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大きな違い

2007年03月29日 | 雑感
27日に判決が出た沖縄返還密約に関する西山事件訴訟。親の代から読んでいる!全国紙の朝日新聞がほんのちょっとの記事でがっかり。今日はその分を社説扱いにしていた。逆に地元の北海道新聞が28日付の新聞では一面トップの記事で、これには大いに見直した。

この間見た、映画『大統領の陰謀』。ワシントンポスト紙の若いボブ・ウッドワード記者とカール・バースタイン記者のコンビが1972年、ウォーターゲート事件から、実はそれは単独の事件ではなく、泥棒と思われた5人の民主党本部への盗聴装置をつける事件として発覚したが、ニクソン再選委員会が糸を引いている選挙妨害で、CIA,FBIともつながった一代謀略だったということを元になる二人の本から映画にしたものだった。

1971年6月に日米間で調印された沖縄返還協定で、米側負担と定められた軍要地の原状回復補償費4百万ドルを日本側が肩代わりする密約があったのではないかと、調印直後に毎日新聞記者だった西山太吉さんが記事で指摘。

1972年3月、西山さんが外務省の女性職員から入手した極秘の電文を基に、当時、社会党の横道孝弘衆議院議員が衆院予算委で密約の存在を追及した。日本政府は現在も密約を否定しているが、2000年~2002年、密約を裏付ける米公文書が発見され、昨年、交渉を担当した吉野文六・外務省元局長も密約があったことを認めた。(道新記事から)

27日の判決は国家公務員法違反の罪で1978年に有罪が確定した西山さんが「協定には違法な密約があったにもかかわらず、違法な起訴で名誉を傷つけられ、記者活動の停止に追い込まれた」などとして、国に謝罪と3千3百万円の損害賠償を求めた訴訟に対するものであった。

東京地裁の加藤謙一裁判長は、不法行為から20年で損害賠償の求償権が消滅する民法の「除斥期間」を適用し、請求を棄却した。はじめから国家のウソを裁く気概も何もないのだから、米公文書が発見された後に、外務省側がアメリカ局長の吉野氏に「密約はないと否定してほしい」と口止め工作をしたとする原告側の主張についても「的確な証拠がない」。

西山さんは「想定した中で最低の判決」と怒りをあらわ。提訴したのは2000年以降に米国で密約を裏付ける資料が続々と出たことによる。日本の財政負担は6億ドルを超え、「うその協定を国会に出し、うその財政支出をした国家犯罪」であると。

当時、マスコミは外務省女性職員からの電文入手をスキャンダラスに扱い、問題の本質がずれていった。「恥をしのんで」提訴に踏み切ったのは「国家犯罪を法廷の場で国民に知らせる」という西山さんのジャーナリズムがあったからだ。

「歴代外相が密約を否定し、それを社会、メディアが容認する。これは先進国じゃない。裁判を通じて密約問題が知られた。無駄ではなかった。戦い続ける」とこれからも控訴する方針だ。

当時のことは西山記者の存在とスキャンダルがあったということは多少覚えているが、随分時間が経った。しかし、おんなじころにアメリカのほうで、ウォーターゲート事件からニクソン辞任という事態まで引き出した二人の記者の報道とそれを擁護した側がいたということを知れば、あまりにも取り巻く姿勢の違いに愕然とする。西山さんはすでに75歳になった。戦い続ける人生はまだ終わらない。

(写真は上京した時に撮った、上野国立西洋美術館の入り口付近に展示されてあったロダンの「地獄門」。考える人の像ははるか上にあった。)













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