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世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●ユダ・ネオコンが怖れるシナリオ 中露印共同体+独の覇権

2014年12月31日 | 日記
幻滅 〔外国人社会学者が見た戦後日本70年〕
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藤原書店


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●ユダ・ネオコンが怖れるシナリオ 中露印共同体+独の覇権

 2014年もまもなく暮れてゆく。新年早々、暗いコラムを届けるのは気の毒なので、本年中に片付けるとしよう。安倍晋三と云う男に引っ掻き回され、生きながらえる筈だった細々とした我が国の生命維持装置も、大量のマネーが濃縮され点滴のビニール袋に混入されたことで、あだ花のような生命は活性化し、消えゆくロウソクの最後っ屁な炎が一瞬部屋を明るくしたが、今や暗闇の中にある。まあ、良いじゃないか、いずれは経済三等国になるのだから、それが、一人の無知蒙昧な右巻き政治家によって早められたという達観した立ち位置から眺めることも可能だ。

 日欧米のマネーに支配された政府、官僚、マスメディアは、今年もプロパガンダ幻想を振り撒き続けた。マネー陣営の悪魔的ニヒルな嗤いは、人類がマネーを礼賛する以上、その礼賛心理を煽り立てれば良いわけだから、成長があろうがなかろうが、成長は存在するという言説を、彼らの願望通りにひけらかせば、涎を垂らしてついてくるのは理の当然だ。それなら、何も考えず、その嘘っぱちな「成長神話」を我々も望んでいる、絶対にあるという顔で、まことしやかに語るだけで良いだろう。

 我々には、その嘘っぱち言説を「真実」として語る「語りべシステム」を構築しているのだから、彼らが「虚偽」に気づくわけはないだろう。その「語りべ」が活躍するメディアの主だった新聞、テレビ、雑誌関連は我々の支配にあるのだから、そこで大いに活躍させれば、「嘘でもいいから前向きな世界」を見たがっている人類に情報を振る舞ってやればいい。最後の最後は、悲惨なことになるだろうが、悲惨もマネーにとっては餌になり得る。その時はその時で、貧困ビジネスにマネーを注ぎ込み、次なる幻想を振り撒けばいいのだ。

 米国を舞台にするマネー勢力の陣営は、必ずしもアメリカマネーだけではないのだろう。世界のマネーが時には顔も判らずに、シンパシーだけで呼応する奇怪なシステムなのだが、その操作装置として、アメリカ合衆国の覇権国家性が必要なツールだったのだろう。ゆえに、世界的にみると、如何にもアメリカ一国で富を独り占めしているように見えるが、必ずしも正しい分析ではない。ただ、それ以上の分析は、秘密の秘密なのだから、探りようもない。

 ただ、彼らにも重大な弱味がある。北米大陸を中心に作り上げた、それらのシステム全体は、安全な北米大陸が存在する前提で動いていることだ。その為には、マネーは自分たちの住んでいる国が危機的状況寸前であっても、或いは火が噴いていても、自国の安全や豊かさより、北米大陸の安全と豊かさを優先する。最悪な場合には、マネーを牛耳る連中は、北米大陸と云う包括的安全シェルターに逃げ込もうと考えているようだ。無論、このような推測に物的証拠など見えていない、ただ、状況的な証拠は世界中にふんだんに残されている。その断片を繋いでみるかどうか、推理の世界なのだろうが、興味深い世界である。

 この彼らの安全シェルターであるアメリカ覇権主義が世界マネーの唯一の拠り所なのだから、これが壊れることは、彼らのすべての計画が根こそぎ破壊されることになる。20世紀の後半から、彼らが得意としたのが“イメージ”とか“空間”における優位性でマネーの特性をいかんなく発揮させて唯我独尊的世界の構築に成功した。そして、“モノ”と云う、原始的資本主義の触媒は、外国の先進諸国や発展途上国に投げ捨てた。

 しかし、この辺から、マネー陣営の戦略的な齟齬が生まれたのだと思う。“モノ”を生産、乃至は輸出する国に、思いのほかマネーが集中し、北米大陸にマネーが集約されなくなってしまったのだ。“イメージ”や“空間”があれば、七面倒くさい“モノ”などは、馬鹿な奴らに任せておけばいいと云うのが間違いだと気づきだした。つまり、“イメージ”や“空間”だけでは無理で、やはり資本主義の根源的な“モノ”を欠いてはいけないと思いついたのである。このような齟齬の修正に乗り出したのが、現在の欧米対ユーラシアと云う対立構図を生みだした。

 この結末がどのようなものになるのか、現時点では正確なことを把握している者など誰もいないだろう。我々に出来ることは、状況証拠を掻き集め、幾つかの選択肢を探るのがようやく可能な出来ることである。筆者の観点は、アメリカに一極集中させた、世界の覇権システムが分散化し始めている部分にスポットを当てて、この難題の選択肢を探している。あくまで、状況証拠の集積であり、論理的分析にまでは至らないだろうと思っている。

 ただ、「欧米対ユーラシア」と云う構図で、情報を収集していくうちに、上述したようなマネー勢力の実態も見えてくるのだから、存外無駄な努力でもないだろう。日本の新聞やテレビを見聞きしていたら、ロシアが今にもなくなるような雰囲気になっているが、現実は相当違うのではないかと思っている。以下は今日の時事通信の記事だが、この構想にロシアやインドが絡んでくると、アメリカ中心のドルマネー勢力の安寧も長続きしない可能性を示唆している。

≪ 中国、ユーラシアで影響力=アジアインフラ銀、始動へ-シルクロード再興と呼応
 【北京時事】中国がユーラシア大陸での影響力拡大を図っている。同国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が2015年に始動。中国が打ち上げるシルクロード再興構想と呼応し、途上国で鉄道や道路などのインフラ整備を後押しする。依然高い経済成長率と豊富な資金を背景に、その影響力はかつてのシルクロードのように欧州まで迫る勢いだ。
 AIIBの資本金は1000億ドル(約12兆円)。出資比率は国内総生産(GDP)に基づいて決まるため、日米などが加わらない見通しの中、世界2位の経済大国である中国が圧倒的な発言権を握るのは確実だ。
  役割が似た国際機関としては、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)がある。ともに日米の発言力が強く、ADBの歴代総裁ポストは日本が握る。こうした現状に不満を抱くブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)は14年7月、「新開発銀行」の設立で合意した。
 BRICS開銀、AIIBで弾みがついた中国の勢いは止まらず、習近平国家主席は14年11月、400億ドル(約4兆8000億円)を拠出して、シルクロード沿いの各国のインフラ整備などを支援する基金創設を表明した。
 シルクロードは大きく分けて、ユーラシア大陸の内陸部とインド洋を通る2ルートがある。中国のシルクロード再興も史実に倣い、陸路と海路の双方で各地をつなぐ構想。各国では中国主導で鉄道、道路、港湾、発電所などを整備する。 ≫(時事通信)

 日本のマスメディアや週刊誌を読んでいる限り、中露の協力など「屁のカッパ」みたいに受けとめる判断になっても、これは致し方ないなと思うほど、西洋マネーのプロパガンダに覆いつくされている。しかし、ここ15年くらいの世界史の中で、アメリカの歴代大統領たちは、何をしたのか思い出す器量があれば、なんだか変だなくらいの印象を持つのが、教養なのではないかと思う。 金正日、フセイン、ビンラーディン、カダフィー、アサド…らがアメリカのイメージ戦略の中で「悪魔化」という偶像イメージを作られ、概ね失脚し、その当該国はズタズタにされたり、国家の形態を失うばかりになっている。いま、このような流れの最先端にウラジミール・プーチンロシア大統領がいることを、多くの人間は目撃しているわけだ。

 おそらく、多くの日本人は、そんなこと言ったって、プーチンは悪そうに見えるじゃないか、クリミアを軍事力で併合しちゃったろう!しかし、アメリカが名指しする悪魔が本当に悪魔かどうか、検証作業もせずに、悪魔のまま置き去りにして、その国の惨状は、当該国の国民の質が悪いからくらいにしか評価しないのだろう。小沢一郎支持者であれば、ある程度、この辺理屈が判るだろうかと思っていたが、多くの小沢支持者も、西洋のプロパガンダの罠からは逃げられないようである。小沢一郎は、まさにこの手法で「悪魔化」されたのである。

 筆者の予測は当たらないので有名だが、ユーラシア(中露印)を中心とするBRICSの西洋覇権に対する挑戦は、ますます確実な情勢になっている。2016年には、中露の経済軍事同盟が有効化する可能性が大いにあるので、それまでに、アメリカ及びNATOは、この同盟関係を潰す行動に出なければならない筈である。中国がフォルクスワーゲンを自国の市場で優遇している意図を深読みすれば、ドイツのNATO離脱と中独露共同体のイメージまで生まれるのだから、米英は必死になって阻止する気持ちはよく判る。

 アメリカネオコンと愉快なマネー強欲勢力は、中独露印ユーラシア覇権の現実味を怖れ、本気で早めに潰すことを真剣に模索しているという。ただ、ネオコンなマネー勢力も、幾分イケイケどんどんとは行かない事情がある。核ミサイルの攻撃力、防衛力が、確実に中露を上回っている確証がない点であり、仮に、核戦争が勃発した場合に、受ける経済的被害、人的被害への、国民の拒否反応は、アメリカが断然飛び抜けているわけで、この評価が難題になっている。しかし、ロシア軍事ドクトリンでも示唆しているように、2016年に向けて、中露の軍事関係は同盟より一歩進んだ、共同体化する前に何とかしたという焦りは、かなり強迫神経症的になっている。

絶望という抵抗
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金曜日


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●成長余力がないのに 「経済成長なくして、財政再建なし」by ABE

2014年12月31日 | 日記
脱・成長神話 歴史から見た日本経済のゆくえ (朝日新書)
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朝日新聞出版

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●成長余力がないのに 「経済成長なくして、財政再建なし」by ABE

 与党税制改正が泥縄式になされたようだが、内容は最悪なものになっている。安倍晋三は、どこの誰に聞いて、「経済成長なくして、財政再建なし」なんて言葉を記憶したのだろう。まあ、百歩譲って、発言の理屈は認めるとして、それにしちゃ、あまりにもお粗末な、経済成長税制ではないのだろうか。現実をまったく無視して、机上の空論を、どこの誰が耳打ちしたのか聞いてみたいものである。これじゃ、成長しそうなものまで殺してしまいそうだ。

 市場の需給バランスが悪化の一途を辿っている事実を無視して、空論を振りかざし、抜刀したうえで、放射能汚染まみれの魚介類を口に押し込まれ、目ン玉丸くして、仰るとおりに書きますので、どうか福島産沖のヒラメだけはご勘弁くださいと泣いてすがる、マスメディアの編集幹部や経営陣、最近は、こういう事があれば風刺がと云うものがコメディー風に料理してくれたものだが、そういう雰囲気はなくなったようだ。サザンの桑田君が“解散するとむちゃをいい”と比喩したそうだが、そんなもんで感じる玉ではないだろう。

 経団連傘下の企業に聞けば、法人税が上がるより下がることは結構だ、というだろう。だからと云って、鉱工業生産指数は減少の一途、鉱工業製品在庫率指数は上昇の一途なのだから、完璧にリセッションに突入し直しているのだ。否、消費増税前の駆け込み特需が瞬間風速的に数値に寄与したことと、株価の上昇により、有価証券評価益が大幅にプラスに貢献したのが、最近の企業業績が好調のように見えているだけで、ファンダメンタルは下降線を辿っている。なにせ、需要をけん引する内需の側が、実質賃金の確実な低下なのだから、考えるだけ馬鹿ばかしいのだ。ガキでも分かる理屈だろうが。

 そもそも、実質的に数%の法人税しか納めていない大企業が多いのだから、2~3%法人税が下がって、経営上の大局には、たいした意味を持たないのである。こんな税制で、給料が増えるなんて話もくだらない。仮に上がったとして、数千円。保険料や住民税が上がるから、そんなもんチャラである。つまりは、給料など上げても、需給のバランスがほぐれるわけがない。1年以内に使い切らなければ権利が消えるポイントカード10万円とでもなれば、需要は増えるだろうが、財政は悪くなるばかり。それに、何年もカンフル剤は打てないし、打って世界経済が上向くこともないだろう。

 日本の大企業の多くがグローバル企業群の一員になっている現状は、マネーの支配に跪いているわけだから、国政が影響できる部分は僅かなのだ。つまり、経産省や財務省が綱引きやっても、コップの嵐で、マネーの威力には敵わないのだ。覇権国のアメリカまでが、マネーの子分なのだから、子分の子分はなんだろうね(笑)俗っぽく言えば「パシリ」ってとこでしょう。

 日経はマネーの傀儡だから、嘘言うのが当然。驚くのは毎日の記者の感性でもある。一家の中で、国民が有する1700兆円を、なんとか国内で動かそうとしているだけで、何も金持ち優遇策でも何でもない。人の褌で相撲取る日本政府税制と云うことだよ。この策が、たいして効果が上がらないとなれば、銀行口座凍結と新券発行の荒療治を考えるような気がする。場合によれば、日本の民間金融機関を倒産に追い込み、1000万以上のカネを吸い上げる手立ても検討されるだろう。財務・金融官僚は、もうそのプロジェクトに着手しているに違いない。まあ、筆者の戯言ついでに、以下の日経と毎日の記事をご賞味ください。

 ≪ 法人減税、稼ぐ企業に恩恵 赤字企業に負担じわり
2015年度の与党税制改正では法人税率 の引き下げが最大の焦点となった。アジアや欧州では税率を引き下げて国際企業を誘致する動きが進んでおり、日本も追随する。企業には15年度から2年で計 4200億円の実質減税となり、賃上げや設備投資を促す狙いもある。収益力の高い企業ほど減税の恩恵がある仕組みで、赤字を計上する大企業などは負担増と なる。
 「法人税を成長志向型に変える」。安倍晋三首相はこう力説してきた。法人実効税率は34.62%と、米国に次いで主要国で2番目に高かった。来年度には2.51%下がってフランス並みの税率になる。高収益企業が税負担の重さを嫌って日本から海外に事業所などを移すことを防ぎ、国内雇用の維持なども狙う。
 今回の法人税改革は一律で実効税率を引き下げるため、高収益企業ほど減税効果が大きい。業績が好調な自動車大手や、金融危機から業績が持ち直した生命保険各社は巨額の利益を上げており、減税効果が大きいとみられている。
 赤字企業にとっては負担が増す。地方税の法人事業税のうち、黒字か赤字かにかかわらず、資本金や給与総額を基準に課税する外形標準課税の税率が上がるからだ。
  財務省によると、外形標準課税が適用される資本金1億円超の中堅・大企業は約2万3千社ある。そのうち約6400社が赤字で合計1020億円の増税とな る。黒字企業は外形標準課税が増えても、法人事業税の所得部分への課税が減り、差し引き平均700万円の減税になるという。 大企業の収益力に応じて減税か増税かを試算すると、税制改正の影響は鮮明だ。資本金500億円、従業員数が6000人、平均給与が700万円の大企業の場合、300億円の黒字を計上している企業は15年度の税額が14年度に比べ5億円減る。一方で赤字を100億円計上している企業は1.5億円の増税となる。
 中小企業も収益の高い企業ほど税率引き下げの恩恵がある。課税所得のうち800万円を超える部分の税率は25.5%(国税分)から23.9%に下がる。中小企業のうち18万社は所得が800万円を超えており、成長著しいベンチャー企業などにもメリットがある。
 赤字の中小企業は税負担が変わらない。大企業の負担が増す外形標準課税は、中小企業への適用拡大を見送った。課税所得800万円以内の部分に適用する軽減税率(国税、15%)も2年延長する。
  今回の法人税改革では繰越欠損金制度の縮小などの課税強化策もある。繰越欠損金制度は当期の黒字額から過去の赤字額を差し引いて課税所得を減らす仕組みだ が、この控除の上限を黒字額の80%から65%に減らす。企業が受け取る配当への課税も強化され、大手銀行5グループで300億円弱の減益要因になるとの 試算もある。研究開発減税も縮小するため、医薬品や化学などの業界には制度改正のメリットが小さくなる可能性がある。 ≫(日経新聞電子版)


