世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●世界の常識を疑え、資源は枯渇しない 欧米の普遍的価値も疑え!

2014年04月30日 | 日記
別冊NHK100分de名著 「幸せ」について考えよう (教養・文化シリーズ)
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NHK出版


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●世界の常識を疑え、資源は枯渇しない 欧米の普遍的価値も疑え!

 以下のWSJに掲載、MATT RIDLEY氏の「生態学者」と「経済学者」の意見対立コラムは非常に面白く読める。訳がいささか乱暴なのでHATENAな部分もあるが、それは大目に見るべきだ。このようなコラムを書ける人が政治家である点も興味深い。政治家の目線でも、そこに歴史社会学、経済学や自然科学への理解と知識を持って、物事を多少皮肉交じりに語れると云うのは、羨ましく思う。世界のリーダーの端くれの安倍晋三は「強かな国家」「積極的平和主義」の詭弁以外に、何が語れるのだろう?オバマもプーチンも似たようなものだ。

 また、マスメディアの大本営発表報道は、日本ばかりではなく、アメリカも外交防衛に関しては、まったく同じような環境を有しているようなのだ。欧米や日本が真似ようと試みる民主主義、自由主義、資本主義の「普遍的価値」の化けの皮が剥がれない為に、この価値観が賞味期限を迎え、内部から腐っていることを覆い隠しているわけだが、近い将来腐臭が漂い、その腐臭を誤魔化そうと「タブー」などと云う名の眩暈を起こしそうな「香水」を振りまくに違いない。


 ≪ 世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂
 人間が世界の資源を「使い尽くしている」とか、石油が「枯渇しつつある」とか、汚染に対応する大気の能力が「限界に達している」とか、これ以上人口が増えれば土地の食糧生産能力に「余力がなくなる」という言葉を何度聞いたことがあるだろう。こうした言葉が出てくるのは、金属や石油、きれいな空気、土地といった資源は有限であり、人間が消費することで資源を使い尽くす恐れがあるという前提があるからだ。

 世界自然保護基金(WWF)インターナショナルのジム・リープ事務局長は「私たちは地球が持続的に生産できる量より資源を50%多く消費している。方向転換を図らない限り、この数字は急速に増えるだろう。2030年には地球が2つあっても足りなくなる」と話す。

 しかし、人類の歴史には奇妙な特徴がある。それは、人間がそのような限界を何度もぶちやぶってきたというものだ。結局のところ、サウジアラビアの石油相がかつて言ったように、石器時代は石がなくなったから終わったわけではない。生態学者はこれを「ニッチ構築」と呼ぶ。ニッチ構築とは、人間(実は人間以外の一部の動物もそうなのだが)は何らかの方法で自分たちの生息環境の生産性を高め、新たな機会を作り出すことを指す。農業はその典型だ。私たちは自然の恵みに頼ることをやめる代わりに、さらに大きな恵みを人工的に作り出した。

 これと同じ現象を経済学者はイノベーションと呼んでいる。経済学者が生態学者の何にいら立っているかと言えば、生態学者が限界が静的なものである ことを前提に物を考えるからだ。鯨油が枯渇し始めたころ石油が発見されたことや、農場の収穫高が横ばいになったときに化学肥料が登場したこと、ガラス繊維 が発明されると銅の需要が落ち込んだことを生態学者は理解できないようだ。

 生態学者も同じように経済学者に不満を感じている。経済学者は成長に限界があるという現実に向き合わなくても済むように「市場」や「価格」という迷信のような魔法を信じている、と生態学者は感じている。生態学者の会議で拍手喝采を浴びたければ、経済学者を侮辱する冗談を言えばいい。

 私は生態学者と経済学者という2つの部族に囲まれて生きてきた。大学では7年間、さまざまな形態の生態学を学び、その後8年間にわたって英経済誌 「エコノミスト」で働いた。私が生態学者だったころ(車に反原発のステッカーを貼ってはいたが、政治的な意味ではなく、学術的な意味での生態学者だった)、「環境収容能力」、つまり成長に限界があるという考え方を固く信じていた。今では、人間は少ない資源で多くを成し遂げる方法を考え出せるという見方に傾いている。

 この不一致こそ、多くの政治問題の本質である。そもそもの考え方がかみ合っていないのだから、人々は環境政策をめぐって対立するのだ。例えば、気候変動について議論すると、悲観主義者は急速な温暖化を招かずに余分な二酸化炭素(CO2)に対応しようとしても大気の能力に限界がある、と考える。それゆえ、経済が成長し続ければ、排出量も継続的に増加して、最終的には危険な水準にまで温暖化が進む。だが、楽観主義者は経済成長が技術の変化をもたらし、低炭素エネルギーが利用されるようになる、と考える。そうなれば、地球温暖化は多くの被害をもたらす前に安定する。

 例えば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は産業革命前との比較で2100年までに気温が摂氏で3.7~4.8度上昇すると予想しているが、この予想は、技術がほとんど進歩しない、50年間続いた人口増加率の低下がとまる、人口1人当たりの所得の増加率は(たった)3倍、経済のエネルギー 効率はあまり改善しない、という想定に基づいている。これは注目に値する。つまり、2100年の世界は今とほとんど変わらないものの、人口が大幅に増えて、今以上に石炭と石油を燃やした結果、温室効果ガスの排出量が増加する、と想定していることになる。これに対して、ほとんどの経済学者は2100年までに、所得が5~10倍増加する、技術が飛躍的に進歩する、人口増加がとまる、と予想している。人口が減るため、必要とする炭素は今よりはるかに少なくなるとみていることになる。

 1679年、オランダの偉大な顕微鏡学者アントニー・ファン・レーウェンフックは地球が収容できる人数を134億人と推定したが、ほとんどの人口統計学者は世界の人口がそこまで増えることはないと考えている。その後、10億人から1000億人までさまざまな数字が挙がっているが、意見はまとまりそうにない。  経済学者によると、私たち人間は肥料を使い、機械化を進め、殺虫剤を噴霧し、かんがい設備を整備した結果、1エーカー(約4000平方メートル)当たりの土地の生産性は上昇し続けている。今後、イノベーションが起きれば、上限はさらに引き上げられるはずだ。ロックフェラー大学のジェス・オーズベル氏は一定量の食糧生産に必要な土地の広さは全世界でこの50年間で65%縮小したという。 生態学者はこうしたイノベーションが石油やガスといった再生不能な資源や、帯水層のように補充が利用に追いつかない再生可能資源に依存していると主張する。だから、今の収穫高を維持することはできないし、ましてや向上させるなんて不可能だ。

 生態学者のカール・サフィーナ氏は出版したばかりの「The View from Lazy Point(レイジーポイントからの眺め)」の中に、全ての人間が米国人と同じ生活水準で暮らしたら、地球が2つ半以上必要になると書いている。米国人の消費水準を基準にした場合、今ある農地だけでは25億人以上分の食糧を生産できないからという。生態学の創始者の1人と言われるハーバード大学名誉教授の E・O・ウィルソン氏は人類全てが菜食主義者になれば、100億人を養うに十分な食糧の生産が可能と計算した。

 経済学者の反論はこうだ。世界の大部分、特にアフリカには肥料や近代的な農業技術が行き渡っていないのだから、農地の生産性が今以上に向上しないと考えるのは合理的ではない。ロックフェラー大学のオーズベル氏は同僚のイッド・ワーニック、ポール・ワゴナー両と共に驚くべき結論に達した。人口が増加して、世界がますます豊かになり、肉などの高級品の需要が増えることを大目に見る一方で、将来における世界の食糧生産の改善率を厳しく見積もっても、50 年に必要となる農地は00年から減少することがわかったのである(食糧を生産できる農地でこれ以上バイオ燃料を育てなければ、の話だが)。

 しかし、収穫高が増えるかどうかは資源次第であることは間違いない。まず水について考えてみよう。水は世界各地で食糧生産の制約になっている。 1960年代と70年代に算出された2000年までの水の需要の予測は過大に見積もられていたことがわかった。実際に使われた水の量は30年前に専門家が 予想した量の半分に過ぎなかった。

 新しいかんがい技術が開発され、水が効率的に使われるようになったことが最大の理由である。イスラエルやキプロスなど一部の国では、「細流かんがい」という技術を採用することでかんがいに必要な水の量を減らすことができた。さらに太陽電池を活用して世界中で海水の脱塩を行えば、人口が真水の制約を 受けることなくなるだろう。

 1972年にローマクラブ(強い影響力を持つ世界的なシンクタンク)が出版したベストセラー「Limits to Growth(邦訳:成長の限界)」によると、今の世界はさまざまな金属や燃料、鉱物、空間を使い尽くし、あらゆる意味で限界を迎えていたはずだった。なぜそうならなかったのだろう。一言でいえば、技術のおかげである。採掘技術が向上し、資源を無駄なく使えるようになった。資源が不足して価格が上昇すれば、安価な材料で代用できる。コンピューターのコネクターのメッキに使用される金は40年前と比べると100倍も薄くなっている。自動車や建物に使われる 鉄の量も減り続けている。

 約10年前までは、天然ガスはあと数十年で枯渇し、その後まもなく石油もなくなるというのは妥当な予想だった。もしそんなことが起きれば、農業の収穫高は急減し、世界は食糧生産のために残る熱帯雨林を耕すか、飢え死にするかという難題に直面することになる。

 しかし、水圧破砕(フラッキング)技術とシェール革命のおかげで、石油とガスの生産のピークは先送りされた。石油もガスもいつかは枯渇するが、それはアイルランドの港から西に向かってボートで漕ぎ出せばいつかは大西洋の終わりに到達すると意味と変わらない。ニューファンドランド島にたどり着く前に漕ぐのをやめる可能性が高いように、おそらく、私たちは石油やガスが枯渇する前に化石燃料に代わる安価な燃料を発見するだろう。

 経済学者であり金属のディーラーでもあるティム・ウォーストール氏はテルルの例を挙げている。テルルは一部の太陽光パネルに主要材料として使われている。テルルは地中に含まれる最も希少な元素の1つで、原子が10億個あればその中にテルルは1つしかないという希少さだ。テルルはすぐに枯渇してしま うのだろうか。ウォーストール氏は推定で1億2000万トンのテルルが存在する、100万年分の供給量があるとみている。テルルは銅スライムと呼ばれる、銅鉱石を精錬したときのカスに濃縮されており、それだけでも抽出には今後長い時間がかかる。将来的には、古い太陽光パネルから部品を取り出して新しい製品を作るときにテルルもリサイクルされるようになるだろう。

 今度はリンの例を考えてみよう。リンは農業用の肥料に欠かせない元素で、南太平洋のナウル島などにあるリンの含有量が豊富な鉱床はほぼ掘り尽くされている。ということは、世界からリンがなくなってしまうのだろうか。いや、そうではない。リンの含有量の低い鉱床は豊富にあるし、どうしてもリンを手に入れたければ、河口の泥の中など何世紀もかけて地中に蓄えられたさまざまなリンの原子がある。それを濃縮すればいいだけだ。

 1972年、スタンフォード大学の生態学者ポール・エーリック氏がIPATという単純な公式を考案した。IPAT は人間の影響(Impact)が人口(Population)と豊かさ(Affluence)と技術(Technology)を掛け合わせたものに等しいことを示している。つまり、人口が増えれば増えるほど、人間が豊かになればなるほど、人間が多くの技術を手に入れるほど、地球のダメージは大きくなる、ということだ。

 IPATは生態学の聖書ともいえる地位を確立し、多くの生態学者が今でも支持している。しかし、その後の40年間、IPATに都合のいいことばかりが起きたわけではない。人々が豊かになり、新たな技術が発明されると、地球に対する人間の影響は増大するどころか減少したからだ。新しい技術を手にした豊かな人々は自然林からまきや野生動物の肉を手に入れたりしない。その代りに、電気を使い、農場で育てられたニワトリを食べている。そのために必要な土地は自然林よりはるかに少ない。2006年にオーズベル氏が計算したところ、国民1人当たりの国内総生産(GDP)が4600ドル(約47万円)を超えている国では面積で見ても密度の点でも森林は減っていない。

 ハイチでは森林の98%が伐採されている。衛星写真で見ると、隣国のドミニカ共和国が青々とした森林に覆われているのに対して、ハイチの国土は文字通り茶色い。その原因はハイチの貧しさにある。ハイチは貧しさから家庭用エネルギーとしても産業用エネルギーにも木炭に依存せざるを得ないが、ドミニカ共和国は化石燃料を使うことができる。特に調理用としてプロパンガスに補助金を出し、森林の伐採を防いでいる。

 生態学者と経済学者の対立の一端は「消費」という言葉の使い方にある。生態学者にとって消費とは「資源を使い尽くす行為」を意味するが、経済学者にとっては「一般の人々による財・サービスの購入」である(この2つの定義はオックスフォード英語辞典からとったものだ)。

 それにしても、一般の人々が水やテルルやリンでできた製品を購入すると、これらの資源はどのような意味で「使い尽くされる」ことになるのだろうか。水やテルルやリンはまだ製品そのものや環境の中に存在している。水は下水道を通って環境に戻り、再度利用可能になる。リンは堆肥を通じてリサイクルされる。テルルは太陽光パネルに使われているが、これもリサイクル可能だ。経済学者のトーマス・ソーウェル氏は1980年の著書「Knowledge and Decisions(知識と決定)」にこう書いている。「私たちはおおざっぱに『生産』と言うが、人間は物質を作り出すわけでも消滅させるわけでもない。ただ物質の形を変えているだけだ」

 イノベーション――生態学者にとってはニッチ構築――が生産性を向上させていることを考えると、人間が地球という惑星の銀行に開いた口座の残高は既にマイナスで、米国人と同じ生活水準で100億人が暮らすには少なくとももう1つ地球が必要になるという主張を生態学者はどう説明するのだろう。

 グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)という団体による試算を見れば、はっきりする。GFNはカリフォルニア州オークランド在住の マーティス・ワッカーナーゲル氏が創設したシンクタンクで、70を超える国際環境団体に支持されている。GFNは食糧増産のために化石燃料を燃やした結果、発生したCO2は植林によって将来的に吸収され、相殺されることを前提にしている。広く利用されている指標「エコロジカル・フットプリント」は人間が必要とする土地の54%が炭素の吸収に回されることを想定している。

 では、植林がCO2を吸収する唯一の方法ではないとしたらどうだろう。植えた木に水や肥料を与えた結果、木がぐんぐん成長してそれほど多くの木が必要でなくなったとしたらどうなるだろう。米国のように発電に石炭の代わりにガスを使ってCO2の排出量を削減した場合はどうか。CO2排出量のある程度の増加を大目に見た場合はどうなるのか(それによって作物の収穫高は適度に増加する)。生態学的にみれば口座の残高は貸越だが、こうした要因を考慮すれば貸越残高は大きく減って、残高はプラスになる。

  オーストリアのクラーゲンフルト大学のヘルムート・ハバール氏は経済学を真摯に受け止める、珍しいタイプの生態学者だ。ハバール氏によると、仲間の生態学者は「人間が純一次生産に占める割合(HANPP)」を生態学的な成長の限界を示す指標として利用している。HANPPとは人間や家畜が食べたり成長を妨げたりしている植物の割合を指すものだ。一部の生態学者は既に、人間が地球上の植物の半分上を消費していると主張し始めていた。

 いくつかの理由からその主張は間違っているとハバール氏は言う。まず、人間が純一次生産に占める割合はまだ非常に低い。ハバール氏の推計によると、人間や家畜が食べる割合は約14.2%で、ヤギや建物によって成長が妨げられている割合は9.6%である。第2に、多くの場合、経済が成長しても利用される生物の量は増加しない。工業化が進み、収穫高が増えると、HANPPは通常、低下する。耕作地が増えるのはなく、農業の集約化が起きるからだ。

 最後の理由として、人間の活動によって自然の生態系に置かれた植物の生産量が増加していることが挙げられる。作物が吸い上げた肥料は野生の鳥や動物によって森や川の中に運ばれ、森や川ではその肥料のおかげで野生の植物の収穫高も増加する(時にはそれが過剰に作用して、藻が大発生したりする)。ナイ ル川河口の三角州などでは、土地の多くが人間のための食糧生産に使われているが、野生の生態系の生産性は人間の介入がなかったころよりも今のほうが高い。 地球環境のために何かをするとすれば、生態学者と経済学者を集めて会議を開きたい。私は単純な問いを投げ掛けて、答えが見つかるまで部屋から出ては行けないと言い渡すのだ。
 彼らに答えてもらいたいのは「イノベーションを使って環境を改善するどうしたらいいか」である。  ≫ (WSJ:リドレー氏は「The Rational Optimist (邦訳:繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史)」の著者で英国の上院議員)

街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか (犀の教室)
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●「二人の男」のコラムを読む あと数年で消えるジャーナリストはどっちだ

2014年04月29日 | 日記
上野千鶴子の選憲論 (集英社新書)
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●「二人の男」のコラムを読む あと数年で消えるジャーナリストはどっちだ

 共同通信によると、ヘーゲル米国防長官とショイグ露国防相が電話会談を行い、ショイグ国防相は、ロシア軍をウクライナに侵入させないと表明した、と米国務省が発表した。アメリカ側だけの情報なので、ショイグ国防相が、オバマ同様、幾つかの条件が満たされればとの前提を付していることは容易に想像できるが、その点には触れていない。おそらく、ウクライナへの連邦制導入と右派セクターの完全排除が前提ではないかと思われる。新たな情報に基づき、ウクライナ情勢は別途。

 本日は、“改心?変節?”した一人のジャーナリストと“頑固に変わらない”一人のジャーナリストのコラムを紹介して、拙コラムとさせて頂く。前者の主張は、最近当たり前になってしまった、日米の政府に寄り添う人間であれば、誰でも口にしそうな話を、長々と言い訳を書き集めて語っている。あまりにも、日米関係が永久不滅の関係であると云う前提に立ちすぎた、極論コラムで、哲学や歴史的眺望の視点が欠如している長谷川幸洋氏のコラムだ。あまりにも低俗なものなので、前文だけ掲載、あとは省略したが、前文を読みたい方はURLも記しておくので、そちらを参考願おう。

 ≪ TPP協議は継続だが、アジア太平洋全体の連携強化を鮮明にした日米共同声明を評価する
 日米首脳会談の共同声明がようやく発表された。主役である安倍晋三首相とオバマ米大統領の会談が終わった後、脇役にすぎない両国の閣僚が環太平洋連携協定(TPP)をめぐって夜を徹した交渉を続けた末、声明発表にこぎつけるという異例の展開である。
■TPP交渉決着へ一歩前進
  これを見ただけでも、両国がいかにTPPをまとめたいかがよく分かる。首脳会談の「陰の主役」である中国をけん制するために、日米としては、なんとしても強固な絆でアジア太平洋地域の連帯感をアピールしたかったのだ。
  これまで何度も書いてきたように(たとえば、2013年8月23日公開コラム)、TPPは貿易自由化と中国をにらんだ安保防衛という2つの側面がある。ロシアによるクリミア侵攻という「あからさまな力による現状変更」の試みが中国を一層、刺激しかねない局面で、日米関係を軸にしたTPPは一段と重要になっていた。
 結末は協議継続という形になったが、声明は「TPPに関する2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と述べている。一歩前進であるのは間違い ない。最終合意までには曲折があるだろうが、これで基本路線ははっきりした。日米両国はなんとしても交渉をまとめる方向だ。
 声明は尖閣諸島の防衛について、あらためて大統領によるコミットメントを明確にした。さらに日本の集団的自衛権の行使をめぐる検討についても「歓迎し支持する」と書き込んだ。これらはもちろん、日本にとって大きな成果である。・・・・・・ *注、長々と続くが以下省略  ≫(現代ビジネス:ニュースの深層:長谷川幸洋) http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39112

