世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●オバマはウクライナ軍事介入を否定 民間傭兵暗殺部隊と云う外交

2014年05月31日 | 日記

 

余震(アフターショック) そして中間層がいなくなる
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東洋経済新報社


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●オバマはウクライナ軍事介入を否定 民間傭兵暗殺部隊と云う外交


 オバマ米大統領は、ウエストポイント陸軍士官学校の卒業式で演説し、「ロシアは孤立化した」と高らかな宣言をしたが、ロシアの論者はオバマに同情的眼差し込みで、様ざまに論じている。このオバマ大統領の苦渋な胸の内を露呈したのが、「最も素晴らしい金槌を持っていても、あらゆる問題が釘に変わるわけでは決してない」と云う部分である。今夜のコラムの最後の方で、オバマやアメリカンへの愛情あふれるロシアの生の声を読むことが出来る。最後まで頑張って読み切り、世界はどのように動き、「アメリカ教」の熱烈信者の“砂の上の植物群”から脱出してもらいたいものだ。

 ここ最近、筆者が“ロシアより愛をこめて”になっているのでは?あるいは猛烈なコミュニストじゃないのか?噂が立っているが(笑)、どちらかと云えば「超」のつく国家主義者だろうと思っている。なにせ、孤立ではなく「孤高な国家日本」を目指しているのだから超のつく民族主義者でもあるだろう。ただし、日本に住んで、日本に税金を納めてくれる人と云う民族なので、人種や出自がどうたらこうたらの能書きはない。安倍君の国家主義とは雲泥の差である。ある側面から観察すれば、孤高の超国家主義は絶対平和主義でもある。

 ただですよ、オバマが軍事力ではなく、外交の力を通じて、自由と民主主義を守らなければならないのだそうだが、オバマ大統領の「外交」とは、「軍事力」以上に汚い手段と筆者には映る。武士の風上にも置けない男と思ったが、オバマはニグロでアメリカンの大統領だった。世界中のテロ作戦などと云う大見得を切り、やっていることは、プロパガンダと諜報と弱小国の暴力装置の利用と、そこが契約するアメリカ資本に抱えられた民間軍事請負会社の活躍では、「チフス菌ばら撒き戦術」とたいして変わらないことを、オバマは「外交」と呼ぶのだ。

 わが国のアメリカンに叛いた多くの政治家や経済人、時には公職選挙の結果も、何をされているのか判らない気分だ。このような視点で、アメリカ教の美しさを知ることも、世界の趨勢の変わり目に生きている以上、双方の視点に耳を傾けないと、本当に禍根を日本人が残すことになる。勿論、これらの事実を知ったうえでもアメリカンが好きなら、それはそれで良い。ただし、後からこんなはずじゃなかったと嘆くべきではない。筆者も、アメリカンは汚さ過ぎ、アメリカンの言葉は全部嘘だとしても、強制移住させられるならニューヨークかロンドンが好ましい(笑)。なにせ、自由と資本主義な生活愉しんでいるから、総論でアメリカンはヤバイが、各論で中露に住むのは如何かな?これぞ、個人主義的身勝手の極みである。

 以下は、筆者が知っている事実以外の多くの事実を含む、確率の高い情報がStrategic Culture FoundationサイトのコラムニストNikolai MALISHEVSKIによって書かれている。原題は“hat Are Polish Death Squads Fighting For in Ukraine?”である。筆者の訳では心もとないので、『マスコミに載らない海外記事』さん http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-5784.html の訳文をお借りして掲載しておく。


 ≪ ポーランド暗殺部隊が、ウクライナで戦っている目的は何か?
Nikolai MALISHEVSKI
2014年5月28日| 00:00
Strategic Culture Foundation

 5月11日、飛行機が一機、キエフ空港に極秘裏に着陸した。空港の民間人スタッフでなく、軍関係者が出迎えた。NATOの軍服、覚醒剤アンフェタミン500箱と、毒物と記されたコンテナが、飛行機から下ろされた。ウクライナ保安庁キエフ本部の命令で、戦士、貨物と毒物コンテナは検査されずに、着色ガラス窓の自動車で空港から運び出された。貨物には、CIA職員リチャード・マイケルが付き添っていた。飛行機には右派セクターと、数年前に現ポーランド内務大臣B. シェンケヴィッチが設立したポーランドの民間軍事企業ASBS (バルトロメイ・シェンケヴィッチ・システム解析)オタゴOthagoの戦士が乗っていた。

 入手可能なデータによれば(5)、このポーランド民間軍事企業は、東ウクライナでの懲罰作戦で、6人を失った(暫定軍事政権の為に働く外国人傭兵のそれ以外の死傷者は、アメリカ民間軍事企業アカデミと、その子会社民間軍事企業グレイストーン・リミテッドで、それぞれ50人、14人の戦士を失い、CIAとFBIは死傷者25人で、うち13人が死亡した)。

 2013年9月に、外務大臣R. シコルスキーが、ワルシャワから23 kmのレギオノヴォにある警察訓練センターでの研修に86人の右派セクター・メンバーを招待して以来ポーランドは、ウクライナの暗殺部隊養成に積極的に関与してきた。大学交換留学制度を口実にやってきた戦士達は、大半が40歳代の男性だった。彼等は、集団抗議行動組織法、バリケード構築法、政府庁舎掌握法、市街戦戦術、狙撃用ライフルを含む射撃技術等々について、一ヶ月の研修を受けた。ポーランド週刊誌ニエNieが、民間人の服装をしたポーランド人教官と並んだ、ナチスの制服を着たウクライナ人ファシスト達が写ったレギオノヴォの写真を公開した。

 ポーラント特殊部隊が、将来、懲罰作戦に参加する連中を訓練していた間に、ポーランド外務省は公式声明を出していた(2014年2月2日):‘右派 セクターによる強硬路線を我々は支持する... 右派セクターや、抗議行動参加者の他の戦闘的集団による過激な行動や、抗議行動参加者達による暴力行使は正当化される... 右派セクターは、最近の抗議行動における、全ての暴力的行動の全責任を負うと言っている。これは率直な姿勢で、我々はこれを尊重する。政治家達は、平和維持機能に失敗している。つまり、唯一、受け入れ可能な選択肢は、右派セクターの過激行動ということだ。他に選択肢はない’。

 同時にポーランド首相ドナルド・トゥスクは、ヤヌコーヴィチ大統領に、マイダン反政府勢力に対する‘不釣り合いな武力行使’をしないよう警告してい た。祖父ヨゼフ・トゥスクが、ヒトラーのドイツ国防軍で軍務についていたドナルド・トゥスク首相は、現在、キエフ暫定軍事政権に‘東部の反乱者’に対し、 ‘テロリストに対すると同様’厳しく対処するよう要求している。 5月中旬トゥスク首相は、ファシスト・ウクライナは‘欧州連合に対する挑戦’だと見なしているハンガリーのオルバーン首相に、主要な敵ロシアに対する戦いから関心をそらさぬ為、そのような声明をするのを差し控えるよう要求した。数週間前(2014年4月24日)、ポーランド首相は、ヨーロッパはウクライナ解体に備えねばならないと述べた。

 ‘ワルシャワの東方政策は、それがかなりの程度、アメリカとイギリスの諜報機関との緊密な協力の下、ポーランド諜報機関によって動かされている点が問題だ’、 とチェンストホヴァ地政学研究所所長レシェク・シクリスキーは主張している。4月始め、CIA長官ジョン・ブレナンがキエフを訪問した。彼の訪問のまさに翌日、キエフ政権のトップ、トゥルチノフは‘南東部における出来事に関連して、大規模対テロ作戦’を開始すると宣言した。アメリカ人傭兵のみならず、ポー ランド人傭兵もこの作戦に参加した。

 CIA長官の次に、4月21-22日、アメリカ副大統領ジョセフ・バイデンがキエフを訪問した。ヴェホヴナ・ラーダで演説し、明らかにロシアを念頭におき、‘人道的脅威’を前にして、ワシントンはウクライナ政府を支持するとバイデンは述べた。東ウクライナで、アメリカ合州国が一体何を必要としているのかという疑問に対する答えは単純だ。暫定軍事政権が鎮圧しようと躍起になっている都市は皆ドニェプロ-ドネツク盆地にあり、この盆地には、シェール・ガスの膨大な埋蔵があるのだ。ロイヤル・ダッチ・シェルは、既にこうした地域の権利を主張している。‘彼等は前政権が署名したこうした契約で利益を上げたい立場にありますから、キエフのクーデター政権が、自国民に対し、軍事行動をしかけている動因は、この場合、経済利権だろうと思いますと、アメリカ外交の専門家ネボシャ・マリッチは主張している。

 キエフを頻繁に訪問するようになったアメリカ副大統領の息子ロバート・ハンター・バイデンは最近、キプロスで登録され、ドニェプル-ドネツク盆地でのガス田開発許可証を持つウクライナ最大の民間ガス生産者ブリスマ・ホールディングスの役員に任命された。4月、アメリカ国務長官一家の友人で、ケリーの 義理の息子と大学ルームメートで、ジョン・ケリーの2004年大統領選挙活動中は上級顧問をしていたデヴォン・アーチャーも、同社の役員となった。

 ユーゴスラビアやイラク戦争の昔から、アメリカ政府高官と身近な縁者連中は、アメリカ占領軍が侵略した全ての国々に、莫大な個人的利害関係を持って いるのだ。例えばケリーの前任国務長官マデレーヌ・オルブライトは‘独立コソボ’で事業をしており、バイデンの前任副大統領リチャード・チェイニーと彼の 家族も、もう一人のアメリカ国務長官コンドリーザ・ライスも、ハリバートンとシェブロンを通して、イラクのエネルギー資源を手に入れた。東ヨーロッパで、 アメリカ権益の為に働いている連中にも、同様の権益が見えている。例えば、ウクライナの元環境大臣ミコラ・ズロチェフスキーと、前ポーランド大統領アレク サンデル・クファシニェフスキは、ブリスマ・ホールディングス取締役会のメンバーだ。

 ブリスマ・ホールディングスに開発権が与えられている有望なシェール・ガス田の一つは、ユジフカ・シェール埋蔵地帯だ。スラビャンスクや、隣接する 住民160,000人のクラマトルスクの一部の他に、シェルに与えられた地域は、クラスニー・ルチやスヴャトゴルスク市や、隣接するハリコフ州のバラクレヤやイジュームを含んでいる。しかも、シェール・ガス抽出契約には、シェルが、こうした土地を掘削予定だと言えば、ウクライナ政府は、法的所有者から土地を強制的に取り上げる義務があると書かれている。スラビャンスク周辺が、最初のシェール・ガス田掘削用の現場として選ばれている...

 右派セクター、ファシスト・オリガルヒ・イゴール・コロモイスキーの私的懲罰部隊や、アメリカとポーランドの民間軍事企業から派遣された傭兵に支援されて、ウクライナ軍が集中している場所が、懲罰作戦の主な理由の一つを直接示している。キエフ政権は、アメリカとポーランド・エリート支配者の事業権益の為に働いているのだ。懲罰部隊とドネツ盆地の住民との間の最も暴力的な衝突が起きたのは、スラビャンスクとクラマトルスク周辺で、イジュームが、懲罰作 戦に参加しているウクライナ軍の主要拠点だ。 下記が懲罰作戦でどの様な手法が用いられているかを物語っている。

-攻撃側損失には、攻撃用及び輸送ヘリコプター、装甲車両、122-mm榴弾砲、その一斉発射で14.5 ヘクタールの地域の全生命を壊滅できる‘グラド’ロケット発射装置がある
-迫撃砲による都市攻撃。その結果、自衛軍の戦士より民間人の方が多く死亡している
-狙撃兵達の活動は子供達さえ殺害している
-クラマトルスク空襲における国連マークのヘリコプター利用。ウクライナ軍の同僚達さえ、国連マークを着けた軍装備品を使用する国際規範に違反するのを拒否したので、これらヘリコプターを操縦していたのは、ポーランド人傭兵だ。

 こうしたこと全てが、一体どのような種類の貨物が、アメリカ諜報機関監督の下、ポーランド人傭兵によって、急遽ウクライナに輸送されたのか、そして 一体なぜポーランド人のクファシニェフスキが、ウクライナ人ファシスト武装集団 (‘国家警備隊’) と、アメリカとポーランド人傭兵による闘士や民間人の殺害で、現在、その事業活動の為に道が開かれつつある企業の取締役会メンバーなのか、という疑問の答えとして考慮することが可能だ。キエフ暫定軍事政権と欧米の御主人連中は、そうした事に強いポーランドが手をくだした、最近シリアで、かつてイラクで起きた様な、現地住民に対して化学兵器を用いることまで含めて、あらゆる挑発をする用意があるように思われる。

記事原文のurl:www.strategic-culture.org/news/2014/05/28/what-are-polish-death-squads-fighting-for-in-ukraine.html
 ≫(Strategic Culture Foundation:Nikolai MALISHEVSKI。和訳:『マスコミに載らない海外記事』氏)


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 その結果、ロシアは『ロシアの声』を通じて、以下のようなメッセージを発信して、アメリカによってつくられた、民間軍事請負業者が行う外交と云う、まさにアメリカンなWスタンダードとマネーに支配された、世界一の政権内部を暴いている。
 
≪ 地政学的要素としての米国の誇大妄想
米国のオバマ大統領は、ウエストポイント陸軍士官学校の卒業式で演説し、米国の指導的役割により、世界でロシアの孤立化を組織する事ができたと述べたが、専門家達は,そうした考えは誇大妄想的だと捉えている。
オバマ大統領の意見では、ロシア政府は国際的孤立の中にあるという。しかし、そうした見方に決して皆が賛成しているわけではない。

ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学国際調査研究所のレオニード・グーセフ研究員は、次のように述べている―

「孤立とは何を意味するのか?ロシアは中国と複数の合意を結んでいるし、多くの欧州諸国と関係を持っている。ドイツやイタリア、フランスとの、特に貿易、そして学生交流、その他の協力など、関係は決して失われていない。それゆえ、この言葉が発せられた場所を特に念頭に入れれば、ロシアの孤立化という発言は、単なるレトリックにすぎない。」

 オバマ大統領の発言は、米国の未来の軍事エリートを前にしたもので、言うまでもなく、国内向けのものだ。政治学者で新聞「イズヴェスチヤ」の副編集長であるボリス・メジューエフ氏は、そう見ている―

「まず第一に、これは米国人向けになされた発言だ。なぜなら米国人以外誰も、オバマ大統領がロシアを孤立化したなどと信じる人々はいないからだ。皆、ロシア政府との関係について、いかなる深刻な断絶についても、それが経済的理由によるものであれ、まして政治的理由によるものであれ、そんなことを言ったり出来ないことをよく分かっている。」

 またユーラシア・コミュニュケ―ション・センターのアレクセイ・ピリコ所長は
「米国人がしかるべく新たな脅威や挑戦に対応するのを妨げている基本的なファクターは、彼らの誇大妄想的考え方だ」とみなしている―
「米国は、すでに絶対的な世界のリーダーではないにもかかわらず (10 年から 15 年前には確かにそうだったが ) 、頑固にその役割を演じ続けている。この役割はもう、彼らの国益にも、その潜在力にも合致していない。これが生じているのは、米国のエリート達が、世界中を米国がリードする時代がもう永遠に去ってしまった事を理解していないからではない。方針を修正できない原因は、米国人の集団意識の中に冷戦時代の勝利や永遠の世界王者といったテーゼが、叩きこまれているところにある。それはすでに、米国の国家イデオロギーの一部になってしまった。それは、遅かれ早かれ変わるだろうが、それには単に時間の経過が必要だ。」

 やって来ようとしている変化の間接的兆候になり得るのは「最も素晴らしい金槌を持っていても、あらゆる問題が釘に変わるわけでは決してない」という、オバマ氏の発言である。おそらく、オバマ大統領は、これによって武力による地政学的影響の限界を認めたのだろう。 ≫(ロシアの声:セルゲイ・ドゥージ)

二十一世紀の資本主義論 (ちくま学芸文庫)
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●2016年永田町に向かう胎動 野党編成は二つの流れから連立樹立

2014年05月30日 | 日記
歴史家が見る現代世界 (講談社現代新書)
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●2016年永田町に向かう胎動 野党編成は二つの流れから連立樹立

 筆者が空売りに徹しているから、東証日経平均の堅調さにケチをつけているわけではない。最近の日米欧の株価が奇妙に堅調な動きをしている。無論、堅調といっても、わずかな上げ幅に過ぎないが、下がってはいない。日米欧のリアルな市民生活の中から、それらの国々が公表する素晴らしい経済数値の欠片を見出すことは困難だ。その現実離れした政府の経済数値に裏打ちされたように、総じて各国の株価は上昇基調にある。このコラムでは、公表された数値一つ一つに言及しても意味はないだろう。偽りが含まれる数値のどこがどのように奇妙か語る必要はない。現実の市民生活が概ね不調である事実だけで、それ以上の説明が必要と云うわけではない。

 東証の6日営業日連続上げは、相場の堅調と云う印象を与えるに充分だが、どうも買い支え相場に見えて仕方がない。日経QUICKの言う通り、日経平均が75日移動平均(1万4538円、28日時点)を下回らなかったのを受け、この水準が当面の下値支持線として意識された。前日に突破した200日移動平均(1万4655円、同)も上回ると、売り方の買い戻しを巻き込んで上げに転じた。日経平均は44円高の1万4714円まで上げる場面 があった。たしかに、テクニック面からみれば、その通りなのだが、買い手口の主体にどのような資金が参加しているかがポイントだ。

 おそらく、年金基金等の資金と提灯買いの個人資金が、相場を支えていると読むほうが自然だ。真実の相場を占い手段で正直なのが売買代金の総額だ。これが16日営業日連続で2兆円めどを下回っている点がポイントだ。少ない資金で、相場を操作できる期間に入っている状況に注意すべきだ。しかし、面白い現象を我々は目撃している。政府、日銀総動員体制でインフレを目指し、個別の企業は売り上げの落込みを回避しようと、必死で値下げやサービスの質の向上をめざし、デフレ方向に向かおうとしているのが、今の日本経済だ。政府日銀の意のままに政策の実効性が現れたら、4%程度のインフレは実現されるが、企業努力が、そのインフレ率を1.5%レベルに修正している現象が面白い。

 国内政治に目を向ければ、安倍官邸や霞が関官僚の好き勝手な立法、行政が、躁状態で進んでいる。何もかもが欺瞞に満ちた内容で、一々取り上げていたら、こちらの頭が腐ってしまうので、捨て置くことにしている。維新が分裂しても騒ぐほどのことではない。公明党が集団的自衛権解釈で与党分裂しても、石原と渡辺で補充はきく。与党でなければならない公明党が、与党離脱出来るかどうか疑問だが、離脱しても当面の補充は可能だ。ただ、自民党圧勝の原動力が創価学会の組織力のお陰であった事を考えると、公明党の与党離脱は、自民党の政権崩壊をも意味しているだろう。

 “ 日本維新の会 ”分党劇の功績があるとすれば、政界再編が起きる可能性が漸く見えてきたくらいのものだ。橋下を中心とする大阪維新の会と結いの党、太陽の党の松野ら一部が合体。見えているのはここまで。あとは、民主党の細野グループや前原グループなどが合流するかどうかと云うことが焦点となる。ここに、生活の党も加わると読むむきもあるようだ。これは小沢一郎にとって安易で具体的選択肢だと考えている。安易な選択である点は認めるが、果たして、その選択が正しいのかとなると、筆者は迷う。同じ同床異夢であるなら、連立政権に含みを持つ、別の野党連合を模索すべきだと思っている。

 生活の党+鳩山元総理・細川元総理・小泉元総理、社民党、公明党の集合を目指し、若手政治家グループと一線を画す政党を創り、連立政権樹立の方向性を出す方が有権者に、「国民の生活が第一」のメッセージを発信できるのではないかと考えている。正直、小沢一郎の政治理念にも一工夫が必要な時代に差し掛かっているのは明白だ。現在の政治的言及だけでは、20代から40代の有権者に訴えかけるものが乏しい。米国一国主義への疑問と、中露との対話姿勢を加味していかないとアピール度は弱くなるし、成長経済からの脱却、痩せても枯れても誇りある国家、国民は存在できると云う時代感覚がほしいところだ。理念を肉付けする時代感覚が必要だ。

 米国のご都合主義デモクラシーの行き詰まりと、中露印ブラジル等々の新興諸国の抬頭を的確に捉え、成長や福祉の充実など一見美味しい話ではなく、これからの100年、200年先の世界を語り、国民の自立への心根を育てるような、ありきたりではない政治家としてのメッセージがほしいところだ。これからは、具体的政治課題の話だけではなく、日本に欠如している、哲学的思考や仏教の考えなどを味付けに、心に滲みるようなメッセージを聞かせてほしい。それを実行するには、時間が限られてきたと云う論も多いが、細川元総理も立ち上がっている。まだまだ、日本のために小沢一郎に出来ることはある。

 ただ、冒頭のアベノミクスの瓦解が確定的となるまで、野党再編の動きは鈍いものになるだろう。集団的自衛権解釈改憲はハチャメチャな話なのだが、国民の受け止め方は他人事の趣だ。自分たちが被害を受けるかどうかなんて、考えてもいない。このような国民に政治が訴えるのは実に難しいのだろう。糠に釘をどうやって打ち付けるのか、考えてみると不可能を可能にするショック療法が必要なのは明らかだ。致命的打撃は、さすがに拙いだろうが、余程のショックが訪れないと目覚めそうにない。原発が爆発しても、世論を二つか三つに分かれるだけで、大きな勢力に打撃を与えているとは思えない。平和と富と云うものは、本当に怖ろしい力を持っている。

デジタル・ワビサビのすすめ 「大人の文化」を取り戻せ (講談社現代新書)
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●「垣根なき世界」がユートピアと語る朝日社説 まさに幻想振り撒く

2014年05月29日 | 日記
正義の偽装 (新潮新書 554)
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●「垣根なき世界」がユートピアと語る朝日社説 まさに幻想振り撒く

 以下は、28日水曜日の朝日新聞の社説だ。ぼんやりと読んでいる分には、まことに結構な考えが述べられている。この文章が西側マスメディアのオピニオンリーダの一角を占める朝日新聞でなければ、素直に受け入れてやっても構わない。しかし、マスメディアが書いたものだと判った瞬間に、一行ごとに突っ込みを入れたくなる。現実に起きてきた、ここ数年の政治的出来事を踏まえながら、一発かましてやる!

