世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●政治に無関心な日本が目覚めた 世界のメディアが驚き犬HKが黙る

2015年08月31日 | 日記
民主主義ってなんだ?
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●政治に無関心な日本が目覚めた 世界のメディアが驚き犬HKが黙る

リテラの速報は幾分参加者多めだが、この小雨と云うか、傘を差す状況で議事堂前10万人越えは、凄い。実際問題、筆者も日比谷公園から国会に向かったが、人が群れていて、歩道では動きが取れない。ちょっくら、路肩を歩くと、何も知らんぬ掻き集め警官が飛んできて、歩道に歩道に、うるせえ!まあ、面倒も嫌だから、戻ったふりして、また路肩。このような国民の自主的行動と声は、20年後以降の教科書に載るにふさわしい歴史的事実だ。この事実が、教科書に載らないような国にしてはいけない。

途中から、こりゃ小沢君や志位君の顔を拝むのは無理と考え、官邸前に方向に遠回りしたが、こっちも相当な人の入り。議事堂の近くなら、どこだって抗議の声を出せる、そんな雰囲気だった。それにしても、これだけの老若男女が、法案に反対の意思表示をする。国政選挙より、信頼できる自己表現だな。こんなお天気なので、お子さん連れの参加が少なかったのは残念だが、今回の反対デモで、特段に、日本の女性のポジティブさは、隔世の感がある。

常々、反対のデモをしていた人々も、勇気百倍になったどうろうし、35万人近くの人間が、明るく平和裏に、反対の意思表示をしても良いんだ。そのくらいのことは、警察官自体も、自分の家族を守るには当然かも、と思っている節もあった。こういう行動が重なって行けば、昨日、参加できなかった人々も、花火の上がらない、声の花火大会だ。普段出せない、大声を出せるいい機会だ。そして、民主主義を守ると云う行動に参加した意識に実感が伴う。この次があるなら、必ず出るぞ、そう云うにも見本を示す戦後最大のデモであり。唯一平和なデモだった。

世界中のテレビニュースは、トップニュースで配信していた。世界の新聞がどのように扱っているかまでは未確認だが、読売新聞、日経新聞は、一度たりとも、トピックに載せていなかった。世界中のメディアが注目している、平和ボケの、行動力のない日本人が、政治組織の動員もなく、娘に引かれて善光寺参りするように、三三五五と、国民に敵対的為政を行う「安倍政権」に「NO」を付きつけに行った。アメリカの権力層が、日本の中枢以上に悩んでいるだろう。安倍の行動の悉くが、アメリカの指示だと、多くの日本人が、今ほど理解した時点はない。反米、アメリカからの独立、この意識を生んでしまった、安倍政権は、アメリカにとっても、取扱い注意な政権になった。

日本の毒まんじゅうメディアの紙面を見ても、真実は書いてない。一部のテレビ番組を除けば、NHKはじめ、日本の民放TVニュースを観ても、デモの意義など伝わってこない。なぜ、彼らが行動するのか、海外メディアは、そこのところを理解して報道している。

 ≪ 安保デモ:海外が注視…BBC「日本の若者は目覚めた」
東京・永田町の国会周辺で30日、安全保障関連法案に反対する数万人規模の抗議集会やデモが開かれたことについて、海外メディアは同日、英BBCが 「日本の若者は目覚めた」と伝え、独第1、第2公共テレビが夜のメインニュースで報じるなど、強い関心を示した。【隅俊之、ブリュッセル斎藤義彦】  
◇独TV「市民の反対増加」
 BBCは「日本の若者は政治に無関心で無気力だと批判されるが、彼らは目覚め、沈黙することを拒否しているようだ」と報じた。デモ参加者へのイン タビューを交えながら、「(安倍晋三首相が)この声を聞いているのかが問題だ」とも。英紙フィナンシャル・タイムズは、中国の領土的野心への懸念から法案が準備されたと伝え「安倍首相は軍国主義の過去から学んでおらず、中国も同じ道を歩む危険がある」とのデモ参加者の声を紹介した。
 日本と同じ敗戦国で現在は北大西洋条約機構(NATO)の集団的自衛権に基づく作戦に参加しているドイツも関心を見せ、第1、第2公共テレビはそ ろって30日夜のメインニュースで取り上げた。安保関連法案を「戦後初めて自衛隊を海外での戦闘に参加させる法案」と解説し、「平和主義からの決別に市民 が反対している」「安倍首相は9月中の法案成立を願っているが、逆に市民の反対は増えている」と伝えた。米CNNや通信社も「ここ数年で最も大きなデモの 一つだ」(ロイター通信)などと報じた。
 中国では、国営新華社通信が「『安倍首相は辞任しろ』などのスローガンが国会の上空に響き渡った」などと報道。国営中国中央テレビも夕方7時の定時ニュースで取り上げた。
 また、韓国の京郷新聞(電子版)は「日本の誇る坂本も怒った」と、音楽家の坂本龍一さんが国会前でマイクを握ったことを伝えた。 ≫(毎日新聞)


 ≪「政治に冷淡な日本人が...」 安保法案の国会前デモ、海外はどう報じた?
8月30日に国会前であった安全保障関連法案への大規模な抗議デモを、多くの海外メディアが報じた。 イギリスのBBCは 国会前の現地リポートを含む動画で「こんな場面は日本では前代未聞だ。日本人は政治に対して冷淡だとしばしば言われてきたが、今、彼らが求める声は熱い」 と切り出した。
「デモの参加者は、法案を参議院で成立させることで、安倍政権は巨大な政治リスクを抱え込むと考えている。目下の疑問は、安倍首相がこの声 に耳を傾けているかどうかだ」と指摘した。
「労働組合の組合員と、老いゆく左翼の活動家によるデモが典型的だったが、新たな顔ぶれが登場してきた」と伝えたのはAP通信。
「雨の中、母親が子供を連れて戦争反対のプラカードを掲げ、学生は安倍晋三首相と安全保障政策に反対するスローガンを、ドラムのビートに乗せて叫んだ」と、デモの様子を描写した。
韓国メディアも軒並み現地の様子を詳報した。ケーブルテレビ局、JTBCは現地リポートで「日本の国会議事堂周辺を取り囲んだデモ隊。あちこちでかけ声が上がっています。
政治的発言を控える日本国民の普段の雰囲気はここでは見られません」と伝えたほか、「国会を包囲した怒った市民たち」(ハンギョレ)、「怒った列島の民心」(朝鮮日報)と、デモ参加者の「怒り」を強調した。 ロイター通信は「2012年夏の反原発デモ以来、東京であった最も大きなデモ」と報じ、世論調査で半数近くが安保法案に反対していることや「この法案を止める動きに参加しなければ、将来、子供に何と説明していいのか」と話す参加者の女性の声を伝えた。  ≫(http://www.huffingtonpost.jp


NHK6時のニュースで国会前デモを報じず!7時のニューストップは「タイの爆破事件」を大々的に報道。まさに「犬HK」にふさわしい。職員であることが、恥ではないの?金さえもらえば?糞小便報道にセンター建設5000億、キチガイだな。「犬HK」とナベツネ新聞はもうあかんな(笑)
  号外流したのは、赤旗さんだけ。 筆者が拾い集めた限り、BBC、CNN、独第1、第2公共テレビが夜のメインニュースで報じる  韓国の総合ニュース、英紙フィナンシャル・タイムズ、AFP,AP、ロイター、タイムズ、ロシアスプートニク、国営新華社通信、韓国の京郷新聞‥等。多分、筆者拾い切れていないのも多々あるだろう。


 ≪ 国会議事堂前に反安保デモ35万人! これでも官邸と安倍親衛隊は「大半がバイト」とデマをとばすのか
 国会議事堂前に地鳴りのように響き渡る「安倍はやめろ!」「戦争反対!」のシュプレヒコール。本日、国会前で開かれた安保法制反対のデモは、雨に見 舞われるという悪天候ながら、これまでで最大規模の人びとが詰めかけた。その人数は、なんと35万人(主催者発表)にも上った。さらに、本日は全国各地 250箇所で同じようにデモやイベントなどが行われており、それらの数を合わせると相当な人数になると思われる。
 熱気もすさまじい。高校生グループは「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」を歌い上げ、大学生たちは全国津々浦々から結集。世界的ミュージシャンの坂本龍一氏もスピーチに駆けつけた。当然、歩道には人が溢れかえり、早々に警察のバリケードは決壊。これまで封鎖されてきた車道に人の波が押し寄せ、結局、4車線の車道はあっという間に人が覆い尽くしてしまった。
 ──この光景を見れば、それだけでこれまで安保法制反対デモに対して流されてきたデマの数々は真っ赤なウソだと証明できるだろう。先月、首相補佐官の礒崎陽輔と百田尚樹が“デモ参加者の大半がアルバイト”とツイートしたが、数万人ものバイト代を支払える組織なんてあるわけない。渦中の武藤貴也議員は性懲りもなく「若い人たちがだまされている」と言ったが、これだけの高校生や大学生たちが何にだまされているというのか。
 菅義偉官房長官は「私は全共闘世代だが当時はこんなもんじゃなかった」としたり顔で語ったが、国会前が完全に反対派の人びとで包囲されたきょうの様子を見て、同じことを言えるのだろうか。官邸は反対派デモを共産党や革マル派などの左翼団体が行っているとまったくの嘘っぱちを流布しているようだが、左翼団体がいま十数万人も動員できると信じているのならおめでたいにも程がある。
 そして、デモをしても無駄だと冷笑した太田光は、これでもまだ無駄だと思うのか。堀江貴文は反対派デモは情弱だとほざくのか。「まあ、いいじゃん」などと平気で口にしてしまう総理は許せない、その真っ当な怒りをまだ笑うのだろうか。
 安倍首相の顔色をうかがう多くのメディアは、きょうの大規模デモも矮小化して伝える可能性は高い。官邸もなかったことのように振る舞うだろう。だ が、国民ひとりひとりが強権的な安倍政権にNOを叩きつける動きを続けていけば、何かを変えることはできるかもしれない。そんな希望を感じた1日だった。  ≫(リテラ:編集部)

村上さんのところ
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●「安倍の長い夜」  雨天決行!“安倍やめろ” もろもろデモ参加 

2015年08月30日 | 日記
科学者は戦争で何をしたか (集英社新書)
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●「安倍の長い夜」 雨天決行!“安倍やめろ” もろもろデモ参加 

戦争法案廃案、安倍政権退陣等々を主張するデモが、多くの主催者によって行われる。色々あるので、どれに出るも、勝手だが、議事堂周辺に行ってしまえば、その人の流れの中に身を委ねることにする。だから、どこの主催のデモグループにいるかなんて、判らないし、判らなくても良い。早いグループは13時から集合するらしいので、13時から17時くらいの間、議事堂を遠巻きに囲む形、存在しているだけで充分、官邸への威圧にはなる。

それでも、安倍は強行する。それでもいいのだ。その時の国民の絶対的反対を押し切り、アメリカの言いなりになった「日本」には、安倍の隷米姿勢に、多くの人が反対の意を示した。その証拠が残ることが、歴史的に重要だ。以下に、議事堂周辺のデモ企画の情報を張り付けておく。そして、アメリカケツ舐め国家となった、日本と云う国の国会にNOを突きつける行動の痕跡を残そう。様々な団体が10万人目指す。15万人も集まったら、警備も半分お手上げだろう。それでも、警備する積りなら、怪我人続出。警視庁の責任だな。ネトウヨも安保法案賛成でも500人くらいで頑張っていたが、街宣車先頭で同日同時刻、顔出す勇気があったら、優しく扱おう。くれぐれも、罵倒などしないように。












 












ビデオニュースは、ここ20年で、どうして此処まで、出鱈目がまかり通るデモクラシーが成立しているのか、時系列で検証していた。自分の人生日記のようなものと重ねながら視聴したが、中々良い番組だった。早起きしないといけないので、ここらで失礼。

≪ ロフトプラスワン20周年記念ライブ
  見えてきた日本の難点の正体
■20年前の1995年、日本は大きな時代の転換点を迎えていた。
 阪神・淡路大震災に始まったこの年は、地下鉄サリン事件とオウム真理教に対する警察の一斉捜査、村山談話、そして高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏洩事故など、国の根幹を揺るがすような大きなニュースに明け暮れた。
 この時、日本の何かが確実に壊れ始めていることを、われわれの多くが感じたはずだ。  その後日本は1997年の山一、拓銀の経営破たん、1999年のガイドライン法制(周辺事態法、盗聴法、国旗・国歌法など)から小泉改革と、もっぱら壊れる方向へと突き進んでいく。
 そして今、安倍政権の下で、壊れた日本を象徴するかのように、憲法をも顧みない安保法案の審議が着々と進められている。そんな今だからこそ、われ われは時代の分岐点となった1995年当時にあらためて立ち返り、あの時掛け違えたボタンを、もう一度掛け直す作業が必要なのではないか。

 ■思えばこの20年、われわれはずいぶんとデタラメなことをやってきた
 2000年には病に倒れた小渕恵三首相の病室に5人の自民党幹部が押しかけ、意識不明の危篤状態にあった小渕氏がこれに「頷いた」との理由から、内々で後継首相に森喜朗氏を選出するという、クーデターまがいの信じがたい闇取引が、公然と行われた。
 一方、それと同じ年にアメリカではゴア副大統領とブッシュ・テキサス州知事の間で争われた大統領選でも、最後に残ったフロリダ州の選挙結果が再集 計、再々集計と二転三転する中で、ブッシュ候補の実弟がフロリダの州知事を務めていたことから州の選挙管理委員会がブッシュ側に有利な裁定を下し、結果的 にブッシュ大統領が誕生するという、これもまた正当性に疑義のある大統領選出が行われてしまった。
 2009年、日本では検察が突如として最大野党にして政権の座に就くことが確実視されていた民主党の小沢一郎代表に対する強制捜査に着手、小沢氏 を代表の座から引きずり下ろすという事件が起きた。しかも小沢氏にかけられた嫌疑は誰が見てもそれほと重大なものとは言えないものばかりだった。
 これは一行政機関に過ぎない検察が、政権交代を目前に控えた時点で、首相就任が確実視されている野党党首に、さして重要とも思えない事件で強制捜 査を行うことで、政局や選挙に決定的な影響を与えるものだった。しかし、この検察の暴走とも思える行動についても、市民社会はそれほど重要視はしていない ようだった。
 他にも例をあげれば枚挙にいとまがないが、どうも、日本でも世界でも、社会を回していく上での基本的なルールとして受け止められてきた民主主義そ のものが、危機的な状況に陥っているようだ。そして、民主主義と下支えする市民社会が正常に機能していなければ、社会が正常に回っていくわけがない。
 問題はわれわれがこれまで「よかれ」と思って進めてきた様々な改革が、結果的に市民社会を弱体化させ、結果的に民主主義が正常に機能しないような社会をわれわれ自身の手で作ってきてしまったということではないだろうか。
 一見、計算上はプラスに見えるような施策でも、それを実行した結果、社会の中の重要な機能が壊れれば、GDPなどの数字には出ない形で、社会は衰 退し劣化していくことになる。それは目に見えないものの場合が多いし、計測が難しい場合も多い。例えば、社会における治安の低下は、新たにセキュリティ対 策などが必要となることから、数字の上ではGDPを押し上げる効果を持つかもしれないが、実際にその中に暮らすわれわれの生活は確実に劣化し、精神的にも 荒廃していくことが避けられない。「治安が悪化したからセキュリティを強化する」のではなく、治安が悪化しないようにするために、われわれの社会にビルト インされている様々な機能をいかに維持し強化していくかを、優先して考えなければならないのではないかということだ。

 ■この20年、われわれは戦後の高度経済成長とバブル時代の栄光を忘れることができず、もっぱら経済のパイを大きくするために様々な改革を推し進めてきた。
 社会を発展させていくためには、不断の改革は必要だろう。しかし、改革の名のものに時代遅れとなった古い制度や仕組みを捨てていく過程で、われわ れは故宇沢弘文教授が言うところの「コモンズ」(社会的共通資本)をも無自覚に流していってしまったのではないか。
 今必要なことは、われわれにとってのコモンズとは何かを確認しながら、それを再構築したり、それに代わる機能を果たす仕組みを新たに作っていくことだろう。
 今回、新宿ロフトプラスワンの開店20周年に合わせて行われたマル激トークライブでは、時代の分岐点としての1995年からここまでの20年を振 り返りながら、その間、日本が失ってきたコモンズとは何かを改めて考え直し、その再構築のために今われわれは何をしなければならないかなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。  ≫(ビデオニュースドットコム)

職業としての小説家 (Switch library)
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●世界は1%対99%の対立 イデオロギーの極端化加速中

2015年08月30日 | 日記
膨張するドイツの衝撃―日本は「ドイツ帝国」と中国で対決する
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●世界は1%対99%の対立 イデオロギーの極端化加速中

スティングリッツによると、今は、見出しの1%の中で、更に、1%対99%の闘いが展開されているのだそうだ。こういう、競争と勝者だけが勝ち残る世界は、何を求めているのか?求めているものが何であるか知らずに競争していたり、目標はあるが、その勝利の目的を理解しているとは思えない時代になっているらしい。そう云う意味で日本では、安倍が、橋下が、岡田がと言っていても、コップの嵐に過ぎないのだろう。こういう世界の潮流の中では、極端に走ることで、逆側にある極端を潰すことが目的の極端思想が生まれる。中庸や中立が如何に成立しがたいのが、今の世界だと言えるだろう。個人的には、野党再編は、共産党中心の中道野党の連携が、合理性があるように思える。まあ、現時点ではアイディアである。

筆者は、これからの世界と云う命題を考える時、国内政治の情報よりも、国際、経済(日経ではないブルームバーグやロイター‥等)記事を並列に置いて、出来るだけ考えるようにしている。無論、どのカテゴリーにおいても、専門家ではないので、どれもこれも俄か勉強のレベルからは抜け出していない。しかし、考えると云うよりも、その様々な情報を並列的に俯瞰することから、感じることを、さも考えているようにコラムを書いている。早いもので、まるまる6年間も、しばしも休まず書いているのだから、よくネタが尽きないものだ。

まあ、そんな個人的感慨はさて置き、国内政治について、昨日の目だった出来事は、「維新の党」の分裂を鳩首会議で方向づけした、菅と松井の謀計が着々と進んだ結果とみている。維新が、実質的に分裂したことで、「新党維新」(仮名)でも立ち上げて、自公連立与党に“橋下新党”が加わる三党連立で、政権を維持、憲法改正まで突っ走る。それが彼らの当面の目標だろう。そこから先は、まだ当人たちも読めてはいない。アメリカからの命令に従うフリをしながら、どうやって、大日本帝国憲法時代に戻れるか、それが望みだろうが、具体的絵図は無論描き切れていない。ただ、前進はする、そう云うことだろう。

その先には、重武装、再軍備、核保有と云う、大目標があるわけだ。狡猾な狐のつもりで、アメリカ様をも出し抜こうと妄想している。此処までは、居酒屋談義の夢物語として面白い。しかし、計画は陰謀的で緻密だが、“米中露”の分析の目は節穴ではない。外務官僚や日本会議の吹き上がり懐古趣味者のレベルで太刀打ち出来るものとは思えない。ゆえに、どこかで、彼らの悪趣味は挫折する。しかし、出来ることなら、やはり日本人の手で、挫折への引導を渡したいものだである。それが、8月30日の「安倍やめろデモ」が象徴的行動となるだろう。だから、口ばかり筆者も、デモに参加しようと思うし、目撃者の一人にもなりたいと思う訳である。

だが、おそらく今の官邸の動きを観察していると、自民党政権がぶっ壊れても、法案を通す方向に傾いている。最近は、目的不明の、衝動的犯罪が増えているが、政治の世界も、似たようなものである。目的が、テンデンばらばらなのに、同じ船に乗り合わせた状態と言える。おそらく、どこかの島に辿りついた瞬間に仲間割れが起きるのは必定で、定理に近い。個人的には、安倍晋三に思いを遂げさせ、政治的無関心とは、こういう過酷事故(シビアアクシデント)を惹き起こすという事実を、国民が身を持って知るべき時が来たのだと思う。それ相当に、国家主義的になり、警察国家的になることで、住んでいる国が「動物農場」だと知る時期に来たのだ。

国内政治は、呉越同舟、イデオロギー紛いと極右と守銭奴が隣り合わせに乗船中のボロ船と云うことだ。しかし、世界は、そのようなジャパニーズの折衷的生き様とは、相当にことなる潮流が湧き上がり、「うねり」になりつつある。筆者は個人的に、こちらの動きの方が興味深く、魅力的だ。極右な人間と極左の人間が同居することは、不可能なようで、意外に可能だ。東京新聞が、イギリス労働党の先祖返りが実現するかもしれないと云う記事を書いていたが、興味深い。

ピケティの『21世紀の資本論』が爆発的に売れたのも、「極左」の抬頭を予言したいたからだろう。スティングリッツの“1%対99%論議”も、根っこには同じものがある。極右でもなく、極左でもない、守銭奴が甘い汁を吸い続ける世界の終焉には、相当に暴力的政治行動を味つけとして持たないと、実行が不可能と感じてきた思想が誕生したと見ておいてよさそうだ。今夜のテーマは大きすぎて、充分に把握し切れていないが、非常に注意深く観察すべき、世界的テーマなのだと思う。ギリシャでも極左の政党が政権を握り、右往左往したが、あれは、極右が握っても、同じ結論しか出ない状況のギリシャだった、と云うことだろう。

ただ、フランスなどでは、極右の政治勢力「国民戦線」が勢いを持ってきている。フランスの極右政党「国民戦線」は、フランス大統領を選出させるだけの支持を集めつつある。党創設者ルペン氏はシラクと決選投票をするところまで漕ぎついたが、そこから先は政治手腕がないことで、凋落傾向を見せていたが、EUの経済停滞やユーロ圏経済全体の苦悩やドイツ独り勝ちEUにNOを突きつけた娘のマリーヌ・ルペンが党首となり、勢いを取り戻している。アメリカのティー・パーティーなども傾向としては、極右的だ。しかし、イギリスでも、フランスでも、極左の支持も根強いものがある。以下は、その一例、英国労働党の話だ。


≪ 強硬左派候補 本命に急浮上
【ロンドン=岩佐和也】今年五月の英国総選挙で大敗を喫した最大野党・労働党の党首選で、当初は泡沫(ほうま つ)候補とみられていた強硬左派のジェレミー・コービン下院議員(66)が予想に反して支持を伸ばし、今や本命に急浮上している。ブレア元首相らを中心に 中道路線での党の立て直しを模索する中、党内に混乱が広がっている。
 コービン氏は緊縮財政反対で、国防費を抑え、核兵器の放棄や鉄道・エネルギー会社の再国有化を主張するなど強硬な左派だ。
 党首選では当初、まったく注目されていなかったが、人気が急上昇し、八月上旬の世論調査会社「ユーガブ」の調査では、支持率53%と、他の三候補を突き放しトップに。国内最大労組も支援を決めた。
 コービン氏は党議拘束に何度も違反している反逆児とみられていたが、集会で、社会正義や平等、人権といった基本的価値観を直接語りかけるスタイル で新味があり、与党保守党と区別がつきにくくなったこれまでの労働党に嫌気がさした若者や女性らから支持を集めているとみられる。
 ブレア氏が率いる中道左派はコービン氏の躍進を警戒。「コービン氏はこの国を前には進められない。後戻りするだけだ」と、ブレア氏は批判。だが、 ストラスクライド大のジョーン・カーティス教授(政治学)は「コービン氏は、確かな信念を持っている。それが人々を引きつける」と話す。
 党首選は投票が既に始まっており、九月十二日に結果が発表される。 ≫(東京新聞)

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)
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●世界の株式市場は踊り場だが 原油先物から見えてくる大恐慌

2015年08月28日 | 日記
日本人とは何か (講談社学術文庫)
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講談社


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●世界の株式市場は踊り場だが 原油先物から見えてくる大恐慌

第三次アーミテージ・ナイレポートの後篇を掲載する前に、昨日一日の政界の動きや、世界経済の動きを見ての感想をひと言。日経平均も、暴落的な下げから反転したが、18500程度に戻ったに過ぎず、景気の先行きに不安を残した状況は続いている。先日の空売り手仕舞は大成功だったようだ。個人的には、愉快なアベノミクス騒動だった。もう暫く、株式投資は休止するのが賢明だろう。大きな流れから見て、新興国の通貨安は、世界経済を間違いなく低迷方向に誘導するからだ。

27日、日本時間午前2時半現在、NYダウも350ドル上げている。それでも、日経平均同様、高値からの暴落相場を戻すには至っていない。米商務省が、4~6月期の実質国内総生産GDPが3.7%と上方修正した結果のようだが、俄かに信じられる統計数値ではないだろう。金融資本主義のバロメーター株価のバブル崩壊は、実体経済すべてを巻き込む不況を完全に認めてしまうわけだから、操作できるもので、世間を欺く必要悪と云うことだろう。春以降の回復ペースは、米連邦準備制度理事会(FRB)の「利上げ」を後押しする内容だ。意外に9月にはFRB利上げが実現してしまうかもしれない。

FRB利上げとなれば、不安定な新興市場でだぶついていたマネーは米国の国債に流れ、新興国通貨安に拍車がかかり、延いては、世界の実体経済を動かしていた、成長度糊代を残していた新興国諸国の景気悪化を招き、世界経済の言動力は、金融ひとつになってしまうのだから、もうリーマンショックの二の舞が来るのは、素直に読めば、年内にも起こり得る環境と云うことだろう。アーミテージ・ナイレポートでも言及していたエネルギーへの提言など、笑い話になるほど、原油を含む資源や安が新興国を襲う。無論、革命なんて大演説をした米国シェールオイル関連は、過激な採算割れに陥る。1バレルが40ドルを切るのは確実で、リーマン時の32ドルの悪夢の再来と云う事態だ。

そんな世界経済の暗雲などどこ吹く風、自民党は全派閥が、安倍晋三続投で衆議一決しているようだ。その上、大阪維新のシンボル、橋下と松井が安倍官邸とつるみ、次期参議院選において、自公橋下で2/3議席確保を狙い、憲法改正に突っ走る皮算用のようである。しかし、一時の勢いをなくし、政治家やめる宣言までしている橋下に何を期待してつるんでいるのか理解しがたい部分もある。橋下の120%は5%くらいのようだから、参議院立候補もあるだろうが、国政に大きく影響するほどの勢力にはなりえないだろう。安倍続投の官邸の思惑と、自民党議員らの思惑には、かなりのズレがある。アメリカ要求の安保法制、断ることは出来ない。しかし、国民的反発は、日に日に増している。

だからと言って、今、安倍を下ろして、己が安保法案を闇に葬るなど出来るわけもない。こうなったら、安倍晋三に「魔女役」は最後まで演じて貰おう。今手を挙げる事は、法案を成立させても、流しても、悪夢しか訪れない。国民を敵に回すか、アメリカを敵に回すかの話し、二者択一だ。その二者はどちらを選んでも、具合が悪い。安倍に全部やって貰うのが得策。そう云うことだろう。アベノミクスもメッキが剥げて、もう打つ手は限られている。あとは、金融市場原理に身を委ねる部分しか残っていないのだから、こんな割に合わない役回りは、アベチャンに全部被って戴こうが、自民党連中の腹だ。こういう状況も含めて、アーミテージ・ナイレポート後篇を読むと、味わいが一段と深まる(笑)。



 ≪ 2013/02/03 【IWJブログ】CSIS「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載(後篇)