≪ 税制大綱決定:潤う大企業・富裕層 庶民に配慮少なく
自民、公明両党は30日、2015年度与党税制改正大綱を決定した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の柱と位置付ける法人税改革では、企業のも うけ(所得)にかかる法人実効税率を15年度から段階的に引き下げる。家計向けでは、高齢者の資産を子や孫に移し、住宅購入や育児などに活用してもらうため、贈与税の非課税制度を大幅に拡充。企業、家計向けの減税で賃上げや消費拡大などを促し、「デフレ脱却」を後押しする考えだ。ただ、好業績企業や富裕層 への優遇が目立っており、減税の効果が幅広い層に波及するかは見通せない。
 与党の2015年度税制改正大綱は、法人税改革を目玉にする一方、暮らしに関わる税制で減税メニューを並べた。とりわけ、高齢者の資産を若い世代に移す際の贈与税を大幅に軽くするなど、富裕層への優遇が目立つ。
 祖父母や親が、子や孫にお金を贈った場合の贈与税の非課税制度を拡充する。住宅資金については、非課税枠(現行1000万円)を16年10月から 最大3000万円に拡大する。教育にかかるお金を贈った場合、1500万円まで非課税とする措置も18年度末まで延長。新たに、結婚や出産、育児にかかる お金も1000万円を上限に非課税の対象に加える。
 また、株式などへの投資で得た利益への所得税を軽くする「少額投資非課税制度」(NISA)に、子供版の「ジュニアNISA」を新設する。子ども や孫の名義での年80万円までの投資について、運用益に課税しない。贈与や投資への減税について政府は「子育ての時期にあたり、いろいろな意味でお金がかかる若い世代に(高齢者から)資産が移転すれば、消費を喚起する」(麻生太郎財務相)としている。
 ただ、子や孫にまとまったお金を贈る余裕のない高齢者は、拡充のメリットを受けられない。
 4月の消費税率引き上げ後、低迷している住宅市場のてこ入れ策としては、17年末に期限を迎える住宅ローン減税を1年半延長することを決めた。17年4月の消費税率10%への引き上げ後の落ち込みを避けることも目指す。
 この他、自動車販売の下支えとエコカー普及のため、燃費の良い車を対象にした「エコカー減税」を、燃費基準を厳しくした上で延長。軽自動車税も新たに適用対象に加える。 消費回復の前提となる賃金引き上げを促すため、給料を増やした企業の法人税負担を軽くする制度も拡充する。業績好調な大企業がどこまで制度を活用するかや、中小企業が賃上げできるほどの利益を上げられるようになるかが課題になる。  負担増では、「わかば」「エコー」など、紙巻きたばこの一部銘柄(旧3級品)に適用されているたばこ税の軽減税率を段階的に縮小、廃止。インター ネットを通じて海外から販売される音楽や電子書籍は現在、消費税がかけられていないが、15年10月から課税対象にする。 ≫(毎日新聞:竹地広憲)

タックス・イーター――消えていく税金 (岩波新書)
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●家族に責任という行政 自由市場原理主義と喧伝しつつ

2014年12月31日 | 日記

 

現代思想 2015年2月臨時増刊号 総特集◎網野善彦 無縁・悪党・「日本」への問い
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●家族に責任という行政 自由市場原理主義と喧伝しつつ

 昨日の夜から本日にかけて、ブログランキングのマイページをいじくり回していたら、滅茶苦茶になってしまい、ついに一旦退会の手続きをする羽目になった(笑)。先ほど新たに登録した、我がサイトのランキングは370位になっていた(笑)。新年じゃなくてヨカッタと、己のドジを慰めるしかない体たらくです。

 本日は、新年早々の話題としてはチョッとと思うので、年末に取り上げておこうと思い立って書くコラムです。以下の朝日の報道に触発されて書くのだけれど、この報道の精神疾患問題もそうだが、医療問題や介護問題などにも、同じような臭いのする問題が内在しているように思う、日本の行政状況だなと、最近つくづく思うのである。

≪ 暴れる娘、押さえつけて病院へ 精神疾患、孤立する家族
精神の障害を抱えた三男の暴力に悩み、三男を殺してしまった父親の裁判の記事(12月4日付朝刊)に、多くの反響が寄せられました。「どうにかならなかったのか」「ひとごととは思えない」。そうしたなかで、切実な思いを打ち明ける手紙を寄せてくれた家族に、話をうかがいに行きました。

■警察も医師も解決できず  
「私たちも、ありとあらゆる苦難とともに生きています。娘を殺さなければ家族の誰かが殺されるか、巻き添えで死ぬことになるのではという恐怖とともに生きてきました」
 神奈川県に住む50代の女性は胸の内を打ち明けた。いまは20代になる長女が摂食障害を起こしたのは、14歳の時。その後、精神疾患の疑いがある、と医師に告げられた。学校に行けなくなり、入退院を繰り返した。16歳ごろからは暴力がひどくなり、女性に塩酸が原料の洗剤を飲ませようとしたり、夜中にわめいて暴れたりすることも増えた。
 「警察に連絡をすると、『またか』という対応をされ、それでも何度も呼びました。真夜中のサイレン、無線の音、近所の不審そうな目、いまでも忘れません」
 暴力がひどくなった時こそ、長女を入院させてほしかった。しかし、精神科医には「ベッドが空いてない」「本人の意思を尊重した方がいい」と断られることがほとんど。自分や他人を傷つけるなどの恐れがあると認定された時に強制的に入院させられる措置入院を警察に願い出たが、長女は警察官の前では落ち着きを取り戻し、「措置入院は無理です」と断られた。
 女性は精神病に関する専門書を何冊も読み、著者である医師のもとへも相談に行った。保健所にも相談した。しかし、解決策は見いだせなかった。「うちでは対応できません」と断られることも。暴れる長女を夫と2人で押さえつけながら、早朝に病院に駆け込む日が続いた。
 命の危険を感じ、家庭内暴力(DV)に関する相談所に駆け込んだこともあった。だが、DVの対象は配偶者やパートナーで、子どもからの暴力は対象外として、シェルターに入ることはできなかった。
 「子どもが暴れるのは親の育て方が悪いという土壌がある。だから、親が駆け込む先がないのではないでしょうか」「結局、家族が自らの命と引き換えに本人を引き取るしかない」

■措置入院しかなかった
 長女は約7年前から自殺未遂を重ねるようになり、措置入院が認められた。現在は閉鎖病棟に長期入院している。女性は週に数回、長女の着替えなどを持ち、病院に通っている。
 しかし、入院への世間の目は厳しい、と女性は感じている。「体を拘束してかわいそう」「人権侵害ではないか」。そういう声を耳にする度に、ではどうしたらいいのか、と絶望的な気持ちになるという。
 厚生労働省は2004年、長期入院する精神疾患患者が多い現状を受け、「入院医療中心から地域生活中心へ」と精神医療の改革方針を打ち出した。ただ女性は「入院患者数の縮小を訴えるだけでは、家族は追い詰められる」と話す。まずは暴力を振るう患者を家族などから引き離し、保護する場所が必要だと考えるからだ。
 「娘を拘束するのはつらい。それでも、もし子どもが他の人を傷つけた場合、家族はつぐないきれない。これ以外に、娘を生かす方法がないんです」。社会の支援と理解が進まないなかで、家族は孤立している。女性は、そう感じてならないと語った。(塩入彩)   
   ◇  
〈三男殺害事件〉 12月4日朝刊で報じた事件の概要 今年6月、東京都内に住む男性(65)が自宅で就寝中の三男(当時28)を刃物で刺し、殺害した。11月に東京地裁立川支部であった裁判員裁判の公判で、男性ら家族が、精神の障害がある三男の暴力に悩み、追い詰められていたことが明らかになった。  検察側や男性の証言などによると、三男は約10年前から精神科に通っていたが、症状は悪化。次第に家族に暴力を振るうようになった。男性は主治医や保健所、警察などに相談し、三男の入院を懇願していたが、断られていたという。  地裁支部は11月21日、「相当やむを得ない事情があった」と男性に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡した。男性側、検察とも控訴せず、今月6日に判決が確定した。 ≫(朝日新聞デジタル)


 年々国民の実質所得は確実に減り続け、好景気の煽り報道を横目で見ながら、疎外感を味わう国民は、日増しに増していく按配だ。植草氏のコラムでも紹介されているが、
≪ 12月26日、11月鉱工業生産統計速報値が発表された。 鉱工業生産指数は季節調整後前月比 -0.6%の減少を示した。 鉱工業製品在庫率指数は前月比4.0ポイント上昇の 116.8を記録した。 11月に発表された予測指数では、12月の生産は季節調整後前月比 +2.3%の伸びを記録することとされていたから、予測指数に対して、大幅下方修正の統計数値発表となった。 この統計が示していることは、日本経済が、完全に景気後退局面にあることだ。 景気の循環変動を把握するうえで、最も有用な経済指標は、鉱工業製品在庫率指数の推移である。 景気循環の姿は、鉱工業製品在庫率指数の推移にくっきりと表れる。 鉱工業製品在庫率指数は、景気拡大局面で低下し、景気後退局面で上昇する。≫
完璧に不況を表す指数が現実に出ているのだから、晋三や黒田が何と吠えても、景気が上昇することはない。

 不況になるのは、先進諸国の運命的な面もあるので、生活が厳しくなっていくことは、状況把握としては、現実的であり、合理的でもある。奇妙なマスメディアの粋がりな論調に乗って気分がハイであっても、システム的に動いている国際経済では、角を矯めて牛を殺すことになるだけで、努力が報われることは一切ない。国民は、自分たち家族全体で有している1700兆円近い金融資産を、国家に召し上げられないように、気配りしなければならない時代が、すぐそこまで来ていることを自覚した方が利巧である。筆者はかなり金の延べ棒に化けさせている(笑)。

 高齢化したら(3,40年前から判っていることだが)、老後は自分たちで頑張れ、年金支給は減りますよ、保険料、医療負担は増えますよ。増税しないと国がやっていけないのだから、仕方ないじゃありませんか!もう、ここまで来ると、政府や行政の言い放つ言葉が「居直り強盗や説教強盗」に思えてくる(笑)。80歳の爺さんに、100歳の親の面倒をみなさい、家族でしょう?扶養義務があるのだから、生活保護も出しませんよ。アンタ達、ぼろ屋は自宅でしょう?

 精神疾患を抱える家族の窮状は朝日の記事で充分理解可能だが、老老介護だって、結局途方に暮れる高齢者が増えるんだろうね。それでも、自助だ共助だって官僚機構は言い放ち馬耳東風である。南相馬市の特定避難勧奨地点の解除にしても、除染した後すぐに、その地点を測り、「線量が20mSv/年以下になった!」と叫び、内閣府の役人が「もう補償金はでないからね」と通告する始末だ。県も国も、放射線の影響軽微を国際世論化させたいのが見え見えだ。無論、東電の経営事情にも配慮しているのだろうが。

 何もかも、判っていて、実際は何も手を打たないのが、官僚機構と云うものなのだろう。駄目バカな裁判官同様に、過去の事例を見て物事を決める能力には長けている連中だが、目まぐるしく変わって行く、世界的潮流や日本の時流にも、対応できない組織の旧態依然度は完璧に近い。オリジナリティがない民族であることは、ある程度理解しているが、オリジナルな考えをしても、そのアイディアを拾い上げ、引き伸ばしてやる才覚はゼロである。そんなことをすれば、君大変なことになるよ、と先輩が真剣にアドバイスする世界なのだから、永遠に治らないのだろう。

 未来展望にも繋がる話なのだが、そこまで面倒見たのでは、手に余るので、俯瞰的見地だけで、次回にでも、中国ロシアの総体的動きと、アメリカの死に物狂いの覇権維持策を検討していこうと思う。少々慌ただしくまとまりの悪いコラムだが、370位なので、許して戴くことにする。

アダム・スミス 人間の本質---『道徳感情論』に学ぶよりよい生き方
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●家族に責任という行政 自由市場原理主義と喧伝しつつ

2014年12月30日 | 日記
現代思想 2015年2月臨時増刊号 総特集◎網野善彦 無縁・悪党・「日本」への問い
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 昨日の夜から本日にかけて、ブログランキングのマイページをいじくり回していたら、滅茶苦茶になってしまい、ついに一旦退会の手続きをする羽目になった(笑)。先ほど新たに登録した、我がサイトのランキングは370位になっていた(笑)。新年じゃなくてヨカッタと、己のドジを慰めるしかない体たらくです。

 本日は、新年早々の話題としてはチョッとと思うので、年末に取り上げておこうと思い立って書くコラムです。以下の朝日の報道に触発されて書くのだけれど、この報道の精神疾患問題もそうだが、医療問題や介護問題などにも、同じような臭いのする問題が内在しているように思う、日本の行政状況だなと、最近つくづく思うのである。

 ≪ 暴れる娘、押さえつけて病院へ 精神疾患、孤立する家族
精神の障害を抱えた三男の暴力に悩み、三男を殺してしまった父親の裁判の記事(12月4日付朝刊)に、多くの反響が寄せられました。「どうにかならなかったのか」「ひとごととは思えない」。そうしたなかで、切実な思いを打ち明ける手紙を寄せてくれた家族に、話をうかがいに行きました。

■警察も医師も解決できず  
「私たちも、ありとあらゆる苦難とともに生きています。娘を殺さなければ家族の誰かが殺されるか、巻き添えで死ぬことになるのではという恐怖とともに生きてきました」
 神奈川県に住む50代の女性は胸の内を打ち明けた。いまは20代になる長女が摂食障害を起こしたのは、14歳の時。その後、精神疾患の疑いがある、と医師に告げられた。学校に行けなくなり、入退院を繰り返した。16歳ごろからは暴力がひどくなり、女性に塩酸が原料の洗剤を飲ませようとしたり、夜中にわめいて暴れたりすることも増えた。
 「警察に連絡をすると、『またか』という対応をされ、それでも何度も呼びました。真夜中のサイレン、無線の音、近所の不審そうな目、いまでも忘れません」
 暴力がひどくなった時こそ、長女を入院させてほしかった。しかし、精神科医には「ベッドが空いてない」「本人の意思を尊重した方がいい」と断られることがほとんど。自分や他人を傷つけるなどの恐れがあると認定された時に強制的に入院させられる措置入院を警察に願い出たが、長女は警察官の前では落ち着きを取り戻し、「措置入院は無理です」と断られた。
 女性は精神病に関する専門書を何冊も読み、著者である医師のもとへも相談に行った。保健所にも相談した。しかし、解決策は見いだせなかった。「うちでは対応できません」と断られることも。暴れる長女を夫と2人で押さえつけながら、早朝に病院に駆け込む日が続いた。
 命の危険を感じ、家庭内暴力(DV)に関する相談所に駆け込んだこともあった。だが、DVの対象は配偶者やパートナーで、子どもからの暴力は対象外として、シェルターに入ることはできなかった。
 「子どもが暴れるのは親の育て方が悪いという土壌がある。だから、親が駆け込む先がないのではないでしょうか」「結局、家族が自らの命と引き換えに本人を引き取るしかない」

■措置入院しかなかった
 長女は約7年前から自殺未遂を重ねるようになり、措置入院が認められた。現在は閉鎖病棟に長期入院している。女性は週に数回、長女の着替えなどを持ち、病院に通っている。
 しかし、入院への世間の目は厳しい、と女性は感じている。「体を拘束してかわいそう」「人権侵害ではないか」。そういう声を耳にする度に、ではどうしたらいいのか、と絶望的な気持ちになるという。
 厚生労働省は2004年、長期入院する精神疾患患者が多い現状を受け、「入院医療中心から地域生活中心へ」と精神医療の改革方針を打ち出した。ただ女性は「入院患者数の縮小を訴えるだけでは、家族は追い詰められる」と話す。まずは暴力を振るう患者を家族などから引き離し、保護する場所が必要だと考えるからだ。
 「娘を拘束するのはつらい。それでも、もし子どもが他の人を傷つけた場合、家族はつぐないきれない。これ以外に、娘を生かす方法がないんです」。社会の支援と理解が進まないなかで、家族は孤立している。女性は、そう感じてならないと語った。(塩入彩)   
   ◇  
〈三男殺害事件〉 12月4日朝刊で報じた事件の概要 今年6月、東京都内に住む男性(65)が自宅で就寝中の三男(当時28)を刃物で刺し、殺害した。11月に東京地裁立川支部であった裁判員裁判の公判で、男性ら家族が、精神の障害がある三男の暴力に悩み、追い詰められていたことが明らかになった。  検察側や男性の証言などによると、三男は約10年前から精神科に通っていたが、症状は悪化。次第に家族に暴力を振るうようになった。男性は主治医や保健所、警察などに相談し、三男の入院を懇願していたが、断られていたという。  地裁支部は11月21日、「相当やむを得ない事情があった」と男性に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡した。男性側、検察とも控訴せず、今月6日に判決が確定した。 ≫(朝日新聞デジタル)


 年々国民の実質所得は確実に減り続け、好景気の煽り報道を横目で見ながら、疎外感を味わう国民は、日増しに増していく按配だ。植草氏のコラムでも紹介されているが、
≪ 12月26日、11月鉱工業生産統計速報値が発表された。  鉱工業生産指数は季節調整後前月比 -0.6%の減少を示した。   鉱工業製品在庫率指数は前月比4.0ポイント上昇の 116.8を記録した。   11月に発表された予測指数では、12月の生産は季節調整後前月比 +2.3%の伸びを記録することとされていたから、予測指数に対して、大幅下方修正の統計数値発表となった。   この統計が示していることは、日本経済が、完全に景気後退局面にあることだ。   景気の循環変動を把握するうえで、最も有用な経済指標は、鉱工業製品在庫率指数の推移である。   景気循環の姿は、鉱工業製品在庫率指数の推移にくっきりと表れる。   鉱工業製品在庫率指数は、景気拡大局面で低下し、景気後退局面で上昇する。≫
完璧に不況を表す指数が現実に出ているのだから、晋三や黒田が何と吠えても、景気が上昇することはない。

 不況になるのは、先進諸国の運命的な面もあるので、生活が厳しくなっていくことは、状況把握としては、現実的であり、合理的でもある。奇妙なマスメディアの粋がりな論調に乗って気分がハイであっても、システム的に動いている国際経済では、角を矯めて牛を殺すことになるだけで、努力が報われることは一切ない。国民は、自分たち家族全体で有している1700兆円近い金融資産を、国家に召し上げられないように、気配りしなければならない時代が、すぐそこまで来ていることを自覚した方が利巧である。筆者はかなり金の延べ棒に化けさせている(笑)。

 高齢化したら(3,40年前から判っていることだが)、老後は自分たちで頑張れ、年金支給は減りますよ、保険料、医療負担は増えますよ。増税しないと国がやっていけないのだから、仕方ないじゃありませんか!もう、ここまで来ると、政府や行政の言い放つ言葉が「居直り強盗や説教強盗」に思えてくる(笑)。80歳の爺さんに、100歳の親の面倒をみなさい、家族でしょう?扶養義務があるのだから、生活保護も出しませんよ。アンタ達、ぼろ屋は自宅でしょう?

