世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●世界を震撼させる米露のいがみ合い ヒラリー対プーチンと云う悪夢 

2016年08月31日 | 日記
ヒラリー・クリントン ―その政策・信条・人脈― (新潮新書)
クリエーター情報なし
新潮社

 

ヒラリーの野望: 大統領への道と政策 (ちくま新書)
三輪 裕範
筑摩書房


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●世界を震撼させる米露のいがみ合い ヒラリー対プーチンと云う悪夢 

 久々に、ロシアはどうなっているのか、色々と覗いてみた。その発端は、アメリカ大統領選における、トランプ追い落としの“メディア・スクラム”が成立している現実だ。このあからさまなメディア戦略が功を奏す保証はないが、現状分析では、ヒラリークリントンが第45代米大統領になる確率が高いのだろう。ロイター/イプソスの調査では、現時点(8月24日)に“米大統領選挙”が実施された場合、民主党候補のヒラリー・クリントン氏が激戦州のフロリダ州、オハイオ州、バージニア州などを制し、共和党候補のドナルド・トランプ氏を95%の確率で破り当選すると調査結果が示しているそうだ。まあ、削除された、ヒラリーの問題メール“失われた3万通”が、ウィキリークス、乃至はロシア在住のスノーデン氏などから公開されれば、一気に形勢逆転というか、候補辞退まで視野に入る。

 正直、クリントン夫婦が、ウオール街、銀行、軍産複合体、イスラエル・ロビー、モンサント等々、米国、否、世界の権力を欲しい儘にする連中の代理人であり、且つ、戦争好きなのだから、相当に怖い話だ。結果的に、国民よりもマネーに貢献する政治経済を行っているのが、ビル・クリントン以降の、ホワイトハウスの住民の不文律になっている。このことは、半ば公然と理解されている事実だが、アメリカの支配層の人々すべて、及びマスメディアが黙して語らない。それどころか、ヒラリーに敵対するトランプを真昼の公然わいせつのように虐待するのだから、凄い民主主義国家だ。

 ヒラリーは、プーチンロシア大統領を名指しして、「新たなヒトラーだ」とまで公言した。冷戦時代の「キューバ危機」以来の、核戦争の危機を煽ることを平気で口走る超過激な好戦女性だ。民主党でありながら、ネオコンとの結びつきが強く、中国とロシアは、アメリカの覇権維持において、邪魔以外の何者でもないと思い込んでいる。筆者などは、ヒラリーがホワイトハウスの主になった時には、数年以内に、EUとロシアの国境周辺で、NATO軍とロシア軍の戦争の火ぶたを切ると確信している。この時、ロシアは、まだプーチン政権下にあるだろうから、プーチンが白旗をあげることは想像しがたい。

 プーチンは、アメリカ傀儡のNATO軍と足元で戦い続ける愚は犯さないだろう。一定のつき合い交戦はしても、「敵は本能寺にあり」と、米国本土に交戦の舞台を移すことは想像がつく。この時、ロシア国民とアメリカ国民のどちらが失うものが多いのか、そこがポイントだ。日本と中国が交戦した場合にも言えることだが、どちらの国民がより大きな悲鳴を上げるかと云うことだ。米ロの交戦になった場合、互いに核爆弾と大陸間弾道弾(ICBM)保持しているので、互いに発射した数発が、双方で撃ち落とすとしても、幾つかは必ず着弾し、双方に被害をもたらすことは必至だ。

 つまりは、世界核戦争となるリスクは、相当の確立であると思っておた方がいい。無論、そんな確率論で覚悟しろと言われても、何を覚悟して良いのかは、実際問題、坐して死を待つのみだろう。しかし、今の米大統領選の成り行きは、アメリカの権力構造が悉く、ヒラリー大統領を希求している。その目的は、アメリカの、世界のエスタブリッシュメントの総論なのだろうが、そのエスタブリッシュメントの存在も、持続可能な地球があってこそであり、地球上が放射能塗れになっても、マネーを握って離さないと云うのは、笑い話の落ちにもならない。

 以上、筆者の推論から妄想までを記述したが、現実はどうなるのだろう。まあ、筆者も、60年近く生きてきているので、それほどこの世に未練はないのだが、地球上の半分が放射能汚染すれば、最終的には、人類が滅びることになるのかもしれない。個人的には、そのような地球最大の滅亡ショーを目撃するのも悪くないかな?と思う面もある。好んで、そうなるとは思わないが……。それで思い出したのが、以下のトム・クランシーによる『米露開戦』だ。以下は、新潮社のサイトからの著作紹介である。ひと言つけ加えておけば、クランシーの傾向は、マッチョで正義のアメリカンなので、好感は持てないが、専門的視点も多いので、実戦の真実の一部に触れることは出来る。


≪『米露開戦』(トム・クランシー他)
【ソ連のような大ロシア帝国の建国なるか。ロシアのウクライナ侵攻を予言した巨匠の遺作。 米露開戦1 トム・クランシー/著、マーク・グリーニー/著、田村源二/訳】
ロシア政府はシロヴィキといわれる治安・国防機関の出身者に牛耳られていた。彼らは、特権により私腹を肥やし、メディアを操り、体制批判者の暗殺さえ厭わない。ヴォローディン大統領がその筆頭で、彼はかつてのソ連のような、大ロシア帝国を築こうとしていた。その突破口として目をつけたのが、ウクライナだった――。ロシア軍のウクライナ侵攻を、見事に的中させた巨匠の遺作!
■ 波 2015年2月号より 危ないのは中国よりもロシアだ! 田村源二
トム・クランシーがジャック・ライアン・シリーズでめざしたのは結局のところ「祖国の安全保障にとって脅威となる国や組織との戦いを娯楽小説という形で緻密に描き、今どういう行動が必要なのか読者に楽しみながら考えてもらう」ということだったのだと思う。
二〇一三年一二月に原作が出版されたクランシーの遺作『米露開戦』も、この基本理念をしっかりと踏襲している(クランシーはまことに残念ながら、この作品を書きあげた直後の二〇一三年一〇月に六六 歳で他界してしまった)。
シリーズ最後の三作の執筆に参加してクランシーを大いに助けた俊才マーク・グリーニーは、ハフィントンポスト・アメリカ版のインタヴュー(二〇一四年一二月)で次のように語っている。 「現在、アメリカの安全保障をおびやかす最大の脅威はロシアのプーチン大統領だと思う。イスラム国よりも危ない存在だ。
……最近、中国の脅威、とくにそのサイバー戦能力が問題にされることが多いが、わたしの調査では中国は最終的にはアメリカと協力しなければ国益を守ることができない。だがプーチンの場合、さまざまな理由から、逆にアメリカに対抗しなければ自己の利益をはかれず、中国よりも危険 だ」(筆者の要約)
『米露開戦』のストーリーはまさにそうした分析に基づいて展開される。むろん作中に登場するロシアの大統領はプーチンさんではなく、ヴォローディンという架空の人物だが、明らかに現大統領をモデルにしている。
どちらもKGB出身で、現在ロシアの権力中枢を牛耳るシロヴィキと呼ばれる情報・治安・国防機関出身者たちの頭目であり、メディアをほぼ完全に支配している。作中、ヴォローディン大統領の命令で、イギリスに亡命して反体制活動を繰り広げる元SVR(ロシア対外情報庁)長官が放射性物質ポロニウム210で暗殺されるが、これはあのリトビネンコ中毒死事件にそっくりだ。
そして作中で描かれるロシアによるウクライナへの侵攻が、そのままの形ではないにせよ現実にも起こってしまった。現実世界のウクライナで、反政府勢力による大統領府など政府庁舎の占拠、親露派のヤヌコビッチ大統領の失脚、ロシアによるクリミア併合、東部での政府軍と親露派武装グループとの戦闘……とエスカレートしていったのは、二〇一四年二月以降だから、クランシーはロシアの介入によるウクライナ危機を『米露開戦』で見事に予見したことになる。
だが今回、クランシーが繰り出した瞠目に値する大技は、「KGBの一派が八〇年代半ばにソ連の崩壊を確信し、自分たちのサバイバルのために秘密資金を蓄え、それを非情な暗殺者に護らせた」という設定だろう。なるほど、そうであれば、崩壊後のロシアでなぜシロヴィキがあっというまに権力を独占してしまったのか説明がつく。そしてさらに、それにはロシア・マフィアの力も大きく与かっていた、とクランシーはたたみかける。
佐藤優氏が数年前から「新帝国主義」という言葉を使って二一世紀の国々の生き残り戦略を説明されている。その戦略をいちばんわかりやすい形で実行しはじめているのは、やはりロシアと中国だろう。だからこそ、トム・クランシーは前作『米中開戦』 で中国の脅威に対する戦いをきちんと描き、今回『米露開戦』でウクライナ危機を中心に据えてロシアの脅威を鮮烈に描いて見せたのだ。
クランシーが描くのは、あくまでもアメリカの国益、国民を護る戦いであり、その点を注意する必要があるが、『米中開戦』『米露開戦』の二作は日本の読者にも祖国の安全保障問題を考えるきっかけを与えてくれる貴重な娯楽小説と言えるだろう。
なにしろ日本は、帝国主義的欲望を剥き出しにしはじめているロシアと中国を隣国にもつという地政学的現実にさらされているのだから。 巨星トム・クランシー亡きあと、“面白くてためになる”国際軍事インテリジェンス小説は途絶えてしまうのかと途方に暮れていたところ、俊英マーク・グリーニーがシリーズを継承するという嬉しい知らせが飛び込んできた。
グリーニーはすでにスピンオフ作品のほかに本編の新作も発表し、その敵役となる国はなんと北朝鮮だ。これからも日本の読者はジャック・ライアン・シリーズから目を離せない。≫(たむら・げんじ 翻訳家)  ≫(新潮社)


 以上、キナ臭い話題は避けたいところだが、現状のプーチン大統領の人事を含む国家体制の再構築的なダイナミックな動きは注目に値する。このダイナミックな動きと、経済制裁疲れを見せ始めたフランス・オランド大統領、アメリカに良いように使われるだけのEU。アメリカ何するものぞと、変に力む安倍首相。現実の外交や、ロシアの内政事情等々を、以下に羅列しておく。上述の筆者の米大統領選の行く末と合わせてお読みになると、結構面白いと云うか、怖い推論が、色々と立てられそうだ。

≪ ロシア大統領が12月訪日=安倍首相と来月2日会談-高官
【モスクワ時事】ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は30日、記者団に対し、プーチン大統領が12月に訪日する予定だと明らかにした。極東ウラジオストクを訪問する安倍晋三首相との首脳会談が9月2日に行われることも発表した。インタファクス通信が伝えた。
 ロシア側が、大統領訪日の具体的時期に踏み込むのは初めて。経済協力を中心とした日ロ関係の発展に強い意欲を表明するとともに、訪日計画を早期に公表することで、日ロの接近に難色を示す米国をけん制する狙いもあるとみられる。
 補佐官は「訪日日程は既に合意しているが、日本側の了解を得た上で発表する」と説明。その上で「(2日の首脳会談では)平和条約締結問題にも触れられる。ロシア側は交渉を継続する用意がある」と述べた。
 補佐官は2日の日ロ首脳会談について「5月のロシア南部ソチの会談で得られた信頼の具体化を議論するとともに、政治、貿易・経済、エネルギー、文化・交流など2国間協力をめぐって幅広く意見交換する」と説明した。 
  安倍首相は2、3両日、東方経済フォーラム出席のためウラジオストクを訪れ、プーチン大統領と会談する。安倍首相は地元・山口県に大統領を招きたい意向で、今回の会談では訪日計画の詳細や経済協力、懸案の北方領土問題に関して直接話し合うことになりそうだ。 ≫(時事通信)

 



≪ 9月2日のプーチン・安倍首脳会談で平和条約もテーマに
プーチン大統領と安倍首相は9月2日、ウラジオストクの東方経済フォーラムのフィールドでの会談で、平和条約および朝鮮半島情勢について触れる可能性がある。30日、ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官が明らかにした。
「首脳会談では朝鮮半島情勢など逼迫した国際問題が話し合われるほか、多方面のフィールドでの相互関係が議題に上げられうる。」 「会談ではまた平和条約のテーマも取り上げられるものと期待されている。ロシア側はこのテーマでの交渉を継続していく構え。」
菅官房長官は29日の記者会見で、9月初めにウラジオストクで実施の安倍首相とロシアのプーチン大統領の会談について、日本は露日関係全般にわたって話し合う見通しであることを明らかにした。  ≫(スプートニク日本)


≪ 「腹心」を相次ぎ更迭…プーチン強権人事の深意
最大の標的は最大手国営石油会社「ロスネフチ」社長か
【 プーチン大統領が断行している一連の人事が臆測を呼んでいる。大統領の出身母体である旧ソ連国家保安委員会(KGB)人脈を中心に、これまで政権を支えてきた「腹心」を次々と更迭しているからだ。その狙いはどこにあるのか。】
 ロシアで最近、プーチン大統領が断行した人事が臆測を呼んでいる。クレムリンの中枢である大統領府を率いるセルゲイ・イワノフ長官(63)を解任したことだ。
 後任の大統領府長官には、若手のテクノクラートであるアントン・ワイノ副長官(44)が昇格した。イワノフ氏は自然保護活動と環境・輸送問題を担当する大統領特別代表に任命され、大統領府の安全保障会議のメンバーにも残る。
 一連の人事は8月12日に発令された。その直前、プーチン大統領はイワノフ、ワイノ両氏を執務室に呼んで3人で会談している。大統領府によれば、要約するとだいたい以下のような会話が交わされた。
プーチン大統領(イワノフ氏に対して)「我々は長い間ともに働き、首尾良く働いてきた。大統領府長官の職務は4年以上に及んでおり、別の職に就きたいという貴兄の要望は理解できる」
プーチン大統領(ワイノ氏に対して)「セルゲイ・ボリソビッチ(イワノフ氏のこと)が後任の大統領府長官にあなたを推薦した。この仕事を引き受けてもらいたい。これまでと同様、大統領府の仕事が効果的で高い専門性を持ち、できるだけ不毛な官僚主義を排し、具体的な成果に満ち、課題を解決する能力をもつようにしてほしい」
イワノフ氏「まずは17年間に及ぶ私の仕事を高く評価して頂いたことに感謝します。大統領府の創設から25年がたちました。私は11代目の長官でしたが、長官在職期間は4年8カ月に及び、歴代で最長となりました」 ワイノ氏「信頼に感謝します。大統領府の主要な任務は、大統領としてのあなたの活動を万全の態勢で支えることだと認識しております」
 会談の発言を素直に受け止めれば、イワノフ氏はかねて激務である長官職の辞職を求め、プーチン大統領が同氏の要望や後任候補の推薦をそのまま聞き入れる形で、今回の人事が発令されたことになる。

 ■対日外交重視との解釈もあるが…
 確かにイワノフ氏をめぐっては2年前の2014年11月、ロシア開発対外経済銀行の副総裁だった長男のアレクサンドル・イワノフ氏が保養先のアラブ首長国連邦(UAE)の海岸で〝溺死〟し、その悲劇から立ち直れない状況が続いていたともいわれる。ちなみにこの長男は05年、モスクワで車を運転中に年金生活者をはねて死亡させる事件を起こしている。ただ、刑事事件にはならずに不問に付された。当時は国防相だった父親が裏で画策したとの噂も流れた。
 年齢や健康上の問題、こうした家族の事情なども踏まえれば、順当な人事といえないこともないわけだが、臆測を呼んでいるのはやはりイワノフ氏がプーチン大統領の長年の「腹心」の一人だからだ。
 両氏は1970年代、旧ソ連国家保安委員会(KGB)のレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)支部で共に勤務して以来の盟友だ。プーチン政権下では国防相、副首相などを歴任した。2008年の大統領選挙では、当選したメドベージェフ氏とともに、プーチン氏が推す有力な後継候補と目されていた。
 それだけに、「腹心」の切り捨てともいえる今回の人事に、関心が集まっているわけだ。しかも、後任の大統領府長官となったワイノ氏はエストニアの タリン生まれで、外交官の出身だ。大統領とはもともと、地域的なつながりも職場のつながりもなかった。ただ、プーチン政権の1期目から大統領の下で働き、プーチン氏が首相時代には首相府、大統領時代には大統領府で主に儀典部門を担ってきた。いわば大統領に忠誠を尽くす実務型の部下といえるだろう。
 ちなみにワイノ氏は、外交官時代に在日ロシア大使館の勤務経験を持つ日本通でもある。このためプーチン大統領が対日外交を重視して大統領府長官に 据えたと期待する向きもあるが、その役割はワイノ氏自身が認識しているように、あくまでも大統領の活動を「下支え」する裏方だ。対日関係とは全く関係がないとみるべきだろう。

 ■支持率低下の中、イメージ刷新が狙いか
 話を戻そう。内情はともかく、大統領は全幅の信頼を置く秘書役ともいえる大統領府長官を大幅に若返りさせ、「一家言がある腹心」から「忠誠を尽くす部下」に交代させたのは確かだ。大統領のフリーハンドが高まることは間違いない。
 周知のようにプーチン大統領は従来、自らの出身母体のKGBと、出身地のサンクトペテルブルク人脈の盟友らを相次ぎ要職に登用し、政権基盤を固めてきた。故エリツィン元大統領に後継指名され、2000年に初めて大統領に就任した当時はまだ知名度も低く、信頼できる人脈も限られていたためだ。
 しかも、こうした腹心らの意見に真摯に耳を傾けたうえで政策を断行するのが、プーチン氏の真骨頂だったとされる。いまでこそ、「強権」「独裁」と いった呼称を添えられることが多いが、側近グループと共に築き上げた「集団統治」がプーチン政権の元来の強みともいえた。大統領も腹心の人事にはことさら配慮し、転職させる場合もそれなりの要職を準備するのが常だった。
 ところが、今回のイワノフ氏の人事はどうみても降格だ。そこで浮上しているのが、大統領は18年の次期大統領選の再選に向け、斬新な印象を国民に植え付けようと、腹心の切り捨てに徐々に動きだしたのではないかという観測だ。プーチン大統領は依然、80%を超える高い支持率を誇っているが、14年春 にウクライナ領だったクリミア半島を併合した直後に比べると、徐々に低下しつつあるのも現実だ。

 


 腹心や旧友を重用してきた弊害として、とくに旧KGB出身者らが国家資産を流用し、私腹を肥やしているのではないかとの疑念は国内で根強い。原油安やウクライナ危機に伴う欧米の経済制裁で国内経済が停滞するなか、腹心の汚職疑惑は次期大統領選の障害になりかねない。そこで人事政策で疑惑の芽をあらかじめ摘み取り、プーチン政権のイメージを刷新しようとしているのではないかというわけだ。

 ■最大の標的はロシア最大手国営石油会社「ロスネフチ」社長
 理由はさておき、旧KGB人脈を中心に、プーチン大統領の旧友や腹心の更迭がここに来て相次いでいるのは事実だ。ロシア鉄道を長年率いてきたウラジミル・ヤクーニン氏が昨年、社長職を解任されたのを皮切りに、今年に入ってからもヴィクトル・イワノフ連邦麻薬流通監督局長官、コンスタンチン・ロモダ ノフスキー連邦移民局長官、エフゲニー・ムロフ連邦警護局長官、アンドレイ・ベリャニノフ連邦税関局長官が相次ぎ更迭された。
 とくにベリャニノフ長官の解任に際しては事前に、自宅への家宅捜索で“発見”された多額のドル、ユーロ、ルーブル紙幣の札束が机上に並べられた映像や写真が大々的に公開された。同氏も旧KGB出身で、プーチン氏とはともにKGB職員として旧東独に勤務していた時代に知り合ったとされる。そんな旧友も「汚職まみれの高官」として見せ物にされたわけだ。
 プーチン大統領が次期大統領選を視野に、腹心の切り捨てで政権の抜本的な刷新に乗り出したのだとすれば、最大の標的になるとみられるのが、ロシア 最大手の国営石油会社「ロスネフチ」を率いるイーゴリ・セチン社長だろう。プーチン氏をサンクトペテルブルク第1副市長時代から支え、大統領の「側近中の側近」といわれる大物だからだ。
 セチン氏については最近、連邦政府が財源不足の穴埋めに計画する有力石油会社「バシネフチ」の民営化問題をめぐって、政権との確執も伝えられる。 政権側が民間企業への株式売却を想定しているのに対し、国営企業のロスネフチも入札に参加させるべきだと強硬に主張しているからだ。
 さらに反政府系の週刊紙「ノーバヤ・ガゼタ」は最近、最低でも1億ドル以上と推定される世界でも有数の超豪華ヨットを、セチン氏の妻が頻繁に利用 しているとして、同氏がこのヨットの所有者ではないかとの疑惑を報じた。汚職疑惑まで取り沙汰されたセチン氏は、引き続き大統領の腹心として中枢に残るのかどうか。同氏の去就は今後のプーチン政権の行方を占う試金石となりそうだ。
 ≫(日経ビジネス>政治経済国際>解析ロシア・池田元博日経編集委員)


 以下は、このプーチン大統領が断行している一連の人事への、非常にネガティブな米国シンクタンクのコラムも序でに掲載しておく。


≪ コラム:「お友達」化するプーチン政権、旧ソ連政治の再来か
・[22日 ロイター] - ロシアは国際的な影響力を強め、敬意を集めようとしているが、この夏、その努力は失敗を重ねた。リオ五輪への参加はドーピング問題で悲惨な状況に陥った。ハッキング疑惑のために米国大統領選でもロシアがやり玉に挙がった。ウクライナとシリアをめぐる軍事的緊張についても心強い兆候は1つもない。
・こうした騒動や対立が、9月18日に迫っているロシアの下院選挙に影を落としている。だが、これこそまさにプーチン大統領が望んでいる状況なのかもしれない。5年前の選挙では、不正行為をめぐる前例のない規模の抗議が発生。プーチン氏は一方的に大統領復帰を決定した。同氏はその後、反体制派の弾圧を続けている。
・だが、選挙運動があいかわらず厳しく締め付けられているにもかかわらず、エリート層内部での競争はますますあからさまに展開されている。ロシアで は「政権交代」が進行している。もっともその政権交代は、選挙を通じてではなく、プーチン氏が発する大統領令によって進められている。こうした不透明なプロセスは、さまざまな陰謀や憶測を呼んでいる。そこに欠落しているのは、有権者にとっての現実的な政治的選択であり、本当の意味での変革のチャンスである。
・ロシアの将来については、数多くの予測が取り沙汰されている。だが、さまざまな動きはあるものの、いくつかのトレンドが明確になりつつある。最も顕著なのは、プーチン体制を築いてきた人々が退場しつつあり、体制内の人々に置き換えられつつあるという点だ。
・わずかな違いかもしれないが、これは決定的に重要である。旧世代が併せ持つ、情報力と都会的な狡猾(こうかつ)さ、そして強靭(きょうじん)さは、競争が激しく、往々にして混沌(こんとん)とした旧ソ連崩壊後の環境で生き残るには不可欠な要素だった。
・対照的に、これに代わろうとしている人々は、相対的に安定していたプーチン時代しか知らず、危機的な時期における能力という点では未知数である。彼らの経験不足が表面化するのはこれからかもしれない。
・プーチン氏自身は、これまでも政権運営のなかで派手な人事を行ってきた。その集大成とも言えるのが、8月12日のイワノフ大統領府長官の解任である。とはいえ、イワノフ長官は面目をひどく損なうことなく退くことができた。ロシア連邦安全保障会議のポストは維持したからである。
・だが、イワノフ長官ほど幸運ではなかった人物もいる。たとえば、ベリヤニノフ連邦税関庁長官は、約90万ドルの現金資産を警察に摘発され、辞任を余儀なくされた。
・こうした解任に加え、それ以外の長年の腹心たちに対してもプーチン氏は距離を置きつつある。国営石油大手ロスネフチ社のイーゴリ・セチン最高経営責任者(CEO)は、同業のバシネフチ社民営化に対する入札を行うことはできないと何度も告げられている。
・だがセチン氏は、この程度のことで諦めはしない。バシネフチ民営化は、主として政治的対立を理由として先日キャンセルされたばかりだ。だがロシア政府は歳入不足にあえいでいるため、政府が保有するロスネフチ株の一部売却についての協議が再開された。セチン氏が断固として反対している案である。
・もう1人、プーチン氏にとって長年の盟友であるクドリン前財務相は、数年にわたって自ら政界から遠ざかっていたが、先日復帰し、ロシア政府のための新経済戦略を起草した。だが、彼の当初案が完成するかしないかのうちに、プーチン氏は代替案を委嘱することを発表。クドリン氏はまた脇役の座に追いやられてしまったのである。
・こうして旧世代が、ある者は「自発的に」、別の者は屈辱にまみれて退場していくなかで、プーチン氏は彼らの代役として、もっと忠誠心の強い若手官僚を登用している。治安機関出身者が多いが、自分の側近から抜擢する場合もある。カリーニングラード州知事代理とトゥーラ州知事代理は、かつてプーチン氏の身辺警護に当たっていた。新任の大統領府長官であるアントン・ワイノ氏は、プーチン氏の儀典官出身である。
・こうした政権内部の人事抗争のかたわら、ロシアの警察当局と治安機関との公然たる対立がある。ロシア連邦保安局(FSB)は先日、著名な犯罪捜査官を汚職の容疑で逮捕した。これは非常に挑発的な行為である。また、捜査官と検察も、ある有力な企業人の拘留に関して公然と対立している。いわば、米国の中央情報局(CIA)と連邦捜査局(FBI)、それに司法省がニューヨーク・タイムズ紙の1面で故意にお互いをけなし合っているようなものだ。
・こうした複雑な関係は、ロシア政治の研究者にとっては夢のような題材かもしれないが、そこで浮き彫りになっているのは、ロシアにおける国民的な議論には、「本来の政治」というものが驚くほど欠落しているということだ。下院選に向けた運動が続くなかで、その一環として経済政策、政府人事、汚職対策といった問題が議論されるべきなのに、まったく取り上げられない。自由な政治論議というものは、プーチン政権とその取り巻きたちにとって、あまりにも危険なのである。
・さらに、プーチン氏の新たな官僚集団は、プーチン大統領の権力に絶対的に依存している。こうした孤立した集団では、同じような意見が反復されるだけで、率直な議論は生まれない可能性がある。プーチン氏に悪いニュースを伝える人物は、果たして政権内に残っているのだろうか。
・官僚集団から経済プログラム案はいくらでも出てくるだろうが、責任者には、改革を遂行するという明確な使命感が欠けている。改革遂行に必要な大義名分は、大統領からの直接の命令か、選挙の結果から得るしかない。これまでのところ、プーチン氏はそのどちらの道も示していない。
・プーチン氏が登用しているのは自身に忠実な能吏ではあるが、改革者やビジョンの持ち主ではない。クドリン氏の提案に対する冷淡な扱いは、提案を競い合わせたりはするが本質的な構造改革を追求する意欲には欠ける政権を象徴している。
・こうした傾向からは、ロシア政治の停滞が今後も続くことがうかがわれる。そしてそれは恐らく、ロシア経済とプーチン体制にとっては最善のシナリオなのだ。今回の下院選は2011年のように意外な結果をもたらす可能性もまだ残されているが、その見込みはいよいよ薄くなっているようである。
・25年前のソ連崩壊は、「エリート同士の競争は、本当の意味での政治の代わりにはならない」という教訓を決定的に思い知らせたと多くの人は考えている。だが恐らく、ロシアはそれを改めて学ばなければならないのだろう。
*筆者は外交政策の米シンクタンク、ウィルソン・センター・ケナン研究所の副所長。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
 ≫(ロイター:コラム>William E. Pomeranz)

ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢 (文春新書)
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文藝春秋

 

トランプ大統領とアメリカの真実
副島 隆彦
日本文芸社


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●迷走とは 蓮舫と前原、原発と安倍官邸、四分五裂の宗主国

2016年08月30日 | 日記
この国を揺るがす男:安倍晋三とは何者か (単行本)
朝日新聞取材班
筑摩書房


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●迷走とは 蓮舫と前原、原発と安倍官邸、四分五裂の宗主国

 29日夜半、筆者は、迷走台風と呼ばれる台風10号に翻弄され、間欠泉のように降る土砂降りの中、帰宅した。幾ら世界が迷走しているからといって、自然現象まで、時代の節目につき合う必要はないと思うのだが、迷走激動、大戦前夜のような西側諸国を象徴する必要はないんじゃないのか?と、恨みがましい気持ちで、玄関先から、風呂場に直行した。そんな関係で、今夜のコラムは手抜きにさせていただく。

 実際には、書きたいことは山のようにある。しかし、しがない物書きゆえの苦労も絶えない。まあ、愚痴はさて置き、最近のアメリカのメディアやどうなっているのか、酷く疑わしい。こぞって、ヒラリー・クリントンを大統領にすべく、なりふり構わない躁状態に陥っている。Paul Craig Robertsが主張するように、既存勢力のすべてが、共和・民主や、あらゆる分野の敵味方の別なく、ドナルド・トランプ叩きに血道を上げている。これ程までの、赤裸々な一候補(トランプ)叩きは、逆効果でさえあるかもしれない水準だ。アメリカ国民が、チョッとだけ、まともな神経を取り戻したら、“なぜ?ここまで?”と気づいても良さそうだが、果たして、結果はどうなるのだろう?

 隷属への道をひた走るアメリカ国民。そのアメリカの支配に、ひたすら隷属ひた走る日本。迷走に次ぐ迷走が、最終的に正当な道に迷いこんでくれるのなら有り難いが、親分の側が迷走している事さえ気づいていない、日本の既存勢力の人々が、どこまで迷走するか、計り知れない怖さがある。また、あのNHKが、籾井会長更迭を既成事実化させる積りなのか、日本の原子力業界を切り刻んだ。深夜の番組だったが、ライブだったので、官邸の“待った”が及ばなかったのかもしれない。或いは、官邸の内諾を得ていた可能性もある。今後の、NHK論説委員の去就と合せ、ウォッチングしておく必要がありそうだ。まあ、NHKは、深夜においては、「時事評論」などでも、政府方針に疑問を呈しているので、ジャーナリストとしても免罪符狙いと云う可能性もある。官邸も、深夜は「報道管制自粛」と云う不文律があるのかもしれない。

 仮説だが、官邸が、脱原発業界と云う選択の道を模索している可能性もある。鹿児島県知事になった三反園訓知事による“川内原発の一時停止再点検要請”や、関西電力の高浜原子力発電所3、4号機の運転差し止めを求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は運転差し止めを命じる決定をしたなど、原発業界、電力業界への風当たりは相変わらず厳しい。地裁判決が、上級審で覆る前例が、いつまで続く保証もない。また、福島原発の放射能汚染水の処理問題や廃炉に向けての工程表など、皆目見当もつかないのが現状と云う事実関係も影響している。また、2020年オリンピックに向けて、安倍は首相であることを望んでいるフシもあるので、“アンダーコントロール発言”で絶対に恥じを掻きたくない。であれば、脱原発宣言してしまう方が、政権維持に有効だと気づいても不思議ではないのだ。

 小泉進次郎や石破茂が安倍の総裁任期延長画策に異を唱えているのも、遠因になっている。少なくとも、進次郎の異論を封じ込めるには、小泉純一郎からのおぼえを良くしておきたい思惑も働く。ウッカリすると、石破・小泉連合がひとつの看板にでもなれば、大きくなり過ぎた政党の運命として、分裂と云う危機も視野に入る。そのくらい、自民党の総裁任期問題は、根が深い。本当に、この突飛もない総裁任期延長論は、二階俊博の、安倍政権追い落としの陰謀ではないかと云う説まで、実しやかに語られている永田町だ。実際、安倍官邸の横暴度に辟易としている自民党議員も多いので、大番狂わせの序章になるかもしれない。

 ≪ 総裁任期問題、年内結論目指す=「3期9年」軸、延長に異論も―自民
 自民党は、安倍晋三首相の党総裁としての任期延長をめぐって、「党・政治制度改革実行本部」で今秋から議論を始める方針だ。
 延長論議の口火を切った二階俊博幹事長は、早ければ年内にも結論を得て、来年初めの党大会で正式決定する段取りを想定する。ただ、党内には異論もあり、思惑通りに進むかは不透明だ。  実行本部の本部長には、弁護士出身で昨年の安全保障関連法の与党内論議をまとめた高村正彦副総裁が就任。本部長代行には、実務に定評のある茂木敏充政調会長が就く「重厚な布陣」となった。
 高村、茂木両氏は26日、党本部で会談し、速やかに実行本部の人選を行うことを確認。「幹部会」のメンバーは各派閥の代表に加え、ベテランから若手まで党内の幅広い立場を網羅した構成にするとしている。
 ◇
頻繁な制度変更
 総裁任期は、党内の権力闘争の歴史に左右されてきた。1955年の結党当初「2年」だった任期は71年に「3年」となり、76年に「2年」に戻された。 また、佐藤栄作首相(当時)の在任期間が7年8カ月の長期に及び、党内に不満が募ったこともあり、80年に連続3選を禁止する規定が新たに加わった。
 現行の総裁任期は連続2期6年まで。安倍首相の総裁任期は2018年9月まで残っており、首相に近い幹部からも「そんな先の話を今からしたら、鬼が大笑いする」と違和感を指摘する声が出ている。「ポスト安倍」を目指す岸田文雄外相や石破茂前地方創生担当相にしてみればなおさらで、既に慎重な立場を表明済みだ。
 石破氏は28日放送のラジオ日本の番組で「2年先のことなんて誰にも分からない。なぜ最優先事項なのか、今でも分からない」と改めて主張した。
 執行部側は恒久的な制度変更とすることで批判をかわしたい考え。任期を連続3期9年までとする案を軸に作業を進めるとみられる。「年内結論」方針には、 慎重意見が強まる前に一気呵成(かせい)に党則改正を実現しようとの思惑もありそうだ。ただ、ここへきて若手の代表格である小泉進次郎農林部会長も「なぜ今なのか」と疑問を呈するなど、党内情勢には見通せない部分もある。  ≫(時事通信)


 それに比べて、あまりにも小ぶりな、お猪口の中の嵐とでもいうか、野党第一党・民進党の代表選だが、筆者は100%興味がないので、考える対象にさえ入れてないが、ハフィントンポスト編集部が取り上げていた。以下に、参考掲載しておく。まあ、前原の立候補は、刺身のつまの存在だろうから、敢えて考えても意味はないと思うが、折角なので、通読するのも、ネタの一つかもしれない(笑)。読んでみると(ハフィントンポストの編集能力には??)、どちらも、共産党の志位委員長ほど吹っ切れた言動には程遠い感は否めない。