*この長谷川のコラムを読んで、改めて思ったことだが、TPPも日米軍事同盟も、対中国を意識し、牽制する意味合いが大きく、その点で大成功風に書いている。また、ロシアのクリミア編入における経緯を「クリミア侵攻」と云う言葉を使い、猛烈な印象操作をしている。その上で、ロシアは「あからさまな力による現状変更」をしたと断じている。百田尚樹とほぼ変わらない精神の持ち主のようだ(笑)。日本の多くの中立的顔をした善良なジャーナリスト紛いの典型とも目される長谷川にして、これである。

 この長谷川のコラムで理解できた一番は、「中国の抬頭は確実で、その力は脅威になる」と認めている点だ。ある意味で、単なる決めつけなのだが、そのような前提に立たないと、論が進まないわけだ。おそらく、日米の多くの人間が、現在のプレゼンスから一歩も退きたくない願望が根底にあるのだろうが、既に日米や西側諸国のプレゼンス、存在感は根本的に落ち目なわけで、それこそ「普遍的価値」衰退であり、彼らが死んでも離したくない「普遍的価値」のパラダイムシフトも考えないし、不都合な現実や事実に目を瞑って生きていこうと考えているのが、何とも悲しく愚かだ。

 お口直しではないが、多少爽やかなコラムを読んで、気分を一新しよう。以下は、少々気弱さもあるが、正直なジャーナリスト魚住昭氏のコラムを読んでもらう。

≪ 第七十七回 もはや、戦後ではない、かも?
 おととい、娘(7歳)のクラスメートのIちゃんが家に遊びにきた。私はいなかったが、妻の話では、庭でしばらく遊んだ後、近くの小さな公園に行ったそうだ。 その公園には満開の桜の木が2本あって、薄桃色の花びらがひらひら宙に舞っていた。 Iちゃんと娘はそれを手でキャッチしようと夢中で追い駆けた。でも、なかなかつかめない。
 ふたりは一計を案じ、自転車で桜の下をぐるぐる走った。車輪を回せば風が巻き起こって花びらがもっと散ると考えたからである。 でも、風は吹かない。それがわかったので、今度は着ているパーカーを脱ぎ、頭上の桜の枝に向けてパタパタ扇いだ。が、風はそよともしない。とうとうふたりは大声でワーッと叫びだした。どうやら声が風になって桜の枝を揺らしてくれると考えたらしい。 「もう、大騒ぎ。子供って次から次へといろんなことを思いつくのよね。ああ、楽しかった」
  夕方、帰宅するなり、妻は晴れやかな笑顔で言った。その顔を見て私も幸せな気分になった。心配事はたくさんあるが、とりあえずいま、わが家は平和である。 と思いつつ夕刊を開くと「武器輸出新三原則を閣議決定」という見出しが目に入った。政府が原則禁止していた武器輸出を事実上解禁するという。
 東京新聞は「日本の武器を世界に売り込む考えだが、憲法九条の『戦争の放棄』の理念は崩れ、戦後積み上げてきた平和主義の信頼感に基づく外交力を失うことになりかねない」と批判していた。
 そう。平和主義の崩壊と言っていい。でも、輸出解禁の狙いは単に国産武器を外国に売りつけることだけだろうか。引っかかりを感じたので元航空幕僚長の田母神俊雄さんの本を取り出した。
  安倍首相の真意を知るにはタモちゃん本を読むのが一番だ。ふたりの考え方は、歴史認識から核武装に至るまで双子のように似ている。しかも田母神さんは首相の本音を明け透けに語ってくれる。
  まず昨夏発売の『安倍晋三論』(ワニブックス刊)である。田母神さんによれば、自衛隊は防御に偏り、攻撃力が極端に低い。なぜなら自衛隊は専守防衛で、日本が攻撃されたら米国に反撃してもらうことになっているからだ。 米国に守ってもらっていれば、最終的には米国の言いなりになり「国策の自由が奪われた」国に住み続けなければならない。
 その米国の狙いは日本の弱体化だ。20年前、日本の国民1人当たり名目GDPは米国を抜いて世界一になろうとしていたのに、今ではずいぶん落ちこんでいる。 これは米国の圧力に屈して「改革」「自由化」を進めた結果、終身雇用や年功序列の「日本式経営システム」が機能しなくなったからだ(この辺りはあくまで経済の専門家ではない田母神さんの自説である。念のため)。
  この状態から抜け出すには軍事的に自立するしかない。では、そのために何をしなければならぬのか。そう問いかけたうえで、彼はちょっと意外な結論を導き出す。
 「憲法改正? いや、違う。憲法改正ができればそれに越したことはないが、今すぐにでもできることがある。それは『武器輸出解禁』である」 なぜかというと日本では、武器は自衛隊にしか売れない。逆に言うと、企業は自衛隊の発注なしに作れない。だから企業は武器開発に先行投資しない。将来自衛隊が買ってくれる保証がないからだ。
 だが、と彼は言う。もし外国に武器が売れるなら先行投資ができ、もっと高性能の武器を大量生産できるようになる。「お下がり」のような米国製戦闘機を言い値で買わされることもなくなり、国産に換えられる。 軍艦、ミサイルなども国産化すれば大きな公共事業になり、数多の企業を潤す。戦闘機の開発生産だけで6000社以上の会社の参画が見込まれ、早ければ10年後に自衛隊はほとんど国産装備の〝軍〟に生まれ変われるという。
 彼は『日本核武装計画』(祥伝社刊)にもこう書いている。
  何しろ戦闘機や護衛艦など主力兵器は単価がバカ高い。それを作ったら売れるぞとなったら、三菱重工や川崎重工、富士重工だけでなく、東芝やNECなどの電機・IT機器メーカー、機体や船体の素材や部品の製造技術を持つメーカーも色めき立つ。
  「各社は競って先行投資をし、同時に営業マンを海外出張させるだろう。もともと70年前にゼロファイター(零戦)で世界を驚嘆させた日本の技術力である。(中略)世界が驚くような凄いものを短期間でつくってみせるはずだ」 つまり、武器輸出解禁で自衛隊の装備は米国製から純国産化の方向に転換し、従来よりはるかに巨大で裾野が広い軍需産業が日本に出現するというのである。 田母神さんによれば、もうひとつ、武器輸出には大きな利点がある。輸出相手国への影響力の拡大だ。ある国が武器を買えば、部品の供給や技術支援に武器生産国の協力が必要になる。だから武器生産国は相手国の軍事能力・国策に影響力を行使できるようになる。
  現状だと日本は絶対に米国と喧嘩できない。米国の技術支援がないと戦闘機を飛ばせないからである。武器を売った米国は日本から万が一にも攻撃されず、しかも日本に対し絶対的優位に立てる。 「このように国産の武器を海外に売ることは自主防衛への道であると同時に、国は安全になり、外交交渉でも有利になり、おまけに儲かる。いいこと尽くめ」なのだと田母神さんは説いている。
  安倍政権の狙いもたぶん同じだろう。武器輸出で日本は再び軍事国家になり、将来的には米国の手を借りずとも国際的な「〝富と資源の分捕り合戦〟」 (『安倍晋三論』)に自力で参加できるようになる。集団的自衛権の行使という免罪符さえあれば、いつでもどこでも戦争ができる国になる。
  何とも勇ましくおぞましい話である。彼らの眼中には先の戦争で死んだ人々の無念と、残された家族の悲しみはまったくないらしい。あるのは、他国に舐められてたまるかといった夜郎自大な国家意識だ。この分だと核開発に踏み切る時期もそう遠くないだろう。
 田母神さんや安倍首相の言動を見るにつけ、私はハーメルンの笛吹き男の伝承を思い浮かべる。13世紀ドイツの街ハーメルンに現れた男が子供らを笛の音で誘い、何処かへと連れ去った事件である。
  一説には、130人の子が男について洞窟に入り、戻らなかったという話の起源は、子供らが戦争に駆り出された辛い記憶だという。 同じような未来が子供たちを待っているのかもしれない。もう戦後ではなく戦前だ。これから動乱の時代が始まると思う。私が子供にしてやれるのは、いまの平和を存分に楽しませてやることぐらいしかないのだろうか。わが身の非力さに歯噛みする思いだ。 ≫(現代ビジネス:メディアと教養:魚住昭 『週刊現代』2014年4月26日号より)

 田母神氏が前述コラムの通りの人であることは、筆者も同意する。田母神俊雄が言う通り、都知事選では、舛添など応援せずに、田母神俊雄を推薦支持するのが筋だと思っていた。ただ、田母神氏の心意気は本物だが、安倍晋三の思いは、田母神俊雄のような世界になる事を望んでいるわけではなく、それらしく振舞いたい衝動であり、決して本気で、その方向を目指すと云う本物ではない点が、酷く異なる。日本独自で、軍事的に強くなる必要もなく、軍産複合体で経済を牽引しようと云う試みも、所詮は時代の流れに呑み込まれてしまうわけで、何となく世界全体に漂う、20世紀の奔流の水量が涸れかけていることは、誰の目から見ても歴然だ。

 今を生きると云う現実論にだけ立脚しても、世界が混沌や苦境から脱することはない。これらの混沌を導き出した立役者は何人でもいるわけだが、筆者は必ずしも、彼らがメインプレヤーだったとは思わない。やはり、メインプレヤーは歴史の流れであり、その時代に生きている人々全体にある、何となくの認知だ。その空気は、漂うように穏やかで、動きは緩慢だが、どのような他力を持ってしても動かしがたいパワーを秘めているので、核爆弾を何発撃ち込んでも破壊不可能だし、権謀術策で生き延びようとしても、意味のない足掻きだ。筆者も断定は出来ないが、次の世界への展望がぼんやりとでも見えていれば、ここまでの混沌からは抜け出せるだろうが、そのボンヤリすら見えない間は、混沌が加速度的に進んで行くのだろう。

だから日本はズレている (新潮新書 566)
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●中露包囲網を作れず悩む欧米勢力 日本丸は面舵取り舵ジクザク航行

2014年04月28日 | 日記
亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠
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●中露包囲網を作れず悩む欧米勢力 日本丸は面舵取り舵ジクザク航行

 徳洲会公選法違反事件で辞職した徳田毅前衆議員の補欠選挙が行われ、自民党新人の金子万寿夫が当選した。安倍は「今まで進めてきた政策に一定の評価を頂いた。さらに景気回復、成長のため全力を尽くす」と簡単に語ったようである。金子66,000票、民・維・結・生で注目の打越明司は46,000票と善戦はしたが、二歩及ばなかった。投票率は45.99%と過去最低を記録しているので、「オリーブの木」が争点の設定如何では逆転も可能と云うことを示した点は注目に値する結果だった。

*国内政治は、しばらく凪状態が続くと思われるので、いちいちコラムの見出しにするような重要案件は見当たらない。重箱の隅をつつくような出来事は満載だが、今は、世界の直近の情勢と21世紀的世界の潮流を観察しているほうが、知的好奇心を満足させることが出来る。みんなの党の渡辺喜美は過去の人で、今さらゴシップや犯罪性を暴いても、国家の為にはならない。それよりも、日本を取り巻く世界がどのような潮流になって動いていくのか観察し、考えているほうが、国益に資する。無論、筆者のゴタクなど、何の役にも立たないことは百も承知だ(笑)。

 最近はウクライナを起点に米国軍事同盟の地域及び各国の動きや、対峙するロシアや中国ウォッチが知的水準を高めてくれるに違いないと思っている。仰臥しながらでも、世界の情勢を入手できるネット社会には感謝する。無論、ネットの情報が玉石混淆なのは当然で、その取捨選択が出来るかどうかで、同じネット社会に生きていても、得るべき知識の質量は異なってくるのだろう。筆者は主に、朝日、時事、毎日、東京のサイト主として見るが、読売・産経・日経も“何て書いているかな?”のレベルで目を通す。海外メディアでは、ロイター、WSJ、USAトゥディ、NYT、APF、ブルームバーグ、CNN,インテルファックス、ロシアの声、人民日報、中央日報、東亜日報、ロシア通信ノーボスチ、イランラジオ、中東ニュースMEIS、フィナンシャルタイムJBプレスなどだ。

 その他にも、多くのサイトの多様な考えを参考に、自分の考えをまとめるのだが、常に全部のメディアに目を通すわけではない。ただ、中国、ロシア、ウクライナ、中東などにおける事象は多様な目線を参考にすることは、非常に重要だと思っている。最近、日本と西側諸国のメディアの論調は、企業権益、西側国家利益重視のグローバル化独特の論調が増えるのは致し方ないが、目線が権益、利益目線に貫かれているので、なるほど!と云う記事が少なくなっている。しかし、それはメディア論調と云うものまで、グローバル化され、イデオロギーや国境の垣根の低さを感じさせる。

 注目のウクライナ情勢も幾分膠着状態で、CIA担当の暫定政権治安部隊がチョロチョロ東部に手出しをしているが、到底本気な行動ではなく、右派セクター勢力とCIAの戦況有利と云う状況に見せかけよう程度の動きだ。ロシアの戦闘意欲はかなり強固で、これ以上の介入は米国裏軍隊とロシア裏軍隊のウクライナ内戦に繋がる可能性がある。ウクライナ問題で見えてきたことは、世界の紛争問題には、常に20世紀後半の覇権国アメリカの影が見えている。しかし、色んな紛争の経緯を見つめていると、やはり、覇権国アメリカの力の衰えと、中国ロシアの抬頭による力比べ、知恵比べの時代に入りつつある事を感じる。

 無論、簡単に中露が覇権勢力を構築できるわけではないが、BRICsを核とする勢力の影響は増え続けるだろう。このまま、ウクライナ問題を軸に、21世紀的冷戦構造が誕生すると、金融経済で世界を席巻していたドル基軸通貨のマジックから逃れようとする基軸通貨の誕生を誘発する。その名前は耳に届いていないが、BRICsの貿易勘定で発生するものと思われる。ユーロの発生だけでも、イラつくアメリカが、次なる通貨の発生でドル基軸マジックの効力を徐々に減じていくのは必定だ。「元」と「ルーブル」の合体通貨は、ユーロ以上のダメージをアメリカに齎すだろう。このように考えながら、以下の日経の記事を読むと、日本以外の国は、21世紀の世界潮流を見つめながら、国策が行われているのが良く判る。

≪ 勘定が合わない中国の米国債保有  
  編集委員 滝田洋一
 あれっ、勘定が合わないぞ。中国はどこに米国債をしまい込んだのだろう。そんな疑問が浮かんでくる。中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の初代主席を務めた劉明康氏による、16日のワシントン市内での講演のことだ。
■7000億ドルのズレ
 劉氏は、中国の外貨準備の半分相当を米国債で運用していると明らかにした。中国の外貨準備は2014年3月末時点で3兆9500億ドルだから、その半分となると1兆9750億ドル相当となる。
  外国人投資家による米国債保有額は14年2月末時点で5兆8853億ドルなので、中国はそのうち33.6%を保有している勘定である。中国については大半 が当局による保有。だから、外国当局が持っている米国債4兆692億ドルのうち、実に48.5%を中国当局が保有している――。
 そう記しかけて、米財務省統計を見直し首をひねった。14年2月末時点の中国による米国債保有額は1兆2729億ドルとなっているのだ。劉氏の発 言通りなら1兆9750億ドルあるはずなのに、約7000億ドルも足りない。劉氏はまさか保有額を水増ししているのではあるまい。
 それにしても、中国側の発言と米国側の統計とで、7000億ドルものズレが生じるとは尋常ではない。自分たちには把握できていない、中国当局による米国債保有が円換算で70兆円もあるというのは、米財務省にとって居心地が悪かろう。
 ところが、ここ半年間のベルギー投資家による米国債の買越額は38億ドルにとどまる。今年2月のように米国債を売り越しているのに、保有額は増えているといったことも珍しくない。
 米国債を大量に購入した他国の投資家が、ベルギーを保管場所にしていると考えれば、つじつまが合う。そうした投資家のなかに、中国が含まれているとみるのは自然だろう。外貨準備で運用する米国債の一部を、ユーロクリアに預けているのだ。
■米中、心理戦の舞台に
 外国当局は保有する米国債を、普通ならニューヨーク連銀のカストディ勘定に預けている。なのに、なぜそんな面倒くさいことをするのか。
 考えられる理由はひとつ。中国は米国を腹の底では信用していないということだ。
 それはそうだろう。ウクライナ情勢の緊迫化を機に、米国は経済制裁と称してロシアの要人や企業が米国内に保有する資産を差し押さえているのだから。「いざとなれば、明日は我が身」と中国の為政者は身を引き締めたはずだ。
 今年3月にはニューヨーク連銀の保管する米国債の残高が前週比で1000億ドル以上減る週があった。ロシアが保有する米国債を米国外に移したかと話題になった。だがロシアによる米国債保有額は14年2月末で1262億ドルにすぎない。
  中国の保有する米国債は2兆ドルに迫り、しかもその3分の1に相当する7000億ドルが自分たちの目の届かないところにある。そんな現実は、米財務省に とっての嫌な感じ以外の何ものでもない。米中両国による駆け引きの場は外交や安全保障ばかりではない。ここにもひとつの心理戦の舞台がある。
 ≫(日経新聞)

 ウクライナ問題でG7の西側価値への挑戦者には、経済制裁と裏軍事力(諜報活動含む)を発動と云う制御に委ねられているが、明確な戦争を惹起できないグローバル経済構造の中では、ベターな選択なのだろうが、解決は常に玉虫色だったり、介入地域への不安定を齎すばかり、と云う皮肉な現象を起こしている。アメリカと云う巨人の衰退は、地球上に混沌をまき散らしているのだが、混沌を巻き散らかさないと、覇権を維持できないので、避けられない混沌でもある。しかし、アメリカが蘇生する確率よりも、衰退、内向き国家になる可能性の方の確率の方が高いと感じる。

 中国政府はその辺の情勢分析は、日本の何倍も上であり、アメリカの覇権に対応するべき手立てを講じていると云うことだろう。韓国に唾をつけているのも、その一環だ。ロシアとの親密さも、アメリカ覇権亡き後の世紀を俯瞰しているのだろう。彼らの思惑が当たるかどうかではなく、そのリスクに耐えうる安全弁に配慮しておく姿勢は、見習うべきである。筆者も読み切れていないが、ロシアも中国も、覇権国家になろうと云うよりも、アメリカ一国主義、西側の独善的価値観が普遍的だと嘯く世界を排除しようと試みているのだろう。

 決して、アメリカ合衆国を支配する気はない。日本を支配する気もない。ただ、西側の価値観の独善は許せないのだろう。そうでなければ、日米など西側諸国の不動産を買いまくる意味はない。以下のロイターの記事も面白い。それにしても、 安倍自民の政治が何処に向かおうとしているのか不明だ。国家の方向性が見えない。米国なにするものぞと交渉に臨んだり、中国を刺激しまくったり、ロシアとの蜜月に水を差したり、韓国ともいがみ合った儘だ。日本丸と云う客船は、舵を持っているのだろうか?

