小説 琉球処分(上) (講談社文庫) | |
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●辺野古・原発推進・消費税 安倍への追い風がやみ、凪も去り、逆風が吹きはじめた
先ず、はじめに安倍官邸の大混乱ぶりを紹介しておこう。本日の見出の通り、あらゆる面から、安倍政権に逆風が吹きはじめた。“午の年”は尻下がりと言われているが、まさに正鵠を射る喩えである、恭悦至極。沖縄県への傍若無人な日本政府と米国防省の傲慢過ぎる「待ったなし」連発に、沖縄県議会のみならず、世界の識者と文化人からも、疑義が呈された。ニューヨークタイムズに至っては、安倍叩きが社是にでもなっているくらいの激しさで、安倍政権の右傾化を詰っている。特に中韓身贔屓という姿勢でもない。
こんな安倍晋三が、ダボス会議に出席、講演をすると云う。これ以上我が国の恥など晒すこともあるまい。さっさとアフリカのごちそうでも食べて、サッサと蟄居の上、自宅謹慎せよ(笑)。靖国参拝が、これほどまでに米国や世界から反発を喰らうとは、想像もしていなかったのだろうけど、歴史認識及び、日本の立ち位置を勘違いした連中を掻き集めて、イエスマン集団を形成した以上、こういう重大な選択ミスは起きるものである。おそらく、安倍晋三は年貢の納め時を、何時にするのか考えざるを得なくなるだろう。気の毒と云うより、絵にかいたような自業自得図である。
小泉の脱原発旋風に怖じ気づき、菅官房長官は「エネルギー基本計画」を今月中に閣議決定するつもりだったが、来月に先延ばししてしまった。一旦、エネルギーの基本は原発だと云う強硬路線の扱いで腰が引けてきたというところだろう。ところで、マスメディアは都知事選一色になりかけているが、世界は、安倍晋三の靖国参拝の次に、日本政府及び米国務省の辺野古埋め立て恫喝容認に対し、厳しい言葉を投げかけている。その上、沖縄県議会が、県政史上初めて県知事の辞任要求を決議した。見事である。その心意気を徹頭徹尾貫徹して頂きたいものである。知らなかったが、名護市議会、那覇市議会共に、辺野古埋め立て容認への抗議の意見書を賛成多数で可決している。安倍の前に仲井真は老醜晒さず、明日にでも辞任すべきだ。
面白いもので、靖国参拝が安倍政権のすべてをオジャンにする愚挙であったことは明確で、もう取り返しようはなくなったと見るべき状況だ。いまだに、アーミテージの言説に縋りつくような時代遅れなことをしているようでは、事柄の解決が快方に向かう筈もない。世界の識者、文化人は「沖縄・海兵隊基地建設」にたいする日・米・沖縄県の合意に、激しい非難声明を発表した。以下は、Peace Philosophy Centreさんが和訳して報道してくれた記事である。
≪ 世界の識者と文化人による、沖縄の海兵隊基地建設にむけての合意への非難声明: オリバー・ストーン、ノーム・チョムスキー、ジョン・ダワーら プレス・リリース 世界の識者と文化人による、沖縄の海兵隊基地建設にむけての合意への非難声明 2013年1月7日
即日発表
問い合わせ、取材先は Joseph Gerson:(ジョセフ・ガーソン) : 1-617-661-6130/JGeson@afsc.org Peter Kuznick(ピーター・カズニック):1-202-885-2408/ pkuznick@aol.com Gavan McCormack(ガバン・マコーマック): 61-2-6125-3164/ gavan.mccormack@anu.edu.au (マコーマック氏は日本語による取材可能)
米国、カナダ、欧州、オーストラリアの識者と文化人は本日付で、添付した書類にあるように、沖縄・宜野湾市の中央に位置する普天間海兵隊飛行場の代替施設として日米政府が計画している辺野古の米海兵隊新基地の建設に反対する声明を発表した。この声明は「沖縄の人々による平和と尊厳、人権と環境保護のための 非暴力のたたかいを支持する」と呼びかけている。
呼びかけ人として、言語学者ノーム・チョムスキー、アカデミー賞受賞映画監督のオリバー・ストーンとマイケル・ムーア、ノーベル平和賞受賞者マイレッド・ マグワイア、歴史学者ジョン・ダワー、元陸軍大佐・外交官のアン・ライト、国連のパレスチナ問題特別報告者リチャード・フォーク等が連名している。(声明 文にある呼びかけ人全員のリストを参照。今後も賛同を募る。)
呼びかけ人を代表して、アメリカン・フレンズ・サービス委員会のジョセフ・ガーソン氏(沖縄で基地に反対する人々と連携し、少女暴行事件を受けて1996年に「激怒と痛恨の声明」を発表した)は、今回の声明の意図は「沖縄の人々による、70年にも及ぶ軍事植民地化を終わらせ、自らの尊厳と人権を守り、平和と環境保護を確保するための、勇気づけられる大切な非暴力運動への国際的支援を集める」ことであると述べた。