 ■新しい安全保障戦略に向けて

 ◇地域的防衛連携
核エネルギー、政府開発援助(ODA)及び人権問題の様な職務上の問題に関する連携に加え、東京はASEAN、ASEAN地域フォーラム (ARF)、アジア太平洋経済協力(APEC)の様な地域フォーラムと同様、特にインドやオーストラリア、フィリピン、台湾などの民主的パートナーとの連 携維持に努めるだろう。日本は共通する価値や利害、目標を持つ地域パートナーと連携する為の基礎を強めてきている。日本は、平和的で合法的な近海の環境を促進する為に、自由な海上貿易を保証する為に、また経済と防衛の全体的な安寧を推進する為に、地域パートナーとの協力を継続すべきである。

防衛環境は著しく変わってしまったが、それは我々の戦略構成についても同様である。役割・任務・能力(RMC)の見直しが終了した時、日本の防衛戦 略は第一に南北に拡張した。1980年代の見直しでは地理的範囲を拡大し東アジアでの協調能力を向上させ、90年代の見直しでは日本の防衛協力の空白部分に関する機能を明確なものとした。今日では、利害地域は遠く南へ、さらには遥か西の中東まで拡大している。我々は戦略を十分に再定義し実行手段の調整を行 うべきである。今後の新たな見直しでは、軍事、政治、そして経済国家的な権力の全ての組合せと同様に、より広範な地理的範囲を含めるべきである。  

 ◇防衛戦略:同盟の相互運用性に向かって
日本は能力形成や二国間及び多国間の対応を通して、これまで以上に防衛と軍事の外交手腕を発揮することができる。新たな役割と任務の見直しにあたっては、日本の防衛及び地域の緊急事態における米国との防衛を含めた日本の責任範囲を拡大すべきである。

最も喫緊の挑戦は日本自身の隣国だ。中国は、日本へ の度重なる周航を含む、東シナ海の大半、実質的な全南シナ海、人民解放軍と海軍の運用速度の劇的な増加を、主張或いは実践しており、これらは北京による 「第一列島チェーン(日本、台湾、フィリピン)」、もしくは北京が考える「近海」全体に対しての、より強大で戦略的な影響を与える意志を示している。これ らの種の接近阻止・領域拒否(A2AD)という挑戦に対し、米国は空海戦闘や統合作戦アクセス構想(JOAC)などの新たな作戦構想への取組みを開始して いる。日本は「ダイナミック防衛」の様な類似構想への取組みを開始している。

米国海軍と海上自衛隊が歴史的に2国間の相互運用性を牽引してきた一方で、新 たな環境はより強大な連帯と両国における部局横断的な相互運用性及び両国間の相互運用性を明確に必要としている。この挑戦は両国のRMC会談の中核であ り、日本の防衛省及び外務省と共に米国国防省の指導により十分に統合され前進するものでなければならない。予算の制約がある中で、RMCは断片的に処理されたり、下級議員によって処理されたりしてはならない。

同盟防衛協力の潜在力が増加した2つの追加地域は、ペルシャ湾での掃海作業と南シナ海の共同監視である。ペルシャ湾は極めて重要なグローバル貿易と エネルギー輸送の中核である。ホルムズ海峡を閉鎖するというイランの言葉巧みな意思表示に対して、日本はこの国際的に違法な動きに対抗する為に単独で掃海 艇をこの地域に派遣すべきである。南シナ海における平和と安定は、特に日本にとって大変重要な、もう一つの極めて重要な同盟利害である。重要なエネルギー資源を含む、日本へ供給される88%のものが南シナ海を経て輸送されるのであるから、安定と航行の自由を確保する為に米国と協力して監視を増強することは 日本が関心を示すところである。

「日本の防衛」と地域防衛の区別は明確でない。ホルムズ海峡の封鎖や南シナ海での軍事的緊急事態は、日本の安全と安定に深刻な影響を及ぼすものと考 えられる。かつて賞賛された剣と矛の例えは、現状の防衛活動力を過度に簡略化しすぎており、国家の防衛には攻撃責務の備えも必要だという事実をはぐらかし ている。両国共に、日本の活動領域を十分に拡張させるより強健で共有した、また相互運用性のある情報・監視・偵察(ISR)能力と作戦を必要としている。 在日米軍(USFJ)には日本の防衛に関して明確な役割が与えられるべきである。作戦の遂行能力と今後起り得る在日米軍と自衛隊の合同機動部隊の軍事力を考慮して、米国は在日米軍により大きな責任と使命感を与えるべきである。

予算削減や財政引締めがワシントンでも東京でも起りそうな状況の中では、軍事力を維持する為のより効果的な資源の使用が不可欠である。効果的な資源活用に関する早期の政治的示威行動は相互運用性である。相互運用性とは米国装備品の購入を意味するものではない。それは、本質的には協同する基礎能力を指している。米国海軍と海上自衛隊は、数十年に亘りこの能力を証明している。米国空軍と航空自衛隊(JASDF)は進歩を見せているが、米国陸軍、海軍と陸上自衛隊は重点の差異により限定されている。米国が中東での陸上戦に注力してきたのに対し、日本は平和維持及び災害復興活動を行ってきたのである。

相互運用性を高める1つの方法は、双方の防衛訓練の質を向上させることである。米国空軍、海軍は自衛隊と連携して民間空港を循環した訓練を毎年行うべきである。新たな訓練地域は潜在的な緊急事態をより広範に想定させ、両軍をより危険な状態に晒し、さらには沖縄の人々に対しての負担を共有する感覚をもたらすだろう。第二に、自衛隊と米軍は緊急事態への対応能力を向上させる、トモダチ作戦で学んだ事柄を試すべきである。第三に、陸上自衛隊は価値のある平和維持活動(PKO)や災害復興支援に携わる一方で、陸海空軍連携の拡大について検討すべきである。陸上自衛隊を敏捷で配備可能な軍隊に方向修正することは、将来の編成に向けて同盟をより有意義に整備させるだろう。第四に、米国と日本はグアムと北マリアナ諸島(CNMI)における新たな訓練領域を十分に活用すべきであり、それはオーストラリアのダーウィンにおける新たな共有設備についても同様である。共同の海上派遣軍事力は、日本、韓国、オーストラリア、 カナダ、及びニュージーランドにとって中核的な焦点である。米軍との訓練、特に海軍との訓練が、より広範に相互運用性を拡大させるだろう。最後に、東京は双方とそれぞれの防衛上の秘密と秘密情報を保護する為に防衛省の法的能力を向上させるべきである。秘密保持の点からすれば、現在の法管理体制は米国標準と同等のレベルではない。政策と厳格な防衛訓練の組合せが、日本の初期の特殊作戦部隊(SOF)の能力を加速させ相互運用性を向上させるだろう。  

 ◇技術協力と共同研究開発
相互運用性の第2の側面はハードウェアに関するものである。米国と日本の経済事情と防衛予算の増大が非現実的であることを考慮すれば、防衛産業のよ り密接な連携が必要である。日本の「武器輸出三原則」の変更が武器輸出と技術協力に関する政策の窓を押し広げている。連携は両国政府のコストを削減させ、 業界での広範囲な関係を強化する一方で(ヨーロッパと米国の数十年に及ぶ防衛産業のパートナーシップの様に)、同盟はこの分野においてどのように前進していくかをまだ決定できていない。

米国は日本の方針転換を利用して日本の防衛産業に技術を輸出するよう働きかけるべきである。日本の防衛技術の輸出が、米国の防衛又は産業基盤にとって脅威になると米国人が不安する時代は過ぎたのである。ミクロレベルでは、米国は電子、ナノテク、合成、そして他の高価値部品を輸入すべきである(日本はそれらを自由に輸出すべきである)。この分野での同盟貿易は米国防衛企業に、日本が既に独占的に製造しているかライセンスの下で製造している、洗練した二次もしくは一次技術に触れる機会をもたらすだろう。日本からの輸出はコストを削減し米国と日本の防衛製品の品質を向上させる潜在性を有している。

マクロレベルでは、規制緩和が洗練した将来の武器と他の安全システムの共同開発の機会を促進させる。この点においてはミサイル防衛が素晴らしいモデルとなっている。この計画は同盟が競争でなく、非常に複雑な防衛システムの開発と製造に共同で従事できることを本質的に証明している。短期的な軍事同盟計 画は相互利害と運用上の必要条件について明確な検討を行うべきである。しかしながら、同盟は共同開発に向けた長期的な運用上の必要条件についても明確にす べきである。軍事協力の可能な分野は、次世代の戦闘機、軍艦、レーダー、戦略的な輸送、通信、そして全体的な情報・監視・偵察の能力に成りうる可能性がある。例えば、オーストラリアはディーゼル潜水艦と統合攻撃戦闘機の技術協力について日本と協議中である。米国はそのような対話に積極的に働きかけ、はずみを付けるべきである。

米国と日本は世界の2大研究開発体である。同盟国として、我々はこれらの能力を融合し急速にコストと複雑さを増す分野での効率化を達成すべきである。軍事協力へ向けた同盟の枠組みはこれまで以上の組織を必要とするだろう。過去においては、連携は施策の中心である日米安全保障協議委員会(SCC)からは別個の科学と技術フォーラム(S&TF)に追いやられてきた。この努力への基礎は、現在の予算、軍事、技術状況を反映しない、米国の対外有償軍事援助 (FMS)プロセスの再編になるだろう。  

 ◇サイバーセキュリティー
サイバーセキュリティーは、米国と日本の役割と規範の明確化を必要とする新たな戦略分野である。全ての防衛作戦、共同や連携は、情報保証対策の信用 性と能力に強く付随している。近年サイバー攻撃、サイバーハッキングの数は増えており、特に政府機関や防衛産業企業を対象としたものが多く、繊細なデータ のセキュリティーを脅かし、テロリストや敵対分子の手に秘密情報が渡ってしまうリスクを新たにしている。情報保証における共通の安全装置と標準を持たずしては、米国と日本の通信経路は外界からの侵入に対して大変脆弱である。米国は国家安全保障局(NSA)と共にサイバー対策を運用する一方、日本は同等のレベルを満たしていない。この不均衡を軽減するために、米国と日本は共通の情報保証標準の研究と導入に向けた共同サイバーセキュリティーセンターを設立すべ きである。そのような開始は日本の脆弱なサイバーセキュリティー基盤を強化し日本の国防を援護するだろう。サイバーへの理解と協議なしには、安全保障上の問題に関する同盟のより強大な連携は制限されるだろう。  

◇拡大抑止
信頼を増大させる必要がある同盟防衛におけるもう1つの鍵となる分野は拡大抑止である。日本は非核世界を実現したい意欲と、米国が中国に対する核の 力を減少し、米国の拡大抑止の信頼が弱まり、日本が結果として苦しむのではないかという不安の間で非常に苦しんでいる。拡大抑止が核兵器の数や日本の領海 内での核兵器の配置に依存していると考えるのは誤りである。冷戦期に米国がベルリンを防衛できたのは、米国の約束に信頼を与えたNATO同盟という支柱と、多くの犠牲を払ってソ連の攻撃を食い止めた米国軍の存在の為である。米国と日本は、米国の拡大抑止戦略と軍事力における相互の信頼を強める為に、現在の拡大抑止に関する対話を再活性させるべきである。日本を巡る米国の拡大抑止の最も大きな保証は、日本の寛大な支援により強化されている米国軍の存在であ る。  

 ◇普天間
日本における米国軍の存在は、共同関係には留まらない。同盟は長年にわたり沖縄の米軍再編の詳細について非常に高い注意を払っている。結果として、 三次的問題の普天間の海兵隊飛行場は、今後のための最適な軍編成計画に投資できたであろう時間と政治資金を使い果たしてしまった。過去の再編から生じる問 題は、それがどのようなものであれ、我々が堅く未来に照準を合わせればより容易に解決できるものと考えている。  

◇集団的自衛の禁止
3つの危機から成る3.11とトモダチ作戦は、米国と日本の軍事展開に興味深い皮肉を提示した。3.11は外部の脅威に対する防衛の問題ではなかった為、自衛隊と米軍が集団的自衛の禁止に注意を払うことなく対応したという点である。米国の軍艦は、緊急事態に対応して北海道の陸上自衛隊を東北に移動させた。両国軍は、軍事的及び市民的な組織が災害救助と支援活動を行った、仙台での作業上の鍵となる飛行場を設ける活動に従事した。これらの努力が北東アジア地域の回復への条件を生み出した。トモダチ作戦時の憲法第9条の大まかな解釈に加えて、日本と米国は、他のいくつかの国々と協力してエデン湾での海賊行為と戦っている。日本はインド洋における極めて重要な海賊行為撲滅の任務に参加するために法的問題を再解釈している。しかし皮肉なことに、日本の利害の保護を必要とする最も深刻な条件の下で、我々の軍隊は日本の集団的防衛を法的に禁じられている。

日本の集団的防衛の禁止に関する改変は、その矛盾をはっきりと示すことになるだろう。政策の変更は、統一した指揮ではなく、軍事的により積極的な日 本を、もしくは平和憲法の改正を求めるべきである。集団的自衛の禁止は同盟の障害である。3.11は、我々2つの軍が必要な時にいかに軍事力を最大限に活 用できるかを証明した。平和時、緊張、危機、及び戦争時の防衛範囲を通して完全な協力で対応することを我々の軍に許可することは責任ある権限行動であろ う。  

◇平和維持活動
2012年は日本が国連の平和維持活動に参加して20年目の年である。南スーダンでは、自衛隊は権限を拡大している若き政権の助けとなる社会基盤の 建設に取り組んでいる。ジブチでは、自衛隊はエデン湾を警備する海賊撲滅の任務に当たっている。ハイチでは、自衛隊は継続中の災害後復興と伝染病の拡散防止に取り組んでいる。平和維持活動の役割と責任は厳しいものであり、殆どの場合が厳しい環境と生活条件の中にある。平和維持活動への日本の参加を通して、 自衛隊は対テロ、核不拡散、人道援助、そして災害復興に関する国際的な連携と準備を発展させている。より十分な参加を可能にするために、日本は、必要であ れば武力を行使してでも、市民と、同様に他の国際的な平和維持軍を守ることができるような法的権限を自国の平和維持活動軍に与えることを我々は奨励する。 平和維持活動は明確に賞賛に値する国際的貢献であり続けている。自衛隊の認識は変化してきており、日本の外交政策における最も成功を収めそうなものの1つとして見られている。(以上和訳:伊藤勉)

 ■提言
◇日本に対する提言

原子力発電の慎重な続行は、日本にとって正しく責任のあるステップである。 2020年までに二酸化炭素(CO2) の排出量を25パーセントカットする意欲的な目標は、原子力発電所の再開なしでは成し遂げることはできない。また、エネルギーコストの高騰は円の高騰を伴うため、エネルギー依存の高い産業の国外流出を食い止めるためには原子力発電の再開は賢明である。福島を教訓に、東京は、安全な原子炉設計と堅実な規制の 実施を促進するための指導的役割を再開すべきである。

東京はイランの核開発などによってもたらされた、海賊行為に対する戦闘、ペルシャ湾の海運業の保護、シーレーンの確保や地域の平和の脅威への対処といった、多国籍の取り組みに積極的に参加すべきである。

TPP交渉への参加だけでなく、このレポートでも説明されているCEESA(包括的経済エネルギー安保協定)の提案のように、 日本はより意欲的かつ包括的な交渉を締結せよ。

同盟国に最大限の可能性を示すためには、日本は韓国との関係を複雑にし続けている歴史問題を直視する必要がある。東京は、両国間の関係における長期的な戦略的見通しを考察し、根拠のない政治的発言をさけるべきである。三国間の防衛協力を強化するためには、東京とソウルは未決のGSOMIAとACSA 防衛協定を締結し、三国間軍事協約を継続していく必要がある。

東京は、地域フォーラムに関わり続け、特にインド、オーストラリア、フィリピンと台湾の民主パートナーと関与し続けていく必要がある。

新しい役割と任務の見直しにおいては、日本は地域の有事における自国の防衛と米国との共同防衛を含めることで責任の範囲を拡大する必要がある。同盟国には、日本の領域をはるかに超えて拡張した、より堅牢で、共有され、相互運用の可能な情報・監視・偵察(ISR) の能力と運用が必要である。

平時から緊張、危機、戦争状態まで、安全保障上のあらゆる事態において、米軍と自衛隊が日本国内で全面協力できるための法制化を、日本側の権限において責任もって行うべき。

ホルムズ海峡を閉鎖するというイランの言葉巧みな意思表示に対して、すぐさま日本はその地域に掃海艇を一方的に派遣すべきである。日本は、航行の自由を保証するために、米国と協力して南シナ海の監視も増やすべきである。

東京は、二国間の、もしくは国家の保安機密と極秘情報を保護するために、防衛省(MOD)の法的能力を強化すべきである。

PKOへのより充実した参加を可能にするためには、平和維持隊が必要に応じては武力で一般人や他の国際平和維持隊を保護することも含め、許容範囲を拡大することが必要である。

 ◇米日同盟に対する提言
福島の教訓を生かし、東京とワシントンは原子力エネルギー研究と開発協力を再活性化させ、安全な原子炉設計と、堅実な規制の実施を地球規模で促進させるべきである。

安全保障関係の一環として、米国と日本は天然資源同盟国であるべきである。日本と米国は、メタンハイドレートの研究と開発においての協力を強化し、代替エネルギー技術の開発に専念すべきである。

ワシントン、東京、ソウルは歴史問題についてのトラック2会談を増やし、このセンシティヴな問題に歩み寄る方法についての統一見解をもとめるべきである。そして、この会談で得られた提案や助言を施行出来るように、政界と政府のリーダーに提出すべきである。

この試みは、その難しい問題についての相互の交流において、最大限の努力をもって実践すべき規範と原理に基づいて、合意されなければならない。

同盟は中国の再興に対する能力と政策を発展させなければならない。平和で繁栄している中国から同盟が得られるものは非常に多いが、中国の高度経済成長と政治的安定に確実性はない。共同政策と能力には、中国の起こりうる核心的利益の拡大、弾道の変更、そして広範囲において起こりうる将来に対する適応性 がなければならない。

ビルマ(ミヤンマー)、カンボジア、ベトナムなどの、特に共同参加が国際人権法と市民社会の推進を促すことの出来る国への、人権における具体的行動 計画を打ち出すことは推奨すべき目標である。北朝鮮に関しては、韓国と連携して、非核化と拉致被害者の問題に加えて、食糧安全保障、災害救助、公衆衛生を 含む多岐にわたる人道問題に取り組むべきである。

米国と日本は、今日まで上層部からの注目を十分に受けることのなかったエアシーバトルやダイナミックディフェンスなどの概念を、役割分担、任務、能 力の協議を経て提携すべきである。新しい役割分担と任務の見直しは、同盟軍、政治的、経済的国力の包括的な組み合わさりと共に、地理的にもより広い範囲を 含めることが必要である。

米陸軍と海兵隊は、陸上自衛隊との相互運用性を高め、水陸両用作戦などで機敏であり、展開し易い軍体制の方向に発展していくべきである。

米国と日本は、民間空港の循環活用、トモダチ作戦で得た教訓の分析、水陸両用の軍事力を強化することによって共同訓練の質的向上を図るきである。 グァムと北マリアナ諸島、オーストラリアで行われる二国間防衛演習の質を向上させよ。もしくは他国のパートナーと行われる共同訓練機会を最大限に活用すべ きである。

米国と日本は、将来兵器の共同開発の機会を増やすべきである。短期的な軍備プログラムは、相互の利益と、作戦上の必要条件を満たす明確なプロジェクトを考慮すべきである。同盟は、共同開発のための長期的な運用必要条件も明確にすべきである。

米国と日本は(おそらく韓国も合同で)、同盟における米国の拡大抑止の信憑性と能力への信頼を確保するために、拡大抑止に関する対話を再活性化するべきである。

米国と日本は研究と一般情報の標準確立を実現化するための、共同サイバーセキュリティーセンターを設立すべきである。  

 ◇米国への提言
米国は資源ナショナリズムに陥ってはならないし、民間部門のLNG輸出計画を妨げてもならない。危機時には、米国は同盟国にコンスタントで安定した LNGの供給を施すべきである。議会は自動的なエネルギー認可と、日本を他の将来的に見込みのある天然ガス顧客と対等の基盤にのせるために、FTAの必須 条件を省く法律改正をおこなうべきである。

TPP交渉のリーダーシップの役割においては、米国は交渉の過程と協定の草案をもっと明らかにするべきである。日本のTPPへの参加は、米国の戦略的目標としてみなされるべきである。

米国は日本と韓国間のセンシティヴな歴史的問題に判断を示すべきではない。しかしながら、米国は二国間の緊張を緩和し、両国の核心的な国家安全保障利益に注意を向けるための外交努力に全力を尽くすべきである。

在日米軍は日本の防衛に特定の責任を任命されるべきである。米国はより重要な責任と使命感を在日米軍に割り当てる必要がある。

米国は「武器輸出3原則」の緩和を活用し、日本の防衛産業の技術を米国向け、さらには豪州などの同盟国向けに輸出促進することを勧奨すべきである。米国は自国の時代おくれで妨害にもなっている対外有償軍事援助(FMS)の過程を見直す必要がある。

米国は、共同研究と技術協力をさらに促進するために、政策中心の日米安全保障協議委員会の構築と共に、科学と技術のフォーラムをより良い方法で統一 し、活性化するべきである。また、タイムリーで戦略的な一貫した判断を保証するために、防衛販売の官僚機構を改良し合理化する働きかけが必要である。

・米国は大統領指名により、米日同盟円滑化の責任者を命じよ。日本もまた同様の配属を考慮するかもしれない。(以上和訳:原田尚子) (和訳監修:山崎淑子)

 ≫(IWJ:「『第3次アーミテージレポート』全文翻訳・完全注解?米国からの命令書」(後篇)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/56226


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コメント (1)

●安倍政権とは 国粋主義者の仮面をかぶった米国ポチの典型

2015年08月27日 | 日記
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●安倍政権とは 国粋主義者の仮面をかぶった米国ポチの典型

特に解説はいらないが、以下、IWJさんが「第3次アーミテージ・ナイレポート」を翻訳してくれている。この、脅しに等しいアメリカと云う国のWスタンダードで、唯我独尊にして、我田引水な報告書をじっくり読み込めば、現安倍政権は、幾ばくかの長州乞食サムライ的冗長な言動を除けば、戦勝国米国の走狗として、忠実に、その提言勧告の内容をなぞっているだけだと、非常によく理解出来る。翻訳文が長いので、皆様なりの、興味の度合いに応じて、読み飛ばすも、じっくり読むも、自由である。長文なので、前篇後篇の二部構成に。

ただ、安倍の名誉のために付け加えておけば、前政権の野田佳彦も、この提言に沿って、忠犬豚を演じていたのだから、同じ穴のムジナなのである。そして、霞が関官僚組織も、同衾ムジナである。多分、ファッションで彩ってはいるが、日本のマスメディアも同衾している。経済界などは、自由主義経済の中で、金融自由主義、資本主義のカラクリだけで、成長と云う言葉を頻繁に使いながら、実は停滞を隠しているに過ぎない。本当の経済成長がない故に、レーガノミクス、サッチャリズム以降、米英海洋覇権勢力では、トリクルダウンが起きない。仮に、成長が本物である場合には、幾ばくかでも、下々にしずくは滴り落ちてゆくものだ。ところで、他人事ながら、GPIFはどんだけ損金を出しているのだろう?怖いが知りたくもある(笑)。


≪ 2013/02/03 【IWJブログ】CSIS「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載(前篇)

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米日同盟 アジアに安定を定着させる
CSIS 国際戦略研究所
日本講座 
報告書
執筆者
リチャード・L・アーミテージ
ジョセフ・S・ナイ
2012年 夏

 ■目次
研究班 
参与者 研究班 
署名
はじめに           1
エネルギー安全保障      2
経済と貿易          6
近隣諸国との関係       7
新しい安全保障戦略に向けて  11
結論             15
提言             16
執筆者について        19

 ■はじめに
この日米同盟報告書は、日米関係が漂流している時期に発表される。日米両国の指導者たちが無数の他の課題に直面しているとき、世界で最も重要な同盟 の1つの健全性が危機に瀕しているのである。米国務次官補カート・キャンベルと、両政府内の彼の同僚たちによって、同盟の安定は大方保たれてきたが、同盟 地域内外における今日の課題と機会に対処するには、それ以上のことが必要である。日米双方は、中国の再台頭とそれに伴う不安定要素、核能力と敵対的意図を もつ北朝鮮、そしてアジアのダイナミズムの兆しに直面している。他にも、グローバル化した世界とますます複雑化する安全保障環境には多数の困難な課題が存 在する。このような今日の大問題に適切に対処するには、より強力でより平等な同盟が必要である。

上記のような同盟が存在するためには、米国と日本が一流国家の視点をもち、一流国家として振舞うことが必要であろう。我々の見解では、一流国家と は、経済力、軍事力、グローバルな視野、そして国際的な懸念に関して実証された指導力をもつ国家である。同盟の支援に関して米国側に改善点はあるが、米国 が一流国家であり続けることには寸分の疑いもない。しかしながら、日本には決定しなければならないことがある。つまり、日本は一流国家であり続けたいの か、 それとも二流国家に成り下がって構わないのか? 日本の国民と政府が二流のステータスに甘んじるなら、この報告書は不要であろう。この同盟に関する我々の評価と推奨事項は、日本が大きな貢献を果たせる世 界の舞台で完全なパートナーであることに依拠している。

我々は、今日の世界における日本の影響と役割を混乱させている諸問題を認識した上で、上記の質問を投げかけた。日本の人口は劇的に老齢化し、出生率 は低下している。日本の債務対GDP比は、200パーセントである。日本では、6年間に6人の首相が交代した。そして、多数の若い日本人の間に厭世観と内 向性が増大している。しかし、日本の重要性の低下は運命ではない。日本は、一流国家であり続ける十分な能力がある。要は日本がどのような傾向をもつかとい う問題にすぎない。

日本は多数の課題に直面しているが、日本の国力と影響力には、同様に多くの過小評価され十分に活用されていない側面が存在する。日本は世界第三位の 経済圏であり、中国の2倍の消費者セクターをもつ。日本は、改革と競争によって解き放たれる可能性のある巨大な経済的潜在力をもち続けている。自由貿易と 移民に対する開放性と女性の職場進出が増大すれば、日本の国内総生産(GDP)は著しく成長するだろう。日本のソフト・パワーも注目に値する。日本は、国 際的に尊敬される国としてトップ3にランクされ、「国家ブランド」としては世界第一位である。日本の自衛隊(JSDF)は、現在の日本で最も信頼されてい る機関であるが、時代錯誤の制約を軽減できれば、日本の安全保障と評判の向上により大きな役割を果たせる態勢にある。

日本は、世界の平穏な地域に位置する、取るに足りない国ではない。アジア太平洋地域の安定した戦略的平衡のための海の要、国連(UN)と国際通貨基 金(IMF)など主要多国籍機関に対する2番目に大きな貢献者、世界で最もダイナミックな半球のためにシーレーンをオープンに保つ米軍のホストとして、米 国とその他の国々は日本に頼っている。 ・日本が強い米国を必要とするに劣らず、米国は強い日本を必要とする。そして、この観点から、我々は日米同盟とそのスチュワードシップの問題を取り上げる。日本が米国と肩を並べ続けていくには、米国と共に前進する必要がある。日本は、今までアジアのリーダーであったが、今後もそうあり続けることができ るのである。

