もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

140614 いやな時代が始まった。それでも絶望はできない。「過ちは二度と繰り返しません」と言い続ける。

2014年06月14日 15時51分57秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
6月14日(土):

 公明党が集団的自衛権で妥協した。蟻の一穴は開かれた。公明党も結局10年前のイラク戦での自衛隊出動の時と同じだった。与党のうま味を捨ててまで、(創価学会以外の)国民の平和への願いを守るいわれは無い。そもそも公明党だけの頑張りに期待せざるを得ない状況になった時点で、我々は負けていたのだ。そして、今回、公明党は自民党の出した苦い苦い薬を飲んだことによって大きな大きな見返りを期待できる。公明党は結局「平和の党」という看板の値段ををつり上げつり上げして最高値で売り抜けたことになる。公明が踏み絵を踏んだことで、与党である自民・公明の結束は、より一層強固となり、それによって原発再稼働他、財界優遇、治安立法の強化にも拍車がかかるだろう。我々は、他にも、TPP、消費税、医療・年金問題、教育問題などどんどん踏み込まれ追いつめられていくだろう。

 原発ゼロと安倍自民の極右政策をストップさせる千載一遇の最後のチャンスは、2月9日(日)の都知事選で、原発再稼働反対派の分裂・敗北によって潰えていた。細川・小泉陣営との共闘を宇都宮健児と共産党が拒否した瞬間に、マスゴミの日和見は決定的となり(細川・小泉陣営の活動はTVから消え、なぜか泡沫候補のドクター中松の露出が増えた)、安倍自民が漁夫の利を得ることは確定していた。政治的履歴、国民全体への広がり・訴求力を背景として考えれば、あの時細川・小泉陣営が宇都宮・共産党に合流することは選択肢として有り得なかった。宇都宮健児が、譲歩して合流するしかなかった。もし彼が、選挙戦の途中で「私は都知事候補を辞退し、細川護煕候補を反原発統一候補として推薦します」と言って、「反原発」の一点突破を図っていれば、どうなっていただろう。瀬戸内寂聴さんは「反原発という一番難しい問題を解決できれば、あとは何でもできる」(そう簡単ではなかろうが…)と言っていた。

 あの2月9日(日)の都知事選は、私たち大人が、若者たちに国の行く末とあるべき政治の姿を示すことができた最後のチャンスでもあっただろう。もし、反原発統一候補が、勝っていれば、安倍自民の国家主義的政策に急ブレーキがかけられていただろう。もし負けていたとしても、それは僅差であり、国民の声でもある都民の声の半数近くが、政府の原発政策や特定秘密保護法他極右的政策に反対であることを明確に示すことができ、今日の集団的自衛権の問題も全く違う展開だったはずだ。軍国主義者の田母神に若者中心に60万票などという訳の分らぬ迷走もなかっただろう。言ってはいけないことだが…、安倍晋三と同じくらい、俺は宇都宮健児と共産党が憎い…。

 戦後69年といえば、1868(慶応4)年の明治維新からだと、1937(昭和12)年の盧溝橋事件、日中戦争勃発に至るとても長い歳月である。その間、台湾出兵、江華島事件、甲申事変、日清戦争、日露戦争、韓国併合、第一次大戦、シベリア出兵、山東出兵(済南事件)、満州某重大事件、満州事変、満州国建設、国際連盟脱退(松岡洋右は、安倍晋三の縁戚)、数え上げれば目立つものだけで対外的にこれだけの戦争と好戦的活動をしている。残るのは4年後の真珠湾攻撃(アジア・太平洋戦争)と、その4年後(維新77年後)の壊滅的敗戦のみである。国内の政変、激化事件、暴動、虐殺、謀殺、暗殺、クーデター未遂・既遂など数え上げれば全くもって枚挙にいとまがない。

 「戦後69年間の平和」というのは、まさに「奇跡だった」と言ってよい。それを支えた最大の要因は、やはりアジア・太平洋戦争の敗戦だっただろう。あの戦争の悲惨な経験の特徴は、何よりも家柄も貧富の差も全く例外なくすべての階層を襲い地獄のような苦しみを与えたことだろう。戦争の悲惨さだけは、多少の偏りはあっても、すべての人々に平等であったのだ。そこに、「戦争だけは絶対にやってはならない」という共通理解がすべての階層の間で形成されたのだ。そして、ともすれば忘れられようとする共通理解に歯止めを打つようにして、その意識を支え続けてきたのが現憲法であり、憲法第九条だった。

 俺も長く生き過ぎたのかもしれない。憲法の上に安住し過ぎて、憲法を守る「不断の努力」を怠り、果ては今日の日を迎えて今後どうやって憲法を守っていったらよいのかがわからなくなってしまった。憲法九条が一段落すれば、次は「公共の福祉」の拡大解釈が始まるだろう。我々の憲法はどんどん骨抜きにされて、子どもたちの未来は、世襲と格差拡大が固定化されて、どんどん硬直して息苦しい人権軽視・差別容認がまかり通る世の中になっていくことだろう。