 この社説は一行目から、これから嘘をつくから、上手に騙されなさいと、いかにもグローバル経済が普遍的で、未来永劫変わらない価値観のような罠が仕掛けられている。――――人も、モノも、カネも、文化も自由に行き交う。グローバル化は止めようのない世界の潮流であり、国境という垣根はますます意味を持たなくなる。――――

 グローバル経済が理想的経済であるとか、人類のすべてが共通の価値観を持ち、地球に平和が訪れる、なんて幻想を振り撒いているのは、アメリカン・デモクラシーであり、朝日の論調だ。キリスト教、アングロサクソン系移民人口国家の価値観が普遍的で、動かしがたい真実のように語りだす時点から嘘八百だろう。高々数百年の歴史の行に過ぎない米国型デモクラシーが普遍的真実などと、どんなツラして言い出すのか、筆者には狂人的にさえ聞こえてくる。単にネオリベなご都合主義に裏打ちされたグローバル経済が普遍な世界の潮流などと、出鱈目を言うものではない。

 新自由主義と市場原理主義とボーダレスな地球が、米国にとって都合がよく、一国至上主義で手に入れた覇権と云うものの維持に欠くべからざるロジックに過ぎないではないか。アメリカンのどこを、どのように覗きみ、虫眼鏡で観察して見出せる奴は、単に米国教の信者と云うことだ。まぁ、まさしく、現在の朝日新聞は米国教の熱烈信者なのだけはたしかだ(笑)。朝日が「国境なき地球」こそ人類の進むべき道だと信じるのは勝手だ。しかし、巷の無知蒙昧或いは素直にして素朴な人々を、このような実しやかな文章で布教に携わるのは、ジャーナリスト精神に反するのではないのか?

 朝日の危険性が如実に表れているのが“グローバル化は止めようのない世界の潮流”と云う部分だ。この表現を読んでいた、ある状況を思い出した。“米国と戦争するなど、狂気の沙汰だった。しかし、今更やめられない『空気』が充満していた”斯くして朝日新聞は大本営報道のリーダとして、戦前、戦中の国民を騙し続けたのである。まったく現在の世界の状況は似通っている。安倍晋三の方向性も異様だが、朝日の米国教の熱烈信者ぶりも異様だ。

*―――― 国民感情が経済に影響されるのは世の常だ。むしろ事態を悪化させているのは、真の問題のありかを率直に説かず、ナショナリズムに訴える政治手法だ。――――云々かんぬん。

 正直、飢える人間に対し、年収1千万以上の論者に「人はパンのみにて生きるにあらず」などと言われて、「その通り」と答える人間はいるのだろうか。明日は食べ物にありつけるかどうか考えている最貧困層の人々に向かって言えるのか。人口の20%、12億人存在することが理解できているのだろうか。年収が億単位の人々のほどこしで生きるのであれば、“名誉の消滅”を選ぶ哲学的思考や選択があっても良いだろう。

 その最貧困の人々の食糧問題で、世界の食糧問題、温暖化問題、国境なき世界秩序の潮流などと云う議論は成り立つのか?成長こそ善であり、それを抑える力が悪である。そんな綺麗ごとで済む世界の根本的問題だったら、とうの昔に、これらの議論に決着はついている。しかし、この成長に対する善悪の基準は極めてキリスト教的であり、欧米が、共通の益のために創造した価値観に過ぎない。ところが、わが国でも、欧米型価値観は市民権を得るに至っている。この欧米型価値観が資本主義によく馴染む共通の観念に過ぎなかっただけだろう。筆者から見れば、単なる現象に過ぎない。

*――――自由と平等の価値をもって垣根をなくす努力を滞らせてはならない。――――云々かんぬん。

 垣根をなくすことで、その先に、どのような世界があるのか?その世界の具体的イメージが浮かんでいるのか?おそらく、誰一人、その具体像など見えていない。グローバリズムの信者は、その手法や進捗のプロセスだけは示すが、行きつく先がどのような世界で、どのような人類の生活が待っているのか、語る人間は皆無だ。行き先の決められていない列車に、金持ちの多くが乗り込むために並んでいる列に、貧乏人も、ワーキングプワーも、病人も、右に倣えと命じてなんになる。みんなが並んでいるのだから、良いところに向かっているに違いない、と云う思考停止に過ぎないではないか。不幸に不幸が重なる世界に導いてしまう旅かもしれないじゃないか?

*――――景気、金融、環境、移民、どの問題も一国で対応できる構造ではない。だが、政治家たちは「EUが国の権限を奪ったからだ」と弁明してきた。再び国境の垣根を高くすれば問題は解決するかのような幻想をふりまいた責任は重い。――――云々かんぬん。

 単にグローバル経済の世界を追認しているだけの話で、今更戻るのは容易なことではないからこのまま進もう、後は野となれ山となれだと主張しているだけだ。国境の垣根を高くし、自分たちの文化や文明を、垣根の中で研ぎ澄ましても良いじゃないか。禅の世界や悟りと云うものは、そのような環境から生まれる。国ごとに「引きこもり」と云う世界があっても構わんだろう。その中で、必要不必要を交易するだけでも、人類の幸せは得られるはずだ。馬鹿馬鹿しい、行き先の判らない、永遠と連なる列車に乗り込め、と云うのは、それこそが無責任の極みである。

*――――暮らしを左右する政策が、自分とは縁遠い政党や官僚らに決められている。そんな思いが政治への怒りやあきらめとなって投票率を下げたり、過激な主張になびいて留飲を下げたりする現象は世界各地にある。 日本もひとごとではない。世界の現実と地続きにある日本の数々の問題を冷静に説き、そして国を開く賢い処方を多角的に論じる。そんな政治が欲しい。 ――――云々かんぬん。

 国を開き、デモクラシーと云う衣をまとい、「自由だ、平等だ、人類すべて兄弟」と念仏を唱え、搾取に次ぐ搾取のメカニズムに乗っかり利を得ている「既得権益軍団」の口車に乗り、奈落の底に導かれるくらいなら、「オタク国家」となり、自分たちなりの世界に満足する“自己満足”の方が、よほどマシである。“あればあるなり。なきゃないなり”良いじゃないか、それで。人を羨むことなく自我の境地で生きて何が悪い。人さまの国や人々に、「これが正しい」なんて強制されなければならなのだ。朝日こそ、「今更戻れない世界」に嵌りこんだ、「砂の中の思考」をひけらかし、自己満足を他人押しつけているだけだ。


≪ 欧州議会選挙―垣根なくす永遠の試み
 人も、モノも、カネも、文化も自由に行き交う。グローバル化は止めようのない世界の潮流であり、国境という垣根はますます意味を持たなくなる。
 その現実にどう向き合うか。国を開くことが生む国民の不安をどうときほぐすか。それは、いまのどの国の政治にも通じる避けようのない難題である。  欧州議会の選挙で、「反統合」「反ユーロ」を訴える政党が躍進した。全751議席のうち3割近い議席を得た。
 欧州は、国境をなくす最先端の実験に取り組んでいる。だが今回の選挙結果は、欧州社会にいまも根強くのこる抵抗感を映し出している。
 統合をめざす道のりに終わりはないかもしれない。どんな壁にぶつかろうとも、自由と平等の価値をもって垣根をなくす努力を滞らせてはならない。
 欧州議会は、EUと呼ばれる欧州連合の立法機関である。加盟28カ国の有権者が直接選ぶ。
 今回の選挙でただちに統合が頓挫するわけではない。だが、気になるのは、反EU派の多くが移民の排斥を掲げ、国粋的な主張を強めていることだ。欧州各国の主要政党にも、その勢いに便乗し、主張を取り込もうとする動きがでている。
 長引く不況と失業、福祉カット。緊縮財政を各国に課すEUへの風当たりは強い。移民に対しては、雇用を奪い、福祉を食い物にしている、との批判がぶつけられている。
 国民感情が経済に影響されるのは世の常だ。むしろ事態を悪化させているのは、真の問題のありかを率直に説かず、ナショナリズムに訴える政治手法だ。
 景気、金融、環境、移民、どの問題も一国で対応できる構造ではない。だが、政治家たちは「EUが国の権限を奪ったからだ」と弁明してきた。
 再び国境の垣根を高くすれば問題は解決するかのような幻想をふりまいた責任は重い。
 EUは改めて、なぜ国の間の壁をなくすことが利益をもたらすかを説き、自らの改革にも取り組まねばならない。市民の多様な意見に目配りして納得を得る仕組みを整える必要がある。
 暮らしを左右する政策が、自分とは縁遠い政党や官僚らに決められている。そんな思いが政治への怒りやあきらめとなって投票率を下げたり、過激な主張になびいて留飲を下げたりする現象は世界各地にある。
 日本もひとごとではない。世界の現実と地続きにある日本の数々の問題を冷静に説き、そして国を開く賢い処方を多角的に論じる。そんな政治が欲しい。 ≫(14年5月28日付朝日新聞社説)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)
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●“NO1”キープために世界に迷惑をまき散らす 米国はいつ悶絶するか

2014年05月28日 | 日記
ロシアの論理―復活した大国は何を目指すか (中公新書)
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●“NO1”キープために世界に迷惑をまき散らす 米国はいつ悶絶するか

 ウクライナでは、新大統領の選出を待っていたかのように、ウクライナ東部ドネツク州の親ロ勢力への武力攻撃が再開された。その再開は、第一波、二波に比べ強大で、新ロ派民間人を爆撃するアメリカ風の攻撃形態である。第二次大戦において、米軍が用いたわが国への爆撃を彷彿とさせるものである。パイロットは攻撃地点に誰が立っているか、籠っているかに関わらず、無差別爆撃で邪魔者をせん滅しようとしているようだ。今現在、ウクライナ新政権(ロシアは新政権と云う言葉使わず、現在も暫定政権扱い)は悦に入り、米国務省はロシア・プーチンがどのような動きをするか注意深く見守っているに違いない。以下は朝日のウクライナ情勢の報道である。


 ≪ ウクライナ軍、空港を奪還 親ロ派50人死亡
 ウクライナの アバコフ内相は27日、前日に親ロシア派武装勢力が一時制圧した東部ドネツクの国際空港について、軍の奪還作戦が成功したとし、「空港は完全にコントロー ル下にある」と話した。親ロシア派幹部によると、同派の戦闘員50人以上が死亡。親ロシア派の攻勢に、政府は制圧作戦を強化する考えだ。
  現地の軍広報官によると、武装勢力は26日午前4時半に空港を占拠。軍が明け渡すよう求めたが、拒否したため制圧作戦を開始。空港を空爆した。
  また、東部ルガンスク州の国境で27日未明、武装勢力の車両数十台がロシア側からウクライナに侵入。国境警備隊と戦闘になり、迫撃砲など武器を積んだ数台を取り押さえたが、大半は国境を突破したという。
  ヤレマ副首相は「対テロ作戦はテロリストが一人もいなくなるまで続ける」と語った。広報官は「武装勢力のすべての拠点を把握している」と明言。「彼らが武器を手放さないならば、『精密誘導兵器』による攻撃を開始する」と話した。
 一方、ドネツク市内は緊張がさらに高まっている。26日夕に銃撃で1人が死亡した中心部の主要鉄道駅が27日朝、閉鎖された。
 地元メディアによると、親ロシア派はドネツク南近郊の鉄道に地雷を敷設。ドネツク州の港湾都市マリウポリに向かう物資輸送の要で、ウクライナ当局が撤去した。ドネツク西の鉄道でも道床が破壊された。  文民の国際監視団を派遣する欧州安保協力機構(OSCE)は27日、市東部を巡回していた4人のチームと前日夕から連絡が取れなくなっていると明らかにした。
 ≫(朝日新聞デジタル:キエフ=石橋亮介、喜田尚)

 朝日の記事は、すべてウクライナ、キエフ政府側の伝聞記事であり、朝日の記者が見聞きした生情報ではない。つまり、記者クラブ情報だと認識しておくべきだろう。特に 『 現地の軍広報官によると、東部ルガンスク州の国境で27日未明、武装勢力の車両数十台がロシア側からウクライナに侵入。国境警備隊と戦闘になり、迫撃砲など武器を積んだ数台を取り押さえたが、大半は国境を突破したという。』辺りは見てきたように記者が配信している。西側報道のプロパガンダ報道とは、なるほどこういうものかと感心させられる(笑)。

 おそらくだが、ロシアのプーチン大統領の腰は重いと思われる。その理由は、ウクライナ東部や南部に、あからさまな介入は国際世論上有益ではない、と判断していると思うからだ。西側陣営の1割か2割の人間が、ウクライナ新政権の、独立運動に対する弾圧の度が過ぎているのではないか?と云う疑問が湧くのを待つ感覚なのだろう。

 ウクライナ新政権の動きを絶え間なく監視し、EU加盟の上、NATOへの加盟を明確にする時点まで、耐え忍ぶのではないのかと考えられる。ロシアと云う国、プーチンと云う人物、ともに外交戦略はオバマ政権などが足元にも及ばぬ強靭さがあり、ウォッカでも飲みながら時機到来を待つに違いない。

 プーチンは、今回のウクライナ新政権の爆撃、無差別攻撃に関し、イタリアのレンツィ首相との電話会談で「ウクライナ暫定政権による東部での軍事作戦は、即時停止が必要だ」、「ウクライナ暫定政権と東部の親ロシア派の対話による問題解決が必要だ」と穏健風、弱腰風発言をしているが、「ウクライナ新政権」とは言わず「ウクライナ暫定政権」と云う表現をしている。多分、ここが今後のウクライナ問題のキーポイントになりそうだ。

 つまり、ロシアや中国が今回の選挙で選ばれたポロシェンコ大統領やヤッエニュク首相のウクライナ政府を、正式なウクライナ政府と承認しない状況が継続する問題を西側は抱えてしまった。国際外交のゲームが行われているわけだが、戦略的にはプーチン側が断然有利に見えてくる。なぜなら、現在のアメリカの優位性が存在する前提が、第二次世界大戦後の戦勝国の枠組みで成立していることだ。ゆえに、中国もロシアも経済的に滅茶苦茶な状況でも、国連の常任理事国に君臨しているのである。ここが味噌なのだ。英仏は大戦の影響をいまだに引き摺り、回復の兆しさえ見えていない。彼らが踏ん張っていられるのも常任理帰国いられる故の部分が多いのだ。

 国際関係において、国連の常任理事国である地位は、多くの力を与えられ、戦後は、そこから始まっている。つまり、常任理事国は国際競争において、下駄を履いて地球上を歩いていると云うことだ。常任理事国の中で、英国はギブアップし、アメリカ一人勝ちの時代が続いた。そうして、世界中に欺瞞のアメリカンデモクラシーを押しつけ、強要してきたのが米国だ。しかし、ロシアはプーチによって理事国らしい剛腕を再構築した。中国は未だ道半ばだが、GDPだけ見れば、米国を追い抜くところまで這い上がっている。フランスは何とか常任理事国らしい状況にしがみついているが、右翼勢力の抬頭で、足取りは相当にヤバそうだ。

 単純に色分けは難しいのだが、ロシア、中国を核とするユーラシア勢とアメリカ一国の争いに収斂されつつあると見るべきだ。英国は運命的に米国と共同歩調をとるだろうが、頼れる相手ではない。戦後の枠組みを重視するとなれば、「中露対米国」と云う図式が、素朴に浮かんでくる。中国やロシアは、民族的団結を含むナショナリズム国家性をもっている。そして貧困に強く、人命への価値観が、欧米諸国とは異なる。時には破滅的武器使用も辞さないナショナリズム性を有している。それに対し、アメリカの云う国家は、何を持ってナショナリズムを育てるべきか、初歩的段階から脱していない。にもかかわらず、通常兵器で世界一だし、経済も欺瞞だらけでありながら世界一をキープしている。

 なにが言いたいのかと云えば、捨身でも勝利をもぎ取る気構えが出来るのが、中国、ロシアであり、捨身から遠ざかろうとする国民を抱えているのが、アメリカである。もう完全に受け身な癖に、ユーラシア勢の抬頭許すまじと云うナンバーワン気質が抜けなくなっているのが、アメリカと云う国である。逆に考えれば、気の毒だが、米国民をまとめる錦の御旗が「ナンバーワン」なのである。それゆえに、その力の衰えを糊塗しようと、911はじめ、テロ戦争、金融経済、サイバー戦争など、次々と新たな関心事をねつ造せざるを得ない、気の疲れる国家なのである。この程度のことは、プーチンも習近平も知っている。以下は、ロシア外交防衛政策会議議長ルキャノフの、ロシアNOWに掲載されたオピニオン、充分な論考が加えられている。毛嫌いせずに読むことだ(笑)。

 ≪ なぜ中国にロシアが必要か

【 プーチン大統領は、大統領選前に書いた論文で、ロシアは“中国の風”をうまく帆に受けて自国の発展の追い風にしたいと述べていた。ヨットマンなら誰でも 知っていることだが、海が時化て突風が吹いているときは――今世界は嵐が吹き荒れている――ヨットの操船はすごく難しいけれども、その代わり操船がうまくいったときには、目的地にずっと早く着ける可能性がある。この点、プーチン訪中は期待を裏切らなかった。】  

 露米関係の危機を背景に、この訪中は、ロシアによる新たなパートナーの模索だと解釈されている。ロシアは、前から宣言していたアジアへの“転回”をいよいよ開始したのであり、ウクライナをめぐる対立は、その触媒になったという訳だ。

 とはいえ、露中接近はロシアにとって必要なので、中国はその資源を利用するために近づけてやったにすぎないとの見方があるが、これは皮相に過ぎよう。中国は自らの政策の基盤を固めるために、相手におとらずロシアを必要としているのだ。

 中国包囲網
 中国は現在の世界情勢に不安感を抱いている。その不吉なシグナルになったのが「アラブの春」だ。強力な海外の勢力が内政不安に付け込むことができる――。こうした非常に危険なモデルとして、中国は「アラブの春」を理解した。ましてや、米国はこれと時を同じくして、アジアでの新政策を宣言したのだから、なおさらだ。見た目の慇懃さにもかかわらず、この政策は、当然、他ならぬ中国抑止を目的としている。

 中国は隣国たちと多くの領土問題を抱えているが、それは長い間「休眠状態」にあった。ところが、それらは今やみんな目を覚まし、もはや局地的な問題のレベルではなくなっている。プーチン大統領が上海を訪れたときはちょうど、中国とベトナムの関係が緊迫し、中国人の避難にまで至った。日本、フィリピンとの関係も緊張している。最近、アメリカのオバマ大統領が太平洋諸国を歴訪した際は――おそらく初めてのことだと思うが――米国は、同盟国の領土問題において、あらゆる手段で援助するとはっきり示唆した。

 中国の内憂外患
 こうした“外患”に加え、中国の発展モデルに関する熱い議論もある。中国経済は減速し、専門家らは好ましからぬ傾向を指摘しているのに、絶えざる急成長こそは、中国の政治体制および共産党の権力基盤の要なのだ。昨年末に開かれた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会では、多くの国内問題が指摘されている。それらの問題の一部は、最近30年以上の絶えざる成長による経済の過熱と関係しており、また別の一部は、社会的、経済的格差の拡大で、国民の大半が置き去りになっていることとかかわっている。こちらの問題も克服されていない。

ウクライナ情勢
 習近平氏は、2012年に国家主席に就任して以来、つまり現在の危機のはるか前から、中露関係を新たなレベルに引き上げたい意向を強調してきた。
 なるほど、中国がウクライナ情勢を警戒しているのは事実だ。中国自身、国内に少なからぬ分離主義の問題を抱えているので(新疆ウイグ ル自治区、チベットなどのほか、台湾との問題もある)、あらゆる国境線の変更には神経質であり、ウクライナ問題でまともにロシアを支持することは期待できない。
 だがそれと同時に中国は、以下の点を強調している。我々は、ウクライナ問題の大本の原因を理解しており、ロシアが米国の長年にわたる旧ソ連圏での政策に対して行動を起こしたことも弁えている、と。

 しかも中国は、米露の対立でロシアが負けることを望まない――それは米国を強めることになるから。米国が近い将来中国の戦略上のライバルになることは必至だと、中国は理解しているのだ。
動機1:グローバルな三国時代
 では、中国をロシアに接近させた具体的動機は何か?
 第一に、グローバルな戦略的均衡の問題がある。中国は、世界における自国と他の国の位置を、3つの超大国――中国、米国、ロシア――からなる“三角関係”を通して見ている。それぞれの角の重要度は、それが他の2角に対してもつ関係による。もし、ある角が、他の一つの角との関係を失うか損なうかすれば、その角は、中国人の観点からすれば弱くなる。なぜなら、第3の角への依存度が増すからだ。

 動機2:地域の安全保障
 第二は地域の安全保障だ。中国の隣国たちが、この国の興隆を背景に自信を失うにしたがい、米国の対中圧力は増していく。ところが、ロシアは(中央アジア諸国をのぞけば)、中国との間に領土問題がない唯一の国だ。だから、中国にとっては“最大限綱領”は、領土問題でロシアの支持を取り付けることだが、これは期待薄で、ロシアは中立的立場をとるだろう。だが、少なくともこれは反中国ではない。

動機3:エネルギー安全保障
 第三に、安定したエネルギー供給だ。中国は伝統的に世界市場に依拠してきたが、世界各地で緊張が高まるにつれ、軍事的、政治的要因も考えざるを得なくなった。ロシアは、仮に深刻な対立がどこかで生じても、米国海軍が輸送ルートを遮断できない唯一の供給元だ。今のところ、こんなシナリオはありそうもないが、近現代史は、何でも起り得ることを再三示してきた。

