1月3日(金):
282ページ 所要時間 2:00 ブックオフ105円
著者32歳(1977生まれ)。
第7回本屋大賞受賞作。読んでいて、とても心地よい感じの本だと思った。よくたとえに挙げて悪いのだが、百田尚樹の作品のような押し付けがましさがなくて、読み手の主体的関心に任せてくれる気持ち良さがあった。
今年は、とにかく多読をしたい。そのために敢えて1ページ30秒ではなく、15秒を原則にして読んだ。実際には、守れないが、300ページ近い本を2hで読めたのはひとつの成果だ。そして、細かい所は無理だが、それなりに面白く筋を追えたのは、著者の文章力の成果だと思う。感想4もゆっくり読めば、感想5になっただろううと思う。
暦をめぐる話題は、大昔、井上ひさし「四千万歩の男」全5巻を読んでいるので、少し懐かしかった。江戸時代前半の科学精神もなかなかのものである。
主人公は渋川春海(二世安井算哲)である。日本史では、知らぬ者の無い有名人である。元禄時代、日本史上初めての日本人の手による正確な暦、『貞享暦』を作り(46歳)、幕府天文方となった男である。
江戸時代、寛文年間頃、平安初期の貞観年間に中国から伝わった宣明暦が使用されていた。本来、改暦は100年ほど毎にしなければいけない。しかし、無気力な政治の結末として、800年以上使い回されていた。その結果、月蝕の予想が外れ、「今日が、明後日になるほどのズレ」が生じていた。改暦が急がれる。
話は、23年前の渋川春海23歳にさかのぼる。江戸期を通じて囲碁の二大名人の一人になる本因坊道策が17歳で、春海をライバル視して熱くなっているが、4碁所(井上、林、安井、本因坊)の安井家当主の家に生まれ、道策を熱くさせる天賦の才を持ちながら、囲碁に飽き足らず、天文・暦学にも素養を持ち、特に算額の世界に強烈な情熱を持つ渋川春海の前に、どんな難問の算額も、あっと言う間に一瞥即答する「解答さん」こと関孝和が現れる。ニュートン、ライプニッツに比肩される数学の天才である。まだ見ぬ、関孝和が同い年の23歳であることを知らされた時、春海は打ちのめされながら、関孝和に対して問題を出して挑戦をする。
そんな時、老中酒井忠清(後の下馬将軍)から、北極星を基準にした日本各地の位置の測量(特に緯度か?)を依頼される。南は、鹿児島さらに琉球・朝鮮・北京から北は津軽までの測量隊に加わり、30以上年上の祐筆の建部、典医の井上の天文・暦学への熱意に触れる。500日近い歳月を費やして、日本を縦断する測量を済ませて江戸に戻り、練りに練った和算の問題で関孝和に挑戦するが、他の和算家には解けない問題も、関にはあっさりと解かれてしまう(これを「明察」という)が、春海は清々しい気分を感じる。
前半は、これで終わり。後半はどうなるのだろう。寛文年間という文治政治に舵を切る江戸時代前半に、これほどの和算という名の高等数学や天文・暦学への関心の盛況ぶりに新鮮なものを感じた。
282ページ 所要時間 2:00 ブックオフ105円
著者32歳(1977生まれ)。
第7回本屋大賞受賞作。読んでいて、とても心地よい感じの本だと思った。よくたとえに挙げて悪いのだが、百田尚樹の作品のような押し付けがましさがなくて、読み手の主体的関心に任せてくれる気持ち良さがあった。
今年は、とにかく多読をしたい。そのために敢えて1ページ30秒ではなく、15秒を原則にして読んだ。実際には、守れないが、300ページ近い本を2hで読めたのはひとつの成果だ。そして、細かい所は無理だが、それなりに面白く筋を追えたのは、著者の文章力の成果だと思う。感想4もゆっくり読めば、感想5になっただろううと思う。
暦をめぐる話題は、大昔、井上ひさし「四千万歩の男」全5巻を読んでいるので、少し懐かしかった。江戸時代前半の科学精神もなかなかのものである。
主人公は渋川春海(二世安井算哲)である。日本史では、知らぬ者の無い有名人である。元禄時代、日本史上初めての日本人の手による正確な暦、『貞享暦』を作り(46歳)、幕府天文方となった男である。
江戸時代、寛文年間頃、平安初期の貞観年間に中国から伝わった宣明暦が使用されていた。本来、改暦は100年ほど毎にしなければいけない。しかし、無気力な政治の結末として、800年以上使い回されていた。その結果、月蝕の予想が外れ、「今日が、明後日になるほどのズレ」が生じていた。改暦が急がれる。
話は、23年前の渋川春海23歳にさかのぼる。江戸期を通じて囲碁の二大名人の一人になる本因坊道策が17歳で、春海をライバル視して熱くなっているが、4碁所(井上、林、安井、本因坊)の安井家当主の家に生まれ、道策を熱くさせる天賦の才を持ちながら、囲碁に飽き足らず、天文・暦学にも素養を持ち、特に算額の世界に強烈な情熱を持つ渋川春海の前に、どんな難問の算額も、あっと言う間に一瞥即答する「解答さん」こと関孝和が現れる。ニュートン、ライプニッツに比肩される数学の天才である。まだ見ぬ、関孝和が同い年の23歳であることを知らされた時、春海は打ちのめされながら、関孝和に対して問題を出して挑戦をする。
そんな時、老中酒井忠清(後の下馬将軍)から、北極星を基準にした日本各地の位置の測量(特に緯度か?)を依頼される。南は、鹿児島さらに琉球・朝鮮・北京から北は津軽までの測量隊に加わり、30以上年上の祐筆の建部、典医の井上の天文・暦学への熱意に触れる。500日近い歳月を費やして、日本を縦断する測量を済ませて江戸に戻り、練りに練った和算の問題で関孝和に挑戦するが、他の和算家には解けない問題も、関にはあっさりと解かれてしまう(これを「明察」という)が、春海は清々しい気分を感じる。
前半は、これで終わり。後半はどうなるのだろう。寛文年間という文治政治に舵を切る江戸時代前半に、これほどの和算という名の高等数学や天文・暦学への関心の盛況ぶりに新鮮なものを感じた。