≪ 1分でわかる民進党代表選、「戦犯」前原氏と「ユニーク」蓮舫氏の主張の違いは?
  民進党の前原誠司元外相は8月26日、民進党本部で記者会見し、9月15日投開票の党代表選に立候補することを表明した。代表選にはこのほかに蓮舫氏が出馬表明しており、事実上の一騎打ちになる見込み。産経ニュースなどが報じた。
  2人の主張は、憲法改正と次期衆院選での野党共闘との2つの点で大きく異なっている。それぞれ出馬表明などの場で何を語ったのだろうか?また、自身が民進党の顔として貢献できる点についてどう語ったのか。これを読めば1分で理解できます。
■憲法改正:積極派の前原氏、消極派だが「変えないとは言ってない」蓮舫氏
「憲法改正は必要」前原誠司氏 私は、憲法改正は必要だと思います。
(憲法改正を考える | 前原誠司より 2016年02月08日)
「社会不安や閉塞(へいそく)感をどう取り除くかが最大の政治使命だ。憲法改正は最優先課題とは思っていない」と指摘。戦力不保持をうたう9条については「9条そのものが立憲主義の観点に立てば、最も不安定な条文だ」と述べ、改正が必要との考えを示した。
(【民進党代表選】前原誠司元外相が出馬表明 
「私も旧民主党政権が失望招いた戦犯の1人」「共産党と組むのは野合だ!」(1/2ページ) - 産経ニュースより 2016.8.26 16:34)
 「9条絶対守る」でも「変えないとは言ってない」蓮舫氏 「9条は絶対に守る」としつつ「(国会の憲法)審査会が動いたら積極的に参加する」 (蓮舫氏、民進党代表選に出馬 共闘継承、改憲議論の姿勢:朝日新聞デジタルより 2016年8月5日19時12分)
 我々も憲法を「一文字も変えてはいけない」とは言っていません。 (蓮舫氏、都知事選への出馬は「ありえません」 当確後のインタビューでバッサリ(動画)より 2016年07月10日 23時40分)
    ◇
■次期衆院選での野党共闘:批判的な前原氏、継続の蓮舫氏
  「野合だ」前原誠司氏 次期衆院選における野党共闘について「次は政権選択の選挙であり、内政や外交、安全保障など考え方の違うところと組むのは野合だ」と述べ、基本政策の違う共産党との連携に否定的な考えを示した。
「基本政策を民進党がしっかりと打ち出し、協力のできるところ(政党)と協力するのが大事だ。初めから政党の数合わせを考えるなら、大局を見失う」とも述べた。
 (【民進党代表選】前原誠司元外相が出馬表明 「私も旧民主党政権が失望招いた戦犯の1人」「共産党と組むのは野合だ!」(1/2ページ) - 産経ニュースより 2016.8.26 16:34)
  「基本的枠組み維持」蓮舫氏
 蓮舫氏は会見で、次期衆院選に向け、共産を念頭に「政権選択選挙で、綱領や政策が違うところと一緒に政権をめざすことはあり得ない」と明言。一方で、野党間の選挙協力については「これまでの基本的枠組みは維持」するとし、継続する姿勢を示した。 (蓮舫氏、民進党代表選に出馬 共闘継承、改憲議論の姿勢:朝日新聞デジタルより 2016年8月5日19時12分)  
   ◇
■なぜ自分が代表にふさわしいか
 「戦犯の一人として」前原誠司氏
「私も旧民主党政権が国民の落胆と失望を招いた戦犯の一人だ。深い反省に立ち、そのことを身に染みて分かっている人間が中心となり、政権を目指すべきだと考えた」 (【民進党代表選】前原誠司元外相が出馬表明 「私も旧民主党政権が失望招いた戦犯の1人」「共産党と組むのは野合だ!」(1/2ページ) - 産経ニュースより 2016.8.26 16:34)
 「ユーモアがある」蓮舫氏
「私は岡田克也代表が大好きです。ただ、1年半一緒にいて、本当につまらない男だと思います」と冗談交じりに発言。 その上で、「人間はユニーク(ユーモア)が大事です。私にはそれがあると思います」 (蓮舫氏「岡田代表が大好き。ただ、本当につまらない男」 民進党代表選に向け会見より 2016年08月23日)
    ◇
現在の岡田克也代表に肯定的な蓮舫氏は主流派、否定的な前原氏は非主流派と呼ばれている。しかし、非主流派の細野豪志氏は、朝日新聞デジタルによると「蓮舫氏は党を一つにしてくれる人だ」と蓮舫氏を支持する姿勢を見せている。  ≫(ハフィントンポスト編集部)

アメリカン・ドリームという悪夢―建国神話の偽善と二つの原罪
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三交社


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●“言い訳三昧な国” 日銀販売機、東電、東芝、MRJ…

2016年08月29日 | 日記
日本水没 (朝日新書)
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朝日新聞出版


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●“言い訳三昧な国” 日銀販売機、東電、東芝、MRJ…

 日経新聞が、ブイブイ好き勝手な世論調査の結果を報じている。日本人がバカなのか、日経が嘘つきなのか判らないが、安倍晋三が、ヒーヒー歓んで随喜の涙を流しそうな世論調査を報じている。内閣支持率は62%!円高株安で、比例配分のように「アベノミクス」への評価が右往左往する。つまり、何も判らずに答えている証拠じゃないか(笑)。また、黒田は駄目だが、安倍首相は評価する?あきらかに論理の矛盾である。話にならないのは、国民なのか、日経新聞なのか、そこがそれなりに問題だ(笑)。

 この中で、やっぱりヤバイと思った調査結果が、二つある。一つは、2020年・東京オリンピックまで、安倍首相が良い、が59%もある。またまた、安倍の雄叫びが聞こえてくる。まあ、自民党政権の総裁を永遠に終身制にしても、筆者はさして構わないので、どうにでもしろだ。総裁イコール首相と云う約束事があるわけではないから、お好きにと云う感じだ。大問題なのは、55%の国民が、もっと「対中強硬姿勢」に出なければ駄目だ、という感情的吹き上がりが認められる点だ。

 これは、昨日の中国が好戦的国家なのか?と疑問を呈したばかりだが、そのコラムの中で書いておいたが、日本の方が「好戦的国家」なのでは?と不安視したばかりだが、ズバリ、そういう傾向を世論調査でも目撃することとなった。まあ、自分が矢面に立つわけではない国民の、単なる感情の吹き上がりなわけだが、こういう傾向が続くようだと、強硬姿勢支持のご意見の人々には、もれなく、海上保安庁及び自衛隊の後方支援者として、登録頂く制度でも考えた方が良い。皆さん、愛国心と蛮勇の持ち主、お口だけではない証をご披露いただくのが筋だろう(笑)。


≪ 内閣支持率62%に上昇 本社世論調査 マイナス金利「評価しない」47%
 日本経済新聞社とテレビ東京による26~28日の世論調査で、内閣支持率は62%と今月9~11日の調査より4ポイント上昇した。60%台に乗せたのは 2014年9月の内閣改造直後の調査以来。不支持率は5ポイント低下の27%だった。安倍晋三首相が閉会式に出席したリオデジャネイロ五輪が盛り上がり、 4年後の東京五輪への期待が政権の追い風になった可能性がある。
 導入から半年たった日銀のマイナス金利を「評価する」は33%で「評価しない」の47%を下回った。同じ質問をした2月より「評価する」は10ポイント 増えたが、なお「評価しない」を下回る。マイナス金利は投資や消費を活発にすることで物価の上昇を促す。これから物価が上がると思うか聞いたところ「上がると思う」は60%、「上がると思わない」は33%だった。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の評価は「評価する」が40%、「評価しない」が43%。7月調査は「評価する」が「評価しない」を上回ったが、再び「評価しない」が多くなった。
 主な政党の支持率は、自民党が44%で8月9~11日の調査より3ポイント上昇した。民進党は4ポイント低下して8%。公明党とおおさか維新の会から党名を変更した日本維新の会がともに4%、共産党は3%だった。支持政党のない無党派層は5ポイント増えて31%だった。
 調査は日経リサーチが26~28日に全国の18歳以上の男女を対象に、携帯電話も含めて乱数番号(RDD方式)による電話で実施。1055件の回答を得た。回答率は47.0%だった。  ≫(日経新聞電子版)
注:詳しくは下記URLにて

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H2N_Y6A820C1MM8000/?dg=1&nf=1


 次に、呆れてものが言えないのが、三菱航空機が開発を進める国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の体たらくだ。「飛行の安全に問題はないが、慎重を期して引き返すことを決めた」などと、見え透いた言い訳三昧だが、日銀黒田とソックリだ。何かある毎に、屁理屈を用意するが、根本的部分で、何やら瑕疵がある予感をもつ。日銀黒田の話は、もっと複雑だが、言い訳三昧では、クリソツだ。そう言えば、東京電力と云う会社の事故や終息作業における、事実隠しや言い訳三昧も、これ皆、日本の同質の問題点なのだろう。

≪ 空調不具合、信頼に影響も 2日連続Uターン  
三菱航空機が開発を進める国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」は28日午後、米国に向けて愛知県の県営名古屋空港を離陸したが、前日に続いて空調システムで不具合が見つかり、2日連続でのUターンを余儀なくされた。同社は、試験飛行を行う米国に8月中にMRJを移送する方 針だが、台風10号の接近による悪天候も予想され、ずれ込む可能性もある。【林奈緒美、竹地広憲】
 不具合が判明したのは、機内の温度や気圧を一定の状態に保つ空調システム。27日にも、同システムの稼働状況を把握する監視機能が異常を示したため、離陸から約1時間後に引き返した。部品交換と地上での試験を経て、28日午後0時58分ごろに再び離陸。しかし、新潟県上空を飛行していた午後1時21分ごろ、前日と同じ部分が異常を示し、2時間15分後の午後3時13分ごろに名古屋空港に着陸した。国内での試験飛行では空調システムに不具合は生じなかったという。
 MRJは、北海道・新千歳空港やロシア、米アラスカ州などで給油した後、約3日後に米西部ワシントン州に到着する計画。28日にUターンを決めたのは北海道函館市の上空だった。空調自体は稼働しており、新千歳空港まで飛ぶこともできたが、米国での試験飛行を前に重大なトラブルに発展するリスクの芽を極力摘んでおきたいため、開発担当者がそろう名古屋への帰還を選んだ。三菱航空機は「飛行の安全に問題はないが、慎重を期して引き返すことを決めた」と説明する。
 「万全を期した結果」とアピールしたい三菱航空機。早期にMRJの移送を終え、9月以降に試験飛行を本格化したいところだが、不具合の原因究明が長引けば、開発スケジュール全体に影響を与えたり、MRJの信頼性を揺るがしたりする懸念もある。
 そもそもMRJは、米国入りの前段階でトラブルが続いていた。昨年11月に名古屋空港で初飛行に成功したが、翌12月にはMRJの試験項目追加などで、全日本空輸への初納入を1年程度先送りし、2018年半ばにすると発表した。初納入の延期は4度目になる。
 航空業界の関係者からは「最近の旅客機はコンピューターの塊。航空機の胴体など構造物の設計分野で三菱は強みを持つが、ソフト分野では経験が十分ではない。今後、空調以外でも不具合が判明する恐れもある」(元航空機メーカー幹部)との声も漏れる。三菱航空機は「今回の不具合で、初納入の時期に影響はない」と説明するが、顧客の航空会社からは「さらなる納入の遅れが表面化すれば、MRJの一部注文を取り消し、他社製に切り替える可能性もある」との見方も出ている。  ≫(毎日新聞)


 日銀動向のみが興味の市場参入者、もう東京証券取引所は、公開の株式市場ではない。マーケットの健全性云々の段階は過ぎている。日銀の金融政策如何で、7割決定し、残り3割が、為替介入云々なのだから、企業業績や将来性で、株を取引するシステムは、少なくとも、我が国では「官製相場」のお蔭で、完全に消えたといっても構わない状況だ。どちらに転ぼうとも、個人消費が上向く方向の政策が出てこない限り、黒田や麻生の口から出てくる言葉は、単に「言葉」であって、それ以上でもなく、それ以下でもない、そう云う按配になっている。


≪ 日銀黒田総裁「マイナス金利、資金需要を刺激」
 日銀の黒田東彦総裁は27日、米ワイオミング州ジャクソンホールでの討論会で、マイナス金利政策によって「(企業や家計の)資金需要が刺激され た」と語った。同政策が「幅広い借り入れ主体に恩恵を与えている」と効果を強調。利下げの限界までには「まだかなりの距離がある」とも述べ、必要に応じて マイナス金利を深掘りする考えを強くにじませた。
 黒田総裁はマイナス金利政策によって「長期・超長期の国債金利は大幅に低下した」と指摘。企業や家計の資金調達金利も下がり、企業の長期資金需要や家計の住宅ローン資金需要が刺激されていると話した。特に、社債市場で20年満期などの超長期債の発行が増えていることを「新しい動き」として強調した。
 マイナス金利がどんどん進むと、民間の経済主体がマイナス金利の適用を避けるために現金の保有を増やし始めるとの見方が多い。黒田総裁も「中央銀行がいくらでも望み通りのマイナスの水準に金利を引き下げられることを意味しているわけではない」と認めたが、現在の金利はマイナス0.1%で、限界はまだ先との考えを示した。
 黒田総裁は物価2%の実現に必要であれば 「ちゅうちょなく追加的な緩和措置を講じていく」とも述べた。日銀の政策手段である量、質、金利のいずれについても「追加緩和の余地は十分にある」と指摘した。日銀は9月20~21日の金融政策決定会合で政策の総括的な検証を行い、必要に応じて緩和策のさらなる強化を検討する。  ≫(日経新聞電子版)

 ≪ マイナス金利下限に「かなり距離」、量・質も緩和余地=日銀総裁
[東京/ジャクソンホール(米ワイオミング州) 28日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は27日、米ワイオミング州ジャクソンホールでの年次経済シンポジウムで講演し、日本のマイナス金利水準である0.1%は下限に「かなりの距離」があると述べ、さらなる深掘り余地を示唆した。
物価2%目標の早期実現に必要なら量・質・金利の3つの次元でちゅうちょなく追加緩和措置を講じるとし、いずれにも追加緩和余地があると語った。
日銀は9月20、21日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の「総括的な検証」を行うが、講演は検証に向けて多くを示唆する内容となった。
総裁は、今年1月に導入を決定したマイナス金利政策について、QQEと相まって金利が大幅に低下し、「幅広い借り入れ主体に恩恵を与えている」と評価した。 そのうえで「いくらでも望み通りの水準に 金利を引き下げられるわけではない」としたが、現行のマイナス0.1%という水準は「新たな下限制約からは、まだかなりの距離がある」と指摘。マイナス金利政策の導入で「負のショックへの対応に、より大きな自由度を獲得した」と語った。
先行きの金融政策運営は、毎回の金融政策決定会合でリスクを点検し、物価目標実現に必要と判断した場合は「ちゅうちょなく、量・質・金利の3つの次元で、追加的な緩和措置を講じていく」との方針をあらためて表明した。
マイナス金利付きQQEは「非常に強力な枠組み」とし、「量・質・金利のいずれも、追加緩和余地は十分にある」と強調。「この枠組みをどう使って、2%の物価安定目標を早期に実現するか、しっかりと検討し、実践していく」と語った。
日本の予想物価上昇率が弱めの動きとなっていることについて総裁は、2014年夏場以降の原油価格の大幅な下落に「起因するとの見方を否定することは難しい」と指摘。日本の長期のインフレ予想は1990年代以降、2%よりも低いままだったとし、「2014年時点で日本経済は(インフレ予想が)リアンカリングの道半ばであったため、インフレ動学が負のショックに対して脆弱だったといえる」との見解を示した。
ヘリコプターマネーに関する質問に対して総裁は、国内法では制限があると説明。そのうえで日銀の国債買い入れ規模を考慮すると、買い入れ可能な国債は「急速に縮小を続けるだろう」としたが、量的緩和の実質的な上限への対応について言及はなかった。 ≫(ロイター:伊藤純夫)

≪ 株式市場は「隷属への道」を歩む  編集委員 小平龍四郎
 今、株式市場で最も注目されている投資家は、外国人でも個人でもありません。1年間に上場投資信託(ETF)を6兆円購入すると宣言した日銀で す。中央銀行が株式市場にこれほど直接、手を突っ込む例は世界的にごくまれです。経済の国家管理に警鐘を鳴らしたハイエクの書ではありませんが、日銀頼みが強まる株式市場を見ていると「隷属への道」という言葉が脳裏をよぎります。
 株式相場の報道で「日銀」や「ETF」といった言葉をよく見るようになりました。最近の例では8月23日付日経朝刊の「スクランブル」にこうあります。
 「日銀のETF買いが相場を下支えしているのは間違いない。13年以降の株価と為替相場の関係から試算すると、1ドル=101円なら日経平均は1万4000円台半ばになるはず。今の株価との約2000円の差は『日銀効果』といえる」
  日銀は7月28~29日の金融政策決定会合でETF買い入れの増額を柱とする追加金融緩和策を決めました。それまでの年3.3兆円の買い入れ枠を6兆円へと拡大させたのです。国際金融市場で不透明感が高まるなか、日本企業の「前向きな経済活動をサポートする」というのが、日銀の公式の説明です。
 かみ砕いて言うと、こんな感じでしょうか。株価の底割れを日銀が防ぐことにより、企業が安心して資金を調達し、その資金が投資などに回れば雇用増や賃上げにもつながる。そうした好循環を日銀が株式市場発でつくる――。

 ■決して売りに回らない買い手  
  6兆円という数字の重みを確かめておきましょう。東京証券取引所の集計によれば、アベノミクス(安倍晋三首相の経済政策)への期待で株高が続いた2013 年度の外国人の買越額は約9兆円でした。6兆円はその約3分の2に相当します。しかも、外国人は独自判断で売りに回ることもありますが、日銀は常に買い手です。決して売りに回らないことへの安心感まで考え合わせると、日銀のETF購入が市場に与える影響は6兆円以上のものがあります。
 日銀のETF購入が始まったのは、まだ白川方明氏が日銀総裁だった10年10月。年間の買い入れ枠は0.45兆円でした。リーマン・ショック後の 対応の鈍さが批判された日銀が打ち出した、「包括緩和」の一つでした。黒田東彦氏が総裁に就任し、13年4月の「量的・質的緩和」のメニューの一つとして ETF購入を1兆円に拡大。そこから3年とちょっとで約6倍になったわけです。日銀の株式市場への積極的な関与ぶりが分かります。
 ここまでETFを買い続ければ、株主としての日銀の存在感も高まります。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏はこんな試算を発表しています。
  7月末現在で日銀は8.7兆円のETFを保有。このほか日銀は金融機関から買い取った株式も持っているため、それを含めると日銀の持ち株比率は浮動株ベースで3.2%となる。1年後には5.1%に上昇する可能性があり、日本企業全体の大株主となるといってもよいかもしれない――。
 個別企業にも目を向けてみます。日銀はETFを購入することによって、株価指数を構成する企業の間接的な株主になっていると見ることができます。ニッセイ基礎研究所のチーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏が計算したところ、日銀は7月末の時点でミツミ電機の株式の11%を間接保有しています。このほかの日銀が大株主になっている企業は、表の通りです。注目したいのは、日銀が本当に年6兆円のペースでETFを購入すると、日銀が10%超を保有する企業が1年後にはごろごろ現れることです。
 日銀がフローとストックの両面から株式市場で存在感を高めることについて、警戒する声も強まり始めました。

 ■市場を通じた資本配分にゆがみ
  まず、企業経営への影響です。業績が良くても悪くても日銀が買い支えてくれるわけですから、市場を通じた経営への規律づけが、弱まる可能性があります。さらに、ETFは手数料が低く抑えられているため、運用会社による議決権行使などが不十分になる懸念もあります。競争力の弱った企業の株価が人為的に高く保たれ、企業統治(コーポレートガバナンス)も効きにくいとなれば、市場を通じた資本配分はゆがみます。日本経済の潜在成長率も押し下げられるでしょうか ら、アベノミクスの数々の成長戦略の効果を減殺してしまいます。

   


 次に日銀への影響です。株式は国債よりずっとリスクの高い金融商品です。 単純に保有高の多寡を見ていても日銀が抱えているリスクは分かりません。ゴールドマン・サックス証券のエコノミスト、馬場直彦氏は日銀の株式保有総額が 18.5兆円程度まで増加すると仮定し、株式市場の過去の変動率などを参考にリスク量を算出しています。その結果、代表的なリスク量指標であるVaR(バ リュー・アット・リスク)は10兆円になったそうです。これに対して、日銀の3月末の自己資本(資本金・準備金と引当金の合算)は7兆円強しかありません。
 こうした試算に基づき、馬場氏は「ダウンサイドリスク・シナリオが万が一実現してしまった場合には、資本不足に陥る可能性が高い」と指摘していま す。資本不足にならないまでも、日銀のバランスシートへの懸念が高まれば、通貨の信認が揺らぎかねません。円が信用されないという非常事態になれば、株価の下支えや「前向きな経済活動をサポート」どころの話ではなくなります。
 ここまで大げさに心配してみせなくてもいいのでしょうが、気になることが1つあります。それは、日銀のETF購入を所与の前提として期待する市場参加者が増えているのではないかということです。日々の相場報道でも「日銀のETF購入を警戒して売るに売れない」とか「予想されていた日銀のETF買いが入らなかったので、相場が急落」といった記述が目につきます。
  投資家が独自に相場の方向性や企業の将来性を分析し、多様な見方をぶつけあうことによって株価は形成されます。一人ひとりの市場参加者が思考停止となり、日銀の動向をうかがうばかりでは、もはやマーケットとはいえなくなります。「隷属への道」などと仰々しい本の題名をあえて持ち出したのも、そうした問題意識を共有していただきたいからです。  ≫(日経新聞電子版)

隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】
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●中国 日本メディアが報じるほど「好戦的国家」なのだろうか?

2016年08月28日 | 日記
戦後史の決定的瞬間: 写真家が見た激動の時代 (ちくま新書)
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●中国 日本メディアが報じるほど「好戦的国家」なのだろうか?

 今夜は、以下“BPnet”のジャーナリストの福島香織氏などの情報をまとめた『一触即発の尖閣問題 中国はなぜ領海侵犯を繰り返すのか』を読んでいて感じたことを書いておく。この宮島某氏のまとめ記事をあげつらう積りはないのだが、日本の一般的な読者にとって、日常的に読み聞きする傍若無人とも言える「中国」の南シナ海、東シナ海の挑発行動情報に接していれば、何の違和感もなく、この情報掻き集め記事の内容に頷くことは、容易に想像できる。

 しかし、本当に中国が好戦的なファイティング・ポーズ専門の国家であり、平和外交等に縁遠い国なのか、そう云う疑問は、現在、世界二位の経済大国である事実と重ね合わせてみる時、そんな短絡的な中国の外交姿勢と云うのは、常識的にあり得ないと程度に気づくものではないのだろうか。経済予測によると2020年前後には、「米中GDP逆転劇」が実現すれば、世界一のGDP経済大国になるわけである。無論、最近の成長減速状況を見ると、その達成は2030年になるのかもしれない。しかし、いずれにしても、その日は来るだろう。

 そのような地位を得ようとしている中国・習近平政権が、徒に、フィリピンだ、日本だと、戦火を交えることを望むのだろうか。常識的に考えると不可思議だ。むしろ、将来展望が殆ど見えていない、日本と云う国の方が、戦争でも起きて、“戦時経済”になることを望んでいる可能性の方が高いくらいに考える方がニュートラルな思考の行きつく先だ。ただ、面倒な点は、中国共産党独裁の国だから、中国と云う国の情報を得るのが非常に厄介なことである。

 中国の公式な情報は、「新華網」「人民網」「チャイナ・ネット」等の日本語版サイトを読むことになる。しかし、安倍自民党政権以来、“報道の自由度ランキング”で日本が72位と限りなく低迷して話題になっているが、その比ではない(笑)。ちなみに、“報道の自由度ランキング”は176位である。北朝鮮が179位なのだから、推して知るべしなのだ。ゆえに、これらのサイト情報を鵜呑みにもできない。

 しかし、だからといって、西側プロパガンダの論調を信じて良い理由にはならない。この西側プロパガンダ情報は、その末端で生活している書き手のお追従で、プロパガンダ報道は勝手に増殖するので、よりリスキーな中国像が描かれ、新興宗教のご託宣にまでなりつつある。だからと言って、中国政府御用達の報道サイトを鵜呑みにも出来ない。まあ、上述のような事情を踏まえて、日経PBのまとめ記事を読むと、何だかな~と云う複雑な気持になる。今夜は、折角、上記中国報道サイトも覗いたので、中国政府が報道したがっている幾つか目についた記事の見出しを羅列しておく。


■目についた中国報道サイトの“見出し”(原文のまま)
★ 国防部、いわゆる「釣魚島周辺で中国側の活動が増加」について http://j.people.com.cn/n3/2016/0826/c94474-9106024.html

★ 第3回中日ハイレベル政治対話が北京で開催
http://j.people.com.cn/n3/2016/0826/c94474-9106006.html

★ 外交部、中日韓外相会議で海洋問題は議論せず
http://j.people.com.cn/n3/2016/0826/c94474-9105999.html

★ 外交部、安倍首相の杭州サミットでの習主席との会談希望に関するコメント
http://j.people.com.cn/n3/2016/0827/c94474-9106441.html

★ 南中国海に関する日本側言論に外交部「冷静になり、真剣に省察を」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0729/c94474-9092761.html

★ 外交部、日本は南中国海問題であれこれ言う資格はない http://j.people.com.cn/n3/2016/0725/c94474-9090629.html

★ 米国は中国の5つの「断じてない」を理解する必要がある
http://j.people.com.cn/n3/2016/0720/c94474-9088809.html

★ 中国を支持する正義の声は国際社会の主旋律 (以上、人民網)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0718/c94474-9087669.html

★ (新華国際時評)中日韓の友好協力の大いなる方向をしっかりと把握しよう(新華網)
http://jp.xinhuanet.com/2016-08/26/c_135635730.htm

★ 米軍は海外基地600カ所近くを保有 それでも中国は脅威か(新華網)
http://jp.xinhuanet.com/2016-08/24/c_135628711.htm

★ 日本の谷内正太郎・国家安全保障局長が訪中(新華網)
http://jp.xinhuanet.com/2016-08/25/c_135632686.htm

★ 「G20:中国の役割とグローバルガバナンス」、国内外の専門家が意見交換(「チャイナ・ネット」)
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2016-08/27/content_39176583.htm


 現代ビジネスを覗いていたら、またぞろ、長谷川幸洋の『領土拡大の野心が招いた中国外交の深刻な"八方ふさがり"  今、日本が通すべき「スジ」は?』というコラムが載っていた。長谷川が言わんとする安倍政権外交の我田引水は、想像がつきすぎるので、参考掲載は省略。読みたい方は下記URLへ。反吐が出ても知りませんがね。やはり、中国軍は戦争したがっていると書いていました(笑)。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49549


≪ 一触即発の尖閣問題 中国はなぜ領海侵犯を繰り返すのか
■中国の内政的要因が大きな要因
 8月5日午後、尖閣諸島領海に2隻の中国海警船と漁船が初めて侵犯する事件が起きた。このとき、尖閣諸島の接続水域の中国公船の付近に集まっていたのは、230隻あまりの中国漁船。日本外務省は、この事実を確認し、中国大使館公使に抗議している。
 しかし、抗議もむなしく、尖閣諸島海域の中国海警船は立ち去るどころか増え続け、7日午後には13隻、過去最多に増えた。その後も中国公船は断続的に領海侵犯を繰り返している。
 では、なぜ中国は最近になって、これほどまで挑発をエスカレートさせているのだろうか。ジャーナリストの福島香織氏は、日経ビジネスオンラインの記事「尖閣に迫る嵐、『終戦の日』の中国に備えよ」で、背景を分析している。
 一般的には、タカ派の稲田朋美氏が防衛相になったことへの中国側の反応と受け取る声も聞かれる。しかし、福島氏は、中国の内政的要因が大きいと見る。
 ■習近平政権の指示による計画的行動
 具体的には、習近平の軍権掌握が思いのほか難航していることだという。習近平は軍権掌握のプロセスとして、南シナ海実効支配固めや、東シナ海で影響力拡大を進めているのだが、軍権掌握を深めるどころか実は習近平の方が軍に翻弄され、当初の思惑以上に急速なテンポで軍事挑発がエスカレートしているのかもしれない、と福島氏は述べる。
 福島氏は、中国の挑発がエスカレートした始まりを、6月9日の中国軍艦侵入事件と見ている。同日、尖閣諸島周辺の接続水域に中国の軍艦が初めて侵入した。
 この中国軍艦侵入事件については、福島氏は日経ビジネスオンラインの記事「中ロ軍艦『尖閣』同時侵入、問われる日本の忍耐」の中で、「これは習近平政権の指示による計画的行動だ」と結論付けている。  その根拠の1つとして、中国国防部のコメントや中国メディアの論調にユーモアと余裕が見られることが挙げられている。この余裕に「してやったり」という中国側の計画性と、ほくそ笑みが見えるのだという。
 ■自衛隊機と中国戦闘機による“ドッグファイト”
 6月17日には、東シナ海上空で自衛隊機と中国戦闘機による“ドッグファイト”が起きた。この事実は、戦闘機乗りであった織田邦男・元空将による暴露で明らかとなった。
 一方、政府・官邸は“ドッグファイト”の事実を否定した。そのため、織田氏の暴露はガセだったのではないかとの批判や、情報漏えいを問題視する声も見られた。
 しかし、織田氏と面識のある福島氏は、日経ビジネスオンラインの記事「東シナ海、中国戦闘機の『攻撃動作』はあったか」で、織田氏の情報には信憑性があると述べている。
 その上で、問題の責任は織田氏に情報を漏らした側にあるのではなく、むしろ、公表すべき情報を公表しなかった官邸側、あるいは適切な対応がとれなかった官邸側にあるのではないか、と問題提起している。
 このように中国と対峙する日本を、ある意味、うらやんでいる国も存在する。地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備問題で、中国との関係が急速に悪化している韓国だ。
■中国の報復を恐れる韓国から見た尖閣問題
 日経ビジネスオンラインの記事「『中国に怯むな』と叫びながら怯む韓国人」で、日本経済新聞編集委員の鈴置高史氏は、韓国人の見方を紹介している。
 鈴置氏によれば、韓国のメディアはTHAAD配備決定によって、中国が韓国に対して報復するかどうかをかなり恐れているのだという。そんな中、日本を引 き合いに出して「怯むな」と呼び掛ける記事(朝鮮日報7月20日付け「日本は中国の通商報復に屈服しなかった」)が登場している。
 2012年9月に日本が尖閣諸島を国有化すると、中国は戦闘機や艦船を送り武力を誇示した。中国で日本製品の不買運動が起き、トヨタやホンダなど日本の乗用車の販売台数が半減した。訪日中国人観光客のキャンセルも相次いだ。
 しかし当時の日本では、政府も国民もメディアも中国の報復に対する恐れを見せなかった。尖閣諸島の国有化撤回を求める声はほとんど聞かれなかった。日本を参考にハラの据わった対応をすべきだ――という内容である。
 日本だけでなく、周辺諸国と緊張を高めている中国。まるで全方位との衝突をも恐れていないかのようだ。
■原子力潜水艦を太平洋に進出させるための深謀遠慮
 それでは、どうして中国はそこまでして覇権拡大、とりわけ東シナ海や南シナ海での勢力拡大に躍起になっているのだろうか。元自衛官でGEジャパン安全・ 危機管理部長の上村康太氏は、nikkeiBPnetの記事「南・東シナ海で中国が本当に欲しいもの」で、中国の意図を分析している。
 上村氏によれば、中国にとっての脅威は、東の太平洋からやって来る米軍である。従来は為す術もなかったが、国力増強に伴い、より遠い場所で米軍を迎え撃つ戦略を現実のものにしようとし始めた。
 具体的には、東シナ海および南シナ海を軍事拠点化することで米軍が中国を直接攻撃できないようにするとともに、自らは核兵器搭載の原子力潜水艦を、東シナ海および南シナ海を通じて太平洋に安全かつ隠密裏に進出させるというものだ。
 中国の太平洋沿岸の勢力範囲拡大戦略について、上村氏は「まるで太っていく“中年オヤジのお腹”のように見えてくる」と表現する。“中年オヤジのお腹”は尖閣諸島まで呑み込んでしまうのか。中国に対する警戒と緊張はまだまだ続きそうである。  ≫(BPnet>BPセレクト>一触即発の尖閣問題 中国はなぜ領海侵犯を繰り返すのか 構成・宮島理)


 以上で終わらせる積りだったが、まともな日中関係について言及している田中均氏のコラムがあったので、口直しに参考掲載しておく。

≪ 今年の日中韓首脳会談は日本にとってどんな意味を持つのか
 ■2012年以降悪化した日中、日韓関係
 政治関係と国民感情悪化の悪循環
 日中韓三ヵ国の外相会談が本日(8月24日)行われる。執筆時点でその結果は明らかではないが、順調に進めば本年中に日本で三ヵ国首脳会談が開催 されることになる。二国間の首脳会談は二国間の政治関係の影響を受けやすいが三ヵ国であればやりやすいという認識もあり、三ヵ国首脳会談は2008年から 毎年開催された。
 しかし、2012年の李明博大統領の竹島上陸などによる日韓関係の停滞や尖閣諸島問題を巡る日中の緊張の影響でその後開催には至らず、ようやく2015年になってソウルで再開され、本年は日本の主催の順番となっており、予定通り開催されるかどうか注目を集めている。
 日中韓首脳会議は東アジアの平和や繁栄という見地からは極めて重要である。しかし、今日に至るまで三ヵ国の首脳の出会いの場という象徴的な意味以外に実質的な役割を果たしているとは思えない。その主要な原因はやはり日韓、日中二国間関係の悪化であった。
 日中韓三ヵ国のGDPの総量は2015年には16兆ドルに及び、東アジアGDPの83%、世界全体のGDPの23%に当たる。貿易量についてみれ ば三ヵ国間の総体は55百億ドルにのぼり、日本、中国、韓国から各国への訪問者の総数は毎年増え続け、2015年には総計約2400万人に上っている。こ のような統計を見ただけでも日中韓の相互依存の深さと協力の大きな潜在性は明らかであろう。また、戦後日本は70年代から90年代にかけて韓国や中国に対 しODA(政府開発援助)や投資を通じて国づくりに大いに貢献してきた歴史もある。
 このような深い相互依存関係にもかかわらず、特に2012年以降の日中、日韓政治関係の悪化は顕著であり、これを後追いするように日本と中国、お よび日本と韓国の相互の国民感情も悪化してきた。2015年の言論NPOの調査では日本の嫌中感情は国民の8割にもおよび、韓国に対する悪感情も5割を超 える。対日悪感情も中国では8割、韓国では7割を超えていた。
 日中、日韓の間の国民感情の根幹には歴史問題があることは疑いがないが、同時に政府が悪感情を煽ってきたという側面も見逃せない。特に中国の場合 は共産党政府の情報コントロールが大きな役割を果たしている。韓国の場合も権威主義的な傾向は否めず、大統領の言動と対日感情は密接に関連している。日本 の対中、対韓悪感情も中国・韓国での対日悪感情に刺激を受けるとともに、従来に比べれば対中、対韓関係の重要性を説く政治指導者も少ない。このような国 民・政府の相互への悪感情が悪循環を生んでいった。
 もちろん、「歴史問題」が消えてなくなる訳ではなく、歴史を巡って双方を刺激しないという基本が守られることが重要である。ただ政府間の関係が変わればそれを反映して国民感情が一定程度変わる。

 ■日韓の国民感情は改善
 昨年12月の慰安婦合意が転換点
 言論NPOがこの6月中旬から7月初めにかけて日韓両国で行った調査によれば、韓国人で「日本に良くない」「どちらかと言えば良くない」印象を 持っている人は昨年調査時の72.5%から61%へと11ポイント以上の大幅改善となっている。また日本人で「韓国に良くない」「どちらかと言えば良くな い」印象を持つ人は昨年の52.4%から44.6%へと7.8ポイントの改善となっている。
 これは昨年12月の日韓両国政府の慰安婦問題での合意とその後の両国政府の言動が改善の大きな要因となったと思われる。政治関係が改善されれば国民感情も変わるということである。
 今後、歴史問題以外に日本と韓国、日本と中国の政治関係を規定していく要因は何なのであろう。まず日韓関係から見てみたい。第一に日韓の大きな摩 擦要因として竹島問題がある。ただ竹島問題は今に始まった訳ではない。1965年の日韓関係正常化の時代から存在していた問題である。これが50年の時を 経て先鋭化した。
 日本の主張も強くなったが、実効支配をしている韓国が2012年の李明博大統領の上陸や最近では国会議員数名の訪問により敢えて日本国民感情を逆 なでしたという面はあろう。従来は静かにマネジメントが行われてきた問題である。この問題の現状を変える見通しはなく、主張を取り下げるという事ではないが、両国政府でこの問題の故に政治関係を大きく損なうことがないようマネージしていくという了解は出来るはずである。
 竹島問題をマネージできれば、その他の主要課題では日韓が共通戦略を持ちうると思う。重要な課題として、北朝鮮問題・対中関係・対米関係があるの だろう。北朝鮮問題について朴政権は従来中国との関係を緊密化することにより中国の北朝鮮への圧力を期待した時期があったが、北朝鮮の核・ミサイル実験の 頻発化や韓国への強硬姿勢が変わらない現実を見て日米韓の連携強化に舵を切った。今後日米韓の間で危機管理計画の整備や朝鮮半島シナリオ作りが重要な共通 課題となっていくのだろう。