動機4:世界経済を牛耳る米国
 第四はグローバルな影響力の問題だ。ウクライナ危機は一つ予想外な結果をもたらした。米国は、ロシアに圧力をかけるために、世界市場の機能に介入しようと政治的テコを使った。つまり、ロシアの複数の銀行を国際決済システムから外したり、格付け会社や国際金融機関に働きかけたりした訳だが、中国はこれを看過しなかった。こういうやり方は、米国と深刻な対立に陥った国すべてに適用され得るからだ。したがって、中国はロシアと同じく、世界経済における米国の独占状態を弱めることに関心がある。

 動機5:発展の新たな刺激
 第五は発展の新たな刺激。中国は他の多くの国同様、輸出に依拠しており、国外の状況、景気に左右されるので、絶えず新たな市場を開拓しようとしている。
 一方ロシアはといえば、最近まで、経済的不均衡に陥ることを危惧し、中国からの大規模投資には慎重だった。だが、政治的接近は、こういう経済関係も促すことがある。プーチン訪中はそのことを示した。  
もちろん露中関係は、気楽な散歩にはならない。二つの、隣国同士でそれぞれに帝国的性格を濃厚にもつ巨大な国は、摩擦を起こしたり、 利害を対立させたりすることは避けられない。だがそれは自然なことだ。問題は今対立点がないことで、仮に将来問題が生じたとしても、それに対処するノウハウをもつことである。ロシアは、中国に比して脆弱な経済を政治的な能力と経験で補うことを学んでいかねばならない。この点では、今のところ、ロシアに一日の長がある。
 ≫(ロシアNOW:オピニオン:フョードル・ルキヤノフ、政治学者、外交防衛政策会議議長。)

中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日―一極主義 vs 多極主義
北野 幸伯
草思社


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●「尖閣」と「北方」の価値を考える 北方が価値でも夢でも優っている

2014年05月27日 | 日記
戦争中毒―アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由
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●「尖閣」と「北方」の価値を考える 北方が価値でも夢でも優っている

 ウクライナ大統領選が混乱の中実施され、親米派の富豪ポロシェンコが勝利したことになった。欧米各国は、予定の成り行きに安堵し、一斉に歓迎の意を表している。当然、金魚の糞・日本の政府も同様に歓迎の意を表した。しかし、ウクライナの新大統領が、ウクライナを充分に治めきるには、一番重要な隣国ロシアとの関係が改善しない限り、単なる仲間内の学芸会に過ぎないと云う事実を、マスメディアは明確に伝えるべきである。

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ大統領選挙前に「結果を尊重する」と述べていたが、この発言に関し、ロシアのメディアはプーチンは「我々は、これが(ねつ造される大統領選)何らかの現代のスタンダードに合致していない事を理解しているが『仕方がない、もうあのようにやらせておけ』と黙って見ているのだ」と述べている。プーチンの「ロシアはウクライナ国民の選択を尊重するだろう」という発言だけ、西側メディアは大きく報じているが事実は違う。

 当然、暫定政権を「ネオナチ集団」と理解しているプーチンにとしては、暫定政権のヤッエニュク首相の退任がみられない事から、ウクラナ・ポロシェンコ新政権は「ネオナチ集団」の勢力内にあると判断、選挙の承認を留保した。また、ポロシェンコ新大統領は、ティモシェンコ候補のように、あからさまにNATO加盟を叫ばないが、南部クリミア半島のロシア編入に猛反発している態度を変えない限り、暫定政権時代と変わらない混乱が続くものと思われる。

 東部ドネツクのドネツク空港を巡り、ウクライナ軍と独立を主張する親ロシア勢力が激しい戦闘を繰り広げている。ポロシェンコは親ロシア勢力が独立を宣言した東部での対テロ軍事作戦を強化する方針を表明「効果的かつ短期的に行わねばならない」と宣戦布告した。暫定政権時代からのヤツェニュク首相を続投させた。そのヤツェニュク首相はアメリカお得意の「対テロ作戦」はなんでもOKの手法で、東部ウクライナで展開する親ロシア勢力せん滅作戦に出ている模様。これに対し、ロシアのラブロフはウクライナ新政権による軍事作戦継続は「重大な過ちとなる」と激しく警告している。ロシアの出番が接近してきた臭いも漂う。

 そんな状況下で、以下のアンドレイ・イワノフのコラムを読んでいるうちに、或る疑問が筆者の脳裏をかすめた。それは、最近の日本のナショナリズム喚起の材料は「尖閣諸島」「対中」にかなり限定されているのだが、「尖閣の岩礁」と「北方領土」のどちらの方が日本にとって重要なのだろう、と云う疑問だ。「竹島」に、筆者は興味がない。爆撃してしまえば粉々になるような岩礁なのだから。わが国論陣の中で、「尖閣領土問題」と「北方領土問題」のどちらが重要なのか、と云う比較論的論争が繰り広げられた記憶はない。ありきたりのナショナリストは、馬鹿者、どちらも大切だと答えにならない恫喝を繰り出すだろうが、それは無知蒙昧の争いであり、論じる相手ではないと云うことだ。先ずは、イワノフのコラムを読んでもらおう。

≪ 日本にとってのウクライナという「罠」
先日、菅官房長官は「日本は、ウクライナの新政府が政治的及び経済的改革を実施するのを援助する用意がある」と述べたが、もし日本政府が、ワシントンに追随して、キエフ当局を無条件で支援するなら、日本は、ロシアとの関係を複雑化させるリスクを負うことになる。

ウクライナの選挙の合法性を認める決定を日本が下すのは、公式結果が発表され有権者へ報告がなされた後の事だろうが、菅官房長官は、ウクライナの新政権 は、民主主義的手法によって選出されたと、すでに認めた。恐らく日本政府が、選挙は成立し公正なものだと認める事は、ほとんど疑いない。なぜなら米政府が 「チョコレート王」ペトロ・ポロシェンコ氏を勝利者と見なし、すでに事実上そうしているからだ。  

一連の野党候補者が脅迫や暴力によって選挙戦から排除された事について、ワシントンでは、目を向けない事がよしとされた。ウクライナ南部・東部での選挙キャンペーン中、戦闘 行動が続けられた事に、目をつぶったの同様にだ。しかし先に、キエフ当局からの独立に自主的に賛成した南部・東部の人々は、今回の大統領選挙を単に無視したのだった。

プーチン大統領は、サンクトペテルブルグ国際経済ファーラムで演説に立った際、ウクライナでの選挙をコメントし「我々は、これが何らかの現代のスタンダードに合致していない事を理解しているが『仕方がない、もうあのようにやらせておけ』と黙って見ているのだ」と述べた。

一連の欧米のマスコミは、この発言に目を伏せ「ロシアはウクライナ国民の選択を尊重するだろう」という発言の方を大々的に報道している。

発言を、ロシア大統領が立場を後退させ「より深刻な制裁を避け、欧州との関係を修正するために、あるいは東ウクライナでの暴力行為がコントロールできないものとなったり、国境を越えてロシア領内に飛び火するのではないかとの懸念から危機に終止符を打ちたがっている」証拠として急いで取り上げたのだ。  

しかしロシアが、ウクライナで今後生じるであろう全てを、甘んじて受け入れるだろうというのは、幻想である。残念ながら、そうした幻想は西側の専門家やジャーナリストの頭の中だけでなく、選挙で勝利宣言をしたポロシェンコ氏のもとにもある。彼はすでに「自分はクリミアのロシア再統合を認めない(ウクライナ南部・東部の住民が望んでいるような連邦制では決してなく)中央集権的な一つのウクライナを築く」と言明した。ポロシェンコ氏が、南部・東部住民の意見を考慮に入れることは、恐らくないだろう。東ウクライナ・ドネツク、ルガンスク両州の意向に反し、彼は、EUとの統合路線を続ける考えだ。

また、今回の大統領選挙で敗北したユリヤ・ティモシェンコ元首相も、ウクライナは一日も早くNATOに加盟すべきだと述べている。ウクライナのアンドレイ・デシッツァ外相は、読売新聞のインタビューに答えた中で「ロシアがウクライナのEU加盟を妨害しないよう、我々は米国やEU,そして日本に対し、ロシアへの制裁を続けるよう求める」と述べた。  

こうした事すべては、キエフ当局の非建設的立場が変わっていない事、彼らにはロシアとも又自国の南部・東部住民とも対話する用意の無い事を意味している。  

プーチン大統領は、ペテルブルグ国際経済フォーラムで、欧米による制裁を「全く実りのない逆効果」なもので「国際法や相互利益に合致しない国際関係の進展をロシアに押し付けようと無理強いする」ものだと呼んだ。   

しかし制裁は、それを支持している国々の利益にも合致していない。例えば日本だ。日本は制裁を支持しているが所謂「北方領土問題」を解決したいと欲している。プーチン大統領は、十分な透明さを持って、この奇妙な状況について次のようにコメントした―「我々は最近、驚きを持って、日本が何らかの制裁に加わったと耳にした。おまけによく分からない事に、日本は、領土問題に関する交渉プロセスを一時中止にはしないという。我々はと言えば、交渉の用意はあるが、日本に用意があるのかどうか、今のところ私には、あまり確信が持てない。」  

プーチン大統領は、ロシアを孤立させようとする欧米の試みを、無意味なものだと捉えている。つい先日行われた上海でのプーチン・習近平会談後、ロシアと中国の関係は、新しいレベルへと上がった。それを考えれば、ロシアを孤立させるなどという問題は、実際上「はかない幻想」に過ぎない。
 ≫(ロシアの声:アンドレイ・イワノフ)


 「尖閣諸島領土問題」と云うのは、1968年の海底調査の結果、東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されていると指摘されことで、一時注目を浴びた。しかし、「北方領土問題」に比べれば、一般的には、北方4島に比べれば小さな領土問題であった。中国が勝手に海底油田基地を作った、その油田が日本領海内の油まで吸い取ってしまう程度の話だった。尖閣を中心とする海の漁業問題で争いは絶えなかったが、ここまで領土問題のテーマとして主役に躍り出てくりとは考えにくい地域であり、近時、国益を意味する「核心的利益」だと中国が言わざるを得ない状に至った経緯を思い出しておく必要があるだろう。

 中国にとっては、太平洋進出の核となる海域であり、輸出入の海上ルートとして、軍事作戦遂行のルートとしても、国益上要所だと捉えたのだが、そのように叫ばした布石がある筈である。「尖閣領土の帰属は明確にすべき」が持論だった、当時東京都知事であった石原慎太郎が、突如アメリカのネオコン財団ヘリテージで「都の尖閣買い上げ論」をぶった辺りから異様な盛り上がりになった。ナショナリズムの喚起である。折角、「領有権棚上げ論」で占有していた尖閣諸島領土問題に火をつけた。この石原の火付けに便乗し、油を注いだのが、日本史上最悪の総理と言われる「野田佳彦」である。あろうことか「尖閣の国有化宣言」をしてしまったのである。

 ウクライナ問題における米国の関与は赤裸々なものでEUの腰抜けは当てにならない、もっと単純な暴力を勢力の直接的パワーの方が役立つと云う認識の下に実行された状況が半ば公然となっている。なぜかオバマの陣営と共和党の一部人間の共同作戦である。民主党、共和党の別なく国家の利益のために。ウクライナをNATO化させる必要があったのだろう。大統領選で、オバマを上回る支持を確保していたマケイン共和党候補は敗れたが、敗北宣言の中で、非常に強い心で勝者オバマへの支持をマケイン支持者にも同調を求めた。

 この大きな友情の表現は、マケインの人間の大きさの宣伝には十分だったが、本音がどの辺にあるのかは、充分な解釈がなされた試しはない。ただ、今回のウクライナ問題の火付け役「ネオナチ軍団」をコントロールする器量を発揮した行動が随所に見られる。このマケインの軍事顧問がロバート・ケーガンであることも事実で、そのロバート・ケーガンの妻、ビクトリア・ヌーランドがオバマ政権の国務次官補(欧州・ユーラシア担当)であり、ウクライナのNATO化に積極的役割を演じたのも東側陣営は百も承知だ。

 ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前大統領の追い落としクーデター、暫定政権樹立、ネオナチの監視下、政治を行わせる赤裸々な動きを披露した。ヤヌコーヴィチ追い落とし後は、ブレナン中央情報局(CIA)長官が「ネオナチ軍団」、ヤッエニュク首相に戦略の大筋を理解させる役割を演じたようだ。このCIA長官のウクライナ訪問は隠密裏に行われるべきものだったが、ウクライナの秘密諜報部の多くがロシア育ちで、ロシア諜報部に筒抜け、隠密行動には自ずと限界があった。ウクライナ問題にズッポリ頭から関与していると明示したのが、バイデン米副大統領のウクライナ訪問である。これだけの介在を、半ば公然と繰り広げておきがら、ウクライナ人の自発的選択を重んじるなど、強盗に説教されているようなものである。

 尚、バイデン副大統領の息子はヤヌコーヴィチが掌握していたウクライナ最大の民営天然ガス生産会社、ブリスマ・ホールディングス社の取締役会メンバー兼法律顧問に就くと云う火事場泥棒も演じている。ウクラナ問題が、アメリカの介在なく混乱が起きるわけはなかっただけに、ウクライナ騒乱を煽り立てたのが、誰あろう米国政府である事実は隠しようがない。

 「尖閣諸島領土問題」のクローズアップ、その固有の領土証明競争のようなものから、実質的小競合いが起こるべき状況を用意したのも、アメリカ様である。一部日本の官僚組織も動き、石原のヘリテージ演説から、野田の国有化に至るプロセスにアメリカの介在があったことは、今回のウクライナへの介在を見ても、あったと考えるべきだ。対中包囲が目的なのか、日中の融和が米国の国益に影響するのか、その答えは現時点で今一つ明確ではない。ただ、尖閣に血道を上げる結果、尖閣の何倍もの有効活用が可能な「北方領土問題」が領土問題の二の次にされたのは、わが国の国益に大きな支障を及ぼした。

 この状況で、日ロが「尖閣領土問題」で前向きな緊急接近のリスクも米国は避けることが出来たと思っているだろう。この米国の腐っても鯛でいたい覇権国の穢い死にざまは、後世に名を残すに違いない。しかし、日中にしろ、日ロにしろ、このような赤裸々な介入手段した取り合えなくなった米国と云う国が、覇権力を自然発生的に持ちえた時代の終焉を知らせている。現安倍政権が、このように世界パワーがゲームをしている中で、どの目にチップを重ねるか、安倍晋三の命運が掛かっているのだろう。それにしても、筆者は、尖閣の岩礁の価値と北方4島の価値を同一化させる気には到底なれない。尖閣の岩礁の先には夢がない。北方領土には夢がある。

「領土問題」の論じ方 (岩波ブックレット)
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●アメリカ追随が唯一の日本の選択なのか? ドル基軸通貨の歴史から

2014年05月26日 | 日記
安倍政権の罠: 単純化される政治とメディア (平凡社新書)
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●アメリカ追随が唯一の日本の選択なのか? ドル基軸通貨の歴史から

 米国の軍事戦略家エドワード・ルトワック氏が首相官邸を訪問、持論を展開したようだ。「大丈夫、いずれロシアと中国はいがみ合う。中ロ同盟などは一過性なもの、本質を見誤らないことだ。我々は着々とロシアと中国分断の仕掛けは敷いてある。彼らは、目先の国益で動いているだけで、西側諸国が共通の認識として有する、価値観がない。そこが、彼らBRICSの弱みだ」多分、そのようなことをレクチャーをしたに違いない。ルトワックのようなアメリカンデモクラシーの覇権統治手法は、戦後一貫して変わっていないし、今後も変わりようがないだろう。

 アメリカが、圧倒的経済力と軍事力を保持している状況では、彼らの手法は功を奏していた。裏では、穢い手法にウンザリしながらも、笑って握手をするのが、米国の力に屈服し追随する同盟国や親米周辺国家だった。無論、その多くの国が、米国の独善的態度に辟易し、いつかチャンスがあれば、痛い目に遭わせてやろうと、唇を噛んで耐えていた。サブプライムローン・リーマンショック2008年に起きるのだが、2001年あたりから、米国の実質的経済状況は最悪の状態に陥っていた。その根本的米国経済を荒療治が不動産バブルを発生させる事だった。サブプライムのような金融経済でしか、米国経済を切り盛りすることが出来ず、麻薬の手を出したわけだが、見事にバブルは弾けた。

 本来であれば、バブルのご本尊米国経済が大打撃を受ける筈だったが、狡知なアメリカ金融工学は海を渡った国々に、そのつけ回しシステムを仕掛けておいたので、一番早く経済が持ち直したのには笑ってしまう。彼らの論理から説明すると、世界連鎖的な金融危機をもたらしてしまったわが国としては、基軸通貨国として、その責任を全うするためにも、アメリカ経済をいち早く好転させることで、その経済効果を世界にばら撒くことが責務と考える、と云う奇妙奇天烈なロジックを平気で語るのが、アメリカエリート層の人格なのだ。

 ルトワックは、半分の願望をこめて「中国とロシアが名実ともに親密になることはない」と断言しているようだが、凋落覇権国家の戦略家として、そうならないと困るのだ、と白状したようなものと受けとめて良いだろう。中国はシベリアの資源に色目を使っている。中国の強みは、奇妙な政治体制で受け入れたグローバル経済下の製造工場であり、共産主義な資本主義で飛躍的に経済が発展した。OECDの超長期予想だと、中国は早ければ2016年にGDPで米国を抜き世界一になる可能性があるとしている。筆者は2020年くらいじゃないのかと思うが、特に根拠はない(笑)。

 2013年のGDPランキングは1位米国:16,800、2位中国:9,181、3位日本:4,900、4位独逸:3,636(単位10億ドル)となっている。ちなみに、世界全体のGDP総額は7百40兆ドルなので、米国が22.7%、中国が12.4%、日本が6.6%、ドイツ4.9%となっている。しかし、OECDの予測では4~50年後には、中国が世界のGDPの28%を占め、インドが18%程度になるとしている。中印で世界のGDPの46%を占めるのだから、BRICSの抬頭は紆余曲折を経ても、現実になるのだ。BRICSのすべてが順調に成長するかどうか定かではないが、中印は確実だろう。

 このような、世界的流れの中で、充分に理解しているとも思えない「普遍的価値」なんて言葉を頻発させ、安倍が国民を騙したりするのも、アメリカの詐欺手法の言辞を猿真似をしているのだろう。いずれ、西側先進諸国は成長途上国のBRICSやASEAN諸国の経済に傅かざるを得なくなる。いま、どれ程の軍事力があっても、その保持には異様に金がかかり、国家財政を極度に圧迫する。つまり、物理的限界点があるのである。それだからこそ、無人飛行機による無差別爆撃で、軍隊の派遣に代わる役割を演じさせる等、苦労が絶えない。

 しかし、破竹の進撃の中国主導部の悩みも大きい。共産主義指導体制と資本主義と云う異質な観念の合体なのだから、体制全体が脆いことは確実だ。また、グローバル経済下で一番恩恵を受けた故の経済成長であることを中国共産党は充分理解している。正直、本当に国家なのか、本人たちが疑心暗鬼なのが中国と云う現在の共産国家であるが、中国の歴史においては、大陸の中で、大きな領土変更があり、中国の歴史とは?と一口には語れない複雑さである。

 秦の始皇帝(紀元前200年頃)の時の中国周辺を中国と言うべきか疑問もあるし、モンゴル帝国に支配されていた時期もあるだろう。紀元前2000年まで戻れば、夏や殷、周なんて国もあった。記憶にあるだけでも、漢、晋、隋、唐、宋そして、元、明、清。漸く中華民国・満州国となる。その後、現在の中国(中華人民共和国)が登場するわけなので、中国領域と云うイメージの時代の方が圧倒的に長い。中華人民共和国つまり現在の中国は、中国地域の歴史の中で僅かページを占めている国なのだ。だから、現在の中国はいずれ散り散りばらばらになるかどうかはわからない。ただ、各民族自治区の独立運動が本格的になれば、何が起きるか誰にも予想はつかない。

 現に新疆ウイグル自治区や内モンゴル、チベット、トルキスタンと民族独立問題も抱え、東、南・西シナ海での領土紛争も抱えているのだから、中国共産党主導部の悩みも大きく、OECDの予測通り中国の成長が続くかどうかは、誰にも判らない。このような状況では、出来る限り、仲良くなれる隣国とは争わないスタンスを選択するので、ロシア、韓国、北朝鮮とは争わない関係が当分続くだろう。とても、ルトワックが安倍官邸で講釈を垂れるシベリアの浸食に意欲の中国、なんて話は想定しにくい。自国内の民族問題と太平洋への玄関口獲得で、手一杯だ。アメリカが一番嫌がる(怖がる)同盟関係は、「BRICS+日本」と云う力の結集だ。

 エドワード・ルトワックや長谷川幸洋のような連中こそ、20世紀の遺物の死守に知恵を絞っているわけだが、歴史の流れというものは、国家権力で捻じ曲げようと試みても、鋼のバネのようなもので、一瞬曲げることは出来ても、永遠に抑え込んでおくのは無理と云うものだ。ルトワックや長谷川と逆の立場から語っているPaul Craig RobertsのロシアTODAY―Q&Aコラムが“マスコミに載らない海外記事”のブログで紹介されているので以下に引用する。どちらの立場が将来強くなるかは、人それぞれの思考の問題だ。

≪ ドル基軸通貨の限界

ドル体制外の中国-ロシア・ガス契約が締結されたことで、我々は世界の非ドル化、非アメリカ化の始まりを目にしているのだと元財務事務次官のポール・クレイグ・ロバーツは、RTに語った。
ポール・クレイグ・ロバーツ 2014年5月22日

RT: 多数の欧米の実業家達がサンクト・ペテルブルク経済フォーラムをボイコットしました。彼等は機会を逃すことになるのでしょうか?