以下の報告は、日米同盟に関する超党派研究グループのメンバーの大多数の見解を示すものである。この報告では、特に、エネルギー、経済、世界貿易、 隣国との関係、そして安全保障に関する問題を取り上げる。これらの分野において、研究グループは、日本と米国に対して、短期および長期に渡る政策の推奨事 項を提言する。これらの推奨事項は、アジア太平洋地域およびそれ以外での平和、安定、繁栄のための力としての日米同盟を支えることを目的としている。

■エネルギー安全保障
◇原子力エネルギー 
2011年3月11日の悲劇は、未だ生々しい記憶であり、地震、津波、その後の炉心溶融によるすべての被害者に対し、謹んで哀悼の意を表明する。当 然ながら、福島の原子力災害は、原子力にとって大きな躓きの石となり、その影響は、日本全国だけでなく、世界中に波及した。英国や中国のように原子力拡張 計画を慎重に再開した国もあるが、ドイツのように原子力を段階的に全廃することを決定した国もある。

日本は、原子炉の徹底的な調査と原子力保安規定の改定を行なっている。原子力に対する一般市民の強い反対にも関わらず、野田佳彦首相の政府は、2基の原子炉の再稼動を開始した。さらなる再稼動は、安全性の確認と地元の合意に依存する。我々の見解では、このような状況において原子力発電を慎重に再開することは責任ある正しい措置である。

日本は、エネルギー効率の向上において非常に大きな進歩を遂げ、エネルギーの研究開発で世界的なリーダーとなっている。日本人は、エネルギー消費の 削減と、エネルギー効率に関する世界最高の基準の設定において、驚異的な国民的結束を発揮してきたが、近未来における原子力エネルギーの欠如は、日本に重 大な影響を及ぼすであろう。原子力発電所の再稼動なしでは、日本が2020年までに二酸化炭素 (CO2) 排出量を25パーセント削減する目標に向って有意義な進歩を遂げることは不可能であろう。原子力は、現在も将来も、排ガスのない基底負荷発電の唯一の実質的ソースとして残るであろう。環境省のデータによれば、日本の排出量は、原発再稼動なしでは、2020年までにせいぜい11パーセントしか削減できないが、再稼動できれば、20パーセント近くまで削減できるという。1原発を永久に停止した場合は、輸入した石油、天然ガス、石炭の消費量が増大するだろう。さらに、国のエネルギー政策に関する決定の延期は、エネルギーに依 存する重要な産業を日本から追い出しかねず、国家の生産性を脅かす可能性がある。

また、開発途上国は原子炉の建設を続けるので、日本の原発永久停止は、責任ある国際原子力開発を妨害することにもなるだろう。フクシマ以後一年以上 にわたって原子炉認可を中断していた(ただし、進行中のプロジェクトは中断しなかった)中国は、新規プロジェクトの国内建設を再開しつつあり、最終的には 重要な国際ベンダーとして台頭する可能性がある。中国が民生用原子力発電の世界的開発のメジャー・リーグでロシア、韓国、フランスに加わろうと計画してい るとき、世界が効率的で信頼性の高い安全な原子炉や原子力サービスから利益を得るためには、日本が遅れをとることはできない。

他方、米国としては、使用済核廃棄物の処理にまつわる不確実性をなくし、明確な許認可手続きを導入する必要がある。我々はフクシマから学習し、是正措置を導入する必要性を十分に認識しているが、原子力はエネルギー安全保障、経済成長、環境上のメリットなどの分野でまだ巨大な可能性を保持している。日 本と米国は、国内/国外の安全かつ信頼性の高い民生用原子力を推進する上で共通の政治的、商業的利益をもっている。東京とワシントンは、フクシマからの広 範な経験を生かしながら、この分野で同盟関係を活性化し、安全な原子炉の設計と健全な規制業務の普及を世界的に促進することにおいて指導的役割を再び演じ る必要がある。3.11の悲劇のために、経済と環境をこれ以上大きく衰退させてはならない。安全でクリーンな責任ある開発と利用によって、原子力は日本の 包括的な安全保障に欠かせない要素を構成する。そしてこの点において、原子力研究開発での日米の協力は不可欠である。  

 ◇天然ガス
天然ガスに関する最近の明るい進展により、たった数年前には誰も可能と思わなかった形で、二国間のエネルギー貿易がよみがえる可能性がある。アラス カとハワイ以外の48州で膨大なシェール・ガスが埋蔵されていることが発見され、米国は世界で最も急速に成長する天然ガス生産国となった。国際エネルギー 機関(IEA)によれば、2014年に計画されているパナマ運河の拡張により、世界の液化天然ガス(LNG)輸送船団の80パーセントがパナマ運河を使用 できるようになり、出荷コストが劇的に低下し、米国湾岸からのLNG輸出のアジアでの競争力が激増することになる。2

米本土におけるシェール・ガス革命とアラスカの豊富なガス埋蔵量は、日本と米国に相補的な機会を提供する。すなわち、 米国は2015年までにハワイとアラスカを除く48州からLNGの輸出を開始するはずであり、日本は世界最大のLNG輸入国であり続ける。1969年以 来、日本は比較的小量のLNGをアラスカから輸入してきたが、特に3.11を踏まえて、LNGの輸入先を増やして多様化する必要があり、LNG取引リンク の拡大に対する関心が高まっている。
 注1,2略

しかしながら、米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国、特に、そのFTAに国のガス処理に関する条項がない国へのLNG輸出を求める米国企業は、まず、米国エネルギー省(DOE)化石エネルギー局の認可を得る必要がある。FTAを締結した16か国は、DOEの輸出認可を受けるが(ただし、 その他の規制および認可要件も適用される)、これらの国のほとんどは主要LNG輸入国ではない。

日本のような非FTA締結国には、認可を与えることが米国の「公益」でないとDOEが結論しない限り、認可が与えられる。キーナイLNG基地は、ア ラスカから日本への輸出に対するDOE認可を日常的に受領していた。しかし、ハワイとアラスカを除く48州からのLNG輸出の将来性が浮上するにつれ、 DOEの認可プロセスは政治的に精査されつつある。DOEの非FTA認可を既にうけているサビン・パスLNGプロジェクトに加えて、ハワイとアラスカ以外 の48州でのLNGプロジェクトに対する8つの認可がDOEの承認を待っている。

環境または経済上の理由により、活動家たちがLNGの輸出に反対している。輸出によって、米国天然ガスの国内価格が上昇し、天然ガスに大きく依存し ている国内産業の競争力を弱めるという懸念が存在するのである。ブルッキングス研究所による最近の政策提言で、この申し立てに対する反論が行なわれた。将 来輸出される見込みのある分量は、米国の天然ガス全供給量と比較して少なく、国内価格への影響は最小限であり、産業用、住居用、その他の国内用としてガス 使用の伸びを妨げるものではない、と結論されている。3 LNG輸出を制限すると、米国シェール・ガスおよびLNG輸出プロジェクトへの投資が不必要に抑止される。

米国は、資源ナショナリズムに走るべきではなく、民間部門のLNG輸出計画を禁止すべきではない。米国の政策立案者は、これらの新資源に対する環境に責任を持つ開拓を促進しながら、輸出に対してオープンであり続けなければならない。さらに、日本の危機においては、米国は、すでに交渉済みの商業契約と 一般商業レートによる日本向けLNGの供給に支障がないことを保証し(ただし、大統領による国内向け国家非常事態宣言がない場合に限る)、コンスタントか つ安定した供給を確保すべきである。 安全保障体制の一環として、米国と日本は、軍事上の同盟だけでなく、天然資源に関しても同盟すべきである。この協力分野は、開発が不十分なままである。

また、米国は、日本へのLNG輸出を妨げている現在の法律を修正すべきである。米議会がFTA要件を削除して自動認可に切り替えれば理想的だが、そ れは米国と平和的関係にある国ならどの国に対するLNG輸出も国益であるという反証可能な推定を確立することになる。代わりに、米議会は、LNG輸出で は、日本をFTA締結国の1つと見なして、他の潜在顧客国と対等な立場に置くべきである。少なくとも、ホワイト・ハウスは、現在の法律下で認可を検討する 際に日本関係の輸出プロジェクトを全面的に支援し、優先すべきである。

正しい政策支援があれば、天然ガスは二国間貿易を活性化し、日本の米国への対外直接投資(FDI)を増大させることもできる。北米のガス供給量は膨 大であるが、見込まれるタンカー通行量の処理に必要な基地、港、陸上輸送システムが十分でないという懸念がある。4 大きなインフラ投資がなければ、米国のガス生産は成長できない。 これが、米天然ガスに関する法律を修正して、他のFTA顧客国家と対等の立場を日本に与えるための、もう1つの有力な理由である。
*注:3,4略

◇メタン・ハイドレート: エネルギー協力の強化に寄与する潜在的大転換の好機
二国間協力には、もう1つの有望だがより不確実な長期的領域としてメタン・ハイドレートがある。メタン・ハイドレートは、深く埋もれた氷の中に閉じ 込められた天然ガスの結晶である。経済的および技術的な大きなハードルを乗り越えられれば、メタン・ハイドレートの埋蔵量は、現在の在来型および非在来型 ガスの埋蔵量をはるかに上回るだろう。

日本の南中央域、沖合にあるメタン・ハイドレートの鉱床は、天然ガス国内消費量の10年分に当たると見積もられ、世界的には、現在実証されている天 然ガス埋蔵量の100倍をはるかに超える700,000兆立方フィートと概算されている。5 メタン・ハイドレートは、陸上および沖合いに広く分布し、特に極地と連邦大陸棚に存在する。6 専門家たちが予想するように、メタン・ハイドレートのほんの一部しか開発できない場合でも、それらの量は、現在の天然ガス埋蔵量の見積りをはるかに上回る可能性が高い。

日本と米国は、可能性のある大規模メタン・ハイドレート生産の研究開発で緊密に協力している。5月には、アラスカのノーススロープでの日米現地試験 で、CO2の圧入および隔離によるメタン・ハイドレートの抽出に成功し、エネルギー供給と環境の両面におけるメリットが実証された。結果として大規模なメ タン・ハイドレート生産にいたる変革の可能性を踏まえ、我々は、日米が費用効果の高い、環境に責任をもつメタン・ハイドレート生産の研究開発を加速するよ うに推奨する。米国と日本は、代替エネルギー技術の研究開発に全力を傾けるべきである。  

 ◇地球規模の石油、ならびにガス共有地/公有地の確保 
当分の間、世界経済は主として化石燃料に依存し、輸送の分野では石油がほとんど独占の状態が保たれるだろう。現在世界第三位の大規模石油輸入国であ る日本と米国は、世界規模の石油取引におけるシフトが世界の地政学を不安定にしたり、中東のエネルギー供給国へのアクセスやそれらの国々からの出荷を脅か さないようにすることに、ますます中核的な戦略上の利害を共有しつつある。カナダ、米国、ブラジルの石油産出量の上昇が他地域からの輸入に対する南北アメ リカの依存度を減らすかもしれないが、世界の石油市場における次の大きなシフトは、中東の生産国からますます豊かになりつつあるアジアの消費国への石油と ガスの輸出量が急上昇することである可能性が高い(ただし、中東のエネルギー消費の上昇も輸出量に影響するだろう)。将来の石油需給に関する現在の予測で は、ペルシャ湾は、今後40年間で、世界の石油供給において、かつてよりはるかに重要な役割を果たすであろう。ペルシャ湾は、LNGの重要な供給元でもあ り、カタールのラス・ラファン液化プラントが取引されるLNGの3分の1を供給する。

ペルシャ湾からのエネルギー供給に対する世界の依存度が高まり、ペルシャ湾からアジアへのエネルギー・フローが増大するにつれ、地球上の共有地/公 用地に広がる資源を確保することの重要性が増すであろう。日本の艦艇は、2009年にソマリア沖で海賊退治の作戦を開始した。さらに、3.11以降の発電 用石油需要の要件の上昇にも関わらず、日本は、2012年の最初の5か月でイランからの石油輸入を3分の1に減少させ、米国の制裁と歩調を合わせた。さら に、海賊行為/著作権侵害、ペルシャ湾からの出荷の保護、地域の平和に対する脅威(現在のイラン原子力プログラムによる脅威など)を除去するための戦闘を 行い、シーレーンの確保などにおいては、東京(日本政府)は多国籍軍との協力を強化する必要があるだろうし、それは歓迎されるであろう。 
*注:5,6略

 ■経済と貿易
2011年11月、野田首相は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入のための事前協議に日本が参加することを発表した。TTPは、完全に実現 すると、世界貿易の40パーセントを占め、大西洋から太平洋をまたいで少なくとも11か国が加入する。さらに、他の地域的なFTAとは異なり、TPPは、 包括的かつハイレベルな、法的拘束力をもつ自由貿易協定として際立っている。昨年の発表以来、日本のTPP加入への歩みは遅い。争点の幅広さや交渉関係者 の数のため、時間がかかり、細部への配慮も必要となる。しかし、交渉への参加を遅らせないことが、日本の経済安全保障上の利益になる。また、日本が最も重 要な同盟国とFTAを締結していないことは不条理であり、日本が交渉に参加することを我々は強く奨励する。米国側としては、交渉プロセスと協定案にもっと 光を当て、透明性を増すべきである。  

 ◇日米経済関係の活性化と確保
我々は、米日経済関係を強化し、確固たるものとするためにTPP討議に加え、骨太で革新的な多国間自由貿易協定を提案する。日本はメキシコとFTA があり、カナダとのFTAを拡大している。この2国は米国にとって最重要な貿易相手であり、世界最大のFTAであるNAFTA(包括的経済・エネルギー・ 安全保障協定)の参加者でもある。米国、日本、カナダ、メキシコがCEESAに加盟すれば、実質上は米日が、経済・安全保障・戦略的エネルギー関係を拡大、深化させることになる。日本には重大なエネルギー・安全保障上のニーズがあり、なおかつ投資するための資本がたっぷりある。日本は、国内での経済的損 失と人口統計上の挑戦(人口減少問題)による損失を補うために、海外投資による財務・金融リターンを増大・活性化する必要がある。他方、米国と北米の広域 には、天然ガス開発のチャンスがいっぱいあふれているというのに、開発のためのインフラ投資の資金難を抱えている。 CEESAには、次の3つの柱がある。 1.日本は、NAFTAとの連携協力を目指し、メキシコとの既存FTAと並んで、カナダと米国とのFTA交渉を行う。NAFTA加盟国の各国と共 に、日本はFTA(条約の)加盟[調印]国として、北米にあるエネルギーへの自由なアクセスを(拘束を受けずに)許可され、かつ、北米におけるインフラと 戦略的エネルギー投資機会を得るにあたって、有利な立場に置かれるだろう。 2.米国は、米日安全保障同盟の一部として、LNGガスと他の形状の“戦略的エネルギー”供給を、日本輸出用に保証することを誓約する。 3. 日本は1,000億ドルから2,000億ドルを、エネルギー開発を景気づける目的で北米に投資することを誓う。これには、天然ガス、石油、石炭、風力、太陽、次世代の核開発費が含まれる。

我々は、CEESAが現行の貿易政策の発展とは矛盾することなく、また、それ(現行の貿易政策)からの離脱を意味するものではないと信じる。日本 は、すでにメキシコとFTAを締結し、カナダとFTAを交渉する意図を発表した。したがって、次のステップは、日本の最も重要な同盟相手であり、最大の取 引および投資のパートナーである米国との交渉に向け邁進することである。カナダ、メキシコ、そして米国とのFTAは、日本の経済、エネルギー、および金融 の安全保障において、我々が思いつける他のどの手段より役立つだろう。これら3つのFTAは、日本のエネルギー供給を保護するだけでなく、米国、カナダ、 およびメキシコの農業製品への自由貿易アクセスも日本に付与し、結果として安定した食物供給を確保することになる。日本の農業人口は急速に減少しており、 日本の人口は老齢化し、農民の平均年齢は66歳を超えた。このような展望では、日本は農業貿易政策の調整を延期する余裕がない。すべての関係者が、持続不 能な防衛的貿易戦略ではなく、真の経済と食物の安全保障という観点で考察すれば、FTAを妨害する残りの農業障壁は容易に克服できる。大韓民国(ROK) が米国とのFTA交渉で成功できるなら、日本もできる。

CEESAに調印すれば、日本は、高度な工業化社会の急速に成長する部分と根本的に統合され、TPPによって具体化される先進経済と新興経済の架橋を支援し、世界最大の自由貿易圏を構築することで世界的な経済成長を促進することになる。 (以上和訳:斉藤みどる)


■近隣諸国との関係
 ◇米日韓関係を再興するために
日米同盟、ならびにこの地域の安定と繁栄のために極めて重要なのは、日米韓関係の強化である。この3国のアジアにおける民主主義同盟は、価値観と戦 略上の利害を共有するものである。日米韓政府はこのような関係を土台として、外交資源を出し合い、連帯して北朝鮮の核兵器開発を抑止すること、また中国の 再興(re-rise)に対応する最適な地域環境を整えるために助力することが必要である。

今後の国際的システムのルール作りに3国が共通して大きな関心を持っているのは、原子力エネルギーの分野である。核保有国の中で中国が台頭している ため、日韓両国のような世界市場で重要な役割を果たす同盟国にとって、原子力エネルギーの生産において適切な安全対策、拡散防止の手法、および高水準の透 明性を確保することが極めて重要になる。米国では、政策が定まらないこと、経済環境が不利に働いていること(天然ガスの価格下落を主因とする)、また米韓原子力協力協定(123 agreement)が更新されていないことが、原子力エネルギー・セクターの足かせとなっている。今こそ、世界の原子力発電の基準を策定するために、日 韓両国の政府がさらに大きな役割を担う絶好の機会である。現体制の将来を確かなものにするためには、日本が再び安全な原子力エネルギーに取り組むこと、そ して韓国が世界的な原子力エネルギー供給国として最高水準の透明性確保と拡散防止に取り組むことが不可欠になる。

国間協力のもうひとつの分野は、海外開発援助(ODA:overseas development assistance)である。米国は、現在日韓と戦略的な開発援助協定を結んでいる。開発に対する3国の考え方は類似しており、いずれも世界的な援助大 国である。韓国は、援助国支援の受益国から供与国への転換に世界で初めて成功した国である。今日の最大の被援助国は、日米両国にとって戦略上重要なアフガ ニスタンとベトナムである。現在韓国は、4000人規模の自国平和部隊を持ち、若者たちが世界中で開発と良い統治のプロジェクトに従事している。ビジョン と資金を出し合って協調的な取り決めを結び、世界中で戦略的開発を進めていくことが、同盟国3国の利益となるだろう。

米日韓は、価値観と経済的利害に加えて、安全保障問題も共有している。収斂されるべき核心は、3国が民主主義国家として無理ない同盟関係にあると仮 定されること。しかしながら、北朝鮮の核兵器開発を抑止し、また中国の再興に対処する最適な地域環境を整えるために大いに必要とされている3国間の協力 は、短期的な不和によって進展を妨げられている。

米国政府は、慎重な取扱いを要する歴史問題について判断を下す立場にないが、緊張を緩和し、再び同盟国の注意を国家の安全保障上の利害、および将来 に向けさせるべく、十分に外交的な努力を払わなければならない。同盟国がその潜在能力を十分に発揮するためには、日本が、韓国との関係を悪化させ続けてい る歴史問題に向き合うことが不可欠である。米国はこのような問題に関する感情と内政の複雑な力学について理解しているが、個人賠償を求める訴訟について審 理することを認める最近の韓国の大法院(最高裁)の判決、あるいは米国地方公務員に対して慰安婦の記念碑を建立しないよう働きかける日本政府のロビー活動 のような政治的な動きは、感情を刺激するばかりで、日韓の指導者や国民が共有し、行動の基準としなければならないより大きな戦略的優先事項に目が向かなく なるだけである。

日韓両国の政府は、現実的政策というレンズを通して2国間のつながりを見直すべきである。歴史的な反感は、どちらの国にとっても戦略上脅威となるも のではない。両民主主義国の間に構築された経済、政治、および安全保障上の関係を考えれば、両国がこうした問題を巡って戦争を始めることはない。しかしな がら、北朝鮮の好戦的態度、ならびに中国軍の規模、能力、および発言力が強まっていることは、両国にとって真の戦略的難題となっている。2010年以来、 韓国海軍の哨戒艦天安(Cheonan)の沈没、および延坪島(Yeonpyeong)砲撃事件など、通常兵器による挑発的軍事行動によって、北朝鮮の核 とミサイルが大きな脅威となってきている。さらに直近では、金正恩の長距離ミサイル実験および軍部との権力闘争は、北東アジアから平和を奪うものである。 同盟国は、根深い歴史的不和を蒸し返し、国家主義的な心情を内政目的に利用しようという誘惑に負けてはならない。3国は、別途非公式の場での活動を通じ て、歴史問題に取り組むべきである。現在そのような場がいくつか存在するが、参加国は、歴史問題についての共通の規範、原則、および対話に関する合意文書 に積極的に取り組むべきである。

2012年6月、日本の海上自衛隊と米韓の海軍が合同軍事演習を行ったことは、軋轢を招く歴史問題を棚上げし、より大きな今日の脅威に立ち向かおう とする正しい方向への一歩である。加えて、日韓両国政府が諜報活動から得られる北朝鮮に関する情報を系統的に共有できるようにする軍事情報包括保護協定 (GSOMIA)や、軍需品の共有を促進する物品役務相互提供協定(ACSA)といった懸案中の防衛協定を締結するために迅速に行動することは、同盟国3 国の安全保障上の利益に資する実務および事務レベルの軍事的取り決めと言うことができる。


◇中国の再興
過去30年の中国の経済力、軍事力、および政治的影響力の急速な伸びは、世界で最も人口の多い国を劇的に刷新してきただけでなく、東アジアの冷戦後 の地政学的環境を決定してきたことは明らかである。堅固な日米同盟は、決して中国の再興に対する制約となるわけではなく、安定的で予見可能な安全な環境の 提供に一役買うことによって、これに貢献してきたのであり、その環境の中で、中国は繁栄してきたのである。我々の同盟が中国の成功の一翼を担っているの だ。しかしながら、中国が新たに得た力をどのように利用するか、すなわち、既存の国際基準を強化するか、中国の国益に従ってこれを見直すか、あるいはその 両方であるかについて透明性を欠き、はっきりしないことが、ますます懸念されるところである。

特に心配な分野のひとつは、中国が中核とする権益の範囲を拡張する可能性があることである。新疆、チベットおよび台湾という公式に言及される3地域 に加えて、南シナ海および尖閣諸島が新たな権益として言及されるようになった。後者については非公式であり、宣言されているわけではないが、人民解放軍 (PLA)海軍が南シナ海および東シナ海で存在感を強めているため、我々の推論はあらぬ方向に導かれる。さらに、主権という共通するテーマから、尖閣諸島 および南シナ海における中国政府の意図に疑問が提起される。ひとつは疑う余地のないことだが、中国の中核とする権益の範囲が曖昧であることから、当該地域 の外交の信頼性がさらに低下することだ。

中国が急速に成長しつつある総合的な国力をどのように利用しようとする可能性があるか不確かであったため、対中戦略として、同盟国側は関与とヘッジ を組み合わせてきた。しかし、協調活動の地理的範囲の漸進的拡大、ミサイル防衛技術に関する共同作業、海上通信網の相互運用性、および維持に関連する任務 への十分な配慮、東南アジア諸国連合(ASEAN)などの地域機構を強化する取り組み、航行の自由への再注力、ならびに2011年12月の新たな日米印戦 略対話の開始といった中国の軍事力および政治的発言力の拡大に対する同盟国側のヘッジのほとんどの側面は、中国が引き続き高度経済成長の道を辿り、防衛費 および防衛力を同等に増強できるという仮定に基づくものだった。

この仮定は、もはや確かなものとはいえない。中国は1979年に小平が「改革開放」政策を実施して以来、30年以上が経っており、成長が減速しつ つあるという兆候が多数見られる。中国が輸出主導から国内消費主導型の経済に移行するかどうかについては、疑問がある。ここ数年のうちに、中国の指導者 は、エネルギーの制約、痛ましい環境悪化、厄介な人口問題、国民と地方の所得不均衡の拡大、新疆やチベットの少数民族の反乱、ならびに蔓延する公務員の汚 職という、少なくとも6つの悪に立ち向かわなければならない。そのうえ、経済の成功によって、中国の政治構造が、増加しつつある中間所得層から高まる期待 に応えるように並外れた圧力を受けることになるという「中間所得の罠」に対処する不確定要素も加わる。これらの難題はどれをとっても、中国の経済成長の道 を狂わせ、社会の安定を脅かす可能性がある。中国共産党(CCP)はこうした厄介な難題を認識しており、これを理由のひとつとして、中国指導者は2012 年に国内治安対策費を、おおむね防衛予算に匹敵する1200億ドルを超える規模に増額している。人民解放軍は、依然として、台湾の正式な独立を目指す動き を阻止することを含めて、外的脅威に対処する手段の開発に重点を置いている。しかし、中国共産党は、内なる脅威も等しく憂慮している。

中国が大きくつまずいた場合、同盟国側に提起されるおそれのある難題は、必ずしも軽微なものになるわけではない。質が異なるものになるというだけで ある。我々同盟国側は、中国の平和と繁栄から得るところが大きい。あるいは、中国指導者が深刻な国内の分裂に立ち向かう場合には、再び統一を取り戻そう と、現実のものであるか、想像上のものであるかにかかわらず、おそらく外的脅威を利用して、ナショナリズムに逃避しようとすることが考えられる。指導部が 秩序を維持するために、情け容赦のない手段に出て、既に起きている人権侵害を深刻化し、パートナーだった外国を離反させ、40年前にニクソンが始めて以 来、中国への西側の関与を牽引してきた政治的合意をないがしろにすることも考えられる。

またあるいは、中国の将来の指導者が、温家宝首相の提唱するような政治改革の新ラウンドに取り組めば、中国の内政と対外姿勢に異なる影響がもたらさ れる可能性もある。ひとつだけ確実なことは、同盟国側は、中国の軌道変更と幅広い将来の可能性に適応できるような能力と政策を開発しなければならないとい うことである。高度経済成長と動きのない政治権力は、将来の中国の新しい指導者が期待するものではない。我々は彼らの判断から情報を得る必要がある。  

◇人権と日米同盟:行動指針の策定
日米同盟に関する2012年4月30日の共同声明では、関係強化のための共通の価値観について次のように明示的言及がなされている。「日本と米国 は、民主主義、法の支配、開かれた社会、人権、人間の安全保障、自由で開かれた市場といった価値へのコミットメントを共有している。今日のグローバルな課 題に我々が共に取り組むに当たり、これらの価値がその指針となる」。この共同声明はさらに、その共通の価値観を次のように運用できるようにすることを誓約 する。「我々は、法の支配を推進し、人権を擁護するとともに、平和維持、紛争後の安定化、開発援助、組織犯罪と麻薬密売、感染症に関し、さらに協調してい くために、共に取り組んでいくことを誓う」。