 ■日韓の共通戦略
 北朝鮮問題、対中関係、対米関係
 さらに韓国の米軍基地にTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の配備決定もあり、韓中関係は従来の蜜月時代から大きく変化した。もちろん 地理的・歴史的・経済的要因から中国を重要視せざるを得ない韓国と日本の間の対中認識についての温度差は残るが、日本も対中抑止力の強化だけではなく、中 国との協力の拡大に踏み切れば、日韓の間の対中認識の差もさほど問題ではなくなる。
 これからの一年という時期を考えると、日韓共通の最重要課題は大統領選挙を終えて新体制となる米国との関係の再構築である。トランプ政権となれば トランプ氏の発言をベースとすれば深刻な亀裂と摩擦が米国との同盟関係に生じる。クリントン政権となっても、大統領選挙の顛末を見れば米国は徐々に内向き 志向に向かっていく怖れがあり、少なくともブッシュ政権のように軍事的行動を厭わないという姿勢は後退するだろうし、日韓は米国を東アジア地域に引き付け ておくために大きな役割を果たさねばなるまい。
 日本は中国と尖閣問題などの個別の問題を超えた構造的問題を抱えており、良好な政治関係の構築はなかなか難しい。近代の歴史を見れば明らかな通 り、明治維新以降、日本は富国強兵を唱え大きく台頭し中国とは二度の戦争を戦い、戦後1972年の日中正常化以降ごく最近までは世界で第二の経済大国で あった日本が中国の経済発展を助けることを基本とした協力の時代があった。しかし、2010年以降は中国が第二の経済大国として急速に台頭し、他方で日本 は相対的に停滞し、日中の競合関係の図式が出来、摩擦は大きくなってきた。

■構造的問題を抱える日中関係
 両国首脳の大局観が肝要
 日本から見れば、南シナ海や東シナ海での海洋活動が示すとおり、中国は一方的行動により既存の国際秩序を破壊している、中国は東アジアで覇権を求 めているのではないか、と映る。中国から見れば、日本は米国をはじめ豪州、インド、ASEANなどとの安保協力を強化し、中国を囲い込んでいると映る。更 なる厳しい対立が衝突に繋がっていくという事か。
 日中が対立と衝突を避ける唯一の方策は、両国の首脳が大局的立場に立ち、日中関係はウィン・ウィンの関係を作ることができ、地域の安定と繁栄のためにお互いが不可欠であると言う合意を担保することである。
 習近平主席の登場後たった3ヵ月たらずで米中首脳は長時間の首脳会談を行い(2013年6月にカリフォルニアのサニーランドで二日間にわたるマラ ソン首脳会談が行われた)、現在の米中関係の基本枠組みを作った。米中は利益が異なる分野があるが、これらはマネージし、協力できる分野を拡大していく、 ということである。
 南シナ海や東シナ海を巡り米中の利益が大きく異なるのは周知の事実であるし、南シナ海における埋め立てや軍事施設の構築など中国の一方的行動に対 し米国は「航行の自由作戦」として戦艦を航行させ、中国を強く牽制している。一方で米中の戦略対話は頻繁に行われ、環境などグローバルな課題への協力が推 進されているほか、軍事的信頼醸成措置も進めている。
 日本が自国の安全を担保するため日米安保体制や関係国との安保協力を強化するのは何の問題もなく、望ましいことである。しかし、同時に中国との間で「相違をマネージ」し、「協力関係を拡大」する真摯な外交努力を行うべきものであろう。
 来年、習近平体制は5年の中間地点を迎え、党大会で政治局常務委員会の人事が行われる。これから人事を巡る権力闘争も起こってくるだろう。経済も 現在の6-7%の高い成長から4-5%へとスローダウンしていかざるを得ないのであろう。このような時期に日本との対立を深めることは好ましいことではあ るまい。
 日中韓三ヵ国首脳会談が成功するためには日中、日韓の二国間関係を促進するという総意が必要であるが、いったんそのような総意が達成されれば三ヵ 国首脳会談は経済・環境等の分野で具体的協力を実施していく重要な仕組みとなる。日本は韓国との政治的関係は幸いにして修復の方向性を示しており、ここか ら年末にかけて中国との関係を修復していく格好の時期に来たのではないか。9月のG20首脳会談の杭州開催などを通じてこのような方向性が明確になること を期待したい。
 ≫(ダイアモンドONLINE>国際>田中均の「世界をみる眼」)

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●確信犯的な年金運用損 北朝鮮並みの信賞必罰を望む気持ちに

2016年08月27日 | 日記
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●確信犯的な年金運用損 北朝鮮並みの信賞必罰を望む気持ちに

 安倍政権の、あまりにも無謀な包括的な経済政策により(俗称:アホノミクス)により、国民に、受動喫煙のような被害が及ぶ事態になってきた。日銀、GPIF等々の組織や責任者にも罪はあるが、凡庸な悪であり、口角泡を飛ばしてまで、非難する気にはなれない。やはり、諸悪の根源が、安倍官邸発の強権的経済政策発動だと云う事実関係があるために、彼らの罪は一等を減じて受けとめることになる。安倍首相が、誰彼のアドバイスに従った上の決定であっても、「私が最高責任者である!」と言い放った、安倍首相の後ろには、彼の責任をケアする人物はいないと云うことだ。

 世界最大の年金基金を、自らの政権維持の道具に使ったのだから、儲けを出して、我が成果のように振る舞うことは出来ない。単に、国民と云う他人の財布に手を突っ込んで、好き勝手に運用しただけで、どこぞの、経理担当者の横領と、本質的に変わりがない。よく、消費税1%は2兆円の税収入になると言われているが、GPIFの一四半期(16年4月~6月)の評価損5.2兆円は、消費税2.5%分を失ったと云うことだ。塩崎厚労相や安倍官邸の幹部からは、“年金運用は長期的視点で見るべきもの”と云う、盗人猛々しい御高説に終始しているが、単なる責任の先送りに過ぎない。

≪ GPIF:評価損5.2兆円、運用改革後の全収益が消失-4~6月
 世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2四半期連続で巨額の運用評価損を計上した。国内株価の下落や円高を背景に、運用資産額は基本ポートフォリオを前例のない大幅な見直しを実施する前の水準まで目減りした。  
 GPIFが26日午後に公表した今年度第1四半期(4-6月)の運用状況によると、収益率はマイナス3.88%、評価額はマイナス5兆2342億円。い ずれも1-3月期に続く不振だった。6月末の運用資産は129兆7012億円。過去最高だった1年前の141兆1209億円から11兆4197億円減り、14年6月末以来の低水準となった。前身の年金資金運用基金として自主運用を始めた2001年度からの累積収益は40兆1898億円。
 資産別の収益率と評価額は、国内株式がマイナス7.38%とマイナス2兆2574億円、外国株式がマイナス7.76%とマイナス2兆4107億 円、外国債券がマイナス8.02%とマイナス1兆5193億円だった。ともに円高による目減りを価格の上昇で補い切れなかった。収益が増えたのは国内債券のみで、1.91%と9383億円。  
 6月末の円相場は3月末との比較で主要10通貨全てに対して上昇。英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利 した6月24日は、対ドルで一時7円超の円高となった。国内株は大幅に下落する一方、日本銀行のマイナス金利政策を受けた国内債の利回りは低下。資産構成 の見直しでリスク資産を増やしたGPIFに逆風となっている。
  高橋則広理事長は説明資料で、収益率がマイナスとなった理由について、5月の米雇用統計が事前予想を大きく下回ったことや、市場予測と異なる英国のEU離脱投票結果を受けて、急激に円高が進み、世界の株式市場が一時的に大きく下落したことを例に挙げた。  
 GPIFの運用は、2014年10月の大幅な見直しで、株式と債券が半分ずつで国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型となっている。基本ポートフォリオは、国内債が35%、内外株式がそれぞれ25%、外債が15%。5%だった短期資産は各資産に分散して管理している。 GPIFの資産構成見直しの詳細については、こちらをご覧下さい  
 GPIFは、新たな目標値に向けた資産構成への変更がほぼ終了した昨年7-9月期に自主運用開始以降で最大の評価 損を計上した。世界的な市場混乱からのリスク回避の動きが円高圧力となり、保有する内外株式と外債の評価を目減りさせたためだ。金融市場は年末にかけて持 ち直したものの、今年に入ると円高・株安が再燃。GPIFの直近1年間の評価損益はマイナス13兆1929億円に上っている。
  14年 10月から今年6月末までの通算運用は1兆962億円の損失。昨年6月末までの3四半期で12兆円余りを稼いだGPIFは、運用改革後の収益全てを失った 格好だ。ただ、運用資産は第2次安倍晋三内閣の発足直後に当たる12年末からとの比較で約17.8兆円増となっている。
  年金特別会計が 管理する資金も含めた積立金全体に占める国内債の割合は6月末に39.16%と3月末の過去最低から3四半期ぶりに上昇。国内株は21.06%と14年末 以来の低水準に後退した。外債は12.95%と3四半期連続で低下。外株は21.31%と2四半期連続で下がった。短期資産は5.51%。全体の5%を上 限とするインフラ投資やプライベートエクイティ(PE、未公開株)、不動産などのオルタナティブ(代替)投資は0.05%だった。
  長期 金利の指標となる新発10年物国債利回りは6月末にマイナス0.23%と3月末から18ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。 TOPIXは7.53%安い1245.82。米国債の10年物利回りは1.4697%と30bp低下。円の対ドル相場は1ドル=103円20銭と9円37 銭の円高・ドル安が進んだ。MSCIコクサイ・インデックスは円換算で8%下落した。  ≫(ブルームバーグ)


 そもそも、安倍政権の包括的経済政策(俗称:アホノミクス)は、濡れ手で粟のような短絡的マネタリスト思考であり、先進諸国全体覆っている、経済成長の限界は、明々白々であるにも拘らず、インフレターゲットを設定すると云う、非常識な手段に興じただけである。世界的に市場のパイが縮小する中で、少子高齢化に伴う、社会保障制度の改悪など、GDPの6割以上を占める、内需(個人消費動向に連動)の喚起は、公共事業の頻発だけなのだから、個人消費を促す住宅の購入などの分野の値上がりを誘発し、逆に購入意欲を失わせている。社会保障の充実とは、簡単な話、社会保障の削減である。これで、インフレが起きるなんて考えた奴は、キチガイの類だろう。


 ≪ 7月消費者物価は3年4カ月ぶりの下げ幅-黒田緩和前に戻る
7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は5カ月連続の下落となり、日本銀行が黒田東彦総裁の下で決定した量的・質的金融緩和直前の2013年3月以来、3年4カ月ぶりの下げ幅となった。生鮮食品を除く食料や宿泊料の伸びが鈍化したことが全体を押し下げた。  
 総務省が26日発表した7月の全国コアCPIは前年比0.5%低下した。マイナス幅は前月(0.4%低下)から拡大した。ブルームバーグがまとめた予想中央値(0.4%低下)を下回った。物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは0.3%上昇と、これも事前の予想(0.4%上昇)を下回った。
 総務省は、7月分の消費者物価指数(CPI)から新基準(2015年基準)を適用した。12日に発表した1ー6月分に新基準を遡及(そきゅう)適用した数値によると、6月のコアCPIは0.4%低下と従来の10年基準から0.1ポイント上方修正された。
■包括的な検証  
 日銀は7月29日の金融政策決定会合で、コアCPI前年比が2%程度に達する時期は「17年度中」との見通しを維持する一方で、「先行きの海外経済に関する不透明感などから不確実性が大きい」と指摘。その上で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の下での経済・物価動向や政策効果について、9月20、21日の会合で総括的な検証を行うことにし、議長である黒田東彦総裁がその準備を執行部に指示した。  
 SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは統計発表後のリポートで、「食料やコアコア部分の弱さが続く見込みで、コアCPIはなかなか前年比プラス圏へ浮上しないだろう」として、浮上は来年初めごろになりそうだとみる。基本給の低迷でサービスが伸び悩む中、円高の影響波及で食料などの弱さが続くとして、コアコアCPIは「マイナス化へ至る可能性もある」とみている。
  先行指標の東京都区部8月中旬速報はコア指数が0.4%低下と、6カ月連続のマイナスとなった。マイナス幅は前月と同じだった。コアコアCPIは0.1%上昇と前月(0.2%上昇に改定)を下回った。事前の予想はそれぞれ0.4%低下、0.3%上昇だった。
■予想比下振れなら追加緩和期待  
 日銀は物価の基調を見る上で、独自に公表するエネルギーと生鮮食品を除いたいわゆる日銀版コアCPIを重視している。6月分は旧基準で0.8%上昇だったが、新基準では0.7%上昇に下方修正され、26日午後発表された7月分の指数は0.5%上昇に鈍化した。
  モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅エコノミストは19日付のリポートで、エネルギー品目のマイナス寄与は前年比で縮小していくため、コアCPIは年末にかけて「マイナス幅は急速に縮小していく」としながらも、エネルギーを除く物価は目先、「明確な底打ちの兆しはなく、下振れリスクが強まっている」と指摘した。
  黒田総裁は20日付の産経新聞のインタビューで、9月の「総括的な検証」を踏まえ 追加的な緩和措置を講じる可能性は十分ある、と述べた。野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは19日付のリポートで、7月のコアCPI前年比が市場予想(0.4%低下)から下振れれば、13年3月以来の下落幅となるため、「日銀に対する追加緩和期待が高まりやすい」としている。  ≫(ブルームバーグ)


 金融関係者の言説と云うものは、新興宗教の教祖が、信者に向かって、寄進を増やせば、“御利益、霊験あらかたなるぞ”と嘯いている状況に似ている。異次元の金融緩和、マイナス金利導入等々、基本的に実行出来る金融政策は打ちどめなので、残された道は「ヘリコプター・マネー」と云う、殆どヤケクソ金融政策しか残されていない。金融関係者にとって、相場が大胆に動くことが望めれるので、上記記事のような「日銀の更なる金融政策」と云う表現になるが、ヘリコプター・マネーにまで突入してしまえば、アホノミクスの材料は在庫の底をついたとなり、大きく売り浴びせのターゲットにされるだろう。愉快犯のように円高株安が顕著になる。FRBが金利引き上げに動いても、根本的に、円高株安、個人消費の更なる低迷は避けられない。


 ≪ 年金運用損、将来世代にツケ? 「損失処理の仕組みを」
 公的年金積立金の運用損が膨らんでいる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用基準を見直してからの通算成績は、初めて赤字に転落した。想定以上の赤字が出れば将来世代へ負担を先送りすることになりかねず、専門家は新たな仕組みづくりを求めている。
「今回のような短期的な運用の評価損は、年金額に影響しません」。GPIFの担当者は26日の記者会見で明言した。年金の支払いに必要な年間約50兆円の財源のうちGPIFの運用で賄うのは 10%未満。運用する積立金約130兆円のうち国債20兆円分の償還金だけで、当面の財源を捻出できる見通しだという。現在の運用基準は「見直す必要性はない」と強調した。
 ただ、株式の比率を50%に倍増して以降の運用成績はマイナスに。この傾向が続くなら、将来的な年金額への影響は否定できない。
 高齢化は今後さらに進む見通しのため、年金財政は償還金だけでは賄えず、積立金を取り崩していく計画だ。現時点では評価額だが、将来、運用損が確定すれば、積立金を取り崩しても年金の財源を賄えない可能性もある。その赤字分は将来世代の負担になる。
 日本総研の西沢和彦主席研究員は「新しい運用方針を決めた政府を選んだのは私たち。今の世代で生じた損失は、今の世代で処理すべきだ」と主張。スウェーデンやカナダでは、政府の想定以上に積立金が減ったと判断した場合、自動的に年金額を減らし、保険料を上げる仕組みがあるという。日本にはこうした仕組みがないため、西沢研究員は「損失処理の仕組みをつくるべきだ」と提言する。
 民進党は26日に年金に関する会合を開き、「株式運用比率を倍増したことが失敗だった」(山井和則・国会対策委員長代理)などと確認。臨時国会で政権を追及していく構えだ。
 ≫(朝日新聞デジタル:久永隆一、高橋健次郎)


 朝日の記事の中で、≪日本総研の西沢和彦主席研究員は「新しい運用方針を決めた政府を選んだのは私たち。今の世代で生じた損失は、今の世代で処理すべきだ」と主張。スウェーデンやカナダでは、政府の想定以上に積立金が減ったと判断した場合、自動的に年金額を減らし、保険料を上げる仕組みがある≫と云う個所があるが、これは、役人が言えない部分を、日本総研の西沢に言わせただけで、安倍政権の、政権維持の為に使われた国民の財布の減少を、安倍政権を選んだ国民が悪いのだから、一緒に痛みを分かち合わなければならないと暗に示している。

 こう云う時だけ、民主主義を振り回されたのでは、国民も浮かばれない。安倍政権を、思慮分別なく選択した国民が、応分の負担を強いられるのは、一定の範囲で致しかたないのかもしれない。しかし、初めから、このような事態を迎えるであろうことは、権力を握る側は知っていたわけで、その罪は大きい。単に、選挙に勝つために、目先の利益を優先し、国富や国民の財産を根本的に傷つける可能性もあるような、と思いながら、政権維持を優先した結果なのだから、安倍政権に責任を取って貰ったうえで、応分の負担に応じたい。こういう事態が起きると、北朝鮮のような国の野蛮なお仕置きが魅力的に見えてしまう。どうも、筆者の感情も、かなり劣化してきている(笑)。



”強がり経済学者の弁”だが、ポジティブシンキングがお好きなら…

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書 2388)
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武器としての人口減社会 国際比較統計でわかる日本の強さ (光文社新書)
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●片山さつき議員、高IQ元官僚 IQと人格は“別モノ”?

2016年08月26日 | 日記
世襲格差社会 - 機会は不平等なのか (中公新書)
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●片山さつき議員、高IQ元官僚 IQと人格は“別モノ”?

 片山さつき議員の「貧困女子高生攻撃、またぞろ生活保護家庭バッシング」。知能指数が、どれ程高かろうと、弱者攻撃で溜飲を下げるような輩は、ゲスである。片山さつき議員が、貧困女子高生バッシングに参加したわけは判らないが、バッシング参加の動機が何であれ、どれ程、論理的で、合理的な根拠があったとしても、人の心がないのだから、“畜生”の類に分類して問題ないだろう。貧困であれ、生活保護家庭であれ、その支援を受けている保護費に色がついてわけではないので、一定の範囲で、保護費の使い道は、自由裁量権が認められている。

 今夜の惣菜が、メザシであろうが、鯛の刺身であろうが、それを規制する法的根拠はない。三日間、海苔の佃煮だけでご飯を食べて、倹約の上で“鯛の刺身”を買ったのかもしれない。五日間の昼食をコッペパンひとつで過ごし、六日目に1300円のランチを食べる場合もあるだろう。一見豪華主義で、自分達のみじめさを払拭する貧困家庭の人々の知恵があっても良いじゃないか。このような、弱者専用バッシングTwitterは、相当に組織的である可能性が高い。所謂「ネトサポ」な臭いがプンプンだ。「みっともない日本人」の姿を見るようで、酷く不愉快だ。

 日本の母子家庭や子供の貧困問題は、OECDの中で最低ランクに位置する日本社会の問題点であることは、役人どもなら百も承知だし、片山さつきだって、当然のように知識として知っている。片山さつき議員は、参議院比例区選出の議員であり、自民党内におけるポジションも不安定なもので、人脈も仁徳もないことで有名な才媛な女性議員である。随分長いこと自民党議員生活をしているが、珍しく大臣経験がないところが味噌である。おそらく、組織内でも嫌われ者なのではないかとさえ思えるわけだ。こう云う、立ち位置で、一定の政治支持を得たいと云う思惑が見え隠れしている。

 そもそも、日本の生活保護捕捉率は、先進国最低ランクであり、保護されるべき状況にいる家庭の8割が支給を受けていないと云う、本質的問題がある。そのことを棚に上げて、憲法25 条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体化した制度が利用されていない現実を国家の恥だと感じない役人がいて、何も感じない立法府があると云うのが現実だ。また、今でこそ「ネトサポ」や片山さつき議員のような、みっともない政治姿勢を売りにするような風潮があるが、憲法の最低限の文化的生活を保障する約束を反故にして、自己責任論や保護家庭には「自由は認めん」と云う風潮は、過去にも存在した。多くの国民が、職を得られ、終身雇用な社会体制の中では、「生活保護を受給する恥」と云う、国民の観念を逆手に取って、予算をけちり、査定基準を厳しくし、「生き恥を晒したいのか!」と恫喝的な行政手続きに持ち込んだのも役人どもだ。そして、それをケチる総本山・財務省(旧大蔵省)であり、元大蔵省主計官であった超エリート片山さつき議員なのである。以上のような事を踏まえて、「貧困女子高生バッシング」を考えたいものである。

 以下のURLは日弁連の「生活保護制度はどうなっている?」PDFパンフレットである。じっくり読むと、何とも情けない、世界の経済大国である。それにしても、役人や政治家は「恥じを忘れて平気」だが、国民の方には未だに「恥の文化」が残っている事実を、どう捉えれば悩ましい問題だ。

参考URL
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf#search=%27%E6%97%A5%E6%9C%AC+%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%8D%95%E6%8D%89%E7%8E%87%27


≪ 卑劣! NHK貧困女子高生に“貧乏人は贅沢するな”攻撃! 片山さつきも乗り出し生活保護バッシングの悪夢再び(リテラ)
 先日8月18日放送の『NHKニュース7』の番組内容が、いまネット上で炎上している。番組では、家庭の経済的事情から進学を諦めざるを得なかったという高校3年生の女子生徒(番組では実名で登場)が登場したのだが、番組終了後に彼女の“暮らしぶり”が炎上したのだ。
 この女子高生は、両親の離婚によって母子家庭で育ち、経済的にも困窮。中学時代には自宅にパソコンがないためキーボードだけを買ってパソコン授業の練習をしたといい、いまも家にはクーラーがないため暑い時期は保冷剤を包んだタオルを首に巻いて過ごしているという。
 そして、高校卒業後にアニメのキャラクターデザインを学ぶ専門学校へ の進学を希望したものの、入学金の50万円を工面することができず進学を断念。彼女は「夢があって、強い気持ちがあるのに、お金という大きな壁にぶつかってかなえられないという人が減ってほしい。いろいろな人に知ってもらって、助けられていく人が増えてほしい」と話した。
 子どもの貧困は年々深刻化しており、番組はこのようにその現実のひとつを伝える内容だったのだが、ネット上では番組終了後から彼女の“粗探し”がスタート。Twitterアカウントを見つけ出し、『ONE PIECE』のグッズを購入したり、EXILEのチケットが届いたと喜んでいるつぶやきを次々にピックアップ。また、1000円以上のランチを食べているなどとあげつらい、猛批判をはじめたのだ。
「趣味満喫してて貧困層wwww」「完全にデタラメじゃん」「私よりはるかに贅沢な生活してる…」「母子家庭の子供が中小企業リーマンの子供より豊かなのはわかった」「家族そろって徹底的に追い込んで欲しいね」
 希望の進学ができない子どもがいるという現状を訴えたのに、逆に「贅沢しすぎ」と炎上する……。マンガ本やグッズ(それも缶バッチやトートバッグ などといったものだ)を買い、コンサートに行き、アニメイベントに参加する。このようなささやかな愉しみさえ犠牲にして学費にあてろ、というのである。
 まさに暗澹たる思いに駆られるが、さらに唖然としたのは、この騒動に自民党の片山さつきが乗り出してきたことだ。
 片山はこの騒動を、嫌韓本を数多く出版しているKAZUYA氏のツイートで知ったらしく、それをリツートするかたちで、こう女子高生を批判しはじめたのだ。
〈拝見した限り自宅の暮らし向きはつましい御様子ではありましたが、チケットやグッズ、ランチ節約すれば中古のパソコンは十分買えるでしょうからあれっと思い方も当然いらっしゃるでしょう。経済的理由で進学できないなら奨学金等各種政策で支援可能!〉
〈私は子ども食堂も見させていただいてますが、ご本人がツイッターで掲示なさったランチは一食千円以上。かなり大人的なオシャレなお店で普通の高校生のお弁当的な昼食とは全く違うので、これだけの注目となったのでしょうね。〉(原文ママ)
 貧困を訴えるのなら、1000円のランチなんて食うな。アニメグッズやコンサートになど行くな。──つまり、曲がりなりにも国会議員である片山は、未成年の女子高生に「貧乏人は贅沢するな!」と公然と批判したのである。
 よくもまあ片山はこんなことが言えたものだ。片山は2013年、政治資金で自著を買い上げ、その本代に計136万8000円も支出していたことが発覚しているが、そのような政治家としてのモラルもへったくれもない人物が、女子高生を批判する権利などあるはずがない。
 だが、恥知らずの片山は、さらに騒動を拡大。片山に対し、〈児童の貧困問題を訴えて、対策会議やらを利用し、補助金やら、募金やらを食い物にして いる人達がいる可能性が、図らずも暴露されたかもしれない〉と訴える者が出てくると、それを受けて片山はこんなことまで言い出したのだ。 〈追加の情報とご意見多数頂きましたので、週明けにNHKに説明をもとめ、皆さんにフィードバックさせて頂きます!〉
 片山はNHKに対して「どうして貧困じゃない子どもを出演させたのか」とでも言うつもりなのだろうか。だが、国会議員が番組内容に口を出すことは政治的介入であり、現場は貧困問題を扱うことに萎縮するだろう。これは以前、片山が火を付けた次長課長・河本準一を「税金ドロボー」と叩きつぶしたときと同じで、メディアをグルにして“貧困と自称する者の生活実態は贅沢”などと弱者バッシングを目論んでいるとしか思えない。
 実際、片山が巻き起こした生活保護バッシングによって、「生活保護費は削るべき」「不正受給許すまじ」という空気が見事につくり出され、その後、安倍政権はここぞとばかりに生活保護費を削減した。
 だが、これははっきり言って異常事態だ。本来の国の仕事は、生活保護費を削ることではなく、貧困の原因となっている非正規労働の見直しや最低賃金の引き上げを行うことなのだ。現に、日本政府は2013年5月、国連の社会権規約委員会から〈生活保護につきまとうスティグマを解消〉するようにという勧告さえ受けているが、安倍政権にこれを是正する動きはまったく見られない。そればかりか、片山は相変わらず 生活保護を「ずる貰い」などとテレビでがなり立てている。
 そして、今回の騒動で片山がネットでの炎上に相乗りして主張した「貧乏人はつましく生活しろ」「貧乏人には趣味の支出も許さない」という貧困者バッシング……。もちろん、こうした世論形成の先には、憲法改正の問題が待っている。
 事実、片山は2012年に発売した自著『正直者にやる気をなくさせる!? 福祉依存のインモラル』(オークラ出版)において、“生活保護の不正受給が起こるのは憲法のせい”と述べている。
〈現行憲法の第3章「国民の権利及び義務」は、日本人が従来持っていた美徳とは異なり、義務や責任を軽視する一方、権利と自由を強調するものです。(中略)現行憲法はまるで、責任や義務を果たすよりも権利と自由を要求することの方が重要だと言わんばかりなのです〉
 同書の巻末にわざわざ自民党の憲法改正草案を掲載していることからもわかるように、本来なら政治が解決すべき貧困とその背景にある問題には取り組まず、正当な社会保障を訴える「権利」や「自由」を人びとから奪うことに主眼があるのだ。
 つまり、今回の女子高生叩きは、自民党による“改憲後の世界”の先行事例でもあるのだろう。貧困をなくすことを第一に考えるべきなのに、「権利ばかり主張するな」と猛攻撃し、貧乏人は生活を厳しく監視される。そんな世の中で得をするのは政治家と一握りの富裕層だけだが、同じように我慢を強いられている人びとも同じようになって「自分たちはもっと我慢している!」と、権利を主張する人を叩くのである。
 ともかく、貧困問題に対してこうした偏狭な世の中をつくり出した張本人である片山は、この国の“ガン”としか言いようがない。今後、この問題に対してどんなアクションを起こすつもりなのか、本サイトは“監視”していきたいと思う。   ≫(リテラ:編集部)


≪ 片山さつき議員のNHK報道捏造騒動に私が噛みついた理由
片山さつき議員のTwitter に対する私の記事に関しまして、たくさんのシェアをありがとうございます。一方、私も言葉が強く、片山議員に対して失礼な発言であったことはお詫びいたします。 片山議員が「NHKに調査する」というのは、NHK に「捏造」があったかどうかの調査であるので、私の指摘は筋違いであるというご意見もいただきました。 しかし、私は、この取材の何を持って、「捏造」と思うのか?それを皆さんに問いたいのです。
  NHKの「捏造」だと騒いでいらっしゃる方がたくさんいますが、その捏造というのは、彼女のテレビで放映されたあの暮らしぶりを見てもなお、「高校生で1000円以上するランチ食べるなら、スマホ持っているなら貧困じゃない。」という彼女を責めるものであると感じました。 それは、経済的に厳しい中で、頑張っている他の多くの子どもたちを大変傷つける行為です。 彼女を「捏造」という方々は、きっと、
無料学習会に通っているのにスマホ持つなんて「捏造」だ!
 子ども食堂でご飯食べているのにマクドナルドで外食するなんて「捏造」だ!
 給付型奨学金をもらっているのに、夏休みや冬休みに旅行に行くなんて「捏造」だ!
 学費免除してもらっているのに友達と酒を飲むなんて「捏造」だ!
 貧困なのに、私立高校に行ったり、専門学校に行ったり、大学に行ったりするなんて「捏造」だ!
 貧困で学費安くしてもらっているのに、あんなに高い部活の道具を持っているなんて「捏造」だ! という、低所得の子どもたちへの貧困バッシングに突き進むことでしょう。
  それを見たら、どんなに困っている子どもも親も「助けて」と声をあげられなくなります。 子どもの貧困対策に関して、「捏造だ」「税金の無駄遣いだ」「裏で甘い蜜を吸う奴がいる」と騒ぐ方々は、すべての税金の使途にこれほど騒いでいらっしゃるのでしょうか?
  参議院議員選挙前に低所得高齢者に配られた3400億円に、何か抗議したのでしょうか?あの時、低所得の子どもや子育て世帯には1円も支給されなかったのですよ。一体誰を見て「低所得」としたのかわかりませんが、3万円もらった高齢者の方は、本当に「低所得」だったのですか?
誰かあの時「低所得高齢者は捏造だ!」と騒ぎましたか? 3万円もらった高齢者をネットで晒して、貧困なのに外食するなんて、スマホ持つなんて、趣味の物を買うなんて「捏造」だと批判しましたか?
なんで、皆さんは、子どもや子育て世帯に使う税金にだけ、そんなに厳しい目で見るんですか?
それは、彼らが弱くて、反論の声をあげられないからではないですか?
勇気を持った女子高生を「捏造」と騒ぎたてるなんて、弱いものイジメだと思いませんか?
  彼女は、別に「自分を助けてほしい」と言ったわけではないんですよ。「こういう現実を知って、もっと子どもの貧困対策を行ってほしい」と主張したんですよ。それを寄って集ってネットをかぎまわって、「捏造」呼ばわりして、本当に彼女が気の毒です。
そしてその捏造騒ぎを見て、低所得の家庭の子どもや親は、どれほど世の中の非情を感じるでしょう。いつ自分も叩かれるかと、ビクビクするでしょう。 皆さんがやっていることは、困っている人が声を上げる勇気を奪っているのです。
  片山議員が、この女子高生の貧困状況に関して疑念を抱いていらっしゃらないのであれば、本当に私の勘違いですので申し訳ございませんでした。 私が、ハフィントンポストのブログやFBで言いたかったのは、「子どもの貧困」に関して、当事者が取材に答えるということは、本当に本当に大変なことで、インターネットの世界がこれだけ広がる中で、実名取材に応じてくれた高校生に対して、捏造ではないか、と高校生をバッシングする事をやめてほしいという事です。
色々な人がいますから、普通の方が言っている分にはそんなに騒ぎ立てませんが、あたかもそれにのっかっているようにみえる片山議員のTwitterを見て、どうしても書かなければと思ったのです。確かに失礼な表現が多々あるところは猛反省しております。 一市民のブログやFBですので、片山議員は気にもされないと思いますが、もし本当に何か対処が必要でしたら、直接ご連絡いただけますと幸いです。
片山議員をはじめ、すべての政治家の方には、ぜひ、これからも子どもの貧困解決に向けて、多くの貧困な子どもたちが救われるように給付型奨学金の創設や子どもの貧困対策に力を注いでください。
  そもそも、このようなNHKの報道などなくても、日本の子どもの貧困は大変な状況にあり、世界的に見ても異常な状況にあることは、すべてのデータが指し示していることは政治家の方々は重々ご承知だと思います。
片山議員には、子どもの貧困対策にますますご尽力いただけますよう、心から応援しております。
 ≫(ハフィントンポスト>ブログ>渡辺由美子)

悪意の心理学 - 悪口、嘘、ヘイト・スピーチ (中公新書)
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●NHK会長人事 報道の自由課題では、前門の虎、後門の狼

2016年08月25日 | 日記
情報参謀 (講談社現代新書)
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●NHK会長人事 報道の自由課題では、前門の虎、後門の狼

 年内に決定されるであろう、次期NHK会長人事の話だが、どうも良い方向に向かっている気配は見られない。以下、サンデー毎日や朝日新聞の情報。そして、日刊ゲンダイの情報を読んでも、日本の報道の自由度ランキングが改善されることはないようだ。街を支配する“ヤクザ組織AとB”どっちが良いのか、と問われているようなもので、目糞鼻糞の選択と云うことのようだ。

 まあ、以下の三つの情報から推測できる興味深い情報は、安倍官邸と一括りにしてはいけない事情が存在している気配だ。安倍首相と菅官房長官の対NHK会長人事に関する思惑が完全に一致しているとは言い難い面がある。しかし、悪い奴ほど、利益相反な問題を丸く収める能力があるので、官邸内の対立が表立つことはないだろうが、世間知らずのボンボンと苦労人(成り上がり)補い合える部分も多いだろうが、人間的根っこの部分では、激しい対立の葛藤があるのではないかと考える。

 日本の報道の自由度ランキングが72位と、毎年確実に順位を下げている。民主党政権時の2010年には11位と最高位にランキングしたが、14年は59位、昨年は61位、そして今年は72位にまで落ちた。巷の予測では、来年は2桁の順位をキープできるかどうかに注目が集まっていると云う。100位前後となれば、チュニジア、イスラエル、レバノン、クウェート等々の国々と同等のレベルになると云うことだ。180か国が調査対象なのだから、世界の先進国文化国家だとか、普遍的価値の共有など、本来口が裂けても言えないのが、NHKや全国紙の現状である。

 NHKは半官半民のような組織と云う認識があるので、政権寄りの大きな流れを抱えているのは、理屈抜きに理解出来るが、公共放送ではなく、国営放送にすべきで、運営費は国家予算ですべて賄うのが筋だろう。中途半端に視聴者への受信料と国家予算の曖昧さが、国民のメディアリテラシーの混乱に拍車をかけている。運営方法も経営委員会があり、NHK会長がいる。責任の分散化と云えば体はいいが、自分達が発信する情報の責任所在が曖昧になるだけになっている。半官半民ゆえに、好き勝手のお手盛りも起きやすく、ペーペーNHK職員の給与総額は、中小企業の社長並みになるのだ。実際には、全国紙も、広告収入に大きく依存しているし、既得権でおんぼ日傘なジャーナリズムなのだから、世界の100位でも、悦ぶべきかもかもしれない。今夜はこの辺で失礼!