ポール・クレイグ・ロバーツ:
アメリカ政府に協調するという象徴的態度にすぎないと思います。大した意味はないと思います。例えば、ドイツの企業は、ロシアとの関係を傷つけたがっては おらず、フランスの企業もそうだろうと思います。ですからこれには大した意味がないと思います。
それよりずっと重要なのは、このフォーラムに参加するアジア諸国の数と、ロシア中国が締結したエネルギー協定、世界が、アメリカの金融覇権から離れてゆくだろうことの兆しだということです。 この大規模エネルギー契約は、ドル体制の外で行われるでしょうから、これは非ドル化の始まり、非アメリカ化の始まりです。
これは、嫌がらせをされ、 欧米の仕組みから仲間外れにされるのに、うんざりして、二大国家のロシアと中国が、戦略的同盟を形成しつつある兆しです。諸国は脅しにうんざりしているの です。それで両国は、新たな方向に向けて動いていて、世界の多くの国々を引き入れるでしょう。
ロシアと強い経済的関係を持っているヨーロッパ諸国は、そうした関係を失いたくはないはずです。 ロシアの東転換の始まりです。これまでロシアは西欧に受けいれられること、アメリカに受けいれられることを目指してきました。WTO加入を認められることを何年も待ち続けてきました。西欧は世界の中で成長する部分ではないのですから、これはロシア側の失敗だったと私は思います。
世界で成長している部分は東です。

RT: アメリカ政府の圧力は、一部の実業家達がフォーラムに参加しなかった理由かも知れませんが、他にも理由はあるのでしょうか?

PR:(ポール・クレイグ・ロバーツ略)
その理由で参加したのです。参加できる機会があれば、参加しなければ、契約できませんから。その意味で不参加はまずい判断です。実際に何ヶ国が参加を取り やめたのか知りませんが。本来ずっと前にそうしているべきであった自前クレジット・カード会社の立ち上げを、ロシアに強いてしまいましたから、アメリカのクレジット・カード会社は、アメリカ政府が言い続けてきた経済制裁によって、ある意味で損をしたと思います。
経済的に安定した国々が、アメリカ金融体制の中で活動し続けること自体、私にとってずっと謎でした。例えば、両国は、アメリカのクレジット・カード会社に依存しています。彼等はアメリカのインターネット企業に依存しており、おかげでNSAに両国をスパイしやすくさせています。
一体なぜ両国が、そのようなアメリカの経済組織への依存を甘受しているのか? 私には全くわかりません。これから自らのインフラを立ち上げるので、アメリカ政府の通信、金融、クレジット・インフラに依存することがなくなりますから、 ある意味で、こうした展開はロシアにとって良いことだと思います。
ですから、この展開はロシアにとっては好都合で、アメリカ政府にとっては不都合なのです。

RT: アジアから、多くの人々がフォーラムに参加するものと期待されています。ロシアとアジアの国々との間で、大型貿易協定が期待できるでしょうか?

PR:
そう思います。全ての国がエネルギーを必要としており、全ての国が欧米のいじめにはうんざりしているのです。欧米の権謀術数や、世界に対する優越感というアメリカ政府の素振りに。オバマ大統領がアメリカは例外的な国家であると宣言したのは昔の話ではありません。
つまり、アメリカが一番、あなた方は二番手だ と。自らが二級だと喜んで認める国民はいませんから、これはBRICSという名前で知られている組織の中に長いこと内在していた変化の始まりだと思います。本当の姿を現わし始めた本物です。

RT: ロシアと中国との結びつきの強化を巡る欧米の懸念は本気だと思われますか?

PR:
はい。非常に強い懸念があります。アメリカ外交政策の教義は、アメリカ政府が他の世界的大国の勃興を防ぐよう要求しています。ここで今やアメリカは、単に 二つの勃興しつつある世界的大国に直面しているわけではなく、アメリカ政府が、両国を軍事基地で包囲していることをいずれも理解して、同盟関係にある二つの大国を相手にしているのです。
アメリカ政府は、バルト諸国や、東ヨーロッパに基地を持っており、アゼルバイジャン、グルジア、ウクライナ内にも入り込む可能性があります。そして中国は、南シナ海経由の船の流れを支配する場に設置されたアメリカの新海軍基地と空軍基地と直面しています。
ですから両国はアメリカ政府が、両国の勃興を妨げるため、両国を封じ込めることを意図していることを理解しており、個別よりも、提携した方が強力になるので、両国は戦略的同盟を形成しているのです。そして、これをアメリカ政府は大いに懸念しています。
アメリカはやりすぎで、アメリカは、ロシアの協力を受け入れるべきで、中国の勃興を一種の脅威と見なすべきではない、と私は思います。しかし、アメリカは、両国を悪魔化するという間違いをおかし、この二国の勃興を妨害したり、遅らせたりするようなやり方で動こうとしています。
そこで、本格的な戦争を引き起こす可能性があるので、これは世界にとって非常に深刻な状態です。

*本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。 ≫ロシアTODAY


 ウクライナ大統領選が曲がりなりにも成立した?選ばれたポロシェンコ新大統領はEU加盟に前向きな東部出身の富豪だが、政治力は不明。親欧米路線の人物で、傀儡政権になるであろうから、容易にウクライナ情勢を収束させることは困難だろう。東部、南部のロシア系住民との話し合いもさることながら、暫定政権内で暴力的に先鋭化した右派勢力及びネオナチ勢力のコントロールが出来なければ、新政権も短い命になるだろう。また、25日に行われた欧州議会選挙の投票率が43%と低調で、極右勢力が大躍進。反EU勢力の抬頭も見逃せない。この欧州議会そのものが、EU各国政府の政策に直接影響は及ぼさないが、共同体意志の母体に極右が台頭したことは、EUの崩壊とか、NATOの弱体化など、EUの先行きにも暗雲が立ちこめている。

日本は戦争をするのか――集団的自衛権と自衛隊 (岩波新書)
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●アメリカ教信者、長谷川幸洋 正論を、馬鹿と罵る大馬鹿野郎

2014年05月25日 | 日記
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●アメリカ教信者、長谷川幸洋 正論を、馬鹿と罵る大馬鹿野郎

 筆者の長谷川幸洋への誹謗中傷も飽きられただろうから、ぼろ糞言うのはやめておく。ただ、長々とコラムを書いているので、紹介しておく。筆者の感想は“見出し”だけで充分。お後は皆様のお好み次第で、煮て食おうが、焼いて食おうが自由です。勿論、無視する手もあります。今夜は昨夜の徹夜がたたって、もう限界、引用のみで手抜きさせて頂きます。

≪ 中国とロシアの急接近で世界は流動化。集団的自衛権の行使容認を「戦争に巻き込まれる」と反対している場合ではない
中国とロシアの連携が急速に進んでいる。中国もロシアも「力による現状変更」を実践している国際秩序への挑戦者だ。両国はともに国連安全保障理事会で拒否権を持つ常任理事国でもある。ということは、両国が国際法に違反しても国連は制裁できない。事実上、国連は無力である。

 鮮明になった中国の野心
この両国が連携し、これから事実上の同盟関係にまで発展するとなると、世界情勢への影響は計り知れない。ロシアによるクリミア侵攻からわずか2か月で世界情勢は猛烈な勢いで急展開している。いま日本が立っている地点は、そういう局面だ。

中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は5月20日、上海で会談し「他国への内政干渉や一方的な制裁に反対する」との内容の共同声明を出した。戦勝70周年行事を合同で開催することでも合意した。これは「ドイツのファシズムと日本の軍国主義」に対する両国の勝利を祝う趣旨であり、当然ながら、とくに中国は日本を念頭に置いている。

続いて同夜には、同じ上海で開かれたアジア相互協力信頼醸成会議(CICA)で習主席が基調講演し「アジアの安全保障はアジアの人々が守る」という趣旨の「新しいアジア安全観」を唱えた。これは「中国主導でアジア安保秩序を構築していく」という宣言だ。言い換えれば「米国の好き勝手にはさせないぞ」という話である。

アジア相互協力信頼醸成会議(CICA)とは聞き慣れないが、カザフスタンのナザルバエフ大統領が1992年の国連総会で創設を提唱した。99年に15ヵ国で発足し、現在は中ロはじめパキスタン、イラン、トルコ、韓国、イスラエルなど26カ国が加盟している。

日本や米国はオブザーバーの立場だ。中国の脅威にさらされているベトナムは加盟しているが、フィリピンやマレーシア、インドネシア、それからロシアと対立しているウクライナもオブザーバーにとどまっている。報道によれば、ベトナムの国家副主席は会議で中国の名指しを避けながらも、南シナ海での衝突事件を念頭に中国をけん制する発言をした、という。 中国は首脳会談でロシアと接近しただけでなく、プーチン大統領も出席した国際会議で中国主導の秩序構築を目指す考えを高らかに宣言した。いまや中国の野心は鮮明である。

 アメリカは中国に弱腰
習主席は昨年6月、オバマ米大統領との会談で「太平洋は米中両国を受け入れるのに十分に広い」と訴えて事実上、米中による太平洋の縄張り分割を提案した。オバマはこのとき「日本が米国の同盟国であるのを忘れるな」と反撃したが、その5ヵ月後に中国が一方的に防空識別圏を設定すると、米国は識別圏の撤 回を求めなかった。

それどころか、翌月には訪中したバイデン副大統領が「米国と中国は世界でもっとも重要な二国間関係である」として「新しい形の(米中)大国関係」を呼びかけた。この「新型大国関係」という用語と発想は、もともと中国が提唱したものだ。

中国に対する米国の宥和的姿勢が見え始めていたところへ、ロシアがクリミア半島に侵攻した。欧米は経済制裁をしたが、それ以上の手段は手詰まりになって、 クリミアは実質的にプーチンの手中に落ちてしまった。これをみた中国が南シナ海で大胆な行動に出る。ベトナムの巡視船への体当たりである。

米国は中国の行動を口で批判はしたが、それ以上、軍事はもとより効果的な経済制裁オプションをとる姿勢は見えない。そういう中で、今回のプーチンと習近平の首脳会談、そしてCICAでの習演説という流れである。

私は5月18日放送の「たかじんのそこまで言って委員会」で「日本にとって悪夢のシナリオは中国とロシアが手を握ることだ」と話したばかりだ。だが、1週間も立たないうちに、悪夢が現実になって動き出している。予兆はあった。 プーチンは3月18日の演説で、クリミア問題でロシアの立場に理解を示した中国に言及し「感謝している」と述べていた。中国はこれに呼応するように、同月27日の国連総会でクリミアの住民投票無効を指摘した総会決議を棄権した(4月4日公開コラム)。

新疆ウィグル自治区の独立問題を抱える中国は、たしかにクリミア問題で微妙な立場にあるが、基本的には米欧と対立するロシアと連携しようとしているのは明白だ。中国はこれからロシアとの2国間関係を強め、CICAのような日米欧抜きのフォーラムも使って、自前のアジア秩序構築に全力を傾けるだろう。「新しい勢力図」を早く描こうとするのだ。

 「巻き込まれ論」のばかばかしさ
戦後世界の基軸を支えてきた米国の力が弱まり、曲がりなりにも国際秩序を形成してきた国連が無力化すると、こうも早く世界が流動化するのかと思う。 だが、驚いてばかりはいられない。米国でもオバマ大統領の指導力に疑問符が投げかけられているが、日本は日本で新たな状況への対応策を急ぐ必要がある。

まずは尖閣諸島防衛に関するグレーゾーン事態への対応と集団的自衛権の行使容認である。そこで反対派に根強く残る「日本が戦争に巻き込まれる」論について、あらためて、そのばかばかしさを書いておきたい。

この手の反対論はいまに始まった話ではない。1960年に岸信介首相が日米安保条約を改定した時も左翼勢力は同じ議論をして大反対した。まさに「歴史は繰り返す」だ。

まず、政府の立場はどうか。5月2日公開コラムで書いたように、政府は1960年に日米安保条約を改定したときから、事実上「基地は日本防衛だけでなく、朝鮮半島有事でも米軍が使うのを認める」立場である。その姿勢は後方支援を盛り込んだ周辺事態法で一層、強化された。

そこで北朝鮮が韓国に侵攻するとどうなるか。米国は韓国と相互防衛条約を結んでいるから当然、防衛に出動する。どこから? 日本の基地からだ。日本は建前として基地使用について事前協議を求めるだろうが、日本の答えは最初から「イエス」である。

すると北朝鮮は日本をどうみるか。当然、敵視する。だから日本を攻撃してもおかしくない。これが「日本が巻き込まれる事態」である。では、日本が巻き込まれないためにはどうしたらいいか。根本的には、日本が米軍の基地使用を断るしかない。
新聞やテレビは日本海で米艦船を支援すれば巻き込まれる、などと大騒ぎしているが、根本は日本が米軍の基地使用を認めるかどうかなのだ。そこを争点にしなければ、反対派の主張は首尾一貫せず、問題の核心にも迫れない。 彼らは米軍基地の存在をどう考えているのか。もしも「日本防衛には必要だが極東防衛には必要ない」というなら、極東防衛は安保条約にちゃんと明記されているのだから、日米安保条約そのものに反対しなければならない。

逆に、日本の基地は極東防衛にも必要で米軍の使用を認めてもいいと考えるなら、巻き込まれる事態が前提になるから、論理が破綻してしまう。

日米同盟を強化すれば「巻き込まれる」危険は減る

基地使用を認めるだけでなく、集団的自衛権の行使容認で日米同盟を強化すると、どうなるか。実は反対派の主張とは正反対に、かえって戦争に巻き込まれる危険は少なくなる。

なぜかといえば、北朝鮮は「韓国を攻撃すると、米国だけでなく日本も相手にしなければならなくなる」と計算する。つまり彼らにとって勝利のハードルが高くなる。それが抑止力の本質である。

逆に「日本だけが安全であればいいから、極東防衛に基地は使わせない」という政策を採用すると、北朝鮮にとっては戦争のコストが安くなる。だから冒険を犯す誘惑が強くなる。 左翼政策が実現した結果「米軍は日本の基地を使えない」と分かれば、その瞬間に北朝鮮は絶好のチャンスとみて戦争を始めるかもしれない。1950年の朝鮮戦争は米国の国務長官が朝鮮半島は米国の防衛線の範囲外と示唆したことが一因となって、北朝鮮の攻撃を誘発した。

北朝鮮だけでなく、対中国でも基本的には同じである。日本が米国と足並みをそろえて中国の乱暴な行為をけん制することによって、中国が日本の尖閣諸島に手を突っ込む危険性が少なくなる。

安保改定から半世紀以上が過ぎた。巻き込まれ論者はもういい加減に、戦争と紛争のダイナミクスを学ぶべきだ。 ≫現代ビジネス:ニュースの深層・長谷川幸洋)


 碌なコラムじゃないと思いながら読んだが、酷い。これが、自称ジャーナリスト論を口走る男かと思ううんざりだ。この男の場合の一番の問題点は、哲学と歴史観が欠けていることだろう。このような総会屋のような評論家が跋扈するのだから、手におえない。田原総一朗の方がまだマシだと言えるくらい、酷いのだ。東京新聞は、そろそろ嘱託長谷川幸洋との契約を破棄すべきだ。1年以上前から、中国とロシアの結びつきは自明だった。数か月前に予想して、当たったとは、バカじゃなかろうか。

 アメリカの力が相対的に落ち目になった場合、覇権国の立場を維持することは自殺行為であり、死期を一層はやめる。その無駄な抵抗に拘るアメリカに追随することが、日本の国益だとのたまう。腐っても鯛の発想だ。たしかに、落ち目とはいえども、まだまだ世界一の戦争国家だし、軍事力も充分だ。しかし、長谷川は、毛利家と心中しようとする馬鹿者同様な思考停止から抜け出られず、ああでもない、こうでもないと言っているが、目の前の事実すら、認めているのに、そうならないように抗おうとしている。こういう問題は歴史の必然もあるので、抗うだけ無駄だ。

 今さらアメリカ追随こそ、わが命と思って論を張ってきただけに“いまさら宗旨替え”は出来ないと云うことだろう。まぁ長谷川がアメリカちゃんと心中するのは勝手だが、関係のない奴まで巻き込む言論には、一応噛みついておこう。いま、我々は20世紀から21世紀の歴史のはざまにいる。長谷川も、それを知っているから、アメリカにもっとくっ付こうと主張している。アメリカに追随して、長谷川が死ぬ時までは、“腐っても鯛”だと思う。しかし、論を張る以上、せめて100年単位の戦略を語るべきであり、目と鼻の先の利益を核に据えて、知ったような口を利かれると、本当に腹が立つ。

 100年後のアメリカはどうなっている?中国はどうなっている?中露の同盟関係が成長したとき、それでもアメリカに義理を果たすのか?個人のレベルなら、それは長谷川の勝手だ。しかし、マスコミに顔を出し、ポスト田原総一朗風を演じるのであれば、それなりの責任はあるだろう。北朝鮮の威嚇がどうこう、尖閣を中国に盗まれる!そんな近視眼で、物事が論じられるほど容易な世界ならいざ知らず、混沌が愈々鮮明になってきていると云うのに、ディズニーワールド一本槍は拙かろう。もうひと捻りしたコラムくらい書けよ。気の利いた高校生レベルには、嫌になってしまう。随所に突っ込みどころはあったが、もう悪口はやめて寝る。

亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠
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●「原発差し止め訴訟」判決 最高裁でも覆し難い論旨に注目

2014年05月24日 | 日記
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●「原発差し止め訴訟」判決 最高裁でも覆し難い論旨に注目

 小泉元総理も唸った福井地裁樋口英明裁判長の判決文。原発の是非に関する議論の課題の誤りを指摘し、国益や国民の安寧にまで言及した判決文は、日本の司法にあって異質な面もあるが、“事情判決”なるものが徹底して行われてきた日本の司法の曖昧さに、警鐘を鳴らしてもいる。法に則り、しかし事情判決と云う超法規な狼藉もせずに、この判決至る過程の中で、国富の概念の神髄をついている部分は画期的だ。最近よく耳にする“幸福度”と云う価値尺度が思い出される。小泉元総理が論評するような「常識的判決」以上のものがこの判決にはある。この判決の性格は、以下の部分に如実に表れている。

 判決の中で、樋口裁判長は
「人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊か な国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」
と論破している下りは、哲学者の境地を思わせる。日本の司法において、ある意味で最も欠如しているものに踏み込んだ点は、驚くべき部分もある。

 判決文の「原子力発電所の稼働は、法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである」ここが、この判決を書く当たっての福井地裁の立ち位置である。人格権は、経済合理性追求の権利の上位に存在するものだから、上位の規範を侵してはならないと云うことだ。経済合理性優位、国富をマネーと云う価値にしか置き換えられない20世紀的普遍の信仰で裁判を行う惰性的流れを押しとどめ、21世紀的な法の運用を考える契機になり得る判決であろ。

 検察の原発訴訟に対する姿勢が、あまりにも秩序維持(既得権益擁護)に傾き“起訴裁量権”の濫用を行い、原発被害者に救いの手を差し伸べようとしなかった経緯と対照的な樋口裁判長の判断だ。筆者は、以前のコラムでも言及しているが、ここ半年くらいの間に、盤石と思えた司法トライアングルに皹が入ったのではないかと予感している。その“皹”がどのようなものか定かではないが、裁判所が、検察と蜜月(今までは起訴権を持つため、実質起訴イコール有罪)の関係にあり、検察が、判決を決定していたような事実関係があった。しかし、警察や検察の質の劣化が目立ち始め、このままの流れを継続することは、裁判所にとっては、検察との無理心中につき合わされかねないと考えても不思議ではない。

 筆者の、上述のような異変が、最高裁を含めた司法に共通の認識であれば、“世界一の安全基準”などと云う信用に当たらない基準に合致しているから“安全”などと言えるわけがない。おそらく、今回作り上げた安全基準も、誤謬のベースをそのままにして、その末節を弄繰り回したのだから、新たな基準を作ったとは言い難い。また、個別の訴訟における瑕疵への言及も厳しく、想定地震がどの程度の規模のものか、常に想定外の地震規模が起きている、と手厳しい。また、福島における事故の原因が確定せず、地震による破損と津波による破損の調査結果にも曖昧さが残る。ある意味で、安倍官邸の原発政策への対応は、法的になんら担保するものがない、と暗に語っているところが凄い。以下は、大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨全文である。


【 大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨
主文
1  被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2  別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。

理由
1 はじめに
 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。  
個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、 格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する 性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

2 福島原発事故について
 福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名が その命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。
 年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、 今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断す’ることはできないというべきである。

3 本件原発に求められるべき安全性
(1)  原子力発電所に求められるべき安全性  1、2に摘示したところによれば、原子力発電所に求められるべき安全性、信頼性は極めて高度なものでなければならず、万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない。
 原子力発電所は、電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが、原子力の利用は平和目的に限られている から(原子力基本法2条)、原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上 は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ、大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。このことは、土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら、侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば、侵害者の過失の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことなく請求が認められていることと対比しても明らかである。
 新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから、新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり、危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては、本件原発において、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。

(2)  原子炉規制法に基づく審査との関係
 (1)の理は、上記のように人格権の我が国の法制における地位や条理等によって導かれるものであって、原子炉規制法を はじめとする行政法規の在り方、内容によって左右されるものではない。したがって、改正原子炉規制法に基づく新規制基準が原子力発電所の安全性に関わる問題のうちいくつかを電力会社の自主的判断に委ねていたとしても、その事項についても裁判所の判断が及ぼされるべきであるし、新規制基準の対象となっている 事項に関しても新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく、(1)の理に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる。
4 原子力発電所の特性
 原子力発電技術は次のような特性を持つ。すなわち、原子力発電においてはそこで発出されるエネルギーは極めて膨大であるため、運転停止後においても電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならず、その間に何時間か電源が失われるだけで事故につながり、いったん発生した事故は時の経過に従って拡大して行くという性質を持つ。このことは、他の技術の多くが運転の停止という単純な操作によって、その被害の拡大の要因の多くが除去されるのとは異なる原子力発電に内在する本質的な危険である。
 したがって、施設の損傷に結びつき得る地震が起きた場合、速やかに運転を停止し、運転停止後も電気を利用して水によって核燃料を冷却し続け、万が一に異常が発生したときも放射性物質が発電所敷地外部に漏れ出すことのないようにしなければならず、この止める、冷やす、閉じ込めるという要請はこの3つがそろって初めて原子力発電所の安全性が保たれることとなる。仮に、止めることに失敗するとわずかな地震による損傷や故障でも 破滅的な事故を招く可能性がある。福島原発事故では、止めることには成功したが、冷やすことができなかったために放射性物質が外部に放出されることになった。また、我が国においては核燃料は、五重の壁に閉じ込められているという構造によって初めてその安全性が担保されているとされ、その中でも重要な壁が堅 固な構造を持つ原子炉格納容器であるとされている。しかるに、本件原発には地震の際の冷やすという機能と閉じ込めるという構造において次のような欠陥があ る。

