見定めるとき、時間軸をどこで切って眺めるべきか、それが問題なのである。300年前を時間軸の切り口にするならば、北アメリカ大陸はネーティブ・インデアンの領土である。幾ら彼らに国家と云う概念がないからと言って、アングロサクソンのものであった理屈は通用しない。ましてや、ロシの起源がキエフ公国であったのは9世紀のことである。以下の麻生太郎の発言の趣旨は解釈次第だが、発言を素直に聞く限り、ロシアの言い分の方に軍配が上がると言っている。今回に限り、麻生太郎の発言は正しい。

 ≪ 麻生氏:「キエフは高天原」 ロシア擁護発言?
 麻生太郎副総理兼財務相は25日の記者会見で、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島編入について「(9世紀に成立した)キエフ公国がロシアの もとだ。(ウクライナの首都)キエフがクリミア半島とわかれてヨーロッパに行ってしまうみたいな話は、ロシアとしては、日本でいえば宮崎県が独立して、(古事記で神々が住んでいたとされる)高天原がいなくなるみたいな話なのではないか」と述べた。
 主要7カ国(G7)がオランダ・ハーグでの緊急首脳会議で「ロシアの違法な試みを承認しない」と宣言した直後に、ロシアを擁護したとも受け取られかねず、批判を招く可能性がある。
 麻生氏は「黒海艦隊の租借を考えたらクリミアは絶対だろうが、キエフもけっこう絶対なのではないか」とも指摘。そのうえで「簡単に話し合いがつくようには思えない。しばらく時間はかかる」と語った。
 菅義偉官房長官は25日の会見で、「副総理はウクライナ問題の難しさを表現したと理解している」と語った。 ≫(毎日新聞:中田卓二、田口雅士)

 安倍晋三は、ロシアと欧米の仲立ち可能な立場を一瞬にして放棄したようだ。何という情けないナショナリストなのだろうか。オバマの恫喝に怖れをなしたのだろうが、尖閣と北方領土を天秤に掛けたら、合理的には判りそうなものだが、その積りも放棄したようだ。これでは、ただのヘタレと評価されても文句は言えない。安倍を支持している吹き上がり右翼の人々から、なんら文句も出ていないようだが、どういうことだ?彼らは全員、安倍グループの派遣労働者だったのだろうか。時給でデモや書き込みをし、ヘイトスピーチをして、日章旗を振り回し、靖国神社に詣でていただけのアルバイトだったのだろうか。オバマの仲介まで頼み込んで、朴大統領と会う理由が何処にあると云うのだ。今夜未明に、日米韓首脳会談があるらしいが、朴のドタキャンの可能性が50%ほどあるのではないか、と筆者などは考えている。

 朴槿恵韓国大統領は24日、疲労のため、国王主催の夕食会を欠席した。日米韓首脳会談は予定通りこなす、と外交筋は語っているが、25日午後の予定も悪寒がするといいキャンセルした。本当に朴大統領が日米韓首脳会議に出てくるか予断を許さない。時事通信によると“行われる見通し”とトーンダウンしている。このコラムを書いている間に始まれば、それはそれなりの評論が可能だが、ドタキャンでは、オバマと安倍は世界の笑い者である。午前3時、朴はドタキャンせずに現れたそうである(笑)。まぁ、日韓二国間会議がない以上、会談はなきに等しいだろう。

 安倍晋三は、海外に出ていくと気弱になるのか、イイ人振り、思いもよらない事まで口走る。戦後の歴史認識を直視するとか、プルトニウムも必要最小限しか持たないとか、小心者ぶるのだが、再処理施設を稼働させてプルトニウムは自己増殖させる、無論、もんじゅを動かす。誰も、その場で突っ込むやつもいないので、出鱈目でもハト派ぶることは可能だ。外国が好きなのは、このような嘘八百がバレない事情があるのだろ。「過去に真摯に向き合うことを重視している」どのような顔で言っているのか(笑)。海外での不甲斐なさを萩生田光一が別発言でフォローしてあるので、チャラくらいに思っているのはたしかだ。姑息すぎるマスコミ対策には呆れてしまう。

 G7では、怖い怖いプーチンが出席していない事を良いことにして、自分らの思惑だけを真実と云う前提で、欠席裁判のような仲良し会議が催されていたようだ。経済制裁はEUの腰が引けており、殆ど効果がないことは判り切っていた。そこで、次の手は、「エネルギー安全保障」にしようと云う話になった。この「エネルギー安全保障」とは、ロシアの収入源の半分がエネルギーの輸出なのだから、このエネルギーに頼らないネットワークを作れば良いよね、と云う話である。欧米日がエネルギーを融通し合う?日本が融通する手立てなど皆無なのに、平気で同意する。米国も、シェール天然ガスを本格的にEUに回すまでに3年は必要なので、これも当面の「言うだけ融通」。

 これで、本気にG7の連中がロシア包囲を考えているとは到底思えない。ウクライナ経由でロシアの天然ガスに頼り切っている、バルカン半島諸国のガス供給をEUで賄うことが可能なのか怪しいものだ。ブルガリア、ギリシャ、トルコなどはヒヤヒヤものである。ドイツが原発を再稼働して助けるとでも言うのだろうか。三回の冬を無責任なシャンシャン会議でお茶を濁すとは、情けないアメリカであり、EUだ。彼らの、金魚の糞扱いされているとも知らず、安倍晋三も、道化師そのものだ。折角、世界の仲介者として振舞える機会を失った。これも、対中路線を誤った咎めである。

 今年中にでも、ロシアがウクライナへの天然ガス供給のパイプラインを止めた場合、どうなるのだろう。オバマの戦略は、ドル基軸が前提での話だが、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのBRICS中心に、ドル以外の通貨貿易圏構想が強く打ち出された場合、対応に苦慮するばかりか、ドル基軸と云う張子の虎大国アメリカの武器は半分以上失われるわけで、終には、南アメリカ大陸、アフリカ大陸、ユーラシア大陸と云う、欧米機軸勢力に対抗する勢力が厳然と明示される。上述のような世界が、どんな世界なのか、現時点で筆者は想像がつかないが、ロシア、中国排除の時代錯誤外交は、西側諸国に痛恨の極みになるのかもしれない。

 話は違うが、マレーシア航空機がインド洋沖で墜落しました。そして、乗員乗客の皆さんは亡くなられたと思います。ほとんど無能丸出しのマレーシア政府に対し、中国側の興奮は最高潮に達している。ネット上では「信用できない」「証拠を示せ」「マレーシア軍が撃墜したに違いない」「マレーシア製品をボイコットしよう」などと騒がしい。現実問題、マレーシア政府は飛行機が墜落した根拠を、燃料が切れたのだから、墜落したに違いないと云う憶測に基づいて公式発表するのだから、中国が怒る意味も分かる。

 色々な説が語られるが、機長が自分が操縦する飛行機を「乗っ取る」と云う表現が適切かどうか別にして、おそらく、そうであったのだろう。過去において、飛行機乗っ取りで起きた事件を検証すれば、亡命を求め受け入れる国に着陸せよとか、仲間の受刑者を釈放せよとか、1兆円寄越せとか、何らかのメッセージがあって然るべきである。しかし、音信不通の儘、旅客機は消えたのである。メッセージなしの6時間飛行が自殺である可能性は極めて低いだろう。死にたいと思いながら、6時間のアップダウン飛行はあり得ない。それでは、もう一つのノン・メッセージは、何を意味しているのだろう。

 先日のコラムでも、さり気なく触れておいたが、テロ行為が目的に場合、無言で飛行を継続する可能性は非常に高い。「今から、どこそこに突っ込みます」と宣言するテロリストはいない。レーダーから完全に消えたのが、インド洋であることは確実なようだが、マレーシア政府やマレーシア航空や事故の技術分析を行っていたインマルサットの幹部が好き勝手を言っているようだが、余程事実関係が明確にならない限り、原因究明を軽率に語ってしまうなど、異例の連続である。何か、いまだ原因も判らないのだから、本来であれば「墜落」と云う言葉も適切でないのだと思う。「撃墜」された可能性も、現時点では否定すべきではない。

 筆者は偶然目にした記事だが、読者の皆様は以下の記事をどのように思うか、それぞれに考えていただくことにする。あまりも悍ましく、文字にするのは控えておく。ただ、ザハリエ機長が物見胡散で旅客機を操縦していたわけではないのはたしかだ。何かに向けた飛行であった可能性は十分ある。

≪ 故郷を返せ!インド洋の米軍基地ディエゴガルシア島
放送日: 2009/10/9(金)
 グアム島と並ぶ、もう一つ基地の島ディエゴガルシアに目を向けましょう。チャゴス諸島はインド洋に浮かぶサンゴ環礁です。その中心の島ディエゴガルシアには、巨大な米軍基地があります。
 アフリカとアジアの中間にあるこの島は米軍の重要な戦略拠点であり、アフガニスタンやイラクの爆撃基地として、またCIAによるテロ容疑者の第三国での拉致監禁(特例拘置引渡し)作戦においても重要な役割を担っています。
 この島に住民はいません。40年前この基地を建てたとき、島民はひとり残らず追放されたからです。ディエゴガルシア島だけでなく、近隣のペロスバニョス環礁やサロモン環礁などチャゴス諸島の島々から、住民が一掃されました。
  チャゴス諸島は英国領であり、島民たちはみな英国市民です。ディエゴガルシア島出身者たちは、自分たちを強制移住させた英国政府に対し、島への帰還 の権利を求める訴訟を起こして闘っています。
 ディエゴガルシア島出身者の指導者オリビエ・バンクールから住民の訴えを聞きましょう。またディエゴガルシア米軍基地と住民追放について本を書いたデイビッド・バインにも話を聞きます。 (中野)
ゲスト
*オリビエ・バンクール Olivier Bancoult チャゴス諸島難民組織(The Chagos Refugee Group)の代表。追放されたディエゴガルシア出身者の指導者
*デビッド・バイン David Vine Island of Shame: The Secret History of the US Military Base on Diego Garcia(『恥辱の島─ディエゴ・ガルシア米軍基地の秘められた歴史』)の著者
 ≫(デモクラシーNOW動画)

注:ディエゴガルシア米軍基地 イギリス政府によって、島全体がアメリカ合衆国に貸与されており、同国の海軍基地がある。インド洋にあるアメリカ軍最大の拠点であり、湾岸戦争やアフガニスタン攻撃、イラク戦争の際に、B-52戦略爆撃機、B-2ステルス爆撃機などがここより出撃した。アメリカの軍事戦略上の要衝である。グァンタナモ米軍基地は有名だが、それに匹敵する秘密性の高いブラックボックス米軍基地である。

風土の日本―自然と文化の通態 (ちくま学芸文庫)
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●米国の欺瞞を暴く役柄に徹するプーチン オバマよ!腰は座っているか?

