FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

ダルデンヌ兄弟

2005年11月21日 | Weblog
先週の新聞に載っていた記事が印象深かったー。「ある子供」(12月日本公開)で2度目のカンヌ映画祭最高賞を受賞したダルデンヌ兄弟と作家の重松清さんとの対談。(重松さんという作家の作品は読んだことはない。)

ダルデンヌ兄弟については、どれもドキュメンタリーのような描き方をするのが好きで、忘れていたので検索してみたら、じつは(映画館ではないけど)全部見てたんだよね。「イゴールの約束」(1996年)「ロゼッタ」(1999年)「息子のまなざし」(2002年)。それほど好きな監督だったんだ。ジャンピエールは51年、リュックは54年のベルギー生まれ。

重松―僕は二人より10歳ほど若い42歳ですが、僕たち以降の世代は「大人になれない世代」といわれます。だから、あなた方の映画「ある子供」の主人公ブルュノの幼さにリアリティーを感じました。

リュック―小さな盗みなどでその日暮らしをしている20歳のブルュノは、生まれたばかりの自分の子供まで売ってしまおうとする。そんな彼がどうやって大人・親になるかという物語です。今は30歳代でも、大人になれない大人、思春期の問題をそのまま抱えている人たちが多いと感じます。そこには「若いままでいたい」「子供のままでいたい」という一種のナルシズムがあると思います。

重松―今、話していることは日本の若い世代の父親・母親にも当てはまります。

  ―僕の場合はニュータウンに住み、世間から「普通」と呼ばれている少年少女、親たちの問題を取り上げています。あなた方の作品には貧しさというのを根底に描いていると思うんですが、日本の若い世代には経済的な貧しさより内面の貧しさというものを感じます。その貧しさの正体を書きたいということが僕の作家としての主題です。

リュック―日本の若い世代の内面的な貧しさとは?

重松―70年代のあるときまで、子供・若者は社会全体の希望の象徴でした。ところが今、なかなか若者であることに希望が見出せなくなってくる。それが、内面の貧しさにつながっていると思っています。

ジャンピエール―私達の住んでいる街でも、70年代を境に孤独に暮らす若者が増えました。「ある子供」の主人公の感情のなさは、まるで世界の動きが彼にとって何もかかわりがないかのようです。彼らは社会の外にある余白の部分にいる。そういう若者が西洋社会では多く見られます。彼らはグループを作って、自分たちの小さな世界をつくっていますが、それによって自分たちが目指す社会を実現しようとするわけではありません。ただ単にその世界の外にいるだけなのです。

重松―主人公が乳母車を押して車道を横切るときに、車にまるで頓着しない場面がありますが、外の世界と無関係ということを象徴する場面と感じました。
                        (中略)
リュック―「ある子供」では最後で、人間的な感情を持っていなかった主人公ブリュノが、他者とふれあうことで、人間性を持てるようになります。
                        (中略)
重松―どんな希望を、次の世代に託そうとしていらっしゃいますか?

リュック―どのような生活状況で置かれても、若い人々が人間としての威厳をきちんと持てるように、と願っています。

重松―僕は、自分の小説に「人生は生きるに値するもの」というメッセージを込めたいといつも思ってやってきたし、今後も続けていきたいと思っています。そんな僕にとって、2人の作品からは勇気をもらえたことは本当に幸せでした。(終)

12月公開だそうで、是非みたい。見られるだろうか。
シアターキノを見たら、見たいのが続々と来るではないか。
「アワーミュージック」(ゴダール監督)「愛をつづる詩」「ランド・オブ・プレンティ」などー
うーん、懐具合とにらめっこだねえ。全部札幌まで行くのはきびしいなあ。














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4 コメント

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TBさせていただきました (謎野)
2005-11-25 00:50:18
はじめまして。

「ダルデンヌ兄弟」を拝見し、ダルデンヌ兄弟を詠った拙い短歌にTBさせていただきました。

よろしければお立ち寄りください。
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短歌 (henry)
2005-11-25 13:35:27
謎野さん、コメントとTBありがとうございます。短歌を作られるそうで、すごいですね。自分のことはあまり文学的ではないと思っていますので、楽しみに拝見させていただきますね。
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「ある子供」を観て (髭彦(謎野改め))
2006-01-06 11:16:30
あけましておめでとうございます。



昨夜やっとダルデンヌ兄弟の「ある子供」を観て詠った、拙い短歌にTBさせていただきました。



本年もよろしくお願い致します。

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こちらこそよろしくお願いします (henry)
2006-01-07 14:23:56
TBとコメントありがとうございました。

明けましておめでとうございます。

こちらこそ今年もよろしくお願いします。



ダルデンヌ兄弟の『ある子供』を観てこられたようで、うらやましいですね。

こちらでの映画の上映は2月になってからのようです。

早速、短歌を楽しみに拝見させていただきます。

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