人権については、さらに具体的な行動指針を策定することが、賞賛に値する目標であり、対象となる機会は多い。ビルマ(ミャンマー)において民主的改 革を進めることを、最優先とするべきである。日米は、民間部門の投資、外国の援助、および国際金融機関からの融資によって与えられる経済的レバレッジを活 用して、良い統治、法の支配、および人権に関する国際規範の厳守を促進するべきである。企業の社会的責任について最高水準の基準を設定すること、また少数 民族や政治的敵対勢力を含めて、ビルマのすべての利害関係者が意見を出し、ビルマの今後の経済に関与できるようにすることによって、日米両国政府は、残忍 な軍事独裁から真の議会制民主主義へと国を移行させるために働いているビルマの人々を支えることができる。国際人道法の推進および市民社会の保護に対する 誠実な取り組みによって導かれれば、同様の協調的活動がカンボジアやベトナムでも役に立つと考えられる。この2国は人権の歴史が浅い。米国は最近安全保障 面での協力を強化しており、日本は経済的および政治的に大きな利害関係を有している。

さらに日本に近い北朝鮮の問題は、難題である。北朝鮮政府の人権侵害は、十分な証拠書類があり、実にひどい状況にあるため、日米両国ともこれについ て声を上げてきた。しかし、米国は、従来から、北朝鮮における人権問題を非核化という「メイン・イベント」から注意をそらすものとみなしており、日本は、 主として、何年も前に北朝鮮に拉致された日本人の運命に重点を置いてきた。我々は、すべての拉致被害者について詳細な報告を求める日本の取り組みを支持す ることを再確認する。また、日米が、人権その他の問題に関する北朝鮮への効果的関与のためのより大きな戦略という文脈の中で、この問題に密接に協力するこ とを提言する。

北朝鮮と同盟国にとっての解決方法は、懸念の範囲を広げ、拉致や強制収容、政治および宗教の自由に関する厳しい制限だけでなく、食料安全保障や災害 救助、公衆衛生、教育、および文化交流を含めて、朝鮮半島におけるあらゆる人道上の問題に取り組むことである。朝鮮半島の非核化に関する6か国協議は事実 上中断されており、韓国政府その他の関係国が緊密に連携して、人道に重点を置いた指針をまとめれば、同盟国は、北朝鮮の新しい指導部が同国の将来を描く戦 略的環境を、再び整える機会を得られるだろう。(以上和訳:佐野 円)
続く(28日引用予定)
 ≫(IWJ:「『第3次アーミテージレポート』全文翻訳・完全注解?米国からの命令書」
*注:前篇 
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/56226 


日米同盟vs.中国・北朝鮮 (文春新書)
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●“中立国”になるのは至難だが 目指す価値と器量はある

2015年08月26日 | 日記
「昭和天皇実録」の謎を解く (文春新書)
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●“中立国”になるのは大変だが 目指す価値と器量はある

常日頃、日本人の愚民度ばかり書いて嘆いている筆者だが、今までの政治的発言をする日本人とは、相当異なるポジションで、自分たちの、思い通りの言葉を発した行動には、正直、目から鱗な面がある。その意味で、少々、自己反省もしている。昨日は、個人的には銭ゲバに変身する朝だったが、今回は完璧な相場観で、空売りの手じまいが出来た。中国発なのか、アベノミクス発なのか、そんなことはどうでも好く、三度目の正直でカラ売りが、ついに当たった。これで、二度の空売り損金を取り戻し、倍以上の釣りが来たんだから、世界同時株安様々である。ゆえに、余裕があるせいか、自己反省も素直に出来る。現金な中年男だなと、つくづく思う(笑)。

明治以降のエスタブリッシュメントなど云う近視眼な妄執人の言葉など、彼らの思考には、入らない。そこが、口惜しいや、凄くイイ。常々、生活感覚だけで生きている、日本の大人たちの感性と同一視していたきらいがあったのは事実だ。ただ、筆者も、ボランティア的立場で、某国立大学の学生連中と話す機会があるのだが、理論的に納得できる話、Aと云う質問にAと答える大人。時には、判らないことは、判らない大人を演じているが、彼らには、寸借のない感情の発露がある。自己本位であっても、最低限の民主主義のルールと、平和の価値を理解している。そこまでは、感覚的に理解していたが、自分たちの言葉で、自分たちの気持ちを行動に移せるとは、流石に思っていなかった。

アメリカの時代が今後も続くのなら、その国の支配に唯唯諾諾でも構わないだろうが、平和を壊して、“Show the flag”立場を鮮明になんて生易しい話ではなく、当方の覇権主義の先兵になれ!って言われているのだから、「嫌だよ」と云うのは、自然人として普通だ。彼らは、社会的立場での発言に拘泥せずに済むポジションがあるからとも言えるが、現実に行動している事は、驚きとしか言いようがない。このNHK包囲デモなどにもマスメディアの報道もなされ、マスメディア自体が、矛先を変えつつある。「アメリカにNOと言える日本」なんて、白々しい慎太郎語録があったが、相棒のSONYは今や凋落のシンボルだ。

自己利益、大きく言えば、先々の国益を考慮すれば、アメリカ一国主義の限界は完全に見えているのだから、次なる世界への展望を含めてこそ、日本の国益であり、日本人の正常な立ち位置だと言えるだろう。その展望に先鞭をつけるべき言論人やマスメディアは、こぞって米国依存か、隷米主義者なのだから、アメリカとの距離を議論する情報は、ニッチな新書やネット社会でかろうじて息づいているだけだ。誰が考えても、首都東京の上空が、他国(アメリカ軍)の「横田管制」が空域を管理しているなんて冗談がある筈もない。この制空領域は議事堂も最高裁判所も官邸も入っているのだから、バッカジャないのか。

それでも飽き足らず、自国の国債を永遠に買い続けろ、売ったら殺すぞ!その上さらに、中国包囲網の先兵になれ。“Show the flag”だと脅され続けているのだから、ヘタレ国家、国民と言われても不思議なことではない。しかし、日本人は、かなり安倍晋三のお陰で、政治への無関心は、知らずに“屠殺場”行のバスに乗ってしまうことを、若い世代の人が感じてくれている事は心強い。何も、アメリカから離れて、中国にシッポを振ろうって話ではない。自分の国のことは、自分たちで考えて決めたい。極めて単純な正義だ。中国やBRICSの生き方、ASEANの人々の生き方、そう云うものに、もう少し目を向ければ、沖縄のことも理解出来るし、共感できる。今だけが生きていく時ではない。日本と云う国は、永遠に続くのだから。最後に、内田樹氏のコラムを引用しておく。


 ≪ 8月23日SEALDsKANSAI京都でのスピーチ
 8月23日(日)15:30から京都円山公園で開催されたSEALDs KANSAIの集会で「安全保障関連法案に反対する学者の会」を代表して連帯の挨拶を述べた。
 ふだんは即興でやるのだが、この日は少し長めの時間をもらったので、原稿を作っていった。それをだいたい頭に入れて話した。現場でした話と細かいところは違うけれど、だいたいこういう話。
 安全保障関連法案に反対する学者の会を代表して、ひとことご挨拶を申し上げます。
 この円山公園での「戦争法案に反対する若者の全国一斉行動」にお集まりくださったすべてのみなさんに学者の会を代表して、感謝と連帯の気持ちを表したいと思います。
 そして、この間、一貫して忍耐強い、手作りの反対運動を全国規模で展開し、現に行われている国会審議にも強い影響力を及ぼし、さらに国内だけでなく、海外メディアからも注目されるに至ったSEALDs の学生諸君の献身的な活動に対しても、心からの敬意を表したいと思います。
 みなさんのご努力のおかげで、安保法制に対する反対の運動は、国民的な規模の 「うねり」にまで高まりつつあります。
 僕が知る限り、過去にこれほど大きな規模の、国民的な政府への異議申し立ての運動が、いかなる既成の政治勢力や政治組織とも無関係に、自発的に、自分たち の手作りで、無名の学生たちがひとりひとりの個人的な発意に基づいて、文字通り「身銭を切って」創り出したことはありません。
 戦後70年をふりかえっても、このような運動のかたちははじめてのことではないかと思います。
  SEALDsのこの運動のかたちは、戦後70年にわたる平和主義と立憲デモクラシーの蓄積という土壌からはじめて生まれた「地場の平和主義、自前の立憲デモクラシー」のかたちだと僕は評価しています。
  日本の平和主義と立憲デモクラシーは、残念ながら、戦後日本人が手作りしてきたものではありません。敗戦国として、戦勝国アメリカに「与えられた」もので す。ですから、それを「押しつけられた政治体制」だと言い張る人たちがつねにいた。そして、それがついには日本の政官財メディアの世界、それらの世界の指 導層の中での支配的な意見になるに至った。
 安倍政権を支持し、安保法制の整備に賛成し、自衛隊の海外派兵を国威の発揚のチャンスであり、また絶好のビジネスチャンスであると信じている人たちが、いまの日本の指導層を形成しています。政界、財界、官界、メディアにおいては、すでに多くの領域で「戦争をしたがる人たち、戦争をするためには、平和憲法が最大の妨害であり、立憲デモクラシーという政体が非効率だと思っている人たち」がトップに立っています。
 みなさんは、そのような否定的な状況の中から立ち上がった。
 僕が一番うれしく思うのは、そのことです。
 みなさんが語る言葉は政治の言葉ではなく、日常のことば、ふつうの生活実感に裏づけられた、リアルな言葉です。 その「ふつうの言葉」で平和主義と立憲デモクラシーが語られている。
 これまで、ひとまえで「政治的に正しい言葉」を語る人たちにはつねに、ある種の堅苦しさがありました。なにか、外来の、あるいは上位の「正しい理論」や「正しい政治的立場」を呼び出してきて、それを後ろ盾にして語るということがありました。
  でも、SEALDsのみなさんの語る言葉には、そういうところがない。自分たちとは違う、もっと「偉い人の言葉」や「もっと権威のある立場」に頼るところがない。
 自分たちがふだん学生生活や家庭生活のなかでふつうに口にしている言葉、ふつうに使っているロジック、それにもとづいてものごとの正否を判断している常識、そういう「手元にある道具」を使って、自分たちの政治的意見を述べている。こういう言葉づかいで政治について語る若者が出現したのは、戦後日本 においてははじめてのことだと思います。
 僕が学生時代に経験した政治闘争から学んだことのひとつは、政治闘争は「持続」しなければならないということでした。いっときの高揚感や興奮によって、夢中になって、寝食を忘れて、家族との語らいも、友だちとの付き合いも、大学での勉強や、日々のふつうの学生生活を犠牲にして行う政治活動は長続きしない。 持続できない運動は弱い。そのことを僕はかつて学びました。
  そのときに得た教訓は「自分が日常的に、何の気負いもなく語れるような政治的意見でなければ、どんなときにも、どんな抑圧や規制にも耐えて、持ち続けることはできない」ということでした。
 それこそ、朝起きて歯を磨いて、顔を洗って、ご飯を食べて、というような日常的なルーティンのなかに組み込まれて、自分にとってごく自然で、当たり前のもの、呼吸するように自然に口から出てくるような言葉だけが、どのように歴史的条件が変わっても、風雪に耐えて語り続けられる。
 「呼吸するように語る言葉」とは「それを口にすることを止めたら自分自身が死んでしまう言葉」だからです。 SEALDsのみなさんのスピーチを聴いて、僕が感じたのは、この人たちはどんな局面でも、どんな人を相手にしても、今ここで言った言葉をそのままきちんと繰り返すことができるだろうということです。
 それは彼らにとっての「自然な言葉」「深く身体の中にしみこんだ言葉」「身体の奥底からにじみ出てくる言葉」だからです。
 そのような言葉づかいで戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーを擁護し、顕彰する言葉が語られる時代が来たことを、日本人のひとりとしてほんとうにうれしく思います。
 僕たちは安倍政権の登場、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして、戦争法案の強行採決衆院通過というかたちで、この2年間戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーが破壊され、踏みにじられ、否定される現場に立ち合ってきました。
 それは平和主義と立憲デモクラシーの敗北、その失敗を示すものでした。
 しかし、それと同時に、SEALDsの運動は平和主義と立憲デモクラシーが、この日本の土壌深くに根づき、こうしてみごとに開花したことを知る機会を提供してもくれました。
 これは戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーの堂々たる勝利と成功のしるしだと僕は思っています。
  つまり、僕たちはいま、2015年の夏に、戦争法案の参院審議のさなかにあって、日本の平和主義と立憲デモクラシーの「死」と「再生」の劇に立ち合っているということです。
 法案が廃案になれば、それは平和主義と立憲デモクラシーの勝利です。決定的な勝利です。日本に外から「押しつけられた」と言われてきた 平和憲法の理念が、ついに日本人自身によって選びとられ、その理念を自分のものとして語ることのできる「身体」を持ったということです。
 それが事実なら、これは私たち日本人にとって戦後政治史上最大の勝利となるはずのものです。
 そのような決定的瞬間に歴史的瞬間に、いま僕たちは立ち合っています。
 今日この場に参加したすべてのみなさんが、あと何年かしたあと、「2015年の夏に、日本は決定的な岐路にたっていた。そのとき、私は歴史の方向を変える運動に身を以て参加していた」と誇りを持って回想できることを願っています。 ありがとうございました。  ≫(内田樹の研究室より) http://blog.tatsuru.com/


日本教の聖者・西郷隆盛と天皇制社会主義 ?版籍奉還から満鮮経略への道― (落合秘史)
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●世界経済が完全崩落過程に突入 アベノミクスなど糞だよな

2015年08月25日 | 日記
里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)
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KADOKAWA/角川書店


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●世界経済が完全崩落過程に突入 アベノミクスなど糞だよな

本日は、金儲け(相場下落と売りの確定作業)で多忙なため、コラムは、まあ書いている暇はない。安倍政権による官製相場で、日銀の貸借対照表は悲劇的傷つくことになるだろう。日本銀行が赤字になるなど、誰が想像するだろうか。為替も急激な円高に振れ、為替差益で良い思いしていた連中も、ツケを払うことになる。企業は夏のボーナス返せとも言えないので、この冬以降の賞与から天引きする気になっている。

まあ、一部の大企業の社員連中が、少し甘い蜜を吸ったわけだが、夏の世の夢と云うことだ。大企業から零細企業まで、労働者が公平に不幸であることは、必ずしも悪いことではない。格差の是正に、政府の関係ない世界で是正されるのだから、健全な経済効果だ。NY市場が1,000ドル以上の暴落を記録した後、買戻し勢力が130ドル安まで買い上がったが、日本時間4時20分現在、500ドル安になっている。終値如何では(おそらく600ドル安見当)、東京市場も更なる下落に見舞われるのだろうが、そろそろ売り玉の整理に入った方が利巧なようだ。まだ、儲けが先のように思われるが、細川護熙ではない、腹七分目で人間は満腹感を憶える習性を身につけねばならない。

残った利益は、まだ一滴も儲けを知らない人々に広く薄くでも、行きわたる邪魔をすべきではない。世界金融セクターと云うモンスター等には、腹七分目と云う倫理がない。己らの、力量が落ち、世界をリードしていく力を失ったにも関わらず、その地位に拘泥している、米英海洋覇権組である。老いた象が、群れから気づかれずに去っていき、一頭で死に場所を探すような、動物的「徳」すらもないのがアメリカだ。まさに、浅知恵が次々浮かぶお国柄だ。歴信のない国も困ったものだ。その上、腕力は抜群だと云うので、ドラえもんのジャイアンのようになっている(笑)。

地方知事選では埼玉、岩手と自民党は「安保法制」を抱えて、不戦敗の連続。日増しに恒例行事のようになってきた「安倍やめろ!デモ」の不戦勝状態。8月30日には、警視庁警備の行き過ぎが、怪我人を出してしまうリスクを孕んできている。もう、そうなると、平和なデモの変身さえある。平和なデモを混乱のデモに変えると云う現実を、警察が引き出す。天安門事件は、デモ学生側にも暴力性があったわけだが、今回の恒常的「安倍やめろ!デモ」に暴力性は皆無だ。その時は、安倍の終わりだけでは済まない。自民党、公明党の終わりが見えてくる。

さて、明日の8時には、PC首っ引きで、売り清算のタイミングを見出さねばならない。それでは、皆さんおやすみなさい。まあ、安倍は相場関連の人間には、良いネタオジサンではある(笑)。ありゃ、4時50分、NY市場は660ドル安だ!サーキットブレーカーシステムが働いてこの暴落。制御がなければ、2000ドルは下げていたかも?

2020年マンション大崩壊 (文春新書)
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●米英海洋覇権の世界戦略 中露ユーラシア大陸覇権を殲滅せよ

2015年08月24日 | 日記
金融暴落から戦争に突入する日本国
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●米英海洋覇権の世界戦略 中露ユーラシア大陸覇権を殲滅せよ

以下の堀田氏のコラムでは「米保守派の本音」と位置づけている外交問題評議会CFRだが、歴史的経緯から読み解くに、米英の覇権維持における戦略決定過程を検討する、米英海洋覇権国共同体の世界戦略に携わるシンクタンクと位置づけて考えておく方が妥当だろう。単に、アメリカ保守派の考えだけを代表するわけではなく、新自由主義な金融セクター勢力も構成員として重要な地位を占めており、米英同盟の核心を決定するのに関与している基地局と考えるのが妥当だ。

このような英米覇権同盟に、日本が組み込まれるプロセスが、アーミテージ・ナイレポートに示された内容であり、敢えて、日本へのリップサービスを忘れていないところが曲者だ。要するに、未来永劫、米英覇権が世界に君臨するものと考えるか否かと云う、選択の問題だ。CFRの考え方に与したというか、呑み込まれたのが、冗談のような国家主義者安倍晋三政権と云うことだ。おそらく、安倍でなくても、石破でも、野田でも、菅(民主党)でも、アメリカに対する隷属は変わらなかっただろう。

最近の政権であれば鳩山政権の場合なら、激しくこの考えに抵抗しただろう。東アジア共同体構想が、どれほど、彼ら米英にとって気に食わぬものであったか、十二分に理解できるわけだ。まあ、今さら死んだ子の歳を数えても意味はない。最も問題なのは、単に、同盟国日本やアジアの友好国は大切だと主張しているが、その親切を真に受けるのは、おバカなだけだろう。自衛隊を強化して、どうするのだ?それが問題だ。ただ、MD構想を万端なく取り入れるだけで済む話ではない。

東シナ海なんて問題より、南シナ海では、今すぐでも戦闘が起きる危険を孕んでいる。アフリカにPKOと云う美辞麗句で派遣された自衛隊員が、現実には反政府ゲリラ(ホンマ者の戦闘部隊)やアルカイダ戦闘員と火花を散らすのは、あまりにも自明だ。そして、いつでも戦端を開く状況は整っている。誰が、中露と云う、将来的な覇権勢力の前進を阻止するのか?その時、先兵化させられる名誉の地位が、日本の自衛隊と云う組織に割り当てられるのは、ほぼ世界戦略上の流れだと理解出来る。朝鮮半島有事も、この流れの中にあるとなると、日米韓の軍事連携はどうなるのだろう?まだ、安保法案は通過してないが、実戦先行なんてのは勘弁願いたいね。幾分、荒唐無稽な話のように思われるだろうが、そう云うことだ。

 最後になるが、日本人の選択は、何も「米英現行覇権永続論」と「中露ユーラシア覇権発生」の二者択一と云う訳ではないことを肝に銘じておく必要があることだ。その意味において、その二者の覇権勢力のどちらかに与して、丁半博打をしない知恵はないものか、そこを探るのが、日本人の、戦後における、最大の選択なのだと思う。この選択を通じて、エコノミックアニマル、生活主義者から、一歩抜け出し、政治を議論する国民が醸成されるなら、この悪しき安倍政権が存在し、日本に最大の功績をしたことになる。皮肉なものだよね、この世は(笑)。


≪ 米国保守派の本音?「やはり中国をやっつけるしかない」
【アメリカの今を読む:堀田佳男】
 米国の有名シンクタンクが4月、「米保守派の本音」と呼べるほど強硬な“対中政策”に関する報告書を発表した。
 まず核心と言える部分を抜粋するので、お読みいただきたい。「中国はアジア地域で米国の力を試そうとしている。米国は、そうした抵抗勢力と戦わなくてはいけない。そして彼らを打ち負かすための戦略を練り上げなくてはいけない」。
 打ち負かす(defeat)を口語訳すれば「やっつける」となる。このような表現が全70ページの中で7回も使われている。米国と同盟関係にある 日本に対して使うことはない。つまり、中国と既存の協調路線を模索する一方で、最終的には「やっつけるしかない」という考え方を表している。
 この報告書のタイトルは『中国に対する国家戦略の変更』。発表したのは外交問題評議会(CFR)というシンクタンクだ。CFRは1921年にニューヨークに設立された非営利団体で、主に米国の外交政策について提言している。
 CFRは世界的に広く読まれている隔月雑誌『フォーリン・アフェアーズ』の発行元としても知られる。旧ソ連の封じ込めを説いたジョージ・F・ケナ ン氏の「X論文」や、サミュエル・P・ハンチントン氏の「文明の衝突」など、米国の外交政策に大きな影響を与えた論文を掲載してきた実績を持つ。

■対中強硬+反オバマの考えと
 今回の報告書は中国を刺激する内容で、「あおっている」と呼んでも差し支えない。同評議会の代表であるリチャード・ハース氏は「中国との協調というこれまでの路線は、これから、『戦略的で過激な競争相手』と対峙する路線に置き換えられていくだろう」と述べている。
 同氏は同時に、「すべての人が報告書の内容に賛同するわけではないことは分っている」とも発言している。つまり、米国の中でも対中強硬派の考えとしてこの報告書を理解すべきということだ。
  CFRは特定の政党に肩入れしているわけではないが、思想的には共和党保守に近いと見なして差しつかえない。このため報告書では、バラク・オバマ 政権への批判も述べている。例えばこんな下りがある。「オバマ政権は中国の安全保障戦略を十分に理解していないようだ。確実に米国の利害と力を削ごうとしている。大統領は現実をそしゃくできていないのではないか」。
 さまざまな政治的立場がある米国で、中国をやっつけるべきという政治信条を持ち、オバマ政権を批判する一派がいるということである。
 冒頭の段落に次の内容がある。「米国は歴史上、ライバル国との競争に勝つために国家戦略を追求してきた。最初は北米大陸を掌握するため。次に西半 球、最終的には世界を牛耳るためだった。(中略)米国にとって中国の経済的、軍事的拡大は間違いなく国家的な危機であり、それを阻止するためには現在の対中政策を変更しなくてはいけない」。
 近年、経済力と軍事力をつけてきた中国に対し、真っ向勝負を挑まなくてはいけないと提唱する。オバマ政権の対中協調路線は「手ぬるい」というのだ。

 ■米国の東部エスタブリッシュメントが賛同
 ジャーナリストで歴史家のエリック・ジュッセ氏は同報告書をこう評している。「この報告書は、米国の特権階級が中国に対して宣戦布告したようなも のです。しかも報告書の基本的な内容は、中国がアジアで覇権を獲得しつつあることを表したものです」。中国への宣戦布告という表現は過激である。もちろん軍事的に交戦することを米政府に勧めているわけではない。
 米国はこれまで中国に対して、国際ルールを順守する「責任あるステークホールダー(利害関係者)」になることを期待してきたと言われてきた。だが、この報告書は米国の思い通りに動かない中国にいら立ち、協調は限界点に近づいたと捉えている。
 さらにジュッセ氏によると、ウォールストリートの金融関係者を中心とする財界人の多くがこの報告書の主旨に賛同しているという。いわゆる米東部エスタブリッシュメントと呼ばれる知識層が、中国を脅威として認識し、米国は対中強硬策に出るべきと考えているわけだ。報告書の冒頭の文章から、米国は「最終的には世界を牛耳る」ということが、特定の人たちの間で暗黙のうちに了解されていることが分かる。

 ■「日本ほど重要な国はない」
 報告書はまた、アジアの安全保障問題も論じている。「日本ほど重要な国はない」「米国は日本という重要な同盟パートナーを引き続き支援すべきだ」と述べている。日米両国が防衛協力を強化して、地域の安定に努めることが重要という現実的な指摘をする。以下が論旨だ。
 「アジア地域全体を対象として、日本との安全保障関係を実質的に強化すべき」
 「日本の自衛隊のさらなる増強を支援していく」
 「防衛省との密接な対話を通して、エア・シーバトル(空海戦闘)における自衛隊の役割、目的、能力を確認、向上させていくべきだ」
 日本にとって重要な案件である尖閣諸島での有事にも触れている。「日米安全保障条約の下、日本は米国のアンブレラ(傘)の下で十分に守られている事実を日本側にこれまで以上に発信していく」。
 また報告書は、日米の2国間関係の絆がどれほど強いのか、日米同盟が有事の際に本当に力を発揮するかどうかを中国が探っていると書く。報告書は、日本が米国の軍事力に依存するのと同様に、実は米国も日本の経済的、軍事的なサポートを極めて重視していると説く。
 「米国は同盟国や友好国の持続的な支援なしに、アジアで国益を守ることはできない。そのため中国は、米国が維持する2国間関係を崩そうしてきている」。報告書は、これに対抗するため日米両国の関係を強化しなくてはならないと結んでいる。
 前出のジュッセ氏は米保守派の心中を見透かしたように述べる。「米国は旧ソ連との冷戦に勝ったことで、帝国主義的な優位性を誇っています。それは米社会の特権階級が勝った勢いに乗って今でも社会を仕切っているということなのです」。
 この報告書が提示する視点に則って世界を眺めると、中国は邪魔者であり異物でしかないのかもしれない。だが共和党保守派が報告書にある通りに世界を動かせるわけではないし、オバマ政権の後に共和党政権が誕生するかどうも分からない。
 この報告書は、あくまでCFRというシンクタンクのものである点を最後に記しておく。  ≫(日経ビジネス:政治・経済―アメリカの今を読む・堀田佳男)


*参考知識

 ■外交問題評議会

*外交問題評議会(Council on Foreign Relations)は、アメリカ合衆国のシンクタンクを含む超党派組織。略称はCFR。 ・1921年に設立され、外交問題・世界情勢を分析・研究する非営利の会員制組織であり、アメリカの対外政策決定に対して著しい影響力を持つと言われている。超党派の組織であり、外交誌『フォーリン・アフェアーズ』の刊行などで知られる。本部所在地はニューヨーク。会員はアメリカ政府関係者、公的機関、議会、国際金融機関、大企業、大学、コンサルティング・ファーム等に多数存在する。知名度が高く、影響力が大きいことで知られる。
  評議会員の主張の多くは、外交問題評議会の「凝縮された政策提言」への叩き台に使われるケースが多いとする意見がある。また、『フォーリン・アフェアーズ』には米国の重要な外交案件が示されるとする意見がある。