2014年03月25日 | 日記
トクヴィル 平等と不平等の理論家 (講談社選書メチエ)
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●米国の欺瞞を暴く役柄に徹するプーチン オバマよ!腰は座っているか?

 わが国では、遠いウクライナ、クリミア問題など、来月からの消費増税に比べれば、屁のような関心事なのだが、筆者は、遠い地で起きている紛争を通じて、アメリカと云うデモクラシーの代表であるように見せかけている好戦的国家像が炙り出される契機になるのではないかと考えている。その意味では、2014年にアベノミクスが崩壊するであろうことよりも、橋下が難波で独り芝居しているよりも、歴史的大転換な出来事として興味深くみている。

 何をそんなに力んでいるのだ、と云う人々もいるだろう。力で領土を奪ったロシアのプーチンが悪いに違いないと云う人々が多勢の中で、プーチンの行為を称賛するのは困難だ。しかし、プーチンの行動を伴う意思表示には、欧米諸国の独善的民主主義風、資本主義風20世紀枠組みへの挑戦が内在している部分に、もっとスポットを当てて、この問題を見ておく必要がある。ここで、欧米陣営のプロパガンダに短絡的に迎合し「プーチン悪」はイラクの「フセイン悪」であり、「金一族悪」である。本当に、その強い陣営が演出振付け物語を鵜呑みにしていれば、世界が平和である、と云う言説は大いに疑問なのである。

 たしかに、筆者は判官贔屓において偏執的傾向を持つ人間だが、西側陣営のプロパガンダ報道、解説に安易な解釈をしたいとは思わない。今回のウクライナ問題の引き金は、明らかに米国マケイン議員らによって火がつけられたものであり、ホワイトハウスが共和党マケインを嗾けた傾向もある。ホワイトハウスのヌーランドが同時に絡んでいる事で、シナリオは読める。ジャーナリスト魂とは、疑うことであるなら、今こそ、欧米陣営の欺瞞に満ちた最近の出来事を思い出すべきだろう。いつまで、我々は壮大な嘘の舞台を観て喝采すれば済むのだろう。こういう場合、極端に「悪」扱いされている人間に肩入れして、物事を見ておくのも悪くない。最近では、かなりリベラルな観察眼を持つ人々までが、「プーチン悪」を自明性の中で納得している点は、甚だお寒いことである。

 アメリカの自称、「世界の警察」としての軍事外交的行動が、本当に世界の安定に寄与するものであったのかどうか、様々な形で介入された世界各地での米国介入の出来事を思い出せば判ることだが、米国は、その争いで軍産複合産業が莫大な利益を得、「世界の警察」と云う地位堅持を、その都度自作自演することでキープしようと試みた事実が理解できる。ここ最近、米国に介入された国は、ホンジュラス、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、パキスタン、ソマリア、イエメン、グルジア、ウクライナである。その他にも、インテリジェンス方面で介入しているものは、数限りないわけである。わが国も、その影響下にあるだろう。ここに挙げた国々に平和は訪れているのだろうか。単に、アメリカ生まれの、アメリカ仕様のデモクラシーなるものを「正義」と主張し、疑念を持つ連中を恫喝し、従順でないものには、経済制裁を仕掛け、絶対に力でねじ伏せられる国家には力を行使する。これが、21世紀も「正義」として継続されることは、世界の脅威である。

 これらの国々が、アメリカの安全保障に直接的に影響を与えるものはない。風が吹けば桶屋が儲かる論でいけば、それはあるだろうが、背中にデキモノが出来る程度の影響である。とどのつまりは、アメリカと云う国家が、損を蒙るかどうかの価値基準で、物事は進められる。『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』や『民衆のアメリカ史』などを読めば、アメリカのあきれ果てた偽善者ぶりが手に取るように判るだろう。米国陰謀論など持ち出さずとも、アメリカン・デモクラシーが、世界の歴史上に生まれ、プラトンやアリストテレスらがつくった概念を、ホッブスを始め、モンテスキュー、ジョン・ロック、ルソーらが引用した上で、新たな意味合いを吹き込んだのである。しかし、人工移民国家のデモクラシーはアメリカ大陸では異質な要素を含んで成長している。トクヴィルが当時のアメリカン・デモクラシーをまとめたが、そのデモクラシーも、現代アメリカン・デモクラシーでは、形骸化し、企業利益が国家を凌駕するハチャメチャなデモクラシーになっているようだ。

 ロシア、プーチン大統領の野望は野望として、それなりの「悪」は存在するかもしれないが、歪んで是正の効かなくなった正義面の「アメリカン・デモクラシー」の「悪」と比べれば、些細な悪である。アメリカの正義は、自国民の生命財産に限定的な正義であり、尚且つ、現在は、その守るべき目的は企業利益へと特化しつつある。最近の学者連中もよく口にする、合理的利益の追求は、最終的にマネーへの人類の隷属に至るのである。そこには、一切の人間としての心が介在する空間はなく、合理性と合理だと強弁する詐術が弄されるだけで、地球生物ではない「マネー」と云うモンスターに食い尽くされる。

 アメリカ人は、自国でぬくぬくと暮らし、世界から借金の限りを尽くし、わが国が破綻したら、借金もパーになると恫喝し、大消費生活(シャブ漬けに似ている)を国民にエンジョイさせている国家と云うだけで、それ以上の要素は、現在殆どなくなった。僅かな「悪」を伴っているだろうが、プーチンのウクライナにおける強権発動は、21世紀における世界秩序史に、重大な点を一つ加えた点で、意味深い。ロシア排除の論理でオバマは死に物狂いの様相だが、ユーラシア大陸勢力と南アメリカ大陸の抬頭は必ず起きる地球規模の現象であり、自然現象のように堅固な流れだ。紆余曲折はあるだろうが、世界のウネリは「G7」を置き去りにするだろう。50年後に、どのような世界像が生まれているか想像は出来ないが、欧米を凌駕するユーラシア大陸勢力と南アメリカ大陸、そして混沌のアフリカ大陸が現れているのだろう。

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●国家総動員体制で“景気浮揚念仏”唱えるアベクロ 大不況不安を白状

2014年03月24日 | 日記
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●国家総動員体制で“景気浮揚念仏”唱えるアベクロ 大不況不安を白状

 景気上向き大本営発表がなされている。本当に順調に経済が回復しているのであれば、殊更あちらこちらで口角泡を飛ばし、景気が順調に回復していると強弁する必要はない。黙って、沈黙の王様になりきり、笑みをたたえながら、国民の夕餉を用意する釜戸から煙が昇るのを見つめておればいいわけである。安倍や黒田の態度は、どう見ても、そのような泰然自若な様子が覗えない。どうも旨くいっていない事実が垣間見える。

 内閣府の言うところによれば、景気が良い方向に向かっていると感じている人々が、前年同月に比べ、倍増したそうである。倍増したと云う言い方は、凄く好くなっている印象だが、実はパーセントでは22%に過ぎない。つまり、2割の国民が、景気が好い方向に向かっている、と思っているだけで、残りの8割の国民は、懐疑的であるか乃至は悪くなっていると感じていることになる。アベノミクスと称賛されていた日本の経済政策を牽引した最強のパートナーである日銀黒田総裁は、頻繁に講演会などに参加し、日本経済の見通しは極めて明るい、と吹聴して歩いているのだが、それこそが、不安を如実に表しているのだろう。

≪ 黒田総裁「消費増税後も成長続く」 ロンドンで講演  
 【ロンドン=小滝麻理子】日銀の黒田東彦総裁は21日、ロンドンで講演し、日本経済は4月の消費税率引き上げ後に一時的に落ち込むが、「生産、所得、支出の前向きのメカニズムが維持され、潜在成長率を上回る成長を続ける」との見解を示した。  同日ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で話した。
  黒田氏は1997年の消費増税後に日本が景気後退に陥ったことを紹介。当時に比べて金融システムは安定し、雇用情勢が改善していることから、増税による悪影響は一時的だと述べた。金融機関の貸し出し増加を支援する制度を拡充したことも説明。「2%の物価目標実現のためにできることはなんでもやる姿勢だ」と 強調した。
 金融緩和政策からの出口について「資産売却のほかに複数の選択肢がある」と言及したが、緩和解除の議論は「時期尚早だ」と従来の主張を繰り返した。  ≫(日経新聞)

 日経は“イイトコ取り”な記事でお茶を濁しているが、ロイターは黒田総裁が「日本経済は2%の物価安定目標達成までまだ道半ば」と語り、大規模金融緩和の継続を強くほのめかし、出口戦略など時期尚早と断言したと伝える。市場では、消費増税に備え、一定の日銀金融政策が打たれると云う思惑もあるようだが、現時点でその必要はなく、現行金融政策堅持で十分と自信をみせた、と伝える。また、緩和解除に至る時には、資産の売却も排除しないと語った。彼が言いたいところは、金融政策に齟齬はない、旨くいかないとすれば、それは政府の第三の矢が放たれないことだ、と暗に語っている。