 今回の悪質な憲法解釈変更を見ていて気付いたことは、これも人の痛みのわからない苦労知らずの世襲議員の増加と、世襲でない議員たちが世襲議員のお先棒担ぎでしか生き残れない現実(例えば高市早苗)や、松下政経塾の連中のように現実的?保守を標榜するが全く信用されていない現実(例えば前原詐欺師・野田汚物)という状況の結果だということだった。

 本来健全なリベラルを支え、育てていくべき国民の多くが、身に迫る格差拡大と、景気回復という「見せ金」、意図的に作り出された労働条件の悪化の中で、問題の本質を見極めることができなくなっている。正社員は、非正規社員に対する差別的待遇を是認することで差別に加担している。みんなが貧富の格差拡大にばかり目がいき、政治を批判するよりも自己責任論に追い立てられるように自己防衛に汲汲としながら、疲れ果てている。

 国民を十分に疲れさせ、若者を追いつめ、格差社会を当然のことと刷り込むことができれば、あとは案外と簡単だったのだろう。戦後69年間の平和の中で、我々の社会にはいつの間にか解体されていたはずの<寄生地主>や<財閥(勿論復活している)>など「軍国主義の温床」的存在がすでに復活どころか、増加して、たくさんうようよと存在しているのだと思う。「世襲議員」「原発ムラ」「財閥系銀行?」「政官業癒着」「マスコミ(読売・産経・文春・新潮etc.)」「○○○○」「○○○○」「○○○○」、今は「○○○○」の中に何が入るのか、よく分からないが、見えにくい形で様々な勢力が(企業のような)カルテル・トラスト・コンツェルンの動きを進めているのだろう。また、54基もの原発に象徴される「満州国」的なる存在や1000兆円の国債などの負の遺産を国内にたくさん様々な形で抱え込んでいるのだろう。そして、それらがいよいよ分厚い岩盤のように押し出して現れてきたのが安倍晋三政権なのだろう。

 特定秘密保護法にしても、原発再稼働にしても、数々の外交的失策にしても、憲法九条の拙速改変にしても、常識的にはこの能力の低いお坊ちゃんにできることではない。安倍という人形を煽て、励まし支え続ける見えない強力な闇の力の存在を考えた方がよほどしっくりくる。その意味では、マイナスだが、確かに民主主義の負の一面ではある…。

 日本は新たな段階に入った。格差拡大の中で、多様性を認める議論が悪く転用されて、平等意識が失われ、社会全体がもつべき共感性・共通認識は喪われつつある。そして、アジア・太平洋戦争のように、すべての国民を平等にしてしまうような惨禍を期待すべきでないことを考えれば、今後急速に進むであろうこの<悪い流れ>を止める方法が、俺には存在しないような気がするのだ。東日本大震災とレベル7超の福島第一原発事故という想像すらできなかった破局を経験しても揺らがないこの<悪い流れ>の強固さと、我々国民がその危険性に不自然なほど気付けない愚かな状態(見ざる・聞かざる・言わざる)に捨て置かれていることを考えるとき、いやな時代が始まったといわざるを得ない。

 それでも絶望するわけにはいかない。自暴自棄になるわけにはいかない。蟷螂の斧に過ぎなくても、未来のために、子どもたちのために、「過ちは二度と繰り返しません」という誓いを新たにすべきなのだと思う。俺は、敢えて言う「竹島も、尖閣諸島も要らない。憲法九条を中心にした今の憲法を守るためであればくれてやる!」なんであんなちっぽけな島々に拘って、扇動されて、戦争の可能性を高める必要があるのか。死んでいく兵士にとって、家族にとって「正義の戦争」など無い。石橋湛山は「小日本主義」に立って、日中戦争前に「植民地の満州も朝鮮も台湾もすべて投げ出し、返してしまえ! それでも十分に日本は繁栄を維持できるのだ」と主張し、戦後それは実現・証明された。

 北朝鮮拉致被害者の問題も冷静に根気強い交渉は必要だが、それをもって北朝鮮に対する敵愾心と国内の在日コリアンに対するヘイトスピーチを容認することは断じて許されない。尖閣諸島なんてちっぽけな島(石油・天然ガス資源があったって同じこと!)のために、アメリカの若者も、中国の若者も、日本の自衛隊員も決して命を落とすべきではない。石橋湛山だったら、「むしろ尖閣を中国に譲るだけで、日本の平和への覚悟を示し、日本が倫理的に優位に立って新たな日中関係を創造し、東アジア外交の主導権を握り、地域の安定に寄与して、国際社会から期待される存在となることができるのであれば安いものだ。」と言うだろう。

 中道・リベラル勢力は早く再結集して、第三勢力でいいから早くまとまった姿を見せてほしい。我々に可視的な選択肢と未来を見せてほしい。そのためには、一日でも早く民主党が分裂すべきである。前原・野田・長島は早く民主党を出て、維新や結いと合同すべきだ。残った民主は、とりあえず生活、社民、連合、市民運動等と連携・合同して中道・リベラルの第三勢力をつくってくれればよい。俺は、必ず支持する。
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