 精神疾患を抱える家族の窮状は朝日の記事で充分理解可能だが、老老介護だって、結局途方に暮れる高齢者が増えるんだろうね。それでも、自助だ共助だって官僚機構は言い放ち馬耳東風である。南相馬市の特定避難勧奨地点の解除にしても、除染した後すぐに、その地点を測り、「線量が20mSv/年以下になった!」と叫び、内閣府の役人が「もう補償金はでないからね」と通告する始末だ。県も国も、放射線の影響軽微を国際世論化させたいのが見え見えだ。無論、東電の経営事情にも配慮しているのだろうが。

 何もかも、判っていて、実際は何も手を打たないのが、官僚機構と云うものなのだろう。駄目バカな裁判官同様に、過去の事例を見て物事を決める能力には長けている連中だが、目まぐるしく変わって行く、世界的潮流や日本の時流にも、対応できない組織の旧態依然度は完璧に近い。オリジナリティがない民族であることは、ある程度理解しているが、オリジナルな考えをしても、そのアイディアを拾い上げ、引き伸ばしてやる才覚はゼロである。そんなことをすれば、君大変なことになるよ、と先輩が真剣にアドバイスする世界なのだから、永遠に治らないのだろう。

 未来展望にも繋がる話なのだが、そこまで面倒見たのでは、手に余るので、俯瞰的見地だけで、次回にでも、中国ロシアの総体的動きと、アメリカの死に物狂いの覇権維持策を検討していこうと思う。少々慌ただしくまとまりの悪いコラムだが、370位なので、許して戴くことにする。

アダム・スミス 人間の本質---『道徳感情論』に学ぶよりよい生き方
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●未来展望から 海洋覇権と大陸覇権が対立する21世紀(3)

2014年12月30日 | 日記
幻滅 〔外国人社会学者が見た戦後日本70年〕
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藤原書店


●未来展望から 海洋覇権と大陸覇権が対立する21世紀(3)

 このような見出しを書くと、欧米的価値観に頭のテッペンからつま先まで、どっぷりと浸かった日本人の主流派な人々や、それに順応する人々から、あり得ない妄想なんか意味がないという非難が起きるのは当然なのだろう。明治維新以降、英米仏独など欧米先進諸国を見倣い、追いつき追い越せを目標に生きてきた日本であり、その国民なのだから、自然に身についた価値観だと思うのもよく判る。幕末から明治を含めて150年くらいの間日本が、その流れの中で奮戦努力したのは判る。間に第二次大戦を挟むわけだが、大きくは天皇の存在と、その官吏である中央官僚組織が為政を、時の政治家達になり代わり、執行していたと、哲学、社会学や歴史の概観として捉えることが出来る。

 無論、天皇の主権が絶大であった時代と象徴化された時代の別はあるが、天皇は存在し続けた。この存在は、飛鳥時代においても確認可能なのだから、日本の歴史的な特長だと捉えておくことは、非常に重要な他の国々との大きな差である。中央官僚組織が、天皇や、時の政府の要求に基づき、為政に必要な法律を作成し、天皇や政治家や政府の意図に関係なく、霞が関文学を散りばめることで、裁量行政と云う「見えないポリティックスパワー」を発揮しているのは、幕府、明治、昭和、平成においても、同質の隠れた支配力を持っている。

 原則論だが、裁判官など司法組織に属する人々も中央官僚組織の一部を成していると解釈しておいても、大きな見当違いに行きつくことはない。おそらく、一部の新聞人など除けば、多くのメディア企業、関係者も中央官僚組織の一部化していると言っても良いだろう。当然、中央官僚組織の裁量行政に相互扶助関係にある企業群も、その組織と同質化することが多いので、結果的にその行き先は中央官僚組織の一部構成員的要素を備えることになる。つまり、企業も、その体質にもよるが、行政官僚の差配ひとつで経営の方向性が決定するような大規模な製造業などでは、民間でありながら国家に近い民間でもある。

 “海洋覇権と大陸覇権”と云う見出しを出しておきながら、オマエは何を言い出すのか、と腹立つのもよく判るのだが、欧米列強に付き従う歴史が150年以上続くと、家族で考えると4世代から5世代の人々の営々とした記憶が残るわけである。特に、20世紀から21世紀にかけて生きている我々は、その記憶や記録、言い伝えられたこと、そして自分が経験してきたことなどが中心になって、物事を理解し実行する文化が当然のもののようになってしまう。江戸時代、まして飛鳥、平安、鎌倉、戦国時代に、自分たちの血脈がどうなっていて、江戸後期にはどうなっていたのか、そこまで遡れる家系は僅かなのだろうし、西洋文化よりも東洋文化の影響で、日本が国家観を育んできた文化伝統の記憶は無に等しくなっているであろうことを意識しておくべきだ。しかし、その東洋文化こそが、国家基盤の醸成に西洋文化以上に寄与した事実に背を向けてはいけない。

 仮に弥生後期に西暦が始まったとして、歴史の起点と考えれば、我々は2000年以上、日本と云う国のかたちの中で生きているのだから、欧米文化に浸っているのは150年程度に過ぎないわけだ。1850年分の日本の歴史は、どこに現在の日本人に残されているのか。いや、色んな形で生き残ってはいるだろう。魂のよりどころに、縄文人の話が出てくるように、自分たちが失ったものを思い出す時に、縄文人だとか武士の魂だとか、色んな市井の歴史観が顔を出す程度だ。

 しかし、幾ら現在に近いからといって、直近150年を近視眼に、如何にも「正義」である如く論ずるのは如何なものだろうかと云う感想があるのだが。どうも現代人を見ていると、欧米価値観が「普遍的絶対価値」として捉えがちなのだと思う。まさに目の前を動き回っている価値観なのだから、それを信じてどこが悪い!そういう反論も可能ではある(笑)。しかし、見えるものしか観ない、知っても生きる術にならないモノには心及ばない、という生き方こそが、「茹でガエル」を増産する道なのではないだろうか。戦後レジュームからの脱却などと云うのも、この近視眼から生まれた薄っぺらな歴史観に過ぎない。そして、これからも、天変地異でも起きない限り、2000年程度は最低でも日本は、何らかの形で存在し続けると考えて、世界の歴史的趨勢における国のかたちに思いが及ぶのも悪い事ではない。

 この際、このコラムにおいては、世界の覇権を帝国的なものと置き換えて考えることにする。帝国と考えれば、歴史的事実として、永遠の帝国なぞ、絶対にあり得ないと断言できる。つまり、ローマ帝国から、モンゴル帝国、オスマン帝国、スペイン、オランダ、英国等々緩やかな帝国主義時代は時の流れのように、消えては生まれ、生まれては消えた。世界は第一次大戦後、緩やかだった覇権国の世界への君臨が、第二次世界大戦を経て、英国から米国に移った。この英国までの帝国の世界への覇権と米国による覇権は、同じ言葉で表現されるが、異質な意味合いを持ち、世界を同一の価値観で統一したいという野心に満ち溢れた、絶対権力的色彩を強くするものになった。

 おそらく、人工国家である米国独特の誕生過程によるものだろうが、長い歴史や伝統文化を持たないコンプレックスが、実は強大な人為的システムを構築することに成功し、米国独特の帝国主義を完成させる為に、アメリカンデモクラシーなるものを作り上げ、米一国主義覇権の普遍的価値を、新たな世界のスタンダードにすることに、半ば成功した。しかし、帝国として世界に君臨している時間は、100年程度に過ぎないのだから、歴史的座標で眺めれば、一瞬の点である。このような視点で、現在のアメリカ合衆国を眺めておけば、彼らの世界支配が永遠で、アメリカの普遍的価値が永遠等と云う主張が戯言であることに、結論が至っても何ら不思議はない。

 つまり、米国一極主義帝国の存在が、今後永遠どころか、100年続く保証は、どこにもない。そういう意味で、これからの世界の趨勢が、どのように流れていくのだろうか、その辺を展望してゆくことが、地球規模に俯瞰することであり、今現在の状況云々に、多くの神経を費やすと、枝葉末節を見て、その木ぜんたいを見ず、まして森などに考えが及ぶこともない。そこで、拙コラムでは「海洋覇権と大陸覇権」と云うタイトルをつけて、大陸覇権ってのは、どこのことだ?と考えるのである。次回はBRICSを中心にユーラシア大陸について思いを馳せてみようと思う。

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方
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英治出版
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●未来展望から「不機嫌」「不都合」「不利益」な21世紀(2)

2014年12月28日 | 日記
脱・成長神話 歴史から見た日本経済のゆくえ (朝日新書)
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朝日新聞出版




●未来展望から「不機嫌」「不都合」「不利益」な21世紀(2)

 この年末の多忙極まりないときに、有権者のアベノミクスへの評価を問うと言い出し、解散総選挙を強行したわけだが、全体の25%の支持により、何故か安倍自民政権は信任された。アベノミクスの経済政策が上手く循環していると政権側も、その腰ぎんちゃくメディアも、そうだそうだとプロパガンダの限りを尽くしたが、実態は日本経済に根腐れを起こさせる結果になっている。

 選挙が終わってしまえば、保険約款の細かい文字に同様の「公約」すべてが容認されたと受けとめると言い出し、安倍晋三は、全面的に民意を得たと強弁しはじめ、マスメディアも、消極的にだが、「そう言われてしまえば、そうとも言える」みたいな、追随型報道が目立つようである。大山鳴動してゴキブリも出てこない選挙をしたわけだが、安倍にとっては、全面的に民意に容認された、白紙委任を貰った。そういう理屈で、来年は大暴れしようと決意しているに違いない。

 各紙の世論調査などを見てみると、有権者の25%の票を集めただけの安倍内閣の支持率が50%前後になっているというのだから、なんだか理屈に合わない。50%が積極的な内閣支持率であれば安倍自民は、選挙でも40%前後の票を得ても不思議ではないのだ。どっちが本当なのだと考えれば、そりゃあ選挙の投票数値だと思う。つまり、マスメディアが公表する内閣支持率は、積極的支持の倍の数字が出るものだと理解しておけば良いようだ。

 まあそれでも、15年は安倍政治が本格稼働する年になるわけだが、実は非常にタイトな日程で、安倍官邸は「戦後レジュームからの脱却」(戦前回帰)を行うことになる。筆者が記憶にあるものだけ書き連ねても、以下のようなものになる。大袈裟に言えば、政府が自ら、“民意を得たからやっちゃうよ革命”なのである。我々国民にかなり影響が及ぶであろう主なものだけ並べてみたが、戦後の政治シーンで、一つの項目の話題を出すだけでも、内閣が潰れそうな問題を、10個以上も並べ立てているのだか、驚くというか、驚がく的なのだ。しかし、国民の生活の中で、それらの驚愕の目標に敏感に反応している様子は窺えない。

◇集団的自衛権行使法整備
◇武器輸出の加速
◇原発再稼働及び新設計画
◇特定秘密保護法の本格稼働
◇愛国教育の徹底
◇言論介入
◇アベノミクスの深化と加速
◇大企業(財閥企業依存)経済の再構築
◇TPP参加による自由市場主義の本格導入
◇雇用形態のリストラクチャリング、非正規雇用の拡充
◇アベノミクス修正補正 ◇税制改革(原則増税)と社会保障(原則縮小)
◇憲法改正、等々

 昨日のコラムの見出しのように“ボコボコに なるまで待とう”と云う心境でなければ、以上のような国家観の革命的変革を黙って見過ごすことは、本来ありえないような気がする。上記の方向性が本当に実行されると云う事は、「お前たちを“いい所”に連れていくけどイイよね?」と聞かれて、“いい所”ってどこですか?と聞くのが普通だ。数多くの、いい所を例示されるので、記憶の曖昧な国民は、全部合わせると、どういう所に行くのか判らなくなるようだ。

 「TDLだろう、花畑だろう、食べ放題の回転すし、ストリップ劇場だろう、USJだろう、場だろう、東京オリンピックに、津々浦々の好景気だろう、美しい国だろう、みんなが力を合わせてだろう、誰にも負けないおとぎの国だろう、人類はみんな家族だろ、強いものはもっと強く、弱いものは弱いものらしく、だよね、そうだよね。今君はウンと言ったよ。」

 なんだか判らないけどいい所みたいだね。そんな感じの詐術なのだろうが、安倍内閣の羅列された遣りたいこと一覧表を見ながら、政治日程を考えると、かなりの無理がある事は承知でやっている節がある。統一地方選の時期まで待つとすると、安保関連、原発、TPP関連の問題を1年半と云う期間に集中的に片づけなければならない。憲法改正までは手が届かない段階で、参議院選挙の時期に到達する。来年中には、アベノミクスの副作用が顕著化するだろうから、経済大失政も国民の知るところとなるだろう。多分、ここまでくれば“ボコボコに なるまで待とう”の状況だと思うのだが、どうなのだろう。

 常識的には、ここまでくれば流石に国民も目覚めると思いたいのだが、まだボコボコ状態だと思わない可能性もある。それが、国民保有の1700兆円近い金融資産の蓄積だ。これを食い尽くさない限り、国民が怒らない可能性があるのかも?という不安はよぎる。現在政府は、この1700兆円の略奪方法を色々仕掛けているが、日経が煽るほど人は動いていないようだ。

 そうなると、最後の手段は預金封鎖に至るのだろう。この最悪のシナリオは、安倍政権でなくても起きうる話だ。消費税30%か、預金凍結。消費税30%か年金半額、医療費5割負担。そんな究極の選択時代が日めくりカレンダー程度の速度で動いているのは確実なようだ。もう一つ究極の選択もある。戦争を始めてしまうことで、第二次大戦同様に、お国を“御破算で願いましては”を画策する手も残されている事も頭の片隅には置いておくべきだ。無論、このような悲惨な状況が日本だけで起きるわけではなく、先進諸国全体に起きる可能性が地球規模であることも認識しながら、未来を展望していきたいものである。注:継続テーマなので、各回結論が出るとは限らない。

宰相の羅針盤―総理がなすべき政策 改訂・日本よ、浮上せよ!
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東信堂



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● “ボコボコに なるまで待とう 安倍shinzou” by 無党派

2014年12月27日 | 日記
農山村は消滅しない (岩波新書)
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岩波書店


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● “ボコボコに なるまで待とう 安倍shinzou” by 無党派 

 「ボコボコに なるまで待とう 安倍shinzou」そんな川柳の意味を、多くの国民がニヤニヤ笑いながら理解出来るような政治の現状は最悪なのだと思う。正直、感情が劣化した人々が群れて政治を行っているだけならいざ知らず、恥じらうという言葉も知らないようだ。沖縄県民の、米軍基地に対する意思表示(民意)を、完全無視するのだから凄い。否、無視するだけならいざ知らず、因幡のウサギのように、痛んだ心に粗塩なすりつけるのだから、呆れてモノが言えない。