≪ 深層スクープ! NHK籾井会長「自民党“出禁”」の不徳
 動き出した「ポスト籾井」レース NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長(73)が川崎二郎衆院議員ら自民党郵政族の重鎮から出入り禁止の憂き目に遭っている。受信料制度の見直しや東京・渋谷の放送センター建て替え計画など重要案件が目白押しの中、来年1月の会長選に向けた「ポスト籾井」レースの幕が開く。
 NHK会長が自民党で出禁になる―。異例中の異例の事態が生じた原因は3カ月前にさかのぼる。 籾井会長は4月に役員と局長級の人事を行った。任期満了で退任した役員4人の中には、官邸との太いパイプがある専務理事の 板野裕爾放送総局長(当時)と井上樹彦理事(同)が含まれていた。2人は、NHKのグループ企業・団体に渋谷の350億円の土地を購入させ、ビルを建設してひとまとめにするという籾井会長の計画に、理事会で異論を挟んだのだ。
 造反した2人を切り、人事で組織を掌握することは籾井会長としては当たり前の判断なのだろうが、2人に「待った」をかけさせたのは官邸サイド。板野・井上切りへの反発を抑えるべく、官邸へ密使を送り込み、どうにかこの人事を推し進めた籾井会長だったが、知ってか知らずか、さらにもう一度、虎の尾を踏んだ。
 NHKには記者ではないが、職務として「永田町詣で」をする職員がいる。政治部記者時代のパイプを生かし、予算など重要な案件について国会議員を訪ね、 説明し、審議の動向を探る。土地購入問題で政治とのつながりのある役員に懲りた籾井会長は、こうした与党の窓口役の局長らも春の人事で切り、地方局の局長などに配転したのだ。
 籾井会長の豪胆な人事に反発した川崎氏や佐藤勉国対委員長らは会長の面会を拒むようになった。以来、3カ月近くその状態が続く。出禁にしている議員の一人は「会える雰囲気にはならない。今まで付き合ってきたメンバーを全部切った後に、後任だけを送り込んでくるような相手と話ができるものか」と切り捨てる。出禁になったばかりでなく、5月の衆院総務委員会でNHKの2012年度、13年度決算(*筆者注:年度表示はこれで良いのか?)が審議される予定だったが、これも流れた。

 ■政見放送収録で「首相お出迎え」
 NHK内には、会長のこの“暴走”を歓迎する向きもある。結果として、放送総局長の後任にはドラマ制作畑出身で、政治とのつながりが薄い木田幸紀氏が 座った。官邸の意向を忖度(そんたく)した指示を放送現場に出す板野氏に比べ「まだずっとましだ。自由さが戻った」(NHKの報道関係者)。
 一方で、経営層のNHK幹部からは「NHKは予算の国会承認など、どうしても政治との付き合いは続けていかなければならない立場にある。ここまで関係が切れてしまうと、予算はどうなるのか」と危惧する声も聞かれる。
 籾井会長の暴走の背景には、来年1月に任期満了を控え、会長続投を狙う思惑があるとされる。事情に詳しいある与党議員も「会長は自分の続投人事を考えて暴走したんだろう」と話す。
 NHKの最高意思決定機関で会長の任免権を持つ経営委員会内には、籾井会長の手腕について、過去最高となる受信料収入を上げたとして評価する声が少なく ない。6月28日に委員長に就任したばかりの石原進・JR九州相談役もそんな一人だ。籾井会長としては、政治に邪魔されずに、インターネットでの番組配信などで経営手腕を発揮し、続投を狙うべく人事で環境を整えようとしたとNHK内ではみられている。
 しかし、事態はそう甘くはない。石原氏は前の会長選で籾井会長を推薦した本人ではあるが、暴走する籾井会長について委員長就任時の記者会見で「誤解されるような発言が幾つかある。問題があればご注意申し上げる」と述べた。経営委員会は今月中に会長の指名部会を立ち上げ、秋から人選が本格化するが、候補として名前が取りざたされているのは冒頭の板野氏だ。
 板野氏については後述するが、ここで理解しておくべきことがある。次期会長選は、公共放送NHKにとって重要な局面になる。
 自民党郵政族、総務省内には「NHKは構造改革の時」との認識が広がりつつある。その本丸が受信料制度だ。菅義偉官房長官は総務相時代の07年には、受信料の支払い義務化と引き下げをセットでNHKに突きつけたことがある。NHK内には義務化による「事実上の国営放送化」への抵抗が根強く、12年10月から月額120円(振り込みの場合は月額70円)の引き下げで決着させた。
 さて、今回はどうか。ネット時代を迎え、NHKも民放も番組のネット配信に力を入れる。放送か、ネット配信か、番組を流す経路を問わず、受信料を公平負担させるという理屈で、「受信料の義務化」が再燃する可能性がある。自民党政調の部会は、放送法改正案を今秋にもまとめる構えだが、こうした最重要案件を めぐっても、籾井会長の出禁が解けなければNHKは指をくわえて流れを見守るしかないことになる。
 これと同時期に、経営委員会では次期会長の人選が本格化することになる。政府・与党と気脈の通じた石原経営委員長の下、自民党の放送法改正案をのむ会長を選ぶ可能性は十分にある。そこで浮上したのが前出の板野氏というわけだ。 「自分にとっての損得で考えを決める人。昨年の安保法制の国会審議の頃、番組でこの問題を取り上げることを抑制するよう指示した張本人。政府の意向を忖度 してのことだった。受信料義務化も、自分が会長になれるなら、のみかねない」(板野氏をよく知るNHK関係者)。会長人事のフィクサーと称される葛西敬 之・JR東海名誉会長とも近いとされ、石原氏とは東京都立戸山高校の同窓でもある。
 有力候補の登場に、出禁の籾井会長も得点を上げようと必死だ。今夏の参院選では、政見放送の収録のため、NHKの放送センターを訪れた安倍晋三首相と小 泉進次郎衆院議員の2人を自ら出迎えて挨拶(あいさつ)した。自民党だけは特別待遇、まさにVIP扱いだったという。「公職選挙法に基づく収録。報道機関 の長として公平性を考えれば、本来、出迎えるべきではない」とあるNHK幹部は憤る。
 石原委員長は会長選について、記者会見で「本当にいい人を選んでくれたと国民の皆様に評価いただけるよう手続きを尽くしたい」と述べた。さて、「いい人」とはいかに。
  ≫(毎日新聞・NHK問題取材班:サンデー毎日2016年8月7日号から)


≪ 籾井会長続投?交代?揺れるNHK 役員人事に波紋
 来年1月に任期満了を迎えるNHK会長の選考が、この夏から本格化する。「政府寄り」と取られかねない言動が続く籾井勝人・現会長は4月、熊本地震についての局内会議で、原発に関する報道は「当局の公式発表をベースに」などと指示。役員を大幅に入れ替える人事も発表し、局内に波紋が広がった。籾井氏の2期目続投か、新会長への交代か――。公共放送としてのあり方が問われるNHKで、動向が注目される。
 4月中旬に発表された役員人事が職員を驚かせた。
 10人の理事ポストのうち、空席だった2人を含む計6人が入れ替わる「異例の人事」(幹部)。複数の幹部によると、かつて「会長側近」とされながら事業計画について意見が分かれた理事らを再任しない一方、昨年理事を退任したばかりのNHK交響楽団理事長を呼び戻し、専務理事の放送総局長に据えた。技術職を統括する技師長には記者出身の理事が就任した。
 役員に次ぐ幹部人事でも、これまで記者出身者が多かった経営企画局長にディレクター出身者が就き、就任1年の政治部長が熊本放送局長に移った。
 4月12日に開かれた経営委員会では、多数の役員が交代する人事案について、委員から「普通はあまり考えられない人事では」「8月から(スーパーハイビジョンの)4K、8Kの試験放送が始まるのに技術職出身の理事が不在で大丈夫か」との指摘が噴出。しかし籾井氏は「NHKはずっと同じ部門で上がってきた人を理事に選ぶことが続き、たこつぼ文化を形成している」とし、「新しい人に新風を吹きこんでもらいたい」と押し切った。
 就任後、当時の理事全員から日付を空欄にした辞表を集めた籾井氏。ある理事経験者は「民間出身でマネジメントには強いこだわりがある。言うことを 聞く人物を近くに置きたいということなのだろう」。局内の幹部は「会長は絶対的な人事権を握ることを改めて示した。2期目への意欲の表れでは」と分析する。
 籾井氏の任期は来年1月に切れる。次期会長選任の動きは、今月決まる経営委員長人事から本格化する。
 会長の任免権はNHKの最高意思決定機関である経営委員会にあり、中でも委員長の意向は会長選考に大きな影響を与える。現委員長の浜田健一郎氏(ANA総研会長)は今月19日での退任が決まっており、新委員長は12人の経営委員が互選で決める。経営委員は国会の同意を経て首相が任命する仕組みで、これまでも委員長人事には政権の意向が色濃く反映されてきた。
 複数の関係者によると、委員間では委員長代行の本田勝彦氏(JT顧問)や委員の石原進氏(JR九州相談役)らの名前が挙がっているという。ただ本田氏は学生時代に家庭教師をしていた安倍晋三首相に近いとの意見も。3年前に浜田氏に代わる委員長候補として本命視された際には、野党の反発を考慮して安倍政権が本田氏を経営委員に起用する同意人事案の提示を見送った経緯がある。石原氏は3年前の会長指名で籾井氏を推薦し、委員から「適任といえるのか」との声も漏れる。
 経営委は7月にも、会長の指名部会を立ち上げ、籾井氏の続投か、新会長への交代かについて議論を始める。年内には候補者を一本化する予定だ。   ≫(朝日新聞デジタル:後藤洋平)


 ≪ NHK会長は“粛清”強行
北朝鮮化するメディアから漂う腐臭

■安倍・籾井体制が盤石という悲喜劇
 鈴木敏文会長兼CEOが辞任を表明したセブン&アイHDは15日、指名・報酬委員会を開き、新しい経営体制の選任案を決める。新社長には、セブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長(58)の昇格が有力。鈴木会長が退任を迫ったその人である。交代案が取締役会で否決されたことが、鈴木会長辞任の引き金だった。
「三越事件で、当時の岡田社長は取締役会で解任された時『なぜだ』と叫んだそうですが、鈴木会長も同じ心境だったでしょう。これは経営の主導権をめぐる権力闘争です。創業家の伊藤家と井阪氏が手を組み、鈴木会長を追い落としにかかった。歴史を顧みても、カリスマ的なワンマン経営者はたいていクーデターで解任されていますが、その後、会社はガタガタになり、長きにわたって低迷するケースが多い。今後に注目です」(経済ジャーナリスト・有森隆氏)
 次男を取締役に抜擢するなど、鈴木会長にも懸念原因はあるが、新聞報道がことさら老害経営者の暴走のように書き立てるのは、創業家サイドの情報に乗っかっているせいもあるだろう。本当のところはもう少し経ってみないと分からないが、それよりも驚愕なのがNHKの内部人事だ。セブンの“お家騒動”に隠れて、籾井会長による暴走粛清人事が断行されたのである。
 NHK経営委員会は12日、現職の8人の理事のうち、4人を退任させる人事案に同意。24日付で退任するのは、板野裕爾専務理事と福井敬専務理事、井上樹彦理事、浜田泰人理事の4人だ。

■自分が任命した理事もクビに
「理事の任期は一般的に2期4年なので、板野氏と福井氏はまだ分かりますが、井上氏と浜田氏は一昨年に就任したばかりです。自分が選んだ理事のクビまで切 るなんて、尋常ではない。あからさまな粛清人事で、これを見た内部はますます萎縮してしまう。エビ・ジョンイルと呼ばれた海老沢会長時代でも、ここまでロコツなことはしませんでした。これだけ不祥事が続出しているのに、人事権を握っている籾井会長に誰も逆らえないとしたら異常です」(NHK出身で船橋市議会議員の立花孝志氏)
 発売中の「週刊文春」によると、今回退任となった板野氏と井上氏は、菅官房長官や杉田官房副長官と近く、籾井体制を支えてきた側近中の側近。NHK内部では「会長の側用人」「官邸のお目付け役」と称されるほどだったという。
 官邸子飼いの籾井氏は、自身が主導した350億円の土地取引問題で、板野、井上両理事が反旗を翻したことに激高。それが今回の粛清につながった。もっとも、両理事が土地取引を止める方向に動いたのは、官邸の意向を受けてのことだという。籾井氏に黙って従うか、官邸に恩を売るか、天秤にかけただけのことで、要は権力亡者の内輪モメなのだが、逆恨みした籾井氏は今年2月、手始めに専務理事の塚田祐之氏、吉国浩二氏を退任させた。そして今回、一気に4人の理事のクビを切ったわけだ。
「そういう不遜な人事を経営委員会が追認してしまうことも問題です。籾井会長は公共放送を“自分の会社”にしようとしている。それで組織がおかしくなっていく。セブン&アイもNHKの問題も、強権的なトップにモノを言える人が周囲にいなくなってしまった結果の悲劇といえます」(有森隆氏=前出)

■卑屈なゴマすり体質は就任前からの筋金入り
 籾井体制になって以来、会長の暴言失言は数知れず、不祥事も続発している。子会社「アイテック」の2億円着服が発覚、危険ドラッグ所持でアナウン サーが逮捕され、さいたま放送局ではタクシーチケットの私的流用がバレた。350億円の用地買収計画も白紙撤回され、一時は官邸が籾井会長を見限り、後任探しを始めたという話まで広がった。
 それだけ追い詰められていた籾井氏が今も強権を発動していられるのは、官邸にとって、これほど操りやすいNHK会長はいないからだ。土地取引問題や後任探しで揺さぶりをかければ、これまで以上の忠誠を誓って、政権批判を徹底排除してくれる。
 今週の「週刊文春」には、官邸からの圧力で3月に「NEWS23」のアンカーを降板させられたと噂の岸井成格氏が、阿川佐和子氏との対談に登場。官邸の圧力については否定したが、こんなエピソードを開陳している。
 かつて、BS-TBSの「われらの時代」という番組の中で麻生太郎の批判になった時、スポンサーの社長が乗り込んできて「麻生さんの悪口は一言もダメです」と警告したという。わざわざ社長が乗り込んでくるなんて異例だが、〈それがNHK会長になる前の籾井さんだった〉と、岸井氏はこう解説する。 〈「われらの時代」は日本ユニシスという会社の1社スポンサードで、籾井さんは当時そこの社長だった。あとで聞いてなるほどと思ったのは、兄弟仁義の世界みたいな話で。福岡県の筑豊炭田で麻生炭鉱と籾井炭鉱ってのは兄弟分のような関係らしい〉
〈麻生炭鉱の方が兄貴分だから、どんなことがあっても悪く言ってはいけないという仁義がどうもあるみたいなんですよ〉
 立場を利用して、意に沿わない放送内容に介入する。兄貴分が右と言えば黙って右にならう。そういう卑屈なゴマすり体質は会長就任前からで、筋金入りなのだ。

■同調圧力に加担するメディア
 NHKの不祥事を国会で追及してきた野党議員のひとりが言う。 「就任時の会見で『政府が右と言っているものを左と言うわけにはいかない』と発言するなど、放送法の精神を理解していない籾井会長は公共放送のトップにふ さわしいと思えません。やらせ問題をはじめとする数々の不祥事が発覚し、何度も国会の場で説明を求めましたが、納得できる内容ではない。それどころか籾井会長は、やらせ問題を逆手に取って、官邸から敵視されていた『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスターを降板させ、局内の言論統制を強化してしまった。 これは誤算でした」
  「世界」5月号に、その国谷氏が寄稿している。降板のきっかけになったといわれる『クロ現』での菅官房長官へのインタビューについても触れ、権力にからきし弱いテレビの現状に警鐘を鳴らしている。
〈批判的な内容を挙げてのインタビューは、その批判そのものが聞き手の自身の意見だとみなされてしまい、番組は公平性を欠いているとの指摘もたびたび受ける〉
〈最近、ますますそうした同調圧力が強くなってきている気がする。流れに逆らうことなく多数に同調しなさい、同調するのが当たり前だ、といった圧力。そのなかで、メディアまでが、その圧力に加担するようになってはいないか〉 〈人々の情報へのリテラシーを高めるためにも、権力を持ち、多くの人々の生活に影響を及ぼすような決断をする人物を多角的にチェックする必要性はむしろ高まっている〉
 14年3月にケネディ大使にインタビューした際に、質問の中で「日本とアメリカの関係は、安倍政権の一員、それにNHKの経営委員や会長の発言によって影響を受けていると言わざるを得ません」と、あえてNHKについて触れた理由も書かれている。
〈番組への信頼のためにも、この言葉を避けてとおるわけにはいかなかった〉というのだ。それだけ、今のNHKに対して危機感を抱いているのだろう。
「NHKに限った話ではありません。安倍首相はじめ与党幹部は、メディアが政府を批判すれば『公平中立ではない』などとイチャモンをつけるし、高市総務大臣にいたっては『電波停止もありうる』とドーカツする。メディアは官邸の顔色をうかがい、忖度と自粛がはびこっている。政権に批判的な発言をしたキャスターは、この春に画面から一掃されてしまいました。国民の受信料で成り立っているNHKが先陣切って政権の宣伝機関に成り下がっているのですから、もはや 北朝鮮のことをバカにできません」(ジャーナリスト・横田一氏)
 言論の自由が失われるにつれ、籾井・安倍体制が盤石になるという悲喜劇。国民にとっては、笑っていられない状況だ。  ≫(日刊ゲンダイ)

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●益々激化するばかりの、五輪・パラリンピックという政治的祭典

2016年08月24日 | 日記
孫文――近代化の岐路 (岩波新書)
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●益々激化するばかりの、五輪・パラリンピックという政治的祭典 

 ロシア贔屓ではないが、米国陣営のロシア叩きはエスカレートするばかりだ。“シリアの敵をウクライナで討つ”積りが、こともあろうか、プーチンに先の先まで読まれ、今やウクライナもシリアも、半分近くがロシア陣営に属していると云っても過言ではない。経済制裁や原油の価格低下など、ロシアを虐め抜くためなら、何でもやってしまえと云うのがオバマ政権のようだ。“飛ぶ鳥跡を濁さじ”であるべきところ、オバマは、米ロの関係悪化を置き土産に、ホワイトハウスを去ることになりそうだ。この置き土産は、次のホワイトハウスの住人になる、次期大統領への宿題として残されることになる。

 多くの国で行われているであろう“ドーピング”だが、ロシアの国ぐるみのドーピング疑惑の発覚も、米国のあらゆる工作の結果と見ておいて間違いないだろう。内部告発者が、こともあろうか、米国に亡命していると云うのだから、赤裸々に工作がなされたことを、明確に示している。証拠を隠すことさえしないのは、安倍官邸と日本のマスメディアの関係と同じことで、怖くて、面と向かって、その非を指摘できないと云うことだ。中国でさえ、賢明な選択をして、見ざる聞かざる言わざるの態度に終始している。

 今回のオリンピックで、日本が、想像以上の成績を上げた中には、このドーピングへの厳しい検査体制が寄与した可能性もあるものと思われる。それでも、ロシアがリオ五輪で、ロンドン大会と同じく世界第4位の金メダル数(金メダル数は減少した)を獲得したのだから、米国は面白くはないだろう。パラリンピックにおいて、ロシア排除が決定したことで、幾分溜飲を下げたかもしれないが、労多くして益の少ない米国陣営の“自分の影と闘う猫”の有様は、米覇権国の衰退を象徴しているようにさえ見えてくる。オリンピックが、参加することに意義があるとした、精神はどこへやら、参加させないことに意義を見出すようでは、政治的道具の一つに貶められたと見ることも可能だ。

 オリンピックが国威発揚(国家が国外に対する威信を奮い立たせること、外国に対して発奮し威勢を示すこと等の意味)の場と化している点は嘆かわしいが、この事実が、既に、オリンピックが五輪精神とは似ても似つかない、「政治闘争の場」と化しているのだろう。実際問題、どれだけ選手の強化にカネを掛けたかで、結果が左右されるという事実があるようなので、国威発揚とかの政治性を帯びた場と捉えられても仕方ない。以下は、そのような臭いプンプンの中韓等のメディア情報と、かなり無理やり理屈づけた高橋洋一氏のコラムだ。上述の筆者の観察の発端になっている。


 ≪ ロシア、リオ・パラから除外=CASが裁定〔パラリンピック〕
【リオデジャネイロ時事】国家主導のドーピング問題により、国際パラリンピック委員会(IPC)からリオデジャネイロ・パラリンピック出場を禁じられたロ シア・パラリンピック委員会(RPC)が行った不服申し立てについて、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は23日、RPCの訴えを退ける裁定を下した。CAS は「結果として、IPCの決定が確定する」と述べた。
 世界反ドーピング機関(WADA)が7月18日に発表した報告書は、2012年~15年の間に陽性反応を示したロシアのパラリンピック選手の35検体が隠蔽(いんぺい)され、陰性と虚偽報告されたと指摘した。
 これを受けてIPCはRPCの処分について協議に乗り出し、今月7日にRPCを資格停止処分とし、9月7日開幕のリオデジャネイロ・パラリンピックにロシア選手団は参加できないと発表。RPCが15日に提訴していた。
 ロシアのドーピング問題では、WADAがIPCと国際オリンピック委員会(IOC)に「リオデジャネイロ大会で、ロシアの参加拒否を検討すべきだ」と勧告。IOCはロシアを全面的に排除せず、条件付きでの参加を認めた。   ≫(時事通信)


≪英宝くじ、選手強化に効果…金メダル数世界2位  
【ロンドン=角谷志保美】リオ五輪で、人口約6400万人の英国が金メダル27個を獲得し、金メダル競争で中国を抜いて世界2位になった。
 メダル総数も67個と過去100年で最多。英メディアは、宝くじの収益を活用した約20年にわたる選手強化策が背景にあったと報じている。
 英国は1996年のアトランタ五輪で金メダルを1個しか獲得できず、順位も36位に低迷。当時のジョン・メージャー首相が、国営宝くじの収益を選手強化に投入する制度を始めた。
 英BBCなどによると、アトランタ五輪前の強化費は、年間500万ポンド(約6億5500万円)だったが、宝くじの収益が加わり、予算は急増。リオ五輪に向けた4年間では、2012年のロンドン五輪より多い約3億5000万ポンド(約458億円)が投入された。  ≫(読売新聞)


≪リオ五輪:25歳の韓国代表、39歳の猫ひろしと激しい最下位争い
 韓国がこれまでオリンピックの陸上競技で唯一メダルを獲得した種目はマラソンだ。今年は故・孫基禎 (ソン・キジョン)氏が1936年のベルリン・オリンピックのマラソンで優勝してからちょうど80年目となる節目。孫基禎氏の後も徐潤福(ソ・ユンボク) 氏、咸基鎔(ハム・ギヨン)氏、黄永祚(ファン・ヨンジョ)氏、李鳳柱(イ・ボンジュ)氏ら韓国のマラソン選手たちはオリンピックなどの国際大会で大活躍し、国民に希望と感動を与えてきた。
 ところが22日に行われた「オリンピックの花」ともいわれる男子マラソンで、韓国は非常に残念な結果に終わった。韓国選手の成績はソン・ミョンジュン(サムスン電子)=22=が2時間36分21秒で完走者140人中131位、シム・ジョン ソプ(韓国電力)=25=が2時間42分42秒で同じく138位に終わった。これは韓国選手として過去最低の成績だ。テレビ中継では、カンボジアに帰化して今回のリオデジャネイロ・オリンピックに出場した日本のお笑い芸人・滝﨑邦明(猫ひろし)氏=39=が話題になったが、滝﨑氏は2時間45分55秒のタ イムで139位だった。韓国代表選手たちは、年齢が40歳近くの日本のお笑い芸人と最後まで競争していたのだ。
 競技終了後、シム・ジョンソプは「スタート前からかかとに痛みがあり、体も重かった」とコメントし、ソン・ミョンジュンは「13キロ地点を過ぎたあたりから太ももの後ろに痛みが走った」と述べるなど、明らかに準備不足だった。
  ファンの間からは「日本は男子400メートル・リレーでジャマイカのウサイン・ボルトと競争し銀メダルを獲得したが、韓国のマラソン選手たちは日本のお笑い芸人と最下位争いをしていた。信じられない」などの声が出ている。あるファンは「(1996年のアトランタ大会で李鳳柱が銀メダルを獲得してから)20 年以上もメダルが取れないことが問題ではない。国民が願うのは韓国代表としての誇りと気質だ」と述べた。
 陸上競技の専門家たちは「(韓国選手たちは)基本的に肉体面、精神面での準備が不十分な状態でオリンピックに出場したようだ」「岐路に立つ韓国陸上界の現状がそのまま反映された結果だ」などと指摘している。  ≫(朝鮮日報日本語版)


 ≪リオ五輪:「日本がこんなに強いなんて」日本人もビックリ
 リオ五輪で期待以上の成績を挙げた日本はお祭りムードになっている。  日本は21日(韓国時間)までに金12・銀8・銅21と計41個のメダルを獲得し、五輪過去最多メダル記録だった2012年ロンドン五輪の38個を上回った。
  メダル数ランキングで金メダルの数を基準にすれば日本は6位、金銀銅の合計数を基準にすれば5位になる。インターネット上などでは日本人の「日本がこんなに強い国だったなんて誇りだ!」「アジア2強に復活、次は世界のトップ3に!」「日本の実力を証明した」といった反応が見られる。昼と夜が逆転する12時間という時差にもかかわらず、早朝のテレビ中継の視聴率は最高20%以上を記録した。
 日本は1992年バルセロナ五輪17 位、96年アトランタ五輪23位、2000年シドニー五輪15位など、五輪の成績では経済大国にふさわしくない姿を見せていた。1970-80年代までの エリートスポーツ中心政策から90年代に生涯スポーツ中心政策に切り替えた影響が大きかった。1988年ソウル五輪から2012ロンドン五輪までの総合順位で、日本が韓国を上回ったのは04年アテネ五輪の1回だけだった。ロンドン五輪では韓国が5位、日本が11位だった。日本ではこの時、「日本も韓国や中国のようにできないのか」という不満が噴出した。
 だが、2020年夏季五輪の開催地に東京が決まった13年から、日本のスポーツ界は変わり始めた。安倍首相は昨年、国民スポーツ政策を統合・管理するスポーツ庁を新設した。五輪を国運再上昇の機会にするということだ。日本は第 二次世界大戦の傷を乗り越えて開催した1964年の東京五輪で3位になり、その後の高度経済成長で世界第2位の経済大国へと躍進した。
 日本は2020年の東京五輪で金メダル30個、総合順位3位以内という目標を掲げている。このため、今年のスポーツ予算には過去最多の324億円を策定した。しかも今後2年間に1000億円をさらにつぎ込む。
 積極的な投資の成果は今回のリオ五輪にもそのまま出ていた。伝統的に強い柔道(金3個)やレスリング女子(金4個)を筆頭に金メダルの数を伸ばした。陸上・競泳などの基礎種目はもちろん、体操・カヌー・レスリングなどさまざまな種目でメダルを取った。今回の五輪では競泳男子の萩野公介(22)や体操男子の白井健三(19)など、日本のスポーツ界をリードする若い金メダリストも輩出した。 ≫(朝鮮日報)


 ≪ <五輪陸上>400mリレーで米国抜いた日本、韓国スポーツに宿題投げかける
弓・道・銃・剣、そしてゴルフ。
2016年リオ五輪で韓国が金メダルを取った種目だ。アーチェリー(弓)で4個、テコンドーで2個の金メダルを取った。射撃(銃)と フェンシング(剣)で金を1個ずつ取り、大会終盤のゴルフで金1個を追加した。韓国はリオ五輪24種目に204人が出場したがメダルを取ったのは9種目だけだった。韓国は今大会で金メダル9個、銀3個、銅9個で合計21個のメダルを取り大会を終えた。
 韓国はいつまで銃・弓・剣とテコンドーにだけ依存するのだろうか。リオ五輪は1984年のロサンゼルス大会の6種目以来となるメダル 種目の偏りが激しい大会になった。柔道、レスリング、バドミントンなど期待した種目が相次いで不振だった。これまでレスリングやボクシングなど格闘技種目 はハングリー精神の象徴だった。最近はきつい運動を忌避する傾向のため選手の層が薄い。
 多くのメダルがかかった水泳、陸上、体操など基礎種目ではメダルを1個も取れなかった。特に水泳(競泳)では決勝進出者を1人も出せ なかった。陸上もやはり看板選手金徳現(キム・ドクヒョン、走り幅跳び・三段跳び)、金国栄(キム・グクヨン、100メートル)らが世界との格差だけを確 認して大会を終えた。
 パク・ヨンジュン陸上代表チームコーチは「韓国の人口の4分の1が密集しているソウルですら陸上をする選手を見つけにくい。選手から 確保してこそ人材を育てられる」と強調した。優秀な資源がプロスポーツにばかり集まり基礎種目では選手確保が空の星を取るほど難しくなって久しい。全種目 を席巻したアーチェリーは競技団体会長の企業の現代自動車の積極的な投資と細心な管理のおかげで五輪8連覇の大記録を打ち立てた。
  しかしこうした待遇を受ける種目はごく一部にすぎない。女子バレーボール代表チーム主将のキム・ヨンギョン(28)が通訳まで務めた事例は、種目間で富む者はさらに富み貧しい者はますます貧しくなる現象を端的に見せたケースだ。不人気種目の状況はさらに劣悪だ。
  これに対しライバル日本は2020年の東京五輪を控え全種目にわたり明確に躍進した。日本は今大会で金12個、銀8個、銅21個で総合6位に上がった。韓国は2004年アテネ大会以降初めて総合順位で日本を下回ることになった。
 日本が獲得したメダル数41個は韓国の2倍近い。全メダルの3分の1程度がかけられた陸上(金メダル47個)、水泳(44個)、体操(18個)の基礎種目で金4個、銀3個、銅7個を取った。陸上400メートルリレーでは米国を抜いて銀メダ ルを取り、アジア人の限界とされたカヌーやテニスでもメダルを取った。集中育成した室内スポーツの卓球は銀1個と銅2個、バドミントンは金1個と銅1個とまぶしい成果を上げた。
 日本は「sports for all」(みんなのためのスポーツ)をスポーツ政策のモットーとし、これまで生活スポーツの裾野拡大 に焦点を合わせてきた。しかし最近の五輪やアジア大会などで韓国に後れを取ると変化を模索した。日本の中森康弘五輪組織委員会マーケティング戦略企画総括は「五輪が終わる時ごとに成績に対する議論があった。エリート選手を発掘し育成するシステムを備えなければならないという社会的要求があった」と説明した。
  日本は2003年に東京の中心地に用地を取得し、韓国の泰陵(テルン)選手村のような味の素ナショナルトレーニングセンターを建設した。レスリング、柔道、卓球など14の室内スポーツ練習施設を設置した。可能性がある選手を発掘し、スポーツと教育、海外トレーニングなどを政府がすべて支援するシステムを構築した。2007年にはスポーツ科学センターを作ったりもした。2020年東京五輪招致以降には予算を増やし、スポーツ大国と人的・ 物的交流を拡大した。中森総括は「選手の情熱に頼る方式では世界舞台でこれ以上良い成績を収めるのは難しい」と話した。
 韓国では4月に統合体育会が設立された。エリートスポーツと生活スポーツをひとつの団体で統合管理しようという趣旨だ。韓国のスポー ツ体質改善の機会になるという期待が大きい。これはこれまでエリートスポーツが主流だった韓国のスポーツ政策の変化を意味する。生活スポーツを活性化し、その上にエリートスポーツを強化するシステムが必要だという点は多くの専門家が同意する部分だ。日本が韓国に先立ち成功事例を作ったのだ。
 スポーツ哲学者のキム・ジョンヒョ博士(ソウル大学講師)は「エリート選手を集中育成しながらハングリー精神を強要して成果を出す時代は過ぎて久しい。スポーツ大国の方式を分析し、短期的な成果主義よりは中長期的な戦略が必要だ」と強調した。  ≫(中央日報日本語版)


≪東京五輪に向けリオで大きな弾みをつけた日本、中国最大のライバルに
 リオデジャネイロ五輪は現地時間21日、閉会式を開催し、夏季五輪はいよいよ東京へバトンタッチされた。2020年の開催国である日本の選手たちは今回のリオ五輪で大躍進し、次の大会に大きな弾みをつけた。新華網が報じた。
 最近の夏季五輪を見ると、主催国が毎回のように爆発的な活躍を見せている。20年の東京五輪では、日本が驚くような活躍を見せてくれるかもしれない。日本をライバルとする競技では、中国も今から準備を進めなければならない。

 ■リオ五輪で躍進した日本勢
 現地時間20日夜の時点で、日本勢はリオ五輪で金メダル12個を獲得し、その数は北京五輪やロンドン五輪を上回った。日本での開催に向け、明らかに上昇ムードとなっているのだ。
 リオ五輪で日本は、お家芸である柔道やレスリングで金メダルを7個獲得したほか、体操、水泳、バトミントンなどの競技でも金メダルを獲得した。
 体操の男子団体で、日本が前回の覇者中国を破って金メダルを取ったことは印象深かった。水泳では、萩野公介選手が男子400メートル個人メドレーで、金藤理絵選手が女子200メートル平泳ぎで、それぞれ金メダルを獲得した。陸上では、男子400メートルリレーで、勇気ある走りを見せた日本は銀メダルを獲得し、アンカーを務めた、ジャマイカ人の父を持つケンブリッジ飛鳥選手が注目を集めた。

■東京に向けて力を蓄える日本を過小評価してはならない
 リオ五輪開催中、国際オリンピック委員会(IOC)は、東京五輪で空手やスポーツクライミングなど5競技を追加すると発表した。空手は、日本が得意とする競技で、金メダルラッシュが予想される。また、日本は野球でも金メダルを獲得するだけの実力を備えている。加えて地の利を生かし、東京五輪で日本は一層躍進するに違いない。
 開催国はメダル獲得においてどれほどの地の利を発揮するのだろう。参考に値する3国を例にしてみよう。まず、1996年のアトランタ五輪で、金メダルわずか9個だったオーストラリア勢は、00年のシドニー五輪で、16個の金メダルを獲得した。中国勢は、04年のアテネ五輪で金メダル32個を獲得し、08年 の北京五輪では51個の金メダルを獲得した。最後に英国勢は北京五輪で金メダル19個獲得し、12年のロンドン五輪では29個の金メダルを獲得した。
 日本勢はリオ五輪の陸上、水泳、卓球、バトミントンなどの競技で高い実力を見せた。4年後も、これらの競技に加えて、お家芸競技や追加競技でも金メダルを 次々に取ることが予測される日本は、金メダルランキングで5位以内に入る可能性も十分にあり、今回の米国、英国、中国という3強の勢力図が変わることさえあるかもしれない。

■中国のお家芸競技で日本が実力伸ばす
 日本勢が実力をぐんぐん伸ばしている競技の中には中国がお家芸としている競技もある。そのため、日本に抜かれることがないよう、中国はしっかりと準備をしなければならない。
 リオ五輪の卓球の試合後、中国体育代表団の蔡振華・副団長は東京五輪の予測として、「中国勢は今回4つの金メダルを全て独占したが、東京五輪で日本は主なライバルとなるだろう。今回出場した選手は年齢的に次の大会で最も脂が乗る時期となり、技術的にも世界でトップレベルになる」と語り、警戒を強めた。
 体操において、中国は練習に練習を積み重ね、安定した流れの演技を見せることができるよう努力しなければならない。東京ではアウェイとなり、得点の面でも不利な立場に立たされることを覚えておかなければならない。そのため、技のクオリティを向上させ、減点となる要素をできるだけ減らし、技術面でもメンタル 面でも十分な準備をしておくべきだろう。
 水泳競技では、リオ五輪で日本は既に中国を超えた。また、陸上競技でも、ケンブリッジ飛鳥選手が加わった日本の男子リレーチームは、一気に実力を上げてきた。同種目において、中国は引き続きバトンパスの技術を磨くと同時に、選手層を厚くし、個人の能力も向上させることが急がれる。その他、リレーにおいて歴史が動いたことで、日本の陸上界全体に活気が出ることも予測される。そのため、リオ五輪の陸上競技において、全体としては中国の成績は日本に勝ったものの、日本の反撃に応じられるよう準備しておかなければならない。
 総じて言うと、選手が自国で良いパフォーマンスを見せることができるよう、日本は既に資金を投じ、力を入れる競技を決めて、選手の育成を進めており、リオ 五輪でその成果が顕著に見られた。2年後のアジア競技大会で、日本はおそらく一層中国を脅かす存在になる。4年後の東京五輪で、中国がその勢力をいかに保つかが現在最も解決が急がれる課題となっている。(編集KN) ≫(「人民網日本語版」2016年8月23日)