 ≪ 焦点:中国富裕層がNY不動産市場を席巻、海外勢最大の買い手に
[ニューヨーク/シドニー 25日 ロイター] - 米ニューヨーク・マンハッタンでは、不動産の海外投資家として中国人が最大のプレーヤーに浮上。一方、これまで市場を主導してきたロシアからの投資はウクライナ危機以降、米国による対ロシア制裁などで鈍化している。 中国の富裕層は、安全な投資先や欧米諸国で子どもが教育を受けるための拠点として、ニューヨークのほかにもロンドンやシドニーなど世界の主要都市で不動産市場に資金を注ぎ込んでいる。

  ニューヨーク市の物件について、ロイターが不動産仲介大手5社に海外投資家ランキングを尋ねたところ、5社すべてが販売件数および販売価格で中国人をトップに挙げた。
米国では差別防止を目的とした公正住宅法により、住宅購入者の国籍や民族的背景に関する情報を収集した公式なデータはない。 不動産専門家によると、中国人投資家の関心は主に物件が割安かどうかという点にあるという。2007─2010年の米住宅バブル崩壊で米国内の主要都市の住宅価格は魅力的な水準に下落。価格は回復しつつあるものの、世界の他の都市と比べると依然として割安だ。

 上海や香港、シンガポールなどの物件価格が高騰し、バブルの兆候が懸念されるなか、多くの中国人 投資家はこうした市場からシフトしている。英不動産大手ナイト・フランクの「世界の高級住宅価格指数」によると、香港の高級アパートは1平方フィート当た り4100─5000ドル(約42万─52万円)。一方、マンハッタンやシドニーでは約2100─2500ドルと、その半分ほど。ロンドンも割安で、1平 方フィート当たり3300─4100ドルだ。

 不動産ブローカーらによると、多くの中国人が海外不動産に投資するのは、主要な教育機関の近くに物件を所有という目的もある。こうした物件購入者の中には、子どもがまだ歩けないほど小さいときから一流校の近くに住宅を購入する人もいるという。
上海を拠点とする雑誌「胡潤百富」によると、中国人富裕層の80%以上が、子どもを海外の学校で学ばせたいと考えている。
サザビーズ・インターナショナルの米国ブローカー、ディーン・ジョーンズ氏は「中国人は最も急速に拡大している投資家層だ。不動産の最大の需要家であり、ニューヨークはその中心的な存在だ」と語った。 また、ニューヨークの有名不動産会社コーコラン・グループのパメラ・リーブマン最高経営責任者(CEO)は、数字を見る限り、市場のどの区分においても中国人の投資がロシア人を上回っていると指摘した。

<ロシアの後退>
  マンハッタンでは、最近までロシアの実業家らが高級不動産市場を主導していた。しかし、ウクライナ情勢が悪化し、政治的なつながりを持つロシアの富裕層に対する制裁を米国が強化するといった懸念などで、ロシアからの投資は少なくなっているという。
サザビーズ・インターナショナルのブローカー、ニッキー・フィールド氏は「彼らはクリミア問題が起きて以降、いなくなってしまった」と語った。 同氏は、自身の国際事業に占める中国人の比率が2014年第1・四半期に28.5%と、前年の19%から高まったと指摘。その上で「中国人からの需要のほんの一角に触れたにすぎない」との見方を示した。

 ブローカーらによると、中国人はこれまでニューヨークの100万─500万ドルの物件を、投資目的で2、3件同時に購入することが多かった。しかし、最近ではより高級な物件に手を伸ばしている。
現在、中国人に人気の物件は、セントラルパークに近い富裕層向け超高層マンション「One57」だという。
この物件は、「建築界のノーベル賞」ともいわれるプリツカー賞をフランス人として初めて受賞した建築家クリスチャン・ド・ポルザンパル ク氏が設計。価格は3ベッドルームの部屋で1885万ドル、81階の全フロアを占める部屋は5500万ドル。建物には5つ星ホテルのアメニティーがそろっている。 ナイト・フランクのパートナー、リアム・ベイリー氏は「中国人の物件購入者は今後もさらに増え、市場での存在感はもっと増すだろう」と指摘している。

<ニューヨーク以外でも>
  ナイト・フランクが実施した販売調査によると、中国人は昨年、オーストラリアのシドニーでも高級新築住宅の購入者ランキングでトップとなった。
電話取材に応じた上海のビジネスマン、Wang Jiguang氏は、シドニーにアパート1室、メルボルンでも2軒の住宅を購入。「子どもが海外で学ぶ予定で、比較的リスクの低い海外資産を子どものために用意しているところだ」と話す。 豪外国投資審査委員会(FIRB)によると、昨年の豪不動産市場への海外投資家ランキングでは、本土の中国人がトップだった。投資額は59億ドルで、不動産市場への海外からの投資全体の11.4%を占めた。

 高級不動産に特化したシドニーの不動産会社ブラック・ダイヤモンズ・プロパティー・コンシェルジェのブローカー、モニカ・チュー氏は、この1年間で同社の事業に占める中国人の割合が80%に拡大したと指摘。同氏は「高級物件に関しては国内のマーケットはほぼ存在しない」と述べる。 ロンドンも有名大学などが数多くあり、中国人にとって魅力的な投資先だ。ナイト・フランクによると、同市場で昨年、海外購入者トップに立ったのは中国人だった。100万ポンド(約1億7000万円)を超える購入物件全体に占める割合は6%と、ロシアの5.2%を上回った。 ベイリー氏は「ロシアからの投資は成熟市場で、中国からのようには伸びていない」と説明した。  ≫(ロイター:Michelle Conlin記者 Maggie Lu Yueyang記者、翻訳:佐藤久仁子、編集:橋本俊樹)

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●安倍のヘタレぶり、中国脅威でオバマに縋る 米国、尖閣防衛の義務なし

2014年04月27日 | 日記
戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)
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●安倍のヘタレぶり、中国脅威でオバマに縋る 米国、尖閣防衛の義務なし

 売国報道に徹する日本のマスメディアは異様だ。外務省のレクチャーより一歩踏み出し、アメリカ大統領様が直々にお口になされた「日米安保に尖閣含む」で大はしゃぎ。特に嘘を報道しているわけではないが、安保5条をオバマが読み上げたからといって、日米安保の条文の適用範囲が変わるはずもない。昔から、オバマの言った通りで、何にも変わってはいない。

 日米安保において、アメリカ様は「「日本の施政権の下にある領域」と謳っているわけ。日本が実効支配出来ている領域の防衛に参加できる、と云うことであり、「実効支配がなくなれば、何もしません」と言っている。あまりにも、言い古されたくらいの話なので、書きたくもないが、新聞テレビの報じ方は、明らかにミスリードしているので、またまた執拗に書くことになる。その上、アメリカ様は「自国の憲法に従って」、つまり、議会の承認が得られれば同盟国として助ける、と云う話なので、二重の扉のある軍事同盟なのである。

 日米安保と云うもの、馬鹿馬鹿しいくらいの不平等軍事同盟なのだ。アメリカ様の両手は全くのフリーハンドなので、助けるも助けないも、俺たちの気分しだいと云う軍事同盟。結んでいること自体が不自然なのである。結局、沖縄に米海兵隊基地が必要なのは、中国の現実的脅威に対応するためと印象づけられているが、一義的にも二義的にも、尖閣は日本が守るしかないと云うことだ。ちなみに、NATOの軍事同盟では、「施政権の下にある領域」もヘッタくれもなく、侵略があれば、ただちに、他の国は共同で敵に立ち向かうとなっている。

 こんな体たらくな平和ボケな話で大はしゃぎする日本と云う国を観察している中国は、どのように思うだろう。もしかすると、改めて、日米安保における米国の責任範囲を確認し、なんだ!軍事同盟じゃないんだ。尖閣くらい取りに行っても、出てくるのは日本だけなんだ。施政権下でなくなれば、米軍はそっぽ向くということだな」。しかし、日本のメディアはオバマが直接SENKAKUに言及したと大喜び「呆れるくらい日本の安倍は俺たちの力を怖れているのか」。そんな風に解釈する可能性さえあるオバマの尖閣への言及だった。予定調和な外交手段で、中国外務省は批判するだろうが、あくまでポーズに過ぎない。どちらかと言えば、虻蜂取らずのオバマ発言だった印象が強く残る。

 このような日米安保の為に、沖縄を中心とする米軍基地周辺の人々の日常的被害だけではなく、日本国民は、どれだけの経済的被害を蒙っているのだろう。ざざっと勘定してみたが、表向き言われる「思いやり予算」が1,900億円弱。基地周辺対策費等々が3,700億円、それに米軍再編関係費が1,100億円なので、合計で6,700億円以上の経費を米軍に貢いでいる。米軍駐留経費の70%以上を日本が負担している。海外の米軍基地では、日本の負担金は突出しており、他の米同盟国26か国の負担金合計よりも多い額を日本は払わされている。これだけの金を負担させられて、挙句に「守るか守らないかは気分次第だぜ!」もう完璧なバカである。まぁ、これも共産圏が強く存在した東西冷戦構造時であるなら、多少の納得もいくが、現在の潜在的脅威は中国くらいのものである。

 この中国の潜在的脅威も、日本のマスメディアが騒ぎ立てるほどの脅威であるかどうか、充分な検証がなされているとは言い難い。中国の脅威は凄まじい、と言ってみたり、中国海軍なんて張子の虎だとか言う輩もいるわけで、軍隊としてどれだけの実力があるかも判らない。ロシアの老朽空母を買うくらいなのだから、近代化がどこまで進んでいるのか定かではない。軍事オタクではないので、深く考えるつもりはない。ただ、想像しているよりも軍事行動を実際に行った場合、破壊力が人民軍のどの程度備わっているか疑問だ。グローバル経済の恩恵を一番受けて経済成長を遂げている中国が、その枠から尖閣や与那国島、石垣島、宮古島などを取りに来ると言うのだろうか、酷く不自然な行動だ。

 中国が脅威になる一番の理由は、対中外交が行きづまっているから、そのような幻覚に捉われている可能性は強いだろう。無論、グローバル経済のお陰で、めざましい経済発展を遂げている中国が、実力以上に自信をつけ、居丈高になりつつあるのは事実だが、GDPの範疇の経済発展の話であり、21世紀模様の近代化があらゆる面でなされているわけではない。人口が13億5000万人で国土が960万平方キロなのだから、GDPが大きくなるのは当たり前で、驚くに値しない。ちなみに日本は人口が1億2700万人、国土は38万平方キロだと云うことを頭に入れて考えよう。一人当たりのGDP比でみると、中国は6,747ドル、日本は38,491ドルなのだ。つまり、中国の中身は未だスカスカで、発展途上国の実情であることも理解しておこう。

 世界の表向きで見える部分に集中的に社会資本を投じている中国だが、長期間の忍耐戦略に耐えうる体力は保持していないので、本気で軍事力を行使する可能性は酷く低い。ただし、表向きなメンツに拘る民族的傾向もあるので、戦争が出来ることを証明したい欲望は持っているだろう。故に、そのような気が起こらない外交スタンスを取るのは当然のことで、深く考える事さえ不要だ。このように中国という国を見ると、日本の外交は完全に間違っていると言って良いだろう。安倍の姿勢は、明らかに中国をライバル視している。総量で勝つか、実質で勝つか、価値観の違いだ。

 中国の潜在的脅威が顕在的脅威に変わる可能性がゼロだと言い切れる人はいない。現在の中国の大国化がグローバル経済の大波に乗れた影響下にあることから、日米韓ロ欧と敢えてことを起こす意味合いはないと断言も出来ない。今までの国家概念から考えれば、自国の安全保障の為であれば、経済的不利益を無視してでも地政学的安全を優先し、覇権に拘ることもあるだろう。しかし、最近の国家概念は、資本というグローバル企業の意向に沿うかたちで運営されつつあるので、地政学覇権優位論が、21世紀も有効かどうか疑問点も多い。既に米国は企業が国家を支配する傾向が強いが、中国の場合多くのメインプレヤーが国営なので、地政学覇権優位論は生きているかもしれない。

 いずれにせよ、我国の安倍自民党の外交姿勢を見ていると、上述のような次元の議論などなく、対中では尖閣と云う岩礁を巡っていがみ合い、韓国とは慰安婦でいがみ合い、アメリカとはTPP貿易問題で鍔迫り合いをし、参拝を避けろと言う靖国に参拝し、どや顔で大見えを切る。その安倍の金魚の糞政治家も、どさくさの勢いに乗って靖国参拝に精を出す。これでは、孤高の国を目指しているような勘違いまで起こしてしまう。無論、孤高に徹する日本は、筆者の理想とする姿だが、安倍晋三の孤高は慌てふためきながら、強い国を目指している。オバマの一言で舞い上がるような外交防衛姿勢で「孤高」はないのだが、間違いなく「孤立」には向かっている。

 TPPで米国のヤラズぼったくりにつき合う必要はないわけだが、読売などは、素晴らしき集団自衛権の確認であり、TPPも原則合意で、意義深いオバマ大統領訪日であった、と論評しているが、どちらの評価も誤謬だらけで、開いた口が塞がらない。この新聞が嘘かホントか1千万部売れているというのだから、日本と云う国の民族の質が問われるのは必定だ。このような流れが継続すると、真剣な不安として、世界における日本の「孤立」が際立ってくるかもしれない。怖ろしいことは、安倍官邸や外務省は、外交はそこそこ上手く行っている、と思い込んでいるところだ。アベノミクスは殆ど大失敗。日米安保も大失敗、対中、対韓外交も大失敗。ロシアとの蜜月もウクライナ問題で、自然消滅の危機である。どのくらいの日本人がヤバイ現実を理解しているのだろうか。1割もいないかもしれない。なにせ、読売新聞が1千万部なのだから……。

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●“強大悪漢ロシアvsか弱きNATO” ウクライナ軍とネオナチ勘定せず

2014年04月26日 | 日記

 

街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか (犀の教室)
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●“強大悪漢ロシアvsか弱きNATO” ウクライナ軍とネオナチ勘定せず

 以下の日経新聞の編集委員・高坂哲郎氏の解説記事には呆れた。言うも事欠いて「8万人vs800人」と云う強者が弱者をなぶり者にするプロパガンダ見出しを、公正公平な立場を装って解説を加えるのだから驚きだ。特に酷い嘘が書いてあるわけではないが、都合の悪い事実関係を書かないでおくことで、こんなにも「美女と野獣」のような戦力構図を日本人に印象づけるのかと思うと、やはり、このような解説記事はプロパガンダ解説としか考えられない。如何にも、圧巻な軍事力を背景にロシアがジュネーブ4者合意を無視して、ウクライナを我がものとしようとしている印象を読者に与える。

 データによれば、ウクライナ軍は陸海空で20万人を擁しているし、「右セクター」(ネオナチ)と呼ばれる1万人の勢力はウクライナ治安部隊に編入されている。現在のロシア対NATOウクライナの対峙の勢力は、「80万人vs21万+NATO軍」と表現すべきだ。シンボリックに書こうとしたのだろうが、現在展開されている軍人の数による比較は、そもそも意味をなさない。この記事では、右派セクター(ネオナチ)勢力をウクライナの正規の治安部隊に編入させたような書き方だが、20万人の正規軍隊の中に紛れ込ませることで、ジュネーブ4者合意を履行していると主張しているのかもしれない。それゆえに、正規軍であるのも関わらずウクライナ治安部隊の連中は覆面マスクとウクライナ軍の兵器を手にしている。

 この部隊の中に、米国の特殊部隊要員やCIA要員が含まれている事は、容易に想像がつく。なにせ、これら計画全体の指揮を執っているのはCIAなのは間違いない。つまり、「ロシアvs CIA(米)」と云う状況にまで進んできている。現時点で言えることは、ロシアは概ね一枚岩であるのに比べ、CIAの指揮のもとのウクライナ正規軍+治安部隊に編入されたネオナチ勢力+参戦にまだら模様のNATOと云う状況だ。現実に起きているウクライナ治安部隊と云うのは編入された右派セクターネオナチグループがウクライナの兵器を使用して東部に展開していると云うのが事実だろう。正規のNATO軍もウクライナ軍も動いていないと云う形式をとっている。

 米軍がこの紛争に直接顔を出す可能性は、ほとんどゼロに近い。現状のアメリカが、ロシアと戦火を交え、中国と横目で睨みつけておくマジックは到底できない。米国民が許さないだろう。オバマの外交防衛姿勢は「恫喝」であり、決して具体的軍事行動ではない。精々CIAに騒乱状態を作らせることに徹している。しかし、オバマの今回の戦術は、「裏で糸を引いているのは俺だ!」と明確に示している点が注目に値する。ロシアを封じ込める。ロシアの動きを抑えられれば、中国の動きも抑え込めると読んでいるのかもしれないが、露中の力は、姑息な手段を凌駕するパワーに成長する可能性もあるわけで、最後はウクライナを見捨てるのではないだろうか。

 見捨てるといっても、ウクライナにロシアの旗が立つことは阻止したいだろうから、資金を送り続けなければならなくなる。NATOのロシア包囲網も出来ず、ただお荷物のウクライナを抱えると云う最悪の図式が見えている。ウクライナがロシアでも、NATOでもない緩衝地帯国家となった時、負担が増えるのはEUであり、ロシアは今まで同様の支援で済むので、さほど以前と変わりはない。そのような経緯で、オバマ民主党が中間選挙を迎えるとなると、かなり悲惨な結果を産むかもしれない。外交だけで、国家の枠組みを変えようと云うオバマの世界戦略は、悉く混沌をもたらしてきたわけで、失敗の戦歴にウクライナの文字が加わることになるのだろう。

 ≪ 8万人vs800人 ロシアを抑止できないNATO軍 
編集委員 高坂哲郎
 ウクライナ東部地域での同国治安部隊と親ロシア派勢力の衝突が相次ぎ、ロシア軍が軍事介入する構えを強めている。ウクライナをめぐる関係国の動きを軍の動向に絞ってみてみると、米欧とウクライナ暫定政権が、兵力で圧倒的に優位なロシア軍を抑止できない構図が浮かび上がる。

