世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●虚しき安倍訪米 大枚叩いた議会演説も詭弁と認識の錯誤

2015年04月30日 | 日記
十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争
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●虚しき安倍訪米 大枚叩いた議会演説も詭弁と認識の錯誤

こんなスピーチ原稿書いたのは百田か?東大法卒のIQじゃ恥ずかしくて書けないだろう。「侵略してゴメン」を何度でも聞きたい中韓にとって、安倍の演説内容は、言葉を操ることで、謝罪の姿勢を薄める努力に執着したようである。「大戦の痛切な反省」は、もう少し注意深く戦争に突入すべきだった、と聞こえる。米兵が戦争で死んだのは、それが「戦争」だったからである。日本が戦後求められている事は、一般人の命を、自国民、他国民の別なく、無残に切り捨てた部分である。

「自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの思いは歴代首相とまったく変わらない」と言い回しで、目先を誤魔化そうと努力したようだが、国家が、自国の国益の為に、軍人が戦争に携わるのは、どの国でも同じなわけで、ある意味で、戦死するのも結果論に過ぎない。しかし、戦後の日本の歴代首相の言葉の中には、戦争に参加していたわけではない、一般市民への犠牲者に対する「お詫び」が強く滲んでいた。つまり、そのニアンスが中国や韓国に通じた故に、日本の謝罪を受け入れてきたわけだ。

ここのところは、日本のマスメディアも、充分に理解していない。戦争なのだから、軍人に被害が及ぶのは当たり前のことで、問題は侵略戦争によって、相手国の市民を巻き添え乃至は意図的に一まとめで殺戮等々したことへの反省であって、ゴメンを言うなら、無限大に謝罪する方が潔く、勇ましい。安倍の、持って回った言い回しはテクニック過ぎ、歴代首相が、腹を決めて謝罪したこととは、大いに異なるので、侵略戦争も、謝罪もしないと言っている。反省はするそうだが、今度は、もっと高度なアメリカ方式で、裏道を遠回りしながら、上手にやります、と腹の中が透けて見える。書いてるうちに、中国人のような気分になってきた(笑)。こういう気分にさせるのも、安倍の詭弁の連続と、言葉遊びの所為である。

 「傷ついた女性」じゃなく「傷つけた女性」なのだから、全然意味合いが違う。失恋しても女性は傷つく。そうじゃなく、意図的に傷つけたことが問題なのだ。“ああ言えばこう言う”で有名になった上祐ってのがいたが、まるで同じだ。出来が悪い癖に、言い訳だけが上手なガキはいるものだが、これが一国の首相で、日本を代表してるってんだから、間違いなく三等国だね。まあ、こんな日本でも、死に物狂いで離さないアメリカって国も、そろそろ二等国家になる按配だ。こころから、旦那様と言い続ける国は、アメリカ旦那には、日本という妾しか居なくなったと云う事だ。

アメリカは、行くところが無くなったので、アジア回帰しただけだよ。英国も、ユーロ圏も、中国、ロシアも一筋縄ではいかなくなった。南米なんて、CIAが弄り過ぎて、手も付けられない。インドもアフリカも中東も、思った通りに行かない。だから、巡り巡ってきたのがアジアってだけ。中国の海洋進出が怖いのは判るが、アメリカのご都合主義の「リバランス政策」なんてのは、力がなくなった故の弥縫策、笑わせるんじゃないよ。「(1)国家が何かを主張する場合は国際法に基づくこと(2)武力や威嚇を自己の主張のために用いないこと(3)紛争解決はあくまで平和的手段によること−−という3原則」先ずはアメリカが、それを守ることから始めよう、とでも言えば名演説だが、安倍首相、残念でした。

祖父さんだった岸の「日本が世界の自由主義国と提携するのは民主主義の原則と理想を確信しているからだ」をパクったようだが、当時のアメリカの強大さと、現在のアメリカの民主主義はアパルトヘイト国家の欺瞞の民主主義なのは決定的だろう。国益と言えば、金融と軍事産業を守ることだけなのだから、ホワイトハウスさえ無いのと同じだ。アメリカに追随して、経済繁栄があると信じている事からして、もうこの政権はアウトだよ。まあ、大事が起きるかどうかは、中国がどこまで本気で日米の絆に茶々を入れてくるかどうかで決まるのだろう。もう、自国に運命を決定する権利は、かなり遠のいた。

以下に、両院議会演説についての朝日の報道と、中国・人民網日本語版の解説記事を載せておく。安倍がどのように思おうとも、現在の成り行きから、アジアは「米中の利益相反」を、米中がどの程度にコントロールするかの問題であり、日韓の意志など、あまり影響力を持たないだろう。問題は、今回の訪米で、対中戦略のすべてを放棄したと言って良い。出来るだけ早めに、中国が行動し、アメリカの腰の据わり具合を露呈させて欲しいものだが、中国も経済内政に忙しく、米中の力の温存が目立つので、あまり期待は出来そうにない。

≪ 安倍首相「大戦、痛切な反省」 米議会で演説
訪米中の安倍晋三首相は29日午前(日本時間30日未明)、ワシントンの米議会上下両院合同会議で演説した。先の大戦への「痛切な反省」に言及し、戦後の日米の和解の歩みを強調。米国人の犠牲者に哀悼を捧げ、アジアの国民に「苦しみを与えた事実」を認めた。「侵略」や「おわび」という言葉は使わなかった。 日本の首相が上下両院合同会議で演説するのは初めて。「希望の同盟へ」と題し、英語で約45分間行った。
 首相はワシントン市内の第2次世界大戦記念碑を訪問したことにふれ、大戦で日本軍の攻撃によって多数の米兵が犠牲となった真珠湾やフィリピンのバターン半島などの戦場に言及。「歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈(かれつ)なものだ。私は深い悔悟を胸に黙禱(もくとう)を捧げた」と述べ、「日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃(たお)れた米国の人々の魂に深い一礼を捧げる」と表明した。
 さらに「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻んだ」と強調。そのうえで「自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。歴代総理と全く変わるものではない」と、従来の歴史認識を引き継ぐ考えを明らかにした。慰安婦問題には直接言及しなかったが、「紛争下、常に傷ついたのは女性」で、「女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけない」と訴えた。
 この演説は、先のアジア・アフリカ会議(バンドン会議)での演説とともに、首相が夏に出す戦後70年談話につながるものとみられている。
 安全保障分野では、アジア太平洋を重視する米国のリバランス(再均衡)戦略を「徹頭徹尾支持する」と明言。海洋進出を強める中国を念頭に、太平洋からインド洋にかけての海を「自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければならない」との考えを示した。
 また、今国会での成立を目指す一連の安全保障法制について、「自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟はより一層堅固になる。戦後、初めての大改革だ。この夏までに、成就させる」と決意を述べた。
 首相は自らが掲げる「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」という言葉を2回繰り返し、「日本の将来を導く旗印となる」と強調。日米同盟を「希望の同盟」と呼ぶよう提唱した。
 日米が主導してきた戦後経済発展の歩みについては、アジア太平洋に「いかなる国の恣意(しい)的な思惑にも左右されない、持続可能な市場をつくりあげなければならない」と主張。環太平洋経済連携協定(TPP)には「単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを忘れてはいけない」と訴え、「一緒に成し遂げよう」と呼びかけた。(ワシントン=村山祐介)
     ◇  
〈日本の首相の米議会演説〉 1954年の吉田茂、57年の岸信介、61年の池田勇人の各首相に続く4人目で、54年ぶり。小泉純一郎氏が2006年に訪米した際、日本政府は上下両院合同会議での演説を働きかけたが、小泉氏の靖国神社参拝に批判的な議員の反対もあり実現しなかった。
 ≫(朝日新聞デジタル)


≪ 中米日三角関係はどこへ向かうか
日本の安倍首相が8日間の日程で訪米している。訪米中に取り上げられる議題は中米日三カ国関係の現実を反映している。日本および一部の国際メディア は安倍首相訪米に関する報道や論説において、対中「牽制」「抑止」といった言葉を多く用いており、連携して中国を「牽制」することが主要議題となっている かのようだ。(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究院特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
 米日の対中政策について両国政府が「牽制」や「抑止」といった表現を用いることはあり得ない。だが願望と実践から見ると、両国の対中政策にはこうした要 素がある。こうした要素がどれほどの比重を占めるかは、その時々によって異なる。現在安倍首相は戦後国際秩序の束縛を打破して、日本を「普通の国」にすべ く、「中国の脅威」を誇張して世論の基礎を固めることを選択している。オバマ大統領は「アジア太平洋リバランス」戦略を推し進め、アジア太平洋地域におけ る米国の主導的地位を維持し、日本を引き込んで中国を抑止することを政策的選択肢としている。同盟関係の強化によって日増しに拡大する中国の影響との均衡 を図る面において、米日は利害が一致しているといえる。
 それでも対中牽制または抑止が米日の対中政策と米日同盟の主導的要因、圧倒的考慮となったとは言えない。現在のアジア太平洋と世界は中米関係であれ中日 関係であれ、相互包含的な局面のために、政策の目標や選択を黒か白かで決め、敵と味方を明確に線引きすることはできなくなっている。米国は中国に対して戦 略面の疑念や懸念を抱き、中国の台頭が米国の覇権への挑戦となることを懸念しているが、同時に中国と多くの分野で協力せざるを得ない。安倍首相は靖国参拝 に固執し、「中国の脅威」を説得材料にすると同時に、中国と完全に仲たがいすることは望まず、中国側との接触を求めている。これは典型的な対中二面政策 だ。
 米日は共に二面的な対中政策を行っているが、中米日三角関係は本質において「米日対中国」というような単純な「二対一」の関係ではない。米国は日本に対 して「利用し、制限する」関係のプラグマティズムであり、時に日本は米国が対中外交で日本を無視した「頭越し外交」を行うことを懸念している。日本は表面 的には米国の言いなりだが、米国の庇護の下で努力せずに強大になるという考えが常にあり、安倍首相の平和憲法改正の企てにもこれは見られる。
  中米日のパワーバランスと相互作用は長年アジア太平洋地域の構造の変化に深い影響を与え続けてきた。今後相当長期間、依然としてアジア太平洋の戦略 環境に影響を与える重要な変数だ。中米日三角関係の三辺の長さと力も不変ではない。このうち中米関係は地域と世界の問題における重みが米日関係を超えてお り、中国のアジア太平洋戦略、世界戦略における対日関係の重みは1980、90年代と比べていくらか減っている。この趨勢は非常に明らかであり、今後も続 いていく。これと比べ、中米関係は二国間関係の範疇を大きく超えて、グローバルな意義を増している。一方、中日関係は地域的な意義が大きい。
 予測可能な未来において、中米は競争と協力が併存し、戦略競争が実務協力をかき消すことはあり得ず、日本が中米間で漁夫の利を得る余地は余り大きくな い。米日同盟は依然として基本的に堅固で、米国の日本に対する戦略的拘束の大小は主に中米関係の趨勢にかかっている。中国が米国を日本との同盟関係を顧み ずに完全に中国の側に立たせることはできない。中日の総合国力競争において、米国は日本を対中戦略の「駒」と見なすが、中国の台頭の趨勢と道筋を変えるこ とはできない。
 中米日はこうした複雑かつ重要な三角関係であって、この複雑性のために単純な方法で処理することはできず、この重要性のために三カ国が極めて慎重に対処 する必要性が生じている。中米日三角関係において「ゼロサム」ゲームは最も殺傷力を備える。反対に協力・ウィンウィンの思考はこの三角関係による良好な相互作用の形成を最もよく誘導する。
 安倍首相の訪米は日本と米国が中米日三角関係をいかに受け止め、処理するのかを見極める良い機会を人々に与えている。(編集NA) ≫( 「人民網日本語版」2015年4月28日)

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●ドローン事件の疑問 得をしたのは誰?真実判明は数年後か?

2015年04月29日 | 日記
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●ドローン事件の疑問 得をしたのは誰?真実判明は数年後か?

安倍訪米で沸き返る日本のテレビ局。ネパール地震の惨状報道も、力が入る。それなりにニュースバリューがあるのも事実なので、まあ、特にケチをつけるほどではない。しかし、数日前までは「ドローン騒動」で沸き返っていたわけだが、今となっては遠い昔の出来事のようである。しかし、この「ドローン騒動」に違和感を持つ人も多いものと思われるので、筆者の感想と推理を書いておこう。

まず印象に残ることは、山本泰雄容疑者(40)が自首してきた時の服装である。あきらかに上下迷彩服模様だった点に違和感があった。次に、取り調べかなにかで、その次にニュース等で写された容疑者の風貌である。ネトウヨの書き込みを読んでみると、「まさに極左の顔だ」「日本赤軍」「ヤクザ」「オウム顔だ」「共産支持者の顔」‥等だが、筆者の感覚では街宣車に乗っている紺の上下を着ている人っぽく見える。

人間は見かけで判断してはいけません、と言われても、感覚的な印象だけは如何ともし難い。無論、外見の印象が、右翼っぽいから、容疑者が右翼だという事はまったく言えない。ただ、犯行動機を、「反原発だから」と云う発言を殊更に強調して語っている事には首をかしげる。福井現地でも、東京の反原発運動をしている人々の中で。容疑者が反原発運動をしていたと証言する人は一人もいないのも不思議だ。

あっさりと自首して出てくるほど、重大な犯罪でもなく、日本の司法裁判においても、実刑を喰らう可能性は殆どゼロである。≪威力業務妨害とは、威力を用いて人の業務を妨害すること。この場合の「威力」とは、直接的、有形的な方法であり、具体的な暴力その他よりも軽微と言える文書・インターネットなどによる犯罪予告も含まれる。また「業務」の範囲については、権力的公務は業務に含まれないとするのが一般的。刑法第234条が禁じており、違反した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。公訴時効期間は3年。≫(知恵蔵MINI)

筆者が不思議に思うのは刑罰的に重くもない犯罪の疑いだけなのに、捜査が自分近づいている状況でもないのに、のこのこ自首してきたのも不自然だ。また、40歳の無職にしては、何処でドローン関連機器購入費や福島、鹿児島、東京の移動宿泊費等々、それなりの金額になるだろうが、その資金の出処は、どこなのだろう。まあ、愉快犯の可能性もあるのだが、愉快犯であるのなら、捜査関係者を、もっとおちょくった行動があって然るべきだ。唐突に「反原発」という動機の供述に、ああそうだったのか、と納得させれられる経緯が存在しない。毎日新聞が幾分疑問も交えて以下のように報じている。

≪ 官邸ドローン:容疑者、自衛官など職転々 原発口にせず
  首相官邸に小型無人機「ドローン」を落下させた威力業務妨害事件で、警視庁公安部に逮捕された福井県小浜市の無職、山本泰雄容疑者(40)は高校卒 業後、航空自衛官や警備会社、キノコ栽培、部品メーカーなど職を転々としていた。関西電力大飯原発の近くに住み、高校の同級生が関電美浜原発での事故で死亡するなど原発問題は身近だったが、容疑者と交流のあった同級生の一人は、「原発問題を話題にする姿を見たことがない」と事件に驚いている。
 同級生は中学時代の山本容疑者を「明るくておもろいやつだった」と話す。「死ぬまでに(新聞の)1面を飾れるようなことをしたい」と冗談交じりに周囲に話していたようだ。1年ほど前にはJR小浜駅前の飲食店で数回出くわし、一緒に飲みに来た仲間4、5人を「会社の人や」と紹介された。そのころは県内の部品メーカーで働いていたという。
 一方、美浜原発で2004年、配管が破断し蒸気や熱水が噴き出す事故があり、山本容疑者の高校の同級生だった男性(当時29歳)を含む作業員5人が死亡した。山本容疑者は自身のブログで原発再稼働の方針に不満を記していたが、この事故への言及はなかった。
 山本容疑者は昨夏ごろ仕事をやめた。事件の計画や経緯を詳述したブログには「退職してからずっと大きな迷いの中」と書き込んだり、一連の行動を「終活の一環で動いている」と記したりしていて、不安定な様子を見せている。
 高校時代の同級生の男性は、約10年前まで山本容疑者と親交があった。物事を突き詰めるタイプで、こだわりが強かったが、原発の話題を口にしたことはなかったといい、男性は「何で反原発を言い出したのか不思議でならない」と首をかしげた。反原発運動に詳しい地元市議も「運動に関わっている人ではなく、知らない」と話した。 ≫(毎日新聞:松野和生、田中将隆、近藤諭)

「官邸や国会上空、ドローン禁止…議員立法骨子案」(読売)なんてものは、なにも、このような騒動を起こさなくても、簡単に通過しそうな法案だから、こちらに関する「ヤラセ」という疑問は、排除して良いだろう。それよりも、容疑者の家宅捜索で見つかった本の数々の中に、「原発の倫理学」(古賀茂明)、「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」(矢部宏治)、「原発ホワイトアウト」「東京ブラックアウト」(若杉冽)、「原発のウソ」(小出裕章)、「官邸崩壊」(上杉隆)‥等が押収されたらしいが、様々な面から、安倍官邸に「異議申し立て」をしている論客が並ぶ。

*“ホラやっぱり、反原発、反自民じゃないか”と云う印象がベタな証拠として並べられるが、あまりにも単純でこれ見よがしで、そのまま受け止めることは知性が邪魔をする(笑)。このドローン事件の陰で、コソコソと経産省の30年度べスミックスにおいて、原発再稼働と廃炉40年を60年に延ばせる有識者会議の結論が出された。また、同じく経産省は、“原発がやっぱり一番安い電源なのである”と云う資料を、この有識者会議の面々に配ったそうだ。この忌々しき「原発村」の復権状況が小さな扱いにされてしまったのは、このドローン事件の報道が役立ったのは事実だろう。このドローン事件で、結果論だとしても、原発推進勢力が得をしたのは間違いがない。

 ≪ 原発依存度、最大22%=大幅減見送り-30年度電源構成
経済産業省は28日、有識者で構成する長期エネルギー需給見通し小委員会に、2030年度の最適な電源構成(ベストミックス)の原案を提示した。焦点の原 発依存度は20~22%。東日本大震災前の10年度実績の28.6%から低下するが、運転コストが安い原発は電力の安定供給に欠かせないと判断し、大幅な 比率低減は見送る。
 太陽光や水力などの再生可能エネルギーは22~24%と13年度実績の10.7%から倍増し、原発を上回る。内訳は太陽光が 7.0%、水力が最大9.2%など。原発を代替している火力発電の比率は、地球温暖化への対応なども考慮し、13年度実績の88.4%から50%強に低下 させる。火力発電の燃料別では、液化天然ガス(LNG)27%、石炭26%、石油3%とした。
 電源構成は政府のエネルギー政策の方向性を示し、電力会社の事業計画の目安となる。政府は5月中にも正式な電源構成を決定する。 ≫(時事通信)

 ≪ 発電コスト:原発「最も安価な電源」 2030年、事故リスク低下想定
 経産省試算 経済産業省は27日、2030年の原発や火力発電など電源ごとの発電コストの試算を有識者委員会に示した。原発の発電コストは、 東京電力福島第1原発事故後の安全対策費の増加を反映し1キロワット時あたり「10・1円以上」と算定、11年の前回政府試算の「8・9円以上」から約1 割上昇した。ただ、石炭や天然ガス火力も燃料調達価格の値上がりを見込んだ結果、前回試算よりコストが上昇。「原発の発電コストはほかの電源を下回る」として、経産省は原発を「もっとも安価な電源」と結論づけた。ただ、前提となる事故の確率を疑問視する声もあり、議論を呼びそうだ。
 試算結果は30年の電源ごとの総発電量に占める割合を示す電源構成(エネルギーミックス)策定の参考にする。発電コストは、建設費や燃料費など発電に必要なコストと運転期間中の総発電量から算出した。
 福島原発事故の廃炉や賠償の費用増加を反映し、原発では事故対応費を5・8兆円から9・1兆円に増額。一方、安全対策の強化で、原発の過酷事故発 生の確率は、前回試算の「50基のうち1基が40年に1回」から「80年に1回」相当に低下すると想定、1基当たりの毎年の費用負担は減少する形になっ た。また、原発の安全対策費用は、原子力規制委員会の新規制基準への対応状況を踏まえ、前回試算の1基194億円から601億円に増額。その結果、原発の発電コストは1・2円上昇した。ただし、福島原発事故の対応費用が今後1兆円増加するごとに、発電コストは0・04円上昇するため、「10・1円以上」として上限は算定しなかった。有識者委からは「原発事故リスクは民間企業が負えるものではない。原発のコストが小さくみえる懸念がある」との批判も出た。
 一方、火力発電は、燃料相場の上昇や円安を想定した結果、石炭火力は10・3円から12・9円、天然ガス火力は10・9円から13・4円に上昇し た。太陽光や風力など再生可能エネルギーは、12年に導入された固定価格買い取り制度の買い取り価格を反映した結果、最も安価なケースでも、住宅用太陽光 が前回の9・9円から12・5円、陸上風力は8・8円から13・9円に上昇した。 ≫(毎日新聞:中井正裕)

「ドローン事件」は山本泰雄容疑者(40)の自首と自白と押収証拠等々から、完璧に容疑者の犯行ではあるが、福島原発事故以降、3年も経ってから、「にわか反原発派」になった点とか、たいした罪でもなく、追詰められていたわけでもなく、かなりの資金を必要とした行動を取ったにも拘らず、ここまで鯔背に(いなせに)自首するのは不自然だろう。目立ちたがりだとしたら、もっと警察、公安、政府を悩ます方が目立つわけで、いかにも中途半端だ。本棚に並べてあった本も、如何にも反原発、反官邸的で胡散臭い。おそらく、被害が皆無に近かった事から、有罪になっても、執行猶予がつくだろう。起訴猶予の可能性もある。

また、官邸のドローンが落ちたというか、着地した官邸の屋上は、あの官邸が建築されてから、何度となく政府要人がヘリコプターで乗り降りしたところであり、監視カメラがなかったと云う情報になっているが、筆者は、監視カメラがないわけはないと考えている。町中に監視カメラが溢れているのだ、官邸の屋上に監視カメラがない方が不自然だ。おそらく、在ってもない事にすると云うチンケな国家機密と考えるべきだ。官邸警備が間抜けなのではなく、秘密だから言いたくないと云う事だろう。まあ、ドローンに容疑者が乗っていたわけではないので、犯人の映像は写っていないのはたしかだが(笑)。まあ、この容疑者を数年ウォッチングすれば、贅沢三昧で馬脚が現れるか、消されるか、筆者の推理は、そこに至るが果たして真実はどう云うものなのだろう?