≪ 金メダルの数は「GDP総額」で決まる! オリンピックの真実を明かそう
2020東京へ、日本政府がやるべきこと

 ■リオ五輪が終わって
 2016リオ五輪が21日に閉幕した。筆者はスポーツ大好きなので、寝不足になる日が続いた。日中暑く、寝不足も重なって体調管理が難しかったが、頑張っている選手を見ると、不思議と元気になった。
 それにしても、女子レスリングの終了間際の逆転劇、男子団体体操や男子陸上400メートルリレーには大興奮したものだ。メダルラッシュはやはり気持ちがいい。
(もちろん、五輪はメダルだけがすべてではない。入賞でも立派な成績であるし、東京五輪ではフェアプレー賞賛やドーピングなしにするなど、メダル至上主義にならないようにしたいものだ。)
 2012ロンドン五輪では、日本は金7、銀14、銅17の計38であったが、リオ五輪では金12、銀8、銅21と計41だった。
 日本オリンピック委員会(JOC)がめざすリオ五輪の金メダル目標数は14であったので、まずまずだろう。

 ■金メダル獲得数はGDPで決まる 何が金メダル獲得数を決めるのか。
 どの競技での金メダルなのかを問わないということなら、過去のデータから、その国のGDP総額でだいたい決まるといっていい。もっとも、これにはタネ本がある。
 米国で定番教科書になっている『マンキュー入門経済学』だ。
 それには、オリンピックにおけるメダル獲得数について、「世界クラスの選手を生み出す一国の能力を測る最善の尺度がGDPの総額であることを発見した。GDPの総額が大きいことは、それが1人当たりGDPの高さによるものであれ、人口の多さによるものであれ、より多くのメダルをもたらす」と書かれて いる。
 これは簡単にデータで確かめられる。
 2000年代における5回の五輪(2000年シドニー、2004年アテネ、2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオ)で金メダルを獲得した国を調べてみる。 ・金メダル獲得数を縦軸、2000年代の平均GDP総額を横軸として、それぞれの国をプロットすると、下図になる。



 

 右上がりの散布図だ。ちなみに、金メダル獲得数とGDP平均との間の相関係数は0.82と高い。
 そこで、金メダル獲得数と、GDP総額、開催国かどうか、旧共産圏かどうかで回帰分析を行ってみる。すると、金メダル獲得数とこれらの(重)相関は0.88となり、メダル獲得数は、GDP総額、開催国かどうか、旧共産圏かどうかで決まるといってくらいだ。
 具体的には、1大会で金メダル1個に必要なGDPは3300億ドル(33兆円)、開催国だと金メダルは8個増え、旧共産圏は3個増だ。
 日本のGDPから算出した金メダル数の14個程度である。これは奇しくもJOCの目標と同じである。
 ただ、金メダル数とGDPの散布図をみると、日本は傾向線(赤い線)の下に位置し、国力(GDP)に見合った金メダルを取っていないことがわかる。韓国を含め他の先進国は傾向線の上になるのと好対照だ。  これは何か日本のシステムが他国よりうまくいっていないことを示唆している。

 ■「五輪と景気」の本当の関係
 2020年の東京五輪では、開催国の有利さが加わるので、金メダルは22個程度を期待できる。そのときまでにGDPを伸ばせば、25個程度はとれるはずだ。
 オリンピックに参加する選手は苦しい練習に耐えて頑張っているわけだが、政府は出場選手に妙なプレッシャーを与えるのでなく、GDPをもっと増やすことに努力し、その結果、強化費を増額してはどうだろうか。そうすれば結果は自ずとついてくるだろう。
 五輪との関係で、景気をよくするのはそれほど難しくない。五輪開催は景気にプラスである。アンドリュー・ローズ(カリフォルニア大)とマーク・スピーゲル(サンフランシスコ連銀)の論文「THE OLYMPIC EFFECT(五輪効果)」に書かれている。
 彼らの論文によれば、1950年から2006年までの間に五輪開催地の国は、五輪開催と同時に実施した自由貿易や為替の規制緩和などによって貿易が30%急増した。要するに、対外的に格好つけるためにやった自由化措置が、結果として国の成長に役立ったのだ。
 この論文が面白いのは、五輪のために行った国内向け施設建設などのインフレ整備の経済効果ではなく、対外的なメンツのために政治的な決定をした自由化措置のほうが、経済効果が大きかったという点だ。
 これを東京五輪に当てはめると、貿易自由化やアベノミクス第三の矢の規制緩和だ。
 この際、日本が世界で恥をかかないという理由でも何でもいいが、TPPの自由化では短期的には不利にみえても自由化措置を進めるのが日本の長期的な成長には望ましいし、規制緩和でも世界が驚くようなことやれば、それが長い目で見て成長につながるだろう。
 いずれにしても五輪は先進国では儲かるイベントだ。これだけ世界の目を引きつけられるからだ。
 先進国の五輪では、施設はその後も使えるし、なにより集客能力がある。だから、開催後の景気落ち込みも少ないといわれる。これは、五輪前に行われる自由化措置の好影響によるので、五輪後も景気悪くならないからだ。
 五輪が経済成長に寄与して、その経済成長で金メダルが増産となり、それが五輪後の景気にも好循環となる可能性がある、ということだ。
 では、誰が総理になれば、一番GDPを高めて、一番金メダルをとれるのだろうか。この際、そうした観点から総理としてふさわしい人を選びたいものだ。
 成長しなくてもかまわないという人では、五輪の金メダルも期待できない。
 ≫(現代ビジネス>ニュースの深層>高橋洋一)

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●安倍一強に寄与する、韓国のコンプレックスと中国の大国意識

2016年08月23日 | 日記
ドキュメント北方領土問題の内幕: クレムリン・東京・ワシントン (筑摩選書)
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●安倍一強に寄与する、韓国のコンプレックスと中国の大国意識

 安倍晋三が、自民党の保守本流の中心人物だと、筆者はいまだに思っていない。では誰なのか?と問われると、幾分迷うのだが、麻生太郎、二階俊博、岸田文雄、石破茂、村上誠一郎、谷垣禎一、林芳正、茂木敏充などになるのだろう。麻生が何を思ったのか、党内派閥の力学で、安倍晋三を担ぐことにより、第二次安倍内閣(2012年12月26日)が辛くも成り立った。こういう経緯で、弱々しく、脆弱な基盤の上に成立した安倍内閣であったが、いまや、内閣支持率を、常時5割前後確保する一強政権を維持している。

 正直、また腹痛を起こして、途中で投げ出すに違いないと、野次馬根性で眺めていたが、あれよあれよという間に、安倍晋三は、自民党内においても“安倍一強”状態をキープしている。チョッとした、党内の力学が作用して、誕生したはずの安倍内閣は、盤石さを増し、総裁任期まで自己都合で変えてしまえ、と云う勢いになっている。2012年12月に誕生した第二次安倍内閣から、第3次安倍第2次改造内閣(2016年8月)の3年8カ月近くに亘り、日本の政治を牛耳る結果になっている。麻生太郎、二階俊博、岸田文雄、石破茂の4議員にも、内閣総理大臣になりたいと云う野心はあるだろうが、余程のチョンボを安倍内閣がしない限り、当分続きそうだ。

 日本政治を司る“神”または“悪魔”が、安倍晋三に順風満帆な環境を与えているようにさえ見えてくる。更に、安倍晋三の心情をバックアップする鵺のような政治団体(日本会議)も、息を吹き返し、飛ぶ鳥を落とす勢いで、右翼的自民党政治の推進に寄与しているようだ。どう考えても、奇妙なのである。官邸による、強権発動で、主たるポストの人事権を縦横無尽に駆使し、ここ数年は、各官庁の事務次官人事まで完全掌握してしまった。安倍官邸の「言論統制」もファシズム的であるが、完璧に功を奏している。このように、政治的テクニックが順調に推移する理由の中に、官房長官や秘書官らの巧妙な政権運営能力もあるのだが、それにしても、何か異なる向きの「神風」が吹いているとしか思えないのである。

 筆者の、穿ち過ぎな視線は、実は、中国と韓国の「反日姿勢」の激化に、目を向けておく必要があると考えている。両国が、日本に敵対的になればなるほど、国民の中で殆ど眠っていた、「愛国心」と云う、良くも悪くも「情緒的感情」を逆撫ですることになっている。尖閣周辺に中国船が越境してくるニュースを聞けば、論理的根拠は別にして、「腹が立つ」。李明博前大統領が、退任寸前に、韓国大統領として、初めて「竹島」に上陸した辺りから、韓国の反日姿勢が日本のメディアを騒がすことになった。慰安婦像にも、同じように「反日」が込められており、日本国民の感情(劣情と言っても良いのだが)を逆撫でした。中国も経済圏構想である「一帯一路構想」やAIIB設立で、日本国民のプライドを傷つけ続けている。

 中韓両国が、以前から燻っている懸案事項を殊更に誇示して見せれば見せるほど、日本国民の感情(劣情?)は刺激を受ける。感情の発露は、戦力的と云うより、感受性の問題になるので、逆撫でする相手に一方方向で怒りを覚えることになる。こういうメカニズムが、強権発動を辞さない安倍内閣への追い風となっている事実を見逃してはいけないのだと思う。かと言って、中韓にも、内政上の立ち位置や国民へのポーズがあるので、おいそれと、振り上げたコブシを引っ込めることも出来ない。中韓両国が、現状の姿勢を貫き限り、劣情には劣情で対抗しなければと云う、短絡的だが、酷くわかり易い、感情の発露が、安倍晋三支持と云う形となって、安倍一強政治状況を醸す、一因になっているようだ。奇妙なメカニズムだが、間違ってはいないと思う。


≪ 韓国はいつまで竹島を政治的パフォーマンスに使うのか
■「光復節」に合わせて 竹島に上陸した韓国国会議員団
 8月15日、韓国の光復節(韓国の植民地からの解放記念日)に合わせ、韓国与党セヌリ党の羅卿〓(ナギョヌォン、〓は王偏に爰)前外交統一委員長 を団長とする10名の韓国国会超党派議員団が竹島に上陸し、同島の領有権を主張した。光復節は韓国にとって特別な日であり、日本に植民地にされたことを想起する日でもあり、竹島問題に関連する行動がとられやすい日である。
 韓国メディアが伝えたところによると、議員団は上陸目的について、「日本が領有権を主張する中、われわれの領土を守る意思を国民に伝え、愛国心を鼓舞するため」と述べている由である。
 他方で朴槿恵大統領は同日の演説で、「韓日関係も歴史を直視する中で、未来志向の関係を新たに作っていかなければならない」と強調し、慰安婦問題 について言及を避けている。13年、14年の光復節の演説では日本に歴史問題での対応を迫ることに主眼を置いていた。昨年は日韓関係改善に重点を置きながら、対日関係にも一定の分量を割いて述べている。今年の光復節演説は、日韓関係については一言触れただけで、日韓関係を改善しようとする意向を明確にした。今回の議員団の行動はこうした中で行われた。
 今回の議員団の行動に対して、地元・島根県の人々は「韓国信用ならぬ」として怒りを表明し、こうした不法行為が定着しないかと、産経新聞は懸念を 表明している。それはまた、慰安婦合意に基づき韓国側が設立する慰安婦を支援するための財団へ日本政府が10億円の拠出に合意し、その手続きを進める中で行われたものであり、日本人の間には韓国不信が強まっている。
 日本として、日韓関係を進める韓国政府とこれを妨害しようとする議員団の行動をどう理解すればいいのか。竹島と慰安婦合意をどう位置づけて考えるべきかとの疑念も芽生えている。こうした疑問に対し、私なりの考えを述べたい。

 ■韓国でも政治的パフォーマンスと 見られている議員団の竹島訪問
 議員団の竹島上陸の動機は何か。
 団長を務めた羅議員はかつてソウル市長選に出馬した際、日本の自衛隊記念日のレセプションに出席したとして親日と批判され、その影響もあって落選 した苦い経験を持つ。今回は、その挽回を期待したのであろう。他の議員については、日本の竹島領有権の主張に毅然として反対していると印象付けようとした 売名行為か、中には竹島について日本の主張に感情的反発を覚えている者もあるであろう。
 7月25日に竹島に上陸した、文在寅「共に民主党」前代表は、竹島を領土問題から歴史問題にすり替えた故盧武鉉元大統領の秘書室長であり、弁護士事務所の盟友でもある。竹島に関しては故盧武鉉大統領の強い信念を共有していたのであろう。しかし、来年の総選挙に立候補することに意欲を示し、野党の有 力候補と目されており、かつ来月に党大会が予定されていることから、それを狙った政治的パフォーマンスと言われても仕方がないであろう。
 韓国の国内政治は対立と抗争の歴史を繰り返してきた。その主導権争いは熾烈を極めている。注目すべきは前回現職議員が竹島に上陸したのは2013 年8月14日であること。それから3年あまりの間は、日韓関係は慰安婦の問題を巡って対立し、首脳会談も開かれない状況下にあった。したがって、反日行動 は目立たない状況にあった。
 しかし今年の光復節は、昨年12月に慰安婦についての合意がなされ、朴槿恵大統領が日韓関係の改善を進める中で、議員団が竹島に上陸したというこ とになり、政権とは明確な対比ができる。大統領が日韓関係の改善に動けば、対立する野党議員、また与党の中でも主流に属さない議員はむしろ反対の行動に出るのである。大統領がこれを抑制しようとしても当然言うことを聞かない人たちである。

■竹島に上陸した議員団を 公然と批判した韓国メディア
 ただ、注目するべきことは、メディアと一般国民がこうした議員の行動を以前のように支持しなくなっていることであろう。
 韓国の大手新聞の中央日報は、「政界が警戒すべき『独島(竹島の韓国での呼称)ポピュリズム』」と題する社説を掲げている。その中で同紙は、「与野党の政治家が騒がしく独島を訪問するのは政治的な人気を得る戦略ではないかという疑念を拭えない」として批判している。 
  同社説はさらに、「(韓国が竹島を歴史問題と主張する中で)波紋が広がれば独島は領土紛争地域と誤った信号を国際社会に与えることになる」「これまで多く の政治家が独島問題に触れながら得るものもなく韓日関係を悪化させてきた」「(文在寅・前「共に民主党」代表について)李明博前大統領の独島訪問を最も強く批判したのが現在の野党だった」とした上で、「慰安婦被害者のための『和解・癒し』財団が発足した時点に、あえて日本側を刺激するのは賢明なことではない。政治的な意図が込められた『独島ポピュリズム』は自制されるべきだ」と結んでいる。
 日本の毎日新聞は、「ソウル市内では、同日地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の賛成、反対両派の集会が盛り上がりを見せた。これらの集会への参加者が警察集計で計約6500人だったのに対し、日本大使館前での慰安婦合意に反対する集会参加者は約130人にとどまった」と伝えている。
 朴大統領の演説が、韓国が抱える経済困難の克服、安保問題に集中していたことと、市民の集会参加者が、反日的活動が極めて少なかったことと平仄が一致していることを注目するべきであろう。反日活動はそれほど共感を呼ばなくなっているのである。

■日韓関係を大きく左右する 朴槿恵大統領の意向
 韓国では大統領が日韓関係でどのような姿勢を示すかが重要である。朴槿恵大統領は慰安婦を支援する財団に強くコミットしており、韓国政府は着々と合意の履行手続きを進めている。
 慰安婦合意については、朴大統領は強くその実現を目指している。しかし、来年には大統領選挙が行われ、野党の候補が大統領となれば、韓国政府の姿 勢も変化しかねない。したがって、日韓両国政府としては、慰安婦合意を着実に履行し、韓国の一般国民がこの問題は解決したとの認識を持つことで、政権が変わってもこの問題を再提起することは政治的にメリットにならないと自覚させることが重要である。韓国側財団関係者は、韓国の慰安婦支援団体に属さない元慰 安婦とも接触を続けており、その多くは理解を示していると言われており、この人々が財団の活動を理解し、これを受け入れることで、韓国の一般国民は、慰安 婦問題は解決したと感じるであろう。
 そのためにも、日本側は韓国政府の動きを助長していく必要がある。菅義偉官房長官は、議員団の竹島上陸に関し、「事前の抗議にもかかわらず訪問が 強行されたのは極めて遺憾だ」と述べる一方、慰安婦合意については「責任をもって実施することが重要」と述べている。まさに日韓両国政府の呼吸はあっていると言える。
 韓国政府が、日韓関係の改善に寄せる思いは朴槿恵大統領の光復節演説に表れている。そして、こうした朴大統領の意向が中央日報の社説に反映されて いるのである。これまで韓国では、国会議員団の竹島上陸を公然と批判するメディアの報道はおそらくなかったであろう。竹島に上陸した議員団の行動は、仮に 日本政府が抗議しても、決して受け入れることはない。日本側の抗議を受け入れれば、それに屈したことになり、むしろ政治的にマイナスとなる。彼らはそもそも「確信犯的」な人々である。こうした行動を止めるためには、韓国の国内世論の批判が高まることが不可欠であり、中央日報の社説や市民の姿勢が、その発端 となることを期待したい。

■竹島問題は歴史問題だとする 韓国の認識を改めさせることが最も重要
 竹島問題は、韓国では最も国民感情が刺激される問題である。それは、歴史問題にこだわった故・盧武鉉大統領の時代、韓国国民が政治的宣伝活動で、竹島を領土問題ではなく歴史問題として認識するようになったことが背景にある。
 日本が竹島を島根県に編入したのは1905年であり、それは日本が韓国から外交の権限を奪い、保護領とした年と一致する。したがって、韓国では竹島は日本の韓国侵略の第1歩であり、日本の竹島領有権の主張は、日本の新たな領土的野心の表れだとの認識が広まっている。  島根県による「竹島の日」の制定や、これに伴う記念行事、日本教科書の竹島記述は、竹島を領土問題と見るならば、韓国の「独島」不法占拠、「独島 領有権」教育に比べて国際的に見ても決して理不尽な行動ではない。むしろ、非常に抑制された行動と言える。それでも韓国が反発するのは、歴史的に韓国が領有してきており、日本の領有権の主張には具体的な根拠がないとの一方的な見解に基づくものである。
 韓国の国民は日本の領有権の根拠を知らない。というより、自分たちに都合の悪いことは知ろうとしない。韓国では、「良心的日本人」という言葉があるが、要するに竹島は韓国の領土だとする韓国迎合の日本人が若干名おり、それが、韓国では広く紹介されているのである。
 こうした主張を打破していくためには、日本が竹島を領有するという根拠を具体的に示していくことが重要である。日本が国際司法裁判所に提訴すると いう動きに韓国政府が応じることは韓国の国内政治上困難ではあるが、日本が確かな根拠を有していることを示す上では、有益なことかもしれない。ただ、その場合には日韓関係が悪化するというリスクも大きい。どのように行うか、慎重な判断が必要であろう。
 竹島問題の進展は一朝一夕には起こらないかもしれない。しかし、中長期的視野で戦略的に前進させることが重要である。  ≫(ダイアモンドONLINE>国際>武藤正敏の韓国ウォッチ)

〈対論〉緊急事態条項のために憲法を変えるのか (さよなら安倍政権)
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●国を頓珍漢な方向に走らせる原動力は? 50代以上の人びと?

2016年08月22日 | 日記
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●国を頓珍漢な方向に走らせる原動力は? 50代以上の人びと?

 以下は、河合薫氏のコラムである。「幸せより金」と云う、面倒な“中流意識”の問題点を、やんわりと抉っている。コラムの内容は、以下、参考引用するので、気軽に読んでみていただきた。また、珍しく、当該コラムに対する“投稿”がフィードバックとして、参考引用されているので、50代世代と思われる方の、投稿文も参考に引用掲載しておく。

 河合氏は、リーダーシップ分野の枠の中で、「絶対価値観」に気づくこと、相対的価値観に惑わされてはしまいかと云うところで、自問自答までして、心から、このテーマを考えようとしている。筆者は、このコラムを読み進むうちに、やはり、巷でよく言われる「世代間格差」という問題に行きついた。そして、その延長線上に、今の日本政治の現状を重ねてみた。そうしていくと気づいたのだが、現在の60代以上世代と50代世代に、交わることが不可能なような、価値観における断層があるのかも、と云う感慨に至った。筆者も、まもなく60代に突入するので、この大きな断層帯の真ん中で、錐もみ状態になっている(笑)。

長くなるが、読者の投稿文が別途フィードバックされていた。参考になるかと云うよりも、人それぞれの考え方に触れる、いい機会になった。ピンキリだが、筆者のコラムもピンキリだから、人様のことは言えない。他人の考えも読んでみようと思う方は、是非一読してください。筆者は、全部読みましたが、文字数の都合上、一部省略しています。フィードバックのURLは下記。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/072200063/?ST=viewcomment


≪ 自称「非・負け組」50代を襲う下流老人の恐怖

「幸せより金」の裏にある面倒な中流意識 欲しいものは「幸せ」より「お金」――。
 博報堂生活総合研究所が行った調査で、欲しいものは「お金」と回答した人が40.6%となり、「幸せ」の15.7%を大きく上回った。

 


 一方、お父さんのひと月のお小遣いは、過去最低の26,820円を記録した。

   


 この調査は1986年から10年ごとに同じ方式で実施され、今回がその4回目。なんだかしょっぱなから“どよ~ん”とする話題になってしまったが、この30年で、繁華街を札束ぶら下げ「幸せ」を求めて闊歩していた人たちが、「幸せよりも、カネをくれ!」と悲鳴を上げてるということか。
 いずれにせよ、時代が変わる中、「お金」と「幸せ」に関する逆転現象が起こり、その差が今回、過去最大に広がったのだ。
 調査担当者は、これらの結果について、「老後が長期化し生活の見通しは暗い状況で、現実的なお金を求める切実な気持ちが伺える」と分析している。

 ■お金が欲しいのは、本当に「生活が苦しいから」?
 この調査結果、改めて分析してもらうまでもなく、ごくごく当たり前の結果だと考えることもできる。  なんせ、この30年で74.54歳(男性)、80.93歳(女性)だった平均寿命(1984年)は、80.18歳(男性)、86.83歳(女性)と延び(2014年)、年金受給年齢は引き上げられ、考えれば考えるほど、「大丈夫か?」という気分にもなる。
 た・だ・し、実はコレ、調査対象は「60歳以上」のいわゆる「逃げ切り世代」だ。平均寿命が5年延びたとしても、下の世代に比べればまだ“懐は温かい”はず。
 生活に困窮する、いわゆる「下流老人」が増えている一方で、悠々自適な日々を過ごす人たちも多い。  実際、内閣府の「平成28年版高齢社会白書」 では「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と答えた人は、75歳以上では20%を超え、60代、70代前半でも約15%。「家計にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」という人を加えると、7割以上もの人が、「お金を心配せずに暮らしている」のである。

 


 つまり、冒頭の調査結果は、「もっとゆとりある生活のために、お金が欲しい人」と、「生活が苦しいので、お金が欲しい人」が混在していて、前者の人が多いと推察できる(ちなみに高齢社会白書では「家計にゆとりはなく、多少心配である」が21.7%、「家計が苦しく、非常に心配である」は6.6%となっている)。

■「かくいう私も、不安なのだ」
 といっても、これは「今」の60歳以上のお話である。
 「今」の50代が60代になったときには、「生活が苦しいので、お金が欲しい人」の割合が大幅に増加する可能性は高い。さらに、非正規元年世代である40代が60代になったときには、もっともっと深刻化するに違いない。
「なんかヤバいなぁって。ええ、お金です」 「老後が不安」 「会社でもそろそろかなってなってきたので……」 「退職金激減してるんだよなぁ」 「今の55歳以上は、まだ逃げ切れるでしょ」 「僕たちは無理」 「団塊の世代がうらやましい~」 etc、etc…
 実際、この1年間でこんな具合に将来への不安を口にする人が、フィールドインタビューでも増えた。果てしないポジティブ思考だったバブル世代でさえ、将来への不安を抱くようになってしまったのだ。
 ん? 私ですか? ええ。その一人です。コレといったきっかけがあるわけではない。だが、最近になって、かくいう私も将来に不安を感じている。 同世代たちの不安が伝染した? その可能性はある。 仕事に行き詰まった? それは毎度のこと(苦笑)
 いずれにせよ、先日、51歳の男性から伺った話が、実に考えさせられるもので、みなさんのご意見も伺いたいと思った次第だ。ふむ。こういうときこそ、コメント欄の機能を生かさなくてはならない。
 というわけで、今回のテーマは、「将来不安」です。では、さっそく、男性の話をお聞きください。

 ■「自分でも何が正解なのか、わからないんです」
  「私は今、51歳で、11月の誕生日で52歳になります。20年前は30歳を過ぎたばかり。これから20年後には70代になっています。なんか年齢のことばかり話していて、すみません。でも、あと20年で70って思った途端、やたらと将来にリアリティが出てしまったんです。ええ、悪い意味で、です。
 30歳から50歳って、アッという間でした。もちろんあの頃と比べたら体力は落ちたし、気力も昔ほど続かなくなった。でも、働き方というか、生き方はそんなに変わっていないし、むしろ今の方が充実しています。会社の出世競争からは最初から外れてしまいましたが、自分なりの仕事観というか人生観を変 えることなく、50歳を迎えることができました。
 30歳のときに考えていたほど給料は上がらなかったので、当時、期待したほど生活に余裕はありません。それでも生活に困っているわけではない。
 たぶん、この『今は困っていない』という状況が、私の不安を掻き立てているのかもしれません。つまり、70になったときに、今のような生活ができるのだろうか? 年金は? 社会保障は? どうなっているのか? 全くイメージができない。それが不安なんです。
 お恥ずかしい話ですが、ローンの残高を調べてみたら唖然としちゃって。これじゃあ、退職金が消えてしまうじゃないかと。かといって繰り上げ返済し ようにも、子どもが2人ともまだ大学生なので、学費がかかる。妻は少しでも貯蓄を増やそうと数年前から働き始めましたが、40代の女性に払われる賃金は驚くほど低い。妻はSEの仕事をしていたので、勉強し直して就職したんですが、与えられる仕事は若手のサポートばかりだと嘆いています。要するに、会社は40代の労働力に全く期待していないわけです。
 そうやって今の社会状況を冷静に分析してくと、20年後、安心して暮らすには、どこかで自分の価値観を変えないとダメなんじゃないかと。でも、どう変えればいいのかが曖昧で。自分でも何が正解なのか、わからないんです」
「負け組になりたくないって思うから、余計に不安になる」
「価値観を変える、ですか?」(河合)
「はい、そうです。実は、知人が東日本大震災が起きて被災地に通ってボランティアをしているうちに、『生活を変える』と言って、会社を辞めて郊外に引っ越したんです」
「支援をするために、東北に移住したということですか?」(河合)
「いいえ、関東です。東京からは電車だと2時間半くらいかかります。仕事も、家も、一瞬にして失った人たちを目の当たりして、あくせく働いて、カネを稼いで、何になるんだと思ったそうです」
「それまでの貯蓄と退職金で残りの人生を過ごせる、と考えたってことですね?」(河合)
「いやぁ、そうでもないみたいなんです。退職金は家のローンを完済するにも足りなかったと聞いています。移り住んだあとしばらく連絡がなかったので、大変なことのほうが多かったんじゃないでしょうか。  ところが、先日、偶然都内で会いましてね。てっきり地方生活が上手くいかず東京に戻ってきたのかと思ったら、たまたま用事があって来ただけだった。それでせっかくだから飲みに行こうってことになって、彼の話を聞いていろいろと考えてしまったんです。
 彼は得意だった英語を生かして、子どもたちに教えているそうです。といっても、収入は学生のバイト並み。ただ、生活には困らないって言うんです。 家賃8万で築50年の一軒家を借りて、生活費は月10万円程度。世の中、なんやかんやいってデフレだから、安いものはたくさんあるので十分やっていける、 と。  それで、彼に言われたんです。
 『負け組になりたくないって思うから、余計に不安になるんだよ』って。所詮、負け組とか勝ち組とか、周りからの評価でしかない。周りと比べない で、もっと自由に自分の価値観だけを頼りに生きていけば、自分次第でどうにでもなる。誰かが喜ぶようなことを、自分ががんばってやりさえすれば、頑張った分だけ満足感を得ることができる。ちゃんと報われるんだよ、って。
 彼に言われて、私は自分がわからなくなった。派手に暮らしてるわけでも、贅沢しているわけでもないけど、自分の価値観がわからなくなってしまった んです。いい顔をしてる彼をうらやましいと思う半面、私には彼のように達観できる自信もない。なんだか余計に不安になってしまいましてね。それで、今こうやって河合さんに話を聞いてもらってるんです(苦笑)」

■半数以上が、年収10万ドルより5万ドルを選んだ理由
 以上が彼とのやりとりである。
 お金への不安、将来への不安――。その正体は何だったのか? 知人の本質を突いた言葉に、男性は戸惑ってしまったのだ。
 そもそも、人間にとって、おカネはどういう価値を持つのか?
(1)あなたの年収は5万ドル、あなた以外の人たちの年収は2万5000ドル
(2)あなたの年収は10万ドル、あなた以外の人たちの年収は25万ドル
この2つの環境があるとしたならば、あなたはどちらを選びますか?
 このような質問を投げかけた時に、人はどちらの環境を選択するだろうか。
 もし、人にとってお金が絶対的な価値をもつものであれば、年収5万ドルの(1)よりも、その2倍の年収を稼げる(2)の方を選ぶはずだ。
 ところが、1990年代後半に、経済学者であるサラ・ソルニック(米バーモント大学経済学部アソシエイトプロフェッサー)と、デービッド・ヘメン ウェイ(米ハーバード大学公衆衛生大学院教授)の2人が、ハーバード大学の大学院生と教員たちに、この二つの質問を投げかける実験を行ったところ、対象者 の56%が(1)の方を選択した。
 つまり、半数以上の人が「周囲の人よりも稼いでいる」という相対的所得の高い環境を選んだのである(出所: “Is more always better?:A Suvey on Positional Concerns”,Jounal of Economic Behavior and Organization)。
 また、この調査では学歴についての質問も行った。
(1)あなたは高卒で、ほかの人は中卒
(2)あなたは大卒で、ほかの人は大学院卒
 どちらを選びますか? 
 結果は、前述の質問と同様、相対的に学歴の高い(1)を選ぶ人が半数を超えた。このほかにも、おカネと学歴の絶対的価値と相対的価値を問う質問をしたのだが、そのすべてで相対的価値の高い方を選ぶ傾向が高いことが明らかになったのである。
 ただし、例外が1つだけあった。休暇の長さに関する質問では、ほとんどの回答者が長く休める方を選択したのだ。

■相対的価値観から生まれる漠然とした不安感
 要するに、冒頭で紹介した「お金」と「幸せ」の逆転現象。高齢社会白書で明らかになった、7割以上が「お金に心配せずに暮らしている」という現実。その矛盾は、すべて相対的価値に起因していると解釈すれば、説明がつく。  が、問題なのは、件の男性がそうだったうように、「自分が相対的価値観に翻弄されている」ことに気付かないことだ。
 私はこれまでカネ、カネ、カネ、競争、競争、競争の世の中に、散々疑問を呈してきた。周りと比べるな! 自分を信じろ!と、ことあるごとに言ってきた。
 が、彼の話を聞きながら、実は私自身も、どこかで相対的な価値観に抜け出せずにいることに気付かされた。 「キミは本当にそうしてるかい? 相対的な価値に翻弄されてるだろ?」
 そんな風に言われている気がしてしまったのだ。
 かっこわるい。実に情けないことだ。
 成長する社会より、成熟する社会へ。この言葉を聞くと、誰もが「そうだよね」と安堵する。だが、そのためには私たち自身が成熟しなきゃダメ。
 周りと比べてるなんて無意味。心底、そう考えているのに、絶対的価値観だけで生きていけるほど、私は成熟していなかったのである。
 ただ、今回、「ズドン!」と弾を打たれて、少しだけ楽になった。今は必死で抗い続けても、「もう、いいかな」と思ったときに、絶対的価値で生きる選択をすればいい。そう思っただけで、少しだけ楽になったのである。
 市場経済では、おカネが絶対的な価値を持つものであったとしても、人間にとっては、人それぞれに価値のあるものが存在し、その絶対的価値あるものに向かっていくことが無用な不安を払拭する。
 ひょっとするとその「絶対的価値」を持てない、こと自体が、現代社会の問題かも、と思ったりもする。家族がいればなおさらのこと。自分では「生活のレベルと落としてもいい」と思っても、それを簡単には許さない“ナニか”が、不安を増殖させる。
 負け組、格差社会、下流老人、老後破綻……。そういったセンセーショナルな言葉自体も、相対的価値を助長する。そんな風に考えることはできないだろうか。

■多少のけがをしたり、痛い思いをするかもしれないけど
 もちろん、絶対的な価値観で、すべてが解決できるわけじゃない。
 下流老人、老後破産という新しい言葉が生まれるのは、そういう現象が社会で増えているからだし、一回でもつまずくとやり直すのが難しい、一回でも病気になると働くのが厳しい社会構造は変えるべきだ。  でも、絶対的価値を持つことが、不安から脱する最大の武器になることは間違いない。崖から飛び降りたときは、多少のけがをしたり、痛い思いをするかもしれない。でも、それは真の自由を手に入れることであり、幸せな人生を全うすることでもあるように思う。
 その勇気を、私たちは持てるだろうか? 大切な人と絶対的価値観を共有するには、どうしたらいいのか? 
 20年なんてアッという間。今、50歳の方は、気がついたときには、70歳。みなさんの絶対的価値は何ですか? 是非、お聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いします。
 ≫(日経ビジネス:総合トップ >スキル・ライフ>河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学 )


■――いただいたコメント―― (抜粋)

★サラリーマンの5%くらいは何を言われなくても、出世の為に頑張ろうという上昇志向のある人。彼らは自分達の目標達成の為に仕事を前向きに行う。また5% くらいは何を言っても頑張ろうとしない人たちもいる。仕事とは全く違うところに目標があるのかもしれない。90%くらいの人は真面目だが前向きに仕事をする意欲は無いが目の前にある仕事はきっちりこなす。概ねこのような社員の状態を是としている経営者が多いように思える。だからある程度できると見なされた 管理職研修をおこなう。しかしこれは90%の真面目な「普通組」の社員はいつでも交換が効くという前提の上に成り立った戦術。会社が安定または衰退期に 入った企業は若い新入社員の数が限界的に減少するので、「茹で蛙」世代とその予備軍の割合がどんどん増える。その時に経営者は自分の戦術は戦略ではなかっと気付くでしょう。それを気付ける経営者はまだ救える。殆どの経営者は世代交代で責任のとわれることがない。いつまで経っても人事戦略がない会社のまま。 茹で蛙は実は会社そのものということが判っていない。

★首都圏在住の方が、地方移住している例を挙げているのが、 残念。もともと、地方在住で賃金の安い中小企業で勤務している、 簡単には職替えなどできない、人には的はずれの記事。そもそも、人それぞれが持ち合わせる『価値観』と実際に ”今後の収入が心配”と考えるのは、まったく別物。筆者は、もっと深い思慮が必要だと感じた。

