もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

アーカイブ 浅田次郎「蒼穹の昴(一)~(四)」「珍妃の井戸」「中原の虹(一)~(四)」 評価4~5

2011年12月30日 21時04分22秒 | 一日一冊読書開始
12月30日(金):

今日は、あまり多くない知り合いの人たちに年賀状を書かなければならないので、読書はお休みです。代わりに過去のアーカイブを載せておきます。浅田次郎の作品は、その世界に入り込むと、史実でないのはわかっていても、虚実ないまぜになった物語世界にもうぐいぐいと引き込まれてしまう。芸術家ではなくても、本当に達者な職人だと思う。

2008年1月

浅田次郎「蒼穹の昴(一)~(四)」

(1)377ページ  所要時間4:55   評価5
科挙(卿試→会試→殿試)の社会的影響の描写や男性器を切除し、預かることで宦官たちを支配・搾取する刀子匠の存在、胡同の描写、乾隆帝と郎世寧。

(2)367ページ  所要時間4:40   評価4
おもしろいが、李春雲(リイ チュンウン) / 春児(チュンル)の出世譚が少し調子良過ぎる感じだが面白い。曾国藩と李鴻章の関係と清朝における存在の大きさ、二人は進士である。

(3)372ページ  所要時間5:20   評価4
西太后と光緒帝の義母子関係の深さ。李鴻章の存在の大きさ。光緒帝と康有為(アジテーター)の出合いは変法の失敗を暗示。職人としての宣教師。

(4)388ページ  所要時間5:30   評価4
梁文秀(リャン ウェンシュウ)のモデルは梁啓超?。王逸(ワンイー)の守護すべき龍玉(ロンユイ)が実は毛沢東という展開はズッコケタ。サービス精神は良いが、マンガ的に過ぎる。

※NHK放送の日中合作ドラマ「蒼穹の昴」は、全くの駄作だったが、原作を根こそぎ改変した全く異なる別のものである。

2008年3月

浅田次郎「珍妃の井戸」 ※「蒼穹の昴」続編

 402ページ  所要時間5:05   評価5
1日で一気に読んだ!。珍妃の死の真相について立場の違う7人の証言がすべて食い違う。廃太子プーチンの自殺説が一番本当らしい?。歴史の真実の不確かさ。芥川の「藪の中」の技法。中国旅行の紫禁城を思い出した。

2009年5月~7月

浅田次郎「中原の虹(一)~(四)」  ※「蒼穹の昴」続編
 
*書名しか記録していない。評価は4~5だった。とにかく面白かった!

 主人公は満州馬賊の総攬把(ツォンランパ;総首領)の張作霖(チャン ヅォリン)で、決め台詞は「鬼でも仏でもねえ。俺様は張作霖だ」。もう一人がチュンルの生き別れの兄李春雷(リイ チュンレイ) / 雷哥(レイコウ;レイ兄貴)。中央では変法自強失敗(戊戌の政変)後、李鴻章(リイ ホンチャン)なき清朝では、袁世凱(ユアン シイカイ)が実権を握り、辛亥革命を経て、中華民国となり、混沌を深めいていく。
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