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●いらつく韓国、歓ぶ日本人 but 「日米蜜月に楔の機会睨む中国 」

2015年04月28日 | 日記
撤退するアメリカと「無秩序」の世紀ーーそして世界の警察はいなくなった
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●いらつく韓国、歓ぶ日本人 but「日米蜜月に楔の機会睨む中国 」

以下は韓国・中央日報:日本語版の、「日米関係の蜜月演出」に苛立ちを隠さない心情を表した記事だ。これを読んだ日本人読者の多くが、この記事への感想を求められて「すっきり」に2114人(全投票数2318票時点で)が投票している。つまり、9割の日本人が韓国の焦りを“いい気味”だと、評価している。評価と云うよりも、溜飲を下げているというのが正しい表現だろうが(笑)。まあ、このような感情の劣化が、日本人に多くなりつつある現状は、まったくもって情けないわけである。武士道の欠けらもなくなった人々である。先ずは、政権維持も怪しくなってきたパク・クネ大統領を戴いているだけに、気分が優れないのは判るが、韓国が日本に嫉妬するほど良い思いを、日本がするわけではない事を、冷静に分析しておくべきだが、ダボハゼを喰いつかせる為に、意図して流した記事かもしれない。先ずは、一読して貰おう。

≪ ホワイトハウス「日本がアジア政策の中心」…ワシントンに日章旗を設置して歓迎
 安倍晋三首相の訪米を契機に、米国が日本との最高の関係を誇示している。ホワイトハウスは 24日(現地時間)、安倍首相の訪米日程を伝えながら「日本がアジア政策の中心」と明らかにし、安倍政権をアジア同盟のトップに格上げした。国家安全保障 会議(NSC)のメデイロス・アジア上級部長は「安倍首相の訪問は我々のアジア政策で日本が中心であることを断言するものだ」と強調した。
  ローズ米大統領副補佐官も「日米同盟はアジア・太平洋地域の韓国の同盟・友好国ネットワークで明確に中心にある」と明らかにした。その理由も説明した。メデイロス補佐官は「我々は今回の訪問をアジア・太平洋再均衡(リバランス)政策のための広範囲な努力の観点で見ている」と明らかにした。
 オバマ大統領が在任中の業績として推進する再均衡政策は、軍事的にはこの地域で米国の代理人を作り、経済的には中国に対応した米国主導の経済圏を構成する環太平洋経済連携協定(TPP)が核心となる。ともに日本が軸だ。メデイロス部長は「27日のニューヨークの両国閣僚会談の時、日米同盟関係で歴史的な変化が発表される」とし「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改定は、同盟で日本の役割を大きく拡大し、日本が広範囲に米軍を支援するメカニズムを提供する」と説明した。
  ローズ副補佐官はTPPについて「数週間以内に(両国間の)残りのイシューに結論を出すことを希望する」と明らかにした。今回の首脳会談では交渉妥結の発表は出ないだろうが、両首脳が進行状況を点検する、と予告した。オバマ政権が共和党の反発にもかかわらず推進する気候変動対策をめぐっても、ホワイトハウスは日本が友軍だと宣言した。28日の日米首脳会談で気候変動などの国際懸案が反映された共同声明が出てくると予告した。
 この日、メデイロス部長は韓日間の歴史問題に関する質問を受け、「ともに建設的かつ未来志向的に、最終解決を追求するという観点で過去の問題を扱うべき」と明らかにした。両国ともに言及し、韓国も動くべきだという点を示唆したという解釈が出てくる。米国が安倍首相の“贈り物”を意識し、歴史問題に消極的な立場を見せるのではという懸念が出てくる背景だ。
 米国政府は安倍首相を破格的にもてなす。「公式訪問」ではあるが、実際にはこれより格が高い「国賓訪問」だ。安倍首相夫妻はアンドリュー空軍基地に到着すれば儀仗隊の栄誉礼を受け、ホワイトハウス「サウスローン」でオバマ大統領夫妻の公式歓迎を受ける。これに先立ちケリー国務長官が ボストンの自宅に安倍首相を招待して夕食会を開くのも最高の待遇だ。また安倍首相はオバマ大統領との首脳会談はもちろん、バイデン副大統領とも別に会う。ミシェル・オバマ大統領夫人は安倍昭恵首相夫人とともにバージニアの小学校を訪問する。公式晩餐会ではミッシェル夫人がデザインに参加した食器が提供され る。公式晩餐会はオバマ大統領の就任後、今回が8回目だ。安倍首相の訪米を翌日に控えた25日、ワシントンのホワイトハウス周辺道路には日章旗と星条旗が並べて設置された。 ≫(中央日報)

韓国国民に向かって、このような記事を中央日報がそっくりそのまま流してはいないに違いない。この記事のままでは、中央日報は韓国での読者を失ってしまう(笑)。おそらく、安倍政権が、このような言質をアメリカ政府から引き出すために、どれだけの代償を支払っているか、そのことにも留意しなければならない。韓国は、米中と云う大国の間で、外交の修羅場を体験している最中だが、日本は早々に白旗を挙げ、国民そっちのけの属国政策に、自ら歓んで飛び込んでいる。そのくらいの解説がオマケでついていると、推量すべきだ。

フィナンシャルタイムズは、27日の社説で反中国同盟の危うさに言及している。つまり、今回の安倍訪米による日米蜜月の演出は、旨く行けばいくほど、対中関係において、日米は苦境に立たされる。するべきことは、中国に参加させる考えを持つべきだろうと警鐘を鳴らしている。以上の社説を訳すのは面倒なので、上述の解説で飛ばすとして、“JB PRESS”が4月24日の紹介した同紙の「絶対に沈まない日米太平洋同盟」と云う記事を紹介しておく。このDavid Pilling氏による記事は極めて示唆的だ。社説は、このことを踏まえた上で、調子に乗らない方が、日米双方の為だよと言っているのだろう。

おそらく、オバマ政権は、日米安保についても、アベノミクスについても、日米外交関係に巣食っている、「日米外交防衛マフィア」の捏造情報に踊らされている面があるようだ。アメリカと雖も、一定の外交部分は官僚的であり、日本の外務省は属国の鏡のような官僚機構なのだから、マフィア達にとって不都合な問題は矮小化するか、抹消して、物事を進めて行くのだろう。そうして、ある時点で、中国が楔を打ちに来るのだろうが、その時、米国の態度如何で、日本人は驚愕的に気づくのかもしれない。今までの貢物は、「どこに行ったのですか?」それでは、すべてが手遅れになる、そういう事だろう。

 ≪ 絶対に沈まない日米太平洋同盟 戦後70年続く緊密な関係、中国の台頭が与える影響は?
 米国人と日本人にそんな嗜好があったとすれば、自分たちの関係を唇と歯のように近いと表現するかもしれない。実際には、唇と歯というのは、中国と北朝鮮が伝統的に両国関係を分類して使う表現だ。 米国政府と日本政府は生真面目に、仲間の民主主義国、市場経済国として両国が「共有する価値観」について語ることを好む。
 だが、面白い言葉遣いがないにもかかわらず、日米関係は戦後の国家間関係として最も緊密で最も永続する関係の1つだ。
 両国はテロリズムから知的財産に至るまで、大半の問題について一致協力している。
 第2次世界大戦の灰の中で築かれたその親密さは、イデオロギーの枠にとどまらない。両国は具体的な形で互いに大きく依存している。

 ■注目される安倍首相の米議会演説
 米国は日本のことをアジアにおける自国の代理人と見なしている。債務を賄ううえでも日本を頼りにしている。米国債を最も多く保有している国は、僅差とはいえ、中国ではなく日本だ。日本は、お金、そして次第に後方支援の形で米国の軍事介入を支援してきた。
 日本は米国の核の傘と日本に駐留する3万5000人の米軍部隊が与えてくれる保護に依存している。1980年代半ばに首相を務めた中曽根康弘氏は日米関係を率直に描写し、日本のことを太平洋における米国の不沈空母と呼んだ。
 中曽根氏以来、最も強い日本の指導者かもしれない安倍晋三首相は来週、めったにない米議会上下両院合同会議での演説で70年間にわたるこの関係を称える。首相は自国経済を復活させるための日本の協調的な取り組みを強調するだろう。 米議会に対しては、バラク・オバマ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)を締結させるために必要なファストトラック権限を与えるよう要請する。 一部の米国議員の好みからすれば不十分かもしれないが、戦争に対する一定の悔悟の念を表すだろう。
 戦後の憲法の縛りから解かれた日本が、米国が世界を安全で法律が守られる場所にしておく手助けをするうえで、より積極的な役割を担える将来を描いてみせるだろう。
 安倍氏は恐らく中国には言及しない。だが、首相が意味することは誰もが分かる。
 安倍氏は概ね、温かく受け入れられるだろう。ワシントンはアベノミクスがうまくいくことを望んでおり、もしそれが強い指導者の代償であるのだとすれば、多少の「Abenesia*1」――日本の戦歴を軽く扱うこと――は容認する用意がある。実際、ワシントンの多くの人は安倍氏のことを、この20~30年で最高の日本国首相と見なしている。
*1=安倍首相と「amnesia(記憶喪失、健忘症の意)」をかけた造語かと思われます(JBpress編集)

 ■日米関係の基盤に脆いところも
 ある意味では、これらはすべて額面通りに受け止めるべきだ。日米が70年前に互いと戦った際の敵意を考えると、この関係は驚くべきものだ。ただ、 別の意味では、日米関係は両国が認める以上に脆い基盤の上に成り立っている。ピュー・リサーチ・センターの最近の調査は、一部の問題については日米の態度が大きくかけ離れていることを示している。
 確かに、どちらも互いに大きな信頼を置き、どちらも中国に不信感を抱いている。中国を信頼すると答えた人は、米国では30%、日本ではわずか7% だ。だが、大きな違いもある。日本に対する原爆の使用が正当だったと考える人は日本には14%しかいないが、米国人の56%は正当だったと思っている。
 この歴史的な年に、安倍氏がパールハーバーを訪れ、オバマ氏が広島を訪れるかもしれないという望みは結局かなわなかった。この2つの出来事が意味することについて、双方が完全には同意できないからだ。 戦争の記憶にもかかわらず、米国人の47%が日本は地域問題についてより積極的な軍事的役割を果たすべきだと話している。日本を「普通」の国にしたいと思っている安倍氏にとっては残念な結果だろうが、日本政府が軍事外交を強化するという考えをすんなり受け入れる日本人は23%しかいない。 ピューの調査以外にも摩擦はある。日本の右派は、日米同盟の確固たる支持者だが、日本を一意的に悪として描き、「属国」として扱う戦後処理に憤慨している。
 こうした相違点は誇張され得る。大部分において、日本は米国の忠実な友人だ。
 両国が合意に至ることができないことは、普天間飛行場の移設を巡る15年間の論争など、稀にしかない。
 どちらかと言えば、中国の台頭は日米を一段と接近させている。自衛隊を強化し、TPPに参加しようとする安倍氏の取り組みは、中国の脅威と認識されるものに対する直接的な対応だ。

 ■中国が日米間に楔を打ち込む日
 それでも、中国の台頭は対立を招く可能性もある。もし日本が、例えば中国と争う島を巡って米国が日本の利益を守っていないと感じたら、恨みが募るかもしれない。米大統領から言質を得ているにもかかわらず、日本政府の一部の人は、米国が日本を防衛することを疑っている。
 時機が来たら、中国政府は恐らく日米間に楔を打ち込もうとするだろう。その時になって初めて、日米関係があと70年続くかどうかが明らかになる。 By David Pilling
© The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. Please do not cut and paste FT articles and redistribute by email or post to the web  ≫(JB PRESS)

もう一つ気になった記事をふたつ紹介しておく。時事通信が、通信社とは思えない、「社説」紛いの記事を流している。どういう理由か判らないが、日本のマスメディアが、急に官邸に対して異議を唱える姿勢を見せはじめた。この一連の流れを分析するには、もう少しマスメディアの一連の流れをウォッチしたうえで、追加コラムを書くことにする。

 ≪ 際限なき対米協力の恐れ=安保法案、慎重審議を
  新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)は、日本の集団的自衛権行使を打ち出し、米軍への後方支援の地理的制約を外したことがポイントで、自衛隊活動は大幅に拡大する。日本政府は、台頭する中国を念頭に抑止力強化を狙うが、米国の戦略に組み込まれ、軍事的協力が際限なく広がることへの懸念も根強い。後半国会で焦点の安全保障法制整備と表裏一体の関係にあり、慎重な審議と国民への十分な説明が求められる。
 新ガイドラインは、従来の憲法解釈では禁じられてきた集団的自衛権行使を可能とした昨年7月の閣議決定を下敷きにしている。武力行使の具体的ケースとして、米艦艇を含むアセット(装備品)防護や弾道ミサイル迎撃、停戦前の機雷掃海などを盛り込んだ。いずれも安倍晋三首相が実現に意欲を示しているが、機雷掃海には公明党が依然慎重だ。日米合意を法案提出に先行させることで、既成事実化する狙いがあるとみられる。
  後方支援の拡充にも憲法解釈変更が効いている。従来は、朝鮮半島有事や中国・台湾紛争を想定した「周辺事態」で、「戦闘が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海、その上空」での支援に限定していた。今回、周辺事態を「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」と置き換えて「地理的に定めることはできない」と明記し、「地球規模」の協力をうたった。対米支援がより前線に近づくことが現実味を帯びる。
 安倍首相は「戦闘目的」での自衛隊派遣を否定し、過激派組織「イスラム国」に対する米軍の空爆の後方支援も「政策的に行わない」と明言している。だが、軍事作戦の長期化や財政難に疲弊している米国は、自衛隊の役割拡大を望んでおり、一段と踏み込んだ支援要請も予想される。現時点で派遣を否定しても、将来、空手形となる可能性は否めない。
 自衛隊活動の拡大を法的に裏付ける安保関連法案には「歯止めは十分ではない」との見方が野党や識者の間で強く、恣意(しい)的運用をどう防ぐかが、事後も含めた承認権限を持つ国会の大きな課題となる。 ≫(時事通信:ニューヨーク時事)


 ≪ 平和国家の歩み変わる=柳沢協二元官房副長官補に聞く【戦後70年】
  安倍政権による安全保障法制整備にどんな問題点があるのか、防衛省や首相官邸で実務経験を持つ柳沢協二元官房副長官補(68)に聞いた。

 -政府・与党は、国の存立が危ぶまれる「新事態」で集団的自衛権行使を可能にする方針だ。

  日本への攻撃に至らないが国の存立を脅かすとはどういう事態か、法律できちんと定義しないと政府が恣意(しい)的に判断することになる。米艦への攻撃がわが国の存立にかかわるのなら、日本有事に極めて近い状況であり、個別的自衛権で対処できる。また、米国が攻撃されたら日本が助ける、と絶えず言い続けることによって、日本自身への攻撃を誘発する危険がある。
 国会承認は事前が原則だ。情勢が緊迫していく中で事前に行えるはずだ。民主的手続きを経ないまま戦争当事者になるような法律はいけない。

 -自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法制定も検討されている。

 個別の状況に応じた立法が筋だ。特別措置法を作ることが最大の国会の関与になる。

 -他国軍の後方支援は、活動の地域も内容も拡大される。

 「現に戦闘行為を行っている現場」以外ならいいとなると、前線の部隊とのコンタクトがあり得る。相手の射程まで行くことになり、限りなく戦闘に巻き込まれやすくなる。前線部隊に弾薬を持って行くことはものすごく危険だ。軍事的には中断はあり得ない。

 -武器使用権限も緩和の方向だ。

  今までは攻められたときの最後の手段として認めていたが、今度は武器を使わないとできない国連平和活動(PKO)の治安維持任務や邦人救出を法律に組み込 もうとしている。必ず撃ち合いになり、戦死者が出る確率は跳ね上がる。本来の軍隊と同じような仕事を外地で行うのは憲法の枠内では無理だ。一人も殺してこ なかった日本が殺す軍隊になれば、米国と同じになり、平和国家の歩みは変わってしまう。 ≫(時事通信)

村 百姓たちの近世〈シリーズ 日本近世史 2〉 (岩波新書)
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●オーウェル「動物農場」より酷い世界 マネーが飼主の農場

2015年04月27日 | 日記
動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健 (ちくま文庫)
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●オーウェル「動物農場」より酷い世界 マネーが飼主の農場

以下はピケティ氏の論理をパクりながら、後付で屁理屈をこねている理論派株屋さんのコラムだが、読んでいて一番感じた点は、ああ、やはり資本主義も金融主義も終焉を迎えようとしているのだな、と云う印象を持った。武者氏が、不思議だという企業利潤率は10%にあるのに、資金の調達コスト(長期金利)等は0%~1%台と云うアンバランスの説明が困難だと言っている。ピケティ氏の経済論で問題な点は、資本主義の延命に根ざしている為に起きる、説明不可能な部分があったと云うに過ぎない。

また、武者氏が例示した、利潤率と利子率が連動していない点に関してだが、彼は水野和夫氏の本は避けて通っているのだろう。利子率が、概ねゼロに近づくと云う事は、利息を生む需要がないから、金がだぶつくことである。企業は内部留保や社債発行等で資金を調達する能力がある。金融当局は、経済の底割れを怖れて、資金供給を増加させる。そうなすると、株価が上がる、企業利潤を向上させる、自社株買いでROEを上げる。こういった、実体経済の需給による論理ではなく、金融のみによる論理が幅を利かせたために起きる現象だが、リーマンショックにより、その方法も限界を露呈した。

問題なのは、資本主義でもなく、金融資本主義でもなく、まったく異なる経済イデオロギーが誕生していないことから派生する矛盾なのだと思う。新しい方法論が見えていないので、古いシステムを半信半疑で稼働させているわけで、まるで40年越えの原発を延長再稼働させているような状況が、現在の世界の経済事情なのである。だから、世界の七不思議みたいな現象が、あっちでもこっちでも起きるわけである。新しい経済理論が生まれるよりも、貨幣経済から脱却するくらい古い、物々交換的な経済の仕組みと共同体の構築と云うのは、一つの経済イデオロギーとして考えられるのだろう。

その共同体の中では、目安となる利子率と利潤率の幅を決定し、その枠の中の自由と云う制限を設けるくらいにしないと、やはり、強いもの勝ちの競争原理は益々激しくなり、格差の世界から、差別の世界に移行するわけで、人類が持たなければならないと理解してきたフェアネスの世界は遠ざかり、オーウェルの『動物農場』的な地球の誕生を見ることになるのだろう。それでも、あのお伽噺は豚が支配者で、まだしも血が通っていたが、マネーは属人的でも、属生物でもないのだから、あまりにも無残だ。お伽噺にもなりゃしないね(笑)。