■NATO軍最高司令官の分析
 「ロシア軍の集結部隊の規模は8万人」。北大西洋条約機構(NATO)制服組トップのブリードラブNATO軍最高司令官(米空軍大将)はこのほど 米議会軍事委員会メンバーらにこう説明した。ロシア軍は今春以降、ウクライナ東部国境に接する地域に兵力を集結。地上軍を主体として100カ所以上の地点 に約4万人が展開し、24日にはこれらの部隊が演習を開始した。ロシアは既に実効支配下に置いたクリミア半島に2万人前後の兵力を集めているもようで、ブリードラブ司令官の「8万人」という数字は、これらの兵力やさらに後方に待機する部隊も合算したものとみられる。
 ロシアのプーチン大統領が、親ロシア派住民の保護を名目にウクライナ東部侵攻を決意した場合、いかなる事態が起こりうるか。
  ブリードラブ司令官は最近のインタビューで、ロシア軍がウクライナ東部から黒海に面した南部にかけての地域を3~5日間で一気に制圧し、ロシア系住民が暮らすモルドバの「沿ドニエストル共和国」とロシア西部をつなぐ回廊を形成するシナリオを示した。南部では親ロシア派が16日、「オデッサ人民共和国」の樹立を一方的に宣言。ロシア軍の今後の介入の「下地」が出来上がっている。
 圧倒的な兵力を空地一体で動かして敵を打倒しようというのが近年 のロシア軍のドクトリンだ。ウクライナ東部に接する地域で待機するロシア軍には、Su25対地攻撃機36機や、電子妨害戦の機能を備えたSu34戦闘機、 Mi24など各種ヘリ、空挺(くうてい)部隊なども含まれているようだ。
 さらにロシア軍は、クリミア半島にもT72戦車30両以上、自走砲部隊、防空ミサイル・システムのS300部隊などを陸揚げした。同半島の占拠を続けるだけでなく、ここからウクライナ側に侵攻することもできそうだ。また、オデッサ一帯は上陸作戦に適した地形とされる。
 ロシア軍はウクライナの北の隣国ベラルーシにも航空機などを展開している可能性がある。ベラルーシからはウクライナの首都キエフに近い。ウクライナ側は首都防衛のため、東部に向けて兵力の大半を振り向けることはしにくい。

■NATO軍も対抗の動き
 米軍を主体とするNATO軍も対抗の動きを見せてはいる。
 まず陸では、米国防総省が22日、イタリア駐留の陸軍空挺部隊約600人を、NATO加盟国のポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアに演習名目で派遣すると発表した。
 空では、ポーランド、リトアニア、ルーマニアにF16などの戦闘機部隊や空中給油機、空中警戒管制機AWACS、要員として約200人を展開。万一、ロシア軍機がウクライナ西部やNATO域内に接近する場合には、即座に探知・警告できる態勢を組んでいる。
  海では、弾道ミサイル迎撃能力を持つミサイル駆逐艦ドナルド・クックを黒海に派遣。4月12日にはロシアの戦闘爆撃機Su24が同艦に執拗に急接近する動きを見せたが、同機が空対艦ミサイルを搭載していなかったことなどから、米側は撃墜行動をこらえ、偶発衝突の危機をなんとか回避した。
 ただ、これらは総じて小規模で「守り本位」なのが実態だ。派遣規模を明示している陸上と航空を合わせても約800人。駆逐艦の乗組員やその他後方 部隊を合わせても1000人程度とみられ、8万人規模のロシア軍にウクライナ侵攻を断念させるだけの抑止力にはまったくなっていない。
 米国防総省幹部のイアン・ブレジンスキー氏は米軍事誌の取材に対し「NATO側のいかなる動きも、ロシアのウクライナやモルドバへのさらなる攻勢を止めるには役に立たない」と認めている。

■極右勢力の動きが波乱要因
 NATO側の目下の部隊展開は、非加盟国のウクライナを防衛するというより、冷戦時代にソ連の支配下に置かれた苦い過去を持つ中・東欧のNATO加盟国を浮足立たせないようにするのが狙いのようだ。  NATOからウクライナ軍への支援は、これまで食料支援や車両など極めて限定的なものにとどまっている。兵力バランスでロシア軍に圧倒的に不利なことを自覚するウクライナ軍だけでは、ロシア軍の侵攻が起きた場合、実力で阻止するのは極めて厳しい。
  プーチン氏にとっては、現状が続いて親ロシア派住民による東部の一部地域の実効支配が広がればそれでよし、ウクライナ軍が強制排除に動いて混乱すれば軍事侵攻の口実ができる。侵攻後はウクライナ暫定政府や米欧との交渉で「ロシア軍撤収を求めるなら、ウクライナのロシア系住民の自治権を拡大せよ」などと条件闘争に持ち込めるわけだ。
 読み切れないのが、このほどウクライナの内務省軍に編入されたとされる同国極右勢力の動向だ。規模は数万人ともみられる同勢力が、親ロシア派勢力や介入してくるロシア軍との間で勝算を度外視した武力衝突に至れば、住民を巻き込む形で数十万人が犠牲になった1990 年代の旧ユーゴスラビア内戦のような凄惨な事態に陥る危険がある。 ≫(日経新聞)

街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか (犀の教室)
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●米国vsロシア開戦の可能性 ウクライナ騒乱への介在隠さぬオバマ

2014年04月25日 | 日記
ロシア新戦略――ユーラシアの大変動を読み解く
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 ●米国vsロシア開戦の可能性 ウクライナ騒乱への介在隠さぬオバマ

 ウクライナ情勢だが、ジュネーブでの4者間合意遵守は、その効果を7日間で終わらせたようだ。ウクライナ軍・治安部隊の構成員がどのようなものか別にして、アメリカやNATOが承認するウクライナ暫定政権のトゥルチノフ大統領代行(注:現在のウクライナ政府と云うものが正当性を持つかどうか甚だ疑問。暫定政権の大統領代行、代理の代理みたいな権力者が軍事力を行使する米国NATOの体質には疑義があるが)が「テロ掃討作戦」と名付けた排除攻撃を宣告したが、1回目の攻撃直前にはCIA長官。今回の攻撃にはバイデン米副大統領がキエフを訪問した直後に軍事行動が開始されている。

 これはアメリカの介在が見え見えであることを、オバマは敢えて選択していると思うべきである。3万円也の「すきやばし次郎」の寿司だとか、皇居の晩餐会、TPP妥結しなきゃ“共同声明”なんて出せないとか、そんな流暢な世界に棲んでいる男ではないようだ。アジア歴訪、リバランス外交なんて洒落た言葉を使っているが、何てことはない各国を恫喝する旅に出てきただけである。安倍には「TPP、目を瞑って妥結しろ!」。韓国訪問は義理立て訪問。マレーシア訪問は日本同様に恫喝訪問のようだ。反骨精神の根強いマレーシアの所為でTPPが頓挫しそな面もあるので、オバマが白い歯を剥くのは確実だ。フィリピンは「どうだ、米軍がいないと怖い世界が判ったか?」と云う訪問であり、一番気楽な訪問地のようだ。

 上述のように、赤裸々にウクライナ騒乱に介在しているアメリカの姿勢が、西側諸国のマスメディアが、事実関係を知らないわけがない。しかし、時系列の報道し解説するマスメディアはゼロだ。ブレナンCIA長官、バイデン副大統領が堂々とキエフ暫定政府の幹部らと会議を持ち、最終的決定をトゥルチノフ大統領代行に公表させる手段を講じているのは明確過ぎる。筆者などは、ここまで赤裸々で良いのかと思うくらいだが、悪びれる様子もないのだから、凄いことだ。アメリカ・オバマ政権は、イイことをしているのだから、堂々顔出ししようじゃないか、と云う趣だ。これで、結果が悪ければ、ウクライナ暫定政権とトゥルチノフが無能ってことで済まされるのだろうか。

 ウクライナ国民は良い面の皮だ。ヌーランドやマケインの煽りに乗り、乱暴は軍事訓練した「右派連中に任せれば良い。君らはキエフで大規模なデモをするだけで良い。幾ばくかの犠牲者は出るだろうが、それでヤヌコビッチの野郎は尻を端折って逃げ出すに違いない。そうすれば、NATOやアメリカは君たちの味方になる」てな調子の会話がなされた事だろう。しかし、NATO加盟国でウクライナのEU、NATO参加に前向きなのは、前述のとおりアメリカだけであり、ドイツもフランスもイタリアも知らんぷり状態だ。英国も他人事のような態度に終始している。アメリカに前向きに協力しているのはポーランドとトルコだけのようだ。

 プーチンが本気になる可能性はかなりある。ここで、オバマに加点することは、プーチン政権の終わりの始まりであり、座して死を待つ気はさらさらない。それがプーチンだろう。プーチンは軍事力行使の全権限を既に議会から得ており、「ゴー」の一言で、ウクライナ暫定政権・軍及びアメリカ傀儡の右派セクターは壊滅する。下手をすると、戦禍はウクライナだけにとどまると云う保証はない。ロシア軍はNATO国境すべての軍事基地に対し臨戦態勢を指示している。サンクトペテルブルクからクリミアまでだ。つまり、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国すべてのNATOとの境界線が戦禍の危機に瀕している。

 これだけの介在をもって、軍事介入と言わず、何だと言うのか。まさかこれが「普遍的価値」における外交のツールだとでも言うつもりなのだろうか。「大丈夫だ、俺たちが出るわけには行かないが、資金も暴力団も重火器も、充分に用意する。君らは、ただ戦えば良い。それが、ウクライナが西側諸国の一員になる資格取得のテストなんだ」おそらく、ロシア軍がウクライナに侵攻しても、NATOは動かないだろう。数日でウクライナはロシアに制圧される。そして、中立緩衝地帯になる事を承諾するだろう。アメリカはすたこらさっさ、ウクライナって、どこにあるの?と聞くに違いない。

≪ 強制排除、親ロ派5人死亡=ウクライナ東部で庁舎解放、衝突-プーチン大統領が警告  
 【ドネツク(ウクライナ東部)時事】ウクライナ軍・治安部隊は24日、親ロシア派が支配する東部ドネツク州北部スラビャンスクの近郊で「対テロ作戦」を 遂行し、親ロシア派武装集団の5人が死亡、軍・治安部隊の1人が負傷した。内務省が発表した。AFP通信によると、市街地には装甲車が入った。親ロシア派 が投降に応じない中、暫定政権が強制排除に着手した。
 一方、ウクライナ暫定政権のアワコフ内相は24日、親ロシア派に占拠されていた州南部マリウポリの市庁舎を治安部隊が解放したと発表した。州北部アルチョモフスクでも親ロシア派と軍が衝突した。
 ロシアのプーチン大統領は「自国民に対する極めて深刻な犯罪だ」と強く非難するとともに、暫定政権に「結果を伴う」と対抗措置を警告した。
 親ロシア派の後ろ盾となるロシアは17日のジュネーブ合意を踏まえ、ウクライナ軍・治安部隊に撤退を呼び掛けていた。暫定政権側が実力行使に出たことで、親ロシア派が態度を硬化させるのは必至とみられる。5月25日の大統領選のボイコット論も高まりそうだ。
 内務省によると、マリウポリの市庁舎に24日未明、角材を持った反ロシア派の活動家約30人が侵入し、親ロシア派に退去を要求。衝突に発展し、5人が負傷した。その後、治安部隊が出動して混乱を収拾したという。 ≫(時事通信)


 ≪ ウクライナで展開される「ショー」を操っているのは米国だ。

 ラヴロフ外相は確信をもってこう語っている。外相は、ウクライナ暫定政権がジュネーブ会合の合 意をひとつも守っておらず、バイデン米副大統領のキエフ訪問の際に、国の南部東部での対テロ作戦の再開を命じたことを指摘している。これを背景にロシア政府は、ウクライナ南部東部の住民に対し、抵抗をやめるよう呼びかける道義上の権利を感じていない。

 ウクライナに連邦制を求める抵抗運動は続けられている。南東部のドネツク市では5月25日に実施予定の大統領選挙への不参加が表明された。これにかわって5月11日までの間に反体制派らは地方の主権を問う住民投票の実施を望んでいる。こうした行動がとられたのは、現在のウクライナ暫定政権に原因がある。

 ウクライナ暫定政権のトゥルチノフ大統領代行は、ジュネーブでのロシア、米国、EU,ウクライナ代表者の会合で、紛争エスカレートを防ぐ措置に合意したにもかかわらず、武力行使再開を宣言し、南部東部での作戦に軍および装甲軍機を用いる命令を下した。スラヴャンスク市では24日、ウクライナ軍の襲撃が開始 れた。町の住民らは暴力クーデターの結果、政権の座についた政治家らを認めることを拒否した。すでに最初の犠牲者が出ていると報じられている。

 ロシアは、ウクライナ政権が一般市民に対して武器を取ることを命じたことは犯罪だと確信を示している。ラヴロフ外相は、しかもこの場合、この命令が米国代表者がキエフに滞在している中で行なわれたことを強調し、次のように述べている。
「バイデン副大統領のキエフ訪問時に対テロ作戦の再開が宣言された。キエフ政権がバイデン氏の訪問時にこれを宣言したことは特徴的だ。キエフではブレンナンCIA長官の訪問の後に作戦開始の決定がだされた。このことから、このショーを牛耳っているのが米国だということは疑いようもない。」

  これを確認しているのは、キエフが良心の呵責もなく4月17日のジュネーブ会合の合意を無視したという事実もそうだ。急進主義者らの軍備も解かれず、武装クーデターの際に強奪された建物も解放されていない。南部東部での平和的な抗議運動参加者に恩赦を施すかわりに、新政権に同意しない市民は逮捕され続けている。政治犯は未だに一人も解放されていない。

 「右派セクター」のネオナチの武装が解かれた例も一例もない。こうしたことに西側は自分に腹心へは一切のクレームを出していない。 一方でロシアはウクライナのロシア語系住民に対し、強い影響力をもっていないとして、制裁発動の脅威にさらされている。

 ラヴロフ外相は「ロシアはウクライナ南部東部で、地元の軍隊が一般市民に対し武器を取るよう命ぜられたことを考慮すると、これらの地域が一方的に何かを行なうよう、これに圧力をかける道義上の権利を有していない」と語っている。 しかも、南部東部への軍の配置換えの理由について、キエフ側がロシアからの防衛の必要性を挙げた事実はまったく受け入れ不可能だ。

  ラヴロフ外相は、ロシア軍は自国のテリトリーにたっており、なんらかの国際的な義務で禁止されたことは何も行なっていないとして、次のように語っている。
「ロシア軍はロシア領内にとどまっている。2011年の信頼・安全保障の強化策についてのウィーン文書およびオープンスカイ協定に即し、軍の検査実施についての要求は満たされている。検査官は軍事演習に参加している軍の駐屯地を訪問しており、航空機も演習の実施テリトリー上空を飛行している。米国、ウクライナ、ヨーロッパの検査官のうち、ロシアが危険な軍事活動を行なっているかのような事実を指摘した人は1人もいなかった。」

  ところがウクライナとそれを支援する西側のスポンサーらは状況を加熱させることを望んでいる。23日、ポーランドには軍事演習参加のため、米軍のパラ シュート部隊が現地入りした。150人の米軍人、地元のシロビキのほかにポーランド軍指導部はウクライナ語を操る若手ボランティア170人を動員した。今週末にはさらに450人の米国軍人がリトアニア、ラトビア、エストニアに入り、同じく合同軍事演習を行なう。さらに、米国政権は、ロシアにサインを送る目的で、わざとこれを隠そうとしていない。ロシアは状況を注視し、国際法に完全にのっとって行動する権利を手元に残すと警告を発している。 ≫(ロシアの声:原文は露語)

変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書)
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●米国のダブルスタンダードが目立った日米首脳会談 制度疲労の証明

2014年04月24日 | 日記
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
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●米国のダブルスタンダードが目立った日米首脳会談 制度疲労の証明

 物々しく始まった日米首脳会談だが、目新しい成果はなかった。当初から判っていたことだが、東証株価も「なんら新味ナシ」と云うことで、140円ほど下げて終わったようだが、特に会談が株価に影響を及ぼさなかったと言えるだろう。仮に、安倍が話す相手が、プーチンや習近平だったら、ハプニング的情報や決定が耳に飛び込んで来たりして、投資家にも刺激的だろうが、米国情報なんてものは、日がな一日バックグラウンドのように流されている日本では、刺激剤になるようなことはないと云うことだろう。

 オバマは、「アメリカは今もこれからも太平洋国家です。アメリカの安全保障と繁栄はこの地域と離すことはできません。このアジア太平洋地域において、日米同盟は礎になっています。日本がさらに多くの世界の平和に貢献してもらうことをアメリカは歓迎しております。この沖縄を含めて米軍を強化し、地元への負担を軽減し、日米はともに、この地域の紛争に対処していきます。海洋紛争は平和的に対話を続けて対処していきたいと思います。そして基本的な原則、航行の自由、国際法の遵守を求めていきます。我々は日米安全保障に対してコミットメントしていきます。この日本の施政下にある領土、尖閣諸島も含めて日米安全保障条約の第5条の適用対象となります」と発言した。

 オバマが初めて「尖閣」を口にした、と日本のマスメディアは喧伝しているようだが、既にホワイトハウスの住民らが度々口にしていることで、特にオバマが口にしたから、これで安心だと云う話じゃないだろう。クダラン目玉な話題だ。武力衝突が起きた際は米軍が防衛義務を負うことを明言した。初めてオバマが発言したことが嬉しいなんて、何なのだろう?赤ちゃんが、初めて「ママ」と発したようなはしゃぎ様である。オバマは中国への配慮も忘れず「領有権の決定的な立場は示さない」と言い、日中の領土問題には踏み込まない米政府の姿勢も同時に表している。

 ここが実はアメリカ合衆国を中心とする民主主義国家の怪しさなのだ。所謂「ダブルスタンダード」である。この「ダブルスタンダード」概念を包含する西側諸国のデモクラシーが世界各地で紛争を巻き起こし、彼方此方に火種を巻き散らかしていると云うのが現実だろう。つまり、「ダブルスタンダード」な選択を駆使していかないと、国益と外交が両立しないのが20世紀であり、21世紀にも同じ悩みが残されている、と観察すべきだ。このような「ダブルスタンダード」を抱えたものに「普遍性」を認めるセンスは笑止だ。どの面をどのように見ると「普遍的価値観」なんて言葉が飛び出すのか、理解に苦しむ。

 この「ダブルスタンダード」は、アメリカの仕組みのあらゆる面に見られる。ホワイトハウスの「普遍的価値観」と米国議会の「普遍的価値観」が異なるなんてのが良い例だが、民主主義で覇権を握り続ける事は、こういうジレンマの対応で四苦八苦すると云うことだ。現状では、中国が尖閣奪還作戦を展開した場合、このような事態への対応の為に存在するとしている沖縄基地のレゾンデートルを証明するためには、米軍が直ちに自衛隊の軍事に参加する必要がある。防衛省は“中国軍の尖閣上陸には十分対応可能”と言っているので、即刻の参戦を望まないだろうが、政府は慌てて米国政府に参戦を求めるだろう。しかし、日米安保5条の適用には、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処し行動となっているので、米議会の承認が必要になる。

 米国議会が参戦を認めるかどうかは、確率は五分五分だろう。つまり、オバマの尖閣発言の真実は50%の意味しか持たないと云うことだ。まさに「ダブルスタンダード」の象徴である。そういう意味では、ファーストトラック権限のない、ホワイトハウスには、TPPに関しても、フロマン代表と甘利の間で、不平等協定が纏まったからと云って、その協定が批准されるかどうかも五分五分なのである。ウクライナ問題の火付け役は誰なのかの議論にしても、アメリカの「ダブルスタンダード」な姿が現れている。米国内におけるオバマの政策も「ダブルスタンダード」な政策が目立ち、貧乏人の味方風な政策があると同時に、ウォール街支配マネーに寄り添う政策も実行されている。