 ≪ 安倍政権、沖縄振興予算の減額検討 辺野古反対を牽制
安倍政権は、2015年度予算の概算要求で3794億円を計上していた沖縄振興予算を減額する検討を始めた。政府が進める米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設の阻止を掲げる沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が就任したことを踏まえ、予算減額をちらつかせて県内移設反対の動きを牽制(けんせい)する狙いがありそうだ。
  政府は「振興策と基地問題はリンクしない」(菅義偉官房長官)との立場だが、辺野古の埋め立てを承認した仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事時代には「大盤振る舞い」してきた。今年度予算には3501億円を計上、沖縄振興予算を21年度まで3千億円台とした。
 だが、辺野古移設阻止を主張する翁長県政が始動し、衆院選では翁長氏は県内移設反対派の候補を応援。自民党候補は沖縄の小選挙区で全敗した。こうしたことから、安倍政権は沖縄振興費を使って、翁長知事側を揺さぶる狙いがあるとみられる。
 山口俊一沖縄北方相は26日の記者会見で「消費税10%を先送りし、沖縄に限らず非常に厳しい予算折衝を強いられている」。菅官房長官も同日の記者会見で、「(振興予算が)具体的にどのように使われているかをチェックした上で他の予算と同じように査定していく」と述べ、沖縄振興費を減額する可能性を否定しなかった。
 ただ、政府は「沖縄振興自体を滞らせるようなことはできない」(官邸関係者)として、大幅な減額は避ける考え。①来年度概算要求額に近づける②今年度程度を維持③21年度まで3千億円の予算を維持、との三つの選択肢を用意し、翁長知事の出方を見極める方針だ。
 上京中の翁長知事は26日、山口氏と会談。終了後記者団に、「沖縄は過重な負担があるから、担当大臣の仕事と直接関係ないが、その辺の配慮もお願いしたいと申し上げた」と語った。沖縄振興費については「私自身は大変期待している」と述べるにとどめた。 ≫(朝日新聞デジタル:杉崎慎弥、山岸一生)


 国民などというものは、単に政治によって再分配を欲しがる愚衆であり、物乞いの群れのようなものである、と「金目」で動かせば、それでいい。そういう、精神が日本中を取り巻いている。たしかに、大衆の中には、それこそが唯一の興味である可能性は否定できない。しかし、だからと云って、この大衆に迎合して、下品を地で行く振る舞いが、民主主義国家紛いの国であるからといって、許されるとは思えない。

 日本全体のことは別にして、「ボコボコに なるまで待とう 安倍官邸」という川柳に近似した状況になっている沖縄にとって、県知事選、及び衆議院選において、自民党は、すべてにNOを突きつけられたのだから、少しは考えたら良いと思うのだが、考えるよりも、感情の劣化政府は、キレル始末。社会保守の為なら、経済保守を捨て去ることも厭わないという沖縄県民の意思表示は、今後の日本人全体のテーマになるのだ。この部分に気づかない安倍政治は、下品であり、恥を知らず、真正右翼が一番天誅を加える対象でさえある。その政権が、右翼っぽい事を言うなど、保守の風上にも置けない。

 翁長沖縄県知事は、沖縄県民の意思表示を背に、安倍首相、菅官房長官、防衛、外務大臣に面会を求めたが、全員にソッポを向かれたそうである。漸く面会できたのは、小者中の小者閣僚、山口沖縄・北方担当大臣だったそうだ。何という子供染みた態度なのだろう。市井の大人な振舞いひとつ出来ない人々が、何人寄り集まっても、真っ当な為政を行うことはあり得ないだろう。自分たちの意に沿わない民意を背にした知事に対する態度で判る通り、彼らは、国政選挙で敗北を喫すると気づいた瞬間に、自衛隊を動かすくらいの暴挙をしないとは限らないようである。そのくらい、トンデモナク子供っぽい。

 アベノミクスを問う選挙だと大声で主張したのに、当初予定の単独で300議席も取れず、一晩不貞腐れた晋三君だが、今度は一気に元気づいて、「改憲だ」国民投票を上手い事セットして「やったるで!」たしかに、ワイマール憲法をナチズムに生まれ変わらせた手口の研究にいそしむ宣言をしたようだ。日本が、どんな感じにボコボコになるのか、怖いもの見たさもあるのだが、その惨状に耐えられない人々も出てくることを考えると、ボコボコになる前に、という優しい気持ちにもなるが、そう簡単に、現状の国民が想像力を駆使して、近い将来像を描くとは思えない点が悩ましい。

 統一地方選向けの「金目戦術」が、またまた繰り出されるようだ。本当に、この人たちは、国民を「物乞いの国民」くらいにしか思っていなのだろう。地方交付金だという看板で、地域限定旅行券、介護施設やバス利用などに使えるサービス購入券?国民の金融資産ぶんどり戦術で、親や祖父母が結婚や出産、子育ての費用を一括して援助した場合、子や孫1人当たり1000万円を上限に贈与税の非課税。教育資金減税もあったよね。こういうのに、結局地方自治体も弱いのだろう。国民が彼らの度肝抜く「価値観」を持つまでは、「ボコボコに なるまで待とう 安倍shinzou」が続くのだろうか?沖縄の人々の気概を見倣う気になって欲しいものだ。

女性たちの貧困 “新たな連鎖
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●未来展望から「不機嫌」「不都合」「不可解」な21世紀(1)

2014年12月26日 | 日記
ピケティ入門 (『21世紀の資本』の読み方)
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金曜日


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●未来展望から「不機嫌」「不都合」「不可解」な21世紀(1)

 以下はロイターに掲載された寺島実郎氏のコラムである。同氏らしく、歴史、地政学、経済に目配りをした、それ相当の内容あるコラムだ。部分的に疑義を挟みたくなる面もあるが、同氏が親米的ポジションにいる識者である限り、この辺はディスカウントして読めば良いだけのことである。ただ、親米だが、出来るだけ“感情の劣化”や“教養の劣化”に配慮したコラムであるにも関わらず、このコラムに示したような事を安倍自民党が行うとか、行えるかについて、議論することは無意味でもある。ざっくばらんに言えば、馬の耳に念仏のようなもので、同氏が考える方向に向かうことはないだろう。

 年末年始は、この寺島氏のコラムを契機に、「不機嫌」「不都合」「不可解」「多極化」「混沌」などを視点として、我が国の総体的位置づけと、その未来展望を考えてみようと思っている。無論、愚鈍な筆者の頭脳で考えることだから、学術的ではないし、論証を掲げて書くわけでもない。市井に棲む一個人の肌感覚によるコラムになることは当然だ。まあ、お暇な方は、泡沫候補の演説だとでも思って読んでいただければ幸いだ。最終的には、資本主義の終焉と民主主義の終焉と云う、大規模パラダイムシフトの到来を予測することになるのだと思う。


≪ 視点:「不機嫌な時代」の到来と正念場のアベノミクス=寺島実郎氏
 寺島実郎 一般財団法人日本総合研究所(JRI)理事長
[東京 26日] - 日米中のトライアングル関係において、日本はどのような立ち位置を模索すべきか。日本がアジアでリーダーシップを発揮するためには何が必要か。そして、アベノミクスは幻想なのか。日本総合研究所の寺島実郎理事長が、2015年の世界と日本を見通す。 同氏の発言は、以下の通り。

<不機嫌な時代>
世界は、冷戦後の米国による一国支配から「多極化」という時代を経て、もはや極という言葉では説明できない状況にまできている。つまり、「無極化」した全員参加型の秩序形成が問われ始めるのが2015年だと言えるだろう。

そのような全員参加型の秩序、つまり真にグローバル化する世界において、2015年はすべての当事者にとって「不機嫌な時代」が訪れる。例えば、ウクライナ問題で世界を手玉にとったかのように思われたロシアも、国際社会からの信頼が低下し、また足元の原油安で経済も悪化しており、2015年はマイナス成長に陥るとみられる。

一方、米国のオバマ政権はレームダック化し、議会が上下院ともに共和党に支配される中、ますます厳しい政権運営を強いられる。中国でも経済成長が減速するにつれ、国内で内部対立が噴出。中国政府のいら立ちは近隣諸国にも波及するだろう。

こうした世界状況において、日本は、特に米国と中国とのトライアングル関係の中で、どのように立ち振る舞うべきか。

もし日本政府にこう問いかけるならば、米国との連携を深め、中国の脅威に立ち向かいたいという答えが返ってくるだろう。しかし、そのようなパラダイムこそ考え直すべきだと私は思う。日米で連携して中国と戦おうというゲームは、極めて偏狭な思い入れであり、米国に対する日本の「片思い」にすぎない。

米国にとって最も大事なのは、アジアにおける影響力の最大化だ。日中両国に対して米国の影響力を最大化し、ぎりぎりまで双方の期待をつなぎとめながら、アジアにおける米国のプレゼンスを最大化するというのが米国のゲームである。

未来に向けた日米中関係において、日本は欧州における英国に近い役割を担うべきだと考える。英国は欧州から米国を孤立させない一方、米国に過大に依存する構造から抜け出している。日本もアジアで影響力を最大化しつつ、日本自身がアジアで孤立することも、米国が孤立する ことも避けるというストーリーを構築する局面にきている。

そのためには、日本はまず感情的な「プチ・ナショナリズム症候群」に陥っている現状から脱却し、一次元高いレベルから中国や韓国などの近隣諸国と向き合うことが大きなポイントとなる。これは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の人たちと話して痛感したことだ。

日本は領有権問題で連携するという発想でベトナムやフィリピンを見がちだが、実際にはこうした国々はそのような連携は期待しておらず、日本には高みから中国と向き合っていてもらいたいと考えている。彼らは、成熟した民主主義国家としての戦後日本の歴史を見つめている。戦前の日本のように、間違っても軍事的プレゼンスを高めてアジアの脅威となるような国を目指しているという誤解を与えてはならない。

では、日本がアジアでリーダーシップを発揮するには何が必要か。その鍵は経済力よりも、むしろ理念性にある。全員参加型秩序の世界で国益を貫きつつ発言力を高めていくために必要なのは、筋が通っていることだ。主張を貫く理念がなければ、このような時代でリーダーにはなれない。果たして日本がそれに耐えうるだけの理念をもっているかどうかが問題だ。

 <つり天井の経済>
一方、経済・金融政策においては、相変わらず米国型モデルが世界の主流であり続けている。米国は量的金融緩和第3弾 (QE3)を2014年10月末で終了し、2015年には利上げが開始される見通しだ。このように米金融緩和が出口戦略に向かう中、2015年はリフレ経済学に基づくアベノミクスの正当性が問われることとなるだろう。

20年来苦しんできたデフレからの脱却を目指し、安倍晋三政権が掲げるアベノミクスは、 異次元緩和(第1の矢)と財政出動(第2の矢)に続き成長戦略(第3の矢)を実行することで日本経済の成長率を底上げするという再生シナリオを描いている。だが、税収の倍近い歳出を賄うために、借金を重ねる日本政府は、まるで自分の身の丈の2倍の生活を送る愚か者のようだ。 異次元緩和を実施して株高・円安にしたものの、「第3の矢」はいつ飛ぶのか。今の日本経済はいわば「つり天井の経済」で、株価がつり上げられ景気が良くなっていると錯覚を起こすが、実は実体経済の柱や土台がない。株価をつり上げているのは海外の投資家であり、世界経済の動向次第でこの天井はすぐにつぶれかねない。

「第3の矢」が急がれるゆえんだが、結局放たれないまま「第1の矢」と「第2の矢」に戻って追加金融緩和と追加財政出動を繰り返す恐れがある。実際、日銀は10月31日に追加緩和に乗り出した。こうした景気刺激的な政策への過度な依存は、傷口を広げ、次の世代に問題を先送りにするだけだ。

実体を伴わない株価先行の今の日本経済は、かつての米国経済をほうふつさせる。米国では、2001年に電力デリバ ティブなどを手掛けていたエネルギー大手エンロンが倒産してから7年後となる2008年、サブプライムローンが引き金となりリーマンショックが発生。そして2015年はそれからまた7年後に当たり、リーマンショック・パート2が起きる可能性がある。

その背景には、アルゴリズムを取り入れた株式の超高速取引などでマネーゲームが高度化したことや、複雑化した金融派生商品がある。英フィナンシャル・タイムズが2014年8月に指摘したところによれば、複雑に手の込んだ新種の金融派生商品が開発され、運用力のない金融機関に静かに浸透しており、再び金融危機の芽になりかねないという。

翻って日本に目を向けると、金融機関の間で資金運用力の差が極端に開いてきている。以前は国債に逃げるという手があったが、大量発行にもかかわらず日銀の大規模購入によって金利が抑え込まれたことで現在10年物の利回りは0.3%近辺の低水準にある。実力のない金融機関にとって運用は悩みの種となっており、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではないが、不可解な金融派生商品投資への甘い誘いに再び乗せられないとも限らないだろう。

一方、米経済が再浮上した2つの要因は、日本にとっても非常に示唆的だ。1つはシェールガス・オイル革命で、米国はすでに石油と天然ガスの合計生産量において、サウジアラビアとロシアを抜いて世界1位になっている。原油価格下落の主な要因でもあるが、これは米国の産業競争力にもつながり、経常・財政収支のいわゆる「双子の赤字」問題も改善するという好循環となっている。日本も天然ガスの一種であるメタンハイドレートの産出などエネルギー戦略強化に向け、今のうちに手を打っておくべきだ。

2つ目に次世代ICT(情報通信技術)革命、ビッグデータ時代の到来が挙げられる。例えば、米ゼネラル・エレクトリック(GE)は現在、ビッグデータを活用して産業の効率性を飛躍的に高めるプロジェクトを主導している。日本においても、国力の底上げにつながる類似のプロジェクトを先導する企業がもっと現れて然るべきだ。

これら米経済の「光と影」は、正念場を迎えることになる2015年のアベノミクスへの教訓として大いに生かされるべきだろう。

*寺島実郎氏は一般財団法人日本総合研究所理事長、多摩大学学長、三井物産戦略研究所会長。経済産業省・資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員として、国のエネルギー政策議論にも参加している。 *本稿は、寺島実郎氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。 ≫(ロイター)

沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)
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●これだけの記事が書ける新聞社 晋三と寿司など食うなよな

2014年12月25日 | 日記


本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄・米軍基地観光ガイド
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●これだけの記事が書ける新聞社 晋三と寿司など食うなよな

 本日は多忙につき、以下の朝日新聞の記事を紹介しておく。なかなか良く書けた調査報道である。官邸から睨まれることを怖れ、おそらく食いたくもない寿司を食べているのだろうが、やはり国際的な常識としても、日本の記者クラブ制度は異様な実態であり、ジャーナリズムなど欠片もないと言いたくなる有様だ。まあ、この朝日の記事は突っ込みは足りないのだが、まあ良く書けているだろう。「外国人技能実習制度」に関する記事だが、この制度の文言からして実態と合致していない。まさに、霞が関文学の最たるものである。アメリカなどの言い分では、この制度による人身売買が公然と行われていると非難さえ浴びている。つまり、綺麗ごとを書き連ねて、国際研修協力機構(JITCO)などと云う天下り団体を設立したに過ぎないようだ。

 しかし、この記事を通じて、実態は単純労働も受け入れているわけで、汚いものは汚い、しかし収入が良い。そういう明確な基準を国際標準で設けていかないことには、外国人労働者受け入れシステムの長けた、韓国や台湾に敵わないだろう。ただ、この問題は移民を受け入れるかどうかという問題にも玉突き的に起きるわけだから、単に経済合理性やフェアネスだけの見地で考えるのも危険である。移民と云う根本的腹を決めてから本格的に取り掛かる問題でもあるのだろう。少なくとも、この記事が外国人労働者受け入れ、治安の維持、日本人の国際性、移民制度の容認等々、国のあり方について、様々な問題の起点にはなるだろう。


 ≪ 来日実習生「時給25円」…人手不足、制度拡充の方針 
 目の前に置かれた現金約10万円から、社長が約4万円を住居費などの名目でとっていった。日本での就職を仲介してくれたバングラデシュ人が、後日5万円を抜くと、手元に残るのは月1万円だけだった。
 「月16万円ほどは稼げる」と聞き、バングラデシュ人の元外国人技能実習生のベガム・ラベアさん(26)が来日したのは2011年秋。長崎県内の縫製工場で、中国人の実習生ら20人ほどと一緒に働いた。
 ラベアさんによると、彼女たちは、時には未明までミシンがけなどに追われた。休みは月2~3日。月400時間以上働き、残業は月200時間を超え た。1万円の手取りを時給に換算すると「25円」以下だった。工場と同じ敷地内の寮の1部屋に実習生10人と寝泊まりし、外出にも許可が必要だった。近所の農家にもらった野菜を食べた。
 12年8月、職場への不満を訴えると、帰国させられそうになった。ラベアさんは福岡空港の搭乗口で泣きじゃくり、飛行機に乗るのを拒んだ。そのまま縫製工場には帰らず、知人のツテを頼り、いまは別の食品工場で働く。縫製工場の当時を「奴隷のような扱いだった」と振り返る。
 人口減を背景にした人手不足は深刻だ。安倍政権は、現在15万人いる外国人実習生の拡充を打ち出す。
 ラベアさんは13年春、社長らを相手に賃金支払いを求め提訴した。弁護士によると、月給約10万円でも長崎県の当時の最低賃金(646円)を下回るという。社長に取材を申し込むと、「訴訟中で話せない」。
 厚生労働省が13年に監督や指導した実習生を受け入れる事業所のうち8割の1844事業所で、残業代未払いや長時間労働など労働関連法違反があった。このまま実習生の受け入れを増やして問題はないのか。