5 冷却機能の維持について
(1) 1260ガルを超える地震について
 原子力発電所は地震による緊急停止後の冷却機能について外部からの交流電流によって水を循環させるという基本的なシステムをとっている。1260ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊し、非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり、メルトダウンに結びつく。この規模の地震が起きた場合には打つべき有効な手段がほとんどないことは被告において自認しているところである。
 しかるに、我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象であるから、その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないのであって、仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに頼らざるを得ない。確かに地震は太古の昔から存在し、繰り返し発生している現象ではあるがその発生頻度は必ずしも高いものではない上に、正確な記録は近時のものに限られることからすると、頼るべき過去のデータは極めて限られたものにならざるをえない。したがって、大飯原発には1260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である。むしろ、①我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震に おける4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること、②岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震であること、③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること、④この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の 我が国において最大というものにすぎないことからすると、1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。

(2) 700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震について
ア 被告の主張するイベントツリーについて  被告は、700ガルを超える地震が到来した場合の事象を想定し、それに応じた対応策があると主張し、これらの事象と対 策を記載したイベントツリーを策定し、これらに記載された対策を順次とっていけば、1260ガルを超える地震が来ない限り、炉心損傷には至らず、大事故に至ることはないと主張する。
 しかし、これらのイベントツリー記載の対策が真に有効な対策であるためには、第1に地震や津波のもたらす事故原因につながる事象を余すことなくとりあげること、第2にこれらの事象に対して技術的に有効な対策を講じること、第3にこれらの技術的に有効な対策を地震や津波の 際に実施できるという3つがそろわなければならない。

イ イベントツリー記載の事象について  深刻な事故においては発生した事象が新たな事象を招いたり、事象が重なって起きたりするものであるから、第1の事故原因につながる事象のすべてを取り上げること自体が極めて困難であるといえる。

ウ イベントツリー記載の対策の実効性について  また、事象に対するイベントツリー記載の対策が技術的に有効な措置であるかどうかはさておくとしても、いったんことが起きれば、事態が深刻であればあるほど、それがもたらす混乱と焦燥の中で適切かつ迅速にこれらの措置をとることを原子力発電所の従業員に求めることはできない。特に、次の各事実に照らすとその困難性は一層明らかである。
 第1に地震はその性質上従業員が少なくなる夜間も昼間と同じ確率で起こる。突発的な危機的状況に直ちに対応できる人員がいかほどか、あるいは現場において指揮命令系統の中心となる所長が不在か否かは、実際上は、大きな意味を持つことは明らかである。
 第2に上記イベントツリーにおける対応策をとるためにはいかなる事象が起きているのかを把握できていることが前提になるが、この把握自体が極めて困難である。福島原発事故の原因について国会事故調査委員会は地震の解析にカを注ぎ、地震の到来時刻と津波の到来時刻の分析や従業員への聴取調査等を経て津波の到来前に外部電源の他にも地震によって事故と直結する損傷が生じていた疑いがある旨指摘しているものの、地震がいかなる箇所にどのような損傷をもたらしそれがいかなる事象をもたらしたかの確定には至っていない。一般的には事故が起きれば事故原因の解明、確定を行いその結果 を踏まえて技術の安全性を高めていくという側面があるが、原子力発電技術においてはいったん大事故が起これば、その事故現場に立ち入ることができないため 事故原因を確定できないままになってしまう可能性が極めて高く、福島原発事故においてもその原因を将来確定できるという保証はない。それと同様又はそれ以上に、原子力発電所における事故の進行中にいかなる箇所にどのような損傷が起きておりそれがいかなる事象をもたらしているのかを把握することは困難である。
 第3に、仮に、いかなる事象が起きているかを把握できたとしても、地震により外部電源が断たれると同時に多数箇所に損傷が生じるなど対処すべき事柄は極めて多いことが想定できるのに対し、全交流電源喪失から炉心損傷開始までの時間は5時間余であり、炉心損傷の開始からメ ルトダウンの開始に至るまでの時間も2時間もないなど残された時間は限られている。
 第4にとるべきとされる手段のうちいくつかはその性質上、緊急時にやむを得ずとる手段であって普段からの訓練や試運転にはなじまない。運転停止中の原子炉の冷却は外部電源が担い、非常事態に備えて水冷式非常用ディーゼル発電機のほか空冷式非常用発電装置、電源車が備えられているとされるが、たとえば空冷式非常用発電装置だけで実際に原子炉を冷却できるかどうかをテストするというようなことは危険すぎてできようはずがな い。
 第5にとるべきとされる防御手段に係るシステム自体が地震によって破損されることも予想できる。大飯原発の何百メート ルにも及ぶ非常用取水路が一部でも700ガルを超える地震によって破損されれば、非常用取水路にその機能を依存しているすべての水冷式の非常用ディーゼル発電機が稼動できなくなることが想定できるといえる。また、埋戻土部分において地震によって段差ができ、最終の冷却手段ともいうべき電源車を動かすことが 不可能又は著しく困難となることも想定できる。上記に摘示したことを一例として地震によって複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり故障したりすることは機械というものの性質上当然考えられることであって、防御のための設備が複数備えられていることは地震の際の安全性を大きく高めるものでは ないといえる。
 第6に実際に放射性物質が一部でも漏れればその場所には近寄ることさえできなくなる。
 第7に、大飯原発に通ずる道路は限られており施設外部からの支援も期待できない。

エ 基準地震動の信頼性について
 被告は、大飯原発の周辺の活断層の調査結果に基づき活断層の状況等を勘案した場合の地震学の理論上導かれるガル数の最 大数値が700であり、そもそも、700ガルを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する。*しかし、この理論上の数値計算の正当性、正確性について論じるより、現に、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来しているという事実を重視すべきは当然である。地震の想定に関しこのような誤りが重ねられてしまった理由については、今後学術的に解決すべきものであって、当裁判所が立ち入って判断する必要のない事柄である。これらの事例はいずれも地震という自然の前における人間の能力の限界を示すものというしかない。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわらず、被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。

オ 安全余裕について
 被告は本件5例の地震によって原発の安全上重要な施設に損傷が生じなかったことを前提に、原発の施設には安全余裕ないし安全裕度があり、たとえ基準地震動を超える地震が到来しても直ちに安全上重要な施設の損傷の危険性が生じることはないと主張している。
 弁論の全趣旨によると、一般的に設備の設計に当たって、様々な構造物の材質のばらつき、溶接や保守管理の良否等の不確定要素が絡むから、求められるべき基準をぎりぎり満たすのではなく同基準値の何倍かの余裕を持たせた設計がなされることが認められる。このように設計した場合でも、基準を超えれば設備の安全は確保できない。この基準を超える負荷がかかっても設備が損傷しないことも当然あるが、それは単に上記の不確定要素が比較的安定していたことを意味するにすぎないのであって、安全が確保されていたからではない。したがって、たとえ、過去において、原発施設が基準地震動を超える地震に耐えられたという事実が認められたとしても、同事実は、今後、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しても施設が損傷しないということをなんら根拠づけるものではない。

(3) 700ガルに至らない地震について
ア 施設損壊の危険
 本件原発においては基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあると認められる。

イ 施設損壊の影響
 外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第1の砦であり、外部電源が断たれれば非常用ディーゼル発電機に頼らざるを得なくなるのであり、その名が示すとおりこれが非常事態であることは明らかである。福島原発事故においても外部電源が健全であれば非常用ディーゼル発電機の津波による被害が事故に直結することはなかったと考えられる。主給水は冷却機能維持のための命綱であり、これが断たれた場合にはその名が示すとおり補助的な手段にすぎない補助給水設備に頼らざるを得ない。前記のとおり、原子炉の冷却機能は電気によって水を循環させることによって維持されるのであって、電気と水のいずれかが一定時間断たれれば大事故になるのは必至である。原子炉の緊急停止の際、この冷却機能の主たる役割を担うべき外部電源と主給水の 双方がともに700ガルを下回る地震によっても同時に失われるおそれがある。そして、その場合には(2)で摘示したように実際にはとるのが困難であろう限られた手段が効を奏さない限り大事故となる。

ウ 補助給水設備の限界  このことを、上記の補助給水設備についてみると次の点が指摘できる。緊急停止後において非常用ディーゼル発電機が正常に機能し、補助給水設備による蒸気発生器への給水が行われたとしても、①主蒸気逃がし弁による熱放出、②充てん系によるほう酸の添加、③余熱除去系による 冷却のうち、いずれか一つに失敗しただけで、補助給水設備による蒸気発生器への給水ができないのと同様の事態に進展することが認められるのであって、補助給水設備の実効性は補助的手毅にすぎないことに伴う不安定なものといわざるを得ない。また、上記事態の回避措置として、イベントツリーも用意されてはいるが、各手順のいずれか一つに失敗しただけでも、加速度的に深刻な事態に進展し、未経験の手作業による手順が増えていき、不確実性も増していく。事態の把握の困難性や時間的な制約のなかでその実現に困難が伴うことは(2)において摘示したとおりである。

エ 被告の主張について
 被告は、主給水ポンプは安全上重要な設備ではないから基準地震動に対する耐震安全性の確認は行われていないと主張するが、主給水ポンプの役割は主給水の供給にあり、主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿であって、そのことは被告も認めているところである。安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして、それにふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると 考えられる。このような設備を安全上重要な設備ではないとするのは理解に苦しむ主張であるといわざるを得ない。

(4) 小括
 日本列島は太平洋プレート、オホーツクプレート、ユーラシアプレート及びフィリピンプレートの4つのプレートの境目に位置しており、全世界の地震の1割が狭い我が国の国土で発生する。この地震大国日本において、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。

6 閉じ込めるという構造について(使用済み核燃料の危険性)
(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況  原子力発電所は、いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、その構造は堅固なものでなければならない。
 そのため、本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納容器の中に存する。他方、使用済み核燃料は本件 原発においては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており、その本数は1000本を超えるが、使用済み核燃料プー ルから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。

(2) 使用済み核燃料の危険性
 福島原発事故においては、4号機の使用済み核燃料プールに納められた使用済み核燃料が危機的状況に陥り、この危険性ゆえに前記の避難計画が検討された。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち、最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると、強制移転を求めるべき地域が170キロメートル以遠にも生じる可能性や、住民が移転を希望する場合にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250キロメートル以遠にも発生する可能性があり、これらの範囲は自然に任せておくならば、数十年は続くとされた。

(3) 被告の主張について  被告は、使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はないとするが、以下のとおり失当である。
ア 冷却水喪失事故について
 使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水状態が保てなくなるのであり、その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷却水の配管破断の場合と大きな違いはない。*福島原発事故において原子炉格納容器のような堅固な施設に甲まれていなかったにもかかわらず4号機の使用済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至らなかったこと、あるいは瓦礫がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が大きな損傷を被ることがなかったことは誠に幸運と言うしかない。使用済み核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に 対して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられているということができる。

イ 電源喪失事故について
 本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3日を経ずして冠水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず、全交流電源喪失から3日を経ずして危機的状態に陥いる。そのようなものが、堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。

(4) 小括
 使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ、使用済み核燃料を閉じ込めておくため の堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故は めったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。

7 本件原発の現在の安全性
 以上にみたように、国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると、本件原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆 弱なものであると認めざるを得ない。

8 原告らのその余の主張について
 原告らは、地震が起きた場合において止めるという機能においても本件原発には欠陥があると主張する等さまざまな要因による危険性を主張している。しかし、これらの危険性の主張は選択的な主張と解されるので、その判断の必要はないし、環境権に基づく請求も選択的なものであるから同請求の可否についても判断する必要はない。
 原告らは、上記各諸点に加え、高レベル核廃棄物の処分先が決まっておらず、同廃棄物の危険性が極めて高い上、その危険性が消えるまでに数万年もの年月を要することからすると、この処分の問題が将来の世代に重いつけを負わせることを差止めの理由としている。幾世代にもわたる後の人々に対する我々世代の責任という道義的にはこれ以上ない重い問題について、現在の国民の法的権利に基づく差止訴訟を担当する裁判所に、この問題を判断する資格が与えられているかについては疑問があるが、7に説示したところによるとこの判断の必要もないこととなる。

9 被告のその余の主張について
 *他方、被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが 国富の喪失であると当裁判所は考えている。
 また、被告は、原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。


10 結論
 以上の次第であり、原告らのうち、大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者(別紙原告目録1記載の各原告)は、本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、これらの原告らの請求を認容すべきである。

福井地方裁判所民事第2部
 裁判長裁判官 樋口英明    
 裁判官 石田明彦    
 裁判官 三宅由子  】

注:判決文要旨の中における太字は筆者によるポイントを示すためのもの


 十分に読み込んでみると、この判決要旨が情緒的だとか、科学的根拠がない等と言える部分はない。哲学的見地は若干あるようにもみえるが、許容の範囲だ。逆に、この判決要旨に反駁を加えることは非常に困難な事態を、日本の原子力行政、関連企業は抱えたことになる。仮に、高裁、最高裁に控訴されるとしても、樋口裁判長らの論旨を覆す判決文を書くのは、相当に困難だ。そして、万が一、福島以外の原発において過酷事故でも起きようものなら、上級裁の“事情判決”は、徹底的に世論と対立することになり、最高裁事務総局の荒業も難しい選択を迫られる。筆者は、この判決文を読み、地裁レベルで、国富の概念まで登場する、壮大な判決が書けるのか、多少の疑問を抱いている。つまり、最高裁事務総局のお墨付きが存在している可能性も感じる。

 そのようなシナリオがあるとすれば、日本司法の総本山である米国の意向も反映している可能性もあるだろう。前述したように、警察、検察との“なあなあな関係”の継続で、裁判所の最高法規の番人と云う地位が、国民から疑われる事を忌避する自己保全かもしれない。しかし、いずれにしても、日本の原子力村に対する挑戦状のような判決であり、この論旨で裁判を指揮すれば、わが国の原発の再稼働は、悉く頓挫する。そういう意味でも、この判決の根拠は手厳しい。ここからは筆者の想像だが、最高裁が、今後は、行政立法の思惑(甘え)と異なる判断をしますよ、と云うメッセージにも見えてくる。将来的には、違憲に関する判断にも、巷の事情におもねる事のない、幾分教条的だが、原理原則を逸脱しない、正義の番人になってくれるかもしれない。期待と云うものは、多にして裏切られるものだが、裏切られようと、希望や期待を持った日々の方が、充実感はある。

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2014年05月23日 | 日記
100年前からの警告 福島原発事故と朝河貫一
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 “菅スダレ”が、筆者の“ゲシュタポ、ゲッペルス”の罵倒に耐えられずに弁明したわけではないが、「吉田調書」は、故吉田氏の遺言だから「吉田元所長を含めヒアリングは公開しない」と強い姿勢で強弁していた。しかし、昨日、ご遺族の意向があれば公開も可能と質問に答えていた。あまりにも多くの批判が集中、自民党内からも異論が噴出した。そのような事情で、理論構成よりも、その場の雰囲気を重用する菅らしい発言が飛び出し、一歩退く姿勢を見せた。

 しかし菅スダレは、「政府としてはやはり故人との信頼関係があるので守らざるを得ない。少なくとも政府としては難しい」と語った。つまり、吉田調書の公開をするには、ご遺族の同意が必要であり、政府としてお願いすることは控えたいと言ってる。しかし、「吉田調書」なるものが、治外法権措置が加えられているとしても、政府事故調のデータがプライベートな調書と断言できる代物かどうか、少なくともスダレに決めてもらうわけにはいかない。菅すだれの言葉じりを捉えれば、故吉田所長のご遺族に、責任を押しつけると云う鬼畜で卑怯な弁明を行ったと言える。

 この菅官房長官の発言を報道している新聞社は、筆者がざっと眺めた限り、朝日新聞だけだった。これが日本の新聞社の矜持だとすると、あまりにも情けない。おそらく、朝日の大スクープに対して、読売、毎日、産経等の社会部記者は、“特オチ”したようなもので、話題にも触れたくなくなっているのだろう。つまり、不貞腐れ「吉田調書」に関して、永遠にほお被りしてしまえ、と云う肝っ玉の小ささなのだろう。あまりにも子供じみている。「故吉田所長の証言に、カクカクシカジカの齟齬アリ」のスクープで名誉挽回する根性もなさそうだ(笑)。

 読売新聞などは、社会政治国際面は、リーク情報や20世紀の常識に頼り過ぎ、スポーツ(読売巨人軍)芸能欄以外は、読むべき紙面がないと云うあり様だが、“トンデモ社説”で、八つ当たりでもするしかないようだ。「大飯原発差し止め訴訟」に関する福井地裁の判決が出たのは知っているが、「再稼働訴訟」なんて言葉は聞いたこともない(笑)。まぁ漢字の読めない読者への心配りに注力した歴史を持つ新聞社だけに、B、C、D層への影響力には、侮れないものがある。しかし、ヤケッパチノ八つ当たり社説で、文学的趣があるのは否めないが、「文明」と云うものの価値を、既得権益層が駆使する「普遍的価値」にあらず、と云う判決文は、歴史に残るものだ。

 不思議でならないが、なぜこのような新聞社(読売新聞)が世界一の発行部数を誇っているのだろうか。まず初めに世界ランキングによると、人口1000人当たりの新聞発行部数が、ルクセンブルグ、スイスに次いで第三位(431部)で、新聞読者数の多い国と云う事情がある。このランキングを眺めると北欧を中心に新聞はよく読まれている。東アジア地域、米国もそこそこ読まれている。アフリカ大陸、南米大陸は、総じて新聞購読者の数は少ない。東欧も新聞購読の習慣は少なく、ルーマニア42部、ウクライナ64部で、上位ランキング国の1割の人々しか、新聞に馴染んでいない。

 つまり、先ずは新聞を読む人が多いと云う前提がある。また、新聞業界は寡占化が顕著で、読売、朝日が両巨頭状態で、毎日、日経が追う展開だが、販売部数に関しては上位二社が独占している。地方紙もあることはあるが、大健闘してるのは中日(東京)新聞くらいのものである。このような統計の数字から、国民の知的レベルを短絡的に推し量るのは、一部では当たるが、一部では外れるので、早とちりしない方がいい。読売、朝日、毎日、産経、日経が全国紙だが、この日本の新聞社をコントロール下におけば、プロパガンダは容易に行えるので、危険思想や統計データのねつ造操作など、超簡単になるのだ。

 安倍晋三や一部識者の主張だと、世界には「普遍的価値」が存在するらしいが、「普遍的」と云う言葉は、“真理”に近いニアンスを持つので、政治的には使ってはいけない言葉である。安倍らが言うところの「普遍的価値」など、賞味期限付きマヤカシの語彙であり、確信的価値のように振舞っているが、100年、200年で変化するものには、普遍性はあり得ない。ところが、このような欺瞞に満ちた言葉のメッセージを、5大全国紙の幹部らと毎月定例的に酒を酌み交わし、親交を深めると同時に、圧力や統制、恫喝を加えることが容易になるのが、日本の新聞事情だと言えるだろう。

 「いまさら、抗えない」と云う「意図的空気」の醸成が容易なので、危険な国民を育てるし、危険な国家になる可能性が高まる。国民総動員体制を構築するのに適したメディアの状況が、日本のマスメディアの重大な欠陥なのである。多くの場合、霞が関が考え出した「記者クラブ」のシステムまで加わるのだから、国民を誤誘導することは、非常に簡単だ。このような馬鹿げたシステムは、霞が関の垂直統制である、中央集権体制をより盤石なものにしてしまう。ゆえに、金太郎飴な記事が散乱し、読者は益々「政府の嘘」に騙されざるを得ない。

 そういう観点から見ていくと、マスメディアが発達していない国の国民は、共同体を通じて情報をキャッチアップせざるを得ない。新聞の購読数が1000人当たり低くても、地域に根差したコミュニティが存在すれば、そのコミュニティにとって、必要な情報はキャッチアップ出来るし、その情報を咀嚼するために、自ら考える力も、自然に身につけるしかなくなる。そこにこそ、地域や個人の意思の自立があるわけで、一概に新聞購読率の低さが、その国の人々の知識や教養と密接に関係していると云うような事はない。

 世界には、それぞれの国が、それぞれの歴史的過程を経て、多様な価値観を生みだしている。それらの価値観に共通するものが見いだせれば、それには普遍性に近いものがあるが、現実の世界では、共通の最大公約項目を見いだせているとは言い難い。インドでは、200紙近い新聞が発行されており、その多くが零細新聞社だが、すべてが個性的である。また、何らかの共同体において、回し読みが日常化し、この記事をどう思うか、と議論する場を提供もする。単に、貧乏だから買えないのだろう、と云ったクダラヌ結論を出すべきではない。まぁコラム上に載せるのも羞恥だが、読売新聞のBCD層に向けた社説を読んでおいてもらおう。このような社説が書けるのが、漢字の読めない層を狙って新聞を発行した「ルビ新聞」の真骨頂である。

 しかし、「読み売り」(読売)とは、まさに“名は体を表す”の典型のようだ(笑)。読売とは、goo辞書によると、≪よみ‐うり【読(み)売り】 江戸時代、世間の出来事を速報した瓦版1枚または数枚刷りの印刷物を、内容を読み聞かせながら売り歩いたこと。また、その人。≫と云うことのようだ。Wikipediaによると、読売の歴史の解説の中に『1874年11月2日 合名会社「日就社」から「讀賣新聞」創刊。初代社長は岐阜県出身の子安峻[3]。創刊当時は漢字によみがなを振った画期的な庶民のための新聞だった。』今も変わらず芸能スポーツ情報に力が入る新聞だが、マーケッティングは正しかったといえる(笑)。


