1月4日(水):
322ページ 所要時間5:00 ブックオフ360円
著者64歳(1950生まれ)。
2度目。現代の日本と世界について最もわかりやすく解説できる人である。日本と世界の現状を掌を指すように腑分けしてくれる。今この瞬間、日本で比類なく最も影響力のある良識派知識人であると言っても異論は出ないだろう。昨日のテレビ東京系「2017年 世界を見に行く」もすごく興味深く観れた。しかし、池上さんも、もう66歳、世界中を自由に飛び回って取材できることもあと数年だと思う。
本書を読みながら、野暮で無粋の極みだと思いつつ「初夢だけど…、池上さんが、小沢さんと組んで共産党も含めた野党連合の旗頭に立ってくれたら、安倍の自民党総裁三期目就任という悪夢を見ないですむ。池上さんを野党連合の旗頭にすれば、池上総理大臣を実現することは十分に可能だし、なって欲しい」と心の底から思った。
池上首相が実現したからと言って、政治経済の現状が劇的に変わることを期待しているわけではない。願うことはポピュリズムからの脱却。
「当たり前の政治の実現」であり、
「政治の正常化」のみだ。憲法を尊重せず、日本会議という極右団体に頭の中をあずけ、多過ぎるステークホルダー(利害関係者)にがんじがらめに絡めとられて彼らの利益代表としてしか動かず、日本国民・市民の本当の福利を考えない世襲政治屋が弱者を切り捨て、強者を優遇する、とても「政治」と言えない暴政がまかり通るのを変えてほしいだけである。
それが一番難しいこともわかっているが、「立憲主義」と「日米安保」のバランスを回復してほしい。きちんと説明責任を果たしてくれるのであれば、国民的議論を避ける必要もない。「消費税増税」「社会保障」「日本経済」「教育」「経済格差と貧困」「皇室典範」「沖縄」「福島」「原発」「防災」「対中・対韓・対露他の諸外交」「移民受け入れ」etc.何やら書いていて空しくなるが…。本当に多岐にわたる国民的課題をあの愚劣な世襲総理とチンピラ集団の自民党がきちんと取り組めていないのを思い合わせると、池上さんに総理大臣になってもらいたいと思ってしまう。
池上首相の最大の障害は、野田幹事長の民進党だろう。できれば、非自民・非民進の枠組みを作ってほしい。池上総理をめざす野党連合を掲げれば、民進党は必ず割れる。松下政経塾や日本会議の影響下にない議員集団が合流すれば十分に闘える規模になる。見分けるのは簡単だ、
「護憲」「反原発」「沖縄への連帯」の姿勢を見ればよい。その際、
「従米」でも構わない。
期間限定、テーマ限定でよい。マニフェストを復活させてもよい。
小沢一郎さんと共産党のもとに池上首相実現のために非自民・非民進でみんなが結集すればよい。国民・市民の側も多くを期待しないことだ。ただ、「護憲」「反原発」「沖縄への連帯」というごく絞られた課題に注目して「政治の正常化」のみを求めればよい。あとはケースバイケースで池上首相に任せるべきだ。
もし池上首相の可能性が出てくれば、自民党はあらゆる汚い手を使って阻止に回るだろう。野党も国民も本気で池上さんを守り、支える覚悟が求められるだろう。それでも、実現してほしいと思う。多くを望んではいけないが、少なくとも国際社会で笑いものになっている学ばない世襲の愚か者の首相が、国内で国民・市民の生活を踏みつけにする倒錯した無残な光景をこれ以上見ないですむのだ。
【紹介文】
もとは東京工業大学で1年生を対象に開講している教養科目の講義。全体を10 のトピックに再構成し(日本編と世界編でそれぞれ5つずつ)、それぞれのとっかかりとして身近なニュースを盛り込む。時事ネタを読み解きながら、その背景にある戦後世界の現代史がよくわかる1 冊です。米軍は日本を守ってくれるの? 原発問題はどうなる? 中東和平はなぜ難しい? ――日経新聞の人気連載を書籍化。日本と世界の気になるニュースを手がかりに、戦後史を池上先生がやさしく解説。
【「はじめに」から】
このところ「教養」がちょっとしたブームの様相を呈しています。書店の店頭には「教養」を冠した書籍が多く並ぶようになりました。それだけ教養が求められるよう になったのでしょう。
とはいえ、そもそも教養とは何でしょう。人生の滋養になるもの。そんな回答も可能でしょう。人生をよりよく生きるための基礎体力。そんな言い方も可能でしょう。
長い人生の中で、私たちはさまざまな困難にぶつかります。障害をどうすれば乗り越えることができるのか。そこで教養がモノを言います。教養の多寡が成功と失敗を分けます。そこで必要になるのが、過去の人々の叡智です。叡智ばかりではありません。過去の愚かな失敗もまた、他山の石として大いに参考になります。過去の成功と失敗を学んでおく。これも教養なのです。
こうした過去の例を教訓にするためには、歴史を学ばなければなりません。そのために学校には「歴史」という教科があるのです。高校では「世界史」や「日本史」という科目名になっていますが。
しかし、一口に歴史といっても、多種多様です。高校までの「世界史」や「日本史」では、現代に到達する前に時間切れとなることが多いことでしょう。これでは、現代を読み解くことができません。そこで、東京工業大学で教えている私は、現代史を中心に授業をしています。第二次世界大戦後の東西冷戦が現代にどのような影を落としているのか。冷戦が終結したことによって、何が起きたのか。そうした歴史の道筋を辿りながら、人々の取り組みの成功と失敗を、学生たちと考えています。現代史は、現代に生きる私たちにとっての必須の教養だと思うからです。
現代史を講義する際、私は、最新のニュースを導入に用います。いま何が問題になっているのか、それを把握するために現代史の理解が必要であることをわかってもらうためです。
こうした講義録を書籍にまとめたのが、この本です。東日本大震災を、私たちはどう受け止めるべきなのか。政権交代は何をもたらしたのか。私たちにとって「豊かさ」とは何か。バブルや公害問題の歴史を考えました。
さらには、日本を取り巻く東アジア情勢の激変の中で、日米安保や沖縄の米軍駐留問題も取り上げました。
ジャーナリスト・東京工業大学教授 池上彰
【目次】はじめに
第一章 講演集 池上先生、教養を学ぶ意味って何ですか? :C h a p t e r.1 学ぶ力を持つということ /C h a p t e r.2 悩むことは怖くない
第二章 現代日本を知る5つのテーマ 戦後日本の歩みを学ぶ :C h a p t e r.1 豊かさとは何だろう /C h a p t e r.2 3・11という「第2の敗戦」からの復活 /C h a p t e r.3 日米安全保障条約が守るモノとは /C h a p t e r.4 歴史的政権交代は、なぜ失敗したのか /C h a p t e r.5 「働く」ということを考える
第三章 現代世界を知る5つのテーマ 戦後世界のかたちを学ぶ :C h a p t e r.1 勝者が世界を二分した東西冷戦 /C h a p t e r.2 世界平和は核の恐怖で生まれる? /C h a p t e r.3 中東和平への遠い道のり /C h a p t e r.4 テロを生んだもの、テロを終わらせるもの /C h a p t e r.5 戦争のない世界を目指して