 ■必要だけど…揺れ動く制度、現場混乱
 メロンの産地として知られ、約7千人が農業で働く茨城県鉾田(ほこた)市。外国人技能実習生約1600人の多くが、農業で働く。騒ぎは、この夏に起きた。
 「JAほこた」の組合員農家が中国人実習生に対し、残業代を支払っていなかったことが発覚。東京入国管理局は7月、27戸に実習生の受け入れを5年間停止する処分を出した。実習生は「割増賃金の不払いがあった」と訴え、組合長は辞任に追い込まれた。
 JAほこたは、監理団体として、実習生を受け入れ、労働環境をチェックする役割を担う。農家の怒りの矛先は、JAほこたに向かった。「監理団体なのに、農家を適切に指導しなかった」との理由だ。
 だが、JAにも言い分がある。労働基準法は残業に対し割増賃金を払うよう義務づけるが、天候次第で作業時間が変わる農業は適用されてこなかった。JAによると、同じ姿勢だった東京入管は、一転して割増賃金の支払いを求めるようになった。昨年3月、農林水産省が農業分野でも割増賃金を支払うよう改めて周知したことがきっかけとみられる。制度の運用がころころ変わり、現場には説明が行き届かず混乱した。
 そもそも監理団体は同じ地域や業種で設立されることが多く、雇い主と監理団体トップが同じであることも珍しくない。実習生問題に詳しい指宿(いぶすき)昭一弁護士は「監理団体が受け入れ役と監視役の両方を担っていることが、劣悪な待遇を放置する一因だ」と指摘する。
 監理団体とともに農家に指導する立場の国際研修協力機構(JITCO)に対し、JAは年500万円の賛助金を支払ったが、巡回するだけだったという。
 処分を受けた農家は、実習生に代わる担い手が見つからない。農家の中には「もうやめる」という人もいる。JAの調べでは、イチゴの作付面積は前年 の85%に落ち込んだ。JAほこたの日向寺和男・代表理事専務はいう。「農業をしてくれるなら実習生はもちろん、外国人労働者でもいい。選択肢を増やして ほしい」(末崎毅、堀口元)

■シンガポールでは…国民に不満、抑制へ転換
 1990年代から積極的に外国人を受け入れてきたシンガポール。海外の労働力に頼る「先進国」ゆえの悩みを抱えている。
 中心部のインド人街の路地に、夜になると多くの人が集まる。外国人労働者支援団体「TWC2」による給食プログラムだ。建設現場などでけがをしたり、賃金が未払いだったりして収入のない労働者が、手続きをすませ、近くのレストランで食事を受け取る。
 バングラデシュ人のアクラム・フセインさん(32)は昨年5月、ホテルで工事中に大けがをし、2カ月間で12回も手術をした。だが、手続きが煩雑で、十分な保険金も受け取れない。「シンガポールに来なければよかった」と嘆く。
 日本をしのぐペースで少子化が進むシンガポールでは、外国人労働者は今年6月で約134万人と、人口の4分の1を占める。同国政府はいま、外国人の抑制策に乗り出す。11年の総選挙で与党が議席を減らした背景に、外国人の増加に雇用が脅かされる国民の不満があるとされる。今夏には一部の管理職などについて、外国人を雇う前に国民向けに2週間の求人を出すことを企業に義務づけた。
 外国人労働者のトラブルも増える。労働者を支援するNGO「HOME」のジョロバン・ワム常任理事は「自国民と等しい条件で、外国人を雇えば問題は起きない」と話す。(編集委員・林美子)

 ■政府が前面、ブローカー排除
 日曜日の午後。ソウル市内にある「韓国外国人力支援センター」で韓国語の授業が始まった。東南アジアなどから来た労働者が韓国人講師から言葉を学ぶ。センターは政府が設立し、社団法人に運営を委託する。
 「ただで教えてもらえて本当にありがたい」。最前列のフィリピン人男性(36)は笑顔で語った。  韓国で働くのは2度目。最初は2005年から3年間、南東部の工場で働いた。就労期限が来たので台湾に移り昨年、再び韓国に戻った。今は仁川市内のカーアクセサリーの工場で働く。
 「韓国人との間に賃金の差別はないし、部屋も食事も会社が提供してくれる。とても満足している」  男性は、韓国が04年に導入した外国人労働者の「雇用許可制」に基づいてやってきた。韓国政府と外国人労働者を送り出す国が覚書を結び、両国の公共部門が労働者の選定にかかわる。覚書の締結先は当初の6カ国から15カ国に増えた。
 受け入れ期間は基本的に3年だが、一定の条件を満たせば最長で通算9年8カ月働ける。少子高齢化が進む韓国では現在、他の制度の適用者も含め、約85万人が製造業や農畜産業などで働いているとみられる。
 韓国ではきつい肉体労働などを避けるムードが広がり始めるなかで93年、日本の技能実習制度に似た「産業研修生制度」を始めた。だが、労働者としての権利が保障されず、低賃金で働かされる例が続出。不法滞在者も急増したため、現在の制度に移行した。
 政府が前面に出て悪質なブローカーなどは排除され、在留外国人に占める不法滞在の割合も04年の27・9%から、今年9月には11・8%に減った。
 生産可能人口100人あたりの高齢者は40年には韓国が約57人、日本は約63人になるとの予測がある。外国人労働者の人権問題に取り組む団体からは「少子高齢化が進めば、外国人はより必要になる。定住させる方向に進むべきだ」との意見も出ている。
 日本政府も、技能実習制度の 見直し策として、送り出す国との「取り決め」の締結を検討する。中島隆信・慶大商学部教授(応用経済学)は「企業や団体が自らの利益のために制度を利用するのは当然で、日本は制度を抜本的に見直す必要がある。韓国の例は参考になる。労働力として受け入れれば、トラブルにも両国で責任をもって対応するようになる」と指摘している。(ソウル=貝瀬秋彦)   

   ◇  

〈外国人技能実習制度〉 日本の技術を学んでもらうため、外国人を受け入れる制度。上限は3年。簡単な作業をする単純労働者として受け入れてはいないが、農漁業、繊維など68職種で約15万人が働く。安倍政権は、働ける期間を最長5年にしたり、新たに介護や林業も加えたりすることなどを検討している。建設については、2020年の東京五輪までの時限措置として実習後、さらに2~3年働くことを認める。低賃金など劣悪な労働環境にあるとして、米国務省は「人身売買報告書」の14年版で、「強制労働の事例がある」と批判している。 ≫(朝日新聞デジタル)

女性たちの貧困 “新たな連鎖
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●窮鼠猫を噛む 調子に乗って追詰めるオバマは正気か?

2014年12月24日 | 日記
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●窮鼠猫を噛む 調子に乗って追詰めるオバマは正気か?

 23日のNY市場でダウが1万8000ドルの大台を史上初めて突破したと報じている。GDPが3.9%から大幅に上方修正され年率換算5.0%になったのが、主な要因だそうだ。日本でも円が120円台をつけていることもあり、200円前後日経平均は上げている。筆者には意味がよくわからないが、グローバル経済下で経済の成長鈍化が明確になっていると云うのに、何故か日米の株価だけが上がっている。

 まあ、株式は投機市場なのだから、金融政策や為替動向、国際情勢などの変化により連想的投機の動きが出ても不思議ではない。NY市場の株価の場合、国のGDPが大幅に改善したのだから、株価が好感して動くのは判る。しかし、東京市場が動く理由が今一つ判らない。グローバル経済下では経済が連動すべきなのに、ユーロ圏、ロシア、中国、ブラジル、韓国等の経済状況は必ずしも好調ではない。本来であれば、グローバルな連動があって然るべきなのに、連動がない。

 このことは、グローバル経済と云うものが、中国やロシアの経済成長分を米国に移行したようにも見えてくる(笑)つまり、グローバル経済は、世界中で効率化を進める生産と消費の棲み分け等と云うものではなく、世界中を場とした、ババ抜きマネーゲームなのかもしれない。或いは、日本の場合官制相場なので、上げるも下げるも公的資金次第な部分があるが、米国の場合は、経済統計が変なのか、金もないのに浪費癖が直らないのかどちらかにさえ思えてくる(笑)。いずれにせよ、この狂乱的NY、東京市場の株価の上昇は、あだ花金融バブルの象徴に見えてくる。

 前置きが長くなったが、今日はロシアの勉強をしようと思ったのだった。日欧米のメディアから魔女の如く扱われるプーチン・ロシアだが、彼らがどのように、現在の欧米のロシア攻撃を受けとめ、現状を生きているのか、その辺を、ロシア側が発信する情報を基に感じておこうと思う。端からのロシア嫌いな人々は読まないことをお勧めする。当然、引用するのはロシアのプロパガンダなのだから。ただし、我々は日々日米欧のプロパガンダに接している事を忘れないでおこう。

≪ 空っぽの店、飢えるロシア人の噂は嘘だった
  ウクライナのマスコミだけではない。西側のマスコミにも、西側の対露制裁のおかげでロシアの店からは輸入品が姿を消し、国民は飢え寸前というニュースが踊っているが、嘘もいいところだ。 こうした報道はロシアに行くチャンスのない人、その様子をテレビで見ることも出来ない人をターゲットにしたものだ。
  対露制裁国からの一連の食料品の輸入規制によって、食料品の品数が減ったかというと、事実上そんなことは起きていない。禁輸品目は国内生産の、特に地方の生産物でさっさと挿げ替えられた。食料品店の棚は今までどおり、食料品の山であふれんばかりだ。
  空っぽの棚をどうしても見たかったら、ここ数日であれば家電店に行くといい。家電店には自動車販売店と同様、下落するルーブルを一刻も早く使いきろうとするロシア人、外国人観光客が殺到し、猛烈な勢いで買占め行動が起きているからだ。
  制裁の影響がもうひとつ出ているのは観光産業。今まで伝統的に長期のお正月休暇を外国で楽しんできたロシア人は国外に出るのを止めた。そのかわり、目は国内の観光地に向けられている。アルペンスキーの愛好家はソチへ行く。そのほかカフカスやクリミアの行楽地が大きく人気を伸ばしている。 ルーブル下落でロシア人が飢えたり悲しんだりしていると思ったら大間違いなのだ。 ≫(ロシアの声)


 ≪ ルーブル安でもおとなしい国民 
  2014年初めからルーブル通貨が半落し、その分貧しくなってしまったロシア社会。大きな社会不安や革命ムードが起こってもおかしくはない。だが落ち着いている。なぜなのか。

 為替戦場の最前線から「速報」ニュースが到着すると、あたかもロシア国民の誰もがルーブル騰落劇を注視しているように思えてしまう。1日で10%、20%の変動があるというのは、世界の多くの国にとって異常危機であろう。それに続くのは政府の退陣や社会不安だ。
 
 海外からは、ロシアでもそろそろこれが起こるように見えるかもしれない。貧しくなったロシア人(対ドルで半減)はデモを始め、政府の求心力は急落し、人事が変わると。だがロシアでは、「異常危機」が起こり、ニュースで実際にそのような言葉が使われたとしても、現実に応じて話半分ないしは1割程度に聞く必要がある。国は大きく、すべてのプロセスの惰性はもっと大きくなる。
 
 ソ連崩壊後の困難な経験を思い出すとよくわかる。1998年のルーブル急落はより規模の大きいものだった(現状は1998年よりもはるかに良好)。最近では6年前に起きた(リーマンショック)。だがいずれも、これといった社会的反乱、政治的反乱には発展しなかった。もっとも反政府派が今ほど強くなく、また組織だっていなかった時で、反対デモも実施しにくかったが。

 がまん強い理由は
 さて、国民の忍耐力には複数の理由がある。
 何よりも国民の大部分がルーブル領域で暮らしていて、外貨預金とさえ無関係であること。国民の国内銀行における預金総額は、現時点で16兆 8000億ルーブル(現在の為替レートで約33兆6000億円)ほど。劇的な2014年、預金額は減少したが、総減少率は今年前半を上回るものではない。 夏には資金が戻り、第1次ショックはほぼ補われている。2014年を通じて外貨両替への殺到も見られなかった。  

 大きな預金額を握っているのが比較的少数の国民であることを勘案するのも大切である。ロシア人の大部分、すなわち71%には、預金がない(「全ロシア世論研究センター」の今年初めの調査だが、景気後退の現状からこの割合は増えていないだろう)。銀行預金(給与振り込み口座は除く)は国民の10%が 握っているものだ。平均的なロシア人にとって「貯蓄」の定義は、25万ルーブル(約50万円)という少額から始まる。その多くがタンス預金である。外貨預金を行っているのは、さまざまな調査から、国民の4~7%ほど。

 国民はルーブルの対ドル・レートには関心を持っている(国民の半数以上がレートを見ている)。だが誰よりも影響を受けるのは「贅沢に慣れたモスク ワっ子」か、あまり国内では好かれていないお金持ちである。海外旅行の観点からしても、直接的な影響は限定的である。パスポートを持っているのは国民の 15%で、そのほとんどは年に1回トルコまたはエジプトに行く程度の人。欧米にひんぱんに旅行している国民は3~5%で、そのような人は大概、外貨リスクを最小限に抑えることができ、大騒ぎしない。

 レートの急激な変動は物価に影響をおよぼすし、今後数ヶ月はそれが顕著になるであろう。だが対ドルのルーブル10%安はインフレの1%増であり、 それ以上のインフレは、多様化不十分で独占化が著しくまた競争力の低いロシア経済そのものに依存する。20~30%の物価上昇が起こっても、ロシア人はや はり表で騒がない。危機に慣れっこなのだ。

プーチン人気
 今回のもうひとつの特徴と言えば、欧米との対立を背景とした、大統領と政府に対する国民の厚い信頼である。多くの国民はロシアが最初から正しいと考え、ロシアに対する非難は不公正だと信じている。あくまでも「クリミアは我々のもの」なのだ。ロシアの世論調査機関「レバダ・センター」が11月末に行った調査 によると、ロシア人の80%強が大統領を信頼している。この1年で1.5倍も増えている。信頼できないと答えた人は、1年で12%から4%に減った。以前とは異なり、大統領に対する信頼の高まりに、政府機関に対する信頼の高まりもともなっている。ウクライナ情勢という条件の下、ルーブルの劇的な急落さえ社会不安を引き起こさないほど、政府への信頼は強いのである。
≫(ロシアNOWオピニオン:2014年12月22日 ゲオルギー・ボヴト )


 つまりは、ロシアは経済的危機に慣れっこなので、チョッとやそっとの経済的打撃でキャ~キャ~言い出す西側諸国に人間よりも危機に強い国民性があるのだろう。ウクライナ内乱が米国の直接的関与が国務省のヌーランドの物的証拠付きで録音で、世界的に知られている事実も、今回のオバマ発の、ロシア経済制裁は、CIA的な陰謀だと云う言説が、国民に理解されている可能性を示唆している。この陰謀的ロシア封じ込めが、国内産業育成と云う方向に向かわせるとしたら、原油ガスの石油資源輸出だけで生きるロシアの脆弱性を改善させるきっかけになるのかもしれない。蛇足だが北朝鮮経済封鎖の効力にも似たような点があるのだろう。イラン経済封鎖も大したことはなかったしね。

 アメリカ及びオバマにとっては、中露の分断を計り、覇権がユーラシア大陸に移行していくのを、是が非でも阻止しないとならない宿命があるのだから、そのような陰謀に、魅力を感じるのは当然だろう。キューバも手なずけ、軍事的脅威を取り除く手配もしたのだから、後は、ロシア内で、ウクライナ同様のことが起きてくれれば、大成功なのだが、その気配は殆どない。EUはNATOを楯に、オバマにつき合わされているのだが、米国のパワーゲームに引き摺られることで、EU各国はじり貧な経済事情を抱えることになっている。中国も、この米国の動きは理解しており、香港で起きた火種も強制的に消火したようだ。そして、ロシアへの友好的経済協力が自国を欧米の覇権の支配から逃れる絶好の手段と位置付けているようだ。

≪ NATO加盟に向け法律廃止=ウクライナ議会
【モスクワ時事】ウクライナ最高会議(議会)は23日、ウクライナがいかなる軍事同盟にも属さないことを定めた法律を廃止した。北大西洋条約機構 (NATO)加盟への動きを加速させるのが狙い。ロシアによる軍事介入を受け、ウクライナではNATO加盟を求める声が強く、ポロシェンコ大統領が18日 に廃止を提案していた。
 ロシアは、「ウクライナがNATOに入らない100%の保証が必要だ」(ペスコフ大統領報道官)と警告しており、法律廃止を受けてラブロフ外相は「緊張をエスカレートさせる」と非難した。≫(時事通信)