≪ ピケティ氏の主張ほど単純じゃない市場の現実(武者陵司)
 今のマーケットや世界経済、そして政策に関する定説がない。非常に多くの人が異なる意見を言い、一般の方々は様々なオピニオンリーダーの意見を聞いて、ますます混乱してしまう。そこで現在、経済・市場で展開されている最も大事な鍵は一体何かということを少し私なりに説明してみたい。
 その最大のポイントは、資本のリターンと成長との兼ね合いだろう。「r=資本のリターン」が「g=成長」よりも大きいという、不等式「r>g」が大ブームになったトマ・ピケティ氏の議論である。
  トマ・ピケティ氏は、資本のリターンが著しく高く、一方、成長が低いということによってどんどん格差が拡大していく。このまま格差が拡大していくと、経済は退廃していくので、この格差拡大を是正する政策が必要だ。それには資本に対する累進課税を国際的に導入することが必要だ、と主張している。
 ニューヨークでは、たった1%の人が圧倒的富を支配しているということで「Occupy Wall Street」という運動も起きるなど、格差論がブー ムになる経済情勢が現実に存在している。ピケティ氏が言っているように、資本のリターン、企業の利益は経済の成長率よりもはるかに大きい。お金持ちがもうかる、企業がもうかる。ならば、それだけで今の経済情勢が理解できるかというと、そうではない。それは、現在起こっていることの半面であり、もう1つ起こっている現実は、成長よりも資本のリターンが低いということである。
 資本のリターンには2通りある。ピケティ氏が指摘する経済の成長率よりも高い資本のリターン、これを「r1」としよう。他方で経済の成長率より低い資本のリターン「r2」ということも起こっているのである。
  r2は何かというと、長期金利だ。日本の長期金利が今、0.3%台。ドイツの長期金利は、もう0.1%未満台、米国でも2%未満というように空前の低金利が続いている。長期金利は経済の成長率より低いということが起こっている。となると、一体何が起こっているのだろうか? この2つの事象は同時に起こっている現実であり、片一方の不等式だけで今の経済は説明できない。現在の経済を説明する最も適切な不等式は一体どのようなものかと言うと、「r1>g>r2」である。r1が企業のもうけ、利潤率、そしてr2は企業の資本コスト、金利、利子率、そしてgが成長率である。
 企業は大変もうかっており、利潤率は世界的に著しく高い。配当利回りは2%。企業の益回り(株価に対する1株利益)は今 6~7%、そしてROE(自己資本利益率)は10%以上となっている。では、企業が商売をやる時に必要な資金の調達コストはというと、国債の金利は日本も欧州もゼロ%台、米国だって1%台と、両者との乖離(かいり)が著しく大きくなっている。
 普通は利潤率と利子率はほとんど連動すると考えられ、本来だったら「r1=r2」。景気が良くて企業がもうかる時には当然金利が上がる。実際過去はそうであった。これが教科書的な経済の姿なのであるが、今起こっているのはr1とr2が極端に乖離し、そのサンドイッチになって成長率が停滞している。この現実をどのように解釈するかということが、今の経済情勢を理解する最も重要な鍵なのではないだろうか。 これは、投資戦略の策定にあたっても決定的に重要な事柄である。r2にお金を投資したリターンはほぼゼロ。r1に投資したらものすごい高リターン。ならばr2を売ってr1を買えばいい。あるいは、r2で借金をして、r1を買えば、もっとレバレッジが高まる。
  問題はこの高い利潤率と低い利子率の同時進行が長期的に続くかどうかであるが、実は、この利潤率と利子率の乖離はすでに10年以上続いている。2005年、グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長は「コナンドラム(Conundrum)=謎」と発言した。彼が「謎」だといったのは、「経済は成長し企業利益が増加している、さらにFRBが金融引き締めをしているにも関わらず金利が上がらない」という現実である。
 その後リーマン・ ショックの過程で成長率がマイナスに陥ったために一時的にその謎が解消されたように見えたのだが、リーマン・ショックが終わってみたら、再び利潤率と利子率の大きな乖離が起こっている。つまり、これはもう10年にわたって続いている現象なのである。ということは、10年前に何をすればよかったかというと、 借金をして株を買っていたら非常に大きなリターンが得られたのである。
 さて、このような現実はトマ・ピケティ氏のような、いわゆる資本課税によって調整できるものなのかどうかと言うと、恐らくそれだけでは解決できないだろう。今起こっている現実、2つのrそれぞれが、成長率を挟むという不 等式を、どう説明するか。これは端的に言って、非常に高い利潤が非常な低金利をもたらしているというように理解すべきだと考える。
 つまり、企業は大もうけしている。もうかったお金を再投資できなくて遊ばせている。だから金利が下がっている。つまり、高利潤と低金利は、実は今進行している技術革新、グローバライゼーションの結果起こっている。いってみればメダルの裏表であるという可能性が強い。
  このように企業がもうかり、金利が低いというこの現実の先に何があるかというと、場合によっては経済が成長するのにお金が遊んでいる状態はやがて経済を退廃に導く可能性がある。お金が遊んでいるということは、実は労働も遊んでいるということなのである。お金と人が遊んで、企業だけがもうかっていたら、経済は崩壊するという危険もある。
 しかし他方で、遊んでいるお金と労働を有効に活用して成長率が高まれば、今度は経済はより発展し、人々の生活が良くなるということも起こり得る。つまり、この不等式を正しい方向に使えば、株価は上昇し経済は繁栄し、人々の生活が良くなるという展望が描かれる。
  今、主要国で行われている量的金融緩和(QE)というのはまさしく、この両者の乖離を新たな需要を作ることによって、あるいはお金を有効に使うことによって縮小していく政策である。しかし、乖離をそのまま放っておいたら、場合によっては、経済は大恐慌のような破局的悪化に陥るという可能性もある。   この点についての十分な説明は別の機会に譲るが、強調したいポイントは、今多くの人があまり気付いていない、2つの不等式、この不等式をどのように理解するかということが、株式投資や経済の予想をしていく上で決定的に重要な鍵なのだということ。そしてトマ・ピケティ氏などオピニオンリーダーたちの議論だけでは不十分なのだということを知っていただきたい。
 やはり鍵は遊休資本と遊休労働をフルに活用する需要創造にある。QEはそうした政策の中枢にあると考えるべきなのである。

*武者 陵司(むしゃ りょうじ)  武者リサーチ代表、ドイツ証券アドバイザー、埼玉大学大学院客員教授。1949年9月長野県生まれ。73年横浜国立大学経済学部卒業。大和証券株式会社入 社。企業調査アナリスト、繊維、建設、不動産、自動車、電機、エレクトロニクスを担当。大和総研アメリカでチーフアナリスト、大和総研企業調査第二部長を 経て97年ドイツ証券入社、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長に就任。09年7月株式会社武者リサーチ設立。主な著書に「アメリカ 蘇生 する資本主義」(東洋経済新報社)、「新帝国主義論」(東洋経済新報社)、「日本株大復活」(PHP研究所)、「失われた20年の終わり」(東洋経済新報 社)、「日本株100年に1度の波が来た」(中経出版)、「超金融緩和の時代」(日本実業出版社)など。 ≫(日経新聞)

資本主義以後の世界―日本は「文明の転換」を主導できるか
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●安倍の国家主義は枯れ尾花 アメポチの強化主義に過ぎず

2015年04月26日 | 日記
格差大国アメリカを追う日本のゆくえ
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●安倍の国家主義は枯れ尾花 アメポチの強化主義に過ぎず

以下の山田厚史氏の「日米首脳会談に支払った代償は?」のコラムの内容は、「日米関係とは」と云う解説を、冷静に事実関係を下に好くまとめて書いてある。“今さら感”の復習なのだが、それでも改めて書かれると、日本政治の原点を再確認できる。このような日米の枠組みでしか物事が動かない国だと理解出来てしまうと、選挙の投票率が戦後最低とか云々の問題ではない、それ以前の大問題が、我が国にはあると云う事なのだろう。その意味で、日本における国政選挙への投票は、どこまで行っても、「日米属国盟主関係」におけるコップの嵐であり、民主主義が根づく根拠が薄弱なことがよく理解出来る。

戦後の日本が「疑似独立国」と云う立場から、何ひとつ変わっていない事を明示している。官僚政治の根幹が、この疑似独立国・日本と盟主アメリカとの様々な利益調整機関として、大きな役割を果たしてきた事実も披瀝している。官僚機構が、盟主アメリカと日本政府の間に位置して、緩衝材兼管理警察の役割を担っている。そこには、“アメリカを代表する軍事・経済の利益と日本を代表する政権・防衛・経済の利益”を調整する民主主義は存在するが、どうもこの関係において、日米双方ともに、国民は殆ど抜け落ちている点が透けて見える。

今回の安倍訪米は、国賓並みの扱いなのだが、落とし穴があるとすれば、米議会演説になるだろう。どうも情報など調べてみるとアメリカの強烈な要請があり「侵略」「反省」は、バンドン会議演説に出てこなかったが、アメリカ議会用に残しておいた節がある。つまり、他の地域での演説と、米議会演説は格が違いますと言いたいのかもしれない。まあオベンチャラの一種である。ただ、お詫びはやめて、未来思考の和解とか曖昧な言葉で丸め込もうと考えているようだ。まあ、いずれにしても、自国の国会軽視、朝貢外交重視と云うことになる。正確には、朝貢は周辺国の「貢物」に対して「恩賜」を与えるだけの形式的意味合いが強いので、どちらかと言えば「冊封」な関係だと言えるのだろう。

特に筆者は、今回の安倍訪米で日本の共同体構造が益々都市化され、破壊されていく部分に大きな懸念を感じる。山田氏がコラムの中で書いている、
≪外務省は「会談成功」を演出することが任務だ。そのために米国の意向を汲みたい。だが国内産業の利害を重視する経産省は譲れない。そのしわ寄せが 農業に押し寄せる、という構造になっている。農業団体は自民党の有力な支持基盤だったが、いまや「守旧派」とされ「改革を妨げる岩盤」に見立てられドリルで穴を開けられる存在となった。産業界の利益を守るため、農家と農業どこまで犠牲を強いるか、が焦点になっている。≫
の部分だ。そして更に、
≪「貢物」として持参する「安保法制の改革」はすでに決着がついた。もう折り込み済みなのだ。「大統領はまだご不満だ。貢物を増やせ」という要求である。≫ これは「朝貢」ではなく「冊封」を意味している。


 ≪ 日米首脳会談を前にいら立つ「従米首相」
   国賓並み厚遇に支払った代償は何か
  日米首脳会談とは「属国日本」が「盟主アメリカ」に方針と成果を報告するイベント、と考えると分かりやすい。
 属国の首相が期待するのは「お褒めの言葉」。今回の貢物は「安全保障法制の整備」だった。御盟主のかねてからのご所望である。
 宿題はもう一つあった。「近隣を刺激する発言は控えるように」という御指示である。戦後70年の節目に首相が何を言うか、世界が注目している。言いたいことを封じられる首相は、面白くない。「戦後レジームからの脱却」を掲げ、右派勢力の熱い期待を背負っているからだ。
 支持者にはいい顔をしたい、ご盟主様には逆らえない。いら立つ首相の脇で、困惑するのは舞台設営に奔走する従者たち。役者がセリフを間違えば、日米首脳会談は台無しになり、盟主様を不快にするからである。

■「首相動静」が暗示する
 首脳会談での“振り付け”
 新聞に載る「首相動静」。首脳会談に向け首相の振り付けに忙しい官僚の姿が浮かぶ。
 21日は7時58分から財務省の香川次官や浅川国際局長が官邸に。閣議で10分間中断されたがご進講は9時35分まで続いた。替わって入ったのは甘利明TPP担当相。大江主席交渉官が同席。10時28分からケネディー駐日大使が訪れている。
 財務省のご進講は、顔ぶれから見るとアジアインフラ投資銀行(AIIB)が話し合われたようだ。アメリカにとってAIIBは、IMF・世銀体制と呼ばれる米国支配の国際体制への挑戦だ。日本は米国の意に沿って「不参加」を決めたが、英国・ドイツ・フランスまで中国になびいてしまった。
 日本の産業界は焦る。アジアのインフラ市場は大切な商機、中国に主導権を握られたくない。EUに先を越されるのも困る。
 財務省は「参加の機会を探る」へと軌道を修正中だ。それには米国の「承認」がいる。その前に首相に軌道修正を納得させなけれがならない。
 属国と盟主の「利害関係の調整」は官僚の大事な役目でもある。日本にとって中国はいまや米国を超える貿易相手国だ。そしてアジアは日本にとって死活市場。中南米を抱えるアメリカとは条件が違う。欧州勢がAIIBに参加しアジアへの食い込みを狙う今、米国との共同歩調は決して日本の利益にならない。 ところが首相自身が参加に乗り気ではない。中国が面白くない首相をまず説得しなければ前に進まない。役人はそんな厄介ごとを抱えている。

■TPPをめぐり“経産省内閣”と
  外務省・米国が奏でる不協和音
  外務省がご進講したTPPも「同盟国の利害調整」が課題だ。多国籍企業の活動を自由にするTPPで日米は「推進」で一致する。経済的には「中国包囲網」で、先進国の大企業に都合のいいルールづくりだから。だが、業界によって勝ち組と負け組があり、国内調整が難しい。
 日本は農業で譲歩を重ねるが米国はまだ足らないという。コメ・牛肉・豚肉・乳製品など農産物交渉に注目されているが、交渉が進まないもう一つの要因は、自動車にある。
 米国は関税引き下げに抵抗している。とりわけ問題なのが自動車部品だ。米国で生産する日本車に日本製の部品を使わせたくない。米国の業者に市場を 与えたい、というのが米政府の大枠だ。それでは日本の部品メーカーが大打撃を受ける。縮む国内の自動車市場では生きていけない。米国で現地生産する日本メーカーは大事な納入先。自動車メーカーにとっても精度の高い国産部品は品質を維持するのに欠かせない。
 AIIBではインフラ輸出、TPPは自動車輸出が日米間の焦点。首相個人はどれほど深く考えているか分からないが、首相を取り巻く官邸の構造は、経済利害に敏感だ。首相の日程や面会者を差配する今井尚哉政務秘書官は資源エネルギー庁次長から転身した元経産官僚。新日鐵で社長・会長を務めた今井敬・ 元経団連会長の甥で産業界とのパイプは太い。 「安倍政権は経産省内閣」と霞が関で言われるほど官邸では経産官僚が重用されているが首脳会談への調整は外務省が仕切る。ここに安倍政権内部の不協和音の一因がある。
 外務省は「会談成功」を演出することが任務だ。そのために米国の意向を汲みたい。だが国内産業の利害を重視する経産省は譲れない。そのしわ寄せが 農業に押し寄せる、という構造になっている。農業団体は自民党の有力な支持基盤だったが、いまや「守旧派」とされ「改革を妨げる岩盤」に見立てられドリルで穴を開けられる存在となった。産業界の利益を守るため、農家と農業どこまで犠牲を強いるか、が焦点になっている。
 米国のアーネスト報道官は21日の記者会見で「日米首脳会談は首相と大統領が個人的信頼感を深める機会だ。TPP交渉がどこまで進展したかが大事だ」と語った。
 言わんとするところは「大統領の気に入ってもらいたいなら、自動車を諦め、コメなど農産物の輸入枠をもっと広げなさい」ということだ。
 首相が「貢物」として持参する「安保法制の改革」はすでに決着がついた。もう折り込み済みなのだ。「大統領はまだご不満だ。貢物を増やせ」という要求である。

 ■安保法制の国会提出が
   首脳会談後の本末転倒
「属国と盟主の関係」というと、「そこまで言うか」と立腹される人もいるだろう。日本は独立した民主主義国家だ、と。
 だが、今回の集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更から安保法制の改変を巡る一連の動きは、「日本は独立国」とも「主権在民」とも言い難い。
 憲法の上位に首相が居て、その首相の顔はアメリカに向いている。そんな構図である。「安保法制」とここに書いたが、その内容は全く国民に示されていない。新聞などにいろいろ書かれているが、その内容は自民党と公明党の「与党協議」の場で示されたものだ。首相の息のかかった人たちで案が作られ、公明党が「この線で行きましょう」と了解した程度のものだ。
 日本国憲法は、国際紛争を武力で解決することを認めていない。戦争は武力を伴う国際紛争である。他国の戦争に参加できないのは当然のことで、歴代内閣は「集団的自衛権は憲法上許されない」としてきた。
 憲法は日本を統治する基本ルールである。首相は憲法に従って仕事をすることが義務とされている。これが立憲主義だ。ところが首相は憲法の制約で自 分がやりたいことができない。それならば憲法改正を手続きに沿って行えばいいのに、それが難しいと見て、憲法の解釈を変えて自分のしたいことを勝手にやろうとしている。それが集団的自衛権の閣議決定だ。
 これでアメリカの戦争に協力できる。海外での武力行使を禁じている様々な法令を手直しするのが「安保法制の整備」である。 「戦争しない国」だった日本を「戦争ができる国」に変える一連の改悪は、将来にわたって国民の運命に多大な影響を与える。少なくとも国民の代表である国会にその中身を示し、徹底した議論がなされるべきだ。
 ところが国会に法案を示すのは連休明けだという。その前に首相は訪米しオバマ大統領に「ご報告」する。本末転倒ではないか。
 極東に限定されていた自衛隊の活動範囲を世界に拡大する。後方支援で武器弾薬兵員の輸送も行えるようにする。そのつど国会の議決を必要としていた 海外派兵を「事前承認」だけで済ませる。平和維持活動(PKO)で武器の使用ができるようにする。こうした「自衛隊の規制緩和」はかねてからアメリカが求めていたことだ。 イラク進攻の時、「ショー・ザ・フラッグ」(旗幟鮮明にしろ)」とか「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(兵員を送れ)」と米国から言われながら、憲法の制約で自衛隊を戦闘地域に出すことができなかった。
 対米従属が身に染みている外務省には、アメリカの指示に従えなかったことが「トラウマ」となって残っているともいわれる。
 米国からは「アーミテージ・ナイ・レポート」が出された。共和党政権で国務次官を務めたリチャード・アーミテージ氏と民主党政権で安全保障担当 だったジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授がまとめた日本の対する提言である。この提言に集団的自衛権や南シナ海での対中監視活動、ホルムズ海峡での機雷掃海などが盛り込まれている。安保法制の整備はこの提言書を教科書にしたと思えるほどの内容だ。安倍政権がしゃにむに進めた「海外で米軍と連携できる自衛隊」は米国の要請に配慮したものといえる。
 憲法にしたがって仕事するべき首相が憲法解釈を勝手に変え、米軍との連携強化を急ぎ、国会審議もないまま、訪米して大統領に約束する。対米従属ではなく、日本を思ってのことであるなら、憲法が定める手続きに沿って憲法改正を進めるべきだろう。
 首相は「押し付けられた憲法」というが、平和憲法がありながら自衛隊の前身である警察予備隊を創設したのもアメリカの要請だった。こんどもまたアメリカである。