*活動
 外交問題評議会の設立目的は「アメリカに影響を与えうる国際問題についての会議を継続的に行なう」とされた。現状分析と共に、国民世論の啓発に主眼が置かれたことが特色であり、この方針は現在でも継続されている。
 「議論においては特にメンバー間のコンセンサスを求めない」とはしているものの、穏健派的・国際主義的な論調が多いのが特徴と言える。このような性格のため、ウィリアム・ボラーなどの孤立主義者の参加をめぐり、会内で激しい抵抗が生じたこともあった。
  外交問題評議会は当初は「研究グループ(Study Group)」「討論グループ(Discussion Group)」の二つのプログラムから構成された。のちに組織外の議論も啓発するべく、1922年9月には『フォーリン・アフェアーズ』誌が刊行されている。著名人を招待した講演会もたびたび企画され、同年秋にジョルジュ・クレマンソー元仏首相が招待されたことを皮切りに、継続的になされることとなった。1937年からは地方で国際問題を討議するフォーラムとして、「外交問題委員会(Commitee on Foreign Relations)」が組織され、現在は約四十都市に展開されている。
  第二次世界大戦中には国務省からの依頼を受け、「戦争と平和」研究プロジェクトと題された長期研究プロジェクトを組織、戦争の推移、および戦後秩序に関する調査研究を四つのグループで実施し、約700のメモランダムを作成・提出した。このときの調査メンバーの一部は後にサンフランシスコ講和会議にも出席している。戦後の復興期も各種の研究プロジェクトを設置し、『フォーリン・アフェアーズ』誌でも活発な議論を展開した。この時期の研究は戦後体制構築に知的な影響を与えたとされる。代表的なものとして、ジョージ・ケナンによる論文「ソ連の行動の源泉(X論文)」がある。同論文は『フォーリン・アフェアーズ』誌1947年7月号に掲載された。
  また、1950年代には核戦略に関する研究プロジェクトを実施、当時のアイゼンハワー政権が提唱した「大量報復戦略」を批判し、核兵器・通常兵器を柔軟に運用する「制限戦争」を提言する調査報告をまとめた。この調査報告のとりまとめ役となった会員・ハーヴァード大学教授のヘンリー・キッシンジャーは『核兵器と外交政策』という題名の著書としてこの報告を発表し、同書は全米でベストセラーになるとともに、キッシンジャー自身の知名度も高めることとなった。なお、「大量報復戦略」をはじめて公言したジョン・フォスター・ダレス国務長官の演説もまた、1954年1月1日に外交問題評議会においてなされたものだった。
  現在も約50名ほどの研究員を有しており、複数の研究プロジェクトを実施している。日本でも良く知られているマイケル・グリーン (政治学者)は元上席研究員である。また、『フォーリン・アフェアーズ』誌は米国および諸外国の主要政治家が外交ビジョンを発表する場として重要視されており、2008年の大統領選挙でも候補者として名が取りざたされたバラック・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョン・マケイン、ジョン・エドワーズ、ミット・ロムニーのいずれもが論文を寄せており、その影響力は無視できないとされる。

*財源
  資金源は会員会費、出版物収入、個人、財団などからの寄付などからなり、米国および他国政府からの金銭的補助を受けていない。現在の収入は企業会員からの会費が中心となっている。

*会員

 関係者 名誉会長はデイヴィッド・ロックフェラー。会長はリチャード・ハース(前国務省政策企画局長)。理事長はピーター・G・ピーターソン(元商務長官、ブラックストーン・グループ会長)。
  2007年11月11日、ハースはCFRジャパン・プログラムのシンポジウム出席のため他のパネリストと共に来日している。
 ピーターソンはソニーの企業買収仲介(コロンビア映画等)でも知られている。リーマン・ブラザーズ・クーン・ローブ会長職にあったが、ギリシャ系の人物であり、長いギリシャ風の姓(Petropoulos)を英語で通りの良い北欧系の姓に変えていると言う。
  会員数は約4000名であり、企業会員も多い。創立当初からの著名な会員として、ウォルター・リップマンやジョン・フォスター・ダレス(アイゼンハワー政権国務長官)、その弟でCIA長官を務めたアレン・ダレスなどがいる。社交クラブにユダヤ系アメリカ人の入会が認められていなかった頃より、かれらにその門戸を開いていたことでも知られている。
  世界には、華麗な「雲上人脈」が形成されており、その人脈の基盤はキリスト教である。 ロックフェラー家はキリスト教徒(バプテスト教会)。アメリカは、ブルー・ブラッド(Blue blood)、ビジネス・クラス(Business Class、大企業経営陣、高級官僚)、ミドル・クラス(Middle Class、大企業管理職層、自営業者、専門職)、ワーカー(Worker、残り全て)の4つの階層(階級)から成り立つと言う。
  「アメリカ政府中枢の外交問題評議会メンバー」の小項目にある通り、創立以来アメリカ政界にも会員は多く、ヒラリー・クリントンやジョン・マケインも会員を公言している。ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスも会員として知られる。
 2008年3月31日、バラック・オバマは会員ではないと発言している。
  日本における会員・関係者としては、佐藤栄作首相の「密使」として知られる若泉敬や、長島昭久(上席研究員を経験)、International Advisory Board(IAB、国際諮問委員会)のメンバーには行天豊雄(元財務官)、小林陽太郎(三極委員会太平洋アジアグループ委員長)、緒方貞子(元国連難民高等弁務官)らがいる。また、橋本龍太郎は1996年9月24日、外交問題評議会(ニューヨーク)において講演を行った。

*財閥との関係

  イギリスの王立国際問題研究所はイギリスの勢力圏内に秘密結社として多数の円卓会議を結成して謀略活動に当たらせた。欧米各地の円卓会議のネットワークは、ロックフェラー、ロスチャイルド、モルガン商会、カーネギーなど当時の財閥を結びつける役割も果たした。
  ニューヨークの外交問題評議会本部ビルはロックフェラー財閥関係者から寄付された。 (※1945年以来使用されているハロルド・プラット・ハウスは、スタンダード石油の重役で会員だったハロルド・I・プラットの未亡人から寄贈されたものである。ジョン・ロックフェラー2世はこの邸宅の改装資金の寄付金集めに尽力している。)
  外交問題評議会のメンバーと、ロックフェラー財閥とモルガン財閥は、政府や有名大学、マスコミを支配して国際主義を浸透させるために、アメリカの伝統的文化基盤を徹底的に破壊した。

*容共主義
  設立者のハウス大佐は、国際社会主義思想のシンパだった。
  サンフランシスコ講和会議には実に74名におよぶCFRメンバーがアメリカの人員として参加して、ロックフェラー財閥およびモルガン財閥の意思を代弁して、ソビエト支援のプロパガンダを行った。
  第二次世界大戦後の共産圏の急拡大は、外交問題評議会が積極的に推進した。その目的はアメリカ、ソ連をそれぞれ中心とする冷戦体制の構築であり、世界分割だった。外交問題評議会の政策により、7億人がソビエト陣営に「売り渡された」。中国の国共内戦の際には、国務省内の会員が中国共産党を支援する政策を実施した。
(※冷戦初期の米国外交が「容共的」だったことから、東欧や中国を失ったとする「東欧喪失論」「中国喪失論」は、反共タカ派の典型的な政権攻撃のプロパガンダとしても知られる。会員で、トルーマン政権の国務長官を務めたディーン・アチソンの項目なども参照。会員内にアルジャー・ヒスなどの共産主義に親和的な人物がいたことも事実だが、一方で対ソ不信を論じる意見も少なくなく、冷戦が顕在化する以前の1946年の時点の研究プロジェクトで米ソ協調路線を唱えた提言が廃案となっている。)
  レーシー・ジョーダン少佐は「フランクリン・ルーズベルト大統領の側近ハリー・ホプキンスは、意図的にソ連に原爆技術を移転した」とアメリカ議会委員会で宣誓供述した。ホプキンスは外交問題評議会会員だった(ソ連の原爆実験は1949年)。

*影の世界政府
 マーシャル・プランとNATO体制構築は、ヨーロッパの対米従属を確保する政策として、外交問題評議会会員であるジョージ・ケナン、ウォルター・リップマンらにより推進された。
  イラン・コントラ事件など、CIAの謀略工作には外交問題評議会メンバーが関与していることが多い。
  外交問題評議会はビルダーバーグ会議とも連携している。
  外交問題評議会の政策目標のひとつとして、「国際連合世界政府」の権力と軍事力(=国連平和維持軍)を、どの個々の国家も対抗できない水準に強化す るとともに、アメリカ自身も含めて統治権と軍備を放棄させて「国際連合世界政府」のもとに全て移管させるという世界統一構想がある。
  ジミー・カーター政権下で、外交問題評議会はほぼアメリカ政府の権力機構を全般的に掌握した。アメリカの二大政党制の中枢は外交問題評議会によって強く結合されており、実質的な一党独裁を確立した。 (※第二次大戦直後から冷戦の開始、朝鮮戦争、ベトナム戦争の開始時点までは外交問題評議会の外交政策フォーラムとしてのコンセンサス形成力は抜 群であり、民主共和両党の外交エリートを集め、超党派主義で対共産主義の冷戦を戦い抜く基盤を作った。しかし、ベトナム戦争での国論分裂の時代から外交政策形成力は著しく低下している。日米欧委員会・外交問題評議会陰謀論は、いわゆる「ロックフェラー陰謀論」のバリエーションであるとする意見がある。)

*National Program Officeと外交問題評議会
 核攻撃を受けた際、政府機能をいかに維持するかという政策課題は冷戦期における各国安全保障の重要テーマだったが、1991年、CNNによって、レーガン政権下の1982年にthe Continuity of Operations(COO)/Continuity of government(COG)、もしくは通称the Dooms Day program (破局の日作戦)と呼ばれる計画の下、緊急事態発生時にアメリカ政府機能の維持管理を統括するNational Program Office(NPO)が秘密裏に設立されたとの報道がなされた。1980年代を通じて、COO/COGへの予算は急拡大し年間360億ドルが支出され、NPOは、大統領本人を欠いても政府を完全に機能させることが可能な強力な情報集中機能と、特別の指揮命令系統を持つとされた。
  同NPOは冷戦終了後にも解体されず継続し、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の際にブッシュ大統領はCOO/COGの実施を公式に宣言した。なお、COO/COGの監督運営メンバーは、CIA、国防総省、国務省の幹部であり、ほとんどが外交問題評議会の会員であるため、超法規的ながら公然と国家の全情報が集中するNPOが外交問題評議会の手中にあるとする意見もある。

*アメリカ政府中枢の外交問題評議会メンバー

・大統領
31代 ハーバート・クラーク・フーヴァー
34代 ドワイト・D・アイゼンハワー
35代 ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ
37代 リチャード・ミルハウス・ニクソン
38代 ジェラルド・ルドルフ・フォード
39代 ジェームズ・アール・カーター
41代 ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ
42代 ウィリアム・ジェファーソン・クリントン
43代 ジョージ・ウォーカー・ブッシュ

・CIA長官
リチャード・ヘルムズ 1966年6月30日 - 1973年2月2日
ジェームズ・R・シュレシンジャー 1973年2月2日 - 1973年7月2日
ウィリアム・E・コルビー 1973年9月4日 - 1976年1月30日
ジョージ・H・W・ブッシュ 1976年1月30日 - 1977年1月20日
スタンズフィールド・ターナー退役海軍大将 1977年3月9日 - 1981年1月20日
ウィリアム・J・ケーシー 1981年1月28日 - 1987年1月29日
ウィリアム・H・ウェブスター 1987年5月26日 - 1991年8月31日
ロバート・ゲイツ 1991年11月6日 - 1993年1月20日
R・ジェームズ・ウルジー 1993年2月5日 - 1995年1月10日
ジョン・M・ドイッチ 1995年5月10日 - 1996年12月15日
ジョージ・J・テネット 1997年7月11日 - 2004年7月11日(2004年6月3日
ジョン・E・マクラフリン 2004年7月11日 - 2004年9月24日
ポーター・J・ゴス 2004年9月24日 - 2006年5月5日
マイケル・ヘイデン 2006年5月5日 -

・国防長官
6代 ニール・マッケロイ
8代 ロバート・マクナマラ
10代 メルビン・ライアード
11代 エリオット・リチャードソン
13代 ドナルド・ラムズフェルド
14代 ハロルド・ブラウン
15代 キャスパー・ワインバーガー
16代 フランク・カールッチ
17代 ディック・チェイニー
18代 レス・アスピン
19代 ウィリアム・ペリー
20代 ウィリアム・コーエン
21代 ドナルド・ラムズフェルド
22代 ロバート・ゲーツ

・財務長官
56代 ロバート・バーナード・アンダーソン
57代 ダグラス・ディロン
58代 ヘンリー・ファウラー
60代 デイヴィッド・ケネディ
62代 ジョージ・シュルツ
63代 ウィリアム・サイモン
64代 マイケル・ブルーメンソール
65代 ウィリアム・ミラー
67代 ジェイムズ・ベイカー
68代 ニコラス・ブレイディ
69代 ロイド・ベンツェン
70代 ロバート・ルービン
72代 ポール・オニール
73代 ジョン・スノー
74代 ヘンリー・ポールソン

・国務長官
47代 コーデル・ハル
48代 エドワード・ステティニアス
50代 ジョージ・マーシャル
51代 ディーン・アチソン
52代 ジョン・ダレス
53代 クリスチャン・ハーター
54代 ディーン・ラスク
55代 ウィリアム・ロジャース
56代 ヘンリー・キッシンジャー
57代 サイラス・ヴァンス
58代 エドマンド・マスキー
59代 アレクサンダー・ヘイグ
60代 ジョージ・シュルツ
61代 ジェイムズ・ベイカー
62代 ローレンス・イーグルバーガー
63代 ウォレン・クリストファー 64代 マデレーン・オルブライト
65代 コリン・パウエル
66代 コンドリーザ・ライス
 ≫(Wikipedia抜粋 *注・情報のすべてが正確かどうか判断つかない部分もあるが、興味深い部分を抜粋してある。ただし、その過去のメンバー構成を見ても、相当にアメリカの意思決定に、深く関与しているシンクタンクで、ホワイトハウスより、壮大でアメリカの世界戦略を示唆することが多いのは事実だろう。


日本に恐ろしい大きな戦争が迫り来る
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● 菅の言葉を信じる奴はいない 世界大不況と戦争経済回帰

2015年08月23日 | 日記
しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)
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● 菅の言葉を信じる奴はいない 世界大不況と戦争経済回帰

菅よ、オマエのような確信的嘘つきの言葉を信じる奴は、幾ら日本人が愚民化されて、流石にいないだろう。オマエが「徴兵制は絶対にあり得ない」イコール、「必ず徴兵制にならざるを得ない」と云うことだ。オマエら内閣の閣僚の口から出た言葉は、ことごとく、逆さまだと思っておけば、まず間違いないと云うのが、今や日本国の「常識」である。オマエラが1+1が2だと言えば、本当は2じゃなくマイナス2じゃないか?と疑う国民が沢山いるくらいだ(笑)。言えば言う程、真実も嘘になる。

安倍の場合は、根っからのおバカさんだから、確信的な嘘などはつかない。アーミテージや外務防衛官僚のレクチャー通りと、自分の思い込みを口にしているのだから、幾分可愛げはある。無論、総理大臣と云う責任上、最も罪は重いのだが、この状況を利用しつくしてやろうと、成り上がり独特の臭覚と狡猾さで、有権者に向かって嘘をこくのが菅のような政治家だ。どうも、神奈川県出身の政治家は、食えない奴が多い。単に県民性と言ってしまうのは問題だが、どこか「ハイカラ横浜」を抱えた田舎者。個人的には、そう云う感じがする。

≪ 専守防衛は不変=「徴兵制あり得ない」-菅長官
菅義偉官房長官は22日、青森県弘前市で講演し、安全保障関連法案について「非常に誤解されている。わが国の平和国家としての歩み、非核三原則、専守防衛、こうした基本方針は全く変わっていない」と述べ、理解を求めた。
 さらに菅長官は、「戦争法案だとか徴兵制復活だとか、全くありもしないことだ。そうしたことが一部野党やマスコミから宣伝されているが、日本の自衛のためであり、他国のために一緒に戦争するものではない」と説明した。
 菅長官は緊張が高まる朝鮮半島情勢にも触れ、「北朝鮮は今年何回もミサイル実験をし、核開発も進んでいる。今は韓国との間でこの数日間、緊迫状況が続いている」と述べ、関連法案成立の必要性を訴えた。 ≫(時事通信)

以下の嘘八百も凄まじい(笑)。このような馬鹿げた記事をまともに取り上げているのは、時事通信だけなのが面白い。おバカ報道機関(記者クラブ所属)の順番は、産経、日経、時事、読売、朝日、毎日、東京と云うのが、筆者の評価だ。それにしても、この内閣府の調査において、有効回収率は58.4%だと云うのだから、答えなかった人の大半が、答えたくもない。内閣府イコール内調の回し者と思い込み、危険を感じて、答えるのを控えた可能性が高い。乃至は、最悪の選択は、悪意(毒)のある回答はノーカウントにされたのかもしれない。筆者が問われても、個別面接では、顔写真まで撮影され、ブラックリストに載りそうなので、会うこと自体、避けるだろう。まあ、既にブラックリストに載っているようだが(笑)。

まあ、この調査、ドデカイ株式大暴落前のことなので、その後で調査していれば、もう惨憺たるものになっていただろう。次回の調査結果が愉しみだ。この内閣府調査は、年一回とか6カ月に一回とか、定期性がなく、内閣府が好ましいときにやっているようなので、次回は、安倍晋三政権以降になるかもしれない(笑)。この怪しい調査でも隠せなかったのが、≪「毎日の生活を充実させて楽しむ」が同1.2ポイント減って58.5%となったのに対し、「貯蓄や投資など将来に備える」が同0.6ポイント増えて34.3%となった。≫部分である。


≪ 収入「満足」、2年ぶり改善=賃上げが影響-内閣府調査
 内閣府が22日発表した「国民生活に関する世論調査」によると、現在の所得、収入に「満足している」「まあ満足している」と答えた人は合計で前年比1ポイント増の45.7%となり、2年ぶりに改善した。内閣府は「大企業を中心とした賃金アップの波及効果が表れ始めているのではないか」と見ている。
 ただ、収入の使途についての質問では、「毎日の生活を充実させて楽しむ」が同1.2ポイント減って58.5%となったのに対し、「貯蓄や投資など将来に備える」が同0.6ポイント増えて34.3%となった。低迷する個人消費の先行きは不透明だ。  働く目的について「お金を得るために働く」は2005年と並び、過去最高の53.7%となった。続いて、「生きがいをみつけるため」(19.8%)、「社会の一員として、務めを果たすため」(14.0%)、「自分の才能や能力を発揮するため」(7.8%)の順だった。
 政府に対する要望(複数回答)では、多い順に「医療・年金等の社会保障の整備」(67.2%)、「景気対策」(56.9%)、「高齢社会対策」(52.0%)となった。景気対策は3年連続で減少しており、内閣府は「景気回復の動きが続いているため」と分析している。
 調査は1958年からほぼ毎年実施。今回は6月18日~7月5日、全国の成人男女1万人を対象に個別面接方式で行った。有効回収率は58.4%。 ≫(時事通信)


ここから先の話題は、短期のキャピタルゲインを目指していた個人投資家を恐怖に陥れる、真夏の四谷怪談だ(笑)。≪米国株の大幅下落を受け、米シカゴ市場に上場する日経平均株価を対象とする先物にも売りが集まった。21日の日経平均先物9月物の清算値は1万8970円と節目の1万9000円を割り込んだ。週明けの東京市場も、この流れを踏襲することは必定で、18500円台が死守できるかどうかの攻防だろう。しかし、世界同時株安、原油安ときては、リスクオンを選択する世界金融資金は皆無状態だから、全面リスクオフ状態になる。反転するネタが、どこを見回してもない。

挙句に、GDPマイナスを喰らっている日本経済、どこを突くと強気な意見が出るのか、頭をかち割って調べてみたくなる。以下は、世界金融サークルの広報誌、日経隷米新聞の記事を中心に紹介しておく。時折、酷い記事には、突込みを入れておこう。


≪ 日本株、下落圧力と綱引き 中国の構造改革カギ
 世界の金融・商品市場でリスク回避姿勢が強まっている。専門家に年内の見通しを聞いたところ、中国経済の減速懸念から目先は一段の株安・資源安・円高に備える見方が多い。中国が繰り返してきた短期的な景気刺激策が限界に近づき構造改革を求める声が増えている。 株式市場では日経平均株価の下値メドを1万8500~1万9000円程度とみる専門家が多い。21日終値から500~1000円程度の下押し余地を見込む。「資源国の国債や米国のエネルギー関連企業のハイイールド債が売り込まれ、景気不安が広がる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里 氏)展開になれば、株安加速が警戒される。

 商品市場では世界的な供給過剰から原油安に歯止めがかからない。イランへの経済制裁解除の時期 が迫り、「イランからの輸出増の観測も上値を抑える要因」(エレメンツキャピタルの林田貴士氏)に加わった。国際指標のWTI(ウエスト・テキサス・イン ターミディエート)は1バレル40ドル割れが間近だ。  外国為替市場では21日に円相場が一時1カ月ぶりに1ドル=122円台を付けた。「中国懸念で投資家は持ち高を解消しており、1ドル=120円割れの局面もある」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏)と、一段の円高予想も出ている。

  一方、「中国がこれ以上の景気減速を許すとは思えず、経済対策を機に目先は相場が出直る場面もありそう」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト)だ。悲観が修正される過程では「世界的にみて業績面などで買い安心感のある日本株が再評価される」(大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラ テジスト)可能性も高い。ただ、その場合も短期的な景気刺激よりも中国経済の構造問題に切り込む抜本策がとられるかが焦点になりつつある。

■中国経済「4兆元対策」でひずみ
 河野真一・ブラックロック・ジャパン最高投資責任者 株式市場では景気変動の影響が小さいディフェンシブ株まで売られるなど、7月半ばまでの中国株安への反応と異なる。リスク資産を売却して現金化する動きが起きている。突然の人民元切り下げで中国経済の不透明感が強まり、投資家心理が萎縮している。
  インフラ投資などの景気対策は根本的な問題の解決にならない。金融危機後の4兆元の景気対策が(過剰設備など)様々なひずみを生み出した。同じ手法を繰り返しても、数年後にさらなる問題を生むだけだ。必要なのは産業構造の転換。先進国向けに製品を作って売る輸出型モデルは限界にきている。経済成長を続けるにはサービス産業を育てる必要がある。
 中国を理由に米国が年内の利上げを見送るのはリスクが大きい。大統領選がある来年は一層、政策転換が困難だ。資産インフレの懸念も出ており、金融政策が後手に回る可能性がある。

■90年代の日本に似る
 倉都康行・RPテック代表取締役  世界株安の背景には、中国や新興国経済に対する警戒の高まりがある。中国経済が減速する中、米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切れば、新興国経済は一段と停滞感を強める。投資家は株式投資などに慎重にならざるを得ない局面だ。21日にかけて世界を一周した株安は「利上げを遅らせてくれ」という投資家のメッセージだ。
 中国は低成長時代に見合わない過剰供給体質で、銀行は不良債権を多く抱えている。1990年代の日本と似ており、中国の経済的苦境は今後10年超にわたって続くだろう。中国依存度の高い新興国も悪影響を免れない。FRBの年内の利上げは新興国からの投資資金流出を招き、世界の経済問題をより深刻にする可能性がある。

【米株】
 マーク・ペイドー氏(投資会社ダウ・ブルの米国市場ストラテジスト)
 米株相場が連日で大幅安となったのは、下げ止まらない中国株相場を巡る不透明感が一段と高まったためだ。中国政府は株価を買い支える対策を打ち出したが、効果に疑問を持つ投資家が増えた。原油などの商品価格の下落を通じて、米株相場にも下押し圧力が強まる。
  中国株の軟調が続くようなら、米国の景気減速への警戒感が強まりダウ平均は1万6000ドル程度まで下げる可能性がある。中国株が落ち着けば、年末にかけて米個人消費を中心とする景気回復への期待から足元で利益確定売りが出た消費関連やIT(情報技術)関連株に買い戻しが入る可能性が高い。(NQNニューヨーク=川内資子)

 マイケル・ボール氏(投資会社ウエザーストーン・キャピタル・マネジメント社長) 中国の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が低水準に落ち込み、世界経済の先行きへの不安感が一段と高まった。
 企業収益からみた割高感は次第に強まっていただけに、外部環境の悪化を機に利益の確定を急ぐ投資家もいるのだろう。個人的には長期の上昇相場が終わったとは考えていない。終了を示唆するシグナルは見当たらない。(NQNニューヨーク=岩切清司)  ≫(日経新聞電子版・一部記事併記)


週明け相場予測として、≪日経平均株価の下値メドを1万8500~1万9000円程度とみる専門家が多い。21日終値から500~1000円程度の下押し余地を見込む。≫だそうだが、単なる願望。先物で19000は割っているのだから、それにNY市場の下げ分が重なるので、好くて700円幅のマイナスで18700台というのが通り相場だ。そこから上がるか下がるかは、スーパーコンピュータの取引プログラム次第だが、大幅にリスクオフなプログラムに変えるのは常識だ。結局、経済エコノミストが、総体的に主張しているのは、「中国が魔女だ」と恨みがましい犯人捜しをしているだけだ。

中国が、人民元の切り下げに打って出たのは、世界を駆け巡った「金融緩和・自国通貨安競争」に、最後に名乗りを上げたに過ぎないわけで、責められる所以はない。ババ抜きではないのだから、米日欧が順繰りにやった事を、世界の金融アンカーとして、切り下げをしたわけで、金融経済論から考えても、理に適っている。それでなくても、暴力的で民主的ではない悪魔の中国にされているのに、世界経済においてだけ、白馬の王子でいるべきと云う理屈は通用しない。だからと言って、何も中国が好きななわけではない。ただ、感情の劣化勢力のようなハシタナイ言動は慎むべきだ。

最後にもっと恐ろしい想像をしておこう。この想像は筆者にとっても由々しき問題で、日本企業の少ない収益企業体質の悪化と、その露呈と云う怖さだ。9月末まで、混乱が長引けば、9月中間決算の数字が、大企業軒並み悪化と云う事態が想定される。多くの企業は、内部留保金で、配当金の確保は可能だろうが、今回のような、金融資本主義の世界的不良構造の連鎖を上向かせる、思い浮かぶ手段は論理的にないので、数年以内に大企業が政権に助けられた儲けは吐きだし、無配企業が続出する。こうなると、世界が打つ手は、只一つになる。戦争経済だ!これは、今の金融セクターサークルの連中は、必ず実行しようとするだろう。日中開戦は冗談ではなくなる。

人種差別から読み解く大東亜戦争
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●小さな日本政治の世界だが、盛者必衰・因果応報を目の当たりに

2015年08月22日 | 日記
異端の人間学 (幻冬舎新書)
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●小さな日本政治の世界だが、盛者必衰・因果応報を目の当たりに

PS: 速報:21日NY証券市場ダウ、大暴落!一時マイナス500ドル。500円じゃないよ!500ドル61,000円安ね。

ーーここから本文ーー

思わず、含み笑いの出るような出来事が連続して起きている。東海大地震の前ぶれほど重大ではないが、1強5弱の永田町に君臨していた、安倍晋三率いる政権がボロボロになる前兆が、驚くほど連続的に出てきた。一つ一つでも、日本にとって重大なのだが、ここまで悪事の限りを尽くした政権の中においては、まだまだ、序の口なアクシデントの数々だが、大変に先々が愉しみだ。間違っても、あっさり腹痛で「僕、やめます」なんて言わせない。もっともっと、ボコボコになったから、ボロ雑巾のように捨ててやる。

まず、世界同時株安が定着方向を示したことだ。昨日の東京株式市場は600円弱下げ、前の三日分の下げを合わせて、1200円かた大幅に下落した。個人の底入れ見越しの買いも入っているようだが、同日のNY市場が300ドル幅の下げを見たら、明日には見切り売りしたいだろうが、土曜日だ(笑)。この現象は、世界の同時不況が前提で起きる金融現象なので、打つ手はない。流石に、此処まで来て、買いに回るファンドは博打に近い。円レートも、122円前後で、日本輸出企業も一息ついた収支体質にも、踊り場が訪れるだろう。しかし、このような世界の金融サークルだけが利益を蝕む、所謂「格差社会」の根源が壊れることだから、最終的には良い傾向である。

次の安倍晋三がボロボロになる前兆は再稼働させた川内原発で、重大な復水継投で故障が起きた。この冷却に関係したポンプの周辺で、8月上旬に異様な振動が計測されたが、目視の結果、計測器の不具合だったことが報告されていたが、九電は再確認せずに、官邸・経産省の強い要望を受け、再稼働強行した。しかし、やはり故障は起きた。この復水系の点検修理には、最低二カ月以上かかる筈だから、その頃は、官邸の主は変わっているかもしれない(笑)。

え~と、その次は何だったかな?そうそう、二階俊博総務会長を抱き込むことに成功、これで自民党総裁選で余計な神経使わずに済むと、胸をなでおろしていた晋三に、胃が痛む、いや、晋三の場合は腹が痛む情報がもたらされた。「野田聖子なんかに出られたら、党員票で負けるぞ。推薦人集まらないように手を打て。それでなくても、レンホーの理詰めに切れて、また、野次って、取り消す恥をかいて、腹は痛んだままだ。その上、野田聖子が…血を吐きそうだ。菅官房長官を呼べ。野田聖子の推薦人潰しに全力を上げねば。別荘はキャンセルだ。なに、理由は腹が痛い?馬鹿!朝鮮半島情勢を鑑みとでも言っておけ!糞~どいつもこいつも、逆らいやがって…ウェ~」まあ、実況中継すれば、こんなもんだろう。

野田聖子は岐阜市で開かれた経済団体の会合後、総裁選について記者団に「(自民党には)有望な議員がたくさんいる政党だと信じているので、無投票になることはおそらくないと思う」と強調。自身の対応については「初当選以来、それ(首相・総裁)を目標にしなければ堕落すると思ってやってきている。毎回(出馬を)考えては、やめたり、やめさせられたりといろいろあるが、今も同じような状況だ。その延長線上だ」(産経新聞)と述べたが、この経済団体の会合の講師として石破茂が出席した点が注目だ。石破自身は出馬を否定していたが、麻生も「誰も出ないのは変だろう」の方向性。必ずしも、推薦人20名が集まらないとも限らない。

最後がとっておき。“SEALDs 金曜デモ”が国民の覚醒に、ますます貢献している。昨日のキャッチコピーは≪「どうでもいいなら総理を辞めろ!」 「どうでもいいなら政治家辞めろ!」 「中谷出てこい!」 「安倍はここに来い!」≫とラップ調で、煽り立てる。なにか、時代は変わったから、反政権デモの様相も変わるのは当然だが、若者が本気で立ち上がってくれる姿は、まだまだ日本も捨てたもんじゃないと、ニヒルに構える筆者の心にも響く。この調子で、8月30日の『戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動』がどこまで盛り上がるかで、安倍官邸の様々な揺らぎに是正が行われる可能性は大きい。TBS・NEWS23がデモの告知をしたことの影響は大きいだろう。

仮に、そのまま、安倍自民党政権が、安保関連法案、原発再稼働、辺野古新基地建設の3点セット強行となれば、総裁選再選も、実は怪しくなるし、自民党自体が、参議院における修正し難い、“ねじれ”を自ら招く事態となる訳で、到底、事なかれ主義、俺さえ良ければOKの政治家にとって、それは由々しき事態だ。ここまで来ると、誰が安倍の首に鈴を付ける論争が、自民党内の議員らから起きるのは必定だ。ゆえに、怖くて、安倍晋三は、官邸を離れる気にはなれないと云うことだ(笑)。愉快な方向が見えてきたね!


