もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

5 031 大和和紀「あさきゆめみし 10」(講談社コミックス・ミミ:1990)感想4+

2015年11月22日 23時55分31秒 | 一日一冊読書開始
11月22日(日):  

208ページ   所要時間 3:00(風呂で(*´ω`))  蔵書

著者42歳(1948生まれ)。

2度目。 母親に死なれた二の宮の元へ夕霧は通い続け、二の宮の本宅を修理するなど世話をやく。夕霧から強く関係を迫るが二の宮に鍵のかかる部屋に逃げられてしまう。雲居の雁は夫夕霧が二の宮に夢中になるのに我慢がならず、三条邸を出て実家内大臣家に帰ってしまう。侍女に抜け道を聞いた夕霧は、背後から二の宮に迫り結ばれる。

病がどんどん重くなる紫の上は、最期の春を迎えて思い出深い二条院で千部の法華経の供養会をおこなう。弱っていく紫の上は、源氏との出会いの有難さを思いながら、幸せだったとは決して言い難い自らの人生を振り返る。しかし、最期は「この世はなんと美しいのだろう」との境地に達し、源氏の腕の中で亡くなる。

紫の上を亡くした源氏は、改めて紫の上が比類ない、かけがえのない女性であったことを自覚し、喪失感に打ちのめされる。大事なことも何もできなくなり呆然とする源氏の代わりに夕霧が面倒を見る。源氏自身は悔恨と喪失感の中、ごく限られた訪問者の相手をし、人生を振り返って藤壺に始まり、多くの女性たちとの関係を思い出し、会っておきたい女性を訪ねる。紫の上を除けば、やはり素晴らしい女性は明石の上であった。

紫の上の一周忌、紫の上のいない春が来た。その後で源氏は出家して山に籠ったようである。どれぐらい経ったのか?源氏が籠った山の上に美しい紫色の雲がかかるのを見た明石の上が「源氏の院がお隠れになった」のを知る。本書、真ん中で紫の上が亡くなると、残りの半分は打ちのめされた源氏がただひたすら紫の上のことを思い続けるシーンで終始する。紫の上が如何に素晴らしい理想の女性であったか、そして決して幸せではなかったことが知らされる。

あさきゆめみし第I部 完



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