 ≪ 大飯再稼働訴訟 不合理な推論が導く否定判決 読売新聞社説
 「ゼロリスク」に囚われた、あまりに不合理な判決である。
 定期検査のため停止している関西電力大飯原子力発電所3、4号機について、福井地裁が運転再開の差し止めを命じる判決を言い渡した。原発の周辺住民らの訴えを認めたものだ。
 判決は、関電側が主張している大飯原発の安全対策について、「確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに成り立ち得る脆弱なもの」との見方を示し、具体的な危険があると判断した。
 「福島第一原発の事故原因が確定できていない」ため、関電は、トラブル時に事態把握や適切な対応策がとれないことは「明らか」とも一方的に断じた。
 昨年7月に施行された原発の新たな規制基準を無視し、科学的知見にも乏しい。
 判決が、どれほどの規模の地震が起きるかは「仮説」であり、いくら大きな地震を想定しても、それを「超える地震が来ないという確たる根拠はない」と強調した点も、理解しがたい。
 非現実的な考え方に基づけば、安全対策も講じようがない。
 大飯原発は、福島第一原発事故を受けて国内の全原発が停止した後、当時の野田首相の政治判断で2012年7月に再稼働した。順調に運転し、昨年9月からは定期検査に入っている。
 関電は規制委に対し、大飯原発3、4号機が新規制基準に適合しているかどうかの審査を申請している。規制委は、敷地内の活断層の存在も否定しており、審査は大詰めに差し掛かっている。
 別の住民グループが同様に再稼働の差し止めを求めた仮処分の即時抗告審では、大阪高裁が9日、申し立てを却下した。
 規制委の安全審査が続いていることを考慮し、「その結論の前に裁判所が差し止めの必要性を認めるのは相当ではない」という理由からだ。常識的な判断である。
 最高裁は1992年の伊方原発の安全審査を巡る訴訟の判決で、「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」との見解を示している。
 原発の審査に関し、司法の役割は抑制的であるべきだ、とした妥当な判決だった。各地で起こされた原発関連訴訟の判決には、最高裁の考え方が反映されてきた。
 福井地裁判決が最高裁の判例の趣旨に反するのは明らかである。関電は控訴する方針だ。上級審には合理的な判断を求めたい。 ≫(The Yomiuri Shimbun )


 安冨歩氏が読売の社説を読んでツイートしていた。 『こりゃすごい。あまりにも不合理な社説に、呆気にとられる。あとで、分析する。』だそうであるが、科学的根拠に乏しいのは読売の社説の方であり、文明と云うものへの理解があまりにも酷薄だ。筆者も後日、福井地裁の判決文をじっくり読んで、読売の社説の軽佻浮薄をあらためて指摘しよう。本日はこの辺で失礼。おそらく、読売の歴史に残る、迷社説として、社史に残るに違いない。


愚民文明の暴走
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●“ 潮目変わった ” 安倍の独走 判事の勇気、両陛下のこころくばり

2014年05月22日 | 日記
絶望の裁判所 (講談社現代新書)
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●“ 潮目変わった ” 安倍の独走 判事の勇気、両陛下のこころくばり

 余程神経を尖らせて観察しなければならない時代に突入しているようだ。コラムなどを書く人間達は、プロアマの別なく、世界の、日本の、様ざまな現象、事象をウォッチしていないと、数年後、恥をかく羽目に陥りそうな時代を迎えている。ウクラナ問題を通した、或は中国軍の乱暴狼藉、ロシアのナショナリズム、TPP交渉の暗礁と米国の凋落、資本主義の嘘が続くのか、嘘のロジックが崩壊するのか、アメリカン一国主義は盤石なのか、以上列挙しただけでも、頭の整理が追いつかない時代になってきている。心してかかっても、多分ミスジャッジしてしまいそうな按配だ。筆者も幾つかのハズレを掴むかもしれない(笑)。

 ここ数日の社会や政治における事象をもって、云々かんぬんと語るのは早計だろうが、世の中の“潮目”と云うものは、そのようなささいなことの積み重ねで変わってゆく。マイルストーンと云うものは、そういうものだろう。先ずは「中露の蜜月」がこれみよがし米国に挑戦状を突きつけているのが目につく。ウクラナ問題を含め、中国もロシアもWスタンダードな事情を抱えるが、アメリカのようなジキルとハイド的Wスタンダードではない点で救いがある。それはさておき、中露が出来るだけ価値観を共有し、アメリカの「普遍的価値」と云う世界秩序に異議を申し立てた事実は、時代の流れを感じさせる。5年、10年前の中国やロシアでは考えられない異議の提起だ。

 瀬木比呂志著「絶望の裁判所」に勇気づけられたかどうか定かではないが、少なくとも地裁レベルにおいては、社会の秩序維持の為に、敢えて法理念から遠ざかる判決を平気の平左で出していたが、「大飯原発3・4号機の再稼働差し止め」を命じた福井地裁の判決は政府の原発再稼働ありきの姿勢に真っ向対立する判決であった。樋口英明裁判長は250キロ圏内に住む住民らは差し止めを求めることができると判断し、運転差し止めを命じる判決を言い渡した。2011年3月の東京電力福島第一原発の事故後はじめて、原発の運転差し止めを認めた。ゲシュタポのボスであり、且つゲッベルスの生まれ変わりと名付けても差し支えない菅官房長官なる人物は、福井地裁の判決を受けた質問に対し、「まったく(原発再稼働推進に)変わりません」とケンモホロロに不快に答えている(笑)。司法蔑視な態度には驚嘆する。

 福井地裁の樋口英明裁判長が稀有なリベラル判事であるかどうか判らないが、世論の風向きを感じた判決であることは事実だ。朝日新聞の「吉田調書」の暴露報道が早速効力を発揮した、と云うのは穿ち過ぎだろうが、そのような雰囲気が裁判所側にあるのかもしれない。勿論、最高裁事務総局から最も統治の及ばない地裁の判決とも言える。しかし、裁判所の信頼回復がかなり必要だと最高裁も考えていれば、こういう判決が出てもおかしくはない。

 上述裁判とカテゴリーの違いこそあるが、「厚木基地騒音訴訟、自衛隊機の飛行差し止め命令、全国初」を言い渡した横浜地裁であった。佐村浩之裁判長は、過去最高額となる総額約70億円 の損害賠償に加えて、自衛隊機の午後10時~午前6時の間の飛行差し止めを初めて命じた、これも目から鱗の判決だ。「絶望の裁判所」に勇気づけられただけ、と云う情緒論もあるが、日本の裁判所において、何らかの意志が働いていることも考えられる。もし、裁判所の意志が働いているとなると、最高裁の改悛の情に拍手すると云うよりも、もっと大きな力が、彼らに加えられつつあると考える事も可能だ。おそらく、その力は国内のリベラル勢力とかのレベルではなく、わが国を支配していたい大きな力が働いたと考えて良いだろう。

 反自民、反安倍等々の人々にとって、上述の出来事は、地裁の判事が、謂わば瀬木氏の内部告発本とも云える「絶望の裁判所」に勇気づけられたように、平和憲法死守の人々や原発再稼働に反対する人々にとって、天皇、皇后両陛下の21日、1泊2日の「私的ご旅行」も勇気づけられるものであったと想像できる。なぜなら、両陛下の行き先が、足尾銅山からの鉱毒被害拡大を防ぐため設けられた渡良瀬遊水地や、鉱毒被害を告発した田中正造の出身地、佐野市であったことだ。

 自由民権運動家の田中正造は「真の文明は 山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さざるべし」と語り、人権家、人権政治家として活動し、その思いは死を覚悟した明治天皇への直訴状と云う履歴(いわく)のある人物を偲ぶ旅とも受け取れる。尚且つ、正造の明治天皇へ手渡そうとした直訴状をご覧になった、と云うのだからメッセージは明白だろう。政治的言動を憲法で縛られている両陛下だが、そのメッセージ力は、“日本のゲッペルス菅スダレ”など、足元に及ぶことも出来ない効力を有している。「私的旅行」と云う妙案を考えられた両陛下のお心づかいには、我らが象徴であることに誇りを感じる。ここまで来たら、日本国民にノーベル平和賞を授与してもらい、永遠の平和国家の地位を雁字搦めにしてもらいたいものだ。

 このような折に、「大飯原発3・4号機の再稼働差し止め」の判決が出たのは、驚く偶然だが、強く印象に残る。石川啄木が中学時代に、田中正造の天皇直訴の報に触れ「夕川に 葦は枯れたり 血にまどふ 民の叫びのなど悲しきや」と31文字の言葉を残したが、筆者に才があれば31文字をひねり出したいところだが、絞っても何も出てきはしないのが少々哀しい(笑)。それにしても、安倍官邸の人心を顧みない傍若無人、乱暴狼藉を、まったく関係のない方向から、さりげなく国民に向かい、私的な心をメッセージするとは、なんというお洒落なのだろう。

田中正造文集〈1〉鉱毒と政治 (岩波文庫)
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●官邸ゲシュタポのボス、菅スダレの窮地 「吉田調書」朝日社会部の挑戦

2014年05月21日 | 日記
「原発事故報告書」の真実とウソ (文春新書)
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●官邸ゲシュタポのボス、菅スダレの窮地 「吉田調書」朝日社会部の挑戦

 朝日新聞の大スクープである。あらゆる面で、安倍官邸のマスメディア言論統制は度を越していた。朝日新聞社会部が、政権へ“おもねり姿勢”を堅持する政治部、経済部のジャーナリスト魂を糾弾するような社内クーデターとも思える、渾身の福島第一原発事故の真実暴く、故吉田昌郎所長の政府事故調査・検証委員会に答えた、所謂幻の「吉田調書」が姿を現す。この調書から、あらゆる面で東京電力の原発運営に対する「モラル」、「能力」、「気力」等々の欠如が明確になるだろう。この問題は、事故の過酷度を隠蔽し、住民に不要な被曝や損害を与えたことを隠しおおすことが不可能になる事態が想定される。

 当時の経営陣の刑事責任追及にも深く影響する事態でもある。東京地検特捜部が単なるCIA下請け司法機関なのか、国民のために法の正義を体現する組織なのか、正念場を迎える事態でもある。この吉田所長の事情聴取の聞き取り作業は検事によって行われたらしいので、検察庁は、当然、東電などの隠蔽に協力した姿勢までが見えている。勿論、原発再稼働をリアルに進めようとしている、日本中の原発への信頼性の失墜であり、安倍政権及び経団連の糞どもも、戦々恐々に陥っているに違いない。菅と云うゲシュタポみたいな官房長官が早速、遺言だから「公開しない」なんて言い出したが、故吉田所長の調書は、国民共有の知恵であり情報だ。すだれゲシュタポの好きにさせるものか、バカ野郎!


≪ 菅官房長官、吉田調書は「公開しない」 理由は明言せず
 東京電力福島第一原発で事故対応の責任者だった吉田昌郎氏(故人)が政府事故調査・検証委員会に答えた「聴取結果書」(吉田調書)について、政府事故調解散後に調書を引き継いだ菅義偉官房長官は閣議後の記者会見で「吉田元所長を含めヒアリングは公開しない」と語り、調書を今後も非公開とする考えを示した。
 吉田氏は政府事故調の聴取に対し、聞き取り内容の公開を了承している。調書を非公開とする理由について菅氏は「事故を二度と起こさないように施策を政府をあげて行っている。それ以上でもない」と明言を避けた。政府に保管されているとされる調書は「読んでいない」とした。 ≫(朝日新聞)

 菅と云う官房長官は、福島第一原発事故がどのようにして起こり、国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪の「レベル7」に至ったかの経緯の顛末も知らずに、官邸で原発再稼働に向けた下準備の指揮を執っている最重要人物が、故吉田所長の生の声を聴いていない、読んでいないと云うのは、無責任にも程がある。朝日新聞社会部は、このような官邸の態度にも挑戦状を突きつける姿勢のようだ。政治部、経済部、経営陣の巻き返しを阻止するように、新聞社にしては非常に珍しい「予告記事」が朝日新聞デジタルで公表した。テレビの世界の「番宣」のようものであるが、このような記事の予告は、横槍を回避する手段として用いられたかもしれない。

 ≪ 震災3日後、住民にかかわる重大事実 吉田調書から判明
 東日本大震災発生3日後の2011年3月14日早朝、東京電力福島第一原発3号機は原子炉に注入する水が枯渇し、危機的な状況を迎えていました。朝日新聞が入手した「吉田調書」によると、この局面で住民避難にかかわる重大な事態が発生する危険性がありました。21日付朝刊で報じる予定です。 一方、朝日新聞デジタルの特集「吉田調書」第1章2節「ここだけは思い出したくない」は21日正午に配信する予定です。事故対応の責任者だった吉田昌郎氏は2号機の状況悪化を受け「チャイナシンドローム」のような状況と伝えていました。
URLは次の通りです。
http://www.asahi.com/special/yoshida_report/ 
 ≫(朝日新聞デジタル)


 朝日新聞社会部の「吉田調書」のリーク報道は、特定秘密保護法の施行後も視野に入っていたものと思われるが、特定秘密保護法が官報に掲載されてから1年後に適用されるので、まだ時間的余裕はあるかもしれないが、この時期から、突き始めないと、ゲシュタポスダレを挫折させられないと読んだのだろう。以下に、朝日新聞社会部の、吉田調書に関する報道は、ここ10年見られなかった、ジャーナリストの調査報道だと言えるだろう。昔、ナベツネに楯突いた読売新聞の「チーム清武」が善戦、読売社会部が名を馳せたが、朝日社会部にお株を奪われたようだ。以下に、朝日社会部の一連の報道も参考引用しておく。その中には、ゲシュタポスダレが吉田所長を脅したて書かせたのか、非公開の上申書まであると白状しているが、朝日の全体的報道姿勢から、吉田所長は公開を望んでいた節もある。


 ≪ 調書「吉田氏、外部開示望まず」 菅官房長官が説明
 東京電力福島第一原発で事故対応の責任者だった吉田昌郎氏(故人)が政府事故調査・検証委員会に答えた「聴取結果書」(吉田調書)について、菅義偉官房長官は20日の記者会見で調書を開示しない方針を示したうえで、吉田氏から非開示を求める上申書が提出されていると明らかにした。
 菅氏は「吉田氏はヒアリング記録の外部への開示を望んでおらず、政府として情報公開制度に対する扱いは不開示としている。本人からは書面での申し出もある」と述べた。
 菅氏の説明によると、吉田氏は政府事故調の聴取後に体調を崩し、その後の国会事故調による聴取の求めに応じられなかった。このため国会事故調が政府事故調にヒアリング記録の提出を要求。政府は①第三者に向けて公表しない②国会事故調でヒアリング記録を厳重管理する③調査終了後は政府事故調へ返却す る――ことを条件に、吉田氏から国会事故調への提出の許可を得たという。
 菅氏は「現在、事故があったときに対応する人には(吉田調書を)職員立ち会いの下で開示して、対応できるようにはしている」と述べた。
 自民党の石破茂幹事長は会見で「極限の事案の時にどう対応するかは危機管理だ。生命の危険があると逃げた時に、法的にどう裏打ちされたものなのか政府で検証されるものだ」と注文した。新潟県の泉田裕彦知事は、会見で「事故の検証のためにも公表すべきだ」と語った。
 小野寺五典防衛相も会見で「内容が事実であれば明らかにしなければならない」と述べた。福島第一原発の所員が吉田氏の命令に違反して撤退したことについては「そのようなことがもしあったなら大変残念だ。内容に問題があるなら、担当大臣がしっかりした対応を取られると思う」と語った。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は19日の朝日新聞の取材に「読んでいない。知らない」と答えた。規制委は政府事故調などをふまえ、原発の新しい規制基準を決めた経緯がある。田中氏は「全部考慮してやっている。(調書が表に)出れば読ませていただきたい」と語った。
 ≫(朝日新聞デジタル)


≪ 福島第一の原発所員、命令違反し撤退 吉田調書で判明
 東京電力福島第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏(2013年死去)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)を朝日新聞は入手した。それによると、東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。

 ■所員9割、震災4日後に福島第二へ
 吉田調書や東電の内部資料によると、15日午前6時15分ごろ、吉田氏が指揮をとる第一原発免震重要棟2階の緊急時対策室に重大な報告が届いた。2号機方向から衝撃音がし、原子炉圧力抑制室の圧力がゼロになったというものだ。2号機の格納容器が破壊され、所員約720人が大量被曝(ひばく)するかもしれないという危機感に現場は包まれた。
 とはいえ、緊急時対策室内の放射線量はほとんど上昇していなかった。この時点で格納容器は破損していないと吉田氏は判断した。  午前6時42分、吉田氏は前夜に想定した「第二原発への撤退」ではなく、「高線量の場所から一時退避し、すぐに現場に戻れる第一原発構内での待 機」を社内のテレビ会議で命令した。「構内の線量の低いエリアで退避すること。その後異常でないことを確認できたら戻ってきてもらう」
 待機場所は「南側でも北側でも線量が落ち着いているところ」と調書には記録されている。安全を確認次第、現場に戻って事故対応を続けると決断したのだ。
 東電が12年に開示したテレビ会議の録画には、緊急時対策室で吉田氏の命令を聞く大勢の所員が映り、幹部社員の姿もあった。しかし、東電はこの場面を「録音していなかった」としており、吉田氏の命令内容はこれまで知ることができなかった。
 吉田氏の証言によると、所員の誰かが免震重要棟の前に用意されていたバスの運転手に「第二原発に行け」と指示し、午前7時ごろに出発したという。 自家用車で移動した所員もいた。道路は震災で傷んでいた上、第二原発に出入りする際は防護服やマスクを着脱しなければならず、第一原発へ戻るにも時間がか かった。9割の所員がすぐに戻れない場所にいたのだ。
 その中には事故対応を指揮するはずのGM(グループマネジャー)と呼ばれる部課長級の社員もいた。過酷事故発生時に原子炉の運転や制御を支援するGMらの役割を定めた東電の内規に違反する可能性がある。

 吉田氏は政府事故調の聴取でこう語っている。

 「本当は私、2F(福島第二)に行けと言っていないんですよ。福島第一の近辺で、所内にかかわらず、線量が低いようなところに1回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが、2Fに着いた後、連絡をして、まずはGMから帰ってきてということになったわけです」

 第一原発にとどまったのは吉田氏ら69人。第二原発から所員が戻り始めたのは同日昼ごろだ。この間、第一原発では2号機で白い湯気状のものが噴出し、4号機で火災が発生。放射線量は正門付近で最高値を記録した。(木村英昭)
   
  ◇  

〈吉田調書〉
 政府事故調が吉田氏を聴取した内容を一問一答方式で残した記録。聴取時間は29時間16分(休憩1時間8分を含む)。11年7月 22日から11月6日にかけ計13回。そのうち事故原因や初期対応を巡る聴取は11回で、事務局に出向していた検事が聴取役を務めた。場所はサッカー施設 Jヴィレッジと免震重要棟。政府事故調が聴取したのは772人で計1479時間。1人あたり約1・9時間。原本は内閣官房に保管されている。
   
  ◇

 ■全資料公表すべきだ
 《解説》 吉田氏が死去した今、「吉田調書」は原発事故直後の現場指揮官が語る唯一の公式調書だ。肉声がそのまま書き残され、やりとりは録音されている。分量はA4判で400ページ超。事故対応を検証し、今後の安全対策にいかす一級の歴史的資料だ。
 ところが、政府事故調は報告書に一部を紹介するだけで、多くの重要な事実を公表しなかった。中でも重要な「9割の所員が待機命令に違反して撤退した」という事実も伏せられた。
 事故の本質をつかむには一つひとつの場面を具体的な証言から再現・検証する必要がある。国は原発再稼働を急ぐ前に、政府事故調が集めた資料をすべて公表し、「福島の教訓」を安全対策や避難計画にいかすべきだろう。
 吉田調書にはこのほかにも国や東電が隠している事実が多く含まれ、反省材料が凝縮されている。私たちは国や東電の事故対応の検証を続けていく。
 ≫(朝日新聞デジタル:宮崎知己)


朝日新聞記者、特別報道部デスク
宮崎知己の執念が、ついに実りを迎えそうだ
東大阪市生まれ。バブル経済期に2年間、都市銀行に勤務していた。
1990年に朝日新聞社に入り、水戸、青森支局をへて、経済部に。
トヨタ自動車や新日本製鉄、東京電力などを担当。共著に『偽装請負』。
現在、特別報道部デスクで、プロメテウスの罠のデスクワークを担当。

福島原発事故 東電テレビ会議49時間の記録
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●ピケティの近著『21世紀の資本論』は金融資本主義の根底を揺るがす

2014年05月20日 | 日記
「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)
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●ピケティの近著『21世紀の資本論』は金融資本主義の根底を揺るがす

 PC遠隔操作ウィルス事件の片山被告には驚いた、正直筆者もまんまと騙された一人だ。おそらく、多くの人々も、あまりにあっけない結末に、口あんぐりに違いない。

 本日は、「現代ビジネス」に目から鱗のような記事が載っていた。筆者も充分に咀嚼し切れていないが、以下に引用することで今夜のコラムに代えさせてもらう。はっきりしている事実は、アベノミクスが時代遅れで、グローバル経済下では、成立しえない経済政策、トリクルダウン現象期待政策なのだ。ここ数日の東証日経平均は、筆者の読み通り(植草氏の読みだが)、着実に低迷の色を濃くしている。空売りに掛ける筆者にしてみると、極めて良好な流れである。1万3000台でも利が出るが、まだまだ欲張るつもりだ(笑)。

 ≪ ポール・クルーグマン「ピケティ・パニック」---格差問題の言及者に「マルクス主義」のレッテルを貼る保守派はこれにまっとうに対抗できるのか?

