FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

【暮らしの手帖】

2008年03月26日 | 雑感
昨日スーパーの片隅に陣取っている本コーナーを何の気なしに見ていたとき、雑誌【暮らしの手帖】が最前列に並んでいるのが見えた。見ているうちに、なんだかなつかしい気持ちで、胸がいっぱいになってきた。もう他界した母がずっと購読していた本だからだ。

以前にも本屋で何回か見かけたことがあったが、他のほうに忙しくて、買うまでにはならなかった。この本は実はとっくに廃刊になっていたのではないかと思っていた。それがまだ生きていますよ!という感じで、並んでいる。このごろ節約に努めているのにと、少し行ったり来たりして躊躇した末。やっぱりなつかしさのほうが上回り・・・2冊並んでいたが、そのうちの1冊を買うことにした。

母が生きているころの【暮らしの手帖】がどうだったのか、今となってはあまりにも年月が経って、詳しくは覚えていない。家庭で作る料理などのほかには、外国人女性の服装をお洒落の参考にしたり、グレゴリー・ペッく主演の映画【アラバマ物語】を文章として、かなり長く連載していた。

【アラバマ物語】には映画の写真が付いていたので、当然ながら、映画製作の後だろうということがわかる。これはいつごろだったのだろうか。当時は時代を先取りした製品検査が紙上で詳しく掲載されていたり、ただの雑誌というよりは、初代編集長・花森安治という編集者が市民生活の視点から起こした、一つの文化、一つの運動という感じがした。

母は中央から遠く、地方に住む一介の専業主婦に過ぎなかったが、こういう本を読んでいた人だった。浴衣姿で朝日新聞を読んでいる白黒写真も遺品の中に残っている。当時は今のように住宅が洋風化されていない時代で冬には寒すぎたが、玄関の2,3畳の取次ぎ間のところに座っては、御用聞きや集金人と話をしていた。

中でも朝日新聞の集金人が来たとき、「このごろ右よりになったって、いうんじゃないの?」とやりとりしていたことが、どういうわけか、いまでも忘れずに耳に残っている。そのころを右よりというんなら、今はなんて形容するんだろ?なんて、考えてしまうが。

新しく手に取った【暮らしの手帖】は隔月発行になっていた。ページをめくると覚えのある字体が子供のころに帰ったようでうれしい気持ちが沸いていくる。随筆の中には学者の“上野千鶴子さん”やアナウンサーの“山根基世さん”の名前もあり、それぞれ母親のことを書いた1文が載っている。

“イギリス発、なぜオーガニックなのか?”という記事には、安全な食を取り戻したいという地道な取り組みから、やがて店が出現。野菜の販売が主だったが、狂牛病騒ぎが起きてからは一気に安全な肉ということで、肉の販売数が増えた。しかしこれが一過性に終わらないようにと、生産者からのさまざまな発信が行われている、という興味深い内容だった。

今北国も遅い春を迎えようとしているが、子育てに忙しいときには花を愛でるなんて風流なことにはつい目も行かなかったというのに、このごろはすっかり趣味になってしまった園芸。今年こそはなんとかオーガニックでやってみようと意気込んでいる。こういう記事を読むと背中を押されているようで俄然やる気が出る。

巻末の【暮らしの手帖創刊60年】という文字の下には、過去に発行された本が並んでいた。和服のような布地で装丁がされている【おそうざい12ヶ月】と黒と赤のチェックの生地で装丁されている【おそうざいふう外国料理】。どちらも若いころに購入して、今まで随分お世話になったなあと感慨深い。















最新の画像もっと見る