 なぜ、こんな風な恥さらしな政治を行わないと、米国の「普遍的価値観」が維持できないのかが、実は21世紀最大の国際的課題なのだろう。自然成長と云うものが、本来の偽らざる成長であり、それ以外の成長には異質なバネを利かせないと成長力を失う現実に、我々はそろそろ気づくべきなのだ。ハロッド(オックスフォード大学)経済理論・自然成長率の理論が有名だが、これは生産年齢人口と経済成長の連関を表す経済理論だが、まさに本来の経済学における成長の概念を的確に表す。アメリカの経済学者の理論など、ハロッドの重厚な成長論に比べれば、屁のような技術論に過ぎず、ハウツーものと言っても過言ではない。日本では、このハロッド論に基づく考え方をしているのは、藻谷浩介くらいのものである。

 この基礎的経済成長論を無視した経済政策は、最終的に副作用を産みだすだけで、国家経済に恩恵を与えることはないだろう。貧乏人と金持ちがシーソーゲームをしている手助けをするような政策しか打てなくなっている西側諸国の経済事情は既成の概念で生き延びることは可能でも、目先の経済統計が改善するだけで、疾患の本質的治癒に役立つことはない。結局、経済だけの問題ではなく、あらゆるシステムが構造的疲労に陥っていることは確実で、これをガラガラポンしない限り、21世紀は一層暗いものになるだろう。その意味で、筆者は中国の習近平やロシアのプーチンに注目しているわけだが、民主主義、資本主義の制度疲労を破壊する必要悪と見做しているのだ。


 ≪ TPP、首脳会談後も閣僚協議 日米、共同文書詰め
 安倍晋三首相とオバマ米大統領は24日、東京・元赤坂の迎賓館で会談した。安倍首相は会談後の共同記者会見で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について、この日も大筋合意を目指して担当閣僚間の協議を続けることで一致したことを表明した。その上で、共同文書を発表することも確認した。オバマ氏は、尖閣諸島について日米安全保障条約が適用され、米国に防衛義務があるとの考えを明言した。
 安倍首相は会見で、TPPについて「アジア太平洋地域に大きな経済圏を作ることは日本にもアメリカにも、他のアジアの国々にも大きな利益になる。いまや日本は米国とともにTPP交渉を大きくリードしている」と指摘した。そのうえで、両首脳が交渉責任者の甘利明TPP相とフロマン米通商代表部(USTR)代表に「残された作業を決着させ、TPP交渉全体を早期に妥結させる」と指示したことを明らかにした。
 一方、オバマ氏は、日本側と自動車や農業分野について交渉をしたことを明らかにしたうえで「米国のメーカーと農家は、日本を含む市場へのアクセス が必要だ。日本にはTPPで主要な役割を果たすチャンスがある。大胆な措置をとって包括的な合意に達することができると信じている」と語った。オバマ氏は日本の「農産品、自動車の市場開放度が制限されており、解決されなければならない」と語った。
 TPPをめぐっては、日本が関税を守りたいとしている農産品5項目のうち、コメ、麦、砂糖の3項目については、関税を維持する方向が固まった。一方、牛・豚肉については、米国側が牛肉関税の原則撤廃を求めたのに対し、日本側は豪州との経済連携協定(EPA)で大筋合意した20%前後にとどめたいと要求。豚肉についても、安い豚肉ほど高い関税がかかる「差額関税制度」の存廃をめぐり主張が対立し、乳製品も調整が難航していた。
 一方、中国が領有権を主張する尖閣諸島についてオバマ氏は、「日本の施政権下にある領土、尖閣諸島も含めて(米国の日本防衛義務を定めた)日米安保条約第5条の適用対象になる」と語った。米大統領が尖閣諸島の防衛義務に言及したのは初めて。会談後に発表する共同文書でもこうした内容を盛り込む見通しだ。ただオバマ氏は、尖閣諸島の領有権については「決定的な立場は示さない」と語った。
 安倍首相は中国について、「法の支配に基づきアジアを発展させ、中国を関与させるため連携することで合意した。力による現状変更の動きに対しては明確に反対していくことで一致した」と述べ、日米で緊密に連携していくことを表明した。
 また安倍首相は集団的自衛権について、「オバマ大統領から日本が集団的自衛権行使の検討を行っていることについて、歓迎し、支持するとの立場が示された」と述べた。  北朝鮮問題では、両首脳は日米韓の連携が重要であると確認。拉致問題の解決に向けても日米が協力していくことで一致した。
 会談に先立ちオバマ氏は、皇居での歓迎行事に出席し、天皇、皇后両陛下との会見にも臨んだ。午後からは日本科学未来館(東京都江東区、毛利衛館長)を見学するほか、明治神宮(渋谷区)を訪問する。 ≫(朝日新聞デジタル)

ハロッドの思想と動態経済学
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●“もの言えば 首筋寒し 安倍内閣” アメリカが官邸にダメ出しか?

2014年04月23日 | 日記
本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか (NHK出版新書 399)
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●“もの言えば 首筋寒し 安倍内閣” アメリカが官邸にダメ出しか?

 笑い転げるような「閣議・閣議懇議事録」。このような議事録自体が作文であるとして、なぜ?こんな恥さらしのような霞が関文学で満たされるのか。脳味噌が相当異常を来しているとしか思えない。かの産経新聞でさえ、情報公開もいいが、あまりの体たらくを晒すのはいかがなものかと訝る始末である。読売が「もんじゅ、核燃サイクルいき詰まり」風な記事を書いたり、TPPの豚肉関税一ケタ台かなんて記事を書いたりして「甘利会見出禁」になったりと、奇妙な雰囲気になっている。おそらく、天の声が降りてきたのだろうと推測する。「安倍晋三では、様々な面で欧米諸国にとって不都合が多すぎる。これで、北方領土問題の進展でも起きたら一大事だ。夏までに、何とかしろ!石破茂」と云う“つぶやきご託宣”が発せられたようだ。

≪ アドリブなし? 形骸化くっきり
 安倍晋三首相が「歴史的な一歩を刻むことになった」と誇らしげにアピールした閣議の議事録公開だが、ふたを開けてみれば各閣僚の発言は事前に政府内で調整した文章を読み上げたような形式的な中身に終始した。しかも出席した19人のうち過半数の10人は一言も発言しておらず、以前から指摘されていた 「閣議の形骸化」が逆に浮き彫りになる形となった。
 「ただ今から、閣議を開催いたします」
 進行役を務める菅義偉(すが・よしひで)官房長官の一言で幕を開けた1日の定例閣議。この日の議論の目玉は「防衛装備移転三原則」の閣議決定だった。
  しかし、議事録をみると、菅氏の指名を受けた小野寺五典(いつのり)防衛相らが「わが国を守り抜くための必要な諸施策を、より一層積極的に推進していく所存だ」などと政府の公式見解を述べただけ。事前に用意された文言をそのまま読んでいるとしか思えない硬い表現が並んだ。
 この日の閣議では 同日からの消費税率引き上げも話題になったが、増税後の影響や対策について麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相、新藤義孝総務相、田村憲久厚生労働相が紋切り型の発言を繰り返して終わった。閣議後、自由に意見交換する場とされる閣僚懇談会でも、新藤、麻生両氏がそれぞれ省の取り組みを紹介しただけだった。
 議事録を読んだ政府関係者は、「閣議後の記者会見で閣僚が説明している内容と変わらない」とした上で、「役所から渡されたペーパーを読み上げる閣僚がほとんどということだ」と打ち明ける。
 週2回行われる定例閣議の開催時間はおおむね10~15分。その後の公務日程が続くため、議論のための時間が十分に確保できない事情もある。
 また、国の安全を脅かす恐れがある議事録は、情報公開法に定めた「不開示事由」に該当するため非公開にできる。さらに公開される議事録は事前に発言者の了承を得る必要もあるため、1日の議事録についても実は公開していない閣僚間の会話がある可能性がある。
 稲田朋美行政改革担当相は閣僚出席の全ての会議の議事録作成を義務付けるよう、公文書管理法のガイドラインを改定する意向も示した。
  閣僚を構成員とする政府の会議は現在172あるが、今後は発言者名と発言内容の明記を義務付けるものの、全ての発言を記載するのか、要旨にとどめるのかは 各省が判断する方向で調整している。議事録公開の適否も各省が判断する方向のため、外交・安全保障の基本方針を協議する国家安全保障会議(NSC)の議事録などは非公開となる可能性が大きい。
 議事録公開は民主党や公明党などの要請もあり、政治の透明性を確保するため実現したものだが、紙の読み上げのような議事録公開が続けば、逆に政治への不信を招くことになりかねない。 ≫(産経新聞:石鍋圭)

 昨日の「世捨て人コラム」を書きたい気分になってきたのは、この辺が奇妙な風向きとして感じられた所為かもしれない。昨日22日にアメリカの属国管理人の一人、アーミテージ元国務副長官が石破と会談を持ったらしい。安倍政権の集団的自衛権の行使容認に関するアドバイスと云う触れ込みだが、アーミテージは「安倍政権を長く続かせるためには、経済を最優先でやらなければならない」「安全保障政策は丁寧に議論を進めるべきだ」と語ったようである。つまり、安倍晋三は、アメリカ様の意向に沿わない動きが多すぎる。今さら、中国と敵対するとか、慰安婦はいなかったとか、バカバカしい話に現を抜かされるのは、非常に迷惑。アベノミクス実現に精を出せ、と言われたも同然のようだ。

 どのようなかたちで、安倍政権崩壊のきっかけが生まれるのか定かではないが、ほぼ死期を知らせる風が吹き出したのは間違いない。アメリカ様が言い出した、経済政策の最優先、という言葉の言外には、TPPにおける諸条件をアメリカ様の言う通りに飲めと言われたわけ。また、現状の経済成長戦略では、何一つ好くならないし、逆に悪化の一途を辿る。正直、経済優先と言っても、本気でやらなくていい。今まで通り、勇ましい掛け声は出しても良いが、何もするな。“角を試して牛殺す”羽目になる。出来たら、何とかスキャンダルを捏造し、東京地検特捜部案件の噂でも流したらいいだろう。こんな具合に、ことが進んでいる気がする。

 安倍政権がくたばるのは、悪いことではないが、このような流れは、一層わが国の自主独立が遠のくことを意味している。その点では、「国家主義ごっこ」に興じている安倍政権に頑張ってもらい、外交安保から日本経済に至るまで、グチャグチャになった方が質は良い。“ひっちゃかめっちゃか”な中で、プーチン大統領と北方領土問題に何らかの進展を見出す方が、日本の将来の為じゃないのかと思う部分もある。米国一国主義は世界の不幸である。自民党政権はハプニングでもない限り、あと2年近くは続くのだから、ネオコン隷米主義者石破茂が首相になるより安倍の方がまだしもかもしれない。

 まさか筆者が安倍晋三にエールを送るコラムを書くとは、夢々思わなかったが、日米の風向きが急転直下変わってきたようだ。今頃になって、小沢一郎の方がアメリカ様にとって好都合な政治家だったのかも?と後悔しているかもしれない。小沢・亀井ラインを復活させられないのか?本気で考えているような気さえする。しかし、現実には無理が多すぎる。あれだけ人格を破壊してしまった政治家を復活させるのは、アメリカ様でも至難の業だ。愚民が承諾しないだろう(笑)。内閣総理大臣になる寸前の小沢一郎を国策捜査で貶めるシナリオを作った、自民党幹部、及び法務官僚、最高検察庁の愚か者の顔がみたい。財務大臣で一人の顔は度々見るがね。

 そして、国策捜査の最終決断を下した当時のオバマ政権、ヒラリー国務長官、キャンベル国務次官補、韓国外務省は最悪の判断をして、日本国の国益ばかりではなく、アメリカ様の国益にまで損害を与えた。権謀術策と云うものには、因果応報がつきものということだ。だいたいが、日本の政治に口を出すのも構わないが、「国家アノミー状態」の韓国と語り合うなど、米国も焼きが回ったインテリジェンスしか残っていない感じになる。あの客船事故の顛末を眺めていると韓国と云う国の「集団アノミー」だけが見えてくるわけではない。国家も国民も、実は異常に情緒不安定であり、北朝鮮以上に難しい人々の感じさえ抱かせる。不幸な出来ごとなのはたしかだが、物事への対応が、解せない。感情の発露が向かう表現方法も、方向性も、中国やロシア、イスラム諸国とより異質だ。感情的な嫌韓ではなく、韓国と云う国の資質を考える必要もありそうだ。これで日米韓軍事協力ってもの、驚くほどリスキーな話である。

仏教、本当の教え - インド、中国、日本の理解と誤解 (中公新書)
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●世捨て人になりたいような政治の状況 カオスの世界は現実離脱に繋がる

2014年04月22日 | 日記
世界の運命 - 激動の現代を読む (中公新書 2114)
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●世捨て人になりたいような政治の状況 カオスの世界は現実離脱に繋がる

 今日は筆者の独白なので、読まなくても構わない、と事前に申し上げておく。さて、今の世界を眺める場合、どの国、どの地域の情報をキャッチアップしておいた方が良いか考えておこうと思う。無論、筆者の個人的考えなので、嫌中、嫌韓に血道を上げている人々に向かって語る気はない。あまり昔に遡って、歴史的にどうこうと語るつもりもない。今の状況とこれからだけを中心に考えてみる。歴史は繰り返すと云う言葉があるが、一部当たっているだろうが、生活者にとって、それは歴史と云うよりも、やはり、新たな世界が始まった、と受けとめる方が判りやすい。

 世界の多くの論者の話を聞いたり、書物を読むにしても、欧州、米国、ロシア、日本の四つの国の知識人の考えが、好むと好まざるにかかわらず、我々の耳に入ってくる。人によっては、日本だけの情報の中でグルグル回っている場合もある。ロシアの情報も排除している場合も多いだろう。中国の情報も、精々NHKが流す中華人民共和国外交部報道官の高飛車で歯切れのいい中国語を聞かされる程度である。中国人による、現代中国の分析も、言論の自由の制限や言葉の壁によって、得られる情報は非常に少ない。日本で売られている嫌中、嫌韓類の書物は、感情の劣化層に必ず売れる本と云うマーケティングで売られている本であり、漫画原作の映画と同様だ。精々『おどろきの中国』(講談社現代新書)くらいのものだが、これも現在の中国を確実に指摘しているとは言い難い。

 中国や韓国の経済を扱っている書物は多いが、経済だけで、その国の実態をすべて把握しようと云うのも乱暴すぎる。我々の耳に入りやすい情報は、欧州、米国、日本である。時々、中露韓の情報も入るが、なんらかの事象、現象にスポットを当てたものが多いので、その一部を見ているに過ぎない。結局、よほど興味を持ち探さない限り、欧州各国、ロシア、中国、韓国など、かなりの関係がありそうな地域の情報すら僅かであり。また偏った情報に満たされている。比較的、関係がありそうな地域でさえ、このような状態なのだから、アフリカ大陸、南米大陸、中東地域の話になると、戦争と飢餓と災害の場合を除き、情報は皆無と言っていいだろう。

 つまり、我々日本人の多くは、日米の関係だけを考え、歓んだり腹立ったりしているだけで、事足りる時代を過ごしてきたと云うことだ。そして、これからも、それが一番楽に違いない、と思っている傾向が強いのだろう。半ちょろけな情報や言説に惑わされ、コウモリのような醜態に比べれば、親米主義を貫く方が楽であり、これからの50年くらいはセーフな考え、という理屈はかなり妥当だ。この50年が、100年に延長されたり、30年に短縮されることもあるだろうが、50代以上の日本人にとって、切実な問題ではないと云うのが正直な気持ちに違いない。

 国内の景気が好いか悪いか、雇用状況はどうか、年金は幾らもらえるか、病気になった時は大丈夫か、持ち株は上がっているか、税金は今後も上がるのだろうか、今日の案件はまとまるだろうか、35歳の息子はちゃんと生きていけるだろうか、30歳の娘は嫁に行けるだろうか、今夜のおかずは何にしよう、今夜のおかずはなんだろう等々を考えるだけで、日がな一日は暮れてゆく。上述のような生活が続くのが、一般的生活者の日常だ。特別悪者でもなく、普通に生きているだけで、他人様からとやかく言われる筋合いではない。政治家だって、役人だって、裁判官だって、仕事のかたちが違うことで、生活のリズムや形態は違うが、似たようなもので、自分が生きていくであろう将来分しか、真剣に考えることはない。それが人間だと言ってしまえば、それまでのことだ。

 “自分が生きていくであろう将来分しか、真剣に考えることはない”と云うのは、9割以上の人間に当てはまることで、死んでからの、自分への評価、国の行く末や、祖先の行く末に思い至る人はごく僅かだろう。それらの人々も、今の自分の考えを正当化するために、将来や未来を心配そうに語るのであり、そのリアリティは甚だ怪しい。こんな風に、世の中や人間を考えてしまうと、すべての思考や行い自体が馬鹿馬鹿しいものに思えてくる。日々、たいして読まれもしないコラムを書くことに意味がないことも判ってしまう。自己満足で書いているつもりだが、その勝手な自己満足さえ怪しく思えてくるから不思議だ(笑)。

 こういうことを考えたり思ったりしていると、俗世に別れを告げたい気分にもなる。勿論、意味なく命を重んじる筆者の場合、命を自ら断つ意志はさらさらないので、生活者としての意識のみを捨てる欲望のようなものに捉われる。多分、こういう気分になった時、流行作家であれば、歴史小説や宗教関連の世界に嵌りこんでいくのだろう。そんな気分で、今の日本の状況を考える時、日本人ではない立場が大切になってきているように思えてならない。なにやら禅問答を独りでぶつぶつ語っているようなコラムになったが、今後も、このような心境が激変することはないだろう。故に、今後のコラムでは、日本の政治の枠組みを離れたテーマが増えることになりそうだ。どこまでも、勝手気ままに書いていくことにしよう。本日は独白ばかりで申し訳ない。

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)
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●空疎なタカ派政策で平和ブランドを捨てる愚 世界は笑って許すのか?

2014年04月21日 | 日記
イギリス 繁栄のあとさき (講談社学術文庫)
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●空疎なタカ派政策で平和ブランドを捨てる愚 世界は笑って許すのか?