★頭に残る記事でした。特に「自分が相対的価値観に翻弄されているか」に自問が続きました。 ちょうど50歳の自分、相変わらず昇進、年収アップを狙っている、精神年齢が若年かも知れない、という身には、仕事の合間に、ちょっぴり異次元の視点を与えて頂けた印象です。 先日、親類の法事の際に、同年齢の従兄弟たちと集まり「どーして、その年齢になったのに、そんなにまだ忙しいの?」と尋ねられて、返答に困惑した事を思い出しました。 そう、もう皆それぞれ違う世界にいるんだと。昔は一緒に海に行った子供時代の思い出は一緒であったのに、と。 この記事の問い掛けに感謝します。

★絶対的価値をもてればいいでしょうが、なかなか難しいと思います。私は相対的なものでもいいと思っています。他人の比較したときにお金は比較しやすいです よね。数字がでますから、でも金持ちだからいいかといえばそうでないでしょう。金を持っていることが価値基準ならやくざと呼ばれる人たちは沢山お金を持っ ている人多いですよ。でもそうなりたいと考える人も、お金持っているからと尊敬する人も少ないでしょう。だからお金があればいいわけではないと思っていま す。 ▽私は人と比べてなにか勝っているものがあれば結構強く生きていけると考えています。もちろん人より勝るためにはそれなりの努力が必要です が、得意分野で勝負すれば勝算は十分にあるはずです。他とえばただ健康で年をとるだけでもなかなか大変ですよ。80歳90歳になって病気が無い人は人より 勝っていると思います。確かに多少はお金は必要ですが、健康を保つのひそんなにお金は要りません。まあ、お金をかけて保っている人もいるとはおもいますけ どね。他にもいつも気軽に話せる友達がいるとか、みなで騒げる仲間がいるとか。夢中になれる趣味があるとか。一生働き続ける。なんってのもいいと思います よ。それなりに出来ている人は少ないです。お金をいっぱい稼いだ人と同じくらいにね。

★本文中の「70になったときに今のような生活ができるのだろうか」に非常に違和感を感じました。52歳現役時代と年金生活とで、「今のような生活」が続け られるわけがないじゃないですか。定年後は現役時代より生活レベルを落とすのが当たり前ですよ。私は現在57歳、60歳定年です。年金生活に入るのは63 歳からですが、別に何の心配もしていません。以前は年金生活に入るのは60歳からでしたので、3年間の無収入は痛いですが、そもそも年金生活に入って現役 時代と同じ生活レベルを維持できると思っていませんでした。年金収入年200万円として、それとほぼ同額を貯蓄から取り崩すかアルバイトでもして取り崩す 金額を減らして、3年間はしのごうかと思っています。現役時代の収入でキリギリスの生活ができていても定年後はアリのようにつましく生活する。定年後もキ リギリスの生活がしたければ、年金収入以外の収入を得るか、蓄えがなくなったら生活保護を受ける下流老人になるかしかない。「立って半畳寝て一畳」の覚悟 さえあれば、生活保護を受けるのもよし、ですよ。

 ★▼ 普段の生活で他人と関わってゆく中で自分自身の内側に目を向ける時間ができた時、初めて筆者の言う「絶対的価値観」(どなたかが仰ってた通り普遍的なもの では無く「自分の価値観」のこと)が芽生えてくるのだと思います。やはり他人の存在なくして自分の中の価値観を作り上げるのは不可能ですから。大事なの は、他人との比較は良いけど優劣はつけないことだと思います。優劣をつけると、これはもう相対的価値観にしかならない。▼ 人生なぞ、いくら計画を立てても気をつけていても、他人と関わる限り思い通りにはならないもの。ならば自分の中で確立された価値観という一本の芯を持っ て、臨機応変に生きていくのも楽しいかもしれないですね。▼ わたしの中の価値観は、「謙虚と卑屈を間違えるな」「自信と尊大を間違えるな」ですね。地位肩書きに関係なくこれができるようになるために、毎日反省しつ つ生きているようなものです。あとはまあ、年を取っても女性に好かれるオトコでありたいですね。地位やカネがあれば出会いの機会も多くなりましょうが、そ れだけでは好かれませんから。

★楽しく読ませていただきました。内容は、ホセ・ムヒカ氏の問いかけを連想いたしました。あなたにとって、最も大切なものを教えて下さい。この問いかけは、少子高齢化を克服する社会のスタートと考えています。 自身の持つ価値観を棚卸しすることは重要です。これを踏まえないと次世代に尊重すべき、新たな価値を認識できません。これからも、楽しみにしています。

★お金はなくても幸せになれますよ。ですが、ないよりはあるほうがいいのと、一度生活ランクが上がれば、やはりお付き合いの人たち周りの環境も変わっていくので、なかなか生活レベルを落とすのに恐怖を感じるのも仕方ないでしょう。 それをサクッと乗り越えれば、この日本でのたれ死ぬことなぞ、そうそうないはず。

★現在62歳。2度転職して3年前から契約社員です。 学校はもとより、会社でさんざん相対評価をされてきた私にとって、絶対的な価値観って言われて も良く分かりません。ただ言えるのは、3人の子供が社会人としてそれなりに(給料の多い少ないは有りますが)やって行ってくれていることに満足し、私と妻 が、生活の質を落とすことなく暮らしていることに感謝しているってことですかね。あと十年、二十年先のことは、今心配しても仕方が無いと割り切れるのは、 絶対的な価値観かもしれません。

★50代の不安を煽る記事のなんと多いことか・・・ 50代であるだけで、悩みや不安が他の世代と比べて多くあるようだ。 50代は、もうすぐ楽になる自由寸前の世代でしょう。もうすぐ会社や嫌いな人から解放され好きに生きられる世代です。工夫して楽しく自由に生きる。 ワクワクしますよね。 東京でも環境が良くて安い公団のアパートががら空きの状態です。郊外のショッピングモールは安いものがたくさんあります。図書館も広い公園も、自然もある。鳥や声や風の音を、川のせせらぎを聞いているだけで気持ちが清々しくなります。あー幸せだと思えます。 下流って何でしょうか?我々は川で流れてるわけじゃないんですから。 今、ここ、自分ですよね。人生は長い線ではなく、今、ここで、踊っているだけの連続です。この先どこへ行くかなんて、ないんです。

★ロストジェネレーション(Lost Generation)という言葉がよく使われますが本来の失われた世代とは欧米諸国で第一次世界大戦に遭遇して、従来の価値観に懐疑的になった世代を指 します。人間社会を維持していく世代循環行動(誕生~再生産~死)の良き一員として個人を位置づけていた、のどかな価値観を、資本が悪用し始めた頃から 人々は価値観に疑問を持ち始めました。そこで迷った大人たちは子供たちに『何が公正か』ではなく『どちらが得か』ばかりを教えた結果、今の私達は価値観を 確立できずにさ迷っています。その意味で殆どの私達はロストジェネレーションの延長線上に漂っていますがこの状態を資本は『価値観の多様化』などと、社会 の発展ととらえています。確かに人生の選択枝が増えた事は幸福の多様化に繋がる様に考えられますが不幸の多様化にも繋がっている事を忘れてはいけません。

★「私には三人の、信頼できる友がいる。 老いたる妻、老いたる犬、そして貯金」 (貧しいリチャードの格言より) 250年前から少しも変わっていませんね。

★30代男性です。拙いですが感想です。 「カネ」は信用で成り立つものであって、1万円札の原価は20円程度。 少子高齢化による人口減少で右肩下がりの現状が見えている中で、今どれだけ預金残高があったからといって、それが20年後にも同様の「価値」をもっているかはわからない。 最低限の貯金はしているが、現状いくら金を持っていても、何の保証もされないことに気がつきべきだ。 私が考える絶対的な価値とは「自分の実力/人間性」であって、どんな環境になろうとも「それなり」に生きていけるだろうと、最終的には楽観、あるいは腹をくくることが重要であると思う。 そもそも幸せは気分の問題なので、自分が幸せだと思えば幸せなのだ。 孤独に耐えながら大金を稼いで身体を壊して若くして死ぬのが幸せか、お金がなくても信用できる家族がいて健康で平均程度に生きるのか。 金をもったら、金をもったなりの悩みは出来るはずで、悩みがなくなるわけではない。 漠然とした不安は、あくまで漠然としているので、全く具体的ではないのだ。 「ダメならのたれ死んだらいいじゃないか」←本当にその通りだと思います。

★現在、35歳、既婚、子供2人です。将来不安は殆どありません。私たちはロスジェネ世代ですし、デフレばかりを経験している世代ですので、お金をかけずに 生活をし、その中で幸福感を得る術を多く持っています。また、年収が少なくとも、やりくりをしながら貯金や資産運用をしています。自分より上のバブル世代 や団塊世代がなぜそんなにお金に不安を持っているのか、正直あまり理解も共感も出来ません。完全に自己責任ですし、助けたいとも全く思いません。日本で は、少子高齢化が進み、人口が減少し、経済がシュリンクしていくことは99.9%確実なことなので、その中でお金と幸福感に折り合いをつけながら、生活を 破綻させずに生きていくことを誰もが要求されていることは明白です。その現実から目を背け、生き方を変えられない世代は、正直少し哀れだし、情けなくも思 います。自由主義、資本主義の社会なので、そうした人は一度、破産なりして精算してもらうしかないように思います。

★世界一不安症の日本国民には、絶対的価値ありなしうんぬんはあまり効果ないのでは。日本には結局年功序列があっていたのでしょうし、欧米流の実力主義・成果主義、むしろ将来不安を煽るだけです。それに、政府が積極財政出動しそこそこ多少の需要生み出せたたとしても一過性に終わり、また、少々の賃金UPしたとしても将来不安から貯蓄に回るだけ。それに、定年制度。USなら一発でアウト。すぐに廃止すべきで、そもそも憲法違反では。定年制度なくなれば、年金制度や将来不安の多くが解消される気がします。

★嫁と子供に見限られ、早期の熟年離婚した50代。 断舎利にはいささか早過ぎた感が否めないが、一番最後まで手放しにくいものを真っ先に手放すことになったお陰で、自分の命の炎も含め何を失っても怖いことはなくなった。 医 療漬けになって長生きしようとするからお金と未来の不安でいっぱいになるわけで、健康寿命が尽きた時点で孤独死上等、と考えられるようになれば、いろいろ と持てる者よりもむしろ安らかに日々を送れるかも。少なくとも自分は、そう。これも河合氏が言う絶対的価値(この言葉自体が矛盾してるでしょ)のひとつの 形だろうか。 

★以下とりとめもない感想です。 二択で「お金」と対峙するのは、多分「命」です。したがって、質問自体ナンセンスでは。 世代間で考える視点が違うはず。20代〜30代までは人生何をしたいのか、40代以降は終活含めて人生どう生きるかではないでしょうか。後者の世代には住む場所が大きく関係してくるでしょう。 正義や愛などの概念とは違う絶対的価値観とは難解ですが、要するに他者と必要以上に比較して自身の価値判断をしないことということでしょう。それに最も効果的なのはマスメディアにできるだけ触れないことです。自ら思考し、書物を読み解くことが肝要かと。 お金との関わりで逸話を一つ。1〜2年前マンハッタンの古い質素なアパートで93歳の身寄りの無い老人の孤独死が発見されました。老人は数年前までビル清掃 員で、この仕事を30〜40年間真面目に続けていたそうです。捜査員が室内を調べたところ、数十万円の現金と何十枚かの古い株券を発見。その後、この株券 を精査したところ、50年以上前のものを含めて全て正規の株券で、時価総額はなんと9億円余だったそうです。 

★19世紀末、いわゆる一流企業に転職し、精神を病み何年も休職を繰り返す。 2015年の大震災から、人の家の大掃除(一般にはボランティア)や、豪雪災害、豪雨災害に参加し、心身ともに強靱になるも、自己破産。 でも今は300歳まで生きようと思っている。 今も同じ会社でサラリーマンをしているが、給与がいくら上がる、肩書き、報酬、成果、コストパフォーマンスなんて問題よりも、誰にでも当たり前にある愛があれば生きられると思っている。 お金はコミュニケーションの道具でしかなく、人以外の生物は「金」がなくても立派に生きている。 「金」ですべての価値が決まると思っている人たちの方が圧倒的に多く、でも、分かりやすい価値だし、それを信じることは信仰の自由と同じく否定しない。 でもそれ以外の価値に目を向けてもいいとは思う。

★河合さんほど、他人の評価なんてどうでもいいじゃないか!と言い続けてきた人でさえ、その現状であることを考えると、普通の人が成熟するのは本当に可能な のでしょうか。私は今、家族が大好きで、仕事が楽しくて、お金にも困っていません。人と比べることをあまり重視しないので、現状で物凄く幸せです。でも、 人の評価やリアクション、考えてることは気になるし、気にするから他人とのコミュニケーションがうまくいくのだと思います。そういう意味で人という社会的 な生き物に、絶対的な価値観なんてあるのか、疑問に思ってしまいます。究極、人の迷惑になるような価値観をもって行動してしまうヒトラーのような人を、社 会は受け入れられないわけで、その意味で絶対的な価値観があれば幸せになれるという仮説自体、揺らいで見えます。

★娘が結婚を控え、息子二人が私立大学に通い、自分は役定を迎えた今。お金が足りないとランチをうどんで済まして納得させている自分がいる。絶対的価値?多 分そんなものはない。相対的でないもののことをそういうのであれば辛うじて存在するかもしれない。大切にするものが何か、それを自分の中で整理できる人 が、発信するかしないかに係らず、物質的な束縛から無縁な豊かな生活をおくれるのではないかと思う。このままでは経済的にはすでにショートすることが明確 になっているので、開き直るのではなく、現実的なことも含めて対応していこうと考えている。定年が見えてきたのでそう思うようになったのかもしれない。 

★日本に勢いがあったころは、終身雇用制が日本の強みと言われていました。確かに、自動車や電機産業では人材を抱え込んで、改善力・開発力で差別化していた ので、歯車が噛み合ってましたね。で、何が言いたいかと言うと、ある日戦前(古い表現で恐縮です)の日本は終身雇用制ではなかった事を知りました。あれ、 そうなの。じゃあ、今の幸せ感も戦後の特殊な状況を当たり前の事と思い込んでいただけだと。団塊の世代の次の世代ですが、確かに猛烈な受験戦争、競争社会 を過ごしてきて、狭い範囲での競合優位に飼いならされてきた感は否めません。エリート街道をひた走り突然死んじゃった学生時代の友人、綺麗な奥さんと子供 どうすんの。功成り遂げて大会社の役員に名を連ねたけど息子はモヒカン刈りで金髪、娘はガングロの先輩、自分だけ良ければ良いの?。離婚して再婚、還暦な のにまだ小学生の子供を抱える親友、やっぱ学生結婚早すぎたよね。みんな元気になあれ! 生まれてきた時は裸で無一文、死ぬ時も何も持って行けないぞ。

★幸せとお金のデータ、お小遣いのデータは、経年比較しているのに、高齢者のゆとりのデータは、どうして単年なのですか? 近年、幸せよりもお金を重視する傾向があるのは、単に将来不安からではないのでしょうか? 相対的価値観に囚われているのは、近年始まったわけでもなく、バブルの頃も、デフレの今も、金を持っている人はいた(いる)わけで、景気の動向と、絶対的価値観を持つことは、無関係でしょう。 そもそも、自分の興味に従って、キャリアを積み重ねてきた著者自身が絶対的価値観を持っていないことが意外でした…。(その一方で、人間は仙人じゃないので霞を食って生きていくわけにもいかないことが肝要でしょう。)

★> 「お金」と「幸せ」のどちらが欲しいか、などという質問が、 > そもそも意味不明です。「幸せ」を得るのが目的であって、 >「お金」は「幸せ」を得るための手段に過ぎないでしょうに。 そうなんですけど、いつの間にか、「お金」そのものが目的にすり替わってしまって、自分では気づかないうちに自分が不幸になる選択をしてしまっている、ということが、世の中にはたくさんある、という話なんです。 今 回の河合さんの話では、「お金」以外にも、「地位」とか「世間体」とか、そういうもろもろの事項を取り上げています。いずれも、「幸せ」を得るための手段 に過ぎなかったはずなのに、いつの間にかそちらに拘って、不幸になる選択をしているのではないか、という問いかけです。 ただ、この話の難 しい点は、「地位」や「他人より稼いでいるという気持ち」などは、それ自身を「幸せ」と感じることもあることです。例えば、「お金」そのものではなくて、 「他人よりお金を持っている」という気分が「幸せ」である、という気持ちは、多かれ少なかれ誰にもある。ですから、河合さんの示唆に従うには、人に依りま すが、場合によっては、自分が何を幸せと考えるかを、自分で変えていく努力をしなくてはならないことになります。

★つい最近、バブル世代の社長夫妻がオーナーと言う賃貸物件を見学しました。上階に自宅のあるマンションで、その自宅部分まで拝見したのですが、外観から内 装までバブル色満開で、いまだにあのころの価値観を死守していることに呆れ半分、感心半分でした。一方では、ゆとり世代などはナンバーワンよりオンリーワ ンと言われて育ち、競争を避けて生きる事を選びがち。と価値観とは絶対的なものではなく、育ちによって大いに変わるもの。生得的な感情と思えるようなもの も、実は環境によって育まれるものも多いと聞きます。今現在、老後に不安を感じる世代は、上へ上へと競ってきた世代だから、例え実際は老後に充分な蓄えが あっても、最後まで自分と周囲を比較する習性から解き放たれる事はないのでしょう。しかしやがてその世代が過ぎ去れば、また新たな思考を持った高齢者群が 生まれるのではないでしょうか。

★相対的な価値に振り回されることを不幸というのだと思う。 では、絶対的な価値に基準をおけば幸せなのだろうか? それは人がいかに生きていくか、という命題と同義のように思う。 自分自身の生きる道を見据えていれば不安はあっても恐れず進めるのではないか。 確かに将来設計がしづらい時代である。 人の人生は人間関係や運にも往々にして左右される。 病気にもなれば、事故もあり、家族(子供、介護)の問題もある。 でも、それが人生である。 しかし、何があっても自分はこう生きると目指すものがあれば、 それが絶対的な価値なのだと私は思う。 

★「絶対的価値」でイメージしたのは修行僧や修道士です。 お金を使って生活する世俗の我々は相対的価値に振り回されるものです。 そんな程度なんだから将来不安になって当然。 現金収入が少なくても生きていきたいなら、農作物の育てかたを覚えるところから始めてはどうでしょうか。 ★デフレ大前提の話ですね。悪くは無いが、犠牲にするものも案外多いよ、という心構えは必要でしょう。ふと思い出したのは、財政が破綻した夕張市のケース。 病院経営が立ち行かなくなり、カネのある人や、本当に重病を抱え込んだ人は市外に転出し、住民の人口が減少したことで、かえって自助自立の精神が芽生え、 病院を頼り切る人が減りました(めでたし、めでたし)みたいな話に近い。究極の引き算であることを認識すべきだと思います。


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●米軍産複合体を太らせるMD計画 日本のお寒いミサイル防衛

2016年08月21日 | 日記
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●米軍産複合体を太らせるMD計画 日本のお寒いミサイル防衛

 米軍に“おんぶに抱っこ”の日本の防衛システム。以下の田岡氏のコラムも読むまでもなく、自衛隊のミサイル防衛システムなるものが、“張り子のトラ”ではないかと云う疑惑は、常に纏わりつく。米国本土のミサイル防衛システムそのものも、現実的対応に則して、システムが、本当に有効に作動するものか、疑念があるくらいだ。相手が、自暴自棄になって、めくら滅法に発射したミサイルを、完璧に撃ち落とすことなど、素人が考えても、“無理じゃねえの?”となる。

 軍事に関しては、常識とか、印象以外コラムを書けるほど知識がないので、田岡氏のコラムや朝日の報道、スプートニク日本の報道記事を引用するのだが、情報を並べて感じることは、半分以上気休めな防衛システムだな、と云う答えだ。結局、米国も、米同盟国も、アイゼンハワーが退任時に警告したように、軍産複合体の暴走に注意せよと云う言葉が、20世紀も21世紀共通の訓戒として光を放っている。ミサイル防衛システムは一発撃つごとに数億円が消えてなくなるようなものなので、軍産複合体にとって、涙があふれるほど、嬉しい商売に違いない。日本の防衛省も、“火事場泥棒”のように、5兆円以上の概算要求を出している。


≪ 防衛省の17年度予算、過去最大の5.1兆円を要求へ=政府関係者
[東京 19日 ロイター] - 防衛省は2017年度の概算要求に、過去最大の5兆1600億円程度を計上する方針を固めた。北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、日本を取り巻く安全保障の環境が一段と厳しさを増しているとして5年連続で増額を要求する。
 政府関係者が19日、明らかにした。 ・防衛省がとりわけ重視しているのが、北朝鮮の弾道ミサイル技術向上を受けた防衛態勢の強化。地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の改修費用約1000億円を計上するほか、米国と共同で改良に取り組む海上配備型ミサイル「SM3」の量産費用を盛り込む。
 大気圏に再突入してきた弾道ミサイルを迎撃するPAC3は、射程距離を約2倍の30キロ超に伸ばす。大気圏外でミサイルを捕捉するSM3は、高度をさらに引き上げる。ミサイル防衛(MD)を将来的にさらに強化する研究費用も計上する。
 このほか、東シナ海で動きを活発化させる中国をにらみ、沖縄県宮古島や鹿児島県奄美大島に陸上自衛隊の沿岸警備部隊を配備する費用を要求する。有事の際の制空権を確保するため、9カ国が共同開発する新型戦闘機F35の取得費用も盛り込む。
 防衛省が次年度予算の概算要求額を増やすのは5年連続。初めて5兆円を突破した16年度の当初予算からは、約2.3%の上積みとなる。16年度は5兆0911億円を要求し、5兆0541億円が認められた。
 防衛費は、装備の調達を契約してから完成するまでに時間がかかる。実際の支払いは複数の会計年度をまたいで分割にするケースが大半で、毎年の予算が膨らみやすくなる傾向にある。来年度の概算要求も、過去に計上した予算の後払いが多くを占める。  ≫(ロイター:久保信博)


≪ 平和ボケの極み! 北朝鮮の事前通告がないと役に立たないミサイル防衛
■秋田県沖に落ちた北朝鮮のミサイル 政府は全く対応できなかった
 8月3日午前7時53分頃、北朝鮮は同国南西部の黄海南道の殷栗(ウンリュル)付近から弾道ミサイル2発を発射した。1発目は発射直後爆発したが、2発目は北朝鮮上空を横断して日本海に向かい、約1000km飛行して秋田県男鹿半島の沖約250kmの日本の排他的経済水域内に落下した。
 日本政府がこのミサイルの発射を知ったのはそれが落下した後か直前と見られ、ミサイル防衛に当たるはずのイージス艦や、陸上の要地防衛用の「PAC3」ミサイル部隊に「破壊措置命令」は出されず、全国の市町村の防災無線、有線放送などを通じて警報を出すはずの「Jアラート」も役に立たなかった。ミサイル防衛には今年度予算を含め1兆5800億円が注ぎ込まれたほか、「Jアラート」にも消防庁が市町村に交付金を出し普及率は100%になっていた。
 防衛省は「北朝鮮から事前の通告がなかった」「移動式発射機から発射されたため兆候がつかめなかった」と釈明するが、人工衛星の打ち上げと違い、 実戦用の弾道ミサイルは当然予告なしに発射されるし、先制攻撃で破壊されないよう自走式発射機に載せるのが一般的だ。日本のミサイル防衛は形だけであることを証明する結果となった。
 北朝鮮はこれまで大型ロケット「テポドン2型」などを使って人工衛星打ち上げを目指し、2012年12月12日と今年2月7日、小型衛星を地球周回軌道に乗せることには成功した。これは米戦略軍総合宇宙運用センターが確認している。衛星は2回とも故障した様子で電波を出していないが、ロケットの第3段が高度500km付近で水平方向に加速、周回軌道に物体を放出した飛行パターンは人工衛星打ち上げを狙ったとしか考えられない。軍用ミサイルならさらに上昇して頂点に達した後、放物線を描いて落下する。
 「テポドン2」は全長30m、重量90tもの大型で、高さ67mもの固定式発射機の側で2週間以上かけて組み立て、燃料を注入して発射している。 海岸近くの発射場で衆人環視の中、戦時あるいは緊張時にこんな悠長な作業をしていては航空攻撃などで簡単に破壊される。また北朝鮮は発射の前にその日時 (幅がある)や第1段、第2段のロケットの落下予定地点を国際海事機関に通報していた。
 防衛省は従来その通報を受けて「破壊措置命令」を出しイージス艦を出港させたり、ミサイル防衛用の「パトリオット・PAC3」を防衛省の庭や沖縄の宮古島、石垣島などに展開したが、これは実は「ミサイル」に対する防衛ではなく、人工衛星打ち上げ用ロケットが不具合を起こして落下して来ることへの対 策になりうる程度だった。現実には、ミサイル防衛に巨費を投じることが国民の安全を守る役に立つ、と宣伝し予算を確保するための行動の色が濃かった。

■事前の通告がなかったから 対応できなかったという「平和ボケ」
 私は本欄などで、人工衛星打ち上げを「ミサイル発射」と政府が称して大騒ぎし、メディアもそれに乗る愚行をいましめ、真の脅威は自走発射機に載っ ている「ノドン」や「ムスダン」であることを説いてきたが、今回「ノドン」がノーマークに等しい状態で秋田沖に落下したことは、それを証明する結果となった。
 今回の「ノドン」の発射は午前7時53分頃で、約10分以内に男鹿半島沖約250kmの海面に落下したが、防衛省が「ノドン」発射の第1報を発表したのはその1時間以上後の9時8分で、落下地点も特定されていなかった。これまでの「テポドン2」による人工衛星打ち上げの場合には、防衛省で発射直後から刻々と飛翔状況の発表が行われ、通信衛星などを経由する「Jアラート」システムにより住民に屋内への退避を指示するなど警報が出されたが、今回はその ような動きは全くなかった。防衛省が「ノドン」の発射を知ったのは、多分それが落下した後だった様だが、それに到る詳細は公表されていない。
 ミサイル防衛の構想では、弾道ミサイル発射の際に出る大量の赤外線(熱)を赤道上空約3万6000kmを周回するアメリカの静止衛星がとらえ、その情報は07年に米空軍三沢基地に設けた「総合戦術地上ステーション」に入り、日本の「JADGE」(航空宇宙防衛警戒管制システム)に入力され、また横田基地の「日米共同統合運用調整所」や防衛省地下の「中央指揮所」、首相官邸の「危機管理センター」にほぼ同時に伝えられる。それに要する時間は1分程度 のはずだった。
 北朝鮮で発射された弾道ミサイルは7、8分から10分程度で日本の目標に達するから、そうでないと迎撃や住民の避難が間に合わない。今回のように日本に向かったミサイルの第1報の発表まで1時間以上というのは論外だ。
 その理由として防衛省は「事前の通告がなかった。移動式発射機から発射され、兆候がつかめなかった」と言う。これは「平和ボケ」の極みで、実戦で 敵が「これからミサイルを発射します。発射地点はここ、目標はこれこれ」と通告してくれることはない。防衛省は人工衛星打ち上げを「ミサイル発射」と呼んできたため、自らも「ミサイル発射とはこんなもの」とのイメージが染みついていたのかもしれない。日本のミサイル防衛は人工衛星打ち上げの監視には使えても、本物のミサイル発射に対しては役立たなかったのだ。
 しかも「ノドン」(北朝鮮の制式名「火星7号」)は1990年代に開発された旧式だ。全長16mもあり、重量16t余、10輪の自走発射機に搭載されるが、移動はかなり不便だ。液体燃料と酸化剤をむらなく充填するには直立させて注入する必要があると見られ、発射準備には1時間以上掛かりそうだ。射程はほぼ日本全土をおおう1300kmと推定され、発射機が約50基、ミサイルは約300基とされている。

■野球のシートノック同然 「迎撃ミサイル命中」はまやかし
 一方、今年6月22日に初めて試射に成功した「ムスダン」(火星10号)は旧ソ連の潜水艦発射ミサイル「SSN6」を基礎にしたものだけに全長 12.5m、重量12tと小型で、液体燃料を填めたまま相当長期間待機が可能だ。12輪の自走式発射機に載せてトンネルに隠され、出て来て約10分で発射可能とされる。射程は3000km以上でグアムに届くと見られる。旧式の「ノドン」に対応できないのなら、「ムスダン」の迎撃はさらに困難だ。
 政府は今回の失態に鑑み、これまでの人工衛星打ち上げの際のように、事前通告や、衛星写真などの兆候を確認してから「破壊措置命令」を出すのではなく、常時この命令を出した状態にし、イージス艦や「PAC3」を配置についたままにすることにした。
 イージス艦は6隻あるが、弾道ミサイルに対応できる射撃統制システムを持つのは4隻しかなく、他の2隻はその能力を付けるため改修中だ。軍艦は常 に4分の1はドックに入るなど整備・点検中で、その後再訓練をしたり、往復にも日数を要するから、4隻中1隻を常に日本海に配置するのは容易ではない。
 イージス艦は2007年12月17日、1番艦「こんごう」(満載時9500t)がハワイのカウアイ島沖で、同島から発射された標的の模擬弾道ミサ イル撃破に成功して以来、約80%の命中率を示している。だが、これは標的の発射地点、落下予定海面、発射の時間帯、標的の加速性能などがすべて分かっていて、それらのデータをイージス艦の射撃統制システムに入力して待ち構えているのだから実戦とは全く違う条件だ。まるで「センターフライ行くぞ」と叫んで球を受けさせるシートノックと同様だ。
 自走式の発射機に載せて移動し、隠れているミサイルの発射の兆候を事前につかむのは極めて困難だ。偵察衛星は時速約2万7000kmで、1日約1 回世界各地の上空を一瞬で通過するから、固定目標の撮影はできても、移動目標の探知、監視はできない。静止衛星は約3万6000kmの高度だからミサイルは見えず、発射の熱を感知するだけだ。エンジン付きグライダーのような無人偵察機を旋回させておけば撮影は可能だが、北朝鮮全土で常に細密に捜索するには 多数が必要だし、領空侵犯だから撃墜されても文句は言えない。
 予兆なしに、イージス艦のレーダーや、弾道ミサイルの探知ができる航空自衛隊の巨大な「FPS5」レーダー(高さ35m)、――下甑島(鹿児島) 佐渡(新潟)大湊(青森)与座岳(沖縄)に配備――で、弾道ミサイルの発射を見張ろうとすれば、秒速2km程度の中距離ミサイルが相手だけに、数秒の遅れも許されない。当直は交代すると言っても、24時間、365日大変な緊張を強いられる。予兆が無い場合には迎撃要員の疲労が激しく、迎撃ミサイルの命中率は予兆がある場合の半分以下になる、とも言われる。米国の静止衛星がミサイル発射の熱を捉えて伝えてくれるなら、少しの余裕は出るにしても、それに素早く 反応するために全く気が抜けない。

■自暴自棄の相手には 「抑止」は通用しない
 日本は2004年度から今年度までに計1兆5800億円をミサイル防衛に費やした。今年度は2244億円で、8隻目のイージス艦建造費1625億 円が含まれる。それが今積んでいる迎撃用ミサイル「SM3ブロックIA」は1発約16億円だから、1隻に8発しか積んでおらず、不発や故障もあるから1目標に対し2発を発射するから弾道ミサイル4発にしか対応できない。現在日米共同開発中の「SM3ブロック2A」の価格はその2倍にはなりそうだ。航空自衛隊が持つ「パトリオット・PAC3」は射程が僅か20km以下で1地点しか守れないが、それでも1発8億円程だから、例えば関東地方には8輌の発射機があり、各4発しか積んでいない。弾道ミサイルを多数発射されればお手上げだ。
 自衛隊の高官の中にも「ミサイル防衛は国民の気休め程度」と言う人もいた。このため「相手がミサイルを発射しそうなら、先に攻撃して破壊すべき だ」との論を唱える将官もいた。この人と話してみると、弾道ミサイル発射と人工衛星の打ち上げを混同して、実戦用ミサイルも北朝鮮東岸の無水端の固定発射台から撃つと思っていた。私が「ミサイルは移動式の発射機に載せてトンネルに隠れているから、どこにあるか分からない。どうやって狙うのですか」と聞くと 「偵察衛星で分かりませんか」と言う。偵察衛星は時速約2万7000kmで北朝鮮上空を1日1回通るだけ、と説明すると「自衛隊には偵察衛星がないからよく知らなかった」と驚いていた。
 北朝鮮の核・ミサイルに対しては、もし攻撃をすれば激しい報復攻撃を加える「抑止戦略」も考えうる。だが、今日でも北朝鮮が韓国や日本、そこにあ る米軍施設などを攻撃すれば、圧倒的に優勢な韓国軍、米軍の通常攻撃でも潰滅するのは必至で、抑止は一応効いている。米軍は北朝鮮に対して核を使うと統一後の韓国による再建に支障が出たり、放射性降下物が風向きにより韓国、中国、ロシア、日本に降るから、なるべく精密誘導の通常兵器で片を付けたいようだ。

 ただ「抑止」は相手が利害を計算する合理的判断力を持っていることを前提としている。崩壊が目前に迫るなどで、自暴自棄の「死なばもろとも」の心境になった相手には通用しない。
 北朝鮮の無法な行動は腹立たしいが、つとめて現実的に考えれば、中国が取ってきた「生かさず殺さず」政策しか手はないのではないか、と考えざるをえないのだ。
 ≫(ダイアモンドONLINE>経済・時事>田岡俊二の目からウロコ)


≪ 韓国配備のTHAAD、ミサイル迎撃の仕組みとは 香港(CNN)
韓国国防省がこのほど同国南部への配備を発表した米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)。北朝鮮からの弾道ミサイル攻撃に備えて導入する新技術だが、具体的にどのような機能によってミサイル防衛を可能にするのか。その仕組みを探った。
 機材を納入している米軍需大手ロッキード・マーチンによれば、THAADはインターセプターと呼ばれる発射体と発射台、レーダー、発射制御ユニットなどから構成されている。
 まずレーダーが飛んでくるミサイルを検知し、システム要員が脅威となることを確認したら、トラックに載せられた発射台からミサイルに向けてインターセプターが発射される。高速で飛ぶインターセプターは運動エネルギーによって相手のミサイルを破壊する役割を担う。
 香港大学の軍事政策の専門家、イボンヌ・チウ氏によれば、インターセプターに弾頭はついておらず、衝突することでミサイルを破壊することから、THAADは「特に核ミサイル相手では安全性が高いとみられる」という。
 「核弾道ミサイルを弾頭のないミサイルで撃てば、核爆発を起こさないことが期待できる」とチウ氏は言う。
 THAADの配備について、米国は在韓米軍と韓国を北朝鮮から守ることが目的だとの立場を崩していない。しかし中国やロシアは以前から配備を警戒する声を上げていた。 中国の王毅(ワンイー)外相は2月、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」主催のイベントで、THAAD配備は「中国の正当な国家安保上の権益」を脅かすと発言した。 THAADは数年前からグアムやハワイの米軍施設を守るために配備されている。  ≫(CNN:香港)

 ≪ 米国の退役軍人ら、THAADシステムの韓国配備に反対
米国の非政府組織「平和のための退役軍人」は韓国へのTHAAD展開はワシントンとモスクワ、北京、平壌との関係の緊張をエスカレートさせるとしてこれに反対した。メディアが報じた。
「米国と韓国は北朝鮮ミサイルの脅威でTHAAD展開の決定を正当化するが、 THAADは韓国を保護するためのものではない。その任務は中国ミサイルの使用可能性を中和し、地域内の米軍部隊を守ることだ」。
「同時に、韓国の人々は、自国保護の観点から最終的に役に立たないシステムのために高すぎる価格を支払うことになる」。 米国は「中国とロシアを取り囲むようにミサイル防衛システムを設置しようとしている」。
これは両国の防衛力を破壊し、「世界に危険な軍拡競争を促進する」ものだ。  ≫(スプートニク日本)