■戦後70年談話でも鞘当て
  国賓並み厚遇の犠牲になるのは?
 集団的自衛権や安保法制の整備は、安倍首相の願いとアメリカの考えが同じ方向を向いている。だがアメリカは首相の本性を疑っている。その現れが2013年の首脳会談だ。
 政権に復帰した首相は真っ先の訪米を考えた。ところがアメリカは冷ややかだった。安倍首相の言動を問題視していたのだ。 「安倍は中国との関係を悪化させかねず、北東アジアの安定に問題を起こしかねない」(米国の政府関係者)と見ていた。
 象徴は尖閣諸島。安倍は総選挙にむけた自民党の政策集に「尖閣諸島に恒久施設を作りる」と謳った。中国が上陸しないよう海上保安庁か自衛隊の施設を設ける、という内容だ。「そんなことをしたら中国が黙っていない。武力紛争に発展する恐れがある」と米国は心配した。
 島を国有化しただけで強烈な対抗措置をとった中国である。島に恒久施設を作ったら火に油を注ぐ。紛争が起きたら日本に加勢しろという安倍政権にオバマは呆れた、といわれる。 前回の訪米は惨憺たるものだった。歓迎の晩餐会はなく、恒例の共同記者会見もやってもらえなかった。「オバマはアベを歓迎していない」という表明だった。
 安倍政権は国内では高い支持率を誇りながら同盟国アメリカの評価が低い。この不名誉を挽回する役割を担わされたのが内閣官房参与となった谷内正太郎元外務省次官である。元駐米大使としての人脈を頼りに対米関係の改善を託された。
 関係を良くするためにはアメリカが望むことを行うこと。大きな課題は3つある。
(1)アメリカへの軍事協力(集団的自衛権)、 (2)中国・韓国のと関係改善(70年談話問題)、 (3)TPPへの協力(二国間経済課題への譲歩)である。
 (1)は安倍政権が目指す道でもある。問題は(2)(3)だ。右翼バネを働かせて政権に就いた首相だ。中国・韓国への強い姿勢が売り物である。 2013年12月には周囲の制止を振り切って靖国神社に参拝した。これに対して米国政府は「失望した」と異例の声明を発表した。この姿勢は国内に留めて米国には低姿勢で臨む、しかない。米国も安倍が中国問題で面従腹背していることは承知だ。オバマは前回の首脳会談で安倍に「中国への発言は表現を慎め」と釘 を刺している。
 8月に予定される首相の「戦後70年談話」に米国は注目している。戦後50年の村山談話は「侵略」にふれ「謝罪」が、これを覆すのではないか、そうなれば周辺の国を刺激し、ひいては米国のアジア戦略にも影響が出る、と懸念している。
 その懸念を大きくしたのが20日、首相がBSフジで述べた言葉だ。
 村山談話で使った「植民地支配と侵略」「心からのお詫び」という表現について「同じことを入れるのであれば談話を出す必要はなない」と語ったのだ。
 ケネディー駐日大使が官邸を訪ねたのは、その真意を問うため、と見られている。首脳会談に向けての準備作業では、日本は中国や韓国を刺激する表現は避ける、従来の考えを踏襲すると約束していた。それなのに首相は自分の思いを捨てきれない。
 安倍首相は今回、国賓に準ずる待遇で招待され、米国議会で演説する。アメリカでこれだけ厚遇された、日米関係は良好だ、と国内向けに成果を誇る段 取りだ。厚遇は、昨年のオバマ訪日が「国賓」だったので、その返礼である。議会演説で安倍が積極的平和主義を叫び、米国との軍事連携強化を表明すれば、オバマ政権の得点にもなる。日本の国会より先にアメリカ議会で表明するのは滑稽ではあるが。 「議会で演説するなら議会が望む市場開放をお忘れなく」
 そんなメッセージが届いているという。交渉でお疲れの甘利TPP担当相の渋顔がすべてを物語っている。厚遇を買ったコストは何なのか。いずれ明らかになるだろう。 ≫(ダイアモンドONLINE:国際・山田厚史の「世界かわら版」

マリファナも銃もバカもOKの国 言霊USA2015
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●都合の良すぎる話  ドローン犯人現れる、「反原発運動です!」

2015年04月25日 | 日記
紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす
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●都合の良すぎる話  ドローン犯人現れる、「反原発運動です!」

福井県警小浜署に「私がドローン飛ばしちゃいました。反原発の一環です」という驚愕的に“ベタな展開”で事件が動き出した。なんとも原発推進側派やネトウヨには嬉しい展開だし、反原発派には苦々しい展開だ。産経新聞は嬉々として「ドローン特集」なんてのを展開しているが、この小浜市40男の出頭の扱いが小さいのが読売新聞だ。読売と産経で、こんなに扱いに違いが出ているのも珍しい。朝日も熱心に、小浜署出頭の記事を書いているが「突然、事件が動き出した。原発をめぐる政府の動きとの関連はあるのか。」と幾分の懐疑のニアンスを含ませて報道している。

4月23日付拙コラムの一節だが、
≪さてお次は間抜けな官邸の警備状況と、ブラックユーモアたっぷりで、風刺画の山藤章二氏なら、どのように表現するか見てみたいものである。黒鉄ヒロシじゃあ駄目なんです!(笑)。『東京電力福島第一原発の事故で放出されたセシウムが含まれた水』が含まれているらしい点、非常に興味深く、且つ風刺的であり、 復讐的である。それにしても、官邸は、現在テロの脅威がキャッキャッキャと喚いているにしては、お粗末すぎるんじゃないか?このような事態が起きない為に も、管理国家は不可欠だと奇貨にしそうだ。そのことを強調すると、もしかして「ヤラセ」そんな疑惑も浮かんでくるが…。
 ネトウヨの書き込みを読んでいたら「反原発の嫌がらせに違いない」という感じの書き込みが多くみられた。……成分を詳細に分析すれば、福島由来かどうか明確に分かるだろうが、犯人の意図は、原発推進派、反対派、テロ警備強 化を望む勢力‥等。どちらにも可能性はある。愉快犯と云う事もあるし、官邸関係者の一人と云う事もあり得る。≫
と書いたのだが、反原発運動の一環で「私がやりました」とは、些かどころは、大いに都合が良すぎる話に感じる。

まあ、その出頭してきた男が、今までに、どのような反原発運動をしてきた経歴の明確度も重要だ。突如にして、反原発運動に目覚めたのか、その辺で答えは導かれるだろう。しかし、筆者の感覚では、ブラックユーモアにしては、あまりにも原発推進派や政府に都合の良い行動をした反原発派と云うことになるのだが、かなり眉唾な自首のようにも思える。あまりにもベタな話なので、読売は産経のように、もろに喰いつかなかった可能性もある。まあ、今後の捜査の成り行きを見ておこう。しかし、この事件は、そもそもどういう犯罪になるのだろうか?威力業務妨害容疑で立件できるのかな?あまり、しっくりこない容疑ではある。

≪ 福井の40代男が出頭 コントローラー持参 「原発政策への抗議」「福島の砂入れた」
  東京都千代田区の首相官邸に小型無人飛行機「ドローン」が侵入した事件で、福井県警に24日夜、「反原発を訴えるため自分が官邸にドローンを飛ばした」と話す男が出頭したことが、捜査関係者への取材で分かった。男は出頭時にドローンを操作するコントローラーのようなものを持参し「これで操作した」との趣旨の説明をしたという。警視庁は捜査員を福井県に派遣して威力業務妨害容疑などで男から事情を聴くとともに、事件との関わりについて慎重に調べを進める。
 捜査関係者によると、出頭してきたのは、福井県在住の40代の男という。同日午後8時過ぎに「東京のドローン事件に関係する者です」と、福井県警小浜署に1人で出頭した。警視庁には同9時45分に警察庁を通じて、関与を認めている男が出頭してきたとの連絡が入った。
  ドローンは22日午前10時半ごろ、屋上ヘリポートに上がった官邸職員が発見。ドローンに積まれていたプラスチック製の容器からは微量の放射性セシウムが検出され、中に液体が入っていた。男が「容器に福島の砂を入れた」と話しているとの情報もあり、警視庁は警察庁科学警察研究所で鑑定を急いでいる。
 警視庁で民間から提供された複数の写真を確認したところ、4月15日に官邸の屋上方面を撮影した写真にドローンとみられる黒い物体が写っていた。このため、遅くとも15日にはドローンが飛来していたとみて調べている。 ≫(産経新聞)


≪ 突然の出頭「反原発を訴えるため」 福井在住の男
 首相官邸の屋上で小型無人飛行機(ドローン)が見つかった事件が突然、動き出した。関与を認める40代の男が出頭したのは、国内最多の原発が集中する福井県の南西部にある小浜市。原発をめぐる政府の動きとの関連はあるのか。
 「ドローンに関係している」。24日午後8時ごろ、福井県警小浜署に1人で出頭してきた男が語ったという。岸本政洋副署長はそう明かしたが、詳細については「いま話を聴いている。何も発表できることはない」と言葉をにごした。
 小浜署の管内には、関西電力の高浜原発(同県高浜町)と大飯原発(同おおい町)がある。2012年夏に大飯原発3、4号機が再稼働した時期には、全国から反対する市民団体のメンバーらが抗議行動を展開。福井県警は普段から原発を重点的に警備している。
 出頭した男が住むという小浜市には原発がない。高浜、おおい両町など原発立地自治体の住民には原発の再稼働を求める声が多い一方、小浜市の住民には慎重な意見が根強い。
 警視庁によると、出頭した男は「反原発を訴えるためにドローンを飛ばした」と話しているという。原発の反対運動に関わっている福井市の男性(68)は「再稼働に反対したり、核テロへの備えが不十分と警告したりするのはいい。だが、出頭した男性が本当に関与したならば、やり方が間違っている」と指摘した。
 安倍政権は原子力規制委員会の新規制基準を満たした原発を再稼働させる方針。福井地裁は今月14日、高浜原発3、4号機の運転を禁じる仮処分を決めたが、菅義偉官房長官は記者会見で「原子力規制委員会が十分に時間をかけて、世界で最も厳しいと言われる新基準に適合するか判断をしたもの。粛々と(再稼働を)進めていきたいという考え方だ」と述べている。 ≫(朝日新聞デジタル)

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●中国ウォッチ “爆買い”だけじゃない中国人の実像

2015年04月24日 | 日記
日米開戦の正体――なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか
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●中国ウォッチ “爆買い”だけじゃない中国人の実像 

多分、中国を知る手がかりは、案外、こういうコラムを読むことなのだと思う。本日は体調不良のため、引用のみで失礼するが、「爆買い」で中国人観光客を、半分馬鹿にしている向きもあるが、中国人の歴史的事情や生活様式なども踏まえて、温かい目で観察する必要もあるのだろう。アジアのライバルは、いまだに元気で、成長途上だが、生活GDP世界一は、アメリカではなく日本なのだろう。ゆえに、安倍政権が無茶苦茶な政策に邁進していても、暴動が起こらないと、霞が関が読んでいる。国民は、腹の中を見透かされているという事だね(笑)。


≪ 「日本旅行は個人で来てこそ」と考え始めた中国人 中国人観光客最新トレンド【前編】
  なんだかもうはるか昔のことのような気がするのだが、春節の中国人観光客の「爆買い」は今年の流行語の候補になりそうなほど注目を集めた。「爆買い」ならぬ「爆花見」にもかなりの中国人が来日していたし、間もなくやってくるゴールデンウィークは中国の労働節休暇(3連休)とも重なるため、再び、 どっと観光客がやってきそうだ。
 すっかり目に焼きついた感のある中国人観光客の波、波、波――。昨年は年間で241万人もの中国人が来日し、全外国人の中で1位となった。春節や 国慶節(中国の建国記念日)などの大型連休中に集中して来日する人々が多いため、私たちは「わっと押し寄せられた」威圧感みたいなものを感じるし、購買額が大きいのでそれがニュースにもなる。
 しかし、私たちがそうした風景を見るようになったのは、まだほんの1、2年だ。中国人の海外団体旅行が解禁されてから20年足らず、個人旅行の解禁は6年にも満たない。それ以前は海外どころか、経済的な事情などにより、国内旅行にすらほとんど行けなかった。海外に行ける人は一部の特権階級だけに限られていた。だから中国人自身、「旅行した経験」がまだほとんどないといっていい。
 観光庁発行の「訪日外国人消費動向調査(平成25年版)」によると、中国人観光客は団体旅行が全体の60%、個人旅行が40%で、団体のほうが多 い。というのは、個人旅行は今年1月からビザが緩和されたとはいえ、まだ取得のハードルは高く、団体観光のほうがはるかに日本に行きやすいという背景があるからだ(こちらの記事「中国人の海外旅行は大変だ!」を参照)。

 ■中国人にとっての「海外旅行」とは
 日本人ならば、たとえば私(40代後半)くらいの年代であれば、たいていの一般家庭で、家族で海水浴に行ったり、2~3日程度の国内旅行に行った経験くらいはあるだろう。たとえ家族旅行をしたことがなくても、日本の中学・高校には必ず修学旅行がある。かつては多くの会社で慰安旅行もあった。私の親 くらいの世代であっても「農協ツアー」などで海外にも行っているし、固有名詞を出して恐縮だが、「JALパック」の旅などで、ツルのマークのカバンを背 負って、団体で海外旅行に出かけた人も相当多い。
 バカンスが苦手で、あまり遊んでいないというイメージの日本人だが、もしかしたら、旅行した回数だけは、世界的に見てかなり多いのかもしれない。  少なくとも、戦後、平均的な日本人の日常生活の中に、常に「旅行」は存在するものだった。多くの人は意識していないだろうが、それだけ、日本人は豊かな生活を送っている、ということだ。
 しかし、中国人の人生に「旅行」という項目は欠落していたものだった。
 それが急速な経済成長やビザの緩和などによって、数年前から、ようやく一般の人々が“旅行というレジャー”に目覚め始めた。それこそ、多くの人々にとっては、生まれて初めての経験のオンパレードだ。その結果、国内はもとより、いきなり海外にまで、まるで熱に浮かされたようにバンバン出かけるようになり、それが昨今のあり得ないほどの「爆買い」につながっている。
 前述の調査によれば、中国人が訪問する都道府県の第1位はダントツで東京(68%)となっている(ちなみに、2位は大阪、3位は京都)。つまり、大都市への旅行が断然多いのだ。彼らの滞在日数は4~6日間(67・5%)が最も多く、1年間の訪日回数は1回(68%)が最多。これらの数字で裏づけられるように、まだまだ圧倒的に「団体観光ツアーに参加して、初めて日本のゴールデンルートを5~6日間で駆け巡る」のが中国人の日本旅行の定番なのである。
 ゴールデンルートとは、東京(浅草・銀座)、ディズニーランド、横浜、箱根、富士山、京都、大阪を巡るコースで、大阪から東京へ、という逆を辿る コースもある。最近では、「北海道と東京6日間コース」や「沖縄4日間コース」などのツアーもあるが、やはり、メインは東京・箱根・京都といった「ザ・ ニッポン」といえるところだ。第1回目の旅行は、何はともあれ日本のメジャーな観光地に行ってみよう、ということなのだろう。
 日本人の中国旅行にたとえていえば、「北京の万里の長城や故宮に行き、北京ダックを食べて、上海に移動してテレビ塔や高層ビルを眺め、小龍包を食 べ、空港で天津甘栗のチョコレートを買って帰る」という3泊4日のツアーと同じようなステレオタイプのものである(日本でも、日中関係が悪化する2012 年までは、こうした中国ツアーに参加していた中高年はけっこう多かった)。
 私の中国の友人たちは、日本との接点がある人が多かったので、団体旅行に参加して、日本のゴールデンルート観光を経験した人はひとりもいないのだ が、親戚がそうした旅行を経験した、という人がいたので話を聞いてみると、「とにかくあっという間の出来事で、必死でガイドさんのあとをついて歩き、よくわからないままに日程が過ぎてしまった。どこにどんな特徴のある名所があったかも、あまり思い出せない。とにかく、身内に頼まれたお土産だけは、ちゃんと買えたのでよかった」(上海の60代の女性)と話していたという。

■ 「日本人は本当にこんなのを食べているの?」
 基本的には団体旅行の内容に満足していたそうだが、不満もあったそうだ。この女性は日本で食べる本場の日本料理に期待していたそうだが、それほどおいしい、と感じなかったという。 「午後1時過ぎだったでしょうか。銀座のちょっといい定食屋みたいなところに着いてみると、すでにツアー人数分のお膳がずらりと並べられていて、冷 めた天ぷらや煮物がお皿に乗っていました。ご飯とみそ汁は全員が着席してから温かいものが運ばれてきたのでよかったのですが、天ぷら、煮物は冷え切った状態。これって日本人が普通に食べているものなの? と疑問に思いました」
 これは日本人がヨーロッパなどにツアーで出かけて、「何これ、これが本場のピザなの? 日本のピザのほうがおいしいじゃない」と疑問に思ってげん なりしたり、疑問を持ったりするのと同じだ。団体ツアーだと予算に制限があり、昼食に長い時間を掛けられないため、どうしても決まりきった食事になってしまいがちなのだろうが、食事=温かいもの、と認識している中国人からすれば、冷えた料理を食べるのは耐え難い。
 ならば、「もう日本旅行はいいや」と思うかといえば、もちろんそういう人もいるだろうが、案外そうでもない。
 この女性は「動いている観光バスの車窓から見て、おもしろそうだと思ったお店や、ちょっと不便だけど足を伸ばしたいと思っていた観光地にも行って みたい。もっとおいしい、本格的な日本料理も食べてみたい。やっぱりツアーじゃ自由が利かないからダメだ。次回、日本に行くときには、絶対に個人旅行にする!」と友人に語ったそうだ。 それはそうだろう。ビザ取得などで日本人の何倍も大変な思いをして来日しているのだから。それに、周囲では、すでに個人旅行をしていて、自由に日本 を満喫している友人もいる。街はきれいだし、日本人はおおむね対応が親切でおとなしい。漢字が多いので、なんとなく「なんとかなりそう」な気もする。次に 日本を訪れるときには、自分で選んだ店に行って、そこでたっぷり見たり食べたりしたい、と思うのは当然の欲求だ。
 実は、すでにその動きは始まっている。まだデータ上には現れていないが、「団体よりも個人旅行」「ゴールデンルートよりもゆっくり1カ所に滞在型」を選ぶ人々が急増しているのだ。
 日本人の団体旅行は前述した通り、少なくとも30年前から続き、今も中高年などを中心に一定の需要があると思うが、中国人はあっという間に「団体 旅行で満足できる時期」を通り過ぎ、早くも個人旅行が主流になりつつあるのである。そのスピードたるや、ドッグイヤーどころか、さらに速い。
 上海で旅行関連企業「上海征西広告」を経営する袁静氏は、最近の中国人で日本旅行する人々は、大きく分けて3つに分類できるという。
1、初めて日本を訪れる団体や個人客
2、これまでヨーロッパなどに出かけていた富裕層
3、もともと日本が大好きな日本オタク  人数が最も多く、私たちが日頃よく目にするのは圧倒的に1だ。3は日本のレアなものが好きで、年に5~6回以上も出かけているような「日本フリー ク」ともいえる人々だ。1の中で団体から個人へとシフトしてきているのが現在のトレンドというわけだ。そのまま3へと発展していく人も多い。

■情報源は、留学生!?
 団体旅行のマナーの悪さに辟易して個人旅行に切り替える人もいる。今年1月、札幌、小樽、函館を9日間かけて旅行した私の友人夫婦(とその娘) は、娘が大学の日本語学科を卒業しているので、思い切って3人で個人旅行で出かけた。大雪の影響で帰国便が飛ばず、空港内で一夜を明かすというハプニング があったが、天候不順で飛行機が飛ばないのに、同じ便で帰国する中国人の団体客たちが航空会社のスタッフに詰めよって暴言を吐き、胸ぐらまで掴んでいる姿を見て「情けなくて、泣きたくなった」と話していた。彼らは富裕層ではないごく普通の人々だが、「団体さんに混じるのはいや。正直いって、同じレベルの中国人だと思われたくない」とつぶやいていた。こうしたきっかけもあるようだ。
 とはいえ、不案内な日本での個人旅行には不安が大きい。中国人の情報源となっているのは、在日中国人や微信(中国版ライン、Wechatとも呼ばれる)などのSNSのツールだ。
 ある在日中国人の友人は、昨年夏ごろから、中国に住む友人から微信を介して問い合わせが急激に増えてきたという。
 「『都内で居酒屋に行くならどこがいい?』『あなたはどこで靴やバッグを買っているの?』『お店の名前と具体的な場所を教えて』『ついでに有名企 業の工場見学もしたいんだけど、申し込みはどうしたらいいのか?』など、さまざまな分野の問い合わせが増えました。これらをすべて有料で手伝っていたら、 かなりいいアルバイトになるんじゃないかな(笑)」 実際、言葉ができない友人や親戚、その知り合いなどのために5時間つきあってあげてアルバイト代を2万円もらった、なんていう留学生もかなりいると いう。これだけ来日する人が多いと、日本に住んでいるというだけで、けっこう割のいい副収入になりそうだ(うーん、私もやりたい)。 「団体ツアーのコースには入っていないけれど、微信で取り上げている人が多かったから行きたい、という場所への問い合わせも多いですね。たとえば中 国人は日本といえばラーメンを思い浮かべるので、新横浜ラーメン博物館は人気です。あとは、浅草神社とか…。浅草寺は団体で誰でも行けるけど、浅草神社はひっそりしていて誰も行かない。でも日本的な情緒がある。ここにいった中国人はほとんどいないので、特別感があり、“日本通”の気分になれるのでいいよ~とか(笑)」