 第三の矢は実効力がない形で打たれるだろうが、既得権構造をぶち壊すような矢は放たれない。黒田が「生産、賃金、消費の好循環が作用し、日本経済は引き続き緩やかな回復を遂げている」と云う認識に齟齬がないのか、と云う問点だけでも問題だ。筆者の投資の師である植草氏によれば、黒田の見解とかなり現状認識が異なるし、今後の展望も大きく違う。黒田総裁は【景気が良くなり、生産が回復し、賃金も上昇傾向にあり、物価も緩やかに上昇し、確実にデフレから脱却しつつある】と語る。しかし、植草氏は経済統計を睨みながら異なる分析をしている。

 植草氏によると
【日本の経済成長率を見る限り、昨年の1-6月期の6か月だけ、+4.5、+4.1と成長したが、昨年夏以降は下落傾向にある。この一時的経済成長率の上昇は、円安による、一時的物価の上昇と13兆円の補正予算によるものと分析する】、
【賃金が上昇傾向にあると云う言説も怪しいもので、毎月の勤労統計で確認する限り、中小零細企業の従業員を含む労働者全体の現金給与総額は3年連続のマイナスである。14年の1月の直近数値も前年同月比で-0.2%なので、賃金上昇は明らかな嘘で、労働者全体の所得状況は依然減少している】、
【デフレ脱却が始まったと云う黒田の言説も怪しい。食料及びエネルギーを除く消費者物価指数は、概ね前年比マイナスで推移している。直近1月の+0.7%以外すべてマイナスだ。食料及びエネルギーを除くとフラット乃至はマイナスであると云うことは、円安によって消費者物価指数の数値が上がっているに過ぎない。つまり、経済全体の要因ではなく、金融緩和による影響分だけ上昇していることを意味する】

 以上のように、論理的にも、アベノミクスが、国民生活に優しく寄り添う政策かと云うと、そうではないと云うことだ。インフレと云うもの、そもそも借金をしている者に有利な経済政策で、債権者には損害を与えるものなのである。日本経済全体をマクロな目で見た場合、実感はないだろうが、債権者は誰あろう国民一人ひとりである。債務者は誰かと言えば、日本の財務省である。つまり、インフレ政策は政府にお得な政策であり、国民にはひたすら不利な政策なのである。

 黒田日銀総裁は、天から降ってきたわけではない。わが国財務省の次官同等のポストである財務官を務めているわけで、謂わば財務官僚の人脈から輩出された人物であり、彼の独立制が維持されているなどと考えたら大間違いに陥る。日本の財務官僚の血脈の中で、自分に与えられた役職を粛々とこなしているに過ぎない。国家が借金をし、企業も借金をし、国家や企業を運営しているわけだが、国民の多くは、生活の残りを備蓄の積りで貯金している。この貯金が、国家や企業の借金になっているのだから、国民は絶対的債権者なのである。

 上述の説明は短絡的だが、ざっくりと日本の経済構造を捉えれば間違っていない。にも関わらず、NHKやマスメディアの手にかかると、国民一人当たり、借金792万円也なんて、トンデモナイ、レトリックな合言葉が生まれるのである。笑ってしまうような話だが、多くの国民が、その一人当たり792万円の借金とか、1000兆円の借金とかいう合言葉を信じているのだから、無知と云うものがどれ程怖いものか知るうえで、貴重な神話である。

 つまり、金を貸している立場の国民の多くは、債務者である国家から見れば、債権者様であり、債務者でもない人々に向かって、「お前たちは、一人当たり792万円の借金を抱えているぞ」と言い出すのだから、「オレオレ詐欺」の方が一発ビンタなわけで、財務省のプロパガンダの往復ビンタよりも悪質度は少ないと言える。これも、数ある国家犯罪の一つと云うことだ。その上で、消費税が上がるわけだから、泣きっ面に蜂の上に、因幡の白兎が重なるようなものである。誰だ!デフレはイカン、インフレが良いなどと言ったのは(笑)。

 永田町でも、与党筋中心に、アベノミクスで何が良くなってきたのか、不安視する声が多く聞かれるようになってきた。円安って、本当に日本経済にプラスなのかいな?と云う、素朴な疑問である。今更、与党政治家がそんなこと言い出すのは無責任の極みだが、疑念を持たないよりはマシ程度に捉えておこう。「産業構造は、我々が考えていた以上に変化しちゃっている。車は海外生産が増えているし、電機関連は商品力が落ちている。単純に円安で追い風なのは造船業くらいのものだ」、「賃金も総理が言うようには上がっていない。どちらかと言えば。まだ下げ続けている。食料や家庭の光熱費などは上がる一方で、円安のマイナス材料が国民生活を直撃しているだけかも。この上、消費税が上がったら、一気に自民党の支持も直撃を受けそうだな。まあ、敵になる野党がいないのがせめてもの救いだがね」こんな声が、ひそひそと語られている永田町だ。

 このように「アベノミクス神話」への疑念は、異なる方向で影響が出ている。あと半年もすれば、経済政策の大失敗が顕在化するに違いない。そんな状況で、集団的自衛権行使容認なんて話を高らかに持ち出されちゃ、盤石政権与党の地位さえ危うくなるンじゃないか。そんな杞憂に満ちた思いが自民党内に広がりつつある。早く、アベノミクスの化けの皮が剥がれたほうが良いのではないか。あそこまで右巻き人事を平気で行ってしまうのは異常だし、自民党全体が安倍晋三と同じだと思われかねない恐怖に包まれつつあるようだ。経済政策が破たんすれば、俺だって安倍の首に鈴をつけに行ける。そんな話題で盛り上がる宴会が彼方此方で開かれている。どうにも御しがたい人々だ(笑)。

 最後のとどめの様な世論調査が日経から23日報道された。消費税を上げても、生活上の支出動向を変える気はないと日本人は言っているそうである。所得増など、まったく気にしないが、生活には余力が十分あるので、生活水準は維持する家庭が殆どだそうだ。“消費税上がろうと、所得が減ろうと、生活水準は変えない”家庭が多いと云う言説が、後々、日本社会に誤ったメッセージを発信し、大きな社会問題になるであろうことなど、霞が関もマスメディアも気づかないのだろう。

 このような世論調査が、多くの国民に“オマエ達は負け犬だ”と云う心傷つくメッセージとなり、多くの国民を自己嫌悪に陥れることに気づいていないようだ。多くの国民が、自分は落伍者だと云う印象を持ち、自己嫌悪に陥り、自信を失い、無気力になる社会を醸成しているとは、彼らは気づかないだろう。国民が、自分は世間並みから落伍し、普通の人間ではなくなった、と云う自信喪失を与えてしまうプロパンガンダに興じているとは、思いもよらないだろう。国民がみんなで渡る道筋から外れたと思い込んだ時、社会と云うものは崩壊の緒に就く。


≪ 家計支出、消費増税後も「維持」51% 本社世論調査  所得増「期待できず」83%
 日本経済新聞社とテレビ東京による21~23日の世論調査で、安倍内閣の支持率は2月の前回調査から3ポイント上昇の59%だった。不支持率は4ポイン ト低下し、29%になった。4月の消費税率の8%への引き上げ後、家計の支出をどうするか聞いたところ「変わらない」との回答が51%と半数を占め「減ら す」の44%を上回った。
 春季労使交渉では賃上げに動く企業が増えたが、今後、世帯の所得が増えると「期待できる」との回答は12%。83%が「期待できない」と答えた。安倍政権は企業の収益向上が賃上げにつながる「景気の好循環」を掲げているが、幅広く実感されているとはいえないようだ。
 内閣支持率が上昇するのは1月の調査以来、2カ月ぶり。支持する理由(複数回答)は「安定感がある」が31%で最も多く「指導力がある」の28%が続いた。
 消費税率は2015年10月に10%への再引き上げが予定される。安倍晋三首相は年末までに増税の可否を判断する考えだ。予定通りに10%へ引き上げることについて「賛成」は29%で前回より2ポイント低下、「反対」は64%で2ポイント上回った。
 「反対」と答えた人に政府がどう対応すべきか尋ねると「引き上げるべきでない」が49%と最も多かった。「時期を遅らせるべきだ」と「引き上げ幅を見直すべきだ」がともに23%で続いた。
 今後の原子力発電所のあり方では「徐々に減らし最終的にはゼロ」が50%、「徐々に減らしある程度は残す」が28%。「新設も含め主要な電源として維持」は8%だった。
 調査は日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD方式)で電話調査した。有権者のいる1527世帯から1059件の回答を得た。回答率は69.4%。 ≫(日経新聞:世論調査)


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●アメリカが介入した国で平和になったのは日本とドイツ 他の国はすべて崩壊

2014年03月23日 | 日記
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
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●アメリカが介入した国で平和になったのは日本とドイツ 他の国すべて崩壊

 以下は、シュトゥットガルト在住の川口マーン恵美氏のコラムだが、日本のあらゆる識者面した人々よりも、冷静に、且つ皮肉な観察眼で、ウクライナ問題を解説している。筆者の言い分も含まれている。ただ、彼女の方がよりニュートラルな立ち位置で解説している。本日は、このコラムを転載することで、ウクライナ問題がどのようなものか、そして、プーチンが悪いのか、欧米陣営が理不尽なのか、日本の人々に考えて貰うことにする。

 プーチンのことを好きだとか嫌いだとか、そう云う情緒的立場を捨て、自分がロシアの立場であったら、EUやアメリカのウクライナ介入の強引さを理解してもらえるだろう。自分たちの都合上の理由で、正義が裏にも表にもなるようなジャッジしかできないアメリカに、これ以上世界の警察をやらせておくことは、危険すぎるのである。喧嘩を仕掛けてきたのはアメリカのマケインとヌーランド、そしてEUだ。その手法も短絡的で、腰が座らないチャチャな介入で、本気度さえ疑ってしまう。安倍に塩を送るのも癪だが、日本はロシアとの距離感を見誤らないことだ。