 ≪ 米軍ミサイル防衛システム配備は韓国外交の破綻を意味する
 韓国は、自国領内に米国の高高度ミサイル防衛 THAADシステムを配備することに同意した。そして同システムが、来年2017年末から稼働することも発表された。こうした措置について、米韓両政府 は、北朝鮮からの脅威に対抗するためだと説明している。スプートニクは、日露双方の専門家から見解を伺った。
 朝鮮半島問題に詳しい拓殖大学大学院・武貞秀士特任教授は、韓国が今回THAAD配備に踏み切らざるを得なくなったことは、韓国の二股外交破綻を象徴していると指摘している。
 武貞教授「韓国は中国との経済関係を切ることはできませんし、軍事関係では米国との関係を切ることができません。朴政権は相当無理 をして、経済は中国と、軍事は米国と関係を築いてきましたが、それがほとんど破綻したということです。
 政策に非常に無理があり、それがTHAADの配備に つながりました。 結局韓国の本音は、外交軍事の分野では、中国よりも米国を相手として緊密な関係を築く必要があるということ、また、これを明らかに しなければならないということです。韓国は米中の板ばさみという非常に厳しい状況になり、朴槿恵大統領が三年間やってきた『二股外交』を今までどおり続け ることは難しくなりました。その意味で、今回のTHAAD配備は、中国・ロシア・米国の本音が全部出た一つの出来事であったと思います。残りの一年半、朴 政権は苦しい外交政策の運営をしなければならず、厳しい立場におかれるでしょう。」
 また、ロシアの軍事評論家でCIS諸国研究所の専門家、ウラジスラフ・エフセーエフ氏は「今回の措置は、より大きな懸念を中国側から呼び起こしており、その結果、中国政府の北朝鮮問題へのアプローチが変わるかもしれない」と指摘している。
 エフセーエフ氏「中国は、米国の対ミサイル防衛システム配備に対し大変敏感に鋭く反応しています。なぜなら、朝鮮半島から比較的遠 くない場所に基地を置く中国の中距離ミサイルを迎撃できる可能性が生じるからです。韓国にはすでにTHAADシステムの他、イージス艦が配備されており、 海上からミサイルを迎撃できます。 こうした措置に対抗する中国の行動は、おそらく、軍事的性格を持ったものとなるでしょう。
 その課題は、中国のミサイルを迎撃できるような 距離、つまり1000キロ未満に、米国の軍艦を近づかせないということです。そうした目的のために、中国が利用する可能性があるのは、沿岸ミサイル総合施 設や、誘導ミサイル兵器搭載艦船、さらには巡航ミサイル搭載可能な潜水艦です。その際中国は、韓国領内にまさに距離1000キロ未満の標的を発見できる レーダーステーションがあることも考慮するに違いありません。
 レーダーステーションが、韓国領内にある対ミサイル防衛施設と同様、中国を、脅威が生じた時に攻撃する優先的標的とみなしていることは明らかです。その際、中国が核潜在力を利用する可能性も除外されていません。
  また韓国に最新の迎撃ミサイル・システムが配備されたら、結果的に中国の北朝鮮問題に対するアプローチが変わるかもしれません。も し中国が、将来深刻な脅威を感じるとしたら、彼らは北朝鮮に対する制裁緩和に踏み切り、国境をより透明なものにする可能性があります。
 つまり『北朝鮮が核 やミサイル実験を実施するのをやめるよう、平壌の指導部に圧力をかけよう』とする中国の立場が弱まるだろうという事です。その代わりに、中国と北朝鮮の潜 在的関係は温暖化し、あべこべに韓国との関係は冷却化してゆく可能性があります。
 こうした好ましくない状況から抜け出す最良の出口となり得るのは、一つのまとまった地域安全保障システムの創設です。そうしたもの ができれば、朝鮮半島の緊張をほどく助けになるでしょう。
 北朝鮮当局が、若干の対立緩和に向けた期待を示しているにもかかわらず、米国が、そうした動きを妨害するに違いないことは現在すでに明らかです。なぜならそれは、米国の戦略的利益にそぐわないものですから。」  ≫(スプートニク日本)

≪ ロシア人専門家、MDの放射線を危ぶむ星州郡住民の危惧は根拠あり
 米国MD THAADの配備先に決まった韓国南部の慶尚北道星州郡では、地元住民の抗議行動が行なわれた。住民はレーダーから出される放射線の影響を憂慮しており、政権に対して配置決定を覆すよう呼びかけている。
 米国側はレーダーの星州郡への配備は韓国を北朝鮮の潜在的脅威から守るという米国の断固とした決意に裏付けられるものと説明している。だがこれが配備される ことにより、星州郡は自動的に北朝鮮の標的にされてしまう。また韓国の住民たちの間では深刻な問題が生じた。
 それはレーダー施設から放射される強力な電磁 放射線の危険性と関連したものだ。ロシア人軍事専門家のコンスタンチン・シフコフ氏はスプートニクに対して次のような見解を明らかにしている。
  「当然のことながらTHAADのシステムのレーダーは出力がかなり大きい。なぜなら遠距離をかなり低い高度で飛ぶ小さな弾頭を発 見、追跡するには実際にかなり大きな出力が必要だからだ。このためレーダーが周辺領域に対して放射線を照射することは間違いない。米国がこれを市街地に近 い場所に設置した場合、住民の健康は大きな危険にさらされる。通常、こうしたシステムは付近住民への否定的影響を最小化するために居住区から離れた場所に 設置される。このため韓国の住民らの憂慮はもっともなことなのだ。少しでも安全を図ろうとするならば、こうした施設は少なくとも数10キロ、本来ならば 150キロ離れた場所にたてなければならない。」
  スプートニク:仮にこの規則が遵守されないとなると住民の抱いているリスクは現実のものになるのか?
 「米 MDは北朝鮮の戦域戦術ミサイルを無害化する目的で作られたといわれている。おそらくこれは根拠があることだろう。だが住民の側からすれば根拠に欠ける話 だ。なぜなら放射線被害のほかにも住民は直撃対象になってしまうからだ。ミサイルは文字通り自分たちの頭の上に落ちてくることになる。なぜなら米MDがミ サイルを迎撃したとしても、ミサイルは宇宙空間に留まらず、必ずどこかに落ちてくる。ミサイルの軌跡はMDによって変えられてしまっているのだから、それ が落ちてくる先は軍事施設でも司令部でもなく、民間人の頭上になる。」
  韓国の「韓国の平和と統一への連帯」組織のオ・ミチョン事務総長も米MDの韓国配備の決定は朝鮮半島の平和を損ねるだけでなく、韓国国民の安全を脅威にさらすと語っている。
 ロシアと中国もまた、米MDの朝鮮半島展開は地域情勢を不安定化させるだけとの懸念を表している。 先に伝えられたところによると、米国防総省は7日、米韓は朝鮮民主主義人民共和国からの脅威に対抗するために韓国領内への米ミサイル防衛システム THAADの配備に合意したことを明らかにした。  ≫(スプートニク日本)


≪ 韓国、米軍のTHAAD配備予定地を変更へ
 韓国の韓民求(ハンミング)国防相は17日、米軍が来年末までに慶尚北道星州郡(キョンサンブクトソンジュグン)に 配備する高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の予定地を変更する考えを示した。軍事関係筋によれば、現在は韓国軍基地が予定だが、そこから20キロ弱離れたゴルフ場用地を使う見通しという。
 韓氏は同日、星州郡の住民集会に出席。レーダーによる健康被害などへの不安を訴えて予定地の変更を求めた住民らに対し、「地元が意見を出せば検討する」と答えた。
 韓国内では、予定地の変更で配備の時期が遅れることへの懸念や、THAAD配備に反発する中国を勢いづかせることを憂慮する声も出ている。 ≫(朝日新聞デジタル:ソウル=牧野愛博)

■THAAD
元はTheater High-Altitude Air Defense(戦域高高度防空)システムと呼ばれ、クリントン米政権時代に戦術ミサイル防衛(TMD)システムの1つとして開発に着手された。移動式の陸上配備型で、迎撃ミサイルは長さ6.17m、発射重量900kg、100km以上の高高度で弾道ミサイルかその弾頭を迎撃できる能力から「高高度防空」と呼ばれたが、ブッシュ政権のミサイル防 衛計画によって、目標近くで落下してくるミサイル、またはその弾頭の迎撃を行う「終端段階防衛用」とされた。防衛半径は200kmとされる。2005年か ら実用に向けての発射実験を再開、09年から部隊における運用実験が開始される。米陸軍は8連装の自走発射機を80〜99輌(1個部隊は9輌で編成)、迎撃ミサイル1422発、移動式の地上設置型レーダー(GBR)18基の装備を計画している。THAAD用GBRは9.2平方メートルのレーダー面に2万5344個のレーダー素子を並べたXバンド型レーダーで、1000km先でのミサイルや弾頭の探知ができる。04年から実用段階に達し、06年6月末に青森県の車力航空自衛隊分屯地に配備されて、北朝鮮からのミサイル発射の警戒に当たっている。 ≫(知恵蔵2015:江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2008年)


≪安倍首相、オバマ氏の「核先制不使用」に懸念 米紙報道
 米ワシントン・ポスト紙は15日、オバマ大統領が検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍晋三首相が「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」という趣旨の懸念をハリス米太平洋軍司令官に伝えたと報じた。 安倍首相は7月26日に官邸でハリス司令官と会談している。
 先制不使用政策は米国の核政策を大きく転換させるもので、「核なき世界」を掲げるオバマ氏の象徴的な政策になるとみられている。だがこの政策は、韓国や欧州の同盟国にも反対論があるとされる。また米メディアの一部は、ケリー米国務長官など閣僚の中にも反対の声があり、実現の見通しは不透明だと伝えている。 ≫(朝日新聞デジタル:ワシントン=杉山正)

 ≪ 「核先制不使用に懸念」報道、安倍首相が否定
 安倍晋三首相は20日、オバマ米大統領が検討している核兵器の先制不使用政策への懸念を、自らがハリス米太平洋軍司令官に伝えたとする米紙報道について、「ハリス司令官との間において、アメリカの核の先制不使用についてのやりとりは全くなかった。どうしてこんな報道になるのか分からない」と述べ、否定した。羽田空港で記者団の質問に答えた。
 首相は「オバマ大統領と広島を訪問し、核なき世界に向けて強いメッセージと決意を表明した。着実に前進するように努力を重ねていきたい」と強調。一方で「先制不使用について米側はまだ何の決定も行っていない。今後とも米国政府と緊密に意思疎通を図っていきたい」と語り、先制不使用についての首相自身の見解は明らかにしなかった。
 ワシントン・ポスト紙は15日、複数の米当局者の話として、首相がハリス氏に「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」として、先制不使用政策への懸念を伝えたと報じた。首相はハリス氏と7月26日に首相官邸で面会している。  ≫(朝日新聞デジタル:大久保貴裕)

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●行き先不明の寝台車 「皆さん、行き先は知っていますか?」 

2016年08月20日 | 日記
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●行き先不明の寝台車 「皆さん、行き先は知っていますか?」 

 ブログで、“政治・経済・国際”のカテゴリーを中心に、コラムを書いているが、生業でもないし、専門家ではないので、何らかの記事や事件に触発されて、適当に事実関係を確認した上で、あとは、思いつくままに、ダダダッと書きあげる。口からの出任せと云うか、正直、思いつくままに執筆しているのが現状だ。無論、その全貌をイメージするために、頭の中に納まっている、知識や信条、イデオロギーなどが加わると云う按配だ。その中には、未来想像図も含まれる。この想像図は、推論、推測、想像、妄想等々雑多に含まれている。全身全霊を注いでいるとは思えないが、それでも、書き終えて、blogにアップするまでに、90分程度はかかる。おおむね丸8年間だから、24万分は、このサイトの更新に費やしている(笑)。無駄と云えば無駄なのだが、その都度、ある程度までは調べるので、本業の知識習得に役立たないわけでもない。

 筆者の推論、推測、想像、妄想等々を含んだ、日本及び世界の20年後を予想してみるのも、結構愉しい。筆者は、その頃70歳になっているので、日本政府が存在すれば、悠々自適?の老後を迎えている筈である。しかし、その期待値は、現在の安倍・黒田による経済・財政・金融政策が続く限り、“春の夜の夢”になるのだろうな、と想像している。安倍が舵取りをしようが、民進党の「蓮舫代表?」が舵取りをしようと、結果は五十歩百歩になるのだろう。以下の、古賀茂明氏のような聡明な人物でも、一定の希望を、日本と云う国に抱いている。たしかに、経済なのだから、思考経路と、その手順を見直すことによって、悪化の速度にブレーキを掛けることは出来る。

 しかし、あくまで減速であって、悲観的方向に国民の生活水準が向かうことに変わりはない。筆者の未来予想図のように、阿鼻叫喚な様相に思いを馳せるような考えは、あまりにも事実ズバリ過ぎて、生きる気力さえ萎えるかもしれないので、歓んで迎えられる想像図ではないのだろう。物質的に、何も満たされないことに愕然とするのは、あらゆる世論調査で、国民の興味は「景気雇用、社会保障」が常に上位にあり、政治や役人は、立場上、その世論に迎合せざるを得ないのである。国民が総じて、トリクルダウン現象、乃至は「お上の神の手」が差し出されるのではないかと、経済の好循環や社会福祉国家を妄信しているからに相違ない。

 おそらく、現在の生活水準から、20年後は、5割近く悪化すると考えておいて間違いはない。おそらく、それでも、衣食住において、生命を維持する程度の生活は出来ると考えている。おそらく、主だった、国を動かしている人々も、生命が維持出来ることイコール、文化的最低限度の生活の保障だと、既に開き直っていると考えるのが妥当だ。実際に、団塊世代が、この世から殆どいなくなる時代の人口構成を予測すれば、現在の現役世代が80歳を迎えるころには円柱形にはなっている。少なくとも、逆ピラミッド現象からは脱却するので、20年経過後の我が国は、多少の将来展望を描けるのかもしれない。

 この大まかな長期予想図では、現在65歳以上の人々に恩恵はなく、一方的に右肩下がりな生活を味わうが、それ以下の世代の生活や老後等々は、“ノベタン”なもので、愕然とすることもないと推測できる。中間層が限りなく減少するが、殆どに人が貧困層なのだから、怨嗟も起きず、意外に無気力で平和かもしれない。分厚い中間層を味わった連中には、ひどく物足りないが、高度経済成長期やバブル期を知らない世代にとって、それ程、阿鼻叫喚ではない。彼らの多くは、経済成長など端から信用していないだろうし、衣食住+只同然のファンに慣れているのだから。まあ、孫正義が主張するように、『シンギュラリティー』による、超知性と云う世界が訪れれば、平均寿命150歳、定年90歳と云う世界が来ると云う事も、まんざら妄想ではないだろう(笑)。


≪ 『これが「アベノミクスの失敗」を証明する経済指標だ!』
古賀茂明氏―週プレNEWS

【「アベノミクスの再加速」を掲げ参院選に勝利した安倍政権。だが、その直後に都合の悪いデータがひっそりと公開されていたという。 古賀茂明氏が、アベノミクスの失敗を認めない安倍首相のゴマカシを見抜く!】


 

都知事選のドサクサに紛れ、あまりニュースにならなかったが、参院選直後の7月13日にひっそりと開かれた政府の経済財政諮問会議で、アベノミクスの失敗を証明する重要な経済指標が明らかになった。
まずは実質GDP(国内総生産)。今年1月、政府がまとめた今年度のGDP成長率の経済見通しはプラス1.7%だった。ところが、今回の試算では前年比0.9%へと下方修正された。アベノミクスの目標達成に必要な2%成長には遠く及ばない数字だ。
まず、GDPの6割を占める民間消費が振るわない。年初に2.0%と見積もられた伸び率は0.9%と、1%を下回った。
さらに深刻なのが民間住宅投資だ。年初に3.8%と大幅増を見込んでいたのに、今回試算は0.8%で、3%も下振れした計算だ。
金融緩和と財政出動で、円安→輸出増→企業増収→株高→給与アップ→消費拡大という経済の好循環を実現し、デフレを脱却するというのがアベノミクスの基本路線だ。
しかし、経済指標を見る限り、そのもくろみは失敗したといっていいだろう。 その最大の原因は実質賃金が4年連続マイナスになっていることだ。国民の使えるお金が少ないのだから、消費も住宅投資も伸びず、その結果、GDPも伸びない。
16年上半期の首都圏のマンション販売戸数は、前年同期比19・8%減で、24年ぶりの落ち込みになった(不動産経済研究所調査)。住宅投資の落ち込みはマンション価格が大幅に上昇したせいだろう。
東日本大震災の復興、東京五輪特需、さらには「国土強靱(きょうじん)化」と称する公共事業のバラマキ政策などで建設資材価格や人件費といった建築コストが上昇し、住宅価格が高騰している。
都心の人気エリアでは2割上昇などざらで、今や首都圏のマンション販売価格はサラリーマンの平均年収の11倍を超える高値になってしまった。 住宅購入を考える人々の多くは購入のための頭金を積み増すために、さらに貯金に励んでいると推測できる。これでは消費はいつまでたっても拡大せず、景気がよくなるはずがない。
本来なら、こうした経済指標の下振れを受けて、経済政策を転換しなければならない。まずは公共事業を手控える。そうすれば、工事発注が減って人手不 足や資材不足が解消され、建築コストが安くなるので、マンション価格も下がる。すると住宅購入に動く人が増え、耐久消費財などの売り上げも好転するだろう。
同時に、公共事業の削減で浮いた予算を社会保障や貧困対策に回す。人々の生活への不安が減れば、消費は拡大に向かうはず。
しかし、政府にそうした政策変更の様子は見られない。それどころか、政策変更につながる都合の悪いデータは隠してしまえと考えているフシさえある。
とっくにわかっていた重要な経済指標を、参院選直後にオープンにしたのがその証拠だ。この時期なら、世間の耳目は参院選の結果や都知事選を巡る各候補の動きに集中する。 だが、こんなゴマカシはいつまでも通用しない。首相はアベノミクスの失敗を認め、速やかに政策転換に乗り出すべきだ。
 ≫(フォーラム・フォー:週プレNEWSより)


≪ 退任撤回、アーム買収 孫正義「本音を話そう」
生まれ変わるソフトバンクグループ

【 ソフトバンクグループの孫正義社長が人生最大の賭けに打って出た。  来年8月に予定していた退任を今年6月に撤回すると、7月には約3.3兆円で英半導体大手のアーム・ホールディングスを買収した。  アームは、スマートフォンやタブレット端末などの頭脳と言える「CPU(中央処理演算装置」の設計開発を手掛け、スマートフォン向けでは世界で95%以上の市場シェアを誇る。  ソフトバンクグループはこの企業を買収し、どうしようと言うのか。孫社長はどんな近未来の到来を予見しているのか。  「私は常に7手先まで読みながら碁の石を打っていく。まあ、わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない」――。英国での買収記者会見でこう語った孫社長。ならば、本人の口から説明してもらおう。 (聞き手は、井上理、田村賢司主任編集委員、水野孝彦、大西孝弘=日経エコロジー) 】

 「まだ、隠しておきたい部分がいろいろとあるんですよ。どうせ言っても信じてもらえないでしょうしね。けれども、せっかくですから、今日は少し、本音のところを話したいと思います」
 「僕は『シンギュラリティー』は必ずやってくると信じている。つまり20年とか30年という時間軸で、人間が生み出した人工知能による『超知性』 が、人間の知的能力をはるかに超えていくと。一度超えると、もう二度と人類が逆転できないほどの差が開いていくと思うんですね」

 ■超知性は人類を幸せにする
 「超知性が人間の英知を超えていくということに、多くの人は恐れを抱くと思うんですけれども、僕はそれは人間の幸せと『ハーモナイズ』できると、そう思っているんですよ」
 「例えば、自然界の大災害。これを人間の手で止めることはできないけれども、いつどこで、どの規模で災害が発生するかを的確に予知することは、超知性によってできるようになる。災害による被害を最小限にとどめることができるようになると」
 「あるいは、今まで人類が不治の病としていた、人間の知恵では解決できなかった病気が解決できるようになる。超知性は、人類の不幸な部分を減らすことができるわけです」
 「僕はそういう社会が来ることを望んでいるし、それは誰かが止めることができるものでもなくて、自然とそうなっていく。その時、必ず悪い意図を持っ て技術の進化を迎え入れようとする人も出てきてしまう。けれども我々は、社会を幸せなものにしようとする人を一人でも多く増やすために、良き心を持った側として貢献していきたいと思っているんですね」
 「ただし、貢献したいという気持ちだけではだめで『手だて』を持ってなきゃいけない。その手だてとして最強となるのが、まさにアームなんです」
 「超知性は『ディープラーニング(深層学習)』によって進化していく。シンプルに言うと、見たもの、聞いたもの、触ったもの、あらゆるデータを全部学習しなさいということです。そのデータはどこから来るか。それは、アームのCPUなんです」
 「アームは、昨年1年間の実績でインテルの約40倍のCPUを世の中に出しています(編集部注:アームのライセンス供与を受け製造されたチップの総数)。これからIoT(モノのインターネット化)の時代に入り、その数はますます増えていく」

 ■アームをどう変えるのか
 「20年という単位で見れば、アームのチップは1兆個、地球上にばらまかれる。20年後には全世界のCPUの圧倒的大半になっているだろうと。つまり、地球上の森羅万象をより広く早く的確に把握できるようになる。そこからやってくる様々なデータ、これが、超知性の進化、人類の幸せへのカギになると 僕は思っているんです」
 「それは当然、我々だけで成し遂げられるものではない。我々は『プラットフォーム』に徹する。要するに、パートナーシップモデルです」
 「世界中の企業やエンジニアたちが何百万種類というアプリケーションを米アップルや米グーグルが作ったプラットフォームの上で開発している。それ と同じで、医学や自動車といった分野ごとに我々のプラットフォームを活用する人々がたくさん登場すると。データを収集する機器を作ったり個人から許諾を得たりしたあらゆる企業が、そのデータを活用していくようになるはずです」

【 人類に幸せをもたらす超知性の到来に備え、あらゆる企業が活用しやすいプラットフォームをアームを軸に築いていく。そのために孫社長はアームをどう変えていこうとしているのか。孫社長のアタマの中にはどこまで具体的な絵が描かれているのだろうか。 】

 「ここ最近、アームの経営陣と何度も話をしているんですけれど、彼ら自身がはっきりと言っているのは、自分たちはチップの設計はできると。しかし、チップが出荷された後、どういう形で本当のプラットフォームになっていくべきかということについては、実は経験も手だてもないと」
「もう一つは、これからIoTだとか、いろいろなパラダイムシフトが待ち受けていることに自分たちはワクワクしている。本来は積極的に先行投資をしてもっとエンジンを噴かすべきだけれど、自分たちとしては歯がゆいことにコントロールしながら経営をしている」
 「つまり上場企業として四半期ごとに利益を着実に伸ばしていかなければならないジレンマの中でやっていると。具体的には、エンジニアの数をもっと増やして、もっと研究開発費もつぎ込みたいということです」
 「それが今回、ソフトバンクグループの傘下になり、非上場となることで、目先の最終利益を一時的に傷めてでも先行投資して、一気に加速できるようになるのはありがたいと。もう大歓迎だと言って、喜んでいるんですね」
 「この先、あまり詳しい計画はまだ言いたくないけれども、やる以上は、当然ケチくさいことは考えていません」
 「(プラットフォームを)どこまでどういう形で、いつ実現させるのか、というのはいろいろなバランスで考えなきゃいけない。でも、心構えとして は、広く多くの人々に貢献したいと、心底、そう思っている。だから、そこに対する一つの責任として、僕は少なくとも10年くらいは社長を継続したいと思ったんです」

■ニケシュ・アローラ氏退任の真相は?

【グーグルから三顧の礼をもって迎えたニケシュ・アローラ氏。来年8月11日に迎える還暦の誕生日に社長を託そうと考えていた孫社長だが、シンギュラリティーや超知性への欲望をかき立てられ、翻意した。孫社長がアローラ氏に本心を告げたのは6月中旬とされる。すると、アローラ氏はソフトバンクを去った。 以上が、これまでの公式見解である  だが、市場関係者などの間では様々な臆測を呼んだ。「投資方針を巡り、孫社長とアローラ氏に確執があったのではないか」「アームの買収で何らかの齟齬があったのでは」との邪推も広がった。真相はどうだったのだろうか。】

日経ビジネス8月8日・15日合併号緊急特集では、「アローラ氏退任の真相」から、孫社長が考える「超知性による近未来の世界」「アームによるプラットフォームの具体像」まで、インタビューの全編をご覧いただけます。
 また、ソフトバンクグループを待ち受ける4つの懸念、「IoT時代の盟主となれるか」「既存事業とシナジー出せるか」「有利子負債など財務リスク」「振り出しに戻った後継者リスク」についても検証しています。孫社長はどう答えるのか。合わせてお読みください。

 ≫(日経BP ONLINE>ビジネス>政治・経済・国際>ニュースを斬る)
 

注:シンギュラリィティ
≪技術的特異点(ぎじゅつてきとくいてん、英語:Technological Singularity)、またはシンギュラリティ(Singularity)とは、人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事[1][2]とされ、テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうとする未来予測のこと[3]。未来研究においては、正確かつ信頼できる、人類の技術開発の歴史から推測され得る未来モデルの限界点と位置づけられている。≫(Wikipedia抜粋)

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●民進党って“解党したの?” そんな錯覚に陥る昨今なのだが

2016年08月19日 | 日記
「号外」で見る戦後史 (別冊宝島 2486)
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●民進党って“解党したの?” そんな錯覚に陥る昨今なのだが

 たまには、民進党と云う政党について語ってみたいのだが、どうも、その気になれない(笑)。代表選も、事実上「蓮舫代表」で決まったようなものなのだから、党員やサポーターになって、投票するぞ、と云う意欲は湧いてこない。細野は戦意喪失だし、前原に至っては、20人の推薦人が集められない惨状だと云う。何だったっけ?そうそう「凌雲会」とか云うグループ束ねて、派閥領袖気取りだったようだが、今や、民進党におけるポジションはなきに等しいもののようである。

 まあ、付和雷同と云うか、雪崩現象で、「蓮舫代表」で決まるとして、その先には、どのような展望があるのだろうか。皆目見当がつかない。筆者が、興味を失っている所為かもしれないが、野田佳彦を抱えた或いは抱えられた「蓮舫代表」に期待しろと言う方が無茶だろう。“脱野田宣言”をする勇気があれば、蓮舫代表で、民進党は変るかもと云うメッセージ性もあるだろうが、現時点で、そんな噂を耳にすることはない。安倍自民党が、余程のドジでも踏まない限り、自公という、野合政権は続くようだ。今や、メディアにとって、民進党は“いじくり対象政党”になりつつある。

 産経新聞などに、弄り回されるようでは、錯覚ではなく、本当に解党した方が良いようにも思える。しかし、立ちどまって考えてみると、いまの民進党と云う政党は、幾つに分割すればスキットするのかすら判らない。感覚的には、連合系、右派系、左派系、中道だろうが、どの議員も“蝙蝠”のように見えてくる。やはり、安倍自民党に対抗するためには、対米自立、定常経済、日米中等距離外交路線等々の新機軸を打ち出さなければ、どちらに転んでも、既存社会の継承政党になるので、それなら、自民党で良いじゃないかとなる。まあ、世論が「こりゃ、もう駄目だ」と自暴自棄になるレベルまで、“ゆで蛙”がお湯の熱さに気づくまで、お茶を濁す政党と云うことか。

 個人的な希望としては、自民党の中道やリベラル派との連携の可能性があるのかと云う問題だ。現状では、煙も立たないだろう。安倍政権が、戦争でも起こすか、ハイパーインフレで、市民生活が立ち行かなくようなシビア・アクシデントが起きれば、世論の動向如何と云うことはあるかもしれない。野党連合も、来るべき政権の大枠くらい有権者に示さないことには、強い支持を得る可能性が、低い事実を先の参議院選で知った。いっそ、社会民主主義的立ち位置で、共産・生活・社民で枠組みを作り、10年スパンの定置網計画を立てるのも一考だろう。正直、明確に方向性を、想像だけでも語れないところに、いまの「民進党」の問題点があるのだろう。以下は、民進党に関して扱った、産経新聞と日刊ゲンダイの記事である。参考引用しておく。

≪ 民進党新代表はホントに蓮舫氏で決まりなのか?
  出馬見送り、蓮舫氏支援に転じた細野豪志氏に怒りの声続出  民進党代表選(9月2日告示、15日投開票)を前に、立候補を表明した蓮舫代表代行が“独走状態”に入りつつある。「仕分けの女王」などで広がった知名度に加え、非主流派内の対抗馬擁立が難航しているためだ。ただ自ら名付けた「蓮舫路線」も、野党共闘や憲法改正をめぐっては現時点で岡田克也代表が 敷いた路線とほぼ変わりなく、岡田氏と距離を置く非主流派からは「執行部を一新できるのか」といった不満も渦巻く。決して視界良好とは言えないようだ。
 「党内の有力者やグループを回って、どのグループとも政策やスタンスが一致するなんてあり得ない。彼女は二枚舌なのか」  ある民進党関係者は、5日に代表選への出馬を表明した蓮舫氏を念頭にこう漏らした。
  蓮舫氏はこれまで、旧社会党系グループを束ねる赤松広隆前衆院副議長のほか、旧民社党系グループに強い影響力を持つ川端達夫衆院副議長、党内派閥「自誓会」会長の細野豪志元環境相らと会談。岡田氏が道筋をつけた共産党との共闘路線や憲法改正などをめぐって意見交換を重ねてきた。
 先の関係者は、同じ民進党内とはいえスタンスにそれぞれ差異がある各グループとの会談を重ねても、意見の違いや衝突が露見しない蓮舫氏の“八方美人”ぶりを皮肉ったのだ。
 ただ党執行部のメンバーであり、岡田氏を支持する野田佳彦前首相のグループ「花斉会」に所属する蓮舫氏が、岡田体制の抜本的見直しに踏み切ることはないという見方が、党内では強い。
  現に5日の出馬会見でも、「岡田色」の払拭を意識してか、自らの路線を「蓮舫路線」と打ち出し、提案型の政党を目指す考えを強調したものの、代表選の焦点になるとみられる共産党との共闘関係に話題が及ぶと失速。「綱領や政策が違うところとは一緒に政権を目指さない。野党連携のあり方についてはこれまでの基本的枠組みは維持しつつ、検討を必要とする」と述べ、岡田路線の踏襲をにじませた。
 「憲法9条は絶対に守る」と公言した姿勢は、現執行部のスタンスと変わらない。岡田氏が参院選後に安倍晋三政権下での改憲論議の禁を解いたのと呼応するように、蓮舫氏も「平和主義」「主権在民」「基本的人権の尊重」を維持した上で、必要に応じ地方自治の条文を対象に党内で議論していく方向性を示した。
 こうした蓮舫氏の態度に非主流派は「蓮舫氏が代表になっても、党の刷新にはつながらない」と反発するが、肝心の蓮舫氏の対抗馬擁立に向けては足並みがそろっていない。
 これまで細野氏の自誓会と大畠章宏元国土交通相の「素交会」、旧維新の党グループの3派は蓮舫氏の無投票当選を回避するため、党執行部人事を一新できる候補者の選出を目指して調整を続けてきた。
 しかし6日に開かれた3派会合で細野氏が突然、蓮舫氏支援を明言。同席していた素交会の鹿野道彦元農林水産相はたまらず「出て行け!」と怒声を上げ、細野氏と素交会、旧維新の党グループとは決裂状態になった。
 素交会に所属する中堅議員は「細野氏にはしごを外された。政治家に求められる最低限のモラルを分かっていない」と恨み節を漏らす。
  3派間での候補者調整が進まない中、「凌雲会」グループを束ねる前原誠司元外相が赤松氏らと意見交換し、出馬に意欲を見せる。前原氏は推薦人20人の確保に苦戦する中、雑誌「世界」(今年9月号)での対談で「憲法改正が『最重要課題』とは考えていない」と明言。憲法改正に前向きなスタンスから一歩下がり、幅広い支持を得ようとする姿勢に、リベラル系の赤松氏のグループ内では「前原氏も政治家だ」と評価する声も上がっている。
 ただ党内からは 「旧民主党時代に代表を経験し、世代交代とは言えない」「この代表選に出て勝たなければ、もはやグループが持たない」といった指摘があり、「行くも地獄、 引くも地獄」のジレンマに陥っている。非主流派は17日以降に再び候補者調整の動きを再開する見込みだが、蓮舫氏を打ち破るハードルは相当に高い。 ≫(産経新聞:政治部 清宮真一)


 蓮舫の二枚舌は野田師匠譲りだから年季が入っている。“シロアリ退治”“仕分けの女王”案外波長が合うのかもしれない。八方美人な行動で支持を固める状況なのだから、旧民主党(鳩山・小沢が抜けた後の)の既得権勢力維持政党と云う立ち位置は一切変わらないようだから、岡田でも、細野でも、蓮舫でも、結果は同じだろう。拡大解釈をしてしまえば、自民党同様の既存社会の持続が前提なのだから、有権者にとって、何を基準に選択肢を探せばいいのか、酷く判りづらい野党の姿は、当分続きそうだ。


≪ 前原元外相 手の平返しで小沢一郎氏にすり寄る“無節操”
 すでに「蓮舫代表」が既定路線となっている9月15日の民進党の代表選。対抗馬と目された細野豪志元環境相は蓮舫支持に回り、若手も推薦人が集まらず現在、“口だけ番長”の前原誠司元外相(54)だけが、代表選に出馬するため必死に人数を集めている状況だ。その前原氏は、生活の小沢一郎代表に急接近しているという。
「代表選に立候補するためには、20人の推薦人が必要ですが、前原グループは実質10人程度しかいない。当初は、細野グループ10人を率いる細野さんに協力してもらうつもりでしたが、細野さんが蓮舫支持に回り、計算が狂ってしまった。仕方なく、旧社会党系にまで支援を要請している状況です。前原さんは根っからの右派ですが、なりふり構っていられないのでしょう」(民進党関係者)
 行き詰まった前原氏が最後に頼っているのは「旧小沢グループ」だという。小沢グループの中心メンバーだった松野頼久や松木謙公氏と数回、会談し、小沢氏本人とも直接会ったという。民進党内には10人以上の「小沢シンパ」がいるだけに、「旧小沢グループ」の支援を得られれば、代表選に立候補できる。
「もともと松野頼久や松木謙公氏は、小沢さんと近い細野豪志氏を代表に就け、細野代表の権限で小沢さんを復党させるつもりでした。でも、細野氏が代表選に立候補しないことが決まり、計画は頓挫してしまった。松野、松木の両氏は、いずれ小沢さんを復党させるつもりがあるのかどうか、前原氏に対しても確認しているはずです」(政界関係者)
 小沢一郎氏と会った前原氏は、「小沢さんはすごい。小沢さんとの関係をもっとうまくやるべきだった」と口にし始めているそうだ。“天敵”だった前原氏が小沢氏と急接近し、今や小沢氏の復党に強硬に反対しているのは、野田佳彦、菅直人、枝野幸男の3氏ぐらいだという。
 しかし、小沢氏を散々、悪人呼ばわりしておきながら、今頃「小沢さんはすごい」と気付くのは遅過ぎるのではないか。  ≫(日刊ゲンダイ)

新解釈 日本書紀 封印された古代史 (別冊宝島 2493)
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●企業業績の悪化の責任 経営者の責任指摘は、お門違い!

2016年08月18日 | 日記
中世の秋 (上巻) (中公文庫)
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中世の秋 (下巻) (中公文庫)
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●企業業績の悪化の責任 経営者の責任指摘は、お門違い!

