もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

0019‐1 タミム・アンサーリー「イスラームから見た「世界史」」(紀伊國屋書店;2011)評価4+

2012年12月22日 22時49分45秒 | 一日一冊読書開始
12月22日(土):        304ページ  3:20

著者年齢不明。女性のような気がするが、性別も不明だ。アフガニスタン出身でサンフランシスコ在住の作家。小沢千重子訳。全部で685ページの量は、半端ではない。丁寧に読むことはできない。1ページ30秒のペースを守って、現在3:20で第9章「災厄」、304ページまで読み進んだ。

欧州と中国に挟まれた広大な中東・北アフリカ・インドをミドルワールドと位置付け、この地域の歴史を追うとともに、外部世界からの侵入・影響の様子や被害を描く。読み物としてのスタイルを大事にしているせいか、理屈よりも事実・逸話が詳しく語られているし、無理に新しい視点を出そうとしてないので違和感も少なく分かりやすい。眺め読みなので、細かな事柄や人名を味わえないが、高校で学んだ知識が蘇り、再確認されて心地よさもある。

ササン朝ペルシャとビザンツ帝国の対立、ヒジュラ暦のBHとAH、4人の正統カリフのごたごた(アブー・バクル→ウマル→ウスマーン→アリー)、ジハードとササン朝の滅亡、ムアーウィアの簒奪とウマイヤ朝、爆発的拡大、東方からのアッバース革命、バグダード建設、後ウマイヤ朝とファーティマ朝、トルコ族の台頭、ブワイフ朝、ガズナ朝、セルジューク朝、アサッシン教団、十字軍の残虐、エルサレム占領、アイユーブ朝による奪還、歴史的大災厄としてのモンゴル襲来、バグダード消滅、ムスリム神学の危機、世襲でないマムルーク朝の踏ん張り(特にバイバルス)、破壊者ティムールへの憎悪(でも、彼ってムスリムじゃなかったっけ?)、モンゴルのイスラム化、等々。

イスラム世界の拡大・分裂・発展・教化浸透は、ダイナミックなのがすごく面白い。アラブに始まり、ペルシャ、トルコ、モンゴルに広がる。

明日はオスマン帝国の話から、近代史の中でのイスラム世界の展開になる。この辺は、断片的知識しかない時代なので、新鮮な記述が多くなるような気がして楽しみである。できれば、明日中に最後まで読み切りたいと思うが、さて…。

まあ、壮大な歴史を読んでいると、俗な言い草だが、あまりうまくいかない自分の人生の意味、それなりに大きかった蹉跌の経験なども、「衆目で暗殺後、自らも死ぬことで支配者を恐れさせたアサッシン教団の若者たち、ムスリムの大人をスープにし、子どもを串焼きにして食べた十字軍の野蛮、ムスリム世界で大殺戮をしたモンゴルの残酷さなどの犠牲者のことを思えば、小さい、小さい、まだ幸せな方だよな」って少しだが思えてしまう。歴史の効用としては最低かもしれないが、とりあえず想像力の翼を<時間>軸を含めた四次元に広げられることは、悪くないだろう。

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