 ≪ 「ロシアが悪い、プーチンが悪い」は本当か!? クリミア編入騒動で浮き彫りになる西側の傲慢とダブルスタンダード

 ウクライナについての報道を見ていると、おかしなことばかりだ。ドイツのニュースはクリミア情勢一色で、欧米が対ロシア制裁に踏み切り、さらに日本がその列に加わったということまで逐一報道された。日本の動向をここまで仔細に取り上げるのは、珍しいことだ。
 ドイツメディアの論調では、ロシアはウクライナの主権を踏みにじり、侵略し、国際法を破ったので、厳しく制裁しなければいけないという。独シュタイ ンマイヤー外相は、「今になって既存の国境を変更するというのは、信じられない事態であり、これが認められるなら、将来、エンドレスの紛争があちこちで始まることになる」と言った。
 この主張、「ロシアが悪い、プーチンが悪い」というのは、アメリカの言い分の通りで、それにEUが追随している状況だ。そして日本も同様に、17 日、やはりロシア非難に加わった。ただ、EUも日本も、ロシアとは持ちつ持たれつの状態を保ちたいさまざまな事情があるので、諸手を挙げて制裁に加わって いるわけではないだろう。

そもそも疑問符だらけのウクライナ暫定政権

 さて私は、プーチン大統領のしていることが良いとは思わないが、アメリカよりずっと悪いとも思わない。どちらかと言うと、アメリカの方が独善的なの ではないか。今まで、他国の主権を侵して出兵し、民主主義政権を樹立するという大義名分のもと、実際には治まっていた国を内乱状態に陥れてきたのは、他でもないアメリカなのだ。
 イラクでも、リビアでも、シリアでも、アフガニスタンでもそうだった。アメリカが介入した国で、平和になった国は、日本とドイツ以外どこにもない。 ユーゴスラビアを粉々にしたのもアメリカだ。これが民主化とは、冗談にもほどがある。アメリカが軍事介入をする理由はただ一つ、これらの国の政権がアメリカの利害に反する行動をとっていたからだ。民主主義とは関係ない。
 去年、ウクライナで民主化運動と称する暴動が起こったのも、元はといえば、アメリカの意向からだ。ひいては、それに与したEUのせいでもある。それは次のような経過をたどった。
 11月、EUは、EUへの加盟を餌に、ウクライナのヤヌコーヴィチ大統領に、その条件となる協定への署名を迫った。まず、これがあまりにも稚拙だ。 ロシアを完全に無視して、ウクライナをEUに引き入れようとする計画が上手くいくはずがない。ロシアはそもそも近い将来、EUに対抗するため、周辺国を統 合して、非関税の通商同盟を作り上げようとしている。そのときには、ウクライナが重要なカギとなる。
 つまり、ウクライナがEUに入り、NATOに加盟させられるのを、ロシアが指をくわえて見ているはずはない。そんなことをすれば、通商同盟はおろか、ロシアそのものが、早晩、消えてしまいかねない。
 そうでなくても、昨今のEUの東方拡大には、プーチン大統領は腹立たしい思いを堪えていたはずだ。そのうえ、隣国のウクライナまでEUのテリトリー となれば、喉元にナイフを突きつけられたようなもので、プーチン大統領としては追い詰められた気がしたに違いない。だから打開策として、ロシアはウクライナのヤヌコーヴィチ大統領にもっとおいしい条件を提供して、とりあえず、ウクライナのEU接近を防いだのだった。
 しかし、それを見たアメリカとEUは、プーチンの追いつめられた気持ちを理解しないまま、去年の暮れ、キエフの反政府グループをけしかけ、抗議デモ をひねり出した。デモは次第にエスカレートして、誰かがどこからかデモ隊に対して発砲し、死者が出る事態になった。この狙撃は、反政府側の自作自演だったという有力な説もある。
 いずれにしても、今では、一連の反政府デモにはアメリカの大々的な支援がなされており、しかも、そのおかげで出来た現在のウクライナ暫定政権は、民主主義などとはあまり縁のない、疑問符のいっぱい付いた政権であるという印象が強まってきた。
 それでも、アメリカもEUも、この疑問符のいっぱい付いた政権を直ちに合法と認めている。一方、プーチン大統領は、この政権の正統性を認めず、クーデターと見做しているが、私には、こちらのほうがまともな見方に思えてならない。

国際政治の檜舞台への復活を試みるプーチン大統領

 さて、しかし、このあと起こったことが、またよくわからない。ロシアは、クリミア半島に軍を進め、元々ロシア寄りだったクリミアの自治政府がウクライナからの独立を宣言し、挙句の果て、国民投票でロシア編入を決めてしまったのだが、これが電光石火の勢いだ。16日に国民投票が行われ、17日には、すでにロシアの通貨、モスクワ時間、そしてロシアの社会福祉システムが速やかに導入され得るための話し合いが進んでいるという。
 そうこうするうちに、ウクライナの東部、南部の、やはりロシア系住民の多い地域が、我も我もとロシア帰属の希望を表明し始めた。第2、第3のクリミ アが出そうな勢いだ。実際問題として、クリミアは特殊な地形なので、これらの地域も配下におさめなければ、水、電気、ガスの供給が滞るらしい。つまり、ロシアにしてみれば、最初から、クリミアの併合だけでなく、ウクライナの東部、南部地方の分離も計画に含まれていた可能性が高い。
 プーチン大統領は、これまでのアメリカとEUの正義をかざしたやり方に腹を据えかねていた。アメリカが次に触手を伸ばすのはウクライナであろうこと も、おそらくわかっていたのだろう。今回の事態は、そうなったときのための反撃シナリオとしてすでに用意されており、プーチン大統領は機を見ていたのではないか。すると、案の定、アメリカとEUがウクライナに介入した。ロシアにとって機は熟した。
 国民投票からわずか2日後の18日、プーチン大統領は、正式にクリミア自治共和国編入の条約に署名した。プーチン大統領によれば、クリミアはロシア の不可分な領土であり、1954年、当時のフルシチョフ書記長がクリミアをウクライナに割譲したのは誤りだった。そして、今、このソ連時代の歴史的な誤り がようやく修正されたということになる。
 彼は、「西側は、ひどく稚拙で、荒っぽいやり方で最後の一線を越えた」と非難し、「彼らは、我々が国際法に違反したと言っているようだが、アメリカ が国際法のことを思い出したのは幸いなことだ」と皮肉ってもいる。また、「キエフで政権にいる人々は、ネオナチと反セミティスト」であると言い、さらに、「ロシアがドイツの再統一を支援したことをドイツ人は忘れていないだろうから、今回のロシアの再統一をドイツが一番よく理解し、支援してくれるだろう」と引導を渡している。
 EUに押され、縮小していたロシア。しかし、今、プーチン大統領はそれを挽回し、国際政治の檜舞台への復活を試みているように見える。
 一方、アメリカやEUは、クリミアはもちろん、国境線の引き直しなど一切認めない。しかし、コソボのセルビアからの独立や、東チモールのインドネシ ア(正確にはポルトガル?)からの独立では、セルビアやインドネシアの主権は顧みなかったのに、今回だけウクライナの主権を取り沙汰するのは、考えてみればおかしな話だ。
 自分の都合のいい時は認め、悪い時は非難するというのは、もう通用しないのではないか。プーチン大統領の言い分を聞くと、西側の傲慢やダブルスタンダードが白日の下に晒されたような感じさえ受ける。
 さらにおかしいと思うのは、ドイツのメディアだ。今回の一連の事件について、「ロシアの侵略」、「ウクライナの主権蹂躙」と非難しているのに、そこ で使われている映像はといえば、どれもこれも、独立を祝い、狂喜しているクリミアの住民の姿ばかりなのだ。ロシア政府にお金を貰ってやらせられているようにも見えない。「これで祖国に戻れる」という人々の感動がはっきりと伝わってくる。幸せそうな群衆に向かって「独立おめでとう!」と言いたくなるほどだ。
 もしも、クリミアのこの動きを非難したいのなら、なぜ、25%いるウクライナ系住民の悲しんでいる姿、あるいは、5%いるやはり反ロシアのクリミアタタール人の怒っている姿を映さないのか。メディアの意図がよくわからない。
 さて、日本はどうすべきか? 国際法上の原則を明確に述べることは重要だ。また、アメリカやEUと足並みをそろえることも重要だが、やり過ぎない方がいい。ロシアとのパイプは、いずれ日本にとって重要なものになるだろうから、ロシアを敵に回すことはない。
 そもそもEUが派手に宣伝している対ロシア制裁は、ポーズだけの可能性も高い。ドイツもフランスも伝統的にはロシアに近い。ソ連時代は敵対していたこともあったが、今のロシアに対して、多くのドイツ人はそれほどの嫌悪感を持ってはいない。
 ドイツはエネルギーでロシアに依存しているし、投資も多いので、経済界は制裁には大反対だ。メルケル首相は、個人的にロシア嫌いであるようだが、 シュタインマイヤー外相が、そのうちロシアとEUの仲介役を買って出ることはあり得るだろう。日本はアメリカやEUのせいで独自のロシアカードを失ってしまわないよう、気を付けた方が良い。
 不気味なのは、アメリカ軍が兵力をポーランドや黒海に集結させ始めていることだ。世界のあちこちで戦争を仕掛けてきたのはアメリカだから油断は禁物。一番避けたいシナリオは、アメリカが何らかの理由をこじつけて軍事介入し、アメリカの軍需産業が大儲けすることだ。(注:筆者が勝手に太字に)
 そして、もう一つ心配なのは、ウクライナの核武装。ソ連時代、ウクライナには大量の核兵器が配備されていた。ソ連崩壊のとき、それらはすべて廃棄さ れたが、これから核武装に走る可能性もある。現在、ウクライナは破産状態にあるが、あの北朝鮮でも核を開発できるのだから、油断はならない。しかもウクライナは世界4番目の武器輸出国である(2012年)。
 いずれにしても、黒海周辺はきな臭く、ウクライナの運命はまだまだわからない。
 ≫(現代ビジネス:ニッポンと世界:川口マーン恵美「シュトゥットガルト通信」

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●日米韓首脳会談の意味、マレーシア機不明とディエゴガルシア島米軍基地

2014年03月22日 | 日記
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●日米韓首脳会談の意味、マレーシア機不明とディエゴガルシア島米軍基地