 ■じっくり、のんびり、に流行が移りつつある
 以前は、日本人が今でもやっている団体ツアーのように、朝昼晩とスケジュールをびっしりにして、分刻みで旅行することに満足する人が多かったが、 最近では「せっかく高いハードルを超えて来るのだから」と、高級旅館でのんびりして、じっくり選んだよいお店でおいしいものを食べようよ、という人も多いのだそうだ。  そうした個人客の流れは、中国人の観光トレンドの最先端を行く、富裕層の旅の仕方に端的に表れている。【後編】では上記の2に該当する富裕層の日 本文化への傾倒ぶり、そして、その驚くべき優雅なジャパン・トラベルライフをご紹介しよう。恐ろしいほどのスピードで垢抜けていく彼ら彼女らに、ため息が出るに違いない。 ≫(日経ビジネス:アジア・国際-再来一杯中国茶)

注:日本は中国富裕層の“心のオアシス”です。中国人観光客最新トレンド【後編】のURLは http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150415/279980/?n_cid=nbpnbo_top_rcmd


*『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか』中島恵
春節に温水洗浄便座や医薬品などを「爆買い」していった中国人。中国はGDPで世界第2位になったのに、なぜこれほどまでに日本製品を買い求め、日本製品が好きなのだろうか。
物質面だけではない。中国人が感嘆するのは、日本の自然やおいしい水、日本人の日常生活の「質の高さ」にある。彼らは、この先どれだけ中国が経済成長しても「日本の暮らし」には決して追いつけない、と感じ、日本こそ「暮らしGDP世界一」の国だと思って一目置いている。「再来一杯中国茶」の中島恵さんが、当連載などを元に、政治経済の報道だけでは到底理解できない中国人の暮らしぶりや本音を、中国人の生の声を通している。

なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか? - 「ニッポン大好き」の秘密を解く (中公新書ラクレ)
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●“TPPとAIIBとバンドン” 「大人」を求められる国、「小人」で通用する国

2015年04月23日 | 日記
超訳 日本国憲法 (新潮新書)
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“TPPとAIIBとバンドン” 「大人」を求められる国、「小人」で通用する国

本日は書きたいことが多すぎて、焦点が定まらず寝なければならない時間となり、慌てている。そういうわけで、引用だらけのコラムだが、休むとネトウヨが歓ぶので、意地でブログを更新しておく(笑)。まあ、引用する記事やコラムは一癖、二癖あるので、ご吟味願いたい。賢明な皆様であれば、それなりに落ち着きどころの良い解釈をなさるものと期待しています。

まず、“しょっぱな”は人民網のTPPの成立の可否についての解説記事である。人民網は≪、中国共産党中央委員会の機関紙『人民日報』で知られる中華人民共和国のメディア、人民日報社が1998年12月1日に開設したニュースサイトで、日本語版と日本版の2つのサイトがある。(ウィキペディア)≫で、中国の国営通信社新華社と同等に中国の思惑を知るには、意味あるメディアだ。なかなか達者な日本語で書いてある。ロシア系メディアの日本語は目を覆いたくなる惨状だが、流石、世界一のGDP狙いに来ている共産党一党支配国である。日本のメディアより、TPPの行方について、正確な情報を流している点、感心する。米国オバマはTPPで、中国習はAIIBで、共にアジア支配を目論み、激突している状況が観察できる。


≪ 日米TPP協議、焦点は自動車と農産物の市場参入
日本と米国はここ数日、TPP(環太平洋パートナー協定)をめぐる交渉を続けており、今月末に予定されている安倍晋三総理の訪米中に、実質的な発展が得られることを切望している。経済参考報が報じた。
 今回の閣僚級協議は、甘利明経済再生相と米フロマン通商代表との間で、交渉が難航している問題をめぐって進められている。共同通信社の報道によると、19 日夜、両国の代表は、未解決の問題について詳細に話し合い、20日は双方の見解が大きく違う農業と自動車分野の問題をめぐる協議が進められた。
 TPP協定交渉は今年で6年目に入ったが、合意に至るまでの具体的な見通しは立っていない。2014年以降、TPP交渉参加国は繰り返し閣僚級協議の場を 持ったが、いずれの会合においても大きな進展は得られなかった。TPP交渉は、大きく分けて市場参入と貿易・投資の2大分野が話し合いのテーマであり、現在は、市場参入問題をめぐる話し合いが進められている。
 TPP交渉参加国の中の2大経済大国である米国と日本は、自動車と農産物の市場参入をめぐる意見の相違が甚だしく、これが、TPP交渉が停滞するひとつの大きな原因となっている。
 米国は、「日本は米国産農産物に対する関税を下げ、米国産コメの輸入枠を拡大すべき」と要求している。一方日本は、豚肉、牛肉、乳製品、砂糖などの分野での国内農業の保護を主張している。
 自動車の分野では、日本は米国に対し、日本製自動車部品に対して課されている現行の2.5%関税を撤廃するよう求めている。米国政府は、国内自動車企業からの要求と日本車との競争の圧力を受け、時期尚早の関税撤廃を極力避ける構えだ。また、自動車分野での紛争解決の仕組みをどのように制定するかについても、両国間で意見の一致は見られていない。
 日本のメディア報道によると、日米両国はいずれも、できるだけ早急にTPP交渉を進展させ、今月28日に行われる予定の日米首脳会談において、一定の成果を挙げたいと望んでいる。共同通信社の報道によると、甘利経済再生相は20日、交渉に入る前に、「今日の協議は日米交渉の最大の山場になる。極めて厳しいやりとりになると思うが、日本の国益のために、日米の考え方の違いを少しでも縮めるよう、全力で取り組んでいきたい」と話した。
 だが、安倍晋三総理はこれより前に、「TPP交渉において、日本は簡単に譲歩できない。26日からの訪米期間中にオバマ大統領と首脳会談を行う予定だが、不必要な妥協することは有り得ない」と表明した。
 米国会で貿易促進権限(TPA)法案が採択されなかったことも、TPP交渉が停滞する原因のひとつとなった。米国の超党派議員は16日、米国とアジア太平洋・EU諸国との自由貿易交渉を加速させる目的で、TPAをオバマ大統領に与える関連法案を上下両院に提出した。同法案は、議決された貿易交渉目標をめぐりオバマ政権に「高速ルート」の権限を与えるためのもので、貿易協定がいったん合意に達した場合、国会は速やかにその合意の採決を直接行い、合意内容の修正は一切求めず、貿易協定の法的な認可プロセスを加速することを目的としている。
 だが、国会が議決した貿易交渉目標をオバマ政権が達成できなかった場合、 国会はこの授権を取り消すことになる。米国メディアの報道によると、米上院財政委員会は今週、「高速ルート」の授権法案をめぐる投票を行う。だが、一部の超保守系共和党議員や民主党議員はこのほど、オバマ政権の貿易政策議事日程に反対を表明したことから、同法案が最終的に上下両院で可決されるかどうかは、依然見通しが立っていない。(編集KM)  ≫(人民網:日本語版2015年4月22日)


さてお次は間抜けな官邸の警備状況と、ブラックユーモアたっぷりで、風刺画の山藤章二氏なら、どのように表現するか見てみたいものである。黒鉄ヒロシじゃあ駄目なんです!(笑)。≪東京電力福島第一原発の事故で放出されたセシウムが含まれた水≫が含まれているらしい点、非常に興味深く、且つ風刺的であり、復讐的である。それにしても、官邸は、現在テロの脅威がキャッキャッキャと喚いているにしては、お粗末すぎるんじゃないか?このような事態が起きない為にも、管理国家は不可欠だと奇貨にしそうだ。そのことを強調すると、もしかして「ヤラセ」そんな疑惑も浮かんでくるが…。

ネトウヨの書き込みを読んでいたら「反原発の嫌がらせに違いない」という感じの書き込みが多くみられた。まあ毎時1.0マイクロシーベルトと云う事なので、原発近辺に外海の海水を汲んで来れば、こんなものかも?成分を詳細に分析すれば、福島由来かどうか明確に分かるだろうが、犯人の意図は、原発推進派、反対派、テロ警備強化を望む勢力‥等。どちらにも可能性はある。愉快犯と云う事もあるし、官邸関係者の一人と云う事もあり得る。フクイチ由来の放射能であっても、敷地から出たものは無主物だそうだ。無主物を拾って届けなくても罪にはならんだろうが?この辺は、時間のある時に考えます。

 ≪ 首相官邸屋上にドローン セシウム由来の放射線検出
22日午前10時20分ごろ、東京都千代田区の首相官邸の屋上に小型無人飛行機(ドローン)が落ちているのを官邸職員が見つけた。機体の上部には液体の入った茶色いプラスチック容器(直径約3センチ、高さ約10センチ)のようなものが取り付けてあり、放射線が検出された。警視庁は威力業務妨害などの疑いで捜査を始めた。 菅義偉官房長官は22日午後の記者会見で、「国家の行政機関の中枢である首相官邸にかかる事案であり、警察において徹底した捜査を行う」と話した。「小型無人機を利用したテロの発生も懸念される」とも述べ、重要施設の警備や小型無人機によるテロ攻撃への対策を強化する考えを示した。また、「公的機関の関与するルールの必要性、関係法令などを早急にやっていかなければならない」と強調した。
 警視庁公安部などの説明では、ドローンは官邸職員が新人職員に施設を案内している最中に見つけた。直径約50センチで、プロペラが四つあり、小型カメラが付いていた。プラスチック容器にはふたがされ、中身は見えない状態だった。容器には「RADIOACTIVE」(=放射性の)と書かれた放射性物質を示すシールが貼られ、内部からセシウム134とセシウム137由来の放射線が検出された。
 放射線量は最大で毎時1・0マイクロシーベルト。この日の都内の放射線量(毎時0・03~0・06マイクロシーベルト)の約20倍の強さに相当するが、直ちに人体に影響はないレベルという。
 放射性セシウムは核実験や原発事故などでしか放出されず、自然にはほぼ存在しない。捜査関係者によると、警視庁は容器内の液体は東京電力福島第一原発の事故で放出されたセシウムが含まれた水の可能性があるとみているという。
 犯行声明は確認されていないが、政府高官は同日、「明確に政治的メッセージを持った意図的な犯行だ」と語った。警視庁は、官邸周辺に設置された防犯カメラの映像を分析して、ドローンがどこから飛ばされたのか解析する。
 政府関係者によると、官邸の屋上には、安倍晋三首相が防衛大卒業式への出席でヘリポートを使った3月22日以来誰も上がっていないことから、ドローンがいつ落下したかは分かっていない。
 一方、野党からは政権の危機管理を危ぶむ声が上がっている。民主党の枝野幸男幹事長は「飛行物体が首相官邸の屋上に知らないうちに落ちているという状況は極めて深刻な事態だ」と指摘。野党は23日に衆院内閣委員会の集中審議開催を求め、政府の対応を質問する方針だ。    
  ◇  
〈ドローン〉 複数のプロペラで飛行する小型無人機。 偵察、空爆など軍事目的の開発から始まり、宅配や人が立ち入れない場所の点検作業など、民間ビジネスへの応用が進む。飛ぶ音が蜂に似ていることなどから、ミツバチの雄を意味する「drone」と名付けられた。GPS機能で遠隔操作できるものやプログラミングで自動飛行するものなど、様々な機種がある。カメ ラ付きのものは手軽に空撮できるため、個人利用も進む。値段は1万円台から1千万円を超えるものまであり、国内では2千機ほどが普及しているとみられる。 ≫(朝日新聞デジタル)


最後に、面倒だが「戦後70年談話」のプレマッチのような演説がジャカルタで開催の「バンドン会議」で行われた。アジア全体は、「侵略・お詫びの文言なんて、どっちでも良いよ。面倒なことは言わないから、経済協力忘れるなよ」そんな感じのようだが、お隣韓国さんは、予定調和のようにキーキー怒っている。これは想定内で、それこそ、どっちでも良い。問題は、中国が、日本の詫び状は、この程度で黙認してやるか、そういう「大人ぶり」を見せるかどうかが焦点だろう。日本側の会談提案に中国が応じたのも、アジアの協調路線実現には、日本とも仲良くやろうとしている姿勢を見せる必要があったのかもしれない。

まあ、中国が見て見ぬふりをする可能性は、外交上ありそうだ。「大人ぶり」をアジアや中東・アフリカに見せておくことは、世界戦略上、最重要な課題になっている状況を示唆している。つまり、どこかの首相のように、己の思いを優先し、世界における日本の「真摯な態度」よりも、「小人的自己実現」に拘ったという事なのだろう。かの首相は、「普遍的価値」が好きな人だが、戦後の、これも大好きな「国際社会」の普遍的と言っても良いほど通説になっている「侵略」が抜けたことは、「小人感覚」をアジアに、延いては「国際社会」に披瀝したようである。「侵略と反省」と云う文言は「山と川」なのであり、「ゴメンで済むなら」百万遍でもゴメンゴメンということだ。

≪ 首相演説「大戦反省」 「おわび」触れず バンドン会議
ジャカルタを訪問中の安倍晋三首相は22日昼(日本時間同日午後)、アジア・アフリカ会議(バ ンドン会議)60周年首脳会議で演説した。60年前に採択された「国際紛争は平和的手段で解決する」といった原則について、首相は「日本は先の大戦の深い 反省と共に、いかなる時でも(原則を)守り抜く国であろうと誓った」と表明した。平和国家の歩みを強調し、テロなど世界的リスクへの結束を呼びかけた。
 今回の会議には100以上の国・地域や国際機関が招待された。首相の演説は、戦後日本がアジア・アフリカ地域に果たしてきた貢献や今後の外交方針を示すことが念頭にある。
 2005年の50周年首脳会議では、当時の小泉純一郎首相が演説し、「村山談話」の文言を引用しながら「植民地支配と侵略」「痛切なる反省と心からのおわび」などに言及。同年夏の「小泉談話」につながった。今年夏に戦後70年の「安倍談話」を出す安倍首相の歴史認識にも注目が集まっているが、今回の演説では村山・小泉両談話にある「植民地支配と侵略」「心からのおわび」などの引用は避け、未来志向を重視した。
 演説の冒頭で、首相は「戦後、日本の国際社会への復帰を後押ししてくれたのはアジア、アフリカの友人たちだった」と感謝を述べた。さらに「侵略ま たは侵略の脅威、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を侵さない」といったバンドン会議の原則に触れ、先の大戦の反省を守り抜く決意を強調。 「この原則のもとに平和と繁栄を目指すアジア・アフリカ諸国の中で先頭に立ちたいと決意した」と続けた。
 現在の国際情勢については、「強い者が、弱い者を力で振り回すことは断じてあってはならない」と軍事力を背景とする外交問題も挙げた。南シナ海で攻勢に出る中国を意識した発言とみられる。
 首相は22日午前、首脳会議の会場となるホテルで、写真撮影に臨む際に中国の習近平(シーチンピン)国家主席とあいさつし、握手をした。首相は終始笑顔を浮かべ、習氏といくつか言葉を交わした。  日中両政府は、今回の会議に合わせて日中首脳会談を行うよう調整している。菅義偉官房長官は22日午前の記者会見で「時間、場所などについて、最終調整しているという報告を受けている。両国がともに、関係改善に進んでいけばいいと思う」と述べた。 ≫(朝日新聞デジタル:ジャカルタ=冨名腰隆)

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●国民が安全に生きる権利 福井地裁“原発運転差し止め判決”

2015年04月22日 | 日記
エネルギーの世界を変える。22人の仕事 事業・政策・研究の先駆者たち
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●国民が安全に生きる権利 福井地裁“原発運転差し止め判決” 

原子力発電所が核爆発発電だと云うこと。事故が起きれば、そこで放出される多岐にわたる各種核物質(放射能)を閉じ込めることは不可能なこと。無論、ダムや灌漑で、その流れを制御することも出来ない事は明白に判った。また、仮にすべてが安全に稼働したとしても、最終的に高濃度放射能汚染物質は滓として残るわけで、それを廃棄する安全な場所、或いは方法のエビデンスは、人類の歴史上の時間経過を待たなければならないのであれば、いずれの時期にせよ、最終処分しなければならないものの量を増やさないようにするのは、当然の理屈である。でなければ、たった1000年後レベルの人類に、責任を持つことも出来ない。孫子の時代まで借金を残さないなんて、短期の話ではないのだ。

以下のロイターの原発関連調査結果は一考に値する。本音を引き出す、あらゆる仕掛けが施されており、マスメディアの世論調査よりも、圧倒的に正確だろう。そういう目で、この調査結果を見る限り、日本人は、正常な判断能力は有している事が判る。ただ、付和雷同の空気に晒され、イデオロギーを知られてしまいそうな調査には、構えて答える習性が身についていると云う見方をする必要があるようだ。総体的に言えることだが、原発に前向きに取り組みたいと思っている人は極めて少数派だと言える。出来たら、早目にやめたいものだが、やめるとことが可能なのか?電力料金が跳ね上がるのでは?そういう知識不足の問題なのだろう。

このような知識不足は、民主主義を定着させる上で、最も問題な点だが、知ろうともしない国民と、知らせようともしない権力者の双方の怠慢だと言っても過言ではない。官邸や規制委員会の委員長が、判決を真摯に受けとめるどころか、理解不足による事実誤認があるとか、司法の経過上の判断に過ぎないから「粛々と…」等と言えるのは、法治の意味を解していないと同時に、「人格権」の意味さえも、よく理解できていない所為である。謂わば、「人格権」は民主的立憲主義国家においては、不可欠な構成要素である。解釈に誤謬があれ、地裁判決であれ、「人格権侵害状態、ゆえに無効」と言われたも同然で、この「人格権判決」を上級司法と雖も、覆すのはかなり法的に難しいのである。法治国家の依って立つポイントを見逃しているのだろう。


≪ 原発再稼働に反対70.8%、事故の懸念73.8%=学者・民間機関調査
[東京 7日 ロイター] - 原発再稼働10+ 件を前に災害リスクを専門とする学者と民間調査会社が、原発・エネルギーに関する世論調査を実施したところ、再稼働に対して反対が70.8%、賛成が27.9%という結果が出た。
 また、現状での再稼働では、73.8%が東京電力福島第1原発事故と同規模の事故が発生すると懸念。新しい規制基準の下でも、国民の間に原発への不安感が根強く残っていることが鮮明になった。
 調査を企画・立案した東京女子大の広瀬弘忠・名誉教授が7日、ロイターに明らかにした。広瀬氏は災害リスクの専門家で、同氏が代表を務める防災・減災の研究会社が、市場・世論調査を手掛ける日本リサーチセンター(東京都)に調査を委託。今年3月4日から16日にかけて全国の15─79歳の男女1200人を対象に調査を実施し、全対象者から有効回答を得た。同リサーチセンターは、米世論調査ギャラップ社と提携。これまでも多様な調査を実施してきた。
 今回の調査では、全国から200地点を選び、各市町村の人口規模に比例して性別、年齢別に対象者を抽出。調査員が直接訪問して質問用紙を渡して後日回収する「個別訪問留置き調査」と呼ばれる手法で実施した。

<避難計画、9割近くが評価せず>
再稼働への賛否に関する質問では、「大いに賛成」「まあ賛成」「やや反対」「絶対反対」の4つを選択肢として提示した。その結果、「やや反対」が44.8%と最も多く、次が「絶対反対」の26.0%だった。「まあ賛成」は24.4%、「大いに賛成」3.5%となった。反対との回答は合計70.8%、賛成との回答は27.9%だった。
 再稼働した場合、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発と同程度の事故が起こる可能性について、「起こる」「たぶん起こる」「たぶん起こらない」「起こらない」の選択肢で回答を聞いた。 :結果は、「たぶん起こる」51.8%、「起こる」22.0%と再発を懸念する意見が合わせて73.8%。「たぶん起こらない」24.1%、「起こらない」1.3%と再発を想定せずとの回答は25.4%だった。
 原発再稼働の 安全性では、「絶対安全だと思う」「やや安全だと思う」「やや危険だと思う」「非常に危険だと思う」の選択肢を提示したところ、「やや危険」52.3%、 「非常に危険」29.0%と危険視する見方が81.3%に達した。これに対し、「やや安全だと思う」は16.2%、「絶対安全だと思う」は2.2%だった。
 事故が起きた場合の避難計画に関し、十分かとの質問には「やや不十分」50.5%、「全く不十分」37.2%と9割近くが否定的な評価となった。「やや十分」9.7%、「十分」1.5%と肯定的な評価は1割止まりだった。