 そんな中、ウクライナ政府の超親米ナチ集団はNATO加盟に向け、中立的国家体制を変えようとしている。もうそろそろ、アメリカCIA主導のウクライナ問題から遠ざかりたい独仏伊にとって、ウクライナはお荷物でしかない。IMFの拠出金も、ウクライナ国民には行き渡らず、政府の一部の懐に消えているようなので、IMFも金を出し渋りし始めた。地位が向上しそうだと歓んでいるのは、旧ソ連圏だったポーランド、バルト三国などのようだが、独仏伊にとっては自国経済の疲弊との取引になっており、経済危機で音を上げるのは、西側になる可能性もある。正直、筆者はユーラシア覇権(中露印)と米国覇権の移行期に立ち会えている世代である事に感謝している。現在は、まだアメリカ優勢だが、筆者がヨボヨボになるころには、歴史的大転換が起きているのかもしれない。壮大な歴史スペクタクルなのだと思う。

プーチンはアジアをめざす―激変する国際政治 (NHK出版新書 448)
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●原油下落、その意味するところ 米ロ戦略か世界経済縮小か

2014年12月23日 | 日記
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●原油下落、その意味するところ 米ロ戦略か世界経済縮小か

 ご承知のように、急激に原油価格が下落している。国家予算の収入の半分が原油や天然ガスに頼るロシアの通貨ルーブルは、対ドルで45%近く低下している。このままだと、本当にロシア経済が危機的状況になるのではないかと云う不安さえ生まれている。西側メディアのプロパガンダ報道だけを見聞きしている人々から“ざまあ見ろ”と云う感想が聞こえてきそうだが、実際はどういうメカニズムで起きているのか、そして、ロシア等々の経済危機が、世界に及ぼす影響などを、ざっくり考えてみた。直近、表に出ている情報は、まず以下の二つのロイター報道である。

≪ ロシアは「本格的な危機」、クドリン前財務相が指摘
[モスクワ 22日 ロイター] - 前ロシア財務相のアレクセイ・クドリン氏は22日、ロシア政府が金融の問題に迅速に取り組んでいないために、「本格的な経済危機」に陥った、または陥りつつあると指摘した。今後、国内企業のデフォルトが相次ぎ、ソブリン格付けがジャンク級(投機的)に下げられると予想した。
 クドリン氏は、国防費の増額に反対し2011年に財務相を辞任。以降、ウクライナ問題をめぐる米欧などの制裁に対するプーチン大統領の対応を批判している。 ロシア経済は、原油価格の急落や資本流出、通貨ルーブルの急落などで「最悪の事態(perfect storm)」(ウリュカエフ経済発展相)に陥っている。
  クドリン氏は記者会見で、ルーブル急落について、原油安は理由の一つに過ぎないと指摘。 今後、大企業や中規模企業の債務不履行が相次ぐと予想し、ロシアの格付けは今のところ、ジャンク(投機的等級)の手前に踏みとどまっているものの、「ジャンク級に格下げされるだろう」と述べた。
 ルーブルの対ドル相場は年初来で約45%下落している。クドリン氏は、そのうち25─35%の下落は制裁の影響で、残りはドル上昇や、投資家のロシア不信との見方を示した。 来年第1・四半期にはルーブルは落ち着くだろうが、来年のインフレ率は12─15%に達する公算を示した。
  また、原油相場が80ドルに上昇しても、来年の国内総生産(GDP)は2%以上の減少、60ドルなら4%かそれ以上の減少と予想した。 ≫(ロイター)

*筆者注:アレクセイ・クドリン氏はプーチン政権でも財務相に一時籍を置いたが、アナトリー・ボリソヴィチ・チュバイス氏直系の人物であり、エリツィン時代の産物・新興財閥(オリガルヒ)系統の人物である。


 筆者の当初の見立てでは、オバマのプーチンへの嫉妬が“病膏肓に入る”だなと理解していた。ロシアへの経済制裁だけでは飽き足らず、即効的にプーチン政権を排除出来る裏の制裁手段に出たのだろうと理解していた。そして、ロシアに、親米なエリツィン元大統領のような新興財閥(オリガルヒ)系統の人物の選出まで結びつけようとしていると見た。その為に、嫌がる産油国サウジアラビアを説得し、サウジの天敵イランを封じ込めるためにも、協力せよと厳命に渋々乗ったのだろうと想像していた。無論、米ロの世界戦略が真っ向ぶつかり合う中で生まれた想像だ。しかし、ここにきてOPECにおける、サウジの考え方は、米ロの世界戦略対立に便乗する形で、異なる狙いが見え隠れしている。以下のロイターの記事である。

 ≪ 減産は利益にならず、価格20ドルでも=サウジ石油相
[ロンドン 22日 ロイター] - サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は、原油価格がどれだけ下落しようとも、減産は石油輸出国機構(OPEC)の利益にはならないと加盟各国を納得させたと述べた。
中東経済専門誌、ミドル・イースト・エコノミック・サーベイ(MEES)とのインタビューで同相は、「OPECの政策として、加盟国、そして今やバドリ事務局長も納得させた。価格がいくらであろうと加盟国が減産することは利益にならない。20、40、50、60ドルに下落してもだ」と述べた。 同相はまた価格がバレルあたり100ドルに戻ることは「おそらくないだろう」との見方を示した。 ≫(ロイター)


 原油価格が20ドルになっても、OPECは減産しないぞ!と言ったわけだ。常識的には、OPEC等々の産油国が減産することで、原油価格の暴落を防ぐ筈なのだが、それはしないと明言した。この決定には、幾つか理由があるだろう。一つは中東の古くなって原油の採掘コストが上がり始め、油田水圧破砕と云う、噴き出させたら最後、尽きるまで産油せざるを得ない強制的採掘方式を取り入れたため、事実上減産と云うコントロールが出来ない状態なのではないかと云うもの。それを見越した、金融勢力ファンドが、原油市場で売り浴びせをしている事で、原油相場の暴落が起きていると云う見方だ。

 二つ目は、中東の産油国全体にとって、アメリカのシェール・ガス、オイル革命は、原油の市場メカニズムの破壊に繋がるので、看過しがたく、産出コストが40ドル前後とみられるシェール・オイル、ガスの採掘を採算割れに追い込むため、という説もある。原油価格の暴落によって出た損失は、潤沢なオイルマネーを駆使して、金融市場で穴埋めすれば良いではないかと云う戦略である。

 三つめは、筆者が当初から見立てていた、米国による、ロシア、イラン、ベネズエラ、メキシコ、(イスラム国)等々の産油国を経済的に追い込み、政権の崩壊を誘うと云う、CIA経済戦略の一環と云う見立てだ。この点は、ロシアルーブルがかなり手痛いダメージを蒙っているので、西側メディアレベルでは、窮地に立っているだけのようにも見える。

 しかし、現実には対ドル為替相場こそダメージなのだが、貿易通貨をロシアルーブルで賄える交易も盛んになっているので、以前のロシアの状態を想定している点では、戦略に齟齬が生まれている。特に中国とのパイプライン締結は大きくドル不要をアピールしている。トルコパイプラインの決定も、かなり効果的だろう。また、BRICSと呼ばれるブラジル・ロシア・インド・中国・南アの5カ国が今年7月、新たな開発銀行の設立を発表した。世界の人口の4割、GDPの25%を占める巨大グループが、先進国にたよらない自前の開発銀行を創設したのだから、世界の力学は徐々に変容している。ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・ユ-ジン・スティグリッツ氏も、この新興国向け開発銀行の設立を高く評価している。

 スティグリッツ氏によると、≪(1)途上国を中心に世界の資金需要は急速に拡大しており、世界銀行やIMF(国際通貨基金)のような従来の国際金融機関の資金力では、そうした需要の数パーセントしか満たせない。(2)グローバル経済のパワーバランスが大きく転換し、いまや新興経済が優位に立ちつつあるのに、世銀やIMFのような機関はい まだに米国が牛耳っている。(3)世界経済の変化により新たなニーズが浮上しており、途上国の実情に合わせた多様で柔軟な融資が求められている。≫(デモクラシーNOW)

 四つ目が奇妙な話題だが、根本的に、世界的に石油需要が減速していると云うマーケットの実質的動きである。以下の記事は、単に日本におけるマーケットの問題なのだが、国内問題だけで、このような現象は起きないわけで、世界的に石油の需給バランスが、サウジの油田水圧破砕と云う強制的採掘方式とかに関係なく、需要が低下している可能性がある。中国経済の減速もその一つだが、金融経済で、好況を装う日米の張子の虎な好況経済が、殆ど見せかけかもしれないことを証明する傍証になるのではないかと、筆者などは疑っている。皆様は上述の様々なファクターを参考の上、いま、原油価格にまつわる問題が、世界情勢を、どのように表現しているのか、そして、これからの世界はどうなるのか、また、日本はどうなるのか、天皇誕生日に考えてみるのも悪くない。


≪ 縮む石油需要、再編の動き 出光、昭和シェルに買収交渉
ガソリンの需要が低迷する石油元売り業界で、再編の動きが本格化してきた。20日、国内2位の出光興産が、5位の昭和シェル石油の買収に向けて交渉に入ったことが表面化した。実現すれば、売上高で首位のJXホールディングスに次ぐ。「2強」に対抗するコスモ石油や東燃ゼネラル石油なども巻き込み、さらなる再編が加速しそうだ。
 出光の首脳は20日、記者団に対し、昭和シェルの買収に向けた交渉をしていることを認めた。また、「ドアをオープンにして検討している」と話し、昭和シェル以外の他社と交渉していることを明らかにした。
 昭和シェルの19日現在の時価総額は約3800億円で、買収額は数千億円規模になる。出光は、昭和シェルの過半数の株式を公開買い付け(TOB)で手に入れ、子会社化したい考えだ。昨年度の連結売上高の単純合計は約8兆円で、首位のJXの約12兆円に次ぐ規模になる。
 昭和シェルの筆頭株主で株式の34・6%を保有する英・オランダ系のロイヤル・ダッチ・シェルは、TOBに応じて株式を売却するとみられる。
 出光が規模の拡大をめざすのは、人口減少やエコカーの普及などで、ガソリンなど石油製品の需要が減り続け、コスト削減が急務だからだ。出光と昭和シェルは、国内に持つ互いの系列ガソリンスタンドについて重複するものを統廃合したり、設備過剰な製油所で生産する石油製品の種類をすみ分けたりすることで収益力を高めたい考えだ。まとめて原油を仕入れることで、仕 入れ価格や輸送費を安くする狙いもある。
 2010年、新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合して生まれた最大手のJXは、北海道室蘭市の製油所を廃止するなど精製能力を3割程度減らした。統合後、目標だった3千億円の経常利益を毎年達成し、成長する東南アジアなどの海外の油田や天然ガスの開発事業に注力する。
 今後の注目は、3位のコスモ石油と4位の東燃ゼネラルの動向だ。両社は来年1月、千葉県内の互いの製油所を一体運用する合同会社を設立する。踏み込んだ再編に踏み切ったり、2強と手を組んだりする可能性もある。 ≫(朝日新聞デジタル:古賀大己、大津智義)

金融政策の死 ―金利で見る世界と日本の経済
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●国民は肌で感じているのではないのか 「異変」が起きることを

2014年12月22日 | 日記
NHK 新版――危機に立つ公共放送 (岩波新書)
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●国民は肌で感じているのではないのか 「異変」が起きることを

 原発再稼働、集団的自衛権行使、財政と社会保障、グローバル経済とTPP、日米安保条約と米軍基地、経済成長神話と中間層喪失。まだまだ、日本を取り巻く、中韓北の近隣世界を見るだけでもキナ臭いわけだが、米中露のパワーゲームを中心とする対立などを俯瞰的に見ていくと、我が国の安倍自民政権が、1強多弱で、これからの4年間、好き勝手なことが行われ、滅茶苦茶に国を引っ掻き回す不安は、幾分和らぐ。

 筆者も、不思議なのだが、新年早々から始まる通常国会において、安倍晋三が、集団的自衛権が、速攻で行使可能なものにする為の法案成立に血道を上げるであろうことを想像すると、身の毛も弥立つわけだが、世間では、政治なんて知ったことか風に動いている。多くの国民が馬耳東風さながらな雰囲気で、雑踏をかき分け、仕事に家事に遊びに興じている。何ひとつ怖いものが存在しないように振る舞っているのだから、国民総白痴と云う腹立ちまぎれの言葉も浮かぶ。

 しかし、最近、筆者は、国民すべてが白痴になっているわけでもなく、無知蒙昧なわけでもなく、合理的な抵抗を示しているのではないかと思うことがある。09年に政権交代をした後の日本の政治は、党派を超えて、日を追うごとに激烈に劣化している。この政治の劣化に歩調を合わせるように、国民の感情も、かなりのところで劣化している。こうなると、何をやってもダメじゃないか、と云う社会的人間の勘が働くのかもしれない。

 どの辺が、行きつく先か判らないが、「行きつくところ」と云う壁にぶち当たるまで、世の中は動かないだろう。狡賢く考えれば、そういう「空気」が蔓延しても、何の不思議もないのだろう。自分がやるとか、誰かがやるじゃなく、この辺が「行きつくところ」じゃないの?と多くの国民が感じる時、何かが起きるのだろう。その「行きつくところ」が経済的疲弊なのか、軍事やテロの威嚇による恐怖なのか、その辺は判らない。

 ただ言えることは、経済情勢が上向きになる可能性はゼロに近く、国民の銭ゲバ根性を見越した「滴り落ちるおこぼれ戦術」がバレバレになり、誰もが、そんなものはないと気づく事は、ほぼ必然的に想定できる。たぶん、1年持たずに露呈するだろう。安倍晋三は、嘘の上に、嘘のデータを乗せて、強弁と恫喝を繰り返すだろうが、黒田は流石に、そこまで恥さらしをする勇気はないだろう(笑)。このような経済状況は、1年以内に、現役世代及び蓄えのない高齢者を直接痛めつけるから、社会不安は増幅する。

 日米協定の中で、どのような取り決めがなされるか未定だが、1月からの集団的自衛権関連法案の推移如何では、自衛隊の海外派遣に、安倍晋三が前のめりになるのは確実だろうから、この行為に対する派生的に起きる国民の戦争への参加と云う恐怖が現実化するだろう。この情報は、ネットメディア中心に、連鎖的想像を掻き立て、すわ徴兵制だ、テロだとかまびすしい状況になる可能性も大いにある。

 こうなって、初めて、日本の国民は「本当にヤバイかも?そろそろ動こうか」と思うようになる。そこに、参議院選挙が接近する。これでは、自公政権は崩壊する。既存勢力は、安倍晋三では生き残れないと思うのは当然で、霞が関、財界、マスメディアが動き出す。当然、自民党内でも、安倍おろしに火がつく。このような状況になれば、醜聞情報が飛び交い、足の引っ張り合いが起きる。起きなければ、おそらく有権者の「反自民」と云う意思表示が明確になるだろう。それはあくまで、サイレントマジョリティなのだが、投票行動に結びつく。

 今回の選挙に敗れ、野党再編だ、受け皿作りだと騒ぎ立てるが、コアな政党もなく、コアな政治家も不在になった状況では、野党の糾合で弥縫策をつくり上げても、骨折り損かもしれない。それよりも、民主も維新も共産も、生活も、経済が崩壊する社会、戦争をするとかテロの脅威が増大するとか、社会が騒乱状態になることを想定して、次なる社会のビジョンを明確に提示できた政党に投票が集まることを肝に銘じておくべきではないのか。結局、これからの世界が、どのように動いていくのか、推量する器量の問題になるもかもしれない。

安倍首相から「日本」を取り戻せ! !
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●ユーラシア対アメリカ新冷戦構造 基軸通貨のゆらぎ(1)

2014年12月21日 | 日記
プーチンはアジアをめざす―激変する国際政治 (NHK出版新書 448)
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●ユーラシア対アメリカ新冷戦構造 基軸通貨のゆらぎ(1)

 本日は野暮用で時間がないので、有用な情報「ロシア貿易・軍事同盟のユーラシア基軸」(ブログ:マスコミに載らない海外記事さんの全文)を紹介しておく。マイケル・ハドソン氏の見解が正解でとまでは言わないが、欧米メディアにプロパガンダ洗脳されている人々には、寝耳に水で、なに嘘言っているんだとなるだろうが、世界の勢力図の変化とか、歴史の大きな動きとか、日本のマスメディアや学者、識者の話ばかり聞いていると、本当にバカになるので、多少は、あべちゃんの地球儀の見方ではない方法で、世界を俯瞰することは、日本人に一番必要な課題だと思う。筆者の考えは後日掲載予定。