 日韓首脳会談の抜けた、日米韓首脳会談に、どのような意味があるのか。まぁ外交防衛上、日米韓相互協力の実態を丸裸で晒すわけにもいかない思惑によって行われる会談らしきもの、と思っておいて良いだろう。日韓二国間の首脳会談が行われないことで、負の印象を世界に発信することを考えれば、功罪相半ばの会談の実現だ。会談は米国主催で、核不拡散や北朝鮮の核問題が主要議題であり、従軍慰安婦問題など日韓の歴史問題は話し合わない、と云うことのようだが、多少の言及があるかもしれない。だからと云って、安倍や朴が政権から退くわけではないのだから、自分たちのアイデンティティを放棄することは望めないだろう。

 この隷属的属国である日本と韓国の外交筋にとって、アメリカ大統領はローマ法王のような地位にいる人物だと云う「神話」が今でも有効に作用している現実を知るうえで意味深い、日米韓首脳会談である。しかし、この両国の首脳は、対米従属に一部逆らう動きも見せているわけで、外交の面白さを現している。朴は中国との蜜月を通して、米国に対して「好き勝手させないわ」と語っている。安倍は、アメリカが必死こいている、ロシアへの制裁措置において、歩調を合わせつつも、その制裁の中身は大きな温度差を見せている。結局、アメリカ大統領の訪日、訪韓を逃すようでは万死に値すると思い込んでいる官僚によって実現する会議だと思っておけばいい。

 日米韓首脳会談の後、速攻で日韓首脳会談が開かれたら、それは外交的に、明確なメッセージを出せるが、そうでもない限り、多くに言及する意味もないだろう。それよりも、マレーシア航空機事故やウクライナ問題の顛末の方が気にかかる。マレーシア航空機の方だが、アジア各国が、それぞれの立場で、飛行物体へのレーダー監視は行われている。まして、世界中の衛星が、24時間無作為に全方位機械的に地球上を監視していると云うのに、2週間近く経っても行方が判らないと云うのは、あまりにも奇異である。この227人(内中国人153人)のボーイング777型機の影も形も判らないのは、幾つもの国家が情報を隠ぺいしている疑惑の方を疑う必要が出てきている。

 筆者の見立てでは、敬虔なイスラム教徒であったザハリエ機長(52)とイスラム原理主義徒の】接点の有無を調査しているようだが、無線交信を切ったあと6時間以上飛行し続けていた事実を持って考えると、ザハリエ機長が強く消息不明に関与していた可能性は濃厚になってきている。今回の飛行機行方不明で、一番の責任国はマレーシアである。ただ、この当事国の政府の責任部署が曖昧で、あちこちの人間が公式発表みたいな言動を繰り返している。ザハリエ機長の関与と云うだけでも、マレーシアにとって痛手なのは理解できるので、有耶無耶にしてしまいたい心情もわかる。ただ、本当に大した情報も持っていない可能性もある。

 おそらく、このような事件において、一番情報を多く持っている国はアメリカなのは当然なのだが、米国発の情報が酷く少ない。軍事上の観点から、事実が把握できていても、その事実を証明する衛星写真などを出し惜しみしている可能性はあるだろ。つまり、判っているけど教えません、と云うスタンスかもしれない。もっと恐ろしい推測もある。DemocacyNowの動画サイトが紹介する、インド洋のディエゴガルシア島の元住民らによる返還デモの様子だ。ディエゴガルシア島にある米軍基地はインド洋最大の米空軍基地である点に着目しよう。以下は、DemocacyNowの動画紹介記事である。

 ≪ 故郷を返せ!インド洋の米軍基地ディエゴガルシア島
 グアム島と並ぶ、もう一つ基地の島ディエゴガルシアに目を向けましょう。チャゴス諸島はインド洋に浮かぶサンゴ環礁です。その中心の島ディエゴガル シアには、巨大な米軍基地があります。アフリカとアジアの中間にあるこの島は米軍の重要な戦略拠点であり、アフガニスタンやイラクの爆撃基地として、また CIAによるテロ容疑者の第三国での拉致監禁(特例拘置引渡し)作戦においても重要な役割を担っています。
 この島に住民はいません。40年前この基地を建てたとき、島民はひとり残らず追放されたからです。ディエゴガルシア島だけでなく、近隣のペロスバニョス環礁やサロモン環礁などチャゴス諸島の島々から、住民が一掃されました。
  チャゴス諸島は英国領であり、島民たちはみな英国市民です。ディエゴガルシア島出身者たちは、自分たちを強制移住させた英国政府に対し、島への帰還 の権利を求める訴訟を起こして闘っています。
 ディエゴガルシア島出身者の指導者オリビエ・バンクールから住民の訴えを聞きましょう。またディエゴガルシア 米軍基地と住民追放について本を書いたデイビッド・バインにも話を聞きます。 ≫(DemocacyNow)

 以前、筆者はマレーシア航空機の行方不明事件が起きた時点で、乗っ取り機による突撃爆破テロを想起した。ただ、その時点で、ディエゴガルシア島米軍基地についての知識が不足していたので、インド洋のど真ん中に浮かぶ島があると知っていたら、当然その米軍基地が、テロの対象地点の可能性も言及していた。ディエゴガルシア島米軍基地はイラク、アフガンなどへの軍事攻撃やイスラム原理主義者の拷問などに使われているわけで、テロの対象としては抜群の存在である。ただ、軍事防衛に無防備だったワールドトレードセンターとは異なり、完全防備の米軍基地はテロの対象物として難物であったことも想像がつく。接近した応答しない飛行物体が、米軍に容赦なく爆撃されたことも想像がつく。

 あくまで、可能性の一つに過ぎないが、米軍基地突撃テロ計画を爆撃で木端微塵に追撃した可能性はゼロではない。また、このことがアメリカからの情報が極端に少ない事情とも合致している。ただ、テロに異様に神経質なアメリカの軍人たちが、まさか中国人が多数搭乗しているマレーシア航空機だとは気づかないだろうから、撃ち落とす理屈も理解はできる。しかし、なんらテロに関係のない中国人153人を爆撃してしまった事実も残るわけで、自己防衛のためとはいえども、対中関係でひと波乱起きる事態でもある。ほお被り出来るものなら、永遠の謎にしてしまいたい気持ちも理解できる。まぁこの推論は可能性の一つであり、否定されることもあり得る。

 最後になったが、フリージャーナリストの田中龍作氏がクリミア情報を体を張って取材している。以下は、彼が報告しているクリミア状況報告の一つだ。他にも多くの情報を発信しているので、参考に読んでいただきたい。

≪【クリミア発】 ロシアのパスポート 登録始まる 「仕事を得るために」
 クリミアのロシア化が着々と進む。21日、ロシアはクリミア市民にロシアのパスポートを発給する手続きを始めた。
 中心都市シンフェロポルの政府施設に設けられた臨時パスポートオフィスでは、受付開始の午前9時(日本時間午後4時)に人々が長蛇の列を作った。東京地裁前で裁判の傍聴券を求めて人々が並んでいるような光景だ。
 臨時パスポートオフィスを訪れたクリミア市民たちは、ウクライナのパスポートを係官に見せ、係官は出生地などをチェックして登録した。ロシアのパスポートは10日後に発給される。
 ロシア政府はクリミア市民がウクライナとロシアの2つのパスポートを持つことを認める。ウクライナ政府は認めていない。
 年金生活者の男性(72歳)は正装で登録に訪れた。「我々はロシア市民なのだからロシアのパスポートを持って当然だ。この日を23年間も待った。ウクライナのパスポートは要らない。捨てる」。男性は興奮気味に語った。
 23年間とはアル中のエリツィン大統領が酩酊状態で「クリミア半島はウクライナに帰属する」とする書類にサインしてしまった1991年からのことを指す。
 働きざかりはロシアのパスポートで得られる実利を歓迎する。ある男性(38歳・技術者)は「ウクライナでは自分の能力が活かせない。ロシアに併合されて仕事の環境は100%良くなると思う」と目を輝かせた。
 ウクライナのパスポートは捨てるのか?と筆者が問うと、彼は「いや、キープする」と答えた。理由は「ウクライナの銀行口座を閉じる時にウクライナのパスポートが必要だから」。
 「俺の話を聞いてくれ」。タタール人男性(50代)が話かけてきた。タタール人は第2次世界大戦中、スターリンによってウズベキスタンに強制移住させられた苦い経験を持つ。男性は苦難の歴史をひとしきり語り終えると現在の複雑な心境を明かした―  「戦争はしないと言っていながらロシア軍を進駐させているプーチンをどうして信用することができよう。でも仕事を得るためにはロシアのパスポートを持っておいた方がいい」。
 パスポートに寄せるさまざまな思いは、歴史に翻弄されてきたクリミアの人々の心情を映し出しているようだった。  この日はロシア議会がクリミア併合を最終承認した。即日パスポートの登録を始める。パスポートは「クリミア市民がロシア国民であること」を国際社会に認めさせる重要なツールだ。プーチン大統領の早手回しには驚く他ない。 ≫(田中龍作ジャーナル)

日本人はどう住まうべきか?
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●国家予算を、オリンピックの競技と勘違いする安倍 速さを競う競技にあらず

2014年03月21日 | 日記
民主主義って本当に最良のルールなのか、世界をまわって考えた
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東洋経済新報社


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●国家予算を、オリンピックの競技と勘違いする安倍 速さを競う競技にあらず

 安倍自民は、衆参両院で過半数を制しているのだから、「戦後3番目に早いスピードでの成立」だ、と自慢しているようだが、予算とは、速さを競う競技でもないし、規模を自慢する競技でもない。国家予算とは、税金を原資として、国益に沿うかたちで、国民生活を最低限保護するものである。アプローチの選択に、時の政権の特色が出ても異論はないが、己の心情実現のために、内閣総理大臣が行える特色など限られたものであるべきだ。