 日本外務省の、思いっきり我田引水「ASEAN対日世論調査」が今月18日にHPに公開された。こんなにASEANが日本を評価しているのだろうか?と眉に唾をするわけだが、取敢えず、こういう調査結果が出た事実を認識しておこう。現実に、ASEAN諸国がこのように思っていても不思議ではない事情を考える方が建設的かもしれない。日本政府の首相や大臣らがASEAN諸国を訪問するたびに、億単位の土産を持って行くのだから、日本を褒めておいて損はないと云う自明性が彼らの潜在的意識に植えつけられている可能性もある。彼らの国益になる以上、豚が木に登ったからケシカランと波風立てる必要もないと考えている。そう思う方が自然だ。

 しかし、今後のASEAN諸国が日本を見つめる目は、徐々に変わるかもしれない。ひとつは中国の抬頭が、何時、どのレベルまで、アメリカに追いつくのかと云う視点である。もう一つが、安倍政権の継続により、平和憲法の日本と云うイメージが覆される時である。「平和国家日本」のブランドは、中韓両国の対日姿勢とは裏腹に、東南アジアや中東、アフリカ、南米には浸透している。彼らにとって、「平和国家日本」は他国を侵略せずに経済繁栄を遂げた国と云うブランドを抱いている。無論、その「平和国家日本」が「足長おじさん」であることも同時に理解している。

 この日本と云う「平和国家で経済繁栄する日本」のブランドイメージを、敢えて覆そうとするのが安倍晋三である。筆者の知る限り、本当に戦争が可能な国になろうしていると云うよりは、それらしい雰囲気を醸し出すために、タカ派ぶっているだけの認識がある。ここが異常なくらい問題だ。彼のタカ派発言や、国会論議を経ず閣議決定でことを運ぶ政権運営などは、国会の愚弄であるとともに、集団的自衛権解釈、教科書問題、武器輸出三原則、特定秘密保護法、日本版NSC開設等々と勇ましく並ぶので、リベラルは、その憤懣のやり場に困っている状態だ。

 しかし、一つ一つを精査していると、意外に中身がスカスカなのは明白だ。子供の頃に戦争ごっこと非常に似た部分があり、日ごろから屁をする子供をガス兵器として前線に出したり、ロケット花火をミサイルだと大声で叫び、打ち上げているような部分が非常に多い。つまり、安倍晋三の脳味噌は「ごっこ」を「本気」と思い込んでいるのか、「ごっこ」と認識しているのか、ここの区別がつきにくいのが、ひとつの難点。仏作って魂入れずなのだから、真剣に日本をウォッチしている米中露には、正直バレバレだろう。しかし、東南アジアや中東、アフリカ、南米などが持つ、「平和国家で経済繁栄する日本」のブランドイメージには傷がつくのも確実なのは困りものだ。

 イラク、サマーワに派遣された自衛隊の活動は、「給水」「医療支援」「学校・道路の補修」の人道復興支援活動であった。この活動の内容が信用され、サマーワのイスラム教シーア派の宗教指導者が「サマーワ市民にとって自衛隊を防衛することはイスラムの宗教的義務である。自衛隊は、すべてのイラク人とイスラム教徒の要求であるイラクの再建と復興のために来ている」と述べたような出来事が起きたのも「平和国家で経済繁栄する日本」と云うブランドが貢献していることを肝に銘じておこう。ある意味、日本人にとってはマヤカシ気味の平和国家ではあるが、実はかなりのブランド力なのである。

 この幾分怪しげなブランド力だが、日本の企業が世界中で金稼ぎ出来ている事実や国連平和維持のような参加において、群を抜いた信用力があるのも、このブランドの霊験あらたかさなのである。内容もスカスカな「戦争の出来る国ごっこ」を世界に表明することで、日本は平和国家を捨てたのですか?と質問される方が、余程国益を損している。男は黙って黙々とが、世界戦略上有利なのは当然で、欧米ロのように、殴っていても「暴力はやめよう」と賢人ぶって語るのが国際政治である。こうなった以上、日本国憲法9条を守り抜いている、我れら日本愚民にノーベル平和賞が授与されることは、大いに世界の希望となるだろう。オバマだって平和賞を授与されたのだから、可能性はあるだろう(笑)。

 最後になったが、日本外務省のASEAN諸国に愛される日本の世論調査を貼りつけておく。安倍の積極平和外交が、言葉通りに解釈されている分には、国内問題で済まされるのだが、一歩踏み間違えた場合は、アメリカの追随アー「2ちゃんネラー」の気分を高揚させようとする気配りが、命とりと云うリスクも包含しているだろう。やる気もないのに、やるやると他国を挑発し、相手が本気になったら、どうするつもりなのだろう?中身はスカスカなんだけどね?


≪ ASEAN7ヵ国における対日世論調査(結果概要)
平成26年4月18日
 外務省は,IPSOS香港社に委託して,本年3月に,ASEAN7ヵ国(インドネシア,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナム, ミャンマー)において対日世論調査(各国において18歳以上の識字層約300名を対象にオンライン方式で実施)を行ったところ,結果概要は以下のとおりで す。

1 日本との関係については,9割以上が「友好関係にある」又は「どちらかというと友好関係にある」と回答し, また,同じく9割以上が日本を友邦として「信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」と回答しており,日本との関係に関し肯定的なイメージが広範に 定着していることが示されました。さらに,米国,中国等11ヵ国の中で「最も信頼できる国」として日本を選択した割合は33%であり,11ヵ国の中でトッ プでした。

2 ASEAN諸国にとって現在重要なパートナーはどの国かとの質問(複数回答方式)については,アジアや欧米 の主要11ヵ国の中で日本(65%),中国(48%),米国(47%)の順で評価されました。また,将来重要なパートナーはどの国かとの質問については, 日本(60%),中国(43%),米国(40%)の順で評価されました。

3 「積極的平和主義」について,ASEANを含むアジア地域の平和構築に役立つと回答した者が9割を占めました。

4 日本に関するイメージについては,7ヵ国全体で,回答の多い順に「科学技術が発達した国」(81%),「経 済力の高い国」(62%)であり,最先端の科学技術立国,豊かな先進国といったイメージが強いことが示されました。また,同じく2位「自然の美しい国」 (62%),3位「豊かな文化を有する国」(59%),4位「アニメ,ファッション,料理等新しい文化を発信する国」(44%)との回答に見られるとお り,美しい国土や日本文化(伝統及び現代文化)に対する高い関心も示されました。日本についてもっと知りたい分野としては,「科学・技術」(58%)の 他,「日本人の生活・ものの考え方」(56%),「食文化」(53%)が上位を占めました。

5 アジアの発展に対する日本の積極的役割に対する肯定的な回答は全体で92%を占め,政府の経済・技術協力が 役立っているとの肯定的な回答が89%,日本企業の進出に対する好意的な回答は95%でした。また,ASEAN地域で日本に最も貢献してほしい領域は「経 済・技術協力」「貿易・民間投資の振興」が上位を占め,日本の国際貢献の特に経済的な側面に関し高い評価と期待が示されました。

6 なお,ASEAN地域においては,外務省の委託により対日世論調査を過去7回(1978年,83年,87年,92年,97年,2002年,2008年)実施しています。 ≫(外務省公式HPより)
注:詳細結果データPDF
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000036036.PDF


神と仏 (講談社現代新書 (698))
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●年金をいい加減に計算してみた 夫婦で月額22万也、乗り切れるか?

2014年04月19日 | 日記
だから日本はズレている (新潮新書 566)
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●年金をいい加減に計算してみた 夫婦で月額22万也、乗り切れるか?

 老後の生活費の命綱となる年金が、何歳の時から、どの位入ってくるかは、人それぞれ軽重はあるだろうが、心配事のひとつだ。あまり、深く考えることがない日常だったが、以下の川口マーン恵美氏のコラムを読んでいて、幾分気になったのでアバウトに計算してみた。筆者の場合満65歳になった暁には夫婦で、月割りすると最低でも22万円はあるに違いないことがわかった。今現在の生活基盤に住み続ける前提で、家計が成り立つかどうか、軽く考えた。

 個人主義の筆者はまず、自分の小遣い部分を先に考慮した。ガソリン代が月3万円、タバコ代が1万5千円。携帯・スマホ代が1万5千円、遊興書籍代が5万円。あれれ、個人部分だけで出費合計は11万円になってしまう。自宅はマンションでローンは完済しているので家賃はゼロだ。ただ、駐車場込の共益費と云う出費が約5万円ある。つまり、220,000-110,000-50,000=60,000円也となる。問題は6万円で、他の支出を賄えるのか、食品、光熱費、医療費、衣服費。明らかに無理なようだ。これは大病を患わない前提だから、病気入院などが臨時出費したらアウトである。

 倹約は可能かといえば、十分可能だ。まず、自動車を売ればいい。駐車場の25,000円が消える。ガソリン代の15,000が消える。無論、臨時出費の保険料や車検費用も消える。つまり、40年以上継続した車生活を捨てれば、最低でも月4万円浮く。女房に渡す生活費が、6万から10万に化ける。10万円なら、切り切り生きてけるのだろう。なんだか、まじめに考えると、何とも味気なく生かさせて貰っているだけの老後と云う感じがしないでもない。仮に、サラリーマンだけの生活習慣で生きていたら、こんな調子の家計簿になるのだろう。無論、滅多ことでは介護を受けることも出来ないし、入院などもってのほかである。

孫に小遣いなど一切渡せない。不祝儀の多くも見て見ぬふりしたくなるだろう(笑)。衣服の類いは、今までの服で我慢するか、ユニクロ三昧になる。筆者の場合、厚生年金への加入者であり、フリーの職業による収入があるので、実態はももう少し厳しくないよだが、我が上の兄弟約二名の生活を見る限り、概ね、そのような生活のサイクルに入っているようだ。今後。国家財政の喫緊度では、65歳の支給年齢が引き上げられる可能性はある。70歳だ、75歳、80歳だと云う声も耳にする。

 健康保険の窓口負担も増えることはあっても減ることはない。介護保険は受ける前にも払い、受給資格年齢に達してからも払う。少子高齢化現象は最近気づいた話ではなく、40年以上前から把握できた生産人口の不足なのだ。日本の年金制度が、積立型じゃなく、相互扶助型とでも云うのか、現役世代が高齢世代の年金をケアする仕組みになっている。当然、現役世代が減り、高齢世代が増えれば、現役世代一人当たりの保険料負担は増加する。これを増加させないためには、増税を行い、社会保障の穴埋めに使おうと云う理屈が生まれ、いま、消費増税が8%になったわけだ。

 こうやって、ぼんやりこの世のことを考えていくと、経済成長で財政を健全化するなどと云う戯言が真っ赤な嘘だと判っているから、消費増税に血眼になるのだろう。アベノミクスが上手くいくのであれば、増税を柱に、解決の道を探る必要はない。いずれにせよ、老後、国の社会制度で生きていくのは、死なないが愉しみのない余生が残されると政府からお墨付きを与えられているのが事実だろう。つまり、少しでも、老後をエンジョイしたいと思う人、自分の生活の質を落としたくない人は、自助しか道はない。稼げる間に預金を増やし、出来ることなら親の遺産を手にして、宙ぶらりんな資金、1、2億円程度貯めるしかなさそうだ。こんなことを考えていたら、EUの優等生ドイツでは、いま、奇妙な動きが出ているそうだ。以下のコラムを読んでいただこう。

 ≪ 昔を振り返らなければ大丈夫? 少子高齢化の波に逆行するドイツの由々しき年金制度改革 
 老人がどんどん増えていく

  特別養護老人ホーム(以下特養)の入所待機者が52万人もいるというニュースにはビックリした。都道府県によっては、複数ヵ所のホームに申し込んで いる人を延べで計算しているので、数字が吊り上ってしまったという事情もあるそうだが、仮に52万の半分だったとしても膨大な人数だ。
 ただ、ビックリした一方、当然かなと思う気持ちもある。平均寿命が伸び、老人がどんどん増えていくのは、統計に教えてもらわなくても、実感としてわかる。 老人が増えて、子供が生まれない。これが、現代の先進国が抱えている共通の問題だ。本当なら、すべてを、この人口比に合うように根本から変えていか なければいけないのに、改革は遅々として進まない。皆が目の前の利益に気を取られ、深く考えることを止め、すべての負担を将来の働き手に押し付けている。
  可哀そうな将来の働き手が年を取ったころには、膨大な数の老人ホームがあっても、そこに入るお金がなく、たとえ入っても、介護をしてくれる人がいな くなっているに違いない。彼らの祖父母や親は、まあまあの年金とまあまあの福祉を享受し、それでも文句を言いつつ余生を全うして、「後はよろしく」とすで にお墓の中だ。
 残されたのは、大量の国の借金と老人ホームの遺跡? それを見越しているのか、今の若い人たちは、年金も後期高齢者医療も、たいして当てにしていないという。しっかりした人ほど、早くから自助の対策を練っている。

ドイツ経済発展の足を引っ張る重大問題
 ドイツと日本は両国とも、現在、出生率がほぼ1.4。平均寿命は日本の方が少し長いが、これも似たようなものだ。つまり、どちらもまさに同じ"少子 高齢化"問題を抱えているわけだが、現在ドイツでは、こともあろうにそれを無視して、国を滅ぼすような改革が行われようとしている。年金支給開始年齢を 63歳に引き下げるのだ。
  ドイツでは昨年12月より、中道保守のCDU+CSU(キリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟)と、中道左派のSPD(社民党)が大連立を組んで いる。CDUとSPDといえば、昔なら、水と油のように相容れることのなかった党だが、今は時代が変わり、事情も違ってきた。資本家対労働者の色分けは雲 散霧消、保守も革新も、皆、じりじりと中心に寄って、主張も政策もあまり変わらなくなってしまった。
 それでも、ドイツSPDの中には、まだかなりの左翼がいるようだ。新しい労働大臣アンドレア・ナーレス女史がその一人で、搾取されている労働者を救 うという信念のためか、年金支給開始年齢の引き下げという亡国の政策を、力強く推し進めようとしている。そして、大連立であるがために、ナーレス氏に引き ずられるように、ドイツ政府はその決定に向かっているのだから、由々しき事態である。
 そもそもドイツでは、長い論争の後、年金支給開始年齢を引き上げることが、2007年にようやく決まったばかりだった。今まで65歳であった支給開 始を段階的に遅らせ、最終的に2029年に67歳にするというもので、興味深いのは、この年金改革に一番貢献したのが、労働者の党SPDであったというこ とだ。
  1998年、SPDのシュレーダー氏が、CDUのコール氏から首相の座を引き継いだとき、ドイツ経済は最悪の状況だった。統一の経済的打撃から全く 立ち直っていなかっただけでなく、長年にわたる福祉の垂れ流しの悪影響もピークに達し、失業率は高く、不況から脱出する見込みさえ立っていなかった。
  そこでSPDは、1998~2005年のシュレーダー政権時代、経済の立て直しを図るため、労働者の党とは思えないほどの福祉の切り捨て、企業の擁 護を断行したのである。"アジェンダ2010"と言われる改革だ。年金支給開始年齢の引き上げも、この一環で進められた政策であった。
  改革はそれなりに功を奏し、その後、政権を引き継いだCDUのメルケル首相の下、経済は徐々に立ち直り、以後のドイツは安定した成長の道を進んでいくのだが、現在、二つの大きな懸案があると私は見ている。
 一つは急ぎ過ぎた脱原発のための莫大な出費で、もう一つが、これから決められようとしている年金63歳による莫大な出費だ。どちらも致命的とは言わないまでも、これからのドイツ経済発展の足を引っ張る重大問題だ。

 現実に逆行するドイツの年金改革
 大連立政権が、いかなる理由で、将来の人口動向に逆らって、年金支給開始年齢をわざわざ下げるような愚策に出るのかが、良くわからない。先進国はお しなべて、支給開始年齢を引き上げている。というか、冷静に考えれば、引き上げざるを得ない。そんなことは、中学生でもわかる道理だ。
 他の国の年金支給開始年齢はというと、スペインは27年までに67歳にするつもりだし、デンマークやオランダやアイルランドは、現在は65歳だが、 すでに先のことを考えている。イギリスは男性も女性も、2020年までに66歳、26年から2年かけて67歳まで引き上げ、さらに70歳まで引き上げるた めの案が練られている。
 チェコでは、1977年以降に生まれた人の年金支給開始年齢は、一律に定めず、スライド方式を取っていく予定。スカンジナビア諸国では、支給開始年 齢を、平均寿命の延びに比例してスライドさせることが検討されている。しつこいようだが、これらはすべて、現実に即すために"やむを得ず"行われている改 革である。
 ところがドイツでは、まったく現実に逆行することが進んでいるばかりか、1990年までに子供を産んだ女性の年金も増額される。その上、ナーレス大 臣は、年金に新たなボーナスまでつけようとしている。どんなボーナスかというと、今までは年金支給年齢よりも早くに仕事を辞めた場合は、満額を貰えなかっ たのだが、現在の改定案では、45年間働いた実績があれば、早く辞めた場合でも、63歳から満額が貰えるようになるという。
 もちろん感情的には、45年も働いた人たちには、お金の苦労などさせず、労ってあげるのが人間らしい考え方であるという理屈はよくわかる。誰だって そうしたいのは山々だ。しかし、そんなことを言っていては、そうでなくても何も貰えなくなるかもしれない若い世代の人たちに、もっと負担をかけてしまうこ とになる。各国が年金を出し渋るのは、決して老人を粗末にしているわけではない。
 年金制度を初めて実施したのは鉄血宰相ビスマルクで、それは福祉の先駆けとして画期的なアイデアであった。しかし、当時の年金支給開始年齢は70歳 だった。そして、男性の平均寿命は50歳にも満たなかったのだ。そのあと、第二次世界大戦から立ち直った新生ドイツで、アデナウアー首相は未来の福祉国家 の建設を目指し、年金制度の基礎を固めたが、当時でさえも、人間がこれほど長生きするようになり、しかも、これほど子供を産まなくなるなどとは、誰も想像 していなかった。
 戦後の日本では、戦前の「産めよ増やせよ」の反動もあり、子供を減らすことが先進的な文化であると考えられた一時期があった。先日、今年90歳にな る父と人口問題について話をしていたら、突然、「子供が多すぎるの?」と訊かれて呆気にとられたが、父の頭の中には、大昔のシーンが迷い込んでしまったに 違いない。当時は、「貧乏人の子だくさん」という言葉もあった。

昔を振り返らなければ大丈夫?
  ドイツで、前述の年金改革が国会を通れば、年に100億ユーロの追加出費が必要となるという。しかも、将来的にその額は確実に増えていく。今でさ え、そんなお金がどこにあるのか謎だというのに、将来、働く人の数が減れば、勤労者の負担はさらに増え、何のために働いているのかわからないことになる。
  今の老人は、まだ安泰だ。特にドイツでは、老人ホームに入りたくなければ、安い外国人を雇って、24時間世話をしてもらえばいいと思っている金持ち も多い。事実、ドイツには、ルーマニアやブルガリア、クロアチアなど東欧の人たちが、病院や老人ホームの介護士として大量に入ってきている。これらの国々 の人たちはまだ貧しくて、しかし、すでにEU市民として自由にドイツに入ってこられるため、ドイツ人の嫌がる重労働を引き受けてくれているのだ。
  実際問題として、ドイツの老人ホームや医療機関は、彼女たちなしではたちどころに業務が麻痺するほど、その労働力に依存している。60年代の経済成 長期に、嫌な仕事を低賃金で外国人に押し付けたことが、今、いろいろな問題となって噴出しているのに、これからまた、医療機関や福祉部門で同じことが繰り 返されるかもしれない。
 その上、私が心配なのは、いつまで彼女たちがそれを引き受けてくれるかということだ。どの国も発展していく。私がドイツに来た30年前には、看護婦 には韓国人がとても多かった。しかし、その後、韓国が経済的に発展すると、韓国人看護婦たちはあっという間に消えた。今いる東欧の看護士たちも、20年後 にはいなくなる可能性が高い。そうしたら、今度はアフリカ人がやって来るのだろうか? 
 そんなことを考えているうちに、だんだん憂鬱になってきて、娘に「あなたたちは可哀そうよ。年金もないし、温暖化でハンブルクだって熱風が吹くか水没するかのどちらかよ」と言うと、意外な返事が返ってきた。 「そうね。でも、昔を振り返らなければ大丈夫。それが当たり前だと思うから」 なるほど。この世の中を生き延びていくには、これぐらいの楽観主義が必要なのかもしれない。若いというのは良いことだ。 ≫(現代ビジネス:ニッポンと世界・川口マーン恵美)