この本は、絶対にお薦めです!

世界の辺境とハードボイルド室町時代
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集英社インターナショナル

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●安倍晋三と官邸 獅子身中の虫(右巻き寄生虫)に食い尽される 

2015年08月21日 | 日記
在日朝鮮人 歴史と現在 (岩波新書)
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岩波書店


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●安倍晋三と官邸 獅子身中の虫(右巻き寄生虫)に食い尽される 

まあ、これだけ評判の悪い、“無理強い政権”もないだろうから、あらゆる部分で齟齬が生まれている。注目の岩手県知事選は、野党5党そろい踏みの達増の大圧勝と云う選挙結果を愉しみにしていたが、“天下の裏切り集団・自民党・平野達男・高橋嘉信グループは、トリプルスコアーに顔面蒼白、早々に白旗を上げ、シッポを巻いて逃げだしたため、久々に溜飲を下げる愉しみまで奪われた。天下の大政党自民党が不戦敗とは、1強5弱の評判も大したことはないようだ。

 ≪ 岩手県知事選:現職の達増拓也氏が無投票で3選
任期満了に伴う岩手県知事選は20日告示され、現職の達増拓也氏(51)以外に立候補がなく、無投票で3選が決まった。同県知事選の無投票は1947年の公選制導入以来初めて。 達増氏は、小沢一郎衆院議員(岩手4区)が共同代表を務める生活の党のほか、民主党県組織などが支援。達増氏は「(東日本大震災の)復興は今が正念場。県民の負託に応えて3期目を進める」と抱負を述べた。 ≫(毎日新聞)

20日の東証日経平均は189円安。これで、三日間で586円以上下げた。3%近い下落だが、まだまだ先がありそうだ。原因は中国株式の下落の所為にされているが、一概にそれだけが原因ではない。有り余って、必要な所には回らない日欧米のマネーが、行き場を失い始めた兆候で、世界不況と云う言葉も、冗談ではなくなりつつある。アベノミクスなんてものは、とうの昔に終わってるわけで、副作用だけが目立つ状況に突入している。GDPも完璧にマイナス局面に突入だ。この日本経済のGDPマイナスは、数値のマイナスよりも、中身がもっとヤバいのだ。SMBC日興証券Sエコノミスト宮前氏は以下のように分析している。


 ≪ 数字以上に悪い「GDPマイナス成長」の中身
■事前予想並みのマイナスだが
 中身は良くない  
  2015年4〜6月期の実質GDP成長率は、前期比で▲0.4%(1〜3月期+1.1%)、前期比年率で▲1.6%(1〜3月期+4.5%)と3 四半期ぶりにマイナスとなった。既に発表されていた各種統計より、市場では事前に▲1%台のマイナス成長が予想されていたので、数値自体はサプライズではなかったが、需要項目別に見た「中身」があまりよくない印象だ。
 市場予想対比では、消費が事前予想よりも大きく落ち込んだ一方で、在庫投資が事前予想よりも上振れた(厳密には、在庫削減ペースが事前予想より緩やかであった)。内訳をみると、これまで削減が続いていた製品在庫が、今回積み上がりに転じている。
 在庫の場合、その積み上がりが先行きの需要増を見越した積極的な積み増しなのか、それとも需要伸び悩みで消極的に積み上がってしまっているのか判断が難しいが、今局面では輸出や消費が落ち込んでいる点を踏まえると、どちらかといえば後者であろう。需要減で出荷が弱く、倉庫内に積み上がっているとみられる。消極的な在庫の積み上がりは、いずれ生産調整を通じて圧縮されることになるため、先行きの生産・GDPの下押し圧力となる点が懸念材料だ。

 ■世界経済減速で落ち込んだ輸出
 高まる節約志向で弱い消費
 市場予想対比の話はともかくとして、今回マイナス成長に陥った理由を振り返ってみる。前期比▲0.4%の成長率に対する寄与度をみると、内需が▲0.1%pt、外需(輸出−輸入)が▲0.3%ptとなっている。マイナス成長の主因は外需と言える。
 外需は2期連続でマイナス寄与となったが、1〜3月期と4〜6月期で意味合いが異なる。1〜3月期は輸出入とも増加、特に強い内需を受けて輸入の 伸びが大きかったことが、外需寄与度マイナス化の主因であった。一方で4〜6月期は輸出入とも減少、特に輸出の落ち込みが大きかったため外需寄与度がマイナスとなっている。
 すなわち、同じ外需寄与度マイナスといっても、1〜3月期は国内外景気の強さを反映し、逆に4〜6月期は国内外景気の弱さを反映している。貿易統 計等より判断すると、4〜6月期の輸出は主要地域・国向けが軒並み弱く、グローバル経済減速の影響が表れていよう。特に中国向けとASEAN向けが弱い が、近年ASEANでは輸出の対中依存度が高まっており、中国経済減速の影響が間接的に表れていよう。 一方で、内需寄与度は小幅ながら3期ぶりにマイナスとなった。民間消費が4期ぶりに減少に転じた影響が大きい。4〜6月期は消費の源泉となる実質所 得(実質雇用者報酬)がやや減少しているが、それ以上に消費の落ち込みが大きい。消費性向が低下している、すなわち家計が所得水準の割に消費を抑制していることを意味する。
 消費性向低下の原因としては、天候要因と節約志向が考えられよう。サービス消費というよりも財消費が弱かったが、家計調査等より判断すると、家 電、衣料品、食料品が弱いとみられる。家電(エアコン等)や衣料品については、悪天候が影響していよう。最近では猛暑が続いており忘れがちだが、4〜6月期は天候不順が続き、夏物商材が売れていなかった。
 一方、食料品消費の弱さは、節約志向が再び高まっていることが背景であろう。所得がなかなか増えない中で、生鮮野菜や加工食品の値上げが相次ぎ、家計は食料品の購入量を抑制したとみられる。4〜6月期の消費の弱さは、天候要因による一時的な影響ばかりとも言えまい。

■「反動減」と呼ぶには消費が弱い
 7〜9月期の景気は輸出次第
 今回のマイナス成長は、全体としては15年1〜3月期に強い成長を記録した後の「反動減」との評価になろうが、消費については「反動減」と呼ぶに は弱い数値だ。景気が回復基調を続けていると言えるのか、それとも踊り場に入っていると言うべきなのか、判断が難しい局面だ。これは、15年7〜9月期にプラス成長へ転じると現時点で確信を持って言えないことが一因でもある。
 15年7〜9月期は、消費反発が見込まれるものの、輸出が足を引っ張る構図となろう。
 消費については、まず猛暑効果が期待できる。猛暑が行き過ぎると外出が手控えられる、といったマイナス面はあるものの、全体としてはプラスの経済効果をもたらそう。一般に、本来の季節性に沿った天候変動があれば正の経済効果、本来とは異なる天候変動があれば負の経済効果が生じると考えられる。季節変動に合わせて事前に供給力が変動するためだ。
  次に、9月にシルバーウィークの連休効果が期待できる。休みを取るための日並びがよければ、行楽等のサービス消費が増えやすい。また、消費の源泉となる実質所得もいったん回復すると見込まれる。ベースアップによる基本給上昇は夏場まで続きやすいほか、電気代・ガス代・ガソリン代が軒並み値下がりするためだ。以上のように、7〜9月期の消費は一時的ながら押し上げ要因が多く、反発すると見込まれる。
 一方で、輸出についてはまだ減少が続きそうだ。中国経済減速の影響が遅行して表れよう。また、9月の連休効果は消費にはプラス効果をもたらそう が、連休で工場の休みが長引くので生産・輸出にはマイナス効果をもたらそう。7〜9月は消費反発と輸出減少の綱引きとなり、どちらかといえばプラス成長へ転じる可能性の方が高いものの、現時点で確信を持って言えるわけでもない。7〜9月期の景気は輸出次第であり、当面は貿易統計の動向を見極める必要があろう。

■景気の先行きはジグザグ型へ
「成長の実力値」低下を反映
 その後も、消費が増減を繰り返す見込みで、景気は当面ジグザグ型となりやすい。15年10〜12月期は猛暑効果や連休効果剥落、実質所得減少(物 価上昇)で消費が再び落ち込むだろう。16年1〜3月期になると、うるう年の効果で消費のみならずGDP全体が伸びやすい(近年GDP統計ではうるう年の 調整がなされていない)。16年4〜6月期はその反動でマイナス成長の圧力が掛かろう。
 そもそも景気がジグザグ型となりやすいのは、成長の実力値を示す潜在成長率が近年落ちているためだ。ほぼ同義になるが、実質賃金の伸び悩みによ り、消費の基調も弱まっている。このため、景気あるいは消費が一時的要因に左右されやすくなっていよう。財政出動や追加金融緩和といった景気刺激策を打っても、あまり意味がない状況だ。
 財政出動の代表格である公共投資は、経済が人手不足に直面している中では、タイムリーに景気を刺激できない。また金融政策については、現行の量的政策の限界が懸念されている状況では単純な追加緩和に踏み切る可能性は低いし、仮に踏み切ることができても、円安をもたらし消費にダメージとなる。政府も日銀も、動くに動けない、という状況であろう。

 ■2期連続マイナスとなれば
 消費増税再延期のリスクも
 基本的には、景気は一進一退を繰り返す見込みで、財政・金融政策による特段の政策対応もない見込みだ。今回の15年4〜6月期マイナス成長も、政府・日銀とも「一時的な落ち込み」と判断しているとみられる。
 ただ、15年7〜9月期の輸出下振れが大きくなると、消費ジグザグの影響で、マイナス成長が2期のみならず3期続くリスクが出てくる。景気後退と 認識される、あるいはそう認定される可能性が高まってこよう。その場合どこが「山」となるかが問題で、消費増税前が「山」となると、「増税が主因で景気が後退局面に入った」との解釈に繋がり得る。実際には今年景気悪化が続くとすれば輸出が主因となろうが、世間では消費増税悪玉論が広がりやすいだろう。
 2期連続マイナス成長となれば、何らかの政策対応を迫られやすいだろうが、そのオプションの一つとして、消費増税再延期のリスクには注意した方が 良いだろう。来年夏に参院選を控えているというタイミングも問題だ。足元の法人税を中心とした税収上振れも、消費増税再延期でも財政健全化が可能との楽観的議論に繋がりやすい。
 昨年11月に消費増税延期を決断した際は、金利があまり反応しなかったが、だからと言って再度延期しても金利が反応しないとは限らない。昨年11 月は、日銀がサプライズで追加緩和を実施した直後で、市場では日銀政策による強力なイールドカーブ押し潰し効果が強く意識されていた。だが現局面では、量的政策の限界が懸念されており、単純な追加緩和は最早ないとの見方が広がっているとみられる。昨年と比べれば、財政テーマが市場で材料視されやすいだろう。
 景気条項が撤廃されたにもかかわらず再度増税が延期されれば、もはや消費増税はできないとの懸念が広がり、金利急騰に繋がるリスクがあろう。
 ≫(ダイアモンドONLINE:経済・時事―「数字以上に悪い「GDPマイナス成長」の中身」(宮前耕也 SMBC日興証券日本担当シニアエコノミスト))


このコラムに対するアンケート「4〜6月期のマイナス成長は、「一時的」なものだと思う?」で、80%の人達が、一時的現象だとは思っていないと答えている。一応、日本経済に興味のある人々の、経済状況判断は、安倍官邸と違い、正常に機能しているようだ(笑)。アベノミクスが終わり、官製相場にも限界が生まれ、もう打つ手は少なくなっている。70年談話で、内閣支持率持ち直すなどと云う勘違いも起きているが、日を追うごとに、その談話の中身が、世界平和にプラスではないことに人々は気づくはずである。つまり、70年談話も最終決算は、支持率のマイナスに寄与する。

沖縄辺野古基地問題も、1か月の冷却期間設定で、一息ついているが、9月9日には工事を再開するわけで、これも最終決算はマイナスに働く。辺野古基地新設で、右翼や日本会議等々の連中が大挙沖縄入りをしているが、反対派沖縄住民とぶつかり合い、けが人を出すようなことになれば、これもまた、大きく支持を下げる要因となる。今では、2ちゃんネット右翼も、アベシンゾウの腰砕け外交に気づいたらしく、懐疑的方向に向かっている。それに合わせたように、週刊新潮、文春の安倍応援メディアが反旗を翻しつつある。

これは、本物右翼と偽物右翼が同居している日本会議の性格上起こりうる現象である。2ちゃんやニコニコ動画系ネット右翼は、「嫌韓・反中」が顕著でなければ気分の悪い連中だから、口だけ国家主義的で歴史修正主義風政治家である安倍晋三が好きだったわけで、清濁併せのむような中途半端な姿勢に、懐疑度深めている。百田尚樹が主張していた事を支持する団体が出来上がった。「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」と云うらしい。新潮に意見広告を打ったが「〈もうお気付きでしょうか。退潮久しい日本左翼は、いよいよ最後の秋を迎えようとしています〉〈沖縄県民「正す会」は全国民に大和魂、黄泉がえりの時至れりと告げたいのです〉」言っている言葉自体がカルトに近く、呆れてものも言えない。

この会に名を連ねる連中が凄い。羅列するだけで充分、説明の要はいらないだろう。加瀬英明、呉善花、ケント・ギルバート、櫻井よしこ、杉原誠四郎(新しい歴史教科書をつくる会)、すぎやまこういち、石平、高橋史朗、トニー・マラーノ(テキサス親父)、中山成彬、西村幸祐 百田尚樹、水島総(チャンネル桜)、宮崎正弘、宮脇淳子、茂木弘道、八木秀次、山本優美子、柚原正敬、渡部昇一等である。 *安倍官邸は、彼らと距離を置こうとしているのだが、食いついた似非右翼共が、簡単に喰らいついた内閣総理大臣を解放するわけがない。安倍晋三にとって、彼らはもろ刃の剣の典型だったと云うことになる。彼らが主張する「日本の伝統保守が重んじてきた思想信条」がどの時代の、どのようなものを指しているのか、皆目見当もつかないが、近隣に他国を貶めて、溜飲を下げているのが、日本の伝統的思想信条だと言われて、ハイ、その通りと云う人間は、彼らだけだろう。

日本会議などに参加する人間も、ピンキリで、その会の集票力を利用しようとするもの、経済活動上有利と判断するものなど、立場主義者が多く参加しているので、純粋培養馬鹿とは、参加の意を別にしている。しかし、官邸のクリーンなアベシンゾウなんて構想を、彼らが容認するはずもないわけで、沖縄で一旗揚げる心意気になっている。つまり、贔屓の引き倒し戦術が、彼らに残された「最後の砦」なのだ。そう云う意味では、沖縄における彼らの行動は、アベシンゾウ、死なば諸共だぞ!宣言したに等しい。まあ、こういう連中の力によって、内閣支持率を伸ばし、総裁選を勝ち抜いたのだから、今さら、あなた方は仲間じゃないと言える安倍晋三と云うのも虫が良すぎるだろう。

沖縄 本土メディアが伝えない真実 (イースト新書)
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●困った人々 主権なんて要らない、生活さえ保証してくれるなら

2015年08月21日 | 日記
困難な成熟
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夜間飛行


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●困った人々 主権なんて要らない、生活さえ保証してくれるなら

今夜は体調不良なので、短めでご勘弁いただく。まあ、中谷にしろ、安倍にしろ、“第3次アーミテージ・ナイリポート・日本への提言9項目”を属国らしく、忠実に実行しているだけで、罪の意識など欠片もないだろう。無論、アメリカ議会で約束しちゃったからなんて話は、議会制民主主義の国家ではあり得ない話なのだが、“隷米保守主義者”にとっては、思考停止で、正しい選択なのだ。いや、選択と云う選択はないわけで、マンマで実行するのが、日本の国益に合致すると、自己暗示に陥った人々の正当な判断や実行なのである。現に、そのように振る舞ってきた、政治家、官僚、言論人が、戦後の世界でメインストリートを闊歩したのだから、実績も充分だ。

出世したい、権力を握りたい、有名になりたい、金を儲けたい。そう云う日本人は、明治であれ、昭和であれ、平成であれ、時の世界の覇権国のお眼鏡に適う言動に徹すれば、後は、幾分の学歴を入手すれば済むように、この世間が出来ている。最近の安倍や閣僚の醜態も、一時の恥の方がベターであり、不都合な事実を認めるなんて、自分で自分の首を絞める行為にお及ぶ人間は稀だ。それが、覇権国に支配された国の運命であり、逆らうことは、その世界で、一流になれないことを意味している。特に、政治家と官僚に顕著に現れる日本人エリートの性癖である。

2012年8月にアーミテージ・ナイレポート(日本への提言)てのがあって、悪名が高くなった「年次改革要望書」に替わる変化球として、アメリカが日本に赤裸々に要求項目を並べたのが、アーミテージ・ナイレポートに姿を変えたのである。
・原発再稼働―米国軍事、原発産業を守る。
・ペルシャ湾海賊対策で日本は汗を流せ。
・日本のTPP参加は米国の確信的利益。
・日韓歴史問題を刺激するな。―これは一部守らなかったので、安倍に地位は一時危うかった。ゆえに、申しませんと外交を通じて土下座した。
・日米印豪台フィリピンの強力な連携強化。
・戦時において米軍への自衛隊の全面協力。
・自衛隊は単独でホルムズ海峡の魚雷に除去のために掃海艇派遣。
・日米、及び日本独自の国家機密の保全。
・PKO派遣時に自衛隊等の法的権限の拡大。
・集団的自衛権行使の禁止は、日米同盟においては邪魔だ。
・軍事産業育成、日米兵器共同開発を速やかに行える包括的法整備。
・日本防衛産業の育成のために、武器輸出禁止3原則の見直し。

以上のように並べ立てたレポートが、民間の研究機関の衣を被せて、アーミテージとナイが代弁したものに過ぎない。結局、独立国では、アフガニスタンや北朝鮮よりも劣った、独立性を持っていないのが、日本と云う国なのだ。ただ、筆者は、日本人の多くが、別に歴然たる独立の主権を持たなくても良いのではないか、と思っている戦後世代が多数を占めはじめているのではないかと云う不安は持っている。

そうなると、水を飲みたくないと言っている馬を水辺の引っ張っていかなければならないわけで、容易なことではない。日々の生活がそこそこであり、日々命や財産を強奪されるような国でないのなら、主権が自分たちになくても良い。生活さえ保障してくれるのであれば、それで良い。難しいことは考えたくないし、興味もないし、考える能力もない。まあまあの政治外交をするのであれば、自分たちの主権が脅かされても痛痒はない。ただ、困った事に、米国一国の属国主義が、彼らの生活を安全に守るだけの力を失っていたら、どうなるのか、そこが問題なのだ。

世界第二次大戦後、本土に殆ど影響を受けずに戦勝国となったアメリカが、英国やロシア、フランス等、同じ戦勝国でありながら、一人勝ちな状況を生み、20世紀のアメリカ覇権は盤石になった。しかし、21世紀に、アメリカの覇権は、未来永劫の権力と云う錯覚的地位さえ危ぶまれている。有史以来の歴史的事実として、覇権国が力を失い、普通の国になるのは自明なのだ。つまり、独立国でなくても良い、そうして、自分たちの生活にける平穏さえあれば、主権国である必要もない。その安穏さは、ある日突然、コインの裏表みたいに、劇的に変わる危険と隣り合わせの運命と云うこと、少しは理解してほしいものだ。

昭和史の10大事件
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●「脱米国」を主張する政党の不在が日本政治の不毛に繋がる

2015年08月19日 | 日記
大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)
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●「脱米国」を主張する政党の不在が日本政治の不毛に繋がる

民主党の衆議院議員に以下のような主張をする議員がいたことを初めて知った。現在、世間的に、良くも悪くも保守政治家や論壇等々の人々は、その多くが似非保守政治家だと云うことは判っている。第二次大戦後、占領国アメリカの顔色を見て、すべての行動規範を決定してきた、国体を作動するメカニズムがいまだに健在なのは、なぜだろうか?筆者は常々考えているのだが、直近の影響としては、金玉を抜かれてしまった敗戦の後遺症が、いまだ癒されることなく継続しているのだろうと考える。

戦後の日本を動かす仕組みが、中央集権の象徴である霞が関官僚組織の裁量行政が担ってきた、開発途上国的な、一時の成功をもたらした中央集権制度を信じすぎたツケが回ってきているのだと考える。篠原孝と云う議員は、その霞が関出身の議員であることも、反面教師として、時代に合わなくなった中央集権に気づいた結果、政治家に転身したのだろう。農林水産省の官僚であったことから、彼が、日本の文化伝統を守る真正保守的な主張をするに至ったことは想像に難くない。

彼のコラムの主張は、殆ど同意できる。ただ、これを民主党の岡田克也代表に委ねなければならない方向性であることが、致命的に辛い。残念だが、民主党そのものを解党する決断が出来ない限り、篠原議員の主張するような政党は成立しない。現在の選挙区制度では、個人の政治家の守備範囲は限定的で、没個性な方向にしか向いて行かない。村上誠一郎や、篠原のような政治家もいるが、これは例外的政治家であり、大勢に影響を及ぼす可能性が低い点が辛いところだ。“安保法制、TPP、原発”すべてに反対を表明する政党になることが、今国民が求めているものと理解していても、自分の足元を見ると、腰が引ける、それが現実の国会議員全体に言えることだろう。

今さら、小選挙区制を直す話をしても、鬼が笑うようなものだから、その選挙区制度の中で、自民公明を下野させる意気込みを持つしかないのは事実だが、現在の民主党に、そのエネルギーがあるとは思えない。思えないだけでなく、事実ないだろう。こういう時こそ、小沢一郎の存在は意味があるのだが、叩かれ過ぎてしまった。また、小沢は必ずしも米国と距離を置く思想はないので、その点で、米国支配から抜けだす政治家ではなかった。その点では、滅茶苦茶だったが、鳩山由紀夫が、一番アメリカとの距離を置こうとした思想は持っていた。

まあ、今さら“死んだ子の歳を数えて”も意味はないのが、このような嘆きが出るほど、八方塞がりになっている、日本の政治状況だ。正直、運が良ければ、TPPが流れるかもしれない。原発も、再稼働した原発が、フクイチほどのアクシデントではなくとも、ドジが出現すれば、再稼働凍結、原発廃止もゼロではない。安保法制も、成立後の自衛隊の運用で、戦争法案だと、あらためて確認された時点で、自民党の凋落はあるだろう。しかし、すべて漁夫の利と僥倖が続くと云う運任せ。しかし、現実が、お天道さまの、正当な差配を、待つしか、市井の民が期待するのもはないのだろう。

単に、安倍政権が崩壊するだけでは、まず、何も大きくは変わらない。大きく変えるには、アメリカ追随が、実は国益に重大な支障を及ぼしていると、国民が理解しなければ無理だ。その国民が、アメリカ追随が、日本国民にとって害悪でしかないと気づくには、それ相当の激甚なショック療法に晒されなければ、変ることはないだろう。その間は、無理が闊歩するのを、じっと見守るしかない。しかし、どうせ簡単に変えられない民主党であれば、徹底的に共産党に近い政策を主張しなければ、国民の耳に、政党名が届くことはないだろう。今夜は、何となく、篠原議員の主張に動機づけられ、ネガティブな、日本の政治問題を考えてみた。


≪ 民主党は安保法制、TPP、原発で旗幟(きし)鮮明にする
-政権奪還には「昔の民主党」との決別が必要- 15.08.17
 8月14日、安倍首相の戦後70年談話が発表された。安倍首相はこれだけ事前に騒がれたことはないので、慎重になっているが、相変わらず駄々っ子のように自分の趣味を出している。私には信じ難い。一国のトップであり、一刻も早く退陣してもらう外にないと思う。