保守派が怯える『21世紀の資本論』 フランスの経済学者トマ・ピケティの近著『21世紀の資本論』は、正真正銘の一大現象だ。これまでもベストセラーになった経済書はあったが、ピケティ氏の貢献は他のベスセラーの経済書とは一線を画す、議論の根本を覆すような本格的なものと言える。そして保守派の人々は、すっかり怯えている。

 そのため、アメリカン・エンタープライズ研究所のジェームス・ペトクーカスは「ナショナル・レビュー」誌の中で、ピケティ氏の理論をこのままにしておけば「学者の間に広がり、将来、すべての政策上の論争で繰り広げられる政治的な経済情勢を塗り替えることになる」ので論破しなければならないと警告している。

 まあ、頑張ってやってみることだ。この論争に関して特筆すべきは、これまでのところ、右派の人々はピケティ氏の論文に対して実質的な反撃がまったくできていないという点だ。きちんと反撃するかわりに、反応はすべて中傷の類ばかりである。特にピケティ氏をはじめ、所得および富の格差を重要な問題と考え る人に対しては、誰であれマルクス主義者のレッテルを貼る。

 この中傷についてはあとでまた触れるとして、まず、彼の「資本論」がなぜそんなに大きなインパクトをもつかについて述べたい。 第一次世界大戦前の状況へ逆流する社会 格差が急速に広がっていることを指摘したのも、大半の国民所得の伸びが遅い状態とは対照的に上位の富裕層の所得が増大している実態を強調したのも、 決してピケティ氏が初めての経済学者というわけではない。同僚とともにピケティ氏がわれわれの知識に多大な歴史的洞察を加え、いま、まさに「金ぴか時代」 を生きているのだということを示したことは確かだ。しかし、かなり前からもうそのことは分かっていた。

 ピケティ氏による「資本論」が真に新しいのは、その点ではない。巨大な富を稼ぎそれが当然とされる能力主義の世界に住んでいるのだとあくまで主張する、保守派神話のコアとなる部分を打破する手法こそが新しいのだ。 *過去20年間、上位富裕層の所得の急増を政治の問題にしようという取り組みに対する保守派の反応には、2つの弁明が見られた。

 1つは、実際ほど富裕層は豊かではなく、それ以外の人々もそれほどひどい状態ではないという、事実否認である。それがうまくいかなくなると、今度は、上位に見られる所得の急増は、彼らの仕事に対する報酬としては正当なものだと述べる。したがって、彼らを上位1パーセントや富裕層とは呼ばず「雇用の創出者」と呼ぶべきだという言い分だ。

 しかし、彼らのような金持ちが、仕事ではなく所有する資産から所得の多くを生み出しているとしたら、どうしてそんな反論ができるのだろうか? しかもより多くの富を企業からではなく、相続からもたらされるようになっているとしたら、どうだろうか?

 これらが根も葉もない質問ではないことをピケティ氏は示している。第一次世界大戦前の西欧社会は、実際に相続された富にもとづく一握りのグループによって支配されていた。そしてこの『21世紀の資本論』は私たちがふたたび同じような状況に向かっているという事実を、説得力をもって書き表している。 富の格差の言及者はみんなマルクス主義? それでは、富裕層に対する税率の引き上げを正当化するための診断として使われてしまいかねない、という恐れを抱く保守派の人々は、何をするだろうか?ピケティ氏を強力に論破するよう試みることも可能だが、今のところ、その兆候はまったく見られない。前述したように、その代わりに聞こえてくるのは中傷ばかりだ。

 これは驚くことではない。私は20年以上にわたって格差の問題を論じてきたが、保守派の「専門家」が、これまで、自らの理論につまずかずに、これらの数字に対してうまく異議を唱えられた試しがない。どうしてか、まるで事実が根本的に彼らの側をサポートしていないかのようだ。

 同時に、これまでの右派の標準的な作業手順は、自由市場ドグマのいかなる面で疑問を投げようとも、共産主義者呼ばわりをすることだった。ウィリアム・F. バックレイのような人々が、ケインズ経済理論の間違いを示さず、「集産主義者」と非難することによって阻止しようとした以来の伝統だ。

 それにもかかわらず、ピケティ氏をマルクス主義者として非難する保守主義者の後が絶えないのには、やはり驚いてしまう。

 比較して教養のあるペトクーカス氏ですら「資本論」を「ソフト・マルクス主義」と呼んでいる。そうなると、富の格差について言及しただけでマルクス主義者になるという以外、彼らの説は意味をなさないことになる(おそらく、そう思っているのだろう。最近、リック・サントラム元上院議員(共和党)は、アメリカには何しろ階級がないのだから、「中間層」というのは「マルクス主義的言葉」だとして非難した)。 累進課税をスターリン時代の「悪」とみなす保守派 予想通り、ウォールストリート・ジャーナル紙の評論では、富の集中を制限する方法として累進課税を求めるピケティ氏の提唱から、なぜか突然スターリン主義の悪へと、とてつもない飛躍をした。ちなみに累進課税は、かつて主要な経済学者たちだけでなく、テディ・ルーズベルト(共和党)を含む主流の政治家が提唱してきた、極めてアメリカ的な救済措置なのだ。

 アメリカ寡頭政治の擁護者たちが、弁明のために首尾一貫した理論が得られないことに明らかに困惑しているからといって、彼らが政治的に逃走中という わけではない。それどころか、依然として金の力は大きい。実際にロバーツ・コート(※)のおかげもあり、その声は以前にも増して大きくなっている。

 しかし、われわれが社会をどのように論じ、最終的に何をすべきかについてのアイデアが重要なことに変わりはない。そしてピケティ・パニックは、右派の人々のアイデアが尽き果てたことを現しているのだ。

(※)ジョージW.ブッシュ大統領の指名により2005年に任命された主席判事(最高裁長官に相当)ジョン・ロバーツが率いる2005年以降の合衆国最高裁判所 (翻訳:松村保孝)
現代ビジネスブレイブグローバルマガジンvol075(2014年5月9日配信)より

ポール・クルーグマン(Paul Robin Krugman)---プリンストン大学教授、コラムニスト 1953年生まれ。レーガン政権で大統領経済諮問委員会委員を務める。ノーベル経済学賞受賞ほか、アストゥリアス皇太子賞社会科学部門、ジョン・ベーツ・クラーク賞を受賞。

トマ・ピケティ(Thomas Piketty) ---1971年5月7日生まれ。フランスクリシー出身。社会党系のフランスの経済学者。経済学博士。パリの高等師範学校の出身で、経済的不平等の専門家 であり、特に歴史比較の観点からの研究を行っている。2002年にフランス最優秀若手経済学者賞を受賞。パリ経済学校 設立の中心人物であり、現在はその教授である。 ≫(現代ビジネス:ニッポンと世界:NYT紙掲載記事の引用)

注:このNYTに載っていたコラムの執筆者が曖昧だが、Paul Robin Krugman氏だと思われる。

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●安倍の情緒的憲法解釈による改憲、「アベノカイシャク」の近未来予想図

2014年05月19日 | 日記
日本は戦争をするのか――集団的自衛権と自衛隊 (岩波新書)
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岩波書店


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●安倍の情緒的憲法解釈による改憲、「アベノカイシャク」の近未来予想図

 まずは朝日の記事を引用の上、筆者なりの解釈を加えてみた。朝日新聞の長らしい五つの疑問とか難しく考えなくても良いことに思える。安倍が、自分のお友だち懇談会の、いわゆる報告を受けた即日に会見を行ったのである。お友だち面々の懇談会報告は「国家主義」が色濃く反映しているものだった。ただ安倍首相は、その報告よりも相当に穏健な憲法解釈の変更手続きに入る、と語った。正直、筆者には、安倍首相が今までと異なる憲法解釈を加えたとは受け取っていない。現存の各種法律で行えることを、敢えて、新たな法律にまとめたような話で、憲法解釈を変えたような情緒的「ふり」(ごっこ)」をしたに過ぎないと理解し、「アベノカイシャク」と命名する。

 ≪ (集団的自衛権 読み解く)安倍首相会見、五つの疑問
 他国のために自衛隊の武力を使う集団的自衛権の行使などについて、安倍晋三首相は15日の会見で検討を明言した。しかしなぜ行使が必要なのか、首相の説明には様々な疑問が浮かぶ。五つの論点で読み解いた。
 <1>若者らを救えない? 救援より他国警護中心か
 「アジアでアフリカで、たくさんの若者たちがボランティアなどで地域の平和や発展のために活動している」「近くで活動するPKO要員もいる。しかし、彼らが突然、武装集団に襲われたとしても、自衛隊は彼らを救うことができない」     
  安倍首相は会見で「年間1800万人が海外に出かける時代」と強調。パネルを示し、NGOの日本人ボランティアや他国の国連平和維持活動(PKO)の要員が、現地の武装集団に攻撃されても、PKOで派遣された自衛隊が警護できないと訴えた。
 自衛隊の武器使用は憲法が禁じる海外での武力行使につながる恐れがあり、PKO協力法などで正当防衛や緊急避難などに限定されている。安倍内閣は集団的自衛権とは別に、PKOで派遣された自衛隊と他国部隊などとの連携をしやすくする狙いから、離れた場所にいる他国部隊や日本人を救援する際も武器が使えるよう法改正をめざす。
 複数の国が連携することが多いPKOでは、自衛隊の武器使用基準が緩和されれば、日本人の救援よりむしろ他国部隊の警護の役割が多くなりそうだ。一方で自衛隊が戦闘行為に巻き込まれる危険性も増す。  *ただ、自衛隊が現在参加するPKOはアフリカの南スーダンだけ。自衛隊員を除く現地の日本人は大使館員ら十数人。昨年12月に事実上の内戦状態となり、NGO関係者らは全員が退避している。首相が示す、PKO派遣の自衛隊が海外で民間人を救うケースがどの程度あるかは未知数だ。
 <2>憲法前文まで根拠? 9条解釈変更、苦しい説明
 「生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を政府は最大限尊重しなければならない。憲法前文、13条の趣旨を踏まえれば自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることは禁じられていない。そのための必要最小限度の武力の行使は許容される」     
 集団的自衛権の行使とは、日本が攻撃を受けていなくても、「密接な関係にある外国」を日本が守り、相手に反撃するものだ。歴代内閣は憲法9条に反すると解釈してきたが、安倍首相は、行使容認を求めた私的諮問機関の提言を「従来の政府の基本的な立場を踏まえた」と説明した。
 首相が解釈変更の根拠として、1972年の政府解釈のうち憲法前文と13条を踏まえた「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることは禁じられていない」との部分を引用。一方、72年解釈が「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」とした部分には触れなかった。
 首相は一方で、今月上旬の訪欧時に演説した際、9条の解釈変更について各国から支持を得たとアピール。「憲法が掲げる平和主義は守り抜いていく」と強調した。
 ただ自民党は本来、前文も含めた憲法改正を志向する。戦争放棄を定めた9条と前文は憲法が掲げる平和主義の根幹で、一部を引用する姿勢は本来の憲法の理念とは相いれないものだ。
 <3>邦人乗る米艦守れぬ? 米軍が救助、見えぬ現実性
 「紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子どもたち。彼らが乗る米国の船をいま私たちは守ることができない」「この議論は、国民の皆さま一人ひとりに関わる現実的な問題であります」     
 安倍首相は米軍艦に母と子らが乗り込む姿を描いたパネルを示し、集団的自衛権を行使しないと「米艦を守れない」と強調した。
 海外の日本人が危険に巻き込まれたケースは実際にあるが、米軍に救助された例は「聞いたことがない」(防衛省)という。民間機などで避難したケースでは、イラン・イラク戦争中の1985年、イランに取り残された日本人200人超がトルコ政府が手配した航空機で脱出した例がある。90年からの湾岸危機の時には、日本の市民団体が民間機約10機を手配し日本人ら約3千人を移送した。
 自衛隊機や艦艇が日本人を紛争地域から退避させることは自衛隊法で規定されている。昨年のアルジェリアでのテロ事件を受けた法改正で、車両による陸上輸送も可能になった。
 首相が会見で想定例としたのは、朝鮮半島の有事(戦争)とみられる。緊急時には自衛隊を派遣して在韓日本人を退避させることもありうるが、韓国側との調整が必要になる。「米軍は米国民の避難を優先するのでは」(政府関係者)との声もある。行使容認に慎重な公明党は個別的自衛権などで対応が可能との立場だ。同党の山口那津男代表は16日、首相が示した例について「実際のリアリティーがどれほどか、よく吟味すべきだ」と述べた。
 <4>戦争に巻き込まれない? 参戦決断、迫られることも
 「あらゆる事態に対処できるからこそ、そして対処できる(安全保障の)法整備によってこそ抑止力が高まり、紛争が回避され、戦争に巻き込まれることがなくなる」
 「各国と協力を深めていかなければならない。それによって抑止力が高まる」     
 安全保障上の抑止力とは、防衛や反撃の能力を持つことで、相手国に攻撃を思いとどまらせる考え方だ。軍備を進めれば、攻撃を受ける危険性が減るとの考え方は東西冷戦時代を象徴するもので、軍事力の均衡を保つ効果が期待できる半面、際限のない軍拡競争につながる危険性がある。
 首相は、集団的自衛権の行使容認で自衛隊の対処能力が向上し、「抑止力が高まる」と説明する。だが行使容認に慎重な公明党の山口代表は「圧倒的な軍事力をもつ米国と安保条約を結んでいる。日本に攻撃が加えられた場合は(米国が)対処することも条約で書かれている」と述べ、必要な抑止力は持っているとの認識を示す。
 首相は、集団的自衛権を含めた法整備で「戦争に巻き込まれなくなる」と主張するが、行使は他国での戦争に日本が加わることだ。  
 これまでは日本が直接攻撃を受けた場合に反撃できる個別的自衛権のみが認められてきた。行使を容認し、米国などの支援要請を受ければ、日本は戦争参加の決断を迫られることとなる。参戦を前提とする集団的自衛権行使を認める理由に「抑止力」を挙げるのは矛盾した論理と言える。
 <5>国民に信は問わない? 会見ではっきりと答えず  
「衆院選でも参院選でも、国民の生命、財産、領土、領海は断固として守り抜いていく、その責任を果たしていかなければならないと申し上げてきた。(安保政策転換の)検討はこうした国民との約束を実行に移していくものだと確信している」     
  自民党は集団的自衛権の行使について、12年衆院選で公約としたが、政権復帰後の13年参院選では総合政策集には入れたものの、公約には盛り込まなかった。
 報道陣は会見で、この点を踏まえて、集団的自衛権の行使など安保政策の転換が一昨年の衆院選や昨年の参院選で大きな争点とならなかったと指摘。「衆院を解散して国民の信を問う考えはないか」と質問した。
  安倍首相はこれに対し、「演説で国民の生命を守ると申し上げた」などと反論し、憲法解釈変更の検討を含めて「国民との約束を実行に移していく」と言い切った。一方で集団的自衛権の行使容認を争点に選挙で信を問うかについては、はっきり答えなかった。
  明確な争点として示さなくても、国のかたちを変えるような重大な政策転換が可能となる――。こうした考えは、選挙でいったん民意を得た政権の権限 を拡大解釈するもので、憲法が権力を縛る「立憲主義」にも反するものだ。首相が2月の国会答弁で「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。私たちは選挙で国民の審判を受ける」と語り、批判を浴びた姿勢とも重なる。  
≫(朝日新聞:鯨岡仁、渡辺丘、鶴岡正寛)


 安倍は、当初、改憲するぞとアドバルーンを上げたが、あまりにも旗色が悪いと受けとめ、次に、憲法96条の憲法変更手続きを、現行の2/3議席の賛成から1/2議席に変更しようと試みた。しかし、これも前者同様に旗色が悪く頓挫した。そこで思いついたのが、内閣法制局の従来の憲法解釈を変更させる戦術を検討、強引な人事権を振り回し、内閣法制局長官に小松一郎氏を起用した。外務省出身者の起用も異例だが、同氏が2007年には第1次安倍内閣で、日本国憲法第9条は集団的自衛権の行使を禁ずるものではないと、従来の内閣法制局見解とは異なる解釈を示した安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の立案実務を担当であり、コテコテの国家主義者であった。

 同氏のキャラクターが予算委員会等で物議を醸し、マスメディアでも報道され、健康問題も重なり、内閣法制局における権力掌握に頓挫した。そこで、次に打ち出したのが右翼的イデオロギーを共有する北岡らのお友だちによる懇談会、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の誕生に至る。集団的自衛権行使に並々ならぬ意欲を見せる安倍首相の執念は、他の法案に比べ異様に強く、トラウマの元凶であるかの如き信条で、この成立に極めて前向きだった。そして、ここに私的な懇談化レベルの提言を受ける形で、即日、首相としての「安保法制懇(かませ犬)」よりも穏健に感じられる手続きの開始を宣言した。

 また、この憲法解釈を国会の議決によらず、党内、与党内及び国民の声に耳を傾け(意見公聴会、パブコメ、タウンミーティングの実施)を行って上で、閣議決定で決めますと宣言した。このような決定の方法が法に則った手法であるかどうかの議論もあるが、安倍の周りを固める官僚らが適法と判断した以上、粛々と集団的自衛権行使容認の日本という国が誕生する。安倍がフリップを示して行ったプレゼンの内容など、現在の自衛隊法で行える行為であり、特に集団的自衛権が容認されたから実行可能になった話ではない。いまでも、現実に出来る話を、新しい解釈でやります、私は正しいことを国民の生命財産を守るために、やろうとしているのです、と云う印象操作に過ぎない。

 本来であれば、このような行政の越権行為を嗜め是正させるのが最高裁と云う司法の責務であるが、絶望の裁判所に、それを望むのは枯れ尾花に命を託すようなもので、あまり意味はない。現在の既得権益をベースに生きてきている一定の発言力のある人物や団体、マスメディアに期待しても、おのずと限界がある。唯一の救いは「アベノカイシャク(内閣による勝手な憲法解釈可)」は、今回の経緯で理解できるように、安倍内閣一代の憲法解釈であり、オーバーライトがいつでも可能と云うことだ。勿論、安倍以上にファッショな内閣を誕生させれば、より軍国的解釈にもなる。ただ、今までのように、まっとうな常識的解釈に沿った内閣が誕生すれば、即刻集団的自衛権を認めない憲法解釈の国家に戻れるわけである。

 ただ、オーバーライトが論理的可能だとしても、集団的自衛権が行使されてしまうと、矢は放たれた状況になるので、引き返せない状況に陥っている可能性もある。つまり、安倍やお友だちにしてみれば、既成事実を重ねて、実質的にオーバーライト不可な状況を早く作ろうと考える可能性はある。現在の世界各地の紛争に、米軍が直接軍事行動に出る可能性は非常に少ない。ウクライナ、西沙諸島、南沙諸島、尖閣諸島においても、米軍が直接動き出す可能性は非常に低い。つまり、集団的自衛権行使の実績をつくり、既成事実化することがオバマ政権においては、ほぼ望み薄だろう。

 現時点で考える限り、集団的自衛権行使、既成事実化までシナリオは描きにくいので、祖父・岸信介の悲願達成!と云う精神的高揚がすべてである可能性が最も高い。石破が首相になれば、米国ネオコンの裏作業とタッグを組み、ウクライナクーデターのような流れで、集団的自衛権を行使できる状況を作るかもしれない。その意味では、自民党政権である限り、「アベノカイシャク」と云う自己満足段階で留めおく方が賢明だ(笑)。最も望ましいことは、米国の凋落が日ごと高まり、覇権国家を放棄して、普通の内向き国家になってくれれば、なおベターだが、そこまで望むのは無理だろう(笑)。

亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠
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●「美味しんぼ」小学館に圧力をかけた張本人?「実害拡声」福島の旅

2014年05月18日 | 日記
低線量放射線被曝――チェルノブイリから福島へ (叢書 震災と社会)
今中 哲二
岩波書店


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●「美味しんぼ」小学館に圧力をかけた張本人?「実害拡声」福島の旅

 安倍首相が、新聞テレビ各社を引き連れ福島の住民の健康調査(放射能事故データ収集)している医療機関などを視察した。首相は自ら「フクイチは私のコントロール下にある」と世界に宣言しただけに、真実が語られることを極度に怖れているようだ。「美味しんぼ」の表現が風評被害を助長するものであると主張するのであれば、製作者に、そのような表現をさせないだけの情報開示を実行すれば良いだけのこと。

 向きになればなるほど、「何か重大な被害を隠している」と云う疑心暗鬼が生まれるのである。情報の隠蔽こそが「風評被害」を拡声するのである。60歳近い男が裸でフクイチを歩こうが、福島で育つサクランボや桃、米を食べようが、影響が軽微なのはデータ的にわかっている。問題は、そんな映像を映さなければ、国民、県民の疑惑に答える手段がないこと自体、対策の手詰まり感を表している。放射能除去装置アルプスは稼働時間より停止時間の方が多い印象だし、地下水の水質にも目を瞑り、湾に放水する事態になっている。凍土壁などと云う雲を掴むようなお伽話で、希望的観測アドバルーンを上げている。内閣総理大臣までが、言論弾圧に乗り出す事態は、異様としかいえない。

 我々の見えない部分で、ビックコミックの小学館側には生きていたけれ風な圧力がかかっているだろうし、行政全体を敵に回してしまった出版社及び編集に携わった人々は、リアルに生活や生命の防衛に回らざるを得なかったものと推量できる。県及び市町村、そして霞が関、官房長官。遂には内閣総理大臣までが「美味しんぼ」に言及、只事とは思えない慌てようだ。逆にここまで逆上すると云うことは、「美味しんぼ」の伝えた「鼻血疑惑」などは、実は「ホントかも?」と疑わせるに十分な状況証拠をみせつけている。日本の司法で裁けば、完全に有罪な状況を、茶坊主記者連中引き連れて”物見うさん”、この人完全にトチ狂っている。