≪ ロシア貿易・軍事同盟のユーラシア基軸
マイケル・ハドソン 2014年12月16日
The Real News
マイケル・ハドソン教授のビデオ・インタビュー書き起こし(ビデオをみるには、スクロールダウン)
TRNN製作責任者シャーミニ・ペリーズ: リアル・ニューズ・ネットワークにようこそ。
私、シャーミニ・ペリーズが、バルチモアからお送りします。 ウラジーミル・プーチン大統領は現在ガスと武器商談の為、インドに向かっています。先週、彼はトルコで、サウス・ストリーム・パイプラインとなるべ きだったものを南ヨーロッパから離し、トルコに向ける交渉をしました。APECサミットでは、中国との双方が満足する石油とガス契約をまとめました。ロシアがユーラシアに基軸を移しているのは明らかです。 これについてお話し頂く為、レギュラー・ゲストのマイケル・ハドソンさんにおいでいただいています。
マイケル・ハドソンは、カンザスシティー、ミズーリ大学の著名な経済学教授です。彼の新刊は、The Bubble and Beyond and Finance Capitalism and Its Discontents(『バブルとその先』と『金融資本主義とその不満』)です。
:ご出演有り難うございます。ハドソンさん。
カンザスシティー、ミズーリ大経済学教授マイケル・ハドソン:出演できて嬉しく思います。

  おっしゃる通りです。ほぼ一カ月前でしたが、前回一緒にお話して以来、世界の地政学、貿易パターン、軍事同盟は、劇的にすっかり変わりました。そして、ご指摘の通り、その大半は、ロシアがヨーロッパをあきらめて、石油とガス貿易を、そして軍事技術も、軍事同盟も、ユーラシアに向けて方向転換した結果です。 先週、プーチン大統領は、ヨーロッパ指導者とは、もはやこれ以上話しても無駄だという演説をしました。
 連中に金を支払っている連中、アメリカ合州国を相手にするつもりです。彼はこう言いました、アメリカ政権からの助言を受け続ける限り、彼らを支配している連中に向かって語るつりだと。そして、彼はまさにそれを実行しています。
 ですからこれらの変化の結果は、ロシアと中国を対立させ、イランを孤立化させ、インド、近東や、他のアジア諸国が一致団結して、何らかのドル圏代替物を作り出すのを防ぐ為、ユーラシアを分割して統治するという考え方に基づいてきた過去半世紀のアメリカ戦略の真逆です。
 実際、アメリカの経済制裁とネオコンの新冷戦政策が、これらアジア諸国を一致団結させ、NATOの代替組織としての上海協力機構と協力し、BRICSは、ドル圏と、アメリカの政策を実施するIMFと世界銀行と対処する為の代替手段を立ち上げようとしています。
 そこで、ヨーロッパに関しては、ロシアに経済制裁を課し、特にロシア石油とガスの輸入を阻止して、この新冷戦政策に加われというアメリカの無理強いが、ユーロゾーンの緊縮経済を悪化させ、地域はデッド・ゾーンへと転換しつつあります。
 また、数日前、多数のドイツ有力政治家、外交官、著名文化人が、 Excite紙上に、アンゲラ・メルケル宛ての公開書簡を載せ、彼女の親アメリカ政策に抗議し、アメリカのNATO政策と新冷戦は、ドイツ経済を破滅させる脅威のみならず、ヨーロッパを分裂させると主張しています。
 つまり、ある種、アメリカの権力を統合し、アメリカ以外の世界、ヨーロッパとアジアを分裂させるかわりに、アメリカの政策は強く出過ぎて、実際、アメリカ以外の国々を、戦争の危険と見えるものに対する防衛同盟へと追いやっているのです。
 そもそも NATO構想は、ヨーロッパをより確実に防衛するということだと考えられていました。ところが今や、軍事力によるあらゆる威嚇や、ウクライナへの重火器供与で、NATOは、ヨーロッパを軍事的な危機に追いやっています。
 しかも、これは、半世紀のアメリカ外交政策丸ごとの真逆です。それなのに、アメリカ合州国で何が起きているのかについての議論は皆無です。
 ええ、ご指摘の通り、トルコは既に、エネルギー供給を、ロシアに頼ることにして、アメリカ-ヨーロッパ勢力圏から離脱しつつあります。サウス・スト リーム・パイプラインは、南ヨーロッパから、トルコへと方向転換されました。イランも、石油とガスのみならず、原子力と兵器でも、ロシアとの同盟へと向かっていて、上海協力機構の加盟国になろうとしています。
 そして今、あなたが指摘された通り、インドと貿易交渉をしています。 実際ロシアを傷つけるのではなく、経済制裁のおかげで、製造業での独立、ヨーロッパからの独立、フランスや他のヨーロッパ諸国から食糧輸入すること から独立をしなければならないとロシアが確信したのです。
 これは、ヨーロッパ市場、ロシア市場を期待していた、リトアニアの農産物輸出業者や他の人々に災難をもたらす結果となった。実際、過去20年間丸々、ソ連終焉以来ずっと、西ヨーロッパとロシアをまとめた市場にするという発想があったのです。アメリカがそれをぶち壊しました。
 ええ、これが行っているのは、政治学教科書の教えのあらゆることの裏返しです。教科書には、国々には敵国や友好国があってはならない。国で重要なの は国益だとあります。アメリカ、ヨーロッパにこう言ったのです。自国の経済権益など忘れろ。お前達にはアメリカのお友達がついている。つまり、お前達は 我々が言った通りにしろ。お前達にはロシアという敵がいる。だから、お前達は、ロシア石油とガスを輸入するという希望は捨てなければならない、それで石油支払いに充てようという食糧輸出業者の希望はすてねばならず、アメリカに頼るのだ。
 単純にヨーロッパのエネルギー需要に見合った十分なアメリカ・ガスと石油を輸送する為の手段が無いのですから、技術的に不可能で、これは一種の夢想です。そこで、ロシアにはったりをかけようとするネオコン戦略丸ごとが、裏目に出る危険にさらされています。 基本的な考え方は実に狭隘なものです。オバマ政権は、ソチ・オリンピック以来ずっと、ロシアがヨーロッパと組みたがっていると見ていました。プーチ ン大統領は、ヨーロッパとのより緊密な絆について語っていました。
 しかし、そこでプーチンは、オバマ政権のシリア攻撃計画に反対しました。そこで、ネオコンは、「わかった。ロシアを攻撃しなければならないが、最善の攻撃方法は、ウクライナをはぎ取ることだ」と言うようになったのです。
 そして、それがロシア侵略を引き起こすことになれば、我々はこう言える。ほら、ヨーロッパにはNATOが必要だろう。お前達はアメリカに頼らなければならないが、条件として、 お前達はロシアに敵対しなければならない。ロシアを引きずり下ろし、通貨を崩壊させ、プーチンを不人気にし、最後に、政権を転覆させ、プーチンの代わり に、次のエリツィンを据えるのだ。

ペリーズ: しかしハドソンさん、石油価格下落が、確実に、ロシアが自ら望む形で拡大しようとする能力に対する制約となって、あなたがおっしゃる、アメリカの戦略、冷戦戦略は、部分的には効果を発揮しているのではありませんか? またルーブルが低下したのですから益々そうではありませんか? これはどう解釈すれば良いのでしょう。

ハドソン: ルーブルは確かに急落しました。しかし、ロシア経済は、ドルではなく、ルーブルで動いていますから、これはロシア経済にさほど影響しません。中国や他の国々が自国通貨を、ドルから独立させたのと同様に、プーチンは過去二年で、ルーブルをドルから独立させるよう動きました、ですから、その結果、確かにロシアの手持ちドルは少なくなっていますが、外国貿易をルーブル通貨建てに変え、中国元建てに変えたので、ロシアはドルを必要としないのです。
 そこで、ロシア -中国貿易、ロシア-トルコ貿易、ドル以外の国々とのこうした全ての貿易は、ドル無しで行われます。ですから、ここでは実際、特にドルに対する需要は全くありません。 ルーブル下落の影響は、ロシアが輸入する商品の価格上昇です。そこで、ロシアの対応は、分かった。もし食料にもっと多く払う必要があるのなら、我々 は自分の食べ物を助成しよう。そして、ロシアの農産物は急速に増加し、リトアニアから、フランスから、そして他のヨーロッパの国々から行っていた輸入を置き換えるようにしよう。
 プーチンはこうも言いました。これからわが国製造業の助成を始める予定だ。製造業で、ドイツ、フランスや、ヨーロッパに頼ることはできない。我々は、中国や、トルコや、そして何よりもまず、わが国の製造業に頼るようにするつもりだ。
 また、対ロシア経済制裁は、基本的に、これまでやりたがっていたのに、国際法の下ではできなかったことが、ロシアはできるようになったのですから、実際渡りに船となりました。
自国産業を助成し、保護することです。プーチン大統領は先週行った演説でこう述べました。
 我々は、ヨーロッパから離れなければならないことを自覚している。ヨーロッパは、基本的に、アメリカ合州国のロードアイランド州の一部だ。ルーブルがどうなろうと平気でいられるよう、ドルがどうなろうと平気でいられるよう、わが国が生活必需品自足自給できるようになるまで、自国産業を助成するつもりだ。アメリカ制度の代替となる、自前の銀行決済制度を立ち上げる予定だ。他の国々との通貨スワップ取 引を進めている。ですから、基本的に、ロシアと他のアジア諸国は、自国経済を、アメリカ合州国から隔離しているわけで、各国を益々アメリカ合州国に依存さようとしているアメリカ戦略の真逆です。

ペリーズ: ハドソンさん、ルーブルが下落し、経済制裁がもたらしている制約や、石油価格下落で、ロシア資本力のこの著しい低下、特に彼らが交渉しているこうした新規の貿易協定で、パイプライン建設や、現在交渉中の貿易協定を実施するにも、膨大な額の資本が必要なのではありませんか?

ハドソン: パイプライン建設の為の資本には二種類あります。一つは、国内通貨という形によるものです。ロシア中央銀行は、全ての国内コストを支払う為の十分なルーブルを生み出すことができます。ロシアは、国内ルーブル分のコストに、ドルを必要としません。そして、それ以外のコストは、中国が負担します。ヨーロッパや アメリカがこうした契約や、パイプライン用の他の原料を請け負うのではなく、中国がそうしたもの全てを生産します。そして中国は、これをクレジットで提供します。中国や他の国々が提供するクレジットに対し、ロシアは将来の石油やガスという形で支払いをするのです。ですから、基本的に、ロシアは、ドル・クレ ジットは不要で、金融クレジットは不要なのです。ロシアは、将来の石油とガス供給で支払う通貨スワップ取引をしています。ですから、アメリカがロシアへの脅威になると思い込んでいるものは、張り子の虎です。ロシアに対する効果がほぼゼロの、張り子の金融虎なのです。

ペリーズ: なるほど。ハドソンさん、ご出演有り難うございます。
ハドソン: 出演させて頂いて嬉しく思います。 ペリーズ: リアル・ニューズ・ネットワークへのご参加有り難うございます。 終わり

免責条項: リアル・ニューズ・ネットワークの書き起こしは、番組録音をタイプしたものであることにご留意ください。TRNNはその完全な正確さを保証する立場にありません。
マイケル・ハドソンは、 カンザス・シティー、 ミズーリ大学の著名な経済学教授。彼の最新刊は、The Bubble and BeyondとFinance Capitalism and Its Discontents(『バブルとその先』と『金融資本主義とその不満』)。彼の近刊書名は、Killing the Host: How Financial Parasites and Debt Bondage Destroy the Global Economy(『宿主殺し:金融寄生虫と借金による束縛が、いかにして世界経済を破壊するのか』)。 記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/russia-pivots-to-eurasia-for-trade-and-military-alliances/5420185 ----------

ココからブログ主:『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』下斗米伸夫著 NHK出版新書昨日購入。 良い本が、良いタイミングに刊行されたものだ。 この記事の表題「ユーラシア基軸」の英語はPivot to Eurasia。 『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』の中では、「脱欧入亜」 本記事の題名とそのままつながりそう。 参考文献も非常に興味深い。一部をご紹介させて頂こう。 『ロシアとソ連 歴史に消された者たち 古儀式派が変えた超大国の歴史』下斗米伸夫著も、目からうろこ。『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』の中でも、この本で展開されている論理が読める。 古儀式派の終末論的世界観、現世否定のエートスをもたらし、それが、マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で指摘されていたと同様の経済倫理として作用していたようだ。 プー チン大統領自身の信仰は不明なようだが、彼の祖父、晩年のレーニン家のコックをつとめた。共産党とは関係はなかったが、古儀式派信者のコネでなれたらし い。(12/19補記:日本語を解するロシア人の方から、「著名な古儀式派信者として、例えばサッバ・モロゾフ等々を思いつくが、現代ロシアでは、古儀式 派信者で著名な人物、思いつけない」とご指摘を受けた。) ジェームズ・ビリントン、藤野幸雄訳『聖像画と手斧 ロシア文化史試論』超大作だが、ロシア文化理解には避けて通れない本だろう。このエッセンス版にあたる本と、ビデオ三本もある。ロシア・ウクライナ文化入門用として最適な本、ビデオではと思うが翻訳はない。 そして、『オッパイとトラクター』ウクライナ・ロシア文化を小説の形で気軽に読める。 ≫(マスコミの載らない海外記事ブログより全文引用)

大モンゴルの世界 陸と海の巨大帝国 (角川ソフィア文庫)
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KADOKAWA/角川学芸出版


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●“風が吹けば桶屋が儲かる”と嘯く黒田 初志貫徹で国滅ぼす

2014年12月20日 | 日記
日銀、「出口」なし! 異次元緩和の次に来る危機 (朝日新書)
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●“風が吹けば桶屋が儲かる”と嘯く黒田 初志貫徹で国滅ぼす

 今さら引っ込みもつかないのだろうが、唯我独尊で突き進む「アベクロノミクス」だ。GDPが下落しても、確実に成長している。実質賃金が下がっても、上がっている。津々浦々、山野の中にも、海の底にも好景気を届ける(笑)。ワーキングプワーなんて殆どいません。日本人は1700兆円の金融資産を有する、世界一の大金持ちです。原油価格が下がれば、景気に好影響があり、消費が上向くので、最終的には、物価はインフレ傾向になるのです。黒田が言うには「やや長い目でみると原油価格の下落は物価を押し上げる方向に作用する」と言っているが、詐欺師が逮捕されて、お金は借りたもので、長期払いで支払う積りだったと言い訳するのと変わらないではないか(笑)。

 狂気の論理を振り回しても、自己都合の数値のつまみ食いが許されるのが日本の政治家であり、官僚たちなのである。誰ひとり、責任を取らない、これこそが民主主義であるのなら、その制度は間違っているのだろう。選択権のある、主権者国民が、幾分馬鹿でも構わないが、国の運営を負託された政治家、煽れを実行する役人ども、この2者が愚かでは成立しない制度なのだろう。17%の票を集めただけで、白紙委任を受けたと、嘯くアホとしか思えない総裁しか選出できない自民党に、何が出来る。雲霞の如く、安倍以下が出てきたら、もう目も当てられないだろう。こんなことなら、天皇独裁制の方が、余程賢明な選択が出来そうになる。

 あぁ、間違わないでくれよ。右翼や政治保守主義者が想定している、便利なツールとしての天皇じゃないからね。国会議員も残してやろうじゃないか。主権者は国民で良いんだよ。議員は、政党助成金などとっ外して、給与はすべて込々で年間2千万。東京地検特捜部の仕事なんていらないよ。買収したい奴はやればいい。物的証拠があれば、警察が逮捕すれば良いだけだ。政治家を取り締まる為に出来た法律など不要だよ。買収したからと言って、票が集まる保証など、この世にあるわけがない。創価学会員が、選挙のたびに、電話を寄越し、久しぶりなんてオベンチャラ言って、こっちも、こちらの選挙区はだれ?なんて聞いて、「了解、了解」と二つ返事をするのと同じことだよ。

 選挙のたびに、貧困から救われる努力家も出てくるだけ、世のため人の為だ(笑)。選挙が起きるたびに、咬ませ犬のような公約貼られても、実際には、やる気がないか、やり方が判らないのだから、只の「すて看」と同じ。あんなもの、1億枚配ろうが、一枚も配るまいが、答えは似たようなものである。こんな事の手続きに為に、選挙管理委員会なんてクダラヌ職まであるわけだ。法律が出来る、変更される、その度に焼け太る官僚機構も、大ナタを振るってダイエットさせなければならない。

 主権は国民に存在するが、立法府で決めた法律や協定に対して、天皇が拒否権を持つ。国会議員の多数による暴走や憲法違反を、天皇がチェックする。では、天皇が絶対君主化と云うと、さにあらず。天皇が暴君化した時は、国会議員は、天皇を国民審査に掛ける権利を持つ。リコールが成立した時には、国民による選挙が行われ、皇室の継承順位3名を、天皇の候補とする。上記は一例だが、三つ巴くらいの歯止めをしておかないと、政治家の暴走は、いま目撃しているように、「この道しかない」と英雄気取りが出てきて、国は滅びる。