社会保障亡国論 (講談社現代新書)
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●小泉・細川脱原発連合からオリーブの木へ 日本を変える価値観の創造

2014年04月18日 | 日記
合理的な神秘主義?生きるための思想史 (叢書 魂の脱植民地化 3)
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●小泉・細川脱原発連合からオリーブの木へ 日本を変える価値観の創造

 東京新聞の“小泉・細川共闘 風より「草の根」大切に”と云う社説を読んでいて、多少の違和感を憶えた。ケチをつける気はないが、切り口が脱原発に特化しすぎる部分が気にかかる。脱原発も、安倍政権の原発再稼働、輸出路線や核燃サイクルや高速増殖炉もんじゅの継続も、たしかに直近の政治的マターである。しかし、脱原発の切り口だけで、国の方向性を変えることは出来ないだろう。脱原発は、日本を独立させるための過程における、ひとつのシンボルと位置づけるべきなのではないかと考える。

 ≪ 小泉・細川共闘 風より「草の根」大切に
 小泉純一郎、細川護熙両元首相にとっては雪辱戦なのだろう。脱原発を目指す組織を立ち上げるという。安倍内閣が原発回帰を強める中、脱原発への道のりは険しいが、あきらめてはいけない。
 二月の東京都知事選で脱原発を訴えて立候補した細川氏と、全面支援した小泉氏。両元首相の再始動は、各種世論調査で原発再稼働反対が半数を超すにもかかわらず、安倍内閣が原発推進路線をひた走ることに対する強い危機感の表れでもある。
 この組織は五月設立の「自然エネルギー推進会議」。再生可能エネルギーを普及させ、脱原発に向けた国民運動を起こすことが目的だという。すでに著名な文化人や学者に発起人や賛同人になるよう依頼し、哲学者の梅原猛氏、作家の瀬戸内寂聴氏らが加わる。
 東京電力福島第一原発事故は依然収束していない。原発再稼働にいかに厳しい審査を加えたとしても、いったん事故が起きれば、人々から平穏な生活や住み慣れた土地を奪う。安全性や持続性を考えれば、原子力に頼らないことこそ私たちの進むべき道である。
 両元首相の行動に著名人らが呼応し、脱原発を求める動きが燎原(りょうげん)の火のごとく広がって、文字通りの国民運動になってほしい。
 その道のりは険しいことを覚悟しなければならない。
 先の東京都知事選で、細川氏は三位に敗れた。脱原発票がほかの候補と二分したという事情はあろうが、「風」を期待する選挙戦術の限界ではなかったか。
 今秋の福島県知事選では、自民党が擁立する候補に対抗して、独自候補を立てるか、脱原発候補を支援するという。来春の統一地方選でも、脱原発を目指す首長や議員候補の支援を視野に入れる。
 脱原発への道を確かなものにするには選挙で勝たねばならない。民意が選挙結果に結び付くのは、知名度や風に頼らない地道な「草の根」運動があってこそだ。
 脱原発勢力が分裂していては力を十分、発揮できまい。組織の利害を超えた勢力結集や、脱原発の一点で共闘する大胆な選挙戦略も視野に入れてはどうか。
 すぐに成果が出なくても、あきらめてはいけない。ドイツでは一九七〇年代の反原発運動から脱原発に転換するまで約四十年を要した。長い道のりではあったが、人類が歩むべき道だ。
 息の長い、地に足のついた運動を続ける忍耐力があるかどうか。脱原発実現のカギである。
 ≫(東京新聞:社説)

 「原子力ムラ」と云うものが、我国の垂直統治な中央集権弊害のシンボルであることは事実だが、進むべき包括的価値も示して行かないと、根深いうねりにはなりにくい。どうしても、100年後、200年後の国のかたちを示すロードマップが必要である。何が、今の日本人に欠けているのか、その欠けたピースは、どのようにして生み出し、パズルに埋め込むのか、提示してやる必要がある。このロードマップに欠かせないのが、狭義の政治哲学であり、広義では普遍的価値観のリストラクチャリングである。そのサンプルとも謂うべき哲学を、細川護煕は東京都知事選に立候補表明の会見で語っている。

 14年1月23日付拙コラム“細川の高度な歴史観が理解されるか? 彼の脱原発はシンボル、根っこは世界観”の中で、以下のように引用している。このコラムの見出しの通り、歴史観や価値観を語る包括的レベルの政治や哲学に、ほとんど興味を示さないのが、現在の日本人である。大雑把な括りに語弊はあるが、50歳以上には、“歴史観や価値観を語る包括的レベルの政治や哲学”の議論に参加してもらう必要はないかもしれない。必要なの世代は、現時点で、10歳から45歳くらいの人々である。なぜなら、彼ら世代は腹七分目の世界を体現している人々であり、その現実が、実は日本人が選択できる腹七分目の世界だからである。

≪ ……… なぜ決意をしたかということですが、今の国の目指している方向、進め方に何かと危ういものを感じているからです。憲法でも安全保障でも、あるいは近隣諸国との関係でも、懸念していることがいくつかあります。デフレ脱却について、安倍さんはがんばっておられますが、現在の1億3千万人の人口が50年後には 9千万人、100年後には江戸時代に近い3分の1の4千万人くらいにまで減ると予測される、これからの時代に、今までのような大量生産、大量消費の、経済成長至上主義ではやっていけないのではないか。
 腹いっぱいではなく、腹七分目の豊かさでよしとする抑制的なアプローチ、心豊かな幸せを 感じ取れる、そういう社会を目指して、成熟社会へのパラダイム転換を図っていくことが求められているのだと思います。これは世界でもおそらく初めての歴史的実験になるかも知れませんが、世界が生き延びていくためには豊かな国がその生活のスタイルを多消費型から共存型へと変えていくしかありません。成長がすべてを解決するという傲慢な資本主義から幸せは生まれないということを我々はもっと謙虚に学ぶべきだと思います。
………
 ちょうど20年前、私は 総理就任後最初の所信表明演説で、質の高い実のある国家、質実国家をめざすということを政権の旗印として掲げました。大量生産、大量消費、大量廃棄の経済や生活を転換する必要を痛感していたからです。大震災、原発事故を経てこのような方向は今こそ決定的になったと感じています。オリンピック、パラリンピッ ク開催を大きな目標に日本の経済や生活を変えていく。首都である東京はその先頭を走ってそのお手本になりたいと思います。 ……≫(細川決意表明の一部抜粋)

 細川の考えと小泉の考えが、あらゆる点で一致しているかどうか明確ではない。贅沢三昧を経験し、解脱しても良いような年齢になってから、坊主のような奇麗ごとを言われても迷惑だと考える人々もいるだろう。エンターテイメント系の作家が、老境に達して、歴史物や宗教的な作品を書きだすのと同じだろう、という皮肉な疑問を投げかける面もある。しかし、主張していることが根本的に時代の行き先を暗示し、日本独自の普遍的価値を創造していこうと云う主張には、かなりの理がある。いまや、20世紀の清算が出来ずに、うだうだと延命策や弥縫策に興じている世界の既得権益勢力の足掻きを眺めれば、自ずと、20世紀的パラダイムが、実は死んでいる現実に気づくだろう。

 20世紀後半に、曲がりなりにも20世紀のルールに基づいて、現状のポジションを得ている人々が、容易に安住の地を離れ、未知の腹七分目の世界を目指そうなどと考えるわけもない。彼らは、未だに貪欲なのである。筆者は、その生き方を否定はしない。マックス・ウェーバが官僚の性癖を披露したように、それは慣れ親しんだ習性であり、今さら変えろと叫んでも、その効果は知れたものであり、反発の方が多くなるだろう。イメージの次元だが、70代以上の日本人と45歳以下の日本人のコラボが成り立てば、20世紀の成長を旨とする価値観は変わり得るような気がする。世代で、人間を分類するのは乱暴な話だが、体現者と解脱者の結合から、なにかが見えてくる期待もある。

 ここまで書いてみて、高齢世代の部分は、70歳ではなく、80歳かな?と迷ってきた(笑)。最近の70代は日常的稼ぎがなくなっても、消費欲は旺盛なのだから、解脱世代には当てはまらない。80代世代と45歳以下の日本人が価値観を変えられる世代と言い直しておくことにする。なぜ、このような具体的事例を出して、考えを進めなければならないところに、21世紀の日本のあり方が如何に混沌の中にあるかが窺える。無論、念のために言っておくが、以上の無理矢理の世代分別は事例であり、腹七分目の体現者か解脱者であれば、世代を問うものではない(笑)。

 人間であれば、減退や衰退よりも成長を好むのは当然である。キリスト教の教えにも、成長を妨げるものは「悪」であり、成長を援けるものが「善」と云う、短絡的座標軸がある。このような考えを、この世のすべてに当て嵌めるのであれば、解脱や腹七分目な生き方は、少なくとも「善」ではない。しかし、日本における仏教の教えでは、欲望を制御する人の営みを評価している。成長と云うものは、当然、その原動力に欲望が含まれているのだから、仏教的考えからすると、人である以上、一定の抑制が働くべきと云うことになる。ときに、その抑制が「善」であったり、価値観に変わり得ることが重要だ。

 先進諸国では、飽食を抑える為に、不要な産業までが育ち、マッチポンプのような営みが行われる。貧困国家では、幾粒かの豆と真水を口にするためにのみに、知恵を駆使しようとしている。そういう状況であっても、先進諸国は、冷蔵庫からはみ出す食物を得たがり、貧困国家では、ないものをほじくり出して食い尽くすので、食物を産むべき産業さえ生まれない。先進諸国では、幾分食い扶持を減らす行為よりも、害毒になるほど食べた後で、下剤や胃の薬やダイエットに努める。天上で、これを見つめている神や仏が存在するとすると、人類に天誅が下っても、文句は言えないだろう。

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●悪手、株式相場に口先介入の横行 日本経済撃墜間近のシグナルか?

2014年04月17日 | 日記
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●悪手、株式相場に口先介入の横行 日本経済撃墜間近のシグナルか? 

 日本経済の先行きの暗さは、多少知恵のある人間であれば、朝鮮半島動乱で軍需景気でも起きないか限り、経済浮揚に向けて打てる手は殆どない。生産人口が目に見えて減少する国家の経済が成長サイクルに入れるわけはない。このことを一番知っているのは、財務省の連中だ。何としても、増税路線から逆方向に舵を切らせることは、あってはならないと決意している。これが、昨日16日の麻生財務相がの衆院財務金融委員会で「GPIF(130兆の年金積立運用機関)の動きがはっきりしてくると、外国人投資家が動く可能性が高くなる」発言したことをきっかけに、日経平均は420円高に跳ね上がった。

 多くは、個人投資家の麻生発言への反応による上げであったが、シラケムードの兜町を賑わす効果はあっただろう。しかし、本質的に日本経済のファンダメンタルが変わるわけではないので、今までのように外人投機家らが大挙押し寄せてくる、と期待するのは早計だろう。為替が多少円安に振れたことも好感しているだろうが、円安傾向が、日本経済全体で見た場合、みすみす国富を失うものである点も自明だ。経済政策の手詰まり感を、要人の口先介入で乗り切ろうと云う考え出した時点から、その手詰まりが証明される皮肉まで考えられる。

 海外投機家は明日から買いに出るか、売り浴びせにかかるか、綱渡りである。筆者は勿論売りポジションのキープである。年初からの売りで稼いだ分があるので、当分、自分の信念を貫くことにしよう。口先が勝つか、ファンダメンタルが勝つか、海外投機家の動きひとつである。ソロスさんよ、ドバっと売り浴びせて欲しいものだ(笑)。5月の連休以降にひと山あると云うのが兜町の雀の噂だ。

 ≪ 株価、要人発言に揺れる 財務相ら市場を意識  日経平均420円高
 政府・日銀の要人が株価を意識した発言を繰り返している。16日は麻生太郎財務相が約130兆円の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は「6月以降に動きがでる」と発言。日経平均株価の終値は前日比420円87銭(3.01%)上昇した。15日も黒田東彦日銀総裁が追加緩和の姿勢をちらつかせ、外国人投資家など市場参加者も発言に敏感に反応している。
 麻生財務相は午前の衆院財務金融委員会で「(GPIFの)動きがはっきりしてくると、外国人投資家が(日本株買いに)動く可能性が高くなる」と述べた。中国の経済指標が市場予想を上回ったことや米国株の上昇で投資家心理が改善したところに、麻生発言が弾みをつけた。日経平均株価の終値は1万4417円68銭。上げ幅は今年2番目の大きさだった。
 日経平均は昨年末に1万6291円まで上昇したが、直近は1万4千円前後に低迷している。特に8日の日銀金融政策決定会合後に黒田総裁が「追加的な緩和は現時点では考えていない」と述べたことで、市場の追加緩和への期待がしぼんだ。
  15日に黒田総裁が安倍晋三首相と会談後、「ちゅうちょなく政策調整を行う」と積極的な姿勢を示した。だが「逆に追加緩和がないと受け止められ、期待感が やや遠のいた」(BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンの王子田賢史日本株式運用部長)など効果は不発だった。
 約6割を国内債券で運用するGPIFの日本株の買い増しは外国人投資家にとって日銀の追加緩和とならび、“日本買い”の最大の注目材料の1つ。仮に資産の1%を日本株に 振り向けただけでも、1兆円超の買いになる。GPIFは早ければ年内にも資産構成割合を見直す方針だが、麻生財務相の発言は早期に実現する可能性を示した形だ。今回の発言は市場に効果を与えたようだ。
 要人の発言が相次ぐ背景には株価低迷への政府の焦りがある。安倍晋三首相は株価の動向を気にかける。アベノミクスの実績を内外にアピールする格好の指標だからだ。第1次安倍政権時に、株価下落と軌を一にして支持率が低迷した経験も、株価重視にさせている。
 第2次安倍政権が発足後、株価は安定して上昇してきたが、ここにきて市場にアピールする材料が不足しつつある。ウクライナ情勢の世界経済への影響や米景気の先行きなど外部環境が見通しづらい。
  GPIFを巡っては年金のリスク投資に慎重だった財務省も株買いを後押ししている。7月以降の株価を落ち込ませたくないという思惑があるためだ。安倍首相は消費税率10%への引き上げを7~9月の景気状況を見て年末に判断する。7~9月にどこまで景気が回復、株価が安定するかが10%引き上げのカギになる。
 官邸は6月にまとめる成長戦略に、法人税実効税率の引き下げなど、外国人投資家が注目する内容を盛り込みたい考えだ。株価が安定して上昇するには実行力のある政策の実行が不可欠だ。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が「日本には労働市場改革の工程表が必要だ」と述べるなど、世界各国から構造改革を求める声は日増しに強まっている。 ≫(日経新聞電子版)

 ガラリと話は変わるが、西側メディアのロシア窮地報道が後を絶たないが、どもロシアの報道の方が、正確な面が見えてきている。筆者も多少不安を感じつつも、アメリカ、NATOの出まかせを批判してきたが、嘘も千回言いつづければ真実になるみたいな気分にもなっていた(笑)。ところが、ウクライナ暫定政権大統領代行やNATO事務総長が、如何にもウクライナ軍の優勢のような発言を繰り返していたが、どうもウクライナ正規軍の動きは芳しくないようだ。ロイターによると、ウクライナ正規軍兵士が親露派に寝返るケースが増えていると云うことだ。アメリカやNATOが姑息で汚い手を使う以上、プーチンも権謀術策を実行しているのだろう。

 NATOに参加している東欧諸国もプーチンの幻影にビビり出し、国境警備にもっと軍隊を!と叫び出したようだ。実際は、増強しようにも在庫が残っていないので、口先増強でしかないのは、プーチンは当然知っている。だいたいが、NATOの集団的自衛権なんてものは、烏合の軍事同盟である可能性も高いので、実際にロシアとの戦争において、どの程度機能するか、神のみぞ知ると云うのが事実だろう。それに引き換え、ロシア軍は一国だけの軍隊、指揮命令系統は整っている。まして、ウクライナ問題では、ナショナリズムが吹き上がっており、プーチンに全権が与えられているので、ただゴーサインが出た段階で、三日で戦闘は終わるだろう、NATO参加の各国軍が寝返るのである(笑)。

 いや違う、アメリカが来る、と反論する人々もいるだろうが、オバマに軍隊を動かすだけの能力は残されていない。のこのこ参戦して、米兵5人死亡だけで、大統領辞任にまで直結するほど、オバマ政権は脆弱だ。そのオバマに、“ねぇ、二日は泊まっていってよ。サービスするからさ”何というはしたなさだ。まるで淫売婦の科白ではないのか。自国の軍隊を動かすことも出来ない大統領ににじり寄る。どうなっているのか、我国の外交は?こういう時こそ、石原や田母神は叫ばなければならない。アメリカに物言う時だろうが、根性なしめ!

 ウクライナ東部や南部は、プーチンにしてみれば、モラトリアムにしておくだけで十分に効果があるわけで、交渉条件は断然有利だ。その上、戦況は圧倒的にロシア側有利な情勢、17日に行われるであろう4者協議の交渉は、ロシアにイニシアチブを握られている。もしかすると、協議の延長をオバマは命じるかもしれない。こんなことが続くようだと、懸案のアジア訪問もキャンセルになる。リビア、シリアで恥をかき、ウクライナでも恥をかく。こんなにレームダックしたアメリカホワイトハウスをみたことはない。これも、アメリカ覇権の凋落のシグナルなのだろう。

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●消費者物価指数だけ絶好調のアベノミクス すべてが逆回転しはじめた!

2014年04月16日 | 日記
藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた
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●消費者物価指数だけ絶好調のアベノミクス すべてが逆回転しはじめた!