 国益の判断基準においては、その時の政権のイデオロギーによって、国益の概念が変わることは致し方ない。つまり、国益へのアプローチの道は、変動制が存在する。ゆえに、国家予算が絶対に確保すべきものは、国民生活を最低限保護するものである必要がある。どうも、ここ最近の予算をみると、官僚や政権の心情実現のために予算が使われ、固定的約束事の国民生活を最低限保護する部分が蔑ろにされているようだ。

 安倍は「かねてから、強い日本をつくるのは、他の誰でもない、私たち自身であると申し上げてまいりました。15年以上続いたデフレからの脱却は、国家的な事業。与党も野党もありません。その意味で、今回の予算の早期成立は、国権の最高機関である国会としてのデフレ脱却に向けた強い意志を内外に示していただいたものと考えております」と語り、かねてよりの「強い日本」造りに一部野党も協力してくれて、ありがとう、と言っている。

 デフレ脱却が「善」だと信じ切っているようだが、インフレによる「悪」の方が、けた違いに悪であるし、「善」に戻ることが、一国の経済政策ではコントロールできない事態だと知っているのだろうか。安倍に限らず、多くの日本人が、そのように思い込んでいるのだが、筆者は、多分間違いだと思っている。先進諸国の経済成長は限界であり、テクニックに頼るしかなくなっている「経済成長神話」も「原発安全神話」と変わらないのだろうな、と思っている。自然の経済の営みにおいて、成長する範囲までが、本来の成長であり、その自然の営みに、何かを加えていかないと、止まる成長は、潜在的成長力が枯渇している証明なのある。

 アメリカの猿まねで、資本主義経済を学んだ日本は、一時独自のオリジナリティーも発揮したが、グローバル経済と云う高度化した(詐術が混じる経済)マクロ経済で翻弄されることになる。自然発生的国家にとって、人口国家が主導するグローバル経済は構造的に容易には馴染めない。しかし、安倍晋三は日銀黒田と申し合わせ、グローバル経済のイニシアティブを取るFRB金融政策の猿まねをした。無理に乗り込んだハイテク飛行機のコックピットには、見たことのない計器やレバーが沢山、情報も豊富。気の毒に、そのハイテクを使いりる能力があるとは思えない。

 猿まねマクロ経済政策は、世界金融資本にとって絶好のカモである。東京証券市場も、当然彼らの主戦場となったわけだ。しかし、ここにきて、安倍黒田の経済政策に、プラスに作用していた海外資金が、マイナス方向に導き出している。根源的な問題である、人口構成への視点を踏まえない「猿まね」グローバル経済政策が実力を備える筈もなく、海外資金の出処進退の心変わりに右往左往するばかりだ。予算規模は96兆円に達するものだが、財政出動で景気の下支えと強調するが、出した予算が国民生活を本当に支えるものに繋がるかと云うと、到底思えない公共事業中心の予算であり、霞が関を中心とする既得権サイクルの中で、トリクルダウン現象を起こすだけの代物だ。

 このような考えをチェンジさせようとする勢力は、国内に見当たらない。外圧で、その既得権サイクルの中で、トリクルダウン現象を変えろと主張しているのは海外資金である。逆の見方をすれば、海外資金が求めている改革は、既得権サイクルの中に、俺たちを加えよ、と云うもの、で当然日本国民への還元など、考えていない。このように、どちらに転んでも、肝心の国民生活には、大規模予算も、最速予算成立も、影響はないという事だ。おこぼれ位あるだろうと云う情けない望みさえ叶えられることはない。むしろ、インフレによる可処分所得の漸減は確実に進むし、得られる福祉も切り下げられる。専門家ではないので、正しい予算のあり方まで考えられないが、国民生活重視の予算が日の目を見ることは、想像もできない昨今である。

こんな日本に誰がした! 休刊10年『噂の真相』編集長の嘆きと怒り
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●「日本の改革」を司法制度改革から始める提言 迫力ある瀬木氏の主張

2014年03月20日 | 日記
絶望の裁判所 (講談社現代新書)
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●「日本の改革」を司法制度改革から始める提言 迫力ある瀬木氏の主張

 瀬木比呂志氏の書籍の宣伝をしておく。無論、広告費は貰っていない。久しぶりに、日本の司法制度を取り上げるが、たしかに、霞が関官僚機構を変えるよりも、日本の政治家の質を変えるよりも、裁判官の質を変える方が、市民の力が有効だと云う認識を強くした。以下に紹介する同氏の著書は一読以上の価値がある。まったく難解な専門用語も使わず、日本の絶望的裁判所の実態を暴いている。暴くだけなら、今までにも本はあったが、裁判所の主流を歩みに、その処方箋にまで言及している、当該著書は名著である。


「絶望の裁判所」 (講談社現代新書)著者:瀬木比呂志
本の表紙カバーによる著者の瀬木比呂志氏の経歴は以下の通り。
1954年名古屋市生まれ 東京大学法学部在学中に司法試験合格。1979年以降裁判官として、東京地裁、最高裁等に勤務、アメリカ留学。並行して研究、執筆や学会報告を行う。2012年、明治大学法科大学院専任教授に転身。民事訴訟法等の講義と関連の演習を担当。著書に、『民事訴訟の本質と諸相』、『民事保全法(新訂版)』等多数の専門書のほかに、関根牧彦の筆名による『内的転向論』(思想の科学社)、『心を求めて』、『映画館の妖精』(ともに騒人社)、『対話としての読書』(判例タイムズ社)があり、文学、音楽(ロック、クラシック、ジャズ等)、映画、漫画については、専門分野に準じて詳しい。

 表紙カバーの情報によると、“ 最高裁中枢の暗部を知る 元エリート裁判官 衝撃の告発 ”となっている。つまり、この本は、正真正銘のエリート裁判官の「内部告発本」だと言っていいだろう。末端裁判官の愚痴などを一切排除し、内部告発にとどまらず、その処方箋にまで論は伸びている。いかに、今まで、流行り言葉のようにマスメディアで踊りまくっていた「司法制度改革」が官僚司法制度の掌で弄ばれていたかが、明白になる。カバー帯の言葉にあるように、“ 裁判所の門をくぐる者は、一切の希望を捨てよ! ”と云う過激な言葉に象徴される。たった税別760円で、このような本に出逢うことは、幸運である。

 この本の帯には、講談社がこの本に掛けた情熱のようなものが表れている。もう少し紹介しておこう。“一人の学者裁判官が目撃した司法荒廃、崩壊の黙示録!”となり、以下のように続く。“最高裁判事と調査官の合同昼食会の席上、ある最高裁裁判官が、突然大声を上げた。「実は俺の家の押入れにはブルーパージ(大規模な左派裁判官排除、思想統制工作、最高裁の歴史における恥部の一つ)関係の資料が山のようにあるんだ。一つの押入れに一杯さ。どうやって処分しようかなあ?」。すると、「俺も」、「俺もだ」と他の二人の最高裁判事から声が上がり、昼食会の会場は静まりかえった。こうした半ば公の席上で、六人の裁判官出身判事のうち三人もが、恥ずかしげもなく、むしろ自慢気に前記ののような行ったことに、他のメンバーはショックを受けていた。

  ちなみに本の目次を列挙しておこう。目次を読むことで、ほぼ瀬木氏が、どこに目をつけ、どこを突くことで、どのような改革が、我々の政治シーンや生活シーンや経済的な営みに影響を及ぼすか、理解の一助となるであろう。

はしがき 絶望の裁判所  この門をくぐる者は、一切の希望を捨てよ。 ダンテ『神曲』地獄篇第三歌

第1章 私が裁判官をやめた理由(わけ)
―自由主義者、学者まで排除する組織の構造―
*一部抜粋 最高裁事務総局で感じた違和感 判決内容の事前リーク 転身に関するいやがらせと早期退職強要

第2章 最高裁判事の隠された素顔
―表の顔と裏の顔を巧みに使い分ける権謀術数の策士たち―
*一部抜粋 よい裁判官は最高裁には入れない 刑事系裁判官の逆襲と大規模情実人事 

第3章 「檻」の中の裁判官たち
―精神的「収容所群島」の囚人たち―
*一部抜粋 事務総局中心体制―上命下服 上意下達のヒエラルキー 人事による統制とラットレース 人事評価の二重帳簿システム 司法研修所という人事局出先機関 取材統制と報道コントロール 裁判所の官僚化の歴史とその完成

第4章 誰のため、何のための裁判?
―あなたの権利と自由を守らない日本の裁判所―
*一部抜粋 統治と支配の根幹はアンタッチャブル 和解の強要 新しい判断をきらう裁判官たち 裁判員制度から陪審員制度への移行の必要性 「裁判官多忙」の神話

第5章 心の歪んだ人々
―裁判官の不祥事とハラスメント、裁判官の精神構造とその病理―
省略

第6章 今こそ司法を国民、市民のものに
―司法制度改革の悪用と法曹一元化実現化の必要性―
* 一部抜粋 日本のキャリアシステムの非民主性 裁判官の能力低下傾向 優秀な裁判官の離散傾向 司法制度改革を無効化し悪用した事務総局解体の必要性 憲法裁判所の可能性
 
あとがき―――不可能を可能にするために―――


 以下は筆者注:この本の目的は、日本人への三権分立を謳った民主主義制度の真実を知り、どのようにすべきか、考えて貰おうという著者渾身の啓蒙書だと思う。新書のかたちを選択したのは、少しでも多くの読者に読んでもらいたい、情熱が込められているのだろう。著者は、ビデオニュース・ドットコムに出演、神保と宮台相手に、その意を語っていた。彼の発言の中に、(本の中にあるかないか判らないが)多くの裁判官は、抽象的な誹謗中傷には、なんら痛痒を持たないが、判決の論旨について、固有名詞で俎上に乗せられ、厳しい評価をされることに敏感である。なぜなら、彼らは「正義」の体現者だという衣に守られていると信じているからだ。
*参考:現代ビジネス:メディアと教養
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38171