『語られない米国史』(邦題『オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史』)をオリバー・ストーン監督と共著したアメリカン大学のピーター・カズニッ ク教授は、仲井真弘多沖縄県知事による沖縄の有権者の裏切りを非難した。「選挙運動時、仲井真氏は普天間基地の県外移設に取り組むと約束した。今回の知事の決定について、世論調査では72.4%の県民が『公約違反』と言っている」とカズニック氏は語った。
「米国と、日本の安倍晋三首相の強い要請により取引が行われた。オバマの『アジア回帰』を前進させるために沖縄の人々の権利を踏みにじるものである。」 この声明は沖縄の迫害と搾取の歴史を振り返る。
最初は日本による侵攻と併合、その後は米国の太平洋における覇権的利益を支えるためであった。国土の1%にも満たない土地に日本の米軍専用基地の73.8%が集中するという不当性を指摘する。署名者たちはまた、沖縄の人々が70年にもわたって「米国独立宣言が糾弾する『権力の濫用や強奪』に苦しめられ続けて」おり、「その例として同宣言が指摘する『議会による同意なしの常備軍の駐留』」があると指摘している。
『抵抗する島々:沖縄は日本と米国に立ち向かう』(邦題『沖縄の〈怒〉‐日米への抵抗』)を乗松聡子と共著したオーストラリア国立大学のガバン・マコーマック教授は、「基地に起因する事故、性暴行を含む数々の犯罪、それらに対し米軍が十分に責任を問われないこと、耐え難い軍用機の騒音、化学物質による環境汚染」など、沖縄の人々の命と生活、健康を脅かす基地被害について語った。「長年の軍事占領にようやく終止符を打ち、本当の安全を享受するための沖縄の人々の勇敢でたゆまぬたたかいは、世界の人々の支持を受けるに値するものである。」
(この後声明が続く)
声明
私たちは沖縄県内の新基地建設に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のためにたたかう沖縄の人々を支持します。
私たち署名者一同は、2013年末に安倍晋三首相と仲井真弘多沖縄県知事の間でかわされた、人間と環境を犠牲にして沖縄の軍事植民地状態を深化し拡大させるための取り決めに反対します。安倍首相は経済振興をエサに、軍港をともなう大型の海兵隊航空基地を作るために沖縄北東部の辺野古沿岸を埋め立てる承認 を仲井真知事から引き出しました。
辺野古に基地を作る計画は1960年代からありました。それが1996年に掘り起こされ、前年に起こった少女暴行事件もあり当時沖縄で最高潮に達していた反米軍基地感情を鎮めるために、日米政府は、宜野湾市の真ん中にある普天間基地を閉鎖して、辺野古の新基地にその機能を移転させようと計画しました。辺野古は稀に見る生物多様性を抱え、絶滅の危機にある海洋哺乳動物、ジュゴンが棲息する地域です。
仲井真知事の埋め立て承認は沖縄県民の民意を反映したものではありません。知事は2010年の知事選直前に、それまでの新基地容認姿勢を変更し、「普天間基地移設は県外に求める」と言って、新基地反対で一貫していた候補を破って当選しました。近年の世論調査では県民の辺野古新基地への反対は7割から9割に上っていました。今回の仲井真知事埋め立て承認直後の世論調査では、沖縄県民の72.4%が知事の決定を「公約違反」と言っています。埋め立て承認は沖縄県民に対する裏切りだったのです。
在日米軍専用基地面積の73.8%は日本国全体の面積の0.6%しかない沖縄県に置かれ、沖縄本島の18.3%は米軍に占拠されています。普天間基地は そもそも1945年の沖縄戦のさ中、米軍が本土決戦に備え、住民の土地を奪って作りました。終戦後返還されるべきであったのに、戦後70年近く経っても米 軍は保持したままです。したがって、返還に条件がつくことは本来的に許されないことなのです。
今回の合意は長年の沖縄の人々の苦しみを恒久化させることにもつながります。沖縄は、日本による17世紀初の侵略に始まり、19世紀末の日本国への強制併合を経て、1944年には、米軍の襲撃を控え、天皇制を守るための時間稼ぎの要塞とされました。沖縄戦では10万人以上、住民の4分の1にあたる人々が殺されました。戦後、米軍政下において基地はさらに増えました。沖縄は1972年に日本に「返還」されたものの、基地がなくなるとの沖縄住民の希望は打ち砕かれました。そして今日も、沖縄県民は基地の存在によってひき起こされる犯罪、事件、デシベル数の高い航空機の騒音や、環境汚染による被害を受け続けています。戦後ずっと、沖縄の人々は米国独立宣言が糾弾する「権力の濫用や強奪」に苦しめられ続けています。その例として同宣言が指摘する「われわれの議会による同意なしの常備軍の駐留」もあてはまります。
沖縄の人々は、米国の20世紀における公民権運動に見られたように、軍事植民地状態を終わらせるために非暴力のたたかいを続けてきました。生活を脅かす 実弾砲撃訓練に対し演習場に突入して阻止したり、米軍基地のまわりに人間の鎖を作って抵抗を表現したりしました。大規模なデモが時折持たれ、約10万人- 人口の10分の1にもあたる人々が参加してきています。80代の人たちが辺野古基地建設を阻止するために立ち上がり、座り込みは何年も続いています。県議 会は辺野古基地反対の決議を通し、2013年1月には全41市町村首長が、オスプレイ配備撤回と県内移設基地の建設を断念するよう政府に求める建白書に署名しました。