 <原発の将来、段階的縮小論が過半数>
短期的な再稼働問題では否定的な回答が目立つ一方、原発の将来像に関する質問では、再稼働容認派が否定派を大きく上回る結果が出ている。
 「再稼働を認めず、直ちにやめるべき」「再稼働を認めて、段階的に縮小すべき」「再稼働を認めて、現状を維持すべき」「再稼働を認めて、段階的に増やすべき」「再稼働を認めて、全面的に原子力発電に依存すべき」「その他」の選択肢を設けたところ、「再稼働を認め段階的に縮小すべき」が最も多く52.6%、次いで「再稼働は認めずに直ちにやめるべき」が29.7%、「再稼働を認め現状維持すべき」は11.8%、「再稼働を認め段階的に増やすべき」が2.9%だった。
 広瀬氏は、この点について「いま再稼働することには躊躇(ちゅうちょ)するが、過半数は再稼働を認めて、段階的にやめていくという選択を採る」と指摘する。
 ただ、同氏は「福島第1原発事故と同程度の事故が起こる、たぶん起こるを合わせると7割を超えている。そうした状況で、(民意は、現状での)再稼働を認めることはないだろう」と述べた。
 太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーの利用に関する質問に対し、大幅に増やしたほうがいい49.8%、少しずつ増やした方がいい45.3%と、回答者のほとんどは拡大に肯定的だった。だが、増やすペースでは意見が割れた。

<マスコミ調査よりも高い反対の数値>
電話が主体の国内報道各社の世論調査では、再稼働に反対が概ね5割強から6割弱といった幅で推移しているが、今回の調査では国内報道各社の調査に比べ、反対意見が高く出た。
 こうした結果に対し、広瀬氏は「地域や国民を代表するよう対象者を選ぶ工夫をしている。代表性が高く、調査精度の高さが反映された結果だろう」と話している。
 3月実施の調査は、レジャーや花粉症、金融商品など他の調査項目と「相乗り」して行われた。「原発関連は調査全体の一部を構成しているだけなので、協力した人たちが原発問題に関して偏見があるということはない」(広瀬氏)としている。
 広瀬氏は2002年、東電による原発トラブル隠しの不祥事が発覚した時に同社が設置した「原子力安全・品質保証会議」の委員を務めた。2013年7月には内閣府原子力委員会で、原発世論に関して説明を行った。 ≫(ロイター:浜田健太郎 編集:田巻一彦)


ところで、この原発の再稼働問題については、福井地裁が高浜原発の再稼働差し止め訴訟において、安倍首相や規制委員会の田中委員長が常々口にして憚らない“世界一の規制基準”を、「新規制基準は緩やかにすぎ、合理性を欠く」とケンモホロロニ切り捨てた。政府やそれに追随するマスコミや言論人は、あの裁判官が変なんだよ、と古賀茂明レッテル貼りと同じ手法で、キチガイ扱いで乗り切ろうとしている。以下は、ビデオニュースドットコムの判決に対する論評のまとめだ。論評のポイントは住民の「人格権」を認めた部分である。詳しくは、以下のURLを参照することをお薦めする。

http://www.videonews.com/commentary/150418-02/


≪ 新規制基準では人格権が侵害される恐れがある
   福井地裁が高浜原発3、4号機の運転差し止めを決定
 「新規制基準は緩やかにすぎ、合理性を欠く。」
 福井県高浜町にある関西電力高浜原発3、4号機の再稼働をめぐり、住民らが運転を禁じる仮処分を求めていた裁判で、福井地裁の樋口英明裁判長は4月14日、住民の訴えを認め、原発の再稼働を禁じる決定を下した。
 樋口裁判長は原子力規制委員会が原発再稼働の可否を決める根拠となっている新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性を欠く」と指摘。新基準を満たしても安全性は確保されないとして、現状のままでは運転はできないと判断した。高浜原発は今年2月に再稼働に向けた規制委の主な審査にパスしていた。
 判決では新基準で安全性は確保されないと結論づけ、住民らの「人格権」が侵害される危険性があると認めた。
 一般の判決とは異なり、仮処分決定は直ちに法的な拘束力を持つため、今後の司法手続きでこれが覆らない限り、仮に関電が控訴したとしても、高浜原発3、4号機は再稼働はできない。直ちに原発の運転を差し止める司法判断は、これが初めて。
 関電は今年11月にも同原発の再稼働を目指していたが、この判決により、11月の最稼働は難しくなったと見られる。
 この日の福井地裁の判断は、多くの市民が原発に対して抱いていた不安を代弁したものとなった。
 福島第一原発の事故を受けて政府は新たな原発の安全基準を策定した。安倍首相や田中俊一原子力規制委員長は、この新基準が「世界で最も厳しい基準」であることを、繰り返し強調してきた。
  しかし、新基準が想定している地震の最大の揺れが、必ずしも十分とはいえないことや、福島の経験から、万が一事故が起きた場合、その影響は広範囲に及ぶにもかかわらず、実行可能な避難計画が策定されていないことなどに対して、特に原発周辺の住民から不安の声があがっていた。
 今回の差し止め請求も、高浜原発から50から100キロ圏内に住む福井、京都、大阪、兵庫4府県の住民9人が起こしたものだった。
 他にも判決は、使用済み核燃料プールが原子炉のように堅固な施設に囲われていないことを指摘するなど、地震大国の日本で原発を運転することによって生じ得る本質的な問題を多く指摘したものだった。  人格権の侵害を根拠に原発の運転を差し止める判決が下ったことの意味を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、憲法学者の木村草太と議論した。 ≫(ビデオニュースドットコム:ニュースコメンタリ)


原発による発電が最も安いと云う「神話」がいまだに信じられている面があるし、ちょめちょめと電力関連の見た目の仕組みを変えているような仕草は見せているが、中央集権型で醸成された電力供給システムは、まさに中央集権権力の権化のようなもので、護送船団方式の高度経済成長時に有効だったもので、JA以上に硬直化した村社会である。国家・官僚・それに巣食う産業構造。それを壊すには、外圧しかないと読んでいるのが改革派の発想だろう。古賀茂明氏も、改革をする意味の中に、外圧が暫時含まれるのは致し方なし、と思っているようだ。そこに関して、筆者は、現実的な処方箋の一つだとは思うが、それがアメリカンに倣うTPPであるかどうかになると、今さら、アメリカンな価値観では?と思わざるを得ない。まだ、自主的改革を放棄するのは早いのではないか?そうも思う、今日この頃だ。

国家の攻防/興亡 領土、紛争、戦争のインテリジェンス (角川新書)
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●「ストップ受信料被害!私は判を押さない」 NHK契約、一生つきまとう

2015年04月21日 | 日記
国家と官僚 こうして、国民は「無視」される(祥伝社新書)
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●「ストップ受信料被害!私は判を押さない」 NHK契約、一生つきまとう

ここ半年だか、一年だか知らないが、夕方の番組で「ストップ詐欺被害!私はだまされない」ってのを、延々飽きもせずにやっている。まあ、特にケチをつける気はないのだが、夕方にボ~ッとテレビ観ている人々なら、必然的に騙されるのだから、サブリミナル効果もヘッタくれもないだろうにと思っていた。口の悪い人は、嘘八百な安倍政権宣伝機関と化したNHKこそが、視聴者を嘲笑い、騙しているのだから、説教強盗のようなもんだ、と言っている。

まあ、NHKの中にも孤軍奮闘しているディレクターやプロデューサーが居るので、すべてを悪しざまに評価は出来ないのだが、あの安倍のお友達だと云う籾井会長と云うシンボルが話題に上る度に、国民の感情を逆撫でし続けているのは事実だ。良識が生き残っていても、死滅した印象を知的国民に流布している。そんな折、少し話は巻き戻しになるが、NHKが受信料請求訴訟で大敗北を喫した。なぜNHKの大敗北かと云うと、判決で「テレビを持っていても、契約書がなければ払わなくても構わんよ。NHKはテレビを持っていれば支払い義務は生じると強弁して、市民を脅しているわけだが、これが通用しなくなると云う判決である。

反論もあるにはある。何たって、松戸地裁判決だ。高裁に行けば、予定調和判決で、ひっくり返るのは必定なんだよ、とNHKの回し者のような発言も目立つ。しかしだ、今回の判決において、NHKと受信者を束縛する「日本放送協会放送受信規約」が唯一の請求根拠なので、そこには、NHKと受信者の間に、受信契約が必要だと記してある。つまり、受信契約をしない限り、受信料を請求されることはないと云う事だ。つまり、「日本放送協会放送受信規約」を法律にまで格上げし、籾井会長が放言したように、「一家庭最低一契約」を義務付けるようなものに変えなければならない事を意味している。

しかし、テレビがあろうとなかろうと、強制的に受信料を取ると云う事は、人頭税のような課税方法であり、到底公共放送の枠組みでは、法的に立法化するのは困難だろう。裏を返せば、強制的に、ある一定の放送局を視聴しなければならない強制性が生じ、公共放送ではなく、北朝鮮型国営放送に認定されてしまう。このニュースが大きく取り上げられない理由は非常に簡単で、政府・総務省・NHKの三者が望まない報道ネタと云う事だ。

日刊ゲンダイが書いていたが、この話題を大きくしてしまうと、受信料の不払い運動が盛り上がるに違いないと云う事だが、この判決だけでは、不払い運動は不十分だろう。既に受信契約を個人又は世帯名で契約してしまっている場合、請求されたら敗訴する可能性はかなりある。つまり、既契約者には、不払いによる敗訴のリスクが排除されたわけではない。ここがポイントだと筆者は考えている。

最も、需要なことは、「ストップ詐欺被害!私はだまされない」。まさに、このことである。受信料の口座振替などしてしまったら、完璧にアウトになる。電気料金、ガス料金‥等公共料金の口座振替は便利だが、時に命取りになる。一生つきまとわれる(笑)。NHKの契約は、その最たるものだ。「ストップ受信料詐欺!私は判を押さない」なのである。断る理由は、「テレビはありません」その一言以外、絶対に余計なことを口にしない事だ。

意外に、受信料を払わない人々は、金持ちが多い。なぜそうなってるのか判らないのだが、筆者のように、見る暇がない人間もいるだろう。NHKに限らず、テレビすべてを総白痴化のインベーダーだと考える人もいるだろう。NHKだけは観たくないと云う人もいるだろう。テレビの受信機と云うもの、独禁法の絡みで、NHKだけ映らないテレビの製造は出来ないようだ。

基本的に、テレビがある場合は、徹底的に攻められる。最近は、NHKが映らないアンテナが出来たそうだが、これをもってNHKに対抗できるか?まだ、判例がないので分からない(笑)。まあ、良い番組も作っているようだが、ニュースがあれじゃ、支払い拒否に頭をひねる国民は後を絶たないのは当然だ。まあ、あまり強制的な受信料徴取方式を取ると、テレビが売れなくなり、製造業大好きな安倍政権にとっても痛し痒しになるのだろう。個人的には、左右の別なく、気持ちよく受信料が払えるニュースの是々非々を報道すべきであり、政権発ニュースは別枠で、垂れ流せばよかろうと思う。視聴率は激減だろうがね(笑)。

≪ NHK受信料請求を棄却…「契約の証拠ない」
NHKが千葉県松戸市の男性を相手取り、11年4か月分の未払い受信料18万4820円を支払うよう求めた訴訟で、松戸簡裁は15日、請求を棄却する判決を言い渡した。 男性が結んでいないと主張した受信契約の効力が争点となり、江上宗晴裁判官は「男性が契約を締結した証拠はない」と認定した。
 NHKは、担当者が2003年3月、男性宅を訪問して受信契約を結んだが、同年4月から14年7月分までの受信料が支払われていないと主張。男性は「契約書に印影もない。担当者が承諾なしに勝手に書いた」と反論していた。
 判決は、契約書の筆跡について「男性や妻のものと認められない」と指摘。担当者が妻から記入を代行させられたとのNHKの主張にも「認めるに足りる証拠はない」と判断した。
 NHK広報局は「判決内容をよく読んで対応を検討したい」とコメントした。 ≫(読売新聞)

東京新聞の「筆洗」 ~朝刊名物コラムで読み解く時代の流れ~ (廣済堂新書)
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●「翁長オール沖縄」必見ビデオ 安倍vs議員立法仕掛ける法制局の罠?

2015年04月20日 | 日記
日本人が知っておくべき この国根幹の《重大な歴史》 新証言、新証拠が続出! 今この二人だからこそ明かせる《最高機密》
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●「翁長オール沖縄」必見ビデオ 安倍vs議員立法仕掛ける法制局の罠?

まだネット世界でも、あまり話題になっていないが、18日土曜日のビデオニュースドットコムのニュースコメンタリー、「辺野古問題は憲法上、住民投票にかけなければならない」における、憲法学者・木村草太氏の憲法解釈は非常に興味深い。翁長県政に関わる全職員が見るべきだし、沖縄県民が見るべきだし、高濃度放射能汚染物質の最終処分場に選ばれる地域の人にとっても、否、日本国民にとって、重大な立憲主義国家の国民にとって重要な観点である。

日本を元気にする会・松田公太議員の質問に対し、安倍首相は、みずからの憲法解釈の下、「選挙で選ばれた私に、行政上の責任は、全権委任されているわけでありまして」と知ったかぶりと云うか、思い込みの罠に嵌っている。松田議員が指摘したことも、一種の罠で、辺野古基地建設が「行政事項」か「立法事項」か、どちらなのだと云う話なのだが、事前通告事項であるにも関わらず、内閣法制局は「安倍憲法思い込み」に阿ったのか、或いは法制局も罠を仕掛けたのか、安倍首相は、トンデモナイ返答を堂々と語ってしまった。

この憲法論議が、国内において、司法を含めて議論されたり、訴訟が起きたとしても、現在の日本の民度や民主主義の成熟度から察するに、大きな問題にはなりにくい。早い話が、意味を解するだけでも、1か月は要するだろう。日本の政治家や国民が、そんな根深い議論に耐えられるわけがないので、国内的には盛り上がらないだろう。しかし、対欧米へのインパクトは充分に有効で、オバマや米国議会の有力どころが、この問題にアンテナを拡張して対応するだろう。米国にとって、日本の米軍基地は非常に国益に資するものである認識がある。しかし、国益に沿うべきである米軍基地が、そこに住む住民から「総スカン」を喰らうような地域では、国益に沿わないのである。

当該コラムで、充分に説明できるほど、この憲法解釈は簡単ではないので、是非、ビデオニュースドットコムの以下のサイトのビデオを視聴することを強くお勧めする。以下のまとめ文も良くできているが、視聴して、メモでも取らないと、充分には、木村氏の解説を理解するのは難しそうだ。ニュースコメンタリーは無料なので、特に貴重だ(笑)。併せて、参議院予算委員会における、松田議員と首相のやり取りビデオも視聴しておく方が、一層理解するのに有効だ。

ビデオニュースドットコム・ニュースコメンタリ―
http://www.videonews.com/commentary/150418-04/

参議院TV-予算委員会―4月8日―松田公太で検索のこと
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

≪ 辺野古問題は住民投票にかけなければならない
  憲法学者の木村草太氏が国会の責任を強調
4月8日の参議院予算委員会で日本を元気にする会代表兼幹事長の松田公太参院議員が、安倍首相に対し、「辺野古の問題は国政の重要事項」かの確認を繰り返し迫るシーンが見られた。そのやりとりの真意を掴みかねて、不思議に思われた方も多かったかもしれない。
 ニュースではそのやりとりの中で安倍首相が、菅官房長官が封印した「粛々と」という表現を使ったために、その部分ばかりがクローズアップされてしまったが、実はこのやりとりには、現在政府と沖縄県の意見の相違から閉塞状態に陥っている辺野古問題を解決に導くかもしれない重要なカギが潜んでいた。
 この一連のやりとりの中で、安倍首相が、辺野古の問題は「国政の重要事項」であることを認めたことを受けて、松田議員は、もし辺野古の問題が国政の重要事項なのであれば、国権の最高機関である国会の立法が必要になってえしかるべきではないか、と切り出したのだ。そして、国会が審議することになった場合、 辺野古に新たに米軍基地を建設することは、名護市に大きな負担を強いることになる立法を策定する以上、憲法95条によって、名護市の住民投票が必要になる のではないかと首相に問うたのだった。
 安倍首相は質問の真意を理解したかどうか定かではなかったが、「国民の命と幸せな暮らし、領土、領海を守っていく」ことも、「日米同盟の中において、条約上の義務を果たしていく」ことも、いずれも行政の責任であると回答し、新たな法律は不要であり、「すでにある法令にのっとって粛々と進めて」いく意向を表明した。ここで使った「粛々」の部分だけが、大きなニュースになったのだった。
 また、住民投票について安倍首相は、「多様な住民ニーズをより適切に地方公共団体の行政運営に反映させるために、住民の意思を把握する手法として代表民主制を補完するもの」と位置づけ、辺野古への基地の移転については住民投票の目的には沿わないとの考えを示した。
 憲法学者で首都大学東京准教授の木村草太氏はこの件で松田議員にアドバイスをしていたことを認めた上で、「政府の辺野古での基地建設は憲法上必要な手続きを踏んでいないので憲法違反と言える」と指摘する。
 辺野古での米軍基地の建設が政府にとって国政の重要事項であるならば、憲法41条によって国権の最高機関であることは明確に定められている国会の審議が必要であり、これを経ず政府が独断でこれを決定することは、憲法違反に問われると木村氏は言うのだ。
 憲法41条は「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」ことを定めている。
 米軍への基地提供は駐留軍用地特措法によって政府が土地を収用して造ることが認められていると解されている。しかし、「どの法律にも辺野古に作るとは書かれていない。どうしても基地を辺野古に作らなければならない法的根拠が見当たらないのだ。
 そもそも駐留軍用地特措法には地元の承認を得る手続きが定められておらず、政府が独断でどこに米軍基地を作ってもいいような形になっているが、これを辺野古に当てはめた場合、地方公共団体に適用される特別法には住民投票で過半数の同意を得なければならないことを定めた憲法95条に抵触する可能性がある。
 どうしても辺野古に基地を作りたいのであれば、まずは憲法41条に則り、国会による立法、すなわち「辺野古特措法」が必要であり、それを制定するために は、憲法95条が定める住民投票による過半数の賛成が必要になる、という。これは木村氏の憲法学者としての意見というよりも、憲法価値から導かれる帰結だと木村氏は言う。
 木村氏によると、松田公太議員は辺野古特措法を議員立法で提出する計画を進めているとのことで、今後辺野古問題が、憲法論争に発展する現実的な可能性が出てきている。
 米軍基地をめぐり、その立地対象となった自治体と政府の意見が真っ向からぶつかり合う形となった場合、憲法はその問題をどのように解決に導いてくれるのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が憲法学者の木村草太氏に聞いた。

参考:
憲法第41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
憲法第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。 ≫(ビデオニュースドットコム:ニュースコメンタリー)

外国人による日本論の名著―ゴンチャロフからパンゲまで (中公新書)
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●TPP妥結の大前提TPAの行方 議会はオバマに強権付与するのか?

2015年04月19日 | 日記
自由という牢獄――責任・公共性・資本主義
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●TPP妥結の大前提TPAの行方 議会はオバマに強権付与するのか?