 このような市民からの論理性のある糾弾或は評価は、思いのほかダメージがある。現在の事務総局中心の裁判統制は、立法や行政にとって打ち砕くことは困難である。仮に、この堅固なシステムを突き崩す力があるとするなら、それは管理されているマスメディアではないメディアによって行われるだろうし、上質なネット言論によって行うことは可能だと信じている、と語っていた。無論、瀬木氏の願望も含まれるだろうが、筆者も同意できる。劣化するばかりの政治家(立法)と200年近い歳月をかけて構築された行政機構(行政)を改革するよりも、司法が、最も改革しやすいカテゴリーにある。

 なぜなら、司法を司る裁判官が自らを変えていかざるを得ない世論を最も気にしている人種だからである。裁判官たちは、自分たちを“多少冷たいけれども公正、中立、廉直で優秀。融通はきかなくても、誠実で筋は通す。彼らによって「正義のジャッジ」は行われていると信じている国民が大多数だと、と思い込んでいる。この「原発神話」のような幻想を信じて疑わないのが、日本の裁判官である。つまり、彼らのレゾンデートルは、大多数の国民から、信じられ、敬われている、と思い込んでいることだ。この「神話」を突きまくれば、彼らの危うい幻想は破壊される。

 本来、組織内での自浄作用と云うものが働けば良いのだが、官僚組織になってしまった彼らに、自浄作用を求めても無理である。約3700人の裁判官に、彼らの判決を評価する機能を持つことは、民主的司法において不可欠だ。日本に、このような制度はないが、アメリカにはある。第三者の目に晒される判事たちは、「公正、中立、廉直、誠実」等々をチェックされるとなると、判例に背く判決も生まれるし、事務総局の力も半減する。これを、弁護士グループに任せれば良いのだが、判事、検事、弁護士と云う棲み分けが、この作業を阻んでいる。

 瀬木氏は、法曹一元化によって、一定の悪癖は変えられるし、上述のような判決への評価組織も機能するだろうと読む。裁判官が3700人、検察官が2600人、弁護士が3万人。たった3万7千人の資格者を入れ替えることで、「公正、中立、廉直、誠実」な司法が実現する可能性は大いにある。しかし、それがいつ起きるか、待ちの姿勢ではなく、攻めの姿勢を打ち出さなければならない。そういう意味で、統制されていないメディアやネット言論には、日本の司法を根本的に変えさせる、機能を潜在的に有していると云う。

絶望の裁判所 (講談社現代新書)
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●ウクライナ問題を通して見えてくる、欧米文化圏の不遜傲慢支配のゆくすえ

2014年03月19日 | 日記
ニッポンの大問題 池上流・情報分析のヒント44 (文春新書)
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●ウクライナ問題を通して見えてくる、欧米文化圏の不遜傲慢支配のゆくすえ

 案に相違して、プーチン大統領が一気呵成の道を選択した。まぁ、この選択肢もあったわけで、以下の日経の記事のように、長期政権を睨んだ選択と云うよりも、現時点のロシア輿論を重視し、欧米勢力に対抗する道を選んだのだろう。強いロシアの復権は、プーチンの理念でもあったわけだし、現在のウクライナ暫定政権に、なんら民主的正当性がないことも、追い風になったという事だろう。国際法上云々でも理論武装が出来ているので、対抗し続ける選択になったのだろう。謂わば、安倍が目指す「戦後レジームからな脱却」の本家版と言える。ただ、プーチンは21世紀型を睨み、安倍は戦前回帰を睨んでいる点で、天と地ほどの相違を見せる。

 その選択が、正しかったと云う検証は歴史の中で行われるだろうが、今度はウクライナ東南部も奪われる、欧米諸国は口々に言い出す始末である。うっかりすると、ウクライナ全土をロシアが支配下に置く杞憂までし始めているのではないだろうか。アメリカの裏介入と云う最近の世界攪乱行動に楔を打つ意味でも有意義なプーチンの決断である。沈没する船から、真っ先に逃げ出すのが、現ウクライナ暫定政権の面々であったら、お笑い種である。姑息なバレバレな介入手段で、何をNATOは得ようとしたのか。アメリカ共和党ネオコンが民族主義ネオナチを利用し、キエフ騒乱を演出し、途中からオバマが抜き差しならない状況に追い込まれ、急遽の一策が電話で相談しようよでは、アメリカの凋落の象徴のようでもある。

 オバマやメルケルの右往左往は、昨日の野田佳彦叩きではないが、あのドジョウ男が右翼騒乱男・石原慎太郎の放火に慌てふためき、ガソリン入り消火器を振り回し、尖閣国有化しか道はないと思った罠とよく似ている。ダメな人間とか、国力が落ち目な国が、過去の幻影に捉われて、ミスにミスを重ねているように見えるのは、筆者だけか?この調子だと、中国の覇権意識も勢いを得るだろうし、他の多くに地域における民族独立の動きも活発化しそうな按配だ。


 ≪ 編入強行、米欧を無視 プーチン体制強化狙う
 【モスクワ=石川陽平】ロシアのプーチン大統領が18日、ウクライナ南部クリミア半島の編入を表明、編入の条約にも調印した。かつてロシア領だった同半島の支配回復で政権基盤を強固にし、2000年から続く「プーチン体制」をさらに長期にわたり盤石にする狙いだ。米欧の旧ソ連圏への勢力拡大に不信感を募らせるプーチン氏が、親ロ派住民の多いウクライナ東・南部に介入を拡大するかが次の焦点となる。
 「国際法ではなく、武力の法則に従うことを好む」。プーチン氏は18日の演説で、米欧が軍事介入でアフガニスタンやイラクを混乱させたと厳しく非難した。だが、半島全域に軍を展開したロシアも同じような行動をとり、米欧の警告を無視して一気に条約にまで調印した。
 ロシアは周到にクリミア半島の分離・独立を準備していた。欧米の複数の軍事筋によると、3月初めまでにクリミア半島全域に展開したロシア軍は精鋭の特殊部隊や軍情報機関の精鋭部隊が中心で、親ロ派の地元の自衛部隊を隠れミノに、衝突を避けながら素早く半島を掌握した。
 プーチン氏がクリミア編入を決断した最大の理由は、米欧への強い不信だ。同氏はウクライナで親欧米勢力による政変を資金支援し、実現に導いたのは米欧 だったとみる。4日の記者会見でも、リトアニアやポーランドなどの拠点で「(欧米の)指導官が(親欧米派過激グループを)訓練した」と批判した。
 プーチン政権が恐れるのは、親欧米派の政変がロシアにも押し寄せることだ。政権に近い政治評論家セルゲイ・マルコフ氏は、米欧の最終目標は「プーチン氏を打倒し、ロシアの戦略的利益を西側に売り渡すかいらい政権の樹立だ」と指摘。政権の不安を映し出した。
 プーチン氏は国内の都市部で起きた「反プーチン・デモ」も欧米が支援したと批判してきた。今回のクリミア編入の背景には、欧米によるロシアと旧ソ連圏への勢力拡大を阻むことで、18年の次期ロシア大統領選での自身の再選か、側近候補の勝利に道筋を付ける思惑がある。
 ロシアの世論調査によると、保守層が多いロシア国民の約8割がクリミアの編入に賛成した。ロシアでは欧米に屈しない強い指導者を求める国民感情も強い。「欧米の侵略」という神話が冷戦後も根強く残り、支配エリートも利権維持へ対米強硬論を支持する。
 今後の焦点は、プーチン氏がウクライナ東・南部への介入拡大に踏み切るかどうかだ。東・南部では、親ロ派住民が連邦制など自治権拡大を求める大規模なデ モを相次いで起こしている。衝突で多数の死傷者が出れば、ロシアが住民保護を理由に介入に乗り出す可能性が高まってくる。
 プーチン政権は今後も軍事介入の拡大をちらつかせて新政権を揺さぶり、欧米の勢力拡大を押しとどめる考えだ。新政権に対し経済的、政治的圧力を強め、中長期的に親ロ派政権の樹立を目指す戦略。クリミア編入と介入拡大の「脅し」が、最終的にロシアとの利益と判断している。 ≫(日経新聞)


 以上が日経の記事だが、内容は希薄なもので、西洋(欧米)的価値観こそ「善(真理)」の心理で物事を評価している。筆者は、この欧米価値観の世界支配に齟齬が明確に表れているとみている。堂々の軍事力による支配から、グローバルマネーによる、世界淘汰戦略はアメリカの、体力の限界から生み出された、悪賢い狐の戦略だともいえるだろう。インテリジェンスとマネーが世界を席巻する。その為には、人類の生きざま(哲学・文化・風習等々)や、民族の自立の心も、マネーと悪知恵と科学(欧米文化)に傅くべきだと云う傲慢な思い上がりから生れている。

 欧米各国のロシア包囲網が、中国の覇権主義や世界各地で燻る民族独立の動きを抑制(抑圧)する唯一の手段なのだから、何をしても許される(免罪符)、キリスト教の、祈りや善行を行うことで、過去の罪はチャラになる「免罪符(免償符)」の教えなのだから、正しいのだと云う欧米キリスト教圏の、傲慢な思い込みの思想の延長線にある。この思い込みな「善」が、海洋国家覇権に受け継がれ、世界支配が続いたわけだが、その時代が永遠に続くと云う信心が、欧米各国の傲慢を呼んでいるわけだ。

 欧米メディアはロシアの経済は早晩干上がると喧伝しているが、筆者はそれがプロパガンダである可能性は、かなりあると認識している。ロシアとEU各国の経済的ダメージが6対4であっても、その国家的影響力は、4対6に変わり得るものだと認識している。幸か不幸か、ナショナリズムと耐乏生活を何度となく経験しているロシアと、戦後右肩上がりの生活に親しんだ人々では、経済的ダメージに対する免疫力に絶対の差が生まれると考える。また、今回の問題は、欧米対ロシアと云う構図だけで見つめるのは近視眼であり、プーチンによる、欧米覇権文化への挑戦と云う枠組みで観察する必要性を強く感じる。

あなたの知らない日本経済のカラクリ---〔対談〕この人に聞きたい! 日本経済の憂鬱と再生への道筋
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●首相、唯一の外交ポイントの喪失 クリミア編入の是非で北方領土交渉の行方