<70年談話は外交そのもの>
 この談話は、日本人向けというよりも今や外交そのものである。中韓、そして世界を相手に日本を今後どういう国にしていくかを示す絶好の機会と捉えなければならない。それにもかかわらず、自らの言葉で語らず、侵略、植民地支配、反省、お詫びといった主要用語は散りばめたものの、不鮮明そのもので、決して素直に語りかけてはいない。
 アメリカに媚びた4月29日のアメリカ議会演説と真逆である。一期目に靖国神社に参拝できなかったことを痛恨の極みと言い出して、政権奪取記念日(?) の12月26日に、周囲の反対を押し切って参拝。安保関連法を7月15日に採決することはないという声にも耳を傾けずに強行…。私の13年10月21日の予算委の警告にもかかわらず、ますます慢心が高じているようだ。
 権力者は忍び足で歩き、権力は抑制的に行使しなければならない。それを安倍首相は全く逆のことをしている。同じタカ派の中曽根康弘元首相が、首相就任後は靖国参拝を封印し、官房長官に他派閥の重鎮でハト派の後藤田正晴を配置したのとは大違いである。
 民主党は、この安倍政権と安保法制、TPP、原発の3つの主要政策について国民の声を聞き、自民党と徹底的に対峙していかなければならない。

<安保法制は廃案にすべし>
 安倍首相は談話のインタビューに答えて、民主党からは、ではどうしたらいいのかという対案がでてこない、と誘導している。いかにも反対しているだけだと言わんばかりである。それにそそのかされて、民主党内でも対案提出の声がある。そんな話に乗るのは愚の骨頂である。政府の土俵で戦うことになるだけだからだ。
 民主党はかねてから準備していた領域警備法で、日本の領土、領海、領空をきちんと守っていくという姿勢を出せば十分で、海外に自衛隊を派遣することについての対案などはありえない。北沢参議院安保特委民主党筆頭理事(元防衛相)が代表質問で主張したとおり、「国民が求めているのは、対案ではなく廃案」なのだ。
 世界の情勢が変化したことから集団的自衛権行使の容認は、当然だという。しかし自衛のための戦いは、アメリカとどうこうというのではなく、日本が決めることである。集団的自衛権などとはいわずに、大半は個別的自衛権で決着していけばいいのであって、アメリカに頼まれたからといって、のこのこと海外へ出て行ってはならない。日本はそれで70年戦争に巻き込まれずに済んだのだから。

<盗聴にも何も言えない属国日本>
 7月31日、マウイ島のTPP閣僚会議の最中に、内部告発サイト・ウィキリークスがアメリカのNSA(国家安全保障局)の日本盗聴を明らかにした。独、 仏、ブラジル等は猛然と抗議し、ブラジル大統領は訪米を中止している。舐められた同盟国日本は形式的抗議のみ。中韓にだけ高飛車になり、アメリカにはまともな意見一つ言えない情けない日本。
 ウィキリークスがわざわざTPP閣僚会合の真っ只中にリークしたのは、アメリカに妥協させられっぱなしの日本に、席を蹴って交渉を中止する口実を提供してくれたのかもしれない。日本はその温情(?)も汲めず、一国だけ譲るに譲って国益を無視した交渉をしてきたのである。もともと傲慢だという礒崎首相補佐 官や新国立競技場で迷走する下村文科相よりも、甘利TPP担当相以下軟弱外交関係者こそ糾弾されてしかるべきである。  

<安保だけでなくTPPでもアメリカに隷属する愚>
 13年10月21日の予算委員会で、安倍首相との論戦の前に前座で稲田朋美行政改革担当相を引っ張り出し、「あなたもタカ派の論客としてTPPに反対し てきたはずだ、日本の文化伝統制度を守っていく、日本は日本だという姿勢を保つ限り、TPPに参加できないというその気持ちは閣僚になっても同じでしょう ね」と問い質した。むにゃむにゃと答えになっていなかったが、私は「女性をあまりいじめるのは嫌いなので、これぐらいにしておく」と言って追求はやめた。
 日本の保守がTPPを推進するのは明らかに矛盾している。保守政治家を認ずる安倍首相を筆頭に日本の保守派はTPPに反対しなければならない。外交、防衛でアメリカに隷属した上に、日本の独自の文化や社会制度をなくし、日本が日本でなくなるような方向にもっていくのがTPPである。安保法制もTPPも両方ともアメリカの属国化を意味している。

<真正保守派はTPPも原発も反対>
 保守の論客はこぞってTPPに反対していることは、いままで説明してきたとおりである。実は原発も同じで、日本の保守論理的後ろ盾である。西尾幹二電気通信大学名誉教授は、日本の国土を壊す原発に絶対反対している。メルケル独首相もそうだが、国を愛し、国民を慈しむなら、国土を汚し、国民の生命を危険に晒す原発はやめるのが当然なのだ。世界第4位の防衛予算、安保法制で我が日本国を守る前に、国土が汚染され、国民の健康が蝕まれててどうするのか。後世代に侵略戦争のお詫びを続けさせるわけにはいかないと気遣うなら、後世代に原発汚染のツケこそ回してはならない。
 日本の保守を自認する漫画家の小林よしのりは、原発反対、TPP反対を漫画でわかりやすくまとめている。私は、民主党内で保守派として振舞っている同僚に、なぜ日本の保守はTPPと原発に反対していないのかと突っかかっているが、まともに反応した者はいない。日本の保守は与党も野党もどこかずれているような気がしてならない。

<民主党が支持率を回復できない理由>
 こうした矛盾や危険を見てとってか、国民は安倍内閣の安保法制における暴走に嫌気がさし、7月15日の強行採決後支持率が大幅に下がりだした。ただ、残念ながら民主党の支持率は少しも回復していない。それどころか読売新聞とNHKでは、民主党の支持率は逆に1%下がっている。その間に内閣支持率は10ポイント減り、不支持率は10ポイント上がっている。他の日経、毎日、朝日、共同等ではやっと民主党の支持率が1、2ポイント上回っているが、回復するまでには至っていない。
 理由は明らかである。第一に、3年3ヶ月の政権運営がめちゃくちゃであり、全く信用を失っているからである。第二に見逃せないのは、民主党政権を維持できなかった責任者ばかりが前面に出ているからである。国民は失敗した面々には二度と政権は任せられないのだ。第三に、国民の要望に応える政策を何も打ち出していないので、自民党の代わりとは見てもらえないのである。

<安保、TPP、原発反対で政権奪還>
 こういった時に民主党の再生を図るために何をすべきか明らかである。安保法制はこれぐらいは必要だ、TPPは賛成だ、原発再稼動するしかない、とか言い出したらもう民主党の政権交代の道はない。まず、3大主要課題について鮮明にNOを打ち出すことである。
 14年総選挙では、共産党が議席数を8から21と3倍増に増やしたのは、立ち位置を国民に明瞭に示したからである。民主党も野党に徹するべきなのだ。

<岡田代表の下、党名も変えて出直す>
 与党時代、一部の幹部ばかりが次々と要職を歴任し、メリーゴーランド人事と揶揄された。それが野党に成り下がってもやたら役職に就きたがり、目立ちたがっている。
 「昔の顔」は国民からは飽きられているのであり、政権交代までは反省の意味もこめて、縁の下の下支えに徹してもらわなければならない。さもなければ新鮮味が打ち出せず、支持率アップにつながらないのだ。
 この延長でもう一つ大事なことは、昔の民主党との違いを打ち出すためには、党名も変えることである。これは、ほとんどの民主党議員が経験していることと思うが、支持者訪問すると民主党というだけで門前払いをくらうことが多い。そこに、民主党をダメにした同じ顔ばかり出てきて嫌になる、と追い打ちをかけられる。
 つまり、民主党の再生には「昔の民主党」をきれいさっぱり切り捨てる必要がある。  岡田代表が国民の声に応える方針を高らかに宣言し、野党に働きかけて、まとまって新しい形で野党が大同団結して、参議院選挙に向かっていくしか政権奪還の道はないものと思っている。 ≫(民主党衆議院議員:篠原孝のHPより)

14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還 (集英社新書)
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●陛下のお言葉は、安倍歴史修正主義に穏やかにカウンター

2015年08月18日 | 日記
子どもたちへ、今こそ伝える戦争 子どもの本の作家たち19人の真実
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●陛下のお言葉は、安倍歴史修正主義に穏やかにカウンター

毎日新聞が、以下のように米メディアが、陛下の70回目終戦記念日において、「さきの大戦に対する深い反省」と言及されたことと、アベシンゾウの70年談話の対比が注目されている。早い話が、反省している天皇と、開き直っている日本政府と云う構図である。その上、もう謝らないぞ、戦後生まれに責任なんかない!と言ったも同然なのだから、中国韓国が怒るのは当然として、米国に限らず、世界が呆れていると云うのが、客観的相場だ。

アベ談話と陛下のお言葉が、同時並行で発表されるのではない、とまで憶測が飛んだが、流石にそれはなかった。逆に推測すれば、宮内庁からの情報で、陛下が“深い反省”と云う一文を入れることが判っていたと推量することも出来る。つまり、天皇陛下のお考えと、アベシンゾウの考えは、真っ向対立していると言っても過言ではない。

勿論、天皇は憲法上象徴であるわけだから、日本政府を代表した言葉にはならない。あくまで、日本の正式意思表明は、内閣総理大臣の談話である。ただ、日本人が、普遍的に天皇と云う立場に尊敬の念を抱いている状況が存在するので、日本政府のフォーマルな声明に、異論を唱えた天皇陛下と云う構図だと認識することは可能だ。その証左ではないが、日本政府の顔を自認する“外務省のHPから、政府の歴史認識やアジア諸国への「反省とおわび」に関する記事を削除している。

「歴史問題Q&A」において、外務省は日本政府の立場を発信する意図から、第二次大戦における「歴史認識」「慰安婦問題」「南京大虐殺」「極東国際軍事裁判(東京裁判)」など8項目について、政府の見解や対応を説明していた。しかし、村山、小泉談話の「全体として引き継ぐ」と語った話と70年談話の齟齬が明々白々なため、扱いに苦慮。取りあえず、削除して、言い換えようと考えているようだ。

次回の談話の区切りとなる「80年談話」までの間、少なくとも日本政府は、当時の世界情勢における、一種趨勢であり、日本が特別「侵略や残虐な行為に出たものではない」と云う公式見解を引き継ぐことになる。まあ、75年談話で、アベシンゾウ談話をもみ消すことも可能だが、その時の日本が、アジアに向けて牙を剥く行為を再開すれば、75年談話も、80年談話も、当面出せない事になる。「100年談話」辺りで、もう談話を出す気力も失った日本政府の姿を想像できるだけに、なんとも、トンデモナイ人間を首相にしてしまったものだ。


 ≪ 首相70年談話:「反省」天皇陛下と対照的 米メディア
【ワシントン和田浩明】天皇陛下が70回目の終戦記念日である15日、政府主催の全国戦没者追悼式で「さきの大戦に対する深い反省」に初めて言及されたことについて、米主要メディアは安倍晋三首相の戦後70年談話とは「対照的」などと報じた。
 米通信社ブルームバーグは「天皇、戦争に反省表明、安倍首相と対照的」との見出しで記事を配信。また、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「安倍首相の政策に対する静かな反対」との見方が強まると紹介した。
 全米公共ラジオ(電子版)も第二次大戦に関する「前例がない謝罪」であり、安倍首相の談話より踏み込んだもの、と評価した。米メディアは安倍談話 について自らの言葉で謝罪がなかったとして「日本の指導者、第二次大戦で謝罪に至らず」(ワシントン・ポスト紙)などと批判的に伝えていた。  ≫(毎日新聞)


 ≪ 天皇陛下のお言葉
全国戦没者追悼式 平成27年8月15日(土)(日本武道館)

「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。 終戦以来既に70年,戦争による荒廃からの復興,発展に向け払われた国民のたゆみない努力と,平和の存続を切望する国民の 意識に支えられ,我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という,この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき,感慨は誠に尽きることが ありません。 ここに過去を顧み,さきの大戦に対する深い反省と共に,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心からなる追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 ≫(宮内庁HPより)


安倍晋三の70年談話をお読みになりたい方は、官邸のHPにでも、行かれれば良いのだろう。筆者は、あまりにも恥さらしで潔さのない、現日本政府の談話など、二度と目にしたくない。おそらく、永遠に突きまくられ、ODAを含め、莫大な金で、外交を行うしかない道に進んだようだ。アメリカと云う国、及び米軍が、永遠に健在であれば、そう云う選択もあると思うが、21世紀の潮流の中に、アメリカ覇権が普遍性を持っている保証は、どこにも見当たらない。最後になったが、人民網のケチョンケチョン、評論を引用しておく。まあ、中国にここまで叩かれると、安倍の肩を心情的には持ちたくなるが、理において負けている。


 ≪ 「安倍談話」は一体何を語ろうとしているのか
(週刊!深読み『ニッポン』第82回)
 日本の安倍晋三首相は14日、国際社会の高い注目を受けていた「安倍談話」を正式に発表した。この「談話」が高い注目を受けたのは、第一に、談話が、 70年前の侵略戦争を日本の現政権がいかに正しくとらえるかという根本的な是非にかかわるものであるためである。第二に、安倍首相が今年初めに「有識者懇 談会」を作り、談話のムードを醸成するための下準備をしていたためでもある。第三に、「安倍談話」において、「村山談話」で用いられた「侵略」「植民地支 配」「反省」「お詫び」という4つのキーワードが踏襲されるか、さらにこれらのキーワードが具体的にいかに用いられるかが、国際世論の焦点となっていたためである。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)

 「安倍談話」についてはまず、発表にあたって選ばれた日付が「8月14日」であり、「8月15日」でなかったことが検討に値する。日本が無条件降伏した 敏感な日である「8月15日」が故意に避けられ、8月15日に発表された「村山談話」と区別がはかられた根本的な目的は、日本が負うべき侵略戦争の罪の責 任を「安倍談話」において述べるべきであることを曖昧にし、「安倍談話」において誠意ある謝罪の言葉があるかという国際世論の注視をそらすことにある。

 次に、「安倍談話」において用いられた「侵略」と「植民地支配」というキーワードの表現は、非常に曖昧模糊としており、国際社会の信服を得られるもので はない。「安倍談話」はこのように述べている。「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解 決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」。「安倍談話」における侵略戦争と植民地支配に関する重要表現はこれに尽きる。安倍首相の目には、日本が行った侵略戦争と植民地支配が、侵略戦争とまったく関係 のない第三の国がどこかで起こった戦争を横から眺めるようなものに変わってしまっているのである。安倍首相の語る「侵略戦争」と「植民地支配」は、いったい誰が侵略戦争の発動者であり、侵略戦争においてはどの国が侵略され、どの国が植民と奴隷の如き酷使に遭い、どの国が侵略戦争と植民地支配の被害国である のかをはっきりと示すものではない。曖昧模糊とした文脈の中で、侵略国と被害国との境界は実質的には混同され、ぼかされている。侵略国と被害国との境界が 混同されることによって、第2次世界大戦のアジアにおける戦争の策源地であり、アジア侵略戦争の発動者であるという日本の凶暴な役どころもまた、徹底的に 曖昧にされ、見分けられなくなっている。

 さらに、「安倍談話」における「反省」と「お詫び」の記述もまた、日本政府が公式見解として示すべき「反省」と「お詫び」の誠意をはっきり伝えるものとなっていない。「安倍談話」はこのように述べている。「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」。「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の 子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」。

 こうした文言は、日本はもう何度も反省と謝罪を繰り返してきたのだ、日本に今生きている人々 やその子孫、先の世代の人々は反省と謝罪を繰り返し負う責任はないのだとの印象を与える。しかしこの言葉は次のような意味を暗に含んでいる。安倍首相自身 も戦後生まれの世代である(安倍首相は1954年生まれ)。ならば戦後生まれの日本の政治家やその他の人々は戦争には何らの関わりもなく、日本のかつての 侵略戦争の歴史と罪責を記憶する必要はない。侵略戦争をうやむやにしようが、美化しようが、否定しようが、戦後生まれとその子孫であることを口実にすれ ば、日本が「歴史修正主義」の茶番を再演しようとしているとの国際社会の批判をかわせる。

 それだけでなく「安倍談話」は、日本がアジア侵略戦争を起こした深層の内的要因に迫ることを完全に回避し、世界の大きな環境などの客観的な原因が日 本を侵略戦争の道へと駆り立てたことを強調するものである。「安倍談話」はその始まりにおいて、日本がアジア侵略戦争を発動する前の世界史を大きなスケー ルで次のように描き出して見せる。百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が広がっていた。植民地支配の波はアジアにも押し寄せた。その危機感が日本にとって近代化の原動力となった。日本はアジアで最初に立憲政治を打ち立てた。日露戦争は植民地支配を打ち破った。第1次世界大戦 後、悲惨な戦争を経て、新たな国際社会の潮流が生まれた。その後、世界恐慌が発生して日本経済は大きな打撃を受けた。外交的・経済的な行き詰まりに陥った日本は武力によって危機を解決しようとした。当時の日本国内の政治システムはその歯止めにならず、日本は世界の大勢を見失った。満州事変(中国で言われる 「九一八事変」)後、日本は国際連盟から脱退し、次第に、国際秩序への挑戦者となっていき、進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行った――。

 「安倍談話」のこの下りを読むと、安倍首相が物事の本質を置き換え、因果を逆転させ、責任逃れをしているとの印象を持たざるを得ない。歴史の事実は、中国を侵略する戦争を日本が自ら画策したことを裏付けている。しかし「安倍談話」の中では、当時の世界の客観的な環境が、経済危機を解決するために戦争を発動すること を日本に強いたということになっている。日本はこうして、戦争に突き進まざるを得なかった同情すべき国となり、侵略戦争の画策者であり発動者である日本の主体的な責任は完全に覆い隠されることとなる。「安倍談話」の施した入念なメーキャップは、日本がアジア侵略戦争を発動した罪の原因を雲散霧消させてしまうのである。

 「安倍談話」はさらに、「慰安婦問題」について、重きを避けて軽きに就くものであり、アジアの被害国の女性を深く傷つけた「慰安婦問題」を完全に回避するものとなっている。「安倍談話」はこう述べる。「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」。「名誉と尊厳を傷つけられた女性」とは一体どのような女性を指すのか。安倍首相はこれをはっきりと語ってはいない。この「女性」は、日本国内の女性を指し得るものでもあり、侵略を受けた国の数多くの無辜の被害女性を指し得るものでもあるが、安倍首相はこれが「慰安婦」を指すと言明してはいない。安倍首相はここで、「慰安婦問題」を故意に回避している。安倍首相は、「慰安婦問題」は非常に扱いづらく、日本と隣国との関係に深く影響する問題であることを知っている。さらに安倍首相自身と日本の右翼勢力は、慰安婦の強制徴用を日本が行ったことを明確に認めた「河野談話」の正当性を否定し続けてもいる。そこで「安倍談話」においては、「慰安婦問題」をできるだけうやむやにし、「慰安婦」の3文字を持ち出すことが避けられた。

 村山富市元首相が鋭く指摘するように、「安倍談話」は美辞麗句を並べ立てただけで、何を謝罪し、今後どうするかについて何ら説明していない。談話の焦点はぼけ、何を言わんとしているのか「さっぱりわからん」。まさにその通りである。「安倍談話」は、日本の右翼保守勢力の受け止めを十分に配慮し、日本を戦前のような「普通の国」にしようというこうした勢力の要求に合致するものであり、安保法案によって集団的自衛権を行使することを中心とした、安倍首相の推し進める「積極的平和主義」の理念を全力で鼓吹するものでしかない。

 「安倍談話」の真意については、安倍首相本人もはっきりと述べている。戦後70年談話の発表後の記者会見で、安倍首相は安保関連法案に触れ、「戦争を未然に防ぐための法案であり、政府は、国民の意見と批判にも真摯に耳を傾けながら、理解が深まるよう今後も努力を重ねる」と語った。

 安倍首相の言葉から読み取れるのは、「安倍談話」が、日本が今後、軍事力を大幅に行使できる国となるためのお膳立てとなる宣言にすぎない、ということである。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)(編集MA) ≫( 「人民網日本語版」2015年8月17日)

検証・安保法案 -- どこが憲法違反か
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●日本歴史の断絶、維新と敗戦 戦後の日本人と天皇

2015年08月17日 | 日記
東京プリズン (河出文庫)
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●日本歴史の断絶、維新と敗戦 戦後の日本人と天皇

以下は現代ビジネスの“GENDAISHINSHO Café”赤坂真理著の『愛と暴力の戦後とその後』の一部を紹介している。8月15日は過ぎたが、日本人永遠のテーマに、小説家として迫っている。読み物としても迫力があるが、考えさせてくれる命題をも提供している。引用が長いので、筆者のご託は本日は省略。興味のある方は、是非読んでみてください。筆者も、近々買っておこうかと思う。


「1」日本にとってアメリカとは何か
   〜戦後日本が抱えた無意識の屈折
【「日本とは何か。お前は何者だと問い詰めてくる。驚愕し、恐怖して読み終わった。こんな本は初めてだ」(鈴木邦男氏)、「いまの時期にこそふさわしい、戦後社会と民主主義について深く検討する本」(高橋源 一郎氏)、「自らの実感と経験に基づき、それでいて骨太な洞察にみちた、新たな戦後論」(宇野重規氏)…… 昨年刊行されるや絶賛の嵐で迎えられた赤坂真理さんの『愛と暴力の戦後とその後』より、第1章「母と沈黙と私」を特別公開!(全3回) 《日本一美しくて切ない8月15日論》です。】

母と沈黙と私(1)

■戦争の影

・1964年生まれの私が物心ついたときは、戦争など終わっていて影もかたちもなかった。まあ、普通にそうだ。と、言ってみたい。
・いや。影もかたちもなかった、というのは正しくない。
・影やヒントくらい、本当はあった。
・たとえば、小さな頃に新宿のガード下や上野の山にぽつぽつといた、傷痍軍人たち。腕のない人、脚のない人、包帯をした人、何割か混じっていたと、母が言う偽物。彼らは白装束で物乞いをしていた。いや、カーキの軍服だったか。たまにハーモニカを吹いていたり。なぜかと思うに口だけで演奏できる楽器だか らだろう。
・彼らは身一つしか持たぬにもかかわらずその身さえ欠けた、究極の持たざる者だった。もちろん、他意なく異形のものでもあった。だから私の中でそれは托鉢僧と見せものがいっしょくたになったような記憶になっている。
・あるいは親戚の集まりで、潰れるほどに呑んでは泣いて軍歌を歌い出すおじさん。酔うと説教混じりで屯田兵の話を決まってする人。叔父の海軍兵学校の 集まり。生徒として終戦を迎えた叔父たちに戦闘経験はなく、同期の欠けもなく、彼らは人一倍明るい人たちだったが、後年とりわけ愉快だった人が命を絶った。
・ただ、私の中でそういうものたちが歴史とつながらなかった。 私は東京の、戦前の郊外と言われた町で育った。育った家は、同級生たちの家からすると前時代的なつくりで、玄関を入ると脇がすぐ応接間だった。文化住宅によくあったつくりだ。
・そこに、よくわからない話をする親戚や知り合いたちはよく来たのだが、彼らは私たち子供とは隔離されていた。古いつくりが逆に、古いことと新しい世 代を切り離すのに役立っていた。親たちも社会も学校も、「子供はそういうことを考えず」勉強していればいいという態度を暗に明にとっていた。 ・私にとっては、もともと薄く断片的なことが忘れられても、最初からないような気しかしない。
・けれど、一度存在したものは、自動的にただ消えたりしない。
・彼らは一体どこへ消えたのだろう? どこへと、消されたのだろう? そして彼らが体現した不条理は? ・消された何か。それが巨大な負の質量として戻ってくるのは、他ならぬ自分の身の上に「つながらなさ」を抱えてしまい、そこからまたずいぶん経ってからのことだ。

■遠いアメリカ
・16歳のとき、自分の歴史がつながらなくなった。
・あまりの異物を、たったひとりで、突然見たからだと思う。処理しきれなかった、おそらくは。
・その異物の名を、アメリカと言う。
・幼少期からの世界は、切れた。
・その後の世界は、前と同じではなくなった。
・世界はおそらくは、主観的だけでなく客観的にも、変わってしまった。
・そして消化も排出もできないまま、アメリカは私の中で異物であり続けた。
・かなり後になって、30近くにもなって、友達になったアメリカ人男性に、こう言われたことがある。
・「へえ! 君の親もよくやったね。アメリカは、日本人の女の子を一人でやるには最も向かない国じゃないかな。度を越した(エクストラバガント)ところがあるもの。日本と違いすぎる。日本の女の子を一人でやるなら、イギリスがいいと思うねぇ」
・私は、「そのこと」を、アメリカ人が知っていることに驚いた。当のアメリカ人が当然のように言うそのことを、周りの日本人は全く言わなかったことに、あらためてショックを受けた。
・アメリカが心理的に我々と「最も近しい」外国で、そこがフレンドリーないい国と信じられているからこそ、中学を出た私の進学先に、アメリカという突飛なプランは突然、降って湧くことができたのだから。それはある時代以降の日本人の心の、ひとつの自然のようなものだった。
・しかし、アメリカこそは、そのほんの三十数年前まで、我々の最大の敵であり、私たちの国土と民間人の上に戦略爆撃や原子爆弾を降らせた国でもあるのだ。自国の人々がアメリカを受け取る、そのギャップは、私を戸惑わせ続けた。

■立ち止まる選択肢はなかった
・私がなぜアメリカに行ったのか、理由はひとつではない。ひとつにはそれは、日本側の問題である。
求められ、最も過酷な受験があり、それだけならまだしも、日本では「みんな一斉」に行われる進学や就職のタイミングから一度ずれてしまうことは、おそろしいことだ。それはシステム的な落ちこぼれと なることを意味し、回復がむずかしい。
・このことは、今でも変わらない。「就活」がうまくいかないと若者がひどく追い詰められた気分になるのは、そのためだ。一度引きこもった人が、出られなくなりやすくて長期化するのも、そのためだ。
・日本は、一度のつまずきで再起しにくいシステムの社会なのである。あるいは、セーフティネットをつくりながら発展する余裕がなかったのかもしれない。当時世界第2位になりつつあった経済大国なんて、そんなもんだ。
・それなりに平和で楽しかった中学2年生から中学3年生に上がったとき、周囲が一斉に一方向を向くのを私は感じた。と同時に周囲が殺気立ち始めた。
・それを思い出すとき私は、経験してもいない軍国主義というものを、思い浮かべることができる。軍靴の音というのを、感じ取ることができる。平和のスローガンの下で、リアルな体感は軍国主義のほうだった。そう、ラインの入り方まで寸分たがわぬ上履きで、行進するのだ。
・大多数がそれとなんとか折り合えても、たまに、そうできない者がいる。努力とは別の次元で、どうしても生理的にできないという者がいる。といって、表立って反抗するでもない子。私は、そんな子だった。
・立ち止まる選択肢は、しかし誰にも、大人にだって、用意されていなかった。