私たちは、沖縄の人々による平和と尊厳、人権と環境保護のための非暴力のたたかいを支持します。辺野古の海兵隊基地建設は中止すべきであり、普天間は沖縄の人々に直ちに返すべきです。
2014年1月
ノーマン・バーンボーム: ジョージタウン大学名誉教授 ハーバート・ビクス: ニューヨーク州立大ビンガムトン校歴史学・社会学名誉教授
ライナー・ブラウン: 国際平和ビューロー(IPB)共同代表、国際反核兵器法律家協会(IALANA)事務局長
ノーム・チョムスキー: マサチューセッツ工科大学言語学名誉教授
ジョン・W・ダワー: マサチューセッツ工科大学歴史学名誉教授
アレクシス・ダデン: コネチカット大学歴史学教授
ダニエル・エルズバーグ: 核時代平和財団(Nuclear Age Peace Foundation)上級研究員、元国防総省・国務省職員
ジョン・フェファー : 政策研究所(IPS)「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」(fpif.org) 共同代表
ブルース・ギャグノン: 「宇宙への兵器と核エネルギーの配備に反対する地球ネット」コーディネーター
ジョセフ・ガーソン: 「アメリカン・フレンズ・サービス委員会」平和と経済の安全保障プログラム部長、政治学・国際安全保障学博士
リチャード・フォーク: プリンストン大学国際法名誉教授
ノーマ・フィールド: シカゴ大学東アジア言語文明学部名誉教授
ケイト・ハドソン: 核軍縮キャンペーン事務局長
キャサリン・ルッツ: ブラウン大学人類学・国際問題学教授
ナオミ・クライン: 著述家、ジャーナリスト
ジョイ・コガワ: 作家、『オバサン』(和訳『失われた祖国』)著者
ピーター・カズニック: アメリカン大学歴史学教授
マイレッド・マグワイア: ノーベル平和賞受賞者
ケビン・マーティン: 「ピース・アクション」事務局長
ガバン・マコーマック: オーストラリア国立大学名誉教授
キョー・マクレア: 作家、児童文学者
マイケル・ムーア: 映画監督
スティーブ・ラブソン: ブラウン大学名誉教授・米陸軍退役軍人(沖縄・辺野古にて1967-68年駐留)
マーク・セルダン: コーネル大学東アジアプログラム上級研究員
オリバー・ストーン: 映画監督
デイビッド・バイン: アメリカン大学人類学部准教授
ロイス・ウィルソン: 世界教会協議会前総会議長
ローレンス・ウィットナー: ニューヨーク州立大学アルバニー校歴史学名誉教授
アン・ライト : 元米陸軍大佐、元米国外交官 (苗字のアルファベット順、2014年1月7日現在)
≫(Peace Philosophy CentreのHPより)
*上記サイトには、「ニューヨーク・タイムズ「教科書闘争で、歴史の書き換えを狙う日本の指導者たち」New York Times - In Textbook Fight, Japan Leaders Seek to Recast History」と題して、NYTの記事もある。http://peacephilosophy.blogspot.jp/
あらためて、海外から発信される声明を読んでみて、沖縄の人々が、どれほど日本と云う国から、数限りない虐げられた歴史を具現化しているのか、確認させられるのは、本土に住む一人の人間として、恥ずかしい限りだ。食うために、苦渋の選択で米軍基地を容認している人々も、沖縄に国策的産業育成が行われていれば、基地を容認しない選択肢もあったことを思うと、如何に日本と云う国が、沖縄を植民地の地位から一度たりとも、引き上げようと努力した形跡が見られない。上記の識者らからの声明には、沖縄県と云う存在を通して、日本が未だに侵略の継続を行っている事実を糾弾している。
生活の党の小沢一郎が、都知事選で細川護煕候補者の支援をバックアップする宣言をした。ある情報によると、選挙資金へのバックアップも行う予定があると云う。細川にとって、小泉や小沢のバックアップは力になるだろうが、民主党のバックアップは、プラスマイナスゼロに働くのではないかと危惧している。あの松原と云う男の右往左往な発言を聞いているとウンザリする。問題は、宇都宮候補と共産党の立ち位置なのだが、ここで脱原発陣営の票が割れるとすれば、またしても共産党は安倍自民党の補完勢力として存在感を増すと云う悪評が付き纏うことになりそうだ。志位委員長の大胆な決断に、僅かに期待しておこう。
沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上(集英社文庫) | |
佐野 眞一 | |
集英社 |
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