≪ 「美味しんぼ」一時休載へ
   最新号で「表現のあり方を今一度見直す」と編集部見解 19日発売

 東京電力福島第1原発を訪問した主人公らが鼻血や倦怠(けんたい)感を訴える描写や、「今の福島に住んではいけない」などの表現で議論を呼んでいた漫画「美味しんぼ」を連載する小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」最新号(19日発売)に、「ご批判、お怒りは真摯(しんし)に受け止め、表現のあり方について今一度見直していく」などとする編集部の見解が掲載されていることが16日、分かった。自治体や有識者による描写への賛否両論を並べた特集も掲載された。
 併せて、美味しんぼを次号からしばらく休載することが明らかにされた。編集部によると、休載は以前から決まっていたという。
 「『美味しんぼ』福島の真実編に寄せられたご批判とご意見」と題した特集では、有識者13人の意見や福島県庁、同県双葉町、大阪府・大阪市から送られた抗議文が10ページにわたって展開された。
  この中で、立命館大の安斎育郎名誉教授(放射線防護学)は、1シーベルト超の被曝(ひばく)をしなければ倦怠感は表れないが、漫画で第1原発を見学した際 の被曝線量ははるかに低く、倦怠感が残ったり鼻血が出たりすることは考えにくいと指摘。「率直に申し上げれば、『美味しんぼ』で取り上げられた内容は、的が外れていると思います」「200万人の福島県民の将来への生きる力を削(そ)ぐようなことはしてほしくない」と訴えた。
 福島県川内村の遠藤雄幸(ゆうこう)村長も「多くの読者がいる御社の雑誌の一言一言は重い。自主避難者支援は理解できますが、全ての被災者が同じように受け止めることができるかどうかは疑問だと思う」とした。
  一方で、岡山大の津田敏秀教授(疫学、環境医学)は「チェルノブイリでも福島でも鼻血の訴えは多いことが知られています」「『低線量放射線と鼻血に因果関係はない』と言って批判をされる方には、『因果関係がない』という証明を出せと求めればいい」と擁護。「こんな穏当な漫画に福島県の放射線のことが描かれたからといって文句を言う人のほうが、むしろ放射線を特別視して不安をあおっているのではないでしょうか」とつづった。
 同号には一連の問題描写が載っていた美味しんぼ「福島の真実」編の最終話も掲載。主人公らが福島県飯舘村から北海道に移住し畜産に挑む男性らを訪ねたり、福島の伝統料理を食べたりする内容で「偽善は言えない」「真実を語るしかない」との会話もあった。 ≫産経新聞


 IWJサイトに掲載されている株式会社デイズジャパン「チェルノブイリ子ども基金」前代表広河隆一氏の公表データによると、放射能による「鼻血現象」は調査のデータを見る限り、放射能の影響が少なかった所と比べ、明らかに、鼻血を訴える被曝住民が多いことは事実だ。20%前後に見られる症状である点も、因果関係があることはある。問題は直接的か間接的な違いで、正反対のようだが、根っこは原発事故に起因するので、症候群的症状の代表例だと言える。ただ、鬱症候や眩暈などの症状も多く訴えられているので、放射能被曝により、即効で鼻血が出るかどうかの、明確ではない。被災、避難等々の生活環境の変化による自律神経の失調によっても、このような症状は表れる。鼻血の最終結論をどちらに断定するかは留保せざるをえないが、現実に5人に1人が鼻血症状を訴えているデータは存在する。相当因果関係か間接付随的関係なのかは、今後の研究を待つしかない。ただ、内閣総理大臣までが、「嘘だ嘘だ風評だ」と叫ぶこと自体疑惑が疑惑を醸成するだろう。


  【チェルノブイリでは避難民の5人に1人が鼻血を訴えた】
   
2万5564人のアンケート調査で判明

■プリピャチ市(原発から約3キロ)の避難民アンケート回答者9,501人
「事故後1週間に体に感じた変化」という質問に、人々は次のように答えた。
頭痛がした 5,754人  60.6%
吐き気を覚えた 4,165人   43.8%
のどが痛んだ 3,871人 40.7%
肌が焼けたように痛んだ 591人  6.2%
鼻血が出た 1,838人  19.3%
気を失った 880人  9.3%
異常な疲労感を覚えた 5,346人  56.3%
酔っぱらったような状態になった 1,826人  19.2%
その他 1,566人  16.5%

「その人々の事故から約10年後の健康状態」
 健康 161人  1.7%
頭痛 7,055人  74.3%
のどが痛む 3,606人  38.0%
貧血 1,716人  18.1%
めまい 4,852人  51.1%
鼻血が出る 1,835人  19.3%
疲れやすい 7,053人  74.2%
風邪をひきやすい 5,661人  59.6%
手足など骨が痛む 5,804人  61.1%
視覚障害 2,773人  29.2%
甲状腺異常 3,620人  38.1%
白血病 50人  0.5%
腫瘍 440人  4.6%
生まれつき障害がある 34人  0.4%
その他 1,715人  18.1%

■念のため、数は多くはないが、比較対象のために行ったモスクワ市民の集計(316人)は次のとおりである。
「現在の健康状態」
健康 173人 54.7%
頭痛 53人  16.8%
のどが痛む 27人  8.5%
貧血 6人  1.9%
めまい 22人    7.0%
鼻血が出る 10人 3.2%
疲れやすい 67人 21.2%
風邪をひきやすい 56人   17.7%
手足などの骨が痛む23人 7.3%
視覚障害 51人   16.1%
甲状腺異常 11人 3.5%
白血病 2人  0.6%
腫瘍 8人  2.5%
生まれつき障害がある 0人  0%
その他 22人  7.0%

■チェルノブイリ市(原発から約17キロ)の避難民のアンケート回答者2,127人 (人々は事故からおよそ8~9日後に避難した)
「事故後1週間に体に感じた変化」
頭痛がした 1,372人   64.5%
吐き気を覚えた 882人 41.5%
のどが痛んだ 904人  42.5%
肌が焼けたように痛んだ 151人  7.1%
鼻血が出た 459人  21.6%
気を失った 207人  9.7%
異常な疲労感を覚えた 1,312人  61.7%
酔っぱらったような状態になった 470人  22.1%
その他 287人  13.4%

「現在の健康状態」
健康 58人  2.7%
頭痛 1,587人  74.6%
のどが痛む 757人  35.6%
貧血 303人  14.2%
めまい 1,068人  50.2%
鼻血が出る 417人   19.6%
疲れやすい 1,593人 74.9%
風邪をひきやすい 1,254人  59.0%
手足など骨が痛む 1,361人  64.0%
視覚障害 649人  30.5%
甲状腺異常 805人  37.8%
白血病 15人  0.7%
腫瘍 80人  3.8%
生まれつき障害がある 3人  0.1%
その他 426人  20.0%
 ≫株式会社デイズジャパン「チェルノブイリ子ども基金」前代表 広河隆一公表の抜粋  (アンケートの翻訳には、東京外国語大学のロシア語科の学生を中心に、約60名が協力してくれた)2014年5月13日

低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ 26年後の健康被害
馬場 朝子,山内 太郎
NHK出版


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●第一次大戦前夜に近似してきたウクライナ 内戦から東西大戦へ

2014年05月17日 | 日記
危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)
E.H.カー
岩波書店


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●第一次大戦前夜に近似してきたウクライナ 内戦から東西大戦へ

 日本人の多くが、ウクライナで起きている紛争を、第一次大戦同様に「遠い海の向こうの戦争」と思っているだろう。商才豊かな産業に携わる者たちは、戦争特需が舞い込むのではないかと皮算用しているかもしれない。たしかに、戦場がウクライナ国内に限定された局地戦であるなら、特需が日本経済を潤す可能性はある。しかし、第一次大戦レベルにまで戦況が拡大されれば、日本も否応なく巻き込まれ、第三次世界大戦が勃発するかもしれない。ドイツ・シュミット元首相は以下のように言っている。

≪ 「第1次大戦前夜を想起」=ウクライナ危機で警告-元西独首相
【ベルリン時事】旧西独のシュミット元首相(95)は16日付のドイツ紙ビルトに掲載されたインタビューで、緊迫の度を増すウクライナについて、第1次大戦開戦(1914年)直前のように「危険は日に日に高まっている」と警告した。
 シュミット氏は「第3次大戦に言及するつもりも、北大西洋条約機構(NATO)の軍事費増強を要求するつもりもない」と述べながらも、「当時の状況にますます近づいているように思える」と語った。 ≫(時事通信)

 実のところ、筆者も第一次世界大戦の内容を把握していない。日露戦争、太平洋戦争(第二次世界大戦)には詳しいくせに、一次大戦への興味は希薄だ。地政的に「遠い海の向こうの戦争」と云う感覚なのだろう。しかし、その初めの世界大戦が第二次に繋がり、第三次に繋がるのであれば、嫌でも興味を持つべきだろう。特に、現在の安倍政権は、どこまでが本気で、どこからが外交的パフォーマンスなのか判りにくい状況なのだから、尚更だ。先ずは簡単に第一次世界大戦を伝えるサイトの解説記事を引用しておく。


≪ 第一次世界大戦から100年 どんな戦争だった?
 第一次世界大戦の開戦から、今年は100年にあたります。史上初の世界大戦なのに、日本人の関心はあまり高いとはいえず、日露戦争や太平洋戦争のように 声高に論じられることはありません。「忘れ得ぬ戦争」である第二次大戦に対して、第一次大戦は「忘れられた戦争」ともいわれます。他方、こう述べる歴史家 もいます。第一次大戦が現代に至る国際社会の枠組みをつくった、大戦中の1917年から新しい「世界史」が始まった、と。いずれにせよこの大戦の後、日本も「世界史」の主要アクターとして躍り出ることになります。

何がきっかけで開戦したのか?
 中学の歴史教科書は、開戦の経緯を次のように説明しています。「1914(大正3)年、オーストリアの皇太子夫妻が、サラエボでセルビア人の青年 に暗殺されました。オーストリアはセルビアに宣戦布告し、まもなく各国も参戦して、ドイツ、オーストリア、トルコを中心とする同盟国側と、イギリス、フラ ンス、ロシアを中心とする連合国側に分かれて、第一次世界大戦が始まりました。」(東京書籍「新しい社会・歴史」)

 暗殺事件は「サラエボ事件」で記憶されている方も多いでしょう。しかし、バルカン半島のサラエボ(現在のボスニア・ヘルツェゴビナ)という辺境地で起こった、「ささいな」という修飾語がつきそうな事件が、どうして世界大戦の引き金になったのでしょうか? 少し時代をさかのぼりましょう。

 日本が明治維新という大変革期にあった19世紀後半、ヨーロッパは平和な「良き時代(ベルエポック)」でした。ヨーロッパ列強はひと足先に重工業化を成し遂げ、帝国主義の眼と刃(やいば)をアフリカから中東、アジア、太平洋へと向けていました。この海外航路・植民地争奪戦のなかで、利害の一致する国どうしが手を結び、世界は「同盟国」と「連合国」という2つのブロックに分かれていったのです。1902年の「日英同盟」も、たがいの「利」のもとで結ばれた 同盟でした。ロシアの中国進出を牽制するという日英共通の「利」です。

 「三国同盟」と「三国協商」
 同盟国は、「三国同盟」を結んだドイツ、オーストリア、イタリアが中心。北アフリカの植民地争奪戦で、フランス に対抗するという「利」で一致していました。ドイツは皇帝が新航路開拓・軍備拡張に積極的で、他国の脅威になりつつあり、現在は小国のオーストリアも中央~東ヨーロッパ一帯を支配する強国でした。このうちイタリアは、オーストリアと領土問題の対立で「害」が表面化したため、たもとを分かちます。後にこの空席に加わるのがトルコです。かつて栄華を誇ったトルコ(オスマン帝国)は国力の低下がいちじるしく、南下してきたロシアに対抗する「利」から、ドイツに接近したのでした。

 連合国は、「三国協商」を結んだイギリス、フランス、ロシアが中心。植民地の再配分を求めるドイツを包囲する、という「利」で一致していました。イギリスはどの国とも同盟を結ばない「光栄ある孤立」の道を歩んでいましたが、日英同盟を皮切りに、フランスと協商を成立させ、日露戦争後はロシアとも手を結びました。露仏も同盟関係にあったことから、「三国協商」へと発展していったのです。

 この2グループの対立に火をつけたのが、前述の「サラエボ事件」です。バルカン半島は、スラブ系を主とする多民族、イスラム・正教系・カトリックという多宗教が入り混ざり、争いが絶えなかったことから、「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれていました。ここにゲルマンの親玉ドイツとオーストリアが進出してきたため、セルビア民族主義の青年がその「害」の象徴であるオーストリアの皇位継承者を襲撃したのです。セルビア人は、ロシアと同じく正教系のスラブ民族です。オーストリアがセルビアに宣戦布告すると、ロシアものろしを上げたのでした。

 予想以上に長引いた戦争
 日本も日英同盟を口実に、ドイツに宣戦しています。中国や南洋諸島にあったドイツ権益がねらいでした。しかし、一般の国民には切迫感が欠けていたようです。反露感情の高まりで起こった日露戦争とちがい、ドイツに対する悪感情は希薄で、「害」も「大義」も見出せなかったのでしょう。結果的には戦争特需という「利」に浴したものの、主戦場はヨーロッパであり、「遠い海の向こうの戦争」でした。

 日本の特需の背景には、大戦が予想をうわまわる物量戦・長期戦になったことがあります。徴兵制によって数千万の兵士が戦場にかり出され、戦車・航 空機・潜水艦(Uボートが代表)や毒ガスまで使われました。大量の兵器・物資を供給できる工業力が問われたことから、史上初の「経済戦争」という見方もあります。その舞台裏で「利」を得た日本は、世界3位の海運国へと躍進し、大戦前にあった約11億円の債務も完済しました。

 戦況は、短期決戦を想定していたドイツのもくろみが外れ、フランスとの西部戦線、ロシアとの東部戦線とも持久戦に入りました。海上戦でも一進一退の攻防がつづきましたが、17年4月にアメリカがドイツに宣戦すると、連合国が圧倒するようになります。18年になると、総力戦で疲弊したトルコ、オーストリアが降伏し、11月にはドイツも連合国と休戦協定を結びました。そして翌19年6月、講和条約(ベルサイユ条約)の締結によって、犠牲者1500万人以上ともいわれる未曾有の大戦が終わったのです。

 第一次大戦から新しい「世界史」が始まった?
 大戦中は、両グループとも中立国を味方につけようと躍起でした。植民地に対しては、戦後の独立・自治という「利」をほのめかし、自陣営への協力を求めたのです。なかでもイギリスは、アラブ人に対しては「フサイン・マクマホン書簡」でトルコからの独立を約束する一方、ユダヤ人に対しては「バルフォア宣言」でユダヤ国家建設の支援を約束するという「二枚舌」で、双方から協力を取りつけようとしました。この後、中東のパレスチナは、アラブ人とユダヤ人の争いの舞台となります。今日までつづく新しい「世界史」の始まりです。

 もう一つの大きな影響。大戦末期、ドイツは皇帝が退位し、共和制に移行しました。戦勝国のロシアも、大戦中の17年に皇帝が追い出され、帝政が崩壊しています。レーニン主導によるロシア革命で、5年後には史上初の社会主義国ソビエト連邦が誕生しました。「あと出しじゃんけん」で戦勝国となったアメリカも、体力を消耗することなく、日本以上の経済的な「利」と、国際社会での強い「影響力」を獲得しました。大戦後の世界は、この米ソ両大国の「利」と 「害」を軸に回るようになります。これも、第二次大戦後の冷戦につながる新しい「世界史」の始まりです。

 なお、ある歴史学者によると、第一次大戦をはじめて「世界戦争」「世界大戦」と名づけたのは日本人とのことです。この戦争の向かう先や本質を見抜いていたのかもしれません。ただし一般には、30年代まで「欧州戦争」「欧州大乱」などと呼ばれていたようです。どちらにしても、まだ「第一次」はついて いませんでした。 ≫(THE PAGE)


 第一次世界大戦は、以上のようなものだった。世界大戦が1次より2次の方が規模が大きくなった点を考慮すれば、3次は太平洋戦争より規模が大きくなる事も考えられる。まして、日米同盟における米軍との協力関係をバージョンアップさせようとしている安倍政権の解釈改憲への動きなどを観察してしまうと、杞憂では済まされないリアル感を覚える。どうも安倍政権の日米同盟の加速的深化な振る舞いには、腹に一物の感もある。「欧米8対中露2」と云う外交姿勢も見え隠れしている。時に、安倍晋三の自己矛盾的な言動も、うつけ者を装う信長の風にも見えるのである。無論、買被りだろうが、オバマ政権内部では、評価が分かれているのも、筆者同様のHATENAがあるからに相違ない。


 ≪ 欧米制裁対象の露下院議長、来日へ…大統領側近
 ロシアのナルイシキン下院議長が、6月2日に東京都内で開かれるイベントの開会式出席のため来日することが、16日わかった。
 複数の関係者が明らかにした。
 イベントは、ロシア文化を日本に紹介するもの。ナルイシキン氏は、プーチン露大統領の側近とされ、ウクライナ情勢を巡って、米欧の制裁対象となっている人物だ。
 日本政府は4月末、ロシアに対する制裁として、ロシア政府関係者23人の査証(ビザ)発給停止を決定したが、ナルイシキン氏は含まれていない。菅官房長官は14日の記者会見で、「(日本の制裁に)抵触していない」と述べ、来日は問題ないとの認識を示した。 ≫読売新聞

 上記読売の記事は、ベタ記事レベルの扱いだが、米国の気持ちを逆なでしているのも事実だ。プーチンの今秋訪日を、日米関係の深化と同時に行おうというわけだから、これは日本には珍しい外交姿勢だ。単に、安倍が目先の利に、片っ端から手出ししているだけ、と国内的には理解できるが他国の理解は異なるだろう。穿ち過ぎた解釈が加えられることも考えておいた方が良いかもしれない。最後に、ウクライナ問題で、アメリカの役割が驚くほど大きい事実を、元米国ロシア大使が語っている。


 ≪ ウクライナを内戦へ追いやる米国
  2008年、当時、米国の駐ロシア大使を務めていたウィリアム•バーンズ氏は、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)へ引き込もうとする試みは、ウクライナの分裂と内戦を伴う恐れがあると米国政府に警告していた。そして今まさにそのような事態が起こっている。

 欧州安全保障協力機構(OSCE)は、ウクライナ南部・東部における軍事作戦の停止や、地域の抗議運動の指導者たちとの協議を提案したが、キエフ政権は拒否した。民族主義者とファシズムを公に信奉する人々が中核のキエフ政権は、合法的な政府は憲法秩序を回復するために武力を行使する権利を有するとした米国務省の高官たちの発言を、万能の免罪符として受け取った。彼らは違法な手段で政権に就き、憲法を踏みにじったことなど気にしてはいない。重要なのは、外国の友人たちの承認を得たことだと考えている。キエフ政権は、戦車、大砲、戦闘ヘリコプターを使って秩序をもたらし、彼らが「分離主義者」や「テロリスト」と呼ぶキエフの軍事政権に反対する人々の区域だけでなく、一般市民の住宅をも砲撃している。ウクライナは急速に全面的な内戦に向かっている。

 だが、その危険性について米国指導部は6年前に警告していた。WikiLeaksの情報によると、2008年2月1日、当時、米国の駐ロシア大使を務めていたウィリアム•バーンズ氏(国務次官2008-2011年)は、米国、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ問題に干渉した場合の危険な結果について詳細に述べていた。バーンズ氏は、「ロシアはNATO加盟に関するウクライナ国内の意見の激しい相違を特に懸念している。ロシア系住民の大多数はNATO加盟に反対しており、ウクライナでは分裂や暴力、また最悪の場合は内戦が起こる恐れがある。その場合、ロシアは介入するか否かについ て決断しなけれらばならず、ロシアはそのような選択に直面したくはないはずだ」と執筆した。

 だが米国は2013年から2014年にかけての冬、キエフの出来事に干渉し、民主的に選出されたヤヌコヴィッチ大統領を力で解任することを支持した。ある説によると、ヤヌコヴィッチ大統領は、ウクライナにとって不利なEUとの連合協定(西側企業に対するウクライナ市場の開放)への調印を拒否したため、米国とEUの不満を買ったという。一方でロシアの一連の専門家たちは、ヤヌコヴィッチ大統領が、クリミアに米国の軍事基地を創設するというウクライナの政治・ 実業界のエリートたちの親米的なロビー活動に関する米国の計画にも反対したことが問題だったとの見方を示している。また、軍港の租借に関するロシアとの協定破棄を通告し、セヴァストポリからロシア艦隊を追い出す計画もあったとみられる。

 これらは、2008年に当時ウクライナ最高会議の議長だったヤツェニュク氏が調印した2つの文書を基に、今年の5月15日までに行われる予定だったという。1つ目の文書は、「2008年4月1日付ウクライナ大統領令No.289/2008への補足。行動計画『ウクライナ・NATO』の枠内における 2008年ウクライナ・NATO目標計画」。2つ目の文書は、機密「2008年上半期のウクライナ・NATO行動計画の枠内におけるウクライナ・NATO 目標計画の実施に関する分析報告書」。専門家たちは、これらの文書は米国で作成され、当時ウクライナの大統領だったユーシェンコ氏の妻である米国人のカテ リーナ・チュマチェンコ氏を通して、ウクライナ政府の高官に指令が届けられたとの見方を示している。米国はその頃までに、防諜機関や諜報機関を含むウクラ イナの全ての治安機関を厳密な管理下に置いていた。ウクライナは事実上、「独立について語ることが好き」な米国のマリオネットとなった。

 2008年8月、ウクライナ軍はグルジアの南オセチア侵攻を撃退する活動に参加したロシア機を撃墜した(だがグルジアの助けにはならなかった)。

 続いての行動は、クリミアを米国の「不沈空母」とすることだった。専門家たちによると2014年初頭、米統合参謀本部はクリミアを占領するために、米軍や民間会社の傭兵を使う可能性について検討した。クリミアの住民に物理的壊滅の危険が差し迫った。ウクライナへ送るために米国の軍部隊がポーランドに派遣され、キエフにはクリミアでロシア軍との戦闘行為を指揮するための本格的な司令部が設置された。アナリストたちは、世界は2014年初頭、第3次世界大戦の 瀬戸際に立たされたと考えている。だが、ロシアに支援を要請したクリミアの住民たち、そしてクリミアのロシアへの編入について勇気ある決断をしたロシア政 府の断固とした行動によって、大惨事を未然に防ぐことができた。ウクライナ, 米国, アンドレイ イワノフウクライナ情勢   ≫(ロシアの声)

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2014年 3/18号 [ウクライナ危機 新冷戦の現実味]
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