PS: しかし、それにしてもNY市場も東京市場も、株式は熱病にうなされたように高値を目指しているのだが、根本的に買い上がる材料があるとは思えない。しかし、現実には、どこかの誰かが買っているのはたしかだ。植草氏も言っているが、操作されたのでは、経済上の推測も予測も、政治上の理由で混乱させられるのでは、市場原理自体が崩壊するのと変わらないのだろう。この狂乱相場は、おそらく金融バブルなのだろう。いずれ、歴史が教えてくれることになる。

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≪ 黒田・イエレンを悩ます原油安 認められない「良い物価下落」
日銀が量的・質的金融緩和の現状維持を決めた18~19日に開いた金融政策決定会合後の記者会見で、原油安の影響についての質問が黒田東彦総裁に相次いだ。10月末の追加金融緩和は、原油価格の大幅下落などの物価下押し圧力でデフレマインドの転換が遅れるのを「未然に防ぐ」ためと説明したためだ。目先に見込まれるのは「良い物価下落」。ただ、総裁がその言葉を発するのを、自身がアクセルを踏んだ追加緩和が縛っている。
 
【短期的に物価押し下げ、長い目では押し上げ】
  黒田総裁は原油価格の下落について「短期的には物価の押し下げ要因」としながら、「原油を100%輸入している日本にとっては経済を押し上げる効果を強く持つ」と指摘。企業のコストを抑え家計の実質所得を押し上げるため、物価に対しても「長い目でみれば押し上げ要因」と説明した。
 「景気に対する効果はかなり早く出てくる」と原油安の効果を強調した総裁だが、短期的には日銀が目標とする物価引き上げを阻む要因だ。総裁は「来年度前半に物価上 昇率が加速していくことは考えにくい」との認識を示し、10月に前年同月比0.9%まで伸び悩んだ消費税率引き上げの影響を除く全国消費者物価指数(CPI)上昇率がさらに鈍化する可能性に言及した。

【ロシア経済の苦境もひとまず静観】
 目先の物価下押し圧力のほかに原油安がもたらしたのが、ロシアルーブルの急落など経済制裁で疲弊したロシア経済へのさらなる打撃だ。ロシア企業の債務不履行(デフォルト)などにつながれば金融システムへの影響も無視できないが、総裁は「大規模な石油やガス会社に大きな影響をもたらすとは思っていない」との認識を示した。
 ロシア経済についても「経常収支の黒字は続いており、外貨準備も相当高い水準」と指摘。1998年に起きたルーブル危機のような事態を「繰り返すとは誰も思っていない」と述べた。現時点で 原油価格の急落が世界の金融システムに悪影響を及ぼす段階にはないとして「欧州経済などへの影響を注視していきたい」と述べるにとどめた。

【「良い物価下落」とは言えず】
  総裁の説明からは、原油安は日本経済にとって「いいことずくめ」とも受け取れる。ならばその原油安が目先の物価に下押し圧力をかけても「良い物価下落」になるはずだ。だが、総裁の口からその言葉は出なかった。追加緩和の理由に原油安を挙げたため、積極的な評価は下しにくいだろう。
 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「原油安が短期的には物価を押し下げ、長期的に押し上げるというメカニズムはその通りだが、(原油安を)追加緩和の理由としたことで『良い物価下落』をも看過できなくなった」と指摘する。目先の物価下落に対して行動しなければ、日銀は前回の追加緩和との矛盾を抱えることになりかねない。

 【焦点は展望リポートの中間評価に】
  黒田総裁は原油安が「人々の予想物価上昇率を押し上げていくには時間がかかる」と認めており、目先は原油安による物価押し下げ圧力が先行するのは間違いない。「2年で2%の物価上昇率」を達成するためになりふり構わぬ姿勢を示した日銀は、物価下落を見過ごすわけにはいかないだろう。
 焦点は来年1月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価だ。原油安を受けて政策委員の物価予想が引き下げられた場合、日銀は10月末のようにさらなる追加緩和に踏み切るのか。もしくは、物価予想の引き下げは「良い価格下落の一端」と認めるのか。
 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長も、原油安の影響について17日の記者会見で「差し引きポジティブ」としつつも、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明では物価上昇率がFOMCの長期目標を下回っている要因に「エネルギー価格の下落」と明記するなど対応に苦慮したあとがうかがえる。原油安の影響を巡り、主要国の中央銀行は以前にも増して難しい政策運営や市場との対話を迫られそうだ。 ≫(日経QUICKニュース(NQN) 滝口朋史)

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●国民の金融資産1654兆円 タンス預金も50兆〆て1700兆円

2014年12月19日 | 日記
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●国民の金融資産1654兆円 タンス預金も50兆〆て1700兆円

 今日の見出しは、続きがあって、財政赤字が1100兆円となる。“だからどうした?”が表現されていない(笑)。つまりは、皆さんのお金なのだから、自由にお使いください(隠して貯めておくのも自由)と云う趣旨をこめている。関連する記事を三つばかり選んだので、それぞれの考えを纏めてみるのも一興かなと云う提言の為の補足資料です。

 ≪ <衆院選を終えて>「カネ優先」見直す時 思想家・内田 樹氏
 有権者の二人に一人が棄権した衆院選。結果は自民党が二百九十議席を獲得し、「一強」の時代が続くことになった。私たちはこの時代をどのように受け止めて生きていくべきなのか、識者に意見を聞いた。  今回の選挙で有権者が示した判断は、判断しないということでした。ある人は経済が悪くなったと言い、自民党は良くなっていると言う。どちらが本当か分からない。だから、判断を保留した。いずれ判断するけれど、今は中腰(ちゅうごし)の姿勢で見ているという感じです。

 結局、有権者数を分母にした全国の比例代表の得票数でみれば自民党は千七百七十万票で、17%にすぎない。それを圧勝というのはおかしい。戦後最 低の投票率も「安倍政権の結果が出るまでもうちょっと待とう」と大きな変化を望まなかったせい。世の中を変えたいと思えば、若い人たちも投票するわけですから。

 自民党は「争点はアベノミクス」と言った。要は経済成長すればいいんでしょう、と。有権者の多くも最優先事はカネだと同意した。ならば結論は簡単で、国を株式会社みたいに管理運営すればカネがもうかるようになりますよ-となる。  国を株式会社化するのに民主主義は邪魔です。独断で早く決めて、早く結果が出るのが好ましい。株式会社のサラリーマンのそんなマインドが国民に共有されてきている。それがトップダウン好きの安倍さんとマッチして急速に強権的な政治が定着してきています。

 いわばワンマン社長のような安倍さんですが、その政権は戦後最も危険だと思います。自民党の改憲草案では、首相が緊急事態を宣言すれば、憲法を停 止する形で事実上の独裁が可能になる。集団的自衛権も米国が要請すればですが、中東で米軍の戦闘行為の下請けのようなことをやる。人を殺したり殺されたりして、結果的に国内外でテロの標的になって民間人が殺傷されるということは起こりえます。

 日本の戦後七十年の民主主義の政体を根本から変える問題です。安倍さんはそれを語らず争点隠しをした。逆から言えば、何をしようとしているか分 かった段階で国民の支持が失われるのを彼らは知っている。最後までウソをつき、だましながら、ひそかに実現できるのか。安倍政権が抱える最大のジレンマです。

 私たちにできるのは、カネ以外のことを考えてみることです。カネもうけを考えると、原発を動かすとか、武器輸出しようとか、戦争やろうとか、カジ ノ呼ぼうという話になる。かつて皇軍無敵と言い続けたように経済成長を追い求めるプランもあるけれど、経済成長なしでも生きていけるプランBも用意しないと。

 日本国は倒産しましたのであとは勝手に生きてください、とはいきません。「grow(グロウ) or(オア) die(ダイ)(成長か死か)」 じゃ駄目なんです。経済成長なき世界での「how(ハウ) to(トゥ) live(リブ)(どう生きるか)」を問うべきときではないでしょうか。   (聞き手・辻渕智之)

<うちだ・たつる> 神戸女学院大名誉教授。思想家、武道家。専門はフランス現代思想。近著に「街場の戦争論」。東京都大田区出身。64歳。  ≫(東京新聞)


≪ 家計の金融資産、1654兆円 株高で過去最高額を更新
 日本銀行が18日に発表した今年7~9月期の資金循環統計(速報)によると、9月末に家計が保有する預金や株式などの金融資産は1654兆円で前年9月末より2.7%増え、過去最高額を更新した。株高で個人が持つ株式の評価額が上がったためという。
 家計の金融資産の内訳は、半分以上を占める現預金が前年9月末より1.7%増の870兆円。株高で、株式・出資金が同5.6%増の156兆円、投資信託が同14.9%増の86兆円だった。
 日本国債の残高は、同3.6%増の1015兆円。このうち、大規模な金融緩和によって国債を大量に買っている日銀の保有残高は同37%増の233兆円となり、過去最高を更新した。保有比率では、国債全体の22.9%に膨らんだ。 ≫(朝日新聞デジタル)

*筆者注:日本のタンス預金(キャッシュ)は50兆円くらいだろう。財務省は必死になって、この金を吐き出させる方法を駆使しているが、笛吹けど、中々踊らないのが日本人でもある。

 ≪ 日本人は依然多額のたんす預金を保有―予想外に高まる現金需要
日本ではクレジットカードを定期券として使用することもできる。自動販売機のデータ読み込み装置に携帯電話をかざすことで缶入り飲み物を購入するこ ともできる。一見、現金なしの社会が到来しているように見える。しかし、現実は現金需要が高まる一方だ。エコノミストや日銀さえ困惑するような現象だ。
  2013年末には、特に年末年始の現金需要拡大を受け、流通する通貨総額は90兆円に達した。これは2000~10年と比較すると17%増で、経済規模に照らして比較した場合、主な先進国の中で最大だ。 連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、米国では、通貨流通量は1人当たり2029ドル(約21万円)となっている(米国外や国内銀行が保有する紙幣を除く)。これは日本の通貨流通量の3分の1を下回る水準だ。 日本では過去3年間、紙幣需要が高まっている。ある日銀当局者はこの現象を「不可解」と呼んだ。
  国際決済銀行(BIS)によると、名目国内総生産(GDP)に対する流通紙幣量は1990年半ばまで10%をやや下回る水準でほぼ安定していたが、2012年末までに19%に上昇した。これは他の先進国の水準を2倍以上上回っている。 国民が現金を全部使うのであれば、これは問題にはならない。しかし、エコノミストらはその多くはたんす預金になっていると指摘する。これはデフレを終焉させるという安倍晋三首相の目標を損ないかねない。 それでも、流通する現金の非常に多くが実際に使用されている。
 日本の犯罪率が世界で最も低い水準にあることも、国民が現金を保有・使用する傾向に一 役買っている。米クレジットカード大手マスターカードは9月のリポートで、日本の小売店での取引総額の38%が現金によるとの概算を示した。これに対し米 国の場合は20%だ。ミシュランガイドで最高ランクの三ツ星を得ている東京のレストラン13店舗のうちの2店をはじめ、多くの中小の店ではクレジットカー ドを使用できない。 しかし、エコノミストの多くは流通する現金の大半はおそらく、何もたいしたことに使用されていないとみている。
 一部の専門家は、長年に及ぶ賃金の減少で消費者が物価下落を待って支出を先送りするなか、現金社会が育成されていると指摘する。 2000年前後に複数の大手行が破綻した後、金利は非常に低い水準に据え置かれるなか、エコノミストらは高齢化する国民にとって銀行に預金する動機がほとんどなく、自宅に現金を保管する傾向を生んでいると指摘する。
 第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生氏は、流通紙幣の額面金額は紙幣の大半が家庭にためられていることを示唆しているとの見方を示した。 2008年の金融危機以来、1万円札の需要が10%増加している一方、1000円札の需要は横ばいにとどまっている。 BISによると、2012年は、日本で流通している紙幣と硬貨全体の87.5%は銀行に預けてあるのではなく、個人や企業、地方自治体の手元にあった。
  ホームセキュリティ会社もこのトレンドを認識している。 防犯関連を手掛けるセキュリティハウス・センターの担当者は、財布の中の3万~4万円に加え、一家に少なくとも10万~20万円しまってあるのはごく普通で、そうすればすぐに使える、と話した。 国内のお金の流れを復活することが、1年ほど前に始まった安倍首相の経済政策の目標の1つだ。首相は、インフレの発生によって家庭に蓄えているお金の価値が侵食され、物価が上昇する前に、国民が銀行預金や現金を急いで使用することを期待している。
 こうした状況が実際に起きている可能性を示す兆候がある。日本のデフレが終焉に近づいている兆候が見られるなかで、消費者物価は上昇している。1月の主要百貨店での販売は堅調だった。 エコノミストの一部は一層過激な解決策を提案している。1つの方法は、株式や外債といった金融資産には課税せず、現金および銀行預金に日銀が税金を課すというものだ。そうなれば国民の消費もしくは投資が促進されるという。
 慶應義塾大学の教授で経済学者の深尾光洋氏らは、日銀が新紙幣を導入し、旧紙幣を新紙幣に交換する際に料金を課すことを提案している。たとえば、旧 1000円札の新紙幣との交換には20円かかるといった具合だ。そうなれば、税金を回避するために旧紙幣の期限切れを前に、国民による旧紙幣の使用が促進 されるだろう。 原文(英語):Japanese Keep Holding Cash, Despite New Technology http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2014/01/09/japanese-keep-holding-cash-despite-new-technology/ ≫(WSJ:日本リアルタイム)


 NISA何てもので、この国民が抱え込んでいる1700兆円を吐き出させようとしているようだが、不動産バブルを身に染みて知っている日本人の多くは、“羹に懲りて膾を吹く”と云う言葉があるが、日本人は、アメリカ人と異なり、ジャパニーズドリームなんてものは、夢見ないのである。精々、年末ジャンボ宝くじで夢を見る程度なのだ(笑)。70代、80代がそうだし、90代になると、国債も、貯金もパーになった終戦時を知っているので、もう吝嗇と呼ばれても平気の平左なのである。

 後期高齢者の健康状態がより好くなることは良いことだが、現在の状況をざっと眺めてみると、金融資産、タンス預金等々が90歳以上と70歳以上の人口層に塊になって存在するのが我が国だ。つまり、老々の人口層においての相続が起きる傾向がある。この上下の人口層は、共に不動産金融資産を有していることが多いので、相続税で若干目減りするが、65~75歳の人口層はWの不動産金融資産を所持することになる。

 政府は、この金の吸い上げ方を必死になって考えている。NISAもそうだし、GPIFの資産の流用、孫への教育資金贈与無税化、金利ゼロ国債の相続税免除等々、手を変え品を変え奮戦している。しかし、日経が国民を煽るような記事を垂れ流すが、実際のところ、彼らの多くは、見向きもしていない。現状を変えることに、酷く頑なだ。

 それはそうだろう。80歳以上は、国家がどのような自分勝手な行動に出るか知っているし65歳以上は、高度経済成長を支えたのは、俺たちであり、20世紀に日本が経済大国になれたのも、我々のお陰であり、何も政府のお陰ではない。親たちから聞かされている通り、政府は常に、国民にしわ寄せを持って行く機関に過ぎないと。そうして、政府が笛を吹いて踊り出すのは現役世代だったりするわけで、チョッとした笑い話である。 75歳から100歳レベルともなれば、彼らが何を考えて生きているかと言えば、自分のことだけである(笑)。これは、悪口的に言っているわけではなく、人間とは、そういうものだと云うことだ。彼らの興味は、美味しいものを食べるとか、健康や長生きには何が良いか等々をテレビを観ながら、情報を掻き集め、そこに自己資金を投入する。息子や孫世代に美田を残すと云う発想はあまりない。偶然、使い切れなかったのは口惜しいが、その時はよきに計らえの心境だろう。

 これは、やはり戦前の持っていたあらゆるものを国家の為に失った人々が共通に持つ、文化的感慨なのだと思う。この点が、アメリカと同じような生活スタイルを踏襲しているのに、浪費生活をしない国民性なのだと思う。このような事は、政府の役人たちも知っているだろうから、どうやって国民が抱えて離さない。1700兆円を奪い取るか、東大卒らは、東大話法的に考えをめぐらしている。相続税の大幅アップなどが起これば、筆者の想像では、現ナマ主義者が、今以上に日本社会の趨勢になるだろう。

 どれ程税務署が有能になっても、現ナマ主義の人々の現ナマを追いかけることは不可能だ。「おあし」は魔力を持っているので、天から降ってきた場合は、その人の人生を狂わせる。こういう言説は、非常に根強く、超高齢者が、息子や孫に、大金を還流させることもない。現ナマを握っていればいるほど、自分が大切にされることを知っているからだ。家族も信用できないと云うのに、国家を信用する奴は、滅多にいるものではない。いつの日か、政府は、この現ナマあぶり出しの手段を講ずるに違いない(笑)。

晋三よ! 国滅ぼしたもうことなかれ ~ 傘張り浪人決起する~
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