 以下は穏健な経済中心に情報を発信するノンフィクション作家・町田徹氏のコラムだ。しかし、日本企業の今期以降の業績悪化を、企業責任と云う結論で締めくくる以下のコラムは、相当の違和感を持って読んだ。筆者も企業人であった事を思うと、到底、民間企業や経営者の責任に帰結されては、堪ったもんじゃない、と云う気分になってしまう(笑)。

 一つは、常に言い続けていることだが、先進諸国の経済成長は、フロンティア地域を失い、飽和状態になっている、実物経済から金融経済と、手変え品変え「資本主義の接続可能秩序」に努力はしてきたものの、構造的に万策尽きた感がある。つまり、金融資本主義で、どれ程詐術的統計を捻りだしても、ファンダメンタルである実物経済が、カンフル剤を打たれても、もう余力を残していないことは、実は自明に近いのだ。このような経済事情は、先進国や発展途上国を大きな網で囲い込んでいるので、一企業の打てる手は限定的になる。骨折り損のくたびれ儲けと云う構造的な問題だ。

 二つ目が、日本独自の元凶が、多くの日銀弥縫策の結果、疾患を、より深刻な症状に持ち込んでしまったことである。俗に言うところ「アホノミクス」、取り消しが出来ない安倍政権と日銀による経済成長神話の醸成だ。これは、冗談を通り越して深刻だろう。日本経済が悪化する材料は、星の数ほど言い募ることが可能だが、日本経済が好転する材料は、幻想でも捏造しないと、何ひとつ出てこない。円は、年内に確実に対ドル90円台に突入するし、アベノミクスの唯一の功績、「株高」も「株安」に転じていくだろう。このまま、アベノミクスを加速させると意地を張っている内に、大半の上場企業の大株主が、「日銀」になってしまう日も遠くはない。

 日銀黒田が実行している「異次元の金融緩和」第何弾だか忘れたが、打てば打つほど、国家の富がマヤカシの富になる。延いては、国民の富が、安倍と黒田によって、合法的に略奪される結論になるだろう。その上にだ、市場の経済成長が、ほぼないと世界の経済学者たちが追認する状況になれば、日本の腐れ経済学者たちも、「経済成長は神話でした」と言い出すだろう。いや、既に多くの識者が、自説を覆し、学者としての良識を取り戻したように、口を拭い出した。この現象を目撃して、イケイケドンドンの日経も、かなり不安で弱気な「アリバイ記事」を書き始めた。その日経の記事と町田氏のコラムを、以下に参考引用しておく。


 ≪ かき消される進言 経済学界、安倍政権と溝
増税延期2度のトラウマ
 アベノミクスを掲げる安倍晋三内閣と、日本の経済学界との間にすきま風が吹いている。学界の一部には安倍内閣との距離を縮めようとする動きがあるが、溝は埋まりそうもない。  政府の規制改革会議は7月末で設置期限を迎え、鶴光太郎・慶応大学教授は雇用ワーキング・グループ座長を退任した。政府の成長戦略の本丸ともいえ る労働市場改革に積極的に関与しようとしたが、徒労感が漂う。グループ内で議論を重ね、正社員改革の柱として労働時間規制の見直しなどを提案しても安倍官邸には聞き入れられず、「悔しい思いをする場面が何度もあった」。
 「政府の側から研究者に数年先までの政策課題をわかりやすく示してほしい」。6月18日、日本最大の経済学会である日本経済学会のセッションで、大竹文雄・大阪大学教授は内閣府の担当者に詰め寄った。  このセッションでは内閣府の担当者が登壇し、西川正郎次官も会場で質疑応答に加わった。日本経済学会は大学に所属する経済学者や研究機関の研究者が会員の大半を占め、学会発表の主体は経済学者。官僚が姿を見せるのは珍しい。
  テーマは「エビデンス(証拠)に基づく政策立案・評価と政策研究」。専門家によるデータ分析を政策に反映させ、税金の無駄遣い、効果が乏しい政策を回避しようとする考え方で、世界の潮流になりつつある。「日本の政策決定にはエビデンスが欠けている」と危機感を持つ大竹教授らが内閣府に働きかけ、共催が実現した。
 学会と内閣府が足並みをそろえるのは一歩前進だが、政策決定の手綱を握る安倍官邸に声が届かない限りあまり意味がない。セッションでは「政治家は短期的な最適解を求めがちだ。長期的な最適解を追求する研究者とは立場が異なる」(伊藤由希子・東京学芸大学准教授)との発言も出た。
  経済学界にとってのトラウマは、安倍内閣による2度の消費増税延期。とりわけ6月1日に首相が再延期を表明したとき「やはりそうか」とため息をついた経済学者は少なくない。土居丈朗・慶応大学教授もその一人。5月の伊勢志摩サミット前に、増税反対派のポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大学教授らを首相官邸に呼んだ時点で「安倍首相の意図は明らかだった」。
 予定通りの増税を求める日本の経済学者は多かったが、「首相は最初から再延期ありきで、日本の学者の意見を聞くつもりはなかった」とみる向きは多い。
 安倍内閣は分野別に様々な会議を立ち上げ、経済学者もメンバーに加えている。表向きは意見に耳を傾ける姿勢を示すものの、会議に参加した経済学者からは「有権者に受けそうな項目をつまみ食いしているだけで、一貫性がない」との不満が漏れる。
  日本の経済学界の側にも原因がある。現在はミクロ経済学を中心とする理論分析が研究の主流で、米国などの著名な学術雑誌への論文の掲載件数で学界での評価が決まる。日本政府に協力してマクロのデータ分析に取り組んでも学界での評価につながりにくいとあって、政策評価を専門にする学者はほとんどいない。
 政策評価を実施するにしても「予算の無駄を削り、市場の効率をよくする」という視点での分析となる。政府が2日、閣議決定した経済対策にも多くの学者が厳しい視線を注ぐ。安倍内閣にとっては煙たい存在だろう。
  摩擦を覚悟で政府の会議に参加しても、経済学者の個々の意見は、かき消されがち。政策評価に早くから関心を寄せ、日本経済学会での議論を主導する大橋弘・ 東京大学教授でさえ、「政策決定に中途半端に関わるのをやめ、研究活動に専念したいと考える学者が増えるのも無理はない」との見方を示す。
 「ここで諦めるわけにはいかない」と土居教授は語る。政府の税制調査会、社会保障制度改革推進会議などに参加する土居氏は「安倍官邸の目が届いていない分野は多く、データを基に議論を積み重ねていけば、経済学者の意見も政策に反映される」とみるが、壁は厚い。 
 ≫(日経新聞電子版:編集委員 前田裕之)


 ≪ リーマンショック以来の悪い数字も… 日本企業の「不振」はここまで深刻になっていた!
まだまだ悪くなる…かも

■悪条件ばかり
 円高、チャイナショック、Brexit(英国のEU離脱)、爆買いの沈静化、そして消費の減速……。
 速報値によると、日本企業の4~6月期(第一四半期)決算は「経常利益」の合計が3四半期連続の減益になった。しかも減益幅は前年同期比で15.9%減と大幅だ。
 この速報値は、時事通信が、先週水曜日(8月10日)までに発表を終えた東証1部上場1219社(金融を除く。全体の96%に相当)の決算を集計したものだ。米国会計基準や国際会計基準を採用する企業については、「経常利益」の代わりに概念のよく似た「税引き前利益」で計算したという。
 一方、個別の決算発表で目立ったのは、日本の成長に不可欠な輸出を支える製造業の不振だ。大手鉄鋼2社や造船、海運会社が経常赤字に転落したほか、自動車や電機も減益率が大きかった。
 GDP指標では輸出扱いになる“爆買い”も一時の勢いがなく、これまで底堅い動きを保ってきた内需企業の低迷に拍車をかけた。
 まだ1年度の4分の1にあたる3ヵ月が経過したばかりなのに、早くも全体の6%にあたる71社が通期の業績予想の下方修正に踏み切り、先行きに赤信号を灯したという。このままでは2017年3月期通期が2期連続減益になるのは必至だ。
 四半期ごとに巡ってくる上場企業の決算発表は、1ヵ月以上の期間に分散するのが恒例だ。今回一番乗りを果たしたのは、7月1日に発表した焼肉チェー ン「あみやき亭」(本社:愛知県春日井市)だ。内需型企業の潮目を象徴するような決算で、経常利益が前年同期比6.5%減の7億4300万円と、前年同期 (8.9%増の7億9500万円)から一転、減益になった。
 同社の決算短信は「牛肉価格の高止まりの中で、人手不足解消のために人件費が嵩んだことと、消費者マインドの低下が響いた」としている。

 ■リーマンショック以来の衝撃
 ここで経常利益という概念をおさらいしておこう。一口に利益と言っても、営業利益、経常利益、当期利益など様々な概念がある。
 営業利益は、本業の稼ぎに焦点を当てた概念だ。売上高から材料費や人件費、宣伝・広告費などのコスト(経費)を引いたもので、売上高が伸びてもそれ以上にコストが嵩むと営業減益や営業赤字に転落する。
 経常利益は、その営業利益に受取利息などを足す一方、銀行借り入れや社債の元利払いの費用を引いたものだ。つまり、本業と金繰りを勘案して、事業全 般の活動ぶりを示す利益の概念である。会計の日本基準を採用している企業の場合、業績の好不調を見るのに最も相応しい概念と言える。
 最後が当期純利益(最終利益)だ。人生に平時と異なるイベントがあるように、企業も本業とは無縁の土地売買や天災・事故などで予想外の特別損益が発 生することがある。それらを控除したうえで税金を差し引き、残った最終的な利益が当期利益(最終利益)だ。配当金の原資なので、株主にとっては最も関心の高い利益である。
 今回(4~6月期決算)の特色は、上場企業が円高の直撃を受けたことだ。前年同期に1ドル=120円台前半だった円相場が、10円前後の円高となったことが響いたのである。
 時事通信の集計によると、東証1部上場の1219社の売上高は5.9%減となった。一方、人件費など諸経費の上昇で、経常利益が売上高を上回る減少を記録したという。
 また、日本経済新聞の集計(8月6日までに発表を終えた1055社が対象)によると、経常減益社数が全体の58%に達した。これはリーマンショックの影響が残っていた2009年7~9月期(62%)以来の高水準で、企業業績の不振は深刻と言うべき状況だ。

 ■二つの悪条件
 業種別に見ると、円高とチャイナショックのダブルパンチを浴びた形となったのが、鉄鋼や造船、海運だ。
・売上高が前年同期比16.9%減の1兆511億円に落ち込んだ新日鉄住金は120億5000万円の経常赤字(前年同期は844億2200万円の黒 字)に、売上高が同13.6%減の7406億6500万円となったJFEスチールも133億6800万円の経常赤字(前年同期は287億700万円の黒字)に転落した。
 海運の日本郵船も売上高が同20.0%減の4707億5900万円、経常収益が99億2400万円の赤字(前期同期は215億円の黒字)に、三菱重工業は造船事業の不振が響いて売上高が同9.0%減の8472億8100万円、経常収益が166億800万円の赤字(前期同期は616億2500万円の黒 字)にそれぞれなった。
 自動車も深刻だ。
 大手7社の売上高をみると、富士重工業だけが販売台数を伸ばして増収(前年同期比0.5%増の7693億7800万円)基調を確保したものの、他の6社はそろって円高の影響をカバーしきれず、トヨタ自動車(前年同期比5.7%減の6兆5891億1300万円)、本田技研工業(6.3%減の3兆 4717億3000万円)、日産自動車(同8.4%減の2兆6544億9900万円)、マツダ(同3.7%減の7762億400万円)、スズキ(同 2.4%減の7540億3100万円)、三菱自動車(同14.3%減の4287億3200万円)がそろって減収となった。
 国際会計基準の税引き前利益でトヨタ(前年同期比19.9%減の6770億5600万円)とホンダ(同2.2%増の2884億9200万円)の明暗が分かれた以外は、国内基準の日産(同8.2%減の1982億4700万円)、マツダ(17.7%減の449億2800万円)、富士重(同8.7%減の 1187億9500万円)、スズキ(同1.7%減の612億7800万円)、三菱自(同81.9%減の43億7100万円)といずれも経常減益だった。三菱自が極端に不調だったのは、燃費不正問題の影響だ。 電機でも傾向は自動車と似たり寄ったり。
 日立製作所は売上高が前年同期比7.9%減の2兆1304億6700万円、M&Aなどの影響を除いた継続事業税引き前利益が同23.1%減の 1097億5400万円だった。航空業でも、来日客の航空運賃の単価下落や国内線旅客収入の頭打ちなどが響いて、日本航空、ANAホールディングスの2社 がそろって減収減益決算となった。
 内需型企業のうち小売業は3月期決算会社が少ないが、そのうちの1社である三越伊勢丹ホールディングスの決算も、内需型企業の業績の潮目を象徴する ような決算だった。前年同期に8.9%(前年同期比)の高い伸びを見せた売上高と同69.8%増の経常収益が、今回は4.9%減(2946億4600万 円)と43.8%減(73億3900万円)と一転して巨額の減収減益に転じたのだ。
 相変わらずの国内の個人消費の低迷に加え、これまで好調だった“爆買い”というインバウンド需要が円高と中国の個人輸入関税の引き上げという2つの悪条件に沈んだことが背景にある。

 ■まだまだ悪くなる…かも
 多くの企業は、今年7〜9月期以降に挽回は可能と見ており、2017年3月期の通期業績の見直し(下方修正)を見送っているという。今のところ、「業績予想を下方修正した企業は71社、全体の6%」(時事通信)に過ぎないという。
 しかし、例外企業の1社であるトヨタは8月4日の決算発表で、売上高を26兆円(従来は26兆5000億円)、税引き前当期純利益を1兆7800億 円(同1兆9000億円)に下方修正した。これは前回の予想発表時点(今年5月11日)に想定していた為替レート(1ドル=105円)をより現状に近い水準(1ドル=102円)に置き換えた結果だ。
 懸念すべきは、多くの企業がまだ4分の1(3ヵ月)が経過したばかりだとの理由で、トヨタのような厳密な見直しを怠った可能性が小さくない点だ。
・企業業績は、輸出産業を中心に減速する企業が出て、前2016年3月期に4年ぶりの減益に転じた。そして、今2017年3月期は、7〜9月期以降、輸出企業に加えて内需型企業でも業績の下方修正に踏み切る企業が相次ぎ、2期連続の減益になりかねない情勢となっている。
 半面、上場企業はリーマンショック以降の数年間にわたって、手元流動性、つまり保有する現預金を一貫して拡大させてきた。前期(2016年3月期)末は、その手元流動性がその前の期と比べて2%増の109兆円と史上最高を更新した。
 これは、上場企業が潤沢な資金を持ちながら、溜め込むばかりで、給与として労働分配率を向上させることも、十分な成長投資に回すこともなかったことの証左である。
 2期連続の大幅な経常減益決算に見舞われかねない今こそ、円高の影響を受けない国内市場で新たな成長分野を確保するなど、強靭な体質作りを急ぐべきだろう。経営者の責任は重大である。
 ≫(現代ビジネス>ニュースの深層>町田徹)

「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか: “格差”を生んだ郵政民営化の真実
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●米国は日本を裏切る 対中強硬論、尖閣の局地戦幻想、全面戦争へ

2016年08月17日 | 日記
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●米国は日本を裏切る 対中強硬論、尖閣の局地戦幻想、全面戦争へ

 以下は産経系タブロイド夕刊紙“ZAKZAK”の勇ましい記事だが、軍事ジャーナリスト世良光弘なる人物の言を頼りに、日中開戦(尖閣小競り合い)が起きた場合、「1週間で中国全滅」等という、アホ臭い記事を書いている。無論、後方支援で米第七艦隊が出てきてくれることが前提の話なので、第二次大戦中の軍部同様、自己都合シミュレーションが当たっていればと云う話だが、どうも、弱者の空威張りな話に思えてくる。中国海軍が、尖閣で火ぶたを切った場合、局地戦だと云う固定的絶対条件でのシミュレーションなので、実は何の助けにもならない思い込みな記事である。

 尖閣付近で戦火の幕が開いたとして、局地戦になるのか、戦闘領域が両国の全体に及ぶものなのか、ルールがあるゲームではないので、無駄なシミュレーションに過ぎない。この記事では、尖閣周辺の局地戦で、米軍がバックアップすると云う、まさに、都合の良い条件がついている。戦争が始まるのだから、中国が、日本領土の、どこを攻撃しても勝手なわけで、筆者が中国軍の指揮者であれば、米軍基地を避けて、北九州とか北陸地方に、ミサイルを数発打ち込むだろう。そうして、日本側の様子を覗うと云うのが、一番効率的だ。無論、尖閣諸島に乗り込むような姿勢は見せるが、領海の周りをうろつく程度にして、尖閣周辺の小競り合いから一歩引くに違いない。

 今の自衛隊に、中国本土に攻撃を仕掛ける暴力装置としての機能は、米軍との連携においてのみ具現化するようにシステム上動いているので、中国のミサイルが日本本土に着弾したからと言って、米軍が日米安保の発動と云う形で、簡単に動いてくれると云うのは、希望的観測すぎる。現在の日米安保の発動には、米議会の承認が必須なので、仮に承認されたとしても、最低1か月はかかる。おそらく、筆者の予測では、日米安保は発動できないだろうから、殴られ損になる可能性が高い。中国からミサイルを撃ち込まれた地域は言い面の顔だが、おそらく、泣き寝入りになる。精々、打ち込まれたことで受けた賠償問題が外交的に残されるだけに思える。

 しかし、このような夕刊紙を読む人々のことだから、このシミュレーションを、端から信用する可能性は高い。概ね、軍事オタク的評論家諸氏は、戦争が、自衛隊法に基づいて、相手国も日本の法律に合わせて、動いてくれると云う得手勝手なご都合主義でシミュレーションをする。戦争にルールなどないのだ。日中戦争が、どこで起きようとも、その攻撃目標が起きた所だけに集中して起きると云うのは、まさに、平和ボケな軍事シミュレーションだと言える。北朝鮮の酩酊ミサイルが日本海領域に落ちても、アラート自体が鳴らなかったわけで、日本程度の距離到達ミサイルは、中国軍のものでも、相当の精度を持っている。

≪ 自滅への一歩を踏み出した中国 尖閣で軍事衝突なら「1週間で全滅」の指摘も
 沖縄県・尖閣諸島周辺で「開戦の危機」が、にわかに高まっている。中国海軍のフリゲート艦が、接続水域に侵入するなど挑発行為をエスカレートさせ たのだ。中国海軍が初の艦艇派遣に踏み切ったことで、自衛隊や米軍との軍事衝突も現実味を帯びてきた。東アジアで軍事的覇権を強める「赤い帝国」と激突した場合、どうなるのか。軍事専門家のシミュレーションには「中国艦隊は1週間で全滅」という分析もある。
 「緊張を一方的に高める行為で、深刻に懸念している」「わが国の領土、領海、領空を断固として守り抜くために毅然と対処していく」  中谷元(げん)防衛相は9日、中国のフリゲート艦による接続水域内への侵入について、厳しい口調でこう言い切った。
 これまでも、中国公船による尖閣周辺への侵入は、連日のように繰り返されてきた。ただ、日本の海上保安庁に相当する中国海警局の公船がほとんどで、軍艦が姿を見せたことはなかった。
 防衛省などによると、9日未明に久場島北東の接続水域に入ったのは、中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦1隻。排水量約4000トンで、ロケット砲や艦対空ミサイルなどを装備する最新型の戦闘艦だという。
 海自護衛艦「せとぎり」は事前に、「このままだと、わが国の領域に入る」とフリゲート艦に何度も警告していた。  軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「今回は『軍部の暴走』という言い訳は通用しない。このまま中国側の挑発が激化すれば、尖閣周辺での局地戦が勃発することもあり得る。中国海軍の艦艇派遣で、自衛隊も艦艇投入に踏み切る大義ができた」と語る。
 中国軍艦が今後、接続水域を越えて、海の領土である領海へ侵入すれば、日本政府は自衛隊に海上警備行動や防衛出動を命じて対応する。
 制服組自衛官のトップ、河野克俊統合幕僚長も記者会見で「相応の対応は取っていく。一般論としては、海上保安庁で対応できない場合は海上警備行動をかけたうえで、自衛隊が対応する仕組みになっている」と述べた。
 海上警備行動の場合、武器使用は「正当防衛」か「緊急避難」に限定されるが、防衛出動の場合、自衛隊には自衛権に基づき必要な「武力の行使」が認められている。
 もし、中国側が戦端を開いたら、どうなるのか。
 前出の世良氏は「有事となれば、海自佐世保基地から8隻の護衛艦からなる第2護衛隊群が急派される。航空自衛隊那覇基地からはF15戦闘機30機程度が、空中戦に備えて出撃するだろう。他の基地のF2戦闘機が応援に駆けつける事態もあり得る」といい、続けた。
  「後方支援に回るのが、米海軍の第7艦隊だ。米原子力空母『ロナルド・レーガン』に加え、イージス艦など10隻、原子力潜水艦3隻が出動するはずだ。中国側は東海艦隊が前線に投入される。駆逐艦やフリゲート艦、潜水艦など50隻が所属する艦隊だが、自衛隊と米軍との戦闘力の差は歴然だ。1週間で東海艦隊が 全滅する事態もあり得る。中国は『自滅への第一歩』を踏み出したともいえる」
 中国は南シナ海に続き、尖閣諸島を含む東シナ海でも軍事的覇権を強めている。日中中間線付近には軍事拠点化が懸念される海洋プラットホームを次々に増設している。一線を越えた隣国に対し、日本も相当の覚悟が必要といえそうだ。
  静岡県立大特任教授で軍事アナリストの小川和久氏は「まだ、中国が完全に牙を剥いたという段階には入っていない。今回の挑発は、10日から17日まで、沖縄東方海域などで行われる日米印共同訓練『マラバール2016』をにらんで、中国側がメッセージを発したと捉えるべきだろう。今後も日中間で、こうした駆け引きが続くはずだ」と指摘する。
 今回の中国の暴挙に対し、日本政府の動きは早かった。外務省の斎木昭●(=隆の生の上に一)事務次官は9日午前2時ごろ、中国の程永華駐日大使を外務省に呼び出して、厳重抗議した。
  前出の小川氏は「官邸は異例の早さで対応した。中国側に極めて強いメッセージを発した。これまでのところ、日本側の対応は適切だったといえる。中国側も、日米と衝突すれば大変なことになると分かっている。海上自衛隊に海上警備行動が発令されるギリギリのところで挑発を続けるだろう。日本側は今後、防衛力の整備を進めるのとともに、海上保安庁の予算を拡大し、領海に関する法改正を早急に進める必要がある」と語った。  ≫(ZAKZAK)

 以下の北野氏のコラムの意見は半分是で、半分非だ。ただ、言えることは、米国にとって、日本との関係と中国との関係の、どちらが重要かと云う問題だ。筆者の目から見ると、日米関係と云うものは表舞台で親密なのだが、深い部分やダーティーな部分では疎遠である。それに対して、米中関係と云うものは、表舞台で対立的だが、深い部分、ダーティーな部分で補完関係にある。どちらの関係が、強い結びつきなのか、言わずもがな、後者の方だ。クリントン夫妻と中国の関係も、上述のアメリカンWスタンダードの範疇にあることで、特に驚くべき事柄ではない。筆者が、日本にとってどちらが都合の良い米大統領かと問われたら、ドナルド・トランプ候補を指名する。少なくとも、彼は外交に関して無関心だからである。


 ≪ ヒラリーと中国の「黒い関係」に日本は警戒が必要だ
 ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの対決となった米大統領選。過激な発言のトランプよりは、ヒラリーに当選してもらいたいと考える日本人は多いが、実はヒラリーは長年、中国から金銭支援を受け、「黒い関係」を続けてきた人物だったことが明かされている。

■尖閣どころか鹿児島近辺まで侵入!
 エスカレートする中国軍艦の挑発行動
 ヒラリー・クリントン前国務長官(68)は7月28日、民主党大統領候補としての指名を受諾した。これで米大統領選挙は、共和党ドナルド・トラン プ、民主党ヒラリー・クリントンの一騎打ちとなり、11月の本選で決着がつく。どっちが勝つかは、誰も正確には予想できない。では、「日本にとって都合が良い方は?」という質問ならどうだろうか?
 よく知られているように、トランプは「日本がもっと金を払わなければ、在日米軍を撤退させる!」と恫喝した男だ。そればかりか、「日本の核兵器保 有を容認する」「朝鮮半島で戦争が起こっても米国は関わらない。日本と韓国は、『グッドラック』だ!」など、衝撃発言をいくつもしている。
 普通に考えれば、「やはりヒラリーがいい」となるだろう。
 しかし、事はそう単純ではない。ヒラリーは、過去に「中国と黒い関係にあった」ことが明らかになっているのだ。
 まず、「日本にとって都合が良い米国大統領」の条件について考えてみよう。  
 「日本最大の問題は?」との問いには、人によってさまざまな答えがあるだろう。筆者が考える「日本最大の問題」は「中国」である。なぜなら、中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言しているからだ。(証拠記事はこちら)
 そして中国は、口でいうだけではなく、実際の挑発活動も繰り返している。たとえば、以下3つの事実、皆さんはご存知だっただろうか?
 まず、中国の軍艦は、尖閣どころか鹿児島県付近まで侵入している。(太線筆者、以下同じ)
  <中国軍艦が一時領海侵入 口永良部島周辺海域 海警行動は発令せず
 産経新聞 6月15日(水)11時7分配信  防衛省は15日、中国海軍の艦艇が鹿児島県の口永良部島周辺の領海に入ったと発表した。同海域の領海に中国艦が入るのは初めて。  中国艦はすでに領海を出ている。自衛隊に対して海上警備行動は発令されていない。> 
 中国は、海だけでなく空の挑発も激化させ、そのせいで航空自衛隊は、今や毎日平均2回も緊急発進しなければならない。
   <対中緊急発進200回 4~6 昨年同期比1.7倍、最多 産経新聞 7月1日(金)7時55分配信  自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は30日の記者会見で、今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブ ル)の回数が、昨年の同時期に比べ80回以上増えたことを明らかにした。自衛隊は四半期ごとの緊急発進回数を定期的に公表しているが、統幕長が会見で発 表するのは異例といえる。
 昨年4~6月の中国機に対するスクランブルは114回で過去最多だった。今年はその1・7倍以上の約200回となる。>

■日本にとって都合が良い米大統領とは
 中国の脅威を共有してくれる人物
 中国の挑発により、「戦闘一歩手前」までいくケースも出てきた。
  <中国軍機と追尾合戦か=空自機が一時、東シナ海で 時事通信 6月29日(水)17時9分配信
 萩生田光一官房副長官は29日の記者会見で、中国軍機が17日に日本に向けて南下し、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)していたことを明らかにした。
 その際、「近距離のやりとりがあった」と説明。複数の政府関係者によると、両機は互いの背後に回ろうと追尾し合う「ドッグファイト」のような状態に一時、陥っていた。>
 つまり中国は、まず「日本には尖閣ばかりか、沖縄の領有権もない!」と宣言し、次に尖閣を奪うための具体的行動を起こしているのだ。これらすべての動きを無視する人は、よほどの「平和ボケ」か、中国との「親密な関係」を疑われても仕方ないだろう。
 ここまでで、「中国問題」は「とても切迫している」ことを、ご理解いただけたと思う。そして、日本一国で中国の脅威に立ち向かうことは、非常に困難だ。よって、日本にとって「良い米国大統領」とは、「中国は、大きな脅威であるという認識を日本と共有している人物」ということになる。
 トランプは「反中」といわれているが、発言は「経済問題」に限定されており、中国を「安全保障上の脅威」と認識しているようには見えない。彼は、 「日本、韓国、NATO加盟国に『もっと金を払わせろ!』」という話ばかりで、そもそも安全保障政策自体に興味があるかすら疑問だ。
 では、「やはり国務長官だったヒラリーか!?」という話になるのだが…。
 日米関係、米中関係の本質を知りたい人にとって、米国在住政治アナリスト伊藤貫氏の著書「中国の『核』が世界を制す」は必読である。(伊藤氏は「核武装論者」だが、「核反対論者」が読んでも十分興味深いはずだ。それほど驚愕の内容が多い)  
 伊藤氏によると、クリントン夫妻は、中国から金を受け取っていた。しかも、1980年代から。
  <クリントン夫妻とリッポ財閥の腐敗した癒着関係は、少なくとも一九八三年から始まっている。>(「中国の『核』が世界を制す」261p)
 引用部分に出てくる「リッポ財閥」とは何だろうか?
   <中国共産党と人民解放軍は、クリントン夫妻に対して多額の贈賄をするパイプとして、インドネシア・香港・中国に拠点を持つリッポ・グループ(力宝集団)を使用した。リッポ・グループはインドネシアの華僑財閥・リアディ家が所有する企業集団であり、銀行業・不動産業・流通業・観光業等を経営している。>(同上260p)
「多額の贈賄をするパイプ」として利用される企業。なんとも「中国らしい」話だ。
   <ヒラリー夫人が上級パートナーを務めるアーカンソーの法律事務所は、この時期から、リッポグループの「顧問」として高額の報酬を得ている。FBIは、「クリントン夫妻と人民解放軍スパイ機関との協力関係が始まったのは、たぶんこの頃だろう」と推定している。>(261p)

■幾度も中国から金をもらいながら  
 なぜか罪に問われなかったクリントン夫妻
 この部分は、かなり衝撃的だ。なんとFBIは、「クリントン夫妻と人民解放軍スパイ機関が協力関係にあることを知っている」という。では、なぜヒラリーは、オバマ政権で国務長官を務め、民主党の大統領候補になれたのか?この答えは後述する。ここではさらに同書で描かれているヒラリーと中国の関係を 押さえておこう。
 ヒラリーの夫ビルは1992年、「中国の金も」使って大統領選で勝利する。さらに1996年、またもや「中国の金も」使って再選を果たした。
   <クリントン夫妻は一九九二年の大統領選に出馬したとき、リアディから少なくとも(後に判明しただけでも)一二五万ドルの賄賂(違法な政治資金)を受け取っている。一九九六年の大統領選挙では、リアディ(リッポ・グループ)からクリントン夫妻へ、はるかに巨額な賄賂が動いた。>(261p)
 そして驚くべきことに、「クリントン夫妻が中国から金ももらっていたこと」が「公」にされた。しかし…。
   <一九九七年にこの事実が明るみに出たとき、クリントン夫妻は、「われわれはカネを受け取ったかもしれないが、何も憶えていない。誰がカネを出したのか、われわれは何も知らない」と言い張って、逃げてしまった。>(261p)
 ここで、再度疑問がわく。なぜクリントン夫妻は、中国から違法な金をもらい、しかもFBIがそれを知りながら、罪に問われないどころか、出世し続けることができたのか?
  <一九九二~九六年のFBIとNSAの盗聴活動により、中国政府の首脳部が米国政界に対して大規模な贈賄工作を実行していることは明らかであったが、国務省・ペンタゴン・司法省・CIAは、この大規模な贈賄工作を止めることはできなかった。たぶんこれらの組織は、政治的な理由から動けなかったのだろう。>(278p)
  「FBI」「NSA」は知っていたが、「国務省」「ペンタゴン」「司法省」「CIA」は、「政治的な理由」から動けなかった。(!)
 伊藤氏は、さらに解説をつづける。
  <米民主党の政治家たちが中国から収賄しているというニュースがアメリカのマスコミに載るようになったのは、一九九六年後半である。(中略)この大規模な贈賄工作が、中国政府のスパイ組織による深刻な外交問題であるという解説記事が米マスコミに載るようになったのは、一九九七年の春以降のことである。>(279p)
 これを受けて、FBIは事実関係の調査に乗り出した。ところが…。
  <しかしFBIと連邦政府検察官による贈賄事件の捜査は、数か月しか続かなかった。一九九七年初頭、ホワイトハウスの命令を受けた司法省が、この件に関する捜査を打ち切る決定を下したからである。>(279p)
 しかも、「露骨な圧力」があった。
   <この事件の捜査を続行するために独立検察官を任命することを主張したキャリア検察官、チャールス・ラベラは、即刻、解雇された。他の検察官たちはラベラが即座にクビになったのを見て、「この事件には、深入りしないほうがよい」と理解した。>(279p)
 ここで分かるのは、「米国は三権分立の確立された理想的な民主主義国家」というのが「幻想だ」ということだろう。米国においても、中国やロシアと同様、「政治」が「司法」より強いのだ。

■私用メール事件でもおとがめなし!
 またもやヒラリーはFBIの追求を逃れた  
 あまりにも想像を絶する話だ。「本当だろうか?」「トンデモではないのか?」と疑われる読者もいるだろう。それは、筆者が字数の関係で「一部を抜 粋せざるを得ない」からだ。興味のある方は、ぜひ伊藤氏の著書を実際に熟読して欲しい。決して、「陰謀論」や「トンデモ系」ではないことを、ご理解いただけるだろう。
 ・さて、ここまでで分かったことはなんだろうか?
 ・ヒラリーは、中国から金をもらっていた。
 ・FBIもそのことを知っていた。
 ・しかし、誰もクリントン夫妻には手を出せなかった。
 そういえば、ヒラリーは、つい最近もFBIの追求を逃れている。そう、国務長官だった時代に「国家機密を私用メールで送っていた」件だ。
   <「クリントン氏、訴追相当せず」 FBI長官が会見
 朝日新聞デジタル 7月6日(水)1時54分配信  米大統領選で民主党の候補者指名を確実にしたクリントン前国務長官(68)の私用メール問題で、米連邦捜査局(FBI)のコミー長官は5日に会見し、「捜査の結果、訴追には相当しないと判断した」と発表した。メールには機密情報が含まれており、「非常に不用心だった」としつつも、過去の機密情報をめぐる事件と比較し、「常識的な検察官ならば訴追しない」と述べた。>
 「メールに機密情報が含まれている」ことを認めながらも、「常識的な検察官ならば訴追しない」そうだ。「常識的」に考えて「おかしい」と思うのは、筆者だけではないだろう。このようにヒラリーは、中国と長く、深く、黒い関係にあった。現在はどうなっているのかわからないが、十分警戒する必要があ るだろう。
 それでは日本は、具体的にはどうすべきなのか?
 もっとも大切なことは、中国を米国以上に挑発しないことである。
 米国は、「梯子を外す」ことが、しばしばある。たとえば、米国の傀儡政権だったジョージア(グルジア)は08年8月、ロシアと無謀な戦争をし、その結果、南オセチアとアプハジアを失った。(二共和国は、ジョージアからの独立を宣言し、ロシアは国家承認した)。この時、米国はジョージアを助けなかった。
 さらに14年2月、ウクライナでクーデターが起こり、親ロシアのヤヌコビッチ政権が倒れた。誕生した親欧米政権は、クリミアを失った。さらに、ロシアが支援するドネツク州、ルガンスク州も事実上失っている。この時も、米国がウクライナを十分助けたとはいえない。

 ■米国抜きで中国と対立することは
 日本にとって自殺行為に
  「中国が尖閣を侵略した時、米国は日本を助けるのか?」−−。この質問には、「助ける派」「助けない派」で、さまざまな意見があるが、筆者は「時 と場合による」と考える。たとえば、その時の首相が「米軍は沖縄から出ていけ!」と主張する、鳩山氏のような人物だったらどうだろうか?米国が日本を助ける筋合いはないだろう。
 あるいは、ヒラリー・クリントンのように、長年中国と「黒い関係」にあった人物が米大統領であれば?「アテにならない」と考えるべきだろう。
 日本は、先走って中国を挑発し、米国抜きの「日中戦争」になるような事態を回避しなければならない。ジョージアやウクライナのように、米国から「梯子を外される」危険性があることも、決して忘れるべきではない。日本が目指すのは、あくまで「米国を中心とする中国包囲網」であり、「主人公は米国」であるべきなのだ。
 では、ヒラリー大統領が、「米国は中国と競わない」「米国は、アジアにおける覇権を望まない」と心から宣言したら、日本はどうするべきだろうか? その時は、日本も中国との和解に動くしかないだろう。そうでなければ、「米国なしの日中戦争」が起こり、おそらく日本は敗北する。
 ≫(ダイアモンドONLINE>国際>ロシアから見た「正義」・北野幸伯)

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