 今日は話題が盛りだくさんだ。一つ一つ長々解説コラムも可能だが、ググるような按配で進めていく。まず一番目はウクライナ情勢だ。ウクライナ暫定政権大統領代行のトゥルチノフはCIA長官のアドバイス通りことを進めているのかどうか定かではないが、CIA長官と会談することで、思いを定め、東部の親露派掃討作戦に出た。ロシアのラブロフ外相は北京で習近平主席らと会談を持ち、17日の4者協議がキーポイントになる、と語っていたが、4者協議が始まることを嫌うアメリカ勢力が動いた可能性が高い。当然、4者協議は、平和裏にことが収まる為のものだが、今までの画策が水の泡になる事を嫌ったと考えられる。

 ウクライナ暫定政権側は、“やった、やった”の戦争勝利宣言に躍起となり、ロシアは“やられた、やられた”で状況の不利を追認している。犠牲者の数も、圧倒的に親露派に集中している。プーチンにしていれば、戦車、ヘリコプターを動員した本格ウクライナ軍隊と市民派の戦いの構図を大きく見せようとしている感が窺える。かくたる情報は乏しいが、記憶を頼る限り、スラビャンスク周辺は親露派の手薄な都市であり、双方の傷が浅く済む地域かもしれない。トゥルチノフ大統領代行も、本格的な掃討作戦は、ロシアに内戦介入の口実を与えるし、キエフで展開されるEU支持右派の大きなデモ隊の要求にも応じざるを得ない、ギリギリの選択であったかもしれない。

 いずれにせよ、17日の4者会談が開かれるのかどうか、戦況がのっぴきならない方向に向かうのか、ウクライナ情勢は、ひとつの山を迎えたようである。ロシア通信は親ロ派側の情報として、クラマトルスクの軍用飛行場での強制排除で親ロ派の4人が死亡、2人が負傷したと伝え、飛行場もウクライナ軍に奪還されたと言っているので、何処でプーチンがゴーサインを出すかが、注目される。メドベージェフ首相は、ウクライナ軍が強制排除を始め「ウクライナは内戦の危機にある」と弱者な態度を示しているが、これが演技であることは確実だ(笑)。次には「ロシア人の死者も」と云う一言が、プーチンのゴーサインに繋がるような気がする。

 次の話題は、細川・小泉連合が、脱原発運動を推進するため一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を5月に設立すると云う報道だ。筆者は、「脱成長」と「腹七分目な生きかた」、「日本独自の価値観の創設」の3本柱に共鳴しているので、21世紀日本進路のマイルストーンになって欲しい、と心から応援している。愛国主義にも色々あって、その質はピンキリである。中道や左派には共通のニオイと云うものがあるが、保守右派勢力の愛国主義の色合いは、“ド阿呆”“詐欺師”から“賢者”までと、ひどく玉石混淆なのである。

 この似て非なる愛国主義を色分けする作業に成功すれば、多くの日本人が納得できる社会構築の夢の絵図が描けるだろう。しかし、この種の人間の峻別を一歩間違えると、トンデモナイ人間達をも抱え込み、細川政権時代のように武村正義のような詐欺師のような男を咥え込むリスクも残される。まぁ石原・田母神や百田・長谷川など、見るからにヤバ!と云う人物は排除できても、聖人君主ぶった怪しい奴らが紛れ込む危険はある。細川の殿様資質が仇となるのだが、ネオリベの弊害も経験した小泉が、冥途の土産に、彼独特の博徒臭覚を生かしてくれれば、リスクは若干弱まるだろう。

 「自然エネルギー推進会議」は脱原発を標榜する社団だが、近い将来「政党」になる可能性も秘めている。その為には、自民党が崩壊することが必要なのだが、現状では、「ありえへん!」と一笑にふされるような想定だ。しかし、現在の自民党が盤石と云う思考は間違いだ。最高裁の判断ひとつで、自民党王国は一瞬で消えてしまう。最高裁の判断は別にしても、アベノミクスひとつが、トリクルダウンなど絵に描いた餅と国民が理解した時は、同じように崩壊する。その時、求心力を持つ政党は、現野党には見当たらない。維新もみんなも結いもダメ。民主も共産もダメ。

 小沢一郎が提唱する「オリーブの木」は細川・小泉・小沢と云う図式で成立する可能性はある。そこに鳩山が加われば、非常に面白い組み合わせだ。若い世代がいないとお嘆きのアナタ、河野太郎、小泉進次郎、山本太郎がいるではありませんか!(笑)。21世紀に入って、先進諸国の経済成長は、完全に天井が見えており、異なる「普遍的価値」の模索的な足掻きが、実は現在のアメリカの姿、そのものなのである。海外の多くの識者は、既にそれを知っている。ただ、どの国にも、無知蒙昧であったり、感情の劣化した人々や、変わることを怖れる人々はいるものだ。

 民主主義の偉大なる欠陥は、このような人々を騙し騙しにおいてのみ、改革を進められないところにある。故に、中国の政治体制や、ロシアの政治体制の方が、時代の要請に応じやすい特長を持っている。日本の政治シーンで中国やロシアのような軽業は出来ないのだが、自民党を崩壊させることで、中央集権の崩壊にまで至れる可能性は残される。単に自民党が下野すると云う意味ではなく、崩壊させなければ駄目なのだ。小泉が言い放った「自民党をぶっ壊す」を本心で叫ぶことである。意外に、官僚機構もグタグタになる事もあり得る。その時、司法分野の最高裁との手打ちが最も重要になるだろう。

  細川(殿様)、小泉(任侠)、小沢(党人政治家)らは、本来、国粋主義的資質を有する政治家だ。この社団の発起人に梅原猛や瀬戸内寂聴、市川猿之助、赤川次郎らが参加、賛同者には吉永小百合も名を連ねている。この人々を眺めてみると、日本の歴史を抱えた上で、未来を見定めようと云う意図を感じる。今秋の福島県知事選や来春の統一地方選などでの脱原発候補の支援も視野に入れる、と言っているので、彼ら自身の中から、何人かは実際に立候補する可能性すらある。問題は自民党の崩壊なんてあるのか?と云う疑念だ。それには、ある程度答えておく必要があるだろう。まずは、以下のロイター配信記事を読んでいただこう。

 ≪ しぼむ日本株売買、海外勢後退し国内勢にシラケムードも
日本株の売買規模が減少中だ。日銀の追加緩和期待を材料にした海外短期筋の売買が後退する一方、国内勢も一段と様子見姿勢を強めている。社会保障や成長戦略など構造問題への取り組みの遅さに、国内勢にはシラケムードも漂う。 長期投資家の「不在」がボラティリティを高め、機関投資家などの手をさらに引かせる悪循環に陥ったと言える。

<海外短期筋が様子見に>
今週に入り、日本株の売買量低下がさらに目立ってきた。今年の東証1部売買代金のワースト3はいずれも4月に入ってからだが、15日は 1兆5682億円と今年2番目の薄商い。前日14日は1兆6099億円と今年3番目の少なさだ。今年最低を記録した4日の1兆5663億円よりもわずかに多いだけであり、市場エネルギーが急激に縮小していることを示している。
売買量の減少にともない、日本株もリバウンド力が弱くなっている。15日の日経平均.N225は反発したが、終値は前日比86円高止まり。前週、約1100円下落した後にしては、ショートカバーや下値拾いの買いが少ない。「米株が反発したので買い戻しが入っているが、相場切り返しの動意は乏しく市場全体はスカスカ」(国内証券)という。
売買ボリューム減少の短期的要因は、海外短期筋が様子見に転じたことだ。日銀追 加緩和期待を材料に、一部のヘッジファンドが先物などを買っていたとみられているが、黒田東彦日銀総裁が8日の決定会合後の会見でデフレ脱却に強気な姿勢 をみせたと受け止められ、早期の追加緩和期待が後退。前週の日本株売りにつながったが、その売りも一巡したことで、市場の売買量が減っている。
日経平均も1万4000円付近で落ち着きを見せ始めているが、初めてライブ中継された黒田総裁の会見は、海外勢にも印象深かったという。安倍晋三首相と黒田日銀総裁が15日に昼食会談したが、市場では「弱い経済データが出るまでは黒田総裁の強気を変えることはできないだろう」(外銀)と声が多く、これまでのような「日銀トレード」は盛り上がらなかった。

<財政問題に強い警戒>
海外短期筋が手を引いてしまうと、商いがほとんどなくなってしまうのが、今の日本株市場だ。年金など海外の長期投資家は、今年も引き続き日本株を買い続けるとみられているが、ウクライナ情勢など海外要因が落ち着くまでは、動きにくい。 株価水準が年初来安値水準まで低下したことで、保有株に評価損が出た個人投資家は買いに動きにくくなっているほか、「機関投資家は相変わらずリスクウエートを気にして日本株投資に動こうとしない」(国内投信)という。
昨年中に約15兆円の日本株を買い越した外国人投資家に対し、日本の個人投資家は約9兆円、生損保は約1兆円、信託銀行は約4兆円を売り越した。年金の売買を経由している信託銀行の売りは少なくなっているが、日本株に消極的という国内勢の傾向は今年に入ってもほとんど変わらない。国内投資家の日本株離れはボリューム低下の長期的な要因だ。
日経平均の予想株価収益率(PER)は13倍台と歴史的にみて割安感もある。だが、構造改革のための政策が期待ほど進まないことで、国内投資家には「金融緩和と財政出動の後、何も変わらず、借金だけが残ったという、これまでと同じ道をたどるのかというシラケムードが漂っている」(大手証 券トレーダー)という。
「懸念されているのは今回の消費増税だけではない。年金制度など社会保障改革は一向に進まず、消費者は将来の負担を警戒している。このままでは10%で消費増税は終わりとは思えないからだ」と岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏は指摘する。日本の財政問題は長期運用の投資家にとって最大関心事の一つだ。

<高いボラティリティを嫌気>
日本株のボリュームが再び高まるとすれば、やはり日銀の追加緩和だとみられている。ただ、すでに昨年の「異次元緩和」で、それまでの円高・株安環境はかなり修正されたため、前回ほどのインパクトには欠けるとの見方もある。 また、円安になったとしても、来年になれば、前年比での円安効果がはく落するという問題は続く。永遠に追加緩和を繰り返すのは不可能だ。
追加緩和自体のハードルが高くなっている。HSBCの香港在住の日本担当エコノミスト、デバリエいづみ氏は、7月の追加緩和というメーンシナリオの予想は崩していないものの、以前に比べ可能性は低くなってきたとみている。「消費増税を機に物価は上昇しており、ここに円安による輸入物価上昇がさらに加われば、家計の負担は大きい。賃金は上昇していない。消費者物価指数が日銀の想定より高くなれば、追加緩和は難しくなるだろう」と話している。
国内材料が日銀緩和に絞られる中で、イベントを材料に動くヘッジファンドが、機をみて日本株を再び買い仕掛ける可能性もある。しかし、これまでのように追加緩和がなければあっさり売りに転じる公算は大きい。彼らは基本的にポジション・ニュートラルであり、長期的な売買ボリュームを増加させてくれるわけではない。
世界主要株価指数のボラティリティ指数を比較すれば、日本の日経ボラティリティ指数は23ポイント強でトップとなっている。国内の長期投資家の「不在」が、短期売買による相場の振れを増幅し、そのボラティリティーの高さが、さらに長期投資家を敬遠させるという悪循環の構図だ。成長戦略や社会保障改革など将来のビジョンを示し、国内長期投資家に帰ってきてもらうまでは、薄商いのなかで、海外勢の動きや海外材料に、過度に反応するぜい弱な相 場展開が続くとみられている。  
≫(ロイター:伊賀大記 編集:田巻一彦)

 まぁロイターの読みが当たるとまでは言わないが、現状の株式マーケット事情を概ね正確に分析している。日経新聞とは大違いだ(笑)。日本の新聞テレビも酷いものだ、報道機関なんて言えた状況ではない。報道ステーションのウクライナ問題の扱いは最悪だ。如何に、朝日系の米国一辺倒化が窺える。徹底して、ロシア・プーチン悪印象報道には、驚きだ。NHK否、産経、読売より隷属的にアメリカ及びEU諸国を賛美している。ウクラナ問題の経緯を語り、その結果の現在があると云う事実に蓋をして、クリミア併合が突如起こったような話を平気でしている。産経、読売の方がマシに見えるくらい、ウクライナ問題の朝日新聞系は捏造隠ぺい報道が目立ちすぎる。

 PS:本日、16日の日経平均は400円ほど上げたようだ。円安が進んだ一過性の動きだろうが、ウクライナ内戦、ロシアの介入など読み込んだ為替相場かもしれない。

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●アメリカ中心ですべてが回る この“錯覚のガンマン”に天誅は下るか

2014年04月15日 | 日記
だから日本はズレている (新潮新書 566)
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●アメリカ中心ですべてが回る この“錯覚のガンマン”に天誅は下るか

 アベクロが昼飯を食いながら、経済の先行き不安や、下落一方の株価浮上策はないものか、合議をしたようだ。何を相談しようと、ない袖は振れないのだから、実質的協議がなされる筈もない。まぁ内閣総理大臣と日銀総裁が会談をしたと云うことで、何らかの意味ある合意がなされた、とマスメディアがプロパガンダ報道するきっかけを提供したことは事実だろう。22日100円ほど上げているが、如何にも勢いがない。何か、決断次第で、世間が唸るような景気浮揚策が残されているなら、期待相場も生まれるが、その選択肢が殆どないのだから、期待値が100円を示しているのは、相場のプレーヤは馬鹿ではないと云うことだろう。

 黒田にしてみれば、2%の物価安定目標の達成、緩やかなインフレの実現が日銀に課せられたノルマであり、その方向に狂いはないですよ、と答えたであろう。ついでに、経済に刺激を与えるのは、金融政策だけでは無理。インパクトのある経済成長戦略を、言葉だけではなく、現実に動かすことです…と話したのだろう。 しかし、黒田は、財務省の縛りが緩む筈はないので、国家戦略特区など、威勢がいいのは名前だけくらいは百も承知だろう。安倍が、頭の中で出来ると思っていることは、多くは勘違いや誤謬であり、時の運が、たまたま彼に味方しただけのこと。運も実力なので、そこにはケチはつけないが、運だけに頼るのも限界だろう。

 本論に戻ろう。親ロシア派市民が占拠するウクライナ東部情勢に関し、オバマとプーチンが電話会談をした。オバマが、ウクライナ東部の市民の動きに、ロシアが関与している指摘、プーチンが根拠なく、そう云うことを言うなと切り返す、押し問答に終始したようである。双方、この問題の緊張緩和は、お前の方にあると、押し付け合っただけの会談だった模様。CIA長官を急遽ウクライナ暫定政権の治安トップと会談するような関係であるホワイトハウスが、どの面下げて、ロシアはウクライナ東部の介入を止めろと言えるのか、不思議でならない。キエフにおけるクーデターにマケインやヌーランドが関わった時点から始まった騒乱。火付け役が、火消しのプーチンを非難する構図だ。

 アメリカの最近の行動ってのは、いつもこんな感じ。あの国、どうなっているのだろうか頭を捻ってしまうわけです。最近の例をあげれば、ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、エジプト、リビア、シリア。そして、ウクライナですよ。だれが考えても変でしょう。一つ一つの介入に、アメリカなりの屁理屈はついているけれど、普遍的に世界の人間を納得させられる理屈はない。まして、考え方によると、アメリカ国民にとってプラスなのかマイナスなのか、その区別さえ曖昧なのだ。

 アメリカの報道官は、ウクライナに米軍が介入することはない、と一応語ったが、条件付きな表現だった。おそらく、NATOがウクライナの内戦状況に対応せざるを得なくなる状況においては、NATOと集団的自衛権行使の責務を持つ米軍が出てくることは想定内である。NATOと直接の軍事同盟を結んでいるわけではないので、即刻、日本とアメリカの集団的自衛権の規定により、ウクライナ内戦に参加とはならないだろうが、軍資金を提供せよ、と言われるのは間違いない。どこまで、馬鹿なのか、言葉を失う。

 ロシアの声の記事だから、西側発の報道同様に、プロパガンダが含まれるが、以下の大前研一は、珍しく真っ当なことを言っているようだ。大前流の金儲けには、左右両極、上限下限気にせず、自由に振舞えるポジションの確保が必要だと云う論に立脚しているにしても、今回の選択肢は利口だ。ロシア発の情報に乗る気はないが、大前発だから、引用しても良いだろう(笑)。

 ≪ SAPIO「日本よ、クリミアのせいで対ロシア制裁に加わるな」

【 SAPIO誌5月号にクリミア問題と対ロシア制裁について日本に警告を発する大前研一氏の発言が掲載されている。その内容は、日本人はウクライナ情勢のあ らゆる複雑さを認識し、米国の後ろの隠れ、1頭だけの馬にのって「ロシアは悪い、制裁を与えよ!」と叫んではならないというもの。】

  コンサルティング会社McKinsey Japanの元社長、大前研一氏は、日本は欧米の側に立ってプレーするには値せず、強く、柔軟な立場を占め、エネルギー問題や「北方領土」についての交渉を行って、独自の外交政策を実現する必要があるとの見方を示している。
  クリミア情勢をめぐっては、大前氏は欧米の立場には本当の真実はなく、日本のマスコミには健全なアプローチが不足していると批判する。日本人はクリミア問題については「米国大好き、ロシアは嫌い」の原則で判断せず、落ち着いて、良識をもって行動すべきと大前氏は語る。
  「クリミア住民の圧倒的多数がロシアへの編入を望んだ。ところが欧米はこうしたことは認めないと大声で叫んでいる。まさにこれに第1の矛盾がある。2008年のコソボ独立を承認したプロセスを思い出さねばならない。
  コソボはセルビアの自治州のひとつだったが、セルビア人と独立を主張するアルバニア人の間の武装抗争が激しくなり、NATOは軍事介入という手段に走った。国連の暫定統治のあと、アルバニア人に統制された自治州の議会は独立を宣言した。するとすぐさま欧米はこれを独立国家として承認したのだ。これのどこが原則的にクリミアのケースと異なるのだろうか?
 西側はロシアの動きを攻撃的と呼ぶ。これが第2の矛盾点だ。ウクライナの首都キエフや他の都市で極右が、ロシア語を話し、ウクライナ語を話さない、ウクライナの国歌を歌えないというだけの理由で市民に暴力を振るったことをマスコミは何度も報じている。
 ロシアはこうした行為が続いたため、『参加しないわけにいかなく』なったのだ。米国だって1983年、自国民の大学生の生命、安全を守るという前提でグラナダに侵攻し、軍事クーデターを制圧したではないか。これはクリミアの事態とどこが違うのだろうか?」
注:大前氏の論説から、翻訳を通して引用。同氏の直接的な発言ではない。  ≫(ロシアの声)

 おそらく、日本人の90%がロシア嫌いなのだと思うから、筆者の話に耳を傾ける人は稀だが、“思考停止の自明性”から脱却することが、日本人の21世紀世界のはじまりだと思う。それゆえに、意識して、アメリカの悪行ばかりにスポットを当てている。自主独立を目指すのであれば、絶対に通過しなければならない、日本人の儀式のようなものだろう。80歳、90歳を除けば、真っ当に戦争体験なんかしていないのだから。忘却の天才民族だと揶揄される日本人、福島原発事故だって忘れちゃうのだから、喰うや喰わず、死に直面したこともすっかり忘れるような民族なんだからね。

 韓国人のように、異様に執拗な民族もウンザリだが、健忘症のような民族も問題だろう。そして、忘却だけでは物足りず、戦争してみたいなんて根性に至るのだから、呆れてモノも言えない。コラムを最後まで読む人間すら少なく、見出しだけで、読破した気になるのだから、安直な国家とか民族は、滅びても致し方ないのかな?と思う、今日この頃だ。アメリカは、火をつけたは良いが、火消しの方法を考えてないバカ民族。今後の推移次第では、第三次世界大戦だってあり得るわけだよね。核を使う戦は想定できないので、ロシア軍対ウクライナ軍、ウクライナ軍戦闘意欲なしだろう。NATOもラスムセン事務総長だけが力んでいるだけで、本当に戦う勇気のあるNATO所属の国はフランスくらいのものだ。ロシアにボコボコにされるのが目に見えている。

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