オバマも死に物狂いになっている。TPPの妥結も出来なかったという事は、何もしなかった、否、世界中に火の粉を撒き散らしただけの大統領で終わってしまうのを忌避する最後の賭けに出たようである。しかし、議会とのTPA法案提出の条件に、≪「米の目標に照らして不十分」だった場合などに議会が一方的にTPAを破棄できる条項も盛り込んだ≫と云うことなので、参加各国が、TPP妥結の大前提であるTPAとは似て非なるものが「TPA」と云う名前を詐称しているに過ぎないと、参加国が判定すれば、大前提は崩れる。つまり、TPA詐称事件と化す。現在、日経などが必死こいてプロパガンダ報道をしているが、参加各国が、このTPAもどきなTPA法案を、素直に認めるとは筆者は思わない。

つまり、仮に米議会で「偽物のTPA法案」が通過したとしても、参加国がTPA法案じゃないだろう、と判断すれば、前提がクリアにしようとした行為が無駄骨になる可能性もある。レームダックしているオバマ・ホワイトハウスに、大統領権限を大幅増させる機能を持たせるか?そこからして、大変に懐疑的に考えるのが妥当だろう。オバマの任期は1年半しか残っていないし、その人気の程は、戦後の12人の大統領中最下位に低迷しているのだから、米議会が、オバマの抱きつき心中につき合う可能性も低いように思われる。

≪ 米議会で貿易促進法案審議へ TPPの前提、民主は慎重
【ワシントン=矢沢俊樹】米議会の超党派グループが16日、大統領に強力な通商交渉の権限を委ねる貿易促進権限(TPA)法案を提出した。日米両国 はTPA法案の審議と並行して、環太平洋経済連携協定(TPP)の年内合意に向けた調整を再加速させる方針だ。ただ、議会内の慎重論から同法案の行方は予断を許さない状況だ。
 歴代の米政権は基本的にTPAの下で数々の自由貿易協定(FTA)を締結してきた。TPAは2007年夏に失効し、このままではTPPで合意しても米議会に覆される恐れがある。TPP協議では多くの交渉参加国が米側にまずTPAを取るよう迫っていた。
 米議会では野党共和党がTPP交渉やTPA法案の成立に前向きで、与党民主党は慎重だ。オバマ氏は、法案の共同提出者で慎重派のワイデン上院財政委筆頭理事(民主)を執務室に招き膝詰めで説得にあたるなど、議会への働きかけを本格化した。
 安倍晋三首相の訪米を控えた日本政府内でもTPA法案について「28日の日米首脳会談前に上院だけでも通っていればTPPを巡る空気が一変する」(外交筋)と歓迎の声が漏れる。
  上院で法案を審議する財政委員会のハッチ委員長(共和)も採決を急ぐ姿勢を示しているが、票読みはきわどいとの声もある。上院本会議では議事妨害阻止のために60票を確保する必要がある。共和内からの造反も考慮すると、最低でも10人程度の民主議員から賛成を取り付ける必要があるとの観測がある。
  さらに情勢が厳しいのは下院だ。共和は過半数を大きく超える250近い議席を持つが、オバマ氏の権限強化に猛反発する保守強硬派「茶会」系らの相当数は反対に回る。一方で190人近い民主議員も「80人ほどが態度未定」(ホワイトハウス関係者)とされ、票の動きはかなり流動的だ。
 下院民主の穏健派ら50~60人程度が賛成に回らないと法案を通せないとの分析もあってホワイトハウスや米通商代表部(USTR)のフロマン代表ら閣僚が手分けし議員の説得に奔走している。
 ドル独歩高が続くなかで、米議会では為替操作の防止に向けた対応にも関心が高まっている。米議会が強硬路線に傾けば加盟国が反発してTPP自体が頓挫しかねず、緊迫した調整が続きそうだ。

▼貿易促進権限(TPA)法案 
米国の議会が大統領に強力な通商交渉権限を委ねるための法案。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉妥結の大前提となる。 共和党と民主党の超党派が16日、上下両院に提出した。大統領が結んだ外国との通商協定を議会が一定期間内に一括承認することを認めるのが柱。期間は最大 6年。オバマ米大統領は年内のTPP合意を目指しており、歓迎する声明を出した。 ≫(日経新聞電子版)


オバマ大統領も必死である。ノーベル平和賞のオバマが、実は世界中に戦争の火種を撒き散らすだけの大統領だったと思われたくない一心で、TPP妥結に全力で取り組んでいる心情は理解するが、だからと言ってTPPと云う国のかたちを変えてしまう協定に、オバマに同情して一票はないだろう。そこで、オバマはABBIを引き合いに出して、このまま推移すると、中国がAIIB等々を通じてアジアの意志の潮流を作ってしまう。それは、米国として重大な国益の損失に繋がる。ゆえに、TPPで歯止めをかけないとエライことになる!と叫んでいるのが現状と言える。

つまり、米国やホワイトハウスですら、中国のパワーを怖れているという事だ。ここのところを、わが日本の国民は、よく理解出来ていない。好むと好まざるに関わらず、現象が早期に起きるか、幾分遅れるかと云う問題はあるだろうが、世界の覇権が流動性のある歴史的時期に突入したと云う現実を直視しなければならない。TPPへの加盟は、安倍官邸がどこまで理解して推進しているのかは疑問だが、市場原理主義の世界金融資本とグローバル企業群に日本市場を売り渡すと云うことであり、「日本を取り戻す」どころか「日本を売り払う」わけで、言っている事と、やっている事が、“しっちゃかめっちゃか”なんだね(笑)。

安倍官邸は、やることなすこと“すべて失敗”なので、今後は化けの皮が剥がれるのを、出来る限り引き伸ばすのが、官邸の一致した考えのようなので、マスメディアを、徹底的に弾圧しておこう、と云う意思統一は出来ているようだ。新聞では、毎日新聞の雰囲気が、安倍官邸への噛みつき方が緩んできている。有力どころのネットメディアにも、正直手は回り始めている。ビデオニュースドットコムが最近怪しくなってきた。個人ブログ関連でも、安倍ヨイショブログがヒロポンを打たれたように元気溌剌になっている。

筆者は、いずれ安倍政権はコケるんだから、果報は寝て待てのスタンスだが、「まさか!」が起きないこともないな、と時折思うようになっている。B層の殆どが政治に関心がなく、自分たちの手足を食べていても、痛みを感じなくなっていて、選挙に参加しない人種が増加の一途を辿っている。ファシズム政権が醸成されやすい環境は整いつつある。これに、戦争体験も、記憶すらもない、戦争ゲーム大好きな18歳からの参政権付与は、一気にその動きを安定的なものに押し上げるだろう。もう、そこまで行くと、理屈抜きに「戦争したい政権」の天下になるのだろう。

古賀茂明の「フォーラム4」なる運動が盛り上がるか、辺野古問題を契機に、琉球民族運動が世界的話題にまで成長するか、再稼働した原発の一つで事故が起きるとか、北朝鮮が韓国に攻め込むとか、なんだか物騒な出来事でも起きないと、この流れは、忌々しき事態を招きそうである。専守防衛の方法は、移住だが、今の政府では海外渡航の制限まで、視野に入れてる気配がある。オーウェルの『1984年』が今まさに到来しつつある。日本を愛しているので、国内に留まるが、芋畑くらいは準備したいものである(笑)。

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)
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●翁長捨て身、アイデンティティ勝負 安倍失墜の引き金にも

2015年04月18日 | 日記
沖縄文化論―忘れられた日本 (中公文庫)
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●翁長捨て身、アイデンティティ勝負 安倍失墜の引き金にも

裏切り知事・仲井真弘多を破って沖縄県知事になった翁長雄志知事の辺野古新基地移設に関する動きに対して、様々な勢力から、様々な攻撃が加えられている。本土のお利口さんな人々は、“見ざる聞かざる言わざる”のポジションをキープしておくのが賢明と云う態度に終始している。あからさまにバカで愚かな行為をしているのは、在特会はじめとする旭日旗振りまわし、翁長知事に向かった「売国奴」と叫んでいた右翼の連中だ。「琉球処分」否、それ以前の琉球民族の歴史を踏まえよ、と言っても日本語さえ十分理解出来ない輩だから、捨て置いて晒しておくしかないだろう(笑)。

次に馬鹿と云うか、陰湿で卑怯なのは安倍官邸である。「翁長沖縄知事は中国の手先」との情報工作(週刊ポスト)であり、「週刊文春」「週刊新潮」などの保守メディアは官邸からの依頼を受けたの如く、バッシングの動きを見せている。「翁長知事を暴走させる中国・過激派・美人弁護士」(週刊文春)文春系は、今や官邸を情報源として、特捜検察のリーク報道紛いの勢いで、内部情報を特集化させ、特ダネ風味の官邸広報活動の一翼を担っている。「文春」は官邸の謀略機関に成り下がったと言えば、今始まったことのようだが、文春とは、立花隆の田中角栄ロッキード以来CIAの機関紙化しているのだろう。

 ≪ 安倍政権 「翁長沖縄知事は中国の手先」との情報工作進める
普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)・沖縄県知事に対し、徹底した会談拒否方針を貫いてきた安倍政権だったが、急遽、方 針を一転させて菅義偉・官房長官が沖縄を訪問。翁長知事と会談した。基地移設について「粛々と進めていく」と語る菅官房長官に対し、翁長知事が「上から目 線」だと批判をすると、菅氏はすぐに「粛々と」は封印すると語った。
 宥和姿勢を装う裏で、政府側は翁長知事に対する情報工作を進めている。本誌が昨年12月、沖縄知事選の情勢を取材していると、複数の公安や内閣情報調査室(内調)の関係者から「翁長の疑惑を何か掴んでいないか」という探りが入った。同時期、別の情報機関の関係者が沖縄県に入り、翁長氏の当選を阻むための スキャンダルを探し回っていたという証言もある。
 結局、翁長氏は仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)氏に大差をつけて勝利したが、辺野古移設問題が暗礁に乗り上げるやいなや、虚実ないまぜのネガティブキャンペーンが展開された。「翁長は中国と近すぎる危険人物」という情報である。
 一つが、那覇市の若狭緑地に建設中の中国風のモニュメント「龍柱」をめぐるものだ。市の都市計画マスタープランでは、那覇西地域で「中国とのゆかりが深い歴史性を生かしたまちづくり」を推進。
 福建省・福州市との友好都市締結30年を記念し、「那覇の新しい玄関口としての魅力を高めたい」と龍柱建設を計画した。それは翁長市長時代に決められた プランであり、「翁長氏に中国側から賄賂が流れた」という怪情報が地元で流されているのである。加えて「龍柱が完成したら、龍の目は上海を向く」というイチャモンのような話も広められた。
 菅官房長官の沖縄入りと前後して、情報工作はさらに熱を帯びた。 「翁長知事の娘は長く中国に留学していた」 「娘は、上海市政府に勤める中国人と結婚している。相手は習近平人脈に連なるエリート共産党員だ。中国に行ったままなかなか帰国を認めてもらえない。人質に取られているも同然だから、基地問題で中国寄りの姿勢をとらざるを得ない」
 そんな内容で、一部のネットメディアにリークされ、同じタイミングで自民党議員や番記者たちも噂を広めていた。それがネトウヨたちに転載されて一気に広がった。
 しかし実際は、娘は結婚も留学もしていない。「龍の目が上海を向く」も、単に空港からの車の流れや港に着く船からの人の動線を考慮して「海側に向けられただけ」だった。
 さらに、翁長知事が福州市から「名誉市民賞」を受けているとする情報も広がっている。だから「中国寄り」というわけで、やはりこれもネットで「売国奴 だ」と批判の対象になった。名誉市民賞は事実だが、実態は友好都市として歴代那覇市長と福州市幹部が「名誉市民」の称号を交換してきた歴史があるだけだ。
 安倍政権は「情報収集能力強化」を謳うが、この程度のお粗末な情報工作に手を染めているようなら、児童会選挙のスパイごっこレベルである。何より、沖縄の市民感情も日本の国防も本気で考えていない証左になる。 ≫(週刊ポスト)


そして、最後に厄介な連中が、翁長知事の真意への疑念者たちだ。この人たちは、辺野古基地反対の立場は同じなのだが、翁長知事の方法論が気に入らないと云う人々だ。リベラル系な人々に多く見られる困った人たちなのだが、大同団結の妥協と云うものを知らないので基地賛成派の人々以上に厄介だ。今回の安倍晋三との会見も「安倍・翁長会談は安倍訪米のアリバイづくりに協力するだけの意味しかない」と翁長知事への疑心暗鬼を披露するのだが、翁長雄志知事が知事選で勝利した知事なのだから、民意に沿っている。

筆者の見立てでは、単に、基地問題に限らない、沖縄(琉球)のアイデンティティをコアに戦略化された手法を選択しているのが、翁長知事なのである。一見、遠回りな方法論に見えるが、保守としての矜持の道を踏み外さず、目的を達成しようと云う試みは、骨太に見える。ちゃらちゃら世相に簡単に阿らない点で武骨で無口な武者を想起する。

翁長氏がTwitterで呟く言葉には、琉球の魂的言葉が淡々と語られている。黙って読んでやり、本土の日本人が、自らの良心の鏡に照らして、本気で考えてみることだ。日本人は素質があるとか、一流国家だとか言う前に、人の話を聞いてみるものだ。

■翁長氏のつぶやき

翁長「ぼくは自民党県連の幹事長もやった人間です(中略)ただ、自民党でない国民は、沖縄の基地問題に理解があると思っていたんですよ。ところが政権交代して民主党になったら、何のことはない、民主党も全く同じことをする」

翁長「もう折れてしまったんです。何だ、本土の人はみんな一緒じゃないの、と。沖縄の声と合わせるように、鳩山さんが『県外』と言っても一顧だにしない。沖縄で自民党とか民主党とか言っている場合じゃないなという区切りが、鳩山内閣でつきました」

翁長「振興策を利益誘導だというなら、お互い覚悟を決めましょうよ。沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくしてください。そのかわり、基地は返してください。沖縄で在日米軍基地の74%を引き受ける必要は、さらさらない」

翁長「よく聞かれるよ。自民党政権になっても辺野古移設に反対ですかって。反対に決まっている。オール日本が示す基地政策に、オール沖縄が最大公約数の部分でまとまり、対抗していく。これは自民政権だろうが何だろうが変わりませんね」

翁長「沖縄にすべて押しつけておいて、一人前の顔をするなと言いたい。これはもうイデオロギーではなく、民族の問題じゃないかな。ぼくは分かった。ヤマトンチュになろうとしても、本土が寄せ付けないんだ」

翁長「寄せ付けないのに、自分たちの枠から外れると『中国のスパイだ』とかレッテルを貼る。日本の47分の1として認めないんだったら、日本というくびきから外してちょうだいという気持ちだよね」 ≫( 以上翁長知事Twitter抜粋 )


17日、翁長氏と安倍首相が、お互いに仁義を切るような会談をしている頃、BBCのクルーが、辺野古の海上保安庁の暴力的取締りの現状を取材に訪れた。BBCクルーが乗船しているとも知らず安倍政権の犬と化した海保が、当該抗議船に乗り込んできた状況が、つぶさにビデオ撮りされたようだ。安倍が訪米で、オバマに嘘っぱちを言わせない為、オバマに事前に情報を提供するために、近々画像を放映するようである。海外メディアに頼らないと、日本の民主主義らしいものさえ守れないのだから「情けない」のひと言だ。

いずれにしても、翁長知事にしてみれば、問題がこじれれば拗れるほど立場は有利になる。世界の目が、日本の沖縄県の米軍基地問題から、「琉球の領地と民族」を、植民地化政策で掠め取った「日本」と云う構図が浮き彫りになる。辺野古埋め立てに関して、仲井真県政において承認事項に瑕疵があったと指摘、司法の場に持ち込むのが最高のシナリオだ。中国、韓国ロビーストはじめ、欧州勢が加担するのは明らかで、世界のメディアを安倍官邸がコントロールすることは不可能だし、オバマも腰を引くだろう。アメリカのメディアを動かす前に、欧州勢と中国勢に火を着けておくことが肝心だ。そのような展開になれば、安倍官邸に辺野古埋め立て工事を実行する力はなくなる。もしかすると、政権自体の存続にも影響が及ぶだろう。

琉球独立論
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●シャバに出るより牢屋の方が… 犯罪者なのか、最弱者なのか

2015年04月17日 | 日記
日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)
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●シャバに出るより牢屋の方が… 犯罪者なのか、最弱者なのか

以下のブルームバーグのレポートは考えさせられるところが多々ある。レポートでは、知的障害や生活困窮の為に社会のシステムから取り残された特殊な人々の話のようにも読めるが、共同体の崩壊、家族の崩壊、障害、個人的罹患によって貧困を極めた人々の行きつく先を暗示もしている。たしかに、彼らは、窃盗万引き無銭飲食等々の罪を犯したのは事実だが、その犯罪に手を染める前に、何らかの救済の道はあったのだと思う。一番の問題は、どこにそのような救済の道があるのかさえ教えて貰えない、聞きに行けない、現実が存在するのだろうなと想像できる。

彼らを犯罪者と切り捨てるのは容易いが、筆者が思うに、戦後の経済復興の陰で生まれた最弱者の群れのようにも思えてくる。村の共同体が集団就職の煽りをうけて先細り、製造業を中心とする護送船団方式のエコノミックアニマル、経済大国に驀進したわけだが、日本列島の村における共同体を弱体化したことで起こる副作用に、考えは及ばなかったと云うことになる。松谷氏の『東京劣化』と云う著書も出ているが、これからの都会では、このレポートに書かれているような事態が、更に加速度的に増えてゆく問題が潜んでいる。

ブルームバーグは、安倍政権に批判的立場はとっていないが、寄り添う政治と云う言葉とは裏腹な、強者に利益、トリクルダウンの幻想を振り撒き、市場原理主義と国家主義と云う「魔物」のような国を作ろうとしている。このレポートでいうような最弱者は、2020年の東京オリンピックの頃には、道々で必ず出遭う人々を想起する。そのよう現象が顕著になれば、オーウェルの『1984年』を彷彿とさせる世界が、少なくとも都会では起きるかもしれない。

13年のNHK「日本人の意識調査」では、「日本人はすぐれた素質をもっている」と答えた割合は68%(03年51%)だそうだ。また、「日本は一流国だ」と答えた人は54%(03年36%)だそうである。つまり、この調査を見る限り、日本人は優れた素質を持っている。ゆえに「一流国だ」と云う意識を持っているらしい。その所為かどうか判らないが、嫌韓や反中の書籍がブームとなり、それに飽きたら、日本賛美本が本屋の棚に目立つようになってきた。たしかに、NHKその他民放のニュースを見聞きして、読売や日経を読んでいれば、そういう意識になっても仕方がないな、と思う。

しかし、そのような傾向は、中国でも韓国でもあるわけだが、本屋に反日的書籍が並んでいるレベルではない。どちらかと言えば、ネット空間で嫌日、反日な言葉が溢れているようだ。公正公平にみて、日本人はモノを生産する素質には恵まれているが、創造する素質に恵まれているとは言い難く、“一流国だ”と云う言葉は虚しく響くだけのようだ。ギャラップの調査によると「お国の為に戦うか」との問いに、イエスと答えたのは11%で世界最低だったし、ピューリサーチの「自力で生活できない人を政府が助ける必要はあるか」の調査では、「助ける必要なし」と答えた人の割合が、調査対象国NO1の38%もいたそうだ。

現在の日本人は、ヤケクソニなり、どこかの官邸の住民同様に、「強がる」「粋がる」「偽善ブル」こういう素養が溢れているわけだが、現実を無視して、「そういう風に思っていないと生きていられない」と云う現実への逃避的な態度になってしまうのかもしれない。イギリスやスペインに住む友人から、どうして日本人はAIIBに参加しなかったの?アジアで中国の次のNO2じゃ嫌ってことなの?と聞かれ、「本当の実力は判っているけど、それを認めると、騙してきている国民に説明がつかないのだろう。それに、アメリカ共和党から睨まれたくないんだろうね」と答えておいた。

≪老人ホーム化する刑務所、「出るのが怖かった」-高齢化で医療費増も  
 (ブルームバーグ)
世界中の多くの刑務所は脱走防止に時間と労力を割いているが、日本では受刑者を出所させるのに苦労している。毎年約6400人があてどもないまま出所、そのうち3人に1人は2年以内に戻ってくる。
日本政府は犯罪対策閣僚会議で昨年12月、帰る場所がないまま社会復帰する出所者数について、夏季東京五輪が開催される2020年までに3割以上減らすと公約した。犯罪や非行に手を染めた人を社会の一員として再び受け入れる社会環境を構築する一環だ。
高齢受刑者がこの10年間急増する中、かなり高い数値目標だ。自由を手にしても孤立する社会での生活より、仲間がいて衣食住を政府が提供する刑務所生活を選ぶ受刑者も多い。
長崎刑務所に入所している67歳の受刑者は、すりを繰り返して14回目の服役中だ。12月に満期出所予定だが、支援なしにはまた戻る可能性が高いと社会福祉士はみている。頼れる親族や友人がおらず、なけなしの所持金を食費や酒で使い切ってしまうからだ。福島刑務支所(女子刑務所)では60歳以上が全受刑者 の28パーセントを占める。窃盗を重ねている最高齢91歳女性は、入出所を繰り返している。

*居場所
 「日本の刑務所は劣悪な環境、ほとんどの施設で暖冷房が入らないので、冬は手足がしもやけでパンパンになり、夏は汗だく。どうしてこんな環境に戻りたいのか、それだけ社会に居場所がないということだ。刑務所には仲間がいて、食事と部屋が与えられ、健康管理も受ける、死亡しても手厚く弔ってもらえる」と龍谷大学大学院法務研究科教授で犯罪学専門の浜井浩一氏は述べる。
取材過程でブルームバーグは日本の3つの矯正施設への立ち入りを許可され、約10人の受刑者の話を聞いた。他にも検事、刑務官、ロビイスト、社会福祉士、官僚や研究者にも取材をして記事をまとめた。個人情報保護の観点から受刑者の名前は伏せた。
人口10万人当たりの受刑者数を国際比較すると日本は49。米国の698、英国149、ドイツ76に比べると少ない。しかし、最近では高齢者犯罪が増加し、刑務所によっては内部が福祉施設化している。