 ■異文化と思春期
・アメリカは日本と違いすぎる。
・同年代の少年はライフル銃を持って野生動物を撃ちに行き(原理的に考えれば教室で乱射だってできる)、ラウンジでは生徒同士のネッキングが日常的な光景で、ハイスクール主催の学年末のパーティ(プロム)には必ず男女のカップルにならなければ参加できない。誘われないのも誘った相手に拒絶されるのも、自分の性嗜好をそこで疑うのも、どれもおそろしい。アメリカのティーンを描いた作品にはよく、プロムがホラー体験として出てくる。ずばり『プロムナイト』 なんてホラーもある。
・どこか性じみていて、それでいて禁欲的な社会。皆がゆくゆくは、郊外のファミリーになるべきだという、性と倫理の誘導を感じる社会。
・それは、自由と言えば自由な雰囲気なのだけれど、勉強することと性的存在であることの両方を、社会に求められるのはつらいものだ。それこそが社会か ら承認される道であることを肌身で知ることは。異国の人間には、特に。自分の身の安全が確認できないところで、性的であることは、危険でありうるからであ る。
・ハイスクールという年代区分は、異文化の岩盤のような部分である。もはや性的に未文化ではなく、といって専門領域を持って個別にもなれない。文化の岩盤部分を生きるしかない存在。
・私はアメリカ以外の外国に住んだことはないが、ティーンエイジャーというのは、異文化の岩盤に入れられるには、最も適さない時期ではないかと、自分の体験から思う。
・私は結局アメリカでも、うまくやることができなかった。日本に帰ってきて、復帰がむずかしいとされる日本の進学体系の中に、なぜかまた入れたのだが、一年遅れた。若年で遅れるというのは、とてもいやなものである。
・後から思えば計画自体に問題がある。異文化と思春期の困難を軽く考えすぎてもいる。ただ、そのときは純粋に自分が悪いと考えた。自己責任で、自分のせいで失敗したと。
・16歳にして大きすぎる失敗をしたと感じた私は、この失敗をなかったことにしようと考えた。
・そこから、切れた。 ・後になって思えば、それは、ひとつの体験であって、それ以上でも以下でもない。失敗であったら失敗と認め、そこから学んで先に活かせばよい。それをなかったことにしようとしたほうが、つらかった。
・ただ、そう考えられる心的余裕も、時間的余裕も、私にはなく、問題の出発点から遠くなればなるほど、問題の表現はむずかしくなり、傍から見れば突飛な時期に、傍から見れば問題ない経歴で、私は壊れた。

 ■小説でしか書けなかった
・気がつくと30を過ぎていた私は、あるとき、全くの個人的体験だと思ってきたそのことが、どこか、日本の歴史そのものと重なるように思われた。私の 中に表現の種は受胎したのだが、それを育てることはなかなかできなかった。2000年代までかけて、なんとか、私個人と集合の、相似形の屈折のようなもの を表現しようとしたけれど、できなかった。
・それがひとつできたのは、2012年に書いた『東京プリズン』という小説だった。私は、小説でこの主題を書くとは思っていなかった。が、書いてみれば、それは小説でしか書きようのないことだった。
・評論や研究では、感情と論理をいっしょくたにすることはタブーである。しかし、日本人による日本の近現代史研究がどこか痒いところに手の届かないの は、それを語るとき多くの人が反射的に感情的になってしまうことこそが、評論や研究をむずかしくしているからだ。だとしたら、感情を、論理といっしょに動 くものとして扱わなければ、この件の真実に近づくことはできなかった。そしてそうできるメディアは、小説だった。
・日本の近現代の問題は、どこからどうアプローチしても、ほどなく、突き当たってしまうところがある。それが天皇。そして天皇が近代にどうつくられたかという問題。
・だが、天皇こそは、日本人が最も感情的になる主題なのである。もっと言えば、人々は、天皇の性に関して、天皇が「男である」ということに関して、最も感情的になる。さらに「国体=国のなりたち」が、男性的であるか否かをめぐって。
・日本の今の外交問題が危ういのは、その素朴さで意地の張り合いが行われているからである。人が根拠なく感情的になることこそは、強固なのである。
・私には、戦後の天皇は素朴な疑問であり続けた。
・なぜ、彼は罪を問われなかったのだろうと。
・なぜそれを問うてもいけないような空気があるのかと。
・最高責任者の罪を考えてもいけないというのは、どこかに心理的しわ寄せか空白をつくってしまう。
・正直に言うと私は、素朴に、天皇には戦争責任があると考える方だった。たとえ雇われ社長でもそのときの問題の責任を問われる。だったら天皇の戦争責 任が、考えられもせず、誰もが不問に付したというのは異常だった。ただしこれは、「王様は裸だ」と言うようなことだった。正攻法では立ち向かえず、なんら かの仕組みが要った。
・そこで、私はいかにもアメリカ的な方法論を小説に導入してみた。ディベートという、言論競技である。ある論題に対し、肯定か否定の立場のどちらかに強制的に立って、自分の立場の正しさを「立証」する。小説内ロールプレイとも言える。
・それをハイスクールの授業の一環ということにして、アメリカ北東部の、白人の多い保守的な小さな町で、ディベートのルールなど全く知らない、たった 一人の日本人留学生16歳を中心に行わせた。彼女とその周囲のアメリカ人が、同盟か敵対の関係を組みながら、相手陣営に対する自陣営の正しさを「立証」す る。
・論題は、「昭和天皇は戦争犯罪人である」 断定しているのではなく、肯定形で出すのが論題なのだ。これに対して、肯定の立場と否定の立場で、論理ゲームをする。それは言論をもってするスポー ツに近い、ゲームである。が、実際の法廷も、これと限りなく近い。弁護人が途中で考えを変えて検察に回ったりすることはできない。スポーツでゲーム中に所 属チームを代わったりできないように。
・否定派が心情に反する肯定に立たされたりしたとき、見えてくるものがあると思ったのである。こうすることで感情から自由になれまいかと思ったのである。これを、ふたたび行われる東京裁判に見立て、私は書いた。
・果たして、そこで浮かび上がってきたのは、自分自身にさえ思いがけなかった、自分の感情だった。


 「2」なぜ原爆投下による民間人大虐殺は罪に問われないのか?
   〜日本人に埋め込まれた「2つの思考停止」
【真珠湾攻撃をやったから、原爆を落とされても文句は言えない? なぜ天皇は戦争責任を問われずにすんだの? 作家・赤坂真理さんが、東京裁判に関わった母親との会話から、日本人に埋め込まれた「2つの思考停止」を明かします。 *戦後論の新たな地平を切り拓いた赤坂真理さんの『愛と暴力の戦後とその後』より、第1章「母と沈黙と私」を特別公開!(第2回)】

 ■謎解きの糸口
・「ママはね、東京裁判の通訳をしたことがあるの」
・2002年に99歳で死んだ祖母が、私の母親についてこんなことを言ったのは、たしか1997年だった。11月くらいの小春日和だったか、それとも本当に春の風の凪いだ日だったか。とにかく明るくて穏やかな日だった。
・祖母にとって私の母とは、もちろん、娘だ。が、日本の家庭によくある、家族のいちばん小さき者の目線から見た呼称を、祖母もまた使った。人は老いると弱く小さくなる。だから娘をママと呼ぶのは、その頃にはなんとなく理にかなっているようにも思えることがあった。
・ときどき「ママ」と呼ぶ祖母の声がすがるように響いたり、母が苛立って見えたりするとき、その関係は、母と祖母の間にあった「何か」を、逆転したり、かたちを変えて再現したりしているようにも、思えた。
・そこには、どこにでもある親子の葛藤と、彼女たちにしかわからない個別の事情や断絶が、あったのだと思う。明治と昭和の間にある、生活や価値観の断絶は、私の想像など及ばないことだろう。当人同士にだって、話し合うのがむずかしかったかもしれない。
・しかし。 祖母のその話が突拍子がなさすぎた。年齢的にも母ではその任は若すぎるはずだった。とっさに計算する。10代という答えしか出てこなかった。
・「え?」
・うろたえる私に対して、
・「味方を裁くことだから、つらかったみたいよ」 と、なんともおっとり、祖母は言った。そして笑みを浮かべた。
・早起きして練習するのはつらかったみたいよ、とでも言うように。 これは、謎の始まりではない。
・私が長い間抱えてきた謎の感じの、ひとつの解だと、聞いたそのときどこかでわかっていた。そして、これによってわかることより、わからないということそのものを、より多く私は知るだろうと。

 ■母の記憶
・母は私の問いを最初は取り合わず、私が食い下がると、誇張があるのだと言った。
・「おばあちゃまの記憶の中で誇張が起きているの」
・母もまた、ごくふつうに、私の目から見た関係性で、自分の母を、おばあちゃまと言う。
・そこから出てきた話とは、こんな感じだ。
・「女子大の英文科にいたとき、何かの関係で、津田塾を出た人と知り合って、その人の家に行ったら、こういうのを訳してみない? と」
・と……と、母は語尾を濁した。
・「つまりは翻訳だ?」
「ええ」
「裁判資料を?」
「たぶん」
「その人の家はどこ?」
「巣鴨プリズンの近く」
・巣鴨プリズンは、今の池袋サンシャインである。
「東中野から新宿に出て池袋?」
「下落合からよ。すぐ高田馬場に出られるもの」
・母が結婚するまで住んでいた家族の家は、新宿区下落合にあって、当時の家に近い順に北から、西武新宿線下落合駅、東西線落合駅、JR(国鉄)東中野駅と、南北に直列するように駅が三つある。東西線は、母の独身時には通っていなかった。
・「どうしてその人の家へ行ったの?」
「わからない。面白そうならばどこでも行ったのよ」 その気持ちはよくわかる。母も一人の健康な若い人間だったのだ。
「その巣鴨プリズンの近くの家はどんなだった?」
「焼け残ったのか、バラックだったのか……」
「そこで東京裁判の資料を見たの?」
「そこでだったか、マッジ・ホールというところだったか……」
「マッジ・ホール?」
「千駄ケ谷の駅前にマッジ・ホールというGHQ関連の建物があって」
「どんな?」
「古い洋館……。そこに出入りしていた人の関係だったかもしれない」
「でもなぜ、そんな機密書類に属するものが、一介の女子大生に降りてくるの?」
「当時は英語を勉強していた人が少なかったからだろうし、そんなに大事なものだったかはわからない」
「どんな内容だったか覚えてる?」
「覚えていない。ぜんぜん」
・GHQの側からのものであれば、検察資料だろうと推測できる。「味方を裁くこと」という祖母の認識と合致する。GHQ側のものであるなら、日本人戦犯の調書やそれに類するものであった蓋然性が高い。 ・母は、問われもしないのにこう言い捨てた。それは、これ以上語ることは何もない、というサインだった。 「下っ端よ、下っ端。BC戦犯」

 ■ふたつの思考停止
・「A級戦犯が大物であり、いちばん悪い」という誤解は、アメリカが自国のプレスにした説明が簡略化されすぎていたから、という説がある。A級戦犯は国家指導者であり、B級戦犯は現場の、というように。
・ちなみにC級=人道に対する罪は、ナチス版東京裁判ともいうべきニュルンベルク裁判での(というか東京裁判が東京版ニュルンベルク裁判なのだが)「ホロコースト」に相当するもので、日本での該当者はほとんどいなかった。
・B級は、通常の戦争犯罪、たとえば捕虜の虐待や民間人の殺戮で、当時の国際法で禁じられていた行為への違反である。従来、軍事法廷(東京裁判も軍事法廷である)で裁かれる戦争犯罪と言えば、これだけだった。
・通常の戦争犯罪以外に「平和に対する罪=A級」や「人道に対する罪=C級」があるというのは、第二次世界大戦後の概念であり、戦争史上の一大発明ではないかと思う。
・「ねえママ、民間人の虐殺ということなら、広島や長崎への原爆や、東京大空襲のほうが、全くの非道だとは、思わない?」
・仮に8月6日以前にポツダム宣言を受諾しても、原爆は投下されたとする考えがある。米議会の承認を得ずに莫大な予算を投じた原子爆弾は、使わなければ終戦後に議会の追及を受けるから、というものだ。
・その真偽はともかくとして原子爆弾の使用は民間人の無差別殺戮であり、通常の(従来からの)戦争犯罪を記した国際法に抵触する。B級戦犯、いやもし かしたらナチスのホロコーストにたとえられるC級戦争犯罪、「人道に対する罪」と言ってもいいかもしれない。東京大空襲もしかりである。市街地の、まず避 難路をなくすように爆撃してから中心地を爆撃して「蒸し焼き」にする。
・「うん……でも、『お前ら真珠湾やったじゃないか』と言われたら、仕方ないわ」 と母は言う。
・「なぜ仕方ないの? 宣戦布告しない戦争の例はたくさんあるし、それに対していちいち怒り狂った国ってのは少ないよ。真珠湾は軍事施設への正確なピンポイント爆撃なのだし、絶対悪とみなすいわれはどこにもない」
・私は返す。
「なぜって……」 母は口ごもる。ここでも、時間と思考が止まっている。 私は質問を変えてみる。 「じゃあ天皇に戦争責任はあると思う?」
「天皇陛下を裁いたら日本がめちゃくちゃになったわ!」 どうして、ここだけ即答なのだろう? しかも論点がずれてる。
「なぜ?」 私は問う。
「なぜってそうなのよ」
・母がきっぱりするのは、このふたつの時だ。ひとつは真珠湾攻撃がとにかく問答無用で悪いと言う時、もうひとつは、天皇ないし天皇制は守るべきに決まっていたと言う時。
・自分の母親はどちらかと言えばリベラルなのだと思っている私は、これを聞くと何かひどくびっくりしてしまう。

■私たちは忘れすぎた
・『東京プリズン』を書く途上でわかったのは、しかしこの論点のずらし方こそが、東京裁判で勝者によって意図的に行われたことだということだった。それは私にとって、びっくり以上のものがあった。
・一体それはどういう法廷だったのか、そもそも「法廷」だったのか、という気持ちだ。
・天皇が当時、国家と戦争の最高指導者であったことは誰にも疑えない。右翼であっても、いや右翼であればなお、疑えない。だとしたら、誰でも心情はと もあれ論理面では、最高指導者に責任があるということはわかるはずだ。その責任が問われなかったら、他のすべても免責されることになる。
・天皇を訴追しないことは実は、最初からGHQが決めていたことだった。そんなことは、言われるまでもなく知っていたよという読者も多いだろうが、私 はこの日本で普通の教育を受けて大学まで行って、それを最近まで知らなかったから、日本人の中の下くらいのごく普通の知的レベルの人間として、そのことを隠さずにいたいし、とにかく、驚いたのだ。しかも日本側は当初そのことを知らない。
・天皇を訴追しないことになったその理由は、私の母に言わせれば「マッカーサーが昭和天皇の人柄に心を打たれたから」なのであるが、そしてこれもかなり流布した言説なのだが、残念ながらちょっといい小咄の域を出ないだろうと思う。
・そう、天皇制を温存したほうがアメリカにメリットがあったのである。
・ちなみに、アメリカ人の正義の旗印とされた「真珠湾だまし討ちしたんだから日本が悪い、『リメンバー・パールハーバー』」だけれど、当のGHQが主 宰した極東国際軍事裁判(東京裁判)で、「だまし討ちではない」という判決が出ている。「だまし討ち」の論拠は、「宣戦布告から攻撃まで時間をおかなけれ ばならない」というハーグ条約の取り決めの中にある。だけれど、その条約に「どのくらい時間をおく」という記載がなく、「条約自体に構造欠陥がある」とみ なされたため。
・日本人は、覚えておかなければならないことも忘れすぎた。というより不問に付しすぎた。


「3」なぜ日本人は昭和天皇を裁けなかったのか
【特別公開】赤坂真理『愛と暴力の戦後とその後』3
【敗戦後のドイツにはヒトラーという”絶対悪”があった。しかし、日本の戦後は違う。誰もが加害意識と被害意識を持ち、天皇が戦争責任を問われることもなかった。日本人にとって昭和天皇とは何だったのか? なぜ天皇を(心の中でさえ)裁けなかったのか? 
*戦後論の新たな地平を切り拓いた赤坂真理さんの『愛と暴力の戦後とその後』より、第1章「母と沈黙と私」を特別公開! 「日本一美しくて切ない8月15日論」です。】

 ■北京オリンピックの夏
 マスメディア、特にテレビが8月に季語兼良心の証のように言う「戦争」と「終戦」関連の話題がめっきり少なくなった分水嶺は、私見では北京オリンピックのあった2008年の夏だ。
 それどころではなくなったというところなのだろう。
 世界第2位の経済大国という戦後唯一とも言えるアイデンティティが、揺るがされ始めた、その象徴を、あの夏に日本人は見たのである。
 だがしかし、不思議な話だ。中国に、今さら抜かれたわけじゃない。
  古代からの大国、中国。中国文化こそを優れたものと昔の日本人は考えていた。
 そして現在私たちが脅威に、あるいは恐怖視さえしている「理解不能の友人」中国共産党、それこそが、日本の戦後復興の「恩人」であった可能性が高 い。なぜなら、中国が今の共産党でなく自由主義の中国国民党の政権であったなら、アメリカは戦後、中国と直接交渉をし、小島のような日本のことなど、さしたる興味も持たなかったはずである。
 もともと、中国の利権をめぐっての交渉が決裂したのが日米開戦である。だとしたらメインの関心事は中国であって、それがなかったとしたら、アメリカ は日本の一国占領にこだわらなかっただろうし(たぶん)、日本はアメリカとソ連の分割統治になったのが自然な成り行きではないだろうか。朝鮮半島のように。ドイツのように。そうしたら日本の今の姿はなかったはずだ。
 ソ連があり中国共産党があったために、日本はアジアの要石となった。中国以外のアジアの国々で、冷戦の打撃を受けなかったのはほとんど日本だけで、それは、冷戦の一翼のほうに守られていたからだ。
  北京オリンピックの2008年。世界的に見れば、それが戦争の疲弊とその後の冷戦構造に巻き込まれ翻弄され続けた国々が、ほんとうの意味で復興してくるタイミングだったかもしれない。世界的には、そのころやっと、「戦後は終わってきた」のかもしれない。
  地球的規模のひとつの総力戦とその余波、半永久に続くかと思われる喪失や悲しみや憎しみやその連鎖、そういったものから人々が本当の意味で立ち上がって前を向けるためには、本来そのくらいの時間がかかるのかもしれない。
 そしてそのころ日本は、「戦後」の終わりを終えつつあり、下降へ向かい始めた。それはアメリカも同じことだけれど、両者とも、本質的な手は打たな かった感じがする。アメリカは対テロ戦争に我を失っている間に、リーマン・ショックを浴びた。こう書いていると、北京オリンピックとリーマン・ショックが同じ年の一ヵ月ちがいであったことに、あらためて驚く。

 ■昭和天皇という存在
  2011年は、3月の時点ですでに、「戦後」の終わりがフラッシュバックしていて、「戦後」の終わりの終わりを感じさせていた。そう思えなくもない。むろん後から見ればの話だが。
 東日本大震災の後の購買・花見などの「自粛の呼びかけ」は、私に、元号の変わり目、つまり昭和天皇の危篤から崩御とその後の「自粛」を思い出させた。
  1989年は、ベルリンの壁崩壊(壁破壊と言った方が正しいんじゃないかと思うが)が成った年であり、いわば日本を庇護してきたあの冷戦の、ひとつの大きな象徴が消滅した年だった。同じ年に中国ではこの逆のような天安門事件が起き、日本のエンペラーが崩御した。エンペラーとは対外的な呼称だけれど、 考えると変だ。彼は皇帝(エンペラー)ではないのだから。
  ベルリンの壁崩壊とは、「こうもありえた日本の戦後」が終わろうとする姿だったかもしれない。分割統治は、本当にありえたのだから。が、日本人はそんなふうには考えなかった。ベルリンの壁など遠いことだった。日本はバブル景気のピークだった。
 本当は、バブル景気の陰で、戦後はしめやかに終わり始めていたのかもしれない。「奇跡の復興劇」はもう、終わりかけていたのかもしれない。 奇跡の復興劇を支えたのは、そのいちばんの底の部分は、もしかしたらあの人の、生きて在ることだったのではないか。
 ふとそんなことを口走りたくなるほど、昭和天皇というのは、よじれがそのまま一個の肉体となったような存在であった。
 論理的には罪を問われるべき人が罪を問われない場合、その人はよじれそのもののような存在となる。そこに人々は、自分の罪が支えられて押しとどめられているのを、無言のうちに見ていたのではないか。
  私の母は、軍国主義を信じていた子供の自分を嫌悪している、という意味のことをぽつりと言ったことがある。それと「天皇陛下を裁いたら日本がめちゃくちゃになった」と言う彼女は、同じ人であり、どこかが解離している。巨大な空白のようなものがある。
  戦争を知る多くの人にその空白があったろう。傷とはまた別の、空白、断絶。
彼らの空白を、昭和天皇は引き受けていたのではないかと思うことがある。
あるいは、彼らが、天皇に仮託したのだ。

 ■沈黙の理由
 母は、東京裁判の文書を見たという話のとき、こう言い放った。(第2回参照)
 「BC級だから下っ端よ」
 そのときは聞き流していた言葉に、別の側面があるかもしれないと思えたのは最近のことだ。
  BC級の文書をもし仮に見たのであれば、それはむしろ、そちらのほうがつらいことだったかもしれない。なぜならBC級戦犯の文書とは、ごくふつうの日本人の行った非道な行為であり、そちらの方が残虐だった。
 上の命令だったという人、「空気」に逆らえなかったという人、出世したかっただけの人、いじめられたくなかっただけの人、恐怖や不安に駆られた人……今の私たちともどこも変わらないようなふつうの人たち、どちらかと言えば小心で人を害するなど考えもつかなかったような人たちが、極限と閉塞のなかでどうなっていったかということがそこには克明に書かれている。その人たちに起こったのなら、今でもいつでも誰にでも、一定の条件で起こりうることとして。
 これは、今母に確かめたところで、記憶も答えもないことだが。
 そういう膨大な罪の記憶、恥の記憶、それと同時に被害の記憶、被害を被害と言えないつらさ、生き残った者の罪悪感、などなど、そういうよじれがあるとしたら、地を埋め尽くして足りないほどであるに違いない。
 人々は、被害者でもあり加害者でもある自らの姿を、ひとつの象徴として、昭和天皇に見たのではないだろうか。
  ならば、だからこそ、心の中でも、天皇を裁けなかったのではなかろうか。 自分も、免罪されるほどに罪のない存在だとは思えないから。 だから、黙った。
 誰にも内面を覗かれないようにした。
 そのとき、かの人の生身の肉体は、生き残った者たちの免罪符そのものとなり、同時に、無数とも言える生き恥を、代わってさらしてくれるものだったのではないだろうか?
 私の両親は仲がよかったのに、お互いにそれぞれのことにかまけすぎた。接点のない日常に身を浸しすぎていた。それは、同じ秘密を持つ同士が、それを覗き込まずにいられるためのすべだったのではないかと思うことがある。
  高度経済成長期にかけて確立された「専業システム」、つまり専業主婦に専業収入獲得者に専業子供、という日本の家族のあり方には、まずは戦争由来の 秘密があったように思えてならない。誰もが、秘密を見られないようにするためには、人の秘密を見ていないし見る暇もないという行動様式を取る必要があったのではないか。

■歴史なしに生きていけるのか
  こう書いてみて、母娘の会話とその断線の中に、戦争と戦後のキーワードと、国内における通俗的パブリック・イメージのほとんどが知らず知らずに出てきていたのに驚いている。
 「戦争」とか「あの戦争」と言ってみるとき、一般的な日本人の内面に描き出される最大公約数を出してみるとする。
 それは真珠湾に始まり、広島・長崎で終わり、東京裁判があって、そのあとは考えない。天皇の名のもとの戦争であり大惨禍であったが、天皇は悪くない! 終わり。
  真珠湾が原爆になって返ってきて、文句は言えない。いささか極論だが、そう言うこともできる。でもいずれにしても天皇は悪くない! 終わり。
 その前の中国との十五年戦争のことも語られなければ、そのあとは、いきなり民主主義に接続されて、人はそれさえ覚えていればいいのだということに なった。平和と民主主義はセットであり、とりわけ平和は疑ってはいけないもので、そのためには戦争のことを考えてはいけない。誰が言い出すともなく、皆がそうした。
  それでこの国では、特別に関心を持って勉強しない限りは、近現代史はわからないようになっていた。私は大学を出たけれど、それだけでは近現代史は何も知らない。それは教育の自殺行為でもあったのだけれど。
 しかし、ひとつの国や民族が、これほどに歴史なしに生きていけるのだろうか?
  私の国の戦後は、人間心理の無意識な実験のようである。
  どれだけ歴史を忘れてやっていけるか。
  その実験が、六十年以上経って、失敗とわかりはじめた。人間にはそんなことはできない。そうわかりはじめたけれども、その頃には「実験」の「仮定」 に依存しすぎた仕組みをつくっていたし、忘れる努力をしたせいで、何が起きたか本当に知らない世代も大量に生まれ、わけがわからないままに神経症や鬱になった。
 「実験」の中で成長した世代の痛みが、それを始めた世代にわかるだろうか?
 副作用のほうが、主作用よりましなのだろうか?
 彼らが痛みを語らなかったように、私たちの痛みと彼らをつなぐ言語も、これまでなかった。
  母が私にした話の中に、ひとつ、面白い場所がある。千駄ケ谷のマッジ・ホールというところだ。これは、政権の座を明け渡した徳川家が明治に住んだ屋敷をGHQが接収したもので、あの大河ドラマで大人気になった天璋院篤姫が晩年を過ごした場所でもある。
  つまりは、私たちは、何代か遡ればすぐ江戸時代に到達してしまうのに、江戸時代をまったく断絶した共感不能なものとして感じている。マッジ・ホール がすでに、江戸と明治の断絶の象徴のようにそこにあったのだが、そこに通った昭和の人間は、すでにそれに思いを馳せることはできなかった。
  私たちの現在は、明治維新と第二次世界大戦後と、少なくとも二度、大きな断絶を経験していて、それ以前と以後をつなぐことがむずかしい。
  私たちの立っている場所がそういうところであるということだけは、せめて、覚えて語り継ぐべきなのではないだろうか。
  「語り継ぐ」とは、戦争体験の枕詞のように言われる言葉だ。
  けれど、「語り継ぐ」べき最初の認識は、まずなんなのか?
 「自分たちが、自分たち自身と切れている」ということではないのか。

 ■心の防御メカニズム
「ねえママ、言っておきたいんだけど」
 と、2011年の8月15日、昼の日盛りに妙な衝動にかられて炎天下で母に電話する。
  「『真珠湾はだまし討ちではない』という判決が、東京裁判で下りているのよ」
  「そうなの……?」
 受話器の向こうで母は言う。その言葉に抑揚も個人的な感情表現もない。
  しかし、私は卒然とさとる。
 なぜ、気づいてやれなかったのだろう? あまりにつらいことだと、人はそれを他人事のように語る。自分のことと思ったら痛すぎるから。痛すぎて生きていけないから。
  自分もいちばんつらいことは、そうしたじゃないか。
 自分のことを他人事のように語ろうとすること、感じようとすること。それこそ、精神医学的に「解離」と呼ばれる心の防御メカニズムなのだ。
  自分のなかに横たわる、自分との断絶、解離。
 それは親たちのものでもあった。
 親たちのそれを、気づいてやれなかった罪は私にもある。
 夏の光は明るく残酷だ。
 それにさらされて、電話で気取られないように、私は泣く。
 「でも」
 母は言う。
  「やっぱり真珠湾のことを言われたら、何も言えないわ」
  「だから……」
  言い募っても無駄だと私はわかっている。
  喉から漏れ出そうな声を殺す。ただ蝉たちだけが、耳を聾(ろう)するほどに。 8月15日。 〜第1章 母と沈黙と私(了)


* 赤坂真理(あかさか まり) 1964年、東京生まれ。作家。1990年に別件で行ったバイト面接で、なぜかアート誌の編集長を任され、つとめた。編集長として働いているとき自分にも 原稿を発注しようと思い立ち、小説を書いて、95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の 涙』『ミューズ/コーリング』(ともに河出文庫)、『モテたい理由』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。神話、秘教的世界、音楽、そして日々を味わうことを、愛している。


愛と暴力の戦後とその後 (講談社現代新書)
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