2014年03月18日 | 日記
プーチン 最後の聖戦 ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?
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●首相、唯一の外交ポイントの喪失 クリミア編入の是非で北方領土交渉の行方 

 気温は20度に近いようだが、南風がハンパではなく、体が前に進まない(笑)。韓国紙の報道によると、日韓首脳会談の韓国側条件のポイントは、二度と靖国を参拝しないという、安倍の確約だという。その是非は、筆者の興味を惹かない。取りあえず最低限の体裁として、日米間3か国首脳会談さえ実施されれば、こと足りる。無理して、ハーグで日韓首脳会談までする必要はないだろう。最低限のセレモニーで、オバマは訪日も訪韓もするはずだから、三カ国とも喫緊の痛痒はない。

 ウクライナ、クリミア情勢は、今夜プーチンが、クレムリンで上下両院議員を前に演説する内容次第で、どこまで国際情勢に火急的か判断できるだろう。現時点で、アメリカの制裁、EUの制裁に、まして日本の制裁などポーズの領域を一歩も出ていない。あくまで、外交戦術のルーチンワークと受けとめておくべきだ。プーチンは、クリミアの住民投票の結果を受け、クリミア共和国を独立国家として認めるまでは明言しているが、編入に関しての意思表示はしていない。

 ロシア・ナショナリズムを強く打ち出そうと思えば、一気にクリミア共和国の編入まで突っ走るだろうが、次期大統領選は2018年であり、まだ情勢を見極める時間的余裕は残されている。ウクライナ経由を除けば、“離れ島”状態のクリミア半島の維持は容易ではない。合理的に考えれば、ウクライナ東部まで影響を拡大できれば、エネルギーの陸路経由や軍事産業の高度秘密の維持も可能なだけに、オバマ同様、実効性のある外交に一時を委ねるかもしれない。筆者は、どちらかと云うと、プーチンと云う人は、その程度の忍耐も備えた政治家だろうと推察している。

 編入の決定は、編入に際して起きうる物理的諸問題(水とエネルギー)への対応が優先的に検討されるような気がする。クリミア共和国が住民投票で、民主的手続きを経て独立国家を宣言した以上、クーデター政権であるウクライナ暫定政府に強い発言権はなく、ウクライナ政府抜きで、編入決定は可能だが、タイムリミットには余裕が残されている。

 このような状況の中で、安倍外交は難しい選択を迫られている。日本政府が現在公表したロシアへの具体的制裁は、ビザ緩和の協議停止協議、新投資協定や宇宙協定、危険な軍事活動防止に関する協定の協議の見合わせであり、制裁の類いに入っていると言えないものである。安倍とプーチンの蜜月を考慮すれば、妥当な選択だ。欧米が、ロシア政府関係者らへの、域内の資産凍結や渡航禁止制裁も、どの程度の制裁効力を持つか不透明だ。まだ、安倍の北方領土交渉の目は残っている。

 筆者の推測では、第二次大戦後の戦勝国の枠組みを一気に変えてしまうほどプーチンにとって、クリミア共和国をロシア編入させる価値があるかどうか、甚だ疑問だ。おそらく、欧米のロシア勢力への介入に我慢できなくなったプーチンがクリミア死守の方針を立てたわけで、初めから、積極的野心に裏打ちされて、戦後体制に挑戦したとは言えない。そのように思い込みたい、世界に印象操作を繰り出す日欧米のメディアの論調は、プロパガンダ的である。

 クリミアの独立までは、ウクライナ問題であるので、日ロ外交に大きな影響は及ばない。しかし、クリミア編入となれば、欧米ウクライナ対ロシアの問題に至るので、プーチンの孤立は避けられない。筆者は前述したように、プーチンは、編入への決断を留保状態に押しとどめるだろうと推察している。この場合、静かな睨み合いが継続するだけで、事態が悪化の一途という事にはならない。この状況内で、日露交渉が始まるのがベストなシナリオだ。尤も、プーチンとの交渉で、北方四島問題が一定の前進をみても、安心はできない。

 なぜなら、ロシア人の保護という名目で、住民投票を実施し、領土の変更を平気でやってしまうリスクは残されるからだ。しかし、ウクライナの歴史的脆弱性と日本の存在を、ごっちゃに考えるのは間違いだろう。ロシアが問題視したウクライナへの欧米勢力の介入を度外視した想定問答には意味がない。現時点の、世界情勢から考えて、日本とロシアの間に米国が介入する意味合いは少ない。仮に、あるとしても、もっと回り道な手段であり、それを国民が拒否する権利は留保されるだろう。つまり、興奮した意味不明の集団によるクーデターなど起きると考える方が奇妙だ。まぁ今夜のプーチン演説を聞いてみよう。

北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫)
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●野田佳彦よ、他人の無分別言動を非難する前に、己の無分別政策の恥を知れ!

2014年03月18日 | 日記
転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か (NHK出版新書 423)
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●野田佳彦よ、他人の無分別言動を非難する前に、己の無分別政策の恥を知れ!

 野田佳彦などと云う政治家は、未だ生きていたのだ。とっくの昔に“ふなっしー”のメリケン袋の中に入っているものとばかり思っていた。イヤハヤ、お見逸れいたしました、永田町にまだおいでとは…。何々日米関係に「きしみ」だと?籾井も衛藤も口先男だし、内閣総理大臣になって、国家を路頭に迷わす心配はない。それよりも、石原慎太郎のアジテートに過剰反応して、尖閣を国有化したツケがどれ程のものか、自ら顧みたことはないのかね?

 日本のナショナリズム心理に火をつけたのが、誰あろう「野田佳彦」その人である事実から、目を背けるおつもりか?前原の粛々と逮捕起訴などは、子供の火遊びで済む話だが、日本の総理が、懸案の地を国有化した出来事が、中国のナショナリズムに油を注ぎ、条件反射のように、わが国の日陰者であったナショナリストや無知この上ない吹き上がり右翼らに、チャンスを与えたのだ。何を、すっとぼけたことを独白している。お前が、日陰者右翼を目覚めさせた張本人だよ。

 その勢いに背中を押され、2チャンネルの住民のチアに奮い立ったのが、誰あろう安倍晋三君だよ。彼としても、日陰者で僻みをエネルギーとして溜め込んでいた感情劣化右翼のチアを無視することは出来ない。理屈の上で、マズいことは知っていても、己の情緒が不安定になることは下痢腹を悪化させ、総理でいられなくなるわけだから、理屈抜きに、彼らを永遠の応援母体にせざるを得ないのだ。つまり、安倍晋三及びそれに群がる人物の中に、安倍の情緒を満たす人々が必要不可欠という事になる。その安倍に塩を送ったのも、アンタ、野田佳彦なんだよ。

 アンタのブログでいう処の、反米ナショナリズムは拙いが、反中ナショナリズムは、まことに結構と、暗に語っているようにも感じられる。敢えて、反米ナショナリズムと名指しする以上、そういう意味が含まれるのだろう。ナショナリズムなんてものは、相手によって善悪が決まるものでもあるまいに、野田にとって、反米ナショナリズムが突出して「看過できない」と云う言となるようだ。本当に、無教養なドジョウ男だ。メリケン袋の中に身を隠しても、ドジョウの臭いまでは消せない。

 ≪ 無分別言動で日米にきしみ=野田前首相
 民主党の野田佳彦前首相は17日付の自身のブログで、日米関係に「きしみ」が生じているとの認識を示した上で、「原因は官邸やNHK幹部らによる無思慮・無分別な言動だ。反米ナショナリズムを助長するものもあり、看過できない」と指摘し、衛藤晟一首相補佐官らの言動を厳しく批判した。
 4月のオバマ米大統領訪日に関しては「実学重視の大統領と個人的な美学に流されがちな安倍晋三首相との相性が心配」としながらも、「互いに大局観を見失わなければ、個人的信頼関係も深めることができるだろう」と記した。 ≫(時事通信)

 集団的自衛権の憲法解釈も変更を視野に、着々とアイヒマンのような凡庸な悪が、粛々と法制局内で、ことを運んでいるそうだ。遅滞なく資料提出が出来るように鋭意努力しているという。マスメディアは、自民党総務会開催を大げさに取り上げるが、今や竹光を腰にぶら下げる貧乏浪人の寄合のようなもの、愚痴をこぼしの会だと言えるだろう。今や、自民党の政治家は悪の凡庸で、エクスキューズするアイヒマン集団のようである。

 対ロ制裁で、安倍政権は悩んでいるようだ。アメリカとある程度歩調を合わせないと拙いのだが、言いなりになるわけにも行かない。一番安倍の存在を高く評価してくれている(表向きでも)世界の政治家は、プーチンが筆頭である。情緒的にはプーチンと組みたい。プーチンと話をしている間は、お腹の存在さえ忘れるくらいだ。しかし、官邸では、菅官房長官までオバマと歩調を合わせないと、エライことになる、と脅す始末。靖国上の暴挙は、一切無理ですよ、と諭されている。折角、愚か者のフライングで、米国離れの機運が生まれそうだったのに、どうも思い通りには行かないようだ(笑)。

 しかし、ロシアに一定の配慮姿勢も打ち出さないのは、将来的に禍根を残す可能性もある。オバマからも蔑まれ、プーチンを怒らせたのでは、世界のリーダー全員から、G8構成国最低の政治家と言われそうである。ロシアも外され、うっかりするとG6なんて事にもなりかねない。ヤケクソで中国を仲間に引き込み、NewG3なんてのはどうだろう?クリミアをウクライナから引き剥がすよりも、国際的問題にはならないが?賛成しそうな国民は、何パーセントいるだろう?多分、筆者含め数人だろうか(笑)。それでも、考えることは自由である。まぁ、今週中のプーチンの意思表示を聞いた後からの、安倍政権の制裁がどのようなものか、愉しみに注目しておく。中国威嚇論を本当に信じている人々が多いのには、筆者には理解不可能だ。ジョセフ・ナイの言説を信じているのだろう。

日本の改革の要は、司法改革

絶望の裁判所 (講談社現代新書)
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講談社


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