*循環
高齢犯罪者は矯正施設の出入りを繰り返している。家族がいなかったり、金銭的支援がなかったり、障害があったりして地域社会から見放されているからだ。累犯防止に対応するため、日本政府は、帰る場所のない高齢出所者を支援するプロジェクトを進めている。
 法務省によると、65歳以上の犯罪検挙は2013年度に4万6243件、20年前と比べると4倍以上に上る。高齢者犯罪の74%は窃盗で、刑務所人口のほぼ5人に1人が60歳以上だ。
 「刑務所によっては老人ホームのようなところもある。受刑者が食事を作って食べさせてあげたり、歩けない人を支えてあげたりする。雑居房では体が痛くてうなされていたり、認知症で夜中に徘徊(はいかい)したりする人もいる。ひどいと排せつ物を投げたり、わざと布団に粗相をしたりする受刑者もいて、刑務官の負担が増加している」と、全国の刑事施設を半世紀以上にわたり慰問を続け、大スターながら法務省特別矯正監も務め、矯正施設の環境改善に尽力する杉良太郎氏は述べた。

*コスト
高齢受刑者に対して刑務所に代わる意味のある対応策を見つけることは、日本にとって喫緊の課題でもある。国内総生産の240%以上の債務を抱え、先進国の中において最大の債務超過国だからだ。
 刑務所など矯正機能を充実させる14年度の予算額は 約2300億円。法務省によると受刑者1人当たりの年間コストは約320万円、生活保護を受けた場合のほぼ倍に相当する。安価な商品の万引きなどのささいな犯罪でも再犯を繰り返せば最長で5年の実刑判決を受ける可能性もあるので、その場合、単純計算で5年間で1600万円かかる。
 「こんな公費の使い方をしても誰も幸せにならない。効率的な財政運営をするのであれば別の方法を考えるべきだ」と障害者施設を運営する社会福祉法人南高愛隣会顧問・理事で最高検察庁参与の田島良昭氏は言う。田島氏は厚生労働科学研究「罪を犯した障害者の地域支援に関する研究」の代表を務めた。

*医療費
受刑者の医療費も年々伸びている。法務省によると、14年度の薬剤費および医療機材費は過去9年で倍増し、年間60億円だった。受刑者の病院搬送も9年で倍増し、12年に1278件に上った。
厚生労働科学研究「罪を犯した障害者の地域支援に関する研究」は、03年に元衆議院議員の山本譲司氏が自身の刑務所での経験を基にした著書「獄窓記」(ポプラ社)で刑事施設に在所する障害受刑者の実情を紹介したことを契機に始まった。研究報告後、政府は09年から47都道府県に地域定着支援センターの設置を進め、社会復帰支援を行っている。
累犯者問題は06年1月、西日本旅客鉄道の下関駅が放火されて74歳の男性が逮捕されたとき、社会的にも注目された。容疑者は、事件の8日前に刑務所から出所し、空腹と寒さに耐えられず、刑務所に戻りたくて放火したと供述した。知的障害を持ち、事件それ以前も放火、放火未遂を繰り返し、10回服役した経験があり、人生の40年以上を刑務所の中で過ごしていた。

*病気
法務省矯正局総務課長の大橋哲氏は、「彼らはどこのセーフティーネットにも引っかからず、刑務所に落ちてきてしまった人たちだ。本来、福祉を受けていれば正常な生活をしていた人たちで、福祉へつなぐことでそこに戻していこうとしている」と述べた。
法務省によると、12年度の時点で、受刑者の3分の2は何らかの病気に罹患(りかん)していた。循環器疾患が一番多く、続いて精神および行動障害だった。
受刑者の高齢化に対応するため、刑務官は介護士のような役割も果たしている。福島刑務支所長の赤間ひろみ氏によると、高齢で障害を持つ受刑者の排せつ物清掃や、歩行補助を娘や孫の年齢の刑務官が担当している。
隣接する福島刑務所(男性刑務所)は1月、4人の受刑者を病院搬送した。その警備に刑務官24人を割かなければならなかったため、現場に残った刑務官への負担が増えたと所長の太田実氏は述べた。

*最後にする
日本の刑務所は欧米の矯正施設よりも安全かもしれないが、自由が剥奪される。受刑者は午前6時45分起床、午後9時に就寝し、房には冷暖房がないところがほとんどだ。禁錮刑ではなく懲役刑を科すので就労義務があり、日中10-20人に分かれて職業訓練をしたり、民芸品を作ったりする。さらに農作業をしたり、受刑者の食事を作ったりするほか、受刑仲間の介護もする。規律を守るために食事中、入浴中の私語は禁止されていて、トイレに行くにも許可がいる。
すりを犯し長崎刑務所で14回目の服役をしている67歳の高齢受刑者は、薄緑色の作業服に身を包んでいる。社会福祉士に服役前の住所や、紙に書いてある漢字、頭の中で簡単な計算をするよう尋ねられても、首をかしげて答えに詰まる。身長150㎝ほどの中肉中背の男性は、糖尿病、高血圧を持ち、両耳難聴で、知的障害者であるため、日々の家計のやりくりを管理できず、窃盗に走った。 時折バーテンダーや小さな漁船に乗って働いたが、所持金がなくなると盗みを働き、洋服、惣菜やスナック代に充てたと語った。スーパーマーケットで客の買い物かごの中に見えた財布をつかんだのが直近の受刑理由だ。「刑務所に戻るかもしれないという頭はあった。でもお金が足りないから。買い物かごの中に財布が見えた。最後にします」と男性は述べた。

*再出発
社会福祉士が過去に支援したある1人の元受刑者は社会での再出発に成功し、政府が進めるプログラム(09年からの地域定着支援センター設置と社会復帰支援活動)が一定の成功を収めていることを示唆している。その78歳男性は、空腹を満たすために無銭飲食、すりや万引きを繰り返し、15回服役した経験を持つ。
子供のころ、一緒に暮らした何人もの継母と折りが合わず、満足な食事が与えられなかったこともあり、成人に達してから家を出た。肉店などで働いたが、知的障害があり、人付き合いが苦手なため、長続きしなかった。ホームレスになり、日中は空き家などで過ごし、夜中に出歩き、空腹を満たすために窃盗を繰り返した。
社会福祉士の支援で5年前に長崎県諫早市の養護老人ホーム聖フランシスコ園に入所した。1日のほとんど園内の農園で野菜を育てることに費やし、テレビで喜劇を見ることが楽しみだ。入所以来、犯罪は一度も起こしていない。
「今が生きていた中で一番幸せだ」と男性は養護老人ホームの4畳ほどの自室で日に焼けた顔をしわくちゃにして恥ずかしそうに笑った。「食事はおいしいし、 誕生日を祝ってもらえるし、毎日風呂に入れる。刑務所から出るときに世話をしてくれた人たちを絶対裏切りたくない」。

*「出るのが怖い」
高齢受刑者の多くは、孤児院で育ち、身体的、性的暴力を受けていたり、障害があるにもかかわらず家族の支援が受けられなかったりなど、難しい過去を背負っていると長崎県地域定着支援センター所長の伊豆丸剛史氏は言う。伊豆丸氏が以前に支援した元受刑者は「刑務所から出るのが怖かった」と彼につぶやいた。刑務所での生活は望んでいなかったが、外での生活はもっと嫌だったからだという。
「その言葉に、罪を犯さざるを得なかった当人と、社会的問題の根幹が濃縮されている気がした。服役を繰り返し、高齢化していくと社会復帰できる要素がだんだん削られていく。ある程度資源が残っている早いうちに介入する必要性を感じている」と伊豆丸氏は述べた。
社会福祉士の伊豆丸氏は、こういった受刑者を訪問・面接し、出所後の居住地を探す手伝いをしている。また出所を控える複数の受刑者に対して講義をしたりもする。全国の地域定着支援センターは過去5年間で1000人以上の受刑者を支援した。

*再犯
刑務所や検察庁でも社会福祉士を採用し、出所予定者を地域定着支援センターに紹介したり、検事が事件の相談をしたりしている。満期高齢受刑者の再犯率は下がりつつあると法務省矯正局総務課長の大橋氏は述べた。
再犯により刑務所に収容される受刑者の約70パーセントが無職だ。政府は20年までに、犯罪や非行をした者の事情を理解した上で雇用する企業の数を現在の3倍の1500社まで増やす目標も同時に掲げた。
問題解決に向かう努力は始まったが道のりはまだ長いと、龍谷大学の浜井教授は言う。地域定着支援センターも数少ない要員で作業をしているし、犯罪者に対する社会の偏見もまだまだ強いからだと浜井氏。

*出直し
元受刑者を受け入れる老人ホームを探すのも至難の業だ。日本ではすでに特別養護老人ホームに入所できていない高齢者が52万人もいる。また、今後高齢者の独り暮らしは増加をたどる一方で、地域社会や家族の絆が薄れる中、支援を必要とする高齢者も増えるだろう。
しかし、現在進行中のプログラムが受刑者に一筋の光明を与えていることも確かだ。社会福祉士の伊豆丸氏が3月に佐世保刑務所で講義をした際、参加した受刑者は出所後の人生に安堵と希望を見いだしていた。
参加者の1人は、窃盗などで過去10回服役経験があった高齢受刑者だった。元建設作業員で、60代後半に差しかかり、仕事が見つからない。両親や兄弟を亡くし、帰る場所もないので、犯罪を繰り返した。
「こうした支援をしてくれるところがあるなんて知らなかったので、うれしかった、出所してからの生活に希望が持てる。年が年なので出直すなんて言える年齢ではないが、真面目に出直したいと心に決めた」と男性は述べた。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 Kanoko Matsuyama kmatsuyama2@bloomberg.net  ≫(ブルームバーグ)

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●目が点! 安倍内閣の支持率が驚愕 76.9%(日経Vote)

2015年04月16日 | 日記
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●目が点! 安倍内閣の支持率が驚愕 76.9%(日経Vote)

冒頭の見出しは日経さん読者の投票による結果を中心に解説記事を書いているのだが、何せ、読者層が安倍内閣支持率76.9%ってのだから、捻じ曲がった感情の劣化読者が投票した結果だが、日経は、懇切丁寧に解説記事を書いている。押しつけられた木村恭子と云う編集委員も苦し紛れで記事を書いている。おそらく、読後感からして、彼女は文中に引用している、財務省の副財務官やADB研究所長もつとめた東京大学公共政策大学院の河合正弘特任教授の考えに傾倒しているようだ(笑)。

守銭奴経済関係者は、イデオロギー、感情なんて二の次だ、兎に角、金になること、マーケットが拡大することなら、戦争だろうが、中国、韓国、北朝鮮だろうが儲かるなら、何処だって大歓迎と云うのが基本的スタンスなのだから、驚きには値しない。彼らは、そうして生きていかないと都合が悪い人種なのである。殊更に批難などしていない。彼らは、退職をした後では、時に本当は…、と口にするものである。そういう意味では、最近では名誉教授とか、官僚を退任、辞任した人々の話の方が本当のことを言う場合が多くなっている。

おそらく、財務省、外務省の官僚たちから、「俺たちの認識が正しいと云う流れを作ってくれないと拙いんだよ」と云う依頼に対して、「世論調査で、官邸を安心させましょう」と云う阿吽の呼吸が働いた結果の解説記事である。8割近い支持者層で、7割がAIIBへの参加は慎重に慎重にと考え、安倍政権の選択は正しいという流れに持ち込もうとしている。官邸で怒鳴られた連中の個人的パフォーマンスが、このようなVote(投票)を行ったのだろう。

この読者の声で代表的なのが、アジアNO1は日本だ。日本だよね?という悲鳴が存在し、痩せても枯れても、中国にかしずく位なら死んだ方がマシという感情の叫びが聞こえる。気持ちはよく判る、悔しいよね。筆者も愉快ではないけどね、残念ながら日本の勝利者の道は閉ざされているよ。経済至上主義から抜け出さない限り、日本は永遠に敗北の連鎖に陥る。今こそ、大きなパラダイムシフトが必要なのだよ。グローバル金融経済主義の中で、頭の抜け出した勝者は現れないけど、幾つかの国では、敗者だけは生まれる。多分、このまま行くと、我が国は数少ない特定敗者国家という事だ。昇る土俵を変えれば、いつでも勝者になれるのに、馬鹿な国だ。まあ、馬鹿な国イコール馬鹿な国民ってことにもなるわけだけど……。


 ≪ アジア投資銀「日本は参加すべきではない」71%
第219回 編集委員 木村恭子
成長を続けるアジアの発展途上の国々のインフラ事業を投資や出資によって支援しよう――との中国の呼びかけで、新たな国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)が誕生しようとしています。 現在のところ、創設メンバーへの参加申請をした国と地域は、アジア諸国のほか英国やフランス、ドイツ、イタリアといった主要7カ国(G7)の一部も加わり50を超えています。日本は不透明な組織運営などを問題点として指摘し「参加はきわめて慎重な態度をとらざるを得ない」(麻生太郎副総理・財務相)と参加を見合わせ慎重な姿勢で見守っています。

日本のAIIBへ参加の是非についての電子版の読者のみなさんからの回答は、日本政府に呼応するかのように、参加したほうがいいと「思わない」と答えた人が71.0%と、参加したほうがいいと「思う」の21.4%を大きく上回りました。

参加に否定的な人々から寄せられたコメントの内容は、2つの見方に分けることができます。1つは、AIIBを主導している中国そのものへの警戒感です。
「中国という国自体が信用できない」(73歳、男性)
「共産党独裁体制の国が主導する地域投資銀行など、とても信頼できない」(66歳、男性)
 
中国政府が参加申請した台湾を創設メンバーから除外する方針を明らかにしたことを疑問視する意見もありました。
「手を上げた台湾を切りましたよね。中国の一存でいろいろ画策されそうな危機感がいっぱいだから」(56歳、男性)
 中国は台湾を自国の一部だとする「1つの中国」の原則を掲げています。こうした中国の都合をAIIBに持ち込む姿勢に、中立性への疑念を抱いたのでしょう。

もう1つの見方は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)、アジア開発銀行(ADB)といった国際金融機関がすでに存在していることからのAIIB不要論です。特にアジアの経済発展を支えてきたADBでは日本が長年にわたって中心的な役割を果たしてきました。
 
「日本は単独でもインフラ投資を支援してきているのだから、それで十分だと思う。他国と協調するメリットはないし、ADBを活用すれば十分」(35歳、男性)
 ただ、既存の国際金融機関への反感は多かれ少なかれアジアに共通して存在するとの指摘があります。1997年のアジア通貨危機でIMFから緊縮策を強いられたタイでは農村部の経済が疲弊しました。インドネシアでも不満がくすぶり続けています。 

年間100兆円投資の需要があると試算されるアジアのインフラ整備をまかなうにあたり、既存の国際金融機関以外にも組織があることは、アジア諸国にとっては選択肢が広がり好ましいことでしょう。中国がAIIB構想を打ち出したのは、こうしたアジア諸国の既存の機関への空気をくみ取った結果ともいえます。 AIIBへの参加肯定派からのコメントも中国の出方を警戒していることは参加否定派と共通していますが、「ダメなら脱退」と柔軟な姿勢でのぞむことを提唱しています。

「中国の思いのままにさせないためにも参加して意見を言ったほうがよい」(37歳、男性)
「今後ともアジアをけん引するわが国としては参加すべきと考えます。中国との調整はその後で十分でしょう」(62歳、男性)
「AIIBへ参加して交渉に加わり、日本の利益にならないと判断すれば脱退すればいいだけ」(58歳、男性)
AIIBのイメージについては、最も多かったのが「中国の言いなりになりそう」の61.0%でした。  「理事会の開催も不定期で総裁の権限が極めて強力。日米が参加したところで中国が主導権を握り続けるだろう」(54歳、男性)
 
中国側の説明では、AIIBの最終的な資本金は1千億ドル(約12兆円)。出資比率は国内総生産(GDP)の大きさに応じて決め、中国が5割まで出資できるとしています。本部を北京に置き、中国人がトップとなる総裁をつとめるとみられています。具体的な銀行の枠組みは今後の交渉次第ですが、設立を提唱している中国が大きな影響力を持つのは間違いありません。

 日本の財務省の副財務官やADB研究所長もつとめた東京大学公共政策大学院の河合正弘特任教授に、AIIBにおける中国の影響力について聞いてみました。
「日本が参加すれば、欧州諸国とあわせた発言権は中国を上回り、中国に対して日本と欧州がチェックすることができます。逆に日本が参加しなければ、中国が欧州の発言権を上回り中国の言いなりになる可能性が高くなってしまうのです」

成長著しいアジアのインフラ整備に対しては、日本の産業界からも熱い視線が注がれています。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は「AIIBに参加しないことによって、(日本の)インフラビジネスが不利になることだけは避けてほしい」と語っています。

今回のアンケートでも、AIIBのイメージについて「日本のビジネスに役立つ」と答えた人が8.0%いました。 「ASEAN諸国の立ち位置で考えれば、必然的に日本へのビジネスチャンスも増えるはず」(62歳、男性)
 
AIIBによるアジアのインフラ整備についても河合特任教授は警鐘を鳴らしています。
「日本がAIIBに入らずに、中国とアジア諸国で新しいインフラ整備のためのルールを作ることは決して望ましいことではありません。低いレベルでビジネスの競争がなされることになりかねません」
 
世銀やIMF、ADBといった現在の国際金融機関は第2次大戦後に米主導で構築されたものだといわれています。そこに中国主導のAIIB構想が台頭し、しかも欧州を中心に多くの国々が参加を表明していることで、「米国主導の戦後の国際金融体制の崩壊か」などと早くも危機感を強める声もあります。

現在、日本は米国とともに慎重な姿勢を示しています。もちろん、欧州勢は日本と異なり、地政学的にも中国に対する安全保障上の警戒感が薄いという面もあり ます。G7のほかの国々も入ったから――などという横並びの対応を良しとはしませんが、好むと好まざるとに関わらず、AIIBは年内に発足します。

日本は、米国との関係とともに中国ともバランスをとりながら外交的な戦略を考えていく必要があります。その文脈でAIIBへの参加を考えていくべきではないでしょうか。

安倍内閣の支持率は76.9%でした。先週(4月4日~7日)はお休みでしたので、前回(3月28日~31日)の62.0%と比較し、14.9ポイント上がりました。支持率が7割を超えたのは、1月24日から27日調査の70.9%以来でした。
◇  
今回から、このコラムを担当することになりました。ちまたで話題になっている身近なテーマから今後の日本の進路を左右するかもしれないテーマまで、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。「今すぐ(クイック)投票したい(Vote)!」とお考えになるテーマ案もお待ちしています。 ≫(日経新聞:クイックVote結果と解説編集委員 木村恭子)


 PS:
それにしても、自分たちの行っている政治に、自信がないのが透けて見える政権は、第二次安倍政権が、歴史上初めてではないだろうか。誰から見ても最強と思われる権力を握っているのに、お大尽な態度が取れない。元官僚の言動、NHKやテレ朝の報道姿勢が気に食わぬと、幹部を呼び出し、これでもかと言わんばかりにダメを押す。これは、自ら実力がないのを自認しているような浅ましき態度に他ならない。田舎侍であっても、もう少し矜持はあっただろうに(笑)。増してや、福井地裁の判決に噛みついたり、沖縄の県民の民意を一顧だにしないなど、「自由と民主主義そして法治主義だという普遍的価値」を標榜しているのだから、言う事と為すことが真っ逆さまなのだ。

そもそも、安倍が良く口にする「自由と民主主義そして法治主義だという普遍的価値」が欧米キリスト教文化圏の価値であり、アジア中東にも押しつけると云うのが、基本的な間違いだ。こいつ等、何にも判らずに権力の座に就いてしまったのがよく判る。安倍も菅も原子力規制委員長の田中も、合言葉のように「世界一厳しい新基準」を繰り返す。田中に至っては「十分に私どもの取り組みが理解されていない点がある」「粛々と、というか、我々の仕事としてやらなきゃいけない」と判決など関係なく、やりたいように遣らせてもらうと宣言してしまうのだから、トンデモナイ法治(放置)主義である。「粛々」が最近評判が悪いので、今度は「仕事としてやって行く」なんて言葉が流行りだしたようである。

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